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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240827BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20240827BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/33
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021550560
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2020034776
(87)【国際公開番号】W WO2021065452
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2019179714
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 佳明
(72)【発明者】
【氏名】服部 隆志
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-031755(JP,A)
【文献】特開2016-174501(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064793(WO,A1)
【文献】特開2019-092268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、第1基板と、第2基板と、カバー部材と、を備え、
前記ハウジングは、回転軸が上下方向に延びるモータを収容する筒部を有し、
前記第1基板は、前記筒部の径方向外端面に対し、前記上下方向と直交する径方向に対向し、
前記第2基板は、軸方向と垂直に広がるとともに、前記モータよりも上方に配置され、
前記カバー部材は、
前記第1基板の径方向外端面を覆う第1カバー部と、
前記第2基板の上面を覆う第2カバー部と、
を有し、
径方向から見た前記第1カバー部の外縁部、及び軸方向から見た前記第2カバー部の外縁部は、シール部材を介して前記ハウジングに接し、
前記ハウジングは、前記筒部から上方に延びて、前記第2基板の収容空間を形成する上壁部を有し、
前記上壁部の径方向外側に前記第1カバー部が配置され、前記上壁部の上方に第2カバーが配置される、モータユニット。
【請求項2】
径方向から見た前記第1カバー部の外縁部と前記ハウジングとのうちの一方には、前記一方から他方に向かって突出する第1凸部が配置され、
径方向から見た前記第1カバー部の外縁部と前記ハウジングとのうちの前記他方には、前記一方から前記他方に向かって凹む第1凹部が配置され、
前記第1凹部には、前記第1凸部が嵌まり、
前記第1凸部と前記第1凹部との間には、第1シール部材が配置される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
軸方向から見た前記第2カバー部の外縁部と前記ハウジングとのうちの一方には、前記一方から他方に向かって突出する第2凸部が配置され、
軸方向から見た前記第2カバー部の外縁部と前記ハウジングとのうちの前記他方には、前記一方から前記他方に向かって凹む第2凹部が配置され、
前記第2凹部には、前記第2凸部が嵌まり、
前記第2凸部と前記第2凹部との間には、第2シール部材が配置される、請求項1又は請求項2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記ハウジングは、径方向外方に隆起する隆起部をさらに有し、
前記隆起部は、前記第1カバー部よりも上方に配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記隆起部及び前記筒部はそれぞれ、同じ部材の異なる一部であって、
前記第1カバー部は、前記筒部の下端部よりも上方にある、請求項4に記載のモータユニット。
【請求項6】
径方向から見た前記第1カバー部の外縁部と前記ハウジングとの接触部分は、前記隆起部の径方向外端部と同じ径方向位置、又は、前記隆起部の径方向外端部よりも径方向内方に配置される、請求項4又は請求項5に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記第1カバー部の径方向外端部は、前記隆起部の径方向外端部と同じ径方向位置、又は、前記隆起部の径方向外端部よりも径方向内方に配置される、請求項5に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記ハウジングには、
前記第1基板を収容する第1基板収容室の一部と、
前記第2基板を収容する第2基板収容室と、
前記第1基板収容室と前記第2基板収容室とを繋ぐ通路空間と、
が形成される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記第1基板収容室の一部を内部に形成する枠部をさらに有し、
前記枠部は、
前記筒部の径方向外側面から径方向外方と周方向一方とを少なくとも含む方向に突出して軸方向に延びる第1側壁部と、
前記筒部の径方向外側面から径方向外方と周方向他方とを少なくとも含む方向に突出して軸方向に延びる第2側壁部と、
前記上壁部と、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の下部において、前記第1側壁部の径方向外端部と前記第2側壁部の径方向外端部とを接続する下壁部と、
を有し、
前記上壁部は、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の上部において、前記第1側壁部の径方向外端部と前記第2側壁部の径方向外端部とを接続し、
径方向から見た前記第1カバー部の外縁部は、前記第1側壁部の径方向外端部と、前記第2側壁部の径方向外端部と、上壁部の径方向外端部と、下壁部の径方向外端部と、に接する、請求項8に記載のモータユニット。
【請求項10】
前記第2基板は、前記上壁部よりも径方向内方に配置される、請求項9に記載のモータユニット。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記筒部の下端部を覆う下蓋部をさらに有し、
前記筒部の下端部は、第3シール部材を介して前記下蓋部に接続される、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項12】
径方向から見て、軸方向及び径方向の両方と垂直な方向における前記第1カバー部の第1幅は、前記方向における前記筒部の第2幅以下である、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
本願は、2019年9月30日に出願された日本出願特願2019-179714号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
モータ制御用の基板を含む複数の基板を有するモータユニットでは、外部から進入する水、塵埃などから基板を保護する必要がある。たとえば、軸方向に沿って互いに平行な基板がモータの径方向外方側に配置される場合、最も径方向外方に位置する基板を覆うカバーをモータのハウジングに取り付けることで基板を保護できる。(国際公開2017/026128号参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2017/026128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板が互いに平行に配置されない場合、モータの径方向外方側にカバーを取り付けるだけでは、基板を保護することはできない。そのため、基板を保護する新たな技術が必要とされる。
【0005】
本発明は、互いに交わる方向に延びる第1基板及び第2基板を水、塵埃などから保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータユニットは、ハウジングと、第1基板と、第2基板と、カバー部材と、を備える。前記ハウジングは、回転軸が上下方向に延びるモータを収容する筒部を有する。前記第1基板は、前記筒部の径方向外端面と径方向に対向する。前記第2基板は、軸方向と垂直に広がるとともに、前記モータよりも上方に配置される。前記カバー部材は、前記第1基板の径方向外端面を覆う第1カバー部と、前記第2基板の上面を覆う第2カバー部と、を有する。径方向から見た前記第1カバー部の外縁部、及び軸方向から見た前記第2カバー部の外縁部は、シール部材を介して前記ハウジングに接する。前記ハウジングは、前記筒部から上方に延びて、前記第2基板の収容空間を形成する上壁部を有し、前記上壁部の径方向外側に前記第1カバー部が配置され、前記上壁部の上方に第2カバーが配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的なモータユニットによれば、第1基板及び第2基板を水、塵埃などから保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、モータユニットの斜視図である。
図2図2は、径方向から見たモータユニットの断面図である。
図3図3は、軸方向から見たモータユニットの断面図である。
図4図4は、上ハウジングと下ハウジングとの接続部分の一部を拡大した図である。
図5A図5Aは、側基板の固定手段の変形例を示す。
図5B図5Bは、側基板の固定手段の他の変形例を示す。
図6図6は、径方向から見た第1変形例に係るモータユニットの断面図である。
図7図7は、径方向から見た第2変形例に係るモータユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0010】
なお、本明細書では、モータユニット100において、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、後述する下ベアリングBr2から上ベアリングBr1への向きを「上方」と呼び、上ベアリングBr1から下ベアリングBr2への向きを「下方」と呼ぶ。各々の構成要素において、上方における端部を「上端部」と呼び、下方における端部を「下端部」と呼ぶ。また、各々の構成要素の表面において、上方を向く面を「上面」と呼び、下方を向く面を「下面」と呼ぶ。
【0011】
また、中心軸CAに直交する方向を「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸CAへと近づく向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離れる向きを「径方向外方」と呼ぶ。各々の構成要素において、径方向内方における端部を「径方向内端部」と呼び、径方向外方における端部を「径方向外端部」と呼ぶ。また、各々の構成要素の側面において、内方を向く側面を「径方向内側面」と呼び、外方を向く側面を「径方向外側面」と呼ぶ。
【0012】
また、中心軸CAを中心とする回転方向を「周方向Dr」と呼ぶ。周方向Drのうち、下方を向いて中心軸CAを中心とする反時計回りの向きを「周方向一方Dr1」と呼び、下方を向いて中心軸CAを中心とする時計回りの向きを「周方向他方Dr2」と呼ぶ。各々の構成要素において、周方向Drにおける端部を「周方向端部」と呼ぶ。また、周方向一方Dr1における端部を「周方向一方端部」と呼び、周方向他方Dr2における端部を「周方向他方端部」と呼ぶ。また、各々の構成要素の側面において、周方向Drを向く側面を「周方向側面」と呼ぶ。さらに、周方向一方Dr1を向く側面を「周方向一方側面」と呼び、周方向他方Dr2を向く側面を「周方向他方側面」と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書において、「環状」は、中心軸CAを中心とする周方向Drの全域に渡って切れ目の無く連続的に一繋がりとなる形状のほか、中心軸CAを中心とする全域の一部に1以上の切れ目を有する形状を含む。また、中心軸CAを中心として、中心軸CAと交差する曲面において閉曲線を描く形状も含む。
【0014】
また、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態及び実質的に直交する状態を含む。つまり、「平行」、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0015】
なお、以上に説明した事項は、実際の機器に組み込まれた場合において厳密に適用されるものではない。
【0016】
<1.実施形態>
<1-1.モータユニット>
図1は、モータユニット100の斜視図である。図2は、径方向から見たモータユニット100の断面図である。図3は、軸方向から見たモータユニット100の断面図である。なお、図1では、内部を見やすくするため、側基板41を透明表示している。図2は、中心軸CAを含む仮想の平面でモータユニット100を切断した場合の該モータユニット100の断面構造を示しており、図3の一点鎖線C-Cに沿う断面に対応している。図3は、中心軸CAに垂直な仮想の平面でモータユニット100を切断した場合の該モータユニット100の断面構造を示しており、図2の実線A-Aに沿う断面に対応している。
【0017】
図1から図3に示すように、モータユニット100は、モータ1と、ハウジング3と、板状の側基板41と、板状の上基板42と、コネクタ部6と、カバー部材7と、を備える。
【0018】
<1-1-1.モータ>
モータ1は、シャフト10と、ロータ11と、ステータ12と、を有する。
【0019】
シャフト10は、ロータ11の回転軸であり、ロータ11を支持し、中心軸CAを中心にしてロータ11とともに回転可能である。なお、この例示に限定されず、シャフト10は、ステータ12に取り付けられる固定軸であってもよい。なお、シャフト10が固定軸である場合、ロータ11には、シャフト10との間にベアリング(不図示)が設けられる。
【0020】
ロータ11は、上下方向に延びる中心軸CAを中心にして、ステータ12に対して回転可能である。ロータ11は、ロータコア111と、マグネット112と、を有する。
【0021】
ロータコア111は、中心軸CAを囲む環状又は筒状であり、シャフト10の径方向外側面に固定される。ロータコア111は、磁性体であり、本実施形態では電磁鋼板が軸方向に積層された積層体である。
【0022】
マグネット112は、ロータコア111の径方向外側面に保持されている。マグネット112は、本実施形態では、中心軸CAを囲む筒状であり、軸方向に延びる。この例示に限定されず、マグネット112は、周方向Drに配列する複数のマグネット片を有する構成であってもよい。マグネット112は、ステータ12よりも径方向内方に位置し、ステータ12の径方向内側面と径方向に対向する。マグネット112は、たとえばネオジム焼結磁石などの希土類焼結磁石であり、互いに異なる複数の磁極、つまりN極とS極とを有する。N極とS極とは、周方向において交互に配列される。
【0023】
ステータ12は、中心軸CAを囲む環状であり、ハウジング3に保持されている。ステータ12は、モータ1を駆動する際に、ロータ11を駆動して回転させる。ステータ12は、ステータコア121と、インシュレータ122と、複数のコイル部123と、バスバー124と、を有する。
【0024】
ステータコア121は、中心軸CAを囲む環状である。ステータコア121は、磁性体であり、本実施形態では電磁鋼板が軸方向に積層された積層体である。
【0025】
インシュレータ122は、ステータコア121の一部を覆う。インシュレータ122は、たとえば合成樹脂、エナメル、ゴムなどの電気絶縁性を有する材料を用いて形成されている。
【0026】
各々のコイル部123は、ステータコア121にインシュレータ122を介して導線(符号省略)が巻き付けられることで形成されている。各々のコイル部123に駆動電流が供給されると、ステータ12は励磁されてロータ11を駆動する。導線は、たとえばエナメル被覆銅線等、絶縁部材で被覆された金属線などである。
【0027】
バスバー124は、導電性材料を用いて形成され、各々のコイル部123から延びる導線の端部間を電気的に接続する。さらに、バスバー124は、図示しない接続線を介して上基板42と電気的に接続される。つまり、バスバー124を介して、各々のコイル部123は、上基板42と電気的に接続される。なお、本実施形態の例示に限定されず、ステータ2は、バスバー124を有していなくてもよい。この場合には、各々のコイル部123の導線は、たとえば直接に、上基板42と電気的に接続される。
【0028】
<1-1-2.ハウジング>
次に、ハウジング3は、回転軸が上下方向に延びるモータ1を収容する。ハウジング3は、上ハウジング31と、下ハウジング32と、を有する。
【0029】
また、後述するように、ハウジング3には、側基板収容室Sp1の一部と、上基板収容室Sp2と、通路空間Sp3と、が形成されている。側基板収容室Sp1は、側基板41を収容する。上基板収容室Sp2は、上基板42を収容する。通路空間Sp3は、側基板収容室Sp1と上基板収容室Sp2とを繋ぐ。こうすれば、通路空間Sp3を介して側基板収容室Sp1と上基板収容室Sp2とが繋がるので、側基板41と上基板42との接続を容易にできる。
【0030】
<1-1-2-1.上ハウジング>
図1から図3を参照して、上ハウジング31の構成を説明する。上ハウジング31は、上蓋部311と、上ベアリングホルダ312と、筒部313と、枠部314と、隆起部315と、周壁部316と、を有する。言い換えると、ハウジング3は、上蓋部311と、上ベアリングホルダ312と、筒部313と、枠部314と、隆起部315と、周壁部316と、を有する。
【0031】
上蓋部311は、筒部313の上端部を覆う。前述の如く、ハウジング3は、上蓋部311を有する。上蓋部311は、中心軸CAから径方向外方に広がる。
【0032】
上蓋部311には、通路空間Sp3が形成される。通路空間Sp3は、上蓋部311の上面の径方向外端部に形成されて下方に凹む凹部である。より具体的には、通路空間Sp3は、上蓋部311の上面の径方向外端部のうちの周方向Drにおける一部領域に形成されている。また、通路空間Sp3は、上蓋部311の径方向外端部から径方向内方に凹むとともに、上方に向かって開口している。言い換えると、通路空間Sp3は、上蓋部311の上面から下方に凹むとともに、径方向外方に向かって開口している。
【0033】
また、上蓋部311には、中心軸CAを囲む開口(符号省略)が設けられている。
【0034】
上ベアリングホルダ312は、筒状であり、上記の開口の縁部に沿う上蓋部311の径方向内端部から下方に延びる。上ベアリングホルダ312の内部には、シャフト10が軸方向に挿通されている。上ベアリングホルダ312の径方向内側面には、上ベアリングBr1が配置されている。上ベアリングホルダ312は、上ベアリングBr1を介してシャフト10の上部を回転可能に支持する。なお、上ベアリングBr1は、本実施形態ではボールベアリングである。但し、この例示に限定されず、上ベアリングBr1は、たとえばスリーブベアリングであってもよい。
【0035】
上ベアリングホルダ312は、本実施形態では、上蓋部311と同じ部材の異なる一部である。但し、本実施形態の例示に限定されず、上ベアリングホルダ312は、上蓋部311とは別体であってもよい。たとえば、上ベアリングホルダ312は、少なくとも上蓋部311と一体成型された別部材であってもよい。
【0036】
周壁部316は、上蓋部311の径方向外端部のうちの通路空間Sp3に面する部分以外の部分から上方に突出し、周方向に延びる。これにより、周壁部316よりも径方向内方には、上基板42が収容される上基板収容室Sp2が形成されている。
【0037】
周壁部316の上面には、凹部3160が形成されている。凹部3160は、下方に凹み、周壁部316の周方向一方端から周方向他方端に渡って、周方向Drに延びる。
【0038】
筒部313は、軸方向に延びる筒状であり、上蓋部311の径方向外端部から下方に延びる。筒部313は、回転軸が上下方向に延びるモータ1を収容する。前述の如く、ハウジング3は、筒部313を有する。
【0039】
筒部313の径方向外側面には、長手方向を有する後述の電子部品E1との接触防止用の凹部3130が設けられる。凹部3130は、筒部313の径方向外側面から径方向内方に凹む。凹部3130は、後述する収容空間Hsに面する。たとえば、筒部313の径方向外側面のうちの電子部品E1に近い領域に凹部3130を形成することにより、側基板41に搭載された電子部品E1と筒部313との間のクリアランスをより広くすることができる。従って、電子部品E1を筒部313に接触し難くすることができる。
【0040】
枠部314は、筒部313の径方向外側面から径方向外方に突出する。枠部314は、側基板収容室Sp1の一部を内部に形成する。前述の如く、ハウジング3は、枠部314を有する。
【0041】
枠部314は、一対の側壁部3141、3142と、上壁部3143と、下壁部3144と、を有する。なお、以下では、一対の側壁部3141、3142のうちの一方を第1側壁部3141と呼び、他方を第2側壁部3142と呼ぶことがある。
【0042】
一対の側壁部3141、3142は、筒部313の径方向外側面から径方向外方と周方向とを少なくとも含む方向に突出して、軸方向に延びる。より具体的には、第1側壁部3141は、筒部313の径方向外側面から径方向外方と周方向一方Dr1とを少なくとも含む方向に突出して、軸方向に延びる。第2側壁部3142は、筒部313の径方向外側面から径方向外方と周方向他方Dr2とを少なくとも含む方向に突出して、軸方向に延びる。前述の如く、枠部314は、第1側壁部3141と、第2側壁部3142と、を有する。
【0043】
上壁部3143は、第1側壁部3141及び第2側壁部3142の上部において、第1側壁部3141の径方向外端部と第2側壁部3142の径方向外端部とを接続する。前述の如く、枠部314は、上壁部3143を有する。本実施形態では、上壁部3143は、第1側壁部3141の上端部の径方向外端部と、第2側壁部3142の上端部の径方向外端部とを接続している。上壁部3143は、第1方向D1に延び、軸方向に広がっている。なお、第1方向D1は、図1などに示すように、第1側壁部3141の上端部の径方向外端部から第2側壁部3142の上端部の径方向外端部に向かう方向である。
【0044】
一対の側壁部3141、3142及び上壁部3143の上面には、凹部3145が形成されている。凹部3145は、下方に凹み、一対の側壁部3141、3142の上端部と上壁部3143の上端部とに沿って延びる。凹部3145の一方端は、周壁部316に形成された凹部3160の周方向一方端に繋がる。凹部3145の他方端は、凹部3160の周方向他方端に繋がる。凹部3145及び凹部3160は、軸方向から見て閉曲線形状の溝部Grを形成している。
【0045】
下壁部3144は、第1側壁部3141及び第2側壁部3142の下部において、第1側壁部3141の径方向外端部と第2側壁部3142の径方向外端部とを接続する。前述の如く、枠部314は、下壁部3144を有する。本実施形態では、下壁部3144は、筒部313の径方向外端部から径方向外方に突出し、第1方向D1に延びている。さらに、下壁部3144は、第1側壁部3141の下端部の径方向外端部と、第2側壁部3142の下端部の径方向外端部とを接続している。
【0046】
また、枠部314の径方向外端部には、径方向外方に向かって突出する凸部3140が形成されている。本実施形態では、凸部3140は、枠部314が突出する径方向から見て、枠部314の径方向外端部に沿って延びる閉曲線形状である。
【0047】
また、上壁部3143は、隆起部315を有する。言い換えると、ハウジング3は、隆起部315を有する。隆起部315は、上壁部3143の径方向外側面の上端部において径方向外方に突出し、上記の第1方向D1に延びる。隆起部315は、枠部314の径方向外端部に形成された凸部3140、及びサイドカバー部71よりも上方に配置される。こうすれば、隆起部315により、サイドカバー部71の上端部、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部とハウジング3との接触部分などを保護できる。
【0048】
隆起部315及び筒部313はそれぞれ、同じ部材の異なる一部であり、本実施形態では上ハウジング31の異なる一部である。
【0049】
次に、図3に示すように、軸方向から見て、筒部313と一対の側壁部3141、3142との間には、電子部品E1を収容する収容空間Hsが設けられる。より具体的には、筒部313と第1側壁部3141との間には収容空間Hs1が設けられ、筒部313と第2側壁部3142との間には収容空間Hs2が設けられている。
【0050】
こうすれば、コンデンサ、マイコンのレギュレータなどの長手方向を有してサイズの大きい電子部品E1が側基板41に搭載されていても、該電子部品E1を収容空間Hsに収容することにより、該電子部品E1の搭載面が向く方向におけるモータユニット100のサイズ増大を抑制できる。たとえば、本実施形態では、側基板41における電子部品E1の搭載面が径方向内方を向くので、モータユニット100の径方向サイズの増大を抑制できる。従って、側基板41が搭載する電子部品E1が収容空間Hsに収容されない構成と比べて、モータユニット100をより小型化できる。
【0051】
さらに、筒部313と一対の側壁部3141、3142との間が空間ではなくハウジング3の材料で埋められた構成と比べて、ハウジング3を軽量化できるので、モータユニット100を軽量化できる。
【0052】
収容空間Hsでは、第1側壁部3141の筒部313と少なくとも径方向に対向する側面が筒部313の径方向外側面と繋がる部分において、軸方向から見て、上記の側面と筒部313の径方向外側面とが鋭角を成している。同様に、第2側壁部3142の筒部313と少なくとも径方向に対向する側面が筒部313の径方向外側面と繋がる部分において、軸方向から見て、上記の側面と筒部313の径方向外側面とが鋭角を成している。こうすれば、第1側壁部3141の上記の側面と、筒部313の径方向外側面のうちの第1側壁部3141と少なくとも径方向に対向する領域との間に、上述の収容空間Hsとなる隙間を形成できる。また、第2側壁部3142の上記の側面と、筒部313の径方向外側面のうちの第2側壁部3142と少なくとも径方向に対向する領域との間に、上述の収容空間Hsとなる隙間を形成できる。
【0053】
<1-1-2-2.下ハウジング>
次に、図1から図4を参照して、下ハウジング32の構成を説明する。図4は、上ハウジング31と下ハウジング32との接続部分の一部を拡大した図である。なお、図4は、図2の破線で囲まれた部分Bを拡大している。
【0054】
下ハウジング32は、筒部313の下端部を覆う下蓋部である。前述の如く、ハウジング3は、下ハウジング32を有する。下ハウジング32は、底板部321と、下ベアリングホルダ322と、周壁部323と、を有する。言い換えると、ハウジング3は、底板部321と、下ベアリングホルダ322と、周壁部323と、を有する。
【0055】
底板部321は、中心軸CAから径方向外方に広がる。底板部321には、中心軸CAを囲む開口(符号省略)が設けられている。
【0056】
下ベアリングホルダ322は、筒状であり、上記の開口の縁部に沿う底板部321の径方向内端部から上方に延びる。下ベアリングホルダ322の内部には、シャフト10が軸方向に挿通されている。下ベアリングホルダ322の径方向内側面には、下ベアリングBr2が配置されている。下ベアリングホルダ322は、下ベアリングBr2を介してシャフト10の下部を回転可能に支持する。なお、下ベアリングBr2は、本実施形態ではボールベアリングである。但し、この例示に限定されず、下ベアリングBr2は、たとえばスリーブベアリングであってもよい。
【0057】
下ベアリングホルダ322は、本実施形態では、底板部321と同じ部材の異なる一部である。但し、本実施形態の例示に限定されず、下ベアリングホルダ322は、底板部321とは別体であってもよい。たとえば、下ベアリングホルダ322は、少なくとも底板部321と一体成型された別部材であってもよい。
【0058】
周壁部323は、底板部321の径方向外端部から上方に突出し、周方向に延びる。図4に示すように、周壁部323の上端は、筒部313の下端部に接続される。より具体的には、周壁部323の上端には、突壁部3231が形成されている。突壁部3231は、筒状であり、周壁部323の上端部において上方に突出する。突壁部3231は、筒部313の下端部に嵌め込まれる。
【0059】
この嵌め込み部分において、好ましくは本実施形態のように、突壁部3231は、シール部材Seを介して筒部313の下端部に嵌め込まれる。つまり、筒部313の下端部は、シール部材Seを介して下ハウジング32に接続される。シール部材Seには、たとえばシリコン系の封止材、Oリング及びXリングなどのガスケットを用いることができる。こうすれば、シール部材Seによって、筒部313の下端部と下ハウジング32との間を隙間なく接続することができる。従って、両者の接続部分での防水性及び防塵性をさらに高めることができる。但し、この例示に限定されず、上述の嵌め込み部分において、突壁部3231は、直接に筒部313の下端部に嵌め込まれてもよい。
【0060】
<1-1-3.基板>
次に、図1から図3を参照して、側基板41及び上基板42を説明する。
【0061】
<1-1-3-1.側基板>
側基板41は、筒部313の径方向外端面と径方向に対向し、側基板41は、上基板42と交わる方向に延びる。本実施形態では、側基板41は、軸方向と平行に延びる。
【0062】
側基板41は、筒部313の径方向外側面に固定されている。こうすれば、モータ1が振動しても、側基板41を安定して固定できる。
【0063】
本実施形態では、側基板41は、筒部313の径方向外側面に螺子止めされている。螺子止めによって、筒部313に側基板41をより確実に固定できる。より具体的には、側基板41は、ねじ(符号省略)を用いて、筒部313の台座部3131に螺子止めされている。つまり、筒部313は、台座部3131を有する。台座部3131は、筒部313の径方向外側面において径方向外方に突出する。台座部3131は、図1では、第1台座部31311と、第2台座部31312と、第3台座部31313と、第4台座部31314と、を含む。第1台座部31311及び第2台座部31312は、筒部313の径方向外側面の上端部において、径方向外方に突出して上方に延びる。第3台座部31313及び第4台座部31314は、筒部313の径方向外側面の下端部において、径方向外方に突出する。軸方向において、第1台座部31311及び第2台座部31312は、枠部314の上壁部3143の下面と直接に対向している。さらに、第3台座部31313及び第4台座部31314は、下壁部3144の上面と直接に対向している。また、周方向Drにおいて、第1台座部31311及び第3台座部31313は、第1側壁部3141の周方向一方端面と直接に対向している。さらに、第2台座部31312及び第4台座部31314は、第2側壁部3142の周方向他方端面と直接に対向している。側基板41は、図1では、第1台座部31311、第2台座部31312、第3台座部31313、及び第4台座部31314に螺子止めされている。
【0064】
但し、側基板41の固定手段は、この例示に限定されない。図5A及び図5Bは、側基板41の固定手段の変形例を示す。なお、図5A及び図5Bでは、筒部313は、台座部3131を有していない。
【0065】
たとえば、図5Aでは、側基板41は、突出部411を有する。突出部411は、側基板41の径方向内側面から径方向内方に突出する。筒部313の径方向外側面には、穴部3132が形成されている。穴部3132は、図5Aでは径方向内方に凹む凹部であり、筒部313の径方向外側面に形成されている。突出部411が穴部3132に嵌まることにより、側基板41は、筒部313に固定される。
【0066】
なお、図5Aの例示に限定されず、突出部が筒部313の径方向外側面に形成され、貫通孔などの穴部が側基板41に形成されてもよい。つまり、側基板41の径方向内側面及び筒部313の径方向外側面のうちの一方には、径方向に沿って一方から他方に向かって突出する突出部が設けられてもよい。さらに、側基板41の径方向内側面及び筒部313の径方向外側面のうちの他方には、径方向に沿って他方から一方に向かう穴部が設けられてもよい。上記の突出部を上記の穴部に嵌めることにより、側基板41は、筒部313の径方向外側面に固定される。たとえば、プレスフィットピンのような突出部を穴部に嵌めることで、より簡易な構成で、側基板41をハウジング3の径方向外側面に固定できる。
【0067】
また、図5Bでは、筒部313は、突出部3133と、カシメ部3134と、を有する。側基板41は、貫通孔412を有する。突出部3133は、たとえばAlなどの金属製であり、筒部313の径方向外側面に設けられ、径方向外方に突出している。貫通孔412は、側基板41に形成された穴部であり、側基板41を径方向に貫通する。カシメ部3134は、貫通孔412を突き抜けた突出部3133の径方向外端部が押し潰された部分である。つまり、側基板41の径方向外側面よりも径方向外方において、貫通孔412に挿通された突出部3133の先端部分にカシメ部3134が設けられることにより、側基板41は、ハウジング3の径方向外側面に固定されている。こうすれば、部品点数を増やすことなく、側基板41をより確実にハウジング3の径方向外側面に固定できる。
【0068】
<1-1-3-2.上基板>
上基板42は、軸方向と垂直な方向に広がり、モータ1よりも上方に配置される。上基板42は、上基板収容室Sp2に収容されている。上基板42は、上蓋部311よりも上方に配置されている。本実施形態では、上基板42は、ハウジング3の上蓋部311の上面に固定されている。こうすれば、上基板42は、上蓋部311に放熱できる。つまり、上蓋部311は、上基板42に対してヒートシンクとして機能できる。この効果は、上蓋部311が金属製である場合、特に有効である。
【0069】
また、上基板42は、上壁部3143よりも径方向内方に配置される。つまり、上基板42は、上壁部3143の径方向内側面よりも径方向内方に位置している。すなわち、軸方向から見て、上基板42は、上壁部3143と重なっていない。こうすれば、上基板42を上基板収容室Sp2に収容する際、上基板42が上壁部3143に当たり難い。従って、上基板収容室Sp2よりも上方から下方に上基板42を移動させることにより、上基板42が上壁部3143に当たることなく、上基板42を上基板収容室Sp2に収容することができる。よって、上基板42を上基板収容室Sp2に収容し易くなる。
【0070】
また、上基板42は、上カバー部72に形成された接続部(不図示)を介して、モータユニット100の外部と電気的に接続されている。こうすれば、たとえばモータユニット100の外部との接続部を側基板41の径方向外側面に設ける必要がないので、モータユニット100の径方向サイズをさらに小さくできる。
【0071】
なお、本実施形態では、上述の接続部は、上カバー部72の一部である。但し、本実施形態の例示に限定されず、接続部は、上カバー部72とは別の部材であってもよい。たとえば、接続部は、上基板42と外部とを電気的に接続する端子と、該端子を保持する樹脂製又は金属製の保持部材と、を有してもよい。端子の一方端は、上基板42、或いは該上基板42の搭載部品と電気的に接続される。端子の他方端は、モータユニット100の外部に露出し、モータユニット100の外部と電気的に接続可能である。保持部材は、上カバー部72に形成された接続孔部に取り付けられ、該接続孔部を塞ぐ。たとえば、保持部材は、上ハウジング31に上カバー部72が取り付けられた後に、接続孔部に嵌められる。好ましくは、保持部材は、シール部材を介して接続孔部に嵌められる。
【0072】
<1-1-3-3.基板の搭載部品>
モータユニット100は、図2に示すように、検出部Srと、制御装置Ecと、駆動回路Edと、電子部品E1、E2と、を備える。
【0073】
検出部Srは、モータ1が有するロータ11の回転角度位置を検出するセンサである。本実施形態では、検出部Srは、上基板42に搭載され、コネクタ部6を介して、回転角度位置の検出結果を制御装置Ecに伝達する。但し、本実施形態の例示に限定されず、検出部Srは、側基板41に搭載されてもよい。好ましくは本実施形態のように、検出部Srは、駆動回路Edが搭載された基板に搭載される。
【0074】
制御装置Ecは、モータ1の駆動を制御する。本実施形態では、モータ1の駆動を制御する制御装置Ecは、側基板41に搭載されている。側基板41にマイコンのような制御装置Ecが搭載されることにより、制御装置Ecからハウジング3の筒部313に放熱できる。この効果は、筒部313が金属製である場合、特に有効である。また、制御装置Ecが上基板42に搭載される構成と比べて、上基板42の大型化を抑制できる。
【0075】
制御装置Ecは、コネクタ部6を介して、上基板42に搭載された後述する駆動回路Edと電気的に接続されている。たとえば、制御装置Ecは、検出部Srからコネクタ部6を介して伝達された回転角度位置の検出結果に基づいてモータ1の駆動指示を演算し、コネクタ部6を介して該駆動指示を駆動回路Edに伝達する。このように、本実施形態では、上基板42の検出部Srから側基板41の制御装置Ecへの回転角度位置の検出結果の伝達と、側基板41の制御装置Ecから上基板42の駆動回路Edへの駆動指示の伝達とを1個のコネクタ部6で実施できる。各々の伝達を別個の部材で実施する構成と比べて、部品点数が少ないので、側基板41と上基板42との接続工程での作業性が向上する。
【0076】
駆動回路Edは、ステータ12に駆動電流を供給することにより、モータ1を駆動する。上基板42には、モータ1の駆動回路Edが搭載されている。駆動回路Edは、側基板41に搭載された制御装置Ecにより制御される。たとえば、駆動回路Edは、コネクタ部6を介して制御装置Ecから伝達された駆動指示に基づいて、モータ1を駆動する。制御装置Ecを搭載する側基板41とは別の上基板42にモータ1の駆動回路Edを搭載することにより、駆動回路Edで発生する電磁ノイズの影響を制御装置Ecが受け難くなる。従って、制御装置Ecは、より正確に動作できる。
【0077】
なお、上述の例示に限定されず、制御装置Ecは上基板42に搭載されてもよい。及び/又は、駆動回路Edは側基板41に搭載されてもよい。好ましくは、側基板41及び上基板42のうち一方には、モータ1の駆動回路Edが搭載されていればよい。さらに、側基板41及び上基板42のうちの他方には、駆動回路Edを制御する制御装置Ecが搭載されていればよい。こうすれば、モータ1の駆動回路Edを搭載する一方の基板とは別の他方の基板に制御装置Ecを搭載することにより、駆動回路Edで発生する電磁ノイズの影響を制御装置Ecが受け難くなる。従って、制御装置Ecがより正確に動作できる。
【0078】
電子部品E1は、側基板41に搭載されている。電子部品E1は、長手方向を有する形状であり、側基板41の径方向内側面から径方向内方に延びる。電子部品E1の少なくとも径方向内端部は、収容空間Hsに収容されている。また、電子部品E1の径方向内端部の近傍において、筒部313の径方向外側面には接触防止用の凹部3130が配置されている。電子部品E1は、たとえば、制御装置Ecなどに一定の電圧を出力するレギュレータ、フィルムコンデンサ、電解コンデンサなどのサイズの大きな電子部品を含む。長手方向を有する電子部品E1を基板に搭載すると、側基板41の搭載面の法線方向におけるモータユニット100のサイズが大きくなりやすい。側基板41に搭載される該電子部品E1を収容空間Hsに収容することにより、モータユニット100の大型化を抑制できる。
【0079】
また、電子部品E2は、上基板42と平行な方向に長手方向を有する形状であり、上基板42に搭載された部品ホルダEhに設置されている。電子部品E2は、たとえばフィルムコンデンサ、電解コンデンサなどのサイズの大きい電子部品であり、部品ホルダEhを介して上基板42と電気的に接続されている。
【0080】
電子部品E2を部品ホルダEhに設置することにより、たとえば自重によって移動した電子部品E2が上基板42と接触することを抑制できる。たとえば、電解コンデンサを横向きにして、上基板42に直接搭載すると、自重によって次第に下方に倒れていく虞があるので、上基板42に直接に接触する可能性がある。電子部品E2を部品ホルダEhに設置すれば、このような接触を回避できる。なお、電子部品E2は接着剤を用いて部品ホルダEhに固定されてもよい。こうすれば、電子部品E2の移動をより効果的に抑制できるので、上述のような接触をより確実に回避できる。
【0081】
部品ホルダEhは、本実施形態では樹脂製である。上述の部品ホルダEhは、上カバー部72の接続部と上基板とを電気的に接続する導電部材(符号省略)、及び、複数の電子部品E2同士を電気的に接続する電子部品用バスバー(符号省略)と一体成型されている。つまり、上記の導電部材及び電子部品用バスバーは、部品ホルダEhにより固定されている。
【0082】
こうすれば、部品ホルダEhを上基板42に搭載することで、導電部材及び電子部品用バスバーをより正確に位置決めできる。従って、導電部材及び電子部品用バスバーの電気的な接続をより確実に実施できるとともに、その接続作業がし易くなる。さらに、導電部材及び電子部品用バスバーが意図しない部材に接触する虞を回避できる。
【0083】
また、導電部材及び電子部品用バスバーが樹脂でモールドされているため、上記の導電部材と電子部品E2又は電子部品用バスバーとの間の短絡などを回避できる。
【0084】
本実施形態では、上述の如く、側基板41及び上基板42の両方に、長手方向を有する電子部品E1、E2が搭載されている。但し、この例示に限定されず、側基板41及び上基板42の一方に、長手方向を有する電子部品が搭載されてもよい。つまり、側基板41及び上基板42のうちの少なくとも一方の基板には、長手方向を有する電子部品が搭載されていればよい。
【0085】
好ましくは、電子部品E1、E2の長手方向は、該電子部品E1、E2が搭載される上記一方の基板が広がる方向と平行である。こうすれば、たとえば、長手方向を有する電子部品が側基板41に搭載されても、側基板41の配置に要するスペースの径方向サイズの増大を抑制できる。また、長手方向を有する電子部品E1、E2が軸方向と垂直な方向に広がる上基板42に搭載されても、上基板42の配置に要するスペースの軸方向サイズの増大を抑制できる。従って、モータユニット100の大型化を抑制できる。
【0086】
<1-1-4.コネクタ>
次に、図1から図3を参照して、コネクタ部6を説明する。コネクタ部6は、上基板42と側基板41とを電気的に接続する。より具体的には、コネクタ部6は、上基板42に形成された配線パターンと側基板41に形成された配線パターンとを電気的に接続する。たとえば、上基板42に搭載された検出部Sr及び駆動回路Edは、1個のコネクタ部6を介して制御装置Ecと電気的に接続される。本実施形態では、コネクタ部6は、側基板41から上基板42への信号伝達と、上基板42から側基板41への信号伝達とを実施する。但し、この例示に限定されず、コネクタ部6は、複数であってもよい。たとえば、モータユニット100には、側基板41から上基板42への信号伝達を実施するコネクタ部と、上基板42から側基板41への信号伝達を実施するコネクタ部とが別個に配置されていてもよい。或いは、複数のコネクタ部6がそれぞれ、双方向の信号伝達を行ってもよい。
【0087】
軸方向から見て、コネクタ部6は、ハウジング3と重なる。好ましくは、軸方向から見て、コネクタ部6の全てがハウジング3と重なる。こうすれば、軸方向から見て、コネクタ部6の全てがハウジング3の外側にある構成と比べて、モータユニット100の径方向サイズをより小さくできる。従って、モータユニット100をより小型化できる。
【0088】
さらに、軸方向から見て、コネクタ部6の一部は、筒部313と重なる。こうすれば、コネクタ部6が筒部313よりも径方向外方に配置される構成と比べて、モータユニット100の径方向サイズをより小さくできる。
【0089】
また、ハウジング3の内部において、上基板42は、コネクタ部6と電気的に接続される。こうすれば、ハウジング3の外部で上基板42がコネクタ部6と電気的に接続される構成と比べて、モータユニット100を小型化できる。
【0090】
また、コネクタ部6は、上蓋部311に形成された通路空間Sp3に収容されている。こうすれば、通路空間Sp3を通じて、コネクタ部6で側基板41及び上基板42を電気的に接続できる。従って、上蓋部311よりも上方にコネクタ部6が配置される構成と比べて、モータユニット100の軸方向サイズをより小型化できる。
【0091】
また、コネクタ部6は、上基板42よりも軸方向におけるモータ1側に配置されている。こうすれば、たとえば、上基板42の下面にコネクタ部6を接続できる。従って、モータユニット100の軸方向サイズをより小さくできる。
【0092】
次に、コネクタ部6は、コネクタ61と、コネクタ62とを有する。コネクタ61は、側基板41に搭載され、側基板41の配線パターンと電気的に接続されている。コネクタ62は、上基板42に搭載され、上基板42の配線パターンと電気的に接続されている。
【0093】
本実施形態では、コネクタ61及びコネクタ62は、径方向に対向し、互いに電気的に接続される。この場合、たとえば、上基板42をハウジング3に取り付けた後に、側基板41を径方向に移動させて、ハウジング3に取り付ける。この取り付けの際にコネクタ61及びコネクタ62が径方向に対向することにより、側基板41の移動とともに、コネクタ61をコネクタ62と電気的に接続できる。つまり、側基板41の取り付けとは別に、コネクタ61及びコネクタ62の電気的な接続を実施する必要がない。従って、モータユニット100の組み立て工程の数を減らすことができる。よって、モータユニット100の生産性を向上できる。
【0094】
より具体的には、コネクタ61は、径方向外方に凹む雌端子(図示省略)を有する。コネクタ62は、径方向外方に突出する雄端子(図示省略)を有する。或いは、コネクタ61が径方向内方に突出する雄端子を有するとともに、コネクタ62が径方向内方に凹む雌端子を有していてもよい。雄端子及び雌端子を径方向に対向させた状態で側基板41を径方向内方に移動させてハウジング3に取り付けることにより、雄端子が雌端子に嵌まる。これにより、コネクタ61とコネクタ62とが導通し、側基板41と上基板42とが電気的に接続される。
【0095】
なお、本実施形態の例示に限定されず、コネクタ61及びコネクタ62は、軸方向に対向して、互いに電気的に接続されてもよい。この場合、たとえば、側基板41をハウジング3に取り付けた後に、上基板42を軸方向に移動させて、ハウジング3に取り付ける。この取り付けの際にコネクタ61及びコネクタ62が軸方向に対向することにより、上基板42の移動とともに、コネクタ61をコネクタ62と電気的に接続できる。つまり、上基板42の取り付けとは別に、コネクタ61及びコネクタ62の電気的な接続を実施する必要がない。従って、モータユニット100の組み立て工程の数を減らすことができる。よって、モータユニット100の生産性を向上できる。
【0096】
より具体的には、コネクタ61が下方に凹む雌端子を有し、コネクタ62が下方に突出する雄端子を有していてもよい。或いは、コネクタ61が上方に突出する雄端子を有し、コネクタ62が上方に凹む雌端子を有していてもよい。雄端子及び雌端子を軸方向に対向させた状態で上基板42を下方に移動させてハウジング3に取り付けることにより、雄端子が雌端子に嵌まる。これにより、コネクタ61とコネクタ62とが導通し、側基板41と上基板42とが電気的に接続される。
【0097】
<1-1-5.カバー部材>
次に、図1から図3を参照して、カバー部材7を説明する。カバー部材7は、側基板41の径方向外端面を覆うサイドカバー部71と、上基板42の上面を覆う上カバー部72と、を有する。径方向から見たサイドカバー部71の外縁部は、シール部材712を介してハウジング3に接している。また、軸方向から見た上カバー部72の外縁部は、シール部材722を介してハウジング3に接している。
【0098】
側基板41を筒部313の径方向外端面と径方向に対向させるとともに、軸方向と垂直に広がる上基板42をモータ1よりも上方に配置する場合、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部がハウジング3と径方向に接する部分と、軸方向から見た上カバー部72の外縁部がハウジング3と軸方向に接する部分との両方の防水性及び防塵性を考慮する必要がある。上述のように、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部と、軸方向から見た上カバー部72の外縁部とをシール部材712、722を介してハウジング3に隙間なく接触させることにより、カバー部材7とハウジング3との接触部分における防水性及び防塵性をさらに高め、側基板41及び上基板42を水、塵埃などから保護することができる。
【0099】
<1-1-5-1.サイドカバー>
サイドカバー部71は、図3に示すように軸方向から見て、中心軸CAからサイドカバー部71の中央部に向かう方向と交わる方向に広がる。サイドカバー部71は、枠部314の径方向外端部に取り付けられる。より具体的には、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部は、第1側壁部3141の径方向外端部と、第2側壁部3142の径方向外端部と、上壁部3143の径方向外端部と、下壁部3144の径方向外端部と、に接する。こうすれば、枠部314及びサイドカバー部71で囲まれた側基板収容室Sp1内に側基板41を収容できる。さらに、枠部314及びサイドカバー部71により、側基板収容室Sp1内に収容された側基板41をハウジング3の外部の水、塵埃などから保護できる。
【0100】
本実施形態では、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部は、シール部材712を介して枠部314の径方向外端部に接している。なお、シール部材712には、たとえば、シリコン系の封止材、Oリング及びXリングなどのガスケットを用いることができる。こうすれば、枠部314の内側をサイドカバー部71で閉じることができる。従って、筒部313、枠部314、及びサイドカバー部71で囲まれた側基板収容室Sp1に配置される側基板41をサイドカバー部71で保護できる。
【0101】
径方向から見たサイドカバー部71の外縁部には、凹部711が形成されている。凹部711は、該外縁部から径方向外方に凹み、該外縁部に沿って延びる。凹部711には、枠部314の凸部3140が嵌まる。凹部711は、本実施形態では、径方向から見て、全ての該外縁部に渡って形成された閉曲線形状である。但し、この例示に限定されず、凹部711及び凸部3140は、径方向から見て閉曲線形状でなくてもよい。たとえば、凹部711は、該外縁部の一部に形成されてもいてもよい。さらに、枠部314の径方向外端部のうちの一部に形成されていてもよい。
【0102】
好ましくは、凸部3140は、シール部材712を介して凹部711に嵌まる。さらに好ましくは、凸部3140及び凹部711間には、径方向から見たサイドカバー部71の全ての外縁部に渡って、シール部材712が配置される。こうすれば、サイドカバー部71と枠部314の径方向外端部との接続部分をシール部材712で封止できる。従って、該接続部分における水、塵埃などの進入をより効果的に抑制できる。よって、枠部314及びサイドカバー部71で囲まれた側基板収容室Sp1内に配置される側基板41を、上ハウジング31及びサイドカバー部71の外部からの水、塵埃などから保護できる。
【0103】
なお、本実施形態の例示に限定されず、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部には、径方向内方に突出する凸部が配置されてもよい。この場合、ハウジング3の枠部314には、径方向内方に凹んで上記の凸部が嵌まる凹部が配置される。つまり、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部とハウジング3とのうちの一方には、一方から他方に向かって突出する第1凸部が配置されていればよい。さらに、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部とハウジング3とのうちの他方には、一方から他方に向かって凹む第1凹部が配置されていればよい。なお、上記の第1凹部には、上記の第1凸部が嵌まる。そして、好ましくは、上記の第1凸部と上記の第1凹部との間には、シール部材712が配置されていればよい。こうすれば、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部とハウジング3との間に、第1凸部が第1凹部内に嵌まったラビリンス構造を形成できる。さらに、該ラビリンス構造をシール部材712で密閉できる。従って、該ラビリンス構造における防水性及び防塵性をより高めることができる。
【0104】
或いは、上述の第1凸部は配置されなくてもよい。たとえば図2において、凹部711は配置される一方で、凸部3140は配置されなくてもよい。この場合、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部は、凹部711に一部が収容されたシール部材712を介して枠部314の径方向外端部に接する。このようにしても、サイドカバー部71により、側基板収容室Sp1内に収容された側基板41を保護できる。
【0105】
また、サイドカバー部71は、隆起部315よりも下方にあり、筒部313の下端部よりも上方にある。こうすれば、隆起部及び筒部を含む一体構造の上ハウジング31にサイドカバー部71を取り付けできるので、サイドカバー部71によるシール構造を容易に形成できる。
【0106】
また、好ましくは、径方向から見たサイドカバー部71の外縁部とハウジング3との接触部分は、隆起部315の径方向外端部と同じ径方向位置、又は、隆起部315の径方向外端部よりも径方向内方に配置される。こうすれば、上記の接触部分がサイドカバー部71の上端部を保護する隆起部315の径方向外端部から径方向外方にはみ出ることを抑制できる。従って、側基板41をサイドカバー部71で覆っても、モータユニット100の径方向サイズの大型化を抑制できる。
【0107】
さらに好ましくは、サイドカバー部71の径方向外端部は、隆起部315の径方向外端部と同じ径方向位置、又は、隆起部315の径方向外端部よりも径方向内方に配置される。こうすれば、サイドカバー部71が隆起部315の径方向外端部から径方向外方にはみ出ることを抑制できる。従って、モータユニット100の径方向サイズの大型化をさらに抑制できる。
【0108】
なお、より好ましくは、サイドカバー部71の径方向外端部は、隆起部315の径方向外端部と同じ径方向位置に配置される。こうすれば、隆起部315でサイドカバー部71の上端部を保護しつつ、隆起部315の径方向サイズの増大を抑えることができる。従って、モータユニット100の径方向サイズの増大をさらに効果的に抑制できる。
【0109】
サイドカバー部71の第1方向D1における幅は、好ましくは、隆起部315の第1方向D1における幅以下である。
【0110】
たとえば、サイドカバー部71の第1方向D1における一方端部は、第1方向D1において、隆起部315の第1方向D1における一方端部と同じ位置であってよい。或いは、サイドカバー部71の第1方向D1における一方端部は、隆起部315の第1方向D1における一方端部よりも、隆起部315の第1方向D1における他方側にあってもよい。
【0111】
さらに、サイドカバー部71の第1方向D1における他方端部は、第1方向D1において、隆起部315の第1方向D1における他方端部と同じ位置であってよい。或いは、サイドカバー部71の第1方向D1における他方端部は、隆起部315の第1方向D1における他方端部よりも、隆起部315の第1方向D1における一方側にあってもよい。
【0112】
こうすれば、隆起部315よりも下方に位置する枠部314及びサイドカバー部71の接続部分の上部を隆起部315で保護できる。但し、この例示に限定されず、サイドカバー部71の第1方向D1における幅は、隆起部315の第1方向D1における幅以下でなくてもよい。
【0113】
また、好ましくは図3に示すように、径方向から見て、軸方向及び径方向の両方と垂直な方向におけるサイドカバー部71の第1幅W1は、該方向における筒部313の第2幅W2以下である。なお、たとえば、第1幅W1は、第1方向D1におけるサイドカバー部71の幅である。第2幅W2は、第1方向D1における筒部313の幅であり、言い換えると、筒部313の直径である。こうすれば、第1幅W1が第2幅W2よりも広い構成と比べて、上記の方向において、サイドカバー部71の両端部が筒部313よりも外側に張り出ない。従って、モータユニット100の径方向サイズをより小さくできる。さらに、サイドカバー部71(特に上記の両端部)が外部の物体と当たって衝撃を受ける可能性をより低減できる。
【0114】
<1-1-5-2.上カバー>
次に、図1から図3を参照して、上カバー部72を説明する。上カバー部72は、本実施形態では有蓋筒状であり、上ハウジング31の上端部において上開口Opを覆う。こうすれば、上基板収容室Sp2を上カバー部72で閉じることができる。従って、上基板収容室Sp2に配置された上基板42を上カバー部72で保護できる。
【0115】
本実施形態では、軸方向から見た上カバー部72の外縁部は、シール部材722を介して上ハウジング31に接している。より具体的には、軸方向から見た上カバー部72の外縁部は、シール部材722を介して、周壁部316の上端部と、上壁部3143の上端部とに接する。なお、シール部材722には、たとえば、シリコン系の封止材、Oリング及びXリングなどのガスケットを用いることができる。こうすれば、上カバー部72により、上基板収容室Sp2内に収容された上基板42をハウジング3の外部の水、塵埃などから保護できる。
【0116】
軸方向から見た上カバー部72の外縁部には、凸部721が形成されている。凸部721は、該外縁部から下方に突出し、該外縁部に沿って延びる。凸部721の一部は、上ハウジング31の上端部に形成された溝部Grに嵌まっている。
【0117】
凸部721及び溝部Grは、本実施形態では、軸方向から見て、全ての該外縁部に渡って形成された閉曲線形状である。但し、この例示に限定されず、凸部721及び溝部Grは、径方向から見て閉曲線形状でなくてもよい。たとえば、凸部721は、該外縁部の一部に形成されてもいてもよい。さらに、溝部Grは、周壁部316の上端部及び上壁部3143の上端部のうちの一部に形成されていてもよい。
【0118】
好ましくは、凸部721は、シール部材722を介して溝部Grに嵌まる。さらに好ましくは、凸部721及び溝部Gr間には、上カバー部72の全ての下端部に渡って、シール部材722が配置される。こうすれば、上カバー部72と周壁部316の上端部及び上壁部3143との接続部分をシール部材722で封止できる。従って、該接続部分における水、塵埃などの進入をより効果的に抑制できる。従って、上基板収容室Sp2及び上カバー部72の内側に配置された上基板42、及び、該上基板42に搭載された電子部品E2などを、よって、上基板収容室Sp2内に配置される上基板42を、上ハウジング31及び上カバー部72の外部からの水、塵埃などから保護できる。
【0119】
なお、本実施形態の例示に限定されず、軸方向から見た上カバー部72の外縁部には、上方に凹む凹部が配置されてもよい。この場合、ハウジング3の周壁部316の上面、及び上壁部3143の上面には、それぞれ、上方に突出して上記の凹部に嵌まる凸部が配置される。つまり、軸方向から見た上カバー部72の外縁部とハウジング3とのうちの一方には、一方から他方に向かって突出する第2凸部が配置されていればよい。さらに、軸方向から見た上カバー部72の外縁部とハウジングとのうちの他方には、一方から他方に向かって凹む第2凹部が配置されていればよい。なお、上記の第2凹部には、上記の第2凸部が嵌まる。そして、好ましくは、上記の第2凸部と上記の第2凹部との間には、シール部材722が配置される。こうすれば、軸方向から見た上カバー部72の外縁部とハウジング3との間に第2凸部が第2凹部内に嵌まったラビリンス構造を形成できる。さらに、該ラビリンス構造をシール部材722で密閉できる。従って、該ラビリンス構造における防水性及び防塵性をより高めることができる。
【0120】
或いは、上述の第2凸部は配置されなくてもよい。たとえば図2において、溝部Grは配置される一方で、凸部721は上カバー部72に配置されなくてもよい。この場合、軸方向から見た上カバー部72の外縁部は、溝部Grに一部が収容されたシール部材722を介して、上ハウジング31に接する。このようにしても、上カバー部72により、上基板収容室Sp2内に収容された上基板42を保護できる。
【0121】
<1-2.モータユニットの変形例>
次に、モータユニットの第1~第2変形例を説明する。以下では、上述の実施形態と異なる構成について説明する。また、上述の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0122】
<1-2-1.第1変形例>
図6は、径方向から見た第1変形例に係るモータユニット100の断面図である。第1変形例では、図6に示すように、モータユニット100には、隆起部315を含む上壁部3143が配置されない。つまり、枠部314は、第1側壁部3141、第2側壁部3142、及び下壁部3144を有するが、上壁部3143を有さない。そのため、上ハウジング31において、側基板収容室Sp1は上基板収容室Sp2と直接に繋がっている。
【0123】
さらに、第1変形例に係るモータユニット100は、上述の実施形態のサイドカバー部71及び上カバー部72に代えて、カバー部材73を有する。カバー部材73は、枠部314の径方向外端部及び上端部と周壁部316の上端部とに取り付けられる。カバー部材73は、側基板41の径方向外側面と、上基板42の上面と、上基板42に搭載された電子部品E2などを覆う。
【0124】
こうすれば、カバー部材73を上ハウジング31に取り付けることで、枠部314の内部と上基板収容室Sp2とをともにカバー部材73で閉じることができる。従って、側基板41、上基板42、及び上基板42に搭載された電子部品E2などをカバー部材73で保護できる。さらに、実施形態のサイドカバー部71及び上カバー部72のような部材をそれぞれ個別に取り付ける工程を簡略化できるので、モータユニット100の生産性を向上できる。
【0125】
カバー部材73は、サイドカバー部731と、上カバー部732と、を有する。サイドカバー部731は、上カバー部732の径方向外端部から下方に延びる板状であり、側基板41の径方向外側面を覆う。サイドカバー部731は、第1側壁部3141、第2側壁部3142、及び下壁部3144とともに側基板収容室Sp1を囲っている。上カバー部732は、軸方向と垂直な方向に広がる板状であり、上開口Op及び上基板42の上面を覆う。
【0126】
径方向から見たサイドカバー部731の外縁部は、枠部314の径方向外端部と接している。径方向から見たサイドカバー部71の外縁部には、凸部7310が形成されている。凸部7310は、該外縁部から径方向外方に突出し、該外縁部に沿って延びる。
【0127】
軸方向から見た上カバー部732の外縁部は、周壁部316の径方向外端部と枠部324の一対の側壁部3141、3142の上端部と接している。また、軸方向から見た上カバー部72の外縁部には、凸部7320が形成されている。凸部7320は、該外縁部から下方に突出し、該外縁部に沿って延びる。
【0128】
凸部7320の一方端部は凸部7310の一方端部に繋がり、凸部7320の他方端部は凸部7310の他方端部に繋がっている。凸部7320及び凸部7310は、本実施形態では、カバー部材73の全ての外縁部に渡って形成された閉曲線形状の凸部Prを形成している。
【0129】
一方、上ハウジング31では、周壁部316の上端部に形成された凹部3160と、一対の側壁部3141、3142の上端部に形成された凹部(図示省略)と、一対の側壁部3141、3142の径方向外端部及び下壁部3144の径方向外端部に形成された凹部3145と、が繋がって、閉曲線形状の溝部Graを形成している。
【0130】
凸部Prが溝部Graに嵌まる。好ましくは図6に示すように、凸部Prは、シール部材733を介して溝部Graに嵌まる。なお、シール部材733には、たとえば、シリコン系の封止材、Oリング及びXリングなどのガスケットを用いることができる。さらに好ましくは、凸部Pr及び溝部Gra間には、カバー部材73の全ての外縁部に渡って、シール部材733が配置される。こうすれば、カバー部材73と上ハウジング31との接続部分をシール部材733で封止できる。従って、該接続部分における水、塵埃などの進入を抑制できる。
【0131】
なお、本実施形態の例示に限定されず、カバー部材73側に溝部Graが形成され、上ハウジング31側に凸部Prが形成されてもよい。
【0132】
或いは、上述の凸部Prは配置されなくてもよい。たとえば図6において、溝部Graは配置される一方で、凸部Prは上カバー部72に配置されなくてもよい。この場合、軸方向から見た上カバー部72の外縁部は、溝部Graに一部が収容されたシール部材733を介して、上ハウジング31に接する。このようにしても、上カバー部72により、上基板収容室Sp2内に収容された上基板42を保護できる。
【0133】
<1-2-2.第2変形例>
次に、第2変形例を説明する。図7は、径方向から見た第2変形例に係るモータユニット100の断面図である。
【0134】
第2変形例では、側基板41は、接着剤を用いて、サイドカバー部71の径方向内側面に固定される。但し、側基板41の固定手段は、この例示に限定されない。たとえば、図5A又は図5Bと同様の手段が用いられてもよい。
【0135】
<2.その他>
以上、本発明の実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、互いに交わる方向に延びる板状の基板がモータの上方側と径方向外方側に配置されるモータユニットに有用である。
【符号の説明】
【0137】
100・・・モータユニット、1・・・モータ、10・・・シャフト、11・・・ロータ、111・・・ロータコア、121・・・マグネット、12・・・ステータ、121・・・ステータコア、122・・・インシュレータ、123・・・コイル部、124・・・バスバー、3・・・ハウジング、31・・・上ハウジング、311・・・上蓋部、312・・・上ベアリングホルダ、313・・・筒部、3130・・・凹部、3131・・・台座部、31311・・・第1台座部、31312・・・第2台座部、31313・・・第3台座部、31314・・・第4台座部、3132・・・穴部、3133・・・突出部、3134・・・カシメ部、314・・・枠部、3140・・・凸部、3141・・・第1側壁部、3142・・・第2側壁部、3143・・・上壁部、3144・・・下壁部、3145,3146・・・凹部、315・・・隆起部、316・・・周壁部、3160・・・凹部、32・・・下ハウジング、321・・・下蓋部、322・・・下ベアリングホルダ、323・・・周壁部、41・・・側基板、411・・・突出部、412・・・貫通孔、42・・・上基板、6・・・コネクタ部、61,62・・・コネクタ、7・・・カバー部材、71・・・サイドカバー部、711・・・凹部、712・・・シール部材、72・・・上カバー部、721・・・凸部、722・・・シール部材、73・・・カバー部材、730・・・凸部、731・・・サイドカバー部、7310・・・凸部、732・・・上カバー部、7320・・・凸部、733・・・シール部材、CA・・・中心軸、Br1・・・上ベアリング、Br2・・・下ベアリング、Ed・・・駆動回路、Ec・・・制御装置、E1,E2・・・電子部品、Eh・・・部品ホルダ、Sr・・・検出部、Gr・・・溝部、Se・・・シール部材、Hs1,Hs2・・・収容空間、Sp1・・・側基板収容室、Sp2・・・上基板収容室、Sp3・・・通路空間、Op・・・上開口
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7