(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ステアリングハンドルの継電構造
(51)【国際特許分類】
B62D 1/14 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
B62D1/14
(21)【出願番号】P 2021129149
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】森田 文平
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118684(JP,A)
【文献】特開平08-203648(JP,A)
【文献】特開2019-123391(JP,A)
【文献】特開2005-161922(JP,A)
【文献】特開2005-246987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0176868(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸線を中心として回動するステアリングシャフトに一体回動可能に取付けられるボス部と、前記ボス部から互いに反対方向へ延びる第2軸線を中心として回動し得るように前記ボス部に支持された一対のスポーク部と、各スポーク部に固定された把持部とを備えるステアリングハンドルに適用され、両把持部の少なくとも一方に設けられた把持部側電子機器と、前記ボス部に配置されたボス部側ハーネスとを電気的に接続するステアリングハンドルの継電構造であって、
内筒部を有するインナカバーと、
前記内筒部の周りに形成され、かつ同内筒部との間に環状収容部を形成する外筒部を有するアウタカバーと、
主要部が前記環状収容部に配置されたケーブルを有する継電用ハーネスと
を備え、前記インナカバー及び前記アウタカバーの一方は回動カバーとして、前記把持部側電子機器の設けられた前記把持部が固定された前記スポーク部に固定され、他方は固定カバーとして前記ボス部に直接又は間接に固定され、
前記ケーブルは、前記把持部側電子機器に接続される第1端部と、前記ボス部側ハーネスに接続される第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間に位置するとともに、自身の内径が前記内筒部の外径よりも大きく、かつ自身の外径が前記外筒部の内径よりも小さくなるように、前記内筒部の周りに1回以上巻付けられて前記主要部を構成する本体部とを備え、前記第1端部は前記回動カバーに固定され、前記第2端部は前記固定カバーに固定さ
れ、
前記インナカバー、前記アウタカバー及び前記継電用ハーネスの前記本体部は、前記把持部の内部に配置されているステアリングハンドルの継電構造。
【請求項2】
前記回動カバーは前記インナカバーにより構成され、前記固定カバーは前記アウタカバーにより構成され、
前記インナカバーの前記内筒部は、前記スポーク部に対し、同スポーク部を取り囲んだ状態で固定されている請求項
1に記載のステアリングハンドルの継電構造。
【請求項3】
前記インナカバーは、前記第2軸線に沿う方向における前記内筒部の両端部のうち、前記ボス部から遠い側の端部に形成された第1側壁部をさらに備え、
前記アウタカバーは、前記第2軸線に沿う方向における前記外筒部の両端部のうち、前記ボス部に近い側の端部に形成された第2側壁部をさらに備え、
前記第2軸線に沿う方向における前記環状収容部の両端部は、前記第1側壁部及び前記第2側壁部により閉塞され、
前記ケーブルの前記第1端部は、前記第1側壁部に挿通された状態で前記インナカバーに固定され、前記第2端部は前記第2側壁部に挿通された状態で前記アウタカバーに固定されている請求項
2に記載のステアリングハンドルの継電構造。
【請求項4】
前記継電用ハーネスは、前記把持部側電子機器に接続される第1コネクタと、前記ボス部側ハーネスに接続される第2コネクタとをさらに備え、
前記第1コネクタは、前記第1側壁部よりも前記ボス部から遠い箇所に配置され、前記第2コネクタは、前記第2側壁部よりも前記ボス部に近い箇所に配置され、
前記第1端部が前記第1コネクタに接続され、前記第2端部が前記第2コネクタに接続されている請求項
3に記載のステアリングハンドルの継電構造。
【請求項5】
第1軸線を中心として回動するステアリングシャフトに一体回動可能に取付けられるボス部と、前記ボス部から互いに反対方向へ延びる第2軸線を中心として回動し得るように前記ボス部に支持された一対のスポーク部と、各スポーク部に固定された把持部とを備えるステアリングハンドルに適用され、両把持部の少なくとも一方に設けられた把持部側電子機器と、前記ボス部に配置されたボス部側ハーネスとを電気的に接続するステアリングハンドルの継電構造であって、
内筒部を有するインナカバーと、
前記内筒部の周りに形成され、かつ同内筒部との間に環状収容部を形成する外筒部を有するアウタカバーと、
主要部が前記環状収容部に配置されたケーブルを有する継電用ハーネスと
を備え、前記インナカバー及び前記アウタカバーの一方は回動カバーとして、前記把持部側電子機器の設けられた前記把持部が固定された前記スポーク部に固定され、他方は固定カバーとして前記ボス部に直接又は間接に固定され、
前記ケーブルは、前記把持部側電子機器に接続される第1端部と、前記ボス部側ハーネスに接続される第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間に位置するとともに、自身の内径が前記内筒部の外径よりも大きく、かつ自身の外径が前記外筒部の内径よりも小さくなるように、前記内筒部の周りに1回以上巻付けられて前記主要部を構成する本体部とを備え、前記第1端部は前記回動カバーに固定され、前記第2端部は前記固定カバーに固定され、
前記ボス部には、同ボス部及び前記固定カバーの間に配置されたステアリングスイッチが固定され、
前記固定カバーは、前記ステアリングスイッチの外殻部分を構成するケースに固定され、
前記ケースの内部には、前記ボス部側ハーネスの一部が配置されてい
るステアリングハンドルの継電構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の乗物を操舵する際に運転者によって操作されるステアリングハンドルの継電構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の乗物には、操舵装置の一部として、第1軸線を中心として回動するステアリングシャフトが設けられている。このステアリングシャフトには、乗物の運転者が把持して操作するステアリングハンドルが取付けられる。
【0003】
特許文献1には、車両の直進時の位置から、第1軸線の周りに大きく、例えば90°以上同一方向へ回動された場合であっても、運転者の手首に負荷がかかりにくいステアリングハンドルが記載されている。
【0004】
このステアリングハンドルは、ボス部、一対のスポーク部、及びスポーク部毎の把持部を備えている。ボス部は、ステアリングシャフトに一体回動可能に取付けられている。両スポーク部は、ボス部から互いに反対方向へ延びる第2軸線を中心として回動し得るようにボス部に支持されている。把持部は、各スポーク部に固定されている。
【0005】
上記ステアリングハンドルでは、両把持部を、それぞれ第2軸線の周りで回動させることが可能である。そのため、運転者は、両把持部を第2軸線の周りで回動させながら、第1軸線の周りで回動させることで、手首を自然な角度に維持しつつ操舵を行なうことができ、手首に負荷がかかりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記ステアリングハンドルでは、把持部にタッチセンサ、ヒータ等の電子機器(把持部側電子機器)が設けられる場合がある。この場合、把持部側電子機器と、ボス部に配置されたボス部側ハーネスとが継電用ハーネスによって電気的に接続される。
【0008】
しかし、上記特許文献1には、継電構造についての記載がなされていない。
一方、上記ステアリングハンドルでは、スポーク部及び把持部は、第2軸線の周りを回動する。この際、把持部側電子機器も把持部と一緒に第2軸線の周りを回動する。これに対し、ボス部及びボス部側ハーネスは、第2軸線の周りを回動しない。従って、継電用ハーネスに対しては、これを変形させようとする力が把持部側から加わる。そのため、継電用ハーネスの耐久性を高める継電構造が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するステアリングハンドルの継電構造は、第1軸線を中心として回動するステアリングシャフトに一体回動可能に取付けられるボス部と、前記ボス部から互いに反対方向へ延びる第2軸線を中心として回動し得るように前記ボス部に支持された一対のスポーク部と、各スポーク部に固定された把持部とを備えるステアリングハンドルに適用され、両把持部の少なくとも一方に設けられた把持部側電子機器と、前記ボス部に配置されたボス部側ハーネスとを電気的に接続するステアリングハンドルの継電構造であって、内筒部を有するインナカバーと、前記内筒部の周りに形成され、かつ同内筒部との間に環状収容部を形成する外筒部を有するアウタカバーと、主要部が前記環状収容部に配置されたケーブルを有する継電用ハーネスとを備え、前記インナカバー及び前記アウタカバーの一方は回動カバーとして、前記把持部側電子機器の設けられた前記把持部が固定された前記スポーク部に固定され、他方は固定カバーとして前記ボス部に直接又は間接に固定され、前記ケーブルは、前記把持部側電子機器に接続される第1端部と、前記ボス部側ハーネスに接続される第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間に位置するとともに、自身の内径が前記内筒部の外径よりも大きく、かつ自身の外径が前記外筒部の内径よりも小さくなるように、前記内筒部の周りに1回以上巻付けられて前記主要部を構成する本体部とを備え、前記第1端部は前記回動カバーに固定され、前記第2端部は前記固定カバーに固定されている。
【0010】
上記の構成によれば、運転者により両把持部に対し、第1軸線の周りで回動させようとする力が加えられると、その力は、両スポーク部及びボス部を介してステアリングシャフトに伝達される。この伝達により、両把持部、両スポーク部、ボス部及びステアリングシャフトが第1軸線の周りを回動する。操舵装置が作動し、乗物の操舵が行なわれ、乗物の進行方向が変更される。上記第1軸線を中心とする各把持部の回動は、それぞれ第2軸線を中心とする各把持部の回動を伴いながら行なわれる。
【0011】
把持部の上記回動に伴い、同把持部に設けられた把持部側電子機器も第2軸線の周りを回動する。一方、ボス部及びボス部側ハーネスは第2軸線の周りを回動しない。
継電構造では、ボス部に対し直接又は間接に固定された固定カバーは、第2軸線の周りを回動しない。これに対し、スポーク部に固定された回動カバーは、同スポーク部と一緒に第2軸線の周りを回動する。
【0012】
継電用ハーネスのケーブルは、第1端部において回動カバーに固定され、第2端部において固定カバーに固定されている。ケーブルのうち、第1端部及び第2端部の間に位置する本体部に対しては、回動カバーの上記回動に伴い、同本体部を変形させようとする力が加わる。
【0013】
この点、上記の構成によれば、上記本体部が、内筒部に1回以上巻付けられた状態で環状収容部に配置されている。そのため、上記力が加わった本体部は、内筒部の周方向のうち締まる方向へ変形(縮径)する、又は緩む方向へ変形(拡径)する。このように径を変える本体部に対しては、第2軸線に沿う方向へ引っ張る力、及び縮める力が加わりにくい。しかも、本体部の内径は内筒部の外径よりも大きく、また、本体部の外径は外筒部の内径よりも小さい。このことから、本体部は、内筒部及び外筒部に接触しにくい。従って、本体部に応力が集中しにくく、継電用ハーネスの耐久性が向上する。
【0014】
上記ステアリングハンドルの継電構造において、前記インナカバー、前記アウタカバー及び前記継電用ハーネスの前記本体部は、前記把持部の内部に配置されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、把持部の内部が、継電構造におけるインナカバー、アウタカバー及び継電用ハーネスの本体部を配置するスペースとして利用される。そのため、第2軸線に沿う方向におけるステアリングハンドルの小型化を図ることが可能である。
【0016】
上記ステアリングハンドルの継電構造において、前記回動カバーは前記インナカバーにより構成され、前記固定カバーは前記アウタカバーにより構成され、前記インナカバーの前記内筒部は、前記スポーク部に対し、同スポーク部を取り囲んだ状態で固定されていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、ボス部に対し直接又は間接に固定されたアウタカバーは、固定カバーとして機能し、第2軸線の周りを回動しない。これに対し、内筒部においてスポーク部に対し、同スポーク部を取り囲んだ状態で固定されたインナカバーは、回動カバーとして機能し、スポーク部と一緒に第2軸線の周りを回動する。
【0018】
継電用ハーネスのケーブルは、第1端部においてインナカバーに固定され、第2端部においてアウタカバーに固定されている。ケーブルのうち、第1端部及び第2端部の間に位置する本体部に対しては、インナカバーの上記回動に伴い、同本体部を変形させようとする力が加わる。
【0019】
しかし、上記力が加わった本体部は、縮径又は拡径する。しかも、本体部は、内筒部及び外筒部に接触しにくい。従って、上述したように本体部に応力が集中しにくく、継電用ハーネスの耐久性が向上する。
【0020】
上記ステアリングハンドルの継電構造において、前記インナカバーは、前記第2軸線に沿う方向における前記内筒部の両端部のうち、前記ボス部から遠い側の端部に形成された第1側壁部をさらに備え、前記アウタカバーは、前記第2軸線に沿う方向における前記外筒部の両端部のうち、前記ボス部に近い側の端部に形成された第2側壁部をさらに備え、前記第2軸線に沿う方向における前記環状収容部の両端部は、前記第1側壁部及び前記第2側壁部により閉塞され、前記ケーブルの前記第1端部は、前記第1側壁部に挿通された状態で前記インナカバーに固定され、前記第2端部は前記第2側壁部に挿通された状態で前記アウタカバーに固定されていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、ケーブルの第1端部が、第1側壁部に挿通された状態でインナカバーに固定される。また、ケーブルの第2端部が、第2側壁部に挿通された状態でアウタカバーに固定される。すると、第1端部及び第2端部の間の本体部は、第1側壁部及び第2側壁部の間に架け渡された状態となる。環状収容部に配置された本体部を、内筒部及び外筒部から離間し、かつ同内筒部に巻付けられた状態に保持することが可能となる。
【0022】
上記ステアリングハンドルの継電構造において、前記継電用ハーネスは、前記把持部側電子機器に接続される第1コネクタと、前記ボス部側ハーネスに接続される第2コネクタとをさらに備え、前記第1コネクタは、前記第1側壁部よりも前記ボス部から遠い箇所に配置され、前記第2コネクタは、前記第2側壁部よりも前記ボス部に近い箇所に配置され、前記第1端部が前記第1コネクタに接続され、前記第2端部が前記第2コネクタに接続されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、インナカバーの第1側壁部よりもボス部から遠い箇所に配置された第1コネクタに対しては、ケーブルのうち、同第1側壁部に挿通された第1端部が接続される。アウタカバーの第2側壁部よりもボス部に近い箇所に配置された第2コネクタに対しては、ケーブルのうち、同第2側壁部に挿通された第2端部が接続される。
【0024】
そのため、第1コネクタが把持部側電子機器に接続され、かつ第2コネクタがボス部側ハーネスに接続されると、ボス部側ハーネスと把持部側電子機器とが、第2コネクタ、ケーブル及び第1コネクタを介して電気的に接続される。
【0025】
上記ステアリングハンドルの継電構造において、前記ボス部には、同ボス部及び前記固定カバーの間に配置されたステアリングスイッチが固定され、前記固定カバーは、前記ステアリングスイッチの外殻部分を構成するケースに固定され、前記ケースの内部には、前記ボス部側ハーネスの一部が配置されていることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、固定カバーはステアリングスイッチのケースに固定されることにより、ボス部に間接に固定される。
また、上記ケースの内部空間が、ボス部側ハーネスの一部を配置するスペースとして利用される。そのため、ボス部側ハーネスの全体がケースの外部に配置される場合に比べ、ステアリングハンドルの小型化を図ることが可能である。
【発明の効果】
【0027】
上記ステアリングハンドルの継電構造によれば、継電用ハーネスの耐久性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施形態において、継電構造が適用されたステアリングハンドルの概略構成図である。
【
図2】
図1における一方の継電構造の内部、及び同継電構造の周辺部分を示す概略構成図である。
【
図3】
図2の第2軸線に直交する面における継電構造の断面図である。
【
図4】
図2における継電構造をボス部側から見た概略斜視図である。
【
図5】
図2における継電構造を把持部側から見た概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、車両の操舵装置に用いられるステアリングハンドルの継電構造に具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致するものとする。
【0030】
図1に示すように、車室内の運転席の前方には操舵装置10が設けられている。操舵装置10は、紙面に直交する方向へ延びる第1軸線L1を有するステアリングシャフト11と、本実施形態のステアリングハンドル12とを備えている。ステアリングシャフト11は、第1軸線L1を中心として正逆両方向、すなわち、
図1の時計回り方向、及び反時計回り方向へ回転可能である。なお、以降、正逆両方向へ回転することを「回動」というものとする。
【0031】
図1及び
図2では、ステアリングハンドル12の骨格部分のみが図示されている。ステアリングハンドル12は、ボス部15、ステアリングスイッチ23、一対のスポーク部17、スポーク部17毎の把持部19、及び継電構造30(
図2参照)を備えている。
【0032】
ボス部15は、ステアリングシャフト11の後端部に取付けられた部材であり、同ステアリングシャフト11と一体となって第1軸線L1の周りで回動する。ボス部15の形状は、
図1及び
図2では円形に図示されているが、これに限られない。ボス部15には、ボス部側ハーネス21の一部が配置されている。ボス部15には、ステアリングハンドル12等に設けられた各種電子機器の作動を制御する制御装置(図示略)が搭載されている。各種電子機器には、センサ、アクチュエータ等が含まれる。この制御装置には、ボス部側ハーネス21の一部を構成するケーブル22が接続されている。本実施形態では、ボス部側ハーネス21が一対設けられており、各ボス部側ハーネス21におけるケーブル22が制御装置に接続されている。
【0033】
ステアリングスイッチ23は、車両に搭載された各種電子機器、例えば、ウインカー、ワイパー等を作動、停止等させる際に、運転者により操作されるスイッチである。ステアリングハンドル12は、ステアリングスイッチ23を1つのみ備えていてもよいし、複数備えていてもよい。
図1は、ステアリングスイッチ23が2つ用いられた例を示している。
【0034】
各ステアリングスイッチ23の外殻部分はケース24によって構成されている。各ステアリングスイッチ23は、ケース24においてボス部15に固定されている。スポーク部17は、ケース24に対し回動可能に挿通されてもよいし、挿通されなくてもよい。ステアリングスイッチ23毎のケース24の内部には、それぞれ上記ボス部側ハーネス21の一部を構成するバスバー25及びコネクタ26が配置されている。各バスバー25は、コネクタ26を介して上記ケーブル22に接続されている。
【0035】
両スポーク部17は、ボス部15から互いに反対方向へ延びる第2軸線L2を有している。両第2軸線L2は、車両の直進時に、ボス部15から互いに左右方向における反対方向へ延びた状態となる。第2軸線L2の上記状態には、第1軸線L1に対し直交する面に沿って延びる状態が含まれるほか、第1軸線L1に対し直交に近い状態で交差する面に沿って延びる状態も含まれる。例えば、第1軸線L1から径方向外方へ遠ざかるに従い運転者に近づくように、第1軸線L1に対し直交に近い状態で交差する面に沿って延びる状態も、第2軸線L2の上記状態に含まれる。
【0036】
一対のスポーク部17は、第2軸線L2を中心として回動し得るように、第1軸線L1に近い端部において、ボス部15に支持されている。
一対の把持部19は、運転者によって把持される箇所である。各把持部19は、第2軸線L2に沿う方向における各スポーク部17の両端部のうち、第1軸線L1(ボス部15)から遠い端部に固定されている。各把持部19は、スポーク部17と一体で、第2軸線L2の周りを回動可能である。
【0037】
一対のスポーク部17、及び一対の把持部19は、第1軸線L1を挟んで互いに面対称の関係を有する形状をなしている。
ここで、車両の直進時における各把持部19の第2軸線L2の周りにおける位置を「中立位置」とする。また、各把持部19のうち、第2軸線L2よりも上方部分が、運転者に近づく側へ回動する方向を「手前方向」とし、上記上方部分が運転者から遠ざかる側へ回動する方向を「奥方向」とする。
【0038】
両把持部19の少なくとも一方には、タッチセンサ、グリップヒータ等からなる把持部側電子機器27が設けられている。本実施形態では、いずれの把持部19にも把持部側電子機器27が設けられている。
【0039】
ボス部15と各スポーク部17との間には、次の機能を有する回動制御機構(図示略)が設けられている。
・把持部19の中立位置から手前方向への最大回転角度θ1を規定する。
【0040】
・把持部19の中立位置から奥方向への最大回転角度θ2を規定する。
・最大回転角度θ1,θ2の合計値は180°程度である。
・車両の直進時に把持部19を中立位置に復帰させる。
【0041】
図1及び
図2に示すように、ステアリングハンドル12には、把持部側電子機器27と、対応する上記ボス部側ハーネス21のバスバー25とを電気的に接続する継電構造30が設けられている。把持部19毎に把持部側電子機器27が設けられ、ボス部側ハーネス21が一対設けられた本実施形態では、継電構造30が一対設けられている。両継電構造30は、第1軸線L1を挟んで互いに面対称の関係を有する構成を有している。そのため、ここでは、一方(右方)の継電構造30について説明し、他方(左方)の継電構造30については、図示及び説明を省略する。
【0042】
図2に示すように、継電構造30は、回動カバーとしてのインナカバー31、固定カバーとしてのアウタカバー41及び継電用ハーネス51を備えている。インナカバー31、アウタカバー41及び継電用ハーネス51の後述する本体部55は、把持部19の内部に配置されている。次に、継電構造30を構成する各部材について説明する。なお、
図2では、継電構造30の構成部材をできるだけ多く表示するために、アウタカバー41のみを断面で図示している。しかも、
図2では、アウタカバー41のうち、スポーク部17よりも上側の部分と下側の部分とを、異なる面における断面で図示している。
【0043】
<インナカバー31>
図2~
図4に示すように、インナカバー31は、上記ステアリングスイッチ23よりもボス部15から遠い箇所に配置されている。インナカバー31は、内筒部32及び第1側壁部34を備え、全体が絶縁性を有する材料、例えば樹脂材料によって形成されている。内筒部32は、上記第2軸線L2に沿う方向に延びる円筒状をなし、スポーク部17を取り囲んでいる。第1側壁部34は、第2軸線L2に沿う方向における内筒部32の両端部のうち、ボス部15から遠い側の端部の周りにおいて円環状に形成されている。第1側壁部34は、第2軸線L2に沿う方向に貫通する挿通孔部35を有している(
図2、
図3参照)。
【0044】
第1側壁部34における挿通孔部35の周りには、ボス部15に向けて突出するケーブル支持部36が形成されている。ケーブル支持部36は、円管状の部材を第2軸線L2に沿って2つに分割、すなわち半割したような形状をなしており、内筒部32に向けて開放されている。ケーブル支持部36は、後述するケーブル52の直径よりも大きな内径を有している。また、第2軸線L2に沿う方向におけるケーブル支持部36の長さは、ケーブル52の第1端部53を受け止めることのできる最小限の長さに設定されている。
【0045】
インナカバー31は、内筒部32においてスポーク部17に固定されており、同スポーク部17と一体となって回動する。
<アウタカバー41>
図2、
図3及び
図6に示すように、アウタカバー41は、上記ステアリングスイッチ23よりもボス部15から遠い箇所に配置されている。アウタカバー41は、外筒部42、第2側壁部44(
図2参照)及び環状突部48を備え、全体が絶縁性を有する材料、例えば樹脂材料によって形成されている。外筒部42は、第2軸線L2に沿う方向に延び、スポーク部17及び内筒部32と同軸上に配置されている。外筒部42は、上述した第1側壁部34よりも僅かに大径状をなしている。外筒部42は、内筒部32との間に円環状の環状収容部47を形成している。
【0046】
第2側壁部44は、第2軸線L2に沿う方向における外筒部42の両端部のうち、ボス部15に近い側の端部に形成されている。第2側壁部44は、それぞれ第2軸線L2に沿う方向に貫通する孔部45及び挿通孔部46(いずれも
図2参照)を有している。孔部45は、第2側壁部44の中心部を含む領域に形成されている。孔部45は、スポーク部17よりも僅かに大径状をなしている。そして、スポーク部17が孔部45に回動可能に挿通されている。挿通孔部46は、第2側壁部44において孔部45から径方向外方へ離れた箇所に形成されている。
【0047】
環状突部48は、外筒部42の上記両端部のうち、ボス部15から遠い側の端部の内周面43であって、同端部の端面49からボス部15側へ僅かに離れた箇所において、同内周面43の全周にわたって形成されている。環状突部48は、上記第1側壁部34の外径よりも小さな内径を有している。外筒部42の上記ボス部15から遠い側の端部であって、環状突部48と端面49との間の領域は、円環状の嵌合部50を構成している。そして、第1側壁部34が外筒部42の上記嵌合部50に嵌合されている。
【0048】
第2軸線L2に沿う方向における環状収容部47の両端部は、第1側壁部34及び第2側壁部44によって閉塞されている。
上記インナカバー31を取り囲んだアウタカバー41は、上記ステアリングスイッチ23のケース24に固定されている。表現を変えると、アウタカバー41は、ケース24を介してボス部15に間接に固定されている(
図2参照)。
【0049】
<継電用ハーネス51>
図3~
図6に示すように、継電用ハーネス51の一部は、主要部が環状収容部47に配置されたケーブル52によって構成されている。ケーブル52は、電源供給や、信号通信に用いられる複数の電線を束ねたものである。
【0050】
ケーブル52は、ボス部15から遠い側の第1端部53と、ボス部15に近い側の第2端部54と、それら第1端部53及び第2端部54の間に位置する本体部55とを備えている。本体部55は、ケーブル52の主要部を構成する部分である。本体部55は、次の条件を満たすように、内筒部32の周りに1回以上コイル状に巻付けられている。
【0051】
条件:
図3に示すように、本体部55の内径ID1が内筒部32の外径OD2よりも大きく、かつ同本体部55の外径OD1が外筒部42の内径ID2よりも小さいこと。
ここで、上記内径ID1は、本体部55のうち、コイル状をなす部分の内径である。また、上記外径OD1は、本体部55のうち、コイル状をなす部分の外径である。
【0052】
なお、本体部55は、インナカバー31の回動に伴い最も縮径したときにも最も拡径したときにも、上記条件が満たされるように、内筒部32の周りに巻付けられている。
図3~
図6に示すように、第1端部53は、一部がケーブル支持部36内に配置されることにより、第2軸線L2に沿ってボス部15から遠ざかる側へ延びている。第1端部53は、第1側壁部34の挿通孔部35に挿通された状態でインナカバー31に固定されている。第1端部53では、複数の電線のそれぞれに第1端子部(図示略)が取付けられている。
【0053】
第1側壁部34よりもボス部15から遠い箇所には、継電用ハーネス51の一部を構成する第1コネクタ57が配置されており、上記電線毎の第1端子部が第1コネクタ57に接続されている。
図2に示すように、第1コネクタ57は、上記把持部側電子機器27に接続されている。このようにして、ケーブル52の複数の電線は、第1端子部及び第1コネクタ57を介して把持部側電子機器27に対し電気的に接続されている。
【0054】
第2端部54は、第2軸線L2に沿ってボス部15側へ延びている。第2端部54は、第2側壁部44の上記挿通孔部46に挿通された状態でアウタカバー41に固定されている。第2端部54では、複数の電線のそれぞれに第2端子部(図示略)が取付けられている。
【0055】
第2側壁部44よりもボス部15に近い箇所には、継電用ハーネス51の一部を構成する第2コネクタ58が配置されており、上記電線毎の第2端子部が第2コネクタ58に接続されている。第2コネクタ58の一部は、ステアリングスイッチ23の上記ケース24内に位置し、上記バスバー25に接続されている。このようにして、ケーブル52の複数の電線は、第2端子部及び第2コネクタ58を介してボス部側ハーネス21に対し電気的に接続されている。
【0056】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
<ステアリングハンドル12の小型化について>
(1-1)
図2に示すように、本実施形態では、把持部19の内部を、インナカバー31、アウタカバー41及び本体部55を配置するスペースとして利用している。そのため、第2軸線L2に沿う方向におけるステアリングハンドル12の小型化を図ることができる。
【0057】
(1-2) 本実施形態では、
図2に示すように、ステアリングスイッチ23におけるケース24の内部を、ボス部側ハーネス21の一部、及び第2コネクタ58の一部を配置するスペースとして利用している。そのため、ボス部側ハーネス21の全体、及び第2コネクタ58の全体が、ケース24の外部に配置される場合に比べ、ステアリングハンドル12の小型化を図ることができる。
【0058】
<運転者の手首にかかる負荷軽減について>
図1に示すように、車両の直進時には、各スポーク部17及び各把持部19が、ボス部15の左方及び右方に位置する。また、各把持部19は、第2軸線L2を中心とする回動方向には、中立位置に位置する。
【0059】
上記の状態から、運転者により両把持部19に対し、第1軸線L1の周りで回動させようとする力が加えられると、この力は、各スポーク部17及びボス部15を介してステアリングシャフト11に伝達される。この伝達により、両把持部19、両スポーク部17、ボス部15及びステアリングシャフト11が第1軸線L1の周りを回動する。操舵装置10が作動し、車両の操舵が行なわれ、車両の進行方向が変更される。上記第1軸線L1を中心とする各把持部19の回動は、第2軸線L2を中心とする同把持部19の回動を伴いながら行なわれる。
【0060】
(2-1) このように、各把持部19が第2軸線L2の周りで回動する。そのため、第2軸線L2の周りで各把持部19が回動しないものに比べ、運転者は、各把持部19を把持したままで、ステアリングハンドル12を第1軸線L1の周りで大きく(90度以上)回動させることができる。運転者は、手首を不自然な角度で曲げなくてすみ、手首に負荷がかかりにくい。
【0061】
<継電構造30による継電について>
(3-1)
図2に示すように、本実施形態では、インナカバー31(回動カバー)として、内筒部32及び第1側壁部34を備えるものを用いている。また、アウタカバー41(固定カバー)として、外筒部42及び第2側壁部44を備えるものを用いている。そして、スポーク部17と同軸上にインナカバー31及びアウタカバー41を配置している。そのため、ケーブル52の本体部55を配置するための環状収容部47を簡単に形成することができる。
【0062】
(3-2)
図2に示すように、本実施形態では、第1コネクタ57を、第1側壁部34よりもボス部15から遠い箇所に配置している。ケーブル52の本体部55のうち、第1側壁部34に挿通された状態でインナカバー31に固定された第1端部53を、第1コネクタ57に接続している。
【0063】
また、本実施形態では、第2コネクタ58を、第2側壁部44よりもボス部15に近い箇所に配置している。上記本体部55のうち、第2側壁部44に挿通された状態でアウタカバー41に固定された第2端部54を、第2コネクタ58に接続している。
【0064】
そのため、第1コネクタ57を把持部側電子機器27に接続し、第2コネクタ58をボス部側ハーネス21のバスバー25に接続する。これらの接続により、ボス部側ハーネス21と把持部側電子機器27とを、継電用ハーネス51を構成する第2コネクタ58、ケーブル52及び第1コネクタ57を介して電気的に接続することができる。
【0065】
<継電用ハーネス51の耐久性向上について>
操舵時における把持部19の上記回動に伴い、把持部側電子機器27も第2軸線L2の周りを回動する。一方、ボス部15及びボス部側ハーネス21は、ともに第2軸線L2の周りを回動しない。
【0066】
継電構造30では、ボス部15に対し、ステアリングスイッチ23を介して間接に固定されたアウタカバー41が、第2軸線L2の周りを回動しない。これに対し、スポーク部17に固定されたインナカバー31は、同スポーク部17と一緒に第2軸線L2の周りを回動する。
【0067】
第1端部53においてインナカバー31に固定され、かつ第2端部54においてアウタカバー41に固定されたケーブル52に対しては、インナカバー31の上記回動に伴い、本体部55を変形させようとする力が加わる。
【0068】
ここで、上記力により、仮に、本体部55に対し第2軸線L2に沿う方向へ引っ張る力、及び同方向へ縮める力が加わると、同本体部55が第2軸線L2に沿う方向へ変形する。この変形により、本体部55が周囲の部材に接触すると、次の現象が起こる懸念がある。周囲の部材とは、例えば、インナカバー31における内筒部32、第1側壁部34等や、アウタカバー41における外筒部42、第2側壁部44等である。
【0069】
上記懸念とは、上記接触により、本体部55において変形し得る部分、すなわち、接触部分と第1端部53との間の部分、の長さが短くなり、この部分に応力が集中することである。この応力集中により、継電用ハーネス51の耐久性が低下し、断線するおそれがある。
【0070】
特に、本実施形態のステアリングハンドル12では、操舵に際し、把持部19が第1軸線L1の周りで回動される毎に、第2軸線L2の周りを回動されて、把持部19の回動の頻度が高い。これに伴い本体部55に対し、同本体部55を変形させようとする力が加わる頻度が高い。そのため、継電用ハーネス51の上記耐久性低下が特に懸念される。
【0071】
(4-1) この点、本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、ケーブル52の本体部55が、内筒部32に1回以上巻付けられている。ケーブル52の第1端部53がインナカバー31に固定され、第2端部54がアウタカバー41に固定されている。
【0072】
そのため、上記力が加わった本体部55は、内筒部32の周方向のうち、締まる方向へ変形(縮径)する、又は緩む方向へ変形(拡径)する。このように径を変える本体部55に対しては、第2軸線L2に沿う方向へ引っ張る力、及び同方向へ縮める力が加わりにくい。しかも、本体部55の内径ID1は内筒部32の外径OD2よりも大きく、また、本体部55の外径OD1は外筒部42の内径ID2よりも小さい。このことから、本体部55は、最も縮径したときでも内筒部32の外周面33に接触しにくい。また、本体部55は、最も拡径したときでも外筒部42の内周面43に接触しにくい。
【0073】
従って、本体部55に応力が集中して断線する現象を起こりにくくすることができ、継電用ハーネス51の耐久性を高めることができる。
(4-2)
図2及び
図3に示すように本実施形態では、ケーブル52の第1端部53を、第1側壁部34の挿通孔部35に挿通させた状態でインナカバー31に固定している。また、ケーブル52の第2端部54を、第2側壁部44の挿通孔部46に挿通させた状態でアウタカバー41に固定している。
【0074】
そのため、本体部55を、第1側壁部34及び第2側壁部44の間に架け渡された状態にすることができる。環状収容部47に配置された本体部55を、内筒部32及び外筒部42から離間し、かつ内筒部32に巻付けられた状態に保持することが可能となる。従って、上記(4-1)の効果がより得られやすい。
【0075】
(4-3)
図2及び
図4に示すように、本実施形態では、第1側壁部34において挿通孔部35の周りにケーブル支持部36が形成されている。ケーブル支持部36は内筒部32に向けて開放されている。そのため、ケーブル支持部36によって、第1端部53を第2軸線L2に対し直交する方向(径方向)の外方から覆い、インナカバー31の回動に伴い第1端部53が径方向外方へ動くのを規制することができる。従って、この点でも、第1端部53、ひいては継電用ハーネス51の耐久性を高めることができる。
【0076】
なお、第2軸線L2に沿う方向におけるケーブル支持部36の長さが、第1端部53を受け止めるのに必要な長さにとどめられている。そのため、ケーブル支持部36が本体部55の縮径及び拡径に及ぼす影響は小さい。
【0077】
本実施形態によると、上記以外にも次の効果が得られる。
(5-1)
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、互いに同軸上に配置されたインナカバー31及びアウタカバー41の間に環状収容部47を形成し、ここに本体部55を配置している。表現を変えると、本体部55をインナカバー31及びアウタカバー41によって囲っている。そのため、本体部55をインナカバー31及びアウタカバー41によって保護することができる。
【0078】
(5-2)
図4及び
図5に示すように、本実施形態では、インナカバー31、アウタカバー41及び継電用ハーネス51(ケーブル52、第1コネクタ57及び第2コネクタ58)といった複数の単品部品が用いられることにより、継電構造30がユニット化されている。そのため、継電構造30の取付けや、交換の際に、ユニット化された継電構造30を1つの集合体として扱うことが可能であり、取り扱いやすい。
【0079】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0080】
・
図1において、把持部側電子機器27は、片方の把持部19にのみ設けられてもよい。この場合、ステアリングハンドル12に適用される継電構造30の数は1つになる。
・1つの把持部19に設けられる把持部側電子機器27は複数であってもよい。
【0081】
・インナカバー31、アウタカバー41及び本体部55を備える継電構造30は、把持部19の外部、例えば、ステアリングスイッチ23と把持部19との間に配置されてもよい。
【0082】
また、上記継電構造30における一部のみが把持部19の内部に配置されてもよい。この場合、上記継電構造30が、把持部19の内部と外部とに跨がって配置されることとなる。
【0083】
・
図2において、アウタカバー41は、ステアリングスイッチ23を介さず、ボス部15に直接固定されてもよい。
・上記実施形態とは逆に、インナカバー31の第1側壁部34が、第2軸線L2に沿う方向における内筒部32の両端部のうち、ボス部15に近い側の端部に形成されてもよい。また、アウタカバー41の第2側壁部44が、第2軸線L2に沿う方向における外筒部42の両端部のうち、ボス部15から遠い側の端部に形成されてもよい。
【0084】
・ケーブル52の第1端部53が、インナカバー31において第1側壁部34とは異なる箇所、例えば内筒部32に固定されてもよい。また、ケーブル52の第2端部54が、アウタカバー41において第2側壁部44とは異なる箇所、例えば、外筒部42に固定されてもよい。
【0085】
・アウタカバー41が回動カバーとされてスポーク部17に固定されてもよい。また、インナカバー31が固定カバーとされてボス部15に直接又は間接に固定されてもよい。
・上記継電構造30は、車両以外の乗物、例えば、航空機、船舶等における操舵装置のステアリングハンドルに適用することもできる。
【符号の説明】
【0086】
11…ステアリングシャフト
12…ステアリングハンドル
15…ボス部
17…スポーク部
19…把持部
21…ボス部側ハーネス
23…ステアリングスイッチ
24…ケース
27…把持部側電子機器
30…継電構造
31…インナカバー(回動カバー)
32…内筒部
34…第1側壁部
41…アウタカバー(固定カバー)
42…外筒部
44…第2側壁部
47…環状収容部
51…継電用ハーネス
52…ケーブル
53…第1端部
54…第2端部
55…本体部
57…第1コネクタ
58…第2コネクタ
ID1,ID2…内径
L1…第1軸線
L2…第2軸線
OD1,OD2…外径