IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許-走行設備 図1
  • 特許-走行設備 図2
  • 特許-走行設備 図3
  • 特許-走行設備 図4
  • 特許-走行設備 図5
  • 特許-走行設備 図6
  • 特許-走行設備 図7
  • 特許-走行設備 図8
  • 特許-走行設備 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】走行設備
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20240827BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240827BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240827BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240827BHJP
   B66C 13/12 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B61B13/00 K
B60L5/00 B
B60M7/00 X
B60L53/12
B66C13/12 D
B61B13/00 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022080056
(22)【出願日】2022-05-16
(65)【公開番号】P2023168764
(43)【公開日】2023-11-29
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉成
(72)【発明者】
【氏名】田村 健二
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-254669(JP,A)
【文献】実開平05-001646(JP,U)
【文献】特開昭61-102377(JP,A)
【文献】特開2003-237570(JP,A)
【文献】特開2008-195471(JP,A)
【文献】特開2003-284201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0063909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B60L 5/00
B60M 7/00
B60L 53/12
B66C 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を備えた走行設備であって、
第1方向に沿って配置され、前記車両が走行する第1レールと、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置され、前記車両が走行する第2レールと、
前記第1方向に沿って配置された第1給電線と、
前記第2方向に沿って配置された第2給電線と、を備え、
前記車両は、前記第1給電線から受電する第1受電装置と、前記第2給電線から受電する第2受電装置と、を備え、
前記第1受電装置は、第1受電部と、前記第1受電部の姿勢を前記第1給電線からの受電を行う第1受電姿勢と前記第1給電線からの受電を行わない第1非受電姿勢とに姿勢変更させる第1受電駆動部と、を備え、
前記第2受電装置は、第2受電部と、前記第2受電部の姿勢を前記第2給電線からの受電を行う第2受電姿勢と前記第2給電線からの受電を行わない第2非受電姿勢とに姿勢変更させる第2受電駆動部と、を備え、
前記第1受電部は、前記第1受電姿勢において、前記第1方向に沿う第1方向視で前記第1レール及び前記第1給電線に重複せず、前記第2方向に沿う第2方向視で前記第1レール及び前記第1給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第1受電部は、前記第1非受電姿勢において、前記第1レール、前記第1給電線、前記第2レール、及び前記第2給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複せず、
前記第2受電部は、前記第2受電姿勢において、前記第2方向視で前記第2レール及び前記第2給電線に重複せず、前記第1方向視で前記第2レール及び前記第2給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第2受電部は、前記第2非受電姿勢において、前記第2レール、前記第2給電線、前記第1レール、及び前記第1給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複しない、走行設備。
【請求項2】
前記第1受電装置及び前記第2受電装置を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記車両が前記第1レールを走行する場合に、前記第1受電部を前記第1受電姿勢とするように前記第1受電駆動部を制御すると共に、前記第2受電部を前記第2非受電姿勢とするように前記第2受電駆動部を制御し、
前記車両が前記第2レールを走行する場合に、前記第2受電部を前記第2受電姿勢とするように前記第2受電駆動部を制御すると共に、前記第1受電部を前記第1非受電姿勢とするように前記第1受電駆動部を制御する、請求項1に記載の走行設備。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1受電部が前記第1受電姿勢であって前記第2受電部が前記第2非受電姿勢である状態と、前記第1受電部が前記第1非受電姿勢であって前記第2受電部が前記第2受電姿勢である状態との間で状態変更を行う場合に、当該状態変更の途中で前記第1受電部が前記第1受電姿勢であって前記第2受電部が前記第2受電姿勢である状態とするように、前記第1受電駆動部及び前記第2受電駆動部を制御する、請求項2に記載の走行設備。
【請求項4】
前記車両は、
第1車輪と、前記第1車輪の姿勢を第1走行姿勢と第1非走行姿勢とに姿勢変更させる第1車輪駆動部と、を備えた第1走行ユニットと、
第2車輪と、前記第2車輪の姿勢を第2走行姿勢と第2非走行姿勢とに姿勢変更させる第2車輪駆動部と、を備えた第2走行ユニットと、を備え、
前記第1車輪は、前記第1走行姿勢において、前記第1レールの上面に接触して転動すると共に、前記第2方向視で前記第1レール及び前記第1給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第1車輪は、前記第1非走行姿勢において、前記第1レールから離間していると共に、前記第1レール、前記第1給電線、前記第2レール、及び前記第2給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複せず、
前記第2車輪は、前記第2走行姿勢において、前記第2レールの上面に接触して転動すると共に、前記第1方向視で前記第2レール及び前記第2給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第2車輪は、前記第2非走行姿勢において、前記第2レールから離間していると共に、前記第2レール、前記第2給電線、前記第1レール、及び前記第1給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複しない、請求項1から3のいずれか一項に記載の走行設備。
【請求項5】
前記第1受電駆動部と前記第1車輪駆動部とが、共用の第1支持機構と、前記第1支持機構を動作させる第1駆動源と、を備え、
前記第2受電駆動部と前記第2車輪駆動部とが、共用の第2支持機構と、前記第2支持機構を動作させる第2駆動源と、を備え、
前記第1受電部及び前記第1車輪が、前記第1支持機構に取り付けられ、
前記第2受電部及び前記第2車輪が、前記第2支持機構に取り付けられ、
前記第1駆動源が前記第1支持機構を動作させることにより、前記第1受電部が前記第1受電姿勢かつ前記第1車輪が前記第1走行姿勢となる第1稼働姿勢と、前記第1受電部が前記第1非受電姿勢かつ前記第1車輪が前記第1非走行姿勢となる第1休止姿勢とに、前記第1支持機構が姿勢変更し、
前記第2駆動源が前記第2支持機構を動作させることにより、前記第2受電部が前記第2受電姿勢かつ前記第2車輪が前記第2走行姿勢となる第2稼働姿勢と、前記第2受電部が前記第2非受電姿勢かつ前記第2車輪が前記第2非走行姿勢となる第2休止姿勢とに、前記第2支持機構が姿勢変更する、請求項4に記載の走行設備。
【請求項6】
前記第2レールは、前記第1レールに対して上側に離間して配置され、
前記第2給電線は、前記第1給電線に対して上側に離間して配置され、
前記第2支持機構は、前記第2方向に沿う揺動軸心回りに揺動するように前記車両の車体に支持され、
前記第2支持機構が前記第2休止姿勢から前記第2稼働姿勢に姿勢変更する場合に、前記第2車輪が前記第2支持機構の揺動によって前記第2レールの上面に接触する位置に配置されると共に、前記第2受電部が前記第2給電線に対して側方から対向する位置に配置される、請求項5に記載の走行設備。
【請求項7】
前記第1レールは、前記第2レールに対して下側に離間して配置され、
前記第1給電線は、前記第2給電線に対して下側に離間して配置され、
前記第1支持機構は、前記第1方向に沿う揺動軸心回りに揺動するように前記車両の車体に支持され、
前記第1支持機構が前記第1休止姿勢から前記第1稼働姿勢に姿勢変更する場合に、前記第1車輪が前記第1レールに対して上側から下降して前記第1レールの上面に接触する位置に配置されると共に、前記第1受電部が前記第1給電線に対して上側から対向する位置に配置される、請求項5に記載の走行設備。
【請求項8】
前記車両は、車体と、前記車体の内部に設けられて搬送対象となる物品を収容する物品収容部と、前記第1受電部を収容する第1収容部と、前記第2受電部を収容する第2収容部と、を備え、
前記物品収容部は、前記車体の下面に開口するように形成され、
前記第1収容部は、前記車体の側面に設けられ、
前記第2収容部は、前記車体の上面に設けられている、請求項1に記載の走行設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を備えた走行設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2002-078102号公報(特許文献1)には、走行レール(1)に沿って配置された給電線(2)から受電した電力を用いて走行する搬送車(3)が開示されている。なお、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、搬送車(3)から車体幅方向の外側に突出する給電コイル(4)が、給電線(2)に対して上下方向視で重複する位置に配置されており、これにより、給電コイル(4)を介して給電線(2)から受電を行っている。そして、搬送車(3)の故障時には、給電コイル(4)を車体幅方向の内側に向けて水平に後退させることで、給電コイル(4)を給電線(2)に対して上下方向視で重複しない位置に配置する。これにより、特許文献1に開示された技術では、故障した搬送車(3)を走行レール(1)から吊り上げて撤去する際に、給電コイル(4)が給電線(2)に干渉しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-078102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上下方向視で互いに交差する複数の方向に沿って搬送車を走行させる場合にも、各方向に沿って給電線を配置して、受電しながら搬送車を走行させることが考えられる。しかしながら、この場合、特許文献1に開示された技術のように搬送車の給電コイルを搬送車側に水平に後退させるだけでは、その状態から搬送車を交差方向に走行させると、給電コイルが走行レール又は給電線と干渉し得る。そのため、搬送車を適切に走行させ難いという問題がある。
【0006】
上記実状に鑑みて、上下方向視で互いに交差する方向に沿って配置された給電線から受電しつつ、各方向に沿って適切に車両を走行させることが可能な技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車両を備えた走行設備であって、
第1方向に沿って配置され、前記車両が走行する第1レールと、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置され、前記車両が走行する第2レールと、
前記第1方向に沿って配置された第1給電線と、
前記第2方向に沿って配置された第2給電線と、を備え、
前記車両は、前記第1給電線から受電する第1受電装置と、前記第2給電線から受電する第2受電装置と、を備え、
前記第1受電装置は、第1受電部と、前記第1受電部の姿勢を前記第1給電線からの受電を行う第1受電姿勢と前記第1給電線からの受電を行わない第1非受電姿勢とに姿勢変更させる第1受電駆動部と、を備え、
前記第2受電装置は、第2受電部と、前記第2受電部の姿勢を前記第2給電線からの受電を行う第2受電姿勢と前記第2給電線からの受電を行わない第2非受電姿勢とに姿勢変更させる第2受電駆動部と、を備え、
前記第1受電部は、前記第1受電姿勢において、前記第1方向に沿う第1方向視で前記第1レール及び前記第1給電線に重複せず、前記第2方向に沿う第2方向視で前記第1レール及び前記第1給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第1受電部は、前記第1非受電姿勢において、前記第1レール、前記第1給電線、前記第2レール、及び前記第2給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複せず、
前記第2受電部は、前記第2受電姿勢において、前記第2方向視で前記第2レール及び前記第2給電線に重複せず、前記第1方向視で前記第2レール及び前記第2給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第2受電部は、前記第2非受電姿勢において、前記第2レール、前記第2給電線、前記第1レール、及び前記第1給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複しない。
【0008】
本構成によれば、車両が第1レールを走行する場合と第2レールを走行する場合とのそれぞれにおいて、適切に給電線から受電することができる。車両が第1レールを走行する場合には、車両が第2レールを走行する場合に受電を行う第2受電部を第2非受電姿勢とする。第2受電部は、第2非受電姿勢の状態では、第2レール、第2給電線、第1レール、及び第1給電線に対して第1方向視及び第2方向視で重複しないため、これらのレールや給電線に第2受電部を干渉させることなく、車両を第1レールに沿って適切に走行させることができる。また、車両が第2レールを走行する場合には、車両が第1レールを走行する場合に受電を行う第1受電部を第1非受電姿勢とする。第1受電部は、第1非受電姿勢の状態では、第1レール、第1給電線、第2レール、及び第2給電線に対して第1方向視及び第2方向視で重複しないため、これらのレールや給電線に第1受電部を干渉させることなく、車両を第2レールに沿って適切に走行させることができる。以上のように、本構成によれば、上下方向視で互いに交差する第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って配置された給電線から受電しつつ、各方向に沿って適切に車両を走行させることが可能となる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】走行設備の平面図
図2】制御ブロック図
図3】第1受電姿勢及び第1走行姿勢の車両を示す第1方向視図
図4】第1非受電姿勢及び第1非走行姿勢の車両を示す第1方向視図
図5】第2受電姿勢及び第2走行姿勢の車両を示す第2方向視図
図6】第2非受電姿勢及び第2非走行姿勢の車両を示す第2方向視図
図7】車両が第1方向を走行する状態と第2方向を走行する状態との間で移行する途中の状態を示す第1方向視図
図8】その他の実施形態における走行設備を示す第2方向視図
図9】その他の実施形態における走行設備を示す第1方向視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
走行設備は、車両を備えている。走行設備は、例えば、物品の搬送を行う物品搬送設備に利用される。この場合、車両は、物品を搬送する物品搬送車として構成される。物品搬送設備で取り扱われる物品としては、様々なものがある。例えば半導体製造工場では、ウェハを収容するウェハ収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)や、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)などが、物品とされる。物品に収容されたウェハやレチクルなどは、車両によって各工程間を搬送される。以下、走行設備が物品搬送設備に利用される場合を例示して、走行設備の実施形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、走行設備100は、第1方向Xに沿って配置され、車両Vが走行する第1レールR1と、上下方向に沿う上下方向視で第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って配置され、車両Vが走行する第2レールR2と、を備えている。本実施形態では、第1方向X及び第2方向Yは、いずれも水平方向である。
【0013】
第1レールR1と第2レールR2とは、異なる高さに配置されている。本実施形態では、第1レールR1は、第2レールR2に対して下側に離間して配置されている。そして、第2レールR2は、第1レールR1に対して上側に離間して配置されている。
【0014】
第1方向Xに沿って配置された第1レールR1と第2方向Yに沿って配置された第2レールR2とは、上下方向視で交差している。本実施形態では、第1方向Xと第2方向Yとは、上下方向視で直交している。従って、第1レールR1と第2レールR2とは、上下方向視で直交するように配置されている。
【0015】
本実施形態では、走行設備100は、複数の第1レールR1と複数の第2レールR2とを備えている。複数の第1レールR1は、同じ高さにおいて、第2方向Yに並ぶように互いに平行に配置されている。複数の第2レールR2は、同じ高さにおいて、第1方向Xに並ぶように互いに平行に配置されている。本実施形態では、複数の第1レールR1と複数の第2レールR2とは、上下方向視で格子状を成すように配置されている。
【0016】
本実施形態では、第1レールR1は、第2方向Yに離間すると共に第1方向Xに沿って延在する一対の第1レール体R1aを含む。車両Vは、第1レールR1を構成する一対の第1レール体R1aによって支持されながら、第1方向Xに沿って走行するように構成されている。
【0017】
本実施形態では、第1レール体R1aは、第2方向Yの一方側で車両Vを支持すると共に、第2方向Yの他方側で他の車両Vを支持するように構成されている。すなわち、図3に示すように、第1レール体R1aは、後述する第1車輪121が転動するための第1走行面F10を一対備えている。また本例では、第1レール体R1aは、後述する第1案内輪123が転動するための第1案内面F11を一対備えている。このように、本例では、1つの第1レール体R1aは、第2方向Yに並ぶと共に第1方向Xに沿って並走する2台の車両Vを支持可能に構成されている(図中では1台の車両Vのみを示している。)。
【0018】
本実施形態では、第2レールR2は、第1方向Xに離間すると共に第2方向Yに沿って延在する一対の第2レール体R2aを含む。車両Vは、第2レールR2を構成する一対の第2レール体R2aによって支持されながら、第2方向Yに沿って走行するように構成されている。
【0019】
本実施形態では、第2レール体R2aは、第1方向Xの一方側で車両Vを支持すると共に、第1方向Xの他方側で他の車両Vを支持するように構成されている。すなわち、図5に示すように、第2レール体R2aは、後述する第2車輪221が転動するための第2走行面F20を一対備えている。また本例では、第2レール体R2aは、後述する第2案内輪223が転動するための第2案内面F21を一対備えている。このように、本例では、1つの第2レール体R2aは、第1方向Xに並ぶと共に第2方向Yに沿って並走する2台の車両Vを支持可能に構成されている(図中では1台の車両Vのみを示している。)。
【0020】
走行設備100は、第1方向Xに沿って配置された第1給電線L1(図3参照)と、第2方向Yに沿って配置された第2給電線L2(図5参照)と、を備えている。本実施形態では、第1給電線L1は、第2給電線L2に対して下側に離間して配置されている。そして、第2給電線L2は、第1給電線L1に対して上側に離間して配置されている。
【0021】
図3に示すように、本実施形態では、第1給電線L1は、第1レールR1に沿って配置されている。詳細には、第1給電線L1は、第1レールR1を構成する一対の第1レール体R1aのそれぞれに沿って配置されている。本例では、第1レール体R1aには、第1給電線L1を第1方向Xに亘って保持する第1保持部R1bが設けられている。第1給電線L1は、第1保持部R1bに保持されることによって、第1方向Xに沿って配置される。図示の例では、第1保持部R1bは、第1レール体R1aから第2方向Yに突出するように配置されている。
【0022】
図5に示すように、本実施形態では、第2給電線L2は、第2レールR2に沿って配置されている。詳細には、第2給電線L2は、第2レールR2を構成する一対の第2レール体R2aのそれぞれに沿って配置されている。本例では、第2レール体R2aには、第2給電線L2を第2方向Yに亘って保持する第2保持部R2bが設けられている。第2給電線L2は、第2保持部R2bに保持されることによって、第2方向Yに沿って配置される。図示の例では、第2保持部R2bは、第2レール体R2aから下側に突出するように配置されている。
【0023】
車両Vは、第1方向X及び第2方向Yのそれぞれに沿って走行するように構成されている。車両Vは、第1方向Xに沿って走行する場合には、第1レールR1に支持されながら走行する。車両Vは、第2方向Yに沿って走行する場合には、第2レールR2に支持されながら走行する。
【0024】
図3に示すように、本実施形態では、車両Vは、車体Bと、車体Bの内部に設けられて搬送対象となる物品Wを収容する物品収容部Swを備えている。物品収容部Swは、車体Bの下面に開口するように形成されている。車両Vは、物品収容部Swと、第1レールR1及び第2レールR2よりも下側に設けられた移載対象箇所(不図示)と、の間で物品Wを昇降させることにより、当該物品Wを移載するように構成されている。上述のように、物品収容部Swが車体Bの下面に開口するように形成されていることで、物品収容部Swと移載対象箇所との間で物品Wを昇降させることが容易となっている。
【0025】
車両Vは、第1給電線L1から受電する第1受電装置11(図3参照)と、第2給電線L2から受電する第2受電装置21(図5参照)と、を備えている。本実施形態では、車両Vは、第1レールR1を走行するための第1走行ユニット12(図3参照)と、第2レールR2を走行するための第2走行ユニット22(図5参照)と、を備えている。本例では、車両Vは、一対の第1受電装置11と一対の第1走行ユニット12とを備えている。一対の第1受電装置11は、第2方向Yに離間して配置されており、一対の第1走行ユニット12は、第2方向Yに離間して配置されている(図3参照)。また本例では、車両Vは、一対の第2受電装置21と一対の第2走行ユニット22とを備えている。一対の第2受電装置21は、第1方向Xに離間して配置されており、一対の第2走行ユニット22は、第1方向Xに離間して配置されている(図5参照)。
【0026】
車両Vは、第1受電装置11により得た電力を用いて、第1走行ユニット12によって第1レールR1を走行するように構成されている。具体的には、車両Vは、当該電力を用いて第1車輪121を回転させて、第1レールR1を走行する。また、車両Vは、第2受電装置21により得た電力を用いて、第2走行ユニット22によって第2レールR2を走行するように構成されている。具体的には、車両Vは、当該電力を用いて第2車輪221を回転させて、第2レールR2を走行する。なお、車両Vは、各受電装置11、21により得た電力の一部又は全部をバッテリに蓄電し、当該バッテリに蓄電した電力を用いて各レールR1、R2を走行するように構成されていてもよい。
【0027】
図2に示すように、走行設備100は、第1受電装置11及び第2受電装置21を制御する制御装置Cを備えている。本実施形態では、制御装置Cは、第1受電装置11及び第2受電装置21に加えて、第1走行ユニット12及び第2走行ユニット22を制御する。本例では、制御装置Cは、車両Vに搭載され、当該車両Vの各部を制御するように構成されている。制御装置Cは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各処理または各機能が実現される。
【0028】
第1受電装置11は、第1受電部111と、第1受電部111の姿勢を第1給電線L1からの受電を行う第1受電姿勢と第1給電線L1からの受電を行わない第1非受電姿勢とに姿勢変更させる第1受電駆動部112と、を備えている。制御装置Cは、第1受電駆動部112に制御信号を送信するように構成されている。制御装置Cからの制御信号を受信した第1受電駆動部112は、当該制御信号に基づいて第1受電部111の支持機構(本実施形態では、後述する第1支持機構10)を駆動して、当該支持機構に第1受電部111の姿勢変更を行わせる。なお、第1受電姿勢及び第1非受電姿勢について、詳細は後述する。
【0029】
第1走行ユニット12は、第1車輪121と、第1車輪121の姿勢を第1走行姿勢と第1非走行姿勢とに姿勢変更させる第1車輪駆動部122と、を備えている。制御装置Cは、第1車輪駆動部122に制御信号を送信するように構成されている。制御装置Cからの制御信号を受信した第1車輪駆動部122は、当該制御信号に基づいて第1車輪121の支持機構(本実施形態では、後述する第1支持機構10)を駆動して、当該支持機構に第1車輪121の姿勢変更を行わせる。なお、第1走行姿勢及び第1非走行姿勢について、詳細は後述する。
【0030】
第2受電装置21は、第2受電部211と、第2受電部211の姿勢を第2給電線L2からの受電を行う第2受電姿勢と第2給電線L2からの受電を行わない第2非受電姿勢とに姿勢変更させる第2受電駆動部212と、を備えている。制御装置Cは、第2受電駆動部212に制御信号を送信するように構成されている。制御装置Cからの制御信号を受信した第2受電駆動部212は、当該制御信号に基づいて第2受電部211の支持機構(本実施形態では、後述する第2支持機構20)を駆動して、当該支持機構に第2受電部211の姿勢変更を行わせる。なお、第2受電姿勢及び第2非受電姿勢について、詳細は後述する。
【0031】
第2走行ユニット22は、第2車輪221と、第2車輪221の姿勢を第2走行姿勢と第2非走行姿勢とに姿勢変更させる第2車輪駆動部222と、を備えている。制御装置Cは、第2車輪駆動部222に制御信号を送信するように構成されている。制御装置Cからの制御信号を受信した第2車輪駆動部222は、当該制御信号に基づいて第2車輪221の支持機構(本実施形態では、後述する第2支持機構20)を駆動して、当該支持機構に第2車輪221の姿勢変更を行わせる。なお、第2走行姿勢及び第2非走行姿勢について、詳細は後述する。
【0032】
図3に示すように、制御装置Cは、車両Vを第1方向Xに沿って走行させる場合に、第1受電部111を第1受電姿勢とさせるように第1受電駆動部112を制御する。
【0033】
第1受電部111は、第1受電姿勢において第1給電線L1から受電を行う。説明を加えると、第1給電線L1を流れる電流によって、第1給電線L1の側に磁界が発生する。第1受電部111は、コイルユニットと磁性体とを含む。第1受電部111は、第1給電線L1の側で発生した磁界により第1受電部111に起電力が生じる電磁誘導を利用して、第1給電線L1から受電を行う。
【0034】
第1受電部111は、第1受電姿勢において、第1方向Xに沿う第1方向X視で第1レールR1及び第1給電線L1に重複せず、第2方向Yに沿う第2方向Y視で第1レールR1及び第1給電線L1の少なくとも一方に重複する。図3に示す例では、第1受電部111は、第1受電姿勢において、第2方向Y視で第1レールR1及び第1給電線L1の双方に重複する。
【0035】
本実施形態では、第1受電部111は、第1受電姿勢において、第1給電線L1を上方及び第2方向Yの両側から囲むように配置される。また、第1受電部111における第1方向Xの両側は開放している。そのため、第1受電部111は、第1給電線L1を上方及び第2方向Yの両側から囲んだ第1受電姿勢を維持した状態で、第1方向Xに沿って移動可能となっている。
【0036】
図3に示すように、制御装置Cは、車両Vを第1方向Xに沿って走行させる場合に、第1車輪121を第1走行姿勢とさせるように第1車輪駆動部122を制御する。
【0037】
第1車輪121は、第1走行姿勢において、第1レールR1の上面(以下、「第1走行面F10」と称する。)に接触して転動すると共に、第2方向Y視で第1レールR1及び第1給電線L1の少なくとも一方に重複する。図3に示す例では、第1車輪121は、第1走行姿勢において、第2方向Y視で第1レールR1及び第1給電線L1の双方に重複する。
【0038】
本実施形態では、車両Vは、第1方向Xに沿って案内される第1案内輪123を備えている。第1案内輪123は、第1車輪121に対して位置が固定されており、第1車輪121の姿勢変更と連動して姿勢変更するように構成されている。第1案内輪123は、第1車輪121が第1走行姿勢である状態において、第1レールR1の案内面(以下、「第1案内面F11」と称する。)に接触して転動すると共に、第2方向Y視で第1レールR1及び第1給電線L1の少なくとも一方に重複する。図3に示す例では、第1案内輪123は、第1車輪121が第1走行姿勢である状態において、第2方向Y視で、第1レールR1及び第1給電線L1の双方に重複する。
【0039】
本実施形態では、第1走行面F10は、第1レールR1における上方を向く面により構成されている。第1案内面F11は、第1レールR1における第2方向Yを向く面により構成されている。第1車輪121が第1走行姿勢である状態において、第1車輪121の回転軸心が第2方向Yに沿い、第1車輪121の外周面が第1走行面F10に接触する。また、第1車輪121が第1走行姿勢である状態において、第1案内輪123の回転軸心が上下方向に沿い、第1案内輪123の外周面が第1案内面F11に接触する。
【0040】
図4に示すように、制御装置Cは、車両Vを第2方向Yに沿って走行させる場合に、第1受電部111を第1非受電姿勢とさせるように第1受電駆動部112を制御する。
【0041】
第1受電部111は、第1非受電姿勢において、第1レールR1、第1給電線L1、第2レールR2、及び第2給電線L2に対して(図3も参照)、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない。換言すれば、第1受電部111は、第1非受電姿勢において、第1レールR1、第1給電線L1、第2レールR2、及び第2給電線L2とは異なる高さに配置される。上述のように、第1受電部111は、第1受電姿勢では、第2方向Y視で第1レールR1及び第1給電線L1の双方に重複する(図3参照)。そのため、第1受電部111が第1受電姿勢の状態において車両Vが第2方向Yに沿って走行しようとすると、第1受電部111が第1レールR1及び第1給電線L1に干渉するため、車両Vは適切に走行できない。しかし、第1受電部111は、第1非受電姿勢となることで、第1レールR1及び第1給電線L1に加えて、第2レールR2及び第2給電線L2に対しても、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない(図4参照)。そのため、第1受電部111が第1非受電姿勢の状態では、車両Vが第2方向Yに沿って走行しようとしても、第1受電部111は上記の各部材に干渉することがない。従って、車両Vを第2方向Yに沿って適切に走行させることができる。このため、制御装置Cは、車両Vを第2方向Yに沿って走行させる場合に、第1受電部111を第1非受電姿勢とさせるように第1受電駆動部112を制御する。
【0042】
ここで、本実施形態では、車両Vは、第1受電部111を収容する第1収容部S1を備えている。第1受電部111の少なくとも一部が、第1受電部111の第1非受電姿勢において、第1収容部S1に収容される。本例では、第1収容部S1は、車体Bの側面(第2方向Yを向く面)に設けられている。
【0043】
図4に示すように、制御装置Cは、車両Vを第2方向Yに沿って走行させる場合に、第1車輪121を第1非走行姿勢とさせるように第1車輪駆動部122を制御する。
【0044】
第1車輪121は、第1非走行姿勢において、第1レールR1から離間していると共に、第1レールR1、第1給電線L1、第2レールR2、及び第2給電線L2に対して(図3も参照)、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない。換言すれば、第1車輪121は、第1非走行姿勢において、第1レールR1、第1給電線L1、第2レールR2、及び第2給電線L2とは異なる高さに配置される。上述のように、第1車輪121は、第1走行姿勢では、第2方向Y視で第1レールR1及び第1給電線L1の双方に重複する(図3参照)。そのため、第1車輪121が第1走行姿勢の状態において車両Vが第2方向Yに沿って走行しようとすると、第1車輪121が第1レールR1及び第1給電線L1に干渉するため、車両Vは適切に走行できない。しかし、第1車輪121は、第1非走行姿勢となることで、第1レールR1及び第1給電線L1に加えて、第2レールR2及び第2給電線L2に対しても、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない(図4参照)。そのため、第1車輪121が第1非走行姿勢の状態では、車両Vが第2方向Yに沿って走行しようとしても、第1車輪121は上記の各部材に干渉することがない。従って、車両Vを第2方向Yに沿って適切に走行させることができる。このため、制御装置Cは、車両Vを第2方向Yに沿って走行させる場合に、第1車輪121を第1非走行姿勢とさせるように第1車輪駆動部122を制御する。
【0045】
本実施形態では、第1案内輪123は、第1車輪121が第1非走行姿勢である状態において、第1レールR1から離間していると共に、第1レールR1、第1給電線L1、第2レールR2、及び第2給電線L2に対して、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない。換言すれば、第1案内輪123は、第1車輪121が第1非走行姿勢である状態において、第1レールR1、第1給電線L1、第2レールR2、及び第2給電線L2とは異なる高さに配置される。これにより、第1車輪121が第1非走行姿勢の状態では、車両Vが第2方向Yに沿って走行しようとしても、第1案内輪123についても上記の各部材に干渉することがない。従って、車両Vを第2方向Yに沿って適切に走行させることができる。
【0046】
図3及び図4に示すように、本実施形態では、第1受電部111の姿勢変更と第1車輪121の姿勢変更とが、互いに連動するように構成されている。本例では、第1受電部111の姿勢を変更させる第1受電駆動部112と第1車輪121の姿勢を変更させる第1車輪駆動部122とが、互いに連動するように構成されている。そのため、第1受電部111の姿勢変更と第1車輪121の姿勢変更とが、同時期に行われる。「連動」とは、複数の部材が、機械的構造により連動することの他、機械的構造は別であっても制御的に連動する場合も含む。「同時期」とは、同時の他、ある程度の時間差を有する期間を含む。
【0047】
本実施形態では、第1受電駆動部112と第1車輪駆動部122とが、共用の第1支持機構10と、第1支持機構10を動作させる第1駆動源M1と、を備えている。第1受電部111及び第1車輪121が、第1支持機構10に取り付けられている。本例では、第1受電部111と第1車輪121とは、同一の第1支持機構10に取り付けられていることによって互いに連動して姿勢変更するように構成されている。
【0048】
本実施形態では、第1支持機構10は、互いに回転自在に連結された複数のリンク部材を有するリンク機構10aと、リンク機構10aに取り付けられると共に第1受電部111及び第1車輪121を支持する第1支持部材10bと、を備えている。第1駆動源M1は、例えば電動モータを用いて構成されている。
【0049】
本実施形態では、リンク機構10aを構成する複数のリンク部材のそれぞれは、第1方向Xに沿う軸心回りに回転自在となるように、互いに連結されている。複数のリンク部材のうち、回転基端部が車体Bに連結されたリンク部材は、第1駆動源M1によって第1方向Xに沿う揺動軸心(以下、「第1揺動軸心Ax1」と称する。)回りに回転駆動されるように構成されている。すなわち、第1支持機構10は、第1方向Xに沿う第1揺動軸心Ax1回りに揺動するように車両Vの車体Bに支持されている。
【0050】
本実施形態では、第1支持部材10bは、リンク機構10aを構成する複数のリンク部材のうち何れかに対して固定されている。第1支持部材10bは、第1受電部111が第1受電姿勢の状態(図3に示される状態)において、車体Bよりも下側で第1受電部111を支持する。また、第1支持部材10bは、第1車輪121が第1走行姿勢の状態(図3に示される状態)において、車体Bよりも下側で第1車輪121を支持する。
【0051】
また、第1支持部材10bは、第1受電部111が第1非受電姿勢の状態(図4に示される状態)において、第1レールR1及び第1給電線L1よりも上側で第1受電部111を支持する。また、第1支持部材10bは、第1車輪121が第1非走行姿勢の状態(図4に示される状態)において、第1レールR1及び第1給電線L1よりも上側で第1車輪121を支持する。
【0052】
本実施形態では、第1駆動源M1が第1支持機構10を動作させることにより、第1受電部111が第1受電姿勢かつ第1車輪121が第1走行姿勢となる第1稼働姿勢(図3参照)と、第1受電部111が第1非受電姿勢かつ第1車輪121が第1非走行姿勢となる第1休止姿勢(図4参照)とに、第1支持機構10が姿勢変更する。そして、第1支持機構10が第1休止姿勢から第1稼働姿勢に姿勢変更する場合に、第1車輪121が第1レールR1に対して上側から下降して第1レールR1の上面(第1走行面F10)に接触する位置に配置されると共に、第1受電部111が第1給電線L1に対して上側から対向する位置に配置される(図3参照)。第1支持機構10が第1稼働姿勢から第1休止姿勢に姿勢変更する場合には、第1受電部111及び第1車輪121は、上記とは逆向きに動作する。そして、本例では、第1支持機構10が第1休止姿勢である状態において、第1受電部111の少なくとも一部が、第1収容部S1に収容される(図4参照)。
【0053】
図5に示すように、制御装置Cは、車両Vを第2方向Yに沿って走行させる場合に、第2受電部211を第2受電姿勢とさせるように第2受電駆動部212を制御する。
【0054】
第2受電部211は、第2受電姿勢において第2給電線L2から受電を行う。説明を加えると、第2給電線L2を流れる電流によって、第2給電線L2の側に磁界が発生する。第2受電部211は、コイルユニットと磁性体とを含む。第2受電部211は、第2給電線L2の側で発生した磁界により第2受電部211に起電力が生じる電磁誘導を利用して、第2給電線L2から受電を行う。
【0055】
第2受電部211は、第2受電姿勢において、第2方向Y視で第2レールR2及び第2給電線L2に重複せず、第1方向X視で第2レールR2及び第2給電線L2の少なくとも一方に重複する。図5に示す例では、第2受電部211は、第2受電姿勢において、第1方向X視で第2レールR2には重複せず、第1方向X視で第2給電線L2には重複する。
【0056】
本実施形態では、第2受電部211は、第2受電姿勢において、第2給電線L2を上下方向の両側及び第2方向Yの一方側(車体B側)から囲むように配置される。また、第2受電部211における第2方向Yの両側は開放している。そのため、第2受電部211は、第2給電線L2を上下方向の両側及び第2方向Yの一方側(車体B側)から囲んだ第2受電姿勢を維持した状態で、第2方向Yに沿って移動可能となっている。
【0057】
図5に示すように、制御装置Cは、車両Vを第2方向Yに沿って走行させる場合に、第2車輪221を第2走行姿勢とさせるように第2車輪駆動部222を制御する。
【0058】
第2車輪221は、第2走行姿勢において、第2レールR2の上面(以下、「第2走行面F20」と称する。)に接触して転動すると共に、第1方向X視で第2レールR2及び第2給電線L2の少なくとも一方に重複する。図5に示す例では、第2車輪221は、第2走行姿勢において、第1方向X視で第2レールR2には重複し、第1方向X視で第2給電線L2には重複しない。
【0059】
本実施形態では、車両Vは、第2方向Yに沿って案内される第2案内輪223を備えている。第2案内輪223は、第2車輪221に対して位置が固定されており、第2車輪221の姿勢変更と連動して姿勢変更するように構成されている。第2案内輪223は、第2車輪221が第2走行姿勢である状態において、第2レールR2の案内面(以下、「第2案内面F21」と称する。)に接触して転動すると共に、第1方向X視で第2レールR2及び第2給電線L2の少なくとも一方に重複する。図5に示す例では、第2案内輪223は、第2車輪221が第2走行姿勢である状態において、第1方向X視で第2レールR2には重複し、第1方向X視で第2給電線L2には重複しない。
【0060】
本実施形態では、第2走行面F20は、第2レールR2における上方を向く面により構成されている。第2案内面F21は、第2レールR2における第1方向Xを向く面により構成されている。第2車輪221が第2走行姿勢である状態において、第2車輪221の回転軸心が第1方向Xに沿い、第2車輪221の外周面が第2走行面F20に接触する。また、第2車輪221が第2走行姿勢である状態において、第2案内輪223の回転軸心が上下方向に沿い、第2案内輪223の外周面が第2案内面F21に接触する。
【0061】
図6に示すように、制御装置Cは、車両Vを第1方向Xに沿って走行させる場合に、第2受電部211を第2非受電姿勢とさせるように第2受電駆動部212を制御する。
【0062】
第2受電部211は、第2非受電姿勢において、第2レールR2、第2給電線L2、第1レールR1、及び第1給電線L1に対して(図5も参照)、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない。換言すれば、第2受電部211は、第2非受電姿勢において、第2レールR2、第2給電線L2、第1レールR1、及び第1給電線L1とは異なる高さに配置される。上述のように、第2受電部211は、第2受電姿勢では、第1方向X視で第2給電線L2に重複する(図5参照)。そのため、第2受電部211が第2受電姿勢の状態において車両Vが第1方向Xに沿って走行しようとすると、第2受電部211が第2給電線L2に干渉するため、車両Vは適切に走行できない。しかし、第2受電部211は、第2非受電姿勢となることで、第2レールR2及び第2給電線L2に加えて、第1レールR1及び第1給電線L1に対しても、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない(図6参照)。そのため、第2受電部211が第2非受電姿勢の状態では、車両Vが第1方向Xに沿って走行しようとしても、第2受電部211は上記の各部材に干渉することがない。従って、車両Vを第1方向Xに沿って適切に走行させることができる。このため、制御装置Cは、車両Vを第1方向Xに沿って走行させる場合に、第2受電部211を第2非受電姿勢とさせるように第2受電駆動部212を制御する。
【0063】
ここで、本実施形態では、車両Vは、第2受電部211を収容する第2収容部S2を備えている。第2受電部211の少なくとも一部が、第2受電部211の第2非受電姿勢において、第2収容部S2に収容される。本例では、第2収容部S2は、車体Bの上面に設けられている。
【0064】
図6に示すように、制御装置Cは、車両Vを第1方向Xに沿って走行させる場合に、第2車輪221を第2非走行姿勢とさせるように第2車輪駆動部222を制御する。
【0065】
第2車輪221は、第2非走行姿勢において、第2レールR2から離間していると共に、第2レールR2、第2給電線L2、第1レールR1、及び第1給電線L1に対して(図5も参照)、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない。換言すれば、第2車輪221は、第2非走行姿勢において、第2レールR2、第2給電線L2、第1レールR1、及び第1給電線L1とは異なる高さに配置される。上述のように、第2車輪221は、第2走行姿勢では、第1方向X視で第2レールR2に重複する(図5参照)。そのため、第2車輪221が第2走行姿勢の状態において車両Vが第1方向Xに沿って走行しようとすると、第2車輪221が第2レールR2に干渉するため、車両Vは適切に走行できない。しかし、第2車輪221は、第2非走行姿勢となることで、第2レールR2及び第2給電線L2に加えて、第1レールR1及び第1給電線L1に対しても、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない(図6参照)。そのため、第2車輪221が第2非走行姿勢の状態では、車両Vが第1方向Xに沿って走行しようとしても、第2車輪221は上記の各部材に干渉することがない。従って、車両Vを第1方向Xに沿って適切に走行させることができる。このため、制御装置Cは、車両Vを第1方向Xに沿って走行させる場合に、第2車輪221を第2非走行姿勢とさせるように第2車輪駆動部222を制御する。
【0066】
本実施形態では、第2案内輪223は、第2車輪221が第2非走行姿勢である状態において、第2レールR2から離間していると共に、第2レールR2、第2給電線L2、第1レールR1、及び第1給電線L1に対して、第1方向X視及び第2方向Y視で重複しない。換言すれば、第2案内輪223は、第2車輪221が第2非走行姿勢である状態において、第2レールR2、第2給電線L2、第1レールR1、及び第1給電線L1とは異なる高さに配置される。これにより、第2車輪221が第2非走行姿勢の状態では、車両Vが第1方向Xに沿って走行しようとしても、第2案内輪223についても上記の各部材に干渉することがない。従って、車両Vを第1方向Xに沿って適切に走行させることができる。
【0067】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、第2受電部211の姿勢変更と第2車輪221の姿勢変更とが、互いに連動するように構成されている。本例では、第2受電部211の姿勢を変更させる第2受電駆動部212と第2車輪221の姿勢を変更させる第2車輪駆動部222とが、互いに連動するように構成されている。換言すれば、第2受電部211の姿勢変更と第2車輪221の姿勢変更とが、同時期に行われる。
【0068】
本実施形態では、第2受電駆動部212と第2車輪駆動部222とが、共用の第2支持機構20と、第2支持機構20を動作させる第2駆動源M2と、を備えている。第2受電部211及び第2車輪221が、第2支持機構20に取り付けられている。本例では、第2受電部211と第2車輪221とは、同一の第2支持機構20に取り付けられていることによって互いに連動して姿勢変更するように構成されている。
【0069】
本実施形態では、第2支持機構20は、第2受電部211及び第2車輪221を支持する第2支持部材20bと、第2支持部材20bを揺動させる回転機構20aと、を備えている。第2駆動源M2は、例えば電動モータを用いて構成されている。
【0070】
本実施形態では、第2支持部材20bは、第2方向Yに沿う揺動軸心(以下、「第2揺動軸心Ax2」と称する。)回りに揺動自在となるように、車体Bに連結されている。第2支持部材20bの揺動基端部は、第2駆動源M2によって回転駆動される軸部材を介して車体Bに連結されている。このような軸部材や、第2支持部材20bの一部又は全部などが、回転機構20aに含まれる。すなわち、第2支持機構20は、第2方向Yに沿う第2揺動軸心Ax2回りに揺動するように車両Vの車体Bに支持されている。
【0071】
本実施形態では、第2支持部材20bは、第2受電部211が第2受電姿勢の状態(図5に示される状態)において、車体Bよりも上側で第2受電部211を支持する。また、第2支持部材20bは、第2車輪221が第2走行姿勢の状態(図5に示される状態)において、車体Bよりも上側で第2車輪221を支持する。
【0072】
また、第2支持部材20bは、第2受電部211が第2非受電姿勢の状態(図6に示される状態)において、第2レールR2及び第2給電線L2よりも下側で第2受電部211を支持する。また、第2支持部材20bは、第2車輪221が第2非走行姿勢の状態(図6に示される状態)において、第2レールR2及び第2給電線L2よりも下側で第2車輪221を支持する。
【0073】
本実施形態では、第2駆動源M2が第2支持機構20を動作させることにより、第2受電部211が第2受電姿勢かつ第2車輪221が第2走行姿勢となる第2稼働姿勢(図5参照)と、第2受電部211が第2非受電姿勢かつ第2車輪221が第2非走行姿勢となる第2休止姿勢(図6参照)とに、第2支持機構20が姿勢変更する。そして、第2支持機構20が第2休止姿勢から第2稼働姿勢に姿勢変更する場合に、第2車輪221が第2支持機構20の揺動によって第2レールR2の上面(第2走行面F20)に接触する位置に配置されると共に、第2受電部211が第2給電線L2に対して側方(第2方向Yにおける車体B側)から対向する位置に配置される(図5参照)。第2支持機構20が第2稼働姿勢から第2休止姿勢に姿勢変更する場合には、第2受電部211及び第2車輪221は、上記とは逆向きに動作する。そして、本例では、第2支持機構20が第2休止姿勢である状態において、第2受電部211の少なくとも一部が、第2収容部S2に収容される(図6参照)。
【0074】
以上のように、本実施形態では、制御装置Cは、車両Vが第1レールR1を走行する場合に、第1受電部111を第1受電姿勢とするように第1受電駆動部112を制御すると共に、第2受電部211を第2非受電姿勢とするように第2受電駆動部212を制御する。本例では、制御装置Cは、車両Vが第1レールR1を走行する場合に、第1車輪121を第1走行姿勢とするように第1車輪駆動部122を制御すると共に、第2車輪221を第2非走行姿勢とするように第2車輪駆動部222を制御する。また、制御装置Cは、車両Vが第2レールR2を走行する場合に、第2受電部211を第2受電姿勢とするように第2受電駆動部212を制御すると共に、第1受電部111を第1非受電姿勢とするように第1受電駆動部112を制御する。本例では、制御装置Cは、車両Vが第2レールR2を走行する場合に、第2車輪221を第2走行姿勢とするように第2車輪駆動部222を制御すると共に、第1車輪121を第1非走行姿勢とするように第1車輪駆動部122を制御する。これにより、車両Vが第1レールR1を走行する場合と第2レールR2を走行する場合との双方の場合において、第1受電部111と第2受電部211とを連関させて姿勢制御すると共に第1車輪121と第2車輪221とを連関させて姿勢制御することで、適切な受電と適切な車両Vの走行とを実現することができる。
【0075】
ここで、制御装置Cは、車両Vが第1方向Xと第2方向Yとで走行方向を変更する場合であっても、第1受電部111及び第2受電部211の少なくとも何れかが受電を行っている状態を維持するように、第1受電駆動部112及び第2受電駆動部212を制御する。これにより、車両Vが常に電力の供給を受けている状態を維持することができる。
【0076】
図7に示すように、本実施形態では、制御装置Cは、第1受電部111が第1受電姿勢であって第2受電部211が第2非受電姿勢である状態と、第1受電部111が第1非受電姿勢であって第2受電部211が第2受電姿勢である状態との間で状態変更を行う場合に、当該状態変更の途中で第1受電部111が第1受電姿勢であって第2受電部211が第2受電姿勢である状態とするように、第1受電駆動部112及び第2受電駆動部212を制御する。換言すれば、制御装置Cは、車両Vが第1方向Xを走行する状態と第2方向Yを走行する状態との間で移行する場合に、第1受電部111が第1受電姿勢となると共に第2受電部211が第2受電姿勢となるように、第1受電駆動部112及び第2受電駆動部212を制御する。この状態では、第1受電部111及び第2受電部211の双方が受電を行っている。その後、制御装置Cは、車両Vがこれから走行する予定のレールに関与する受電部を受電姿勢に維持し、車両Vが走行しない他のレールに関与する受電部を非受電姿勢とするように、第1受電駆動部112及び第2受電駆動部212を制御する。
【0077】
また、制御装置Cは、車両Vが第1方向Xと第2方向Yとで走行方向を変更する場合であっても、第1車輪121及び第2車輪221の少なくとも何れかがレール(第1レールR1又は第2レールR2)に支持されている状態を維持するように、第1車輪駆動部122及び第2車輪駆動部222を制御する。これにより、車両Vがレール(第1レールR1又は第2レールR2)から脱落することを抑制することができる。
【0078】
図7に示すように、本実施形態では、制御装置Cは、第1車輪121が第1走行姿勢であって第2車輪221が第2非走行姿勢である状態と、第1車輪121が第1非走行姿勢であって第2車輪221が第2走行姿勢である状態との間で状態変更を行う場合に、当該状態変更の途中で第1車輪121が第1走行姿勢であって第2車輪221が第2走行姿勢である状態とするように、第1車輪駆動部122及び第2車輪駆動部222を制御する。換言すれば、制御装置Cは、車両Vが第1方向Xを走行する状態と第2方向Yを走行する状態との間で移行する場合に、第1車輪121が第1走行姿勢となると共に第2車輪221が第2走行姿勢となるように、第1車輪駆動部122及び第2車輪駆動部222を制御する。この状態では、第1車輪121及び第2車輪221の双方がレールに支持されている。その後、制御装置Cは、車両Vがこれから走行する予定のレールに関与する車輪を走行姿勢に維持し、車両Vが走行しない他のレールに関与する車輪を非走行姿勢とするように、第1車輪駆動部122及び第2車輪駆動部222を制御する。
【0079】
以上説明した走行設備100によれば、上下方向視で互いに交差する方向に沿って配置された給電線L1、L2から受電しつつ、各方向X、Yに沿って適切に車両Vを走行させることが可能となる。
【0080】
〔その他の実施形態〕
次に、走行設備のその他の実施形態について説明する。
【0081】
(1)上記の実施形態では、第2レール体R2aに、第2給電線L2を第2方向Yに亘って保持する第2保持部R2bが設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図8に示すように、第2保持部R2bは、第2レール体R2aとは別に設けられていてもよい。図8に示す例では、第2保持部R2bは、第2方向Y視において、第2レールR2を構成する一対の第2レール体R2aの間に配置されている。この場合、第2保持部R2b及び第2給電線L2は車体Bの上側に配置され、第2受電部211は第2給電線L2に対して昇降するように構成されているとよい。なお、詳細な図示は省略するが、第1給電線L1を保持する第1保持部R1bについても、第1レール体R1aとは別に設けられていてもよい。
【0082】
(2)上記の実施形態では、第2受電部211と第2車輪221とが、同一の第2支持機構20に取り付けられていることによって、互いに連動して姿勢変更するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図8に示すように、第2受電部211と第2車輪221とは、それぞれ別の機構によって支持されていてもよい(図中では第2受電部211を支持する機構を省略している。)。この場合、第2受電部211と第2車輪221とは、互いに連動して姿勢変更するように構成されていてもよいし、互いに独立して姿勢変更するように構成されていてもよい。なお、詳細な図示は省略するが、第1受電部111と第1車輪121との関係についても上記と同様であってよい。すなわち、第1受電部111と第1車輪121とは、それぞれ別の機構によって支持されていてもよい。また、第1受電部111と第1車輪121とは、互いに連動して姿勢変更するように構成されていてもよいし、互いに独立して姿勢変更するように構成されていてもよい。
【0083】
(3)上記の実施形態では、第1支持機構10が、第1方向Xに沿う第1揺動軸心Ax1回りに揺動するように車両Vの車体Bに支持されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図9に示すように、第1支持機構10は、車両Vの車体Bに対して上下方向に直動するように支持されていてもよい。この場合、第1受電部111は、第1給電線L1に対して昇降することで、第1受電姿勢と第1非受電姿勢とに姿勢変更する。
【0084】
(4)上記の実施形態では、第1レール体R1aは、一対の第1走行面F10と、一対の第1案内面F11と、を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1レール体R1aは、第1走行面F10を1つのみ備え、第1案内面F11を1つのみ備えていてもよい。第2レール体R2aについても同様に、第2走行面F20を1つのみ備え、第2案内面F21を1つのみ備えていてもよい。
【0085】
(5)上記の実施形態では、第1レールR1と第2レールR2とが、異なる高さに配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1レールR1と第2レールR2とは、同じ高さに配置されていてもよい。この場合、第1レールR1と第2レールR2とが交差する交差部が設けられる。
【0086】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0087】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した走行設備について説明する。
【0088】
車両を備えた走行設備であって、
第1方向に沿って配置され、前記車両が走行する第1レールと、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に交差する第2方向に沿って配置され、前記車両が走行する第2レールと、
前記第1方向に沿って配置された第1給電線と、
前記第2方向に沿って配置された第2給電線と、を備え、
前記車両は、前記第1給電線から受電する第1受電装置と、前記第2給電線から受電する第2受電装置と、を備え、
前記第1受電装置は、第1受電部と、前記第1受電部の姿勢を前記第1給電線からの受電を行う第1受電姿勢と前記第1給電線からの受電を行わない第1非受電姿勢とに姿勢変更させる第1受電駆動部と、を備え、
前記第2受電装置は、第2受電部と、前記第2受電部の姿勢を前記第2給電線からの受電を行う第2受電姿勢と前記第2給電線からの受電を行わない第2非受電姿勢とに姿勢変更させる第2受電駆動部と、を備え、
前記第1受電部は、前記第1受電姿勢において、前記第1方向に沿う第1方向視で前記第1レール及び前記第1給電線に重複せず、前記第2方向に沿う第2方向視で前記第1レール及び前記第1給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第1受電部は、前記第1非受電姿勢において、前記第1レール、前記第1給電線、前記第2レール、及び前記第2給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複せず、
前記第2受電部は、前記第2受電姿勢において、前記第2方向視で前記第2レール及び前記第2給電線に重複せず、前記第1方向視で前記第2レール及び前記第2給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第2受電部は、前記第2非受電姿勢において、前記第2レール、前記第2給電線、前記第1レール、及び前記第1給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複しない。
【0089】
本構成によれば、車両が第1レールを走行する場合と第2レールを走行する場合とのそれぞれにおいて、適切に給電線から受電することができる。車両が第1レールを走行する場合には、車両が第2レールを走行する場合に受電を行う第2受電部を第2非受電姿勢とする。第2受電部は、第2非受電姿勢の状態では、第2レール、第2給電線、第1レール、及び第1給電線に対して第1方向視及び第2方向視で重複しないため、これらのレールや給電線に第2受電部を干渉させることなく、車両を第1レールに沿って適切に走行させることができる。また、車両が第2レールを走行する場合には、車両が第1レールを走行する場合に受電を行う第1受電部を第1非受電姿勢とする。第1受電部は、第1非受電姿勢の状態では、第1レール、第1給電線、第2レール、及び第2給電線に対して第1方向視及び第2方向視で重複しないため、これらのレールや給電線に第1受電部を干渉させることなく、車両を第2レールに沿って適切に走行させることができる。以上のように、本構成によれば、上下方向視で互いに交差する第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って配置された給電線から受電しつつ、各方向に沿って適切に車両を走行させることが可能となる。
【0090】
前記第1受電装置及び前記第2受電装置を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記車両が前記第1レールを走行する場合に、前記第1受電部を前記第1受電姿勢とするように前記第1受電駆動部を制御すると共に、前記第2受電部を前記第2非受電姿勢とするように前記第2受電駆動部を制御し、
前記車両が前記第2レールを走行する場合に、前記第2受電部を前記第2受電姿勢とするように前記第2受電駆動部を制御すると共に、前記第1受電部を前記第1非受電姿勢とするように前記第1受電駆動部を制御する、と好適である。
【0091】
本構成によれば、車両が第1レールを走行する場合と第2レールを走行する場合との双方の場合において、第1受電部と第2受電部とを連関させて姿勢制御することで、適切な受電と適切な車両の走行とを実現することができる。
【0092】
前記の構成において、前記制御装置は、前記第1受電部が前記第1受電姿勢であって前記第2受電部が前記第2非受電姿勢である状態と、前記第1受電部が前記第1非受電姿勢であって前記第2受電部が前記第2受電姿勢である状態との間で状態変更を行う場合に、当該状態変更の途中で前記第1受電部が前記第1受電姿勢であって前記第2受電部が前記第2受電姿勢である状態とするように、前記第1受電駆動部及び前記第2受電駆動部を制御する、と好適である。
【0093】
本構成によれば、第1受電部及び第2受電部の姿勢を変更する途中においても、第1給電線及び第2給電線の少なくとも一方からの受電を確保することができる。従って、車両が受電できずに動作停止してしまう事態が生じる可能性を低減できる。
【0094】
前記車両は、
第1車輪と、前記第1車輪の姿勢を第1走行姿勢と第1非走行姿勢とに姿勢変更させる第1車輪駆動部と、を備えた第1走行ユニットと、
第2車輪と、前記第2車輪の姿勢を第2走行姿勢と第2非走行姿勢とに姿勢変更させる第2車輪駆動部と、を備えた第2走行ユニットと、を備え、
前記第1車輪は、前記第1走行姿勢において、前記第1レールの上面に接触して転動すると共に、前記第2方向視で前記第1レール及び前記第1給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第1車輪は、前記第1非走行姿勢において、前記第1レールから離間していると共に、前記第1レール、前記第1給電線、前記第2レール、及び前記第2給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複せず、
前記第2車輪は、前記第2走行姿勢において、前記第2レールの上面に接触して転動すると共に、前記第1方向視で前記第2レール及び前記第2給電線の少なくとも一方に重複し、
前記第2車輪は、前記第2非走行姿勢において、前記第2レールから離間していると共に、前記第2レール、前記第2給電線、前記第1レール、及び前記第1給電線に対して、前記第1方向視及び前記第2方向視で重複しない、と好適である。
【0095】
本構成によれば、第1車輪を第1走行姿勢とし第2車輪を第2非走行姿勢とすることで、第2レール、第2給電線、第1レール、及び第1給電線に対して第2車輪を干渉させることなく、車両を第1レールに沿って適切に走行させることができる。また、第2車輪を第2走行姿勢とし第1車輪を第1非走行姿勢とすることで、第1レール、第1給電線、第2レール、及び第2給電線に対して第1車輪を干渉させることなく、車両を第2レールに沿って適切に走行させることができる。
【0096】
前記の構成において、前記第1受電駆動部と前記第1車輪駆動部とが、共用の第1支持機構と、前記第1支持機構を動作させる第1駆動源と、を備え、
前記第2受電駆動部と前記第2車輪駆動部とが、共用の第2支持機構と、前記第2支持機構を動作させる第2駆動源と、を備え、
前記第1受電部及び前記第1車輪が、前記第1支持機構に取り付けられ、
前記第2受電部及び前記第2車輪が、前記第2支持機構に取り付けられ、
前記第1駆動源が前記第1支持機構を動作させることにより、前記第1受電部が前記第1受電姿勢かつ前記第1車輪が前記第1走行姿勢となる第1稼働姿勢と、前記第1受電部が前記第1非受電姿勢かつ前記第1車輪が前記第1非走行姿勢となる第1休止姿勢とに、前記第1支持機構が姿勢変更し、
前記第2駆動源が前記第2支持機構を動作させることにより、前記第2受電部が前記第2受電姿勢かつ前記第2車輪が前記第2走行姿勢となる第2稼働姿勢と、前記第2受電部が前記第2非受電姿勢かつ前記第2車輪が前記第2非走行姿勢となる第2休止姿勢とに、前記第2支持機構が姿勢変更する、と好適である。
【0097】
本構成によれば、第1受電駆動部と第1車輪駆動部とを共通の駆動源により駆動することができると共に、第2受電駆動部と第2車輪駆動部とを共通の駆動源により駆動することができる。従って、第1受電駆動部、第2受電駆動部、第1車輪駆動部、及び第2車輪駆動部の小型化や簡素化を図り易い。
【0098】
前記の構成において、前記第2レールは、前記第1レールに対して上側に離間して配置され、
前記第2給電線は、前記第1給電線に対して上側に離間して配置され、
前記第2支持機構は、前記第2方向に沿う揺動軸心回りに揺動するように前記車両の車体に支持され、
前記第2支持機構が前記第2休止姿勢から前記第2稼働姿勢に姿勢変更する場合に、前記第2車輪が前記第2支持機構の揺動によって前記第2レールの上面に接触する位置に配置されると共に、前記第2受電部が前記第2給電線に対して側方から対向する位置に配置される、と好適である。
【0099】
本構成によれば、第2車輪が姿勢変更中に第2レールと干渉することを回避しつつ第2車輪の姿勢変更を適切に行うことができると共に、第2受電部が第2給電線と干渉することを回避しつつ第2受電部の姿勢変更を適切に行うことができる。
【0100】
上記の構成において、前記第1レールは、前記第2レールに対して下側に離間して配置され、
前記第1給電線は、前記第2給電線に対して下側に離間して配置され、
前記第1支持機構は、前記第1方向に沿う揺動軸心回りに揺動するように前記車両の車体に支持され、
前記第1支持機構が前記第1休止姿勢から前記第1稼働姿勢に姿勢変更する場合に、前記第1車輪が前記第1レールに対して上側から下降して前記第1レールの上面に接触する位置に配置されると共に、前記第1受電部が前記第1給電線に対して上側から対向する位置に配置される、と好適である。
【0101】
本構成によれば、第1車輪が姿勢変更中に第1レールと干渉することを回避しつつ第1車輪の姿勢変更を適切に行うことができると共に、第1受電部が第1給電線と干渉することを回避しつつ第1受電部の姿勢変更を適切に行うことができる。
【0102】
前記車両は、車体と、前記車体の内部に設けられて搬送対象となる物品を収容する物品収容部と、前記第1受電部を収容する第1収容部と、前記第2受電部を収容する第2収容部と、を備え、
前記物品収容部は、前記車体の下面に開口するように形成され、
前記第1収容部は、前記車体の側面に設けられ、
前記第2収容部は、前記車体の上面に設けられている、と好適である。
【0103】
本構成によれば、車体の下面の開口から物品収容部に物品を出し入れすることを可能としつつ、第1受電部と第2受電部とをそれぞれの収容部に収容することができる。また、第1受電部と第2受電部とをそれぞれの収容部に収容できることで、車両が第1レールを走行する場合に第2受電部が第1レール及び第1給電部に干渉することを回避し易く、車両が第2レールを走行する場合に第1受電部が第2レール及び第2給電部に干渉することを回避し易い。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示に係る技術は、車両を備えた走行設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
100 :走行設備
V :車両
B :車体
10 :第1支持機構
11 :第1受電装置
111 :第1受電部
112 :第1受電駆動部
12 :第1走行ユニット
121 :第1車輪
122 :第1車輪駆動部
20 :第2支持機構
21 :第2受電装置
211 :第2受電部
212 :第2受電駆動部
22 :第2走行ユニット
221 :第2車輪
222 :第2車輪駆動部
C :制御装置
L1 :第1給電線
L2 :第2給電線
M1 :第1駆動源
M2 :第2駆動源
R1 :第1レール
R2 :第2レール
S1 :第1収容部
S2 :第2収容部
Sw :物品収容部
W :物品
X :第1方向
Y :第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9