(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/49 20180101AFI20240827BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20240827BHJP
F24F 11/30 20180101ALI20240827BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20240827BHJP
F24F 11/84 20180101ALI20240827BHJP
【FI】
F24F11/49
F25B13/00 S
F24F11/30
F24F11/56
F24F11/84
(21)【出願番号】P 2022114803
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2023-07-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 健司
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-047622(JP,A)
【文献】特開2006-125660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/49
F25B 13/00
F24F 11/30
F24F 11/56
F24F 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室外機と、複数の室内機と、前記複数の室外機に各室内機を並列的に接続する複数の接続配管とを備え、各室内機が個別に冷房運転と暖房運転とを実施可能とする第1冷媒回路状態と、前記各室内機が同時に冷房運転または暖房運転を実施可能とする第2冷媒回路状態とのいずれかを選択可能な空気調和装置であって、
前記複数の室外機は、圧縮機と、室外熱交換器と、前記室外熱交換器の一方の冷媒出入口を前記圧縮機の冷媒吸込管または冷媒吐出管に選択的に接続する第1流路切替手段と、前記第1冷媒回路状態において前記冷媒吸込管および前記冷媒吐出管を前記複数の接続配管である第1ガス管および第2ガス管にそれぞれ接続する第2流路切替手段と、各室外機間で通信を行う通信部と、前記第1冷媒回路状態と前記第2冷媒回路状態のいずれかを選択する冷媒回路選択部とをそれぞれ有し、
前記空気調和装置を設置した後に、前記空気調和装置に電源を供給してから運転開始までの間に、前記複数の室外機のうち一の室外機において前記第1冷媒回路状態あるいは前記第2冷媒回路状態のいずれかが選択されたとき、当該一の室外機の通信部から他の室外機の通信部へ選択された冷媒回路状態に関する情報を含む状態信号が送信され、
前記状態信号を受信した前記他の室外機は、前記一の室外機で選択された冷媒回路状態と同一の冷媒回路状態を選択する
空気調和装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和装置であって、
前記冷媒回路選択部は、前記第1冷媒回路状態および前記第2冷媒回路状態のいずれか一方を選択する切替操作部であり、前記状態信号は、前記切替操作部で選択された冷媒回路状態に関する情報を含む
空気調和装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気調和装置であって、
前記複数の室外機のうち、前記一の室外機は親室外機に設定され、前記他の室外機は、前記親室外機の指示に従って動作する子室外機に設定され、
前記子室外機は、前記親室外機から送信された前記状態信号に基づいて、前記親室外機で選択された冷媒回路状態と同一の冷媒回路状態を選択する
空気調和装置。
【請求項4】
請求項2に記載の空気調和装置であって、
前記複数の室外機のうち、前記一の室外機は親室外機として設定され、前記他の室外機は、前記親室外機の指示に従って動作する子室外機として設定され、
前記子室外機は、当該子室外機の前記切替操作部で選択された冷媒回路状態と、前記親室外機から送信された前記状態信号に含まれる冷媒回路状態とが異なるときは、前記親室外機から送信された前記状態信号に含まれる冷媒回路状態を選択する
空気調和装置。
【請求項5】
請求項4に記載の空気調和装置であって、
前記複数の室外機への電力の供給が開始または再開されたとき、前記親室外機は、当該親室外機の前記切替操作部で選択された冷媒回路状態を確認し、確認した前記冷媒回路状態を前記状態信号に含めて前記子室外機へ送信する
空気調和装置。
【請求項6】
請求項3に記載の空気調和装置であって、
前記子室外機への電力の供給が開始または再開されたとき、前記親室外機は、前記親室外機で選択されている冷媒回路状態を前記状態信号に含めて前記子室外機へ送信する
空気調和装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の空気調和装置であって、
前記第1冷媒回路状態では、前記第1ガス管および前記第2ガス管と、前記室外熱交換器の他方の冷媒出入口に接続される液管の3本の接続配管が前記複数の接続配管として用いられ、
前記第2冷媒回路状態では、前記第1ガス管と前記液管の2本の接続配管が前記複数の接続配管として用いられる
空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の室内機にそれぞれ冷媒配管を介して接続される複数の室外機を備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の室内機を備え、全ての室内機において冷房もしくは暖房のいずれか一方を行う運転方式(以下、冷暖切替方式ともいう)と、冷房もしくは暖房のいずれか一方を各室内機で選択的に行うことを可能とする運転方式(以下、冷暖フリー方式ともいう)とを切り替え可能な空気調和装置が知られている。例えば特許文献1には、1台の室外機で冷暖切替方式と冷暖フリー方式の両方に対応可能な空気調和装置が開示されている。
【0003】
冷暖フリー方式の空気調和装置は、全暖房運転と、全冷房運転と、暖房主体運転と、冷房主体運転とを選択的に実行可能である。全暖房運転は、全ての室内機が暖房運転を行う運転モードであり、全冷房運転は、全ての室内機が冷房運転を行う運転モードである。暖房主体運転は、冷房運転を行う室内機と暖房運転を行う室内機とが混在し、かつ、暖房運転を行っている室内機で要求される能力の合計値が冷房運転を行っている室内機で要求される能力の合計値を上回る場合に行う運転モードである。そして、冷房主体運転は、冷房運転を行う室内機と暖房運転を行う室内機とが混在し、かつ、冷房運転を行っている室内機で要求される能力の合計値が暖房運転を行っている室内機で要求される能力の合計値を上回る場合に行う運転モードである。
【0004】
冷暖切替方式の室外機と冷暖フリー方式の室外機とでは、冷媒回路の構成が異なる。冷暖切替方式では各室内機と室外機とを接続する接続配管が2本(ガス管および液管)であるのに対し、冷暖フリー方式では各室内機と室外機とを接続する接続配管が、2本のガス管(高圧ガス管と低圧ガス管)および1本の液管の計3本である。
【0005】
冷暖フリー方式における各冷媒配管には、運転モードに応じて次のように冷媒が流れる。まず、高圧ガス管は、全暖房運転時、暖房主体運転時および冷房主体運転時に、圧縮機から吐出される高圧ガス冷媒が流れる接続配管である。また、低圧ガス管は、全冷房運転時および冷房主体運転時に蒸発器として機能する室内熱交換器から流出する低圧ガス冷媒が流れる接続配管である。そして、液管は、全冷房運転時および冷房主体運転時には凝縮器として機能する室外熱交換器から流出する中間圧液冷媒が流れる冷媒配管であり、全暖房運転時および暖房主体運転時には蒸発器として機能する室外熱交換器に流入する中間圧液冷媒が流れる接続配管である。
【0006】
これら接続配管の使用本数(接続本数)は、選択される運転方式(冷暖切替方式/冷暖フリー方式)によって定まるとともに、室外機に内蔵される流路切替弁によって室外機の冷媒回路が冷暖切替方式用の冷媒回路と冷暖フリー方式用の冷媒回路とに切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、冷暖切替方式と冷暖フリー方式の両方に対応可能な空気調和装置の開発が進められている。この種の空気調和装置においては、運転時に全ての室外機が冷暖切替方式と冷暖フリー方式のいずれかに統一されている必要がある。一般的には、冷暖切替方式と冷暖フリー方式の両方に対応可能な室外機は、冷媒回路を冷暖切替方式用あるいは冷暖フリー方式用のいずれかに切り替えるディップスイッチなどの切替手段が各室外機に設けられ、設置時に、作業者によって当該切替手段が室外機ごとに操作されることが想定されている。しかしながら、上記切替手段の操作ミスや操作忘れによって、全ての室外機で冷暖切替方式と冷暖フリー方式のいずれかに統一されていない状態で空気調和装置が運転される場合が生じ得る。
【0009】
例えば、冷暖フリー方式で運転する空気調和装置に冷暖切替方式の室外機が混在すると、冷暖フリー方式の室外機から流出した高圧冷媒が冷暖切替方式の室外機のガス管に流入することで、低圧が上昇して圧縮機の性能上の使用範囲を超えるおそれがあるとともに、低圧上昇に伴って高圧も上昇して圧縮機から吐出される冷媒の温度が使用範囲を超えるおそれがある。また、冷暖切替方式で運転する空気調和装置に冷暖フリー方式の室外機が混在すると、冷暖フリー方式の室外機の低圧ガス管に冷媒配管が接続されないことに起因して当該室外機に冷媒および冷凍機油が戻らずに低圧の過剰な低下や冷凍機油不足に陥るおそれがある。
【0010】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、冷暖切替方式と冷暖フリー方式とを選択可能な複数の室外機を備えた空気調和装置において、全ての室外機を確実に冷暖切替方式あるいは冷暖フリー方式に統一できる空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態に係る空気調和装置は、複数の室外機と、複数の室内機と、前記複数の室外機に各室内機を並列的に接続する複数の接続配管とを備え、各室内機が個別に冷房運転と暖房運転とを実施可能とする第1冷媒回路状態と、前記各室内機が同時に冷房運転または暖房運転を実施可能とする第2冷媒回路状態とのいずれかを選択可能な空気調和装置であって、
前記複数の室外機は、各室外機間で通信を行う通信部と、前記第1冷媒回路状態と前記第2冷媒回路状態のいずれかを選択する冷媒回路選択部とをそれぞれ有し、
前記複数の室外機のうち一の室外機において前記第1冷媒回路状態あるいは前記第2冷媒回路状態のいずれかが選択されたとき、当該一の室外機の通信部から他の室外機の通信部へ選択された冷媒回路状態に関する情報を含む状態信号が送信され、
前記状態信号を受信した前記他の室外機は、前記一の室外機で選択された冷媒回路状態と同一の冷媒回路状態を選択する。
【0012】
前記冷媒回路選択部は、前記第1冷媒回路状態および前記第2冷媒回路状態のいずれか一方を選択する切替操作部であり、前記状態信号は、前記切替操作部で選択された冷媒回路状態に関する情報を含んでもよい。
【0013】
前記複数の室外機のうち、前記一の室外機は親室外機に設定され、前記他の室外機は、前記親室外機の指示に従って動作する子室外機に設定され、前記子室外機は、前記親室外機から送信された前記状態信号に基づいて、前記親室外機で選択された冷媒回路状態と同一の冷媒回路状態を選択してもよい。
【0014】
前記複数の室外機のうち、前記一の室外機は親室外機として設定され、前記他の室外機は、前記親室外機の指示に従って動作する子室外機として設定され、前記子室外機は、当該子室外機の前記切替操作部で選択された冷媒回路状態と、前記親室外機から送信された前記状態信号に含まれる冷媒回路状態とが異なるときは、前記親室外機から送信された前記状態信号に含まれる冷媒回路状態を選択してもよい。
【0015】
前記複数の室外機への電力の供給が開始または再開されたとき、前記親室外機は、当該親室外機の前記切替操作部で選択された冷媒回路状態を確認し、確認した前記冷媒回路状態を前記状態信号に含めて前記子室外機へ送信してもよい。
【0016】
前記子室外機への電力の供給が開始または再開されたとき、前記親室外機は、前記親室外機で選択されている冷媒回路状態を前記状態信号に含めて前記子室外機へ送信してもよい。
【0017】
前記複数の室外機は、圧縮機と、室外熱交換器と、第1流路切替手段と、第2流路切替手段とをそれぞれ有し、前記室外熱交換器の一方の冷媒出入口が前記圧縮機の冷媒吸込管または冷媒吐出管に前記第1流路切替手段を介して選択的に接続されてもよい。前記第1冷媒回路状態では、前記冷媒吸込管または前記冷媒吐出管に前記第2流路切替手段を介してそれぞれ選択的に接続される第1ガス管および第2ガス管と、前記室外熱交換器の他方の冷媒出入口に接続される液管の3本の接続配管が前記複数の接続配管として用いられ、前記第2冷媒回路状態では、前記第1ガス管と前記液管の2本の接続配管が前記複数の接続配管として用いられてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、冷暖切替方式と冷暖フリー方式とを選択可能な複数の室外機を備えた空気調和装置において、全ての室外機を確実に冷暖切替方式あるいは冷暖フリー方式に統一できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】冷暖フリー方式の空気調和装置を示す冷媒回路図である。
【
図2】冷暖切替方式の空気調和装置を示す冷媒回路図である。
【
図4】冷暖フリー方式の空気調和装置に冷暖切替方式の室外機が混在したときの様子を示す冷媒回路図である。
【
図5】冷暖切替方式の空気調和装置に冷暖フリー方式の室外機が混在したときの様子を示す冷媒回路図である。
【
図6】各室外機の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】電源復旧時における各室外機の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】電源復旧時における各室外機の制御手順の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
本実施形態の空気調和装置は、複数の室外機と複数の室内機とを備え、全ての室内機において冷房もしくは暖房のいずれか一方を行う運転方式(冷暖切替方式)と、冷房もしくは暖房のいずれか一方を各室内機で選択的に行うことを可能とする運転方式(冷暖フリー方式)とを選択可能とされる。
【0022】
図1は冷暖フリー方式の空気調和装置10の一構成例を示す冷媒回路図であり、
図2は冷暖切替方式の空気調和装置20の一構成例を示す冷媒回路図である。本実施形態では、2台の室外機2a、2bに3台の室内機8a、8b、8cが並列に接続された空気調和装置を例に挙げて説明する。
【0023】
冷暖フリー方式の空気調和装置10と冷暖切替方式の空気調和装置20とを比較すると、室外機2a、2bおよび室内機8a~8cは共通するが、これら室外機2a、2bおよび室内機8a~8cとの間を接続する接続配管(高圧ガス管30、低圧ガス管31、液管32)の接続本数が異なっている。以下、各方式の空気調和装置10、20について説明する。
【0024】
[冷暖フリー方式の空気調和装置]
まず
図1を参照して、冷暖フリー方式の空気調和装置10の構成と動作例について説明する。
【0025】
図1に示すように、空気調和装置10は、2台の室外機2a、2bと、3台の室内機8a、8b、8cと、3台の分流ユニット6a、6b、6cと、分岐器70、71、72と、を備えている。これら室外機2a,2b、室内機8a~8c、分流ユニット6a~6cおよび分岐器70~72が、高圧ガス管30(第1ガス管)と、高圧ガス分管30a,30bと、低圧ガス管31(第2ガス管)と、低圧ガス分管31a,31bと、液管32と、液分管32a、32bとで相互に接続されることによって、空気調和装置10の冷媒回路が構成される。
【0026】
この空気調和装置10では、室外機2a,2bや分流ユニット6a~6cに備えられた各種弁類の開閉状態に応じて、暖房運転(全ての室内機が暖房運転)、暖房主体運転(暖房運転を行っている室内機で要求される能力の合計値が冷房運転を行っている室内機で要求される能力の合計値を上回る場合)、冷房運転(全ての室内機が冷房運転)、冷房主体運転(冷房運転を行っている室内機で要求される能力の合計値が暖房運転を行っている室内機で要求される能力の合計値を上回る場合)といった各種運転が可能である。
【0027】
(室外機)
室外機2a、2bの構成は全て同じであり、互いに対応する部分については同一の符号を付している。以下の説明では、室外機2aの構成についてのみ説明を行い、室外機2bについては説明を省略する。
【0028】
室外機2aは、圧縮機21と、第1流路切替手段である第1三方弁22および第2三方弁23と、第1室外熱交換器24と、第2室外熱交換器25と、室外ファン26、アキュムレータ27と、第2流路切替手段である四方弁29と、第1室外熱交換器24に接続された第1室外膨張弁40と、第2室外熱交換器25に接続された第2室外膨張弁41と、を備えている。
【0029】
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の吐出側は、第1三方弁22のポートaと第2三方弁23のポートdとに吐出配管28で接続され、四方弁29のポートgに吐出配管28および室外機高圧ガス管33で接続されている。吐出配管28は圧縮機21の吐出側と接続点Aとの間を接続する冷媒配管であり、室外機高圧ガス管33は接続点Aと閉鎖弁44との間を接続する冷媒配管である。また、圧縮機21の吸入側は、アキュムレータ27の流出側に吸入配管42で接続されており、アキュムレータ27の流入側は、室外機低圧ガス管34で閉鎖弁45に接続されている。
【0030】
第1三方弁22および第2三方弁23は、冷媒回路における冷媒の流れる方向を切り替えるための弁であり、第1三方弁22はa、b、cの3つのポートを、第2三方弁23はd、e、fの3つのポートをそれぞれ備えている。第1三方弁22では、ポートaに接続された冷媒配管が接続点Aで吐出配管28および室外機高圧ガス管33に接続されている。また、ポートbと第1室外熱交換器24の一端(一方の冷媒出入口)とが冷媒配管で接続され、ポートcに接続された冷媒配管が接続点Dで室外機低圧ガス管34に接続されている。
【0031】
第2三方弁23では、ポートdに接続された冷媒配管が接続点Aで吐出配管28および室外機高圧ガス管33に接続された冷媒配管と接続されている。またポートeと第2室外熱交換器25の一端(一方の冷媒出入口)とが冷媒配管で接続され、ポートfに接続された冷媒配管が接続点Cで第1三方弁22のポートcに接続された冷媒配管と接続されている。
【0032】
四方弁29は、室外機2a、2bが冷暖フリー方式に設定されるか、あるいは、冷暖切替方式に設定されるかに応じて制御態様が変化する弁であり、g、h、k、mの4つのポートを備えている。ポートgは上述したように室外機高圧ガス管33に接続され、ポートhは閉鎖弁44に接続されている。ポートkは閉止されており、ポートmは室外機低圧ガス管34における接続点Eと冷媒配管で接続されている。詳細は後述するが、室外機2a,2bが冷暖フリー方式に設定される場合は、室外機高圧ガス管33から高圧ガス分管30aおよび高圧ガス分管30bのそれぞれに冷媒が流れるように、四方弁29が切り替えられる。また、室外機2a,2bが冷暖切替方式に設定される場合は、暖房運転時は室外機高圧ガス管33から高圧ガス分管30aおよび高圧ガス分管30bのそれぞれに冷媒が流れるように四方弁29が切り替えられ、冷房運転時は低圧ガス分管31aおよび低圧ガス分管31bのそれぞれから室外機低圧ガス管34に冷媒が流れるように四方弁29が切り替えられる。
【0033】
第1室外熱交換器24の一端(一方の冷媒出入口)は上述したように冷媒配管を介して第1三方弁22のポートbに接続され、他端(他方の冷媒出入口)は冷媒配管を介して第1室外膨張弁40の一方のポートに接続されている。第1室外膨張弁40の他方のポートは、閉鎖弁46と室外機液管35で接続されている。また、第2室外熱交換器25の一端(一方の冷媒出入口)は上述したように冷媒配管を介して第2三方弁23のポートeに接続され、他端(他方の冷媒出入口)は冷媒配管を介して第2室外膨張弁41の一方のポートに接続されている。第2室外膨張弁41の他方のポートは、室外機液管35における接続点Bに冷媒配管で接続されている。
【0034】
アキュムレータ27は、流入側が室外機低圧ガス管34に接続され、流出側が圧縮機21の吸入側と吸入配管42で接続されている。アキュムレータ27は、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機21aに吸入させる。室外ファン26は、図示しないファンモータによって回転することで、室外機2a内に外気を取り込み、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25において冷媒と外気とを熱交換させた後、熱交換した外気を室外機2a外部に放出する。
【0035】
以上説明した構成の他に、室外機2aには各種のセンサが設けられている。
図1に示すように吐出配管28には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ50と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ53とが設けられている。また、室外機低圧ガス管34における接続点Dとアキュムレータ27aの流入側との間には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する低圧センサ51と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ54とが設けられている。
【0036】
第1三方弁22のポートbと第1室外熱交換器24とを接続する冷媒配管には、第1室外熱交換器24から流出あるいは第1室外熱交換器24へ流入する冷媒の温度を検出する第1熱交温度センサ56が設けられている。また、第2三方弁23のポートeと第2室外熱交換器25とを接続する冷媒配管には、第2室外熱交換器25から流出あるいは第2室外熱交換器25へ流入する冷媒の温度を検出する第2熱交温度センサ57が設けられている。さらには、室外機2a内に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ58が備えられている。
【0037】
(室内機)
3台の室内機8a~8cは、室内熱交換器81と、室内膨張弁82と、室内ファン83と、を備えている。なお、室内機8a~8cの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機8aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機8b、8cについては説明を省略する。
【0038】
室内熱交換器81は、一端(一方の冷媒出入口)が室内膨張弁82の一方のポートに冷媒配管で接続され、他端(他方の冷媒出入口)が後述する分流ユニット6aに冷媒配管87で接続されている。室内熱交換器81は、室内機8aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機8aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
【0039】
室内膨張弁82は、一方のポートが上述したように室内熱交換器81に接続され、他方のポートが液管32に接続されている。室内膨張弁82は、室内熱交換器81が蒸発器として機能する場合は、その開度が要求される冷房能力に応じて調整され、室内熱交換器81が凝縮器として機能する場合は、その開度が要求される暖房能力に応じて調整される。
【0040】
室内ファン83は、図示しないファンモータによって回転することで、室内機8a内に室内空気を取り込み、室内熱交換器81において冷媒と室内空気とを熱交換させた後、熱交換した空気を室内へ供給する。
【0041】
以上説明した構成の他に、室内機8aには各種のセンサが設けられている。室内熱交換器81の室内膨張弁82側の冷媒配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ84が、また、室内熱交換器81の分流ユニット6a側の冷媒配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ85が、それぞれ備えられている。また、室内機8aの図示しない室内空気の吸込口付近には、室内機8a内に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室温センサ86が備えられている。
【0042】
(分流ユニット)
空気調和装置10には、3台の室内機8a~8cに対応する3台の分流ユニット6a~6cが備えられている。分流ユニット6a~6cは、第1電磁弁61a~61cと、第2電磁弁62a~62cと、第1分流管63a~63cと、第2分流管64a~64cとを備えている。なお、分流ユニット6a~6cの構成は全て同じであるため、以下の説明では、分流ユニット6aの構成についてのみ説明を行い、その他の分流ユニット6b、6cについては説明を省略する。
【0043】
第1分流管63aの一端は高圧ガス管30に接続されており、第2分流管64aの一端は低圧ガス管31に接続されている。また、第1分流管63aの他端と第2分流管64aの他端とが相互に接続され、この接続部と室内熱交換器81とが冷媒配管87で接続されている。第1分流管63aには第1電磁弁61aが、また、第2分流管64aには第2電磁弁62aが、それぞれ設けられており、第1電磁弁61aおよび第2電磁弁62aをそれぞれ開閉することによって、分流ユニット6aに対応する室内機8aの室内熱交換器81が圧縮機21の吐出側(高圧ガス管30側)または吸入側(低圧ガス管31側)に接続されるよう、冷媒回路における冷媒の流路を切り替えることができる。
【0044】
(接続配管)
以上説明した室外機2a、2b、室内機8a~8cおよび分流ユニット6a~6cと、高圧ガス管30、高圧ガス分管30a、30b、低圧ガス管31、低圧ガス分管31a、31b、液管32、液分管32a、32b、および、分岐器70、71、72との接続状態を、
図1を用いて説明する。
【0045】
各室外機2a、2bの閉鎖弁44には高圧ガス分管30a、30bの一端がそれぞれ接続され、高圧ガス分管30a、30bの他端はそれぞれ分岐器70に接続される。この分岐器70に高圧ガス管30の一端が接続され、高圧ガス管30の他端は分岐して分流ユニット6a~6cの第1分流管63a~63cに接続される。
【0046】
各室外機2a、2bの閉鎖弁45には低圧ガス分管31a、31bの一端がそれぞれ接続され、低圧ガス分管31a、31bの他端はそれぞれ分岐器71に接続される。この分岐器71に低圧ガス管31の一端が接続され、低圧ガス管31の他端は分岐して分流ユニット6a~6cの第2分流管64a~64cに接続される。
【0047】
各室外機2a、2bの閉鎖弁46には液分管32a、32bの一端がそれぞれ接続され、液分管32a、32bの他端はそれぞれ分岐器72に接続される。この分岐器72に液管32の一端が接続され、液管32の他端は分岐してそれぞれ室内機8a~8cの室内膨張弁82に冷媒配管で接続される。
【0048】
また、各室内機8a~8cの室内熱交換器81と、各分流ユニット6a~6cにおける第1分流管63a~63cと第2分流管64a~64cとの接続点が、それぞれ冷媒配管87で接続される。
【0049】
以上説明した接続によって、空気調和装置10の冷媒回路が構成され、冷媒回路に冷媒を流すことによって冷凍サイクルが成立する。以下の説明では、
図1に示すように各室内機8a~8cが個別に冷房運転または暖房運転を実施可能とする冷媒回路の状態を「第1冷媒回路状態」ともいう。
【0050】
(制御装置)
室外機2a、2bには、制御装置110a、110bがそれぞれ備えられている。
図3は、制御装置110a、110bの構成を示すブロック図である。制御装置110a、110bの構成は基本的には全て同じであるため、以下の説明では、制御装置110aの構成についてのみ説明を行い、制御装置110bについては説明を省略する。
【0051】
制御装置110aは、図示しない電装品箱に格納されている図示しない制御基板に搭載されており、CPU111aと、記憶部112aと、冷媒回路選択部113aと、通信部114aとを備えている。CPU111aは、室外機2aの上述した各センサからの検出信号を取り込むとともに、各室内機8a~8cから出力される制御信号を通信部113aを介して取り込む。CPU111aは、取り込んだ検出信号や制御信号に基づいて圧縮機21の駆動制御、第1三方弁22、第2三方弁23および四方弁29の切り替え制御、第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41の開度制御、といった様々な制御を行う。なお、分流ユニット6a~6cにおける第1電磁弁61a~61cおよび第2電磁弁62a~62cの開閉制御は、分流ユニット6a~6cに対応する室内機6a~6cの図示しない制御装置が行っている。
【0052】
記憶部112aは、ROMやRAMで構成されており、室外機2aの制御プログラムや各センサからの検出信号に対応した検出値を記憶する。記憶部112aは、冷暖フリー方式の運転モードを実行する制御プログラムと、後述する冷暖切替方式(
図2)の運転モードを実行する制御プログラムとを記憶する。
【0053】
冷媒回路選択部113aは、室外機2aの冷暖フリー方式の運転モードと冷暖切替方式の運転モードとのいずれかを選択するためのものである。冷媒回路選択部113aで冷暖フリー方式が選択されると、CPU111aは冷媒回路状態を第1冷媒回路状態とするとともに冷暖フリー方式の運転モードの制御プログラムを実行し、冷媒回路選択部113aで冷暖切替方式が選択されると、CPU111aは冷媒回路状態を第2冷媒回路状態とするとともに冷暖切替方式の運転モードの制御プログラムを実行する。
【0054】
本実施形態において冷媒回路選択部113aは、上記電装品箱に収容され、作業者により切替操作されるディップスイッチやトグルスイッチ等のハードスイッチ(切替操作部)である。これに代えて、冷媒回路選択部113aは、PC等の電子機器からの入力信号によって切り替わるソフトスイッチであってもよい。なお、冷媒回路状態の切り替えについては、他の室外機(本実施形態の場合、室外機2b)からの指示を受けてCPU111aが行う場合がある(詳細は後述する)。
【0055】
通信部114aは、室外機2aと室内機8a~8cとの通信、および、室外機2aと室外機2b(通信部114b)との通信を行うインターフェイスであり、例えば近距離無線通信モジュールを備える。
【0056】
なお、制御装置110bの構成は、上述したように制御装置110aと同じであり、制御装置110aの構成要素(装置や部材)に付与した番号の末尾をaからbにそれぞれ変更したものが、制御装置110aの構成要素と対応する制御装置110bの構成要素となる。
【0057】
次に、冷暖フリー方式の空気調和装置10の運転動作について、
図1を用いて説明する。
【0058】
(全暖房運転)
図1に示すように、全ての室内機8a~8cが暖房運転を行う場合、各室外機2a、2bの第1三方弁22をポートbとポートcとが連通する(
図1において実線で示す)よう切り替えることで第1室外熱交換器24を蒸発器として機能させ、各室外機2a、2bの第2三方弁23をポートeとポートfとが連通する(
図1において実線で示す)よう切り替えることで第2室外熱交換器25を蒸発器として機能させる。また、各室外機2a、2bの四方弁29は、ポートgとポートhとが連通するとともにポートkとポートmとが連通する(
図1において実線で示す)ように切り替えられる。
【0059】
室内機8a~8cでは、各々に対応する分流ユニット6a~6cの第1電磁弁61a~61cを開いて第1分流管63a~63cを冷媒が流れるようにするとともに、第2電磁弁62a~62cを閉じて第2分流管64a~64cを遮断する。これにより、室内機8a~8cの室内熱交換器81は全て凝縮器として機能する。
【0060】
室外機2aの圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出配管28および室外機高圧ガス管33を流れ、閉鎖弁44を介して高圧ガス分管30aに流入する。同様に、室外機2bの圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出配管28を介して室外機高圧ガス管33を流れ、閉鎖弁44を介して高圧ガス分管30bに流入する。高圧ガス分管30a、30bに流入した高圧の冷媒は、分岐器70で合流して高圧ガス管30を流れ、高圧ガス管30から分流ユニット6a~6cに分かれて流入する。
【0061】
分流ユニット6a~6cに流入した高圧の冷媒は、開となっている第1電磁弁61a~61cが備えられた第1分流管63a~63cを流れて分流ユニット6a~6cから流出し、分流ユニット6a~6cに対応する室内機8a~8cに流入する。
【0062】
各室内機8a~8cに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81に流入して室内空気と熱交換を行って凝縮する。これにより、室内空気が暖められ、室内機8a~8cが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81から流出した高圧の冷媒は、室内膨張弁82を通過して減圧される。室内膨張弁82の開度は、室内熱交換器81の冷媒出口における冷媒の過冷却度に応じて決定される。冷媒の過冷却度は、例えば、室外機2a、2bの高圧センサ50で検出した圧力から算出した高圧飽和温度(室内熱交換器81内の凝縮温度に相当)から、冷媒温度センサ84で検出した室内熱交換器81の冷媒出口における冷媒温度を引くことで求められる。
【0063】
各室内機8a~8cから流出した中間圧の冷媒は液管32に流入し、液管32内で合流して分岐器72に流入する。分岐器72から液分管32a、32bに分流した中間圧の冷媒は、閉鎖弁46を介して各室外機2a、2bに流入する。各室外機2a、2bに流入した中間圧の冷媒は、室外機液管35を流れ、接続点Bで分流して第1室外膨張弁40aおよび第2室外膨張弁41を通過して減圧されて低圧の冷媒となる。
【0064】
第1室外膨張弁40の開度は、第1室外熱交換器24の冷媒出口における冷媒の過熱度に応じて決定される。また、第2室外膨張弁41の開度は、第2室外熱交換器25の冷媒出口における冷媒の過熱度に応じて決定される。冷媒の過熱度は、例えば、第1熱交温度センサ56や第2熱交温度センサ57で検出した第1室外熱交換器24や第2室外熱交換器25の冷媒出口における冷媒温度から、室外機2a、2bの低圧センサ51で検出した圧力から算出した低圧飽和温度(第1室外熱交換器24内や第2室外熱交換器25内の蒸発温度に相当)を引くことで求められる。
【0065】
第1室外膨張弁40や第2室外膨張弁41で減圧された低圧の冷媒は、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に流入して外気と熱交換を行って蒸発する。そして、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25から流出した低圧の冷媒は、第1三方弁22および第2三方弁23を介して接続点Cで合流し、接続点D、アキュムレータ27を介して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0066】
(全冷房運転)
次に、全ての室内機8a~8cが冷房運転を行う場合について説明する。全ての室内機8a~8cが冷房運転を行う場合、各室外機2a、2bの第1三方弁22をポートaとポートbとが連通する(
図1において破線で示す)よう切り替えることで第1室外熱交換器24を凝縮器として機能させ、第2三方弁23をポートdとポートeとが連通する(
図1において破線で示す)よう切り替えることで第2室外熱交換器25を凝縮器として機能させる。また、各室外機2a、2bの四方弁29は、ポートgとポートhとが連通するとともにポートkとポートmとが連通する(
図1において実線で示す)ように切り替えられる。
【0067】
室内機8a~8cでは、各々に対応する分流ユニット6a~6cの第1電磁弁61a~61cを閉じて第1分流管63a~63cを遮断するとともに、第2電磁弁62a~62cを開いて第2分流管64a~64cを冷媒が流れるようにする。これにより、室内機8a~8cの室内熱交換器81は全て蒸発器として機能する。
【0068】
各室外機2a、2bの圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、第1三方弁22および第2三方弁23側と高圧ガス管30側へ分流する。第1三方弁22および第2三方弁23側を流れる冷媒は、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に流入し、外気と熱交換を行って凝縮する。高圧ガス管30側へ流れる冷媒は、各分流ユニット6a~6cの第1電磁弁61a~61cが閉じられているため、室内機8a~8cへ流入することなく、室外機高圧ガス管33と高圧ガス分管30a、30bと高圧ガス管30の中で滞留する。
【0069】
ここで、各室内機8a~8cで要求される冷房能力が所定値以上となった場合に、上述したように室外機高圧ガス管33および高圧ガス管30の中で冷媒が滞留すると、要求される冷房能力を発揮させるために必要な量の冷媒を冷媒回路に循環させることができないおそれがある。このような場合は、四方弁29をポートgとポートkとが連通するとともにポートhとポートmとが連通する(
図1において破線で示す)ように切り替える。これにより、室外機高圧ガス管33のみに冷媒が滞留する(高圧ガス分管30a、30bと高圧ガス管30には滞留しない)ため、滞留する冷媒量が減少して冷媒回路を循環する冷媒量が増加する。なお、全冷房運転時の四方弁29は、全冷房運転中に各室内機a~8cから要求される冷房能力が予め定められている所定値以上となれば
図1の実線で示す状態から破線で示す状態に切り替えればよく、また、全冷房運転開始時に各室内機a~8cから要求される冷房能力が予め定められている所定値以上であれば
図1の実線で示す状態から破線で示す状態に切り替えればよい。
【0070】
室外機2aの第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25で凝縮した冷媒は、制御装置110aにより全開状態とされた第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41を通過し、閉鎖弁46を介して液分管32aに流入する。同様に、室外機2bの第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25で凝縮した冷媒は、制御装置110bにより全開状態とされた第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41を通過し、閉鎖弁46を介して液分管32bに流入する。液分管32a、32bに流入した中間圧の冷媒は、分岐器72で合流して液管32を流れ、液管32から各室内機8a~8cへ分かれて流入する。
【0071】
各室内機8a~8cへ流入した中間圧の冷媒は、室内膨張弁82で減圧されて低圧の冷媒となり室内熱交換器81に流入する。室内熱交換器81に流入した低圧の冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8a~8cが設置された室内の冷房が行われる。ここで、室内膨張弁82は、冷媒温度センサ84、85で検出した冷媒温度から、蒸発器である室内熱交換器81の出口での冷媒過熱度を求め、これに応じて開度を決定している。
【0072】
室内熱交換器81から流出した低圧の冷媒は分流ユニット6a~6eに流入し、開となっている第2電磁弁62a~62cが備えられた第2分流管64a~64bを流れて低圧ガス管31に流入する。そして、各分流ユニット6a~6cから低圧ガス管31に流入し低圧ガス管31内で合流した低圧の冷媒は、分岐管71によって低圧ガス分管31a、31bに分けられて各室外機2a、2bに流入する。各室外機2a、2bに流入した低圧の冷媒は、室外機低圧ガス管34を通過し、アキュムレータ27を介して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0073】
[室内機で冷房運転と暖房運転とが混在する場合の空気調和装置の運転]
次に、室内機8a~8cで冷房運転と暖房運転とが混在する場合について説明する。室内機8a~8cで冷房運転と暖房運転とが混在する場合、冷房運転を行っている室内機が要求する冷房能力の合計値と暖房運転を行っている室内機が要求する暖房能力の合計値の比較結果に応じて、冷媒回路の状態が決定される。本実施形態では一例として、室内機8a、8bが暖房運転/室内機8cが冷房運転を行っており、暖房運転を行っている2台の室内機8a、8bで要求される暖房能力が冷房運転を行っている1台の室内機8cで要求される冷房能力よりも大きい場合に、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25をそれぞれ蒸発器として機能させる暖房主体運転を行い、室内機8a、8bが冷房運転/室内機8cが暖房運転を行い、冷房運転を行っている2台の室内機8a、8bで要求される冷房能力が暖房運転を行っている1台の室内機8cで要求される暖房能力よりも大きい場合に、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25をそれぞれ凝縮器として機能させる冷房主体運転を行う。
【0074】
(暖房主体運転)
暖房主体運転では、各室外機2a、2bにおいて、第1三方弁22はポートbとポートcとが連通する(
図1において実線で示す)ように切り替えられ、第2三方弁23はポートeとポートfとが連通する(
図1において実線で示す)ように切り替えられる。また、四方弁29はポートgとポートhとが連通するとともにポートkとポートmとが連通する(
図1において実線で示す)ように切り替えられる。これにより、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25はいずれも蒸発器として機能する。
【0075】
また、暖房運転を行う2台の室内機8a、8bに対応する2台の分流ユニット6a、6bの第1電磁弁61a、61bは開いて第1分流管63a、63bを連通させるとともに、第2電磁弁62a、62bは閉じて第2分流管64a、64bを遮断する。これにより、2台の室内機8a、8bの室内熱交換器81は凝縮器となる。
【0076】
一方、冷房運転を行う室内機8cに対応する分流ユニット6cの第1電磁弁61cは閉じて第1分流管63cを遮断するとともに、第2電磁弁62cは開いて第2分流管64cを連通させる。これにより、室内機8cの室内熱交換器81は蒸発器となる。
【0077】
各室外機2a、2bの圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、高圧ガス管30を流れて分流ユニット6a、6bに分かれて流入する。分流ユニット6a、6bに流入した高圧の冷媒は、開となっている第1電磁弁61a、61bが備えられた第1分流管63a、63bを流れて分流ユニット6a、6bから流出し、対応する室内機8a、8bに流入する。
【0078】
室内機8a、8bに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81に流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8a、8bが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81で凝縮した高圧の冷媒は、室内膨張弁82を通過して減圧されて中間圧の冷媒となる。ここで、室内膨張弁82は、室内機8a、8bの制御部が、冷媒温度センサ84で検出した冷媒温度および室外機2a、2bから得た高圧飽和温度から、凝縮器である室内熱交換器81での冷媒過冷却度を求め、これに応じて開度が決定される。
【0079】
室内機8a、8bから流出した中間圧の冷媒は、液管32に流入する。そして、液管32内で合流した中間圧の冷媒は、一部が分岐管72、液分管32a、32bを通して室外機2a、2bに流入し、残りは液管32を流れて室内機8cに流入する。
【0080】
室外機2a、2bに流入した中間圧の冷媒は、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25の過熱度に応じた開度とされた第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41を通過する際に減圧して低圧の冷媒となり、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に流入する。第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に流入した低圧冷媒は、外気と熱交換を行って蒸発する。そして、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25から流出した低圧の冷媒は、第1三方弁22および第2三方弁23を通過した後アキュムレータ27を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0081】
一方、室内機8cに流入した中間圧の冷媒は、室内膨張弁82で減圧されて低圧の冷媒となり室内熱交換器81に流入する。室内熱交換器81に流入した低圧の冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8cが設置された室内の冷房が行われる。ここで、室内機8cの室内膨張弁82は、冷媒温度センサ84、85で検出した冷媒温度から、蒸発器である室内熱交換器81での冷媒過熱度を求め、これに応じて開度が決定される。
【0082】
室内熱交換器8cから流出した低圧の冷媒は分流ユニット6cに流入し、開となっている第2電磁弁62cが備えられた第2分流管64cを流れて低圧ガス管31に流入する。低圧ガス管31に流入した低圧の冷媒は、分岐管71、低圧ガス分管31a、31bを通して室外機2a、2bに流入し、アキュムレータ27を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0083】
(冷房主体運転)
冷房主体運転では、各室外機2a、2bにおいて、第1三方弁22はポートaとポートbとが連通する(
図1において破線で示す)ように切り替えられ、第2三方弁23はポートdとポートeとが連通する(
図1において破線で示す)ように切り替えられる。また、四方弁29はポートgとポートhとが連通するとともにポートkとポートmとが連通する(
図1において実線で示す)ように切り替えられる。これにより、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25はいずれも凝縮器として機能する。
【0084】
また、冷房運転を行う2台の室内機8a、8bに対応する2台の分流ユニット6a、6bの電磁弁61a、61bは閉じて第1分流管63a、63bを遮断するとともに、第2電磁弁62a、62bは開いて第2分流管64a、64bを連通させる。これにより、2台の室内機8a、8bの室内熱交換器81は蒸発器となる。
【0085】
一方、暖房運転を行う室内機8cに対応する分流ユニット6cの電磁弁61cは開いて第1分流管63cを連通させるとともに、第2電磁弁62cは閉じて第2分流管64cを遮断する。これにより、室内機8cの室内熱交換器81は凝縮器となる。
【0086】
各室外機2a、2bの圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、第1三方弁22および第2三方弁23側と高圧ガス管30側へ分流する。第1三方弁22および第2三方弁23を通過した高圧の冷媒は、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に流入し外気と熱交換を行って凝縮する。第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25で凝縮した冷媒は、制御装置110a、110bにより、取り込んだ圧縮機21の吐出圧力と液圧との差に応じた開度とされた第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41を通過して中間圧の冷媒となり、液管32 を流れて室内機8a、8bへ分かれて流入する。
【0087】
室内機8a、8bへ流入した中間圧の冷媒は、室内膨張弁82で減圧され低圧の冷媒となって室内熱交換器81に流入する。室内熱交換器81に流入した低圧の冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8a、8bが設置された室内の冷房が行われる。ここで、室内膨張弁82は、冷媒温度センサ84、85で検出した冷媒温度から、蒸発器である室内熱交換器81での冷媒過熱度を求め、これに応じて開度が決定される。
【0088】
室内機8a、8bの室内熱交換器81から流出した低圧の冷媒は分流ユニット6a、6bに流入し、開となっている第2電磁弁62a、62bが備えられた第2分流管64a、64bを流れて低圧ガス管31に流入する。そして、各分流ユニット6a、6bから低圧ガス管31 に流入した低圧の冷媒は、低圧ガス管31内で合流後、分岐管71、低圧ガス分管31a,31bを通して室外機2a、2bに流入し、アキュムレータ27を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0089】
一方、高圧ガス管30を流れて分流ユニット6cに流入した高圧の冷媒は、開となっている電磁弁61cが備えられた第1分流管63cを流れて室内機8cに流入する。室内機8cに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81に流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8cが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81から流出した高圧の冷媒は、室内膨張弁82を通過して減圧され中間圧の冷媒となる。ここで、室内機8cの室内膨張弁82は、冷媒温度センサ84で検出した冷媒温度および室外機2a、2bから得た高圧飽和温度から、凝縮器である室内熱交換器81での冷媒過冷却度を求め、これに応じて開度が決定される。
【0090】
そして、室内機8cから流出し液管32に流出した中間圧の冷媒は、分岐管72および液分岐管32a、32bを通って室外機2a、2bへ流入する。室外機2a、2bに流入した中間圧の冷媒は、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25の過熱度に応じた開度とされた第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41を通過する際に減圧して低圧の冷媒となり、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に流入する。第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に流入した低圧冷媒は、外気と熱交換を行って蒸発する。そして、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25から流出した低圧の冷媒は、第1三方弁22および第2三方弁23を通過した後アキュムレータ27を通過して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0091】
[冷暖切替方式の空気調和装置]
続いて
図2を参照して、冷暖切替方式の空気調和装置20の構成と動作例について説明する。
【0092】
図2に示すように冷暖切替方式の空気調和装置20は、上述の冷暖フリー方式の空気調和装置と異なり、分流ユニット6a~6c、低圧ガス管31、低圧ガス分管31a、31bおよび分岐管71を備えていない。すなわち、冷暖切替方式の空気調和装置20は、各室外機2a、2bの閉鎖弁45が閉鎖されるとともに、各室外機2a、2bと各室内機8a~8cとの間が、ガス管30(冷暖フリー方式の空気調和装置10における高圧ガス管30に相当)および液管32の2本の接続配管で並列に接続される。冷暖切替方式の空気調和装置20における室外機2a、2bおよび室内機8a~8cは、冷暖フリー方式の空気調和装置10のそれらと同一の構成であるため、それらの説明は省略する。
【0093】
冷暖切替方式の空気調和装置20において、暖房運転時は、冷暖フリー方式の空気調和装置10における全暖房運転時と同様に、各室外機2a、2bの第1三方弁22をポートbとポートcとが連通する(
図2において実線で示す)よう切り替えるとともに、第2三方弁23をポートeとポートfとが連通する(
図2において実線で示す)よう切り替える。そして、各室外機2a、2bの四方弁29をポートgとポートhとが連通するとともにポートkとポートmとが連通する(
図2において実線で示す)ように切り替える。これにより、各室外機2a、2bの第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25を蒸発器として機能させ、各室内機8a~8cの室内機81を凝縮器として機能させることができる。
【0094】
一方、冷暖切替方式の空気調和装置20において、冷房運転時は、冷暖フリー方式の空気調和装置10における全冷房運転時と同様に、各室外機2a、2bの第1三方弁22をポートaとポートbとが連通する(
図2において破線で示す)よう切り替えるとともに、第2三方弁23をポートdとポートeとが連通する(
図2において破線で示す)よう切り替える。そして、各室外機2a、2bの四方弁29をポートgとポートkとが連通するとともにポートhとポートmとが連通する(
図2において破線で示す)ように切り替える。これにより、各室外機2a、2bの第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25を凝縮器として機能させ、各室内機8a~8cの室内機81を蒸発器として機能させることができる。
【0095】
以上のように空気調和装置20の冷媒回路が構成され、冷媒回路に冷媒を流すことによって冷凍サイクルが成立する。以下の説明では、
図2に示すように各室内機8a~8cが同時に冷房運転または暖房運転を実施可能とする冷媒回路の状態を「第2冷媒回路状態」ともいう。
【0096】
[冷暖切替方式と冷暖フリー方式の選択]
ここで、四方弁29を有しこの四方弁29を切り替えて冷暖切替方式と冷暖フリー方式の両方に対応可能な空気調和装置においては、運転時に全ての室外機が冷暖切替方式と冷暖フリー方式のいずれかに統一されている必要がある。一般的には、冷暖切替方式と冷暖フリー方式の両方に対応可能な室外機は、冷媒回路を冷暖切替方式用あるいは冷暖フリー方式用のいずれかに切り替えるディップスイッチなどの切替手段(
図3の冷媒回路選択部113a、113bに相当)が各室外機に設けられ、設置時に、作業者によって当該切替手段が室外機ごとに操作されることが想定されている。しかしながら、上記切替手段の操作ミスや操作忘れによって、全ての室外機で冷暖切替方式と冷暖フリー方式のいずれかに統一されていない状態で空気調和装置が運転される場合が生じ得る。
【0097】
例えば冷暖フリー方式で運転する空気調和装置において、室外機2aが誤って冷暖切替方式に切り替えられた場合を考える。この場合、全冷房運転を行うときは、
図4に示すように、室外機2aの四方弁29はポートgとポートkが連通するとともにポートhとポートmとが連通する状態(以下、OFF状態ともいう)ように切り替えられ、室外機2bの四方弁29はポートgとポートhとが連通するとともにポートkとポートmとが連通する状態(以下、ON状態ともいう)ように切り替えられる。
【0098】
この状態で全冷房運転が開始されると、冷暖フリー方式が選択されている室外機2bの圧縮機21から吐出された冷媒は、室外機2bの四方弁29を介して高圧ガス分管30bに流入し、蒸発器として機能する各室内機8a~8cの室内熱交換器81から流出する冷媒と分岐器70において合流した後、高圧ガス分管30aを通って冷暖切替方式が選択されている室外機2aに流入する。つまり、室外機2aにおける室外機低圧ガス管34に室外機2bから流入した高温高圧の冷媒が流入して室外機2aの圧縮機21に吸入される。その結果、冷暖切替方式の室外機2aにおいて低圧が上昇しこれに伴って高圧も上昇して圧縮機21から吐出される冷媒の温度が性能上の使用範囲の上限値を超えるおそれがある。
【0099】
また、冷暖切替方式で運転する空気調和装置において、室外機2bが誤って冷暖フリー方式に切り替えられた場合は、
図5に示す冷媒回路の状態となる。この場合も、冷暖フリー方式で運転する空気調和装置において、室外機2aが誤って冷暖切替方式に切り替えられて全冷房運転を行った場合と同様に、室外機2aの四方弁29がOFF状態とされるとともに室外機2bの四方弁29がON状態とされて室外機2aにおける室外機低圧ガス管34に室外機2bから流入した高温高圧の冷媒が流入して室外機2aの圧縮機21に吸入されるので、冷暖切替方式の室外機2aにおいて低圧が上昇しこれに伴って高圧も上昇して圧縮機21から吐出される冷媒の温度が性能上の使用範囲の上限値を超えるおそれがある。
【0100】
このような問題は、冷暖フリー方式の室外機と冷暖切替方式の室外機とにおいて同一の運転モードでも四方弁29の各ポート間の接続がそれぞれ異なる場合に発生する。上述したように、同じ冷房運転でも冷暖フリー方式では四方弁29はON状態となり、冷暖切替方式では四方弁29がOFF状態となるため、上述したような冷暖フリー方式の室外機と冷暖切替方式の室外機の低圧側に冷暖フリー方式の室外機から流出した高温高圧の冷媒が流入するという問題が生じてしまう。
【0101】
以上の問題を解決するため、本実施形態の空気調和装置は、複数の室外機のうち一の室外機において冷暖フリー方式(第1冷媒回路状態)あるいは冷暖切替方式(第2冷媒回路状態)のいずれかが選択されたとき、当該一の室外機から他の室外機へ選択された冷媒回路状態に関する情報を含む状態信号が送信される。当該状態信号を受信した上記他の室外機は、冷媒回路選択部で選択された冷媒回路状態に関わらず、上記一の室外機で選択された冷媒回路状態と同一の冷媒回路状態を選択する。
【0102】
これにより、全ての室外機を確実に冷暖切替方式あるいは冷暖フリー方式に統一できるため、上述したような冷暖フリー方式の室外機と冷暖切替方式の室外機との混在に起因する問題の発生を防ぐことができる。
【0103】
[本実施形態の詳細]
以下、本実施形態の詳細について説明する。本実施形態では、2台の室外機2a、2bのうち、一方の室外機2aが親室外機として設定され、他方の室外機が親室外機の指示に従って動作する子室外機として設定される。以下の説明では、室外機2aを親室外機2aともいい、室外機2bを子室外機2bともいう。
【0104】
(基本動作)
図6は、空気調和装置10を設置した後に、空気調和装置10に電源を供給してから運転開始までの間に、本発明の冷媒回路状態の設定に関わる各室外機2a,2bの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【0105】
親室外機2aおよび子室外機2bに電源が供給されると、親室外機2aの制御装置110aは、当該親室外機2aの冷媒回路状態を判定する(ステップ101,102)。親室外機2aの冷媒回路状態の判定は、制御装置110aの冷媒回路選択部113aにおいて第1冷媒回路状態および第2冷媒回路状態のいずれが選択されているかに基づいてCPU111aが判定する。CPU111aは、冷媒回路状態の判定結果を記憶部112aに格納する。
【0106】
なお、親室外機2aおよび子室外機2bへの電源の供給は、各室外機2a,2bと各室内機8a~8cとが接続配管を介して接続された後に行われる。前述したように、
図1に示す冷暖フリー方式の空気調和装置10の場合は、各室外機2a,2bがともに第1冷媒回路状態とされる必要がある。一方、
図2に示す冷暖切替方式の空気調和装置20の場合は、各室外機2a,2bがともに第2冷媒回路状態とされる必要がある。
【0107】
続いて制御装置110aのCPU111aは、親室外機2aで選択された冷媒回路状態に関する情報を含む状態信号を生成し、生成した状態信号を、通信部114aから子室外機2bの通信部114bへ送信する(ステップ103)。具体的には、親室外機2aで第1冷媒回路状態が選択されているときは第1冷媒回路状態に関する状態信号を送信し、親室外機2aで第2冷媒回路状態が選択されているときは第2冷媒回路状態に関する状態信号を送信する。
【0108】
続いて、子室外機2bの制御装置110bは、状態信号を通信部114bで受信し、受信した状態信号に基づいて親室外機2aで選択された冷媒回路状態と同一の冷媒回路状態に子室外機2bを設定する(ステップ104)。具体的には、子室外機2bのCPU111bは、子室外機2bが第1冷媒回路状態に関する状態信号を受信したときは子室外機2bを第1冷媒回路状態に設定し、子室外機2bが第2冷媒回路状態に関する状態信号を受信したときは子室外機2bを第2冷媒回路状態に設定する。CPU111bは、受信した状態信号を記憶部112bへ格納してもよい。
【0109】
上記のように、CPU111bが親室外機2aから送信された状態信号に含まれる冷媒回路状態を選択することによって、子室外機2bの冷媒回路状態が冷媒回路選択部113bの操作によって誤って親室外機2aの冷媒回路状態とは異なる状態とされている場合であっても、子室外機2bの冷媒回路状態が親室外機2aと同一の冷媒回路状態に切り替えられる。これにより、子室外機2bの冷媒回路状態が誤って選択された場合でも、親室外機2aおよび子室外機2bを同一の冷媒回路状態に設定できる。
【0110】
子室外機2bの冷媒回路状態の設定が完了した後、親室外機2aおよび子室外機2bの運転が開始される(ステップ105)。子室外機2bに対する運転制御指令(冷房/暖房といった運転モードや室内機8a~8cが要求する空調能力に応じた圧縮機21の回転数など)は、親室外機2aから子室外機2bに送信される。親室外機2aの通信部114aと子室外機2bの通信部114bとは所定周期で通信することで、親室外機2aは子室外機2bへの電力供給が遮断されているか否かを把握することができ、また、子室外機2bの運転状態(圧縮機21の回転数や室外ファン26の回転数など)を定期的に取得することができる。このとき、子室外機2bの各種センサの検出値が親室外機2aに送信されてもよい。これにより、親室外機2aは子室外機2bの運転状態を把握することができる。
【0111】
(復電による運転再開動作)
続いて、停電復旧後の親室外機2aおよび子室外機2bの運転再開動作について説明する。
【0112】
図7は、親室外機2aおよび子室外機2bへの電力の供給が遮断され、その後、これらへの電力の供給が再開されてから運転開始までの、本発明の冷媒回路状態の設定に関わる各室外機2a,2bの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【0113】
停電復旧後に親室外機2aへの電力の供給が再開されると、親室外機2aの制御装置110aは、当該親室外機2aの冷媒回路状態を確認する(ステップ201,202)。親室外機2aの冷媒回路状態は、上述のように制御装置110aにおける冷媒回路選択部113aが第1冷媒回路状態および第2冷媒回路状態のいずれが選択されているかに基づいてCPU111aが判定する。CPU111aは、冷媒回路状態の判定結果を記憶部112aに格納する。
【0114】
続いて制御装置110aのCPU111aは、確認した親室外機2aの冷媒回路状態に関する情報を含む状態信号を生成し、生成した状態信号を、通信部114aから子室外機2bの通信部114bへ送信する(ステップ203)。
【0115】
続いて、子室外機2bの制御装置110bは、通信部114bで受信した状態信号に基づき、親室外機2aで選択された冷媒回路状態と同一の冷媒回路状態に子室外機2bを設定する(ステップ204)。子室外機2bの冷媒回路状態の設定が完了した後、親室外機2aおよび子室外機2bの運転が再開される(ステップ205)。
【0116】
本実施形態によれば、親室外機2bおよび子室外機2bへの電力供給が遮断された場合にも、その後の復電時において親室外機2aの冷媒回路選択部113aで設定されている冷媒回路状態に応じて生成される状態信号に基づいて子室外機2bの冷媒回路状態を設定して運転を再開することができる。これにより、電力遮断により子室外機2bの冷媒回路状態がリセットされた場合でも、電力供給の再開に伴って子室外機2bの冷媒回路状態をリセット前の親室外機2aの冷媒回路状態に自動的に設定できる。したがって、作業者による親室外機2aに対する冷媒回路状態の再設定操作が不要になる。なお、親室外機2aのみが電力供給を遮断された場合にも、上述と同様の手順で子室外機2bの冷媒回路状態を再設定するようにしてもよい。
【0117】
図8は、子室外機2bのみが電力の供給が遮断され、その後、子親室外機2bへの電力の供給が再開されてから運転開始までの、本発明の冷媒回路状態の設定に関わる各室外機2a,2bの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【0118】
前述したように、親室外機2aの通信部114aと子室外機2bの通信部114bとは定期的に通信を行っているため、親室外機2aは子室外機2bへの電力供給が遮断されているか否かを上記の定期的な通信が行えているか否かで把握することができる。途絶えていた子室外機2bとの通信が再開されたことにより子室外機2bへの電力供給が再開されたことを検出すると、親室外機2aの制御装置110aは、親室外機2aの冷媒回路状態を含む状態信号を生成して子室外機2bへ送信する(ステップ301,302)。
【0119】
この際、制御装置110aは、冷媒回路選択部113aに基づいて親室外機2aの冷媒回路状態をあらためて判定するようにしてもよいし、親室外機2aの運転開始時に判定した冷媒回路状態が記憶部112aに格納されている場合は、記憶部112aからその冷媒回路状態を読み出してもよい。
【0120】
続いて、子室外機2bの制御装置110bは、通信部114bで受信した状態信号に基づき、親室外機2aで選択された冷媒回路状態と同一の冷媒回路状態に子室外機2bを設定する(ステップ303)。子室外機2bの冷媒回路状態の設定が完了した後、子室外機2bの運転が再開される(ステップ304)。
【0121】
本実施形態によれば、子室外機2bへの電力供給が遮断され、その後の復電した場合において、親室外機2aの冷媒回路状態を含む状態信号に基づいて子室外機2bの冷媒回路状態を設定して運転を再開することができる。これにより、電力遮断により子室外機2bの冷媒回路状態がリセットされた場合でも、子室外機2aへの電力供給の再開時に子室外機2bの冷媒回路状態をリセット前の親室外機2aの冷媒回路状態に自動的に設定できる。
【0122】
以上のように本実施形態によれば、冷暖切替方式と冷暖フリー方式とを選択可能な複数の室外機2a,2bを備えた空気調和装置において、全ての室外機2a,2bを確実に冷暖切替方式あるいは冷暖フリー方式に統一できる。このため、冷暖フリー方式の室外機と冷暖切替方式の室外機との混在に起因する空気調和装置の不具合の発生を確実に防止できる。
【0123】
また本実施形態によれば、停電等により親室外機2aと子室外機2bへの電力供給が遮断された場合でも、復電時に子室外機2aの冷媒回路状態を停電前の冷媒回路状態に自動的に復帰させることができるため、作業者による冷媒回路状態の再設定操作を必要とすることなく、親室外機2aおよび子室外機2bの運転を再開することができる。
【0124】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0125】
例えば以上の実施形態では、2台の室外機2a,2bと3台の室内機8a~8cを備えた空気調和装置10,20を例に挙げて説明したが、室外機および室内機の数はこの例に限られず、室外機は3台以上であってもよいし、室内機は2台または4台以上であってもよい。なお、室外機が3台以上ある場合は、いずれか1台の室外機を親室外機とし、残りの室外機の冷媒回路状態を親室外機の冷媒回路状態に合わせればよい。
【0126】
また以上の実施形態では、冷暖フリー方式の空気調和装置10として3本の接続配管(高圧ガス管30、低圧ガス管31、液管32)を用いた例について説明したが、これに限られず、2本の接続配管を用いて冷暖フリー方式の空気調和装置が構成されてもよい。
【0127】
さらに以上の実施形態では、第1流路切替手段として三方弁(第1三方弁22、第2三方弁23)が採用されたが、これに限られず、四方弁などの他の切替弁が採用されてもよい。同様に、第2流路切替手段として四方弁29が採用されたが、これに限られず、例えば
図9に示すように2つの電磁開閉弁が採用されてもよい。
【0128】
図9は、第2流路切替手段として2つの電磁開閉弁(第1電磁開閉弁29aおよび第2電磁開閉弁29b)が採用された室外機2a,2bの冷媒回路図である。第1電磁開閉弁29および第2電磁開閉弁は、いずれも開閉のみの切替弁である。第1電磁開閉弁29aは、室外機高圧ガス管33に設置され、制御装置110a,110bの指令により圧縮機21の吐出側と閉鎖弁44との間の連通/遮断を切り替える。第2電磁開閉弁29bは、室外機高圧ガス管33と室外機低圧ガス管34との間を接続する冷媒配管37に設置され、制御装置110a,110bの指令により室外機高圧ガス管33と室外機低圧ガス管34との間の連通/遮断を切り替える。
【0129】
室外機2a,2bが冷暖フリー方式(第1冷媒回路状態)の室外機の場合、第1電磁開閉弁29aは、全暖房運転時、全冷房運転時、暖房主体運転時および冷房主体運転時のすべての場合においてON状態に設定され、第2電磁開閉弁29bは上記すべての場合においてOFF状態に設定される。また、室外機2a,2bが冷暖切替方式(第2冷媒回路状態)の室外機の場合、冷房運転時は第1電磁開閉弁がOFFに、第2電磁開閉弁がONにそれぞれ設定され、暖房運転時は第1電磁開閉弁がONに、第2電磁開閉弁29bがOFFにそれぞれ設定される。
【符号の説明】
【0130】
2a…室外機(親室外機)
2b…室外機(子室外機)
6a,6b,6c…分流ユニット
8a,8b,8c…室内機
10…冷暖フリー方式の空気調和装置
20…冷暖切替方式の空気調和装置
21…圧縮機
22…第1三方弁(第1流路切替手段)
23…第2三方弁(第1流路切替手段)
24…第1室外熱交換器
25…第2室外熱交換器
29…四方弁(第2流路切替手段)
30…高圧ガス管(ガス管)
31…低圧ガス管
32…液管
81…室内熱交換器
110a,110b…制御装置
111a,111b…CPU
112a,112b…記憶部
113a,113b…冷媒回路選択部
114a,114b…通信部