(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ハンドル用エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/261 20110101AFI20240827BHJP
B60R 21/203 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B60R21/261
B60R21/203
(21)【出願番号】P 2021137519
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】石井 力
(72)【発明者】
【氏名】河村 功士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠矢
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-126307(JP,A)
【文献】国際公開第2021/053982(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0110363(KR,A)
【文献】独国特許出願公開第102013015223(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0137489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 - 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に膨張用ガスを流入させてハンドルを覆うように膨張するエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を有し、折り畳まれた前記エアバッグと前記インフレーターとを、前記ハンドルにおいて、操舵時に把持するリング部の中央付近に位置するボス部に形成される収納部位内に、収納させる構成とされて、
前記エアバッグが、
前記インフレーターから吐出される前記膨張用ガスを内部に流入可能な流入用開口を有するとともに、前記ハンドルの上面側を覆うように膨張可能なバッグ本体と、
該バッグ本体内において、前記流入用開口を覆うように配置されて、前記インフレーターから吐出される膨張用ガスを整流して前記バッグ本体内に流出させる整流用部材と、
を備える構成とされて、
該整流用部材が、前記膨張用ガスを、前記リング部のリング面に略沿うとともに、前記ハンドルの直進操舵状態における左方、右方、及び、後方の三方に流出可能に、3つのガス流出口を、備える構成のハンドル用エアバッグ装置であって、
前記整流用部材が、共に可撓性を有したシート体から形成されて、前記ハンドル側に配置される車体側パネルと、運転者側に配置される運転者側パネルと、の外周縁相互を部分的に結合させて構成され、
前記車体側パネルが、前記バッグ本体に形成される前記流入用開口に対応する開口部と、開口部から連なる平面部と、を有して、該平面部の外周縁側に、前記運転者側パネルの対応する外周縁に結合される3つの結合部位と、該結合部位間の3つの非結合領域と、を配設させる構成とされて、
前記ガス流出口が、前記車体側パネルと前記運転者側パネルとの外周縁を結合させる前記結合部位間の前記非結合領域の部位から、構成され
、
前記運転者側パネルが、平らに展開した状態での略中央から前記結合部位を形成される結合予定部までの距離を、平らに展開した状態での前記車体側パネルにおける略中央から前記結合部位を形成される結合予定部までの距離よりも、大きな寸法とするように、構成され、
前記運転者側パネルにおける前記非結合領域側縁部が、前記運転者側パネルを平らに展開した状態において、周長を長くするように、両側の前記結合部位の端末相互を結ぶ直線よりも内側に向かって凹むような円弧を、2つ並設させる形状に、構成されていることを特徴とするハンドル用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記整流用部材が、前記結合部位を、前記バッグ本体の展開膨張時に、前記収納部位から突出した自由空間側の領域に配置させるように、構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドル用エアバッグ装置。
【請求項3】
前記結合部位が、平らに展開した前記車体側パネルの外周縁側で、略直線状に形成されていることを特徴とする
請求項1または2に記載のハンドル用エアバッグ装置。
【請求項4】
前記整流用部材が、後方に前記膨張用ガスを流出可能な後側ガス流出口の開口面積を、左方に前記膨張用ガスを流出可能な左側ガス流出口と、右方に前記膨張用ガスを流出可能な右側ガス流出口と、の開口面積の和よりも大きくするように、構成されていることを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハンドル用エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に膨張用ガスを流入させてハンドルを覆い可能に膨張するエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を有し、折り畳まれたエアバッグとインフレーターとを、ハンドルにおいて、操舵時に把持するリング部の中央付近に位置するボス部に形成される収納部位内に、収納させる構成のハンドル用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドル用エアバッグ装置としては、エアバッグとして、ハンドルの上面側を覆うように膨張可能なバッグ本体と、バッグ本体内に配置されてインフレーターから吐出される膨張用ガスを整流してバッグ本体内に流出させる整流用部材と、を、有する構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。この従来のハンドル用エアバッグ装置では、バッグ本体内に配設される整流用部材が、インフレーターから吐出される膨張用ガスを、ハンドルにおけるリング部のリング面に略沿うとともに、ハンドルの直進操舵状態における左方、右方、及び、後方の三方に流出させる構成とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/69796号(段落番号[0058]及び
図15)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のハンドル用エアバッグ装置では、整流用部材が、ハンドル側に配置される車体側部材を、所定の縁部相互を結合させることにより立体的な形状とし、この立体状の車体側部材と、運転者側に配置される運転者側部材と、の外周縁相互を、所定位置で結合させることにより、運転者側部材と車体側部材との間から、膨張用ガスを、リング面に略沿うように流出させる構成であることから、構成が簡便ではなかった。また、所定の縁部相互を結合させるようにして、立体的な形状の車体側部材を構成していることから、整流用部材が嵩張りやすく、この整流用部材は、バッグ本体とともに折り畳まれることから、エアバッグ自体をコンパクトに折り畳んで収納部位内に収納させる点にも、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、内部に配置される整流用部材を簡便な構成にできて、エアバッグを、収納部位内にコンパクトに収納可能なハンドル用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るハンドル用エアバッグ装置は、内部に膨張用ガスを流入させてハンドルを覆うように膨張するエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を有し、折り畳まれたエアバッグとインフレーターとを、ハンドルにおいて、操舵時に把持するリング部の中央付近に位置するボス部に形成される収納部位内に、収納させる構成とされて、
エアバッグが、
インフレーターから吐出される膨張用ガスを内部に流入可能な流入用開口を有するとともに、ハンドルの上面側を覆うように膨張可能なバッグ本体と、
バッグ本体内において、流入用開口を覆うように配置されて、インフレーターから吐出される膨張用ガスを整流してバッグ本体内に流出させる整流用部材と、
を備える構成とされて、
整流用部材が、膨張用ガスを、リング部のリング面に略沿うとともに、ハンドルの直進操舵状態における左方、右方、及び、後方の三方に流出可能に、3つのガス流出口を、備える構成のハンドル用エアバッグ装置であって、
整流用部材が、共に可撓性を有したシート体から形成されて、ハンドル側に配置される車体側パネルと、運転者側に配置される運転者側パネルと、の外周縁相互を部分的に結合させて構成され、
車体側パネルが、バッグ本体に形成される流入用開口に対応する開口部と、開口部から連なる平面部と、を有して、平面部の外周縁側に、運転者側パネルの対応する外周縁に結合される3つの結合部位と、結合部位間の3つの非結合領域と、を配設させる構成とされて、
ガス流出口が、車体側パネルと運転者側パネルとの外周縁を結合させる結合部位間の前記非結合領域の部位から、構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のハンドル用エアバッグ装置では、バッグ本体内に配設される整流用部材が、可撓性を有したシート体からなる車体側パネルと運転者側パネルとの外周縁相互を部分的に結合させて構成されており、具体的には、整流用部材を構成する車体側パネルは、バッグ本体の流入用開口に対応する開口部から連なるように形成される平面部の外周縁側に、運転者側パネルの対応する外周縁に結合される3つの結合部位と、結合部位間の3つの非結合領域と、を配設させる構成とされている。すなわち、本発明のハンドル用エアバッグ装置では、整流用部材は、シート状の車体側パネルと運転者側パネルとの外周縁相互のみを部分的に結合させることにより形成されて、外周縁相互を結合させて構成される結合部位間の隙間(非結合領域)を、膨張用ガスを流出させるためのガス流出口として、構成されていることから、車体側部材を立体形状としている従来の整流用部材と比較して、簡便な構成とすることができ、また、バッグ本体とともに折り畳まれて収納される折畳収納時の嵩張りも、抑制することができる。そのため、エアバッグをコンパクトに折り畳むことができる。
【0008】
したがって、本発明のハンドル用エアバッグ装置では、内部に配置される整流用部材を簡便な構成にできて、エアバッグを、収納部位内にコンパクトに収納させることができる。
【0009】
また、本発明のハンドル用エアバッグ装置において、整流用部材のガス流出口は、膨張用ガスを、ハンドルの直進操舵状態における左方、右方、及び、後方の三方において、それぞれ、リング部のリング面に略沿うように流出可能に、3つ配設されている。すなわち、本発明のハンドル用エアバッグ装置では、エアバッグの膨張初期において、インフレーターから吐出される膨張用ガスは、バッグ本体内において、運転者側に向かわず、リング面に略沿って流出されることとなる。そのため、例えば、運転者がハンドルに接近して着座した状態での作動時に、バッグ本体が、膨張初期に、運転者をダイレクトに上方へ押圧せず、バッグ本体は、内部に膨張用ガスを流入させて、まず、運転者とハンドルとの間に進入するように、ハンドルのリング面に沿って広く展開されることとなる。このバッグ本体の膨張初期に、インフレーターから吐出される膨張用ガスは、バッグ本体の後部側の領域では、整流用部材のガス流出口から、後方に向かうように、バッグ本体内に流入することから、運転者の腹部とリング部との間に、バッグ本体を迅速に進入させることができて、運転者の腹部を迅速に保護することができる。また、バッグ本体の前部側の領域においては、インフレーターから吐出される膨張用ガスは、整流用部材におけるガス流出口から、左方と右方とに向かうように流入することとなる。すなわち、インフレーターから吐出される膨張用ガスが、バッグ本体内に、整流用部材から前方に向かうように流入することを抑制できることから、運転者が頭部をハンドルに近接させて着座している状態であっても、バッグ本体が、運転者の頭部の左右両側にずれるように突出することとなって、運転者の頭部に直接的に向かって突出するように膨張することを、抑制でき、頭部を後屈させるように押圧することを、抑制できる。そのため、本発明のハンドル用エアバッグ装置では、運転者がハンドルに近接して着座している状態であっても、整流用部材によって、バッグ本体内への膨張用ガスの流入を的確に制御することができて、膨張するエアバッグによって運転者を円滑に保護することができる。
【0010】
また、本発明のハンドル用エアバッグ装置において、整流用部材の結合部位を、バッグ本体の展開膨張時に、収納部位から突出した自由空間側の領域に配置させるように、構成すれば、バッグ本体の展開膨張時に、ガス流出口が、収納部位から突出した自由空間側の領域に配置されることとなり、ガス流出口から流出される膨張用ガスを、収納部位の影響を受けず、一層、リング面に略沿うように、安定して流出させることが可能となって、好ましい。
【0011】
さらに、上記構成のハンドル用エアバッグ装置において、運転者側パネルを、平らに展開した状態での略中央から結合部位を形成される結合予定部までの距離を、平らに展開した状態での車体側パネルにおける略中央から結合部位を形成される結合予定部までの距離よりも、大きな寸法とするように、構成すれば、流入用開口、すなわち、車体側パネルにおける開口部の運転者側を、運転者側パネルによって広く覆うことができ、流入用開口から流入する膨張用ガスを、運転者側を広く覆う運転者側パネルによって、的確に偏向させることが可能となり、ガス流出口を経て、一層安定して、リング面に略沿うように流出させることが可能となって、好ましい。
【0012】
さらにまた、上記構成のハンドル用エアバッグ装置において、運転者側パネルにおける非結合領域側縁部を、運転者側パネルを平らに展開した状態において、周長を長くするように、両側の結合部位の端末相互を結ぶ直線よりも内側に向かって凹むような円弧を、2つ並設させる形状に、構成すれば、流入用開口(開口部)から流入する膨張用ガスを内部に流入させて膨張した状態の整流用部材において、ガス流出口の周縁を構成する非結合領域側縁部が、ガス流出口の開口を狭めるように垂れ下がるような態様となることを抑制できて、ガス流出口を、広く開口させることができ、ガス流出口から、バッグ本体内に迅速に膨張用ガスを流出させることが可能となって、好ましい。
【0013】
さらにまた、上記構成のハンドル用エアバッグ装置において、結合部位を、平らに展開した車体側パネルの外周縁側で、円弧状とせずに、略直線状に形成する構成とすれば、結合部位付近に膨張用ガスが一旦溜まることを抑制できて、ガス流出口から、一層迅速に、膨張用ガスを流出させることが可能となって、好ましい。
【0014】
さらにまた、上記構成のハンドル用エアバッグ装置において、整流用部材を、後方に膨張用ガスを流出可能な後側ガス流出口の開口面積を、左方に膨張用ガスを流出可能な左側ガス流出口と、右方に膨張用ガスを流出可能な右側ガス流出口と、の開口面積の和よりも大きくするように、構成すれば、エアバッグの膨張初期に、バッグ本体の後端側の領域に、一層迅速に膨張用ガスを流入させることが可能となり、運転者の腹部とリング部との間に、バッグ本体を、一層迅速に進入させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態であるハンドル用エアバッグ装置を示す概略平面図である。
【
図2】第1実施形態のハンドル用エアバッグ装置の車両搭載時の概略縦断面図である。
【
図3】第1実施形態のハンドル用エアバッグ装置に使用されるエアバッグを平らに展開した状態の底面図である。
【
図5】
図3のエアバッグを構成する基材を並べた状態を示す平面図である。
【
図6】
図3のエアバッグにおける整流用部材の底面図である。
【
図7】
図6の整流用部材を構成する車体側パネルと運転者側パネルとを並べた平面図である。
【
図8】
図6の整流用部材を単体で膨張させた状態を示す概略斜視図である。
【
図9】第1実施形態のハンドル用エアバッグ装置において、エアバッグの膨張過程を説明する概略側面図である。
【
図10】第1実施形態のハンドル用エアバッグ装置において、整流用部材からバッグ本体内への膨張用ガスの流出を説明する概略平面図である。
【
図11】第1実施形態のハンドル用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略縦断面図である。
【
図12】エアバッグの膨張完了時の概略縦断面において、整流用部材付近を示す部分拡大図である。
【
図13】本発明の第2実施形態であるハンドル用エアバッグ装置を示す概略平面図である。
【
図14】第2実施形態のハンドル用エアバッグ装置の車両搭載時の概略縦断面図である。
【
図15】第2実施形態のハンドル用エアバッグ装置に使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す概略斜視図である。
【
図16】
図15のエアバッグを構成する基材を並べた状態を示す平面図である。
【
図17】
図15のエアバッグを構成する基材において、残りの基材を並べた状態を示す平面図である。
【
図18】
図15のエアバッグに使用される整流用部材を構成する車体側パネルと運転者側パネルとを並べた平面図である。
【
図19】第2実施形態のハンドル用エアバッグ装置において、エアバッグの膨張過程を説明する概略側面図である。
【
図20】第2実施形態のハンドル用エアバッグ装置において、整流用部材からバッグ本体内への膨張用ガスの流出を説明する概略平面図である。
【
図21】第2実施形態のハンドル用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。第1実施形態では、まず、
図1,2に示すような略円環状のリング部Rを有するハンドルWに搭載されるハンドル用エアバッグ装置(以下「エアバッグ装置」と省略する)M1について、説明をする。ハンドルWは、ハンドル本体1と、ハンドル本体1の中央のボス部Bの上部に配置されるエアバッグ装置M1と、を備えている。ハンドル本体1は、車両の操舵時に把持する略円環状のリング部Rと、リング部Rの略中央に配置されてシャフトSSに連結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する複数(実施形態の場合、4本)のスポーク部Sと、を備えている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両に搭載されたハンドルWの直進操舵時を基準とするものであり、ハンドルWを組み付けるシャフトSS(
図2参照)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、シャフトSSの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、シャフトSSの軸直交方向である車両の左右を左右方向として、前後・上下・左右の方向を示すものである。
【0017】
ハンドル本体1は、
図1,2に示すように、リング部R、ボス部B、スポーク部Sの各部を連結するように配置されて、アルミニウム合金等の金属からなる芯金3を、備えている。芯金3におけるリング部Rの部位と、各スポーク部Sにおけるリング部R側の部位と、には、合成樹脂製の被覆層5が、被覆されている。また、芯金3におけるボス部Bの部位には、シャフトSSを挿入させてナットN止めするための鋼製のボス4が、配設されている。さらに、ハンドル本体1の下部には、ボス部Bの下方を覆う合成樹脂製のロアカバー6が、配設されている。
【0018】
エアバッグ装置M1は、
図1,2に示すように、ハンドルWにおいて、リング部Rの中央付近(略中央)に位置するボス部Bに配置されるもので、折り畳まれて収納されるエアバッグ20と、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するインフレーター11と、エアバッグ20とインフレーター11とを収納して保持する収納部位としてのケース12(バッグホルダ)と、折り畳まれたエアバッグ20を覆うエアバッグカバー14と、エアバッグ20とインフレーター11とをケース12に取り付けるためのリテーナ10と、を備えている。
【0019】
インフレーター11は、
図2に示すように、複数のガス吐出口11bを有した略円柱状の本体部11aと、インフレーター11をケース12に取り付けるためのフランジ部11cと、を備えている。フランジ部11cには、リテーナ10の図示しない各ボルトを貫通させるための図示しない貫通孔が、形成されている。
【0020】
収納部位としてのケース12(バッグホルダ)は、板金製として、
図2に示すように、インフレーター11を下方から挿入させて取り付ける略長方形状の底壁部12aと、底壁部12aの外周縁から上下に延びる周壁部12bと、を備えている。周壁部12bの上端12dには、外方へ延びる取付片12cが、形成され(
図1参照)、この取付片12cには、図示しないホーンスイッチ機構の取付基板が取り付けられている。そして、この図示しない取付基板を利用して、ケース12が、ハンドルWの芯金3に取付固定され、エアバッグ装置M1が、シャフトSSに装着済みのハンドル本体1のボス部Bの上部に搭載されることとなる。また、ケース12の周壁部12bには、リベット15等を利用して、エアバッグカバー14の側壁部14cが、取り付けられている(
図2参照)。実施形態の場合、エアバッグ20とインフレーター11とは、エアバッグ20における整流用部材32内に配置させたリテーナ10の図示しないボルトを取付手段として、この図示しないボルトを、エアバッグ20におけるバッグ本体21の後述する流入用開口24(整流用部材32の後述する開口部39)の周縁の取付孔25,40に挿通させ、ケース12の底壁部12a、及び、インフレーター11のフランジ部11cに貫通させて、図示しないナット止めすることにより、ケース12の底壁部12aに取り付けられている。
【0021】
エアバッグカバー14は、合成樹脂製として、ケース12に収納されたエアバッグ20の上方を覆う天井壁部14aと、天井壁部14aの外周縁付近から下方に延びる略四角筒形状の側壁部14cと、を備えている。天井壁部14aには、膨張するエアバッグ20に押されて前後に開く2枚の扉部14b,14bが、形成されている。
【0022】
エアバッグ20は、
図3,4に示すように、袋状のバッグ本体21と、バッグ本体21内に配置される整流用部材32と、バッグ本体21の膨張完了形状を規制するテザー60と、を備える構成とされている。
【0023】
バッグ本体21は、膨張完了時にハンドルWの上面側を、略全面にわたって覆い可能に、膨張完了形状を、
図1,2の二点鎖線及び
図11に示すように、上方から見てリング部R全体を覆い可能な略円形状とし、側方から見て略楕円球状とするように、構成されている。バッグ本体21は、
図3,4に示すように、膨張完了時に運転者MD側に配置される運転者側壁部28と、ハンドルW側に配置される車体側壁部23と、を備えるもので、
図5に示すように、外形形状を略同一とした略円形状の運転者側パネル71と車体側パネル70との外周縁70a,71a相互を結合させることにより、袋状とされている。バッグ本体21を構成する運転者側パネル71及び車体側パネル70は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から、形成されている。
【0024】
バッグ本体21において、車体側壁部23の略中央には、
図3に示すように、膨張用ガスGを内部に流入可能な流入用開口24が、円形に開口して、形成されている。この流入用開口24は、インフレーター11の本体部11aを下方から挿入させるものであり、流入用開口24の周縁には、リテーナ10に形成される図示しないボルトを挿通させる4つの取付孔25が、形成されている。また、バッグ本体21における車体側壁部23には、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気するベントホール26が、形成されている。
【0025】
整流用部材32は、バッグ本体21内において、流入用開口24を覆うように配置されて(
図4参照)、インフレーター11から吐出される膨張用ガスを整流してバッグ本体21内に流出させるもので、インフレーター11から吐出される膨張用ガスGを、リング部Rのリング面RF(リング部Rの上面)に略沿うとともに、ハンドルWの直進操舵状態における左方、右方、及び、後方の三方に流出可能に、3つのガス流出口36(左側ガス流出口36L,右側ガス流出口36R,後側ガス流出口36B)を、備える構成とされている。実施形態の場合、整流用部材32は、共に可撓性を有したシート体から形成されて、ハンドルW側に配置される車体側パネル38と、運転者MD側に配置される運転者側パネル50と、の外周縁43,51相互を部分的に結合(縫着)させて構成されるもので、外周縁32a側に、車体側パネル38と運転者側パネル50との対応する縁部相互を結合させる結合部位34(前側結合部位34F,後左側結合部位34L,後右側結合部位34R)と、結合部位34間の非結合領域35から構成されるガス流出口36(左側ガス流出口36L,右側ガス流出口36R,後側ガス流出口36B)と、を配設させる構成である(
図4,6参照)。整流用部材32を構成する運転者側パネル50及び車体側パネル38は、バッグ本体21と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から、形成されている。
【0026】
ハンドルW側に配置される車体側パネル38は、実施形態の場合、平らに展開した状態での外形形状を、前縁を左右方向に略沿わせたような略六角形状とされるもので(
図5,6,7のA参照)、バッグ本体21の流入用開口24に対応する開口部39と、開口部39から連なる平面部42と、を有している(
図4,6参照)。開口部39は、車体側パネル38を平らに展開した状態で略中央となる位置に、配置されている。実施形態の整流用部材32は、開口部39の周縁を、後述するテザー60を構成するテザー用基材62Dの取付側部位63Dとともに、バッグ本体21の流入用開口24の周縁に縫着されて、開口部39の周縁を、流入用開口24の周縁とともに、リテーナ10を用いて、ケース12に取り付けられる構成である(
図4参照)。そして、開口部39の周縁には、バッグ本体21に形成される取付孔25に対応して、リテーナ10の図示しないボルトを挿通可能な取付孔40が、形成されている。また、車体側パネル38は、平面部42の外周縁43側(車体側パネル38自体の外周縁側)に、運転者側パネル50の対応する外周縁51に結合される3つの結合部位34と、結合部位34間の3つの非結合領域35と、を配設させる構成とされている。すなわち、車体側パネル38の外周縁43は、運転者側パネル50を非結合の状態で、結合部位34を形成されることとなる3つの結合部位側縁部45(45F,45L,45R)と、非結合領域35(すなわち、ガス流出口36の縁部)を構成する3つの非結合領域側縁部47(47B,47L,47R)と、を備える構成とされている(
図6,7のA参照)。
【0027】
結合部位側縁部45(45F,45L,45R)は、
図7のAに示すように、車体側パネル38の外周縁43において、前側結合部位34Fを形成されることとなる前側と、後左側結合部位34L及び後右側結合部位34Rをそれぞれ形成されることとなる後左側及び後右側と、の領域から構成されるもので、それぞれ、略直線状に形成されている。具体的には、車体側パネル38を平らに展開した状態で、前側の結合部位側縁部45Fは、左右方向に略沿った略直線状として形成され、後左側及び後右側の結合部位側縁部45L,45Rは、前後方向に対して傾斜した略直線状として形成されている。実施形態では、各結合部位側縁部45F,45L,45Rは、開口部39の中心(車体側パネル38における前後左右の中央)である中心点C1を基準とした略点対称形とされて、幅寸法(長さ寸法L1)を同一に設定されている(
図7のA参照)。
【0028】
非結合領域側縁部47(47B,47L,47R)は、各結合部位側縁部45(45F,45L,45R)間の領域から構成されるもので、すなわち、具体的には、平らに展開した状態の車体側パネル38の外周縁43において、それぞれ、後側と、前左側と、前右側と、の領域から、構成されている。各非結合領域側縁部47(47B,47L,47R)は、各ガス流出口36(左側ガス流出口36L,右側ガス流出口36R,後側ガス流出口36B)の開口の周縁における下縁36b側を構成するもので(
図8参照)、実施形態の場合、中心点C1を基準とした略点対称形とされている。詳細には、各非結合領域側縁部47(47B,47L,47R)は、
図7のAに示すように、車体側パネル38を平らに展開した状態で、両側の結合部位34(結合予定部45a)の端末45b,45b相互を結ぶ直線PL1よりも内側に向かって凹むような略円弧状に湾曲されている。実施形態の場合、非結合領域側縁部47(47B,47L,47R)は、幅寸法W1(上記直線PL1の長さ寸法)を、結合部位側縁部45の長さ寸法L1より小さく設定されている(
図7のA参照)。
【0029】
運転者MD側に配置される運転者側パネル50は、実施形態の場合、外形寸法を車体側パネル38よりも大きく設定されて(
図5参照)、平らに展開した状態での外形形状を、前縁を左右方向に略沿わせたような略六角形状とされている。運転者側パネル50の外周縁41は、
図7のBに示すように、車体側パネル38の外周縁43に形成される結合部位側縁部45(45F,45L,45R),非結合領域側縁部47(47B,47L,47R)に対応して、結合部位34を形成されることとなる3つの結合部位側縁部53(53F,53L,53R)と、非結合領域35(すなわち、ガス流出口36の縁部)を構成する3つの非結合領域側縁部55(55B,55L,55R)と、を備える構成とされている。
【0030】
結合部位側縁部53(53F,53L,53R)は、
図7のBに示すように、運転者側パネル50の外周縁51において、前側結合部位34Fを形成されることとなる前側と、後左側結合部位34L及び後右側結合部位34Rをそれぞれ形成されることとなる後左側及び後右側と、の領域から構成されるもので、それぞれ、略直線状に形成されている。具体的には、運転者側パネル50を平らに展開した状態で、前側の結合部位側縁部53Fは、左右方向に略沿った略直線状として形成され、後左側及び後右側の結合部位側縁部53L,53Rは、前後方向に対して傾斜した略直線状として形成されている。実施形態では、各結合部位側縁部53F,53L,53Rは、平らに展開した状態の運転者側パネル50において前後左右の中央である中心点C2を基準とした略点対称形とされて、幅寸法(長さ寸法L2)を同一に設定されている。また、結合部位側縁部53(53F,53L,53R)は、幅寸法(長さ寸法L2)を、車体側パネル38の結合部位側縁部45(45F,45L,45R)の幅寸法(長さ寸法L1)と略同一に、設定されている(
図7のA,B参照)。
【0031】
非結合領域側縁部55(55B,55L,55R)は、
図7のBに示すように、各結合部位側縁部53(53F,53L,53R)間の領域から構成されるもので、すなわち、具体的には、平らに展開した状態の運転者側パネル50の外周縁51において、それぞれ、後側と、前左側と、前右側と、の領域から、構成されている。各非結合領域側縁部55(55B,55L,55R)は、各ガス流出口36(左側ガス流出口36L,右側ガス流出口36R,後側ガス流出口36B)の開口の周縁における上縁36a側を構成するもので(
図8参照)、中心点C2を基準とした略点対称形とされている。この各非結合領域側縁部55(55B,55L,55R)は、運転者側パネル50を平らに展開した状態で、周長を長くするように、両側の結合部位34(結合予定部53a)の端末53b,53b相互を結ぶ直線PL2よりも内側に向かって凹むような円弧を、2つ並設させる形状に、構成されている。詳細には、非結合領域側縁部55は、
図7のBに示すように、内側に凹むような2つの略円弧状の湾曲部55a,55bと、湾曲部55a,55b間を連結する略直線状の連結部55cと、を有して、連結部55cを、上記直線PL2よりも内側に位置させるように、構成されている。各非結合領域側縁部55は、幅寸法W2(上記直線PL2の長さ寸法)を、車体側パネル38における非結合領域側縁部47の幅寸法W1よりも大きく設定されており、具体的には、非結合領域側縁部47の幅寸法W1の3/2程度に、設定されている(
図7のA,B参照)。また、実施形態の場合、各非結合領域側縁部55は、幅寸法W2を、結合部位側縁部53の長さ寸法L2より大きく設定されている。
【0032】
運転者側パネル50は、外形寸法を、車体側パネル38よりも大きく設定されており、詳細には、平らに展開した状態での略中央(中心点C2)から結合部位34を形成される結合予定部53aまでの距離D2を、平らに展開した状態での中央(開口部39の中心(中心点C1))から結合予定部45aまでの距離D1よりも、大きな寸法とするように、構成されている(
図7のA,B参照)。具体的には、運転者側パネル50における中心点C2から結合予定部53aまでの距離D2は、車体側パネル38における中心点C1から結合予定部45aまでの距離D1の5/4程度に、設定されている。また、実施形態の整流用部材32では、車体側パネル38における中心点C1から結合予定部45a(結合部位34)までの距離D1は、バッグ本体21の展開膨張時に、結合部位34を、ケース12から突出した自由空間側の領域(ケース12における周壁部12bの上端12dよりも上方)に配置させるような寸法に、設定されている(
図11,12参照)。
【0033】
そして、実施形態の整流用部材32は、車体側パネル38における各結合部位側縁部45(45F,45L,45R)を、運転者側パネル50における対応する結合部位側縁部53(53F,53L,53R)に重ねて、結合予定部45a,53aの部位を、縫合糸を用いて縫着させることにより、略直線状の結合部位34(前側結合部位34F,後左側結合部位34L,後右側結合部位34R)を形成すれば、製造することができる(
図6参照)。整流用部材32では、3つのガス流出口36(後側ガス流出口36B,左側ガス流出口36L,右側ガス流出口36R)が、結合部位34間の非結合領域35の部位から、構成される。また、実施形態の整流用部材32では、非結合領域35を構成している各非結合領域側縁部47(47B,47L,47R),55(55B,55L,55R)が、各車体側パネル38,運転者側パネル50における中心点C1,C2を中心として略点対称形とされており、換言すれば、3つのガス流出口36(後側ガス流出口36B,左側ガス流出口36L,右側ガス流出口36R)は、外形形状を略同一に設定されて、開口面積を略同一とするように、構成されている。
【0034】
バッグ本体21の膨張完了形状を規制するテザー60は、車体側壁部23における流入用開口24の周縁と、運転者側壁部28の中央付近と、を連結するように配置されて、膨張完了時に、運転者側壁部28の中央付近と流入用開口24周縁との離隔距離を規制するもので、実施形態の場合、流入用開口24の左右両側となる2箇所に、形成されている。テザー60は、
図5に示すような2枚のテザー用基材62U,62Dから、構成されている。テザー用基材62U,62Dは、それぞれ、車体側壁部23側と運転者側壁部28側とに結合される取付側部位63U,63Dと、取付側部位63U,63Dの外周縁から延びる2つのテザー構成部64U,64Dと、を備える構成とされ、車体側壁部23側と運転者側壁部28側とに、取付側部位63U,63Dを結合させた状態で、対応する各テザー構成部64U,64Dの端部相互を結合させることにより、テザー60を形成している。テザー60を構成するテザー用基材62U,62Dは、バッグ本体21及び整流用部材32と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から、形成されている。
【0035】
次に、実施形態のエアバッグ20の製造について述べる。車体側パネル70に、テザー用基材62Dの取付側部位63Dと、整流用部材32の車体側パネル38と、を重ね、流入用開口24の周縁となる部位で、縫合糸を用いて縫着させて、孔開け加工により、流入用開口24(開口部39)と取付孔25(40)とを形成する。運転者側パネル71には、テザー用基材62Uの取付側部位63Uを、縫着させておく。次いで、車体側パネル70に縫着されている整流用部材32の車体側パネル38に、整流用部材32を構成する運転者側パネル50を重ね、外周縁43,51側の結合部位側縁部45,53相互を、結合予定部45a,53aの部位で、結合部位34を形成するように、縫合糸を用いて縫着(結合)させて、整流用部材32を形成する。その後、車体側パネル70と運転者側パネル71とを、外表面側を接触させつつ、平らに展開した状態で重ね、外周縁70a,71a相互を、縫合糸を用いて縫着させれば、袋状のバッグ本体21を形成することができる。このバッグ本体21を、縫代を外部に露出させないように、流入用開口24を利用して反転させた後、テザー構成部64U,64Dの先端相互を結合させてテザー60を形成すれば、エアバッグ20を製造することができる。
【0036】
このようにして製造したエアバッグ20は、以下のようにして、車両に搭載することができる。まず、図示しないボルトを取付孔25から突出させるようにして、整流用部材32の内部にリテーナ10を配置させた状態で、エアバッグ20を、ケース12内に収納可能に折り畳む。その後、折り畳んだエアバッグ20をケース12内に収納させ、インフレーター11の本体部11aを下方から挿入させて、底壁部12aから突出させた図示しないボルトと、ナットと、を利用して、インフレーター11とエアバッグ20とをケース12に取り付ける。さらに、ケース12にエアバッグカバー14を被せて、リベット15等を利用して、ケース12にエアバッグカバー14を取り付け、その後、ケース12の取付片12cに図示しないホーンスイッチ機構を組み付ければ、エアバッグ装置M1を組み立てることができる。このエアバッグ装置M1は、予めシャフトSSに締結しておいたハンドル本体1に対して、ホーンスイッチ機構の図示しない取付基板を利用して取り付ければ、ハンドルWの車両への取付と同時に、車両に搭載することができる。
【0037】
第1実施形態のエアバッグ装置M1では、インフレーター11のガス吐出口11bから膨張用ガスGが吐出されれば、エアバッグ20が、内部に膨張用ガスGを流入させて膨張し、エアバッグカバー14の扉部14b,14bを押し開き、ケース12から突出して、
図1,2の二点鎖線及び
図11に示すように、ハンドルWの上面を略全面にわたって覆うように、膨張を完了させることとなる。
【0038】
そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、バッグ本体21内に配設される整流用部材32が、可撓性を有したシート体からなる車体側パネル38と運転者側パネル50との外周縁43,51相互を部分的に結合させて構成されており、具体的には、整流用部材32を構成する車体側パネル38は、バッグ本体21の流入用開口24に対応する開口部39から連なるように形成される平面部42の外周縁43側に、運転者側パネル50の対応する外周縁に結合される3つの結合部位34と、結合部位34間の3つの非結合領域35と、を配設させる構成とされている。すなわち、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、整流用部材32は、シート状の車体側パネル38と運転者側パネル50との外周縁43,51相互のみを部分的に結合させることにより形成して、外周縁43,51相互を結合させて構成される結合部位34間の隙間(非結合領域35)を、膨張用ガスを流出させるためのガス流出口36として、構成されていることから、車体側部材を立体形状としている従来の整流用部材と比較して、簡便な構成とすることができ、また、バッグ本体21とともに折り畳まれて収納される折畳収納時の嵩張りも、抑制することができる。そのため、エアバッグ20をコンパクトに折り畳むことができる。
【0039】
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、内部に配置される整流用部材32を簡便な構成にできて、エアバッグ20を、収納部位としてのケース12内にコンパクトに収納させることができる。
【0040】
第1実施形態のエアバッグ装置M1では、整流用部材32は、バッグ本体21の製造時において、バッグ本体21を構成する車体側パネル70に、車体側パネル38を連結させた状態で、この車体側パネル38に運転者側パネル50を重ねて、対応する縁部相互を結合させることにより、製造される構成である。すなわち、第1実施形態のエアバッグ装置M1のエアバッグ20では、整流用部材32は、バッグ本体21の製造前にあらかじめ製造しておくものではなく、バッグ本体21の製造時に、同時に製造できることから、製造が容易であり、製造工数及び製造コストの増大も抑制できる。
【0041】
また、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、整流用部材32のガス流出口36は、膨張用ガスGを、ハンドルWの直進操舵状態における左方、右方、及び、後方の三方において、それぞれ、リング部Rのリング面RFに略沿うように流出可能に、3つ配設されている。すなわち、実施形態のエアバッグ装置M1では、エアバッグ20の膨張初期において、インフレーター11から吐出される膨張用ガスGは、バッグ本体21内において、運転者MD側(リング面RFと略直交するような上方)に向かわず、リング面RFに略沿って流出されることとなる。そのため、例えば、
図9のAに示すように、運転者MDがハンドルWに接近して着座した状態での作動時に、バッグ本体21が、膨張初期に、運転者MDをダイレクトに上方へ押圧せず、バッグ本体21は、
図9のBに示すように、内部に膨張用ガスを流入させて、まず、運転者MDとハンドルWとの間に進入するように、ハンドルWのリング面RFに沿って広く展開されることとなる。このバッグ本体21の膨張初期に、インフレーター11から吐出される膨張用ガスGは、バッグ本体21の後部側の領域では、整流用部材32における後側ガス流出口36Bから、後方に向かうように、バッグ本体21内に流入することから、運転者MDの腹部MAとリング部Rとの間に、バッグ本体21を迅速に進入させることができて、運転者MDの腹部MAを迅速に保護することができる。また、バッグ本体21の前部側の領域においては、
図10に示すように、インフレーター11から吐出される膨張用ガスGは、整流用部材32における左側ガス流出口36L,右側ガス流出口36Rから、左方と右方とに向かうように流入することとなる。すなわち、インフレーター11から吐出される膨張用ガスGが、バッグ本体21内に、整流用部材32から前方に向かうように流入することを抑制できることから、運転者MDが頭部MHをハンドルWに近接させて着座している状態であっても、バッグ本体21が、運転者MDの頭部MHの左右の両側にずれるように突出することとなって、運転者MDの頭部MH(詳細には顎下)に直接的に向かって突出するように膨張することを、抑制できて、頭部MHを後屈させるように押圧することを抑制できる。そのため、実施形態のエアバッグ装置M1では、運転者MDがハンドルWに近接して着座している状態であっても、整流用部材32によって、バッグ本体21内への膨張用ガスの流入を的確に制御することができて、膨張するエアバッグ20によって運転者MDを円滑に保護することができる。
【0042】
また、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、整流用部材32の結合部位34が、バッグ本体21の展開膨張時に、収納部位としてのケース12から突出した自由空間側の領域(具体的には、ケース12における周壁部12bの上端12dより上方となる位置)に配置されるように、構成されている(
図11,12参照)。そのため、バッグ本体21の展開膨張時に、ガス流出口36が、ケース12から突出した自由空間側の領域(ケース12より上方の領域)に配置されることとなり、ガス流出口36から流出される膨張用ガスGを、ケース12の周壁部12bの影響を受けず、一層、リング面RFに略沿うように、安定して流出させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、整流用部材の結合部位を、バッグ本体の展開膨張時に、ケースにおける周壁部の上端と略同等、あるいは、周壁部の上端よりも下方となる位置に、配置させるように、構成してもよい。
【0043】
さらに、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、運転者側パネル50が、平らに展開した状態での略中央(中心点C2)から結合部位34を形成される結合予定部53aまでの距離D1を、平らに展開した状態での車体側パネル38における略中央(中心点C1)から結合部位34を形成される結合予定部45aまでの距離D2よりも、大きな寸法とするように、構成されている。そのため、実施形態のエアバッグ装置M1では、流入用開口24(車体側パネル38における開口部39であって、実施形態の場合、インフレーター11の本体部11a)の運転者MD側(上方)を、運転者側パネル50によって広く覆うことができ、流入用開口24から流入する(実施形態の場合、本体部11aのガス吐出口11bから吐出される)膨張用ガスGを、運転者MD側を広く覆う運転者側パネル50によって、的確に偏向させることが可能となる(リング面RFに接近させる下向き方向に偏向させることが可能となる)。その結果、膨張用ガスGを、ガス流出口36を経て、一層安定して、リング面RFに略沿うように流出させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、運転者側パネルを、外形寸法を車体側パネルと略同一とし、平らに展開した状態での略中央から結合予定部までの距離を、平らに展開した状態での車体側パネルにおける略中央から結合予定部までの距離と略同一とするように、構成してもよい。
【0044】
さらにまた、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、運転者側パネル50における非結合領域側縁部55(55B,55L,55R)が、運転者側パネル50を平らに展開した状態において、周長を長くするように、両側の結合部位34の端末34a(結合予定部53aの端末53b)相互を結ぶ直線PL2よりも内側に向かって凹むような円弧を、2つ並設させる形状に、構成されている。具体的には、実施形態では、非結合領域側縁部55は、2つの円弧状の湾曲部55a,55bと、湾曲部55a,55b間を連結する略直線状の連結部55cと、を有して、連結部55cを、上記直線PL2よりも内側に位置させるように、構成されている。そのため、流入用開口24(開口部39)から流入する膨張用ガスGを内部に流入させて膨張した状態の整流用部材32において、ガス流出口36の周縁(上縁36a)を構成する非結合領域側縁部55が、ガス流出口36の開口を狭めるように垂れ下がるような(上縁36aの中央を下縁36b側に接近させるような)態様となることを抑制できて、ガス流出口36を、広く開口させることができ、ガス流出口36から、バッグ本体21内に迅速に膨張用ガスを流出させることができる。実施形態のエアバッグ装置M1では、各ガス流出口36の上縁36aを構成する非結合領域側縁部55は、バッグ本体21の膨張初期における整流用部材32の膨張時に、
図8に示すように、略円弧状に配置されて、ガス流出口36を安定して大きく開口させることとなる。特に、実施形態では、非結合領域側縁部55が、円弧状の湾曲部55a,55bの間を、直線状の連結部55cによって連結させていることから、この連結部55cを配設させる分だけ、運転者側パネル50の面積を広く確保することができて、膨張用ガスGを受ける面積を増大させることができる。勿論、非結合領域側縁部としては、後述する運転者側パネル110における被結合領域側縁部115L,115Rのごとく、連結部を間に挟まずに、2つの円弧を直接連結させたような形状としてもよい。
【0045】
ちなみに、
図7のBの二点鎖線に示すように、非結合領域側縁部55´を、単に、内側に凹むような1つの円弧状に湾曲させた場合には、この非結合領域側縁部55´近傍の部位は、整流用部材32の膨張時に、
図8の二点鎖線に示すように、中央側を下縁側に接近させるように垂れ下がることとなり、ガス流出口を安定して大きく開口できない。勿論、このような点を考慮しなければ、非結合領域側縁部を、上記形状としなくともよく、例えば、内側に凹むような1つの円弧状に湾曲させた形状や、あるいは、略直線状に、構成してもよい。
【0046】
さらにまた、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、結合部位34が、平らに展開した車体側パネル38の外周縁43側で、円弧状とせずに、略直線状に形成される構成であることから、結合部位34付近に膨張用ガスが一旦溜まることを抑制できて、ガス流出口36から、一層迅速に、膨張用ガスを流出させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、車体側パネルを平らに展開した状態で、結合部位(結合予定部)を、外方に向かって突出するように円弧状に湾曲させる構成としてもよく、さらには、内方に向かって突出するように円弧状に湾曲させる構成としてもよい。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態であるエアバッグ装置M2について、説明をする。第2実施形態のエアバッグ装置M2は、
図13に示すような略四角環状のリング部RAを有するハンドルWAに搭載されている。リング部RAは、具体的には、直進操舵状態における前後方向側の幅寸法を左右方向側の幅寸法よりも小さく設定されて、上方側から見て、横長の略四角環状とされている。ハンドルWAは、
図13,14に示すように、ハンドル本体1Aと、ハンドル本体1Aの中央のボス部BAの上部に配置されるエアバッグ装置M2と、を備えている。ハンドルWAにおけるエアバッグ装置M2以外の部材、すなわち、ハンドル本体1Aは、リング部RAの形状以外は、前述のハンドルWと略同一の構成であることから、同一の部材の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。なお、ハンドルWAでは、前側の左右のスポーク部SAは、リング部RAの前側の領域も構成している。
【0048】
エアバッグ装置M2は、
図14に示すように、折り畳まれて収納されるエアバッグ80と、エアバッグ80に膨張用ガスを供給するインフレーター11Aと、エアバッグ80とインフレーター11Aとを収納して保持する収納部位としてのケース12A(バッグホルダ)と、折り畳まれたエアバッグ80を覆うエアバッグカバー14Aと、エアバッグ80とインフレーター11Aとをケース12Aに取り付けるリテーナ10Aと、を備えている。エアバッグ装置M2において、エアバッグ80以外の部材は、前述のエアバッグ装置M1と同様の部材であることから、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。
【0049】
エアバッグ80は、
図15,21に示すように、袋状のバッグ本体81と、バッグ本体81内に配置される整流用部材92と、バッグ本体81の膨張完了形状を規制するテザー120と、を備えている。
【0050】
バッグ本体81は、
図13,14の二点鎖線及び
図21に示すように、膨張完了形状を、上方から見てリング部RA全体を覆い可能な略円形とし、側方から見て、前部側の厚さ寸法を、後部側の厚さ寸法より大きくした略滴形状とするように構成されている。バッグ本体81は、膨張完了時に運転者MD側に配置される運転者側壁部88と、ハンドルWA側に配置される車体側壁部83と、を備えている。運転者側壁部88は、エアバッグ80の膨張完了時に、リング面RFAに対して傾斜して、略上下方向に沿うように、配置されることとなる(
図21参照)。車体側壁部83には、前述のバッグ本体21と同様に、膨張用ガスを内部に流入可能に略円形に開口した流入用開口84と、リテーナ10Aの図示しないボルトを挿通させるための4つの取付孔85と、が、形成されている(
図16参照)。また、車体側壁部83には、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気するベントホール86も、形成されている。
【0051】
このバッグ本体81は、
図16に示すように、運転者側壁部88を構成する運転者側パネル135と、車体側壁部83を構成する車体側パネル130と、から形成されている。車体側パネル130は、流入用開口84を有した後側部材132と、ベントホール86を有した前側部材131と、の2部材から構成されている。運転者側パネル135は、平らに展開した外形形状を、略楕円形状として、前縁135aと後縁135bとを、曲率を異ならせた略円弧状とされている。詳細には、運転者側パネル135は、後縁135bを、前縁135aよりも曲率を大きく設定されている。車体側パネル130を構成する後側部材132と前側部材131とは、ともに、平らに展開した外形形状を略楕円形状として構成され、それぞれ、左右方向側の幅寸法を、運転者側パネル135の左右方向側の幅寸法と一致させるように、構成されている。前側部材131は、前縁131aと後縁131bとを、曲率を異ならせた略円弧状として、後縁131bを、前縁131aよりも曲率を大きく設定されている。この前側部材131における後縁131bは、運転者側パネル135の前縁135aと湾曲状態を一致させて構成されている。後側部材132は、詳細には、前縁132aと後縁132bとを、曲率を異ならせた略円弧状として、後縁132bを、前縁132aよりも曲率を大きく設定されるとともに、流入用開口84を、前後の中央よりも前側に配置させている。この後側部材132において、前縁132aは、前側部材131の前縁131aと湾曲状態を一致させて構成され、後縁132bは、運転者側パネル135の後縁135bと湾曲状態を一致させて構成されている。そして、バッグ本体81は、前側部材31と後側部材132との前縁131a,132a相互を縫着させ、運転者側パネル135の前縁135aを前側部材131の後縁131bと縫着させ、後縁135bを後側部材132の後縁132bと縫着させることにより、袋状とされている。バッグ本体81を構成する運転者側パネル135及び車体側パネル130(前側部材131,後側部材132)は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から、形成されている。
【0052】
整流用部材92は、バッグ本体81内において、流入用開口84を覆うように配置されて、インフレーター11Aから吐出される膨張用ガスGを整流してバッグ本体81内に流出させるもので(
図21参照)、前述のエアバッグ20における整流用部材32と同様に、インフレーター11Aから吐出される膨張用ガスを、リング部RAのリング面RFAに略沿うとともに、ハンドルWAの直進操舵状態における左方、右方、及び、後方の三方に流出可能に、3つのガス流出口(左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96R,後側ガス流出口96B)を、備える構成とされている。整流用部材92は、共に可撓性を有したシート体から形成されて、ハンドルWA側に配置される車体側パネル98と、運転者MD側に配置される運転者側パネル110と、の外周縁相互を部分的に結合(縫着)させて構成されるもので、外周縁92a側に、車体側パネル98と運転者側パネル110との対応する縁部相互を結合させる結合部位94(前側結合部位94F,後左側結合部位94L,後右側結合部位94R)と、結合部位94間の非結合領域95から構成されるガス流出口96(左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96R,後側ガス流出口96B)と、を配設させる構成である(
図15参照)。整流用部材92を構成する運転者側パネル110及び車体側パネル98は、バッグ本体81と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から、形成されている。
【0053】
ハンドルWA側に配置される車体側パネル98は、実施形態の場合、平らに展開した状態での外形形状を、
図17及び
図18のAに示すように、前縁を左右方向に略沿わせたような略六角形状として、バッグ本体81の流入用開口84に対応する開口部99と、開口部99から連なる平面部102と、を有している。開口部99は、車体側パネル98を平らに展開した状態で、略中央となる位置に、配置されている。実施形態の整流用部材92は、開口部99の周縁を、後述するテザー120を構成するテザー用基材122の取付側部位123とともに、バッグ本体81の流入用開口84の周縁に縫着されて、開口部99の周縁を、流入用開口84の周縁とともに、リテーナ10Aを用いて、ケース12Aに取り付けられる構成である。開口部99の周縁には、バッグ本体81に形成される取付孔85に対応して、リテーナ10Aの図示しないボルトを挿通可能な取付孔100が、形成されている。また、車体側パネル98は、平面部102の外周縁103側(車体側パネル98自体の外周縁側)に、運転者側パネル110の対応する外周縁111に結合される3つの結合部位94と、結合部位94間の3つの非結合領域95と、を配設させる構成とされている。すなわち、車体側パネル98の外周縁103は、運転者側パネル110を非結合の状態で、結合部位94を形成されることとなる3つの結合部位側縁部105(105F,105L,105R)と、非結合領域95(すなわち、ガス流出口96の縁部)を構成する3つの非結合領域側縁部107L,107R,108と、を備える構成とされている(
図18のA参照)。
【0054】
結合部位側縁部105(105F,105L,105R)は、車体側パネル98の外周縁103において、前側結合部位94Fを形成されることとなる前側と、後左側結合部位94L及び後右側結合部位94Rをそれぞれ形成されることとなる後左側及び後右側と、の領域から構成されるもので、それぞれ、略直線状に形成されている。車体側パネル98を平らに展開した状態で、前側の結合部位側縁部105Fは、左右方向に略沿った略直線状として形成され、後左側及び後右側の結合部位側縁部105L,105Rは、前後の方向に対して傾斜した略直線状として形成されている。実施形態では、後左側と後右側との結合部位側縁部105L,105Rは、開口部99の中心(車体側パネル98の中央)である中心点C3を通る前後方向に沿った直線TL1を基準として線対称形とされている。実施形態では、前側に配置される結合部位側縁部105Fは、幅寸法(長さ寸法L4)を、後左側,後右側に配置される結合部位側縁部105L,105Rの幅寸法(長さ寸法L3)より、僅かに大きく設定されている(
図18のA参照)。また、この車体側パネル98では、平らに展開した状態での略中央(中心点C3)から後左側と後右側との結合部位側縁部105L,105Rにおける結合予定部105aまでの距離D3と、中心点C3から前側の結合部位側縁部105Fにおける結合予定部105aまでの距離D4と、を異ならせる構成とされており、距離D3は、距離D4よりも僅かに大きく設定されている(
図18のA参照)。
【0055】
非結合領域側縁部107L,107R,108は、各結合部位側縁部105間の領域から構成されるもので、すなわち、具体的には、平らに展開した状態の車体側パネル98の外周縁において、それぞれ、後側と、前左側と、前右側と、の領域から、構成されている。非結合領域側縁部107L,107R,108は、各ガス流出口96(左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96R,後側ガス流出口96B)の開口の周縁における下縁96b側を構成している(
図15参照)。実施形態では、前左側と前右側との非結合領域側縁部107L,107Rは、中心点C3を通る前後方向に沿った直線TL1を基準として線対称形とされており、車体側パネル98を平らに展開した状態で、両側の結合部位94(結合予定部105a)の端末94a(105b)相互を結ぶ直線PL3よりも内側に向かって凹むような略円弧状に湾曲されている(
図18のA参照)。後側に配置される非結合領域側縁部108は、実施形態の場合、車体側パネル98を平らに展開した状態で、両側の結合部位94(結合予定部105a)の端末94a(105b)相互を結ぶ直線PL4よりも僅かに外方に向かって突出するように、曲率の小さな略円弧状に、僅かに湾曲されている(
図18のA参照)。実施形態の場合、前左側,前右側の非結合領域側縁部107L,107Rは、幅寸法W3(上記直線PL3の長さ寸法)を、後側の非結合領域側縁部108の幅寸法W4(上記直線PL3の長さ寸法)よりも、小さく設定されており、具体的には、非結合領域側縁部108の幅寸法W4の4/9程度に、設定されている。また、実施形態の場合、非結合領域側縁部107L,107R,108の幅寸法W3,W4は、結合部位側縁部105L,105R,105Bの長さ寸法L3,L4よりも、小さく設定されている(
図18のA参照)。
【0056】
運転者MD側に配置される運転者側パネル110は、実施形態の場合、外形寸法を車体側パネル98よりも大きく設定されて、平らに展開した状態での外形形状を、前縁を左右方向に略沿わせたような略六角形状とされている(
図17参照)。運転者側パネル110の外周縁111は、
図18のBに示すように、車体側パネル98の外周縁103に形成される結合部位側縁部105(105F,105L,105R),非結合領域側縁部107L,107R,108に対応して、結合部位94を形成されることとなる3つの結合部位側縁部113(113F,113L,113R)と、非結合領域95(すなわち、ガス流出口96の縁部)を構成する3つの非結合領域側縁部115L,115R,116と、を備える構成とされている。
【0057】
結合部位側縁部113(113F,113L,113R)は、運転者側パネル110の外周縁111において、前側結合部位94Fを形成されることとなる前側と、後左側結合部位94L及び後右側結合部位94Rをそれぞれ形成されることとなる後左側及び後右側と、の領域から構成されるもので、それぞれ、略直線状に形成されている。具体的には、運転者側パネル110を平らに展開した状態で、前側の結合部位側縁部113Fは、左右方向に略沿った略直線状として形成され、後左側及び後右側の結合部位側縁部113L,113Rは、前後方向に対して傾斜した略直線状として形成されている。実施形態では、後左側と後右側との結合部位側縁部113L,113Rは、平らに展開した状態の車体側パネル98における前後左右の略中央である中心点C4を通る前後方向に沿った直線TL2を基準として線対称形とされている(
図18のB参照)。実施形態では、前側に配置される結合部位側縁部113Fは、
図18のBに示すように、幅寸法(長さ寸法L6)を、後左側と後右側とに配置される結合部位側縁部113L,113Rの幅寸法(長さ寸法L5)より、僅かに大きく設定されている。これらの結合部位側縁部113F,113L,113Rの長さ寸法L5,L6は、それぞれ、車体側パネル98の対応する結合部位側縁部105F,105L,105Rの長さ寸法L3,L4と略同一に、設定されている。さらに、この運転者側パネル110では、平らに展開した状態での略中央(中心点C4)から後左側と後右側との結合部位側縁部113L,113Rにおける結合予定部113aまでの距離D5と、中心点C4から前側の結合部位側縁部113Fにおける結合予定部113aまでの距離D6と、を異ならせる構成とされており、距離D5は、距離D6よりも僅かに大きく設定されている(
図18のB参照)。
【0058】
非結合領域側縁部115L,115R,116は、各結合部位側縁部113間の領域から構成されるもので、平らに展開した状態の運転者側パネル110の外周縁111において、それぞれ、後側と、前左側と、前右側と、の領域から、構成されている。各非結合領域側縁部115L,115R,116は、各ガス流出口96(左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96R,後側ガス流出口96B)の開口の周縁における上縁96a側を構成している。実施形態では、前左側と前右側との非結合領域側縁部15L,115Rは、
図18のBに示すように、中心点C4を通る前後方向に沿った直線TL2を基準として線対称形とされている。これらの非結合領域側縁部115L,115Rは、運転者側パネル110を平らに展開した状態で、周長を長くするように、両側の結合部位94(結合予定部113a)の端末94a(113b)相互を結ぶ直線PL5よりも内側に向かって凹むような円弧を、2つ並設させる形状に、構成されている。詳細には、各非結合領域側縁部115L,115Rは、内側に凹むような2つの略円弧状の湾曲部115a,115bを、有し、かつ、この湾曲部115a,115b相互の交点115cを、直線PL5よりも内側に位置させるような形状として、緩やかに連結される凹状の円弧状に構成されている。後側に形成される非結合領域側縁部116も、同様に、運転者側パネル110を平らに展開した状態で、周長を長くするように、両側の結合部位94(結合予定部113a)の端末94a(113b)相互を結ぶ直線PL6よりも内側に向かって凹むような円弧を、2つ並設させる形状に、構成されている。詳細には、非結合領域側縁部116は、内側に凹むような2つの略円弧状の湾曲部116a,116bと、湾曲部116a,116b間を連結する略直線状の連結部116cと、を有して、連結部116cを、上記直線PL6と略一致した位置に配置させるように、構成されている。前左側,前右側に配置される非結合領域側縁部115L,115Rは、
図18のBに示すように、幅寸法W5(上記直線PL5の長さ寸法)を、車体側パネル98において対応する非結合領域側縁部107L,107Rの幅寸法W3よりも大きく設定されており、具体的には、非結合領域側縁部107L,107Rの幅寸法W3の2倍程度に、設定されている。後側に配置される非結合領域側縁部116は、幅寸法W6(上記直線PL6の長さ寸法)を、車体側パネル98において対応する非結合領域側縁部108の幅寸法W4よりも大きく設定されており、具体的には、非結合領域側縁部108の幅寸法W4の7/5程度に、設定されている。また、前左側,前右側の非結合領域側縁部115L,115Rは、幅寸法W5を、後側の非結合領域側縁部116の幅寸法W6よりも、小さく設定されており、具体的には、非結合領域側縁部116の幅寸法W6の5/9程度に、設定されている。さらに、実施形態の場合、前左側,前右側の非結合領域側縁部115L,115Rの幅寸法W5は、結合部位側縁部113F,113L,113Rの長さ寸法L5,L6よりも、小さく設定され、後側の非結合領域側縁部116の幅寸法W6は、結合部位側縁部113F,113L,113Rの長さ寸法L5,L6よりも、大きく設定されている。
【0059】
運転者側パネル110は、外形寸法を、車体側パネル98よりも大きく設定されている。詳細には、運転者側パネル110では、平らに展開した状態での略中央(中心点C4)から前側結合部位94Fを形成される結合予定部113aまでの距離D6が、平らに展開した状態での車体側パネル98における開口部の中心(中心点C3)から対応する前側結合部位94Fを形成される結合予定部105aまでの距離D5よりも、大きな寸法となるように、構成されている(
図18のA,B参照)。また、運転者側パネル110では、平らに展開した状態での中心点C4から後左側結合部位94L,後右側結合部位94Rを形成される結合予定部113aまでの距離D5も、平らに展開した状態での車体側パネル98における中心点C3から後左側結合部位94L,後右側結合部位94Rを形成される結合予定部105aまでの距離D3よりも、大きな寸法に、設定されている。具体的には、距離D6は、距離D4の5/3程度に設定され、距離D5は、距離D3の5/4程度に設定されている。また、実施形態の整流用部材92においても、車体側パネル98における中心点C3から結合予定部105a(結合部位94)までの距離D3,D4は、バッグ本体81の展開膨張時に、結合部位94を、ケース12Aから突出した自由空間側の領域(ケース12Aにおける周壁部12bの上端12dよりも上方)に配置させるような寸法に、設定されている(
図21参照)。
【0060】
この整流用部材92も、車体側パネル98における各結合部位側縁部105(105F,105L,105R)を、運転者側パネル110における対応する結合部位側縁部113(113F,113L,113R)に重ねて、結合予定部105a,113aの部位を、縫合糸を用いて縫着させることにより、略直線状の結合部位94(94F,94L,94R)を形成すれば、製造することができる。整流用部材92においても、3つのガス流出口96(後側ガス流出口96B,左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96R)が、結合部位94間の非結合領域95の部位から、構成される。この整流用部材92では、前左側と前右側とに配置される各非結合領域側縁部107L,107R,115L,115Rが、左右対称形とされており、左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96Rは、外形形状を略同一に設定され、開口面積を略同一とされている。そして、車体側パネル98において後側に配置される非結合領域側縁部108は、幅寸法W4を、前左側,前右側に配置される各非結合領域側縁部107L,107Rの幅寸法W3の9/4程度に、大きく設定され、運転者側パネル110において後側に配置される非結合領域側縁部116は、幅寸法W6を、前左側,前右側に配置される各非結合領域側縁部115L,115Rの幅寸法W5の9/5程度に、大きく設定されている。すなわち、後側ガス流出口96Bは、左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96Rよりも開口面積を大きく設定される構成である。実施形態の場合、後側ガス流出口96Bは、開口面積を、左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96Rの3倍程度(すなわち、左側ガス流出口96Lと右側ガス流出口96Rとの開口面積の和よりも大きく)に、設定されている。
【0061】
バッグ本体81の膨張完了形状を規制するテザー120は、車体側壁部83における流入用開口84の周縁と、運転者側壁部88の中央付近とを、を連結するように配置されて、膨張完了時に、運転者側壁部88の中央付近と流入用開口84周縁との離隔距離を規制するもので、実施形態の場合、流入用開口84の前左側,前右側,後左側,後右側となる4箇所に、形成されている。テザー120は、
図17に示すように、車体側壁部83側に配置されるテザー用基材122と、運転者側壁部88側に配置される4枚のテザー構成体126と、から、構成されている。テザー用基材122は、車体側壁部83に結合される略円形の取付側部位123と、取付側部位123の外周縁から延びて各テザー構成体126と連結される4つのテザー構成部124と、を備える構成とされている。テザー120を構成するテザー用基材122及びテザー構成体126は、バッグ本体81及び整流用部材92と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から、形成されている。
【0062】
第2実施形態のエアバッグ80は、第1実施形態のエアバッグ20と同様の手順で製造することができ、また、同様の手順で、車両に搭載することができる。
【0063】
第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、バッグ本体81内に配設される整流用部材92が、可撓性を有したシート体からなる車体側パネル98と運転者側パネル110との外周縁103,111相互を部分的に結合させて構成されており、具体的には、整流用部材92を構成する車体側パネル98は、バッグ本体81の流入用開口84に対応する開口部99から連なるように形成される平面部102の外周縁103側に、運転者側パネル110の対応する外周縁111に結合される3つの結合部位94と、結合部位94間の3つの非結合領域95と、を配設させる構成とされている。すなわち、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、整流用部材92は、シート状の車体側パネル98と運転者側パネル110との外周縁103,1111相互のみを部分的に結合させることにより形成されて、外周縁103,111相互を結合させて構成される結合部位94間の隙間(非結合領域95)を、膨張用ガスを流出させるためのガス流出口96として、構成されていることから、車体側部材を立体形状としている従来の整流用部材と比較して、簡便な構成とすることができ、また、バッグ本体81とともに折り畳まれて収納される折畳収納時の嵩張りも、抑制することができる。そのため、エアバッグ80をコンパクトに折り畳むことができる。
【0064】
したがって、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、内部に配置される整流用部材92を簡便な構成にできて、エアバッグ80を、収納部位としてのケース12A内にコンパクトに収納させることができる。
【0065】
また、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、整流用部材92の結合部位94が、
図21に示すように、バッグ本体81の展開膨張時に、ケース12Aから突出した自由空間側の領域(ケース12Aにおける周壁部12bの上端12dより上方となる位置)に配置されるように、構成されていることから、バッグ本体81の展開膨張時に、ガス流出口96が、ケース12Aから突出した自由空間側の領域(ケース12Aより上方の領域)に配置されることとなり、ガス流出口96から流出される膨張用ガスGを、ケース12Aの周壁部12bの影響を受けず、リング面RFAに略沿うように、安定して流出させることができる。
【0066】
さらに、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、運転者側パネル110が、平らに展開した状態での略中央(中心点C4)から結合部位94を形成される結合予定部113aまでの距離D5,D6を、平らに展開した状態での車体側パネル98における略中央(中心点C3)から結合部位94を形成される結合予定部105aまでの距離D3,D4よりも、大きな寸法とするように、構成されている。そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、流入用開口84(車体側パネル98における開口部99であって、実施形態の場合、インフレーター11Aの本体部11a)の運転者MD側(上方)を、運転者側パネル110によって広く覆うことができ、流入用開口84から流入する膨張用ガスGを、運転者MD側を広く覆う運転者側パネル110によって、的確に偏向させることが可能となり(リング面RFAに接近させる下向き方向に偏向させることが可能となり)、ガス流出口96を経て、一層安定して、リング面RFAに略沿うように流出させることができる。
【0067】
さらにまた、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、運転者側パネル110における非結合領域側縁部115L,115R,116が、運転者側パネル110を平らに展開した状態において、周長を長くするように、それぞれ、両側の結合部位94の端末94a(結合予定部113aの端末113b)相互を結ぶ直線PL5,PL6よりも内側に向かって凹むような円弧を、2つ並設させる形状に、構成されている。そのため、流入用開口84(開口部99)から流入する膨張用ガスGを内部に流入させて膨張した状態の整流用部材92において、ガス流出口96の周縁(上縁96a)を構成する非結合領域側縁部115L,115R,116が、ガス流出口96の開口を狭めるように垂れ下がるような態様となることを抑制できて、ガス流出口96を、広く開口させることができ、ガス流出口96から、バッグ本体81内に迅速に膨張用ガスを流出させることができる。
【0068】
さらにまた、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、結合部位94が、平らに展開した車体側パネル98の外周縁103側で、円弧状とせずに、略直線状に形成される構成であることから、結合部位94付近に膨張用ガスが一旦溜まることを抑制できて、ガス流出口96から、一層迅速に、膨張用ガスを流出させることができる。
【0069】
さらにまた、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、整流用部材92は、後方に膨張用ガスを流出可能な後側ガス流出口96Bの開口面積を、左方に膨張用ガスを流出可能な左側ガス流出口96Lと、右方に膨張用ガスを流出可能な右側ガス流出口96Rと、の開口面積の和よりも大きくするように、構成されている。実施形態の場合、後側ガス流出口96Bの開口面積は、各左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96Rの開口面積の3倍程度に、設定されている。そのため、エアバッグ80の膨張初期に、バッグ本体81における後端側の領域に、一層迅速に膨張用ガスを流入させることが可能となり、運転者MDの腹部MAとリング部RAとの間に、バッグ本体81を、一層迅速に進入させることができる。
【0070】
具体的には、第2実施形態のエアバッグ装置M2は、前述のエアバッグ装置M1を搭載させるハンドルWのリング部Rと比較して、直進操舵時における前側の領域と後側の領域とを取り除かれたような横長の略四角環状のリング部RAを有するハンドルWAに、搭載される構成である。この第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、整流用部材92のガス流出口96は、膨張用ガスGを、ハンドルWAの直進操舵状態における左方、右方、及び、後方の三方において、それぞれ、リング部RAのリング面RFAに略沿うように流出可能に、3つ配設されている。そして、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、上述したごとく、後側ガス流出口96Bが、開口面積を、左側ガス流出口96Lと右側ガス流出口96Rとの開口面積の和よりも大きくするように、構成されていることから、エアバッグ80の膨張初期に、バッグ本体81の後方側に迅速に膨張用ガスを流入させることができ、後側ガス流出口96Bから、リング部RAのリング面RFAに略沿うように、後方に向かって流出される膨張用ガスGによって、バッグ本体81の後端側部位81bを、運転者MDの腹部MAとリング部RAの後端側の領域との間に、迅速に進入させることができる。第2実施形態のエアバッグ装置M2を搭載させるハンドルWAは、膨張したエアバッグ80(バッグ本体81)の後端側部位81bを、リング部RAによって支持させ難い構成であるが、リング部RAによる支持がなくとも、迅速に膨張したバッグ本体81の後端側部位81bによって、運転者MDの腹部MAを円滑に保護することができる。
【0071】
また、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、エアバッグ80の膨張初期において、インフレーター11Aから吐出される膨張用ガスは、バッグ本体81内において、運転者MD側に向かわず、リング面RFAに略沿って流出されることから、
図19のAに示すごとく、運転者MDがハンドルWAに接近して着座した状態での作動時に、バッグ本体81が、膨張初期に、運転者MDをダイレクトに上方へ押圧せず、バッグ本体81は、まず、内部に膨張用ガスを流入させて、
図19のBに示すように、運転者MDとハンドルWAとの間に進入するように、ハンドルWAのリング面RFAに沿って広く展開されることとなる。このバッグ本体81の膨張初期に、バッグ本体81の前部側の領域においては、インフレーター11Aから吐出される膨張用ガスGは、
図20に示すように、整流用部材92における左側ガス流出口96L,右側ガス流出口96Rから、左方と右方とに向かうように流入することとなる。すなわち、インフレーター11Aから吐出される膨張用ガスが、バッグ本体81内に、整流用部材92から前方に向かうように流入することを抑制できることから、運転者MDが頭部MHをハンドルWAに近接させて着座している状態であっても、バッグ本体81が、運転者MDの頭部MHの左右の両側にずれるように突出することとなって、運転者MDの頭部MHに向かって直線的に突出するように膨張することを、抑制でき、頭部MHを後屈させるように押圧することを、抑制できる。第2実施形態のエアバッグ装置M2では、バッグ本体81の前端側部位81aは、頭部MHの左右両側において、左右方向側から、内部に膨張用ガスを流入させるようにして、ハンドルWAにおけるリング部RAよりも下方に進入するように膨張することとなり(
図19のB参照)、後端側部位81bよりも厚く膨張する構成であっても、頭部MHを押圧することを極力抑制できる。そのため、第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、運転者MDがハンドルWAに近接して着座している状態であっても、整流用部材92によって、バッグ本体81内への膨張用ガスの流入を的確に制御することができて、膨張するエアバッグ80によって運転者MDを円滑に保護することができる。
【符号の説明】
【0072】
11,11A…インフレーター、12,12A…ケース(収納部位)、20,80…エアバッグ、21,81…バッグ本体、24,84…流入用開口、32,92…整流用部材、34,94…結合部位、34a,94a…端末、35,95…非結合領域、36,96…ガス流出口、38,98…車体側パネル、39,99…開口部、42,102…平面部、43,103…外周縁、45,105…結合部位側縁部、45a,105a…結合予定部、45b,105b…端末、47,107…非結合領域側縁部、50,110…運転者側パネル、51,111…外周縁、53,113…結合部位側縁部、53a,113a…結合予定部、53b,113b…端末、55,115…非結合領域側縁部、B,BA…ボス部、R,RA…リング部、RF,RFA…リング面、W,WA…ハンドル、MD…運転者、M1,M2…ハンドル用エアバッグ装置。