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  • 特許-シートベルトリトラクタの取付構造 図1
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  • 特許-シートベルトリトラクタの取付構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】シートベルトリトラクタの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
B62D25/04 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021108537
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006118
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100192511
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-173171(JP,A)
【文献】国際公開第2013/077200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトリトラクタを車両の車体骨格に取り付けるためのシートベルトリトラクタの取付構造であって、
前記車体骨格に設けられ、3以上のコーナー部を含む開口部と、
前記開口部を跨いで設けられる取付部材と、を備え、
前記取付部材は、
前記開口部の縁よりも小さい輪郭の平板部を有すると共に、前記開口部の内部の空間に位置するように前記シートベルトリトラクタを支持する支持部と、
前記平板部から前記開口部の縁と交差するように延在して前記車体骨格に固定される複数の延在部を有し、
互いに前記開口部を挟んで位置する前記延在部のうち少なくとも一方は、前記コーナー部を覆っている、シートベルトリトラクタの取付構造。
【請求項2】
前記延在部が前記車体骨格に固定されている固定位置には、前記シートベルトリトラクタのベルト繰出し方向に位置する第1固定位置と、前記ベルト繰出し方向とは反対方向に位置する第2固定位置と、が含まれ、
前記第1固定位置と前記第2固定位置との個数の合計は、3以上の奇数であり、
前記第1固定位置の数は、前記第2固定位置の数よりも多い、
請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付構造。
【請求項3】
前記開口部は、四角形状に開口しており、
前記延在部は、前記開口部の2つの対角線のそれぞれに沿って延在しており、全ての前記コーナー部を覆っている、
請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付構造。
【請求項4】
前記シートベルトリトラクタの取付構造は、前記車両の後席のシートベルトのシートベルトリトラクタを前記車両のピラー部のインナパネルに取り付けるためのシートベルトリトラクタの取付構造であり、
前記車体骨格は、前記車両の後席のシートベルトのシートベルトリトラクタが取り付けられる前記ピラー部のインナパネルであり、
前記ピラー部の前記インナパネルの下端部は、タイヤハウスを構成する下部パネルと接続されている、
請求項1~3の何れか一項に記載のシートベルトリトラクタの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルトリトラクタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシートベルトリトラクタの取付構造として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のシートベルトリトラクタの取付構造は、リヤドア開口部に沿って上下に延びるフロントリンフォース及びリヤリンフォースと、フロントリンフォースとリヤリンフォースとの間に架設されたリトラクタリンフォースと、を備えている。リトラクタリンフォースの略中央には、シートベルトリトラクタを配置するための開口部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-52627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように、一般的に、車両の室内空間を効率的に活用する観点から、車両の車体骨格に設けられた開口部の内部の空間にシートベルトリトラクタが配置されることがある。しかしながら、このような開口部を車体骨格に設けることで、車体骨格の全体としての剛性に影響が及ぶ可能性がある。
【0005】
本発明は、シートベルトリトラクタ配置用の車体骨格の開口部に起因する車体骨格の剛性への影響を抑制することが可能となるシートベルトリトラクタの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートベルトリトラクタを車両の車体骨格に取り付けるためのシートベルトリトラクタの取付構造であって、車体骨格に設けられ、3以上のコーナー部を含む開口部と、開口部を跨いで設けられる取付部材と、を備え、取付部材は、開口部の内部の空間に位置するようにシートベルトリトラクタを支持する支持部と、支持部から延在して車体骨格に固定される複数の延在部を有し、互いに開口部を挟んで位置する延在部のうち少なくとも一方は、コーナー部を覆っている。
【0007】
本発明の一態様に係るシートベルトリトラクタの取付構造では、シートベルトリトラクタは、車体骨格に設けられた開口部の内部の空間に位置するように、車体骨格に固定された取付部材によって支持されている。この取付部材は、開口部を跨いで設けられており、互いに開口部を挟んで位置する延在部のうち少なくとも一方が、コーナー部を覆うように車体骨格に固定されている。このような構成によれば、車体骨格に生じる荷重は、開口部の一方側から他方側に取付部材を介して伝達される。延在部に覆われているコーナー部では、取付部材を介して伝達された荷重がコーナー部によって受け止められる。これにより、例えば全ての延在部が開口部の辺の途中で車体骨格に固定されている構成と比べて、車体骨格に生じる荷重によって開口部の周囲に生じる変形の抑制を図ることができる。したがって、本発明の一態様に係るシートベルトリトラクタの取付構造によれば、シートベルトリトラクタ配置用の車体骨格の開口部に起因する車体骨格の剛性への影響を抑制することが可能となる。
【0008】
一実施形態において、延在部が車体骨格に固定されている固定位置には、シートベルトリトラクタのベルト繰出し方向に位置する第1固定位置と、ベルト繰出し方向とは反対方向に位置する第2固定位置と、が含まれ、第1固定位置と第2固定位置との個数の合計は、3以上の奇数であり、第1固定位置の数は、第2固定位置の数よりも多くてもよい。この構成によれば、第2固定位置よりも多くの第1固定位置にて延在部が車体骨格に固定されているため、例えばシートベルトリトラクタにベルト繰出し方向の強い引張り力が作用した場合に、第1固定位置を介して当該引張り力を好適に分散させて車体骨格に伝達することができる。
【0009】
一実施形態において、開口部は、四角形状に開口しており、延在部は、開口部の2つの対角線のそれぞれに沿って延在しており、全てのコーナー部を覆っていてもよい。この構成によれば、複数の延在部が全体として筋交い状に構成されるため、車体骨格に生じる荷重によって開口部の周囲に変形が生じることを、より効率的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートベルトリトラクタ配置用の車体骨格の開口部に起因する車体骨格の剛性への影響を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のシートベルトリトラクタの取付構造を備えた車両の模式的な側面図である。
図2図1のシートベルトリトラクタの取付構造の拡大図である。
図3図2のIII-III線に沿っての断面図である。
図4】シートベルトリトラクタの取付構造の変形例を示す図である。
図5】シートベルトリトラクタの取付構造の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、実施形態のシートベルトリトラクタの取付構造を備えた車両の模式的な側面図である。図1には、側面視にてその一部が仮想的に切り欠かれた車両1の車体2の後部が示されている。仮想的に切り欠かれた部分では、車室側から車体骨格の一部が見える状態となっている。図1の説明において、「上側」とは車両上下方向の上側を意味し、「下側」とは車両上下方向の下側を意味する。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態のシートベルトリトラクタの取付構造100は、一例として、車両1の後席のシートベルトのシートベルトリトラクタ3をピラー部10のインナパネル(車体骨格)11に取り付けるための構造である。シートベルトリトラクタ3は、シートベルトを巻き取る装置である。シートベルトリトラクタ3は、例えば、シートベルトが巻き取られる筒状のスプールと、スプールを収容するフレームとを含む(図示省略)。シートベルトは、スプールを巻取方向へ回転させることで巻き取られる。図1の後席の場合、シートベルトは、車載状態で車両上方、例えば斜め後方側に引き出し可能とされている。
【0015】
ピラー部10は、車両上下方向に沿って延在する柱状の車両骨格である。ここでのピラー部10は、例えばCピラー又はDピラーに対応する。ピラー部10は、車両外側に配置されるアウタパネル12と、車両内側(車室内側)に配置されるインナパネル11とが、一部が閉断面となるように接合されて構成されている。インナパネル11は、例えば、車両上下方向に沿って後方に傾斜して延在している。
【0016】
インナパネル11の下端部は、タイヤハウスを構成する下部パネル13と接続されている。インナパネル11と下部パネル13とは、例えばスポット溶接により接続されている。インナパネル11は、車両後方側において荷室空間のための開口の一部を画成していてもよい。
【0017】
インナパネル11の上端部は、車両のルーフサイドレールから車両前後方向に延在する上部パネル14と接続されている。上部パネル14側のインナパネル11は、車両前方側においてリヤクウォータウインドウ15のための開口の一部を画成している。インナパネル11と上部パネル14とは、例えばスポット溶接により接続されている。
【0018】
インナパネル11には、シートベルトリトラクタ3の配置用の開口部16が形成されている。本実施形態の開口部16は、一例として、四角形状に開口している。開口部16の内部には、シートベルトリトラクタ3が配置される(後述)。
【0019】
ここで、ピラー部10では、例えば、後輪4からサスペンション(図示省略)を介して入力される荷重が下部パネル13を介してインナパネル11の下端部に伝達される。下部パネル13から入力された荷重がインナパネル11の上端部を介して上部パネル14に伝達される。インナパネル11の剛性は、車体2の全体としての車体骨格の剛性に影響を与えうる。インナパネル11の剛性に関する「荷重」としては、後輪4から入力される荷重に限定されず、車体骨格に入力される種々の荷重も含まれる。そのため、シートベルトリトラクタ3の配置用の開口部16に起因して、インナパネル11の剛性の低下を抑制することが望まれる。
【0020】
図2は、図1のシートベルトリトラクタの取付構造の拡大図である。図3は、図2のIII-III線に沿っての断面図である。図1図3に示されるように、シートベルトリトラクタの取付構造100では、取付部材20が開口部16を跨いで設けられている。取付部材20は、シートベルトリトラクタ3を車両1の車体骨格に取り付けるための部材である。
【0021】
開口部16は、3以上のコーナー部を含んでいる。具体的には、開口部16は、4つのコーナー部16a~16dを含んでいる。コーナー部16a~16dは、開口部16の縁16eの一辺の両端部に相当する部分である。図2の例では、コーナー部16a~16dは、開口部16の開口形状である四角形の頂点付近の部分に対応する。
【0022】
本実施形態の取付部材20は、平面視で略X字状を呈している。取付部材20は、インナパネル11に生じる荷重を開口部16の一方側から他方側に伝達可能な強度及び剛性を有している。また、取付部材20は、例えばシートベルトに乗員の拘束荷重がかかった場合など、シートベルトリトラクタ3にベルト繰出し方向BPに作用する引張り力に耐えうる強度及び剛性を有している。
【0023】
取付部材20は、開口部16の内部の空間16fに位置するようにシートベルトリトラクタ3を支持する支持部21を有している。図2に示されるように、支持部21は、取付部材20の平面視でシートベルトリトラクタ3の外形形状よりも一回り大きな矩形板状の平板部22を含んでいる。平板部22の輪郭の直線部分は、例えば、開口部16の縁16eの各辺に沿って各辺よりも短い長さで延在している。
【0024】
図2及び図3に示されるように、支持部21は、平板部22の中央部に設けられてシートベルトリトラクタ3を収容する箱部23を含んでいる。箱部23は、平板部22の中央部がシートベルトリトラクタ3の外形に沿った形状で平板部22の裏側に膨出するような有底箱状を呈している。平板部22の裏側とは、取付部材20をインナパネル11に取り付けた状態において車室とは反対側を意味する。箱部23の深さは、車両1の室内空間を効率的に活用する観点から設定することができ、シートベルトリトラクタ3が開口部16の内部の空間16fに位置していればよい。箱部23の深さは、例えば、平板部22の厚さ方向に沿うシートベルトリトラクタ3の寸法の半分以上であってもよい。箱部23の底部には、シートベルトリトラクタ3を締結固定するためのボルト24を挿通させる貫通孔が設けられている。
【0025】
取付部材20は、支持部21から延在してインナパネル11に固定される複数の延在部25a~25dを有している。本実施形態の延在部25a~25dは、矩形状の支持部21の四隅21a~21dのそれぞれから放射状に延在するように設けられている。延在部25a~25dは、矩形状の支持部21(平板部22)の2つの対角線の延長線上に延在する短冊状を呈している。本実施形態では、開口部16が四角形状に開口しているのに対応して、延在部25a~25dは、開口部16の2つの対角線X1,X2のそれぞれに沿って延在している。複数の延在部25a~25dは、例えば、開口部16の周囲のインナパネル11にボルト26により締結固定されている。
【0026】
延在部25a,25cは、互いに開口部16を挟んで位置しており、コーナー部16a,16cを覆っている。延在部25b,25dは、互いに開口部16を挟んで位置しており、コーナー部16b,16dを覆っている。複数の延在部25a~25dは、全てのコーナー部16a~16dを覆っている。すなわち、互いに開口部16を挟んで位置する延在部のうち少なくとも一方は、コーナー部を覆っている。コーナー部を覆うとは、一例として、延在部がインナパネル11に直接的に当接された状態で取り付けられている状態を含む。
【0027】
[作用効果]
以上のように構成されたシートベルトリトラクタの取付構造100では、シートベルトリトラクタ3は、インナパネル11に設けられた開口部16の内部の空間16fに位置するように、インナパネル11に固定された取付部材20によって支持されている。この取付部材20は、開口部16を跨いで設けられている。互いに開口部16を挟んで位置する延在部25a,25cが、コーナー部16a,16cを覆うようにインナパネル11に固定されている。互いに開口部16を挟んで位置する延在部25b,25dが、コーナー部16b,16dを覆うようにインナパネル11に固定されている。
【0028】
ここで仮に、全ての延在部が開口部16の縁16eの辺の途中でインナパネル11に固定されている構成を考えると、インナパネル11に生じる荷重が延在部を介して開口部16の辺の途中に加わることで、開口部16の周囲に変形が生じることがある。この点、シートベルトリトラクタの取付構造100の構成によれば、インナパネル11に生じる荷重は、開口部16の一方側から他方側に取付部材20を介して伝達される。延在部25a~25dに覆われているコーナー部16a~16dでは、取付部材20を介して伝達された荷重がコーナー部16a~16dのそれぞれによって受け止められる。これらの構成を比較すると、延在部が開口部16の辺の途中に荷重を加える構成よりも、延在部25a~25dがコーナー部16a~16dに荷重を加える構成の方が、延在部を介して加わる荷重に対する変形剛性が高くなりやすい。
【0029】
すなわち、例えば全ての延在部が開口部16の縁16eの辺の途中でインナパネル11に固定されている構成と比べて、インナパネル11に生じる荷重によって開口部16の周囲に生じる変形の抑制を図ることができる。したがって、シートベルトリトラクタの取付構造100によれば、シートベルトリトラクタ3の配置用のインナパネル11の開口部16に起因する車体骨格の剛性への影響を抑制することが可能となる。
【0030】
シートベルトリトラクタの取付構造100では、開口部16は、四角形状に開口しており、延在部25a~25dは、開口部16の2つの対角線X1,X2のそれぞれに沿って延在しており、全てのコーナー部16a~16dを覆っている。この構成によれば、複数の延在部25a~25dが全体として筋交い状に構成されるため、インナパネル11に生じる荷重によって開口部16の周囲に変形が生じることを、より効率的に抑制することができる。
【0031】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0032】
上記実施形態では、取付部材20は、平面視で略X字状を呈していたが、これに限定されない。例えば、平面視で略Y字状を呈していてもよい。図4は、シートベルトリトラクタの取付構造の変形例を示す図である。図4には、取付部材の変形例が示されている。図4の取付部材20Aは、図2の取付部材20と比較して、延在部25c,25dに代えて延在部25eが設けられている点で異なっている。
【0033】
この場合、延在部25eは、延在部25a,25bと開口部16を挟んで位置しているが、コーナー部16c,16dを覆っていない。すなわち、互いに開口部16を挟んで位置する延在部25a,25eのうち少なくとも一方である延在部25aは、コーナー部16aを覆っている。互いに開口部16を挟んで位置する延在部25b,25eのうち少なくとも一方である延在部25bは、コーナー部16bを覆っている。
【0034】
この構成においても、延在部25a,25bはコーナー部16a,16bを覆っているため、例えば全ての延在部が開口部16の縁16eの辺の途中でインナパネル11に固定されている構成と比べて、インナパネル11に生じる荷重によって開口部16の周囲に生じる変形の抑制を図ることができる。
【0035】
なお、取付部材は、開口部を跨いで設けられていればよく、平面視で略X字状及び略Y字状のほか、任意の形状を呈していてもよい。例えば、延在部が支持部と一体的に構成されるような取付部材の平面視の形状として、平面視で矩形、円形、多角形などを呈するものであってもよい。
【0036】
また、図4の構成において、延在部25a,25b,25eがインナパネル11に固定されている固定位置には、シートベルトリトラクタ3のベルト繰出し方向BPに位置する第1固定位置FP1と、ベルト繰出し方向BPとは反対方向に位置する第2固定位置FP2と、が含まれているものと捉えることができる。図4の構成の場合、第1固定位置FP1の数は、2個であり、第2固定位置FP2の数は、1個である。すなわち、第1固定位置FP1と第2固定位置FP2との個数の合計は3であって、3以上の奇数であり、第1固定位置FP1の数は、第2固定位置FP2の数よりも多い。この構成によれば、第2固定位置FP2よりも多くの第1固定位置FP1にて延在部25a,25bがインナパネル11に固定されているため、例えばシートベルトリトラクタ3にベルト繰出し方向BPの強い引張り力が作用した場合に、第1固定位置FP1を介して当該引張り力を好適に分散させてインナパネル11に伝達することができる。
【0037】
上記実施形態では、開口部16は、四角形状に開口していたが、これに限定されない。例えば、開口部は、三角形又は五角形以上の多角形状に開口していてもよい。この場合、コーナー部は、開口部の縁の一辺の両端部に相当する車体骨格の部分であり、開口部の開口形状である多角形の頂点付近の車体骨格の部分に対応する。なお、開口部が三角形状に開口している場合、取付部材は、三角形の1つの頂点(コーナー部)と、当該頂点に対向する辺とを結ぶように開口部を跨いで設けることができる。
【0038】
また、開口部16は、四角形状などの開口の縁16eが曲線として閉じている例を示したが、これに限定されない。例えば、開口部は、開口の縁が一部開いた曲線で構成される切欠きであってもよい。図5は、シートベルトリトラクタの取付構造の他の変形例を示す図である。図5には、開口部の変形例が示されている。開口部16Bは、開口部16と異なり、開口の縁が一部開いた曲線で構成される切欠きである。開口部16Bは、4つのコーナー部16Ba~16Bdを有している。ここでのコーナー部16Ba~16Bdは、開口部16Bの縁の一辺の両端部に相当する部分である。この構成においても、取付部材20は、開口部16Bを跨いで設けられており、互いに開口部16Bを挟んで位置する延在部25a~25dのそれぞれが、コーナー部16Ba~16Bdを覆うように構成されている。これにより、上述の作用効果を奏することが可能である。
【0039】
上記実施形態のシートベルトリトラクタの取付構造100は、車両1の後席のシートベルトに適用されていたが、その他の席のシートベルトに適用されてもよい。すなわち、車体骨格としては、ピラー部10のインナパネル11に限定されない。例えば、シートベルトリトラクタの取付構造100によってシートベルトリトラクタ3が取り付けられる車体骨格としては、ピラー部10及びBピラー部のインナパネルなどのパネル部材、インナパネルなどのパネル部材の開口に架け渡されたリインフォースメント部材などを挙げることができる。
【0040】
上記実施形態のシートベルトリトラクタの取付構造100では、延在部25a~25dとインナパネル11との取付け手法は、ボルトによる締結固定とされていたが、これに限定されない。例えば、リベット等の締結固定でもよいし、蝶番などの可動式の継ぎ手で取り付けられていてもよい。また、コーナー部を覆うとは、例えば、スペーサ部材等を挟んで延在部がインナパネル11に間接的に固定されている状態を含んでもよい。要は、コーナー部を覆うとは、延在部がコーナー部に荷重を伝達可能に取り付けられていればよい。
【0041】
上記実施形態の箱部23では、底部に挿通されたボルト24でシートベルトリトラクタ3が締結固定されていたが、例えば、リベット等の締結固定でもよい。また、支持部21では、平板部22の中央部に設けられた箱部23にシートベルトリトラクタ3が収容されていたが、この構成に限定されない。例えば、シートベルトリトラクタ3のフレーム自体が取付部材の支持部を構成し、フレームに延在部が直接設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…車両、3…シートベルトリトラクタ、11…インナパネル(車体骨格)、16,16B…開口部、16a~16d,16Ba~16Bd…コーナー部、16f…空間、20,20A…取付部材、21…支持部、25a~25d,25e…延在部、100…取付構造、BP…ベルト繰出し方向、FP1…第1固定位置、FP2…第2固定位置、X1,X2…対角線。
図1
図2
図3
図4
図5