(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車両窓ガラス用ガラス合紙
(51)【国際特許分類】
D21H 27/00 20060101AFI20240827BHJP
B65D 85/48 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
D21H27/00 Z
B65D85/48
(21)【出願番号】P 2021105724
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 浩一
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-055192(JP,A)
【文献】特開2017-226479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 27/00
B65D 85/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バージンパルプを主成分とし、
JIS P 8112に準拠した比破裂強さが2.0kPa・m
2/g以上であり、
坪量が10~100g/m
2である車両窓ガラス用ガラス合紙。
【請求項2】
前記バージンパルプが針葉樹クラフトパルプを含有することを特徴とする請求項1に記載の車両窓ガラス用ガラス合紙。
【請求項3】
樹脂分の含有量が0.4質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両窓ガラス用ガラス合紙。
【請求項4】
前記バージンパルプのJIS P 8121による叩解度が200~700mlcsfであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両窓ガラス用ガラス合紙。
【請求項5】
JIS P 8133-2に準拠して測定した熱水抽出pHが5.0~7.0であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の車両窓ガラス用ガラス合紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両窓ガラス用ガラス合紙に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の窓ガラスの製造工程では、切り出した窓ガラスの周辺部に黒色セラッミクスが塗布される。その後、自動車のデザイン通りに曲げ加工される。窓ガラスを車両に取り付ける工程では、車両のボディ側にプライマーを塗布乾燥した後に接着剤を塗布する。
【0003】
車両窓ガラスの搬送時には、窓ガラス表面の傷付き防止のために、ガラス合紙が使用される。車両窓ガラス用ガラス合紙としては、従来から古紙(再生紙)が使用されてきた。しかし、車両窓ガラスは、工場に搬送されてきた後に、洗浄されることなく、取り付け工程に投入されるため、窓ガラスの黒色セラッミクス部に、ガラス合紙に含まれる異物や汚染物質が付着し、あるいは紙粉が多く付着する場合がある。黒色セラミックス部に異物や紙粉が付着していると、黒色セラッミクス部にピンホールなどの接着不良が生じ、雨水の浸入などを引き起こす虞がある。
【0004】
古紙に含まれる異物や汚染物質は、粘着テープ、糊付きラベル、接着剤等を由来とする粘着異物、紙塗工用のSBラテックスなどのバインダー類、紙力剤、歩留り向上剤などの合成樹脂、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウムなどの抄紙薬品が大部分を占める。
【0005】
古紙から転写される異物や汚染物質を減少させるための技術は、既に種々開示されている。例えば、特許文献1には、古紙や再生紙を素材とするガラス合紙の製造方法であって、紫外線照射処理を施すことにより、ガラス基板に押し付けた時に転写される合紙表面の有機系汚れを低減させたガラス合紙が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
古紙は、使用後に繰返し回収し、製造される紙であるため、パルプ繊維の切断が進んで、繊維長が短くなると共に、微細繊維が多くなり、紙粉が発生しやすいという問題を有していた。また、古紙は、繰返し回収、製造されるため、パルプ繊維長が短くなるだけでなく、角質化(結晶化)が進行し、強度(破裂強さ)が低下するという問題を有していた。
【0008】
そのため、特許文献1に記載の方法では、紙粉による汚染防止や紙の強度において必ずしも十分なものではなかった。また、紫外線照射処理をガラス合紙の全面に施すために多大なエネルギーを要し、実用的に課題を有するものであった。
【0009】
近年、車両窓ガラスにおいて、意匠性が重視され、大きく湾曲したガラス板が求められるようになってきた。そのため、ガラス板とガラス板に挟まれたガラス合紙には大きなストレスが掛かるようになり、ガラス合紙が破れることが問題となっていた。
【0010】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、古紙に由来する異物や汚染物質による汚染を低減し、紙粉の発生を抑えることができ、湾曲したガラス板にも適用可能な強度に優れた車両窓ガラス用ガラス合紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解消するために分析・検討を進めた結果、古紙由来の異物や汚染物質による汚染、紙粉、強度不足が不具合の主たる原因であることを確認した。そこで、本発明者は、強度に優れたバージンパルプを使用して、比破裂強さを一定のレベル以上にすることによって、上記課題を解消し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下のような構成を有するものである。
【0012】
(1)バージンパルプを主成分とし、JIS P 8112に準拠した比破裂強さが2.0kPa・m2/g以上であり、坪量が10~100g/m2である車両窓ガラス用ガラス合紙。
【0013】
(2)前記バージンパルプが針葉樹クラフトパルプを含有することを特徴とする前記(1)に記載の車両窓ガラス用ガラス合紙。
【0014】
(3)樹脂分の含有量が0.4質量%以下であることを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載の車両窓ガラス用ガラス合紙。
【0015】
(4)前記バージンパルプのJIS P 8121による叩解度が200~700mlcsfであることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の車両窓ガラス用ガラス合紙。
【0016】
(5)JIS P 8133-2に準拠して測定した熱水抽出pHが5.0~7.0であることを特徴とする前記(1)~(4)のいずれか1項に記載の車両窓ガラス用ガラス合紙。
【発明の効果】
【0017】
本発明の車両窓ガラス用ガラス合紙によれば、古紙に由来する異物や汚染物質による汚染を低減し、紙粉の発生を抑えることができ、湾曲したガラス板にも適用可能な強度を有している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体的に説明する。以下に示す実施形態は一例であり、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
【0019】
(パルプ)
車両窓ガラス用ガラス合紙(以下、単に「ガラス合紙」と記載することがある。)は、バージンパルプを主成分とする。ここで、バージンパルプとは、古紙などを再生したものではなく、木材を原料にして製造した新しいセルロースパルプである。主成分とするとは、ガラス合紙の質量に対して、バージンパルプの含有量が50質量%を超えることを意味する。バージンパルプは、ガラス合紙の質量に対して、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。バージンパルプを主成分とすることによって、古紙に由来する異物や汚染物質による汚染を低減し、古紙に由来する紙粉の発生を抑えることができる。
【0020】
バージンパルプとしては、化学的なプロセスを経て製造された化学パルプが好ましい。化学パルプには、例えば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の種類がある。これらの化学パルプの中では、木材由来の天然樹脂(ピッチ)等の樹脂分の含有量が少ないことから、クラフトパルプ(KP)が好ましい。さらに、晒クラフトパルプ(BKP)は、未晒クラフトパルプ(UKP)よりも樹脂分の含有量が少ないため、より好ましい。
【0021】
クラフトパルプの樹種としては、針葉樹クラフトパルプ(NKP)が広葉樹クラフトパルプ(LKP)よりも強度に優れているため、針葉樹クラフトパルプ(NKP)を含有していることが好ましい。(針葉樹クラフトパルプ:広葉樹クラフトパルプの質量比)は、10%:90%~100%:0%であることが好ましい。針葉樹クラフトパルプの質量比は、20%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、70%以上が特に好ましい。
【0022】
化学パルプ以外のパルプとしては、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ;砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)等の機械パルプが挙げられる。また、木材を原料としない化学パルプとしては、例えば、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材繊維パルプが挙げられる。ガラス合紙は、化学パルプ以外のパルプを1種類または2種類以上混合したものであってもよい。
【0023】
化学パルプの叩解度は、200~700mlcsfであることが好ましい。ここで、叩解度とは、JIS P 8121によるカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness)のことである。化学パルプの叩解度を200~700mlcsfの範囲とすることによって、ガラス合紙として必要な機械的強度と加工性を有したものとすることができる。化学パルプの叩解度が200mlcsf未満の場合は、ガラス合紙の密度が高くなって、クッション性が低くなる傾向にあるため、ガラス表面に傷が付きやすくなるおそれがある。一方、化学パルプの叩解度が700mlcsfより高い場合は、紙力が弱くなるため、製造工程や流通過程において破断するおそれがある。化学パルプの叩解度は300~600mlcsfであることがより好ましい。パルプを叩解する方法については、公知の方法を使用することができる。
【0024】
ガラス合紙の抄紙時に用いる抄紙用薬品については、ガラス表面を汚染しない範囲内で、公知の各種薬品を使用することができる。抄紙用薬品としては、例えば、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、填料、染料等が挙げられる。これらの抄紙用薬品はいずれもガラスを汚染する恐れを有するものであるので、添加する場合であっても、ガラス合紙に対して合計で0.1質量%以下とすることが好ましく、0質量%とすることが更に好ましい。
【0025】
(pH)
ガラス合紙の抄紙時には、濾水剤、定着剤として、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムなどの酸性薬品が使用されることがある。抄紙時のpHが低くなると、系内の夾雑物の電荷がカチオンサイドにシフトして、夾雑物が紙に留まりやすくなる。また、硫酸アルミニウム等を使用する場合は、凝集剤として作用してコロイダルピッチ(樹脂分)が凝集したり、抄紙薬品を紙に留めることになり、汚染物質となる可能性がある。そのため、JIS P 8133-2に準拠して測定したガラス合紙の熱水抽出pHが5.0~7.0になるように酸性薬品の添加量を調整することが好ましい。ガラス合紙の熱水抽出pHは6.0~7.0になるように調整することがより好ましい。酸性薬品の添加量としては0質量%とすることが好ましい。
【0026】
(樹脂分)
ガラス表面の汚染の程度から、ガラス合紙中の樹脂分の含有量は、0.4質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。
ガラス合紙中の樹脂分の含有量を0.4質量%以下とするためには、晒クラフトパルプ(BKP)の使用が好ましい。また、さらに低減させるためには、樹脂分の少ない樹種から得られる晒クラフトパルプ(BKP)の使用が好ましい。樹脂分の少ない樹種としては、例えば、オセアニア地方のユーカリ、南米地方のユーカリ、スプルース、アスペン等が挙げられる。尚、樹脂分の含有量は、JIS P 8224に準拠して、アセトン可溶分として求められるため、前記の抄紙用薬品の一部が樹脂分中に含まれることがある。
【0027】
(ガラス合紙)
ガラス合紙の坪量は、小さい方が運搬時の質量が少なくなるため好ましいが、小さ過ぎると、ガラスに対して十分な緩衝機能を付与することができない。一方、ガラス合紙の坪量は、ある程度大きい方が緩衝機能の点で好ましいが、大き過ぎると運搬時の質量が大きくなり好ましくない。緩衝機能と質量とのバランスや用途を考慮すると、ガラス合紙の坪量は10~100g/m2とする。ガラス合紙のより好ましい坪量は30~80g/m2である。ガラス合紙の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定することができる。
【0028】
ガラス合紙の厚さは、緩衝性、作業性の観点から、25~250μmであることが好ましい。また、ガラス合紙の密度は、0.4~1.2g/cm3であることが好ましい。ガラス合紙の厚さおよび密度は、JIS P 8118に準拠して測定することができる。
【0029】
車両窓ガラスにおいて、意匠性が重視され、種々の形状に大きく湾曲したガラス板が求められるようになってきた。そのため、ガラス板とガラス板に挟まれるガラス合紙には大きなストレスが掛かるようになっている。このときのストレスとは、湾曲したガラス板がガラス合紙の面を押し付けることによる押圧力である。この押圧力に対するガラス合紙の強度を定量化するために、本発明者は、ガラス合紙の強度の測定方法について検討を進めた。その結果、本発明者は、比破裂強さが、最も実態に即しており、実用的であることを見出した。
【0030】
ガラス合紙の破裂強さは、JIS P 8112に準拠して、試験片に流体加圧装置を用いて弾性を有するゴム隔膜によって圧力を加えたときの最大圧力として測定される。ガラス合紙の比破裂強さは、こうして求められた破裂強さをJIS P 8124に準拠して測定された坪量で除すことによって求められる。
【0031】
次に、本発明者は、湾曲した車両窓ガラスの搬送時におけるガラス合紙の破れの発生の程度とガラス合紙の比破裂強さとの関係を検討した。その結果、搬送時におけるガラス合紙の破れの防止のためには、ガラス合紙の比破裂強さを2.0kPa・m2/g以上とすることが必要であることを見出した。また、ガラス合紙の比破裂強さは、3.0kPa・m2/g以上が好ましく、3.5kPa・m2/g以上がより好ましい。
【0032】
ガラス合紙の比破裂強さを上記のように2.0kPa・m2/g以上とするためには、パルプの種類、パルプの叩解度、坪量、密度、抄紙方法、紙力増強剤の種類と添加量等を適切に組み合わせることによって制御することができる。
【0033】
(ガラス合紙の製造方法)
ガラス合紙の製造方法には特に制限はなく、種々の公知の抄紙機を用いて、適切な抄造条件を選択することによって、抄造することができる。抄紙機としては、具体的に、長網フォーマ、ツインワイヤーフォーマ、円網フォーマ、傾斜フォーマなどを挙げることができる。ガラス合紙の層構成は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0034】
本実施形態のガラス合紙は、黒色セラッミクスが塗布される車両窓ガラス、湾曲性のある車両窓ガラス等の搬送時に好適に使用することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、配合を示す数値は、固形分または有効成分の質量基準の数値(質量%)である。また、特に記載のない場合については、抄造した紙はJIS P 8111に準じて処理を行なった後、測定および評価試験に供した。
【0036】
<樹脂分含有量>
JIS P 8224に準拠して、アセトン可溶分として求めた。
【0037】
<坪量>
JIS P 8124に準拠して、坪量(g/m2)を求めた。
【0038】
<破裂強さ、比破裂強さ>
JIS P 8112に準拠して、破裂強さ(kPa)を求めた。次に、坪量と破裂強さから比破裂強さ(kPa・m2/g)を求めた。
【0039】
<ガラス板汚染性>
(ガラス板表面の汚染試験)
250mm×250mmのソーダガラス板に、260mm×260mmガラス合紙を当て、その上に250mm×250mmのステンレス板を置き、さらに2質量kgの錘を乗せ、温度50℃、湿度90%RHの環境下で、4日間静置し、試験後のガラス板を得た。
【0040】
(ガラス板汚染性の評価)
上記試験後のガラス板にスポットライトを当てて、ガラス板表面の汚れを目視で評価した。ガラス板汚染性を以下の基準で評価した。
◎:僅かに曇り(汚れ)あり
○:多少の曇り(汚れ)あり
×:強い曇り(汚れ)あり
【0041】
(ガラス板の転移紙粉の評価)
上記試験後のガラス板に暗室でガラス板にほぼ水平になる角度でスポットライトを当てて、ガラス板表面の紙粉量を目視で評価した。ガラス板汚染性を以下の基準で評価した。
○:紙粉量が少ない
×:紙粉量が多い
【0042】
[実施例1]
原料パルプとして、市販の針葉樹未晒バージンクラフトパルプA(樹種:スプルース、叩解度:490mlcsf、NUKP)のパルプスラリーを使用し、長網抄紙機を用いて抄紙した。抄紙後、乾燥させて、坪量40g/m2のガラス合紙を得た。
【0043】
[実施例2]
原料パルプとして、市販の針葉樹未晒バージンクラフトパルプAに代えて、市販の針葉樹晒バージンクラフトパルプB(樹種:スプルース、叩解度:450mlcsf、NBKP)のパルプスラリーを使用した以外は、実施例1と同様にして、ガラス合紙を得た。
【0044】
[実施例3]
原料パルプとして、市販の針葉樹未晒バージンクラフトパルプAに代えて、市販の針葉樹晒バージンクラフトパルプB(樹種:スプルース、NBKP)60%、市販の広葉樹晒バージンクラフトパルプC(樹種:ユーカリ、LBKP)40%を混合し、叩解度430mlcsfとした以外は、実施例1と同様にして、ガラス合紙を得た。
【0045】
[実施例4]
原料パルプとして、市販の針葉樹未晒バージンクラフトパルプAに代えて、市販の針葉樹晒バージンクラフトパルプB(樹種:スプルース、NBKP)を25%、市販の広葉樹晒バージンクラフトパルプC(樹種:ユーカリ、LBKP)を75%とし、叩解度350mlcsfとした以外は、実施例1と同様にして、ガラス合紙を得た。
【0046】
[実施例5]
原料パルプとして、市販の針葉樹未晒バージンクラフトパルプAに代えて、市販の広葉樹晒バージンクラフトパルプC(樹種:ユーカリ、叩解度:330mlcsf、LBKP)のパルプスラリーを使用した以外は、実施例1と同様にして、ガラス合紙を得た。
【0047】
[実施例6]
原料パルプとして、市販の針葉樹未晒バージンクラフトパルプAに代えて、市販の針葉樹晒バージンクラフトパルプB(樹種:スプルース、NBKP)を25%、市販の広葉樹晒バージンクラフトパルプC(樹種:ユーカリ、LBKP)を75%とし、叩解度350mlcsfとし、さらにパルプスラリーに、パルプ質量に対し絶乾でポリアクリルアミド系紙力増強剤(DS4356、星光PMC社製)0.05%を添加した以外は、実施例1と同様にして、ガラス合紙を得た。
【0048】
[比較例1]
原料パルプとして、市販の針葉樹未晒バージンクラフトパルプAに代えて新聞古紙パルプ(叩解度350mlcsf)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラス合紙を得た。
【0049】
得られたガラス合紙について、樹脂分含有量、坪量、破裂強さ、比破裂強さ、ガラス板汚染性、ガラス板転移紙粉を評価した。
【0050】
【0051】
表1に、実施例1~6および比較例1の評価結果を示した。実施例1~6のガラス合紙は、比破裂強さ、ガラス板汚染性、ガラス板転移紙粉において優れていた。一方、比較例1のガラス合紙は比破裂強さ、ガラス板汚染性、ガラス板転移紙粉において劣っていた。