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特許7544034画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240827BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20240827BHJP
   G06T 3/00 20240101ALI20240827BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240827BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240827BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H04N7/18 U
G06F3/0484
G06T3/00 775
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
G09G5/36 400
G09G5/38 100
G09G5/00 550B
G09G5/00 550H
G09G5/00 530D
G09G5/36 200
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021511362
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2020011047
(87)【国際公開番号】W WO2020203167
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2019065814
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 翔
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕也
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139102(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235608(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
G06T 3/00
G09G 5/00-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視点位置変更指示に応じて視点移動情報を検出する検出部と、
お勧め視点情報を含む画像の出力範囲を、上記お勧め視点情報および上記視点移動情報に基づいて決定する出力範囲決定部と、
決定された上記出力範囲に基づいて、表示画像として上記画像の一部を表示部に出力する出力部を備え、
上記出力範囲決定部は、上記表示画像が上記お勧め視点情報が示すお勧め範囲とは異なることを含む所定の条件を満たす場合、上記表示画像が上記お勧め範囲の方向に遷移するように上記出力範囲を決定する
画像処理装置。
【請求項2】
上記所定の条件は、上記表示画像が上記お勧め範囲とは異なることが所定時間以上であることをさらに含む
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記所定の条件は、上記視点移動情報が検出されていないことをさらに含む
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記所定の条件は、上記表示画像が上記画像中の特定の範囲にあることをさらに含む
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記所定の条件は、上記画像が特定フレームの画像にあることをさらに含む
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記所定の条件は、上記視点移動情報として上記お勧め範囲への遷移指示があることをさらに含む
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記出力範囲決定部は、上記表示画像と上記お勧め範囲との位置差に基づいて上記遷移の速度を制御し、上記位置差が大きい場合は上記位置差が小さい場合よりも上記遷移の速度を大きくする
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
上記出力範囲決定部は、上記お勧め範囲に一定時間で戻るように上記遷移の速度を制御する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
上記出力範囲決定部は、上記お勧め範囲に一定速度で戻るように上記遷移の速度を制御する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
上記出力範囲決定部は、上記遷移の経路を球面線形補間で補間する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
上記出力部は、上記遷移の経路を線形補間で補間する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
上記視点移動情報に基づく視点位置の変更により上記表示画像が上記お勧め範囲とは異なる場合、上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記表示画像を、上記視点位置の変更による視点位置の変更方向とは反対方向の経路で移動させるよう上記出力範囲を決定する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記表示画像を、上記お勧め範囲への最短経路で移動させるよう上記出力範囲を決定する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
上記画像にマスク範囲を示すマスク範囲情報を含む場合、上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記表示画像を、上記マスク範囲を通らない経路で移動させるよう上記出力範囲を決定する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
上記画像に通過ポイントを示す通過ポイント情報を含む場合、上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記表示画像を、上記通過ポイントを通る経路で移動させるよう上記出力範囲を決定する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項16】
上記お勧め視点情報として複数のお勧め範囲を含む場合、上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記表示画像を、上記表示画像から上記複数のお勧め範囲のうち最も近い位置のお勧め範囲、またはユーザが選択した位置のお勧め範囲に向けて移動させるよう上記出力範囲を決定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項17】
視点位置変更指示に応じて視点移動情報を検出する手順と、
お勧め視点情報を含む画像の出力範囲を、上記お勧め視点情報および上記視点移動情報に基づいて決定する手順と、
決定された上記出力範囲に基づいて、表示画像として上記画像の一部を表示部に出力する手順を有し、
上記出力範囲を決定する手順では、上記表示画像が上記お勧め視点情報が示すお勧め範囲とは異なることを含む所定の条件を満たす場合、上記表示画像が上記お勧め範囲の方向に遷移するように上記出力範囲を決定する
画像処理方法。
【請求項18】
コンピュータを、
視点位置変更指示に応じて視点移動情報を検出する検出手段と、
お勧め視点情報を含む画像の出力範囲を、上記お勧め視点情報および上記視点移動情報に基づいて決定する出力範囲決定手段と、
決定された上記出力範囲に基づいて、表示画像として上記画像の一部を表示部に出力する出力手段として機能させ、
上記出力範囲決定手段は、上記表示画像が上記お勧め視点情報が示すお勧め範囲とは異なることを含む所定の条件を満たす場合、上記表示画像が上記お勧め範囲の方向に遷移するように上記出力範囲を決定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関し、詳しくは、ユーザがVR画像やパノラマ画像などの広視野角画像を良好に観察可能とする画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)のOMAF(Omnidirectional Media Application Format)の規格の中で、360°あるいはそれより狭い画角の広視野角の画像データと共にお勧め視点情報を送る方法が定義されている。また、例えば、特許文献1には、お勧め視点の表示に関する記載が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-194784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
お勧め視点を表示すると広視野角の画像のうちお勧め視点しか見られなくなる。一方、自由に見られるようにするとお勧め視点位置が分からなくなる。この場合、お勧め視点を枠等で表示することも考えられるが、その部分において世界観が崩れる不都合がある。
【0005】
本技術の目的は、お勧め視点の位置を枠等で表示することなく、お勧め視点と自由視点との併用を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の概念は、
視点位置変更指示に応じて視点移動情報を検出する検出部と、
お勧め視点情報を含む画像の出力範囲を、上記お勧め視点情報および上記視点移動情報に基づいて決定する出力範囲決定部と、
決定された上記出力範囲に基づいて、表示画像として上記画像の一部を表示部に出力する出力部を備え、
上記出力範囲決定部は、上記表示画像が所定の条件を満たす場合、上記表示画像が上記お進め視点情報が示すお勧め範囲となるように上記出力範囲を決定する
画像処理装置。
【0007】
本技術において、検出部により、視点位置変更指示に応じて視点移動情報が検出される。この視点位置変更指示は、例えばジャイロセンサ(角速度センサ)やユーザ操作等で与えられる。出力範囲決定部により、お勧め視点情報を含む画像の出力範囲が、お勧め視点情報および視点移動情報に基づいて決定される。そして、出力部により、決定された出力範囲に基づいて、表示画像として画像の一部が表示部に出力される。例えば、画像は、VR画像やパノラマ画像等の広視野角画像である。出力範囲決定部では、表示画像が所定の条件を満たす場合、表示画像がお進め視点情報が示すお勧め範囲となるように出力範囲が決定される。例えば、出力範囲決定部は、表示画像がお勧め範囲の方向に遷移するように出力範囲を決定する、ようにされてもよい。
【0008】
また、例えば、所定の条件は、表示画像がお勧め範囲とは異なる場合である、ようにされてもよい。また、例えば、所定の条件は、表示画像が所定時間以上、お勧め範囲とは異なる場合ある、ようにされてもよい。また、例えば、所定の条件は、さらに視点移動情報が検出されていない場合である、ようにされてもよい。
【0009】
また、例えば、所定の条件は、表示画像が画像中の特定の範囲にある場合である、ようにされてもよい。また、例えば、所定の条件は、画像が特定フレームの画像にあって、表示画像がお勧め範囲とは異なる場合である、ようにされてもよい。また、例えば、所定の条件は、表示画像がお勧め範囲とは異なり、かつ視点移動情報としてお勧め範囲への遷移指示がある場合である、ようにされてもよい。
【0010】
また、例えば、出力範囲決定部は、表示画像とお勧め範囲との位置差に基づいて遷移の速度を制御し、位置差が大きい場合は位置差が小さい場合よりも遷移の速度を大きくする、ようにされてもよい。また、例えば、出力範囲決定部は、お勧め範囲に一定時間で戻るように遷移の速度を制御する、ようにされてもよい。また、例えば、出力範囲決定部は、お勧め範囲に一定速度で戻るように遷移の速度を制御する、ようにされてもよい。
【0011】
また、例えば、出力範囲決定部は、遷移の経路を球面線形補間で補間する、ようにされてもよい。また、例えば、出力範囲決定部は、遷移の経路を線形補間で補間する、ようにされてもよい。
【0012】
また、例えば、視点移動情報に基づく視点位置の変更により表示画像がお勧め範囲とは異なる場合、出力範囲決定部は、遷移の際に、現在の出力範囲を、視点位置の変更指示による視点位置の変更方向とは反対方向の経路で移動させるよう出力範囲を決定する、ようにされてもよい。また、例えば、出力範囲決定部は、遷移の際に、表示画像からお勧め範囲への最短経路で移動させるよう出力範囲を決定する、ようにされてもよい。
【0013】
また、例えば、画像にマスク範囲を示すマスク範囲情報を含む場合、出力範囲決定部は、遷移の際に、マスク範囲を通らない経路で移動させるよう出力範囲を決定する、ようにされてもよい。また、例えば、画像に通過ポイントを示す通過ポイント情報を含む場合、出力範囲決定部は、遷移の際に、通過ポイントを通る経路で移動させるよう出力範囲を決定する、ようにされてもよい。
【0014】
また、例えば、お勧め点情報として複数のお勧め範囲を含む場合、出力範囲決定部は、遷移の際に、表示画像から複数のお勧め範囲のうち最も近い位置のお勧め範囲、またはユーザが選択した位置のお勧め範囲に向けて移動させるよう出力範囲を決定する、ようにされてもよい。
【0015】
このように本技術においては、お勧め視点情報を含む画像の出力範囲を、お勧め点情報および視点移動情報に基づいて決定するものである。そのため、お勧め視点の位置を枠等で表示することなくお勧め視点と自由視点との併用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態としての画像配信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】お勧め視点情報等を説明するための図である。
図3】表示装置の構成例を示すブロック図である。
図4】遷移算出部における次フレームの視点位置を求める処理を説明するための図である。
図5】現在視点からお勧め視点への遷移を説明するための図である。
図6】現在視点に対応した画像が切出し表示されることを説明するための図である。
図7】表示装置における表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図9】手術室システムの全体構成を概略的に示す図である。
図10】集中操作パネルにおける操作画面の表示例を示す図である。
図11】手術室システムが適用された手術の様子の一例を示す図である。
図12図B3に示すカメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図13】現在視点からお勧め視点への遷移の際にお勧め視点への最短方向に現在視点を移動させる例を説明するための図である。
図14】現在視点からお勧め視点への遷移の際にユーザが動かした向きとは反対方向にマスク範囲が存在する場合について説明するための図である。
図15】マスク範囲を通らないようにした場合における、表示装置における表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16】現在視点からお勧め視点への遷移の際に通過ポイントが設定されている場合について説明するための図である。
図17】通過ポイントを通るようにした場合における、表示装置における表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
図18】現在視点からお勧め視点への遷移の際に複数のお勧め視点が存在する場合について説明するための図である。
図19】複数のお勧め視点のうち最も近い位置のお勧め視点に向けて現在視点が移動していく場合における、表示装置における表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
図20】複数のお勧め視点のうちユーザが選択したお勧め視点に向けて移動していく場合における、表示装置における表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
図21】お勧め視点表示がされているか否かによりお勧め視点に移動する場合における、表示装置における表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
図22】お勧め視点表示がされずに所定時間以上経過しているか否かによりお勧め視点に移動する場合における、表示装置における表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
図23】表示装置における表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.応用例
3.変形例
【0018】
<1.実施の形態>
[画像配信システム]
図1は、実施の形態としての画像配信システム10の構成例を示している。この画像配信システム10は、配信側装置と、受信側装置としての表示装置200とからからなっている。表示装置200としては、HMD(Head Mounted Display)やタブレット等が考えられる。
【0019】
配信側装置は、マルチカメラ101と、広視野角画像変換部102と、エンコーダ103と、配信サーバ104を有している。
【0020】
マルチカメラ101は、球面キャプチャ画像の画像データを得る。例えば、マルチカメラ101は、2個のカメラでバック・ツー・バック(Back to Back)方式で撮像を行って、球面キャプチャ画像として、それぞれ魚眼レンズを用いて撮像された180°以上の視野角を持つ、広視野角の前面画像および後面画像を得る。
【0021】
広視野角画像変換部102は、マルチカメラ101で得られた球面キャプチャ画像を平面パッキングして長方形のプロジェクション画像(Projection picture)を得る。このプロジェクション画像は、360°あるいはそれより狭い画角である広視野角の画像に対応したものである。この場合、プロジェクション画像のフォーマットタイプとしては、例えば、エクイレクタングラー(Equirectangular)などが選択される。なお、広視野角画像変換部102では、プロジェクション画像に必要に応じてスケーリングが施され、所定の解像度のプロジェクション画像が得られる。
【0022】
エンコーダ103は、広視野角画像変換部102からのプロジェクション画像の画像データに対して、例えば、HEVCなどの符号化を施して符号化画像データを得、この符号化画像データを含むビデオストリームを生成する。ここで、エンコーダ103は、ビデオストリームに、フレーム単位で、お勧め視点情報を挿入する。
【0023】
お勧め視点は、例えば位置センサあるいは画像認識で推定された演者を含む範囲に自動的に設定され、また例えばディレクタが手動で指定した範囲に設定される。ここで、お勧め視点は、一つだけ設定される場合に限定されず、複数設定される場合も考えられる。
【0024】
図2(a)は、球面キャプチャ画像に対応した球面を示している。図2(b)は、フォーマットタイプがエクイレクタングラーであった場合における長方形のプロジェクション画像を概略的に示している。このプロジェクション画像の中心は(0,0)である。
【0025】
お勧め視点情報は、例えば、図2(c)に示すように、フレーム番号、中心角度情報、水平角度情報、垂直角度情報、お勧め視点番号などからなっている。中心角度情報、水平角度情報および垂直角度情報は、球面キャプチャ画像における角度情報である(図2(a)参照)。
【0026】
図1に戻って、配信サーバ104は、エンコーダ103で生成されたビデオストリームを配信データとして表示装置200に送る。なお、この配信は、放送、通信のいずれであってもよい。
【0027】
図3は、表示装置200の構成例を示している。表示装置200は、受信部201と、デコーダ202と、視野描画部203と、ジャイロセンサ204と、視点移動情報算出部205と、遷移算出部206と、表示部207を有している。ここで、遷移算出部206は出力範囲決定部を構成し、視野描画部203は出力部を構成する。
【0028】
受信部201は、送信側装置から送られてくる配信データとしてのビデオストリームを受信する。デコーダ202は、受信部201で受信されたビデオストリームに復号化を施して、プロジェクション画像(画像データ)を得る。また、デコーダ202は、受信されたビデオストリームからフレーム単位で挿入されているお勧め視点情報を得る。
【0029】
ジャイロセンサ204は、このジャイロセンサ204を内蔵している機器、ここでは表示装置200の回転角度の変化を検知する。視点移動情報算出部205は、ジャイロセンサ204の検知出力に基づいて視点移動情報を算出する。この視点移動情報算出部205は、視点位置変更指示を検出する検出部を構成する。
【0030】
この場合、HMDを装着しているユーザが首を回転させる、あるいはユーザがタブレットを回転させるなどの操作を行って視点移動を発生させた場合、視点移動情報算出部205ではその視点移動を示す視点移動情報が算出される。
【0031】
なお、ユーザがタッチパネル上でスワイプ等の操作を行って視点移動を発生させることも考えられる。その場合、視点移動情報算出部205は、タッチパネルの操作情報に基づいて視点移動情報を算出する。
【0032】
遷移算出部206は、デコーダ202からの次フレームのお勧め視点情報と視点移動情報算出部205からの視点移動情報に基づいて、フレーム毎に、次フレームの視点位置を算出する。ここで、ユーザ操作による視点移動発生がある場合、遷移算出部206は、視点移動情報が示す視点移動が反映されるように視点位置を移動し、その移動された視点位置を次フレームの視点位置とする。
【0033】
一方、ユーザ操作による視点移動発生がない場合、遷移算出部206は、お勧め視点情報が示すお勧め視点の方向に視点位置を遷移させる。この場合、現在視点からお勧め視点までの経路が球面線形補間され、図4に示すように、1ステップ進んだ位置が次フレームの視点位置とされる。1ステップの移動量は、補間として何ステップでお勧め視点へ戻るかに依存し、戻り易さのパラメータとなる。そして、この場合、現在視点とお勧め視点との差が大きいほど早く近づき、小さいほどゆっくりと近づくように、速度制御される。つまり、位置差が大きい場合は位置差が小さい場合よりも遷移の速度を大きくするものである。
【0034】
図5(a)は、長方形のプロジェクション画像上におけるお勧め視点と現在視点(表示視点)の位置関係の一例を示している。このようにユーザ操作により現在視点がお勧め視点から外れている場合、ユーザ操作による視点移動発生がないとすると、図5(b)に示すように、現在視点は、ユーザが動かした向きとは反対方向に、お勧め視点に向かって移動していく。図示の例は、t-4フレームの現在視点がtフレームまでの4フレームでお勧め視点に戻る例を示している。現在視点がお勧め視点に近づくほど現在視点の移動速度が遅くなって、現在視点が滑らかにお勧め視点に復帰する。
【0035】
視野描画部203は、デコーダ202で得られる次フレームのプロジェクション画像データから、遷移算出部206で算出される次フレームの視点位置範囲の画像データを切り出してレンダリングし、次フレームの視点位置に対応した表示画像データを得る。表示部207は、視野描画部203で得られた各フレームの表示用画像データによる画像を表示する。
【0036】
図6(a)は、長方形のプロジェクション画像の一例を示している。図6(b)は、プロジェクション画像上における視点位置範囲の一例を示している。この場合、表示部207には、図6(c)に示すように、視点位置に対応した画像が表示される。
【0037】
図3に示す表示装置200の動作を簡単に説明する。送信側装置から送られてくる配信データは受信部201で受信されてデコーダ202に送られる。デコーダ202では、ビデオストリームに復号化が施されて、各フレームのプロジェクション画像データが順次得られる。このプロジェクション画像データは、視野描画部203に送られる。また、デコーダ202では、ビデオストリームから、フレーム単位で挿入されているお勧め視点情報が得られる。このお勧め視点情報は、遷移算出部206に送られる。
【0038】
また、ジャイロセンサ204では、このジャイロセンサ204を内蔵している表示装置200(HMDやタブレットなど)の回転角度の変化が検知される。その検知出力は、視点移動情報算出部205に送られる。
【0039】
視点移動情報算出部205では、ジャイロセンサ204の検知出力に基づいて視点移動情報が算出される。ここで、HMDを装着しているユーザが首を回転させる、あるいはユーザがタブレットを回転させるなどの操作を行って視点移動を発生させた場合、視点移動情報算出部205ではその視点移動を示す視点移動情報が算出される。この視点移動情報は、遷移算出部206に送られる。
【0040】
遷移算出部206では、デコーダ202からの次フレームのお勧め視点情報と視点移動情報算出部205からの視点移動情報に基づいて、フレーム毎に、次フレームの視点位置が算出される。ここで、ユーザ操作による視点移動発生がある場合、視点移動情報が示す視点移動が反映されるように視点位置が移動され、その移動された視点位置が次フレームの視点位置とされる。また、ユーザ操作による視点移動発生がない場合、お勧め視点情報が示すお勧め視点の方向に視点位置が遷移するように、現在視点からお勧め視点までの経路が球面線形補間され、ステップ進んだ位置が次フレームの視点位置とされる。
【0041】
遷移算出部206で得られる、フレーム毎の、次フレームの視点位置は、視野描画部203に送られる。視野描画部203では、デコーダ202で得られる次フレームのプロジェクション画像データから、遷移算出部206で算出される次フレームの視点位置範囲の画像データが切り出されてレンダリングされ、フレーム毎に、次フレームの視点位置に対応した表示画像データが得られる。
【0042】
視野描画部203で得られる各フレームの表示用画像データは、表示部207に送られる。この表示部207では、この各フレームの表示用画像データによる画像、つまり現在の視点位置に対応した画像が表示される。
【0043】
図7のフローチャートは、表示装置200における表示処理手順の一例を示している。表示装置200は、ステップST1において、例えばユーザによるビデオクリップの再生開始操作に対応して処理を開始する。
【0044】
次に、表示装置200は、ステップST2において、お勧め視点に対応した範囲(お勧め範囲)を出力範囲として表示する。次に、表示装置200は、ステップST3において、ユーザ操作による視点移動発生があるか否かを判断する。
【0045】
ユーザによる視点移動発生がある場合、表示装置200は、ステップST4において、操作方向に視点を移動し、その後にステップST5の処理に進む。なお、ここで、ユーザ操作による視点移動の移動量が小さく所定値以下の場合にはユーザ操作による視点移動発生がないとみなす処理(閾値処理)を行ってもよい。これにより、例えばHMDが装着された頭部が微妙に動く場合にあっても安定した表示動作が可能となる。一方、ユーザによる視点移動発生がない場合、表示装置200は、ステップST6において、お勧め視点方向への経路を計算し、その経路に沿ってお勧め視点方向に視点を移動し、その後にステップST5の処理に進む。表示装置200は、ステップST5において、現在視点に対応した範囲を出力範囲として表示する。
【0046】
次に、表示装置200は、ステップST7において、動画再生あるいは配信が終了したか否かを判断する。動画再生あるいは配信が終了していないときは、表示装置200は、ステップST3の処理に戻り、次のフレームの処理に映る。一方、動画再生あるいは配信が終了したときは、ステップST8において、一連の処理を終了する。
【0047】
なお、上述の表示装置200における一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0048】
図8は、上述の一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータ400のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0049】
コンピュータ400において、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403は、バス404により相互に接続されている。
【0050】
バス404には、さらに、入出力インタフェース405が接続されている。入出力インタフェース405には、入力部406、出力部407、記録部408、通信部409およびドライブ410が接続されている。
【0051】
入力部406は、入力スイッチ、ボタン、マイクロフォン、撮像素子などよりなる。出力部407は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部408は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部409は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ410は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア411を駆動する。
【0052】
以上のように構成されるコンピュータ400では、CPU401が、例えば、記録部408に記録されているプログラムを、入出力インタフェース405およびバス404を介して、RAM403にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0053】
コンピュータ400(CPU401)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア411に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0054】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア411をドライブ410に装着することにより、入出力インタフェース405を介して、記録部408にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部409で受信し、記録部408にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM402や記録部408に予めインストールしておくことができる。
【0055】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0056】
上述したように、図1に示す画像配信システム10の表示装置200においては、お勧め範囲(お勧め視点に対応した範囲)を出力範囲とした後にユーザ操作による視点移動に応じて出力範囲を変更し得るものであって、出力範囲がお勧め範囲から外れている場合、ユーザ操作による視点移動発生がないときには、出力範囲をお勧め範囲の方向に遷移させるものである。そのため、お勧め視点の位置を枠等で表示することなく、お勧め視点と自由視点との併用が可能となる。
【0057】
.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、手術室システムに適用されてもよい。
【0058】
図9は、本開示に係る技術が適用され得る手術室システム5100の全体構成を概略的に示す図である。図9を参照すると、手術室システム5100は、手術室内に設置される装置群が視聴覚コントローラ(AV Controller)5107及び手術室制御装置5109を介して互いに連携可能に接続されることにより構成される。
【0059】
手術室には、様々な装置が設置され得る。図9では、一例として、内視鏡下手術のための各種の装置群5101と、手術室の天井に設けられ術者の手元を撮像するシーリングカメラ5187と、手術室の天井に設けられ手術室全体の様子を撮像する術場カメラ5189と、複数の表示装置5103A~5103Dと、レコーダ5105と、患者ベッド5183と、照明5191と、を図示している。
【0060】
ここで、これらの装置のうち、装置群5101は、後述する内視鏡手術システム5113に属するものであり、内視鏡や当該内視鏡によって撮像された画像を表示する表示装置等からなる。内視鏡手術システム5113に属する各装置は医療用機器とも呼称される。一方、表示装置5103A~5103D、レコーダ5105、患者ベッド5183及び照明5191は、内視鏡手術システム5113とは別個に、例えば手術室に備え付けられている装置である。これらの内視鏡手術システム5113に属さない各装置は非医療用機器とも呼称される。視聴覚コントローラ5107及び/又は手術室制御装置5109は、これら医療機器及び非医療機器の動作を互いに連携して制御する。
【0061】
視聴覚コントローラ5107は、医療機器及び非医療機器における画像表示に関する処理を、統括的に制御する。具体的には、手術室システム5100が備える装置のうち、装置群5101、シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189は、手術中に表示すべき情報(以下、表示情報ともいう)を発信する機能を有する装置(以下、発信元の装置とも呼称する)であり得る。また、表示装置5103A~5103Dは、表示情報が出力される装置(以下、出力先の装置とも呼称する)であり得る。また、レコーダ5105は、発信元の装置及び出力先の装置の双方に該当する装置であり得る。視聴覚コントローラ5107は、発信元の装置及び出力先の装置の動作を制御し、発信元の装置から表示情報を取得するとともに、当該表示情報を出力先の装置に送信し、表示又は記録させる機能を有する。なお、表示情報とは、手術中に撮像された各種の画像や、手術に関する各種の情報(例えば、患者の身体情報や、過去の検査結果、術式についての情報等)等である。
【0062】
具体的には、視聴覚コントローラ5107には、装置群5101から、表示情報として、内視鏡によって撮像された患者の体腔内の術部の画像についての情報が送信され得る。また、シーリングカメラ5187から、表示情報として、当該シーリングカメラ5187によって撮像された術者の手元の画像についての情報が送信され得る。また、術場カメラ5189から、表示情報として、当該術場カメラ5189によって撮像された手術室全体の様子を示す画像についての情報が送信され得る。なお、手術室システム5100に撮像機能を有する他の装置が存在する場合には、視聴覚コントローラ5107は、表示情報として、当該他の装置からも当該他の装置によって撮像された画像についての情報を取得してもよい。
【0063】
あるいは、例えば、レコーダ5105には、過去に撮像されたこれらの画像についての情報が視聴覚コントローラ5107によって記録されている。視聴覚コントローラ5107は、表示情報として、レコーダ5105から当該過去に撮像された画像についての情報を取得することができる。なお、レコーダ5105には、手術に関する各種の情報も事前に記録されていてもよい。
【0064】
視聴覚コントローラ5107は、出力先の装置である表示装置5103A~5103Dの少なくともいずれかに、取得した表示情報(すなわち、手術中に撮影された画像や、手術に関する各種の情報)を表示させる。図示する例では、表示装置5103Aは手術室の天井から吊り下げられて設置される表示装置であり、表示装置5103Bは手術室の壁面に設置される表示装置であり、表示装置5103Cは手術室内の机上に設置される表示装置であり、表示装置5103Dは表示機能を有するモバイル機器(例えば、タブレットPC(Personal Computer))である。
【0065】
また、図9では図示を省略しているが、手術室システム5100には、手術室の外部の装置が含まれてもよい。手術室の外部の装置は、例えば、病院内外に構築されたネットワークに接続されるサーバや、医療スタッフが用いるPC、病院の会議室に設置されるプロジェクタ等であり得る。このような外部装置が病院外にある場合には、視聴覚コントローラ5107は、遠隔医療のために、テレビ会議システム等を介して、他の病院の表示装置に表示情報を表示させることもできる。
【0066】
手術室制御装置5109は、非医療機器における画像表示に関する処理以外の処理を、統括的に制御する。例えば、手術室制御装置5109は、患者ベッド5183、シーリングカメラ5187、術場カメラ5189及び照明5191の駆動を制御する。
【0067】
手術室システム5100には、集中操作パネル5111が設けられており、ユーザは、当該集中操作パネル5111を介して、視聴覚コントローラ5107に対して画像表示についての指示を与えたり、手術室制御装置5109に対して非医療機器の動作についての指示を与えることができる。集中操作パネル5111は、表示装置の表示面上にタッチパネルが設けられて構成される。
【0068】
図10は、集中操作パネル5111における操作画面の表示例を示す図である。図10では、一例として、手術室システム5100に、出力先の装置として、2つの表示装置が設けられている場合に対応する操作画面を示している。図10を参照すると、操作画面5193には、発信元選択領域5195と、プレビュー領域5197と、コントロール領域5201と、が設けられる。
【0069】
発信元選択領域5195には、手術室システム5100に備えられる発信元装置と、当該発信元装置が有する表示情報を表すサムネイル画面と、が紐付けられて表示される。ユーザは、表示装置に表示させたい表示情報を、発信元選択領域5195に表示されているいずれかの発信元装置から選択することができる。
【0070】
プレビュー領域5197には、出力先の装置である2つの表示装置(Monitor1、Monitor2)に表示される画面のプレビューが表示される。図示する例では、1つの表示装置において4つの画像がPinP表示されている。当該4つの画像は、発信元選択領域5195において選択された発信元装置から発信された表示情報に対応するものである。4つの画像のうち、1つはメイン画像として比較的大きく表示され、残りの3つはサブ画像として比較的小さく表示される。ユーザは、4つの画像が表示された領域を適宜選択することにより、メイン画像とサブ画像を入れ替えることができる。また、4つの画像が表示される領域の下部には、ステータス表示領域5199が設けられており、当該領域に手術に関するステータス(例えば、手術の経過時間や、患者の身体情報等)が適宜表示され得る。
【0071】
コントロール領域5201には、発信元の装置に対して操作を行うためのGUI(Graphical User Interface)部品が表示される発信元操作領域5203と、出力先の装置に対して操作を行うためのGUI部品が表示される出力先操作領域5205と、が設けられる。図示する例では、発信元操作領域5203には、撮像機能を有する発信元の装置におけるカメラに対して各種の操作(パン、チルト及びズーム)を行うためのGUI部品が設けられている。ユーザは、これらのGUI部品を適宜選択することにより、発信元の装置におけるカメラの動作を操作することができる。なお、図示は省略しているが、発信元選択領域5195において選択されている発信元の装置がレコーダである場合(すなわち、プレビュー領域5197において、レコーダに過去に記録された画像が表示されている場合)には、発信元操作領域5203には、当該画像の再生、再生停止、巻き戻し、早送り等の操作を行うためのGUI部品が設けられ得る。
【0072】
また、出力先操作領域5205には、出力先の装置である表示装置における表示に対する各種の操作(スワップ、フリップ、色調整、コントラスト調整、2D表示と3D表示の切り替え)を行うためのGUI部品が設けられている。ユーザは、これらのGUI部品を適宜選択することにより、表示装置における表示を操作することができる。
【0073】
なお、集中操作パネル5111に表示される操作画面は図示する例に限定されず、ユーザは、集中操作パネル5111を介して、手術室システム5100に備えられる、視聴覚コントローラ5107及び手術室制御装置5109によって制御され得る各装置に対する操作入力が可能であってよい。
【0074】
図11は、以上説明した手術室システムが適用された手術の様子の一例を示す図である。シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189は、手術室の天井に設けられ、患者ベッド5183上の患者5185の患部に対して処置を行う術者(医者)5181の手元及び手術室全体の様子を撮影可能である。シーリングカメラ5187及び術場カメラ5189には、倍率調整機能、焦点距離調整機能、撮影方向調整機能等が設けられ得る。照明5191は、手術室の天井に設けられ、少なくとも術者5181の手元を照射する。照明5191は、その照射光量、照射光の波長(色)及び光の照射方向等を適宜調整可能であってよい。
【0075】
内視鏡手術システム5113、患者ベッド5183、シーリングカメラ5187、術場カメラ5189及び照明5191は、図9に示すように、視聴覚コントローラ5107及び手術室制御装置5109(図11では図示せず)を介して互いに連携可能に接続されている。手術室内には、集中操作パネル5111が設けられており、上述したように、ユーザは、当該集中操作パネル5111を介して、手術室内に存在するこれらの装置を適宜操作することが可能である。
【0076】
以下、内視鏡手術システム5113の構成について詳細に説明する。図示するように、内視鏡手術システム5113は、内視鏡5115と、その他の術具5131と、内視鏡5115を支持する支持アーム装置5141と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート5151と、から構成される。
【0077】
内視鏡手術では、腹壁を切って開腹する代わりに、トロッカ5139a~5139dと呼ばれる筒状の開孔器具が腹壁に複数穿刺される。そして、トロッカ5139a~5139dから、内視鏡5115の鏡筒5117や、その他の術具5131が患者5185の体腔内に挿入される。図示する例では、その他の術具5131として、気腹チューブ5133、エネルギー処置具5135及び鉗子5137が、患者5185の体腔内に挿入されている。また、エネルギー処置具5135は、高周波電流や超音波振動により、組織の切開及び剥離、又は血管の封止等を行う処置具である。ただし、図示する術具5131はあくまで一例であり、術具5131としては、例えば攝子、レトラクタ等、一般的に内視鏡下手術において用いられる各種の術具が用いられてよい。
【0078】
内視鏡5115によって撮影された患者5185の体腔内の術部の画像が、表示装置5155に表示される。術者5181は、表示装置5155に表示された術部の画像をリアルタイムで見ながら、エネルギー処置具5135や鉗子5137を用いて、例えば患部を切除する等の処置を行う。なお、図示は省略しているが、気腹チューブ5133、エネルギー処置具5135及び鉗子5137は、手術中に、術者5181又は助手等によって支持される。
【0079】
(支持アーム装置)
支持アーム装置5141は、ベース部5143から延伸するアーム部5145を備える。図示する例では、アーム部5145は、関節部5147a、5147b、5147c、及びリンク5149a、5149bから構成されており、アーム制御装置5159からの制御により駆動される。アーム部5145によって内視鏡5115が支持され、その位置及び姿勢が制御される。これにより、内視鏡5115の安定的な位置の固定が実現され得る。
【0080】
(内視鏡)
内視鏡5115は、先端から所定の長さの領域が患者5185の体腔内に挿入される鏡筒5117と、鏡筒5117の基端に接続されるカメラヘッド5119と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒5117を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡5115を図示しているが、内視鏡5115は、軟性の鏡筒5117を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0081】
鏡筒5117の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡5115には光源装置5157が接続されており、当該光源装置5157によって生成された光が、鏡筒5117の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者5185の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡5115は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0082】
カメラヘッド5119の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)5153に送信される。なお、カメラヘッド5119には、その光学系を適宜駆動させることにより、倍率及び焦点距離を調整する機能が搭載される。
【0083】
なお、例えば立体視(3D表示)等に対応するために、カメラヘッド5119には撮像素子が複数設けられてもよい。この場合、鏡筒5117の内部には、当該複数の撮像素子のそれぞれに観察光を導光するために、リレー光学系が複数系統設けられる。
【0084】
(カートに搭載される各種の装置)
CCU5153は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡5115及び表示装置5155の動作を統括的に制御する。具体的には、CCU5153は、カメラヘッド5119から受け取った画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。CCU5153は、当該画像処理を施した画像信号を表示装置5155に提供する。また、CCU5153には、図9に示す視聴覚コントローラ5107が接続される。CCU5153は、画像処理を施した画像信号を視聴覚コントローラ5107にも提供する。また、CCU5153は、カメラヘッド5119に対して制御信号を送信し、その駆動を制御する。当該制御信号には、倍率や焦点距離等、撮像条件に関する情報が含まれ得る。当該撮像条件に関する情報は、入力装置5161を介して入力されてもよいし、上述した集中操作パネル5111を介して入力されてもよい。
【0085】
表示装置5155は、CCU5153からの制御により、当該CCU5153によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。内視鏡5115が例えば4K(水平画素数3840×垂直画素数2160)又は8K(水平画素数7680×垂直画素数4320)等の高解像度の撮影に対応したものである場合、及び/又は3D表示に対応したものである場合には、表示装置5155としては、それぞれに対応して、高解像度の表示が可能なもの、及び/又は3D表示可能なものが用いられ得る。4K又は8K等の高解像度の撮影に対応したものである場合、表示装置5155として55インチ以上のサイズのものを用いることで一層の没入感が得られる。また、用途に応じて、解像度、サイズが異なる複数の表示装置5155が設けられてもよい。
【0086】
光源装置5157は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部を撮影する際の照射光を内視鏡5115に供給する。
【0087】
アーム制御装置5159は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、所定のプログラムに従って動作することにより、所定の制御方式に従って支持アーム装置5141のアーム部5145の駆動を制御する。
【0088】
入力装置5161は、内視鏡手術システム5113に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置5161を介して、内視鏡手術システム5113に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、入力装置5161を介して、患者の身体情報や、手術の術式についての情報等、手術に関する各種の情報を入力する。また、例えば、ユーザは、入力装置5161を介して、アーム部5145を駆動させる旨の指示や、内視鏡5115による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示、エネルギー処置具5135を駆動させる旨の指示等を入力する。
【0089】
入力装置5161の種類は限定されず、入力装置5161は各種の公知の入力装置であってよい。入力装置5161としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、スイッチ、フットスイッチ5171及び/又はレバー等が適用され得る。入力装置5161としてタッチパネルが用いられる場合には、当該タッチパネルは表示装置5155の表示面上に設けられてもよい。
【0090】
あるいは、入力装置5161は、例えばメガネ型のウェアラブルデバイスやHMD(Head Mounted Display)等の、ユーザによって装着されるデバイスであり、これらのデバイスによって検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。また、入力装置5161は、ユーザの動きを検出可能なカメラを含み、当該カメラによって撮像された映像から検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。更に、入力装置5161は、ユーザの声を収音可能なマイクロフォンを含み、当該マイクロフォンを介して音声によって各種の入力が行われる。このように、入力装置5161が非接触で各種の情報を入力可能に構成されることにより、特に清潔域に属するユーザ(例えば術者5181)が、不潔域に属する機器を非接触で操作することが可能となる。また、ユーザは、所持している術具から手を離すことなく機器を操作することが可能となるため、ユーザの利便性が向上する。
【0091】
処置具制御装置5163は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具5135の駆動を制御する。気腹装置5165は、内視鏡5115による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者5185の体腔を膨らめるために、気腹チューブ5133を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ5167は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ5169は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0092】
以下、内視鏡手術システム5113において特に特徴的な構成について、更に詳細に説明する。
【0093】
(支持アーム装置)
支持アーム装置5141は、基台であるベース部5143と、ベース部5143から延伸するアーム部5145と、を備える。図示する例では、アーム部5145は、複数の関節部5147a、5147b、5147cと、関節部5147bによって連結される複数のリンク5149a、5149bと、から構成されているが、図11では、簡単のため、アーム部5145の構成を簡略化して図示している。実際には、アーム部5145が所望の自由度を有するように、関節部5147a~5147c及びリンク5149a、5149bの形状、数及び配置、並びに関節部5147a~5147cの回転軸の方向等が適宜設定され得る。例えば、アーム部5145は、好適に、6自由度以上の自由度を有するように構成され得る。これにより、アーム部5145の可動範囲内において内視鏡5115を自由に移動させることが可能になるため、所望の方向から内視鏡5115の鏡筒5117を患者5185の体腔内に挿入することが可能になる。
【0094】
関節部5147a~5147cにはアクチュエータが設けられており、関節部5147a~5147cは当該アクチュエータの駆動により所定の回転軸まわりに回転可能に構成されている。当該アクチュエータの駆動がアーム制御装置5159によって制御されることにより、各関節部5147a~5147cの回転角度が制御され、アーム部5145の駆動が制御される。これにより、内視鏡5115の位置及び姿勢の制御が実現され得る。この際、アーム制御装置5159は、力制御又は位置制御等、各種の公知の制御方式によってアーム部5145の駆動を制御することができる。
【0095】
例えば、術者5181が、入力装置5161(フットスイッチ5171を含む)を介して適宜操作入力を行うことにより、当該操作入力に応じてアーム制御装置5159によってアーム部5145の駆動が適宜制御され、内視鏡5115の位置及び姿勢が制御されてよい。当該制御により、アーム部5145の先端の内視鏡5115を任意の位置から任意の位置まで移動させた後、その移動後の位置で固定的に支持することができる。なお、アーム部5145は、いわゆるマスタースレイブ方式で操作されてもよい。この場合、アーム部5145は、手術室から離れた場所に設置される入力装置5161を介してユーザによって遠隔操作され得る。
【0096】
また、力制御が適用される場合には、アーム制御装置5159は、ユーザからの外力を受け、その外力にならってスムーズにアーム部5145が移動するように、各関節部5147a~5147cのアクチュエータを駆動させる、いわゆるパワーアシスト制御を行ってもよい。これにより、ユーザが直接アーム部5145に触れながらアーム部5145を移動させる際に、比較的軽い力で当該アーム部5145を移動させることができる。従って、より直感的に、より簡易な操作で内視鏡5115を移動させることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0097】
ここで、一般的に、内視鏡下手術では、スコピストと呼ばれる医師によって内視鏡5115が支持されていた。これに対して、支持アーム装置5141を用いることにより、人手によらずに内視鏡5115の位置をより確実に固定することが可能になるため、術部の画像を安定的に得ることができ、手術を円滑に行うことが可能になる。
【0098】
なお、アーム制御装置5159は必ずしもカート5151に設けられなくてもよい。また、アーム制御装置5159は必ずしも1つの装置でなくてもよい。例えば、アーム制御装置5159は、支持アーム装置5141のアーム部5145の各関節部5147a~5147cにそれぞれ設けられてもよく、複数のアーム制御装置5159が互いに協働することにより、アーム部5145の駆動制御が実現されてもよい。
【0099】
(光源装置)
光源装置5157は、内視鏡5115に術部を撮影する際の照射光を供給する。光源装置5157は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成される。このとき、RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置5157において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド5119の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0100】
また、光源装置5157は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド5119の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0101】
また、光源装置5157は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察するもの(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得るもの等が行われ得る。光源装置5157は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0102】
(カメラヘッド及びCCU)
図12を参照して、内視鏡5115のカメラヘッド5119及びCCU5153の機能についてより詳細に説明する。図12は、図11に示すカメラヘッド5119及びCCU5153の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0103】
図12を参照すると、カメラヘッド5119は、その機能として、レンズユニット5121と、撮像部5123と、駆動部5125と、通信部5127と、カメラヘッド制御部5129と、を有する。また、CCU5153は、その機能として、通信部5173と、画像処理部5175と、制御部5177と、を有する。カメラヘッド5119とCCU5153とは、伝送ケーブル5179によって双方向に通信可能に接続されている。
【0104】
まず、カメラヘッド5119の機能構成について説明する。レンズユニット5121は、鏡筒5117との接続部に設けられる光学系である。鏡筒5117の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド5119まで導光され、当該レンズユニット5121に入射する。レンズユニット5121は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。レンズユニット5121は、撮像部5123の撮像素子の受光面上に観察光を集光するように、その光学特性が調整されている。また、ズームレンズ及びフォーカスレンズは、撮像画像の倍率及び焦点の調整のため、その光軸上の位置が移動可能に構成される。
【0105】
撮像部5123は撮像素子によって構成され、レンズユニット5121の後段に配置される。レンズユニット5121を通過した観察光は、当該撮像素子の受光面に集光され、光電変換によって、観察像に対応した画像信号が生成される。撮像部5123によって生成された画像信号は、通信部5127に提供される。
【0106】
撮像部5123を構成する撮像素子としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサであり、Bayer配列を有するカラー撮影可能なものが用いられる。なお、当該撮像素子としては、例えば4K以上の高解像度の画像の撮影に対応可能なものが用いられてもよい。術部の画像が高解像度で得られることにより、術者5181は、当該術部の様子をより詳細に把握することができ、手術をより円滑に進行することが可能となる。
【0107】
また、撮像部5123を構成する撮像素子は、3D表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成される。3D表示が行われることにより、術者5181は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部5123が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット5121も複数系統設けられる。
【0108】
また、撮像部5123は、必ずしもカメラヘッド5119に設けられなくてもよい。例えば、撮像部5123は、鏡筒5117の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0109】
駆動部5125は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部5129からの制御により、レンズユニット5121のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部5123による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0110】
通信部5127は、CCU5153との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5127は、撮像部5123から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル5179を介してCCU5153に送信する。この際、術部の撮像画像を低レイテンシで表示するために、当該画像信号は光通信によって送信されることが好ましい。手術の際には、術者5181が撮像画像によって患部の状態を観察しながら手術を行うため、より安全で確実な手術のためには、術部の動画像が可能な限りリアルタイムに表示されることが求められるからである。光通信が行われる場合には、通信部5127には、電気信号を光信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。画像信号は当該光電変換モジュールによって光信号に変換された後、伝送ケーブル5179を介してCCU5153に送信される。
【0111】
また、通信部5127は、CCU5153から、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を受信する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。通信部5127は、受信した制御信号をカメラヘッド制御部5129に提供する。なお、CCU5153からの制御信号も、光通信によって伝送されてもよい。この場合、通信部5127には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられ、制御信号は当該光電変換モジュールによって電気信号に変換された後、カメラヘッド制御部5129に提供される。
【0112】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、取得された画像信号に基づいてCCU5153の制御部5177によって自動的に設定される。つまり、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡5115に搭載される。
【0113】
カメラヘッド制御部5129は、通信部5127を介して受信したCCU5153からの制御信号に基づいて、カメラヘッド5119の駆動を制御する。例えば、カメラヘッド制御部5129は、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報及び/又は撮像時の露光を指定する旨の情報に基づいて、撮像部5123の撮像素子の駆動を制御する。また、例えば、カメラヘッド制御部5129は、撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報に基づいて、駆動部5125を介してレンズユニット5121のズームレンズ及びフォーカスレンズを適宜移動させる。カメラヘッド制御部5129は、更に、鏡筒5117やカメラヘッド5119を識別するための情報を記憶する機能を備えてもよい。
【0114】
なお、レンズユニット5121や撮像部5123等の構成を、気密性及び防水性が高い密閉構造内に配置することで、カメラヘッド5119について、オートクレーブ滅菌処理に対する耐性を持たせることができる。
【0115】
次に、CCU5153の機能構成について説明する。通信部5173は、カメラヘッド5119との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5173は、カメラヘッド5119から、伝送ケーブル5179を介して送信される画像信号を受信する。この際、上記のように、当該画像信号は好適に光通信によって送信され得る。この場合、光通信に対応して、通信部5173には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。通信部5173は、電気信号に変換した画像信号を画像処理部5175に提供する。
【0116】
また、通信部5173は、カメラヘッド5119に対して、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を送信する。当該制御信号も光通信によって送信されてよい。
【0117】
画像処理部5175は、カメラヘッド5119から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。当該画像処理としては、例えば現像処理、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の公知の信号処理が含まれる。また、画像処理部5175は、AE、AF及びAWBを行うための、画像信号に対する検波処理を行う。
【0118】
画像処理部5175は、CPUやGPU等のプロセッサによって構成され、当該プロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより、上述した画像処理や検波処理が行われ得る。なお、画像処理部5175が複数のGPUによって構成される場合には、画像処理部5175は、画像信号に係る情報を適宜分割し、これら複数のGPUによって並列的に画像処理を行う。
【0119】
制御部5177は、内視鏡5115による術部の撮像、及びその撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部5177は、カメラヘッド5119の駆動を制御するための制御信号を生成する。この際、撮像条件がユーザによって入力されている場合には、制御部5177は、当該ユーザによる入力に基づいて制御信号を生成する。あるいは、内視鏡5115にAE機能、AF機能及びAWB機能が搭載されている場合には、制御部5177は、画像処理部5175による検波処理の結果に応じて、最適な露出値、焦点距離及びホワイトバランスを適宜算出し、制御信号を生成する。
【0120】
また、制御部5177は、画像処理部5175によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部の画像を表示装置5155に表示させる。この際、制御部5177は、各種の画像認識技術を用いて術部画像内における各種の物体を認識する。例えば、制御部5177は、術部画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具5135使用時のミスト等を認識することができる。制御部5177は、表示装置5155に術部の画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させる。手術支援情報が重畳表示され、術者5181に提示されることにより、より安全かつ確実に手術を進めることが可能になる。
【0121】
カメラヘッド5119及びCCU5153を接続する伝送ケーブル5179は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0122】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル5179を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド5119とCCU5153との間の通信は無線で行われてもよい。両者の間の通信が無線で行われる場合には、伝送ケーブル5179を手術室内に敷設する必要がなくなるため、手術室内における医療スタッフの移動が当該伝送ケーブル5179によって妨げられる事態が解消され得る。
【0123】
以上、本開示に係る技術が適用され得る手術室システム5100の一例について説明した。なお、ここでは、一例として手術室システム5100が適用される医療用システムが内視鏡手術システム5113である場合について説明したが、手術室システム5100の構成はかかる例に限定されない。例えば、手術室システム5100は、内視鏡手術システム5113に代えて、検査用軟性内視鏡システムや顕微鏡手術システムに適用されてもよい。
【0124】
本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、手術室システムを構成する術部領域の表示部に好適に適用され得る。この場合、お勧め範囲(お勧め視点に対応した範囲)としては術部領域が該当する。術部領域の表示部に本開示に係る技術を適用することにより、他の患部や周囲の状況を確認しながら、視野を邪魔せずに術部領域にも適切にユーザが確認することができる。また、術中の例えばHMDへの入力だけでなく、後のコンテンツ利用も可能である。例えば、医療用の教材コンテンツとして、撮影した術動画をお勧め視点(術部、執刀医視点)として、本開示に係る技術を利用することが可能である。
【0125】
<3.変形例>
なお、上述実施の形態においては、ユーザが動かした向きとは反対方向に現在視点を移動させてお勧め視点に近づける例を示したが、お勧め視点への最短方向に現在視点を移動させていくことも考えられる。例えば、図13(a)に示すようなユーザ操作による曲線的な視点移動で現在視点がお勧め視点から外れた位置に存在する場合、図13(b)に示すように現在視点をお勧め視点に向けて直線的に移動させてもよい。
【0126】
また、上述実施の形態においては、ユーザが動かした向きとは反対方向に現在視点を移動させてお勧め視点に近づける例を示したが、その移動経路にマスク範囲が設定されている場合には、そのマスク範囲を通らない経路で移動させることが考えられる。この場合、マスク範囲情報は、例えば、お勧め視点情報と共に、ビデオストリームに予め付加されていてもよい。
【0127】
なお、表示装置200では、上述していないが、受信されたビデオストリームを一旦ストレージに蓄積し、その後の任意のタイミングでストレージから読み出して利用することも考えられる。そのような場合には、表示装置200側で、ユーザ操作により、マスク範囲を設定することも可能である。
【0128】
例えば、図14(a)に示すように、ユーザが動かした向きとは反対方向にマスク範囲が存在する場合には、現在視点をその方向に移動させてお勧め視点に近づけることは行われない。この図14(a)において、破線矢印は、マスク範囲がない場合の移動方向を示している。この場合、図14(b)に示すように、マスク範囲を通らない経路が求められ、その経路に沿って現在視点はお勧め視点に近づくようにされる。図示の例は、t-2フレームの現在視点がtフレームまでの2フレームでお勧め視点に戻る例を示している。なお、図示の例の移動経路は一例であって、図示の移動方向とは逆の方向に、上や下にマスク範囲を避けた形で戻る経路も考えられる。
【0129】
図15のフローチャートは、マスク範囲を通らないようにした場合における、表示装置200における表示処理手順の一例を示している。
【0130】
表示装置200は、ステップST11において、例えばユーザによるビデオクリップの再生開始操作に対応して処理を開始する。次に、表示装置200は、ステップST12において、お勧め視点に対応した範囲(お勧め範囲)を出力範囲として表示する。次に、表示装置200は、ステップST13において、ユーザ操作による視点移動発生があるか否かを判断する。
【0131】
ユーザによる視点移動発生がある場合、表示装置200は、ステップST14において、操作方向に視点を移動し、その後にステップST15の処理に進む。一方、ユーザによる視点移動操作がない場合、表示装置200は、ステップST16の処理に進む。
【0132】
ステップST16において、表示装置200は、お勧め視点方向への経路を計算する。次に、表示装置200は、ステップST17において、経路がマスク範囲を通過するか否かを判断する。経路がマスク範囲を通過しない場合、表示装置200は、ステップST18の処理に進む。一方、経路がマスク範囲を通過する場合、表示装置200は、ステップST19において、マスク範囲を通らないように経路の再計算をし、その後にステップST18の処理に進む。
【0133】
なお、表示装置200は、ステップST16において、マスク範囲を通らないように経路を計算するものとすれば、ステップST17およびステップST9の処理は不要となる。
【0134】
ステップST18において、表示装置200は、計算された経路に沿って、お勧め視点方向に視点を移動し、その後にステップST15の処理に進む。表示装置200は、ステップST15において、現在視点に対応した範囲を出力範囲として表示する。
【0135】
次に、表示装置200は、ステップST20において、動画再生あるいは配信が終了したか否かを判断する。動画再生あるいは配信が終了していないときは、表示装置200は、ステップST13の処理に戻り、次のフレームの処理に映る。一方、動画再生あるいは配信が終了したときは、ステップST21において、一連の処理を終了する。
【0136】
なお、上述において、ユーザ操作による視点移動の経路にマスク範囲がある場合については言及していないが、マスク範囲をそのまま通って移動していく場合、マスク範囲を回避した経路が計算されてそれに沿って移動していく場合などが考えられる。そして、マスク範囲をそのまま通って移動していく場合には、マスク範囲の画像に関してはマスキングする場合、マスク範囲の画像もマスキングしないで表示する場合などが考えられる。
【0137】
また、上述実施の形態においては、ユーザが動かした向きとは反対方向に現在視点を移動させてお勧め視点に近づける例を示したが、通過ポイントが設定されている場合には、その通過ポイントを通る経路で移動させることが考えられる。この場合、通過ポイント情報は、例えば、お勧め視点情報と共に、ビデオストリームに予め付加されていてもよい。
【0138】
なお、表示装置200では、上述していないが、受信されたビデオストリームを一旦ストレージに蓄積し、その後の任意のタイミングでストレージから読み出して利用することも考えられる。そのような場合には、表示装置200側で、ユーザ操作により、通過ポイントを設定することも可能である。
【0139】
例えば、図16(a)に示すように、通過ポイントが設定されているものとする。この場合、図16(b)に示すように、通過ポイントを通る経路が求められ、その経路に沿って現在視点はお勧め視点に近づくようにされる。図示の例は、t-4フレームの現在視点がtフレームまでの4フレームでお勧め視点に戻る例を示している。
【0140】
図17のフローチャートは、通過ポイントを通るようにした場合における、表示装置200における表示処理手順の一例を示している。
【0141】
表示装置200は、ステップST31において、例えばユーザによるビデオクリップの再生開始操作に対応して処理を開始する。次に、表示装置200は、ステップST32において、お勧め視点に対応した範囲(お勧め範囲)を出力範囲として表示する。次に、表示装置200は、ステップST33において、ユーザ操作による視点移動発生があるか否かを判断する。
【0142】
ユーザによる視点移動発生がある場合、表示装置200は、ステップST34において、操作方向に視点を移動し、その後にステップST35の処理に進む。一方、ユーザによる視点移動操作がない場合、表示装置200は、ステップST36の処理に進む。
【0143】
ステップST36において、表示装置200は、通過ポイントを通過するようにお勧め視点方向への経路を計算する。次に、表示装置200は、ステップST37において、計算された経路に沿って、お勧め視点方向に視点を移動し、その後にステップST35の処理に進む。表示装置200は、ステップST35において、現在視点に対応した範囲を出力範囲として表示する。
【0144】
次に、表示装置200は、ステップST38において、動画再生あるいは配信が終了したか否かを判断する。動画再生あるいは配信が終了していないときは、表示装置200は、ステップST33の処理に戻り、次のフレームの処理に映る。一方、動画再生あるいは配信が終了したときは、ステップST39において、一連の処理を終了する。
【0145】
また、上述実施の形態においては、お勧め視点が一つである場合の例にとって説明したが、お勧め視点が複数存在する場合も考えられる。例えば、同一画像内に複数の演者が存在し、それぞれの演者の位置がお勧め視点として設定される場合等が考えられる
【0146】
このように複数のお勧め視点が存在する場合、現在視点からお勧め視点に戻る際に、複数のお勧め視点のうち最も近い位置のお勧め視点に向けて移動する、あるいはユーザが予め選択したお勧め視点に向けて移動することが考えられる。
【0147】
図18(a)は、複数のお勧め視点が存在する例を示している。図18(b)は、現在視点からお勧め視点に戻る際に、複数のお勧め視点のうち最も近い位置のお勧め視点に向けて現在視点が移動していく例を示している。この例では、RVP(3)のお勧め視点が最も近い位置にあるので、このRVP(3)のお勧め視点に向けて移動していく。図18(c)は、現在視点からお勧め視点に戻る際に、複数のお勧め視点のうちユーザが選択したお勧め視点に向けて移動していく例を示している。この例では、RVP(1)のお勧め視点がユーザに選択されており、このRVP(1)のお勧め視点に向けて移動していく。
【0148】
図19のフローチャートは、複数のお勧め視点のうち最も近い位置のお勧め視点に向けて現在視点が移動していく場合における、表示装置200における表示処理手順の一例を示している。
【0149】
表示装置200は、ステップST41において、例えばユーザによるビデオクリップの再生開始操作に対応して処理を開始する。次に、表示装置200は、ステップST42において、お勧め視点に対応した範囲(お勧め範囲)を出力範囲として表示する。ここでのお勧め視点は、例えば、予め決定されているお勧め視点とされる。
【0150】
次に、表示装置200は、ステップST43において、ユーザ操作による視点移動発生があるか否かを判断する。ユーザによる視点移動発生がある場合、表示装置200は、ステップST44において、操作方向に視点を移動し、その後にステップST45の処理に進む。
【0151】
一方、ユーザによる視点移動操作がない場合、表示装置200は、ステップST46の処理に進む。このステップST46において、表示装置200は、現在視点と各お勧め視点RVP(1…N)の距離を算出する。
【0152】
そして、表示装置200は、ステップST47において、現在視点に最も近いお勧め視点方向への経路を計算し、その経路に沿ってお勧め視点方向に視点を移動し、その後にステップST45の処理に進む。表示装置200は、ステップST45において、現在視点に対応した範囲を出力範囲として表示する。
【0153】
次に、表示装置200は、ステップST48において、動画再生あるいは配信が終了したか否かを判断する。動画再生あるいは配信が終了していないときは、表示装置200は、ステップST43の処理に戻り、次のフレームの処理に映る。一方、動画再生あるいは配信が終了したときは、ステップST49において、一連の処理を終了する。
【0154】
図20のフローチャートは、複数のお勧め視点のうちユーザが選択したお勧め視点に向けて移動していく場合における、表示装置200における表示処理手順の一例を示している。
【0155】
表示装置200は、ステップST51において、例えばユーザによるビデオクリップの再生開始操作に対応して処理を開始する。次に、表示装置200は、ステップST52において、お勧め視点番号(RVP番号)iを、初期値、例えば“1”に設定する。次に、表示装置200は、ステップST53において、お勧め視点RVP(i)に対応した範囲(お勧め範囲)を出力範囲として表示する。
【0156】
次に、表示装置200は、ステップST54において、ユーザ操作によるお勧め視点の選択があるか否かを判断する。ユーザ操作によるお勧め視点の選択がないとき、表示装置200は、直ちにステップST55の処理に進む。一方、ユーザ操作によるお勧め視点の選択があるとき、表示装置200は、ステップST55において、お勧め視点番号(RVP番号)iを、ユーザが選択した番号に変更し、その後ステップST55の処理に進む。
【0157】
ステップST55において、表示装置200は、ユーザ操作による視点移動発生があるか否かを判断する。ユーザによる視点移動発生がある場合、表示装置200は、ステップST56において、操作方向に視点を移動し、その後にステップST57の処理に進む。
【0158】
一方、ユーザによる視点移動操作がない場合、表示装置200は、ステップST58において、お勧め視点RVP(i)方向への経路を計算し、その経路に沿ってお勧め視点方向に視点を移動し、その後にステップST57の処理に進む。表示装置200は、ステップST57において、現在視点に対応した範囲を出力範囲として表示する。
【0159】
次に、表示装置200は、ステップST59において、動画再生あるいは配信が終了したか否かを判断する。動画再生あるいは配信が終了していないときは、表示装置200は、ステップST54の処理に戻り、次のフレームの処理に映る。一方、動画再生あるいは配信が終了したときは、ステップST60において、一連の処理を終了する。
【0160】
また、上述実施の形態においては、現在視点(出力範囲)がお勧め視点(お勧め範囲)から外れる、つまり現在視点がお勧め視点とは異なる場合を条件として、現在視点をお勧め視点の方向に向けて移動させる例を示した。
【0161】
図21のフローチャートは、お勧め視点表示がされているか否かによりお勧め視点に移動する場合における、表示装置200における表示処理手順の一例を示している。表示装置200は、ステップST71において、例えばユーザによるビデオクリップの再生開始操作に対応して処理を開始する。
【0162】
次に、表示装置200は、ステップST72において、お勧め視点に対応した範囲(お勧め範囲)を出力範囲として表示する。次に、表示装置200は、ステップST73において、現在視点がお勧め視点か否かを判断する。
【0163】
現在視点がお勧め視点である場合、表示装置200は、ステップST74の処理に進む。一方、現在視点がお勧め視点でない場合、表示装置200は、ステップST75において、お勧め視点方向への経路を計算し、その経路に沿ってお勧め視点方向に視点を移動し、その後にステップST74の処理に進む。表示装置200は、ステップST74において、現在視点に対応した範囲を出力範囲として表示する。
【0164】
次に、表示装置200は、ステップST76において、動画再生あるいは配信が終了したか否かを判断する。動画再生あるいは配信が終了していないときは、表示装置200は、ステップST73の処理に戻り、次のフレームの処理に映る。一方、動画再生あるいは配信が終了したときは、ステップST77において、一連の処理を終了する。
【0165】
なお、図21のフローチャートにおいて、ステップST72でお勧め視点表示となっており、ステップST73でお勧め視点か否かを判断している。これはステップST73の時間(フレーム)はステップST72から進んだ時間(フレーム)も含まれることから、現在視点がお勧め視点から移動し、現在視点がお勧め視点とは異なる場合が存在することを想定したものである。現在視点がお勧め視点とは異なる場合のケースとしては、現在より前のフレームでユーザによる視点変更があった場合等が考えらえる。
【0166】
また、現在視点をお勧め視点の方向に向けて移動させる条件として、以下の各条件も考えられる。
【0167】
例えば、現在視点がお勧め視点から外れて、つまり現在視点がお勧め視点とは異なる状態となって、所定時間が経過した場合を条件とすることが考えられる。
【0168】
図22のフローチャートは、お勧め視点表示がされずに所定時間以上経過しているか否かによりお勧め視点に移動する場合における、表示装置200における表示処理手順の一例を示している。表示装置200は、ステップST81において、例えばユーザによるビデオクリップの再生開始操作に対応して処理を開始する。
【0169】
次に、表示装置200は、ステップST82において、お勧め視点に対応した範囲(お勧め範囲)を出力範囲として表示する。次に、表示装置200は、ステップST83において、現在視点がお勧め視点か否かを判断する。現在視点がお勧め視点である場合、表示装置200は、ステップST84の処理に進む。
【0170】
一方、現在視点がお勧め視点でない場合、表示装置200は、ステップST85において、現在視点がお勧め視点でない状態が所定時間以上経過したか否かを判断する。所定時間は、予め設定されているか、あるいはユーザが任意の時間に設定変更することが可能とされる。所定時間以上経過していない場合、表示装置200は、ステップST84の処理に進む。また、所定時間以上経過している場合、表示装置200は、ステップST86において、お勧め視点方向への経路を計算し、その経路に沿ってお勧め視点方向に視点を移動し、その後にステップST84の処理に進む。
【0171】
表示装置200は、ステップST84において、現在視点に対応した範囲を出力範囲として表示する。次に、表示装置200は、ステップST87において、動画再生あるいは配信が終了したか否かを判断する。動画再生あるいは配信が終了していないときは、表示装置200は、ステップST83の処理に戻り、次のフレームの処理に映る。一方、動画再生あるいは配信が終了したときは、ステップST88において、一連の処理を終了する。
【0172】
また、例えば、移動条件として、ユーザ操作による視点位置変更指示が検出されていない場合が考えられる。また、例えば、移動条件として、現在視点が画像中の特定の範囲にある場合が考えられる。ここで、特定の範囲は、例えば、裏面方向の画像領域などである。
【0173】
また、例えば、移動条件として、画像が特定フレームの画像にあって出力範囲がお勧め範囲から外れている場合が考えられる。この場合、特定フレームの画像にあるか否かは、例えば、お勧め視点情報と共に、ビデオストリームに予め付加されていてもよい。また、例えば、移動条件として、現在視点がお勧め視点から外れている状態でユーザによるお勧め視点への遷移指示がある場合が考えられる。
【0174】
図23のフローチャートは、表示装置200における表示処理手順の一例を示している。表示装置200は、ステップST101において、例えばユーザによるビデオクリップの再生開始操作に対応して処理を開始する。
【0175】
次に、表示装置200は、ステップST102において、お勧め視点に対応した範囲(お勧め範囲)を出力範囲として表示する。次に、表示装置200は、ステップST103において、現在視点がお勧め視点か否かを判断する。現在視点がお勧め視点である場合、表示装置200は、ステップST111の処理に進む。
【0176】
一方、現在視点がお勧め視点でない場合、表示装置200は、ステップST104において、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間を経過していない場合、表示装置200は、ステップST105において、ユーザ操作による視点移動発生があるか否かを判断する。視点移動発生がある場合、表示装置200は、ステップST106において、移動後の視点位置が特定の位置か否かを判断する。
【0177】
ここでは、実際に移動させてから判断するわけではなく、ユーザ操作を受けた際の移動先が特定の位置か否かを判断するものである。例えば、特定の位置には、お勧め視点の裏面に当たる位置やお勧め視点からの距離が一定以上離れている位置などが含まれる。
【0178】
移動後の視点位置が特定の位置でない場合、表示装置200は、ステップST107において、特定のフレームにあるか否かを判断する。特定のフレームでない場合、表示装置200は、ステップST108において、操作方向に視点を移動し、その後にステップST109の処理に進む。
【0179】
ステップST104で所定時間を経過している場合、ステップST105で視点移動発生がない場合、ステップST106で移動後の視点位置が特定の位置である場合、あるいはステップST107で特定のフレームである場合、表示装置200は、ステップ110において、お勧め視点方向への経路を計算し、その経路に沿ってお勧め視点方向に視点を移動し、その後にステップST109の処理に進む。このステップST109において、表示装置200は、現在視点に対応した範囲を出力範囲として表示する。
【0180】
次に、表示装置200は、ステップST111において、動画再生あるいは配信が終了したか否かを判断する。動画再生あるいは配信が終了していないときは、表示装置200は、ステップST103の処理に戻り、次のフレームの処理に映る。一方、動画再生あるいは配信が終了したときは、ステップST112において、一連の処理を終了する。
【0181】
また、上述実施の形態においては、現在視点とお勧め視点との位置差が大きいほど早く近づき、小さいほどゆっくりと近づくように、速度制御される例を示した。つまり、位置差が大きい場合は位置差が小さい場合よりも遷移の速度を大きくするものである。しかし、例えば、お勧め視点に一定時間で戻るように速度制御することも考えられる。また、例えば、お勧め視点に一定速度で戻るように速度制御することも考えられる。
【0182】
また、上述実施の形態においては、現在視点からお勧め視点に遷移する経路を球面線形補間で補間するように説明したが、この遷移の経路を線形補間で補間することも考えられる。
【0183】
また、上述実施の形態においては、現在視点からお勧め視点に遷移する際に、現在視点がお勧め視点に徐々に近づいていくように移動させる例を示した。しかし、この遷移の際に、現在視点からお勧め視点に瞬時に移動させることも考えらえる。
【0184】
また、上述実施の形態においては、広視野角画像としてVR画像を取り扱う例を示したが、パノラマ画像を取り扱う例も同様に考えることができる。また、上述実施の形態においては、2次元画像を取り扱う例を示したが、三次元画像を取り扱う例も同様に考えることができる。
【0185】
また、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0186】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0187】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)視点位置変更指示に応じて視点移動情報を検出する検出部と、
お勧め視点情報を含む画像の出力範囲を、上記お勧め視点情報及び上記視点移動情報に基づいて決定する出力範囲決定部と、
決定された上記出力範囲に基づいて、表示画像として上記画像の一部を表示部に出力する出力部を備え、
上記出力範囲決定部は、上記表示画像が所定の条件を満たす場合、上記表示画像が上記お進め視点情報が示すお勧め範囲となるように上記出力範囲を決定する
画像処理装置。
(2)上記出力範囲決定部は、上記表示画像が上記お勧め範囲の方向に遷移するように上記出力範囲を決定する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)上記所定の条件は、上記表示画像が上記お勧め範囲とは異なる場合である
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)上記所定の条件は、上記表示画像が所定時間以上、上記お勧め範囲とは異なる場合である
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(5)上記所定の条件は、更に上記視点移動情報が検出されていない場合である
前記(3)に記載の画像処理装置。
(6)上記所定の条件は、上記表示画像が上記画像中の特定の範囲にある場合である
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(7)上記所定の条件は、上記画像が特定フレームの画像にあって、上記表示画像が上記お勧め範囲とは異なる場合である
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(8)上記所定の条件は、上記表示画像が上記お勧め範囲とは異なり、且つ上記視点移動情報として上記お勧め範囲への遷移指示がある場合である
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(9)上記出力範囲決定部は、上記表示画像と上記お勧め範囲との位置差に基づいて上記遷移の速度を制御し、上記位置差が大きい場合は上記位置差が小さい場合よりも上記遷移の速度を大きくする
前記(2)から(8)のいずれかに記載の画像処理装置。
(10)上記出力範囲決定部は、上記お勧め範囲に一定時間で戻るように上記遷移の速度を制御する
前記(2)から(8)のいずれかに記載の画像処理装置。
(11)上記出力範囲決定部は、上記お勧め範囲に一定速度で戻るように上記遷移の速度を制御する
前記(2)から(8)のいずれかに記載の画像処理装置。
(12)上記出力範囲決定部は、上記遷移の経路を球面線形補間で補間する
前記(2)から(11)のいずれかに記載の画像処理装置。
(13)上記出力範囲決定部は、上記遷移の経路を線形補間で補間する
前記(2)から(11)のいずれかに記載の画像処理装置。
(14)上記視点移動情報に基づく視点位置の変更により上記表示画像が上記お勧め範囲とは異なる場合、上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記視点位置の変更による視点位置の変更方向とは反対方向の経路で移動させるよう上記出力範囲を決定する
前記(2)から(13)のいずれかに記載の画像処理装置。
(15)上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記表示画像から上記お勧め範囲への最短経路で移動させるよう上記出力範囲を決定する
前記(2)から(13)のいずれかに記載の画像処理装置。
(16)上記画像にマスク範囲を示すマスク範囲情報を含む場合、上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記マスク範囲を通らない経路で移動させるよう上記出力範囲を決定する
前記(2)から(15)のいずれかに記載の画像処理装置。
(17)上記画像に通過ポイントを示す通過ポイント情報を含む場合、上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記通過ポイントを通る経路で移動させるよう上記出力範囲を決定する
前記(2)から(16)のいずれか記載の画像処理装置。
(18)上記お勧め視点情報として複数のお勧め範囲を含む場合、上記出力範囲決定部は、上記遷移の際に、上記表示画像から上記複数のお勧め範囲のうち最も近い位置のお勧め範囲、またはユーザが選択した位置のお勧め範囲に向けて移動させるよう上記出力範囲を決定する
前記(1)から(17)のいずれかに記載の画像処理装置。
(19)視点位置変更指示に応じて視点移動情報を検出する手順と、
お勧め視点情報を含む画像の出力範囲を、上記お勧め視点情報及び上記視点移動情報に基づいて決定する手順と、
決定された上記出力範囲に基づいて、表示画像として上記画像の一部を表示部に出力する手順を有し、
上記出力範囲を決定する手順では、
上記表示画像が所定の条件を満たす場合、上記表示画像が上記お勧め視点情報が示すお勧め範囲となるように上記出力範囲を決定する
画像処理方法。
(20)コンピュータを、
視点位置変更指示に応じて視点移動情報を検出する検出手段と、
お勧め視点情報を含む画像の出力範囲を、上記お勧め視点情報及び上記視点移動情報に基づいて決定する出力範囲決定手段と、
決定された上記出力範囲に基づいて、表示画像として上記画像の一部を表示部に出力する出力手段として機能させ、
上記出力範囲決定手段は、上記表示画像所定の条件を満たす場合、上記表示画像が上記お勧め視点情報が示すお勧め視点範囲となるように上記出力範囲を決定する
プログラム。
【符号の説明】
【0188】
10・・・画像配信システム
101・・・マルチカメラ
102・・・広視野角画像変換部
103・・・エンコーダ
104・・・配信サーバ
200・・・表示装置
201・・・受信部
202・・・デコーダ
203・・・視野描画部
204・・・ジャイロセンサ
205・・・視点移動情報算出部
206・・・遷移算出部
207・・・表示部
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