(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】充電システム、充電システムの安全管理プログラム及び安全管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240827BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240827BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20240827BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20240827BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240827BHJP
【FI】
H02J7/00 S
B60L53/14
B60L53/30
H02H7/00 F
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
H02J7/02 F
(21)【出願番号】P 2021193372
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 諭士
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-191732(JP,A)
【文献】特開2021-032721(JP,A)
【文献】国際公開第2020/004069(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H01M10/42-10/48
H02H7/00
H02H7/10-7/20
H02J3/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電プラグを含む充電ケーブルが接続された充電装置から前記充電プラグを掴み、充電エリアに位置する車両の充電口に対する前記充電プラグの抜き差しを自動的に行うアーム機構を備えた、充電システムであって、
前記充電プラグを前記充電口に挿入する際に、前記充電ケーブルが所定の安全条件を越えた状態となっているか否かを検出するセンサと、
前記安全条件を越えた状態を検出した場合に、前記アーム機構を動作させて前記充電ケーブルを前記安全条件を満たす状態に移動させる処理、又は、
前記充電ケーブルが存在する範囲に基づいて他車両の進入を制限する前記安全条件を満たさない範囲を変更する処理の少なくとも一方を行う制御部と、
を有する充電システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記アーム機構に所定のリカバリ動作をさせることにより充電ケーブルが
前記安全条件を満たす状態とすることを指示する請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記制御部は、更新した前記安全条件を満たさないと判断する範囲が他の駐車区画と重なっている場合には、前記安全条件を満たさない範囲にある前記駐車区画に対する他車両の駐車を制限する請求項
1に記載の充電システム。
【請求項4】
前記センサは、前記充電エリアを含む領域を撮影するカメラである請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項5】
前記安全条件を満たす条件は、前記充電エリアに設定された駐車区画のうち前記車両が駐車されていない空き駐車区画に前記充電ケーブルの侵入がないこと、前記充電エリア外の領域に前記充電ケーブルがはみ出していないこと、を少なくとも含む請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の充電システム。
【請求項6】
充電プラグを含む充電ケーブルが接続された充電装置から前記充電プラグを掴み、充電エリアに位置する車両の充電口に対する前記充電プラグの抜き差しを自動的に行うアーム機構を備えた、充電システムにおいて前記アーム機構を制御する制御部で実行される安全管理プログラムであって、
前記充電システムに接続されるセンサから得た情報を用いて、前記充電プラグを前記充電口に挿入する際に、前記充電ケーブルが所定の安全条件を越えた状態となっているか否かを検出し、
前記安全条件を越えた状態を検出した場合に、前記アーム機構を動作させて前記充電ケーブルを前記安全条件を満たす状態に移動させる処理、又は、
前記充電ケーブルが存在する範囲に基づいて他車両の進入を制限する前記安全条件を満たさない範囲を変更する処理の少なくとも一方を行う充電システムの安全管理プログラム。
【請求項7】
充電プラグを含む充電ケーブルが接続された充電装置から前記充電プラグを掴み、充電エリアに位置する車両の充電口に対する前記充電プラグの抜き差しを自動的に行うアーム機構を備えた、充電システムにおける安全管理方法であって、
前記充電システムに接続されるセンサから得た情報を用いて、前記充電プラグを前記充電口に挿入する際に、前記充電ケーブルが所定の安全条件を越えた状態となっているか否かを検出し、
前記安全条件を越えた状態を検出した場合に、前記アーム機構を動作させて前記充電ケーブルを前記安全条件を満たす状態に移動させる処理、又は、
前記充電ケーブルが存在する範囲に基づいて他車両の進入を制限する前記安全条件を満たさない範囲を変更する処理の少なくとも一方を行う充電システムの安全管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システム、充電システムの安全管理プログラム及び安全管理方法に関し、例えば、車両の充電口に対する充電プラグの抜き差しを自動的に行うアーム機構を備えた充電システム、充電システムの安全管理プログラム及び安全管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラグインハイブリッド車を含む電気自動車の利用が拡大している。また、自動車の自動運転技術が向上している。このようなことから、乗員の昇降場所とは異なる位置に設けられた駐車場に車両を駐車し、無人の自動運転により当該駐車場と昇降場所との車両移動を行う方式のバレーパーキングが提案されている。ここで、電気自動車では充電が必要であり、駐車場内において充電を行うことが提案されている。そこでこのような技術の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の自動バレーパーキングでは、自動バレーパーキングを開始するステップと、電気自動車の充電が必要であるか否かを決定するステップと、充電が必要な場合、無線充電駐車スペースを第1ターゲットポジションとして設定するステップと、インフラストラクチャから車両へ前記第1ターゲットポジション及びガイドルートを伝送するステップと、前記電気自動車の充電が完了した場合、空き駐車スペースを第2ターゲットポジションとして設定するステップと、前記第2ターゲットポジション及びガイドルートを伝送するステップと、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アーム機構が充電プラグを車両の充電口に挿入する場合、車両の充電プラグの位置によっては、充電ケーブルが他の駐車区画に干渉する虞がある。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、充電ケーブルに起因する安全性の確保が十分に出来ない問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、充電ケーブルに起因する安全性を確保することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる充電システムの一態様は、充電プラグを含む充電ケーブルが接続された充電装置から前記充電プラグを掴み、充電エリアに位置する車両の充電口に対する前記充電プラグの抜き差しを自動的に行うアーム機構を備えた、充電システムであって、前記充電プラグを前記充電口に挿入する際に、前記充電ケーブルが所定の安全条件を越えた状態となっているか否かを検出するセンサと、安全条件を越えた状態を検出した場合に、前記アーム機構を動作させて前記充電ケーブルを前記安全条件を満たす状態に移動させる処理、又は、前記充電ケーブルの状態に基づいて安全条件を更新する処理の少なくとも一方を行う制御部と、を有する。
【0008】
本発明にかかる充電システムの安全管理プログラムの一態様は、充電プラグを含む充電ケーブルが接続された充電装置から前記充電プラグを掴み、充電エリアに位置する車両の充電口に対する前記充電プラグの抜き差しを自動的に行うアーム機構を備えた、充電システムにおいて前記アーム機構を制御する制御部で実行される安全管理プログラムであって、前記充電システムに接続されるセンサから得た情報を用いて、前記充電プラグを前記充電口に挿入する際に、前記充電ケーブルが所定の安全条件を越えた状態となっているか否かを検出し、前記安全条件を越えた状態を検出した場合に、前記アーム機構を動作させて前記充電ケーブルを前記安全条件を満たす状態に移動させる処理、又は、前記充電ケーブルの状態に基づいて安全条件を更新する処理の少なくとも一方を行う。
【0009】
本発明にかかる充電システムの安全管理方法の一態様は、充電プラグを含む充電ケーブルが接続された充電装置から前記充電プラグを掴み、充電エリアに位置する車両の充電口に対する前記充電プラグの抜き差しを自動的に行うアーム機構を備えた、充電システムにおける安全管理方法であって、前記充電システムに接続されるセンサから得た情報を用いて、前記充電プラグを前記充電口に挿入する際に、前記充電ケーブルが所定の安全条件を越えた状態となっているか否かを検出し、前記安全条件を越えた状態を検出した場合に、前記アーム機構を動作させて前記充電ケーブルを前記安全条件を満たす状態に移動させる処理、又は、前記充電ケーブルの状態に基づいて安全条件を更新する処理の少なくとも一方を行う。
【0010】
本発明にかかる充電システム、充電システムの安全管理プログラム及び安全管理方法は、充電ケーブルが安全条件を満たすか否かを判断し、安全条件の範囲内で車両制御を行えるような処理を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、充電ケーブルに起因する安全性が確保された充電システムを提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1にかかる充電システムのブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる充電システムにおける駐車エリアの概略図である。
【
図3】実施の形態1にかかる充電システムの駐車エリアにおける安全条件から外れる状態の一例を説明する図である。
【
図4】実施の形態1にかかる充電システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図5】実施の形態1にかかる充電システムの安全エリア更新処理を説明するフローチャートである。
【
図6】実施の形態2にかかる充電システムの駐車エリアにおける安全条件から外れる状態の一例を説明する図である。
【
図7】実施の形態2にかかる充電システムの安全エリア更新処理を説明するフローチャートである。
【
図8】実施の形態3にかかる充電システムの安全エリア更新処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0015】
実施の形態1
以下で説明する充電システムでは、アーム機構を用いて充電ケーブルの先に設けられた充電プラグを車両に挿入することで電気自動車等の車両に対する充電を行う。ここで、充電システムにおいて充電対象とする車両は、乗員が搭乗可能な自動車のみならず、無人で自立移動可能な車両を含む。また、充電システムが対象とする車両は、充電システムが管理対象とする領域である駐車エリアでは、充電システムの指示に従って移動するものとする。
【0016】
図1に実施の形態1にかかる充電システム1のブロック図を示す。なお、
図1では、システムが管理対象とする駐車エリアの図示は省略した。
図1に示すように、実施の形態1にかかる充電システム1は、管理装置10、車両通信部11、状況監視センサ12を有する。また、
図1では、充電システム1の管理対象の車両と、充電システム1の制御対象のアーム機構(例えば、充電口操作アームA1~Am(mは、充電口操作アームの数を示す整数))とを示した。また、充電システム1の管理対象となる車両は、少なくとも1台有ればよく、必ずしも複数台が必要ではない。
【0017】
まず、充電システム1は、充電プラグを含む充電ケーブルが接続された充電装置から充電プラグを掴み、充電エリアに位置する車両の充電口に対する充電プラグの抜き差しを自動的に行うアーム機構(例えば、充電口操作アームA1~Am)を備えるものである。そして、充電システム1は、センサ(例えば、状況監視センサ12)を用いて充電プラグを車両の充電口に挿入する際に、充電ケーブルが所定の安全条件を越えた状態となっているか否かを検出する。また、充電システム1は、制御部(例えば、管理装置10)を用いて、状況監視センサ12を用いて検出された状態が安全条件を越えた状態であることを検出した場合に、充電口操作アームA1~Amの少なくとも1つを動作させて充電ケーブルを安全条件を満たす状態に移動させる処理、又は、充電ケーブルの状態に基づいて安全条件を更新する処理の少なくとも一方を行う。また、充電システム1は、管理装置10は、車両通信部11を用いて車両と通信を行い、車両に対して移動経路の指示と移動指示を行う。
【0018】
車両通信部11は、所定の通信規格に基づき管理装置10と車両との間の通信を制御する。状況監視センサ12は、例えば、駐車エリアを撮影するカメラ、駐車エリアに埋設された重量センサ、駐車エリアの車両及び充電ケーブルの状態を把握可能な無線信号を用いたセンサ等により実現出来る。以下の説明では、状況監視センサ12としてカメラを利用した例について説明するが、状況監視センサ12の形態はカメラに限られるものではない。
【0019】
図1に示す管理装置10内の処理ブロックは、専用のハードウェアで実現する事もでき、コンピュータのような演算装置の演算部においてプログラムを実行することで実現することもできる。また、管理装置10内の処理ブロックのうち記憶部に関しては、コンピュータがアクセス可能な記憶装置により実現される。
【0020】
管理装置10は、車両運行管理部21、車両情報記憶部22、充電スケジュール管理部23、車両位置制御部24、充電口操作アーム制御部25を有する。車両運行管理部21は、車両を利用するユーザーからのリクエストに応じて、車両の出庫及び入庫を管理する。また、車両運行管理部21は、車両と図示しない他の通信経路を用いて通信を行い、車両の運行予定の決定、車両の走行距離、充電率の把握を行う。車両情報記憶部22は、管理対象の車両の充電口の位置、充電口の規格、満充電量等の車両の種類毎の仕様を保持するデータベースである。
【0021】
充電スケジュール管理部23は、車両運行管理部21及び車両情報記憶部22から得た車両の状態、運行予定及び仕様に基づき管理対象の車両に対する充電が効率的に行えるように充電スケジュールを生成する。
【0022】
車両位置制御部24は、充電スケジュール管理部23が生成した充電スケジュールに基づき駐車エリアに入庫されている車両に対して駐車位置の指定、駐車位置の移動、及び、車両に対する移動指示を行う。充電口操作アーム制御部25は、充電口操作アームA1~Amに充電スケジュール管理部23が生成した充電スケジュールに応じた充電ケーブルの選択及び充電プラグを車両の挿入口への挿入する動作指示を与える。
【0023】
また、車両位置制御部24及び充電口操作アーム制御部25は、状況監視センサ12から得られる駐車エリアの状態に基づき現在の状態が予め設定した安全条件を満たしているか否かを判断する。そして、現在の状態が安全条件を満たしていない場合、安全条件が確保されるような処理を行う。例えば、車両位置制御部24により安全条件の確保を行う場合、車両位置制御部24は、充電ケーブルの状態に基づいて安全条件を更新する処理を行う。また、充電口操作アーム制御部25により安全条件の確保を行う場合、充電口操作アーム制御部25は、アーム機構を動作させて充電ケーブルを安全条件を満たす状態に移動させる処理を行う。充電システム1では、車両位置制御部24と充電口操作アーム制御部25における安全条件の確保処理の少なくとも一方を行う。
【0024】
ここで、実施の形態1にかかる充電システム1の駐車エリアの構成について説明する。
図2に実施の形態1にかかる充電システムにおける駐車エリアの概略図を示す。
図2に示すように、駐車エリアには、充電装置30が設けられる。そして、充電装置30に対応して充電エリアが設けられる。また、
図2に示す例では、充電エリアには、複数(
図2では5つ)の駐車区画B1~B5が設定されている。
図2に示す例では、充電区画B1~B5に車両V11~V15が1区画毎に1台駐車されるように止められている状態を示した。
【0025】
また、充電システム1が管理する駐車エリアには、充電を待機している車両を駐車する未充電車両駐車エリアと、充電が完了した車両を待機させる充電済み車両駐車エリアと、が設けられる。未充電駐車エリアには、駐車エリアに入庫してきた車両が駐車され、充電済み車両駐車エリアには出庫を待機する車両が駐車される。
【0026】
また、
図2に示す例では、充電装置30に、2つの充電口の規格に対応する充電ケーブルが設けられる。
図2に示す例では、充電ケーブル311、313、315が充電口規格Aに対応した充電プラグが設けられる充電ケーブルである。また、充電ケーブル312、314は、充電口規格Bに対応した充電プラグが設けられる充電ケーブルである。また、充電装置30に付随して充電口操作アームA1が設けられる。
図2では、充電エリアに対応する充電口操作アームを1つとしたが、複数の充電口操作アームが設けられていても良い。
【0027】
充電システム1は、未充電車両駐車エリアに駐車されている車両をシステムが指定する駐車エリアの区画に移動させ、充電エリアにおいて充電が完了した車両を充電エリアの左右に設けられた通路A、又は、通路Bを経路として充電済み車両駐車エリアに移動させる。そして、実施の形態1にかかる充電システム1では、この車両の移動を行う際に安全条件の判定を行い、安全条件を充足する領域のみを車両の通行経路又は駐車可能エリアとする。
【0028】
続いて、実施の形態1にかかる充電システム1の動作について説明する。実施の形態1では、充電システム1が行う安全条件の確保処理のうち、アーム機構(例えば、充電口操作アームA1)を動作させて充電ケーブルを安全条件を満たす状態に移動させる処理について説明する。
【0029】
まず、実施の形態1で対処する安全条件を満たさない状態について説明する。そこで、
図3に実施の形態1にかかる充電システムの駐車エリアにおける安全条件から外れる状態の一例を説明する図を示す。
【0030】
図3に示す例では、充電区画B2に駐車された車両V12について充電が完了し、車両V12が充電区画B2から移動して充電区画B2が空の充電区画となった状態である。
図3に示したれいでは、このような状態において充電ケーブル311の一部が充電区画B2に侵入したまま残されてしまっている状態となっている。また、
図3に示す例では、充電区画B2には、充電ケーブル312の一部が侵入した状態で車両V11と接続された状態となっている。このような状態で充電区画B2に新たな車両を駐車すると、新たな車両に充電ケーブルが絡まる、或いは、踏まれる恐れがある。そこで、実施の形態1にかかる充電システム1では、状況監視センサ12及び充電口操作アーム制御部25を用いてこのような安全条件を満たさない状態を検出し、充電口操作アーム制御部25により充電口操作アームA1を操作して、充電区画B2に充電ケーブルの一部が侵入した状態を解消する。
【0031】
図4に実施の形態1にかかる充電システム1の動作を説明するフローチャートを示す。
図4に示すように、実施の形態1にかかる充電システム1では、充電口操作アーム制御部25が状況監視センサ12を用いて充電エリアの周囲の安全条件を確認する(ステップS1)。より具体的には、このステップS1における安全条件の判定は、充電エリアを含む範囲の安全条件の判定を行う。また、ステップS1の安全条件は、例えば、
図3に示したような充電エリアの充電区画B1~B5内への充電ケーブルの侵入を安全条件が充足されない状態とするものである。
【0032】
続いて、実施の形態1にかかる充電システム1は、ステップS1で確認した安全条件が充足しているか否かを充電口操作アーム制御部25により判定する(ステップS2)。このステップS2で安全条件が充足されていると判断されていればステップS4の車両の移動を行い、安全条件が非充足であれば安全エリア更新処理(ステップS3)を行う。ステップS3の安全エリア更新処理の詳細は、後述する。
【0033】
また、ステップS4では、安全条件を満たすエリアを通るように車両位置制御部24が車両を未充電車両駐車エリアから充電エリアに移動させる。そして、充電が完了した後(ステップS5のYESの枝)に充電システム1は、ステップS1~S3と同様の安全条件の確保処理をステップS6~S8を用いて行う。その後、充電システム1は、安全条件を満たすエリアを通るように充電エリアの車両を充電済み車両駐車エリアに移動させる(ステップS9)。実施の形態1にかかる充電システム1は、このステップS1~S9の処理を車両毎に行う。
【0034】
ここで、ステップS3及びステップS8で行う実施の形態1にかかる安全エリア更新処理について詳細に説明する。
図5に実施の形態1にかかる充電システムの安全エリア更新処理を説明するフローチャートを示す。実施の形態1にかかる安全エリア更新処理では、充電口操作アーム制御部25が、状況監視センサ12を用いて得た情報から安全エリアとして指定される充電エリアの充電区画或いは充電エリア周囲の通路に充電ケーブルの侵入が有るか否かを判断する(ステップS11)。
【0035】
このステップS11において、安全エリアに充電ケーブルの侵入があると判断された場合、充電口操作アーム制御部25は、充電口操作アームA1を動作させて充電ケーブルを移動させることで、安全エリアとして指定される車両通路及び駐車エリアに充電ケーブルが侵入していない状態とする(ステップS12)。
【0036】
上記説明より、実施の形態1にかかる充電システム1では、管理装置10が充電口操作アームA1~Amを用いて安全エリアに指定される車両の通路及び駐車エリアに充電ケーブルが侵入する状態を回避するように充電ケーブルを移動させる。これにより、安全エリア入り込んだ充電ケールが車両に踏まれる、或いは、絡まるといった安全が十分に確保されない状態を回避することができる。
【0037】
また、実施の形態1にかかる充電システム1では、操作対象となる充電ケーブルを充電口操作アームにより掴んで充電ケーブルの一端に設けられる充電プラグを車両の充電口に挿入する。このような形態とすることで、実施の形態1にかかる充電システム1は、充電ケーブルの取り回しの自由度を高めることができる。より具体的には、実施の形態1にかかる充電システム1は、充電ケーブルの一部が安全エリアとして安全を確保すべきエリアに侵入していた場合であっても、その部分の充電ケーブルを比較的短時間に移動させることができる。
【0038】
実施の形態2
実施の形態2では、安全エリア更新処理の別の形態について説明する。具体的には、実施の形態2にかかる安全エリア更新処理では、制御部(例えば、管理装置10)が、充電ケーブルが存在する範囲に基づいて、他車両の進入を制限する安全条件を満たさない範囲を変更する。より具体的には、実施の形態2にかかる安全エリア更新処理では、状況監視センサ12を用いて車両位置制御部24が行う。
【0039】
まず、実施の形態2で対象とする安全条件を満たさない状態の例について説明する。そこで、
図6に実施の形態2にかかる充電システムの駐車エリアにおける安全条件から外れる状態の一例を説明する図を示す。
図6に示す例は、充電ケーブル311が充電エリアの周囲に設定された通路Aにはみ出すように充電区画B1に止められた車両V11に接続されている。このような状況となった場合に、実施の形態2にかかる安全エリア更新処理は有効である。例えば、車両V11への充電を考えると充電ケーブル311の移動は難しく、一時的に、通路Aを通行禁止とするほうが全体の処理として全体の充電に要する時間を短縮できるためである。
【0040】
そこで、実施の形態2にかかる安全エリア更新処理について詳細に説明する。
図7に実施の形態2にかかる充電システムの安全エリア更新処理を説明するフローチャートを示す。
図7に示すフローチャートでは、実施の形態1にかかる安全エリア更新処理であるステップS11及びステップS12に実施の形態2にかかる安全エリア更新処理であるステップS21及びステップS22を追加したが、ステップS22を行なわないとすることもできる。
【0041】
実施の形態2にかかる安全エリア更新処理では、車両位置制御部24が、状況監視センサ12を用いて得た情報から安全エリアとして指定される充電エリアの充電区画或いは充電エリア周囲の通路に充電ケーブルの侵入が有るか否かを判断する(ステップS11)。
【0042】
そして、このステップS11において、安全エリアに充電ケーブルの侵入があると判断された場合、車両位置制御部24及び充電口操作アーム制御部25は充電ケーブルの移動が可能か否かを判断する(ステップS21)。このステップS21で充電ケーブルが移動可能と判断された場合、充電口操作アーム制御部25は、充電口操作アームA1を動作させて充電ケーブルを移動させることで、安全エリアとして指定される車両通路及び駐車エリアに充電ケーブルが侵入していない状態とする(ステップS12)。
【0043】
一方、ステップS21で充電ケーブルが移動できない判断された場合、車両位置制御部24が充電ケーブルが存在する領域(例えば
図6の通路A)を安全エリアから除外する処理を行う(ステップS22)。
【0044】
実施の形態2にかかる安全エリア更新処理では、充電ケーブルの移動が難しい状況においても車両通行における安全が確保される安全エリアを適切に管理することができ、システム全体の安全性を向上させることがでる。
【0045】
実施の形態3
実施の形態3では、安全エリア更新処理の別の形態について説明する。具体的には、実施の形態3にかかる安全エリア更新処理では、制御部(例えば、管理装置10)が、更新した安全条件を満たさないと判断する範囲が他の駐車区画と重なっている場合には、安全条件を満たさない範囲にある駐車区画に対する他車両の駐車を制限する。より具体的には、実施の形態3にかかる安全エリア更新処理では、状況監視センサ12を用いて車両位置制御部24が行う。
【0046】
つまり、実施の形態3にかかる安全エリア更新処理では、
図3に示すような状態において充電区画B2への他車両の駐車を制限する。
【0047】
ここで、実施の形態3にかかる安全エリア更新処理について説明する。
図8に実施の形態3にかかる充電システムの安全エリア更新処理を説明するフローチャートを示す。
図8に示すように、実施の形態3にかかる安全エリア更新処理は、実施の形態2にかかる安全エリア更新処理のステップS22のあとにステップS31及びステップS32を実行することで行われる。ステップS31及びステップS32は、車両位置制御部24が実行する処理である。
【0048】
ステップS31では、ステップS22で安全エリアから除外された領域が充電エリアの充電区画であるか否かを判断する。そして、ステップS31で安全エリアから除外された領域が充電エリアの充電区画あると判断された場合、車両位置制御部24は、安全エリアから除外した充電区画を使用不可に設定し(ステップS32)、安全エリアから除外された充電区画以外の区画で充電が行われるように車両を移動させる。なお、充電区画が使用禁止されたことは、充電スケジュール管理部23にも通知し、充電スケジュールを変更することが好ましい。
【0049】
上記説明より、実施の形態3にかかる安全エリア更新処理では、充電区画の安全を確保しながら、全体として充電をスムーズに行うことが可能になる。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 充電システム
10 管理装置
11 車両通信部
12 状況監視センサ
21 車両運行管理部
22 車両情報記憶部
23 充電スケジュール管理部
24 車両位置制御部
25 充電口操作アーム制御部
30 充電装置
311 充電ケーブル
A1 充電口操作アーム
B1 充電区画