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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/32 20100101AFI20240827BHJP
【FI】
H01L33/32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021140365
(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2023034227
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩一
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-526801(JP,A)
【文献】特開2010-161311(JP,A)
【文献】特開2012-089754(JP,A)
【文献】特開2007-081115(JP,A)
【文献】米国特許第10622518(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に位置するn層と、前記n層上に位置する発光層と、前記発光層上に位置するp層と、前記p層表面から前記n層に達する孔と、前記孔の底面に露出する前記n層と接続するn電極と、を有したIII族窒化物半導体からなる紫外発光の発光素子において、
前記n層は、Al組成比が70%以上のn-AlGaNからなり、
前記n層と前記n電極との間に、前記n層よりもAl組成比の小さなn-AlGaNからなるコンタクト層をさらに有し、
前記コンタクト層は、前記n層と前記n電極の双方に接触し、
前記n電極と前記コンタクト層との接触面積をS1、前記コンタクト層と前記n層との接触面積をS2として、S1/S2は1.02~5である、
ことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
基板と、前記基板上に位置するn層と、前記n層上に位置する発光層と、前記発光層上に位置するp層と、前記p層表面から前記n層に達する孔と、前記孔の底面に露出する前記n層と接続するn電極と、を有したIII族窒化物半導体からなる紫外発光の発光素子において、
前記n層は、Al組成比が70%以上のn-AlGaNからなり、
前記n層と前記n電極との間に、前記n層よりもAl組成比の小さなn-AlGaNからなるコンタクト層をさらに有し、
前記コンタクト層は、前記n層と前記n電極の双方に接触し、
前記n電極と前記コンタクト層との接触面積は、前記コンタクト層と前記n層との接触面積よりも広く、
前記コンタクト層の上面のうち前記孔の上部に当たる領域の上面は、前記p層下面よりも上方に位置している、
ことを特徴とする発光素子。
【請求項3】
基板と、前記基板上に位置するn層と、前記n層上に位置する発光層と、前記発光層上に位置するp層と、前記p層表面から前記n層に達する孔と、前記孔の底面に露出する前記n層と接続するn電極と、を有したIII族窒化物半導体からなる紫外発光の発光素子において、
前記n層は、Al組成比が70%以上のn-AlGaNからなり、
前記n層と前記n電極との間に、前記n層よりもAl組成比の小さなn-AlGaNからなるコンタクト層をさらに有し、
前記コンタクト層は、前記n層と前記n電極の双方に接触し、
前記n電極と前記コンタクト層との接触面積は、前記コンタクト層と前記n層との接触面積よりも広く、
前記コンタクト層は、前記p層の上部または前記孔の側面から前記孔の底面にわたって形成されている、
ことを特徴とする発光素子。
【請求項4】
前記コンタクト層の上面のうち前記孔の上部に当たる領域の上面は、前記p層下面よりも上方に位置している、ことを特徴とする請求項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記n電極と前記コンタクト層との接触面積をS1、前記コンタクト層と前記n層との接触面積をS2として、S1/S2は1.02~5である、ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項6】
前記コンタクト層は、n-GaNからなる、ことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物半導体からなる紫外発光の発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線LEDを殺菌や消毒に使用することが注目されており、紫外線LEDの高効率化に向けた研究、開発が盛んに行われている。
【0003】
従来の紫外線LEDは、サファイア基板上にAlN、n-AlGaN、発光層、p-AlGaN、p-GaNを順に積層し、p-GaN表面側から一部領域をエッチングしてn-AlGaNを露出させ、その露出させたn-AlGaN上にn電極を形成している。
【0004】
特許文献1には、n-AlGa1-xN(0.7≦x≦1.0)とn電極の間に、n-AlGa1-yN(0≦y≦0.5)からなる中間層を設けることにより、n-AlGa1-xNとn電極のコンタクト抵抗を低減することが記載されている。特許文献2にも同様の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-161311号公報
【文献】特開2012-89754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、n-AlGaNのAl組成比が高い場合、特許文献1、2の方法でもn-AlGaNとn電極のコンタクト抵抗を十分に低減することはできず、n電極の面積を広くする必要があった。そのため、n層を露出させるためのエッチング面積を広くする必要があり、発光面積が狭くなってしまい、高効率な素子が実現できなかった。
【0007】
そこで本発明は、III族窒化物半導体からなる紫外発光の発光素子において、n層とn電極との間の抵抗を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板と、基板上に位置するn層と、n層上に位置する発光層と、発光層上に位置するp層と、p層表面からn層に達する孔と、孔の底面に露出するn層と接続するn電極と、を有したIII族窒化物半導体からなる紫外発光の発光素子において、n層は、Al組成比が70%以上のn-AlGaNからなり、n層とn電極との間に、n層よりもAl組成比の小さなn-AlGaNからなるコンタクト層をさらに有し、コンタクト層は、n層とn電極の双方に接触し、n電極とコンタクト層との接触面積をS1、コンタクト層とn層との接触面積をS2として、S1/S2は1.02~5である、ことを特徴とする発光素子である。
また、本発明は、基板と、基板上に位置するn層と、n層上に位置する発光層と、発光層上に位置するp層と、p層表面からn層に達する孔と、孔の底面に露出するn層と接続するn電極と、を有したIII族窒化物半導体からなる紫外発光の発光素子において、n層は、Al組成比が70%以上のn-AlGaNからなり、n層とn電極との間に、n層よりもAl組成比の小さなn-AlGaNからなるコンタクト層をさらに有し、コンタクト層は、n層とn電極の双方に接触し、n電極とコンタクト層との接触面積は、コンタクト層とn層との接触面積よりも広く、コンタクト層の上面のうち孔の上部に当たる領域の上面は、p層下面よりも上方に位置している、ことを特徴とする発光素子である。
また、本発明は、基板と、基板上に位置するn層と、n層上に位置する発光層と、発光層上に位置するp層と、p層表面からn層に達する孔と、孔の底面に露出するn層と接続するn電極と、を有したIII族窒化物半導体からなる紫外発光の発光素子において、n層は、Al組成比が70%以上のn-AlGaNからなり、n層とn電極との間に、n層よりもAl組成比の小さなn-AlGaNからなるコンタクト層をさらに有し、コンタクト層は、n層とn電極の双方に接触し、n電極とコンタクト層との接触面積は、コンタクト層とn層との接触面積よりも広く、コンタクト層は、p層の上部または孔の側面から孔の底面にわたって形成されている、ことを特徴とする発光素子である。
【0009】
本発明において、n電極とコンタクト層との接触面積をS1、コンタクト層とn層との接触面積をS2として、S1/S2は1.02~5であってもよい。
【0010】
本発明において、コンタクト層の上面のうち孔の上部に当たる領域の上面は、p層下面よりも上方に位置していてもよい。
【0011】
本発明において、コンタクト層は、p層の上部または前記孔の側面から孔の底面にわたって形成されていてもよい。
【0012】
本発明において、コンタクト層は、n-GaNであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、AlGaNからなるn層とn電極との間の抵抗を十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の発光素子の構成を示した図。
図2】実施例1の発光素子の製造工程を示した図。
図3】実施例1の発光素子の製造工程を示した図。
図4】実施例1の発光素子の製造工程を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な実施例について、図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1の紫外発光の発光素子の構成を示した図である。発光波長は、たとえば200~280nmである。図1のように、実施例1の発光素子は、基板10と、バッファ層15と、n層11と、発光層12と、p層13と、コンタクト層14と、透明電極16と、n電極17と、p電極18と、反射絶縁膜19と、n側接合電極20と、p側接合電極21と、を有している。
【0017】
(基板10の構成)
基板10は、c面を主面とするサファイアからなる基板である。サファイア以外にも、発光波長に対して透過率が高く、III族窒化物半導体を成長させることができる材料であれば任意の材料を用いてよい。実施例1の発光素子では、基板10裏面側から光が取り出される。
【0018】
(バッファ層15の構成)
バッファ層15は、基板10上に位置している。バッファ層15は、AlNからなる。バッファ層15を設けることにより、半導体層の平坦性、結晶性を改善している。
【0019】
(n層11の構成)
n層11は、バッファ層15上に位置している。n層11は、Al組成比が70%以上のn―AlGaNからなる。n型不純物はSiである。ここでIII族窒化物半導体のAl組成比は、III族金属に対するAlのモル比(%)である。つまり、III族窒化物半導体を一般式AlxGayInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表したとき、Al組成比はx×100(%)である。n層11は複数の層で構成されていてもよい。その場合、n層11の最上層のAl組成比が70%以上であればよい。より好ましいn層11のAl組成比は75~90%、さらに好ましくは80~85%である。
【0020】
(発光層12の構成)
発光層12は、n層11上に位置している。発光層12は、井戸層と障壁層が交互に繰り返し積層されたMQW構造である。繰り返し数はたとえば2~5である。井戸層はAlGaNからなり、そのAl組成比は所望の発光波長に応じて設定される。障壁層は、井戸層よりもAl組成比の大きなAlGaNである。井戸層よりもバンドギャップエネルギーの大きなAlGaInNでもよい。また、発光層12はSQW構造でもよい。
【0021】
(p層13の構成)
p層13は、発光層12上に位置している。p層13は、発光層12の側から順に、p-AlGaN、p-GaNが積層された構造である。p型不純物はMgである。透明電極16と接する最上層をp-GaNとすることで、透明電極16とp層13とのコンタクトを低減している。
【0022】
p層13表面の一部領域には、n層11に達する深さの孔22が複数形成されている。孔22の底面にはn層11が露出している。孔22は周期的に配列されており、たとえばハニカム状や正三角格子状に配列されている。孔22の平面視における形状は、円や正六角形などである。なお、孔22は1つでもよいしメサ状としてもよい。孔22の側面は垂直でも傾斜していてもよい。
【0023】
(透明電極16の構成)
透明電極16は、p層13上に位置している。透明電極16は、ITOからなる。ITO以外にも、IZOなどの透明導電性材料を用いることができる。また、透明電極でなくともよく、Ni/Auなどの電極材料を用いてもよい。ここで「/」は積層を意味し、A/BはA、Bの順に積層された構造であることを意味する。以下材料の説明において同様である。
【0024】
(p電極18の構成)
p電極18は、透明電極16上に位置している。p電極18は、たとえばNi/Au、Ni/Alなどである。
【0025】
(反射絶縁膜19の構成)
反射絶縁膜19は、p電極18上、透明電極16上、p層13上、孔22の側面および底面にわたって連続的に膜状に設けられている。反射絶縁膜19は、素子表面を保護し、発光層12から放射される光を反射させて光取り出しを向上させるものである。反射絶縁膜19は、SiOからなる。SiO以外にも、SiN、SiO/Al/SiOなどを用いることができ、DBRとしてもよい。DBRは、高屈折率層と低屈折率層を所定の厚さで交互に積層させた構造であり、厚さを適切に設定することで所望の波長における反射率を高めた構造である。たとえば、高屈折率層はHfO、低屈折率層はSiOである。この反射絶縁膜19で発光層12から放射される紫外線を基板10側へ反射させることにより、光取り出しを改善している。
【0026】
反射絶縁膜19のうち、孔22底面上部に当たる領域には、複数の孔23が設けられている。孔23は、反射絶縁膜19を貫通している。また、孔23は周期的に配列されており、たとえばハニカム状や正三角格子状に配列されている。孔23の平面視における形状は、円や正六角形などである。孔23の側面は垂直でも傾斜していてもよい。
【0027】
(コンタクト層14の構成)
コンタクト層14は、反射絶縁膜19上に孔22の底面、側面、上面(p層13上部の領域であって側面近傍の領域)に沿って設けられている。側面や上面には設けられていなくともよいが、n電極17とコンタクト層14との接触面積を増加させるため設けることが好ましい。また、コンタクト層14は、孔23の底面や側面に沿って、あるいは孔23を埋めるようにして設けられており、コンタクト層14とn層11は、複数の孔23を介して接している。
【0028】
コンタクト層14は、Siドープのn-GaNからなる。コンタクト層14は、n-GaNに限らず、n層11よりもAl組成比の小さなn-AlGaNでもよい。ただし、n電極17とn層11との抵抗を十分に低減するためになるべくAl組成比を小さくすることが好ましく、より好ましくはAl組成比が10%以下、さらに好ましくはAl組成比が0%、つまりn-GaNである。また、コンタクト層14はAl組成比の異なる複数の層で構成してもよい。
【0029】
コンタクト層14のn型不純物濃度は、たとえば1×1018~1×1021/cmである。この範囲であれば、n電極17とn層11との抵抗を十分に低減することができる。
【0030】
コンタクト層14の厚さは、たとえば1nm~10μmである。コンタクト層14の厚さは均一である必要はなく、平均膜厚がこの範囲であればよい。この範囲とすることで、n電極17とn層11との間の抵抗を十分に低減することができる。より好ましい厚さは10nm~1μm、さらに好ましくは20~500nmである。
【0031】
コンタクト層14の下面はn層11に接触し、上面はn電極17に接触している。コンタクト層14は反射絶縁膜19上に設けられ、孔23の領域以外はn電極17と接していない。一方、n電極17はコンタクト層14上面のほぼ全面に設けられている。そのため、n電極17とコンタクト層14との接触面積は、コンタクト層14とn層11との接触面積よりも広くなっている。
【0032】
コンタクト層14の上面のうち、孔23の上部に当たる領域の上面は、p層13下面よりも上方に位置していることが好ましい。n側接合電極20とp側接合電極21の高さを揃えることが容易となり、実施例1の発光素子をサブマウントに実装した際のサブマウントとの接合強度を高めることができる。
【0033】
実施例1では、上記のようにコンタクト層14が設けられているため、n電極17とn層11の間の抵抗を低減することができる。n電極17とn層11との間の抵抗は、n電極17とコンタクト層14とのコンタクト抵抗と、コンタクト層14自体の抵抗と、コンタクト層14とn層11とのコンタクト抵抗の和となる。ここで、n電極17とコンタクト層14とのコンタクト抵抗については、コンタクト層14の材料としてn-Ganを用い、n電極17とコンタクト層14との接触面積を広く取ることで十分に低減することができる。また、コンタクト層14自体の抵抗については、材料にn-Ganを用いているため低減できている。また、コンタクト層14とn層11とのコンタクト抵抗については、ともにIII族窒化物半導体材料であるため低減できている。したがって、実施例1の発光素子では、n電極17とn層11との間の抵抗について、n電極17とn層11とを直接接触させる場合よりも低減することができる。その結果、発光素子の順方向電圧Vfを低減することができ、素子の信頼性も向上させることができる。
【0034】
また、コンタクト層14とn層11とのコンタクト抵抗が小さいため、コンタクト層14とn層11との接触面積を小さくすることができる。そのため、n層11を露出させるための孔22の面積を小さくすることができ、孔22の形成による発光層12の面積の減少を小さくすることができる。したがって、従来の発光素子よりも発光面積を大きくすることができ、出力の向上を図ることができる。
【0035】
n電極17とコンタクト層14との接触面積をS1、コンタクト層14とn層11との接触面積をS2として、S1/S2は1.02~5とすることが好ましい。n電極17とn層11の間の抵抗をより低減し、出力をより向上させるためである。より好ましくは1.05~3である。
【0036】
(n電極17の構成)
n電極17は、コンタクト層14上に位置している。n電極17は、たとえば、Ti/Al、V、V/Au、V/Al、V/Ti/Al、V/Ti/Au、Ni/Al、などを用いることができる。n電極17は絶縁膜26に覆われている。また、絶縁膜26の所定領域には孔24、25が設けられている。孔24、25は絶縁膜26を貫通しており、その底面にはp電極18、n電極17がそれぞれ露出している。
【0037】
(接合電極の構成)
n側接合電極20は、絶縁膜26上に設けられており、孔25を介してn電極17と接している。p側接合電極21は、絶縁膜26上に設けられており、孔24を介してp電極18と接している。n側接合電極20、p側接合電極21は、たとえばAuからなる。
【0038】
以上、実施例1の発光素子では、n電極17とn層11の間にコンタクト層14を設け、コンタクト層14とn電極17との接触面積を、コンタクト層14とn層11との接触面積よりも広くしている。そのため、n電極17とn層11との間の抵抗を低減することができる。また、発光層12の面積の減少を小さくすることができ、出力の向上を図ることができる。
【0039】
次に、実施例1の発光素子の製造方法について、図を参照に説明する。
【0040】
まず、サファイアからなる基板10上に、MOCVD法によって、AlNからなるバッファ層15、n-AlGaNからなるn層11、発光層12、p-AlGaN/p-GaNからなるp層13を順に積層する(図2(a)参照)。
【0041】
次に、p層13上の所定の領域に、スパッタによってITOからなる透明電極16を形成する(図2(b)参照)。
【0042】
次に、p層13の所定領域をn層11が露出するまでドライエッチングし、孔22を形成する(図2(c)参照)。
【0043】
次に、熱処理を行い、透明電極16を結晶化して低抵抗化するとともに、p層13のMg活性化を行う。
【0044】
次に、反射絶縁膜19をCVD法によって素子上面全面に形成する。そして、反射絶縁膜19の所定領域をエッチングして孔23を形成する(図3(a)参照)。
【0045】
次に、反射絶縁膜19上の所定領域にn-GaNからなるコンタクト層14を形成し、孔23を介してコンタクト層14とn層11を接触させる(図3(b)参照)。成膜にはスパッタ、MBE、PSD、MOCVDなどを用いる。Hによるp層13の不活性化を防止する点からスパッタで成膜することが好ましい。また、パターニングにはドライエッチングを用いる。
【0046】
次に、コンタクト層14上に、蒸着、スパッタなどの方法を用いてn電極17を形成する(図3(c)参照)。
【0047】
次に、反射絶縁膜19の所定領域をエッチングして開口し、その開口に露出する透明電極16上に蒸着、スパッタなどの方法を用いてp電極18を形成する(図4(a)参照)。
【0048】
次に、熱処理を行い、p電極18と透明電極16、およびn電極17とコンタクト層14のコンタクトを改善する。
【0049】
次に、素子上面全体を覆うようにして絶縁膜26を形成する。そして、絶縁膜26の所定領域をエッチングして孔24、25を形成する。次に、絶縁膜26上の所定領域にp側接合電極21、n側接合電極20を形成する(図4(a)参照)。
【0050】
次に、基板10裏面を研磨して薄くし、レーザー、ブレーキングによって個々の素子に分割する。以上によって実施例1の発光素子が製造される。
【0051】
(製造方法の変形例)
実施例1の発光素子は、次のようにして作製してもよい。
【0052】
まず、実施例1と同様にして、基板10上に、バッファ層15、n層11、発光層12、p層13を順に積層する。
【0053】
次に、p層13の所定領域をn層11が露出するまでドライエッチングし、孔22を形成する。
【0054】
次に、反射絶縁膜19をCVD法によって素子上面全面に形成する。そして、反射絶縁膜19の所定領域をエッチングして孔23を形成する。
【0055】
次に、実施例1と同様にして、反射絶縁膜19上の所定領域にコンタクト層14を形成する。
【0056】
次に、コンタクト層14上に、n電極17を形成する。
【0057】
次に、反射絶縁膜19のうちp層13上部の領域をエッチングして開口する。そして、その開口に露出するp層13上に透明電極16を形成する。
【0058】
次に、透明電極16上にp電極18を形成する。
【0059】
次に、熱処理を行う。実施例1では、透明電極16の低抵抗化と、電極のコンタクト改善とで2回の熱処理が必要であったが、変形例では1回の熱処理で済ますことができる。
【0060】
次に、実施例1と同様にして、絶縁膜26、孔24、25を形成し、p側接合電極21、n側接合電極20を形成し、素子分割する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の発光素子は、殺菌、消毒などに用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
10:基板
11:n層
12:発光層
13:p層
14:コンタクト層
15:バッファ層
16:透明電極
17:n電極
18:p電極
19:反射絶縁膜
20:n側接合電極
21:p側接合電極
22~25:孔
図1
図2
図3
図4