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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車両及びその通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240827BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240827BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240827BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240827BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240827BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240827BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240827BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20240827BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240827BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240827BHJP
【FI】
B60L3/00 N
B60L1/00 L
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J13/00 301A
G16Y20/30
G16Y40/10
G16Y10/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022041478
(22)【出願日】2022-03-16
(65)【公開番号】P2023136062
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知也
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-154529(JP,A)
【文献】特開2020-102937(JP,A)
【文献】特開2015-138981(JP,A)
【文献】特開2013-185345(JP,A)
【文献】特開2007-60142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
H02J 13/00
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G16Y 20/30
G16Y 40/10
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源と電気的に接続可能な第1蓄電装置と、無線通信機と、前記無線通信機に電力を供給する第2蓄電装置と、前記無線通信機を通じて車両外部の管理装置と通信を行なう制御装置とを備える車両であって、
前記第1蓄電装置は、前記第2蓄電装置に電力を供給するように構成され、
前記制御装置は、前記無線通信機の累積通信回数を用いて設定された通信制限条件が成立するときに、前記無線通信機による無線通信を制限するように構成され、
前記外部電源と当該車両とが電気的に接続されていない場合の前記通信制限条件は、前記外部電源と当該車両とが電気的に接続されている場合の前記通信制限条件よりも成立しやすいように設定される、車両。
【請求項2】
前記第2蓄電装置のSOCが第1閾値以上であるときには、前記通信制限条件は成立しない、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記外部電源と当該車両とが電気的に接続されていない状態では、前記無線通信機の前記累積通信回数が第1上限値に達したときに前記通信制限条件が成立して、前記制御装置が前記無線通信機による無線通信を禁止する一方、前記外部電源と当該車両とが電気的に接続されている状態では、前記無線通信機の前記累積通信回数が前記第1上限値よりも大きい第2上限値に達したときに前記通信制限条件が成立して、前記制御装置が前記無線通信機による無線通信を禁止する、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記第2蓄電装置は、当該車両の走行中に充電されるように構成され、
前記制御装置は、当該車両の継続的な走行距離又は走行時間が第2閾値を超えた場合に、前記無線通信機の前記累積通信回数をリセットする、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記外部電源から供給される電力による前記第1蓄電装置の充電中に、前記第1蓄電装置が前記第2蓄電装置へ電力を供給し、
前記制御装置は、前記第1蓄電装置の継続的な充電による充電電力量又は充電継続時間が第3閾値を超えた場合に、前記無線通信機の前記累積通信回数をリセットする、請求項3又は4に記載の車両。
【請求項6】
前記無線通信機は、当該車両の状態を前記管理装置へ逐次送信するように構成され、
前記制御装置は、当該車両が前記外部電源と電気的に接続された状態で、前記第1蓄電装置の充電が行なわれることなく、前記無線通信機の前記累積通信回数が前記第1上限値よりも小さい所定回数に達すると、前記外部電源から供給される電力を用いて前記第1蓄電装置の充電を開始する、請求項3~5のいずれか一項に記載の車両。
【請求項7】
前記制御装置は、前記外部電源と前記第1蓄電装置とが電気的に接続された状態において、前記管理装置から受信した充電指示に従って前記第1蓄電装置を充電するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両。
【請求項8】
前記制御装置は、前記管理装置と通信を行なう機能を備える第1給電設備と、前記管理装置と通信を行なう機能を備えない第2給電設備とを判別可能に構成され、
前記制御装置は、前記外部電源から前記第1給電設備を介して前記車両に供給される電力を用いて前記充電指示に従う前記第1蓄電装置の充電を行なう場合には、前記第1給電設備を通じて前記管理装置と通信し、
前記制御装置は、前記外部電源から前記第2給電設備を介して前記車両に供給される電力を用いて前記充電指示に従う前記第1蓄電装置の充電を行なう場合には、前記無線通信機を通じて前記管理装置と通信する、請求項7に記載の車両。
【請求項9】
外部電源と電気的に接続可能な第1蓄電装置と、無線通信機と、前記無線通信機に電力を供給する第2蓄電装置と、前記無線通信機を通じて車両外部の管理装置と通信を行なう制御装置とを備える車両の通信制御方法であって、
前記制御装置が、前記無線通信機を通じて、前記外部電源の電力調整のための制御指令を前記管理装置から受信することと、
前記外部電源と前記車両とが電気的に接続されていない状態で、前記無線通信機の累積通信回数が第1上限値に達したときに、前記無線通信機による無線通信を禁止することと、
前記外部電源と前記車両とが電気的に接続されている状態で、前記無線通信機の前記累積通信回数が前記第1上限値よりも大きい第2上限値に達したときに、前記無線通信機による無線通信を禁止することと、
を含む、車両の通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両及びその通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の分散型エネルギーリソース(以下、「DER」とも称する)を束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者(以下、「アグリゲータ」と称する)が知られている。たとえば特開2020-156149号公報(特許文献1)には、アグリゲータが運用計画に従って電力機器を動作させる技術が開示されている。電力機器の充放電性能は環境(たとえば、温度)によって変化し得るため、特許文献1では、環境情報によって補正された電力機器の充放電性能をアグリゲータが取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-156149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両外部のサーバが車両を遠隔操作する技術が注目されている。こうした遠隔操作の技術は、外部電源の電力調整(エネルギーマネジメント)に利用できる。たとえば、無線通信機及び蓄電装置を備える車両を、サーバが無線通信により遠隔操作して、外部電源の電力調整のために上記蓄電装置の充放電制御を行なうことが考えられる。しかし、無線通信機が頻繁に使用されると、無線通信機に電力を供給する補機バッテリの蓄電残量が不足しやすくなり、いわゆる補機バッテリ上がりが発生しやすくなる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、無線通信による外部電源の電力調整を行ないやすく、かつ、無線通信機に電力を供給する蓄電装置の蓄電残量が不足しにくい車両及びその通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点に係る車両は、外部電源と電気的に接続可能な第1蓄電装置と、無線通信機と、無線通信機に電力を供給する第2蓄電装置と、無線通信機を通じて車両外部の管理装置と通信を行なう制御装置とを備える。第1蓄電装置は、第2蓄電装置に電力を供給するように構成される。制御装置は、無線通信機の累積通信回数を用いて設定された通信制限条件が成立するときに、無線通信機による無線通信を制限するように構成される。外部電源と当該車両とが電気的に接続されていない場合の通信制限条件は、外部電源と当該車両とが電気的に接続されている場合の通信制限条件よりも成立しやすいように設定される。
【0007】
上記構成によれば、通信制限条件が成立したときに無線通信機による無線通信が制限される。これにより、第2蓄電装置(たとえば、補機バッテリ)の電力消費が抑制され、第2蓄電装置の蓄電残量が不足しにくくなる。無線通信機の累積通信回数が多くなるほど、第2蓄電装置の消費電力は多くなる傾向がある。このため、無線通信機の累積通信回数を用いることで、上記通信制限条件を適切に設定しやすくなる。また、上記構成では、外部電源と車両とが電気的に接続されている場合には、外部電源と車両とが電気的に接続されていない場合よりも通信制限条件が成立しにくくなる。このため、管理装置が、無線通信により車両を遠隔操作して、外部電源の電力調整のための車両制御(すなわち、第1蓄電装置の充電制御又は放電制御)を行ないやすくなる。さらに、外部電源と車両とが電気的に接続されている場合には、第2蓄電装置は、外部電源から供給される電力を第1蓄電装置を介して受け取ることができる。
【0008】
無線通信機の累積通信回数は、上記制御装置によって更新されてもよい。上記制御装置は、無線通信機による無線通信が実行されるたびに累積通信回数をインクリメントし、所定のリセット条件が成立すると、累積通信回数を初期値(たとえば、0回)にリセットしてもよい。
【0009】
外部電源は、所定のエリアに電力を供給する電力網(たとえば、マイクログリッド、又はインフラストラクチャとして整備された大規模な電力網)であってもよい。外部電源は、スマートグリッドであってもよい。上記外部電源は、交流電力を供給してもよいし、直流電力を供給してもよい。電力調整は、周波数制御であってもよいし、需給バランス調整であってもよい。
【0010】
管理装置は、1つのコンピュータであってもよいし、相互通信可能な複数のコンピュータで構成されてもよい。車両は、上記第1蓄電装置に蓄えられた電力を用いて走行するxEV(電動車)であってもよい。xEVには、BEV(電気自動車)のほか、PHEV(プラグインハイブリッド車)及びFCEV(燃料電池車)なども含まれる。
【0011】
第2蓄電装置のSOCが第1閾値以上であるときには、上記通信制限条件が成立しなくてもよい。こうした構成では、第2蓄電装置のSOCが十分高ければ、無線通信機による無線通信が制限されない。これにより、無線通信による外部電源の電力調整を行ないやすくなる。なお、SOC(State Of Charge)は、蓄電装置の蓄電残量を示し、たとえば満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。
【0012】
外部電源と車両とが電気的に接続されていない状態では、無線通信機の累積通信回数が第1上限値に達したときに通信制限条件が成立して、制御装置が無線通信機による無線通信を禁止してもよい。その一方で、外部電源と車両とが電気的に接続されている状態では、無線通信機の累積通信回数が第1上限値よりも大きい第2上限値に達したときに通信制限条件が成立して、制御装置が無線通信機による無線通信を禁止してもよい。
【0013】
上記構成では、第1上限値が第2上限値よりも小さい。これにより、外部電源と車両とが電気的に接続されていない場合の通信制限条件が、外部電源と車両とが電気的に接続されている場合の通信制限条件よりも成立しやすくなる。また、無線通信機の累積通信回数が上限値(第1又は第2上限値)に達したときに無線通信機による無線通信が禁止されることで、第2蓄電装置の蓄電残量が不足しにくくなる。
【0014】
第2蓄電装置は車両の走行中に充電されるように構成されてもよい。制御装置は、車両の継続的な走行距離又は走行時間が第2閾値を超えた場合に、無線通信機の累積通信回数をリセットするように構成されてもよい。
【0015】
上記車両が長期間にわたって継続的に走行した場合には、第1蓄電装置から供給される電力によって第2蓄電装置のSOCが十分高くなると推定される。上記構成では、車両の継続的な走行距離又は走行時間が所定値(第2閾値)を超えると、無線通信機の累積通信回数がリセットされ、無線通信機が利用可能になる。禁止されていた無線通信機による無線通信は再開される。これにより、無線通信による外部電源の電力調整を行ないやすくなる。
【0016】
外部電源から供給される電力による第1蓄電装置の充電中に、第1蓄電装置が第2蓄電装置へ電力を供給してもよい。制御装置は、第1蓄電装置の継続的な充電による充電電力量又は充電継続時間が第3閾値を超えた場合に、無線通信機の累積通信回数をリセットするように構成されてもよい。
【0017】
上記車両において、長期間にわたって第1蓄電装置の充電が継続された場合には、第1蓄電装置から供給される電力によって第2蓄電装置のSOCが十分高くなると推定される。上記構成では、第1蓄電装置の継続的な充電による充電電力量又は充電継続時間が所定値(第3閾値)を超えると、無線通信機の累積通信回数がリセットされ、無線通信機が利用可能になる。禁止されていた無線通信機による無線通信は再開される。これにより、無線通信による外部電源の電力調整を行ないやすくなる。
【0018】
無線通信機は、車両の状態を管理装置へ逐次送信するように構成されてもよい。制御装置は、車両が外部電源と電気的に接続された状態で、第1蓄電装置の充電が行なわれることなく、無線通信機の累積通信回数が第1上限値よりも小さい所定回数に達すると、外部電源から供給される電力を用いて第1蓄電装置の充電を開始するように構成されてもよい。
【0019】
ユーザが車両に設定した第1蓄電装置の充電条件によっては、車両が外部電源と電気的に接続されても第1蓄電装置の充電が行なわれず、第1蓄電装置が充電されないまま車両が長期間にわたって放置されることがある。こうした車両において、無線通信機が頻繁に使用されると、無線通信機に電力を供給する第2蓄電装置の蓄電残量が不足しやすくなる。この点、上記構成によれば、無線通信機の累積通信回数が第1上限値よりも小さい所定回数を超えると、第1蓄電装置の充電が開始される。これにより、第1蓄電装置から第2蓄電装置への電力供給が可能になり、第2蓄電装置の蓄電残量不足が抑制される。また、管理装置は、車両の状態を逐次受信することによって、外部電源の電力調整のために車両を適切に制御しやすくなる。
【0020】
制御装置は、外部電源と第1蓄電装置とが電気的に接続された状態において、管理装置から受信した充電指示に従って第1蓄電装置を充電するように構成されてもよい。
【0021】
上記構成によれば、第1蓄電装置の充電によって外部電源の電力調整が行なわれる。第1蓄電装置が充電されることによって、第1蓄電装置から第2蓄電装置への電力供給が可能になり、外部電源の電力調整の最中に第2蓄電装置の蓄電残量が不足することが抑制される。
【0022】
制御装置は、管理装置と通信を行なう機能を備える第1給電設備と、管理装置と通信を行なう機能を備えない第2給電設備とを判別可能に構成されてもよい。制御装置は、外部電源から第1給電設備を介して車両に供給される電力を用いて充電指示に従う第1蓄電装置の充電を行なう場合には、第1給電設備を通じて管理装置と通信するように構成されてもよい。制御装置は、外部電源から第2給電設備を介して車両に供給される電力を用いて充電指示に従う第1蓄電装置の充電を行なう場合には、無線通信機を通じて管理装置と通信するように構成されてもよい。
【0023】
上記の制御装置は、管理装置と通信を行なう機能を備える第1給電設備を利用して外部電源の電力調整(すなわち、管理装置からの充電指示に従う充電)を行なう場合には、無線通信機ではなく第1給電設備を通じて管理装置と通信する。これにより、第2蓄電装置の電力消費が抑制され、第2蓄電装置の蓄電残量が不足しにくくなる。一方、第2給電設備を利用して外部電源の電力調整を行なう場合には、制御装置は無線通信機(車載通信機)を通じて管理装置と通信する。これにより、管理装置と通信を行なう機能を備えない給電設備(第2給電設備)を利用して外部電源の電力調整を行なうことが可能になる。
【0024】
本開示の第2の観点に係る車両の通信制御方法は、以下に示す車両の通信を制御する方法であって、以下に示す送信処理、第1禁止処理、及び第2禁止処理を含む。
【0025】
車両は、外部電源と電気的に接続可能な第1蓄電装置と、無線通信機と、無線通信機に電力を供給する第2蓄電装置と、無線通信機を通じて車両外部の管理装置と無線通信を行なう制御装置とを備える。
【0026】
送信処理では、制御装置が、無線通信機を通じて、外部電源の電力調整のための制御指令を管理装置から受信する。第1禁止処理では、外部電源と車両とが電気的に接続されていない状態で、無線通信機の累積通信回数が第1上限値に達したときに、無線通信機による無線通信を禁止する。第2禁止処理では、外部電源と車両とが電気的に接続されている状態で、無線通信機の累積通信回数が第1上限値よりも大きい第2上限値に達したときに、無線通信機による無線通信を禁止する。
【0027】
上記車両の通信制御方法によっても、前述した車両と同様、第1蓄電装置を利用した外部電源の電力調整を行ないやすくなり、かつ、無線通信機に電力を供給する第2蓄電装置の蓄電残量が不足しにくくなる。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、無線通信による外部電源の電力調整を行ないやすく、かつ、無線通信機に電力を供給する蓄電装置の蓄電残量が不足しにくい車両及びその通信制御方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の実施の形態に係る管理システムの概略的な構成を示す図である。
図2図1に示した車両の構成を示す図である。
図3図1に示したEVSEの構成について説明するための図である。
図4図2に示した車両の制御装置によって実行されるプラグイン判別処理を示すフローチャートである。
図5図2に示した車両によって実行される管理装置との無線通信に係る処理を示すフローチャートである。
図6図5に示した無線通信を制限するための処理の詳細を示すフローチャートである。
図7】本開示の実施の形態に係る通信制御方法において、無線通信機の累積通信回数のリセットに係る処理を示すフローチャートである。
図8】本開示の実施の形態に係る管理装置によって実行される外部電源の電力調整のための車群制御に係る処理を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施の形態に係る車両によって周期的に実行される処理を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態に係る車両によって実行される充電開始制御に係る処理を示すフローチャートである。
図11図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
図1は、本開示の実施の形態に係る管理システムの概略的な構成を示す図である。図1を参照して、この実施の形態に係る管理システムは、車群1と、EVSE群2と、サーバ700と、管理装置1000とを含む。管理装置1000は、サーバ200及び500を含む。EVSEは、車両用給電設備(Electric Vehicle Supply Equipment)を意味する。
【0032】
サーバ200,500,700の各々は、たとえばHMI(Human Machine Interface)及び通信I/F(インターフェース)を具備するコンピュータである。各コンピュータは、プロセッサと記憶装置とを備える。記憶装置には、プロセッサに実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。HMIは入力装置及び表示装置を含む。HMIは、タッチパネルディスプレイであってもよい。
【0033】
電力系統PGは、所定のエリアに電力を供給する電力網である。電力系統PGは、送配電設備によって構築される。電力系統PGには複数の発電所が接続されている。電力系統PGは、それらの発電所から電力の供給を受けている。この実施の形態では、電力会社が、電力系統PG(商用電源)を保守及び管理する。電力会社は、TSO(系統運用者)に相当する。電力系統PGは、交流電力(たとえば、三相交流電力)を供給する。サーバ700は、TSOに帰属するコンピュータに相当する。サーバ700は、中給システム(中央給電指令所のシステム)及び簡易指令システムを内蔵する。この実施の形態に係る電力系統PGは、本開示に係る「外部電源」の一例に相当する。
【0034】
サーバ500は、車群1に含まれる各車両と周期的に通信を行なう。この実施の形態では、車群1に含まれる各車両が、xEV(電動車)であり、電力系統PGの調整力として動作可能に構成される。車群1に含まれる各車両は、たとえば個人が所有する車両(POV)である。車群1に含まれる車両の数は、5台以上100台未満であってもよいし、100台以上であってもよい。この実施の形態では、車群1が30台以上100台未満の車両を含むものとする。車群1は、後述する構成(図2参照)を有する車両100を含む。車群1における車両100と他の車両との構成は、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0035】
EVSE群2は、電力系統PGから電力の供給を受ける複数のEVSEを含む。EVSE群2は、後述する構成(図3参照)を有するEVSE300A及び300Bを含む。EVSE300Aは、サーバ200と通信を行なう機能を備える第1給電設備(以下、「第1EVSE」とも称する)に相当する。EVSE300Bは、サーバ200と通信を行なう機能を備えない第2給電設備(以下、「第2EVSE」とも称する)に相当する。なお、EVSE群2に含まれるEVSEの数及び種類は任意である。
【0036】
管理装置1000と、車群1と、EVSE群2に含まれる第1EVSEとは、通信ネットワークNWを介して相互に通信可能に構成される。サーバ700は通信ネットワークNWを介してサーバ200と通信する。管理装置1000においては、サーバ200とサーバ500とが相互に通信可能に構成される。通信ネットワークNWは、たとえばインターネットと無線基地局とによって構築される広域ネットワークである。車群1に含まれる各車両は、無線通信で通信ネットワークNWにアクセスするように構成される。第1EVSEは、たとえば通信線を介して通信ネットワークNWと接続されている。第2EVSEは通信ネットワークNWと接続されていない。なお、通信形態は、上記に限られず適宜変更可能である。たとえば、第1EVSEは無線通信により通信ネットワークNWと接続されてもよい。
【0037】
図2は、車両100の構成を示す図である。図1とともに図2を参照して、車両100は、メインバッテリ11と、SMR(System Main Relay)12と、MG(Motor Generator)20と、PCU(Power Control Unit)22と、インレット60と、電子制御装置(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する)150とを備える。
【0038】
ECU150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、及び記憶装置153を含んで構成される。ECU150はコンピュータであってもよい。プロセッサ151はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、ECU150における各種制御(たとえば、メインバッテリ11の充電制御)が実行される。ECU150は、本開示に係る「制御装置」の一例に相当する。
【0039】
メインバッテリ11は、車両100の走行用の電力を蓄電する。車両100は、メインバッテリ11に蓄えられた電力を用いて走行可能に構成される。この実施の形態に係る車両100は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車(BEV)である。メインバッテリ11としては、公知の車両用蓄電装置(たとえば、液式二次電池、全固体二次電池、又は組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。
【0040】
車両100は、メインバッテリ11の状態を監視する監視モジュール11aをさらに備える。監視モジュール11aは、メインバッテリ11の状態(たとえば、電圧、電流、及び温度)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150へ出力する。監視モジュール11aは、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、セル電圧の均等化機能、診断機能、及び通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。ECU150は、監視モジュール11aの出力に基づいてメインバッテリ11の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、及び内部抵抗)を取得することができる。
【0041】
車両100は、充電器61(車載充電器)及び充電リレー62をさらに備える。充電器61及び充電リレー62の各々は、インレット60とメインバッテリ11との間に位置する。充電器61及び充電リレー62の各々は、ECU150によって制御される。この実施の形態では、インレット60、充電器61、及び充電リレー62を含む充電ラインが、SMR12とPCU22との間に接続されている。しかしこれに限られず、メインバッテリ11とSMR12との間に充電ラインが接続されてもよい。
【0042】
充電器61は、車両外部からインレット60に入力された電力(たとえば、交流電力)を用いてメインバッテリ11を充電する。充電器61は電力変換回路を含む。電力変換回路は、AC(交流)/DC(直流)変換を行なうように構成されてもよい。電力変換回路は、PFC(Power Factor Correction)回路、インバータ、絶縁回路(たとえば、絶縁トランス)、及び整流回路の少なくとも1つを含んでもよい。充電リレー62は、インレット60からメインバッテリ11までの電路の接続/遮断を切り替える。車両100は、充電器61の状態(たとえば、充電電力)を監視する監視モジュール61aをさらに備える。監視モジュール61aは、充電器61の状態を検出する各種センサ(たとえば、電流センサ及び電圧センサ)を含み、検出結果をECU150へ出力する。
【0043】
MG20は、たとえば三相交流モータジェネレータである。MG20は、車両100の走行用モータとして機能する。MG20は、PCU22によって駆動され、車両100の駆動輪を回転させる。PCU22は、メインバッテリ11から供給される電力を用いてMG20を駆動する。SMR12は、メインバッテリ11からPCU22までの電路の接続/遮断を切り替える。SMR12及びPCU22の各々は、ECU150によって制御される。PCU22は、たとえばインバータ及びコンバータを含み、ECU150からの指示に従って電力変換を行なう。SMR12は、車両100の走行中に閉状態(接続状態)にされる。また、メインバッテリ11とインレット60(ひいては、車両外部)との間で電力のやり取りが行なわれるときも、SMR12は閉状態にされる。
【0044】
MG20は、回生発電を行ない、発電した電力をメインバッテリ11へ出力する。車両100の走行中には、MG20が発電した電力により、メインバッテリ11の回生充電が実行される。車両100は、MG20の状態を監視するモータセンサ21をさらに備える。モータセンサ21は、MG20の状態を検出する各種センサ(たとえば、電流センサ、電圧センサ、及び温度センサ)を含み、検出結果をECU150へ出力する。なお、車両100が備える走行用モータの数は任意であり、1つでも2つでも3つ以上でもよい。走行用モータはインホイールモータであってもよい。
【0045】
車両100は、DC/DCコンバータ81と、補機バッテリ82と、監視モジュール82aと、高圧負荷91と、低圧負荷92とをさらに備える。高圧負荷91は、高電圧系の補機類である。低圧負荷92は、低電圧系の補機類である。低圧負荷92の駆動電圧は、高圧負荷91の駆動電圧よりも低い。DC/DCコンバータ81は、メインバッテリ11から供給される電力を降圧して補機バッテリ82及び低圧負荷92の各々へ出力する。補機バッテリ82は、低電圧系の車載バッテリであり、低圧負荷92に電力を供給する。補機バッテリ82の容量はメインバッテリ11の容量よりも小さい。補機バッテリ82は鉛蓄電池であってもよい。メインバッテリ11が高圧負荷91、低圧負荷92、及び補機バッテリ82の少なくとも1つに電力を供給するときには、SMR12は閉状態にされる。メインバッテリ11、補機バッテリ82は、それぞれ本開示に係る「第1蓄電装置」、「第2蓄電装置」の一例に相当する。
【0046】
監視モジュール82aは、補機バッテリ82の状態(たとえば、電圧、電流、及び温度)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150へ出力する。ECU150は、監視モジュール82aの出力に基づいて補機バッテリ82の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、及び内部抵抗)を取得することができる。補機バッテリ82は、車両100の走行中に充電されるように構成される。車両100の走行中には、監視モジュール82aによって補機バッテリ82の端子間電圧又はSOCが常時監視される。ECU150は、補機バッテリ82の端子間電圧又はSOCが所定値以上になるように補機バッテリ82を充電する。たとえば、メインバッテリ11に蓄えられた電力、又はMG20が発電した電力により、補機バッテリ82が充電される。
【0047】
高圧負荷91及び低圧負荷92の各々は、ユーザからの操作を受け付ける。また、高圧負荷91及び低圧負荷92の各々は、ユーザ操作に応じた駆動電力を生成するための電源回路を含む。ユーザが高圧負荷91を操作すると、ECU150が、ユーザ操作に応じてSMR12及び高圧負荷91を制御する。ユーザが低圧負荷92を操作すると、ECU150が、ユーザ操作に応じてSMR12、DC/DCコンバータ81、及び低圧負荷92を制御する。この実施の形態では、高圧負荷91が空調設備を含む。空調設備はインバータを内蔵してもよい。低圧負荷92は、HMI92aと、ナビゲーションシステム(以下、「NAVI」とも称する)92bと、DCM(Data Communication Module)92cとを含む。低圧負荷92は照明装置をさらに含んでもよい。
【0048】
HMI92aは、入力装置及び表示装置を含む。HMI92aは、タッチパネルディスプレイを含んでもよい。HMI92aは、後述するタイマ充電の予約を受け付けてもよい。HMI92aは、メータパネル及び/又はヘッドアップディスプレイを含んでもよい。HMI92aは、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。
【0049】
NAVI92bは、タッチパネルディスプレイと、GPS(Global Positioning System)モジュールと、記憶装置と(いずれも図示せず)を含んで構成される。記憶装置は、地図情報を記憶している。タッチパネルディスプレイは、車内のユーザからの入力を受け付けたり、地図及びその他の情報を表示したりする。GPSモジュールは、図示しないGPS衛星からの信号(以下、「GPS信号」と称する)を受信するように構成される。NAVI92bは、GPS信号を用いて車両100の位置を検出する。NAVI92bは、地図上に車両100の位置をリアルタイムで表示可能に構成される。NAVI92bは、地図情報を参照して、車両100の現在位置から目的地までの最適ルート(たとえば、最短ルート)を見つけるための経路探索を行なう。NAVI92bは、OTA(Over The Air)によって地図情報を逐次更新してもよい。
【0050】
DCM92cは、通信ネットワークNWにアクセス可能な無線通信機である。DCM92cは、無線通信により、管理装置1000と通信可能に構成される。ECU150はDCM92cを通じて車両外部の装置(たとえば、管理装置1000)と通信を行なう。この実施の形態では、車両100が、サーバ200及び500の各々からの指令又は通知をDCM92cで受信する。DCM92cは、5G又は6G(第5又は第6世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。
【0051】
EVSEが充電ケーブルを介して駐車状態の車両100と電気的に接続されることで、車両100はEVSEを介して電力系統PGと電気的に接続された状態(以下、「プラグイン状態」とも称する)になる。一方、たとえば車両100の走行中においては、車両100がEVSE及び電力系統PGの各々と電気的に接続されていない状態(以下、「プラグアウト状態」とも称する)になる。車両100のインレット60は、以下に説明するEVSE300A及び300Bの両方に接続可能に構成される。
【0052】
図3は、EVSE300A及び300Bの各々の構成について説明するための図である。図1及び図2とともに図3を参照して、EVSE300A、300Bは、それぞれ充電ケーブル320A、320Bを備え、充電ケーブル320A、320Bを介して車両100と電気的に接続可能に構成される。EVSE300A及び300Bの各々は、電力系統PG(図1)から供給される電力(たとえば、交流電力)を車両100への給電に適した電力に変換して、変換後の電力を車両100に供給するように構成される。
【0053】
この実施の形態では、EVSE300Aが車両100のユーザの職場に設置されている。EVSE300Aは通信装置310Aを備える。通信装置310Aは、サーバ200と通信するための通信I/Fを含む。EVSE300Aの本体には充電ケーブル320Aが接続されている。充電ケーブル320Aは、先端にコネクタ321A(プラグ)を有し、ケーブル内部に通信線及び電力線を含む。さらに、EVSE300Aは、第1制御装置及び第1電力変換回路(いずれも図示せず)を内蔵する。第1制御装置は車両100及びサーバ200の各々と通信する。第1制御装置は通信装置310Aを通じてサーバ200と通信する。また、第1制御装置はケーブル内部の通信線を介して車両100と通信する。
【0054】
コネクタ321Aは車両100のインレット60と着脱可能に構成される。コネクタ321Aが車両100のインレット60に接続されると、車両100がEVSE300Aを介して電力系統PGと電気的に接続された状態(以下、「第1プラグイン状態」とも称する)になる。第1プラグイン状態において、第1制御装置は、車両100又はサーバ200からの指令に基づいて第1電力変換回路を制御し、コネクタ321Aに給電電力(たとえば、交流電力)を出力する。
【0055】
この実施の形態では、EVSE300Bが車両100のユーザの自宅に設置されている。電力系統PG(図1)は、図示しない住宅の分電盤(すなわち、宅内配線に接続される分電盤)を介してEVSE300Bに電圧100V又は200Vの電力を供給してもよい。EVSE300Bには充電ケーブル320Bが接続される。充電ケーブル320Bは、プラグ321Bと、制御ボックス322Bと、コネクタ323Bとを備え、ケーブル内部に通信線及び電力線を含む。EVSE300Bは、プラグ321Bと着脱可能なコンセントを備える。プラグ321Bは、EVSE300Bのコンセントに接続され、接続されたコンセントから交流電力を受電する。EVSE300Bがプラグ321B(入力端)に出力した交流電力は、制御ボックス322Bを経てコネクタ323B(出力端)に出力される。
【0056】
制御ボックス322Bは、第2制御装置及び第2電力変換回路(いずれも図示せず)を内蔵する。第2制御装置は、ケーブル内部の通信線を介して車両100と通信し、サーバ200とは通信しない。制御ボックス322B内の第2電力変換回路によって適切な電圧及び電流に調整された交流電力がコネクタ323Bから出力される。コネクタ323Bは車両100のインレット60と着脱可能に構成される。プラグ321BがEVSE300Bのコンセントに差し込まれ、コネクタ323Bが車両100のインレット60に接続されると、車両100がEVSE300Bを介して電力系統PGと電気的に接続された状態(以下、「第2プラグイン状態」とも称する)になる。第2プラグイン状態において、第2制御装置は、車両100からの指令に基づいて第2電力変換回路を制御し、コネクタ323Bに給電電力(たとえば、交流電力)を出力する。
【0057】
なお、EVSE300A及び300Bの各々の構成は、上記に限られない。たとえばEVSE300A及び300Bの少なくとも一方が直流電力を出力してもよい。また、インレット60は、EVSE300Aが接続される第1接続部と、EVSE300Bが接続される第2接続部とを、別々に備えてもよい。充電器61は、第1接続部から入力される第1電力と、第2接続部から入力される第2電力とに、別々の電力変換を行なってもよい。車両100は、複数種の給電方式(たとえば、AC方式及びDC方式)に対応できるように複数のインレットを備えてもよい。
【0058】
車両100が第1プラグイン状態になると、EVSE300Aの第1制御装置からECU150へ第1ケーブル接続信号(EVSE300Aの識別情報を示す信号)が送られる。また、車両100が第2プラグイン状態になると、EVSE300Bの第2制御装置からECU150へ第2ケーブル接続信号(EVSE300Bの識別情報を示す信号)が送られる。この実施の形態に係るECU150は、こうしたケーブル接続信号に基づいて、車両100が、第1プラグイン状態と、第2プラグイン状態と、プラグアウト状態とのいずれであるかを判別する。以下、この判別処理を、「プラグイン判別処理」とも称する。
【0059】
図4は、ECU150によって実行されるプラグイン判別処理を示すフローチャートである。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。
【0060】
図1図3とともに図4を参照して、S11では、車両100がEVSEと電気的に接続されたか否かを、ECU150が判断する。具体的には、ECU150が第1又は第2ケーブル接続信号を受信した場合には、S11においてYESと判断され、ECU150がケーブル接続信号を受信していない場合には、S11においてNOと判断される。ECU150がケーブル接続信号を受信したことは、車両100がEVSEと電気的に接続されたこと(すなわち、プラグイン状態になったこと)を意味する。
【0061】
S11においてYESと判断された場合には、ECU150が、S12において、車両100と電気的に接続されたEVSEが第1EVSE(たとえば、図3に示したEVSE300A)に該当するか否かを判断する。具体的には、ECU150が第1ケーブル接続信号を受信した場合には、車両100が第1EVSEと電気的に接続されたと判断する。他方、ECU150が第2ケーブル接続信号を受信した場合には、車両100が第2EVSE(たとえば、図3に示したEVSE300B)と電気的に接続されたと判断する。このように、ECU150は、第1EVSE(管理装置1000と通信を行なう機能を備える第1給電設備)と、第2EVSE(管理装置1000と通信を行なう機能を備えない第2給電設備)とを判別可能に構成される。
【0062】
ECU150は、S11及びS12の判断結果に基づいてPinFlag及びThを設定する。具体的には、PinFlag及びThは、たとえば記憶装置153に記憶されている。PinFlagは、プラグイン判別処理の結果を示すフラグである。PinFlagには、第1プラグイン状態、第2プラグイン状態、プラグアウト状態にそれぞれ対応する値(1、2、0)が設定される。Thは、後述する累積通信回数Nに対する上限値である(図6のS31参照)。詳細は後述するが、累積通信回数NがThに達すると通信制限条件が成立して、DCM92cによる無線通信が禁止される。Thが小さいほど通信制限条件は成立しやすくなる。
【0063】
車両100が第1EVSEと電気的に接続された場合には(S12にてYES)、ECU150が、S131においてPinFlagに「1」(第1プラグイン状態に対応する値)を設定し、S141においてThに上限値U1(以下、単に「U1」とも表記する)を設定する。車両100が第2EVSEと電気的に接続された場合には(S12にてNO)、ECU150が、S132においてPinFlagに「2」(第2プラグイン状態に対応する値)を設定し、S142においてThに上限値U2(以下、単に「U2」とも表記する)を設定する。S11においてNOと判断された場合には、ECU150が、S133においてPinFlagに「0」(プラグアウト状態に対応する値)を設定し、S143においてThに上限値U0(以下、単に「U0」とも表記する)を設定する。
【0064】
U0は、プラグアウト状態のThであり、本開示に係る「第1上限値」の一例に相当する。U1及びU2の各々は、プラグイン状態のThであり、本開示に係る「第2上限値」の一例に相当する。U1及びU2の各々は、U0よりも大きい。この実施の形態では、U1とU2とを同じ値にする。ただしこれに限られず、U1とU2とを異なる値にしてもよい。たとえば、第2プラグイン状態では、車両100がEVSEを通じてサーバ200と通信することができないため、U2をU1よりも大きくして車両100がDCM92cを通じてサーバ200と通信しやすくしてもよい。
【0065】
上記S131~S133及びS141~S143においてPinFlag及びThの設定が完了すると、処理は最初のステップ(S11)に戻る。図4に示す一連の処理は、所定周期で繰返し実行される。PinFlag及びThの各々は、図4に示す一連の処理によって逐次更新される。
【0066】
なお、充電ケーブルの接続検出方法は、上述のケーブル接続信号による方法に限られず任意である。たとえば、充電ケーブルの接続を検出するためのセンサ(たとえば、リミットスイッチ、近接センサ、又は光電センサ)をインレット60に設けてもよい。インレット60が、ケーブル接続時の電圧変化に基づいてケーブル接続を検出する接続検出回路を備えてもよい。接続検出回路は、インレット60に第1EVSEの充電ケーブルが接続された場合と、インレット60に第2EVSEの充電ケーブルが接続された場合と、インレット60に充電ケーブルが接続されていない場合とで、電気抵抗(たとえば、分圧抵抗)が変化するように構成されてもよい。
【0067】
再び図1とともに図2を参照して、プラグイン状態の車両100では、外部充電(すなわち、車両外部からの電力によるメインバッテリ11の充電)が可能になる。車両100は、外部充電によって電力系統PG(図1)の電力調整を行なうことができる。外部充電のための電力は、たとえば電力系統PGからEVSEを通じてインレット60に供給される。外部充電が実行されるときには充電リレー62が閉状態(接続状態)にされ、外部充電が実行されないときには充電リレー62が開状態(遮断状態)にされる。
【0068】
ECU150は、タイマ充電に係る充電終了時刻及び目標SOC(充電終了時のSOC)を予約可能に構成される。充電終了時刻及び目標SOCが予約されたECU150はタイマ充電を実行する。タイマ充電は、予約された充電スケジュールに従う充電である。具体的には、車両100におけるタイマ充電では、予約された充電終了時刻にメインバッテリ11のSOCが目標SOCに到達するようにECU150がメインバッテリ11の充電制御(充電器61の制御)を実行する。
【0069】
車群1に含まれる各車両は、ユーザからのタイマ充電の予約を受け付けるとともに、予約されたタイマ充電を実行可能に構成される。車群1に含まれる各車両は、充電予約情報をサーバ500へ送信する。充電予約情報は、車両にタイマ充電が予約されているか否かを示す。また、充電予約情報は、車両に予約された充電終了時刻及び目標SOCをさらに示す。車群1に含まれる各車両は、タイマ充電が予約されたときに、充電予約情報をサーバ500へ送信してもよい。車群1においてタイマ充電が予約されていない各車両は、即時充電を実行する。即時充電は、車両がプラグイン状態になったときにすぐに開始される外部充電である。また、車両100は、ユーザからの指示に応じて充電を開始する。車両100のユーザは、たとえばモバイル端末UTを操作して、ECU150に充電開始を指示することができる。
【0070】
この実施の形態では、車群1においてタイマ充電が予約された車両は、サーバ200による蓄電装置のリモート制御を許可する。他方、車群1においてタイマ充電が予約されていない車両は、サーバ200による蓄電装置のリモート制御を許可しない。ただし、リモート制御の許可条件は、上記に限られず適宜変更可能である。
【0071】
モバイル端末UTは、車両100のユーザによって携帯される端末である。この実施の形態では、モバイル端末UTとして、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。スマートフォンはコンピュータを内蔵する。車両100は、車内又は車両周辺の範囲内に存在するモバイル端末UTと直接通信するための通信I/Fをさらに備える。車両100とモバイル端末UTとは、無線LAN(Local Area Network)、NFC(Near Field Communication)、又はBluetooth(登録商標)のような近距離通信を行なってもよい。なお、モバイル端末UTとしては、任意のモバイル端末を採用可能であり、ラップトップ、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ又はスマートグラス)、又は電子キーなども採用可能である。また、車両100とモバイル端末UTとの通信方式としても任意の通信方式を採用可能である。
【0072】
ECU150を含む車両システム(車両100を制御するシステム)のオン(作動)/オフ(停止)は、ユーザが起動スイッチ70を操作することによって切り替わる。起動スイッチ70は、たとえば車両100の車室内に設置される。起動スイッチ70がオン操作されることによって車両システムが起動する。また、車両システムが作動しているときに、起動スイッチ70がオフ操作されると、車両システムは停止状態になる。ただし、走行中の車両100においては、起動スイッチ70のオフ操作が禁止される。一般に、車両の起動スイッチは「パワースイッチ」又は「イグニッションスイッチ」などと称される。
【0073】
再び図1を参照して、サーバ200は、アグリゲータに帰属するコンピュータに相当する。アグリゲータは、複数のDER(Distributed Energy Resources)を束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者である。サーバ200は車群1を制御するように構成される。車群1に含まれる各車両は、電力系統PG(外部電源)と電気的に接続可能に構成される蓄電装置を備え、DERとして機能し得る。サーバ200は、複数のDER(たとえば、車群1に含まれる各車両)を遠隔・統合制御することによって、これらのDERをVPP(仮想発電所)として機能させてもよい。なお、サーバ500は、アグリゲータに帰属してもよいし、自動車メーカに帰属してもよい。
【0074】
サーバ200は、複数のDERをVPPとして統合制御するために、各DERに対してDR(デマンドレスポンス)を実施してもよい。DRにより、DERに電力系統PGの電力調整が要請される。サーバ200は、DRを利用して、サーバ700から要請された電力系統PGの電力調整、又は電力市場で落札した電力系統PGの電力調整を、複数のDER(たとえば、車群1に含まれる各車両)に行なわせてもよい。
【0075】
DERがDR(電力調整)に参加することによって、電力系統PGに柔軟性及びアカデシーを付与することができる。DRに参加するDERの管理者(たとえば、車両ユーザ)は、サーバ200にリモート制御を許可する。サーバ200によるDERのリモート制御が許可されている状況においては、サーバ200が、リモート制御により、電力系統PGの電力調整のための充電又は放電をDERに行なわせることができる。たとえば、車両100において、ECU150がサーバ200からの指令に従って充電器61を制御する。ただし、サーバ200がDERへ指令を送信しても、電力調整のためのDERの準備が完了していなければ、DERはリモート制御による電力調整を行なうことができない。
【0076】
DERが行なう電力調整の種類は任意である。電力調整は、たとえば需給調整、電源安定化、負荷追従、周波数調整のいずれかであってもよい。DERは、リモート制御によって電力系統PGの調整力又は予備力として動作してもよい。なお、DRは、上げDRと下げDRとに大別される。上げDRは、基本的には需要増加を要請するDRである。ただし、要請を受けるDERが発電設備である場合には、上げDRはDERに供給抑制を要請することもある。一方、下げDRは、需要抑制又は逆潮流を要請するDRである。
【0077】
この実施の形態では、サーバ500が、車群1に含まれる各車両に関する情報(以下、「車両情報」とも称する)を保有する。サーバ200は、サーバ500から取得した車両情報を用いて、電力系統PGの電力調整のための車両制御(リモート制御)を行なう。
【0078】
サーバ500が保有する車両情報は、車両ID(車両の識別情報)で区別されている。車両情報には、たとえば、充電場所と、充電場所に設置されたEVSEの仕様と、車両の位置情報と、車載バッテリのSOCと、充電予約情報と、車両システムの状態(オン/オフ)と、ナビゲーションシステムに設定された情報(たとえば、目的地までの走行ルート)と、車両の移動に関する履歴データ(たとえば、毎日の車両の移動に関して車両の位置と時刻とを紐付けたデータ)と、図4に示したPinFlag及びThと、後述するDCMFlag(図6)とが含まれる。また、車両ごとに仕様が異なる場合には、各車両の仕様(たとえば、充電に関するスペック)が予めサーバ500に登録されてもよい。また、車両100のユーザの自宅及び職場の各々の位置は、車両100の充電場所として予めサーバ500に登録されてもよい。
【0079】
車両情報は、サーバ500の記憶装置に保存され、逐次更新される。サーバ500は、車群1に含まれる各車両と周期的に通信を行ない、各車両から車両情報を逐次受信する。そして、サーバ500は、受信した最新の車両情報に基づいて記憶装置内の車両情報を更新する。
【0080】
図5は、車両100によって実行されるサーバ500との無線通信に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、所定周期で繰返し実行される。
【0081】
図1図3とともに図5を参照して、S21では、DCMFlagが「0」であるか否かを、ECU150が判断する。DCMFlagは、たとえば記憶装置153に記憶されている。DCMFlagは、通信制限条件が成立するか否かを示すフラグである。DCMFlagが「1」であることは、通信制限条件が成立することを意味する。DCMFlagが「0」であることは、通信制限条件が成立しないことを意味する。
【0082】
通信制限条件が成立しない場合には(S21にてYES)、ECU150が、S22において車両100の状態を取得する。この実施の形態では、ECU150が、S22において、車両100の位置と、メインバッテリ11のSOCと、充電予約情報と、NAVI92bの設定パラメータと、前述したPinFlag及びThの各々の値(図4参照)とを取得する。ただしこれに限られず、S22で取得される車両100の状態は任意に設定できる。ECU150は、S22において、車両100に搭載された各種センサの検出値をさらに取得してもよい。
【0083】
続くS23では、S22で取得された車両100の状態が前回値と比べて変化しているか否かを、ECU150が判断する。具体的には、ECU150は、今回処理ルーチンのS22で取得された状態と前回処理ルーチンのS22で取得された状態とを比較し、前回処理ルーチンから今回処理ルーチンまでの状態変化量が所定水準を超える場合には、S23においてYESと判断し、超えない場合には、S23においてNOと判断する。たとえば、走行中は、車両100の位置とメインバッテリ11のSOCとの各々が大きく変化するため、S23においてYESと判断される。また、外部充電中は、メインバッテリ11のSOCが大きく変化するため、S23においてYESと判断される。また、充電予約情報(たとえば、タイマ充電に係る充電終了時刻及び目標SOC)が変更された場合にも、S23においてYESと判断される。また、NAVI92bの設定パラメータ(たとえば、目的地)が変更された場合にも、S23においてYESと判断される。PinFlagとThとのいずれかの値が変更された場合にも、S23においてYESと判断される。
【0084】
車両100の状態変化量が小さい場合には(S23にてNO)、ECU150が、S24において、管理装置1000(たとえば、サーバ200又は500)から車両情報の要求を受けたか否かを判断する。車両100の状態変化量が大きい場合(S23にてYES)、又は管理装置1000が車両100に対して車両情報を要求した場合は(S24にてYES)、処理がS25に進む。
【0085】
S25では、ECU150が累積通信回数Nをインクリメントする。これにより、累積通信回数Nに1回が加算(カウントアップ)される。すなわち、累積通信回数Nは、現在値に1を足した値に更新される。累積通信回数Nは、たとえば記憶装置153に記憶されている。累積通信回数Nは、DCM92cの累積通信回数を示すパラメータである。この実施の形態では、ECU150が、DCM92cによる無線通信が実行されるたびに(S23又はS24にてYES)、累積通信回数Nをインクリメントし(S25)、所定のリセット条件が成立すると(後述する図7のS41にてYES)、累積通信回数Nを初期値(0回)にリセットする。
【0086】
続くS26では、ECU150が、累積通信回数Nに基づいて、DCMFlagを更新する。図6は、S26の詳細を示すフローチャートである。
【0087】
図1図3とともに図6を参照して、S31では、累積通信回数NがTh以上であるか否かを、ECU150が判断する。Thは、図4のS141~S143において設定される。すなわち、ThにはU0、U1、U2のいずれかの値が設定される。累積通信回数NがTh以上である場合には(S31にてYES)、ECU150が、S32においてDCMFlagに「1」を設定する。累積通信回数NがTh未満である場合には(S31にてNO)、ECU150が、S33においてDCMFlagに「0」を設定する。S32又はS33においてDCMFlagが設定されると、処理が図5のS27に進む。
【0088】
再び図1図3とともに図5を参照して、S27では、ECU150がDCM92c(無線通信機)を通じて所定の車両情報をサーバ500へ送信する。すなわち、S27ではDCM92cによる無線通信が実行される。この実施の形態では、S27において送信される所定の車両情報が、S22で取得された車両100の状態に加えて、DCMFlagの値(0/1)をさらに含む。この実施の形態では、DCM92cによる車両情報の送信(S27)の前にDCMFlagが更新(S26)されるため、DCM92cによる無線通信が禁止されたこと(DCMFlagが0になったこと)を管理装置1000に通知することができる。なお、S27において送信される車両情報は、上記に限られず適宜変更可能である。
【0089】
S27の処理が実行されると、処理が最初のステップ(S21)に戻る。DCMFlagが「0」である場合には、車両100の状態が所定水準を超えて変化するたびに(S23にてYES)、無線通信により、車両100からサーバ500へ最新の車両100の状態が送信される(S27)。また、管理装置1000から車両100に要求があった場合にも(S24にてYES)、無線通信により、車両100からサーバ500へ最新の車両100の状態が送信される(S27)。このように、DCM92cは、車両100の状態を管理装置1000へ逐次送信するように構成される。
【0090】
S23及びS24の両方でNOと判断された場合には、DCM92cによる無線通信(S27)が実行されることなく、処理が最初のステップ(S21)に戻る。DCMFlagが「1」である場合にも(S21にてNO)、DCM92cによる無線通信(S27)が実行されず、S21の処理が繰り返される。このように、DCMFlagが「1」であるときには(S21にてNO)、DCM92cによる無線通信が禁止される。
【0091】
上記のように、プラグアウト状態(電力系統PGと車両100とが電気的に接続されていない状態)では、DCM92cの累積通信回数Nが第1上限値(図4のS143におけるU0)に達したときに(図6のS31にてYES)通信制限条件が成立して(図6のS32)、ECU150がDCM92cによる無線通信を禁止する。また、プラグイン状態(電力系統PGと車両100とが電気的に接続されている状態)では、DCM92cの累積通信回数Nが第1上限値よりも大きい第2上限値(図4のS141又はS142におけるU1又はU2)に達したときに(図6のS31にてYES)通信制限条件が成立して(図6のS32)、ECU150がDCM92cによる無線通信を禁止する。
【0092】
図7は、累積通信回数Nのリセットに係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、所定周期で繰返し実行される。図7に示す一連の処理は、図4及び図5に示した一連の処理と並行して実行される。
【0093】
図1図3とともに図7を参照して、S41では、補機バッテリ82のSOCが所定の第1閾値(以下、「Th1」と表記する)以上であるか否かを、ECU150が判断する。補機バッテリ82のSOCがTh1以上である場合には(S41にてYES)、ECU150が、S42において累積通信回数Nを初期値(0回)にリセットする。その後、処理は最初のステップ(S41)に戻る。他方、補機バッテリ82のSOCがTh1未満である場合には(S41にてNO)、累積通信回数Nがリセットされることなく、処理が最初のステップ(S41)に戻る。このように、補機バッテリ82のSOCがTh1以上であるときには、累積通信回数Nがリセットされるため、通信制限条件は成立しない。
【0094】
この実施の形態に係る車群1は、サーバ200からの要請に応じて電力系統PGの電力調整を行なうように構成される。図8は、サーバ200によって実行される電力系統PGの電力調整のための車群制御に係る処理を示すフローチャートである。たとえば、サーバ200は、サーバ700から需要増加の要請を受けると、以下に説明する図8に示す一連の処理を開始する。この実施の形態では、図8に示す一連の処理により、車群1に対して上げDRが実施される。
【0095】
図1図3とともに図8を参照して、S51では、サーバ200が充電制御の目標値(以下、「目標値W1」と表記する)を取得する。たとえば、サーバ200はサーバ700から目標値W1を取得してもよい。サーバ700は、電力系統PGの電力調整のための目標値W1を決定し、後述する総充電電力W2(S52)を目標値W1に近づけることをサーバ200に要求してもよい。
【0096】
続くS52では、車群1の総充電電力(以下、「総充電電力W2」と表記する)を、サーバ200が取得する。車群1に含まれる各車両が備える蓄電装置の充電電力(より特定的には、電力系統PGから供給される電力を用いた蓄電装置の充電電力)は、充電場所に設置された電力量計によって計測されて、サーバ200へ送信されてもよい。充電場所に設置された電力量計は、受電点に設置されたスマートメータであってもよいし、EVSEに内蔵される電力量計であってもよい。総充電電力W2は、各充電場所に設置された電力量計によって計測される車群1の充電電力の合計値に相当する。
【0097】
続くS53では、サーバ200が、電力調整のための制御対象と、制御対象に対する指令経路とを決定する。具体的には、サーバ200は、車群1に含まれる各車両の現在の状態(車両情報)をサーバ500から取得する。そして、サーバ200は、車群1の中から制御対象を選ぶ。サーバ200は、所定の要件(以下、「スタンバイ要件」とも称する)を満たす車両(すなわち、電力調整のための準備が完了した車両)を、制御対象とする。
【0098】
この実施の形態に係る車両100のスタンバイ要件は、PinFlagが「1」又は「2」であること(第1SBY要件)と、メインバッテリ11のSOCが所定SOC範囲にあること(第2SBY要件)と、DCMFlagが「0」であること(第3SBY要件)と、車両100にタイマ充電が予約されていること(第4SBY要件)とを含む。スタンバイ要件が満たされるためには、第1~第4SBY要件の全てが満たされる必要がある。
【0099】
第1SBY要件を満たすことは、車両100が電力系統PGと電気的に接続されていることを意味する。プラグイン状態の車両100は、第1又は第2EVSEを介して電力系統PGと電気的に接続される。第2SBY要件を満たすことは、メインバッテリ11の現在の蓄電量が、要求される電力調整に適した範囲内であることを意味する。所定SOC範囲は、たとえばサーバ200によって設定される。第3SBY要件を満たすことは、DCM92cによる無線通信が許可されていることを意味する。第3SBY要件を満たす車両100は、車両100の状態をサーバ500へ逐次送信する(図5参照)。このため、サーバ200は、第3SBY要件を満たす車両100の状態を正確に把握しやすい。第4SBY要件を満たすことは、サーバ200による車両のリモート制御が許可されていることを意味する。サーバ200は、後述するS54の処理により、リモート制御で制御対象に電力系統PGの電力調整を行なわせる。なお、スタンバイ要件は上記に限られず適宜変更可能である。たとえば第2及び第3SBY要件の少なくとも一方は割愛されてもよい。車両ごとに仕様が異なる形態では、車両ごとに異なるスタンバイ要件を定めてもよい。
【0100】
さらに、サーバ200は、S53において、制御対象が第1EVSE、第2EVSEのいずれに接続されているかに応じて、制御対象に対する指令経路として、第1経路、第2経路のいずれかを決定する。第1経路は、サーバ200から第1EVSEを介して制御対象につながる通信経路である。第2経路は、第2EVSEを経由せず、サーバ200と制御対象とが無線通信で直接的につながる通信経路である。たとえば、第1EVSEと接続された車両100(PinFlag=「1」)が制御対象として選ばれた場合には、その指令経路は第1経路となる。また、第2EVSEと接続された車両100(PinFlag=「2」)が制御対象として選ばれた場合には、その指令経路は第2経路となる。なお、制御対象が第1及び第2EVSEの両方に接続可能であることは必須ではなく、第1及び第2EVSEの一方のみに接続可能であってもよい。
【0101】
S53において制御対象と制御対象ごとの指令経路とが決定されると、サーバ200が、続くS54において、総充電電力W2を目標値W1に近づけるように制御対象を制御する。具体的には、サーバ200は、目標値W1及び総充電電力W2に基づいて、制御対象に割り当てる充電電力(以下、「要求充電電力」と記載する)を決定し、要求充電電力を示す充電指令を制御対象へ送信する。充電指令は、S53で決定された指令経路(第1経路又は第2経路)に従ってサーバ200から制御対象へ送信される。サーバ200は、制御対象ごとに要求充電電力を決定し、各制御対象に充電指令を送信する。サーバ200から充電指令を受信した制御対象は、その充電指令に従って蓄電装置の充電制御を実行する。すなわち、制御対象は、蓄電装置の充電電力が要求充電電力に近づくように車載充電器を制御する。
【0102】
なお、サーバ200は、要求充電電力の代わりにON(実行)/OFF(停止)の充電指令を制御対象ごとに決定してもよい。サーバ200は、総充電電力W2を目標値W1に近づけるように各制御対象に対して充電のON/OFF制御を実行してもよい。サーバ200は、各制御対象の充電予約情報を用いて、タイマ充電に係る充電終了時刻及び目標SOCの要件を満たしつつ電力系統PGの電力調整(たとえば、上げDR)が行なわれるように、各制御対象の充電スケジュールを決定してもよい。そして、サーバ200は、決定された充電スケジュールを実現するための充電指令を各制御対象へ送信してもよい。サーバ200は、サーバ500から取得した車両情報を用いて各制御対象の移動予測を行ない、その移動予測の結果に基づき、予約されたタイマ充電のスケジュール(充電開始時刻及び充電終了時刻)を変更してもよい。たとえば、制御対象が所定の充電モードである場合に、制御対象がサーバ200に対して充電スケジュールの変更を許可してもよい。
【0103】
続くS55では、DRが終了したか否かを、サーバ200が判断する。サーバ200は、たとえばサーバ700が電力調整を要求した期間(DR期間)が終了したか否かに基づいて、DRが終了したか否かを判断する。DRが終了していない場合には(S55にてNO)、処理が最初のステップ(S51)に戻る。DRが継続している間(DR期間内)は、S51~S54の処理が繰返し実行されることにより、制御対象によって電力系統PGの電力調整が行なわれる。
【0104】
そして、DRが終了すると(S55にてYES)、図8に示す一連の処理が終了する。DR終了後、アグリゲータが、電力調整を行なった車両(制御対象)のユーザに対してインセンティブを付与してもよい。
【0105】
図9は、車両100によって周期的に実行される処理を示すフローチャートである。図1図3とともに図9を参照して、S61では、PinFlagが「0」であるか否かを、ECU150が判断する。PinFlagが「0」ではない場合には(S61にてNO)、処理がS62に進み、PinFlagが「0」である場合には(S61にてYES)、処理がS64に進む。
【0106】
PinFlagが「0」ではない場合(すなわち、車両100がプラグイン状態である場合)には、ECU150は、S62において、サーバ200から充電指令(図8のS54)を受信したか否かを判断する。車両100がサーバ200から充電指令を受信した場合には(S62にてYES)、ECU150が、S63において、その充電指令に従ってメインバッテリ11の外部充電を実行する。メインバッテリ11の外部充電中は、電力系統PGとメインバッテリ11とが電気的に接続され、ECU150によって充電器61が制御される。
【0107】
ECU150は、電力系統PGからEVSE300A(図3)を介して車両100に供給される電力を用いてサーバ200からの充電指示に従うメインバッテリ11の外部充電を行なう場合には、前述した第1経路(図8のS53)に従ってサーバ200と通信する。すなわち、ECU150はEVSE300Aを通じてサーバ200と通信する。上記充電指示に従うメインバッテリ11の外部充電によって、電力系統PGの電力調整が行なわれる。
【0108】
ECU150は、電力系統PGからEVSE300B(図3)を介して車両100に供給される電力を用いてサーバ200からの充電指示に従うメインバッテリ11の外部充電を行なう場合には、前述した第2経路(図8のS53)に従ってサーバ200と通信する。すなわち、ECU150はDCM92cを通じてサーバ200と通信する。このように、DCM92cは、無線通信により、電力系統PGの電力調整のための充電指示を管理装置1000から受信するように構成される。上記充電指示に従うメインバッテリ11の外部充電(サーバ200による車両100のリモート制御)によって、電力系統PGの電力調整が行なわれる。
【0109】
上記充電制御(S63)の後、処理はS64に進む。また、S62においてNOと判断された場合には、処理はS63を経ずにS64へ進む。S64では、所定の実行条件(以下、「実行条件X」とも称する)が成立するか否かを、ECU150が判断する。実行条件Xは、補機バッテリ82の充電実行条件に相当する。この実施の形態では、実行条件Xが、メインバッテリ11のSOCが所定の第1SOC値以上であること(第1SOC要件)と、補機バッテリ82のSOCが所定の第2SOC値以下であること(第2SOC要件)とを含む。実行条件Xが成立するためには、第1SOC要件と第2SOC要件との両方が満たされる必要がある。ただしこれに限られず、実行条件Xは任意に設定できる。
【0110】
実行条件Xが成立する場合には(S64にてYES)、ECU150が、S65において、メインバッテリ11から補機バッテリ82への電力供給が実行されるように、SMR12及びDC/DCコンバータ81を制御する。このように、メインバッテリ11は補機バッテリ82に電力を供給するように構成される。
【0111】
上記のように補機バッテリ82の充電(S65)が実行されると、処理は最初のステップ(S61)に戻る。実行条件Xが成立しない場合には(S64にてNO)、補機バッテリ82の充電(S65)が実行されることなく、処理は最初のステップ(S61)に戻る。図9に示す一連の処理は、所定周期で繰返し実行される。
【0112】
図10は、車両100によって実行される充電開始制御に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車両100がプラグイン状態になると、開始される。
【0113】
図1図3とともに図10を参照して、S71では、メインバッテリ11の外部充電が実行されているか否かを、ECU150が判断する。車両100にタイマ充電が予約されていない場合には、即時充電が実行される。即時充電が実行された場合には、S71においてYESと判断され、図10に示す一連の処理は終了する。即時充電が実行されない場合には、S71においてNOと判断され、処理がS72に進む。
【0114】
S72では、DCM92cの累積通信回数NがU0(図4)よりも小さい所定回数(以下、「U3」と表記する)以上であるか否かを、ECU150が判断する。累積通信回数Nは、前述した図5の処理によって更新される。累積通信回数NがU3に達していない場合には(S72にてNO)、ECU150が、S73において、車両100がプラグアウト状態(PinFlag=「0」)になったか否かを判断する。車両100がプラグイン状態を維持していれば(S73にてNO)、処理が最初のステップ(S71)に戻る。他方、車両100がプラグアウト状態になると(S73にてYES)、図10に示す一連の処理は終了する。
【0115】
車両100が電力系統PGと電気的に接続された状態で、メインバッテリ11の充電が行なわれることなく(S71にてNO)、DCM92cの累積通信回数NがU3に達すると(S72にてYES)、ECU150が、S74においてメインバッテリ11の外部充電を開始する。S74では、電力系統PGから供給される電力によってメインバッテリ11が充電される。
【0116】
S74の処理が実行されると、図10に示す一連の処理は終了し、図示しない充電制御が開始される。充電制御の詳細については割愛するが、所定の終了条件が成立するまでメインバッテリ11の外部充電は継続される。そして、終了条件が成立すると、ECU150によって外部充電が停止される。たとえば、メインバッテリ11のSOCが所定SOC値以上になったときに終了条件が成立してもよい。終了条件に係る所定SOC値は、ユーザによって設定されてもよい。
【0117】
以上説明したように、この実施の形態に係る通信制御方法は、図4図10に示した処理を含む。車両100(制御対象)が第2プラグイン状態である場合には、図8のS54の処理により、第2経路に従ってサーバ200から車両100へ充電指令が送信される。そして、車両100が、DCM92c(無線通信機)を通じて、電力系統PG(外部電源)の電力調整のための制御指令(充電指令)を管理装置1000から受信する。車両100が制御指令を受信すると、図9のS62においてYESと判断される。電力系統PGと車両100とが電気的に接続されていない状態で(図4のS133)、DCM92cの累積通信回数N(図5のS25)がU0(図4のS143)に達したときには(図6のS31にてYES)、車両100が、DCM92cによる無線通信を禁止する(図5のS21にてNO)。電力系統PGと車両100とが電気的に接続されている状態で(図4のS131又はS132)、DCM92cの累積通信回数N(図5のS25)がU0よりも大きいU1又はU2(図4のS141又はS142)に達したときには(図6のS31にてYES)、DCM92cによる無線通信を禁止する(図5のS21にてNO)。
【0118】
上記通信制御方法によれば、累積通信回数Nが所定値(U0、U1、又はU2)に達したときに通信制限条件が成立する。通信制限条件が成立したときにDCM92cによる無線通信が制限される。これにより、補機バッテリ82の電力消費が抑制され、補機バッテリ82の蓄電残量が不足しにくくなる。ECU150は、上記通信制限条件が成立したときに、DCM92cの駆動電力の生成が抑制されるようにDCM92cの電源回路を制御してもよい。上記通信制御方法では、電力系統PGと車両100とが電気的に接続されている場合には、電力系統PGと車両100とが電気的に接続されていない場合よりも通信制限条件が成立しにくくなる。このため、管理装置1000(たとえば、サーバ200)が、無線通信により車両100を遠隔操作して、電力系統PGの電力調整のための車両制御(たとえば、メインバッテリ11の充電制御)を行ないやすくなる。
【0119】
図4図10の各々に示した処理は、適宜変更可能である。たとえば、無線通信を制限するための処理は、無線通信の禁止に限られず、無線通信の頻度を所定頻度以下に制限する処理であってもよい。また、ECU150は、図7に示した処理の代わりに、以下に説明する図11に示す一連の処理を実行してもよい。
【0120】
図11は、図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。この変形例に係る車両100でも、前述した図10に示した処理により、電力系統PGから供給される電力によるメインバッテリ11の充電中に、メインバッテリ11が補機バッテリ82へ電力を供給する。また、補機バッテリ82は車両100の走行中に充電される。たとえば、車両100の走行中には、MG20が発電した電力により、メインバッテリ11の回生充電が実行される。そして、車両100の走行中に補機バッテリ82のSOCが所定値よりも低くなった場合には、メインバッテリ11から補機バッテリ82へ電力が供給される。
【0121】
図1図3とともに図11を参照して、S81では、車両100が走行中であるか否かを、ECU150が判断する。車両100が走行中である場合には(S81にてYES)、ECU150が、S82において累積走行時間M1をインクリメントする。これにより、累積走行時間M1に所定単位時間が加算される。累積走行時間M1は、車両100の継続的な走行時間に相当し、たとえば記憶装置153に記憶されている。その後、ECU150は、S83において、累積走行時間M1が第2閾値(以下、「Th2」と表記する)以上であるか否かを判断する。他方、車両100が走行中ではない場合には(S81にてNO)、S84において、累積走行時間M1が初期値(0秒)にリセットされる。
【0122】
累積走行時間M1がTh2以上である場合には(S83にてYES)、処理がS89に進む。S83においてYESと判断されることは、累積通信回数Nのリセット条件が成立したことを意味する。他方、累積走行時間M1がTh2未満である場合には(S83にてNO)、処理がS85に進む。
【0123】
S85では、車両100が外部充電を実行しているか否かを、ECU150が判断する。車両100が外部充電中である場合には(S85にてYES)、ECU150が、S86において累積充電時間M2をインクリメントする。これにより、累積充電時間M2に所定単位時間が加算される。累積充電時間M2は、メインバッテリ11の充電継続時間に相当し、たとえば記憶装置153に記憶されている。その後、ECU150は、S87において、累積充電時間M2が第3閾値(以下、「Th3」と表記する)以上であるか否かを判断する。他方、車両100が外部充電中ではない場合には(S85にてNO)、S88において、累積充電時間M2が初期値(0秒)にリセットされる。
【0124】
累積充電時間M2がTh3以上である場合には(S87にてYES)、処理がS89に進む。S87においてYESと判断されることは、累積通信回数Nのリセット条件が成立したことを意味する。他方、累積充電時間M2がTh3未満である場合には(S87にてNO)、処理はS89を経ずに最初のステップ(S81)に戻る。
【0125】
累積通信回数Nのリセット条件が成立すると(S83又はS87にてYES)、ECU150は、S89において累積通信回数Nを初期値(0回)にリセットする。S89の処理が実行されると、処理は最初のステップ(S81)に戻る。図11に示す一連の処理は、所定周期で繰返し実行される。
【0126】
上記変形例に係る車両100では、車両100の継続的な走行時間(累積走行時間M1)が第2閾値(Th2)を超えた場合に(S83にてYES)、ECU150がDCM92cの累積通信回数Nをリセットする(S89)。車両100が長期間にわたって継続的に走行した場合には、メインバッテリ11から供給される電力によって補機バッテリ82のSOCが十分高くなると推定される。また、メインバッテリ11の充電継続時間(累積充電時間M2)が第3閾値(Th3)を超えた場合にも(S87にてYES)、ECU150がDCM92cの累積通信回数Nをリセットする(S89)。長期間にわたってメインバッテリ11の充電が継続された場合には、メインバッテリ11から供給される電力によって補機バッテリ82のSOCが十分高くなると推定される。監視モジュール82aによって補機バッテリ82のSOCを高い精度で検出できるとは限らない。この点、上記構成(図11参照)によれば、補機バッテリ82のSOCを高い精度で検出できない形態でも、累積通信回数Nのリセットを的確に行なうことが可能になる。累積通信回数Nがリセットされることで、DCM92c(無線通信機)が利用可能になる。
【0127】
図11に示した処理(特に、S82~S84)において、累積走行時間M1の代わりに、車両100の継続的な走行距離(km)を示すパラメータが採用されてもよい。また、図11に示した処理(特に、S86~S88)において、累積充電時間M2の代わりに、メインバッテリ11の継続的な充電による充電電力量(kWh)を示すパラメータが採用されてもよい。
【0128】
上記実施の形態では、車両100(ECU150)が第1EVSEと第2EVSEとを判別している。しかしこれに限られず、サーバ200又は500が、充電場所(すなわち、プラグイン状態になった車両100の位置)に基づいて、車両100と電気的に接続されたEVSEがEVSE300A(第1EVSE)とEVSE300B(第2EVSE)とのいずれに該当するかを判別してもよい。たとえば、サーバ200又は500は、充電場所が車両100のユーザの職場である場合に、車両100がEVSE300Aと電気的に接続されたと判断してもよい。また、サーバ200又は500は、充電場所が車両100のユーザの自宅である場合に、車両100がEVSE300Bと電気的に接続されたと判断してもよい。なお、充電場所は、自宅及び職場に限られず、適宜変更可能である。
【0129】
電力系統PG(外部電源)は、電力会社が提供する大規模な交流グリッドに限られず、マイクログリッドであってもよいし、DC(直流)グリッドであってもよい。また、管理システムの構成は、図1に示した構成に限られない。サーバ700とサーバ200との間に他のサーバ(たとえば、上位アグリゲータのサーバ)が設けられてもよい。サーバ200は、他のサーバを介してサーバ700と通信を行なってもよい。また、サーバ500の機能がサーバ200に実装され、サーバ500が割愛されてもよい。サーバ200が車群1と直接的に無線通信を行なってもよい。上記実施の形態では、オンプレミスサーバ(図1に示したサーバ200及び500)が、車群1を管理するコンピュータとして機能する。しかしこれに限られず、クラウドコンピューティングによってクラウド上にサーバ200及び500の機能(特に、車群管理に係る機能)が実装されてもよい。管理装置1000は、アグリゲータではなく、他の電気事業者(たとえば、TSO)に帰属してもよい。
【0130】
車両の構成は、前述した構成(図2参照)に限られない。車両は、充電器61の代わりに、充電回路及び放電回路の両方として機能する充放電器(充放電回路)を備えてもよい。インレット60は、充電口及び放電口の両方として機能してもよい。また、車両は、第1給電設備と第2給電設備とのいずれか一方のみに接続可能なインレットを備えてもよい。車両は、車載バッテリから放電される電力をEVSEの代わりに放電コネクタを介して外部電源へ出力してもよい。車載バッテリは、交換式であってもよい。車両は、BEV以外のxEV(PHEV、FCEV、レンジエクステンダーEVなど)であってもよい。
【0131】
車輪の数は4輪に限られず3輪でも5輪以上でもよい。車両は非接触充電可能に構成されてもよい。車両はソーラーパネルを備えてもよい。車両は、自動運転可能に構成されてもよいし、飛行機能を備えてもよい。車両は、乗用車に限られず、バス又はトラックであってもよい。車両は、MaaS(Mobility as a Service)車両であってもよい。MaaS車両は、MaaS事業者が管理する車両である。車両は、無人で走行可能な車両(たとえば、ロボタクシー、無人搬送車(AGV)、又は農業機械)であってもよい。車両は、無人又は1人乗りの小型BEV(たとえば、マイクロパレット)であってもよい。
【0132】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0133】
1 車群、2 EVSE群、11 メインバッテリ、20 MG、60 インレット、61 充電器、82 補機バッテリ、91 高圧負荷、92 低圧負荷、92a HMI、92b NAVI、92c DCM、100 車両、150 ECU、200,500,700 サーバ、300A,300B EVSE、310A 通信装置、1000 管理装置、PG 電力系統、UT モバイル端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11