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  • 特許-車載用電子機器ユニットの支持構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車載用電子機器ユニットの支持構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240827BHJP
   B60K 1/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B60R16/02 610J
B60K1/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022031389
(22)【出願日】2022-03-02
(65)【公開番号】P2023127612
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 順平
(72)【発明者】
【氏名】是石 智正
(72)【発明者】
【氏名】竹田 英生
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-121825(JP,A)
【文献】特開2012-206631(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016213585(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/00-11/04
16/02
16/04
B60K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器及び当該電子機器を収容する箱体であるケーシングを備える車載用電子機器ユニットの支持構造であって、
前記ケーシングの底壁を支持する底部ブラケットと、
後端が前記ケーシングの前壁と当接され、前記前壁から車両前方に延設される支持棒材と、
前記支持棒材の前方部分を支持する前部ブラケットと、
を備え、
前記前部ブラケットは、
前記支持棒材の車幅方向側方において車体に固定されるフランジと、
前記フランジに一端が接続され、前記支持棒材の前記車幅方向側方から前記支持棒材の上面を跨いで前記車幅方向側方の対向側方まで延設されその端部が自由端となる鉤部と、
を備える、車載用電子機器ユニットの支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の、車載用電子機器ユニットの支持構造であって、
前記前部ブラケットは一対設けられ、
一対の前記前部ブラケットの前記フランジは、前記支持棒材を挟んで対向配置される、
車載用電子機器ユニットの支持構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の、車載用電子機器ユニットの支持構造であって、
前記前部ブラケットの前記鉤部と前記支持棒材には、両者を接合する接合点が設けられる、
車載用電子機器ユニットの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、車載用電子機器ユニットの支持構造が開示される。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1では、電子機器ユニットとして、自動運転キット(ADK、Autonomous Driving Kit)が車両に搭載される。例えば自動運転キットは、レベル2、レベル3程度の自動運転が可能な車両に対して、レベル4以上の自動運転を可能とする、機能拡張用のデバイスユニットである。例えば自動運転キットのような電子機器ユニットは、電気回路が実装された基板等を含む電子機器と、当該電子機器を収容するケーシングを備える。
【0003】
また特許文献2では、車載電子機器として、バッテリ制御ユニットが車両に搭載される。バッテリ制御ユニットは、電気回路が実装された基板と、基板を収容する筐体(ケーシング)を備える。バッテリ制御ユニットは板面上に載置される。この板面と、バッテリ制御ユニットの筐体の側面とに当接するL字の固定板(ブラケット)を介して、バッテリ制御ユニットは板面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-123144号公報
【文献】特開2008-301677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ブラケット等の支持部材を用いて電子機器ユニットを車体に支持させる際に、例えば電子機器ユニットのケーシングの前壁にブラケットが取り付けられる場合がある。このような支持構造において、車両の前面衝突(前突)時に電子機器ユニットが前方に倒れるように付勢され、その一方で車体に締結されたブラケットの位置が維持される(踏ん張る)と、ブラケットによりケーシングの前壁が破断され、ケーシング内部の電子機器の損傷に繋がるおそれがある。
【0006】
そこで本明細書では、電子機器ユニットのケーシングの前壁が支持部材に支持されるような支持構造において、車両前突時に、支持部材から電子機器を保護可能な、車載用電子機器ユニットの支持構造が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、車載用電子機器ユニットの支持構造が開示される。電子機器ユニットは、電子機器及び当該電子機器を収容する箱体であるケーシングを備える。この支持構造は、底部ブラケット、支持棒材、及び前部ブラケットを備える。底部ブラケットは、ケーシングの底壁を支持する。支持棒材は、後端がケーシングの前壁と当接され、前壁から車両前方に延設される。前部ブラケットは、支持棒材の前方部分を支持する。前部ブラケットは、フランジ及び鉤部を備える。フランジは、支持棒材の車幅方向側方において車体に固定される。鉤部は、フランジに一端が接続され、支持棒材の車幅方向側方から支持棒材の上面を跨いで車幅方向側方の対向側方まで延設されその端部が自由端となる。
【0008】
上記構成によれば、ケーシングの底壁が底部ブラケットに支持されているため、車両の前突時には電子機器ユニットが前のめりに傾く。この前傾動に伴って支持棒材の後端が下方に付勢され、それによって支持棒材の前方部分は上方に付勢される。このとき、支持棒材の前方部分により前部ブラケットの鉤部が展開して、その結果、前部ブラケットから支持棒材が離脱可能となる。このように電子機器ユニットの前傾動に追従して支持棒材が前部ブラケットから開放されるので、支持棒材による電子機器ユニットの損傷が抑制される。
【0009】
また上記構成において、前部ブラケットは一対設けられてよい。この場合、一対の前部ブラケットのフランジは、支持棒材を挟んで対向配置される。
【0010】
上記構成によれば、支持棒材が両サイドから車体に支持可能となる。
【0011】
また上記構成において、前部ブラケットの鉤部と支持棒材には、両者を接合する接合点が設けられてよい。
【0012】
車両の前突時に電子機器ユニットが前傾動することで、支持棒材は前方方向にも付勢される。このとき、接合点にせん断荷重が掛かることで接合点が破断して、支持棒材は棒材ブラケットに対して前後方向に移動可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書で開示される車載用電子機器ユニットの支持構造によれば、電子機器ユニットのケーシングの前壁が支持部材に支持されるような支持構造において、車両前突時に、支持部材から電子機器を保護可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る車載用電子機器ユニットおよびその支持構造を例示する斜視図である。
図2図1のA-A断面を例示する側面断面図である。
図3】前部ブラケット周辺の構造を例示する拡大斜視図である。
図4】車両前突時の電子機器ユニットおよびその支持構造の挙動を説明する図(1/4)である。
図5】車両前突時の電子機器ユニットおよびその支持構造の挙動を説明する図(2/4)である。
図6】車両前突時の電子機器ユニットおよびその支持構造の挙動を説明する図(3/4)である。
図7】車両前突時の電子機器ユニットおよびその支持構造の挙動を説明する図(4/4)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、実施形態に係る車載用電子機器ユニットの支持構造が図面を用いて説明される。以下で説明する形状、材料、個数、及び数値は、説明のための例示であって、電子機器ユニット及び支持構造の仕様に応じて適宜変更することができる。また以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号が付される。
【0016】
また、図1図7では、各構成の位置や方向を表すために、FR軸、RW軸、及びUP軸からなる直交座標系が用いられる。FR軸は車両前方を正方向とする車両前後方向軸である。RW軸は車両右側を正方向とする車幅方向軸である。UP軸は上方を正方向とする車両上下方向軸である。
【0017】
図1には、車載用の電子機器ユニット10及びその支持構造が例示される。この支持構造は、底部ブラケット20、支持棒材30及び前部ブラケット40A,40Bを備える。
【0018】
図1には車体の一部として、クロスメンバ60A,60B,60C及びフロアパネル62が例示される。フロアパネル62は車両の床板であって、例えばアルミ板等から構成される。図1には車室内の構造が例示されるが、この図に示されるように、フロアパネル62は高さの異なる複数段に分かれた段差構造を備える。
【0019】
例えば本実施形態に係る車両はバス等の乗合車両であって、図1の後方部分(FR軸負方向部分)は乗客用のスペースであり、前方部分は運転席スペースとなっている。乗客用スペースをいわゆる低床エリアとすることで、乗降性が向上する。
【0020】
また比較的フロアパネル62の地上高が高い運転席スペースでは、フロアパネル62下方に空間が生まれる。この空間に車両の駆動系機器等の比較的大型の機器が収容可能となる。
【0021】
フロアパネル62はクロスメンバ60A,60B,60Cに支持される。クロスメンバ60A,60B,60Cはいずれも車幅方向に延設される骨格部材であって、その車幅方向両端は、例えば同じく骨格部材であるロッカ(図示せず)に接続される。
【0022】
クロスメンバ60A,60B,60Cはいずれも閉断面構造を備えており、例えばいずれも角筒部材となっている。クロスメンバ60A,60Bはフロアパネル62の段差部分(折り返し部分)に設置され、クロスメンバ60Cは乗客用スペース前方部分においてフロアパネル62下に設置される。
【0023】
図1図2を参照して、フロアパネル62上には車載用の電子機器ユニット10が設けられる。電子機器ユニット10は電子機器12及びこれを収容するケーシング14を備える。電子機器12は、電子機器ユニット10は、例えば上述した自動運転キット(ADK、AutonomousDriving Kit)であってよい。
【0024】
例えば図1に例示されるように、電子機器ユニット10は車幅方向を長手方向とする直方体形状である。また電子機器ユニット10は、車室内の乗客用スペースの前端部分に配置される。
【0025】
電子機器12は、例えば車両のレベル4以上の自動運転を可能とするための電子機器である。電子機器12には、例えば車載センサから計測値を取得して車両周辺の環境、車両の姿勢、挙動および位置を取得し、さらに駆動系や操舵系に対して指令を送るための回路が実装されている。
【0026】
ケーシング14は電子機器12を収容する箱体である。例えばケーシング14は鋼板等の所定の剛性を備えた部材から構成される。後述されるように、ケーシング14は、底部ブラケット20、支持棒材30、及び前部ブラケット40A,40Bを介して車体(クロスメンバ60A,60B,60C)に支持される。
【0027】
図1図2を参照して、底部ブラケット20はケーシング14の底壁16を支持する。底部ブラケット20は略L字形状の部材であって、フランジ22,柱部24及び座板部26を備える。また、電子機器ユニット10の寸法に応じて、底部ブラケット20は複数個設けられる。例えば図1を参照して、一対の底部ブラケット20,20が車幅方向に離隔されてフロアパネル62上に配置される。
【0028】
フランジ22はクロスメンバ60C上に設けられる。フランジ22、フロアパネル62、及びクロスメンバ60Cにそれぞれ設けられた締結孔(図示せず)が軸合わせされ、これにボルト21が螺入される。クロスメンバ60Cの内周面のうち上面には、締結孔と同軸のナット23(例えばウェルドナット)が設けられ、ボルト21と螺合される。
【0029】
なお、後述される図5のように、車両前突時には、ケーシング14の破損を防ぐために、電子機器ユニット10の前傾動に伴って、底部ブラケット20を支持するボルト21がクロスメンバ60Cから一部離脱する(抜ける)ように持ち上げられる。このとき、クロスメンバ60Cからボルト21が完全に抜け切るのを防ぐようにボルト21の軸長が定められる。例えばボルト21の軸長は、クロスメンバ60Cの内部空間の高さ寸法の半分以上となるように定められる。
【0030】
また、ケーシング14の保護のため、ボルト21の降伏耐力(降伏強さ)は、ケーシング14の底壁16における面外荷重の降伏耐力未満となるように定められる。つまり、電子機器ユニット10が前倒れするように付勢されると、ボルト21及びナット23がその前倒れを止めようとする。その反力としてケーシング14の底壁16はボルト17及びナット18から面外荷重(例えばUP軸方向の荷重)を受ける。この面外荷重が底壁16の降伏耐力を超過すると、底壁16が塑性変形する。このことから、本実施形態に係る支持構造では、底壁16に掛かる面外荷重が降伏耐力に到達する前に、ボルト21の例えばネジ山が塑性変形してナット23から抜けるようになっている。
【0031】
図2を参照して、底部ブラケット20はフランジ22から柱部24が立設される。柱部24の高さ方向寸法はクロスメンバ60Bによって形成される段差高H1と等しくなるように定められる。柱部24は例えば角筒部材であってよい。
【0032】
柱部24の上端には座板部26の後端部が接続される。座板部26は後端部から前方に延設され、クロスメンバ60B上にその前端部が位置決めされる。座板部26の前端部、フロアパネル62、及びクロスメンバ60Bには図示しない締結孔が設けられており、これらの締結孔にボルト25が螺入される。クロスメンバ60Bの内周面のうち上面には、締結孔と同軸のナット27(例えばウェルドナット)が設けられ、ボルト25と螺合される。
【0033】
底部ブラケット20の座板部26上に電子機器ユニット10が載置される。ケーシング14の底壁16及び座板部26には図示しない締結孔が設けられており、これらの締結孔にボルト17が螺入される。ケーシング14の底壁16の内面にはナット18(例えばウェルドナット)が設けられ、ボルト17と螺合される。
【0034】
ケーシング14の前壁15は支持棒材30及び前部ブラケット40A,40Bを介して車体(クロスメンバ60A)に支持される。図2を参照して、例えば支持棒材30はケーシング14の高さ寸法の中心よりやや上方において前壁15と当接される。
【0035】
支持棒材30は例えば角筒部材であって、その後端39がケーシング14の前壁15に当接される。支持棒材30は、その後端39から車両前方に延設される。支持棒材30の前端部はクロスメンバ60A上を通過してさらに前方まで延設される。
【0036】
図1図2を参照して、ケーシング14の前壁15はL字ブラケット70を介して支持棒材30に支持される。L字ブラケット70は縦板72及び横板74を備える側面視L字形状の部材である。L字ブラケット70と前壁15は例えば溶接により接合される。例えば縦板72と前壁15には両者を接合する接合点76が設けられる。
【0037】
L字ブラケット70と支持棒材30はボルト/ナット締結される。横板74及び支持棒材30の上板32には図示しない締結孔が設けられており、これらの締結孔にボルト77が螺入される。支持棒材30の上板32の内面にはナット78(例えばウェルドナット)が設けられ、ボルト77と螺合される。
【0038】
支持棒材30の前方部分は一対の前部ブラケット40A,40Bによって車体(クロスメンバ60A)に支持される。図3を参照して、前部ブラケット40A,40Bは、フランジ42A,42B及び鉤部44A,44Bを備える。
【0039】
フランジ42A,42Bは支持棒材30の車幅方向側方において車体であるクロスメンバ60Aに固定される。図2図3を参照して、例えばフランジ42A,42B及びクロスメンバ60Aには図示しない締結孔が設けられており、これらの締結孔にボルト41A,41Bが螺入される。なお図2ではボルト41A及びナット43Aは図1のA-A断面より紙面手前に配置されているため破線で示される。図2を参照して、クロスメンバ60Aの上板の内面にはナット43A,43B(例えばウェルドナット)が設けられ、ボルト41A,41Bと螺合される。
【0040】
鉤部44A,44Bはフランジ42A,42Bに一端が接続(一体固定)され、支持棒材30の車幅方向側方から支持棒材30の上面を跨いで対向側方まで延設され、さらにその端部は自由端となる。
【0041】
鉤部44A,44Bは側板46A,46B、上板45A,45B、及び側板47A,47Bを備える。側板46A,46Bはその下端がフランジ42A,42Bに接続され、支持棒材30の側板36,38に沿って上方に延設される。上板45A,45Bは支持棒材30の上板32を覆うようにして車幅方向に延設される。さらに側板47A,47Bは支持棒材30の側板38,36に沿って下方に延設され、その下端は自由端となる。例えば側板47A,47Bの高さ方向寸法は、支持棒材30の側板36,38の高さ寸法以下に定められる。
【0042】
また、鉤部44A,44Bと支持棒材30は例えば溶接により接合される。例えば鉤部44A,44Bの上板45A,45Bと支持棒材30の上板32には、両者を接合する接合点48A,48Bが設けられる。
【0043】
また、フランジ42A,42Bは、支持棒材30を挟んで対向配置される。例えばフランジ42Aは支持棒材30の車幅方向内側側方に設けられ、フランジ42Bは支持棒材30の車幅方向外側側方に設けられる。
【0044】
したがって、鉤部44Aは、フランジ42Aとの接続部を起点として車幅方向内側から外側に延設され、鉤部44Bは、フランジ42Bとの接続部を起点として車幅方向外側から内側に延設される。言い換えると、鉤部44Aは、フランジ42Aから支持棒材30の側板36、上板32、及び側板38を覆うように順に延設される。一方、鉤部44Bは、フランジ42Bから支持棒材30の側板38、上板32、及び側板36を覆うように順に延設される。
【0045】
このように、いわゆる片持ち構造の前部ブラケット40A,40Bを、互い違いにして支持棒材30に係合させることで、支持棒材30は、その車幅方向両側がクロスメンバ60A(図2参照)に支持される。
【0046】
<車両前突時の態様>
図4図7には、車両の前突(前面衝突)時の、電子機器ユニット10及びその支持構造の態様が例示される。車両の前突時に、底部が底部ブラケット20に支持されている電子機器ユニット10には前傾するような荷重が入力される。
【0047】
この荷重によりケーシング14が弾性変形すると支持棒材30が前方に付勢される。この付勢に伴って、支持棒材30と前部ブラケット40A,40Bとを接合する接合点48A,48Bにはせん断荷重が入力される。このせん断荷重により、図4に例示されるように接合点48A,48Bが破断され、支持棒材30は前部ブラケット40A,40Bに対して前後方向に相対移動可能となる。
【0048】
さらに電子機器ユニット10の前傾が進むと、底部ブラケット20のボルト21及びナット23のネジ山及びネジ溝が破壊されて、図5に例示されるように、ボルト21がナット23から抜け始める。
【0049】
さらに電子機器ユニット10の前傾が進むと、支持棒材30の後方部分が下方に付勢される。これによって図6に例示されるように、支持棒材30はクロスメンバ60Aより後方部分を屈折点100として座屈する。このとき支持棒材30の前方部分は上方に付勢される。
【0050】
支持棒材30の前方部分が上方に付勢されるのに伴い、図7に例示されるように、前部ブラケット40A,40Bの鉤部44A,44Bが展開される。例えば鉤部44A,44Bの上板45A,45B及び側板47A,47Bが上方に曲げられる。鉤部44A,44Bの展開に伴って、支持棒材30の前方部分は上方移動可能となる。
【0051】
このように、本実施形態に係る、車載用電子機器ユニットの支持構造によれば、車両の前突時に、接合点48A,48Bの破断により、支持棒材30が前後方向に移動可能となる。さらに支持棒材30によって前部ブラケット40A,40Bの鉤部44A,44Bが展開されるため、支持棒材30の上方移動が可能となる。これにより、支持棒材30の後端39に当接する電子機器ユニット10の損傷が抑制される。
【符号の説明】
【0052】
10 電子機器ユニット、12 電子機器、14 ケーシング、15 ケーシングの前壁、16 ケーシングの底壁、20 底部ブラケット、30 支持棒材 40A,40B 前部ブラケット、42A,42B フランジ、44A,44B 鉤部 48A,48B 接合点、60A-60C クロスメンバ、62 フロアパネル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7