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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】空調機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20240827BHJP
【FI】
F24F1/0007 331
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021140814
(22)【出願日】2021-08-31
(62)【分割の表示】P 2021075735の分割
【原出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2021185336
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-01-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】坂野 雄治
(72)【発明者】
【氏名】飯島 竜太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】大澤 直勝
(72)【発明者】
【氏名】市橋 昌志
(72)【発明者】
【氏名】白井 学
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-311691(JP,A)
【文献】特開2016-023850(JP,A)
【文献】特開2014-149134(JP,A)
【文献】特開昭52-095864(JP,A)
【文献】特表2018-526611(JP,A)
【文献】特開2006-105425(JP,A)
【文献】特開2005-156077(JP,A)
【文献】特開2015-034674(JP,A)
【文献】特開2014-092338(JP,A)
【文献】特開2014-190672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路の一部を構成する第1経路と、第2流路の一部を構成する第2経路と、を備える顕熱交換器と、
前記第1流路に設けられる気化フィルタと、
前記気化フィルタに給水する第1給水部と、
前記顕熱交換器の前記第2経路に給水する第2給水部と、
供給水路と、
前記供給水路と連通し、前記供給水路を介して前記第1給水部と前記第2給水部とに水を供給するポンプと、
吹出口と、
前記第2流路を流れる第2空気の流れ方向において、前記顕熱交換器の前記第2経路の出口の下流側に配置されるドレンパンと、
前記顕熱交換器の前記第2経路を含む前記第2流路と、前記ドレンパンから前記吹出口までの前記第2流路と、によって折り返す折返し流路と、
前記第1流路を流れる第1空気の流れ方向において、前記顕熱交換器よりも下流の前記第1流路に設けられる第1ファンと、
前記第2流路を流れる第2空気の流れ方向において、前記折返し流路よりも下流の前記第2流路に設けられるファンモータと、を備え、
前記第1ファンは、前記ファンモータによって駆動される
ことを特徴とする空調機。
【請求項2】
前記供給水路は、第1供給水路と第2供給水路とを含み、
前記第1供給水路は、前記第1給水部と連通し、
前記第2供給水路は、前記第2給水部と連通し、
前記ポンプは、前記第1供給水路を介して前記第1給水部に水を供給し、前記第2供給水路を介して前記第2給水部に水を供給することを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項3】
前記供給水路は、前記第1供給水路と前記第2供給水路とに分岐することを特徴とする請求項2に記載の空調機。
【請求項4】
前記第1供給水路に流れる水の単位時間あたりの流量は、前記第2供給水路に流れる水の単位時間あたりの流量よりも少ないことを特徴とする請求項2に記載の空調機。
【請求項5】
前記空調機は、前記顕熱交換器の下方に配置さるドレンパンを更に備え、
前記ポンプは、前記ドレンパンにて保水される水を前記第1給水部に供給することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項6】
前記空調機は、前記供給水路と連通し、前記第1給水部に供給する水を保持するタンクユニットと、
前記ドレンパンにて保水される水を前記タンクユニットに回収する第2回収水路と、
を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の空調機。
【請求項7】
前記空調機は、前記気化フィルタの下方に設けられ、水を前記タンクユニットに回収する第1回収水路を更に備え、前記ポンプは、前記タンクユニットに保持された水を前記第1給水部と前記第2給水部とに供給することを特徴とする請求項6に記載の空調機。
【請求項8】
前記タンクユニットは、
前記供給水路と前記第2回収水路とに連通する第1タンクと、
前記第1タンクに給水する第2タンクと、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の空調機。
【請求項9】
前記ドレンパンから吹出口までの前記第2流路は、前記顕熱交換器の内部を通過することなく前記吹出口に通じていることを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項10】
前記顕熱交換器の前記第2経路を含む前記第2流路は、前記第2流路を流れる第2空気の流れ方向において、上方から下方に延び、
前記ドレンパンから前記吹出口までの前記第2流路は、前記第2空気の流れ方向において、下方から上方に延びることを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項11】
前記気化フィルタは、前記第1流路を流れる第1空気の流れ方向において前記顕熱交換器よりも下流に設けられることを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項12】
前記第2給水部は複数の給水部であることを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項13】
前記空調機は、前記第2流路を流れる第2空気の流れ方向において、前記顕熱交換器よりも下流の前記第2流路に設けられるファンモータを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項14】
前記空調機は、前記第2流路を流れる第2空気の流れ方向において、前記折返し流路よりも下流の前記第2流路に設けられる第2ファンを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項15】
記第1ファン及び前記第2ファンは、前記ファンモータによって駆動されることを特徴とする請求項14に記載の空調機。
【請求項16】
第1流路の一部を構成する第1経路と、第2流路の一部を構成する第2経路と、を備える顕熱交換器と、
前記第1流路に設けられる気化フィルタと、
前記気化フィルタに給水する第1給水部と、
前記顕熱交換器の前記第2経路に給水する第2給水部と、
供給水路と、
前記供給水路と連通し、前記供給水路を介して前記第1給水部と前記第2給水部とに水を供給するポンプと、
前記第2流路を流れる第2空気の流れ方向において、前記顕熱交換器よりも下流の前記第2流路に設けられるファンモータと、
前記ファンモータによって駆動され、前記第1流路を流れる第1空気の流れ方向において、前記顕熱交換器よりも下流の前記第1流路に設けられる第1ファンと、
前記ファンモータと前記第1ファンとの間に設けられる仕切板と、
を備えることを特徴とする空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を吸い込み、水の気化熱を利用し雰囲気温度を低下させて冷却した空気を、室内に吹き出す気化冷却式の空調機が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の空調機(冷風扇)は、ケーシング内に配置された送風手段と、吸込口と第1吹出口とを連通し、送風手段によって発生した空気流を第1吹出口に導く第1流路と、吸込口と第2吹出口とを連通し、送風手段によって発生した空気流を第2吹出口に導く第2流路と、第2流路に配置され、水の気化熱により第2流路を流れる空気を冷却する気化手段とを備え、第2流路の気化手段によって冷却された空気流と第1流路を流れる空気流との間で熱交換を行う熱交換器が設けられている。気化手段が備えられている第2流路において、気化手段の下流側には、気化手段によって散布された霧状の水(未蒸発の散布水)及び、気化した水(蒸発した散布水)により絶対湿度が増加した空気が流れる。この湿度が増加した空気は、第2流路の出口となる第2吹出口から排気として吹き出される。熱交換器を介して冷却された第1流路を流れる空気流は、第1吹出口から給気として被空調空間に吹き出される。
【0003】
特許文献1の空調機において、送風手段によって送風される第2流路を流れる空気は、顕熱交換器が有する複数のチューブ内を通過し、送風手段によって送風される第1流路を流れる空気は、当該複数のチューブの周りを通過することにより、第2流路を流れる空気と、第1流路を流れる空気とが熱交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-092338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の空調機は、気化手段に含まれる気化フィルタを通過した空気は、顕熱交換器によって室内に供給される空気と熱交換された後、第2吹出口から排気されるため効率的に冷却することができない。
【0006】
発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、冷却能力を向上させることができる空調機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る空調機は、第1吹出口及び第2吹出口を有する筐体と、前記第1吹出口に連通する第1流路と、前記第2吹出口に連通する第2流路と、前記第1流路に流れる第1空気及び、前記第2流路に流れる第2空気を冷却するための水を保持するタンクユニットと、前記タンクユニットに保持された水の気化熱によって第1空気を冷却する冷却ユニットと、前記タンクユニットに保持された水を冷却ユニットに供給するための供給水路と、前記冷却ユニットに残存した水を前記タンクユニットに回収するための回収水路とを備える。
【0008】
本態様にあたっては、冷却ユニットとタンクユニットとは、冷却ユニットに残存した水をタンクユニットに回収するための回収水路によって接続されている。冷却ユニットは、タンクユニットに保持された水を気化させ、当該水の気化熱、すなわち潜熱により第1空気を冷却する。この場合、タンクユニットから冷却ユニットに供給された水の一部は、気化せず液体の状態で冷却ユニットに残存するところ、当該残存した液体の水は、回収水路によって、タンクユニットに回収される。冷却ユニットに残存した水についても、第1空気と同様に気化した水の気化熱によって冷却されるものであり、当該冷却ユニットに残存した水を、タンクユニットに回収することにより、タンクユニット内に保持される水の温度を低下させることができる。このように温度が低下したタンクユニット内の水を用いることにより、冷却ユニットにおける冷却効率を向上させることができる。すなわち、冷却ユニットにおいて発生した気化熱を、当該冷却ユニットに残存した水を冷熱媒体として回収し、再利用することにより、空調機の冷却能力を向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様に係る空調機の前記タンクユニットは、前記供給水路及び前記回収水路に連通している第1タンクと、前記筐体の外部から供給される水を貯水し、前記第1タンクに給水する第2タンクとを含む。
【0010】
本態様にあたっては、タンクユニットは、供給水路及び回収水路に連通している第1タンクと、筐体の外部から供給される水を貯水し、第1タンクに給水する第2タンクとを含む。従って、冷却ユニットに残存した水を回収するにあたり、水が循環される循環経路は、第1タンクを起点及び終点として、第1タンク、供給水路、冷却ユニット、回収水路及び第1タンクの順で形成される。このように第2タンクを循環経路に直接含ませない経路構成とすることにより、第2タンクに貯水される水、すなわち外部から供給される水の水温による水温上昇の影響を低減させ、冷却ユニットにおける冷却効率を更に向上させることができる。
【0011】
本開示の一態様に係る空調機の前記第1タンクの容積は、前記第2タンクの容積よりも小さい。
【0012】
本態様にあたっては、第1タンクの容積は、第2タンクの容積よりも小さいため、第2タンクに貯水される水の水温による影響を低減させ、冷却ユニットにおける冷却効率を更に向上させることができる。
【0013】
本開示の一態様に係る空調機は、前記第1タンク内の水量が所定値以下となった場合、前記第2タンク内の水が、前記第1タンクに給水される。
【0014】
本態様にあたっては、例えば、第2タンクの給水口を、第1タンクにおける所定の水位の場所に配置することにより、第1タンク内の水の水位が所定以下となり、すなわち第1タンク内の水量が所定量以下となった場合、第2タンク内の水は、第1タンクに給水される。第1タンク内の水は、冷却ユニットにて気化した後、第1空気と共に被空調空間に吹き出され、減少するところ、第1タンク内の水量が所定値以下となった場合、第2タンク内の水が、第1タンクに給水される。これにより、第1タンク内の水が不足することによる冷却効率の低下を防止することができる。
【0015】
本開示の一態様に係る空調機の前記第2タンクから前記第1タンクへの一回分の給水量は、前記第1タンクの容積と、前記供給水路及び前記回収水路の流路体積との合計値の半分以下である。
【0016】
本態様にあたっては、第1タンク内の水量が所定値以下となった場合、第2タンク内の所定量の水が、都度、第1タンクに給水される。当該所定量、すなわち第2タンクから第1タンクへの一回分の給水量は、第1タンクの容積と、供給水路及び回収水路の流路体積との合計値の半分以下にしてある。従って、第1タンクと冷却ユニットとの間にて循環する水の温度を比較的低温の状態で安定させることができ、冷却ユニットにおける冷却効率を更に向上させることができる。
【0017】
本開示の一態様に係る空調機の前記第1タンクは、前記冷却ユニットよりも下方に設けられ、前記第1タンクの底面は、前記第2タンクの底面よりも下方に設けられている。
【0018】
本態様にあたっては、冷却ユニットよりも下方に設けられ第1タンクの底面は、第2タンクの底面よりも下方に設けられている。従って、第1タンクと冷却ユニットとの間にて循環する水の循環経路において、最も最下部に第1タンクを設けることにより、重力を利用して、冷却ユニットからの水の回収及び、第2タンクからの水の給水を行うことができる。これにより、回収及び給水のためのポンプを不要として消費電力を低減することができる。
【0019】
本開示の一態様に係る空調機の前記冷却ユニットは、前記タンクユニットから供給された水との熱交換によって第2空気を冷却し、冷却された第2空気と第1空気との間で顕熱交換することにより、第1空気を冷却する顕熱交換器と、前記タンクユニットから供給された水の潜熱によって第1空気を冷却する気化フィルタとを含む。
【0020】
本態様にあたっては、冷却ユニットは、タンクユニットから供給された水の顕熱によって第2空気を冷却し、冷却された第2空気と第1空気との間で顕熱交換することにより、第1空気を冷却する顕熱交換器と、タンクユニットから供給された水の潜熱によって第1空気を冷却する気化フィルタとを含む。従って、顕熱交換器及び気化フィルタの二段階によって第1空気を冷却することができ、第1吹出口から吹き出される第1空気の温度を効率的に低下させることができる。
【0021】
本開示の一態様に係る空調機の前記気化フィルタは、第1空気の流れ方向において前記顕熱交換器よりも下流側に設けられている。
【0022】
本態様にあたっては、第1空気に対する顕熱交換器による冷却能力は、気化フィルタによる冷却能力よりも低いところ、第1空気の流れ方向において、当該気化フィルタを顕熱交換器よりも下流側に設けることにより効率的に第1空気を冷却することができる。すなわち、第1空気の流れ方向において、顕熱交換器及び気化フィルタが、第1流路に設けられるものとなり、まずは顕熱交換器にて第1空気を冷却し、顕熱のみでなく潜熱も交換可能な全熱交換能力を有する気化フィルタによって第1空気を効率的に冷却することができる。
【0023】
本開示の一態様に係る空調機の前記供給水路は、前記気化フィルタに供給する第1供給水路と、前記顕熱交換器に供給する第2供給水路とを含み、前記第2供給水路に流れる水の体積流量は、前記第1供給水路に流れる水の体積流量よりも多い。
【0024】
本態様にあたっては、供給水路は、気化フィルタに供給する第1供給水路と、顕熱交換器に供給する第2供給水路とを含み、第2供給水路に流れる水の体積流量は、第1供給水路に流れる水の体積流量よりも多くしてある。すなわち、単位時間における気化フィルタへの給水量は、顕熱交換器への給水量よりも少ない。従って、第1空気と共に被空調空間に吹き出される水蒸気の量を抑制しつつ、顕熱交換器において顕熱によって第2空気を冷却するための水量を多くすることができ、冷却ユニットにおける冷却効率を更に向上させることができる。
【0025】
本開示の一態様に係る空調機の第2空気の流れ方向において前記顕熱交換器よりも下流側に設けられている前記第2流路は、前記第2流路の流路方向を下方から上方に折り返す気液分離機構を含み、前記気液分離機構の下流側には、第1空気及び第2空気を搬送するためのファンを回転するファンモータが設けられている。
【0026】
本態様にあたっては、顕熱交換器よりも下流側に設けられている第2流路には、第2流路の流路方向を下方から上方に折り返す気液分離機構を含んでいる。従って、タンクユニットから供給された水と第2空気を、気液分離機構によって分離させ、回収水路を介して分離した水を効率的にタンクユニットに回収することができる。気液分離機構の下流側には、第1空気及び第2空気を搬送するためのファンを回転するファンモータが設けられているため、タンクユニットから供給された水と分離された後の第2空気によって、当該ファンモータを冷却することができる。第2空気は、ファンモータより温度が低いためファンモータの冷却能力に優れる。
【0027】
本開示の一態様に係る空調機の前記ファンは、第1空気を搬送する第1ファンと、第2空気を搬送する第2ファンとを含み、前記第1ファン及び前記第2ファンを回転させるファンモータは、前記第1ファン及び前記第2ファンにおいて共用される。
【0028】
本態様にあたっては、ファンは、第1空気を搬送する第1ファンと、第2空気を搬送する第2ファンとを含み、第1ファン及び第2ファンは、単一のファンモータによって回転される。従って、第1ファン及び第2ファンの夫々がファンモータを備えることを不要とし、部品コストの低減、空調機の筐体サイズを小さくし、空調機の軽量化を図ることができる。
【0029】
本開示の一態様に係る空調機は、前記第1ファンと前記第2ファンとの間には、前記第1流路と前記第2流路とを仕切る仕切板が設けられている。
【0030】
本態様にあたっては、第1ファンとファンモータとの間には、第1流路と第2流路とを仕切る仕切板が設けられているため、第2空気でファンモータを冷却しつつ、第1空気と第2空気とが混合することを確実に防止することができる。この構成により第1空気がファンモータの熱により温度上昇するのを防ぐことができる。
【0031】
本開示の一態様に係る空調機の前記気化フィルタの上部には、前記タンクユニットから供給された水を保水し、前記気化フィルタに給水する第1給水部が設けられており、前記第1給水部には、前記気化フィルタに連通する給水孔が設けられており、前記ファンは、第1空気の流れ方向において前記気化フィルタよりも下流側に設けられている。
【0032】
本態様にあたっては、気化フィルタの上部には第1給水部が設けられており、第1給水部には、気化フィルタに連通する給水孔が設けられている。従って、タンクユニットから供給された水を第1給水部によって一旦、保水する。当該保水された水は給水孔を介して、気化フィルタの上部から滴下されて、気化フィルタに給水される。第1空気を搬送するためのファンは、第1空気の流れ方向において気化フィルタよりも下流側に設けられているため、気化フィルタの内部は、大気圧に対し負圧となる。従って、当該負圧を利用することにより、第1給水部に保水された水は給水孔を介して、効率的に気化フィルタに給水される。
【0033】
本開示の一態様に係る空調機の前記顕熱交換器は左右方向と上下方向とに連通し、左右方向の開口部の一端は前記第1流路と連通し、上下方向の下端は前記第2流路と連通しており、前記顕熱交換器の上部には、前記タンクユニットから供給された水を、前記顕熱交換器における第2空気が流れる複数の経路夫々に分流して、前記顕熱交換器に給水する第2給水部が設けられており、前記第2給水部には、前記タンクユニットから供給される水を受ける水受部と、前記水受部から前記複数の経路夫々に向かって放射状に設けられている複数のリブとが、設けられている。
【0034】
本態様にあたっては、顕熱交換器の上部に設けられている第2給水部には、タンクユニットから供給される水を受ける水受部と、水受部から複数の経路夫々に向かって放射状に設けられている複数のリブとが、設けられている。従って、当該タンクユニットから供給される水を、放射状に設けられている複数のリブ夫々によって分流し、分流された水を顕熱交換器における第2空気が流れる複数の経路夫々に滴下させることができる。これにより、顕熱交換器の複数の経路夫々に流れる第2空気と、タンクユニットから供給される水との間における顕熱交換を効率的に行い、当該第2空気に対する冷却効率を向上させることができる。
【0035】
本開示の一態様に係る空調機の前記第2給水部は、第1空気の流れ方向において、前記顕熱交換器における第1空気が流れる前記複数の経路の下流側に設けられている。
【0036】
本態様にあたっては、第2給水部は、第1空気の流れ方向において、顕熱交換器における第1空気が流れる複数の経路の下流側に設けられており、すなわち顕熱交換器における第1空気が流れる経路の入口よりも出口の側に偏倚させて設けられている。顕熱交換器における第1空気が流れる複数の経路において、第2給水部に近接するほど、タンクユニットから供給される水によって温度が低下するところ、第2給水部を下流側、すなわち出口側に設けることにより、当該経路における全域に亘って、第1空気と水との温度差を大きくとることができ、当該第1空気に対する冷却効率を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0037】
空調機の冷却能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施形態1に係る空調機の一構成例を示す模式的側断面図である。
図2】空調機の外観を示す斜視図である。
図3】気化フィルタの一構成例を示す模式的斜視図である。
図4】顕熱交換器の第2給水部の一構成例を示す模式的平面図である。
図5】第2給水部の要部を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(実施形態1)
以下、実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る空調機1の一構成例を示す模式的側断面図である。図2は、空調機1の外観を示す斜視図である。空調機1は、箱状の筐体14を備え、当該筐体14の底部に設けられたキャスター141によって、例えば工場等の被空調空間の床面に載置される。図1に示す空調機1の載置状態を、当該空調機1の通常の使用態様として上下左右を示す。なお、図1は、図2におけるA-A線による断面を、図2上にて右側から模式的に示したものである。
【0040】
空調機1は、水を貯水するタンクユニット7、気化フィルタ21及び顕熱交換器22を含む冷却ユニット2を備え、当該気化フィルタ21によって、タンクユニット7から供給された水の気化熱を用いて雰囲気温度を低下させ、被空調空間を冷却するものであり、例えば気化冷却式の空調機1である。更に空調機1は、顕熱交換器22によって、タンクユニット7から供給された水の主には顕熱を用いて雰囲気温度を低下させ、被空調空間を冷却する。
【0041】
空調機1の筐体14には、被空調空間の空気を吸い込む吸込口3、顕熱交換器22及び気化フィルタ21を含む冷却ユニット2を通過し当該冷却ユニット2によって冷却された空気(第1空気)を被空調空間に給気として吹き出す第1吹出口4及び、顕熱交換器22を通過し水及び第1空気と顕熱交換された空気(第2空気)を排気として吹き出す第2吹出口5が設けられている。
【0042】
第1吹出口4及び第2吹出口5は、筐体14の上面に設けられている。空調機1は、第1空気及び第2空気を搬送するためのファンを備え、当該ファンは、第1空気を搬送する第1ファン61と、第2空気を搬送する第2ファン62とを含む。
【0043】
第1ファン61及び第2ファン62を含むファンは、例えば、シロッコファン等の遠心ファン又は、プロペラファンであってもよい。第1ファン61は、第1吹出口4の近傍に設けられており、第2ファン62は、第2吹出口5の近傍に設けられている。すなわち、空調機1の空気の流れとして、吸込口3を最上流端とし、第1吹出口4及び第2吹出口5を最下流端とした場合、第1ファン61及び第2ファン62は、当該空気の流れ方向において、下流側に設けられている。第1ファン61及び第2ファン62を下流側に設けることにより、これらファンは、いわゆる吸い込みファンとして機能するものとなり、空調機1における空気の流通経路内を負圧に保つことができる。
【0044】
第1ファン61及び第2ファン62は、単一のファンモータ6を共用しており、ファンモータ6の両端の夫々に設けられたシャフト夫々に連結されている。第2ファン62と第1ファン61との間には、仕切板63が設けられている。当該仕切板63によって、第1ファン61によって搬送される第1空気と、第2ファン62によって搬送される第2空気とが、混合することを確実に防止することができる。
【0045】
ファンモータ6は、第2ファン62側に位置している。従って、仕切板63は、ファンモータ6と第1ファン61との間に設けられている。このようにファンモータ6を第2ファン62側に設けることにより、第2ファン62によって搬送される第2空気、すなわち排気によってファンモータ6を冷却することができる。従って、第1ファン61によって搬送される第1空気、すなわち給気の温度を上昇させることなく、排気による冷熱を利用してファンモータ6を効率的に冷却することができる。
【0046】
空調機1には、空気の流通経路として、吸込流路32、第1流路41及び第2流路51が設けられている。吸込流路32は、吸込口3を起点とし、顕熱交換器22に連通している。すなわち、吸込流路32に流れる吸込空気の流れ方向において、吸込流路32の下流には、顕熱交換器22が設けられている。
【0047】
顕熱交換器22には、第1空気が流れる第1経路221と、第2空気が流れる第2経路222とが、設けられている。顕熱交換器22における第1経路221と第2経路222とは、中空構造を有する複数の金属プレートにより構成され、これら金属プレート夫々を並列に設けることにより構成される。当該中空構造を有する金属プレートは、例えば複数枚のフィンにより構成されるもの又は、扁平管であってもよい。例えば、当該プレートは、伝熱性の良い金属であるアルミニウム、銅等又は、これらを主成分とする合金で形成することで、顕熱交換の効率を向上させることができる。第1経路221を構成する金属プレートと、第2経路222を構成する金属プレートとは、第1空気及び第2空気の流れ方向に対し垂直となるように積層されて設けられており、これら金属プレートを介して、第1空気及び第2空気との間の顕熱交換が行われる。第1経路221は、第1吹出口4に連通している第1流路41の一部を構成する。第2経路222は、第2吹出口5に連通している第2流路51の一部を構成する。第1経路221は図1の左右方向(横方向)に顕熱交換器22を連通し、第2経路222は図1の上下方向(縦方向)に顕熱交換器22を連通している。つまり、第1経路221と第2経路222とは、互いに直交している。
【0048】
吸込流路32を通過した吸込空気は、顕熱交換器22に設けられている第1経路221及び第2経路222の入口から顕熱交換器22内に流入し、第1経路221に流入する第1空気及び、第2経路222に流入する第2空気に分流される。すなわち、顕熱交換器22に設けられている第1経路221及び第2経路222によって、吸込空気を分流する分流機構が形成されている。
【0049】
図示にて例示するように第1経路221及び第2経路222の入口は、顕熱交換器22内の側面(図示上は左側面)に設けられており、同様に顕熱交換器22内の側面に設けられている吸込口3と、第1経路221及び第2経路222の入口とは、吸込流路32によって連通している。吸込口3と、第1経路221及び第2経路222の入口との間、又は第1経路221の途中には、集塵フィルタ31が介在して設けられている。
【0050】
集塵フィルタ31は、図示にて例示するように、第1経路221及び第2経路222の入口が形成されている顕熱交換器22内の側面に貼付けられて設けられるものであってもよい。集塵フィルタ31を設けることにより、吸込口3から吸込した吸込空気の塵埃を捕集し、空調機1内の空気が流れる流通経路において、塵埃が付着することを抑制することができる。
【0051】
図示にて例示するように顕熱交換器22に設けられている第1経路221及び第2経路222は、これら経路夫々の入口から当該経路の中間地点までは、並行に形成されており、これ以降の領域においては、第1経路221に流れる第1空気と、第2経路222に流れる第2空気とによって、直交流が形成される。第2経路222は、当該直交流が形成される領域を通過した後、顕熱交換器22の下方に延びて設けられている。すなわち、第2経路222の終端となる出口は、顕熱交換器22に下部に設けられている。
【0052】
顕熱交換器22における第2経路222の出口の下方には、ドレンパン13が設けられている。当該ドレンパン13から第2吹出口5までの第2流路51は、ドレンパン13から上方に向かって延設されており、図示の紙面上、顕熱交換器22の奥側に設けられている。従って、顕熱交換器22の第2経路222及び、ドレンパン13から第2吹出口5までの第2流路51によって、上下に折り返す流路が形成される。上述のとおり、顕熱交換器22の第2経路222は、第2流路51の一部を構成するものであり、第2流路51に含まれる。従って、第2流路51は、顕熱交換器22の上方から下方に向かって延設され、ドレンパン13が位置する場所を通過後、上方に向かって延設される上下方向の折り返し部を含む。
【0053】
ドレンパン13から第2吹出口5までの第2流路51の下流側には、第2空気を搬送するための第2ファン62が設けられている。ドレンパン13から第2吹出口5までの第2流路51は、上方に向かって延設されており、第2ファン62はドレンパン13よりも上部に設けられている。第2ファン62によって搬送された第2空気は、第2吹出口5から排気(EA)として吹き出される。
【0054】
第1経路221は、第2経路222との直交流が形成される領域にて、下方に延設されている第2経路222の領域に並んで、直線状に設けられている。すなわち、第1経路221の終端となる出口は、第1経路221の入口が設けられた顕熱交換器22の側面に対し、反対側の側面に設けられている。図示上の例示においては、第1経路221は、顕熱交換器22の左側面から右側面に向かって、直線状に設けられている。
【0055】
第1空気の流れ方向において、顕熱交換器22の第1経路221の終端、すなわち第1経路221の出口の下流側には、気化フィルタ21が設けられている。気化フィルタ21は、第1経路221に設けられており、顕熱交換器22と、第1ファン61との間に設けられている。
【0056】
気化フィルタ21は、矩形状のフィルタエレメントの一面を、第1経路221の出口が設けられた顕熱交換器22の側面に対向させて、設けられている。当該気化フィルタ21から第1吹出口4までの第1流路41は、気化フィルタ21から上方に向かって延設されている。気化フィルタ21から第1吹出口4までの第1流路41の下流側には、第1空気を搬送するための第1ファン61が設けられている。第1ファン61は気化フィルタ21よりも上部に設けられている。第1ファン61によって搬送された第1空気は、第1吹出口4から給気(SA)として、被空調空間に吹き出される。
【0057】
上述のとおり、空調機1は、気化フィルタ21及び顕熱交換器22に供給する水を貯水するタンクユニット7を備え、当該タンクユニット7は、第1タンク71及び第2タンク72を含む。第1タンク71は、例えば、上部に開口部が形成された矩形状の箱体を成し、気化フィルタ21及びドレンパン13の下方に設けられている。
【0058】
第1タンク71には、冷却ユニット2にて残存した水を回収するための回収水路9を介して、当該回収された水が貯水される。回収水路9は、第1回収水路91及び第2回収水路92を含む。第1タンク71と気化フィルタ21とは、第1回収水路91を介して連通されている。第1タンク71とドレンパン13とは、第2回収水路92を介して連通されている。第1回収水路91及び第2回収水路92の第1タンク71側の端部、すなわち第1回収水路91及び第2回収水路92の出口は、第1タンク71の開口部に向けられている。詳細は後述するが、冷却ユニット2にて残存した水は、第1タンク71から気化フィルタ21及び顕熱交換器22に供給された水であって、気化せず液体の状態の残った水である。
【0059】
気化フィルタ21及び、顕熱交換器22の下方に位置するドレンパン13は、第1タンク71よりも上部に設けられている。従って、気化フィルタ21において気化せず液体の状態の残った水は、重力によって第1回収水路91を介して、第1タンク71の内部に流れ込む。顕熱交換器22において気化せず液体の状態の残った水は、ドレンパン13及び第2回収水路92を介して、第1タンク71の内部に流れ込む。
【0060】
第1タンク71の内部には、第1タンク71に貯水された水を気化フィルタ21及び顕熱交換器22に供給するためのポンプ11が設けられている。ポンプ11は、第1タンク71の内部に設けられる場合に限定されず、ポンプ11の本体を第1タンク71の外部に設け、当該ポンプ11と第1タンク71とを連通する水路を介して、第1タンク71内の水を搬送するものであってもよい。
【0061】
ポンプ11は、例えばマイコン等にて構成されるコントローラ12と通信線により接続されており、コントローラ12から出力される制御信号に基づき、駆動又は停止する。図示にてコントローラ12は、空調機1の下部に設けられるものとして示されているが、これに限定されない。コントローラ12は、例えば、顕熱交換器22から第2吹出口5までの第2流路51を形成する流路壁の外周面の側に設けられ、当該第2流路51の流路壁を介して、第2空気によって冷却されるものであってもよい。
【0062】
ポンプ11と、気化フィルタ21及び顕熱交換器22とは、供給水路8によって連通されている。従って、ポンプ11及び供給水路8を介して、第1タンク71と、気化フィルタ21及び顕熱交換器22とは、連通している。供給水路8は、第1供給水路81及び第2回収水路92を含み、気化フィルタ21及び顕熱交換器22の近傍において第1供給水路81及び第2回収水路92に分岐されている。第1供給水路81は、気化フィルタ21に連通している。第2供給水路82は、顕熱交換器22に連通している。
【0063】
第1供給水路81から供給された水は、気化フィルタ21の上部に設けられている第1給水部211によって一旦、保水され、第1給水部211に設けられた給水孔212から気化フィルタ21に滴下され、気化フィルタ21内に浸透する。第2回収水路92から供給された水は、顕熱交換器22の上部に設けられている第2給水部223を介して、顕熱交換器22の第2経路222の内部に滴下される。第1給水部211は気化フィルタ21の一部として形成される。一例として、気化フィルタ21は、装着位置から筐体14外部へ着脱可能な構成を採用してもよい。ユニット内に給水孔212を含むことで給水孔212が目詰まりした場合も、ユニットを本体から取り外すことで清掃可能である。
【0064】
第2給水部223は、顕熱交換器22の第2経路222の入口上方の第1経路221の下流側に位置している。すなわち、第2給水部223は、第1経路221の入口よりも出口の側に偏倚させて、第2経路222の入口上方に設けられている。顕熱交換器22の第1経路221において、第2給水部223に近接するほど、第1タンク71から供給される水によって温度が低下する。第1経路221の入口における第1空気の温度は、被空調空間の室温に相当するものであり、第1経路221内にある第1空気の温度分布において、最も高い温度となる。これに対し、第1経路221の下流側、すなわち第1経路221の出口側に偏倚させて第2給水部223を設けることにより、第1経路221の全域に亘って、第1空気と水との温度差を大きくとることができ、第1空気に対する冷却効率を向上させることができる。
【0065】
図示にて例示するにように本実施形態においては、2つの第2給水部223が顕熱交換器22の上部に設けられているため、第2供給水路82は、2つの第2給水部223夫々に対応して2分岐してあるが、これに限定されない。例えば、1つの第2給水部223が顕熱交換器上部に備えられ、第2供給水路82は、分岐されていない構成であってもよい。顕熱交換器22の上部に設ける第2給水部223を3つ以上とし、当該第2給水部223の個数に応じて第2供給水路82を分岐されるものであってもよい。又は、顕熱交換器22の上部に設ける第2給水部223を1つとし、第2給水部223の分岐を不要とするものであってもよい。
【0066】
第1タンク71に設けられたポンプ11によって、第1タンク71から気化フィルタ21及び顕熱交換器22に搬送され、気化フィルタ21及び顕熱交換器22にて気化せず液体の状態の残った水は、重力によって第1タンク71に還流される。すなわち、第1タンク71、供給水路8、冷却ユニット2、及び回収水路9による水の循環水路が形成される。
【0067】
供給水路8は、冷却ユニット2に含まれる気化フィルタ21及び顕熱交換器22に応じて、第1供給水路81及び第2供給水路82に分岐される。回収水路9は、冷却ユニット2に含まれる気化フィルタ21及び顕熱交換器22に応じて、第1回収水路91及び第2回収水路92に分岐される。従って、循環水路は、第1供給水路81、気化フィルタ21及び第1回収水路91による気化フィルタ21系水路と、第2供給水路82、顕熱交換器22の第2経路222、第2回収水路92による顕熱交換器22系水路とが並列に構成された水路を含む。
【0068】
ポンプ11の駆動によって搬送される水の単位時間あたりの体積流量において、気化フィルタ21系水路である第1供給水路81の体積流量は、顕熱交換器22系水路である第2供給水路82の体積流量よりも少なくしてある。例えば、第1供給水路81の体積流量は0.3L/minとし、第2供給水路82の体積流量は3L/minとして、第1供給水路81の体積流量は、第2供給水路82の体積流量の1/10とするものであってもよい。これにより、第1空気と共に被空調空間に吹き出される水蒸気の量を抑制しつつ、顕熱交換器22において顕熱によって第2空気を冷却するための水量を多くすることができ、冷却ユニット2における冷却効率を更に向上させることができる。
【0069】
第1タンク71の外周面、すなわち第1タンク71の底板及び側板の外面には、断熱部材711が貼付されているものであってもよい。上述のとおり、第1タンク71には、気化フィルタ21から回収された水が貯水されるものであり、当該水は、気化熱によって冷却されている。第1タンク71の外周面に断熱部材711を設けることにより、第1タンク71の底板及び側板を介して、気化フィルタ21から回収された水と、第1タンク71の周辺空気との間における熱交換を抑制し、当該気化フィルタ21から回収された水の水温が上昇することを抑制することができる。同様に、気化フィルタ21と第1タンク71とを連通する第1回収水路91の外周面においても、断熱部材711が貼付されているものであってもよい。
【0070】
第2タンク72は、例えば矩形状の箱体を成し、底面に設けられた給水孔212を下方に向けて、第1タンク71よりも上方に設けられている。第2タンク72は、例えば筐体14に対し着脱可能に設けられており、筐体14から外した状態にて水道水等を補充した後、筐体14内に収納されるものであってもよい。又は、第2タンク72には、筐体14の外部からの水の補充を受付ける弁体が設けられており、当該弁体を介して水道水等が補充されるものであってもよい。第2タンク72の容積は、第1タンク71の容積よりも大きい。本実施形態においては、第2タンク72は2つ設けられており、2つの第2タンク72の容積の合計値は、第1タンク71の容積よりも大きい。第2タンク72の個数は2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。すなわち、第2タンク72の個数は問わず、第1タンク71の容積は、第2タンク72の容積の合計値よりも小さいものであればよい。つまり、循環される水の量が少ない状態であるため、水の温度が低い状態を維持しやすい構成を採用している。
【0071】
第2タンク72は、第1タンク71よりも上方に設けられており、すなわち第2タンク72の底面は、第1タンク71の底面よりも上方に位置してある。第2タンク72は、第1タンク71の水位が所定値以下となった場合、所定量の水を第1タンク71に給水する。すなわち、第2タンク72は、第1タンク71に貯水されている水量が所定値以下となった場合、都度、所定量の水を第1タンク71に給水することにより、第1タンク71内の水が不足又は枯渇することを防止することができる。一例として、第2タンク72から第1タンク71への給水するための開口部が、第1タンク71の水面より低い位置にある場合は、タンク内部が大気圧よりも負圧となり給水がされず、第1タンク71の水面より高い位置にある場合は、開口部から第2タンク72に空気が入り込み、第1タンク71へ給水される仕組みを採用すればよい。または、コントローラ12により制御可能な電磁弁と、第1タンク71の水面の高さを検知するセンサとを備え、センサにより水面の高さが所定の高さよりも低くなったことを検知した場合は、電磁弁を一定時間開放する仕組みを採用してもよい。
【0072】
第2タンク72が、第1タンク71の水位が所定値以下となった都度、第1タンク71に給水する所定量の水、すなわち一回分の給水量は、第1タンク71の容積と、供給水路8及び回収水路9の流路体積との合計値の半分以下としてある。上述のとおり、第1タンク71には、気化フィルタ21から回収された水が貯水されるものであり、気化フィルタ21から回収された水は、気化熱により冷却されている。従って、第2タンク72から第1タンク71への一回分の給水量を、第1タンク71の容積と、供給水路8及び回収水路9の流路体積との合計値の半分以下とすることにより、第1タンク71と冷却ユニット2との間にて循環する水の水温が、比較的に低温となるように安定させることができる。
【0073】
空調機1は、被空調空間の空気を吸込口3から吸込し、吸込された吸込空気は、吸込流路32及び集塵フィルタ31を通過して、顕熱交換器22に流入する。吸込流路32の出口に対応して、顕熱交換器22の第1経路221(SA:給気側経路)及び第2経路222(EA:排気側経路)の入口が、顕熱交換器22の側面に設けられており、吸込空気は、第1経路221を流れる第1空気(SA)と、第2経路222を流れる第2空気(EA)とに分流される。
【0074】
第2経路222には、顕熱交換器22の上部に設けられた第2給水部223を介して、第1タンク71から供給された水が滴下される。すなわち、第2経路222は、第2空気と、第2給水部223から滴下された水とが、混在する状態となる。第1タンク71に貯水されている水は、気化フィルタ21から回収した水であり、気化熱により冷却されている水である。従って、第1タンク71から供給された水の水温は、第2経路222に流入した直後の第2空気の温度よりも低い。第2空気は、第2給水部223から滴下された水との間で顕熱を交換し、すなわち当該水によって冷却される。又、第2給水部223の構造に関する詳細は後述するが、第2給水部223から滴下された水は、第2経路222を構成する金属プレート夫々に分配されて、当該金属プレートの内部に滴下するため、第2空気に接する水の表面積は、増加する。これにより、第2給水部223から滴下された水の一部は気化し、当該気化熱によっても、第2空気は冷却される。
【0075】
顕熱交換器22の第1経路221に流れる第1空気と、第2経路222に流れる第2空気とは、直交流を形成しており、第1空気と第2空気との間で顕熱交換がされる。上述のとおり、第2経路222に流れる第2空気は、第1タンク71から供給された水によって冷却されており、第1空気は、第1タンク71から供給された水によって冷却された第2空気によって、冷却される。
【0076】
顕熱交換器22の第1経路221を通過した第1空気は、顕熱交換器22から第1吹出口4までの第1流路41に流入する。当該第1流路41において、顕熱交換器22の下流側には気化フィルタ21が設けられており、第1空気は気化フィルタ21を通過する。
【0077】
気化フィルタ21には、気化フィルタ21の上部に設けられた第1給水部211を介して、第1タンク71から供給された水が滴下される。第1流路41内は負圧に保たれているので、第1タンク71から供給された水は、第1給水部211の底面に設けられた給水孔212から気化フィルタ21の内部に吸い込まれ、気化フィルタ21内に浸透する。気化フィルタ21に浸透した水は、第1空気が気化フィルタ21を通過することにより気化が促進され、気化、すなわち蒸発して水蒸気となって第1空気に含有される。当該気化熱により、第1空気は冷却され、第1空気の温度は低下する。冷却された第1空気は、第1ファン61によって第1吹出口4から、給気(SA)として被空調空間に吹き出される。
【0078】
このような構成とすることにより、給気(SA)として被空調空間に吹き出される第1空気に対し、顕熱交換器22による一次冷却、及び気化フィルタ21による二次冷却を含む2段階の冷却を行うことができる。従って、例えば、気化フィルタ21のみを用いる直接気化方式と比較して、第1空気の温度を更に低下させることができる。
【0079】
第1タンク71から気化フィルタ21に供給された水の一部は、気化することなく、液体の水として気化フィルタ21内に残存する。当該残存した水についても、気化熱により冷却されている。気化フィルタ21内に残存した水は、重力によって気化フィルタ21の下方に移動し、気化フィルタ21の下方に設けられた第1回収水路91を介して、第1タンク71に回収される。このように気化フィルタ21内に残存した水を回収することにより、第1タンク71に貯水される水の温度を低下させ、比較的に低温となるように安定させることができる。
【0080】
上述のとおり、第1タンク71に貯水される水は、顕熱交換器22及び気化フィルタ21に供給されるものであり、当該第1タンク71に貯水される水を低温となるように安定させることにより、顕熱交換器22及び気化フィルタ21の冷却能力を向上させることができる。
【0081】
顕熱交換器22の第2経路222に流入した第2空気は、第2給水部223から滴下して給水された水が混合され、顕熱交換器22の下方に位置する第2経路222の出口に向かって、搬送される。第2経路222は、第1経路221との直交流が形成される領域を通過した後、顕熱交換器22の下方に向かって延設されているため、第2給水部223から給水された水が混合した第2空気は、顕熱交換器22の上方から下方に向かって流れる。
【0082】
顕熱交換器22の第2経路222の出口の下流側には、ドレンパン13が設けられており、ドレンパン13から第2吹出口5までの第2流路51は、ドレンパン13から上方に向かって延設されている。第2流路51は、図1の奥行き方向である後方向に形成されている。従って、第2給水部223から給水された水が混合した第2空気は、顕熱交換器22の第2経路222の出口から流出した後、ドレンパン13がある地点を最下点として、上下に折り返して流れるものとなる。すなわち、顕熱交換器22の第2経路222を含む第2流路51は、顕熱交換器22の上方から下方に延び、ドレンパン13が位置する場所を通過後、上方に向かって延設された上下方向の折り返し部を含む。
【0083】
第2給水部223から給水された水が混合した第2空気が、当該折り返し部を通過する際、すなわち下方への流れ方向から、上方への流れ方向に変化するにあたり、遠心力が発生する。第2空気と共に流れる水は、空気よりも比重が大きいため、遠心力により、折り返し部の外周側に偏ることにより、第2空気から分離、すなわち気液分離されるものとなる。
【0084】
第2空気から分離(気液分離)された水は、ドレンパン13に一旦、保水され、ドレンパン13の下部に設けられた第2回収水路92を介して、第1タンク71に回収される。
なお、顕熱交換器22の第2経路222の内壁面に付着した水も、重力によって第2経路222の出口に移動し、当該出口から滴下することにより、ドレンパン13に保水され、第2回収水路92を介して、第1タンク71に回収される。
【0085】
顕熱交換器22の第2経路222における上方から下方に延設される部分、第2経路222の出口の下方に設けられたドレンパン13、及びドレンパン13から上方に向かって延設される第2流路51によって、第2給水部223から給水された水が混合した第2空気から、当該水を分離する気液分離機構が構成される。当該気液分離機構によって、第2空気から水を分離することにより、当該第2空気の絶対湿度が増加することを抑制することができる。
【0086】
ドレンパン13を通過した第2空気は、ドレンパン13から第2吹出口5までの第2流路51に流入する。第2流路51は、例えば、顕熱交換器22の側面と、当該側面に対向する筐体14の内面との間に設けられており、第2空気は、第2流路51を介して、ドレンパン13から、ファンモータ6及び第2ファン62が載置されているファン室に搬送される。すなわちファンモータ6は、第2流路51の途中に設けられているため、第2空気によって冷却される。ファンモータ6は、気液分離機構の下流側に設けられているため、水が分離された後の第2空気によって、当該ファンモータ6を効率的に冷却することができる。ファンモータ6を冷却した第2空気は、第2吹出口5から排気として吹き出される。
【0087】
図3は、気化フィルタ21の一構成例を示す模式的斜視図である。例えば、気化フィルタ21は着脱可能であって、図3は気化フィルタ21を清掃するために筐体14から取り外された状態である。気化フィルタ21は、例えば矩形の板状を成し、レーヨン・ポリエステル、不織布等によって成形されている。気化フィルタ21は、吸水性を有し、第1給水部211から給水された水が気化フィルタ21の全面に浸透することにより、当該水の気化を促進する。
【0088】
第1給水部211は、上側に開口部を有する箱体を成し、気化フィルタ21の上部に載置されている。箱体の底板は矩形状を成し、当該底板には、長手方向に沿って複数の給水孔212が、設けられている。
【0089】
第1給水部211の開口部には、第1タンク71から延設された供給水路8が分岐された第1供給水路81が、連通してある。第1供給水路81から供給された水は、箱体を成す第1給水部211に一旦、保水され、給水孔212から気化フィルタ21に滴下して、気化フィルタ21内に浸透する。
【0090】
気化フィルタ21は、第1空気の流れ方向において、第1ファン61よりも上流側の第1流路41に設けられている。従って、気化フィルタ21内は、大気圧よりも負圧となり、第1給水部211に一旦、保水された水は、給水孔212から気化フィルタ21内に吸い込まれるため、当該水を気化フィルタ21内に効率的に浸透させることができる。つまり、ファンの回転数および風速などによる負圧の程度によって給水量が調節可能な構成が採用されている。本実施形態では負圧となることを利用して給水する仕組みを採用しているが、水の自重により給水される仕組みなど種々の構成を採用することもできる。
【0091】
図4は、顕熱交換器22の第2給水部223の一構成例を示す模式的平面図である。図5は、第2給水部223の要部を説明する説明図である。顕熱交換器22の上面には、平面視にて矩形の箱状を成す第2給水部223が、2つ並んで設けられている。上述のとおり、第2給水部223夫々は、第1経路221の下流側に設けられている。第2給水部223夫々は、上面の長手方向を、第1経路221及び第2経路222の経路方向に対し直角となるように位置させて、顕熱交換器22の上面に載置されている。
【0092】
第2給水部223の上面には、円筒状の水受部224と、水受部224から放射状に延びる複数のリブ225が設けられている。水受部224は、当該上面における長手方向において、一方に偏倚して設けられている。水受部224には、第1タンク71から延設された供給水路8が分岐された第2供給水路82が、連通してある。
【0093】
第2供給水路82から供給された水は、水受部224にて受けられた後、当該水受部224から放射状に延びる複数のリブ225沿って分流され、分流された水は、顕熱交換器22の第2経路222の内部に滴下される。すなわち、第2給水部223は、顕熱交換器22の第2経路222を構成する複数の金属プレート夫々に、第1タンク71から供給された水を散水する散水部として機能する。
【0094】
水受部224から放射状に延びる複数のリブ225夫々は、等間隔のピッチで設けられており、当該ピッチは、例えば6mmである。複数のリブ225夫々は、水受部224から上面における長辺側の縁部に向かって、一回以上折り曲げられることにより、L字状、コの字状(C字状)又はクランク状に形成されている。
【0095】
複数のリブ225夫々は、上面の長辺側の縁部に近接した地点にて、二本の平行なリブ225に分岐されている。分岐された二つリブ225は、第2給水部223の上面から側面に向かって折り曲げられ、当該側面の上方から下方に向けて延設されている。
【0096】
第2給水部223の上面において、水受部224が設けられている側の短辺とは逆の短辺の側に、V字状の切欠き部が設けられている。水受部224から、V字状の切欠き部が設けられた短辺の側に向かって延設されている一部のリブ225は、当該V字状の切欠き部によって形成される内壁面に向かって折り曲げられ、当該内壁面の上方から下方に向けて延設されている。
【0097】
長辺側となる夫々の側面及び、V字状の切欠き部によって形成される内壁面に設けられた平行の二本のリブ225を、縦リブとする。当該縦リブは、等間隔となるように側面及び内壁面にて、並設されている。長辺側となる夫々の側面において、一方の側面に設けられた縦リブと、他方の側面に設けられた縦リブとは、側面視にて重ならないように、千鳥状に設けられている。すなわち側面視にて、一方の側面に設けられた縦リブと当該縦リブに隣接する縦リブとの間に、他方の側面に設けられた縦リブが位置するように、夫々の側面の縦リブは、設けられている。同様にV字状の切欠き部によって形成される内壁面においても、互いに向かい夫々の内壁面に設けられた夫々の縦リブは、千鳥状に設けられている。
【0098】
平行な二本のリブ225により構成される縦リブは、顕熱交換器22の第2経路222に対応して設けられている。図5に示すとおり、縦リブの延びる方向と、第1経路221及び第2経路222を構成する金属プレート夫々の上下方向とは、一致するように第2給水部223は、顕熱交換器22の上部に載置されている。縦リブを構成する二本のリブ225夫々が、隣り合う2つの第2経路222夫々に位置するように、第2給水部223は、設けられている。縦リブを構成する二本のリブ225の間に第1経路221が位置するように、第2給水部223は、設けられている。
【0099】
水受部224から分流された水は、第2給水部223の上面に放射状に設けられたリブ225と当該リブ225に隣接する間を流れる。第2給水部223の上面から、側面又は、V字状の切欠き部によって形成される内壁面に沿って下方に流れ落ちる水は、縦リブを構成する二本のリブ225の外面側を伝って流れ落ちる。縦リブを構成する二本のリブ225夫々は、隣り合う2つの第2経路222夫々に位置するようにしてあるので、二本のリブ225の外面側を伝って流れ落ちる水を、隣接する第2経路222夫々に滴下することができる。
【0100】
上面に設けられるリブ225間のピッチを確保するため、側面に形成することができる縦リブの個数も制限される。従って、一方の側面の側にて、水が滴下されない第2経路222が生じる。これに対し、夫々の側面に設けられる縦リブは、千鳥状に形成してあるため、一方の側面の側にて水が滴下されなかった第2経路222に対し、他方の側面に設けられている縦リブによって当該第2経路222に水を滴下することができる。同様にV字状の切欠き部によって形成される内壁面夫々において、千鳥状に設けられた縦リブによって、対応する第2経路222夫々に水を滴下することができる。このように千鳥状に設けられた縦リブによって、上面に設けられるリブ225間のピッチを十分に確保しつつ、顕熱交換器22における全ての第2経路222に、第1タンク71から供給された水を滴下し、顕熱交換器22における冷却能力を向上させることができる。
【0101】
本実施形態において冷却ユニット2は、第1回収水路91及び第2回収水路92によって、残存した水を第1タンク71に戻す構成を採用したが、第1回収水路91を第2給水部223に接続しさらに第1回収水路91にポンプを備えることで、第2回収水路92のみを第1タンク71に接続する構成を採用してもよい。これにより、循環する水をより効率的に冷却することが可能になる。同様に冷却ユニット2および冷却ユニット2内の水の流路形状については種々の構成を採用することも可能である。また、冷却ユニット2は種々の形態の熱交換器を適応可能である。一例としては、少なくとも第1空気または第2空気のいずれかと水との間で熱交換をしていたが、単に水を冷却する構成を気化フィルタ21または顕熱交換器22の代替、または、付加的に備えていてもよい。
【0102】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0103】
1 空調機
11 ポンプ
12 コントローラ
13 ドレンパン
14 筐体
141 キャスター
2 冷却ユニット
21 気化フィルタ
211 第1給水部
212 給水孔
22 顕熱交換器
221 第1経路
222 第2経路
223 第2給水部
224 水受部
225 リブ
3 吸込口
31 集塵フィルタ
32 吸込流路
4 第1吹出口
41 第1流路
5 第2吹出口
51 第2流路
6 ファンモータ
61 第1ファン(ファン)
62 第2ファン(ファン)
63 仕切板
7 タンクユニット
71 第1タンク
711 断熱部材
72 第2タンク
8 供給水路
81 第1供給水路
82 第2供給水路
9 回収水路
91 第1回収水路
92 第2回収水路
図1
図2
図3
図4
図5