(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車両状態提示システム、車両、端末装置、情報処理装置、および、方法
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20240827BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20240827BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240827BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240827BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20240827BHJP
B60Q 1/26 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B60J1/00 D
G08B21/24
H04Q9/00 301B
H04Q9/00 311H
B60J5/00 H
B60Q1/04 B
B60Q1/26
(21)【出願番号】P 2022209915
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2021092075の分割
【原出願日】2017-09-27
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広毅
(72)【発明者】
【氏名】渥美 竜太
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 聡
(72)【発明者】
【氏名】廣木 大介
(72)【発明者】
【氏名】浅井 晋平
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-164807(JP,A)
【文献】特開2010-138623(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155875(WO,A1)
【文献】特開2015-194988(JP,A)
【文献】特開2008-095441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
B60J 5/00
G08B 21/00-21/24
H04Q 9/00
B60Q 1/04
B60Q 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
車両の状態を
取得する取得部と、
前記情報処理装置が前記車両から所定範囲の外にある場合に、前記車両の状態に関する第1の通知を行い、
前記第1の通知が行われた後であって、前記情報処理装置が前記車両から前記所定範囲の内にある場合に、前記第1の通知とは異なる第2の通知を行う通知部と、を備え、
前記第1の通知と前記第2の通知とは、前記車両の状態についての情報量が異なる、情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記車両からの通信電波が受信できない場合、または、前記情報処理装置が前記車両から受信した前記通信電波の強度が所定値以下である場合に、前記車両から前記所定範囲の外にあると判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記車両のユーザーの耳に装着される装置である、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知部は、音声によって前記第1の通知および前記第2の通知を行う、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
所定の音をユーザーの耳道に放音する放音部と、
前記所定の音に対する反響音を取得する取得部と、
前記反響音に基づいてユーザーを認証する認証部と、をさらに備え、
前記通知部は、前記認証部でのユーザー認証に成功した場合に、前記第1の通知および前記第2の通知を行う、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の通知は、前記第1の通知よりも前記情報量が多い、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置のコンピューターが実行する方法であって、
車両の状態を
取得するステップと、
前記情報処理装置が前記車両から所定範囲の外にある場合に、前記車両の状態に関する第1の通知を行うステップと、
前記第1の通知が行われた後であって、前記情報処理装置が前記車両から前記所定範囲の内にある場合に、前記車両の状態についての情報量が前記第1の通知とは異なる第2の通知を行うステップと、を含む、方法。
【請求項8】
情報処理装置のコンピューターに実行させるプログラムであって、
車両の状態を
取得するステップと、
前記情報処理装置が前記車両から所定範囲の外にある場合に、前記車両の状態に関する第1の通知を行うステップと、
前記第1の通知が行われた後であって、前記情報処理装置が前記車両から前記所定範囲の内にある場合に、前記車両の状態についての情報量が前記第1の通知とは異なる第2の通知を行うステップと、を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と通信して車両の状態を通知する車両状態提示システム、車両、端末装置、情報処理装置、および、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の所定の状態をユーザーに通知する技術が提案されている。例えば、ドアロックされていない状態でユーザーが車両から離れたり、所定期間経過したりした場合、車両に設けられたスピーカーから音を出力したり、ユーザーの携帯端末に通話発信、メール送信したりして、通知することが提案されている(特許文献1、2参照)。これにより、ユーザーは、ドアロックを忘れたことに気づくことができ、車両に戻ってロック操作を行う等の対応をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-344335号公報
【文献】特開2010-205063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両のドアがロックされていない状態や、ランプが点灯した状態のままユーザーが降車し、このような状態を放置すると、第三者に乗り込まれたり、バッテリーの充電量が低下したりするおそれがあり好ましくない。ユーザーが車両から離れる際には、例えば、エンジンが停止し、イグニッションスイッチがオフ状態で、ランプがすべて消灯され、窓がすべて閉められ、かつ、ドアがすべて閉められロックされているという状態となっていることが好ましい。このような状態になっていないことを、車両に設けられたスピーカーからの音で通知をしたり、ランプ、表示機等で視覚的に通知をしたりすると、第三者にも知覚され、セキュリティ面で改善の余地がある。また、通知を携帯端末に通話発信やメール送信することで行う場合、ユーザーが気付かないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ユーザーが車両から離れるとき、車両の状態が所定の状態となっていないことを、ユーザーにのみ気づきやすく通知できる車両状態提示システムや情報処理装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一局面は、ユーザーの耳に装着される耳装着部を含む端末装置と、端末装置と無線通信を行う車両とを含む車両状態提示システムである。車両は、無線通信により端末装置と通信する第1の通信部と、自車両の状態を監視し、所定の状態以外の状態を検知したことを表す通知信号を第1の通信部から端末装置に送信させる第1の制御部とを備える。端末装置は、無線通信により車両と通信する第2の通信部と、耳装着部に設けられユーザーに音または振動により通知を行う出力部と、自端末装置が車両を含む所定範囲の外に移動した場合に、第2の通信部が受信した通知信号に基づいて、ユーザーへの通知を出力部に実行させる第2の制御部とを備える。
【0007】
これにより、車両の状態が所定の状態となっていないことを、耳に装着した出力部から、音等によってユーザーにのみ通知することができる。
【0008】
また、端末装置の第2の制御部は、第2の通信部が受信する車両からの通信電波が受信できない場合、または、受信した通信電波の強度が所定値以下となった場合に、所定範囲の外に移動したと判定する判定部を含んでもよい。
【0009】
これにより、端末装置を身に着けたユーザーが車両から離れたことを通信電波に基づいて、他の手段を設けることなく検出できる。
【0010】
また、端末装置の第2の制御部は、第2の通信部が受信した通知信号に基づいて、車両の状態が所定の状態でないと判定した場合、通知信号に応じたユーザーへの通知を出力部に実行させてもよい。
【0011】
これにより、車両の状態が所定の状態となっていない場合にこのことをユーザーに通知することができる。
【0012】
また、端末装置は、ユーザーから、車両に所定の状態とさせることを指示する第1の入力を受け付けることが可能な入力部をさらに備え、通知信号に応じた通知の後、入力部が、端末装置を装着して車両と通信可能な範囲内に存在するユーザーから、第1の入力を受け付けたとき、第2の制御部は、第1の指示信号を第2の通信部から車両に送信させ、車両の第1の制御部は、第1の指示信号を第1の通信部が受信した場合、車両を所定の状態とする動作を実行してもよい。
【0013】
これにより、ユーザーが車両に戻らなくても、遠隔操作で車両を所定の状態にできるため利便性を向上できる。
【0014】
また、車両の第1の制御部は、通知信号の送信後、所定期間のあいだ所定の状態以外の状態が継続した場合、車両を所定の状態とする動作を実行してもよい。
【0015】
これにより、ユーザーがなんらの行動をしなくても、車両を所定の状態にできるため利便性を向上できる。
【0016】
また、端末装置の入力部は、ユーザーから、車両に現在の状態を維持させることを指示する第2の入力を受け付けることがさらに可能であり、通知信号に応じた通知の後、入力部が、端末装置を装着して車両と通信可能な範囲内に存在する前記ユーザーから、第2の入力を受け付けたとき、第2の制御部は、第2の指示信号を第2の通信部から車両に送信させ、車両の前記第1の制御部は、通知信号の送信後、所定期間のあいだに、第2の指示信号を第1の通信部が受信せず、かつ、所定の状態以外の状態が継続した場合、車両を所定の状態とする動作を実行し、第2の指示信号を第1の通信部が受信した場合、車両を所定の状態とする動作を実行しないようにしてもよい。
【0017】
これにより、ユーザーが所定の状態以外の状態にしたまま車両から離れることを意図した場合、意図に応じた操作により、その状態が維持されるため、利便性を向上できる。
【0018】
本発明の他の局面は、ユーザーの耳に装着されるスピーカーを有しユーザーに通知を行う出力部が設けられた耳装着部を含む端末装置と無線通信を行う車両である。車両は、無線通信により端末装置と通信する通信部と、自車両の状態を監視し、所定の状態以外の状態を検知したことを表す通知信号を通信部から端末装置に送信させる制御部とを備える。
【0019】
これにより、通知信号を受信した端末装置に、車両の状態が所定の状態となっていないことを、耳に装着した出力部から、音等によってユーザーにのみ通知させることができる。
【0020】
本発明の他の局面は、ユーザーの耳に装着される耳装着部を含み車両と無線通信を行う端末装置である。端末装置は、無線通信により車両と通信する通信部と、耳装着部に設けられユーザーに音または振動により通知を行う出力部と、自端末装置が車両を含む所定範囲の外に移動したと判定した場合に、通信部が車両から受信する車両の状態を表す通知信号に基づいて、ユーザーへの通知を出力部に実行させる制御部とを備える。
【0021】
これにより、車両の状態が所定の状態となっていないことを、耳に装着した出力部から、音等によってユーザーにのみ通知することができる。
【0022】
本発明の他の局面は、ユーザーの耳に装着されユーザーに音または振動により通知を行う出力部が設けられた耳装着部を含む端末装置のコンピューターと、端末装置と無線通信を行う車両のコンピューターとが実行する車両状態提示方法である。車両状態提示方法は、車両のコンピューターが、自車両の状態を監視し、所定の状態以外の状態を検知したことを表す通知信号を端末装置に送信する第1の制御ステップと、端末装置のコンピューターが、自端末装置が車両を含む所定範囲の外に移動したと判定した場合に、車両から受信した通知信号に基づいて、ユーザーへの通知を出力部に実行させる第2の制御ステップとを含む。
【0023】
これにより、車両の状態が所定の状態となっていないことを、耳に装着した出力部から、音等によってユーザーにのみ通知することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、車両の状態が所定の状態となっていない場合、ユーザーが車両から離れるとき、耳に装着した出力部から、音等によってユーザーに通知するため、第三者に気づかれにくく、ユーザーに気づきやすい通知が可能な車両状態提示システムや情報処理装置などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1~第4の実施形態に係る車両状態提示システムの機能ブロック図
【
図2】本発明の第1~第4の実施形態に係る通信可能範囲の例を示す図
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る処理を示すシーケンス図
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る処理を示すシーケンス図
【
図5】本発明の第3の実施形態に係る処理を示すシーケンス図
【
図6】本発明の第4の実施形態に係る処理を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0026】
(概要)
本発明に係る車両状態提示システムや情報処理装置などは、車両が所定の状態となっていないことを、車両から離れるユーザーに対して、ユーザーの耳に装着された出力部から音等で通知する。そのため、ユーザーに気づきやすく、第三者に気づきにくく通知することができる。
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
<構成>
図1に、本実施形態に係る車両状態提示システム11の機能ブロック図を示す。車両状態提示システム11は、端末装置110と、車両210とを含む。
【0029】
車両210は、第1の制御部211、第1の通信部212を含む。第1の制御部211は、第1の通信部212を制御して、端末装置110と無線通信を行う。車両210と端末装置110との距離が互いに無線通信可能な距離内である場合、第1の制御部211は、端末装置110と認証のための通信シーケンスを実行する。例えば、第1の制御部211は第1の通信部212に定期的に信号を送信させ、無線通信可能な距離内に入ってきた端末装置110がこの信号に応答して送信してきた自端末装置110の識別子を、予め自車両に対応付けられた正規の端末装置の識別子と比較することで、端末装置110を認証する。また、認証後も、第1の制御部211は、端末装置110が通信可能な距離内にあるあいだは、端末装置110と定期的に通信を行い端末装置110が当該距離内に存在することを検出する。また、第1の制御部211は、車両210の図示しない各種装置の状態を監視し、第1の通信部212から、端末装置110に車両の状態を通知することができる。
【0030】
端末装置110は、ユーザーの耳に装着される耳装着部を含む情報処理装置などの小型の装置である。端末装置110は、一例として第2の制御部111、第2の通信部112、出力部113、入力部114を含む。出力部113は、ユーザーの耳穴に放音可能なスピーカーを含む。入力部114は、ユーザーの耳穴内の反響音を収音する認証用マイクロホンと、ユーザーの発話音を収音する発話用マイクロホンとを含む。第2の制御部111は、一例として、認証用の音を出力部113からユーザーの耳道に放音させ、その反響音を入力部114の認証用マイクロホンに取得させ、反響音の特性を予め登録された正規のユーザーの反響音の特性と比較することで、ユーザーを認証する。また、第2の制御部111は、第2の通信部112を制御して、車両210と上述の無線通信を実行する。また、第2の制御部111は、通信結果に基づいて車両210の状態を取得することができる。また、第2の制御部111は、ユーザーに対する通知内容を音声として生成して出力部113に出力させることができる。また、第2の制御部111は、車両210から第2の通信部112が受信する通信電波の状態を監視する判定部を含んでもよい。
【0031】
以上のように、端末装置110がユーザーを認証するようにし、車両210が端末装置110を認証するようにすれば、車両とその正規ユーザーとの組み合わせを保証することができ好ましい。上述の認証の方法は一例であって、変形しても構わない。例えば端末装置110の第2の制御部111が、車両210の識別子を通信により取得し、これに基づいて、車両を認証してもよい。
図2に、車両210と端末装置110とが互いに無線通信可能な範囲500の例を示す。範囲500は例えば車両から10m程度以下の範囲である。
【0032】
<処理>
図3は、端末装置110、車両210の処理を説明するシーケンス図である。
図3を参照して、本処理を説明する。
【0033】
ステップS101:車両210の第1の制御部211は、例えば車両に搭載されている各種制御ユニットからの情報等に基づいて各種装置の状態を監視する。本ステップでは、第1の制御部211は、車両が所定の状態でないことを検出する。所定の状態とは、車両からユーザーが離れて、車両を放置しても、セキュリティ面や消費電力面で問題が発生するおそれが他の状態より低減されている状態をいう。一例として、所定の状態は、エンジンが停止し、イグニッションスイッチがオフ状態で、ランプがすべて消灯され、窓がすべて閉められ、かつ、ドアがすべて閉められロックされているという状態として定義できる。
【0034】
ステップS102:車両210の第1の制御部211は、車両210の状態が所定の状態以外の状態であることを検出すると、このことを表す信号である通知信号を第1の通信部212に送信させる。端末装置110の第2の通信部112は、通知信号を受信する。通知信号には、例えば窓が開いたままである等の車両210の状態を表す情報が含まれる。このような通知信号の送信は、上述の定期的な通信の一部として行ってもよいし、定期的な通信とは別途行ってもよい。また、所定の状態でない状態が継続している間は通知信号を定期的に送信し、所定の状態になると送信をやめるようにしてもよいし、あるいは、所定の状態でない状態を検出したとき1回だけ通知信号を送信し、所定の状態になると、そのことを表す信号を送信してもよい。あるいは、車両210の状態が所定の状態であるか否かにかかわらず、現在の状態を表す情報を送信してもよい。このようにすることで、端末装置110は、車両210と通信可能な距離内に存在する限り、車両210の状態を表す情報を取得することができる。
【0035】
ステップS103:車両210の第1の制御部211は、上述の定期的な通信の一部として第1の通信部212に無線信号を送信させる。
【0036】
ステップS104:端末装置110の第2の制御部111は、一例として車両210からの通信電波の状態を監視する判定部を含む。判定部は、電波の状態が所定の状態となったことを検出すると、第2の制御部111は、端末装置110が、車両210を含む所定範囲の外に移動したと判定する。所定の状態として、例えば通信電波の電波強度が所定値以下となることを検出してもよい。あるいは、一定期間待機しても通信電波を受信できないことを検出してもよい。このような判定部を設けることにより、端末装置110を身に着けたユーザーが車両210から離れたことを通信電波を用いて他の手段を用いることなく検出できる。しかし、他の手段を用いて検出してもよい。
【0037】
ステップS105:端末装置110の第2の制御部111は、受信した通知信号に基づいて、ユーザーに対する通知を出力部113に実行させる。例えば、第2の制御部111が、通知信号に基づいて、車両210が所定の状態以外の状態であると判定している場合、このことを表す通知を出力部113に行わせる。通知は、例えば具体的な状態を表す「窓が開いています」という音声をユーザーの耳に放音することで行うことができる。あるいは、通知は、第三者に気づかれにくければ制限されず、例えば出力部113がバイブレーターを備え振動で行ってもよい。通知を受けたユーザーは、車両210に戻って窓を閉める等の動作を行って、車両210を所定の状態にすることができる。以上により本シーケンスは終了となる。
【0038】
なお、端末装置110は、例えば、各部のすべてがユーザーの耳に装着される耳装着部に含まれる構成でもよいし、少なくとも出力部113が耳装着部に含まれ、他の各部がスマートフォンのような携帯型端末装置に含まれ、耳装着部と携帯型端末装置が、無線または有線で通信する構成でもよい。また、上述の反響音によるユーザー認証を行うことが好ましいが、必須ではない。また、端末装置110が、車両210を含む所定範囲の外に移動したと判定したときには、ユーザーに単に所定の状態ではないことを表す通知を行うこととし、その後端末装置110が、電波強度等に基づいて、所定範囲内に戻ったと判定した場合にユーザーに「窓が開いている」といった具体的な状態を通知するようにしてもよい。また、上述の通知信号は、単に所定の状態でないことを表す信号とし、具体的な状態を表す信号は、端末装置110が所定範囲内に戻ったと判定した場合に車両210と通信して別途取得するものとしてもよい。また、車両210のどのような状態を所定の状態とするか、ユーザーによってカスタマイズ可能にしてもよい。
【0039】
<効果>
本実施形態では、車両の状態が所定の状態となっていないことを、耳に装着した出力部から、音等によってユーザーにのみ通知することができる。これにより、通知を、第三者には分かりにくくしてセキュリティ面の向上を図りつつ、ユーザーに気づきやすくすることができる。また、端末装置を身に着けたユーザーが車両を含む所定の範囲から離れた場合のみ通知を行うため、ユーザーが意図的に所定の状態以外の状態で一時的に降車して、すぐにまた乗車するつもりの場合等、所定距離以上離れない場合には、通知が行われず、煩わしさを低減することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0041】
<構成>
本実施形態に係る車両状態提示システムは、第1の実施形態に係る車両状態提示システム11と同様の機能ブロックを有するため、同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付し、同一の内容については説明を省略する。
【0042】
<処理>
本実施形態では、第1の実施形態におけるステップS105の後、ユーザーからの指示を受け付け、車両210に所定の状態とする動作を実行させることができる。
【0043】
図4は、端末装置110、車両210の処理を説明するシーケンス図である。ステップS101~S105の処理については第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、
図4には、ステップS105の後の処理を記載する。
【0044】
ステップS201:ステップS105の後、端末装置110の入力部114は、ユーザーからの所定の入力である第1の入力を受け付ける。第1の入力は例えば入力部114の発話用マイクロホンに、「窓を閉めて」といった所定の言葉を発話することで行うことができる。入力方法はこれに限定されず、例えば、入力部114がモーションセンサを備えている場合、ユーザーが首を1回横に振るうなずき動作によって行うことができる。
【0045】
ステップS202:端末装置110の第2の制御部111は、入力部114が受け付けた内容を解析して第1の入力であると判定すると、これに応じた第1の指示信号を第2の通信部112に送信させる。なお、ステップS104において、通信電波の電波強度が0より大きい所定値以下となったときに、端末装置110が所定範囲から外に移動したと判定する方法を採用した場合、ステップS105において通知を受けた時点における場所から、端末装置110と車両210との間の通信が可能であるので、ユーザーがその場所から移動しなくても、ステップS201、S202の処理が可能である。しかし、ステップS104において、一定期間待機しても通信電波を受信できないときに、端末装置110が所定距離範囲から外に移動したと判定する方法を採用した場合、ステップS105において通知を受けた時点における場所では、端末装置110と車両210との間の通信が不可能であるので、ユーザーはその場所から車両に近づく方向に移動する必要がある。この移動により、端末装置110と車両210とが通信可能となり、上述の端末装置110と車両210との間の認証が再度実行される。ステップS201の入力に際して、ユーザーが車両に近づく方向に移動することで、S202の処理が好適に実行できる。そのため、ユーザーに予め、またはステップS105の通知時等に、第1の入力を行うときには、車両に近づく必要がある旨、通知することが好ましい。
【0046】
ステップS203:車両210の第1の通信部212が第1の指示信号を受信する。車両210の第1の制御部211は、第1の指示信号に応じて、車両210の状態が所定の状態となるよう、例えば窓を閉める等、各部の動作を実行する。以上により、本シーケンスは終了となる。
【0047】
<効果>
本実施形態では、ユーザーは、車両が所定の状態にないことの通知を受けたとき、端末装置に所定の第1の入力を行うことにより、車両に対して所定の状態とする動作を実行する指示を遠隔的に行うことができる。このため、所定の状態に戻すのに車両に戻る必要がなく、利便性を向上できる。
【0048】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
<構成>
本実施形態に係る車両状態提示システムは、第1の実施形態に係る車両状態提示システム11と同様の機能ブロックを有するため、同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付し、同一の内容については説明を省略する。
【0050】
<処理>
本実施形態では、第1の実施形態におけるステップS105の後、所定期間、所定の状態でない状態が継続した場合、車両210に所定の状態とする動作を実行させることができる。
【0051】
図5は、車両210の処理を説明するシーケンス図である。ステップS101~S105の処理については第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、
図5には、ステップS102およびその後、
図3に示したシーケンスと並列的に車両210が実行する処理を記載する。
【0052】
ステップS301:ステップS102の後、車両210の第1の制御部211は、タイマーをリセットし、その後タイマーのカウントを開始する。
【0053】
ステップS302:車両210の第1の制御部211は、カウント値が所定値となることで所定期間経過したことを検知する。本ステップでは、第1の制御部211は、所定期間中、車両の状態の変化を検出せず、所定の状態でない状態が継続したものとする。
【0054】
ステップS303:車両210の第1の制御部211は、車両210の状態が所定の状態となるよう、例えば窓を閉める等、各部の動作を実行する。以上により、本シーケンスは終了となる。なお、ステップS302で、所定期間中に車両の状態が変化して所定の状態になった場合、ユーザーが車両を操作して所定の状態にしたものとして、本ステップS303は実行しない。また、ステップS302で、所定期間中に車両の状態が変化して所定の状態以外の他の状態に変化した場合、ユーザーが車両を操作し意図的にその状態にしたものとして、本ステップS303は実行しないようにしてもよいし、実行することでより好適な所定の状態としてもよい。
【0055】
なお、本実施形態に第2の実施形態を取り込んでもよい。すなわち、車両210は、所定期間中にユーザーからの指示入力を受け付けた場合、ただちに所定の状態とする動作を実行し、所定期間中に指示入力を受け付けなかった場合、所定期間経過後に所定の状態とする動作を実行してもよい。また、ステップS102の後、ステップS301のカウント処理を開始するのではなく、ステップS105で端末装置110がユーザーに通知を行ったこと表す信号を車両210が受信するようにして、この信号を受信した時にカウントを開始するようにしてもよい。あるいは、ステップS103の定期的な通信において、電波強度の低下や通信電波が受信できないことを車両210が検出したときにカウントを開始するようにしてもよい。いずれにしても、ステップS105による通知の後に所定期間が終了するようにカウント値を設定すればよい。
【0056】
<効果>
本実施形態では、ユーザーが、車両が所定の状態にないことの通知を受けたのち、車両を操作することなく所定期間放置した場合、車両を自動的に所定の状態とする動作を実行することができる。このため、ユーザーは所定の状態とするのになんらの行動も必要ないため、利便性を向上できる。
【0057】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0058】
<構成>
本実施形態に係る車両状態提示システムは、第1の実施形態に係る車両状態提示システム11と同様の機能ブロックを有するため、同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付し、同一の内容については説明を省略する。
【0059】
<処理>
本実施形態では、第3の実施形態におけるステップS301の後、所定期間内にユーザーからの指示を受け付け、所定の状態でない状態のままにすることができる。
【0060】
図6は、端末装置110、車両210の処理を説明するシーケンス図である。ステップS101~S105の処理については第1の実施形態と同様であるため説明および
図6の記載を省略する。
【0061】
ステップS401:第3の実施形態のステップS301と同様、ステップS102の後、車両210の第1の制御部211は、タイマーのカウントを開始する。
【0062】
ステップS402:本ステップでは、所定期間経過前に端末装置110の入力部114は、ユーザーからの所定の入力である第2の入力を受け付けるものとする。第2の入力は例えば入力部114の発話用マイクロホンに、「そのままにして」といった所定の言葉を発話することで行うことができる。入力方法はこれに限定されず、例えば、入力部114がモーションセンサを備えている場合、ユーザーが首を横に振る動作によって行うことができる。なお、第2の実施形態と同様、ステップS104において、一定期間待機しても通信電波を受信できないときに、端末装置110が所定距離範囲から外に移動したと判定する方法を採用した場合、ユーザーは第2の入力を行う前に車両に近づく方向に移動する。
【0063】
ステップS403:端末装置110の第2の制御部111は、入力部114が受け付けた内容を解析して第2の入力であると判定すると、これに応じた第2の指示信号を第2の通信部112に送信させる。
【0064】
ステップS404:車両210の第1の通信部212が第2の指示信号を受信する。車両210の第1の制御部211は、第2の指示信号に応じて、タイマーのカウントを停止する。このように第2の指示信号を受信した場合、第1の制御部211は、車両210を所定の状態にする動作を実行せずに、本シーケンスは終了となる。
【0065】
ステップS405:本ステップでは、所定期間中、第1の通信部212が第2の指示信号を受信せず、かつ、第1の制御部211は、車両の状態の変化を検出せず、所定の状態でない状態が継続したものとする。この場合、第3の実施形態におけるステップS302と同様、車両210の第1の制御部211は、カウント値が所定値となることで所定期間経過したことを検知する。
【0066】
ステップS406:車両210の第1の制御部211は、第3の実施形態におけるステップS303と同様、車両210の状態が所定の状態となるよう、例えば窓を閉める等、各部の動作を実行する。以上により、本シーケンスは終了となる。
【0067】
なお、本実施形態に第2の実施形態を取り込んでもよい。すなわち、車両210の第1の制御部211は、所定期間中にユーザーからの指示入力を受け付けた場合、ただちに所定の状態とする動作を実行してもよい。また、ステップS404においてシーケンスを終了せず、ステップS405、S406と同様の処理を行って、上述の所定時間より長い一定の時間の経過後に、車両210の第1の制御部211は、所定の状態とする動作を実行してもよい。
【0068】
<効果>
本実施形態では、ユーザーが、車両が所定の状態にないことの通知を受けたのち、車両を操作することなく所定期間放置した場合、車両が自動的に所定の状態となるが、ユーザーが所定期間内に所定の第2の入力を行った場合、車両が自動的に所定の状態となるのを抑制できる。このため、ユーザーは所定の状態以外の状態にしたまま車両から離れることを意図した場合、意図に応じてその状態が維持されるため、利便性を向上できる。
【0069】
以上の各実施形態のように、本発明によれば、車両の状態が所定の状態となっていないことを、車両から離れるユーザーにのみ気づきやすく通知できる車両状態提示システムや情報処理装置などを提供することができる。これにより、例えば、セキュリティ面や消費電力面で好適でない状態で車両を離れつつある場合、第三者に知られることなく、ユーザーに通知でき、適切な対応を促すことができる。
【0070】
本発明は、車両状態提示システムとして捉えるだけでなく、これを構成する端末装置、車両、情報処理装置、および、これらが含むコンピューターのプロセッサが実行する方法、そのプログラムとして捉えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、車両等の状態をユーザーに通知するシステムに有用である。
【符号の説明】
【0072】
11 車両状態提示システム
110 端末装置
111 第2の制御部
112 第2の通信部
113 出力部
114 入力部
210 車両
211 第1の制御部
212 第1の通信部