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特許7544117印刷装置、印刷装置の制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷装置の制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/00 20060101AFI20240827BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20240827BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A45D29/00
B41J3/407
B41J5/30 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022199924
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2021000535の分割
【原出願日】2021-01-05
(65)【公開番号】P2023053949
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】P 2020084834
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修一
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-10856(JP,A)
【文献】特開2017-121305(JP,A)
【文献】特開2016-13234(JP,A)
【文献】特開2016-59731(JP,A)
【文献】米国特許第5931166(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00
B41J 3/407
B41J 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象となる指を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて、爪領域を検出する爪領域検出手段と、
前記爪領域検出手段によって検出された前記爪領域の少なくとも一部を、前印刷をすべき前印刷設定領域と設定する設定手段と、
前印刷を印刷する印刷手段と、
前記印刷手段によって前印刷された印刷対象となる指を前記撮影手段により撮影した画像に基づいて、前記印刷手段によって前印刷が印刷された領域を後印刷領域として検出する後印刷領域検出手段と、
前記後印刷領域に対応する後印刷領域基準点を設定す基準点設定手段と、
を備え、
前記印刷手段は、前記基準点設定手段により設定された前記後印刷領域基準点と、前記前印刷設定領域との情報に基づいて、前記爪領域に後印刷を前印刷と整合させるよう印刷することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷手段により前記前印刷設定領域が印刷されるときに、当該前印刷設定領域の輪郭の情報を取得する取得手段と、
前記前印刷設定領域の基準位置を設定する基準位置設定手段と、
を備え、
前記基準点設定手段は、前記後印刷領域基準点を設定するとともに、当該後印刷領域基準点に基づいて前記前印刷設定領域に対応する前印刷設定領域基準点を算出し、
前記印刷手段は、
前記前印刷設定領域基準点に前記基準位置を一致させるように前記前印刷設定領域を配置した印刷データを生成し、
前記印刷データに基づいて、前記爪領域に後印刷を印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷手段により前記前印刷設定領域が印刷されるときに、当該前印刷設定領域の大きさを取得する取得手段を備え、
前記印刷手段は、
前記後印刷領域検出手段によって検出された前記後印刷領域の大きさを前記前印刷設定領域の大きさに合わせるように、前記後印刷領域の輪郭を拡大又は縮小させ、
拡大又は縮小された前記輪郭を有する印刷範囲の印刷データを生成し、
前記印刷データに基づいて、前記爪領域に後印刷を印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記後印刷領域検出手段は、前記撮影手段により所定の基準面上に位置する物体を撮影した画像から当該物体の寸法を取得可能であり
前記基準点設定手段は、前記後印刷領域と前記撮影手段の光軸との交点を前記後印刷領域基準点として設定し、
前記印刷手段は、前記後印刷領域基準点に基づいて、前記後印刷領域の輪郭を拡大又は縮小させることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記基準点設定手段は、前記後印刷領域基準点を設定するとともに、当該後印刷領域基準点に基づいて前記前印刷設定領域に対応する前印刷設定領域基準点を算出し、
前記印刷手段は、前記前印刷設定領域基準点と、拡大又は縮小された前記輪郭とを有する前記印刷データを生成することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷手段により前記前印刷設定領域が印刷されるときに、当該前印刷設定領域の大きさを取得する取得手段を備え、
前記基準点設定手段は、前記後印刷領域検出手段によって検出された前記後印刷領域の大きさと、前記前印刷設定領域の大きさとの比に基づいて、前記前印刷設定領域基準点を算出することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記前印刷設定領域の大きさは、当該前印刷設定領域の外接四角形の各辺の長さで表され、
前記後印刷領域の大きさは、当該後印刷領域の外接四角形の各辺の長さで表されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記後印刷領域検出手段は、
前記撮影手段により所定の基準面上に位置する物体を撮影した画像から当該物体の寸法を取得可能であり
前記後印刷領域を有する爪が、前記基準面よりも前記撮影手段に近い場合に当該後印刷領域を前記前印刷設定領域よりも大きく検出し、前記基準面よりも前記撮影手段から遠い場合に当該後印刷領域を前記前印刷設定領域よりも小さく検出することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
撮影手段と印刷部を備える印刷装置の制御方法であって、
制御手段が、
印刷対象となる指を前記撮影手段により撮影した画像に基づいて、爪領域を検出する爪領域検出工程と、
前記爪領域検出工程によって検出された前記爪領域の少なくとも一部を、前印刷をすべき前印刷設定領域と設定する設定工程と、
前記印刷部により前印刷を印刷する第1の印刷工程と、
前記第1の印刷工程によって前印刷された印刷対象となる指を前記撮影手段により撮影した画像に基づいて、前記第1の印刷工程によって前印刷が印刷された領域を後印刷領域として検出する後印刷領域検出工程と、
前記後印刷領域に対応する後印刷領域基準点を設定する基準点設定工程と、
前記基準点設定工程で設定されたいずれかの基準点と、前記前印刷設定領域との情報に基づいて、前記印刷部により前記爪領域に後印刷を前印刷と整合させるよう後印刷する第2の印刷工程と、
を実行することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項10】
撮影手段と印刷部を備える印刷装置の制御プログラムであって、
コンピュータを、
印刷対象となる指を前記撮影手段により撮影した画像に基づいて、爪領域を検出する爪領域検出手段、
前記爪領域検出手段によって検出された前記爪領域の少なくとも一部を、前印刷をすべき前印刷設定領域と設定する設定手段、
前記印刷部により前印刷を印刷する第1の印刷制御手段、
前記第1の印刷制御手段によって前印刷された印刷対象となる指を前記撮影手段により撮影した画像に基づいて、前記印刷部によって前印刷が印刷された領域を後印刷領域として検出する後印刷領域検出手段、
前記後印刷領域に対応する後印刷領域基準点を設定する基準点設定手段、
前記基準点設定手段により設定されたいずれかの基準点と、前記前印刷設定領域との情報に基づいて、前記印刷部により前記爪領域に後印刷を前印刷と整合させるよう後印刷する第2の印刷制御手段、
として機能させることを特徴とする印刷装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷装置の制御方法及び制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人の指の爪等にネイルデザインを印刷する印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種の印刷装置において、予め爪に白インク等で下地印刷を行い、カラーインクで色印刷(デザイン印刷)を行う場合がある。このような場合には、下地印刷後に、白インクの乾燥やカラーインク用の受容層の塗布等を行うために、指が装置から一旦外される。そして、その後に再び指が装置にセットされて、カメラにより下地領域が認識され、この下地領域内に色印刷が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2003-534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した印刷装置(ネイルプリント装置)では、カメラは所定の基準面上で正確な寸法を取得可能なように寸法アライメントが調整されているところ、印刷する指をこの基準面上に確実に配置することは難しい。そのため、カメラで認識された下地領域は、基準面からの距離のずれに応じて、実際よりも大きかったり小さかったりする。その結果、下地領域と色印刷領域とがずれてしまい、下地がはみ出している場合には、色印刷した後も下地部分が残ったり、爪から色印刷がはみ出したりしてしまい、見栄えの悪いネイルになってしまう。
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、爪に印刷するデザイン印刷に関わりなく見栄えのよいネイルに仕上げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の印刷装置は、
印刷対象となる指を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて、爪領域を検出する爪領域検出手段と、
前記爪領域検出手段によって検出された前記爪領域の少なくとも一部を、前印刷をすべき前印刷設定領域と設定する設定手段と、
前印刷を印刷する印刷手段と、
前記印刷手段によって前印刷された印刷対象となる指を前記撮影手段により撮影した画像に基づいて、前記印刷手段によって前印刷が印刷された領域を後印刷領域として検出する後印刷領域検出手段と、
前記後印刷領域に対応する後印刷領域基準点を設定す基準点設定手段と、
を備え、
前記印刷手段は、前記基準点設定手段により設定された前記後印刷領域基準点と、前記前印刷設定領域との情報に基づいて、前記爪領域に後印刷を前印刷と整合させるよう印刷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、見栄えのよいネイルに仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態におけるネイルプリント装置の内部構成を示す要部斜視図である。
図2】実施形態におけるネイルプリント装置と端末装置の概略の制御構成を示す制御ブロック図である。
図3】実施形態における印刷処理の流れを示すフローチャートである。
図4】撮影装置の基準面からの爪の位置ずれの影響を説明するための図である。
図5】実施形態における補正処理の流れを示すフローチャートである。
図6】実施形態における補正処理の一例を説明するための図である。
図7】実施形態の第1の変形例における補正処理の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態の第1の変形例における補正処理を説明するための図である。
図9】実施形態の第2の変形例における補正処理の流れを示すフローチャートである。
図10】実施形態の第2の変形例における補正処理を説明するための図である。
図11】実施形態における補正処理の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図7を参照しつつ、本発明に係る印刷装置の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷するネイルプリント装置である場合を例に説明するが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを印刷対象としてもよい。
【0010】
図1は、ネイルプリント装置1の要部外観構成を示す斜視図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、図1に示した向きをいうものとする。また、X方向は左右方向、Y方向は前後方向をいうものとする。
【0011】
図1に示すように、ネイルプリント装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
筐体2は、前面側(ネイルプリント装置1の正面側、図1において前側)の下側部分に、左右方向(ネイルプリント装置1の横方向、図1において左右方向、X方向)のほぼ全面に亘って形成された開口部21を有している。また、筐体2の左右方向のほぼ中央部には、開口部21の上側に連続して切り欠き部22が形成されている。切り欠き部22は、後述する印刷ヘッド41を装置に対して着脱する際の出入口として機能する。
なお、図示はしないが、筐体2は、開口部21や切り欠き部22を覆うカバー部材等を備えていてもよい。カバー部材は、筐体2とは別体に分離されたものであってもよいし、例えば筐体2に対してヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられていてもよい。
【0012】
また、筐体2の上面(天板)には、ネイルプリント装置1の操作部12が設けられている。操作部12は、例えばネイルプリント装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)である。操作部12が操作されると、操作信号が後述の制御装置80に出力され、制御装置80が操作信号に従った制御を行い、ネイルプリント装置1の各部を動作させる。例えば操作部12が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じてネイルプリント装置1の電源がON/OFFされる。
なお、操作部12に代えて、後述する端末装置9の操作部91から入力された操作信号に従ってネイルプリント装置1の各部が動作するようにしてもよい。
筐体2各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。例えば、操作部12は、筐体2の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、筐体2にはその他各種の操作ボタンが操作部12として設けられていてもよいし、各種表示部やインジケータ等が設けられていてもよい。
【0013】
筐体2の内部には、装置本体10が収容されている。
装置本体10は、基台11と、これに取り付けられた指固定部6、印刷部40等を備えている。
【0014】
指固定部6は、基台11における装置前面側の左右方向(X方向)のほぼ中央部に配置されており、本実施形態における印刷対象である爪を有する指(印刷指)を印刷に適した領域内に固定する。
指固定部6は、装置前面側に開口部61を有している。また指固定部6の内部には、指固定部材62が設けられている。指固定部材62は、開口部61から挿入された指を下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。
指固定部6の上面には開口部61から挿入され指固定部材62により保持された指の爪部分を露出させる窓部63が形成されている。
【0015】
印刷部40は、印刷対象である爪に印刷を施す印刷手段である。
印刷部40は、印刷動作を行う印刷ヘッド41及びこれを備えた印刷ヘッドユニット42を移動させるためのヘッド移動機構49(図2参照)を備えている。
【0016】
本実施形態の印刷ヘッド41は、爪表面に対向する面がインクを吐出させる複数のノズル口を備えたインク吐出面(いずれも図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象(爪)の被印刷面である爪表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部とインクカートリッジ(いずれも図示せず)とが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)のインクを吐出可能となっている。また、本実施形態の印刷ヘッド41は、下地塗料としての白色インクも吐出可能となっている。インクジェット印刷では、色合いに下地の色が大きく影響するため、白色の下地を印刷しておくと綺麗な発色を得ることができる。なお、印刷ヘッド41に備えられるインクの種類はこれに限定されない。
【0017】
ヘッド移動機構49は、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させるための図示しないX方向移動機構及び印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させるための図示しないY方向移動機構からなる。
X方向移動機構は、X方向移動モータ46(図2参照)を含んでおり、X方向移動モータ46が駆動することにより印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させる。また、Y方向移動機構は、Y方向移動モータ48(図2参照)を含んでおり、Y方向移動モータ48が駆動することにより印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させる。
【0018】
また、筐体2の上面(天板)の内側であって、指固定部6の窓部63の上方位置には、窓部63から露出する爪(爪を含む指)を撮影して爪の画像(爪を含む指の画像、以下「爪画像」という。)を取得する撮影部50が設けられている。
撮影部50は、例えばカメラ等である撮影装置51と、撮影対象である爪を照明する白色LED等で構成された照明装置52とを備えている(図2参照)。
撮影装置51は、例えば、200万画素以上の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。撮影装置51は、XY平面と直交する上下方向に沿った光軸Axを有しており、所定の距離にある基準面L上に位置する物体を撮影した画像から、当該物体の寸法を正確に取得できるように、寸法アライメントが調整されている(図4参照)。XY平面上の光軸Axの位置は一定であり、本実施形態では座標(CX、CY)である。
【0019】
また、本実施形態では、撮影装置51及び照明装置52が、筐体2の天面内側であって指固定部6に載置された指の爪(爪の表面)と対向可能な位置に固定配置されている場合を例示したが、撮影部50は、指固定部6に載置された指の爪を撮影可能な位置に設けられていればよく、具体的な配置は特に限定されない。
例えば、撮影部50は、印刷ヘッド41を移動させるヘッド移動機構49によってXY方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0020】
図2は、ネイルプリント装置1と後述の端末装置9の概略の制御構成を示す制御ブロック図である。
この図に示すように、ネイルプリント装置1は、上述した印刷部40及び撮影部50のほかに、通信部55と、制御装置80とを備えている。
【0021】
通信部55は、ネイルプリント装置1と連携して動作する後述の端末装置9との間で情報の送受信が可能に構成されたものである。
ネイルプリント装置1と端末装置9との間での通信は、例えば無線LAN等により行われる。なお、ネイルプリント装置1と端末装置9との間での通信はこれに限定されず、いかなる方式によるものでもよい。例えば、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。また、この通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。通信部55は端末装置9の通信方式に対応するアンテナチップ等を備えている。
【0022】
制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)821及びRAM(Random Access Memory)822等を有して構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
【0023】
記憶部82には、ネイルプリント装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部82のROM821には、例えば印刷処理を行うための印刷プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置80によって実行されることによって、ネイルプリント装置1の各部が統括制御される。
【0024】
制御部81は、撮影制御部811、印刷制御部813、通信制御部814等の機能部を備えている。これら各機能部の機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROM821に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0025】
撮影制御部811は、撮影部50の撮影装置51及び照明装置52を制御し、撮影装置51により、指固定部6に固定された印刷指の爪の画像を含む指の画像(爪画像)を撮影させる。
撮影部50により取得された爪画像の画像データは、通信部55を介して後述の端末装置9に送信される。なお、画像データは記憶部82に記憶されてもよい。
【0026】
印刷制御部813は、後述の端末装置9から送信された印刷用データに基づいて印刷部40に制御信号を出力し、爪に対してこの印刷用データにしたがった印刷を施すように印刷部40のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48、印刷ヘッド41等を制御する。
【0027】
通信制御部814は、通信部55の動作を制御するものである。本実施形態では、通信制御部814は、後述の端末装置9との間での通信を制御し、当該端末装置9から印刷用データ等が送信された場合にこれを受信する。
【0028】
また、本実施形態のネイルプリント装置1は、端末装置9との間で通信可能に構成されており、端末装置9からの動作指令に基づいて印刷動作等を実行する。
【0029】
端末装置9は、例えばスマートフォンやタブレット等の携帯端末である。ただし、端末装置9は、ネイルプリント装置1と通信可能なものであれば特に限定されず、例えばノート型又は定置型のパソコンや、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
具体的に、端末装置9は、操作部91、表示部92、通信部94、制御装置95等を備えている。
【0030】
操作部91は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、操作部91が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御装置95に送信される。なお、本実施形態では表示部92の表面にタッチパネルが一体的に設けられており、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によっても各種の入力・設定等の操作を行うことができるようになっている。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部91はタッチパネルである場合に限定されない。例えば各種の操作ボタンやキーボード、ポインティングデバイス等が操作部91として設けられていてもよい。
本実施形態では、ユーザが操作部91を操作することで、爪に印刷するネイルデザインの選択等ができる。
【0031】
表示部92に構成されているタッチパネルは、後述する制御部96の制御にしたがって各種の表示画面を表示させる。
本実施形態では、表示部92には、ユーザが操作部91から入力・選択したネイルデザインや、ネイルプリント装置1から送信された画像等が表示可能となっている。
【0032】
通信部94は、ネイルプリント装置1に対して印刷用データを送信することが可能となっている。また、通信部94は、ネイルプリント装置1から爪画像等のデータが送信されたときには、これを受信する。通信部94は、ネイルプリント装置1の通信部55との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えている。
なお、通信部94は、ネイルプリント装置1との間で通信を行うことのできるものであればよく、ネイルプリント装置1の通信部55の通信規格と合致するものが適用される。
【0033】
制御装置95は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等により構成される制御部96と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部97とを備えるコンピュータである。
【0034】
記憶部97には、端末装置9の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、本実施形態のROM等には、端末装置9の各部を統括制御するための動作プログラムの他、ネイルプリント装置1を用いたネイルプリントを行うためのネイルプリントアプリケーションプログラム等の各種プログラムが格納されており、制御装置95がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して実行することによって、端末装置9が制御される。
また、本実施形態の記憶部97には、ネイルデザインのデータや、爪の画像及び爪の形状の情報等が格納される。
【0035】
制御部96は、端末装置9の各部の動作を統合的に制御する。制御部96は、記憶部97に記憶されたプログラムとの協働により、爪への印刷を行うための各種機能を実現する。
【0036】
続いて、爪への印刷を実行する際のネイルプリント装置1の動作について説明する。
図3は、ネイルプリント装置1の印刷処理の流れを示すフローチャートであり、図4は、撮影装置51の基準面Lからの爪の位置ずれの影響を説明するための図である。
ここでは、印刷するネイルデザインは予め設定されているものとする。
【0037】
図3に示すように、印刷処理が実行され、ユーザにより指固定部6に指(印刷指)が配置されると(ステップS1)、制御部81は、撮影部50により印刷指の爪を撮影して爪画像を取得し、この爪画像から爪の形状(爪領域)を認識(検出)して記憶部82に記憶させる(ステップS2)。
【0038】
次に、制御部81は、指固定部6に配置された印刷指に、白色の下地塗料(白インク)を印刷する白色印刷を実行する(ステップS3)。ここでは、ステップS2で認識(検出)した爪領域のうち、予め設定されている印刷領域(ネイルデザインを施す領域)に対して、印刷部40により白色印刷が実行される。この白色印刷(下地)は、本発明に係る前印刷の一例である。白色印刷を施す下地領域の範囲は特に限定されず、爪の一部であってもよいし全部であってもよいし、検出された爪領域と一対一で対応していなくともよい。
このとき、制御部81は、実際に印刷した下地領域の情報を、記憶部82に記憶しておく(ステップS4)。本実施形態では、下地領域の外接四角形のX方向幅W0及びY方向長さH0(図6参照)が記憶される。外接四角形はX方向及びY方向に沿った各辺から構成される。
【0039】
その後、ユーザにより指固定部6から印刷指が抜かれ、白インクの乾燥や、白インク上への色インク用の受容層の塗布が、必要に応じて行われる(ステップS5)。
【0040】
次に、ユーザにより指固定部6に印刷指が再び配置されると(ステップS6)、制御部81は、撮影部50(撮影装置51)により印刷指の爪を撮影して爪画像を取得し、この爪画像から白色の下地領域を認識(検出)して記憶部82に記憶させる(ステップS7)。
【0041】
このとき、白色印刷後にステップS6で再配置された爪の位置が、撮影装置51により正確な寸法を取得できる基準面Lから上下にずれていた場合、ステップS7で認識(検出)される下地領域(以下、「認識領域R1」)は、実際の下地領域(以下、「実領域R0」という。)よりも、基準面Lからずれた距離の分だけ変化して認識(検出)される。実領域R0は、本発明に係る前印刷設定領域の一例であり、認識領域R1は、本発明に係る後印刷領域の一例である。
具体的には、図4(a)に示すように、爪の位置(光軸Ax上の位置)Mが基準面Lよりも下側である(撮影装置51から遠い)場合、認識領域R1は実領域R0よりも小さくなる。そのため、このまま認識領域R1の範囲を印刷した場合、実領域R0の端部に白色部分が残ってしまう。
一方、図4(b)に示すように、爪の位置Mが基準面Lよりも上側である(撮影装置51に近い)場合、認識領域R1は実領域R0よりも大きくなる。そのため、このまま認識領域R1の範囲を印刷した場合、この印刷領域が実領域R0からはみ出してしまう。
【0042】
そこで、制御部81は、ステップS7で認識した下地領域の位置と大きさを補正する補正処理を行う(ステップS8)。
図5は、この補正処理の流れを示すフローチャートであり、図6は、この補正処理を説明するための図である。
なお、図6では、白色印刷後にステップS6で再配置された爪の位置Mが、撮影装置51の基準面Lよりも下側である(遠い)場合を例示している。
また、以下の説明では、特に断りのない限り、「距離」とは光軸Ax上に沿った距離を、「幅」とはX方向に沿った距離を、「長さ」とはY方向に沿った距離を、「座標」とはXY座標をいうものとする。
【0043】
図5及び図6に示すように、補正処理が実行されると、まず制御部81は、認識領域R1の輪郭の座標と、その外接四角形のX方向幅WW及びY方向長さHWを取得する(ステップS81)。外接四角形はX方向及びY方向に沿った各辺から構成される。
次に、制御部81は、認識領域R1の基準点P1の座標を設定する(ステップS82)。基準点P1は、本発明に係る後印刷領域基準点の一例である。この基準点P1は、本実施形態では、XY平面上での認識領域R1の外接四角形(各辺がX、Yに沿ったもの)のいずれか1つの頂点(XW、YW)である。ただし、基準点P1は、認識領域R1の外接多角形に対応するいずれかの点(例えば代表点)であれば、本実施形態のものに限定されず、例えば認識領域R1の外接多角形の重心(図心)点などであってもよい。
【0044】
次に、制御部81は、ステップS4で記憶した下地領域のX方向幅W0及びY方向長さH0を読み出す(ステップS83)。これらX方向幅W0及びY方向長さH0は、実際の白色印刷時の寸法であるため、実領域R0のX方向幅及びY方向長さに等しい。
【0045】
次に、制御部81は、認識領域R1のX方向幅WW及びY方向長さHWを、実領域R0のX方向幅W0及びY方向長さH0に合わせるように、認識領域R1の輪郭を拡大縮小する(ステップS84)。
すなわち、例えば実領域R0の輪郭上の点Bを求めるには、下式からX方向長さBCを求めればよい。
BC=EF×W0/WW
ここで、EFは、認識領域R1の外接四角形上の点Eと、光軸Ax上の点Fとから、既知である。
また、実領域R0の輪郭上の点Jを求めるには、同様に、下式からY方向長さJCを求めればよい。
JC=HF×H0/HW
ここで、HFは、認識領域R1の外接四角形上の点Hと、光軸Ax上の点Fとから、既知である。
【0046】
次に、制御部81は、認識領域R1の基準点P1に対応する実領域R0の基準点P0を求める(ステップS85)。基準点P0は、本発明に係る前印刷設定領域基準点の一例である。
ここでは、下式により、実領域R0の基準点P0の座標(XW0、YW0)を算出する。
XW0=CX-長さBC
=CX-長さEF×W0/WW
=CX-(CX-XW)×W0/WW
YW0=CY-長さJC
=CY-長さHF×W0/WW
=CY-(CY-YW)×W0/WW
【0047】
こうして、認識領域R1が、ステップS84で拡大又は縮小された輪郭と、ステップS85で算出された基準点P0(XW0、YW0)とを有するもの、すなわち実領域R0に補正される。これにより、実際の下地領域に対して適正にデザイン印刷を施すことができる。
【0048】
次に、図3に示すように、制御部81は、ステップS8で補正された下地領域(認識領域R1)に対して所定のデザイン印刷が実行されるように、印刷データを生成する(ステップS9)。
その後、制御部81は、ステップS9で生成した印刷データに基づいて、印刷部40によりデザイン印刷(装飾の印刷)を実行した後(ステップS10)、印刷処理を終了させる。このデザイン印刷(装飾)は、本発明に係る後印刷の一例である。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、印刷指を撮影した画像から下地領域が認識され、この認識領域R1の基準点P1と実領域R0の基準点P0とが設定され、この基準点と実領域R0との情報に基づいて爪領域に装飾が印刷される。
そのため、撮影装置51により正確な寸法を取得可能な基準面Lから爪の位置Mがずれていた場合であっても、認識領域R1を実領域R0に対応した基準点P0と大きさを有するものに補正できる。これにより、デザイン印刷を施す印刷領域と下地領域とを整合させ、見栄えのよいネイルに仕上げることができる。
【0050】
続いて、上記実施形態の第1の変形例について説明する。
本第1の変形例では、主に、認識した下地領域を補正するステップS8の補正処理の内容が上記実施形態と異なる。以下では、この異なる点について主に説明し、上記実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7は、本第1の変形例における補正処理の流れを示すフローチャートであり、図8は、この補正処理を説明するための図である。
【0051】
本第1の変形例では、図8(a)に示すように、制御部81は、ステップS4において、実際に印刷した下地領域(すなわち実領域R0)の情報として、下地領域の外接四角形のX方向幅W0及びY方向長さH0に加えて、当該下地領域の輪郭の座標を取得し、記憶部82に記憶しておく。
【0052】
その後、補正処理が実行されると、図7及び図8(b)に示すように、まず制御部81は、上記実施形態のステップS81と同様に、認識領域R1の輪郭の座標と、その外接四角形のX方向幅WW及びY方向長さHWを取得する(ステップT81)。
次に、制御部81は、上記実施形態のステップS82と同様に、認識領域R1の基準点P1の座標を設定する(ステップT82)。
【0053】
次に、制御部81は、上記実施形態のステップS85と同様に、認識領域R1の基準点P1に対応する実領域R0の基準点P0を求める(ステップT83)。
そして、制御部81は、基準点P0に基準位置P2(図8(a)参照)を一致させるようにして、ステップS4で取得した下地領域(すなわち実領域R0)の輪郭をそのまま配置する(ステップT84)。ここで、基準位置P2とは、実領域R0において、認識領域R1における基準点P1と対応した位置関係にある点であり、図8の例では、その外接四角形の図中左上の頂点である。この基準位置P2は、ステップT84で求めてもよいし、ステップS4で予め求めておいてもよい。
【0054】
こうして、認識領域R1が、ステップS4で取得された輪郭と、ステップT83で算出された基準点P0とを有する実領域R0に補正される。これにより、実際の下地領域に対して適正にデザイン印刷を施すことができる。
【0055】
以上のように、本第1の変形例によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
すなわち、撮影装置51により正確な寸法を取得可能な基準面Lから爪の位置Mがずれていた場合であっても、認識領域R1を実領域R0に対応した基準点P0と大きさ(輪郭)を有するものに補正できる。これにより、デザイン印刷を施す印刷領域と下地領域とを整合させ、見栄えのよいネイルに仕上げることができる。
【0056】
また、本第1の変形例によれば、基準点P0に基準位置P2を一致させつつ下地領域の輪郭がそのまま配置されて、実領域R0が設定される。したがって、認識領域R1を拡大縮小して実領域R0を設定する場合に比べ、演算処理量を減らすことができる。
【0057】
続いて、上記実施形態の第2の変形例について説明する。
本第2の変形例では、主に、認識した下地領域を補正するステップS8の補正処理の内容が上記実施形態と異なる。具体的には、上記実施形態では、認識領域R1の基準点P1と実領域R0の基準点P0とを設定して装飾を印刷することとしたが、これに代えて、本第2の変形例では、実領域R0の基準点P0を設定する必要なく、認識領域R1の基準点P1のみを設定して装飾を印刷している。以下では、この異なる点について主に説明し、上記実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、本第2の変形例における補正処理の流れを示すフローチャートであり、図10は、この補正処理を説明するための図である。
【0058】
図9及び図10に示すように、補正処理が実行されると、まず制御部81は、上記実施形態のステップS81と同様に、認識領域R1の輪郭の座標と、その外接四角形のX方向幅WW及びY方向長さHWを取得する(ステップU81)。
次に、制御部81は、上記実施形態のステップS83と同様に、ステップS4で記憶した下地領域(すなわち実領域R0)のX方向幅W0及びY方向長さH0を読み出す(ステップU82)。
【0059】
次に、制御部81は、認識領域R1のX方向幅WW及びY方向長さHWを、実領域R0のX方向幅W0及びY方向長さH0に合わせるように、認識領域R1の輪郭を拡大縮小する(ステップU83)。
このとき、制御部81は、光軸Ax上の点C(CX,CY)、つまり認識領域R1と光軸Axとの交点を基準点P1とし、この基準点P1に対する認識領域R1の輪郭の相対位置を拡大縮小する。拡大縮小率は、W0/WW又はH0/HWとしてもよいし、これらの平均値としてもよいし、幅方向をW0/WWとし長さ方向をH0/HWとしてもよい。
【0060】
こうして、認識領域R1が、ステップU83で拡大又は縮小された輪郭と、光軸Ax上の基準点(光軸Ax上の点なので基準点P1に等しい)とを有する実領域R0に補正される。これにより、実際の下地領域に対して適正にデザイン印刷を施すことができる。
【0061】
以上のように、本第2の変形例によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
すなわち、印刷指を撮影した画像から下地領域が認識され、この認識領域R1の基準点P1が設定され、この基準点P1と実領域R0との情報に基づいて爪領域に装飾が印刷される。
そのため、撮影装置51により正確な寸法を取得可能な基準面Lから爪の位置Mがずれていた場合であっても、認識領域R1を実領域R0に対応した基準点と大きさ(輪郭)を有するものに補正できる。これにより、デザイン印刷を施す印刷領域と下地領域とを整合させ、見栄えのよいネイルに仕上げることができる。
【0062】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0063】
例えば、本実施形態及びその変形例では、ステップS8の補正処理において、爪の位置Mが基準面Lよりも下側である場合を例示した。しかし、図11に示すように、爪の位置Mが基準面Lよりも上側である(撮影装置51に近い)場合であっても同様に補正処理を実行できる。
また、下地は白色以外の色であってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、ネイルプリント装置1がインクジェット方式で印刷を行う構成としたが、ネイルプリント装置1が印刷を行う手法はインクジェット方式に限定されない。
例えば、爪の表面にペン先を接触させて印刷を行う印刷用のペンを保持するペンホルダを備え、ペンを用いて印刷を行うようにしてもよい。また、本実施形態のようなインクジェット方式の印刷手段と印刷用のペンを保持するペンホルダとを両方備え、複数の印刷手段を用いて印刷を行う構成としてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、前印刷として下地を印刷し、後印刷として装飾を印刷することとした。しかし、本発明に係る前印刷及び後印刷はこれに限定されず、例えば、いずれも下地(第1下地及び第2下地)であってもよいし、いずれも装飾(第1装飾及び第2装飾)であってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、ネイルプリント装置1が端末装置9と連携して印刷システムを構成し、印刷開始指示の入力等を端末装置9側で行った上で、印刷動作をネイルプリント装置1側で実行する場合を例示したが、ネイルプリント装置1はここに示すようなものに限定されない。
例えば、各種指示を入力する操作部や表示部、印刷用データを生成する印刷データ生成部等をネイルプリント装置1側に設けて、ネイルプリント装置1の制御装置がこれらの処理を行うようにしてもよい。このように構成した場合には、端末装置と連携することなく、ネイルプリント装置1が単体で印刷動作を完結できるように構成することもできる。
【0067】
また、ネイルデザインや撮影された画像データ、印刷傾き設定テーブル等の各種データは、端末装置の記憶部に記憶されてもよいし、ネイルプリント装置1の記憶部に記憶されていてもよい。
また、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等に各種データを記憶させておき、端末装置又はネイルプリント装置1がサーバ装置等にアクセスしてこのデータを参照可能に構成してもよい。
このようにすることで、より多くのネイルデザインの中から印刷するデザインを選択することなどが可能となる。
【0068】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
印刷対象となる指を撮影した画像に基づいて、爪領域を検出する爪領域検出手段と、
前記爪領域検出手段によって検出された前記爪領域の少なくとも一部を、前印刷をすべき前印刷設定領域と設定する設定手段と、
前印刷を印刷する印刷手段と、
前記印刷手段によって前印刷された印刷対象となる指を撮影した画像に基づいて、前記印刷手段によって前印刷が印刷された領域を後印刷領域として検出する後印刷領域検出手段と、
前記後印刷領域に対応する後印刷領域基準点を設定するか、または、前記前印刷設定領域に対応する前印刷設定領域基準点と前記後印刷領域基準点とを設定する基準点設定手段と、
を備え、
前記印刷手段は、前記基準点設定手段により設定されたいずれかの基準点と、前記前印刷設定領域との情報に基づいて、前記爪領域に後印刷を印刷することを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記印刷手段により前記前印刷設定領域が印刷されるときに、当該前印刷設定領域の輪郭の情報を取得する取得手段と、
前記前印刷設定領域の基準位置を設定する基準位置設定手段と、
を備え、
前記基準点設定手段は、前記後印刷領域基準点を設定するとともに、当該後印刷領域基準点に基づいて前記前印刷設定領域基準点を算出し、
前記印刷手段は、
前記前印刷設定領域基準点に前記基準位置を一致させるように前記前印刷設定領域を配置した印刷データを生成し、
前記印刷データに基づいて、前記爪領域に後印刷を印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記印刷手段により前記前印刷設定領域が印刷されるときに、当該前印刷設定領域の大きさを取得する取得手段を備え、
前記印刷手段は、
前記後印刷領域検出手段によって検出された前記後印刷領域の大きさを前記前印刷設定領域の大きさに合わせるように、前記後印刷領域の輪郭を拡大又は縮小させ、
拡大又は縮小された前記輪郭を有する印刷範囲の印刷データを生成し、
前記印刷データに基づいて、前記爪領域に後印刷を印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記後印刷領域検出手段は、所定の基準面上に位置する物体を撮影した画像から当該物体の寸法を取得可能な撮影部を含み、
前記基準点設定手段は、前記後印刷領域と前記撮影部の光軸との交点を前記後印刷領域基準点として設定し、
前記印刷手段は、前記後印刷領域基準点に基づいて、前記後印刷領域の輪郭を拡大又は縮小させることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記基準点設定手段は、前記後印刷領域基準点を設定するとともに、当該後印刷領域基準点に基づいて前記前印刷設定領域基準点を算出し、
前記印刷手段は、前記前印刷設定領域基準点と、拡大又は縮小された前記輪郭とを有する前記印刷データを生成することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記印刷手段により前記前印刷設定領域が印刷されるときに、当該前印刷設定領域の大きさを取得する取得手段を備え、
前記基準点設定手段は、前記後印刷領域検出手段によって検出された前記後印刷領域の大きさと、前記前印刷設定領域の大きさとの比に基づいて、前記前印刷設定領域基準点を算出することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
<請求項7>
前記前印刷設定領域の大きさは、当該前印刷設定領域の外接四角形の各辺の長さで表され、
前記後印刷領域の大きさは、当該後印刷領域の外接四角形の各辺の長さで表されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の印刷装置。
<請求項8>
前記後印刷領域検出手段は、
所定の基準面上に位置する物体を撮影した画像から当該物体の寸法を取得可能な撮影部を含み、
前記後印刷領域を有する爪が、前記基準面よりも前記撮影部に近い場合に当該後印刷領域を前記前印刷設定領域よりも大きく検出し、前記基準面よりも前記撮影部から遠い場合に当該後印刷領域を前記前印刷設定領域よりも小さく検出することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項9>
撮影部と印刷部を備える印刷装置の制御方法であって、
制御手段が、
印刷対象となる指を前記撮影部により撮影した画像に基づいて、爪領域を検出する爪領域検出工程と、
前記爪領域検出工程によって検出された前記爪領域の少なくとも一部を、前印刷をすべき前印刷設定領域と設定する設定工程と、
前記印刷部により前印刷を印刷する第1の印刷工程と、
前記第1の印刷工程によって前印刷された印刷対象となる指を前記撮影部により撮影した画像に基づいて、前記第1の印刷工程によって前印刷が印刷された領域を後印刷領域として検出する後印刷領域検出工程と、
前記後印刷領域に対応する後印刷領域基準点を設定するか、または、前記前印刷設定領域に対応する前印刷設定領域基準点と前記後印刷領域基準点とを設定する基準点設定工程と、
前記基準点設定工程で設定されたいずれかの基準点と、前記前印刷設定領域との情報に基づいて、前記印刷部により前記爪領域に後印刷を印刷する第2の印刷工程と、
を実行することを特徴とする印刷装置の制御方法。
<請求項10>
撮影部と印刷部を備える印刷装置の制御プログラムであって、
コンピュータを、
印刷対象となる指を前記撮影部により撮影した画像に基づいて、爪領域を検出する爪領域検出手段、
前記爪領域検出手段によって検出された前記爪領域の少なくとも一部を、前印刷をすべき前印刷設定領域と設定する設定手段、
前記印刷部により前印刷を印刷する第1の印刷制御手段、
前記第1の印刷制御手段によって前印刷された印刷対象となる指を前記撮影部により撮影した画像に基づいて、前記印刷部によって前印刷が印刷された領域を後印刷領域として検出する後印刷領域検出手段、
前記後印刷領域に対応する後印刷領域基準点を設定するか、または、前記前印刷設定領域に対応する前印刷設定領域基準点と前記後印刷領域基準点とを設定する基準点設定手段、
前記基準点設定手段により設定されたいずれかの基準点と、前記前印刷設定領域との情報に基づいて、前記印刷部により前記爪領域に後印刷を印刷する第2の印刷制御手段、
として機能させることを特徴とする印刷装置の制御プログラム。
【符号の説明】
【0069】
1 ネイルプリント装置
40 印刷部
50 撮影部
51 撮影装置
80 制御装置
81 制御部
Ax 光軸
L 基準面
M 爪の位置(光軸上の位置)
R0 実領域(前印刷設定領域)
P0 実領域の基準点(前印刷設定領域基準点)
R1 認識領域(後印刷領域)
P1 認識領域の基準点(後印刷領域基準点)
P2 実領域の基準位置(前印刷設定領域の基準位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11