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特許7543958モデル提供装置、モデル提供方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】モデル提供装置、モデル提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/12 20060101AFI20240827BHJP
   G01S 13/04 20060101ALI20240827BHJP
   G01S 13/88 20060101ALI20240827BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240827BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G01S13/04
G01S13/88
G06N20/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021045902
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144752
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】川合 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】森本 伸一
(72)【発明者】
【氏名】江藤 大
(72)【発明者】
【氏名】竹村 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】有吉 正行
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/189557(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
G01S 13/04
G01S 13/88
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶する記憶手段と、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信するリクエスト受信手段と、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する選択手段と、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成する生成手段と、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信する送信手段と、
を有するモデル提供装置。
【請求項2】
前記リクエスト受信手段は、
複数の前記検出対象物の中から選択すべき前記検出対象物を示す選択情報を含む前記リクエストを受信し、
前記選択手段は、
前記選択情報に基づき、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する請求項1に記載のモデル提供装置。
【請求項3】
前記選択情報は、前記検出モデルを使用する環境を示す請求項2に記載のモデル提供装置。
【請求項4】
前記選択情報は、ユーザにより指定された前記検出対象物を示す請求項2に記載のモデル提供装置。
【請求項5】
前記選択情報は、キーワードを示す請求項2に記載のモデル提供装置。
【請求項6】
前記リクエスト受信手段は、
前記検出モデルを利用するユーザを識別するユーザ識別情報を含む前記リクエストを受信し、
前記選択手段は、
予め登録されたユーザ契約情報に基づき、前記ユーザ識別情報で識別されるユーザの契約内容を特定し、
複数の前記検出対象物の中の前記契約内容でカバーされている前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する請求項1から4のいずれか1項に記載のモデル提供装置。
【請求項7】
前記機械学習モデルが更新されると、その旨をユーザに通知する更新処理手段をさらに有する請求項1から6のいずれか1項に記載のモデル提供装置。
【請求項8】
前記更新処理手段は、
送信済みの前記検出モデルと、前記機械学習モデルの更新内容とに基づき、更新通知が必要なユーザを特定し、特定したユーザに前記機械学習モデルの更新を通知する請求項7に記載のモデル提供装置。
【請求項9】
コンピュータが、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶し、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信し、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択し、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成し、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信するモデル提供方法。
【請求項10】
コンピュータを、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶する記憶手段、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信するリクエスト受信手段、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する選択手段、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成する生成手段、及び、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信する送信手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モデル提供装置、モデル提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1には、1ミリメートルから30ミリメートルの間の波長の波を少なくとも有する電波で所持物を検査する技術であって、多数の人物をまとめてラフに検査する一次スクリーニングで危険物を持っている疑わしい人を検出し、検出した疑わしい人に対して二次スクリーニングで詳細な検査を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-204513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な場所で所持物検査が行われているが、検出すべき対象物は場所ごとに異なり得る。例えば、拳銃やナイフなどの危険物の検出が必要な場所もあれば、情報漏洩防止のためにカメラやスマートフォンなどの撮影装置の検出が必要な場所もある。
【0005】
このような場所毎のあらゆるニーズに応える手法として、あらゆる対象物を検出可能な検出モデルを生成する手段が考えられる。しかし、この手段の場合、検出装置が、設置された場所で検出する必要がない対象物を検出するための情報を保持し、その場所で検出する必要がない対象物を検出する処理を行うという不都合が発生し得る。すなわち、拳銃やナイフなどの危険物の検出が必要であり、カメラやスマートフォンなどの撮影装置の検出が不要である場所に設置された検出装置が、拳銃やナイフなどの危険物のみならず、カメラやスマートフォンなどの撮影装置を検出するための情報を保持し、それらを検出するという不都合が発生し得る。結果、このような不要な処理のため、所持物検査の待ち時間が大きくなったり、検出装置がオーバースペックになって検出装置に要する費用が大きくなる等の問題が発生し得る。
【0006】
本発明の課題は、複数の検出装置各々が検出する対象物を検出装置毎に容易に設定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶する記憶手段と、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信するリクエスト受信手段と、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する選択手段と、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成する生成手段と、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信する送信手段と、
を有するモデル提供装置が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶し、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信し、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択し、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成し、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信するモデル提供方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶する記憶手段、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信するリクエスト受信手段、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する選択手段、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成する生成手段、及び、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信する送信手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の検出装置各々が検出する対象物を検出装置毎に容易に設定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のシステムの概要を説明するための図である。
図2】本実施形態の装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態のモデル提供装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
図4】本実施形態のモデル提供装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
図5】本実施形態のモデル提供装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】本実施形態の検出装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
図7】本実施形態の電磁波送受信部の一例を模式的に示す図である。
図8】本実施形態のモデル提供装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
図9】本実施形態のモデル提供装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
図10】本実施形態のモデル提供装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
<第1の実施形態>
「概要」
図1を用いて、本実施形態のシステムの概要を説明する。本実施形態では、複数の検出対象物を検出可能な機械学習モデルが事前に生成され、モデル提供装置10(サーバ)に記憶されている。当該機械学習モデルは、複数の検出対象物各々を検出可能な複数のモデルの集合と考えることができる。
【0014】
モデル提供装置10は、検出モデルのダウンロードリクエストを受付けると、リクエスト毎に、複数の検出対象物の中から少なくとも1つを選択する。次いで、モデル提供装置は、選択された検出対象物を検出し、選択されなかった検出対象物を検出しない検出モデルを、上記機械学習モデルに基づき生成する。そして、モデル提供装置10は、生成した検出モデルを所定の検出装置20に送信する。
【0015】
このような本実施形態のモデル提供装置10によれば、複数の検出対象物を検出可能な機械学習モデルに基づき、検出装置20毎に適切な検出対象物を検出する検出モデルを生成し、提供することができる。
【0016】
「ハードウエア構成」
次に、モデル提供装置10及び検出装置20のハードウエア構成の一例を説明する。図2は、モデル提供装置及び検出装置20のハードウエア構成例を示す図である。モデル提供装置10及び検出装置20が備える各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0017】
図2に示すように、モデル提供装置10及び検出装置20は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。モデル提供装置10及び/又は検出装置20は、周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、モデル提供装置10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。同様に、検出装置20は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0018】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、電磁波送受信装置等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ、電磁波送受信装置等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0019】
「モデル提供装置10の機能構成」
次に、モデル提供装置10の機能構成を説明する。図3に示すように、モデル提供装置10は、記憶部11と、リクエスト受信部12と、選択部13と、送信部14と、生成部15とを有する。
【0020】
記憶部11は、波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波(例:マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波等)の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶する。当該機械学習モデルに基づき、複数の検出装置20各々に提供する検出モデルが生成される。
【0021】
機械学習モデルは、反射波の信号に基づき作成された透過画像を処理して上記検出を行ってもよいし、画像化せずに反射波の受信信号を処理して上記検出を行ってもよい。以下、一例を説明する。
【0022】
-第1の例-
当該例では、機械学習モデルは、反射波の信号に基づき作成された透過画像を処理して上記検出を行う。事前の準備により、複数の検出対象物各々の形状の特徴量が生成され、登録されている。例えば、拳銃、ナイフ等の危険物の特徴量や、カメラ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話等の撮影装置の特徴量や、ペットボトル、ライター、マッチ等の所定の地域への持ち込みを禁止される物の特徴量等が登録されている。
【0023】
当該例の機械学習モデルでは、反射波の信号に基づき作成された透過画像の中から、予め登録された複数の検出対象物各々の形状の特徴量を検出することで、検出対象物の検出を実現する。複数の検出対象物各々の形状の特徴量の生成手法、及び透過画像の中から所定の特徴量を検出する手法は特段制限されず、あらゆる技術を採用できる。
【0024】
-第2の例-
当該例では、機械学習モデルは、画像化せずに反射波の信号を処理して上記検出を行う。事前の準備により、複数の検出対象物各々の上記反射波の信号に現れる特徴量(反射波特徴量)が生成され、登録されている。例えば、拳銃、ナイフ等の危険物の特徴量や、カメラ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話等の撮影装置の特徴量や、ペットボトル、ライター、マッチ等の所定の地域への持ち込みを禁止される物の特徴量等が登録される。
【0025】
当該例の機械学習モデルでは、反射波の信号の中から、予め登録された複数の検出対象物各々の反射波特徴量を検出することで、検出対象物の検出を実現する。反射波特徴量の生成手法、及び透過画像の中から所定の特徴量を検出する手法は特段制限されず、あらゆる技術を採用できる。
【0026】
リクエスト受信部12は、波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信する。例えば、ユーザが、検出装置20各々を操作して当該リクエストを入力すると、各検出装置20からモデル提供装置10に当該リクエストが送信される。当該リクエストの受信に応じて、各検出装置20用の検出モデルが生成されることになる。
【0027】
なお、当該リクエストは、各検出装置20用の検出モデルの内容を決定するために利用される情報を含んでよい。当該情報は、ユーザを識別するユーザ識別情報及び複数の検出対象物の中から選択すべき検出対象物を示す選択情報の少なくとも一方を含むことができる。選択情報は、以下の第1乃至第3の選択情報例の中の少なくとも1つを含むことができる。
【0028】
-第1の選択情報例-
当該例の選択情報は、検出モデルを使用する環境を示す。すなわち、選択情報は、検出モデルをインストールした検出装置20を設置する場所(国、地域名等)、検出モデルをインストールした検出装置20を設置する施設の種類(スポーツスタジアム、コンサートホール、会社建物、アミューズメント施設等)、検出モデルをインストールした検出装置20を設置する施設のその時の使用目的(コンサート、スポーツイベント等)等を含む。
【0029】
-第2の選択情報例-
当該例の選択情報は、ユーザにより指定された検出対象物を示す。すなわち、選択情報は、「拳銃、ナイフ」等、記憶部11に記憶されている機械学習モデルで検出可能な複数の検出対象物の中からユーザが指定した検出対象物を示す。
【0030】
-第3の選択情報例-
当該例の選択情報は、ユーザにより指定されたキーワードを示す。キーワードは、記憶部11に記憶されている機械学習モデルで検出可能な複数の検出対象物の中から所定の検出対象物を選択するために利用される。例えば、「危険物」、「命の安全」、「情報セキュリティ」等、所持物検査の目的やそれらの関連ワードがキーワードとなることが想定される。
【0031】
選択部13は、リクエスト受信部12がリクエストを受信する毎に、記憶部11に記憶されている機械学習モデルで検出可能な複数の検出対象物の中から少なくとも1つを選択する。選択部13は、リクエスト受信部12が受信したリクエストに含まれる上記選択情報やユーザ識別情報を用いて、当該選択を行うことができる。例えば、選択部13は、以下の第1乃至第4の選択例の中の少なくとも1つを実行することができる。
【0032】
-第1の選択例-
当該例では、選択部13は、選択情報で示される検出モデルを使用する環境に基づき、検出対象物を選択する。選択部13は、選択情報で示される環境で検出することが好ましい(検出すべき、検出することが期待される)検出対象物を選択する。
【0033】
予め、使用する環境と、各環境で使用される検出モデルの適切な検出対象物とを対応付けた情報が生成され、モデル提供装置10に登録されている。選択部13は、当該対応付けた情報と、上記選択情報とに基づき、適切な検出対象物を選択することができる。以下、一例を説明する。なお、以下の例はあくまで一例であり、上記構成の実現手段は以下の例に限定されない。
【0034】
例えば、図4に示すように、検出対象物毎に、検出が行われる対象国と、関連するキーワードが紐付けて登録されている。そして、選択部13は、予め保持している変換辞書(不図示)に基づき、選択情報で示される検出モデルを設置する施設の種類(スポーツスタジアム、コンサートホール、会社建物、アミューズメント施設等)や、検出モデルを設置する施設のその時の使用目的(コンサート、スポーツイベント等)等を、所定のキーワード(危険物、情報セキュリティ等)に変換する。
【0035】
そして、選択部13は、上記選択情報で示される検出モデルを設置する国を対象国に含み、かつ、上記変換されたキーワードが紐付けられている検出対象物を選択する。
【0036】
-第2の選択例-
当該例では、選択部13は、ユーザにより指定された検出対象物を選択する。例えば、ユーザが操作する端末(検出装置20、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話等)のディスプレイに、記憶部11に記憶された機械学習モデルで検出可能な複数の検出対象物が選択可能に一覧表示される。そして、ユーザは、その中から、設定処理中の検出装置20で検出すべき検出対象物を指定する操作を行う。選択部13は、当該ユーザの操作内容を取得し、その操作内容に基づき、ユーザにより指定された検出対象物を選択する。
【0037】
-第3の選択例-
当該例では、選択部13は、選択情報で示されるキーワードに基づき、検出対象物を選択する。予め、記憶部11に記憶された機械学習モデルで検出可能な複数の検出対象物毎に、関連するキーワードが紐付けて登録されている(図4参照)。選択部13は、記憶部11に記憶された機械学習モデルで検出可能な複数の検出対象物の中から、選択情報で示されるキーワードを紐付けられた検出対象物を選択する。
【0038】
-第4の選択例-
当該例では、第1の選択例又は第3の選択例と、第2の選択例とを組み合わせる。選択部13は、第1の選択例又は第3の選択例で検出対象物を選択した後、選択結果をユーザに提示する。その後、ユーザは、選択結果を修正する操作を行う。例えば、選択されていない検出対象物を新たに選択したり、選択されている検出対象物を選択から外したりする。そして、その修正内容がモデル提供装置10に送信される。なお、選択結果の提示や修正の操作の受付は、検出装置20、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話等、ユーザが操作する端末を介して実現される。
【0039】
そして、選択部13は、ユーザの修正内容に基づき修正後の選択結果を、最終的な選択結果とする。
【0040】
生成部15は、選択部13により選択された検出対象物を検出し、選択されなかった検出対象物を検出しない検出モデルを、記憶部11に記憶された機械学習モデルに基づき生成する。当該検出モデルは、選択された検出対象物の特徴量(形状の特徴量や反射波特徴量)を参照対象の特徴量として含み、選択されなかった検出対象物の特徴量(形状の特徴量や反射波特徴量)を参照対象の特徴量として含まない。
【0041】
送信部14は、生成部15により生成された検出モデルを検出装置20に送信する。
【0042】
次に、図5のフローチャートを用いて、モデル提供装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0043】
モデル提供装置10は、検出モデルのリクエストを受信すると(S10)、記憶部11に記憶された機械学習モデルで検出可能な複数の検出対象物の中から少なくとも1つを選択する(S11)。例えば、上記第1乃至第4の選択例の中のいずれかを実行して、当該選択を実現する。
【0044】
その後、モデル提供装置10は、選択された検出対象物を検出し、選択されなかった検出対象物を検出しない検出モデルを機械学習モデルに基づき生成する(S12)。当該検出モデルは、選択された検出対象物の特徴量(形状の特徴量や反射波特徴量)を参照対象の特徴量として含み、選択されなかった検出対象物の特徴量(形状の特徴量や反射波特徴量)を参照対象の特徴量として含まない。
【0045】
次いで、モデル提供装置10は、生成された検出モデルを所定の検出装置20に送信する(S13)。
【0046】
「検出装置20の機能構成」
次に、検出装置20の機能構成を説明する。図6に示すように、検出装置20は、検出部21と、電磁波送受信部22と、記憶部24とを有する。モデル提供装置10からダウンロードした検出モデルが記憶部24に記憶され、インストールされることで、検出部21の処理が実現される。
【0047】
電磁波送受信部22は、所定の領域に存在する人物に向けて波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波(例:マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波等)を照射し、反射波を受信する。電磁波送受信部22は、例えばレーダである。電磁波送受信部22はあらゆる技術を採用して構成できる。例えば、電磁波送受信部22は、図7の例のように、複数のアンテナ素子を並べたレーダで構成されるセンサパネルであってもよい。なお、パネルは一例であり、人物が通過するゲートや、人物が入るブース等、その他の手法で電磁波送受信部22を構成してもよい。
【0048】
検出部21は、電磁波送受信部22により受信された反射波の信号に基づき、所定の領域に存在する人物が予め設定された検出対象物を所持しているか判断する。以下、判断処理の一例を説明する。
【0049】
-第1の処理例-
当該例では、検出部21は、電磁波送受信部22により受信された反射波の信号に基づき透過画像を作成する。そして、検出部21は、透過画像に現れた物体の形状に基づき、透過画像の中から検出対象物を検出する。透過画像の中から検出対象物が検出された場合、所定の領域に存在する人物がその検出された検出対象物を所持していると判断する。透過画像の中から検出対象物を検出する処理は、上記検出モデルを実行することで実現される。
【0050】
-第2の処理例-
当該例では、検出部21は、電磁波送受信部22により受信された反射波の信号に現れた特徴量(反射波特徴量)に基づき、所定の領域に存在する人物が予め設定された検出対象物を所持しているか判断する。反射波の信号の中から検出対象物に特有の反射波特徴量が検出された場合、所定の領域に存在する人物がその検出された検出対象物を所持していると判断する。反射波の信号の中から反射波特徴量を検出する処理は、上記検出モデルを実行することで実現される。
【0051】
検出部21は、検出結果を所定の出力装置(ディスプレイ、スピーカ、警告ランプ、投影装置等)を介して出力することができる。出力装置は、例えば各検出装置20の近くに設置されており、検査対象の人物や検査を管理する管理者に向けて所定の情報を提示するようになっていてもよい。また、検出部21は、検出結果の内容(検出対象物が検出されたか否か)に応じて、出力装置の出力態様を異ならせてもよい。出力の仕方は様々であり、本実施形態ではあらゆる手段を採用できる。
【0052】
「作用効果」
本実施形態のモデル提供装置10によれば、複数の検出対象物を検出可能な機械学習モデルに基づき、検出装置20毎に適切な検出対象物を検出する検出モデルを生成し、各検出装置20用に生成した検出モデルを各検出装置20に提供することができる。結果、複数の検出装置20各々が検出する対象物を検出装置20毎に容易に設定できるようになる。
【0053】
また、本実施形態のモデル提供装置10によれば、検出モデルを使用する環境、ユーザによる検出対象物の指定、又はキーワード等に基づき、複数の検出対象物の中から適切な検出対象物を選択することができる。このため、複数の検出対象物の中から検出装置20毎に適切な検出対象物を選択するユーザ作業が行いやすくなる。
【0054】
<第2の実施形態>
本実施形態では、契約で、ユーザ毎に検出可能な検出対象物の範囲が設定されている。例えば、図8に示すように、複数のプランが用意されており、ユーザはいずれかのプランを選択して事業者と契約する。例えば、プランAは拳銃やナイフ等の危険物のみが検出可能な検出対象物の範囲に含まれ、プランBは記憶部11に記憶された機械学習モデルで検出可能な複数の検出対象物の全てがその範囲に含まれるといった具合である。
【0055】
選択部13は、予め登録されたユーザ契約情報(図8参照)に基づき、検出モデルのリクエストに含まれるユーザ識別情報で識別されるユーザの契約内容を特定する。そして、選択部13は、特定した契約内容でカバーされている検出対象物(そのユーザにおいて設定されている検出可能な検出対象物の範囲に含まれる検出対象物)の中から少なくとも1つを選択する。上記契約内容でカバーされている検出対象物の中から少なくとも1つを選択する処理は、第1の実施形態で説明した手法を採用して実現できる。
【0056】
モデル提供装置10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。また、検出装置20の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0057】
本実施形態のモデル提供装置10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態のモデル提供装置10によれば、ユーザ毎に設定可能な検出対象物を自由に設定できる。このようなモデル提供装置10によれば、ユーザ毎に真に必要な検出対象物のみを利用することができるので、各ユーザ向けの検出装置20がオーバースペックになり、費用が大きくなる等の不都合を抑制できる。
【0058】
<第3の実施形態>
本実施形態では、記憶部11に記憶された機械学習モデルが定期的に又は不定期に更新される。更新内容は、検出対象物の追加や、既に登録されている検出対象物の特徴量(形状の特徴量や反射波特徴量)の更新等である。そして、本実施形態のモデル提供装置10は、上述した機械学習モデルの更新に応じて所定の処理を実行する。
【0059】
図9に、本実施形態のモデル提供装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、本実施形態のモデル提供装置10は、更新処理部16を有する点で、第1及び第2の実施形態のモデル提供装置10と異なる。
【0060】
更新処理部16は、記憶部11に記憶された機械学習モデルが更新されると、所定の更新処理を実行する。更新処理部は、以下で説明する第1乃至第3の更新処理の中の少なくとも1つを実行することができる。
【0061】
-第1の更新処理-
当該例では、更新処理部16は、記憶部11に記憶された機械学習モデルが更新されると、その旨をユーザに通知する。そして、更新処理部16は、その通知の後、検出装置20にインストールされた検出モデルを更新する指示入力をユーザから受付けると、それに応じて更新プログラムを検出装置20に送信する。検出装置20は、ダウンロードした更新プログラムを実行し、インストール済みの検出モデルを更新する。なお、更新通知や上記指示入力の受付は、検出装置20、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話等、ユーザが操作する端末を介して実現される。
【0062】
-第2の更新処理-
当該例では、更新処理部16は、記憶部11に記憶された機械学習モデルが更新されると、それに応じて更新プログラムを検出装置20に送信する。検出装置20は、ダウンロードした更新プログラムを実行し、インストール済みの検出モデルを更新する。
【0063】
-第3の更新処理-
当該例では、更新処理部16は、記憶部11に記憶された機械学習モデルが更新されると、それに応じた更新処理が必要な検出装置20を特定する。
【0064】
例えば、既に登録されている検出対象物の特徴量(形状の特徴量や反射波特徴量)が更新された場合、更新処理部16は、特徴量が更新されたその検出対象物をその時点で検出対象として設定している検出装置20(特徴量が更新されたその検出対象物の更新前の特徴量をダウンロード済の検出装置20)を、更新処理が必要な検出装置20として特定する。
【0065】
例えば、図10に示すように、各ユーザの各検出装置20のその時点の設定内容(設定されている検出対象物)を示すユーザ設定情報が、モデル提供装置10で管理されている。更新処理部16は、当該ユーザ設定情報に基づき、特徴量が更新された検出対象物をその時点で検出対象として設定している検出装置20を特定することができる。
【0066】
その他、新たな検出対象物の特徴量(形状の特徴量や反射波特徴量)が登録された場合、更新処理部16は、その新たな検出対象物と検出目的が一致する検出対象物を特定する。検出目的は、例えば、「傷害事件の防止」、「情報漏洩の防止」等である。そして、更新処理部16は、新たな検出対象物と検出目的が一致する検出対象物をその時点で検出対象として設定している検出装置20(新たな検出対象物と検出目的が一致する検出対象物の特徴量をダウンロード済の検出装置20)を、更新処理が必要な検出装置20として特定する。
【0067】
そして、更新処理部16は、特定した更新処理が必要な検出装置20に対して、第1の更新処理又は第2の更新処理を実行する。
【0068】
モデル提供装置10のその他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。また、検出装置20の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0069】
本実施形態のモデル提供装置10によれば、第1及び第2の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態のモデル提供装置10によれば、記憶部11に記憶された機械学習モデルの更新に応じて、複数の検出装置20にインストールされた検出モデルも適宜更新することができる。結果、利便性が向上する。
【0070】
<変形例>
検出装置20は、ユーザ入力に基づき、検出処理の条件を設定できてもよい。検出処理の条件としては、例えば、
・検出対象物A乃至Mの中のいずれかが検出された場合に警告を出力、
・検出対象物A乃至Mの中のいずれかが検出されても、検出対象物N(通行手形等)が検出された場合には警告を出力しない、
等が例示される。
【0071】
このように条件をユーザがカスタマイズできると、検出装置20の利便性が向上する。
【0072】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0073】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶する記憶手段と、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信するリクエスト受信手段と、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する選択手段と、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成する生成手段と、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信する送信手段と、
を有するモデル提供装置。
2. 前記リクエスト受信手段は、
複数の前記検出対象物の中から選択すべき前記検出対象物を示す選択情報を含む前記リクエストを受信し、
前記選択手段は、
前記選択情報に基づき、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する1に記載のモデル提供装置。
3. 前記選択情報は、前記検出モデルを使用する環境を示す2に記載のモデル提供装置。
4. 前記選択情報は、ユーザにより指定された前記検出対象物を示す2に記載のモデル提供装置。
5. 前記選択情報は、キーワードを示す2に記載のモデル提供装置。
6. 前記リクエスト受信手段は、
前記検出モデルを利用するユーザを識別するユーザ識別情報を含む前記リクエストを受信し、
前記選択手段は、
予め登録されたユーザ契約情報に基づき、前記ユーザ識別情報で識別されるユーザの契約内容を特定し、
複数の前記検出対象物の中の前記契約内容でカバーされている前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する1から4のいずれかに記載のモデル提供装置。
7. 前記機械学習モデルが更新されると、その旨をユーザに通知する更新処理手段をさらに有する1から6のいずれかに記載のモデル提供装置。
8. 前記更新処理手段は、
送信済みの前記検出モデルと、前記機械学習モデルの更新内容とに基づき、更新通知が必要なユーザを特定し、特定したユーザに前記機械学習モデルの更新を通知する7に記載のモデル提供装置。
9. コンピュータが、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶し、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信し、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択し、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成し、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信するモデル提供方法。
10. コンピュータを、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の受信信号に基づき複数の検出対象物を検出する機械学習モデルを記憶する記憶手段、
前記受信信号に基づき前記検出対象物を検出する検出モデルのリクエストを受信するリクエスト受信手段、
前記リクエスト毎に、複数の前記検出対象物の中から少なくとも1つを選択する選択手段、
選択された前記検出対象物を検出し、選択されなかった前記検出対象物を検出しない前記検出モデルを前記機械学習モデルに基づき生成する生成手段、及び、
生成された前記検出モデルを検出装置に送信する送信手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0074】
10 モデル提供装置
11 記憶部
12 リクエスト受信部
13 選択部
14 送信部
15 生成部
16 更新処理部
21 検出部
22 電磁波送受信部
24 記憶部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F(インターフェイス)
4A 周辺回路
5A バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10