(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】トルク検出システム
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G01L3/10 305
(21)【出願番号】P 2022140804
(22)【出願日】2022-09-05
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2021173061
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼坂 成時
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-265580(JP,A)
【文献】特開2013-246035(JP,A)
【文献】特開2013-195288(JP,A)
【文献】特開2004-309463(JP,A)
【文献】特開2019-120671(JP,A)
【文献】特開2018-197738(JP,A)
【文献】特開2013-195108(JP,A)
【文献】特開2009-192248(JP,A)
【文献】米国特許第10330542(US,B1)
【文献】特開2003-149062(JP,A)
【文献】特開平02-093321(JP,A)
【文献】特開2011-017647(JP,A)
【文献】特開2013-205032(JP,A)
【文献】特開2019-124652(JP,A)
【文献】特開2012-042352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10
G01D 5/12-5/252
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記磁石の磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算し、
前記爪部は、前記軸方向における前記磁石の中心を通るとともに前記軸方向と直交する面である磁石中心面(Sm)と交差しており、
前記磁石の磁力の大きさは、前記磁石中心面から前記軸方向外側に向かうことに伴って、大きくなっているトルク検出システム。
【請求項2】
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記磁石の磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算し、
前記爪部は、前記第1磁気検出部を通るとともに前記軸方向と直交する面である通過面(Sd)と交差しており、
前記磁石は、前記通過面と交差しており、
前記磁石の磁力の大きさは、前記通過面から前記軸方向外側に向かうことに伴って、大きくなっているトルク検出システム。
【請求項3】
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記磁石の磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算し、
前記爪部は、前記軸方向における前記磁石の中心を通るとともに前記軸方向と直交する面である磁石中心面(Sm)と交差しており、
前記磁石のうち前記磁石中心面と交差する部分は、未着磁とされているトルク検出システム。
【請求項4】
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記磁石の磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算し、
前記爪部は、前記第1磁気検出部を通るとともに前記軸方向と直交する面である通過面(Sd)と交差しており、
前記磁石は、前記通過面と交差しており、
前記磁石のうち前記通過面と交差する部分は、未着磁とされているトルク検出システム。
【請求項5】
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部は、前記磁石の軸を中心とする同一円(C)上に配置されている請求項1
ないし4のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項6】
前記磁石は、前記磁石の回転方向において交互に磁極が反転するように着磁されており、
前記磁石の磁極の数をnとし、奇数をaとすると、
前記磁石の軸および前記第1磁気検出部を結ぶ線(L1)と前記磁石の軸および前記第2磁気検出部を結ぶ線(L2)とでなす前記磁石の回転方向の角度(θ)は、360°÷n×aで表される角度になっている請求項1
ないし4のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項7】
前記磁石は、前記磁石の回転方向において交互に磁極が反転するように着磁されており、
前記磁石の磁極の数は、前記爪部の数と同じになっている請求項1
ないし4のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項8】
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において、前記磁石の磁極(N,S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なるとともに、前記磁石の磁極の中心を通り前記軸方向と直交する方向に延びる中心線(Om)よりも前記軸方向の一方側に配置されており、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において、前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極と同じ磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なるとともに、前記中心線よりも前記軸方向の他方側に配置されており、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算するトルク検出システム。
【請求項9】
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、前記環状部から前記軸方向に突出している鍔部(391、392)と、を含むヨーク(361、362)と、前記鍔部を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記鍔部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記鍔部を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記鍔部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記磁石の磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算するトルク検出システム。
【請求項10】
前記爪部は、前記環状部と接続されている接続部(401、402)と、前記接続部と接続されているとともに前記接続部から前記軸方向に向かって突出している突出部(411、412)と、を有し、
前記突出部は、前記突出部の中心を通るとともに前記軸方向と直交する面(Si1、Si2)に対して前記軸方向に対称となっている請求項
1、2、3、4、8、9のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項11】
前記突出部は、柱状に形成されており、底面(421、422)と、側面(431、432)と、を含み、
前記底面は、前記軸方向と直交しており、
前記側面は、前記底面と接続されているとともに、前記底面から前記軸方向に延びている請求項
10に記載のトルク検出システム。
【請求項12】
前記爪部は、前記環状部と接続されている接続部(401、402)と、前記接続部と接続されているとともに前記接続部から前記軸方向に向かって突出している突出部(411、412)と、を有し、
前記突出部は、柱状に形成されており、底面(421、422)と、側面(431、432)と、を含み、
前記底面は、前記軸方向と直交しており、
前記側面は、前記底面と接続されているとともに、前記底面から前記軸方向に延びており、
前記底面と前記側面との境界部の少なくとも1つは、R形状になっている請求項
1、2、3、4、8、9のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項13】
前記爪部は、前記環状部と接続されている接続部(401、402)と、前記接続部と接続されているとともに前記接続部から前記軸方向に向かって突出している突出部(411、412)と、を有し、
前記突出部は、柱状に形成されており、底面(421、422)と、側面(431、432)と、を含み、
前記底面は、前記軸方向と直交しており、
前記側面は、前記底面と接続されているとともに、前記底面から前記軸方向に延びており、
前記底面と前記側面との境界部の少なくとも1つは、前記底面および前記側面に対して傾斜する面になっている請求項
1、2、3、4、8、9のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項14】
前記環状部は、第1環状部(370)であって、
前記爪部は、第1爪部(372)であって、
前記ヨークは、第2環状部(380)と、第2爪部(382)と、をさらに含み、
前記第2環状部は、前記回転体とともに回転し、
前記第2爪部は、前記第2環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記第2環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁し、
前記第1環状部は、前記第2環状部と前記軸方向に対向しており、
前記第1爪部は、前記第1環状部と接続されている第1接続部(401)と、前記第1接続部と接続されているとともに前記第1接続部から前記軸方向に向かって突出している第1突出部(411)と、を有し、
前記第2爪部は、前記第2環状部と接続されている第2接続部(402)と、前記第2接続部と接続されているとともに前記第2接続部から前記軸方向に向かって突出している第2突出部(412)と、を有し、
前記軸方向における前記第1突出部および前記第2突出部の長さ(Lc1、Lc2)は、前記軸方向における前記第1環状部から前記第2環状部までの距離(Lyb)の30%以上となっている請求項
1、2、3、4、8、9のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項15】
前記爪部は、前記軸方向における前記磁石の中心を通るとともに前記軸方向と直交する面である磁石中心面(Sm)と交差しており、
前記磁石の磁力の大きさは、前記磁石中心面から前記軸方向外側に向かうことに伴って、大きくなっている請求項
8、9のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項16】
前記爪部は、前記第1磁気検出部を通るとともに前記軸方向と直交する面である通過面(Sd)と交差しており、
前記磁石は、前記通過面と交差しており、
前記磁石の磁力の大きさは、前記通過面から前記軸方向外側に向かうことに伴って、大きくなっている請求項
8、9のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項17】
前記爪部は、前記軸方向における前記磁石の中心を通るとともに前記軸方向と直交する面である磁石中心面(Sm)と交差しており、
前記磁石のうち前記磁石中心面と交差する部分は、未着磁とされている請求項
8、9のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【請求項18】
前記爪部は、前記第1磁気検出部を通るとともに前記軸方向と直交する面である通過面(Sd)と交差しており、
前記磁石は、前記通過面と交差しており、
前記磁石のうち前記通過面と交差する部分は、未着磁とされている請求項
8、9のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トルク検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、磁石と、ヨークと、集磁部と、ホールICとを備えるトルクセンサが知られている。この磁石は、ステアリングシャフトとともに回転する。また、ヨークは、ステアリングシャフトとともに回転することにより磁石によって発生する磁界を変化させる。さらに、集磁部は、ヨークによって変化する磁界をホールICに誘導する。そして、ホールICがこの磁界の強さを検出することにより、ステアリングシャフトにかかるトルクが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者の検討によれば、特許文献1に記載されたトルクセンサの近傍にモータ等が配置されると、集磁部は、ヨークによって変化する磁界をホールICに誘導するとともに、モータ等により発生する磁界をホールICに誘導する。このため、ホールICによって検出されるノイズの大きさが大きくなるため、トルクの検出精度が低下する。そこで、このトルクセンサの耐外乱磁界性能を向上させるため、集磁部をなくすことが考えられる。しかし、集磁部は、磁石から漏れる磁界がホールICを通過しないようにホールICを保護している。このため、集磁部をなくしたり、また、ヨークに対するホールICの相対位置がずれたりすると、ホールICは、ヨークによって変化する磁界の強さに加えて、磁石から漏れる磁界の強さを検出する。したがって、特許文献1に記載されたトルクセンサでは、集磁部をなくしたり、ヨークに対するホールICの相対位置がずれたりすると、磁石から漏れる磁界がノイズとなるため、磁石から漏れるノイズ磁界に対する耐性が低下する。
【0005】
本開示は、集磁部をなくしたり、ヨークに対する磁気検出部の相対位置がずれても、磁石から漏れるノイズ磁界に対する耐性を向上させるトルク検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、磁界を発生させつつ検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、環状部から軸方向に向かって突出していることで軸方向と直交する方向に磁石と対向しつつ環状部とともに回転することにより磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、第1磁気検出部および第2磁気検出部からの信号に基づいて、トルクを演算する演算部(18)と、を備え、第1磁気検出部は、トルクが発生していない状態において磁石の磁極(N、S)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、第2磁気検出部は、トルクが発生していない状態において第1磁気検出部と重なる磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、演算部は、第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいてトルクを演算し、爪部は、軸方向における磁石の中心を通るとともに軸方向と直交する面である磁石中心面(Sm)と交差しており、磁石の磁力の大きさは、磁石中心面から軸方向外側に向かうことに伴って、大きくなっているトルク検出システムである。
さらに、請求項2に記載の発明は、検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、磁界を発生させつつ検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、環状部から軸方向に向かって突出していることで軸方向と直交する方向に磁石と対向しつつ環状部とともに回転することにより磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、第1磁気検出部および第2磁気検出部からの信号に基づいて、トルクを演算する演算部(18)と、を備え、第1磁気検出部は、トルクが発生していない状態において磁石の磁極(N、S)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、第2磁気検出部は、トルクが発生していない状態において第1磁気検出部と重なる磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、演算部は、第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいてトルクを演算し、爪部は、第1磁気検出部を通るとともに軸方向と直交する面である通過面(Sd)と交差しており、磁石は、通過面と交差しており、磁石の磁力の大きさは、通過面から軸方向外側に向かうことに伴って、大きくなっているトルク検出システムである。
また、請求項3に記載の発明は、検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、磁界を発生させつつ検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、環状部から軸方向に向かって突出していることで軸方向と直交する方向に磁石と対向しつつ環状部とともに回転することにより磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、第1磁気検出部および第2磁気検出部からの信号に基づいて、トルクを演算する演算部(18)と、を備え、第1磁気検出部は、トルクが発生していない状態において磁石の磁極(N、S)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、第2磁気検出部は、トルクが発生していない状態において第1磁気検出部と重なる磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、演算部は、第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいてトルクを演算し、爪部は、軸方向における磁石の中心を通るとともに軸方向と直交する面である磁石中心面(Sm)と交差しており、磁石のうち磁石中心面と交差する部分は、未着磁とされているトルク検出システムである。
さらに、請求項4に記載の発明は、検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、磁界を発生させつつ検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、環状部から軸方向に向かって突出していることで軸方向と直交する方向に磁石と対向しつつ環状部とともに回転することにより磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、第1磁気検出部および第2磁気検出部からの信号に基づいて、トルクを演算する演算部(18)と、を備え、第1磁気検出部は、トルクが発生していない状態において磁石の磁極(N、S)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、第2磁気検出部は、トルクが発生していない状態において第1磁気検出部と重なる磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、演算部は、第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいてトルクを演算し、爪部は、第1磁気検出部を通るとともに軸方向と直交する面である通過面(Sd)と交差しており、磁石は、通過面と交差しており、磁石のうち通過面と交差する部分は、未着磁とされているトルク検出システムである。
【0007】
また、請求項8に記載の発明は、検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、磁界を発生させつつ検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、環状部から軸方向に向かって突出していることで軸方向と直交する方向に磁石と対向しつつ環状部とともに回転することにより磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、環状部を軸方向に投影したとき投影した環状部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、第1磁気検出部および第2磁気検出部からの信号に基づいて、トルクを演算する演算部(18)と、を備え、第1磁気検出部は、トルクが発生していない状態において、磁石の磁極(N,S)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なるとともに、磁石の磁極の中心を通り軸方向と直交する方向に延びる中心線(Om)よりも軸方向の一方側に配置されており、第2磁気検出部は、トルクが発生していない状態において、第1磁気検出部と重なる磁石の磁極と同じ磁極(N、S)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なるとともに、中心線よりも軸方向の他方側に配置されており、演算部は、第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいてトルクを演算するトルク検出システムである。
【0008】
さらに、請求項9に記載の発明は、検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、磁界を発生させつつ検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、環状部から軸方向に向かって突出していることで軸方向と直交する方向に磁石と対向しつつ環状部とともに回転することにより磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、環状部から軸方向に突出している鍔部(391、392)と、を含むヨーク(361、362)と、鍔部を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した鍔部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、鍔部を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した鍔部と重なるとともに、トルクに対応し、磁石の回転方向における磁石に対するヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、第1磁気検出部および第2磁気検出部からの信号に基づいて、トルクを演算する演算部(18)と、を備え、第1磁気検出部は、トルクが発生していない状態において磁石の磁極(N、S)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、第2磁気検出部は、トルクが発生していない状態において第1磁気検出部と重なる磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を軸方向と直交する方向に投影したとき投影した磁石の磁極と重なり、演算部は、第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいてトルクを演算するトルク検出システムである。
【0009】
これにより、磁石から漏れる磁界のうち第2磁気検出部によって検出される磁界の方向は、磁石から漏れる磁界のうち第1磁気検出部によって検出される磁界の方向とは逆方向になる。このため、第1磁気検出部および第2磁気検出部によって検出されるノイズは、互いに打ち消し合うものとなる。また、演算部は、第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。これにより、第1磁気検出部および第2磁気検出部によって検出されるノイズが除去される。したがって、集磁部をなくしたり、ヨークに対する磁気検出部の相対位置がずれても、磁石から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態のトルク検出システムのトルクセンサが用いられるステアリングシステムの構成図。
【
図8】トルクセンサの磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、第1磁気検出部および第2磁気検出部の位置関係を示す斜視図。
【
図12】トルクセンサの磁石、第1ヨークおよび第2ヨークの中立状態を示す側面図。
【
図13】ステアリングシステムのステアリングホイールが回転したときにおけるトルクセンサの磁石、第1ヨークおよび第2ヨークの側面図。
【
図14】磁石から漏れた磁界が第1磁気検出部および第2磁気検出部を通過する様子を示す模式図。
【
図15】磁石の回転角度と第1磁気検出部および第2磁気検出部のSN比との関係を示す図。
【
図16】ステアリングホイールが回転したときにおけるトルクセンサの磁石、第1ヨークおよび第2ヨークの側面図。
【
図17】第2実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、第1磁気検出部および第2磁気検出部の位置関係を示す斜視図。
【
図21】第3実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、第1磁気検出部および第2磁気検出部の位置関係を示す斜視図。
【
図26】第4実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨークおよび第2ヨークを示す側面図。
【
図31】比較例の第1ヨークにおける第1突出部の拡大図。
【
図32】比較例の第2ヨークにおける第2突出部の拡大図。
【
図33】第1長さ、第2長さおよびノイズ磁界の強さの関係を示す図。
【
図34】第5実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける第1ヨークの拡大図。
【
図38】第6実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける第1ヨークの拡大図。
【
図42】第7実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、基板および第1磁気検出部の断面図。
【
図43】第8実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、基板および第1磁気検出部の断面図。
【
図44】第9実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、基板および第1磁気検出部の断面図。
【
図45】第10実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、基板および第1磁気検出部の断面図。
【
図46】第11実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、基板および第1磁気検出部の位置関係を示す図。
【
図47】第12実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、基板、第1磁気検出部および第2磁気検出部の位置関係を示す図。
【
図48】第13実施形態のトルク検出システムのトルクセンサにおける磁石、第1ヨーク、第2ヨーク、基板および第1磁気検出部の位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態のトルク検出システムのトルクセンサ25は、例えば、車両に搭載されるステアリングシステム1に用いられる。まず、このステアリングシステム1について説明する。
【0014】
ステアリングシステム1は、車輪17の向きを変更するための操舵を補助する。具体的には、ステアリングシステム1は、
図1および
図2に示すように、ステアリングホイール5、第1ステアリングシャフト11、トーションバー13および第2ステアリングシャフト12を備える。また、ステアリングシステム1は、シャフトピン14、ピニオンギア15、ラック軸16、車輪17、トルクセンサ25、モータ制御装置18、モータ19および減速ギア20を備える。
【0015】
ステアリングホイール5は、
図1に示すように、車両の運転者や自動運転等により操舵されることによって回転する。
【0016】
第1ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール5に接続されている。このため、第1ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール5とともに回転する。
【0017】
トーションバー13は、第1ステアリングシャフト11に接続されている。このため、トーションバー13は、ステアリングホイール5および第1ステアリングシャフト11とともに回転する。
【0018】
第2ステアリングシャフト12は、トーションバー13に接続されている。このため、トーションバー13は、ステアリングホイール5、第1ステアリングシャフト11およびトーションバー13とともに回転する。
【0019】
シャフトピン14は、
図2に示すように、第1ステアリングシャフト11に形成されている穴およびその第1ステアリングシャフト11の穴に対応するトーションバー13の穴に挿入されている。これにより、第1ステアリングシャフト11とトーションバー13とが固定されている。また、シャフトピン14は、第2ステアリングシャフト12に形成されている穴およびその第2ステアリングシャフト12の穴に対応するトーションバー13の穴に挿入されている。これにより、第2ステアリングシャフト12とトーションバー13とが固定されている。
【0020】
ピニオンギア15は、
図1に示すように、第2ステアリングシャフト12に接続されている。また、ピニオンギア15は、後述のラック軸16に噛み合っている。さらに、ピニオンギア15は、第2ステアリングシャフト12の回転運動をラック軸16の直線運動に変換する。
【0021】
ラック軸16は、図示しないタイロッド等を介して、車輪17に接続されている。また、ラック軸16は、直線運動することによって車輪17の向きを変更する。
【0022】
トルクセンサ25には、トーションバー13の一部が挿入されている。また、トルクセンサ25は、ステアリングホイール5の回転によってトーションバー13に発生する捩りトルクに応じた信号を検出する。これにより、トルクセンサ25は、操舵トルクを検出する。さらに、トルクセンサ25は、この検出した操舵トルクに応じた信号を、後述のモータ制御装置18に出力する。このトルクセンサ25の詳細については、後述する。なお、操舵トルクは、ステアリングホイール5が回転するときにかかるトルクである。
【0023】
モータ制御装置18は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路およびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、モータ制御装置18は、ROMに記憶されているプログラムを実行する。これにより、モータ制御装置18は、後述のモータ19の回転角度を演算する。さらに、モータ制御装置18は、トルクセンサ25からの操舵トルクに応じた信号に基づいて、操舵トルクを演算する。また、モータ制御装置18は、この演算したモータ19の回転角度および操舵トルク等に基づいて、後述のモータ19の回転を制御する。
【0024】
モータ19は、モータ制御装置18からの出力に基づいて回転する。これにより、モータ19は、トルクを発生させる。
【0025】
減速ギア20は、モータ19および第2ステアリングシャフト12に接続されている。また、減速ギア20は、モータ19の回転を減速させるとともに、モータ19によって発生したトルクを第2ステアリングシャフト12に伝達する。これにより、車輪17の向きを変更するための操舵が補助される。
【0026】
以上のように、ステアリングシステム1は、構成されている。次に、トルクセンサ25の構成について説明する。
【0027】
トルクセンサ25は、
図2~
図11に示すように、磁石30、回転体35、第1ヨーク361、第2ヨーク362および固定用カラー354を備えている。また、トルクセンサ25は、基板60、第1磁気検出部61、第2磁気検出部62、センサケース75、ターミナル80、第1カバー85および第2カバー86を備えている。
【0028】
磁石30は、
図2、
図8~
図11に示すように、円環状に形成されている。また、磁石30は、第1ステアリングシャフト11の端部に接続されている。さらに、磁石30の穴には、トーションバー13の一部が挿入されている。また、磁石30の軸は、トーションバー13の軸と同一軸上に位置している。このため、磁石30は、第1ステアリングシャフト11とともにトーションバー13の軸周りに回転する。さらに、磁石30は、磁石30の回転方向において交互に磁極が反転するように着磁されている。また、磁石30の磁極の数は、ここでは、16になっている。
【0029】
ここで、以下では、便宜的に、磁石30の径方向を、単に径方向と記載する。また、磁石30の軸方向Daを、単に軸方向Daと記載する。さらに、磁石30の軸を中心とする周方向を、単に周方向と記載する。
【0030】
回転体35は、
図3~
図7に示すように、円筒状に形成されている。また、回転体35の軸は、磁石30の軸と同一軸上に位置している。このため、回転体35の軸と、磁石30の軸と、トーションバー13の軸とは同一軸となっている。
【0031】
第1ヨーク361は、
図2および
図3に示すように、筒状に軟磁性体で形成されている。また、第1ヨーク361は、第1ヨーク環状部370および複数の第1ヨーク爪部372を含む。
【0032】
第1ヨーク環状部370は、第1環状部に対応しており、円環状に形成されている。また、第1ヨーク環状部370の一部は、径方向に延びる回転体35の穴に挿入されている。
【0033】
第1ヨーク爪部372は、第1爪部に対応しており、第1ヨーク環状部370の内側から軸方向Daに突出している。また、第1ヨーク爪部372は、第1ヨーク環状部370の内側から先端側に向かって幅が小さくなる先細り形状に形成されている。さらに、第1ヨーク爪部372は、回転体35の内側面と接続されている。また、第1ヨーク爪部372は、磁石30の外側面と径方向に対向している。さらに、回転体35の穴が周方向に所定の間隔で形成されていることから、第1ヨーク爪部372は、周方向に所定の間隔で形成されている。
【0034】
第2ヨーク362は、第1ヨーク361と同様に、環状に軟磁性体で形成されている。また、第2ヨーク362は、回転体35および第1ヨーク361と、例えば、一体成形されている。さらに、第2ヨーク362は、第2ヨーク環状部380および複数の第2ヨーク爪部382を含む。
【0035】
第2ヨーク環状部380は、第2環状部に対応しており、円環状に形成されている。また、第2ヨーク環状部380の一部は、径方向に延びる回転体35の穴に挿入されている。
【0036】
第2ヨーク爪部382は、第2爪部に対応しており、第2ヨーク環状部380の内側から軸方向Daに突出している。また、第2ヨーク爪部382は、第2ヨーク環状部380の内側から先端側に向かって幅が小さくなる先細り形状に形成されている。さらに、第2ヨーク爪部382は、回転体35の内側面と接続されている。また、第2ヨーク爪部382は、磁石30の外側面と径方向に対向している。さらに、回転体35の穴が周方向に所定の間隔で形成されていることから、第2ヨーク爪部382は、周方向に所定の間隔で形成されている。また、第2ヨーク爪部382は、互いに隣り合う第1ヨーク爪部372同士の間に配置されている。このため、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、周方向において交互に配置されている。さらに、第2ヨーク爪部382の数は、第1ヨーク爪部372の数と同じになっている。また、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382の数の和は、磁石30の磁極の数と同じになっている。なお、
図3~
図7において、図示の煩雑さを避けるため、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、一部省略されている。
【0037】
固定用カラー354は、筒状に形成されている。また、固定用カラー354は、回転体35の内側面に接続されている。さらに、固定用カラー354は、第2ステアリングシャフト12に接続されている。このため、回転体35は、第2ステアリングシャフト12とともに回転する。
【0038】
基板60は、プリント基板である。第1磁気検出部61は、基板60に実装されている。また、第1磁気検出部61は、例えば、図示しないホール素子、MR素子を有する。これらの素子により、第1磁気検出部61は、第1磁気検出部61にかかる軸方向Daの磁界の強さを検出する。さらに、第1磁気検出部61は、この検出した磁界の強さに応じた信号を、モータ制御装置18に出力する。第2磁気検出部62は、基板60に実装されている。また、第2磁気検出部62は、例えば、図示しないホール素子、MR素子を有する。これらの素子により、第2磁気検出部62は、第1磁気検出部61と同様に、第2磁気検出部62にかかる軸方向Daの磁界の強さを検出する。さらに、第2磁気検出部62は、この検出した磁界の強さに応じた信号を、モータ制御装置18に出力する。なお、MRは、Magneto Resistiveの略である。
【0039】
また、第1磁気検出部61は、
図8~
図11に示すように、第1ヨーク環状部370を軸方向Daに投影したとき、投影した第1ヨーク環状部370と重なる。さらに、第1磁気検出部61は、第2ヨーク環状部380を軸方向Daに投影したとき、投影した第2ヨーク環状部380と重なる。また、第1磁気検出部61は、初期状態において、磁石30のN極を径方向に投影したとき、投影したN極と重なる。さらに、第1磁気検出部61は、初期状態において、磁石30のS極を径方向に投影したとき、投影したS極と重ならない。なお、初期状態は、後述するように、ステアリングホイール5が回転していないときであって、操舵トルクが発生していないときである。
【0040】
また、第2磁気検出部62は、第1ヨーク環状部370を軸方向Daに投影したとき、投影した第1ヨーク環状部370と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、第2ヨーク環状部380を軸方向Daに投影したとき、投影した第2ヨーク環状部380と重なる。また、第2磁気検出部62は、初期状態において、磁石30のS極を径方向に投影したとき、投影したS極と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、初期状態において、磁石30のN極を径方向に投影したとき、投影したN極と重ならない。なお、第1磁気検出部61は、初期状態において、磁石30のS極と径方向に対向しているとともに、磁石30のN極と径方向に対向していなくてもよい。この場合、第2磁気検出部62は、初期状態において、磁石30のN極と径方向に対向しているとともに、磁石30のS極と径方向に対向していない。
【0041】
また、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、
図9に示すように、回転体35の軸を中心とする同一円C上に配置されている。ここで、
図10および
図11に示すように、第2ヨーク環状部380から第1磁気検出部61までの軸方向Daの距離を第1ヨーク距離Ly1とする。さらに、第2ヨーク環状部380から第2磁気検出部62までの軸方向Daの距離を第2ヨーク距離Ly2とする。そして、第1ヨーク距離Ly1は、第2ヨーク距離Ly2と同じになっている。なお、ここでは、「同じ」は、製造誤差範囲を含む。
【0042】
また、ここで、
図9に示すように、磁石30の軸および第1磁気検出部61を結ぶ線を第1直線L1とする。また、磁石30の軸および第2磁気検出部62を結ぶ線を第2直線L2とする。さらに、第1直線L1と第2直線L2とでなす、磁石30の回転方向の角度を検出部間角度θとする。そして、検出部間角度θは、下記関係式(1)に示す角度になっている。なお、下記関係式(1)において、nは、磁石30の磁極の数である。また、aは、奇数である。さらに、ここでは、nは、16である。aは、1である。したがって、ここでは、検出部間角度θは、22.5°である。
【0043】
θ=360°÷n×a ・・・(1)
【0044】
センサケース75は、
図3~
図7に示すように、樹脂等で径方向に延びる板状に形成されている。また、センサケース75は、カバー用ピン758、第1収容部751および第2収容部752を有する。
【0045】
カバー用ピン758は、第1基面761から軸方向Daに突出している。第1収容部751は、有底筒状に形成されていることにより、第1磁気検出部61、第2磁気検出部62および後述のターミナル80の第1ターミナル81を収容している。また、第1収容部751は、基板60の一部が露出するように基板60を収容している。さらに、第1収容部751は、先端面753、第1基面761および第2基面762を含む。この先端面753は、円弧状に形成されている。また、先端面753は、回転体側面350と径方向に対向している。さらに、先端面753および回転体側面350の間には空間754が形成されている。第1基面761は、第1収容部751のうち軸方向Daの一方側を向く面である。第2基面762は、第1収容部751のうち軸方向Daの他方側を向く面である。
【0046】
第2収容部752は、有底筒状に形成されている。また、第2収容部752は、径方向に第1収容部751と接続されている。さらに、第2収容部752は、後述のターミナル80の第2ターミナル82を収容している。
【0047】
ターミナル80は、第1ターミナル81および第2ターミナル82を有する。第1ターミナル81は、軸方向Daに延びている。また、第1ターミナル81の一部は、基板60の穴に挿入されている。さらに、第1ターミナル81は、基板60とはんだ付けされていることにより、基板60と接続されている。第2ターミナル82は、第1ターミナル81と接続されているとともに、径方向に延びている。また、第2ターミナル82は、モータ制御装置18に接続されている。したがって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62からの信号は、ターミナル80を介して、モータ制御装置18に出力される。
【0048】
第1カバー85は、樹脂等で形成されている。また、第1カバー85は、第1センサカバー部851および第1回転体カバー部852を有する。
【0049】
第1センサカバー部851は、溶着や接着等により、第1基面761の一部と接続されている。また、第1センサカバー部851は、基板60および第1ターミナル81のうちセンサケース75から露出している部分を覆っている。さらに、第1センサカバー部851は、ピン用穴854を有する。ピン用穴854には、カバー用ピン758の一部が挿入されている。これにより、第1カバー85がセンサケース75から外れにくくなっている。また、第1センサカバー部851とカバー用ピン758とが熱かしめ等されていることにより、熱かしめ等されていない場合と比較して、第1カバー85がセンサケース75から外れにくくなっている。なお、第1センサカバー部851がカバー用ピン758を有し、センサケース75の第1基面761にピン用穴854が形成されてもよい。
【0050】
第1回転体カバー部852は、第1センサカバー部851に接続されている。また、第1回転体カバー部852は、センサケース75の第1収容部751とで第1ヨーク環状部370を覆っている。さらに、第1回転体カバー部852は、円環状に形成されており、第1カバー穴853を含む。この第1カバー穴853には、回転体35の一部が軸方向Daに挿入されている。これにより、回転体35の径方向の移動が規制される。また、第1回転体カバー部852は、軸方向Daに第1ヨーク環状部370と対向している。このため、第1ヨーク環状部370の軸方向Daの移動が規制されるとともに回転体35の軸方向Daの移動が規制される。
【0051】
第2カバー86は、樹脂等で形成されている。また、第2カバー86は、第2センサカバー部861および第2回転体カバー部862を有する。
【0052】
第2センサカバー部861は、溶着や接着等により、第2基面762の一部と接続されている。また、第2センサカバー部861は、センサケース75の第1収容部751の一部を覆っている。さらに、第2センサカバー部861の図示しない穴には、センサケース75の第2基面762から突出している図示しないピンの一部が挿入されている。このため、第2カバー86がセンサケース75から外れにくくなっている。さらに、第2センサカバー部861とこの図示しないピンとが熱かしめ等されていることにより、熱かしめ等されていない場合と比較して、第2カバー86がセンサケース75から外れにくくなっている。なお、第2センサカバー部861が図示しないピンを有し、センサケース75の第2基面762に図示しない穴が形成されてもよい。
【0053】
第2回転体カバー部862は、第2センサカバー部861に接続されている。また、第2回転体カバー部862は、センサケース75の第1収容部751とで第2ヨーク環状部380を覆っている。さらに、第2回転体カバー部862は、円環状に形成されており、第2カバー穴863を含む。この第2カバー穴863には、回転体35の一部が軸方向Daに挿入されている。これにより、回転体35の径方向の移動が規制される。また、第2回転体カバー部862は、軸方向Daに第2ヨーク環状部380と対向している。このため、第2ヨーク環状部380の軸方向Daの移動が規制されるとともに回転体35の軸方向Daの移動が規制される。
【0054】
以上のように、トルクセンサ25は、構成されている。次に、トルクセンサ25による操舵トルクの検出について説明する。
【0055】
ステアリングホイール5が回転していないことにより操舵トルクが発生していないとする。この場合、
図12に示すように、磁石30、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、周方向について中立状態に位相合わせされている。この中立状態では、周方向において、全ての第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382の中心位置が磁石30のN極とS極との境界とが一致する。このとき、磁石30のN極から第1ヨーク爪部372を通過する磁力線の数と、磁石30のN極から第2ヨーク爪部382を通過する磁力線の数とが同じになる。このため、第1ヨーク361および第2ヨーク362の間において磁束密度が発生しない。
【0056】
そして、ステアリングホイール5が回転するとき、操舵トルクが発生することにより、ステアリングホイール5に接続されている第1ステアリングシャフト11が回転する。また、シャフトピン14により第1ステアリングシャフト11に固定されているトーションバー13が回転する。さらに、シャフトピン14によりトーションバー13に固定されている第2ステアリングシャフト12が回転する。また、第2ステアリングシャフト12が固定用カラー354に接続されている。このため、回転体35は、回転する。これにより、回転体35と一体となっている第1ヨーク361および第2ヨーク362が、磁石30に対して相対回転する。
【0057】
この場合において、
図13に示すように、磁石30のN極と第1ヨーク爪部372とが軸方向Daと直交する方向に重なる部分が増加する。また、磁石30のS極と第2ヨーク爪部382とが軸方向Daと直交する方向に重なる部分が増加する。このとき、磁石30のN極から第1ヨーク爪部372に向かう磁力線が増加するとともに、第2ヨーク爪部382から磁石30のS極に向かう磁力線が増加する。このため、第1ヨーク361および第2ヨーク362の間において磁束密度が発生する。
【0058】
ここで、上記したように、第1ヨーク環状部370は、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62と軸方向Daに対向している。また、第2ヨーク環状部380は、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62と軸方向Daに対向している。
【0059】
したがって、このとき、磁石30のN極から、第1ヨーク環状部370を経由して、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62のそれぞれを通過する磁力線が増加する。さらに、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62のそれぞれを通過した磁力線は、第2ヨーク環状部380を経由して、磁石30のS極を通過する。
【0060】
よって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、軸方向Daのうち一方向の磁界の強さを検出する。これにより、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、操舵トルクを検出する。また、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、この検出した磁界の強さに応じた信号を、ターミナル80を経由して、モータ制御装置18に出力する。
【0061】
ここで、トルクセンサ25では、上記特許文献1に記載されたような集磁部が備えられていないため、磁石30から漏れる磁界は、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過する。しかし、上記したように、初期状態において、第1磁気検出部61は、磁石30のN極と径方向に対向している。これにより、磁石30から漏れて第1磁気検出部61を通過する磁界は、
図14に示すように、軸方向Daかつ第1磁気検出部61の内部から外部に向く方向の成分を含む。また、初期状態において、第2磁気検出部62は、磁石30のS極と径方向に対向している。このため、磁石30から漏れて第2磁気検出部62を通過する磁界は、軸方向Daかつ第2磁気検出部62の外部から内部に向く方向の成分を含む。したがって、磁石30から漏れる磁界のうち第2磁気検出部62によって検出される磁界の方向は、磁石30から漏れる磁界のうち第1磁気検出部61によって検出される磁界の方向とは逆方向になる。なお、
図14において、磁石30から漏れて第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過する磁力線が二点鎖線で模式的に示されている。
【0062】
よって、ステアリングホイール5、回転体35、第1ヨーク361および第2ヨーク362が磁石30に対して相対回転するとき、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、
図15に示すように、互いに打ち消し合うものとなる。なお、
図15において、第1磁気検出部61によって検出されるノイズは、N1で示されている。第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、N2で示されている。
【0063】
したがって、モータ制御装置18は、第1磁気検出部61によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部62によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。これにより、モータ制御装置18は、磁石30から漏れる磁界によるノイズを除去する。そして、モータ制御装置18は、この演算した和に基づいて、操舵トルクを演算する。
【0064】
また、
図13の場合とは逆向きの操舵トルクが発生した場合において、
図16に示すように、磁石30のS極と第1ヨーク爪部372とが軸方向Daと直交する方向に重なる部分が増加する。また、磁石30のN極と第2ヨーク爪部382とが軸方向Daと直交する方向に重なる部分が増加する。このとき、磁石30のN極から第2ヨーク爪部382に向かう磁力線が増加するとともに、第1ヨーク爪部372から磁石30のS極に向かう磁力線が増加する。このため、第1ヨーク361および第2ヨーク362の間において磁束密度が発生する。
【0065】
したがって、このとき、磁石30のN極から、第2ヨーク環状部380を経由して、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62のそれぞれを通過する磁力線が増加する。さらに、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62のそれぞれを通過した磁力線は、第1ヨーク環状部370を経由して、磁石30のS極を通過する。
【0066】
よって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、軸方向Daのうち他方向の磁界の強さを検出する。これにより、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、操舵トルクを検出する。また、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、この検出した磁界の強さに応じた信号を、ターミナル80を経由して、モータ制御装置18に出力する。
【0067】
そして、モータ制御装置18は、上記と同様に、第1磁気検出部61によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部62によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。これにより、モータ制御装置18は、磁石30から漏れる磁界によるノイズを除去する。また、モータ制御装置18は、この算出した和に基づいて、操舵トルクを演算する。
【0068】
以上のように、トルクセンサ25は、操舵トルクを検出する。次に、本実施形態のトルク検出システムのトルクセンサ25では、上記特許文献1に記載されたような集磁部をなくすることができる。また、第1ヨーク361および第2ヨーク362に対する第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の相対位置がずれても、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。以下では、これらのことについて説明する。
【0069】
本実施形態のトルク検出システムは、トルクセンサ25と、モータ制御装置18と、を備える。トルクセンサ25は、磁石30と、回転体35と、第1ヨーク361と、第2ヨーク362と、第1磁気検出部61と、第2磁気検出部62と、を有する。磁石30は、磁界を発生させつつステアリングホイール5とともに軸方向Daに延びる軸を中心として回転する。回転体35は、環状に形成されており、ステアリングホイール5とともに回転する。第1ヨーク361は、第1ヨーク環状部370と、第1ヨーク爪部372と、を含む。第1ヨーク環状部370は、環状に形成されており、回転体35とともに回転する。第1ヨーク爪部372は、第1ヨーク環状部370から軸方向Daに向かって突出していることで径方向に磁石30と対向しつつ第1ヨーク環状部370とともに回転することにより磁石30にて発生した磁界を集磁する。第2ヨーク362は、第2ヨーク環状部380と、第2ヨーク爪部382と、を有する。第2ヨーク環状部380は、環状に形成されており、回転体35とともに回転する。第2ヨーク爪部382は、第2ヨーク環状部380から軸方向Daに向かって突出していることで径方向に磁石30と対向しつつ第2ヨーク環状部380とともに回転することにより磁石30にて発生した磁界を集磁する。第1磁気検出部61は、第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380を軸方向Daに投影したとき、投影した第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380と重なる。また、第1磁気検出部61は、トルクに対応し、磁石30の回転方向における磁石30に対する第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382の相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する。第2磁気検出部62は、第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380を軸方向Daに投影したとき、投影した第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、トルクに対応し、磁石30の回転方向における磁石30に対する第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382の相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する。モータ制御装置18は、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62からの信号に基づいて、操舵トルクを演算する。また、第1磁気検出部61は、初期状態において磁石30の磁極、例えば、N極を径方向に投影したとき投影した磁石30の磁極と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、初期状態において第1磁気検出部61と重なる磁石30の磁極とは異なる磁極、例えば、S極を径方向に投影したとき投影した磁石30の磁極と重なる。そして、モータ制御装置18は、第1磁気検出部61によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部62によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。また、モータ制御装置18は、この演算した和に基づいて、操舵トルクを演算する。なお、ステアリングホイール5は、検出対象に対応する。操舵トルクは、検出対象のトルクに対応する。第1ヨーク361および第2ヨーク362は、ヨークに対応する。第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380は、環状部に対応する。第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、爪部に対応する。径方向は、軸方向Daと直交する方向に対応する。モータ制御装置18は、演算部に対応する。
【0070】
初期状態において、第2磁気検出部62が第1磁気検出部61と重なる磁石30の磁極とは異なる磁極を径方向に投影したとき、投影した磁石30の磁極と重なる。これにより、磁石30から漏れる磁界のうち第2磁気検出部62によって検出される磁界の方向は、磁石30から漏れる磁界のうち第1磁気検出部61によって検出される磁界の方向とは逆方向になる。このため、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、互いに打ち消し合うものとなる。また、モータ制御装置18は、第1磁気検出部61によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部62によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。これにより、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズが除去される。したがって、集磁部をなくしたり、第1ヨーク361および第2ヨーク362に対する第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の相対位置がずれても、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。
【0071】
また、ここで、上記特許文献1に記載されたような集磁部がトルクセンサ25に備えられる場合であって、第1ヨーク361、第2ヨーク362、第1磁気検出部61、第2磁気検出部62に対する集磁部の相対位置がズレたとする。この場合、集磁部によって第1磁気検出部61および第2磁気検出部62が磁石30から漏れる磁界から保護されないで、磁石30から漏れる磁界は、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過する。このため、この場合、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62が磁石30から漏れるノイズ磁界を検出する。しかし、トルクセンサ25では、第1ヨーク361、第2ヨーク362に対する第1磁気検出部61、第2磁気検出部62の相対位置がズレたとしても、第1磁気検出部61、第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、互いに打ち消し合うものとなる。そして、モータ制御装置18は、第1磁気検出部61によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部62によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。したがって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズが除去される。よって、第1ヨーク361および第2ヨーク362に対する第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の相対位置に対するロバスト性が向上する。
【0072】
さらに、トルクセンサ25では、上記集磁部がないため、集磁部の大きさ分、トルクセンサ25の体格を小さくすることができる。
【0073】
また、第1実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0074】
[1-1]第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、磁石30の軸を中心とする同一円C上に配置されている。
【0075】
これにより、磁石30から第1磁気検出部61までの径方向の距離と磁石30から第2磁気検出部62までの径方向の距離とが同じになりやすくなる。また、軸方向Daにおいて、磁石30に対する第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の相対位置とが同じになりやすくなる。このため、磁石30から漏れる磁界のうち第1磁気検出部61によって検出される磁界の強さと、磁石30から漏れる磁界のうち第2磁気検出部62によって検出される磁界の強さとが同じになりやすくなる。したがって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、互いに打ち消し合いやすくなる。よって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズが除去されやすくなる。
【0076】
[1-2]磁石30は、磁石30の回転方向において交互に磁極が反転するように着磁されている。また、検出部間角度θは、360°÷n×aで表される角度になっている。
【0077】
これにより、初期状態において、第1磁気検出部61が磁石30のN極にのみと径方向に対向するとともに、第2磁気検出部62が磁石30のS極にのみと径方向に対向しやすくなる。このため、磁石30から漏れる磁界のうち第2磁気検出部62によって検出される磁界の方向は、磁石30から漏れる磁界のうち第1磁気検出部61によって検出される磁界の方向とは逆方向になりやすくなる。したがって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、互いに打ち消し合いやすくなる。よって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズが除去されやすくなる。
【0078】
[1-3]磁石30は、磁石30の回転方向において交互に磁極が反転するように着磁されている。また、磁石30の磁極の数は、第1ヨーク爪部372の数および第2ヨーク爪部382の数の和と同じになっている。なお、第1ヨーク爪部372の数および第2ヨーク爪部382の数の和は、爪部の数に対応する。
【0079】
これにより、磁石30、第1ヨーク361および第2ヨーク362の製造および管理が容易となる。
【0080】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の配置が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0081】
第1磁気検出部61は、
図17~
図20に示すように、第1ヨーク環状部370を軸方向Daに投影したとき、投影した第1ヨーク環状部370と重なる。また、第1磁気検出部61は、第2ヨーク環状部380を軸方向Daに投影したとき、投影した第2ヨーク環状部380と重なる。さらに、第1磁気検出部61は、初期状態において、磁石30のN極を径方向に投影したとき、投影したN極と重なる。また、第1磁気検出部61は、初期状態において、磁石30のS極を径方向に投影したとき、投影したS極と重ならない。
【0082】
第2磁気検出部62は、第1ヨーク環状部370を軸方向Daに投影したとき、投影した第1ヨーク環状部370と重なる。また、第2磁気検出部62は、第2ヨーク環状部380を軸方向Daに投影したとき、投影した第2ヨーク環状部380と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、初期状態において、磁石30のN極を径方向に投影したとき、投影したN極と重なる。また、第2磁気検出部62は、初期状態において、磁石30のS極を径方向に投影したとき、投影したS極と重ならない。なお、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、初期状態において、磁石30のS極を径方向に投影したとき、投影したS極と重なり、磁石30のN極を径方向に投影したとき、投影したN極と重ならなくてもよい。
【0083】
ここで、磁石30の磁極の中心を通るとともに径方向に延びる線を中心線Omとする。
図19および
図20に示すように、磁石30のN極から第1磁気検出部61までの径方向の距離を第1磁石距離Lm1とする。磁石30のN極から第2磁気検出部62までの径方向の距離を第2磁石距離Lm2とする。中心線Omから第1磁気検出部61までの軸方向Daの距離を第1中心間距離La1とする。中心線Omから第2磁気検出部62までの軸方向Daの距離を第2中心間距離La2とする。
【0084】
そして、第1磁気検出部61は、中心線Omよりも軸方向Daの一方側に配置されている。また、第2磁気検出部62は、中心線Omよりも軸方向Daの他方側に配置されている。さらに、第2磁気検出部62は、第1磁気検出部61を軸方向Daに投影したとき、投影した第1磁気検出部61と重なる。また、第1磁石距離Lm1は、第2磁石距離Lm2と同じになっている。さらに、第1中心間距離La1は、第2中心間距離La2と同じになっている。
【0085】
以上のように、第2実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。次に、第2実施形態においても、トルクセンサ25では、上記特許文献1に記載されたような集磁部をなくすことができる。また、第1ヨーク361および第2ヨーク362に対する第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の相対位置がずれても、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。以下では、これらのことについて説明する。
【0086】
本実施形態のトルク検出システムは、トルクセンサ25と、モータ制御装置18と、を備える。トルクセンサ25は、磁石30と、回転体35と、第1ヨーク361と、第2ヨーク362と、第1磁気検出部61と、第2磁気検出部62と、を有する。磁石30は、磁界を発生させつつステアリングホイール5とともに軸方向Daに延びる軸を中心として回転する。回転体35は、環状に形成されており、ステアリングホイール5とともに回転する。第1ヨーク361は、第1ヨーク環状部370と、第1ヨーク爪部372と、を含む。第1ヨーク環状部370は、環状に形成されており、回転体35とともに回転する。第1ヨーク爪部372は、第1ヨーク環状部370から軸方向Daに向かって突出していることで径方向に磁石30と対向しつつ第1ヨーク環状部370とともに回転することにより磁石30にて発生した磁界を集磁する。第2ヨーク362は、第2ヨーク環状部380と、第2ヨーク爪部382と、を有する。第2ヨーク環状部380は、環状に形成されており、回転体35とともに回転する。第2ヨーク爪部382は、第2ヨーク環状部380から軸方向Daに向かって突出していることで径方向に磁石30と対向しつつ第2ヨーク環状部380とともに回転することにより磁石30にて発生した磁界を集磁する。第1磁気検出部61は、第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380を軸方向Daに投影したとき、投影した第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380と重なる。また、第1磁気検出部61は、トルクに対応し、磁石30の回転方向における磁石30に対する第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382の相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する。第2磁気検出部62は、第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380を軸方向Daに投影したとき、投影した第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、トルクに対応し、磁石30の回転方向における磁石30に対する第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382の相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する。モータ制御装置18は、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62からの信号に基づいて、操舵トルクを演算する。また、第1磁気検出部61は、初期状態において、磁石30の磁極、例えば、N極を径方向に投影したとき、投影した磁石30の磁極と重なる。さらに、第1磁気検出部61は、中心線Omよりも軸方向Daの一方側に配置されている。また、第2磁気検出部62は、初期状態において、第1磁気検出部61と重なる磁石30の磁極と同じ磁極、例えば、N極を径方向に投影したとき、投影した磁石30の磁極と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、中心線Omよりも軸方向Daの他方側に配置されている。そして、モータ制御装置18は、第1磁気検出部61によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部62によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。また、モータ制御装置18は、この演算した和に基づいて、操舵トルクを演算する。
【0087】
初期状態において、第2磁気検出部62は、第1磁気検出部61と重なる磁石30の磁極と同じ磁極を径方向に投影したとき、投影した磁石30の磁極と重なる。また、第1磁気検出部61は、中心線Omよりも軸方向Daの一方側に配置されている。さらに、第2磁気検出部62は、中心線Omよりも軸方向Daの他方側に配置されている。これらにより、磁石30から漏れる磁界のうち第2磁気検出部62によって検出される磁界の方向は、磁石30から漏れる磁界のうち第1磁気検出部61によって検出される磁界の方向とは逆方向になる。このため、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、互いに打ち消し合うものとなる。また、モータ制御装置18は、第1磁気検出部61によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部62によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。これにより、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズが除去される。したがって、集磁部をなくしたり、第1ヨーク361および第2ヨーク362に対する第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の相対位置がずれても、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。
【0088】
また、第2実施形態では、上記[1-3]に記載した効果に加えて、以下に記載する効果も奏する。
【0089】
[2-1]第1磁石距離Lm1は、第2磁石距離Lm2と同じになっている。これにより、磁石30から漏れる磁界のうち第1磁気検出部61によって検出される磁界の強さと、磁石30から漏れる磁界のうち第2磁気検出部62によって検出される磁界の強さとが同じになりやすくなる。したがって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、互いに打ち消し合いやすくなる。よって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズが除去されやすくなる。
【0090】
[2-2]第1中心間距離La1は、第2中心間距離La2と同じになっている。これにより、磁石30から漏れる磁界のうち第1磁気検出部61によって検出される磁界の強さと、磁石30から漏れる磁界のうち第2磁気検出部62によって検出される磁界の強さとが同じになりやすくなる。したがって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズは、互いに打ち消し合いやすくなる。よって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズが除去されやすくなる。
【0091】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1ヨーク361、第2ヨーク362、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の形態が第1実施形態と異なる。これら以外は、第1実施形態と同様である。
【0092】
第1ヨーク361は、
図21~
図25に示すように、第1ヨーク環状部370および第1ヨーク爪部372に加えて、第1ヨーク鍔部391を有する。
【0093】
第1ヨーク鍔部391は、第1ヨーク環状部370のうち第1ヨーク爪部372とは反対側と接続されている。また、第1ヨーク鍔部391は、第1ヨーク鍔部391と第1ヨーク環状部370との境界部から軸方向Daに延びている。さらに、第1ヨーク鍔部391は、円筒状に形成されている。
【0094】
第2ヨーク362は、第2ヨーク環状部380および第2ヨーク爪部382に加えて、第2ヨーク鍔部392を有する。
【0095】
第2ヨーク鍔部392は、第2ヨーク環状部380のうち第2ヨーク爪部382とは反対側と接続されている。また、第2ヨーク鍔部392は、第2ヨーク鍔部392と第2ヨーク環状部380との境界部から軸方向Daに延びている。さらに、第2ヨーク鍔部392は、円筒状に形成されている。
【0096】
第1磁気検出部61は、ここでは、第1磁気検出部61にかかる径方向の磁界の強さを検出する。また、第1磁気検出部61は、第1ヨーク鍔部391を径方向に投影したとき、投影した第1ヨーク鍔部391と重なる。さらに、第1磁気検出部61は、第2ヨーク鍔部392を径方向に投影したとき、投影した第2ヨーク鍔部392と重なる。また、第1磁気検出部61は、初期状態において、磁石30のN極を径方向に投影したとき、投影したN極と重なる。さらに、第1磁気検出部61は、初期状態において、磁石30のS極を径方向に投影したとき、投影したS極と重ならない。
【0097】
第2磁気検出部62は、ここでは、第2磁気検出部62にかかる径方向の磁界の強さを検出する。また、第2磁気検出部62は、第1ヨーク鍔部391を径方向に投影したとき、投影した第1ヨーク鍔部391と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、第2ヨーク鍔部392を径方向に投影したとき、投影した第2ヨーク鍔部392と重なる。また、第2磁気検出部62は、初期状態において、磁石30のS極を径方向に投影したとき、投影したS極と重なる。さらに、第2磁気検出部62は、初期状態において、磁石30のN極を径方向に投影したとき、投影したN極と重ならない。
【0098】
また、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、
図22に示すように、回転体35の軸を中心とする同一円C上に配置されている。さらに、検出部間角度θは、上記関係式(1)に示す角度になっている。また、第1ヨーク環状部370から第1磁気検出部61までの軸方向Daの距離は、第1ヨーク環状部370から第2磁気検出部62までの軸方向Daの距離と同じになっている。
【0099】
以上のように、第3実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。次に、第3実施形態のトルクセンサ25による操舵トルクの検出について説明する。
【0100】
ステアリングホイール5が回転するとき、第1ヨーク361および第2ヨーク362が、磁石30に対して相対回転する。このとき、磁石30のN極から第1ヨーク爪部372に向かう磁力線が増加したとともに、第2ヨーク爪部382から磁石30のS極に向かう磁力線が増加したとする。
【0101】
この場合、磁石30のN極から、第1ヨーク爪部372、第1ヨーク環状部370および第1ヨーク鍔部391を経由して、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62のそれぞれを通過する磁力線が増加する。さらに、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62のそれぞれを通過した磁力線は、第2ヨーク鍔部392、第2ヨーク環状部380および第2ヨーク爪部382を経由して、磁石30のS極を通過する。
【0102】
よって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、径方向のうち一方向の磁界の強さを検出する。これにより、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、操舵トルクを検出する。また、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、この検出した磁界の強さに応じた信号を、ターミナル80を経由して、モータ制御装置18に出力する。
【0103】
また、磁石30のN極から第2ヨーク爪部382に向かう磁力線が増加したとともに、第1ヨーク爪部372から磁石30のS極に向かう磁力線が増加したとする。
【0104】
この場合、磁石30のN極から、第2ヨーク爪部382、第2ヨーク環状部380および第2ヨーク鍔部392を経由して、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62のそれぞれを通過する磁力線が増加する。さらに、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62のそれぞれを通過した磁力線は、第1ヨーク鍔部391、第1ヨーク環状部370および第1ヨーク爪部372を経由して、磁石30のS極を通過する。
【0105】
よって、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、径方向のうち他方向の磁界の強さを検出する。これにより、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、操舵トルクを検出する。また、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、この検出した磁界の強さに応じた信号を、ターミナル80を経由して、モータ制御装置18に出力する。
【0106】
そして、モータ制御装置18は、上記と同様に、第1磁気検出部61によって検出された磁界の強さに関する値と第2磁気検出部62によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算する。これにより、モータ制御装置18は、磁石30から漏れる磁界によるノイズを除去する。また、モータ制御装置18は、この算出した和に基づいて、操舵トルクを演算する。
【0107】
以上のように、トルクセンサ25は、操舵トルクを検出する。この第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0108】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382の形態が第1実施形態と異なるこれら以外は、第1実施形態と同様である。
【0109】
第1ヨーク爪部372は、
図26~
図28に示すように、第1接続部401および第1突出部411を有する。
【0110】
第1接続部401は、第1ヨーク環状部370と径方向に接続されている。なお、
図26~
図28において、図示の煩雑さを避けるため、回転体35の記載は、省略されている。また、第1接続部401は、周方向に所定の間隔で形成された回転体35の穴に挿入されている。さらに、第1接続部401は、第1ヨーク環状部370と径方向に接続されているところ、これに限定されない。第1接続部401は、例えば、第1ヨーク環状部370と軸方向Daに接続されてもよい。
【0111】
第1突出部411は、第1接続部401のうち第1ヨーク環状部370の反対側と接続されている。また、第1突出部411は、第1接続部401との境界部から軸方向Daに突出している。さらに、第1突出部411は、磁石30を径方向に投影したとき、投影した磁石30と重なる。なお、第1実施形態と同様に、第1ヨーク爪部372が回転体35の内側面と接続されていることから、第1突出部411は、回転体35の内側面と接続されている。
【0112】
ここで、軸方向Daにおける第1突出部411の中心を通るとともに軸方向Daと直交する面を第1中心面Si1とする。また、軸方向Daにおける第1突出部411の最大長さを第1長さLc1とする。さらに、
図26に示すように、軸方向Daにおける第1ヨーク環状部370から第2ヨーク環状部380までの最小距離をヨーク間距離Lybとする。
【0113】
そして、
図26~
図28に戻って、第1突出部411は、第1中心面Si1に対して軸方向Daに対称になっている。具体的には、第1突出部411は、柱状に形成されている。また、第1突出部411は、第1底面421および第1側面431を含む。第1底面421は、多角形状、円形状および楕円形状等に形成されており、ここでは、例えば、長方形状に形成されている。さらに、第1底面421は、軸方向Daと直交する。第1側面431は、第1底面421と接続されているとともに、第1底面421から軸方向Daに延びている。したがって、ここでは、第1突出部411は、四角柱状に形成されている。なお、複数の第1突出部411の全てが四角柱状に形成されているところ、これに限定されない。第1突出部411の少なくとも1つが四角柱状に形成されてもよい。また、ここでは、対称とは、線対称または点対称をいうものである。さらに、対称の度合は、製造誤差範囲を含む。
【0114】
また、第1長さLc1は、ヨーク間距離Lybの30%以上となっている。なお、複数の第1突出部411の全てにおいて、第1長さLc1がヨーク間距離Lybの30%以上となっているところ、これに限定されない。第1突出部411の少なくとも1つにおいて、第1長さLc1がヨーク間距離Lybの30%以上となっていてもよい。
【0115】
第2ヨーク爪部382は、
図26、
図29および
図30に示すように、第2接続部402および第2突出部412を有する。
【0116】
第2接続部402は、第2ヨーク環状部380と径方向に接続されている。なお、
図29および
図30において、図示の煩雑さを避けるため、回転体35の記載は、省略されている。また、第2接続部402は、周方向に所定の間隔で形成された回転体35の穴に挿入されている。さらに、第2接続部402は、第2ヨーク環状部380と径方向に接続されているところ、これに限定されない。第2接続部402は、例えば、第2ヨーク環状部380と軸方向Daに接続されてもよい。
【0117】
第2突出部412は、第2接続部402のうち第2ヨーク環状部380の反対側と接続されている。また、第2突出部412は、第2接続部402との境界部から軸方向Daに突出している。さらに、第2突出部412は、磁石30を径方向に投影したとき、投影した磁石30と重なる。なお、第1実施形態と同様に、第2ヨーク爪部382が回転体35の内側面と接続されていることから、第2突出部412は、回転体35の内側面と接続されている。また、第1実施形態と同様に、第2ヨーク爪部382が互いに隣り合う第1ヨーク爪部372同士の間に配置されていることから、第2突出部412は、互いに隣り合う第1突出部411同士の間に配置されている。このため、第1突出部411および第2突出部412は、周方向において交互に配置されている。
【0118】
また、ここで、軸方向Daにおける第2突出部412の中心を通るとともに軸方向Daと直交する面を第2中心面Si2とする。さらに、軸方向Daにおける第2突出部412の最大長さを第2長さLc2とする。
【0119】
そして、第2突出部412は、第2中心面Si2に対して軸方向Daに対称となっている。具体的には、第2突出部412は、柱状に形成されている。また、第2突出部412は、第2底面422および第2側面432を含む。第2底面422は、多角形状、円形状および楕円形状等に形成されており、ここでは、例えば、長方形状に形成されている。さらに、第2底面422は、軸方向Daと直交する。第2側面432は、第2底面422と接続されているとともに、第2底面422から軸方向Daに延びている。したがって、ここでは、第2突出部412は、四角柱状に形成されている。なお、複数の第2突出部412の全てが四角柱状に形成されているところ、これに限定されない。第2突出部412の少なくとも1つが四角柱状に形成されてもよい。
【0120】
また、第2長さLc2は、ヨーク間距離Lybの30%以上となっている。なお、複数の第2突出部412の全てにおいて、第2長さLc2がヨーク間距離Lybの30%以上となっているところ、これに限定されない。第2突出部412の少なくとも1つにおいて、第2長さLc2がヨーク間距離Lybの30%以上となっていてもよい。
【0121】
以上のように、第4実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第4実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0122】
[3-1]ここで、比較例として、
図31に示すように、第1突出部411の底面が軸方向Daと平行かつ三角形とされた三角柱状に第1突出部411が形成されているとする。この場合、第1突出部411は、第1中心面Si1に対して軸方向Daに非対称となっている。このとき、第1突出部411のうち先端の大きさ、ここでは、第1突出部411のうち第1ヨーク環状部370とは反対側の大きさが、第1突出部411のうち第1ヨーク環状部370側の大きさと比較して小さい。このため、磁石30から漏れる磁界が第1突出部411の先端周辺を通過しやすいことから、磁石30から漏れる磁界による第1突出部411の先端周辺の磁束は、第1突出部411の第1ヨーク環状部370側周辺の磁束と比較して大きくなる。したがって、第1突出部411の周辺の磁束分布は、第1中心面Si1に対して非対称な分布となる。これにより、第1突出部411の周辺の磁束のバラつきは、大きくなる。このため、磁石30から漏れる磁界は、第1突出部411の周辺の磁束が大きい箇所、ここでは、第1突出部411の先端周辺を経由して、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過しやすい。したがって、第1突出部411が第1中心面Si1に対して軸方向Daに非対称な形状であるとき、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が低下する。
【0123】
また、比較例として、
図32に示すように、第2突出部412の底面が軸方向Daと平行かつ三角形とされた三角柱状に第2突出部412が形成されているとする。この場合、第2突出部412は、第2中心面Si2に対して軸方向Daに非対称となっている。このとき、第2突出部412のうち先端の大きさ、ここでは、第2突出部412のうち第2ヨーク環状部380とは反対側の大きさが、第2突出部412のうち第2ヨーク環状部380側の大きさと比較して小さい。このため、磁石30から漏れる磁界が第2突出部412の先端周辺を通過しやすいことから、磁石30から漏れる磁界による第2突出部412の先端周辺の磁束は、第2突出部412の第2ヨーク環状部380側周辺の磁束と比較して大きくなる。したがって、第2突出部412の周辺の磁束分布は、第2中心面Si2に対して非対称な分布となる。これにより、第2突出部412の周辺の磁束のバラつきは、大きくなる。このため、磁石30から漏れる磁界は、第2突出部412の周辺の磁束が大きい箇所、ここでは、第2突出部412の先端周辺を経由して、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過しやすい。よって、第2突出部412が第2中心面Si2に対して軸方向Daに非対称な形状であるとき、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が低下する。
【0124】
これに対して、第4実施形態では、第1ヨーク爪部372は、第1接続部401および第1突出部411を有する。第1接続部401は、第1ヨーク環状部370と接続されている。第1突出部411は、第1接続部401と接続されているとともに、第1接続部401から軸方向Daに向かって突出している。また、第2ヨーク爪部382は、第2接続部402および第2突出部412を有する。第2接続部402は、第2ヨーク環状部380と接続されている。第2突出部412は、第2接続部402と接続されているとともに、第2接続部402から軸方向Daに向かって突出している。なお、第1接続部401および第2接続部402は、接続部に対応する。さらに、第1突出部411および第2突出部412は、突出部に対応する。
【0125】
また、第1突出部411は、第1中心面Si1に対して軸方向Daに対称となっている。なお、第1中心面Si1は、突出部の中心を通るとともに軸方向Daと直交する面に対応する。
【0126】
これにより、磁石30から漏れる磁界による第1突出部411の磁束分布が第1中心面Si1に対して対称な分布となりやすくなる。このため、第1突出部411の周辺の磁束のバラつきが小さくなる。したがって、磁石30から漏れる磁界が磁束の比較的大きな箇所を経由して第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過することが抑制される。よって、磁石30から漏れる磁界は、第1突出部411の周辺を経由して、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過しにくくなる。
【0127】
さらに、第2突出部412は、第2中心面Si2に対して軸方向Daに対称となっている。なお、第2中心面Si2は、突出部の中心を通るとともに軸方向Daと直交する面に対応する。
【0128】
これにより、磁石30から漏れる磁界による第2突出部412の磁束分布が第2中心面Si2に対して対称な分布となりやすくなる。このため、第2突出部412の周辺の磁束のバラつきが小さくなる。したがって、上記と同様に、磁石30から漏れる磁界は、第2突出部412の周辺を経由して、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過しにくくなる。
【0129】
よって、
図33に示すように、第4実施形態における第1磁気検出部61および第2磁気検出部62によって検出されるノイズ磁界の強さは、第1突出部411および第2突出部412が軸方向Daに非対称となっている場合と比較して、小さくなっている。よって、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。なお、
図33では、第4実施形態のように第1突出部411および第2突出部412が四角柱状に形成されているとともに軸方向Daに対称となっている場合のノイズ磁界の強さが、Hnsとして示されている。また、第1突出部411および第2突出部412が三角柱状に形成されているとともに軸方向Daに非対称となっている場合のノイズ磁界の強さが、Hnaとして示されている。さらに、Hns、Hnaは、ヨーク間距離Lybを9mmと固定した場合に第1長さLc1および第2長さLc2を変更したときの各距離に対して示されている。
【0130】
[3-2]第1突出部411は、柱状に形成されている。また、第1突出部411は、第1底面421および第1側面431を含む。第1底面421は、軸方向Daと直交している。第1側面431は、第1底面421と接続されているとともに、第1底面421から軸方向Daに延びている。
【0131】
これにより、第1突出部411は、第1中心面Si1に対して軸方向Daに対称となる。したがって、上記と同様に、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。
【0132】
また、第2突出部412は、柱状に形成されている。さらに、第2突出部412は、第2底面422および第2側面432を含む。第2底面422は、軸方向Daと直交している。第2側面432は、第2底面422と接続されているとともに、第2底面422から軸方向Daに延びている。
【0133】
これにより、第2突出部412は、第2中心面Si2に対して軸方向Daに対称となる。よって、上記と同様に、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。
【0134】
[3-3]第1長さLc1および第2長さLc2は、ヨーク間距離Lybの30%以上となっている。
【0135】
これにより、第1長さLc1および第2長さLc2がヨーク間距離Lybの30%未満であるときと比較して、第1突出部411および第2突出部412が磁石30から漏れる磁界を遮蔽しやすくなる。このため、磁石30から漏れる磁界が第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過しにくくなる。したがって、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。
【0136】
(第5実施形態)
第5実施形態では、第1接続部401、第1突出部411、第2接続部402および第2突出部412の形態が第4実施形態と異なる。これ以外は、第4実施形態と同様である。
【0137】
図34に示すように、第1底面421と第1側面431との境界部のうち周方向を向く境界部が、R形状になっている。なお、第1底面421と第1側面431との境界部のうち周方向を向く境界部が、R形状になっていることに限定されない。第1底面421と第1側面431との境界部のうち少なくとも1つの境界部が、R形状になっていてもよい。例えば、第1底面421と第1側面431との境界部のうち周方向を向く境界部と隣接する第1底面421と第1側面431との境界部が、R形状になっていてもよい。
【0138】
また、
図35に示すように、第1接続部401と第1突出部411との境界部がR形状になっている。さらに、第1接続部401の角がR形状になっている。
【0139】
また、
図36に示すように、第2底面422と第2側面432との境界部のうち周方向を向く境界部が、R形状になっている。なお、第2底面422と第2側面432との境界部のうち周方向を向く境界部が、R形状になっていることに限定されない。第2底面422と第2側面432との境界部のうち少なくとも1つの境界部が、R形状になっていてもよい。例えば、第2底面422と第2側面432との境界部のうち周方向を向く境界部と隣接する境界部が、R形状になっていてもよい。
【0140】
さらに、
図37に示すように、第2接続部402と第2突出部412との境界部が、R形状になっている。また、第2接続部402の角が、R形状になっている。
【0141】
以上のように、第5実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第5実施形態においても、第4実施形態と同様の効果を奏する。
【0142】
(第6実施形態)
第6実施形態では、第1接続部401、第1突出部411、第2接続部402および第2突出部412の形態が第4実施形態と異なる。これ以外は、第4実施形態と同様である。
【0143】
図38に示すように、第1底面421と第1側面431との境界部のうち周方向を向く境界部が、C面取りされていることにより、第1底面421および第1側面431に対して傾斜する面になっている。なお、第1底面421と第1側面431との境界部のうち周方向を向く境界部が、第1底面421および第1側面431に対して傾斜する面になっていることに限定されない。第1底面421と第1側面431との境界部のうち少なくとも1つの境界部が、第1底面421および第1側面431に対して傾斜する面になっていてもよい。例えば、第1底面421と第1側面431との境界部のうち周方向を向く境界部と隣接する境界部が、第1底面421および第1側面431に対して傾斜する面になっていてもよい。
【0144】
また、
図39に示すように、第1接続部401と第1突出部411との境界部が、第1接続部401が延びている方向および第1突出部411が延びている方向に対して傾斜する面になっている。さらに、第1接続部401の角が、第1接続部401が延びている方向に対して傾斜する面になっている。
【0145】
また、
図40に示すように、第2底面422と第2側面432との境界部のうち周方向を向く境界部が、C面取りされていることにより、第2底面422および第2側面432に対して傾斜する面になっている。なお、第2底面422と第2側面432との境界部のうち周方向を向く境界部が、第2底面422および第2側面432に対して傾斜する面になっていることに限定されない。第2底面422と第2側面432との境界部のうち少なくとも1つの境界部が、第2底面422および第2側面432に対して傾斜する面になっていてもよい。例えば、第2底面422と第2側面432との境界部のうち周方向を向く境界部と隣接する境界部が、第2底面422および第2側面432に対して傾斜する面になっていてもよい。
【0146】
さらに、
図41に示すように、第2接続部402と第2突出部412との境界部が、第2接続部402が延びている方向および第2突出部412が延びている方向に対して傾斜する面になっている。また、第2接続部402の角が、第2接続部402が延びている方向に対して傾斜する面になっている。
【0147】
以上のように、第6実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第6実施形態においても、第4実施形態と同様の効果を奏する。
【0148】
(第7実施形態)
第7実施形態では、磁石30の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0149】
ここで、
図42に示すように、軸方向Daにおける磁石30の中心を通るとともに、軸方向Daと直交する面を磁石中心面Smとする。なお、
図42において、図示の煩雑さを避けるため、回転体35の記載は、省略されている。
【0150】
そして、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62は、磁石中心面Smと交差している。さらに、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、磁石中心面Smと交差している。
【0151】
また、磁石30は、磁石30の磁力の大きさが磁石中心面Smから軸方向Da外側に向かうことに伴って大きくなるように形成されている。これにより、磁石30のうち磁石中心面Smと交差する部分の磁力の大きさは、磁石30のうち軸方向Daを向く端部の磁力の大きさよりも小さくなっている。なお、磁石30の磁力の大きさは、ホールプローブ等により測定される。
【0152】
以上のように、第7実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第7実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第7実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0153】
[4]第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、磁石中心面Smと交差している。また、磁石30の磁力の大きさは、磁石中心面Smから軸方向Da外側に向かうことに伴って大きくなっている。
【0154】
これにより、磁石中心面Sm周辺の磁力の大きさが、磁石30のうち軸方向Daを向く端部の磁力の大きさよりも小さくなる。このため、磁石中心面Smと交差している第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382を経由して、磁石30から漏れる磁界が第1磁気検出部61および第2磁気検出部62を通過しにくくなる。したがって、磁石30から漏れるノイズ磁界に対する耐性が向上する。
【0155】
(第8実施形態)
第8実施形態では、磁石30の形態が第7実施形態と異なる。これ以外は、第7実施形態と同様である。
【0156】
ここで、
図43に示すように、第1磁気検出部61を通るとともに、軸方向Daと直交する面を通過面Sdとする。なお、通過面Sdは、第2磁気検出部62を通るとともに、軸方向Daと直交する面としてもよい。また、
図43において、図示の煩雑さを避けるため、回転体35の記載は、省略されている。
【0157】
そして、磁石30は、通過面Sdと交差している。さらに、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、通過面Sdと交差している。
【0158】
また、磁石30は、磁石30の磁力の大きさが通過面Sdから軸方向Da外側に向かうことに伴って大きくなるように、形成されている。これにより、磁石30のうち通過面Sdと交差する部分の磁力の大きさは、磁石30のうち軸方向Daを向く端部の磁力の大きさよりも小さくなっている。
【0159】
以上のように、第8実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第8実施形態においても、第7実施形態と同様の効果を奏する。
【0160】
(第9実施形態)
第9実施形態では、磁石30の形態が第7実施形態と異なる。これ以外は、第7実施形態と同様である。
【0161】
図44に示すように、磁石30のうち磁石中心面Smと交差する部分から軸方向Da外側へ所定距離離れた位置までの範囲が未着磁とされている。これにより、磁石30のうち磁石中心面Smと交差する部分の磁力の大きさは、磁石30のうち軸方向Daを向く端部の磁力の大きさよりも小さくなっている。なお、上記所定距離は、例えば、磁石30と、第1ヨーク爪部372と、第2ヨーク爪部382と、第1磁気検出部61と、第2磁気検出部62との位置関係やこれらの大きさ等により設定される。また、
図44において、図示の煩雑さを避けるため、回転体35の記載は、省略されている。
【0162】
以上のように、第9実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第9実施形態においても、第7実施形態と同様の効果を奏する。
【0163】
(第10実施形態)
第10実施形態では、磁石30の形態が第8実施形態と異なる。これ以外は、第8実施形態と同様である。
【0164】
図45に示すように、磁石30のうち通過面Sdと交差する部分から軸方向Da外側へ所定距離離れた位置までの範囲が未着磁とされている。これにより、磁石30のうち通過面Sdと交差する部分の磁力の大きさは、磁石30のうち軸方向Daを向く端部の磁力の大きさよりも小さくなっている。なお、
図45において、図示の煩雑さを避けるため、回転体35の記載は、省略されている。
【0165】
以上のように、第10実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第10実施形態においても、第8実施形態と同様の効果を奏する。
【0166】
(第11実施形態)
第11実施形態では、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の位置が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0167】
図46に示すように、第1磁気検出部61のうち径方向外側の端は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端よりも内側に位置している。また、第1磁気検出部61のうち径方向内側の端は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端よりも外側に位置している。したがって、第1磁気検出部61は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端および第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端の間に位置している。さらに、第1磁気検出部61のうち径方向外側の端は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端よりも内側に位置している。また、第1磁気検出部61のうち径方向内側の端は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向内側の端よりも外側に位置している。よって、第1磁気検出部61は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端および径方向内側の端の間に位置している。なお、第1磁気検出部61のうち径方向外側の端は、第1磁気検出部61のうち磁石30とは反対側の端に対応する。また、第1磁気検出部61のうち径方向内側の端は、第1磁気検出部61のうち磁石30側の端に対応する。さらに、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端は、第1ヨーク環状部370のうち磁石30とは反対側の端に対応する。また、第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端は、第1ヨーク環状部370のうち磁石30側の端に対応する。さらに、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端は、第2ヨーク環状部380のうち磁石30とは反対側の端に対応する。また、第2ヨーク環状部380のうち径方向内側の端は、第2ヨーク環状部380のうち磁石30側の端に対応する。
【0168】
また、第1磁気検出部61と同様に、第2磁気検出部62のうち径方向外側の端は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端よりも内側に位置している。さらに、第2磁気検出部62のうち径方向内側の端は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端よりも外側に位置している。したがって、第2磁気検出部62は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端および第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端の間に位置している。また、第2磁気検出部62のうち径方向外側の端は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端よりも内側に位置している。さらに、第2磁気検出部62のうち径方向内側の端は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向内側の端よりも外側に位置している。よって、第2磁気検出部62は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端および第2ヨーク環状部380のうち径方向内側の端の間に位置している。なお、第2磁気検出部62のうち径方向外側の端は、第2磁気検出部62のうち磁石30とは反対側の端に対応する。また、第2磁気検出部62のうち径方向内側の端は、第2磁気検出部62のうち磁石30側の端に対応する。
【0169】
以上のように、第11実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第11実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0170】
(第12実施形態)
第12実施形態では、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の位置が第2実施形態と異なる。これ以外は、第2実施形態と同様である。
【0171】
図47に示すように、第1磁気検出部61のうち径方向外側の端は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端よりも内側に位置している。また、第1磁気検出部61のうち径方向内側の端は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端よりも外側に位置している。したがって、第1磁気検出部61は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端および第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端の間に位置している。さらに、第1磁気検出部61のうち径方向外側の端は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端よりも内側に位置している。また、第1磁気検出部61のうち径方向内側の端は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向内側の端よりも外側に位置している。よって、第1磁気検出部61は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端および径方向内側の端の間に位置している。
【0172】
さらに、第2磁気検出部62のうち径方向外側の端は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端よりも内側に位置している。また、第2磁気検出部62のうち径方向内側の端は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端よりも外側に位置している。したがって、第2磁気検出部62は、径方向において、第1ヨーク環状部370のうち径方向外側の端および第1ヨーク環状部370のうち径方向内側の端の間に位置している。さらに、第2磁気検出部62のうち径方向外側の端は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端よりも内側に位置している。また、第2磁気検出部62のうち径方向内側の端は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向内側の端よりも外側に位置している。よって、第2磁気検出部62は、径方向において、第2ヨーク環状部380のうち径方向外側の端および第2ヨーク環状部380のうち径方向内側の端の間に位置している。
【0173】
以上のように、第12実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第12実施形態においても、第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0174】
(第13実施形態)
第13実施形態では、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62の位置が第3実施形態と異なる。これ以外は、第3実施形態と同様である。
【0175】
図48に示すように、第1磁気検出部61の外縁は、軸方向Daにおいて、第1ヨーク鍔部391のうち軸方向Da外側の端および第2ヨーク環状部380と第2ヨーク鍔部392との境界部の間に位置している。また、第1磁気検出部61の外縁は、軸方向Daにおいて、第2ヨーク鍔部392のうち軸方向Da外側の端および第2ヨーク環状部380と第2ヨーク鍔部392との境界部の間に位置している。
【0176】
さらに、第1磁気検出部61と同様に、第2磁気検出部62の外縁は、軸方向Daにおいて、第1ヨーク鍔部391のうち軸方向Da外側の端および第2ヨーク環状部380と第2ヨーク鍔部392との境界部の間に位置している。また、第2磁気検出部62の外縁は、軸方向Daにおいて、第2ヨーク鍔部392のうち軸方向Da外側の端および第2ヨーク環状部380と第2ヨーク鍔部392との境界部の間に位置している。
【0177】
以上のように、第13実施形態のトルクセンサ25は、構成されている。この第13実施形態においても、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0178】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0179】
本開示に記載の演算部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の演算部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の演算部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0180】
上記実施形態では、磁石30は、円環状に形成されている。これに対して、磁石30は、円環状に形成されていることに限定されない。例えば、磁石30は、多角形環状等に形成されてもよい。
【0181】
上記実施形態では、回転体35は、円筒状に形成されている。これに対して、回転体35は、円筒状に形成されていることに限定されない。例えば、回転体35は、多角筒状および楕円筒状等に形成されてもよい。
【0182】
上記実施形態では、第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380は、円環状に形成されている。これに対して、第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380は、円環状に形成されていることに限定されない。例えば、第1ヨーク環状部370および第2ヨーク環状部380は、多角形環状等に形成されてもよい。
【0183】
上記実施形態では、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、先細り形状になっている。これに対して、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、先細り形状になっていることに限定されない。例えば、第1ヨーク爪部372および第2ヨーク爪部382は、長方形状等であってもよい。
【0184】
上記実施形態では、固定用カラー354は、第2ステアリングシャフト12に接続されているとともに、磁石30が第1ステアリングシャフト11に接続されている。これに対して、固定用カラー354は、第2ステアリングシャフト12に接続されているとともに、磁石30が第1ステアリングシャフト11に接続されていることに限定されない。例えば、固定用カラー354は、第1ステアリングシャフト11に接続されているとともに、磁石30が第2ステアリングシャフト12に接続されてもよい。
【0185】
上記実施形態では、モータ制御装置18は、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62からの信号に基づいて、操舵トルクを演算する。これに対して、モータ制御装置18は、第1磁気検出部61および第2磁気検出部62からの信号に基づいて、操舵トルクを演算することに限定されない。モータ制御装置18とは異なる演算部が第1磁気検出部61および第2磁気検出部62からの信号に基づいて、操舵トルクを演算してもよい。
【0186】
上記実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
【0187】
(本発明の特徴)
[請求項1]
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記磁石の磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算するトルク検出システム。
[請求項2]
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部は、前記磁石の軸を中心とする同一円(C)上に配置されている請求項1に記載のトルク検出システム。
[請求項3]
前記磁石は、前記磁石の回転方向において交互に磁極が反転するように着磁されており、
前記磁石の磁極の数をnとし、奇数をaとすると、
前記磁石の軸および前記第1磁気検出部を結ぶ線(L1)と前記磁石の軸および前記第2磁気検出部を結ぶ線(L2)とでなす前記磁石の回転方向の角度(θ)は、360°÷n×aで表される角度になっている請求項1または2に記載のトルク検出システム。
[請求項4]
前記磁石は、前記磁石の回転方向において交互に磁極が反転するように着磁されており、
前記磁石の磁極の数は、前記爪部の数と同じになっている請求項1または2に記載のトルク検出システム。
[請求項5]
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、を含むヨーク(361、362)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記環状部を前記軸方向に投影したとき投影した前記環状部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において、前記磁石の磁極(N,S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なるとともに、前記磁石の磁極の中心を通り前記軸方向と直交する方向に延びる中心線(Om)よりも前記軸方向の一方側に配置されており、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において、前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極と同じ磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なるとともに、前記中心線よりも前記軸方向の他方側に配置されており、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算するトルク検出システム。
[請求項6]
検出対象に発生するトルクを検出するトルク検出システムであって、
磁界を発生させつつ前記検出対象とともに軸方向(Da)に延びる軸を中心として回転する磁石(30)と、前記検出対象とともに回転する環状の回転体(35)と、前記回転体とともに回転する環状の環状部(370、380)と、前記環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁する爪部(372、382)と、前記環状部から前記軸方向に突出している鍔部(391、392)と、を含むヨーク(361、362)と、前記鍔部を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記鍔部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第1磁気検出部(61)と、前記鍔部を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記鍔部と重なるとともに、前記トルクに対応し、前記磁石の回転方向における前記磁石に対する前記ヨークの相対角度が変化することにより変化する磁界の強さを検出する第2磁気検出部(62)と、を有するトルクセンサ(25)と、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部からの信号に基づいて、前記トルクを演算する演算部(18)と、
を備え、
前記第1磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記磁石の磁極(N、S)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記第2磁気検出部は、前記トルクが発生していない状態において前記第1磁気検出部と重なる前記磁石の磁極とは異なる磁極(S、N)を前記軸方向と直交する方向に投影したとき投影した前記磁石の磁極と重なり、
前記演算部は、前記第1磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値と前記第2磁気検出部によって検出された磁界の強さに関する値との和を演算し、演算した和に基づいて前記トルクを演算するトルク検出システム。
[請求項7]
前記爪部は、前記環状部と接続されている接続部(401、402)と、前記接続部と接続されているとともに前記接続部から前記軸方向に向かって突出している突出部(411、412)と、を有し、
前記突出部は、前記突出部の中心を通るとともに前記軸方向と直交する面(Si1、Si2)に対して前記軸方向に対称となっている請求項1ないし6のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
[請求項8]
前記突出部は、柱状に形成されており、底面(421、422)と、側面(431、432)と、を含み、
前記底面は、前記軸方向と直交しており、
前記側面は、前記底面と接続されているとともに、前記底面から前記軸方向に延びている請求項7に記載のトルク検出システム。
[請求項9]
前記爪部は、前記環状部と接続されている接続部(401、402)と、前記接続部と接続されているとともに前記接続部から前記軸方向に向かって突出している突出部(411、412)と、を有し、
前記突出部は、柱状に形成されており、底面(421、422)と、側面(431、432)と、を含み、
前記底面は、前記軸方向と直交しており、
前記側面は、前記底面と接続されているとともに、前記底面から前記軸方向に延びており、
前記底面と前記側面との境界部の少なくとも1つは、R形状になっている請求項1ないし6のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
[請求項10]
前記爪部は、前記環状部と接続されている接続部(401、402)と、前記接続部と接続されているとともに前記接続部から前記軸方向に向かって突出している突出部(411、412)と、を有し、
前記突出部は、柱状に形成されており、底面(421、422)と、側面(431、432)と、を含み、
前記底面は、前記軸方向と直交しており、
前記側面は、前記底面と接続されているとともに、前記底面から前記軸方向に延びており、
前記底面と前記側面との境界部の少なくとも1つは、前記底面および前記側面に対して傾斜する面になっている請求項1ないし6のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
[請求項11]
前記環状部は、第1環状部(370)であって、
前記爪部は、第1爪部(372)であって、
前記ヨークは、第2環状部(380)と、第2爪部(382)と、をさらに含み、
前記第2環状部は、前記回転体とともに回転し、
前記第2爪部は、前記第2環状部から前記軸方向に向かって突出していることで前記軸方向と直交する方向に前記磁石と対向しつつ前記第2環状部とともに回転することにより前記磁石にて発生した磁界を集磁し、
前記第1環状部は、前記第2環状部と前記軸方向に対向しており、
前記第1爪部は、前記第1環状部と接続されている第1接続部(401)と、前記第1接続部と接続されているとともに前記第1接続部から前記軸方向に向かって突出している第1突出部(411)と、を有し、
前記第2爪部は、前記第2環状部と接続されている第2接続部(402)と、前記第2接続部と接続されているとともに前記第2接続部から前記軸方向に向かって突出している第2突出部(412)と、を有し、
前記軸方向における前記第1突出部および前記第2突出部の長さ(Lc1、Lc2)は、前記軸方向における前記第1環状部から前記第2環状部までの距離(Lyb)の30%以上となっている請求項1ないし6のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
[請求項12]
前記爪部は、前記軸方向における前記磁石の中心を通るとともに前記軸方向と直交する面である磁石中心面(Sm)と交差しており、
前記磁石の磁力の大きさは、前記磁石中心面から前記軸方向外側に向かうことに伴って、大きくなっている請求項1ないし11のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
[請求項13]
前記爪部は、前記第1磁気検出部を通るとともに前記軸方向と直交する面である通過面(Sd)と交差しており、
前記磁石は、前記通過面と交差しており、
前記磁石の磁力の大きさは、前記通過面から前記軸方向外側に向かうことに伴って、大きくなっている請求項1ないし11のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
[請求項14]
前記爪部は、前記軸方向における前記磁石の中心を通るとともに前記軸方向と直交する面である磁石中心面(Sm)と交差しており、
前記磁石のうち前記磁石中心面と交差する部分は、未着磁とされている請求項1ないし11のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
[請求項15]
前記爪部は、前記第1磁気検出部を通るとともに前記軸方向と直交する面である通過面(Sd)と交差しており、
前記磁石は、前記通過面と交差しており、
前記磁石のうち前記通過面と交差する部分は、未着磁とされている請求項1ないし11のいずれか1つに記載のトルク検出システム。
【符号の説明】
【0188】
18 モータ制御装置
25 トルクセンサ
30 磁石
35 回転体
61 第1磁気検出部
62 第2磁気検出部
361 第1ヨーク
362 第2ヨーク