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特許7544038移動体、操縦システム、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】移動体、操縦システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/695 20230101AFI20240827BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240827BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240827BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20240827BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240827BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240827BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20240827BHJP
【FI】
H04N23/695
B64C39/02
G03B15/00 P
G03B17/00 B
G03B17/56 A
H04N5/222 100
H04N23/66
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021515846
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2020008875
(87)【国際公開番号】W WO2020217715
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019081776
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 和典
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-186591(JP,A)
【文献】特表2017-509034(JP,A)
【文献】特開2017-119501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/695
B64C 39/02
G03B 15/00
G03B 17/00
G03B 17/56
H04N 5/222
H04N 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
移動体の鉛直方向に垂直な所定の軸を基準とする正面方向を検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部の出力と、前記撮像部を操縦する操縦装置の前記所定の軸を基準とする正面方向を検出する第2の検出部の出力と、前記操縦装置により生成された、前記操縦装置の正面方向を基準とする角度情報を含む入力データとに基づいて、前記撮像部の第1の軸周りの姿勢を前記操縦装置により指定された前記所定の軸を基準とする姿勢に、前記移動体の正面方向を基準として制御する制御部と
を具備する前記移動体。
【請求項2】
前記第1の検出部は、前記移動体の第2の軸周りの傾きを検出し、
前記第2の検出部は、前記操縦装置の水平方向に対する傾きを検出し、
前記制御部は、前記第1及び第2の検出部の出力に基づき、前記撮像部の前記第2の軸周りの姿勢を前記操縦装置により指定された姿勢に制御する、請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記第1の検出部は、前記移動体の第3の軸周りの傾きを検出し、
前記第2の検出部は、前記操縦装置の鉛直方向に対する傾きを検出し、
前記制御部は、当該第1及び第2の検出部の出力に基づき、前記撮像部の前記第3の軸周りの姿勢を前記操縦装置により指定された姿勢に制御する、請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
前記移動体の本体である移動体本体と、
前記移動体本体と前記撮像部とを連結し、前記撮像部を前記第1,第2及び第3の軸周りに回動可能に支持するジンバルとをさらに具備する、請求項3に記載の移動体。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の検出部及び前記操縦装置の出力に基づいて、前記撮像部の現在の姿勢を前記操縦装置により指定された姿勢に移行する上での必要な角度である制御角を算出する、請求項3に記載の移動体。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の軸周りの前記制御角として、前記操縦装置の正面方向と前記操縦装置に入力された入力方向とのなす角度と、当該正面方向と前記移動体の正面方向とのなす角度との差分を算出する、請求項5に記載の移動体。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の軸周りの前記制御角として、前記第3の軸と前記水平方向とのなす角度と、前記操縦装置と前記水平方向とのなす角度との差分を算出する、請求項6に記載の移動体。
【請求項8】
前記制御部は、前記第3の軸周りの前記制御角として、前記第1の軸と前記鉛直方向とのなす角度と、前記操縦装置と前記鉛直方向とのなす角度との差分を算出する、請求項7に記載の移動体。
【請求項9】
前記第1の検出部は、前記移動体の正面方向を検出する地磁気センサと、前記移動体の前記第2及び第3の軸周りの傾きを検出する加速度センサとを有し、
前記第2の検出部は、前記操縦装置の正面方向を検出する地磁気センサと、前記操縦装置の前記水平方向及び前記鉛直方向に対する傾きを検出する加速度センサとを有する、請求項3に記載の移動体。
【請求項10】
前記移動体は飛行体である、請求項1に記載の移動体。
【請求項11】
撮像部と、
移動体の鉛直方向に垂直な所定の軸を基準とする正面方向を検出する第1の検出部と、
前記第1の検出部の出力と、操縦装置の前記所定の軸を基準とする正面方向を検出する第2の検出部の出力と、前記操縦装置により生成された、前記操縦装置の正面方向を基準とする角度情報を含む入力データとに基づいて、前記撮像部の姿勢を前記操縦装置により指定された前記所定の軸を基準とする姿勢に、前記移動体の正面方向を基準として制御する制御部と
を有する前記移動体と、
前記第2の検出部を有し、前記撮像部を操縦する前記操縦装置と
を具備する操縦システム。
【請求項12】
制御部が、
移動体の鉛直方向に垂直な所定の軸を基準とする正面方向を検出する第1の検出部の出力を取得し、
前記移動体に搭載された撮像部を操縦する操縦装置の前記所定の軸を基準とする正面方向を検出する第2の検出部の出力を取得し、
前記操縦装置により生成された、前記操縦装置の正面方向を基準とする角度情報を含む入力データを取得し、
前記第1及び第2の検出部の出力と、前記入力データとに基づいて、前記撮像部の姿勢を前記操縦装置により指定された前記所定の軸を基準とする姿勢に、前記移動体の正面方向を基準として制御する、制御方法。
【請求項13】
移動体の鉛直方向に垂直な所定の軸を基準とする正面方向を検出する第1の検出部の出力を取得するステップと、
前記移動体に搭載された撮像部を操縦する操縦装置の前記所定の軸を基準とする正面方向を検出する第2の検出部の出力を取得するステップと、
前記操縦装置により生成された、前記操縦装置の正面方向を基準とする角度情報を含む入力データを取得するステップと、
前記第1及び第2の検出部の出力と、前記入力データとに基づいて、前記撮像部の姿勢を前記操縦装置により指定された前記所定の軸を基準とする姿勢に、前記移動体の正面方向を基準として制御するステップと
を前記移動体に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、移動体、操縦システム、当該移動体に搭載された撮像部の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドローン等の遠隔制御移動体を操縦する技術が開示されている(例えば、特許文献1)このような移動体には、一般的に、景色等を空撮するためのカメラが搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-097886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体にカメラを搭載する場合、カメラを少なくとも1軸周りに回転させる、あるいは、3軸周りに回転させることによってカメラの向きを変更する機構も合わせて搭載する場合がある。このような機構を搭載した移動体は、移動体が停止している場合にはカメラの向きの制御が容易である。しかし、移動体が激しく移動する場合には、移動体の動きに影響されて視野が振り回されてしまう場合がある。そこで、移動体を様々な地点に移動させつつもカメラに特定の方向を撮影し続けさせるためには、カメラを特定の方向に向かせ続ける必要がある。
【0005】
本技術は以上のような事情に鑑み、例えば、移動体の姿勢に依存せずに、ユーザ所望の方向を継続的に撮影可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本技術の一形態に係る移動体は、撮像部と、第1の検出部と、制御部と、を有する。
上記第1の検出部は、移動体の正面方向を検出する。
上記制御部は、上記第1の検出部の出力と、上記撮像部を操縦する操縦装置の正面方向を検出する第2の検出部の出力と、上記操縦装置により生成された入力データとに基づいて、上記撮像部の第1の軸周りの姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御する。
【0007】
上記第1の検出部は、上記移動体の第2の軸周りの傾きを検出し、
上記第2の検出部は、上記操縦装置の水平方向に対する傾きを検出し、
上記制御部は、上記第1及び第2の検出部の出力に基づき、上記撮像部の上記第2の軸周りの姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御してもよい。
【0008】
上記第1の検出部は、上記移動体の第3の軸周りの傾きを検出し、
上記第2の検出部は、上記操縦装置の鉛直方向に対する傾きを検出し、
上記制御部は、当該第1及び第2の検出部の出力に基づき、上記撮像部の上記第3の軸周りの姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御してもよい。
【0009】
上記移動体の本体である移動体本体と、
上記移動体本体と上記撮像部とを連結し、上記撮像部を上記第1,第2及び第3の軸周りに回動可能に支持するジンバルとをさらに具備してもよい。
【0010】
上記制御部は、上記第1の検出部及び上記操縦装置の出力に基づいて、上記撮像部の現在の姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に移行する上での必要な角度である制御角を算出してもよい。
【0011】
上記制御部は、上記第1の軸周りの上記制御角として、上記操縦装置の正面方向と上記操縦装置に入力された入力方向とのなす角度と、当該正面方向と上記移動体の正面方向とのなす角度との差分を算出してもよい。
【0012】
上記制御部は、上記第2の軸周りの上記制御角として、上記第3の軸と上記水平方向とのなす角度と、上記操縦装置と上記水平方向とのなす角度との差分を算出してもよい。
【0013】
上記制御部は、上記第3の軸周りの上記制御角として、上記第1の軸と上記鉛直方向とのなす角度と、上記操縦装置と上記鉛直方向とのなす角度との差分を算出してもよい。
【0014】
上記第1の検出部は、上記移動体の正面方向を検出する地磁気センサと、上記移動体の上記第2及び第3の軸周りの傾きを検出する加速度センサとを有し、
上記第2の検出部は、上記操縦装置の正面方向を検出する地磁気センサと、上記操縦装置の上記水平方向及び上記鉛直方向に対する傾きを検出する加速度センサとを有してもよい。
【0015】
上記移動体は、飛行体であってもよい。
【0016】
上記課題を解決するため、本技術の一形態に係る操縦システムは、移動体と、操縦装置と、を有する。
上記移動体は、撮像部と、第1の検出部と、制御部とを有する。
上記第1の検出部は、上記移動体の正面方向を検出する。
上記制御部は、上記第1の検出部の出力と、上記操縦装置の正面方向を検出する第2の検出部の出力と、上記操縦装置により生成された入力データとに基づいて、上記撮像部の姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御する。
上記操縦装置は、上記第2の検出部を有し、上記撮像部を操縦する。
【0017】
上記課題を解決するため、本技術の一形態に係る制御部の制御方法は、
移動体の正面方向を検出する第1の検出部の出力が取得される。
上記移動体に搭載された撮像部を操縦する操縦装置の正面方向を検出する第2の検出部の出力が取得される。
上記操縦装置により生成された入力データが取得される。
上記第1及び第2の検出部の出力と、上記入力データとに基づいて、上記撮像部の姿勢が上記操縦装置により指定された姿勢に制御される。
【0018】
上記課題を解決するため、本技術の一形態に係るプログラムは、移動体に以下のステップを実行させる。
移動体の正面方向を検出する第1の検出部の出力を取得するステップ。
上記移動体に搭載された撮像部を操縦する操縦装置の正面方向を検出する第2の検出部の出力を取得するステップ。
上記操縦装置により生成された入力データを取得するステップ。
上記第1及び第2の検出部の出力と、上記入力データとに基づいて、上記撮像部の姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本技術の実施形態に係る操縦システムの構成例を示すブロック図である。
図2】上記操縦システムのドローン機体の構成例を示すブロック図である。
図3】上記ドローン機体のジンバルの構成例を示す模式図である。
図4】上記ジンバルの構成例を示す模式図である。
図5】上記操縦システムの典型的な動作の流れを示すフローチャートである。
図6】上記ドローン機体により実行される演算処理の一例を示す概念図である。
図7】上記ドローン機体と上記ドローン機体を操縦するユーザを模式的に示す鳥瞰図である。
図8】上記ドローン機体の正面方向と、上記操縦システムのコントローラの正面方向と、上記ユーザにより入力された入力方向とをまとめて示す概念図である。
図9】ロール方向に傾く上記ドローン機体を概略的に示す模式図である。
図10】チルト方向に傾く上記ドローン機体を概略的に示す模式図である。
図11】上記ドローン機体の正面方向と、上記コントローラの正面方向と、上記ユーザにより新たに入力された入力方向と、現在のカメラの撮影方向とをまとめて示す概念図である。
図12】ロール方向に傾く上記ドローン機体を概略的に示す模式図である。
図13】チルト方向に傾く上記ドローン機体を概略的に示す模式図である。
図14】本技術の変形例に係るコントローラの構成例を簡略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態について説明する。
【0021】
<操縦システムの構成>
図1は、本技術の実施形態に係る操縦システム100の構成例を示すブロック図である。操縦システム100は、図1に示すように、ドローン機体20と、ドローン機体20に搭載されたカメラ23を操縦するコントローラ10とを有する。
【0022】
[コントローラ]
コントローラ10は、スティック12と、送信機14と、表示部15と、センサ群16とを有する。コントローラ10は、特許請求の範囲の「操縦装置」の一例である。
【0023】
センサ群16は、図1に示すように、コンパスセンサ11と加速度センサ13とを有する。センサ群16は、特許請求の範囲の「第2の検出部」の一例である。
コンパスセンサ11は、地球の磁場を検出し、コントローラ10の正面方向d2(コントローラ10の表示部15がある面S1を平面とし、この平面上にあるコントローラ10の上辺S2に対して垂直に交わる水平成分の方向(図7参照))を常時検出する地磁気センサである。具体的には、コンパスセンサ11は、磁北d0とコントローラ10の正面方向d2とのなす角度θ1(図8参照)を検出する。コンパスセンサ11は、コントローラ10の正面方向d2(角度θ1)を検出することにより得られたセンサデータを送信機14に出力する。
【0024】
コンパスセンサ11は、2軸又は3軸タイプの地磁気センサであってもよく、その種類は問わない。コンパスセンサ11は、例えばホールセンサ、MR(Magneto Resistance)センサ又はMI(Magneto Impedance)センサ等であってもよい。
【0025】
スティック12は、コントローラ10の正面方向d2に対する方向を指定する操作スティックである。ユーザは、スティック12を操作することによってパン方向におけるカメラ23の姿勢(撮影方向)を指定する。
【0026】
ここで、コントローラ10は、任意の入力制御回路(図示略)を有してもよい。入力制御回路は、ユーザがスティック12を介して入力した入力方向に基づいた入力データを生成し、このデータを送信機14に出力する。
なお、本実施形態の入力データは、典型的には、ユーザがコントローラ10に入力した入力方向に基づき生成されたデータであるがこれに限られない。入力データは、例えば、ユーザがコントローラ10に入力した数値等に基づき生成されたデータであってもよい。
【0027】
加速度センサ13は、コントローラ10の加速度を検出する。加速度センサ13は、コントローラ10の傾きや振動等といった種々の動きを検出可能に構成される。
【0028】
加速度センサ13は、ロール方向及びチルト方向のコントローラ10の傾きを常時検出する。具体的には、加速度センサ13は、ロール方向におけるコントローラ10と鉛直方向dvとなす角度θ5(図9参照)と、チルト方向におけるコントローラ10と水平方向dhとのなす角度θ7(図10参照)を検出する。
【0029】
加速度センサ13は、コントローラ10の傾きを検出することにより得られたセンサデータを送信機14に出力する。
【0030】
ユーザは、コントローラ10を傾けることによって、ロール方向及びチルト方向におけるカメラ23の姿勢を指定する。加速度センサ13は、例えば、圧電型加速度センサ、サーボ型加速度センサ、ひずみ型加速度センサ又は半導体式加速度センサ等であってもよく、その種類は問わない。
【0031】
送信機14は、コンパスセンサ11、入力制御回路及び加速度センサ13から取得したデータを受信機217に送信する。送信機14は、ドローン機体20(ドローン機体本体21)との通信を行う。送信機14は、コントローラ10の通信インターフェースとして機能する。
【0032】
表示部15は、カメラ23により撮影された映像を表示する。ユーザは、表示部15に表示された映像を見ながらコントローラ10を操作してもよい。表示部15は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示装置であってもよい。なお、表示部15は、必要に応じて省略されてもよい。
【0033】
[ドローン機体]
ドローン機体20は、ドローン機体本体21、ジンバル22及びカメラ23を有する。ドローン機体20は、特許請求の範囲の「移動体」の一例である。
【0034】
(ドローン機体本体)
ドローン機体本体21は、センサ群200と、CPU201と、ジンバルアクチュエータ207と、受信機217とを有する。ドローン機体本体21は、特許請求の範囲の「移動体本体」の一例である。
【0035】
センサ群200は、ドローン機体20の姿勢(正面方向d1及び傾き)を検出する。センサ群200は、コンパスセンサ208と、加速度センサ209とを有する。センサ群200は、特許請求の範囲の「第1の検出部」の一例である。
【0036】
コンパスセンサ208は、地球の磁場を検出し、ドローン機体20の正面方向d1(コントローラ10による前後左右への進行指示によって進む方向)を常時検出する地磁気センサである。具体的には、コンパスセンサ208は、磁北d0とドローン機体20の正面方向d1とのなす角度θ2(図8参照)を検出する。
【0037】
コンパスセンサ208は、ドローン機体20の正面方向d1(角度θ2)を検出することにより得られたセンサデータをCPU201に出力する。
【0038】
コンパスセンサ208は2軸又は3軸タイプの地磁気センサであってもよく、その種類は問わない。コンパスセンサ208は、例えばホールセンサ、MR(Magneto Resistance)センサ又はMI(Magneto Impedance)センサ等であってもよい。
【0039】
加速度センサ209は、ドローン機体20の加速度を検出する。加速度センサ209は、ドローン機体20の傾きや振動等といった種々の動きを検出可能に構成される。
【0040】
加速度センサ209は、ロール方向及びチルト方向のドローン機体20の傾きを常時検出する。具体的には、加速度センサ209は、ドローン機体20と、鉛直方向dv及び水平方向dhとのなす角度θ6,θ8(図9,10参照)を検出する。本実施形態では、角度θ6は後述する回動軸X1と鉛直方向dvとのなす角度であり、角度θ8は後述する回動軸X3と水平方向dhとのなす角度である。
【0041】
加速度センサ209は、ドローン機体20の傾きを検出することにより得られたセンサデータをCPU201に出力する。加速度センサ209は、例えば、圧電型加速度センサ、サーボ型加速度センサ、ひずみ型加速度センサ又は半導体式加速度センサ等であってもよく、その種類は問わない。
【0042】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、後述するROM202、RAM203、ストレージ装置213、またはリムーバブル記録媒体30に記録された各種プログラムに従って、ドローン機体20(ドローン機体本体21)の動作全般またはその一部を制御する。
【0043】
CPU201は、コンパスセンサ208,加速度センサ209及び受信機217から取得したデータに基づき制御信号を生成し、この信号をジンバルアクチュエータ207に出力する。CPU201は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0044】
ジンバルアクチュエータ207は、CPU201から取得した制御信号を物理的な運動に変換することによって、ジンバル22を駆動させる駆動装置である。
【0045】
ジンバルアクチュエータ207はCPU201から取得した制御信号に基づき、ジンバル22を介して、カメラ23の姿勢(撮影方向)を制御する。ジンバルアクチュエータ207は、例えば電気式、油圧式又は空気圧式のものが採用されてもよく、その種類は問わない。
【0046】
受信機217は、コンパスセンサ11,入力制御回路及び加速度センサ13から出力されたデータを送信機14から受信し、当該データをCPU201に出力する。受信機217は、コントローラ10(送信機14)との通信を行う。受信機10は、ドローン機体本体21(ドローン機体20)の通信インターフェースとして機能する。
【0047】
図2は、ドローン機体20の構成例を示すブロック図である。ドローン機体20は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、およびRAM(Random Access Memory)203を有する。
【0048】
また、ドローン機体20は、ホストバス204、ブリッジ205、外部バス206、インターフェース210、入力装置211、出力装置212、ストレージ装置213、ドライブ214、接続ポート215、通信装置216を有してもよい。
【0049】
さらに、ドローン機体20は、CPU201にかえて、またはこれとともに、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの処理回路を有してもよい。加えて、ドローン機体20はGPS(Global Positioning System)信号を受信して装置の緯度、経度および高度を測定するGPS受信機を含んでもよい。
【0050】
ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一次記憶する。
【0051】
CPU201、ROM202、およびRAM203は、CPUバスなどの内部バスにより構成されるホストバス204により相互に接続されている。さらに、ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。
【0052】
入力装置211は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなど、ユーザによって操作される装置である。入力装置211は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、ドローン機体20の操作に対応した携帯電話などの外部接続機器40であってもよい。
【0053】
入力装置211は、ユーザが入力した情報に基づいて入力信号を生成してCPU201に出力する入力制御回路を含む。ユーザは、この入力装置211を操作することによって、ドローン機体20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0054】
出力装置212は、取得した情報をユーザに対して視覚や聴覚、触覚などの感覚を用いて通知することが可能な装置で構成される。出力装置212は、例えば、LCDまたは有機ELディスプレイなどの表示装置、スピーカまたはヘッドフォンなどの音声出力装置、もしくはバイブレータなどでありうる。出力装置212は、ドローン機体20の処理により得られた結果を、テキストもしくは画像などの映像、音声もしくは音響などの音声またはバイブレーションなどとして出力する。
【0055】
ストレージ装置213は、ドローン機体20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置213は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどにより構成される。ストレージ装置213は、例えばCPU201が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0056】
ドライブ214は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体30のためのリーダライタであり、ドローン機体20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ214は、装着されているリムーバブル記録媒体30に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。また、ドライブ214は、装着されているリムーバブル記録媒体30に記録を書き込む。
【0057】
接続ポート215は、機器をドローン機体20に接続するためのポートである。接続ポート215は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポートなどでありうる。また、接続ポート215は、RS-232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポートなどであってもよい。接続ポート215に外部接続機器40を接続することで、ドローン機体20と外部接続機器40との間で各種のデータが交換されうる。
【0058】
通信装置216は、例えば、ネットワークNに接続するための通信デバイスなどで構成された通信インターフェースである。通信装置216は、例えば、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カードなどでありうる。
【0059】
また、通信装置216は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデムなどであってもよい。通信装置216は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、TCP/IPなどの所定のプロトコルを用いて信号などを送受信する。
【0060】
さらに、通信装置216に接続されるネットワークNは、有線または無線によって接続されたネットワークであり、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信などを含みうる。受信機217は通信装置216であってもよい。
【0061】
(ジンバル)
図3,4は、ジンバル22の構成例を示す模式図であり、ジンバル22の動作を示す図である。以下、ジンバル22の構成について、回動軸X1(第1の軸),X2(第2の軸),X3(第3の軸)が、それぞれ、Z軸、X軸、Y軸に平行な状態を例に挙げて説明する。なお、図3,4に示すX,Y及びZ軸は相互に直交する3軸方向であり、以下の図においても共通である。
【0062】
ジンバル22は、ドローン機体本体21とカメラ23とを連結する3軸ジンバルであり、カメラ23を各回動軸X1,X2,X3周りに回動可能に支持する。ジンバル22は、図3,4に示すように、ベース部22a、第1連結部22b、第2連結部22c及び第3連結部22dを有する。なお、上述のパン方向、チルト方向及びロール方向とは、それぞれ、回動軸X1,X2,X3周りの方向であり、以下の説明でも同様である。
【0063】
ベース部22aは、ドローン機体本体21に設けられる。ベース部22aは第1連結部22bをパン方向に回動させる。ベース部22aは、第1連結部22bを回動軸X1周りに回動可能に支持する。
【0064】
第1連結部22bはベース部22aと第2連結部22cとを連結する。ベース部22aは第1連結部22bを回動軸X1周りに回動させることによって、図3aに示すように、第1連結部22bを介して第2連結部22cを回動軸X1周りに回動させる。
【0065】
第2連結部22cは第1連結部22bに締結され、第1連結部22bに回動軸X1周りに回動可能に支持される。第2連結部22cは第1連結部22bと第3連結部22dとを連結し、第3連結部22dをロール方向に回動させる。第2連結部22cは、図4に示すように、第3連結部22dを回動軸X3周りに回動可能に支持する。
【0066】
第3連結部22dは、第2連結部22cとカメラ23とを連結し、カメラ23をチルト方向に回動させる。第3連結部22dは、図3bに示すように、カメラ23を回動軸X2周りに回動可能に支持する。
【0067】
ここで、本実施形態のジンバル22が図3,4に示すような構成である場合、ジンバルアクチュエータ207は、例えば、ベース部22a、第2,第3連結部22c,22d各々に収容される電動モーター(図示略)である。
【0068】
この場合、ベース部22aに収容された電動モーターはCPU201から取得した制御信号(電力)を、第1連結部22bを回動軸X1周りに回動させる動力に変換する。
【0069】
また、第2連結部22cに収容された電動モーターはCPU201から取得した制御信号を、第3連結部22dを回動軸X3周りに回動させる動力に変換する。第3連結部22dに収容された電動モーターは当該制御信号を、カメラ23を回動軸X2周りに回動させる動力に変換する。
【0070】
(カメラ)
カメラ23は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)またはCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子、および撮像素子への被写体像の結像を制御するためのレンズなどの各種の部材を用いて実空間を撮像し、撮像画像を生成する装置である。
【0071】
カメラ23は、静止画を撮像するものであってもよいし、また動画を撮像するものであってもよい。カメラ23は、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0072】
以上、操縦システム100の構成例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化した部材により構成されていてもよい。かかる構成は、実施する時々の技術レベルに応じて適宜変更されうる。
【0073】
<操縦システムの動作>
図5は操縦システム100の典型的な動作の流れを示すフローチャートであり、図6はドローン機体20により実行される演算処理の一例を示す概念図である。以下、操縦システム100の動作について、図5を適宜参照しながら説明する。
【0074】
[ステップS101:キャリブレーション]
先ず、CPU201は、コンパスセンサ11,208、加速度センサ13,209及びジンバル22のキャリブレーションを実行する。
【0075】
この際、CPU201は、例えば、コントローラ10及びドローン機体20の正面方向d2,d1と磁北d0とが平行である状態が、角度θ1,θ2が0°となるように、コンパスセンサ11,208を較正する。
【0076】
また、CPU201は、例えば、回動軸X1と鉛直方向dvとが平行である状態が、角度θ6が0°となり、回動軸X3と水平方向dhとが平行な状態が、角度θ8が0°となるように、加速度センサ209を較正する。
【0077】
さらに、CPU201は、例えば、コントローラ10と水平方向dhとが平行である状態が、ロール方向及びチルト方向におけるコントローラ10の傾きが0°となるように、加速度センサ13を較正する。
【0078】
加えて、CPU201は、回動軸X2がドローン機体本体21と平行であり、回動軸X3がドローン機体の正面方向d1とカメラ23の光軸方向と平行となるように、ジンバル22を較正する
【0079】
[ステップS102:姿勢を指定]
次に、ユーザは、コントローラ10のスティック12を操作することによって、パン方向におけるカメラ23の姿勢を指定する。これにより、入力制御回路は、ユーザがスティック12を介して指定した姿勢に基づいた入力データを生成し、このデータを送信機14に出力する。
【0080】
また、ユーザは、コントローラ10を傾けることによって、ロール方向及びチルト方向におけるカメラ23の姿勢を指定する。これにより、加速度センサ13は、ロール方向におけるコントローラ10と鉛直方向dvとのなす角度θ5(鉛直方向dvと入力方向d4とのなす角度θ5、図9参照)と、チルト方向におけるコントローラ10と水平方向dhとのなす角度θ7(水平方向dhと入力方向d5とのなす角度θ7,図10参照)を検出し、これにより得られたセンサデータを送信機14に出力する。
【0081】
[ステップS103:パン制御角算出]
図7はドローン機体20とドローン機体20を操縦するユーザを模式的に示す鳥瞰図であり、図8はドローン機体20及びコントローラ10の正面方向d1,d2と入力方向d3とをまとめて示す概念図である。
【0082】
CPU201は、入力制御回路から取得したデータと、コンパスセンサ11,208から取得したセンサデータ(角度θ1,θ2)とに基づき、相対角度θ3,θ4を算出する。ここで、相対角度θ3とは、コントローラ10の正面方向d2と、ドローン機体20の正面方向d1とのなす角度である。また、相対角度θ4とは、コントローラ10の正面方向d2と、ユーザがスティック12を倒した入力方向d3とのなす角度である。
【0083】
次いで、CPU201は、算出した相対角度θ3,θ4に基づきパン方向におけるカメラ23の制御角θpを算出し、制御角θpに基づく制御信号をジンバルアクチュエータ207に出力する。
【0084】
図8を例に挙げると、時計周りの角度(方向)を負角(負方向)とし、反時計周りの角度(方向)を正角(正方向)とした場合に、制御角θpは、例えば、下記式(1)により算出される。なお、上述した制御角とは、カメラ23の現在の姿勢からユーザにより指定された姿勢に移行させる上での必要な角度であり、以下の説明においても同様である。
【0085】
θp=-θ1+(+θ4)-(+θ2)=θ4-(θ1+θ2)=θ4-θ3・・・(1)
【0086】
[ステップS104:ロール制御角算出]
図9はロール方向に傾くドローン機体20を概略的に示す模式図である。CPU201は、加速度センサ13,209から取得したセンサデータ(角度θ5,θ6)に基づきロール方向におけるカメラ23の制御角θrを算出し、制御角θrに基づく制御信号をジンバルアクチュエータ207に出力する。
【0087】
図9を例に挙げると、時計周りの角度(方向)を負角(負方向)とし、反時計周りの角度(方向)を正角(正方向)とした場合に、制御角θrは、例えば、下記式(2)により算出される。
【0088】
θr=(-θ5)-(+θ6)=-(θ5+θ6)・・・(2)
【0089】
[ステップS105:チルト制御角算出]
図10はチルト方向に傾くドローン機体20を概略的に示す模式図である。CPU201は、加速度センサ13,209から取得したセンサデータ(角度θ7,θ8)に基づきチルト方向におけるカメラ23の制御角θtを算出し、制御角θtに基づく制御信号をジンバルアクチュエータ207に出力する。
【0090】
図10を例に挙げると、時計周りの角度(方向)を負角(負方向)とし、反時計周りに角度(方向)を正角(正方向)とした場合に、制御角θtは、例えば、下記式(3)により算出される。
【0091】
θt=(-θ7)-(+θ8)=-(θ7+θ8)・・・(3)
【0092】
[ステップS106:ジンバル制御]
ジンバルアクチュエータ207は、CPU201から取得した、制御角θpに基づく制御信号を、第1連結部22bを回動軸X1周りに回動させる動力に変換する。この際、ジンバルアクチュエータ207は、第1連結部22bを正方向にθpだけ回動させる。これにより、図8に示すように、第2連結部22cが正方向にθpだけ回動し、パン方向におけるカメラ23の姿勢がユーザにより指定された姿勢となる。
【0093】
また、ジンバルアクチュエータ207は、CPU201から取得した、制御角θrに基づく制御信号を、第3連結部22dを回動軸X3周りに回動させる動力に変換する。この際、ジンバルアクチュエータ207は、第3連結部22dを負方向にθrだけ回動させる。これにより、図9に示すように、第3連結部22dが負方向にθrだけ回動し、ロール方向におけるカメラ23の姿勢がユーザにより指定された姿勢となる。
【0094】
さらに、ジンバルアクチュエータ207は、CPU201から取得した、制御角θtに基づく制御信号を、カメラ23を回動軸X2周りに回動させる動力に変換する。この際、ジンバルアクチュエータ207は、カメラ23を負方向にθtだけ回動させる。これにより、図10に示すように、カメラ23が負方向にθtだけ回動し、チルト方向におけるカメラ23の姿勢がユーザにより指定された姿勢となる。
【0095】
[ステップS107:新たに姿勢が指定されたか?]
次に、ユーザによりコントローラ10を介してカメラ23の姿勢が新たに指定される場合(ステップS107のYES)、ユーザは、コントローラ10のスティック12を操作することによって、パン方向におけるカメラ23の姿勢を新たに指定する。これにより、入力制御回路は、ユーザがスティック12を介して入力した入力方向d3´に基づいた入力データを生成し、このデータを送信機14に出力する。
【0096】
また、ユーザは、コントローラ10を傾けることによって、ロール方向及びチルト方向におけるカメラ23の姿勢を新たに指定する。これにより、加速度センサ13は、ロール方向におけるコントローラ10と鉛直方向dvとのなす角度θ10(鉛直方向dvと入力方向d4´とのなす角度θ10、図12参照)と、チルト方向におけるコントローラ10と水平方向dhとのなす角度θ11(水平方向dhと入力方向d5´とのなす角度θ11,図13参照)を検出し、これにより得られたセンサデータを送信機14に出力する。
【0097】
一方、ユーザによりコントローラ10を介してカメラ23の姿勢が新たに指定されない場合(ステップS107のNO)、即ち、カメラ23の姿勢がコントローラ10を介して指定され続けている場合は、当該指定された姿勢が継続される。
【0098】
[ステップS108:パン制御角算出]
図11は、ドローン機体20及びコントローラ10の正面方向d1,d2と、パン方向における現在のカメラ23の姿勢(撮影方向d3)と、ユーザにより新たに入力された入力方向d3´とをまとめて示す概念図である。
【0099】
CPU201は、入力制御回路から取得したデータと、コンパスセンサ11,208から取得したセンサデータと、ドローン機体20の正面方向d1とカメラ23の現在の撮影方向d3とのなす角度θpとに基づき、相対角度θ9,θ12を算出する。
【0100】
ここで、相対角度θ9とは、コントローラ10の正面方向d2と、ユーザにより新たに入力された入力方向d3´とのなす角度である。また、相対角度θ12とは、コントローラ10の正面方向d2と、カメラ23の現在の撮影方向d3とのなす角度である。
【0101】
次いで、CPU201は、算出した相対角度θ9,θ12に基づきパン方向におけるカメラ23の制御角θp´を新たに算出し、制御角θp´に基づく制御信号をジンバルアクチュエータ207に出力する。図11を例に挙げると、時計周りの角度(方向)を負角(負方向)とし、反時計周りの角度(方向)を正角(正方向)とした場合に、制御角θp´は、例えば、下記式(4)により算出される。
【0102】
θp´=-θ1+(+θ9)-(+θ2)-(+θp)=θ9-(θ1+θ2+θp)=θ9-θ12・・・(4)
【0103】
[ステップS109:ロール制御角算出]
図12はロール方向に傾くドローン機体20を概略的に示す模式図である。CPU201は、加速度センサ13から取得したセンサデータ(角度θ10)と、ロール方向における現在のカメラ23と鉛直方向dvとのなす角度θ5とに基づき制御角θr´を新たに算出し、制御角θr´に基づく制御信号をジンバルアクチュエータ207に出力する。
【0104】
図12を例に挙げると、時計周りの角度(方向)を負角(負方向)とし、反時計周りの角度(方向)を正角(正方向)とした場合に、制御角θr´は、例えば、下記式(5)により算出される。
【0105】
θr´=(+θ10)-(-θ5)=θ10+θ5・・・(5)
【0106】
[ステップS110:チルト制御角算出]
図13はチルト方向に傾くドローン機体20を概略的に示す模式図である。CPU201は、加速度センサ13から取得したセンサデータ(角度θ11)と、チルト方向における現在のカメラ23と水平方向dhとのなす角度θ7とに基づき制御角θt´を新たに算出し、制御角θt´に基づく制御信号をジンバルアクチュエータ207に出力する。
【0107】
図13を例に挙げると、時計周りの角度(方向)を負角(負方向)とし、反時計周りの角度(方向)を正角(正方向)とした場合に、制御角θt´は、例えば、下記式(6)により算出される。
【0108】
θt´=(+θ11)-(-θ7)=θ11+θ7・・・(6)
【0109】
[ステップS111:ジンバル再制御]
ジンバルアクチュエータ207は、CPU201から取得した、制御角θp´に基づく制御信号を、第1連結部22bを回動軸X1周りに回動させる動力に変換する。この際、ジンバルアクチュエータ207は、第1連結部22bを正方向にθp´だけ回動させる。これにより、図11に示すように、第2連結部22cが正方向にθp´だけ回動し、パン方向におけるカメラ23の姿勢がユーザにより新たに指定された姿勢となる。
【0110】
また、ジンバルアクチュエータ207は、CPU201から取得した、制御角θr´に基づく制御信号を、第3連結部22dを回動軸X3周りに回動させる動力に変換する。この際、ジンバルアクチュエータ207は、第3連結部22dを正方向にθr´だけ回動させる。これにより、図12に示すように、第3連結部22dが正方向にθr´だけ回動し、ロール方向におけるカメラ23の姿勢がユーザにより新たに指定された姿勢となる。
【0111】
さらに、ジンバルアクチュエータ207は、CPU201から取得した、制御角θt´に基づく制御信号を、カメラ23を回動軸X2周りに回動させる動力に変換する。この際、ジンバルアクチュエータ207は、カメラ23を正方向にθt´だけ回動させる。これにより、図13に示すように、カメラ23が正方向にθt´だけ回動し、チルト方向におけるカメラ23の姿勢がユーザにより新たに指定された姿勢となる。
【0112】
<作用・効果>
従来、市販のドローン機体に搭載されたカメラを制御する場合、カメラの現在の撮影方向に対する相対的な制御が実行される。具体的には、例えば、タブレット端末等で動作するモバイルアプリケーションにカメラの撮影画像を表示させ、ユーザはこの撮影画像を観ながらモバイルアプリケーション上に表示されたボタン等を介してカメラを制御する。
【0113】
ここで、ユーザはドローン機体を操縦するだけでも集中力を要するため、ドローン機体に搭載されたカメラの制御は専用のカメラ操縦者により制御される場合が多い。この場合、カメラ操縦者はドローン機体の現在の姿勢や動きを瞬時に把握することが困難であり、カメラを制御する上でタイムラグが生じることによって、カメラを特定方向に向かせつづけることが難しい。
【0114】
特に、ドローン機体に搭載されたカメラを制御する場合、ドローン機体はパン方向、ロール方向及びチルト方向に移動し、ユーザが一人称視点(FPV)を利用してドローン機体を操縦する場合にはドローン機体の正面方向(進行方向)が逐一変化するため、カメラ操縦者がドローン機体の動きに合わせた相対的な制御を瞬時に実行することは事実上不可能である。
【0115】
これに対し、本実施形態の操縦システム100では、図8に示すように、ドローン機体20の正面方向d1(進行方向)によらずに、カメラ23のパン方向における姿勢がユーザにより指定された姿勢となる。
【0116】
例えば、ユーザ(コントーラ10)が北を向いている時にスティック12を右に倒した場合、カメラ23は東方向を向き、ユーザ(コントローラ10)が西を向いている時にスティック12を左に倒した場合、カメラ23は南方向を向く。
【0117】
また、カメラ23のロール方向及びチルト方向における姿勢が指定された場合には、図9,10に示すように、ドローン機体20の傾きによらずに、カメラ23の姿勢がユーザにより指定された姿勢となる。
【0118】
これらのことから、本実施形態の操縦システム100によれば、ドローン機体20の姿勢に依存せずにユーザによるカメラ23の直観的な制御が可能となり、カメラ23の姿勢がユーザにより指定された姿勢に逐次連続的に制御される。従って、ユーザは、自身が所望とする方向を安定して撮影することができる。
【0119】
<変形例>
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態に限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0120】
図14は、本技術の変形例に係るコントローラ10の構成例を簡略的に示す模式図である。上記実施形態では、例えば、加速度センサ13にかえてスティック16が採用されてもよい。この場合、X軸方向のスティック16の可動域D1をカメラ23のロール方向の回動域とし、Y軸方向のスティック16の可動域D2をカメラ23のチルト方向の回動域とすることでカメラ23のロール方向及びチルト方向における姿勢が指定されてもよい。
【0121】
また、上記実施形態のコントローラ10は、例えば、ユーザがスティック12から指を離しても、スティック12の姿勢が維持されるロック機構を有する構成であってもよい。
【0122】
さらに、上記実施形態では、例えば、スティック12にかえてタッチパネルが採用されてもよい。この場合、当該タッチパネルはユーザによりタッチされたポイントを保持し続ける仕組みであってもよい。
【0123】
加えて、上記実施形態の操縦システム100では、コントローラ10をユーザが手動で操作することによりカメラ23の姿勢が指定されるがこれに限られず、カメラ23の姿勢が自動で制御されてもよい。
【0124】
また、上記実施形態のコントローラ10は、コンパスセンサ11と加速度センサ13とを有する構成であるがこれに限られず、加速度センサ13にかえて、またはこれとともに、ジャイロセンサ(図示略)を有する構成であってもよい。当該ジャイロセンサは、コントローラ10の傾きを検出することにより得られたセンサデータを送信機14に出力する。
【0125】
同様に、ドローン機体20も加速度センサ209にかえて、またはこれとともに、ジャイロセンサ(図示略)を有する構成であってもよい。当該ジャイロセンサは、ドローン機体20の傾きを検出することにより得られたセンサデータをCPU201に出力する。
【0126】
ここで、本実施形態のCPU201は、加速度センサ13,209から取得したセンサデータのみならず、コントローラ10及びドローン機体20に搭載されたジャイロセンサから取得したセンサデータにも基づいて、ロール方向及びチルト方向におけるカメラ23の制御角を算出し、この制御角に基づく制御信号をジンバルアクチュエータ207に出力してもよい。ジャイロセンサは、例えば機械式、光学式、流体式、地磁気式、静電容量式又は振動式のものが採用されてもよくその種類は問わない。
【0127】
<補足>
本技術の実施形態は、例えば、上記で説明したような移動体、操縦システム、移動体または操縦システムで実行される動作、移動体を機能させるためのプログラム、およびプログラムが記録された一時的でない有形の媒体を含みうる。
【0128】
また、本実施形態の操縦システム100では、移動体が飛行体であることを前提として説明したがこれに限られない。本技術は、飛行体以外の他の移動体(例えばロボット等)に適用されてもよく、その用途は特に限定されない。なお、飛行体には、所謂ドローンの他に、無人飛行機や無人ヘリコプター等が含まれる。
【0129】
さらに、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0130】
以上、添付図面を参照しながら本技術の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本技術の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本技術の技術的範囲に属するものと了解される。
【0131】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
【0132】
(1)
撮像部と、
移動体の正面方向を検出する第1の検出部と、
上記第1の検出部の出力と、上記撮像部を操縦する操縦装置の正面方向を検出する第2の検出部の出力と、上記操縦装置により生成された入力データとに基づいて、上記撮像部の第1の軸周りの姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御する制御部と
を具備する前記移動体。
(2)
上記第1の検出部は、上記移動体の第2の軸周りの傾きを検出し、
上記第2の検出部は、上記操縦装置の水平方向に対する傾きを検出し、
上記制御部は、上記第1及び第2の検出部の出力に基づき、上記撮像部の上記第2の軸周りの姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御する、上記(1)に記載の移動体。
(3)
上記第1の検出部は、上記移動体の第3の軸周りの傾きを検出し、
上記第2の検出部は、上記操縦装置の鉛直方向に対する傾きを検出し、
上記制御部は、当該第1及び第2の検出部の出力に基づき、上記撮像部の上記第3の軸周りの姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御する、上記(2)に記載の移動体。
(4)
上記移動体の本体である移動体本体と、
上記移動体本体と上記撮像部とを連結し、上記撮像部を上記第1,第2及び第3の軸周りに回動可能に支持するジンバルとをさらに具備する、上記(3)に記載の移動体。
(5)
上記制御部は、上記第1の検出部及び上記操縦装置の出力に基づいて、上記撮像部の現在の姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に移行する上での必要な角度である制御角を算出する、上記(3)又は(4)に記載の移動体。
(6)
上記制御部は、上記第1の軸周りの上記制御角として、上記操縦装置の正面方向と上記操縦装置に入力された入力方向とのなす角度と、当該正面方向と上記移動体の正面方向とのなす角度との差分を算出する、上記(5)に記載の移動体。
(7)
上記制御部は、上記第2の軸周りの上記制御角として、上記第3の軸と上記水平方向とのなす角度と、上記操縦装置と上記水平方向とのなす角度との差分を算出する、上記(5)又は(6)に記載の移動体。
(8)
上記制御部は、上記第3の軸周りの上記制御角として、上記第1の軸と上記鉛直方向とのなす角度と、上記操縦装置と上記鉛直方向とのなす角度との差分を算出する、上記(5)から(7)のいずれか1つに記載の移動体。
(9)
上記第1の検出部は、上記移動体の正面方向を検出する地磁気センサと、上記移動体の上記第2及び第3の軸周りの傾きを検出する加速度センサとを有し、
上記第2の検出部は、上記操縦装置の正面方向を検出する地磁気センサと、上記操縦装置の上記水平方向及び上記鉛直方向に対する傾きを検出する加速度センサとを有する、上記(3)から(8)のいずれか1つに記載の移動体。
(10)
上記移動体は飛行体である、上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の移動体。
(11)
撮像部と、
移動体の正面方向を検出する第1の検出部と、
上記第1の検出部の出力と、操縦装置の正面方向を検出する第2の検出部の出力と、上記操縦装置により生成された入力データとに基づいて、上記撮像部の姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御する制御部と
を有する上記移動体と、
上記第2の検出部を有し、上記撮像部を操縦する上記操縦装置と
を具備する操縦システム。
(12)
制御部が、
移動体の正面方向を検出する第1の検出部の出力を取得し、
上記移動体に搭載された撮像部を操縦する操縦装置の正面方向を検出する第2の検出部の出力を取得し、
上記操縦装置により生成された入力データを取得し、
上記第1及び第2の検出部の出力と、上記入力データとに基づいて、上記撮像部の姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御する、制御方法。
(13)
移動体の正面方向を検出する第1の検出部の出力を取得するステップと、
上記移動体に搭載された撮像部を操縦する操縦装置の正面方向を検出する第2の検出部の出力を取得するステップと、
上記操縦装置により生成された入力データを取得するステップと、
上記第1及び第2の検出部の出力と、上記入力データとに基づいて、上記撮像部の姿勢を上記操縦装置により指定された姿勢に制御するステップと
を上記移動体に実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0133】
10・・・コントローラ
11,208・・・コンパスセンサ
12・・・スティック
13,209・・・加速度センサ
14・・・送信機
20・・・ドローン機体
21・・・ドローン機体本体
22・・ジンバル
23・・・カメラ
100・・・操縦システム
200・・・センサ群
201・・・CPU
207・・・ジンバルアクチュエータ
X1,X2,X3・・・回動軸
図1
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