(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】建設機械用のフロアマット
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
E02F9/16 B
(21)【出願番号】P 2021056259
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】足立 薫
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】松村 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】藤川 幸治
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-046887(JP,A)
【文献】特開2018-162634(JP,A)
【文献】特開2001-294069(JP,A)
【文献】特開2012-127085(JP,A)
【文献】特開昭62-125916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00- 9/16
B60N 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席足元のフロアパネルに敷設された可撓性を有する建設機械用のフロアマットであって、
前記フロアパネルを覆うマット本体部を備え、
該マット本体部における前記運転席の乗降口のある側の反対側に位置するコンソールボックスの前側の領域に対応する箇所には、上方に突出するとともに平面視で枠状に延びて上方に開口する収容凹部を内方に形成する環状突条部が設けられ、
該環状突条部における前記乗降口から遠い側の立壁部分には、当該環状突条部の外側と前記収容凹部との間を連通させる切欠部が形成され
、
前記収容凹部の底面は、前記切欠部に対応する位置に向かうにつれて次第に下方に位置するように傾斜する形状をなしていることを特徴とする建設機械用のフロアマット。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械用のフロアマットにおいて、
前記収容凹部の底面には、凸部が前記切欠部に接近配設されていることを特徴とする建設機械用のフロアマット。
【請求項3】
請求
項2に記載の建設機械用のフロアマットにおいて、
当該フロアマットは、車幅方向の全域に亘って延びる分割ラインより車両前側に位置するフロントマットと、前記分割ラインより車両後側に位置するリアマットとに分割可能に構成され、
前記フロントマットには、操作レバー或いは操作ペダル用の孔部が1つ以上形成されていることを特徴とする建設機械用のフロアマット。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械用のフロアマットにおいて、
前記分割ラインは、前記凸部を通過するように設定され、
前記フロントマットの前記リアマット側縁部には、係合部が設けられる一方、前記リアマットの前記フロントマット側縁部には、前記係合部が係脱可能な被係合部が設けられていることを特徴とする建設機械用のフロアマット。
【請求項5】
請求項4に記載の建設機械用のフロアマットにおいて、
前記係合部は、上方に開放するとともに車幅方向に延びる断面鉤状をなす第1鉤状部を備え、
前記被係合部は、下方に開放するとともに車幅方向に延びる断面鉤状をなし、且つ、前記第1鉤状部に上方から係合可能な第2鉤状部を備えていることを特徴とする建設機械用のフロアマット。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1つに記載の建設機械用のフロアマットにおいて、
前記環状突条部における前記乗降口に近い側の立壁部分は、車両前後方向の全域に亘って延びており、当該立壁部分には車両前後方向に延びる薄肉の切断可能部が設けられていることを特徴とする建設機械用のフロアマット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の運転席足元のフロアパネルに敷設されるフロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建設機械における運転席足元のフロアパネルには、ゴム材等からなる可撓性のフロアマットが敷設されている。例えば、特許文献1に開示されているフロアマットは、フロアパネルを覆うマット本体部を備えている。該マット本体部における運転席右側の領域には、上方に突出するとともに平面視で矩形枠状に延びる環状突条部が設けられ、該環状突条部の内側には、上方の開口部分から工具や交換用の予備部品等の比較的小さな収容体を収容可能な収容凹部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のフロアマットに設けられた環状突条部は、運転席前方の操作ペダルの1つに接近する配置となっていて、乗員による操作ペダルの操作時に環状突条部が邪魔になって操作性が低下してしまうおそれがある。また、例えば、運転室がキャノピで覆われた構成の場合、雨天時において運転席を通過する雨水がフロアマットにおける環状突条部の内側に入り込むと、当該環状突条部に堰止められることによって多くの雨水が収容凹部に溜まってしまう。そうすると、フロアマットにおける水捌けが悪くなってしまい、不衛生な状態が続くことになってしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、建設機械を操作する際に乗員の邪魔にならない位置に収容体を収容することができ、しかも、水捌けのよい建設機械用のフロアマットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、フロアマットに設ける収容凹部をデッドスペースに配置するとともに、収容凹部を形成する環状突条部に切欠部を設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、運転席足元のフロアパネルに敷設された可撓性を有する建設機械用のフロアマットを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記フロアパネルを覆うマット本体部を備え、該マット本体部における前記運転席の乗降口のある側の反対側に位置するコンソールボックスの前側の領域に対応する箇所には、上方に突出するとともに平面視で枠状に延びて上方に開口する収容凹部を内方に形成する環状突条部が設けられ、該環状突条部における前記乗降口から遠い側の立壁部分には、当該環状突条部の外側と前記収容凹部との間を連通させる切欠部が形成され、前記収容凹部の底面は、前記切欠部に対応する位置に向かうにつれて次第に下方に位置するように傾斜する形状をなしていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記収容凹部の底面には、凸部が前記切欠部に接近配設されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、当該フロアマットは、車幅方向の全域に亘って延びる分割ラインより車両前側に位置するフロントマットと、前記分割ラインより車両後側に位置するリアマットとに分割可能に構成され、前記フロントマットには、操作レバー或いは操作ペダル用の孔部が1つ以上形成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、前記分割ラインは、前記凸部を通過するように設定され、前記フロントマットの前記リアマット側縁部には、係合部が設けられる一方、前記リアマットの前記フロントマット側縁部には、前記係合部が係脱可能な被係合部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第4の発明において、前記係合部は、上方に開放するとともに車幅方向に延びる断面鉤状をなす第1鉤状部を備え、前記被係合部は、下方に開放するとともに車幅方向に延びる断面鉤状をなし、且つ、前記第1鉤状部に上方から係合可能な第2鉤状部を備えていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、前記環状突条部における前記乗降口に近い側の立壁部分は、車両前後方向の全域に亘って延びており、当該立壁部分には車両前後方向に延びる薄肉の切断可能部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明では、収容体を収容可能な収容凹部が運転席横のコンソールボックスの前側のデッドスペースに位置するので、乗員による操作ペダルの操作時に環状突条部が邪魔にならない。したがって、フロアマットをフロアパネルに敷設した際において乗員による建設機械の操作性を低下させないようにすることができる。また、もし仮に雨天時において多くの雨水が収容凹部に入り込んだとしても、雨水は、切欠部を介して収容凹部からフロアマットの外側に排水されるようになる。したがって、雨水が収容凹部に長時間溜まる状態がなくなり、水捌けのよいフロアマットにすることができる。また、第1の発明では、収容凹部に溜まる全ての雨水が切欠部に向かって移動して切欠部から排水されるようになるので、フロアマットにおける水捌けの能力をさらに高めることができる。
【0015】
第2の発明では、収容凹部における切欠部に対応する領域の大部分が凸部に占有されるようになるので、収容凹部に収容する収容体が不意に切欠部に向かって移動したとしても、収容体が凸部と切欠部との間の隙間に引っ掛かるようになる。したがって、もし仮に切欠部の幅寸法を大きく設定しても切欠部から収容体が落下しなくなるので、収容凹部の切欠部における排水性を高めながら収容凹部からの収容体の落下を確実に防ぐことができる。
【0016】
第3の発明では、フロアマットを分割することができるので、フロアパネルに対して取付け取外しが簡単な取り扱い易いフロアマットにすることができる。また、フロアマットが車両前側領域と車両後側領域とに分割する構造になっているので、例えば、フロアマットを操作ペダルや操作レバーの数や形が異なる車種に流用する場合、車両前側領域のフロントマットだけその車種に対応する形状に変更するだけでよくなるので、低コストなフロアマットにすることができる。
【0017】
第4の発明では、フロントマットとリアマットとの間の係合構造が上下に厚みのある凸部に位置するようになるので、係合構造が高い剛性を有するようになり、フロアマットにおいて分解と組立とを繰り返しても破損や変形が発生し難いフロアマットにすることができる。
【0018】
第5の発明では、リアマットを持ち上げる動作でフロントマットとの係合が外れる一方、リアマットを下方に敷設する動作でフロントマットに係合するようになる。このように、比較的簡単な動作でフロアマットを組み立てながらフロアパネルに対して敷設することができるようになり、作業者におけるフロアマットの敷設作業の負荷を減らすことができる。
【0019】
第6の発明では、切断可能部に沿ってフロアマットを切断すると、当該フロアマットが収容凹部の領域の無い形状になる。したがって、例えば、運転席横のコンソールボックスの前側の領域に車両用構造物が配置された車種に本発明のフロアマットを形成する型を流用する場合において、当該フロアマットをその車種のフロアパネルに対応する形状に簡単に変更させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るフロアマットが運転席足元のフロアパネルに敷設されたキャノピ型の油圧ショベルの概略斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るフロアマットの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るフロアマットの分解斜視図である。
【
図8】
図5のVIII-VIII線における断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るフロアマットをキャビン型の油圧ショベルにおける運転席足元のフロアパネルに敷設した状態を示す
図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る油圧ショベル1(建設機械)を示す。該油圧ショベル1は、主に掘削作業を行うためのものであり、クローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2の上方に旋回機構を介して取り付けられた上部旋回体3とを備え、当該上部旋回体3は、上下方向に延びる旋回軸心周りに旋回可能になっている。
【0023】
上部旋回体3の幅方向一側には、側面視で略半円状をなす側部機械室3aが配設されている。該側部機械室3aの車両前側には、掘削アタッチメント4が設けられ、該掘削アタッチメント4は、ブーム4a、アーム4b及びバケット4cを基端側から順に備えている。
【0024】
一方、上部旋回体3の幅方向他側には、油圧ショベル1の乗員が着座する運転席6を保護するキャノピ5が設けられている。
【0025】
該キャノピ5は、車幅方向に所定の間隔をあけて設けられ、側面視で逆J字状をなす一対の支柱5aと、該両支柱5aの上端同士を橋絡する平面視で矩形状をなす天井ルーフ5bとを備え、車幅方向左側に位置する支柱5aの開口部分が運転席6に対する乗降口5cになっている。
【0026】
運転席6の車幅方向左側には、
図2に示すように、掘削アタッチメント4を操作する左側操作レバー7aや図示しない各種スイッチが設けられた左側コンソールボックス7が配設され、該左側コンソールボックス7は、左側コンソール支持ボックス7bによって下方から支持されている。
【0027】
一方、運転席6の車幅方向右側における側部機械室3aとの間には、掘削アタッチメント4を操作する右側操作レバー8aや図示しない各種スイッチが設けられた右側コンソールボックス8が配設され、該右側コンソールボックス8は、右側コンソール支持ボックス8bによって下方から支持されている。
【0028】
運転席6の足元におけるフロアパネルF1には、ゴム材で一体成形された可撓性を有するフロアマット9が敷設されている。
【0029】
該フロアマット9は、フロアパネルF1の略全域を覆うマット本体部10を備え、該マット本体部10の裏面には、
図6に示すように、車両前後方向及び車幅方向に格子状に延びる複数のリブ10aが突設されている。
【0030】
フロアマット9は、
図3乃至
図5に示すように、当該フロアマット9の車両前後方向における中途部において車幅方向の全域に亘って延びる分割ラインL1より車両前側に位置するフロントマット11と、分割ラインL1より車両後側に位置するリアマット12とに分割可能に構成されている。
【0031】
フロントマット11には、図示しない操作ペダルを通過させる略T字状をなす第1孔部11aと、車両の走行操作を行う図示しない操作レバーを通過させる矩形状をなす第2孔部11bとが貫通形成されている。
【0032】
フロントマット11のリアマット12側縁部には、
図4及び
図7に示すように、係合部13が設けられる一方、リアマット12のフロントマット11側縁部には、係合部13が係脱可能な被係合部14が設けられている。
【0033】
係合部13は、上方に開放するとともに車幅方向に延びる断面鉤状をなす第1鉤状部13aを備えている。
【0034】
一方、被係合部14は、下方に開放するとともに車幅方向に延びる断面鉤状をなす第2鉤状部14aを備え、該第2鉤状部14aは、第1鉤状部13aに上方から係合可能になっている。
【0035】
マット本体部10の車幅方向左側で、且つ、車両後端側の領域には、
図2に示すように、車幅方向に幅広な平面視で略ハット形状をなす立壁部15が上方に向かって突設され、該立壁部15は、フロアマット9をフロアパネルF1に敷設した際、左側コンソール支持ボックス7bの下端とフロアパネルF1との間の隙間を覆うようになっている。
【0036】
一方、マット本体部10における右側コンソールボックス8の前側領域に対応する箇所には、平面視において略長方形枠状に延びる環状突条部16が上方に向かって突設され、該環状突条部16の内方には、上方に開口する底の浅い収容凹部16aが形成されている。
【0037】
環状突条部16は、
図5に示すように、フロアマット9の車幅方向右側縁部に沿って車両前後方向の全域に亘って延びる右側壁部16bと、該右側壁部16bの車幅方向左側に所定の間隔をあけて設けられ、フロアマット9の車両前後方向の全域に亘って延びる左側壁部16cと、右側壁部16b及び左側壁部16cの車両前側縁部同士を繋ぐ前側壁部16dと、右側壁部16b及び左側壁部16cの車両後側縁部同士を繋ぐ後側壁部16eとを備えていて、右側壁部16bにおける車両前後方向の略中央部分には、環状突条部16の外側と収容凹部16aとの間を連通させる切欠部16fが形成されている。
【0038】
すなわち、切欠部16fは、環状突条部16における乗降口5cから遠い側の立壁部分に設けられている。
【0039】
収容凹部16aの底面16gは、
図6に示すように、切欠部16fに対応する位置に向かうにつれて次第に下方に位置するように傾斜する形状をなしている。すなわち、底面16gは、側面視で略V字形状をなしている。
【0040】
また、収容凹部16aの底面16gにおける切欠部16fに対応する位置には、車幅方向に延びるブロック形状をなす凸部17が分割ラインL1上に設けられていて、該凸部17は、切欠部16fに接近する配置になっている。
【0041】
すなわち、凸部17は、
図5に示すように、切欠部16fとの間に収容凹部16aに収容した小さな収容体(例えば、ボルトやナット、工具類)が通過できない程度の隙間S1を形成する位置に設けられている。
【0042】
環状突条部16における左側壁部16c、すなわち、環状突条部16における乗降口5cに近い側の立壁部分には、
図8に示すように、フロアマット9における車両前後方向の略全域に亘って延びる薄肉の切断可能部16hが設けられている。
【0043】
フロアマット9は、切断可能部16hにおいて切断すると、収容凹部16aの領域の無い形状になり、例えば、
図9に示すような、右側コンソールボックス8の前側の領域において側部機械室3aからエアコンユニット3bが張り出しているような車種にフロアマット9を形成する型を流用する場合において、当該フロアマット9をその車種のフロアパネルF1に対応する形状に簡単に変更させることができる。
【0044】
以上より、本発明の実施形態によると、収容体を収容可能な収容凹部16aが運転席6横の右側コンソールボックス8の前側のデッドスペースに位置するので、乗員による操作ペダルの操作時に環状突条部16が邪魔にならない。したがって、フロアマット9をフロアパネルF1に敷設した際において乗員による油圧ショベル1の操作性を低下させないようにすることができる。また、もし仮に雨天時において多くの雨水が収容凹部16aに入り込んだとしても、雨水は、切欠部16fを介して収容凹部16aからフロアマット9の外側に排水されるようになる。したがって、雨水が収容凹部16aに長時間溜まる状態がなくなり、水捌けのよいフロアマット9にすることができる。
【0045】
また、収容凹部16aにおける切欠部16fに対応する領域の大部分が凸部17に占有されるようになるので、収容凹部16aに収容する収容体が不意に切欠部16fに向かって移動したとしても、収容体が凸部17と切欠部16fとの間の隙間S1に引っ掛かるようになる。したがって、もし仮に切欠部16fの幅寸法を大きく設定しても切欠部16fから収容体が落下しなくなるので、収容凹部16aの切欠部16fにおける排水性を高めながら収容凹部16aからの収容体の落下を確実に防ぐことができる。
【0046】
また、分割ラインL1を境にしてフロアマット9を分割することができるので、フロアパネルF1に対して取付け取外しが簡単な取り扱い易いフロアマット9にすることができる。また、フロアマット9が車両前側領域と車両後側領域とに分割する構造になっているので、例えば、フロアマット9を操作ペダルや操作レバーの数や形が異なる車種に流用する場合、車両前側領域のフロントマット11だけその車種に対応する形状に変更するだけでよくなるので、低コストなフロアマット9にすることができる。
【0047】
また、分割ラインL1が凸部17を通過するように設定されているので、フロントマット11とリアマット12との間の係合構造が上下に厚みのある凸部17に位置するようになる。したがって、フロントマット11とリアマット12との間の係合構造が高い剛性を有するようになり、フロアマット9において分解と組立とを繰り返しても破損や変形が発生し難いフロアマット9にすることができる。
【0048】
また、フロントマット11及びリアマット12の係合構造は、リアマット12側に下方に開放する鉤状部分が設けられる一方、フロントマット11側に上方に開放する鉤状部分が設けられているので、リアマット12を持ち上げる動作でフロントマット11との係合が外れる一方、リアマット12を下方に敷設する動作でフロントマット11に係合するようになる。このように、比較的簡単な動作でフロアマット9を組み立てながらフロアパネルF1に対して敷設することができるようになり、作業者におけるフロアマット9の敷設作業の負荷を減らすことができる。
【0049】
また、収容凹部16aの底面16gが切欠部16fに向かうにつれて次第に下方に位置するよう傾斜しているので、収容凹部16aに溜まる全ての雨水が切欠部16fに向かって移動して切欠部16fから排水されるようになり、フロアマット9における水捌けの能力をさらに高めることができる。
【0050】
尚、本発明の実施形態では、環状突条部16がマット本体部10における右側コンソールボックス8の前側の領域に対応する箇所に設けられているが、例えば、乗降口が車両右側に設けられた建設機械の場合、環状突条部16は、マット本体部10における車両左側に位置するコンソールボックスの前側の領域に対応する箇所に設けられる。つまり、環状突条部16は、運転席6の乗降口のある側の反対側に位置するコンソールボックスの前側の領域に対応する箇所に設けられている。
【0051】
また、本発明の実施形態では、フロアマット9をゴム材で一体成形して得られているが、これに限らず、樹脂材で一体成形して得るようにしてもよい。
【0052】
また、本発明の実施形態では、フロントマット11とリアマット12との間の係合構造が互いに鉤形状をなす第1鉤状部13aと第2鉤状部14aとで構成されているが、フロントマット11とリアマット12とが係脱可能であるならば、その他の係合構造であってもよい。
【0053】
また、本発明の実施形態では、環状突条部16がフロアマット9の車幅方向右側における車両前後方向の全域に亘る領域に設けられているが、これに限らず、車両前後方向の一部の領域に設けるような構造であってもよい。
【0054】
尚、本発明の実施形態のフロアマット9は、油圧ショベル1の運転席6における足元のフロアパネルF1に敷設されているが、その他の建設機械にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、建設機械の運転席足元のフロアパネルに敷設されるフロアマットに適している。
【符号の説明】
【0056】
1 油圧ショベル(建設機械)
6 運転席
8 右側コンソールボックス
9 フロアマット
10 マット本体部
11 フロントマット
11a 第1孔部
11b 第2孔部
12 リアマット
13 係合部
13a 第1鉤状部
14 被係合部
14a 第2鉤状部
16 環状突条部
16a 収容凹部
16b 右側壁部
16c 左側壁部
16f 切欠部
16g 収容凹部の底面
16h 切断可能部
17 凸部
F1 フロアパネル
L1 分割ライン