(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 17/18 20060101AFI20240827BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240827BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240827BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20240827BHJP
F21V 21/02 20060101ALI20240827BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240827BHJP
【FI】
F21V17/18 100
F21S2/00 630
F21V17/00 155
F21V31/00 100
F21V21/02
F21Y101:00 300
(21)【出願番号】P 2021013525
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】723014807
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 優作
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-091641(JP,U)
【文献】特開2007-128780(JP,A)
【文献】特開2009-048894(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0866078(KR,B1)
【文献】国際公開第2020/007708(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 17/00-17/20
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 21/00-21/40
F21V 23/00-99/00
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射面に開口部を有する筐体と、前記開口部を塞ぐカバーとを備える照明器具であって、
前記筐体の外表面に接続された筐体接続部と、
前記カバーの表面に接続されたカバー接続部と、
を有し、
前記筐体接続部および前記カバー接続部のいずれか一方に、長手方向を有する長孔が設けられ、前記カバーの開閉に伴って前記長孔を移動する軸部材が他方に設けられており、
前記筐体接続部および前記カバー接続部のいずれか一方は、前記カバーが開くときに他方の外形部に当接する当接部を有し、他方は、前記当接部が引っ掛かる引掛部を有し、
前記カバーが開くときに前記当接部が前記他方の外形部に沿って移動することで、当該移動に伴い前記軸部材が前記長孔の一端側から他端側に移動し、
前記カバーが所定の開き角度に達したときに、前記当接部が前記引掛部に引っ掛かることで、前記カバーが開状態で保持され
、
前記引掛部は、
前記カバーの自重によって前記軸部材が移動する方向に凹み、当該凹みに前記当接部が入り込んで引っ掛かり、
前記筐体接続部および前記カバー接続部は、
前記軸部材が前記長孔に回転自在に支持されるように結合されることで、前記カバーを開閉可能に支持するヒンジを構成している
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記長孔の長手方向は、前記筐体の前記出射面が設けられた正面側から背面側に延びる方向を向いており、
前記開口部には、前記カバーと前記筐体とで挟まれるパッキンが設けられており、
前記カバーが閉じた状態のとき、前記軸部材が前記長孔内で前記正面側に位置する
ことを特徴とする請求項
1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記長孔は、前記筐体接続部に形成され、
前記軸部材は、前記カバー接続部に形成され、
前記外形部は、前記筐体の出射面側から反対側に向かって、前記長孔における前記筐体の前記出射面に近い側の端部からの距離が長くなるように傾斜する傾斜部を含む、
ことを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記筐体が前記出射面を水平方向よりも下方に向けて設置されることを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
前面が開放した器具本体と、当該器具本体の前面を閉じる透光性のカバーと、を備えた照明器具が知られており、かかる照明器具は、例えばトンネル照明や街路照明といった屋外照明に広く用いられている。
この種の照明器具は、メンテナンスや部品交換等といった作業のために、カバーが開閉可能に構成されており、作業者は片手でカバーを開放位置で保持した状態で作業を行っている。また、カバーを開状態で保持するストッパーを備えたトンネル照明器具も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、器具本体の内部にストッパーに係る機構を設ける必要があるため、器具本体が大型化し、それにより高コスト化を招く、という問題がある。
【0005】
本発明は、出射面に開口部を有する筐体と、前記開口部を塞ぐカバーとを備える照明器具であって、前記筐体の外表面に接続された筐体接続部と、前記カバーの表面に接続されたカバー接続部と、を有し、前記筐体接続部および前記カバー接続部のいずれか一方に、長手方向を有する長孔が設けられ、前記カバーの開閉に伴って前記長孔を移動する軸部材が他方に設けられており、前記筐体接続部および前記カバー接続部のいずれか一方は、前記カバーが開くときに他方の外形部に当接する当接部を有し、他方は、前記当接部が引っ掛かる引掛部を有し、前記カバーが開くときに前記当接部が前記他方の外形部に沿って移動することで、当該移動に伴い前記軸部材が前記長孔の一端側から他端側に移動し、前記カバーが所定の開き角度に達したときに、前記当接部が前記引掛部に引っ掛かることで、前記カバーが開状態で保持され、前記引掛部は、前記カバーの自重によって前記軸部材が移動する方向に凹み、当該凹みに前記当接部が入り込んで引っ掛かり、前記筐体接続部および前記カバー接続部は、前記軸部材が前記長孔に回転自在に支持されるように結合されることで、前記カバーを開閉可能に支持するヒンジを構成していることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、出射面に開口部を有する筐体と、前記開口部を塞ぐカバーとを備える照明器具であって、前記筐体の外表面に接続された筐体接続部と、前記カバーの表面に接続されたカバー接続部と、を有し、前記筐体接続部および前記カバー接続部のいずれか一方に、長手方向を有する長孔が設けられ、前記カバーの開閉に伴って前記長孔を移動する軸部材が他方に設けられており、前記筐体接続部および前記カバー接続部のいずれか一方は、前記カバーが開くときに他方の外形部に当接する当接部を有し、他方は、前記当接部が引っ掛かる引掛部を有し、前記カバーが開くときに前記当接部が前記他方の外形部に沿って移動することで、当該移動に伴い前記軸部材が前記長孔の一端側から他端側に移動し、前記カバーが所定の開き角度に達したときに、前記当接部が前記引掛部に引っ掛かることで、前記カバーが開状態で保持されることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記照明器具において、前記長孔の長手方向は、前記筐体の前記出射面が設けられた正面側から背面側に延びる方向を向いており、前記開口部には、前記カバーと前記筐体とで挟まれるパッキンが設けられており、前記カバーが閉じた状態のとき、前記軸部材が前記長孔内で前記正面側に位置することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記照明器具において、前記長孔は、前記筐体接続部に形成され、前記軸部材は、前記カバー接続部に形成され、前記外形部は、前記筐体の出射面側から反対側に向かって、前記長孔における前記筐体の前記出射面に近い側の端部からの距離が長くなるように傾斜する傾斜部を含む、ことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記照明器具において、前記筐体が前記出射面を水平方向よりも下方に向けて設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、器具本体の大型化を招くことなくカバーを開状態で保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るトンネル照明器具の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】トンネル照明器具の設置状態を示す図であり、(A)はカバーが閉じている状態を示し、(B)はカバーが開いている状態を示す。
【
図4】トンネル照明器具に設けられた状態の開閉機構を示す図であり、(A)は開閉機構の拡大図、(B)は開閉機構の断面図である。
【
図5】筐体接続部を示す図であり、(A)は筐体接続部の上面図、(B)は筐体接続部の側面図である。
【
図7】カバーの開操作時の開閉機構の状態であって、カバーが回転不能に保持されていない状態を示す図である。
【
図8】カバーの開操作時の開閉機構の状態であって、カバーが回転不能に保持された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るトンネル照明器具1の全体構成を示す斜視図である。
図2はトンネル照明器具1の設置状態を示す図であり、
図2(A)はカバー3が閉じた状態を示し、
図2(B)はカバー3が開いた状態を示す。
トンネル照明器具1は、
図1に示すように、その正面が出射面1Aとして構成されており、
図2(A)に示すように、当該出射面1Aを路面に対面させた姿勢でトンネルAの壁面A1に設置され、照明光を出射面1Aから出射することで路面を照明する。
【0015】
本実施形態のトンネル照明器具1は、
図1に示すように、出射面1Aの側に開口部7(
図3)を有する略直方形状の筐体2と、筐体2の開口部7を塞ぐ略矩形板状の透光性材から成るカバー3と、当該カバー3を開閉可能に支持する適宜の数(図示例では2つ)の開閉機構4と、閉状態のカバー3を筐体2に係止する適宜の数(図示例では2つ)の留め具5と、を備えている。留め具5は、カバー3を筐体2に開放不能に係止する機能を有する適宜の形式の金具が用いられ、本実施形態では、パッチン錠が用いられている。
【0016】
またトンネル照明器具1は、筐体2の両端のそれぞれに取付板6を備え、
図2(A)に示すように、これらの取付板6をボルトで壁面A1に固定することでトンネルAに設置される。これらの取付板6は筐体2を回動自在に支持しており、筐体2の取付角度を調整可能にする角度調整板として構成されている。
【0017】
図3はトンネル照明器具1の分解斜視図である。
同図に示すように、筐体2は、両端が開放した断面略コの字形状の部材から成る筐体中央部30と、筐体中央部30の両端の開放部を塞ぐ一対の筐体側板31と、によって、正面に開口部7を有した略直方形状の箱体として構成されている。かかる筐体2の内部には、照明光の光源(例えば発光素子や放電ランプ)や、光源の光を制御する光学制御部材(反射鏡など)、光源への点灯制御を行うための装置、電源関係部品といった各種の部材(図示略)が配置されている。
【0018】
トンネル照明器具1は、開口部7の縁に沿った形状(本実施形態では略矩形状)のパッキン8が筐体2に取り付けられており、当該パッキン8がカバー3と筐体2との間で挟まれることで開口部7が水密に維持される。さらに筐体2において、筐体中央部30と各筐体側板31との間にもサイドパッキン32が設けられており、当該サイドパッキン32によって筐体2の端部が水密に維持されている。
【0019】
次いで、カバー3の開閉機構4について詳述する。
図4はトンネル照明器具1に設けられた状態の開閉機構4を示す図であり、
図4(A)は開閉機構4の拡大図、
図4(B)は開閉機構4の断面図である。なお、
図4(A)および
図4(B)はカバー3が開いた状態を示している。
開閉機構4は、
図1に示すように筐体2の外側に設けられた部材であり、
図4(A)に示すように、筐体2の外表面2Aにネジ止め固定される(すなわち接続される)筐体接続部12と、カバー3の表面3Aにネジ止め固定される(すなわち接続される)カバー接続部14と、を備え、これら筐体接続部12およびカバー接続部14がカバー3を回動可能に筐体2に支持するヒンジ(蝶番)を構成している。
筐体接続部12は開口部7の上端縁部7A1に設けられており、この筐体接続部12にカバー接続部14がヒンジ結合されることで、
図2(B)に示すように、カバー3が下方(開口部7の下端縁部7A2の側)から上方(開口部7の上端縁部7A1の側)に向かって開く上開き方式の蓋体として取り付けられている。
【0020】
図5は筐体接続部12の構成を示す図であり、
図5(A)は筐体接続部12の上面図、
図5(B)は筐体接続部12の側面図である。
筐体接続部12は適宜の金属材料から成る部材であり、
図5(A)に示すように、筐体2の外表面2Aへのネジ止め固定のための丸孔15Aが形成された板状の第1の固定部15と、当該第1の固定部15の前端15Bの側の両端部を略L字状に立ち上げて成る板状の一対の支持部16と、を備え、かかる一対の支持部16には、
図5(B)に示すように、長手方向Fを有する長孔17が形成されており、これらの長孔17に、カバー接続部14の後述する回転軸部20が回動自在に支持される。なお、長手方向Fについては後述する。
【0021】
図6はカバー接続部14の斜視図である。
カバー接続部14は適宜の金属材料から成る部材であり、
図6に示すように、カバー3の表面3Aへのネジ止め固定のための丸孔25Aが形成された板状の第2の固定部25と、当該第2の固定部25の上端部に設けられた回転軸部20と、カバー3を閉状態で保持するための係合部22と、を備え、かかる回転軸部20は、棒状の軸部材Bと、当該軸部材Bを軸支する一対の軸支片21と、を有している。
そして、軸部材Bの端部が筐体接続部12の長孔17を貫通するように、カバー接続部14と筐体接続部12とが結合されることでヒンジが構成され、軸部材Bを回転軸としてカバー接続部14が筐体接続部12に対して回動自在に構成される。
【0022】
係合部22は、カバー3が開く方向(以下、「開方向C1」という)へカバー接続部14が所定角度に亘って回転したときに(すなわち、カバー3の開き角度が所定の角度に達したときに)筐体接続部12の引掛部19に係止するように構成されており、当該係止によって、カバー3が開いた状態で保持される。
詳述すると、係合部22は、
図6に示すように、一対の軸支片21の間に延びる板状の部位であり、略矩形の本体部23と、当該本体部23の両端部に設けられた凸状の当接部24と、を備え、これら当接部24のそれぞれが、カバー接続部14の回動時に筐体接続部12の外形部(表面部分)に当接し、当該外形部上をカバー接続部14の回動に伴って移動する。本実施形態において、かかる外形部は、支持部16の外形縁18(
図5(B))である。
【0023】
一方、筐体接続部12の外形縁18には、
図5(B)に示すように、当接部24が引っ掛かる切り欠き形状の段差である引掛部19が形成されており、この引掛部19は、開方向C1へカバー接続部14が所定角度に亘って回転した時に当接部24が到達する位置に形成されている。そして、この引掛部19に当接部24が引っ掛かることで、カバー3が閉まる方向(以下、「閉方向C2」という)への回転が不能な状態でカバー接続部14(すなわちカバー3)が保持される。またカバー接続部14の保持状態は、当接部24を引掛部19から外すことで解除され、カバー接続部14(すなわちカバー3)が閉方向C2へ回転可能となる。
【0024】
なお、外形縁18における引掛部19の位置は、カバー3を保持状態にする開き角度に応じて適宜に変更可能である。
【0025】
ここで、本実施形態のトンネル照明器具1では、設置現場において、作業員がカバー3を開いた際に、当接部24が引掛部19にカバー3の自重によって自動で引っ掛かり、作業員が他に何ら操作することなく、カバー3が開状態に保持される構成となっており、かかる構成について詳述する。
【0026】
図7および
図8は、カバー3の開操作時の開閉機構4の状態を示す図であり、
図7はカバー3が回転不能に保持されていない状態を示し、
図8はカバー3が回転不能に保持された状態を示している。
図5(B)に示すように、筐体接続部12において、カバー接続部14の軸部材Bを支持する長孔17は、長手方向Fが筐体2の正面側E1から背面側E2に延びる方向(すなわち筐体2の奥行き方向)を向いている。そして、
図7に示すように、カバー3が閉状態の場合(
図7中、G1)、軸部材Bが長孔17の正面側端部17E1に位置し、また当接部24は支持部16の外形縁18から離れた箇所に位置する。このように、カバー3が閉状態のときに軸部材Bが長孔17の正面側端部17E1に位置することで、背面側端部17E2に位置する場合に比べ、カバー3が筐体2の正面側E1に位置するため、正面の開口部7に設けられたパッキン8をカバー3が筐体2との間で、均一、かつ強固に挟み込むことができ、防水性能を高めることができる。
【0027】
カバー3が閉状態から開方向C1にカバー接続部14が回転した場合、
図7に示すように、回転量がある程度に達すると(
図7中、G3)、当接部24が支持部16の外形縁18の傾斜部18Aに当接する。この傾斜部18Aは、筐体2の正面側E1から背面側E2に向かって(すなわち、出射面1Aからその反対側に向かって)下向きに略直線的に傾斜し、当接部24がカバー接続部14の回転に伴って移動する部位である。傾斜部18Aは、かかる傾斜により、正面側E1から背面側E2に向かって、長孔17の正面側端部17E1(出射面1Aに近い側の端部)からの距離が長くなっており、カバー接続部14の開方向C1への回転に伴って当接部24が移動するにつれて(すなわち回転角度に応じて)、当接部24と長孔17との距離も長くなる。
【0028】
そしてカバー接続部14が、
図7のG3の状態から更に開方向C1に回転すると、
図8に示すように、当該回転に伴って軸部材Bが長孔17内を背面側端部17E2に向かって移動することで、当接部24が外形縁18の傾斜部18Aに接触しながら滑るように引掛部19に向かって移動する(
図8中、G4、G5)。この引掛部19は、前掲
図5(B)に示すように、正面側E1に凹む形状を成しており、当接部24が引掛部19に到達した際(
図8中、G6)、軸部材Bは長孔17の背面側端部17E2に位置する。この状態において、軸部材Bが長孔17内を正面側端部17E1に向かって移動することで、前掲
図4(B)に示すように、当接部24が引掛部19に入り込み、当該引掛部19に引っ掛かることなる。
【0029】
一方、トンネル照明器具1は、前掲
図2(A)に示すように、正面の出射面1Aが水平方向Dよりも下方を向く姿勢で設置される。このため、カバー接続部14の軸部材Bには下向きの力がカバー3の自重によって常に加わっているため、軸部材Bには正面側端部17E1に移動する力が加わっている。
すなわち、当接部24が引掛部19の凹みに到達した際には、カバー3の自重によって軸部材Bが長孔17内を正面側端部17E1に向かって移動することで、当接部24が引掛部19の凹みに自動で入り込み、引掛部19に引っ掛かることとなる。
これにより、作業者がカバー3を開くだけで、自動的に当接部24が引掛部19に引っ掛かりカバー3が開状態に保持され、カバー3を手で保持することなく各種のメンテナンス作業を行うことができる。
【0030】
作業者が当接部24の引っ掛かりを解除する場合、カバー3の自重に抗してカバー3を筐体2の背面側E2に押し込むことで、軸部材Bを長孔17内の背面側端部17E2に向かって移動させ、当接部24を引掛部19の凹みから脱出させ、引っ掛かりを解除する。これにより、カバー接続部14が閉方向C2へ回転可能となり、カバー3が閉じられるようになる。
【0031】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0032】
本実施形態のトンネル照明器具1は、出射面1Aに開口部7を有する筐体2と、この開口部7を塞ぐカバー3とを備える照明器具であり、筐体2の外表面2Aに接続された筐体接続部12と、カバー3の表面3Aに接続されたカバー接続部14と、を有している。また筐体接続部12には、長手方向Fを有する長孔17が設けられ、カバー3の開閉に伴って長孔17を移動する軸部材Bがカバー接続部14に設けられている。さらに、カバー接続部14は、カバー3が開くときに筐体接続部12の外形部(表面)に当接する当接部24を有し、筐体接続部12は、この当接部24が引っ掛かる引掛部19を有する。
そして、カバー3が開くときに当接部24が筐体接続部12の外形部に沿って移動することで、当該移動に伴い軸部材Bが長孔17の一端側から他端側に移動し、カバー3が所定の開き角度に達したときに、当接部24が引掛部19に引っ掛かることでカバー3が開状態で保持される。
【0033】
この構成によれば、カバー3を開状態で保持するための筐体接続部12およびカバー接続部14が筐体2およびカバー3の外側に設けられているため、器具本体である筐体2の大型化を招くことがない。
また、カバー3の開動作と連動して当接部24が引掛部19に引っ掛かるため、作業者はカバー3を開けるだけで引掛部19に当接部24を引っ掛けることができ、カバー3を簡単に開状態に保持することができる。
【0034】
本実施形態のトンネル照明器具1において、上記引掛部19は、カバー3の自重によって軸部材Bが移動する方向(すなわち正面側E1)に凹み、当該凹みに当接部24が入り込んで引っ掛かる。
これにより、カバー3の開動作時に、確実かつ簡単に、当接部24を引掛部19に引っ掛けることができる。また、カバー3を閉める際には、作業者はカバー3を自重に抗して移動させるだけで簡単に保持状態を解除して閉めることができる。
【0035】
本実施形態のトンネル照明器具1において、筐体接続部12とカバー接続部14とは、軸部材Bが長孔17に回転自在に支持されるように結合されることで、カバー3を開閉可能に支持するヒンジを構成している。
この構成によれば、カバー3を開閉するためのヒンジを別途に設ける必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0036】
本実施形態のトンネル照明器具1において、長孔17の長手方向Fは、筐体2の出射面1Aが設けられた正面側E1から背面側E2に延びる方向を向いており、また開口部7には、カバー3と筐体2とで挟まれるパッキン8が設けられている。そして、カバー3が閉じた状態のときには、軸部材Bが長孔17内で正面側E1に位置するようになっている。
この構成によれば、カバー3が閉じるときには筐体2の背面側E2から正面側E1に移動し、開口部7を塞ぐことになる。これにより、正面の開口部7に設けられたパッキン8をカバー3が筐体2との間で、より均一、かつ強固に挟み込むことができ、防水性能を高めることができる。
【0037】
本実施形態のトンネル照明器具1において、長孔17は筐体接続部12に形成され、軸部材Bはカバー接続部14に形成されており、また、筐体接続部12の外形部である外形縁18は、筐体2の出射面1Aの側から反対側に向かって、長孔17の正面側端部17E1からの距離が長くなるように傾斜する傾斜部18Aを含んでいる。
これにより、カバー3を開くときに当接部24が傾斜部18Aを移動し、長孔17の正面側端部17E1から背面側端部17E2へ軸部材Bを移動させることができる。
【0038】
本実施形態のトンネル照明器具1において、筐体2が出射面1Aを水平方向Dよりも下方に向けて設置される。
これにより、カバー接続部14の軸部材Bには下向きの力がカバー3の自重によって常に加わることで、軸部材Bには正面側端部17E1に移動する力が加わる。
したがって、当接部24が引掛部19に到達した際には、カバー3の自重によって軸部材Bが長孔17内を正面側端部17E1に向かって移動し、当接部24が引掛部19に自動で引っ掛かることとなる。これにより、作業者がカバー3を開くだけで、自動的に当接部24が引掛部19に引っ掛かりカバー3が開状態に保持され、カバー3を手で保持することなく各種のメンテナンス作業を行うことができる。
【0039】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
【0040】
例えば、上述した実施形態において、長孔17をカバー接続部14に設け、かつ軸部材Bを筐体接続部12に設けてもよい。また当接部24を筐体接続部12に設け、かつ引掛部19をカバー接続部14に設けてもよい。
【0041】
上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数値、形状は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状と同じ作用効果を奏する範囲(いわゆる均等の範囲)を含む。
【符号の説明】
【0042】
1 トンネル照明器具(照明器具)
1A 出射面
2 筐体
2A 外表面
3 カバー
4 開閉機構
7 開口部
7A1 上端縁部
8 パッキン
12 筐体接続部
14 カバー接続部
16 支持部
17 長孔
17E1 正面側端部
18 外形縁
19 引掛部
20 回転軸部
24 当接部
B 軸部材
C1 開方向
C2 閉方向
D 水平方向
E1 正面側
E2 背面側
F 長手方向