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特許7544134光分岐結合装置、光伝送システム及び光分岐結合方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】光分岐結合装置、光伝送システム及び光分岐結合方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/032 20130101AFI20240827BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20240827BHJP
   H04B 10/27 20130101ALN20240827BHJP
【FI】
H04B10/032
H04J14/02
H04B10/27
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022551202
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2021030527
(87)【国際公開番号】W WO2022064913
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2020159231
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 龍
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10771179(US,B1)
【文献】国際公開第2016/017181(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/105506(WO,A1)
【文献】SIMMONS, Jane M. and SALEH, Adel A. M.,Analysis of Internal ROADM Protection,2015 36th IEEE Sarnoff Symposium,2015年,pp. 66-69
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/032
H04J 14/02
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが波長多重光信号を入出力する第1乃至第3の光伝送路と、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力し、前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力し、前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力する、第1の合分波手段と、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力する第2の合分波手段と、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、前記第1及び第2の合分波手段へ分配する光分岐手段と、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、選択された光信号を前記出力先へ出力する光切替手段と、
前記光分岐手段と前記光切替手段とを接続する光バイパス回路と、
を備え、
前記光分岐手段は、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、さらに、前記光バイパス回路へ出力し、
前記光切替手段は、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号、
前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号、及び
前記光バイパス回路を伝搬した波長多重光信号、
のいずれか1つを選択する
分岐結合装置。
【請求項2】
それぞれが波長多重光信号を入出力する第1乃至第3の光伝送路と、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力し、前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力し、前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力する、第1の合分波手段と、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力する第2の合分波手段と、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、前記第1及び第2の合分波手段へ分配する光分岐手段と、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、選択された光信号を前記出力先へ出力する光切替手段と、
を備え、
複数の前記第2の合分波手段が前記第1の合分波手段と並列に配置され、
前記光分岐手段は、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、さらに、複数の前記第2の合分波手段へ分配し、
前記光切替手段は、前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び複数の前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号をそれぞれの前記出力先に基づいて選択し、選択された光信号を前記出力先へ出力する
分岐結合装置。
【請求項3】
前記第1乃至第3の光信号の少なくとも2つが、それぞれの前記出力先へ出力されるように前記第1及び第2の合分波手段及び前記光切替手段を制御する制御手段をさらに備える、
請求項1又は2に記載された光分岐結合装置。
【請求項4】
前記制御手段を前記光切替手段の外部に備える、請求項に記載された光分岐結合装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の合分波手段において前記第1乃至第3の光信号の少なくとも1個が生成できない場合は、生成できない光信号が前記第2の合分波手段の少なくとも1個において生成され、生成された光信号が、前記出力先に基づいて出力されるように前記第2の合分波手段及び前記光切替手段を制御する、請求項3又は4に記載された光分岐結合装置。
【請求項6】
第1乃至第3の端局が、請求項1乃至のいずれか1項に記載された光分岐結合装置と通信可能なように、それぞれ前記第1乃至第3の光伝送路に接続された、光伝送システム。
【請求項7】
前記光分岐結合装置が海底に設置され、前記第1乃至第3の端局が陸上に設置された、請求項に記載された光伝送システム。
【請求項8】
第1乃至第3の光伝送路のそれぞれが波長多重光信号を入出力する光分岐結合装置の制御方法であって、
第1の合分波手段によって、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力し、
前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力し、
前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力し、
第2の合分波手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力し、
光分岐手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、前記第1及び第2の合分波手段へ分配し、
光切替手段によって、前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、
選択された光信号を前記出力先へ出力し、
前記光分岐手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、さらに、前記光分岐手段と前記光切替手段とを接続する光バイパス回路へ出力し、
前記光切替手段によって、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号、
前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号、及び
前記光バイパス回路を伝搬した波長多重光信号、
のいずれか1つを選択する、
光分岐結合方法
【請求項9】
第1乃至第3の光伝送路のそれぞれが波長多重光信号を入出力する光分岐結合装置の制御方法であって、
第1の合分波手段によって、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力し、
前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力し、
前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力し、
第2の合分波手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力し、
光分岐手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、前記第1及び第2の合分波手段へ分配し、
光切替手段によって、前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、
選択された光信号を前記出力先へ出力し、
複数の前記第2の合分波手段を前記第1の合分波手段と並列に配置し、
前記光分岐手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、さらに、複数の前記第2の合分波手段へ分配し、
前記光切替手段によって、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び複数の前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号をそれぞれの前記出力先に基づいて選択し、
選択された光信号を前記出力先へ出力する、
光分岐結合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光分岐結合装置及びその制御方法並びに光分岐結合装置の制御プログラムの記録媒体に関し、特に、冗長構成を備える光分岐結合装置及びその制御方法並びに光分岐結合装置の制御プログラムの記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
図35は、一般的な海底ケーブルシステム9000の構成を示す図である。海底ケーブルシステム9000では、光分岐結合装置90に3台の端局(A端局1、B端局2、C端局3)が、光伝送路91-98を介して接続される。以降の説明及び図面においては、例えば、A端局1からB端局2へ伝送される光信号を[AB]、A端局1からC端局3へ伝送される光信号を[AC]と記載する。他の端局間を伝送される光信号も同様に記載する。また、[AB][AC]は、光信号[AB]及び光信号[AC]が波長多重された波長多重光信号(以下、「WDM信号」という。)として伝送されることを示す。波長多重される各光信号の波長帯域は重複しないものとする。WDMはWavelength Division Multiplexingの略である。
【0003】
光分岐結合装置90は、内部にWSS(波長選択スイッチ)を備え、これを用いて、外部から設定可能な波長切替機能(ROADM機能)を実現する。WSSは、入力された複数の波長帯の光信号を、外部からの制御により波長毎に分離及び多重する(すなわち、合分波する)機能を備える。WSSはwavelength selective switchの略であり、ROADMは、reconfigurable optical add/drop multiplexing(再設定可能な光分岐結合機能)の略である。
【0004】
図35において、A端局1は、B端局2との間で光信号[AB]及び[BA]を伝送する。また、A端局1は、C端局3との間で光信号[AC]及び[CA]を伝送する。B端局2は、C端局3との間で光信号[BC]及び[CB]を伝送する。光分岐結合装置90は、A端局1、B端局2及びC端局3から受信した光信号を波長毎に合分波して新たな光信号を生成し、A端局1、B端局2及びC端局3へ出力する。このように、光分岐結合装置90は、A端局1、B端局2及びC端局3の間の双方向通信を実現する。本発明に関連して、特許文献1及び特許文献2には、3か所の端局と通信する光分岐結合装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/022231号
【文献】特開平10-020143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図35において、光分岐結合装置90とC端局3との間には4本の光伝送路がある。このため、光分岐結合装置90には、C端局3と光分岐結合装置90との間の光伝送路の敷設コストが高いという課題があった。また、光分岐結合装置90のキーデバイスであるWSSが故障すると端局間の通信に障害が発生するという課題もあった。
(発明の目的)
本発明は、敷設コストが低く信頼性が高い光分岐結合装置及びその制御方法を実現するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の分岐結合装置は、それぞれが波長多重光信号を入出力する第1乃至第3の光伝送路と、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力し、前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力し、前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力する、第1の合分波手段と、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力する第2の合分波手段と、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、前記第1及び第2の合分波手段へ分配する光分岐手段と、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、選択された光信号を前記出力先へ出力する光切替手段と、
を備える。
【0008】
また、本発明の光分岐結合装置の制御方法は、第1乃至第3の光伝送路のそれぞれが波長多重光信号を入出力する光分岐結合装置の制御方法であって、
第1の合分波手段によって、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力し、
前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力し、
前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力し、
第2の合分波手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力し、
光分岐手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、前記第1及び第2の合分波手段へ分配し、
光切替手段によって、前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、
選択された光信号を前記出力先へ出力する、
手順を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、敷設コストが低く信頼性が高い光分岐結合装置及びその制御方法を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の海底ケーブルシステム1000の構成例を示すブロック図である。
図2】光分岐結合装置10の基本構成の例を示すブロック図である。
図3】光分岐結合装置11の構成例を示すブロック図である。
図4】WSS冗長部50の構成例を示すブロック図である。
図5】WSS冗長部50Aの構成例を示すブロック図である。
図6】光分岐結合装置12の構成例を示すブロック図である。
図7】光分岐結合装置13の構成例を示すブロック図である。
図8】WSS20-22がいずれも故障していない場合のスイッチ43-45の状態の例を示す図である。
図9図8の状態におけるWSS冗長部50Aの状態の例を示す図である。
図10】WSS20が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す図である。
図11図10の状態におけるWSS冗長部50Aの状態の例を示す図である。
図12】WSS21が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す図である。
図13図12の状態におけるWSS冗長部50Aの状態の例を示す図である。
図14】WSS22が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す図である。
図15図14の状態におけるWSS冗長部50Aの状態の例を示す図である。
図16】WSS20-21が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す図である。
図17】WSS20-21が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図18】WSS20-21が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図19】WSS20-21が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図20】WSS20、22が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す図である。
図21】WSS20、22が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図22】WSS20、22が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図23】WSS20、22が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図24】WSS21-22が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す図である。
図25】WSS21-22が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図26】WSS21-22が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図27】WSS21-22が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図28】WSS21-23が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す図である。
図29】WSS21-23が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図30】WSS21-23が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図31】WSS21-23が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図32】WSS21-23が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図33】WSS21-23が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す図である。
図34】光分岐結合装置11-13の基本的な動作手順の例を示すフローチャートである。
図35】一般的な海底ケーブルシステム9000の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について以下に説明する。各図面内の矢印は実施形態における信号の方向を例示するものであり、信号の方向を限定しない。各ブロック図の信号の経路を示す直線の交点は、特記されない限り交差する信号間の分岐あるいは結合を意味しない。ブロック図に記載された各スイッチの内部接続は例であり、他の接続状態による実施形態を除外しない。各図面において既出の要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。また、波長多重される光信号の波長帯域は重複しないものとする。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態の海底ケーブルシステム1000の構成例を示すブロック図である。海底ケーブルシステム1000は、A端局1、B端局2、C端局3と、光分岐結合装置10を備える。A端局1、B端局2、C端局3を総称する場合には端局1-3と記載する。
【0013】
図1において、端局1-3は、互いに双方向通信を行う。端局1-3はいずれも陸上に設置される端局であり、海底ケーブルシステム1000を伝送される光信号と陸上のネットワークとのインタフェースである。端局1-3は、光分岐結合装置10と光伝送路81-86を介して接続される。光伝送路81-86は光信号を伝送するための光ファイバである。光伝送路81-86は、端局1-3と光分岐結合装置10とを結ぶ海底ケーブルに含まれてもよい。例えば、光伝送路81及び82は、A端局1と光分岐結合装置10とを結ぶ海底ケーブルに含まれる。光伝送路81-86は、中途に光中継器や他の光分岐結合装置を備えてもよい。なお、海底ケーブルシステム1000の構成は、陸上の光伝送システムにも適用できる。
【0014】
光分岐結合装置10は、ROADM機能を備えるノードであり、ROADM分岐結合装置あるいはROADMノードとも呼ばれる。光分岐結合装置10は海底に設置され、入力された光信号(主信号)を波長帯域毎に分岐及び結合する(合分波する)ことで、光信号の出力先となる端局を波長単位で切り替える。ROADM機能は、光分岐結合装置10が備える制御部によって制御される。
【0015】
A端局1は光信号[AB][AC]を光分岐結合装置10へ出力する。B端局2は光信号[BA][BC]を光分岐結合装置10へ出力する。C端局3は光信号[CA][CB]を光分岐結合装置10へ出力する。光信号[AB]はA端局1が出力するB端局2を宛先とする光信号であり、光信号[BA]はB端局2が出力するA端局1を宛先とする光信号である。他の光信号についても同様に記載する。
【0016】
光分岐結合装置10の機能について説明する。光分岐結合装置10は、端局1-3からそれぞれ光信号[AB][AC]、光信号[BA][BC]及び光信号[CA][CB]を受信する。光分岐結合装置10は、受信した光信号を、波長帯域毎に分波する。そして、光信号[AB]及び[CB]を合波(波長多重)して光信号[AB][CB]を生成する。生成された光信号[AB][CB]は、B端局2へ出力される。ここで、光信号[AB][CB]は、光信号[AB]と光信号[CB]とが波長多重されたWDM信号である。光分岐結合装置10は、同様に、光信号[AC][BC]を生成してC端局3へ出力し、光信号[BA][CA]を生成してA端局1へ出力する。このように、光分岐結合装置10は、端局1-3との間でWDM信号を用いた双方向通信を実現する。
【0017】
図2は、第1の実施形態の光分岐結合装置10の基本構成の例を示すブロック図である。光分岐結合装置10は、スイッチ部60と制御部70とを備える。スイッチ部60は端局1-3から入力された光信号を合分波して、宛先の端局へ出力する。光信号は、光伝送路81A、83A、85Aからスイッチ部60に入力される。合分波された光信号は、光伝送路82A、84A、86Aを介して端局1-3へ出力される。光伝送路81A-86Aは、端局1-3とスイッチ部60との間を接続する光伝送路81-86の、光分岐結合装置10の内部の部分である。光伝送路81A-86Aは、スプライシングや光コネクタによって海底ケーブルと接続され、それぞれ、図1の光伝送路81-86の一部を構成する。
【0018】
スイッチ部60は、WSS、光カプラ、光スイッチ、及び、WSS冗長部50を含む。これらの要素については本実施形態及び以降の実施形態で説明する。制御部70はスイッチ部60を制御する回路である。制御部70は、電気回路及び光電変換回路を含んでもよい。制御部70は、端局1-3から入力された光信号が所定の端局へ出力されるように、スイッチ部60のWSS及びスイッチを制御する。また、スイッチ部60に含まれるWSSの少なくとも1個が故障した際には、以下で説明する手順が実行されるようにスイッチ部60のWSS、スイッチ、及び、WSS冗長部50を制御する。以降の図面では、制御部70が光分岐結合装置の各部を制御するための電気的な接続の記載は省略される。
【0019】
図3は、第1の実施形態の光分岐結合装置11の構成例を示すブロック図である。光分岐結合装置11は、図2の光分岐結合装置10の一形態である。ただし、図面を簡略化するために、図3及び以降の同様の図面では制御部70及びWSS冗長部50の記載は省略されている。A端局1、B端局2、C端局3から入力される光信号は、それぞれカプラ(CPL)30、31、32によって分岐される。カプラ30-32は、例えば1×3スターカプラである。WSS20-22は波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch)である。WSS20-22は、2つのカプラから入力された光信号を波長帯域毎に合分波することで新たな光信号を生成する。スイッチ(SW)40、41、42は、2個のWSS及びWSS冗長部50から入力された光信号から1つを選択し、選択された光信号をそれぞれB端局2、A端局1、C端局3へ出力する。スイッチ40-42は例えば3×1光スイッチである。
【0020】
図3において、光分岐結合装置11は、光信号[AC][BC]及び光信号[CA][CB]によってC端局3と双方向通信を行う。このため、光分岐結合装置11とC端局3との間の光伝送路は2本でよく、光分岐結合装置11とC端局3との間の光伝送路の敷設コストを抑えることができる。
【0021】
図4は、WSS冗長部50の構成例を示すブロック図である。WSS冗長部50は光分岐結合装置11の内部に備えられる。WSS冗長部50は、WSS20-22のうち1個が故障した場合に、故障したWSSに代わってWDM信号を生成する。これにより、光分岐結合装置11のキーデバイスであるWSS20-22の冗長性を確保できる。
【0022】
WSS冗長部50は、カプラ(CPL)36-38、スイッチ(SW)46-48、WSS23を備える。カプラ36-38は1×2光カプラである。スイッチ46-47は3×1光スイッチであり、スイッチ48は1×3光スイッチである。スイッチ46-47は2×1光スイッチの組み合わせで実現されてもよく、スイッチ48は1×2スイッチを組み合わせで実現されてもよい。WSS23及びスイッチ46-48は図2の制御部70によって制御される。
【0023】
図3のカプラ30-32で分岐された光信号は、それぞれ、WSS冗長部50のカプラ36-38へ入力される。そして、カプラ36-38はそれぞれカプラ30-32で分岐された光信号[AB][AC]、光信号[BA][BC]、光信号[CA][CB]を分岐してスイッチ46及び47に入力する。スイッチ46及び47は、それぞれ、入力された3個の光信号から1個を選択してWSS23へ出力する。WSS23は、スイッチ46及び47から入力された光信号を合分波して、光信号[BA][CA」、光信号[AB][CB]、光信号[AC][BC]のいずれかを生成する。スイッチ48は、WSS23から出力される光信号に基づいて、WSS23が生成した光信号を図3のスイッチ40-42のいずれかへ出力する。具体的には、WSS冗長部50は、光信号[BA][CA]を図3のスイッチ41へ出力する。あるいは、WSS冗長部50は、光信号[AB][CB]を図3のスイッチ40へ出力する。あるいは、WSS冗長部50は、光信号[AC][BC]を図3のスイッチ42へ出力する。
【0024】
例えば、図3においてWSS20が故障すると、光信号[AB][CB]が生成されなくなる。制御部70がWSS20の故障を検知すると、制御部70は、WSS冗長部50を、カプラ30から入力される光信号[AB][AC]とカプラ32から入力される光信号[CA][CB]とに基づいて、光信号[AB][CB]を出力するように制御する。制御部70は、スイッチ40を、WSS冗長部50が出力する光信号[AB][CB]がB端局2へ出力されるように制御する。WSS21又はWSS22のみが故障した場合も、同様に、WSS冗長部50は光信号[BA][CA]又は光信号[AC][BC]を生成できる。そして、スイッチ41又は42の制御により、光信号[BA][CA]又は光信号[AC][BC]をそれぞれA端局1又はC端局3へ出力できる。WSS冗長部50及びスイッチ40-43のこのような動作により、光分岐結合装置11はWSS20-22のいずれか1個が故障した場合にも端局1-3の間の双方向通信を維持できる。
【0025】
(WSS冗長部50の変形例)
図5は、WSS冗長部50Aの構成例を示すブロック図である。WSS冗長部50Aは、WSS50の変形例である。WSS50Aはスイッチ48に代えてスイッチ49を備える。スイッチ49は1×4光スイッチである。スイッチ49は、1×2光スイッチの組み合わせでも実現されてもよい。スイッチ49の4個の出力のうち1個は制御部70に接続されている。制御部70は、光分岐結合装置11を制御する回路の他に、PD(Photodiode)もしくはOSMデバイスを含んで構成される。OSMはOptical Spectrum Monitoringの略である。制御部70はスイッチ49から入力された光信号のスペクトル及び強度をデジタル量として出力する。すなわち、WSS冗長部50Aは、WSS23が生成する光信号の特性を監視できる。WSS冗長部50Aは、本実施形態及び以降の実施形態において、WSS冗長部50に代えて用いることができる。
【0026】
以上で説明した光分岐結合装置11は、端局1-3をそれぞれ2本ずつの光伝送路で接続するとともに、WSS冗長部50又は50Aを備える。WSS冗長部50又は50Aを用いることにより、光分岐結合装置11が備えるWSSが故障した場合も、端局間の双方向通信が維持される。すなわち、光分岐結合装置11は、敷設コストが低く信頼性が高い光分岐結合装置及びその制御方法を実現する。
【0027】
(光分岐結合装置11の他の表現)
光分岐結合装置11の構成及び機能は、以下のようにも記載できる。括弧内は、対応する図1図3の要素の参照符号である。光分岐結合装置(11)は、第1-第3の光伝送路(81A-86A)と、第1の合分波器(20-22)、第2の合分波器(50、50A)、光分岐器(30-32)、光切替器(40-42)を備える。
【0028】
第1-第3の光伝送路は、それぞれが波長多重光信号を入出力する。第1の合分波器は、WSS20-22の総称である。すなわち、第1の合分波器は、第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて、第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力する。また、第1の合分波器は、第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて、第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力する。第1の合分波器は、さらに、第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて、第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力する。第1の合分波器は、これらの機能を備える第1の合分波手段を担う。
【0029】
第2の合分波器は、WSS冗長部50又は50Aに対応する。すなわち、第2の合分波器は、第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重信号に基づいて第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力する、第2の合分波手段を担う。
【0030】
光分岐器は、カプラ30-32の総称である。すなわち、光分岐器は、第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を第1及び第2の合分波手段へ分配する、光分岐手段を担う。
【0031】
光切替器は、スイッチ40-42の総称である。すなわち、光切替器は、第1の合分波手段で生成された第1乃至第3の光信号及び第2の合分波手段で生成された第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、選択された光信号を出力先へ出力する、光切替手段を担う。
このように表現される光分岐結合装置11も、端局1-3をそれぞれ2本ずつの光伝送路で接続するとともに、第1の合分波器の故障時には光分岐器及び光切替器によって第2の合分波器が第1の合分波器の機能を代替できる。すなわち、光分岐結合装置11は、敷設コストが低く信頼性が高い光分岐結合装置及びその制御方法を実現する。
【0032】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態の光分岐結合装置12の構成例を示すブロック図である。光分岐結合装置12は、図2の光分岐結合装置10の一形態である。光分岐結合装置12は、図3の光分岐結合装置11と比較して、カプラ30-32及びスイッチ40-42に代えて、それぞれ、カプラ33-35及びスイッチ43-45を備える点で相違する。カプラ33-35は例えば1×5スターカプラであり、スイッチ43-45は4×1光スイッチである。そして、光分岐結合装置12は、カプラ33-35とスイッチ43-45との間を直接接続する光回路(光バイパス回路)を備える。光バイパス回路は、カプラ33-35で分岐された光信号をそのままスイッチ43-45へ転送する。
【0033】
カプラ33は入力された光信号[AB][AC]を、WSS20及び22、WSS冗長部50へ出力するとともに、スイッチ43及び45へも出力する。カプラ34は入力された光信号[BA][BC]をWSS21及び22、WSS冗長部50へ出力するとともに、スイッチ44及び45へも出力する。カプラ35は入力された光信号[CA][CB]をWSS20及び21、WSS冗長部50へ出力するとともに、スイッチ43及び44へも出力する。スイッチ43は、WSS20、WSS冗長部50、カプラ33及びカプラ35から入力される光信号のいずれか1つを選択してB端局2へ出力する。スイッチ44は、WSS21、WSS冗長部50、カプラ34及びカプラ35から入力される光信号のいずれか1つを選択してA端局1へ出力する。スイッチ45は、WSS22、WSS冗長部50、カプラ33及びカプラ34から入力される光信号のいずれか1つを選択してC端局3へ出力する。
【0034】
このような構成を備える光分岐結合装置12は、WSS20-22のうち2個が故障した場合には、故障したWSSの一方に代わってWSS冗長部50が生成した光信号が端局へ出力される。そして、故障したWSSの他方に対応する光信号の伝送に関しては、光バイパス回路を経由して、光分岐結合装置12へ入力された光信号がそのまま端局へ出力される。
【0035】
例えば、WSS21及びWSS22の2個が故障した場合には、WSS21は光信号[BA][CA]を出力できず、WSS22は光信号[AC][BC]を出力できない。WSS冗長部50は、WSS21の機能を代替するか、WSS22の機能を代替するか、いずれのWSSの機能も代替しないか、のいずれか1つを選択できる。例えば、WSS冗長部50がWSS21の機能を代替する場合は、光分岐結合装置12は以下のように動作する。WSS冗長部50は、カプラ34が分岐した光信号[BA][BC]とカプラ35が分岐した光信号[CA][CB]とを合分波することで、光信号[BA][CA]を生成する。WSS冗長部50は、生成された光信号[BA][CA]をスイッチ44へ出力する。一方、WSS22も故障しているため、スイッチ45には光信号[AC][BC]が入力されない。このため、スイッチ45は、光信号[AC][BC]に代えて、カプラ33で分岐された光信号[AB][AC]又はカプラ34で分岐された光信号[BA][BC]のいずれかを選択してC端局3へ出力する。これにより、C端局3への光信号[AC]又は光信号[BC]の伝送が維持される。なお、WSS冗長部50に代えて、図5に記載されたWSS冗長部50Aが用いられてもよい。WSS20-22が故障した場合の動作の詳細は図10以降で説明する。
【0036】
光分岐結合装置12は、光分岐結合装置11と比較してさらに光バイパス回路を備える。このため、複数のWSSが故障した場合にも、端局間の双方向通信を維持できる。すなわち、光分岐結合装置12も、敷設コストが低く信頼性が高いという効果を奏する。
【0037】
(光分岐結合装置12の変形例)
図7は、光分岐結合装置13の構成例を示すブロック図である。光分岐結合装置13は、第2の実施形態の光分岐結合装置12の変形例である。光分岐結合装置13は、複数のWSS冗長部を備えることで、より高い冗長性を備える。光分岐結合装置13は、WSS冗長部50-52を備える。WSS冗長部51-52はWSS冗長部50と同様の構成を備え、カプラ33-35及びスイッチ43-45の間に接続される。すなわち、WSS冗長部51-52はWSS冗長部50と並列に配置される。スイッチ43、44、45は、WSS冗長部50-52から出力される光信号のいずれか1つを選択し、選択された光信号を、それぞれ、B端局2、A端局1、C端局3へ出力する。WSS20-22がすべて故障した場合には、故障したWSS20-22に代わって、それぞれ、WSS冗長部50-52が光信号を合分波してスイッチ43-45へ出力する。このような構成により、光分岐結合装置13も、複数のWSSが故障した場合でも、端局間の双方向通信を維持できる。すなわち、光分岐結合装置13も、敷設コストが低く信頼性が高いという効果を奏する。
【0038】
(光分岐結合装置12の動作の詳細)
図6に示した、光バイパス回路を備える光分岐結合装置12について、WSS20-22の故障状態に応じた動作の詳細を以下に説明する。
【0039】
(1)WSS20-22がいずれも故障していない場合
図8は、光分岐結合装置12のWSS20-22がいずれも故障していない場合のスイッチ43-45の状態の例を示す。また、以下では、WSS冗長部として、図5で説明したWSS冗長部50Aが用いられる。ただし、WSS冗長部50が用いられる場合にも以下の説明は適用可能である。端局1-3からは、それぞれ、光信号[AB][AC]、光信号[BA][BC]、光信号[CA][CB]が入力される。WSS20-22は、それぞれ、これらの光信号に基づいて光信号[AB][CB]、光信号[BA][CA]又は光信号[AC][BC]を生成し、それぞれ、スイッチ43、44、45へ出力する。制御部70は、WSS20-22から入力された光信号が光分岐結合装置12の外部へ出力されるようにスイッチ43-45を制御する。
【0040】
図9は、光分岐結合装置12が図8の状態におけるWSS冗長部50Aの状態の例を示す。WSS冗長部50Aは、光信号[AB][AC]、光信号[BA][BC]又は光信号[CA][CB]に基づいた光信号を制御部70で監視できる。制御部70は、監視したい光信号が制御部70に入力されるように、WSS23及びスイッチ46-47、49を制御する。WSS23を制御することにより、制御部70は、WSS冗長部50Aに入力された光信号のみならず、例えば、WSS23が生成した光信号[AB][CB]、光信号[BA][CA]、光信号[AC][BC]の特性を監視することもできる。
【0041】
(2)WSS20が故障した場合
図10は、光分岐結合装置12のWSS20(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す。図11は、光分岐結合装置12が図10の状態におけるWSS冗長部50Aの状態の例を示す。制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AB][AC]及び光信号[CA][CB]に基づいて光信号[AB][CB]を生成し図10のスイッチ43へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、WSS20が故障した場合でも、WSS20が故障していない場合と同様に光信号[AB][CB]をB端局2へ出力できる。
【0042】
(3)WSS21が故障した場合
図12は、光分岐結合装置12のWSS21(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す。図13は、光分岐結合装置12が図12の状態におけるWSS冗長部50Aの状態の例を示す。制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[BA][BC]及び光信号[CA][CB]に基づいて光信号[BA][CA]を生成し図12のスイッチ44へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、WSS21が故障した場合でも、WSS21が故障していない場合と同様に光信号[BA][CA]をA端局1へ出力できる。
【0043】
(4)WSS22が故障した場合
図14は、光分岐結合装置12のWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す。図15は、光分岐結合装置12が図14の状態におけるWSS冗長部50Aの状態の例を示す。制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AB][AC]及び光信号[BA][BC]に基づいて光信号[AC][BC]を生成し図14のスイッチ45へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、WSS22が故障した場合でも、WSS22が故障していない場合と同様に光信号[AC][BC]をC端局3へ出力できる。
【0044】
(5)WSS20-21が故障した場合[1]
図16は、光分岐結合装置12のWSS20及びWSS21(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す。図16の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図11と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AB][AC]及び光信号[CA][CB]から光信号[AB][CB]を生成し図16のスイッチ43へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[AB][CB]をB端局2へ出力できる。一方、WSS冗長部50Aは、WSS20の代替として使用されているため、WSS21の機能を代替できない。このため、制御部70は、B端局2から受信した光信号[BA][BC]がそのままA端局1へ出力されるようにスイッチ44を制御する。このような制御により、A端局1とB端局2との間の双方向通信及びB端局2とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0045】
(6)WSS20-21が故障した場合[2]
図17は、光分岐結合装置12のWSS20及びWSS21(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図17の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図11と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AB][CB]を生成し図17のスイッチ43へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[AC][BC]をB端局2へ出力できる。一方、図17では、制御部70は、C端局3から受信した光信号[CA][CB]がそのままA端局1へ出力されるようにスイッチ44を制御する。このような制御により、A端局1とC端局3との間の双方向通信及びB端局2とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0046】
(7)WSS20-21が故障した場合[3]
図18は、光分岐結合装置12のWSS20及びWSS21(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図18の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図13と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[BA][CA]を生成し図18のスイッチ44へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[BA][CA]をA端局1へ出力できる。一方、WSS冗長部50Aは、WSS21の代替として使用されているため、WSS20の機能を代替できない。このため、制御部70は、A端局1から受信した光信号[AB][AC]がそのままB端局2へ出力されるようにスイッチ43を制御する。このような制御により、A端局1とB端局2との間の双方向通信及びA端局1とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0047】
(8)WSS20-21が故障した場合[4]
図19は、光分岐結合装置12のWSS20及びWSS21(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図19の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図13と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[BA][CA]を生成し図21のスイッチ44へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[BA][CA]をA端局1へ出力できる。一方、図19では、制御部70は、C端局3から受信した光信号[CA][CB]がそのままB端局2へ出力されるようにスイッチ43を制御する。このような制御により、A端局1とC端局3との間の双方向通信及びB端局2とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0048】
(9)WSS20、22が故障した場合[1]
図20は、光分岐結合装置12のWSS20及びWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す。図20の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図11と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AB][CB]を生成し図20のスイッチ43へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[AB][CB]をB端局2へ出力できる。一方、図20では、制御部70は、A端局1から受信した光信号[AB][AC]がそのままC端局3へ出力されるようにスイッチ45を制御する。このような制御により、A端局1とB端局2との間の双方向通信及びA端局1とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0049】
(10)WSS20、22が故障した場合[2]
図21は、光分岐結合装置12のWSS20及びWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図21の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図11と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AB][CB]を生成し図22のスイッチ43へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[AB][CB]をB端局2へ出力できる。一方、図21では、制御部70は、B端局2から受信した光信号[BA][BC]がそのままC端局3へ出力されるようにスイッチ45を制御する。このような制御により、A端局1とB端局2との間の双方向通信及びB端局2とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0050】
(11)WSS20、22が故障した場合[3]
図22は、光分岐結合装置12のWSS20及びWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図22の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図15と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AC][BC]を生成し図22のスイッチ45へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[AC][BC]をC端局3へ出力できる。一方、図22では、制御部70は、A端局1から受信した光信号[AB][AC]がそのままB端局2へ出力されるようにスイッチ43を制御する。このような制御により、A端局1とC端局3との間の双方向通信及びA端局1とB端局2との間の双方向通信が維持される。
【0051】
(12)WSS20、22が故障した場合[4]
図23は、光分岐結合装置12のWSS20及びWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図23の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図15と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AC][BC]を生成し図23のスイッチ45へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[AC][BC]をC端局3へ出力できる。一方、図23では、制御部70は、C端局3から受信した光信号[CA][CB]がそのままB端局2へ出力されるようにスイッチ43を制御する。このような制御により、A端局1とC端局3との間の双方向通信及びB端局2とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0052】
(13)WSS21、22が故障した場合[1]
図24は、光分岐結合装置12のWSS21及びWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す。図24の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図13と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[BA][CA]を生成し図24のスイッチ44へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[BA][CA]をA端局1へ出力できる。一方、図24では、制御部70は、A端局1から受信した光信号[AB][AC]がそのままC端局3へ出力されるようにスイッチ45を制御する。このような制御により、A端局1とB端局2との間の双方向通信及びA端局1とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0053】
(14)WSS21、22が故障した場合[2]
図25は、光分岐結合装置12のWSS21及びWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図25の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図13と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[BA][CA]を生成し図25のスイッチ44へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[BA][CA]をA端局1へ出力できる。一方、図25では、制御部70は、B端局2から受信した光信号[BA][BC]がそのままC端局3へ出力されるようにスイッチ45を制御する。このような制御により、A端局1とB端局2との間の双方向通信及びB端局2とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0054】
(15)WSS21、22が故障した場合[3]
図26は、光分岐結合装置12のWSS21及びWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図26の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図15と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AC][BC]を生成し図26のスイッチ45へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[AC][BC]をC端局3へ出力できる。一方、図26では、制御部70は、B端局2から受信した光信号[BA][BC]がそのままA端局1へ出力されるようにスイッチ44を制御する。このような制御により、A端局1とB端局2との間の双方向通信及びB端局2とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0055】
(16)WSS21、22が故障した場合[4]
図27は、光分岐結合装置12のWSS21及びWSS22(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。図27の状態におけるWSS冗長部50Aの状態は図15と同様である。すなわち、制御部70の制御により、WSS冗長部50Aは、光信号[AC][BC]を生成し図27のスイッチ45へ出力する。これにより、光分岐結合装置12は、光信号[AC][BC]をC端局3へ出力できる。一方、図27では、制御部70は、C端局3から受信した光信号[CA][CB]がそのままA端局1へ出力されるようにスイッチ44を制御する。このような制御により、A端局1とC端局3との間の双方向通信及びB端局2とC端局3との間の双方向通信が維持される。
【0056】
以上では、3個のWSS20-22のうち2個以下のWSSが故障した場合の、光分岐結合装置12の動作について説明した。2個のWSSが故障した場合に、光分岐結合装置12が上述した図16-27のいずれの動作を行うかは、故障したWSS及び通信の重要度に基づいて決定されてもよい。例えば、1個または2個のWSSが故障した場合には、重要度が高い双方向通信が優先して維持される状態が選択される。制御部70は、端局1-3のいずれかから監視制御用の回線を通じて受信した指示に基づいて光分岐結合装置12の動作を制御してもよい。
【0057】
(17)WSS21-23が故障した場合[1]
図28から図33は、光分岐結合装置12のWSS21、WSS22及びWSS23(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の状態の例を示す。図28から図33に示す状態ではWSS冗長部50Aの出力は端局1-3へ出力されない。従って、これらの場合にはWSS冗長部50Aの状態は任意である。WSS冗長部50Aは、端局1-3から受信した光信号に基づいてWSS23が生成した光信号を監視してもよい。
【0058】
図28においては、制御部70は、A端局1から受信した光信号[AB][AC]がそのままB端局2及びC端局3へ出力されるようにスイッチ43及びスイッチ45を制御する。また、制御部70は、B端局2から受信した光信号[BA][BC]がそのままA端局1へ出力されるようにスイッチ44を制御する。その結果、図28の光分岐結合装置12は、WSS20-22が故障した場合でも、A端局1とB端局2との間の双方向通信を維持できる。
【0059】
(18)WSS21-23が故障した場合[2]
図29は、光分岐結合装置12のWSS21、WSS22及びWSS23(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。
【0060】
図29においては、制御部70は、B端局2から受信した光信号[BA][BC]がそのままA端局1及びC端局3へ出力されるようにスイッチ44及びスイッチ45を制御する。また、制御部70は、A端局1から受信した光信号[AB][AC]がそのままB端局2へ出力されるようにスイッチ43を制御する。その結果、図29の光分岐結合装置12は、WSS20-22が故障した場合でも、A端局1とB端局2との間の双方向通信を維持できる。
【0061】
(19)WSS21-23が故障した場合[3]
図30は、光分岐結合装置12のWSS21、WSS22及びWSS23(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。
【0062】
図30においては、制御部70は、B端局2から受信した光信号[BA][BC]がそのままA端局1及びC端局3へ出力されるようにスイッチ44及びスイッチ45を制御する。また、制御部70は、C端局3から受信した光信号[CA][CB]がそのままB端局2へ出力されるようにスイッチ43を制御する。その結果、図30の光分岐結合装置12は、WSS20-22が故障した場合でも、B端局2とC端局3との間の双方向通信を維持できる。
【0063】
(20)WSS21-23が故障した場合[4]
図31は、光分岐結合装置12のWSS21、WSS22及びWSS23(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。
【0064】
図31においては、制御部70は、C端局3から受信した光信号[CA][CB]がそのままA端局1及びB端局2へ出力されるようにスイッチ43及びスイッチ44を制御する。また、制御部70は、B端局2から受信した光信号[BA][BC]がそのままC端局3へ出力されるようにスイッチ45を制御する。その結果、図31の光分岐結合装置12は、WSS20-22が故障した場合でも、B端局2とC端局3との間の双方向通信を維持できる。
【0065】
(21)WSS21-23が故障した場合[5]
図32は、光分岐結合装置12のWSS21、WSS22及びWSS23(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。
【0066】
図32においては、制御部70は、C端局3から受信した光信号[CA][CB]がそのままA端局1及びB端局2へ出力されるようにスイッチ43及びスイッチ44を制御する。また、制御部70は、A端局1から受信した光信号[AB][AC]がそのままC端局3へ出力されるようにスイッチ45を制御する。その結果、図32の光分岐結合装置12は、WSS20-22が故障した場合でも、A端局1とC端局3との間の双方向通信を維持できる。
【0067】
(22)WSS21-23が故障した場合[6]
図33は、光分岐結合装置12のWSS21、WSS22及びWSS23(×印)が故障した場合のスイッチ43-45の他の状態の例を示す。
【0068】
図33においては、制御部70は、A端局1から受信した光信号[AB][AC]がそのままB端局2及びC端局3へ出力されるようにスイッチ43及びスイッチ45を制御する。また、制御部70は、C端局3から受信した光信号[CA][CB]がそのままA端局1へ出力されるようにスイッチ44を制御する。その結果、図33の光分岐結合装置12は、WSS20-22が故障した場合でも、A端局1とC端局3との間の双方向通信を維持できる。
【0069】
図34は、光分岐結合装置11-13の基本的な動作手順の例を示すフローチャートである。WSS20、21、22は、正常時には、入力された光信号に基づいて、それぞれ光信号[AB][CB]、光信号[BA][CA]、光信号[AC][BC]を生成する(図34のステップS01)。生成された光信号[AB][CB]、光信号[BA][CA]、光信号[AC][BC]は、それぞれ、B端局2、A端局1、C端局3へ出力される(S02)。WSS20-22のいずれかに障害が発生すると(S03:YES)、制御部70は、障害が発生したWSSに基づいてスイッチ40-45及びWSS冗長部50、50Aを制御する(S04)。制御部70によって制御されたスイッチ40-45及びWSS冗長部50、50Aの動作の例は、上記の実施形態で詳細に説明した。光分岐結合装置11-13は、制御された結果に基づき端局1-3へ光信号を出力する(S05)。
【0070】
なお、本発明の実施形態は以下の付記のようにも記載されうるが、これらには限定されない。
【0071】
(付記1)
それぞれが波長多重光信号を入出力する第1乃至第3の光伝送路と、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力し、前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力し、前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力する、第1の合分波手段と、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力する第2の合分波手段と、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、前記第1及び第2の合分波手段へ分配する光分岐手段と、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、選択された光信号を前記出力先へ出力する光切替手段と、
を備える光分岐結合装置。
【0072】
(付記2)
前記光分岐手段と前記光切替手段とを接続する光バイパス回路をさらに備え、
前記光分岐手段は、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、さらに、前記光バイパス回路へ出力し、
前記光切替手段は、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号、
前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号、及び
前記光バイパス回路を伝搬した波長多重光信号、
のいずれか1つを選択する、
付記1に記載された光分岐結合装置。
【0073】
(付記3)
複数の前記第2の合分波手段が前記第1の合分波手段と並列に配置され、
前記光分岐手段は、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、さらに、複数の前記第2の合分波手段へ分配し、
前記光切替手段は、前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び複数の前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号をそれぞれの出力先に基づいて選択し、選択された光信号を前記出力先へ出力する、
付記1に記載された光分岐結合装置。
【0074】
(付記4)
前記第1乃至第3の光信号の少なくとも2つが、それぞれの出力先へ出力されるように前記第1及び第2の合分波手段及び前記光切替手段を制御する制御手段をさらに備える、付記1乃至3のいずれかに記載された光分岐結合装置。
【0075】
(付記5)
前記制御手段を外部に備える、付記4に記載された光分岐結合装置。
【0076】
(付記6)
前記制御手段は、前記第1の合分波手段において前記第1乃至第3の光信号の少なくとも1個が生成できない場合は、生成できない光信号が前記第2の合分波手段の少なくとも1個において生成され、生成された光信号が、出力先に基づいて出力されるように前記第2の合分波手段及び前記光切替手段を制御する、付記4又は5に記載された光分岐結合装置。
【0077】
(付記7)
第1乃至第3の端局が、付記1乃至6のいずれか1項に記載された光分岐結合装置と通信可能なように、それぞれ前記第1乃至第3の光伝送路に接続された、光伝送システム。
【0078】
(付記8)
前記光分岐結合装置が海底に設置され、前記第1乃至第3の端局が陸上に設置された、付記7に記載された光伝送システム。
【0079】
(付記9)
第1乃至第3の光伝送路のそれぞれが波長多重光信号を入出力する光分岐結合装置の制御方法であって、
第1の合分波手段によって、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力し、
前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力し、
前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力し、
第2の合分波手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力し、
光分岐手段によって、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、前記第1及び第2の合分波手段へ分配し、
光切替手段によって、前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択し、
選択された光信号を前記出力先へ出力する、
光分岐結合装置の制御方法。
【0080】
(付記10)
光バイパス回路によって、前記光分岐手段と前記光切替手段とを接続し、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、さらに、前記光バイパス回路へ出力し、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号、前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号、及び前記光バイパス回路を伝搬した波長多重光信号、のいずれか1つを選択する、
付記9に記載された光分岐結合装置の制御方法。
【0081】
(付記11)
複数の前記第2の合分波手段を前記第1の合分波手段と並列に配置し、
前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重光信号を、さらに、複数の前記第2の合分波手段へ分配し、
前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び複数の前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号をそれぞれの出力先に基づいて選択し、
選択された光信号を前記出力先へ出力する、
付記9に記載された光分岐結合装置の制御方法。
【0082】
(付記12)
前記第1乃至第3の光信号の少なくとも2つが、それぞれの出力先へ出力されるように前記第1及び第2の合分波手段及び前記光切替手段を制御する、付記9乃至11のいずれかに記載された光分岐結合装置の制御方法。
【0083】
(付記13)
前記第1の合分波手段において前記第1乃至第3の光信号の少なくとも1個が生成できない場合は、生成できない前記光信号を前記第2の合分波手段の少なくとも1個において生成し、生成された光信号を出力先に基づいて出力する、付記9乃至12のいずれかに記載された光分岐結合装置の制御方法。
【0084】
(付記14)
第1乃至第3の光伝送路のそれぞれが波長多重光信号を入出力する光分岐結合装置の制御プログラムであって、
第1の合分波手段に、
前記第2及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第1の光伝送路から出力される第1の光信号を出力させ、
前記第1及び第3の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第2の光伝送路から出力される第2の光信号を出力させ、
前記第1及び第2の光伝送路から入力された波長多重光信号に基づいて前記第3の光伝送路から出力される第3の光信号を出力させ、
第2の合分波手段に、前記第1乃至第3の光伝送路から入力された波長多重信号に基づいて前記第1乃至第3の光信号のいずれか1つを出力させ、
光切替手段に、前記第1の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号及び前記第2の合分波手段で生成された前記第1乃至第3の光信号の一方をそれぞれの出力先に基づいて選択させる、
手順を実行させるための光分岐結合装置の制御プログラム。
【0085】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記の実施形態に限定されない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0086】
また、それぞれの実施形態に記載された構成は、必ずしも互いに排他的なものではない。本発明の作用及び効果は、上述の実施形態の全部又は一部を組み合わせた構成によって実現されてもよい。
【0087】
以上の各実施形態に記載された機能及び手順は、制御部70が備える中央処理装置(central processing unit、CPU)がプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムは、固定された、一時的でない(non-transitory)記録媒体に記録される。記録媒体としては半導体メモリ又は固定磁気ディスク装置が用いられるが、これらには限定されない。
【0088】
この出願は、2020年9月24日に出願された日本出願特願2020―159231を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0089】
1 A端局
2 B端局
3 C端局
10-13、90 光分岐結合装置
30-38 カプラ(CPL)
40-49 スイッチ(SW)
50、50A、51、52 WSS冗長部
60 スイッチ部
70 制御部
81-86、81A-86A、91-98 光伝送路
1000、9000 海底ケーブルシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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