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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】空調機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20240827BHJP
   F28D 7/00 20060101ALI20240827BHJP
   F24F 1/0041 20190101ALN20240827BHJP
【FI】
F24F1/0007 331
F28D7/00 Z
F24F1/0041
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023101870
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021011230の分割
【原出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2023116787
(43)【公開日】2023-08-22
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】坂野 雄治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】市橋 昌志
(72)【発明者】
【氏名】大澤 直勝
(72)【発明者】
【氏名】白井 学
(72)【発明者】
【氏名】飯島 竜太
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-095864(JP,A)
【文献】実開昭52-124559(JP,U)
【文献】特開2004-093017(JP,A)
【文献】特開平10-033926(JP,A)
【文献】実開昭56-045756(JP,U)
【文献】実開昭51-062262(JP,U)
【文献】登録実用新案第3007596(JP,U)
【文献】特開2014-092338(JP,A)
【文献】特開昭56-110883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F28D 7/00
F24F 1/0041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
水を散布する散布部と、
前記散布部が散布した水の気化熱により冷却される第1空気が流れる第1流路と、
被空調空間に吹き出される第2空気が流れる第2流路と、
前記第1流路の少なくとも一部を形成する第1経路と前記第2流路の少なくとも一部を形成する第2経路とを含み、前記第1空気と前記第2空気との間で熱交換させ、前記第2空気を冷却する熱交換器と、
前記第1空気の流れる方向において前記熱交換器の上流に配置され、前記筐体の外から前記第1空気が吸い込まれる第1吸込口と、
前記第1吸込口から吸い込まれた前記第1空気内の塵埃を捕集する第1フィルタと、
前記散布部にて散布された水のうち、前記第1経路を通過した未蒸発の水を回収するドレンパンと、
前記散布部と連通する配管を介して、前記ドレンパンで回収した水を前記散布部へ供給するポンプと、を備え、
前記第1流路は、前記第1空気が前記筐体の外に吹き出される第1吹出口を含み、
前記熱交換器の前記第1経路の出口よりも下流の前記第1吹出口に向かう前記第1流路は、前記熱交換器の内部を通ることなく前記第1吹出口に連通し、
前記ドレンパンの開口部を覆う吸湿部材をさらに備え、
前記吸湿部材の圧力損失値は、前記第1フィルタの圧力損失値よりも大きい
ことを特徴とする空調機。
【請求項2】
前記第1流路には、前記第1空気を搬送するための第1ファンが設けられており、
前記第1ファンは、前記第1吹出口の近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項3】
前記第2流路は、前記第2空気が前記筐体の外に吹き出される第2吹出口を含み、
前記第2吹出口の近傍には、前記第2空気を搬送するための第2ファンが設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空調機。
【請求項4】
前記第1吹出口及び前記第2吹出口は、前記筐体の上面に設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の空調機。
【請求項5】
前記第1フィルタは、前記第1流路において前記散布部の上流側に設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空調機。
【請求項6】
前記第1フィルタは、前記第1吸込口を覆うように設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の空調機。
【請求項7】
前記第1吸込口は、前記筐体の上面に設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を吸い込み、水の気化熱を利用し雰囲気温度を低下させて冷却した空気を、室内に吹き出す気化冷却式の空調機が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の空調機(冷風扇)は、ケーシング内に配置された送風手段と、吸込口と第1吹出口とを連通し、送風手段によって発生した空気流を第1吹出口に導く第1流路と、吸込口と第2吹出口とを連通し、送風手段によって発生した空気流を第2吹出口に導く第2流路と、第2流路に配置され、水の気化熱により第2流路を流れる空気を冷却する気化手段とを備え、第2流路の気化手段によって冷却された空気流と第1流路を流れる空気流との間で熱交換を行う熱交換器が設けられている。
【0003】
気化手段が備えられている第2流路において、気化手段の下流側には、気化手段によって散布された霧状の水(未蒸発の散布水)及び、気化した水(蒸発した散布水)により絶対湿度が増加した空気が流れるものとなる。この湿度が増加した空気は、第2流路の出口となる第2吹出口から、室内に吹き出されるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-092338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の空調機(冷風扇)は、気化手段により散布された霧状の水(未蒸発の散布水)が、被空調空間である室内に吹き出されるものとなるため、当該室内の絶対湿度が更に増加するという問題点がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、空調機の外部に未蒸発の散布水が排出されることを抑制する空調機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る空調機は、気化させる水を散布する散布部と、前記散布部が散布した水の気化熱により冷却される第1空気が流れる第1流路と、被空調空間に吹き出される第2空気が流れる第2流路と、前記第1空気と前記第2空気との間で熱交換させ、前記第2空気を冷却する熱交換器とを備え、前記熱交換器は、前記第1流路の少なくとも一部を形成する第1経路と、前記第2流路の少なくとも一部を形成する第2経路とを含み、前記第1流路には、前記第1空気の流れ方向において前記第1経路の下流側にて上下に向かって分岐する分岐部が設けられており、前記分岐部の下方には、前記分岐部と連通するドレンパンが設けられている。
【0008】
本態様にあたっては、第1流路には、第1空気の流れ方向において第1経路の下流側に、上下に向かって分岐する分岐部が設けられているため、熱交換器内において未蒸発の散布水を、重力により当該分岐部から下方に向かって滴下させることができる。滴下した散布水は、分岐部と連通するドレンパンに流れ込むため、未蒸発の散布水を効率的に回収することができ、当該未蒸発の散布水が、被空調空間に排出されことを抑制し、被空調空間の絶対湿度が増加することを抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様に係る空調機は、前記第1流路は、前記分岐部の前後において上方に向かって形成され、U字状に形成されている。
【0010】
本態様にあたっては、第1流路は、分岐部の前後においてU字状に形成されており、すなわち分岐部は、U字の円弧の部分に設けられている。従って、U字の円弧の部分に設けられた分岐部において、空気と、未蒸発の散布水とが流れる際、遠心力により比重の大きい未蒸発の散布水を、効率的に外周側に分離し、当該分岐部から下方に向かって滴下させることができる。
【0011】
本開示の一態様に係る空調機は、前記第1流路において、前記散布部から前記分岐部までの距離は、前記分岐部から前記第1空気が吹き出される第1吹出口までの距離よりも短い。
【0012】
本態様にあたっては、散布部から分岐部までの距離を、分岐部から前記第1空気が吹き出される第1吹出口までの距離よりも短くすることにより、未蒸発の散布水の吹き上がりを抑制し、第1経路の出口から室内に排出される未蒸発の散布水の量を減少させ、室内における絶対湿度が増加することを抑制することができる。
【0013】
本開示の一態様に係る空調機は、前記第1流路には、前記第1空気を搬送するための第1ファンが設けられており、前記第1ファンは、前記第1吹出口の近傍に設けられている。
【0014】
本態様にあたっては、第1ファンを第1吹出口の近傍に設けることにより、第1ファンを分岐部の下流側に配置すると共に、散布部と第1ファンとの距離を長くすることができ、散布部からの散布水(水滴)によるショート破損を低減し、当該散布水の吹き上がりを抑制することができる。
【0015】
本開示の一態様に係る空調機は、前記第2流路には、前記第2空気を搬送するための第2ファンが設けられており、前記熱交換器内において、前記第1空気と前記第2空気とは対向流となるように、前記第1経路及び前記第2経路が形成されている。
【0016】
本態様にあたっては、第1空気と第2空気とは対向流となるように、熱交換器内にて第1経路及び第2経路が形成されているため、第1空気と第2空気との顕熱交換を効率的に行うことができる。
【0017】
本開示の一態様に係る空調機は、前記分岐部と前記ドレンパンの間には、前記ドレンパンの開口部を覆う吸湿部材が設けられている。
【0018】
本態様にあたっては、分岐部とドレンパンの間には、ドレンパンの開口部を覆う吸湿部材が設けられているため、分岐部から下方に滴下した散布水は、吸湿部材に吸収される。従って、分岐部から下方に滴下した散布水が、吹き上げられ、被空調空間に排出されることを更に抑制することができる。
【0019】
本開示の一態様に係る空調機は、前記第1流路において、前記散布部の上流側には第1フィルタが設けられており、前記吸湿部材の圧力損失値は、前記第1フィルタの圧力損失値よりも大きい。
【0020】
本態様にあたっては、吸湿部材は、ドレンパンの開口部を覆うように設けられており、吸湿部材の圧力損失値は、第1フィルタの圧力損失値よりも大きくしてある。従って、吸湿部材を通過してドレンパン内に流れ込んだ水が、ドレンパン内にて気化して水蒸気となった場合であっても、当該水蒸気が、吸湿部材内を逆流して、第1流路に戻る現象を効率的に抑制することができる。
【0021】
本開示の一態様に係る空調機は、前記ドレンパンの下方には、前記散布部へ供給する散布水を溜める水溜部が設けられており、前記ドレンパン及び前記水溜部は、連通している。
【0022】
本態様にあたっては、ドレンパンにより回収した未蒸発の散布水を水溜部に溜め、回収した散布水を散布部へ供給することにより、当該回収した散布水を再利用することができる。
【0023】
本開示の一態様に係る空調機は、外部から供給される水を保持するタンクと、前記タンクと前記水溜部との間に設けられた電磁弁と、前記電磁弁の開閉を制御する制御部と、前記水溜部内の水の水位に関する情報を出力するセンサとを備え、前記制御部は、前記センサから出力された水位に関する情報に基づき、前記水位が、前記ドレンパンと前記水溜部とを連通する連通路の下方端部よりも低くなったと判定した場合、前記水位が前記下方端部よりも高くなるまで前記電磁弁を開く。
【0024】
本態様にあたっては、制御部は、水溜部内の水位が連通路の下方端部よりも低くなったと判定した場合、水位が下方端部よりも高くなるまで電磁弁を開くため、連通路の下方端部が水中に位置するように電磁弁の開閉制御を行う。従って、連通路の下方端部からドレンパン内の空気が、第1流路に逆流することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
空調機の外部に未蒸発の散布水が排出されることを抑制する空調機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態1に係る空調機の一構成例(排気側L:給気側U)を示す模式図である。
図2】コントローラの一構成を示すブロック図である。
図3】コントローラの制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図4】変形例1(排気側L:給気側L)に係る顕熱交換器の一構成を示す模式図である。
図5】変形例2(排気側L:給気側Z)に係る顕熱交換器の一構成を示す模式図である。
図6】変形例3(排気側I:給気側U)に係る顕熱交換器の一構成を示す模式図である。
図7】変形例4(排気側I:給気側Z)に係る顕熱交換器の一構成を示す模式図である。
図8】変形例5(排気側Z:給気側Z)に係る顕熱交換器の一構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
以下、実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る空調機1の一構成例(排気側L:給気側U)を示す模式図である。空調機1は、箱状の筐体15を備え、当該筐体15の底部に設けられたキャスター151によって、例えば工場等の被空調空間の床面に載置される。図1に示す空調機1の載置状態を、当該空調機1の通常の使用態様として上下左右を示す。空調機1は、顕熱交換器2及び散布部5を備え、散布部5から散布した散布水の気化熱を用いて雰囲気温度を低下させ、被空調空間を冷却するものであり、例えば間接気化冷却式の空調機1である。
【0028】
空調機1には、散布部5から散布される散布水の気化熱により直接的に冷却される第1空気が流れる第1流路3と、顕熱交換器2によって、第1流路3に流れる冷却された第1空気と熱交換することにより、冷却される第2空気が流れる第2流路4とが、設けられている。
【0029】
第2流路4を流れる第2空気が、給気(SA:service air)として被空調空間に吹き出され、当該被空調空間に供給される。従って、第2流路4は、給気流路として機能する。第1流路3を流れる第1空気は、排気(EA:exhaust air)として被空調空間に吹き出され、当該被空調空間に排出される。従って、第1流路3は、排気流路として機能する。
【0030】
詳細は後述するが、第1流路3(排気流路)には分岐部6が設けられており、散布部5からの散布水において、未蒸発の散布水、すなわち気化せず、水蒸気となっていない水の少なくとも一部は、当該分岐部6から分岐された散布水回収路61を通じて回収するようにしてある。従って、第1流路3から排出される第1空気における、水蒸気となっていない霧状の水の含有量を低減させ、排出される第1空気によって被空調空間の絶対湿度が増加することを抑制することができる。
【0031】
顕熱交換器2は、第1流路3(排気流路)及び第2流路4(給気流路)に跨るように設けられている。顕熱交換器2には、第1流路3の少なくとも一部を形成する第1経路21と、第2流路4の少なくとも一部を形成する第2経路22とが、形成されている。顕熱交換器2は、例えばアルミニウム等の金属製又は樹脂製の箱状のケースを備え、当該ケースの外周面には断熱部材を設けることにより、顕熱交換器2の内部に流れる第1空気又は第2空気と、顕熱交換器2の周辺空気との間の熱交換を制限するものであってもよい。
【0032】
顕熱交換器2に形成されている第1経路21及び第2経路22は、例えば、第1空気又は第2空気が流れる中空構造を有する金属プレートを複数個、並列に設けることにより構成される。当該中空構造を有する金属プレートは、例えば複数枚のフィンにより構成されるもの又は、扁平管であってもよい。当該プレートは、伝熱性の良い金属製(例えばアルミニウム、銅等又は、これらを主成分とする合金)とすることで、顕熱交換の効率を向上させることができる。第1経路21及び第2経路22夫々は、これら中空構造を有する複数の金属プレート夫々により、複数の排気パス及び、複数の給気パスとして構成される。
【0033】
第1経路21を構成する複数の排気パスと、第2経路22を構成する複数の給気パスとは、紙面に対し平行(給排気の方向に対し平行方向)に互いに交互となるように積層されて設けられ、顕熱交換器2内において、給気と排気とが、混合しないようにしてある。第1経路21及び第2経路22夫々における空気(給気及び排気)の流れは、後述する第1ファン31及び第2ファン41によって、逆方向となる対向流を形成している。
【0034】
第1経路21と第2経路22とは、互いに交互となるように積層されている部位間等において、第1経路21(排気パス)に流れる第1空気(排気)と、第2経路22(給気パス)に流れる第2空気(給気)との間で、顕熱が交換される。上述のごとく、第1経路21(排気パス)には、散布水の気化熱により冷却された第1空気が流れる。第2経路22
(給気パス)に流れる第2空気は、当該第1空気との間で顕熱を交換することにより、冷却される。
【0035】
第1経路21は、顕熱交換器2の上面側を起点(入口)とし、下方の右側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、L字状をなす。第2経路22は、顕熱交換器2の下方の左側面側を起点(入口)とし、上方の左側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、U字状をなす。このように、第2経路22の終点(出口)を上方の左側面側とすることで、顕熱交換器2の上面側に設けられる散布部5と距離を離すことができ、散布部5からの散布水が第2経路22に入り込むことを防止することができる。
【0036】
散布部5は、霧状の水を散布(噴霧)する散布ノズル(噴霧ノズル)を含み、当該散布ノズルは、後述する水溜部9と、配管によって連通している。散布部5は、第1流路3(排気流路)に設けられており、第1空気の流れ方向において、顕熱交換器2の上流側に設けられている。従って、散布部5により散布され、霧状となった散布水は、顕熱交換器2の第1経路21に流れ込む。この時、散布水の散布方向である散布ノズルの先端方向は第1流路3により平行に近い角度で下流方向を向いているほど、第1経路21への散布水の流入効率が高くなる。
【0037】
第1流路3は、空調機1の上面側に位置する第1吸込口33及び第1吹出口34を含み、第1吸込口33を起点とし、第1吹出口34を終点としたU字状に構成されている。顕熱交換器2の第1経路21の最下端部は、U字状における頂点の近傍に位置する。従って、第1流路3は、顕熱交換器2の第1経路21の最下端部、すなわち第1経路21の出口にて、上方に向かって折り返すように形成されている。
【0038】
第1吸込口33には、第1吸込口33を覆うように第1フィルタ32が設けられている。第1フィルタ32は、例えばポリエステル又はオレフィン系繊維により形成されており、第1吸込口33から吸い込む空気内の塵埃を捕集する。
【0039】
第1吹出口34の近傍には、第1ファン31が設けられており、第1流路3(第1経路21)に流れる第1空気(排気)を搬送して、排気ファンとして機能する。第1空気(排気)は、第1吹出口34から空調機1の外に吹き出される(排出される)。実施形態1において第1吹出口34の近傍とは、図1に示されるように第1流路3における第1吹出口34の直前の位置のことである。また他の例では、第1吹出口34の近傍とは、少なくとも後述の分岐部6よりも第1吹出口34に近い位置であればよい。
【0040】
第2流路4は、空調機1の下方の左側面側に位置する第2吸込口43及び、空調機1の上面側に位置する第2吹出口44を含み、第2吸込口43を起点とし、第2吹出口44を終点としたU字状(空調機1の通常の使用状態においては、当該U字状を左に90°回転した状態となる逆C字状)に構成されている。
【0041】
第2吸込口43には、第2吸込口43を覆うように第2フィルタ42が設けられている。第2フィルタ42は、例えばポリエステル又はオレフィン系繊維により形成されており、第2吸込口43から吸い込む空気内の塵埃を捕集する。
【0042】
第2吹出口44の近傍には、第2ファン41が設けられており、第2流路4(第2経路22)に流れる第2空気(給気)を搬送して、給気ファンとして機能する。なお、第2ファン41が設けられる位置は、第2吹出口44の近傍に限定されず、第2吸込口43側、すなわち第2フィルタ42と顕熱交換器2の第2経路22の入口との間に設けられるものであってもよい。
【0043】
第1ファン31によって搬送される第1空気(排気)は、顕熱交換器2の第1経路21において、上方から下方に流れるものとなる。第2ファン41によって搬送される第2空気(給気)は、顕熱交換器2の第2経路22において、下方から上方に流れるものとなる。従って、顕熱交換器2において、第1経路21に流れる第1空気(排気)と、第2経路22に流れる第2空気(給気)とは、対向流を形成し、第1空気(排気)及び第2空気(給気)との間の顕熱交換の熱交換率を向上させることができる。
【0044】
上述のごとく、第1経路21に流れる第1空気(排気)と、第2流路4に流れる第2空気(給気)との間において、顕熱交換がされることにより、第2空気は第1空気により冷却されるものとなる。又、第1経路21には、散布部5から散水された霧状の散布水も流れるものとなり、当該散布水が第1経路21内において気化することにより、当該気化熱
(潜熱)によって、第1空気及び第2空気が冷却されるものであってもよい。より具体的には、一例として第1経路21の壁面に付着した散布水が第2経路22の第2空気と熱交換することで第2空気を気化冷却する物理現象が考えられる。また、散布水によって第2空気が冷却される場合においては、気化熱冷却以外の物理現象として散布水と第2空気との温度差による熱交換(顕熱交換)により第2空気が冷却されることが考えられる。この場合においては、散布水と第2空気との温度差が大きいほど冷却効率が高いため、散布水として氷水、または、地下水等の比較的温度の低い水を後述の水溜部9またはタンク14に貯水するのが効果的である。上述した物理現象は、空調機1内部の熱交換に関わる構成部の物理状態に応じて複合して発生するものである。
【0045】
空調機1は、更にドレンパン8、水溜部9及びタンク14を備える。これらドレンパン8、水溜部9及びタンク14は、筐体15内に収容されており、第1経路21、第2経路22及び顕熱交換器2が設けられた領域(空気室)よりも、下方に設けられている。
【0046】
タンク14は、空調機1の外部の水道管から供給された水を貯水する容器である。タンク14には、例えば給水弁(図示せず)が設けられており、当該給水弁と水道管を連通させ給水弁を開くことにより、水道管から給水される水を貯水する。一定量の水を貯水した後、給水弁を閉め、水道管から外すことにより、空調機1を任意の場所に移動させることができる。
【0047】
水溜部9は、タンク14と同様に水を貯水する容器であり、タンク14の下方に設けられている。水溜部9及びタンク14は、電磁弁13により連通してある。電磁弁13を開くことにより、タンク14内の水は、水溜部9に流れ込み、水溜部9に溜められた水の水位は、上昇する。
【0048】
水溜部9の上面には、一つ以上の空気孔91が設けられている。空気孔91を設けることにより、水溜部9に溜められた水の水位が上昇した場合に、水溜部9の内圧が増加することを抑制することができる。
【0049】
水溜部9の内部には、散布部5の散布ノズルと連通している配管が挿入されており、当該配管を介して、水溜部9内の水は、散布部5の散布ノズルに供給される。配管にはポンプ11が接続されており、当該ポンプ11が駆動することにより、水を散布部5に供給し、供給された水は、散布ノズルから散布(噴霧)されて霧状の水となって、第1吸込口33から吸い込んだ第1空気と共に第1経路21に流れる。
【0050】
水溜部9の内部には、水溜部9に溜められた水の水位を検知するためのセンサ10が設けられている。当該センサ10は、水溜部9の内周面の所定の水位となる位置に設けられ、センサ10の端子が水に接触することにより所定の信号を出力する水位センサ10、又は水に浮かぶフロートを備え、当該フロートの高さ位置に基づき所定の信号を出力するセンサ10である。センサ10は、後述するドレンパン8に設けられた連通路81の下方端部82の高さ位置に合わせて設けられており、水溜部9に溜められた水の水位と、当該下方端部82との高低関係に基づき、所定の信号を出力する。一例として、センサ10は、下方端部82の高さ位置よりも所定量高い位置で水位を検知するように備えられる。これにより、後述の制御部121の制御により水溜部9の水位が下方端部82の高さよりも常に高い位置にあるように制御される。
【0051】
第1流路3には、第1空気(排気)の流れ方向を基準として、顕熱交換器2の第1経路21の下流側にて、上下に分岐する分岐部6が設けられている。図1に示すごとく、分岐部6は、顕熱交換器2の第1経路21の出口に設けられており、分岐部6によって、第1経路21に対し、下方に向かって分岐される散布水回収路61が形成される。すなわち、分岐部6によって第1流路3から分岐された散布水回収路61は、分岐部6から下方に向かって構成される。
【0052】
分岐部6の下流側、すなわち第1経路21の出口の下流側となる第1流路3は、顕熱交換器2のケースの外周面と、空調機1の筐体15の内周面との間に形成されており、分岐部6に対し上方に向かって構成される。
【0053】
上述のごとく、第1流路3はU字状に構成されており、顕熱交換器2の第1経路21の最下端部は、U字状における頂点の近傍に位置する。第1経路21の出口は第1経路21の最下端部に位置しているため、分岐部6は、U字状の頂点の近傍(最下端部の近傍)に位置するものとなる。すなわち、高さ方向において、分岐部6と第1経路21の最下端部とは、略同じに位置するものとなる。従って、第1流路3は、分岐部6の前後を最下端部として上方に向かって折り返すことにより、U字状に形成される。図1に示すように、分岐部6は、第1経路21のU字状の頂点、すなわち第1空気の折り返し地点よりも下流側に設けられるものであってもよい。
【0054】
第1流路3は、分岐部6の直後、すなわち分岐部6の下流側において即座に上方に向かって形成されるものに限定されない。第1流路3は、分岐部6の下流側において所定距離にて横方向(紙面上、右方向であり、重力方向に対し略垂直方向)に形成され、これ以降に上方向に形成されるものであってもよい。
【0055】
分岐部6は、第1経路21における一部位にて限定されるものでなく、所定の容量を備えた分岐室として構成されるものであってもよい。すなわち、図1においては、第1経路21の出口の直後の空間を分岐部6(分岐室)とし、当該分岐室の下流側において、上方に向かって形成される第1経路21(U字状の右側の直線部に相当)と、下方に向かって形成される散布水回収路61とに分岐される。
【0056】
分岐部6は、第1経路21の出口以降、すなわち顕熱交換器2よりも下流側に設けられるとしたが、これに限定されない。分岐部6は、第1経路21における出口側(下流側)、すなわち第1経路21の途中(顕熱交換器2の内部)に設けられるものであってもよい。例えば、分岐部6を、第1経路21における下流側であって、第2空気との対向流により顕熱交換した以降の第1経路21の部位に設けるものであってもよい。
【0057】
散布水回収路61は、分岐部6を起点として構成されており、分岐部6よりも下方に位置するドレンパン8に連通している。散布水回収路61は、顕熱交換器2の第1経路21の出口の下部とドレンパン8の開口部との間に設けられた仕切り板62と、空調機1の筐体15の内周面との間に形成され、分岐部6に対し下方に向かって構成される。
【0058】
ドレンパン8は、上面に開口部を備えた例えば皿状の容器である。ドレンパン8の底面には、水溜部9と連通するための連通路81が設けられている。
【0059】
連通路81は、ドレンパン8の底面を基端として、下方に位置する水溜部9に向かって伸びて設けられており、連通路81の下方端部82は、ドレンパン8の内部に位置する。
【0060】
ドレンパン8の上面に設けられた開口部には、当該開口部を覆うように吸湿部材7が設けられている。吸湿部材7は、例えば、PET、ポリオレフィン、オレフィン、レーヨン、ポリエステル又はモダアクリル等の親水性の素材で構成されており、未蒸発の散布水を吸収し、吸収した散布水をドレンパン8に向けて滴下することにより、未蒸発の散布水を回収する。親水性の素材で吸湿部材7を構成することにより、効率的に散布水を吸収し、ドレンパン8に向けて滴下することができる。吸湿部材7は、フィルタとしても機能するものであり、仕切り板62から流れ落ちてきた散布水に塵埃が含まれる場合であっても、当該塵埃を捕集することができる。
【0061】
吸湿部材7の圧力損失の値は、第1フィルタ32の圧力損失の値よりも、大きくしてある。第1ファン31は第1流路3の第1吹出口34(第1流路3の出口)に設けられているため、第1流路3は、大気圧よりも低い負圧の環境となる。これに対し、吸湿部材7の圧力損失の値は、第1フィルタ32の圧力損失の値よりも大きいため、ドレンパン8内の空気が、第1流路3に逆流することを抑制することができる。ドレンパン8内の空気は、ドレンパン8内又は水溜部9に溜められた水によって絶対湿度が比較的に高いものとなる。これに対し、当該ドレンパン8内の空気が第1流路3に逆流することを抑制することにより、第1流路3を流れ、第1吹出口34から排出される第1空気の絶対湿度が向上することを抑制することができる。
【0062】
上記のように構成された第1流路3によると、散布部5から散布された霧状の散布水は、第1吸込口33から吸い込まれた第1空気と混合され、散布部5の周辺及び顕熱交換器2の第1経路21内において、気化して水蒸気となる。この気化熱により冷却された第1空気と、気化せず未蒸発の霧状の散布水は、顕熱交換器2の第1経路21を下方に向かって流れる。
【0063】
気化せず未蒸発の霧状の散布水の一部は、顕熱交換器2の第1経路21の内壁面にて水滴化し、当該水滴は、重力によって、第1経路21の内壁面及び仕切り板62を伝って流れ落ち、吸湿部材7に吸収され、ドレンパン8に回収される。第1経路21の内壁面にて水滴化せず、第1空気と共に流れる未蒸発の霧状の散布水の一部は、分岐部6から下方に分岐した散布水回収路61を介して、吸湿部材7に吸収され、ドレンパン8に回収される。このように気化せず未蒸発の霧状の散布水を、散布水回収路61を介してドレンパン8に回収することにより、第1吹出口34から排出される第1空気の絶対湿度が増加することを抑制することができる。
【0064】
図1に示すごとく、分岐部6は、U字状の頂点、すなわち第1空気の折り返し地点よりも下流側に設けられていることが望ましい。U字状における湾曲部において、第1空気が折り返し(下方への流れ方向から、上方への流れ方向に変化)されるにあたり、遠心力が発生する。第1空気と共に流れる未蒸発の散布水は、空気よりも比重が大きいため、遠心力により湾曲部の外周側に偏ることにより、第1空気から分離(気液分離)される。従って、湾曲部の外周側に位置する仕切り板62を介して、未蒸発の散布水を効率的に回収することができる。
【0065】
U字状の湾曲部における上流側の第1流路3(第1経路21)の流路断面積は、U字状の湾曲部における下流側の第1流路3の流路断面積よりも、小さいものであってもよい。なお、第1経路21は上述のごとく積層される複数の排気パスにより構成されるものであり、第1経路21の流路断面積は、これら複数の排気パス夫々の流路断面積の合計値であることは、言うまでもない。U字状の湾曲部の上流側の第1流路3の流路断面積を、U字状の湾曲部の下流側の第1流路3の流路断面積よりも、小さくすることにより、当該上流側の第1流路3における第1空気の流速を、当該下流側の第1流路3における第1空気の流速よりも、速くすることができる。当該上流側の第1流路3における第1空気の流速を上げることにより、湾曲部にて発生する遠心力を増加させ、第1空気と共に流れる未蒸発の散布水を効率的に湾曲部の外周側に偏らせて分離させることができ、未蒸発の散布水の回収効率を向上させることができる。また、当該下流側の第1流路3における第1空気の流速を下げることにより、分岐部6を通過した未蒸発の散布水が吹き上がり第1吹出口34から排出されることを抑制することができる。
【0066】
第1経路21において、散布部5から分岐部6までの高さ方向における距離L1は、分岐部6から第1吹出口34までの高さ方向における距離L2よりも、短い。散布部5から分岐部6までの高さ方向における距離L1を、分岐部6から第1吹出口34までの高さ方向における距離L2よりも短くすることにより、分岐部6を通過した未蒸発の散布水が吹き上がることを抑制することができる。実施形態1において分岐部6は、最下端部の近傍であるため、最下端部から散布部5までの距離を距離L1、最下端部から第1吹出口34までの距離を距離L2としている。さらに、散布部5から分岐部6までの距離L1と、分岐部6から第1吹出口34までの距離L2とは、散布部5から分岐部6の最下端部(吸湿部材7)との高さ方向の距離を距離L1、分岐部6の最下端部(吸湿部材7)から第1吹出口34までの高さ方向の距離を距離L2としてもよい。
【0067】
第1経路21において、第1ファン31は、第1吹出口34の近傍に設けてあるため、第1ファン31を分岐部6の上方かつ下流側に配置することができる。更に、第1吸込口33の近傍に設けてある散布部5との距離を長くすることができ、散布部5の散布水により、第1ファン31に含まれるモータ等の電気部品への影響を低減させることができる。散布部5から分岐部6までの高さ方向における距離は、分岐部6から第1ファン31までの高さ方向における距離よりも、短いことが望ましい。分岐部6を通過した未蒸発の散布水が吹き上がることを、更に抑制することができる。また、実施形態1では顕熱交換器2内部において第1空気と第2空気とが対向流となるために、第1流路3が上方から空気を取り込み、第2流路4が下方から空気を取り込む構成としている。そのため、被空調空間において相対的に温度の低い被空調空間下方の空気をさらに冷却して給気可能である。これにより暖かい空気を第2吸込口43から吸い込んだ場合よりも冷却効率は高くなる。
【0068】
ドレンパン8と水溜部9とは、ドレンパン8の底面に設けられた連通路81によって、連通してある。従って、ドレンパン8に回収された未蒸発の散布水は、連通路81を介して水溜部9に流れ込み、当該水溜部9に溜められる。水溜部9に溜められた水は、散布部5により散水されるものであり、従って、回収した未蒸発の散布水を再利用することにより、水の消費量を抑制することができる。
【0069】
ドレンパン8の開口部には、フィルタ機能を発揮する吸湿部材7が設けられているため、当該未蒸発の散布水に塵埃が混在した場合であっても、吸湿部材7によって当該塵埃を捕集することができる。従って、当該塵埃が除去された未蒸発の散布水を再利用することができ、散布部5の散布ノズルが詰まることを防止することができる。
【0070】
図2は、コントローラ12の一構成を示すブロック図である。空調機1は、例えばマイクロコンピュータ等により構成されるコントローラ12を備える。コントローラ12は、制御部121、記憶部122及び入出力I/F123を含み、例えば、第1ファン31及び第2ファン41のオン、オフ制御又は回転数制御、散布部5から散布水を散布するにあたり水溜部9の水を散布部5に供給するポンプ11の駆動、停止又は能力制御を行う。
【0071】
制御部121は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部122に予め記憶されたプログラム及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。
【0072】
記憶部122は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、制御プログラム及び処理時に参照するデータがあらかじめ記憶してある。
【0073】
入出力I/F123は、第1ファン31、第2ファン41、ポンプ11、電磁弁13及びセンサ10からのシリアルケーブル等を接続するためのインターフェイス群であり、コントローラ12内の内部バスを介して制御部121と、電磁弁13等及びセンサ10とを通信可能に接続する。
【0074】
図3は、コントローラ12の制御部121の処理手順を示すフローチャートである。コントローラ12の制御部121は、空調機1の運転時において、周期的又は定常的に以下の処理を実行する。
【0075】
制御部121は、水溜部9の水位に関する情報を取得する(S10)。制御部121は、入出力I/F123を介して接続されたセンサ10から、水溜部9に溜められた水の水位に関する情報を取得する。
【0076】
制御部121は、水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも低いか否かを判定する(S11)。制御部121は、センサ10から出力された信号に基づき、水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも低いか否かを判定する。例えば、センサ10は、水溜部9の水位が下方端部82よりも高い場合にハイの信号を出力し、水溜部9の水位が下方端部82よりも低い場合にローの信号を出力する。制御部121は、センサ10が出力する信号に基づき、水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも低いか否かを判定する。
【0077】
水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも高いと制御部121により判定された場合(S11:NO)、すなわち水位が連通路81の下方端部82の高さ以上である場合、制御部121は再度S10の処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0078】
水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも低いと制御部121により判断された場合(S11:YES)、制御部121は電磁弁13を開にする信号を出力する(S12)。電磁弁13はタンク14と水溜部9との間に設けられており、電磁弁13を介してタンク14及び水溜部9が、連通している。制御部121からの開にする信号に基づき、電磁弁13は開となり、タンク14内の水が、電磁弁13を介して水溜部9に流れ込み、水溜部9の水の水位が、上昇する。
【0079】
制御部121は、S10の処理と同様に水溜部9の水位に関する情報を取得する(S13)。
【0080】
制御部121は、水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも高いか否かを判定する(S14)。制御部121は、S11の処理と同様に、センサ10から出力された信号に基づき、水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも高いか否かを判定する。制御部121は、電磁弁13のチャタリングを防止するため、水溜部9の水位が、下方端部82よりも所定値以上高いか否かを判定するものであってもよい。
【0081】
水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも低いと制御部121により判断された場合(S14:NO)、制御部121は、再度S13処理を実行すべく、ループ処理を行う。つまり、タンク14内の水が、電磁弁13を介して水溜部9に給水される状態が継続される。
【0082】
水溜部9の水位が連通路81の下方端部82よりも高いと制御部121により判断された場合(S14:YES)、制御部121は電磁弁13を閉にする信号を出力する(S15)。制御部121からの閉にする信号に基づき、電磁弁13は閉となり、タンク14から水溜部9への給水は、停止する。
【0083】
制御部121は、水溜部9内の水位が連通路81の下方端部82よりも低くなったと判定した場合、水位が下方端部82よりも高くなるまで電磁弁13を開くため、連通路81の下方端部82が水中に位置するように電磁弁13の開閉制御を行う。従って、連通路81の下方端部82から、水溜部9及びドレンパン8内の空気が、第1流路3に逆流することを抑制することができる。
【0084】
実施形態1において、制御部121は、ループ処理によりS10又はS13の処理である水位に関する情報(センサ10の出力値)の取得を定期的又は周期的に行うものとして説明したが、これに限定されない。センサ10は、水位が連通路81の下方端部82よりも低くなった場合のみ信号を出力し、制御部121は当該信号を取得した場合、電磁弁13を開にする信号を出力するものであってもよい。そして、制御部121は、水位が連通路81の下方端部82よりも高くなり、センサ10が信号の出力を停止することにより、当該信号を取得しなくなった場合、電磁弁13を閉にする信号を出力するものであってもよい。
【0085】
(変形例1)
図4は、変形例1(排気側L:給気側L)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例1の顕熱交換器2は、実施形態1の顕熱交換器2と同様に、第1経路21(複数の排気パス)及び第2経路22(複数の給気パス)が設けられており、当該第1経路21に流れる第1空気と、第2経路22に流れる第2空気とは、対向流を形成する。
【0086】
第1経路21は、実施形態1と同様に、顕熱交換器2の上面側を起点(入口)とし、下方の右側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、L字状をなす。
【0087】
第2経路22は、顕熱交換器2の下面側を起点(入口)とし、上方の左側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、逆L字状をなす。
【0088】
第1経路21及び第2経路22を共にL字状とすることで、第1経路21及び第2経路22における曲げ数(屈曲部の個数)を少なくして、流路抵抗(圧力損失)を減少させることができる。流路抵抗を減少させることにより、第1ファン31及び第2ファン41の効率を向上させることができる。
【0089】
(変形例2)
図5は、変形例2(排気側L:給気側Z)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例2の顕熱交換器2は、実施形態1の顕熱交換器2と同様に、第1経路21(複数の排気パス)及び第2経路22(複数の給気パス)が設けられており、当該第1経路21に流れる第1空気と、第2経路22に流れる第2空気とは、対向流を形成する。
【0090】
第1経路21は、実施形態1と同様に、顕熱交換器2の上面側を起点(入口)とし、下方の右側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、L字状をなす。
【0091】
第2経路22は、顕熱交換器2の下方の左側面側を起点(入口)とし、上方の右側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、Z字状をなす。
【0092】
第2経路22をZ字状にし、第2経路22の終点(出口)の近傍の部位と、第1経路21の起点(入口)とを、顕熱交換器2の断面視において重なり合わせる構成とすることにより、熱交換率を向上させることができる。ただし、図5に示される変形例2は第1流路3と第2流路4とが連通していることを示すものではなく、実施形態1と同様にそれぞれ独立した流路として備えられている。
【0093】
(変形例3)
図6は、変形例3(排気側I:給気側U)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例3の顕熱交換器2は、実施形態1の顕熱交換器2と同様に、第1経路21(複数の排気パス)及び第2経路22(複数の給気パス)が設けられており、当該第1経路21に流れる第1空気と、第2経路22に流れる第2空気とは、対向流を形成する。
【0094】
第1経路21は、顕熱交換器2の上面側を起点(入口)とし、下面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、I字状をなす。
【0095】
第2経路22は、実施形態1と同様に、顕熱交換器2の下方の左側面側を起点(入口)とし、上方の左側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、U字状をなす。
【0096】
第1経路21をI字状とすることで、第1経路21における曲げ数(屈曲部の個数)を少なくして、流路抵抗(圧力損失)を減少させることができる。流路抵抗を減少させることにより、第1ファン31の効率を向上させることができる。また、重力により 顕熱交換器2内に未蒸発の散布水が残ることを防止することができる。これにより、第1経路21に残留した散布水が原因となる雑菌の繁殖も抑制できる。
【0097】
仕切り板62は、第1経路21の出口を下方より覆うように設けられており、仕切り板62の顕熱交換器2側の端部は、第1経路21の出口よりも、第2経路22側となる位置に設けられている。
【0098】
分岐部6は、第1経路21の出口よりも下方に位置する。第1経路21の出口の下流側において顕熱交換器2の下面と仕切り板62との間を通過した以降に分岐部6は設けられており、当該分岐部6によって第1経路21から分岐された散布水回収路61が形成される。
【0099】
仕切り板62により、第1経路21のU字状の頂点(第1空気の折り返し地点)を含む湾曲部が、形成される。当該湾曲部において、遠心力により湾曲部の外周側に分離させた未蒸発の散布水を、仕切り板62にて効率的に水滴化させることができる。仕切り板62は、第1経路21の出口側から吸湿部材7側に向かって下方に傾斜することにより、散布水回収路61を形成しているため、水滴化した未蒸発の散布水を効率的に吸湿部材7(ドレンパン8)に導き、回収することができる。
【0100】
(変形例4)
図7は、変形例4(排気側I:給気側Z)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例4の顕熱交換器2は、実施形態1の顕熱交換器2と同様に、第1経路21(複数の排気パス)及び第2経路22(複数の給気パス)が設けられており、当該第1経路21に流れる第1空気と、第2経路22に流れる第2空気とは、対向流を形成する。
【0101】
第1経路21は、変形例3と同様に顕熱交換器2の上面側を起点(入口)とし、下面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、I字状をなし、変形例3と同様の効果を奏する。
【0102】
第2経路22は、変形例2と同様に顕熱交換器2の下方の左側面側を起点(入口)とし、上方の右側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、Z字状をなし、変形例2と同様の効果を奏する。図7に示される変形例4は第1流路3と第2流路4とが連通していることを示すものではなく、変形例2と同様にそれぞれ独立した流路として備えられている。
【0103】
仕切り板62は、変形例3と同様に第1経路21の出口を下方より覆うように設けられており、仕切り板62の顕熱交換器2側の端部は、第1経路21の出口よりも、第2経路22側となる位置に設けられており、変形例3と同様の効果を奏する。
【0104】
(変形例5)
図8は、変形例5(排気側Z:給気側Z)に係る顕熱交換器2の一構成を示す模式図である。変形例5の顕熱交換器2は、実施形態1の顕熱交換器2と同様に、第1経路21(複数の排気パス)及び第2経路22(複数の給気パス)が設けられており、当該第1経路21に流れる第1空気と、第2経路22に流れる第2空気とは、対向流を形成する。
【0105】
顕熱交換器2は、断面視にて六角形をなす。
【0106】
第1経路21は、顕熱交換器2の上方の左側面側を起点(入口)とし、下方の右側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、Z字状をなす。
【0107】
第2経路22は、顕熱交換器2の下方の左側面側を起点(入口)とし、上方の右側面側を終点(出口)する経路構成としており、顕熱交換器2の断面視において、Z字状をなす。
【0108】
第1経路21及び第2経路22を共にZ字状とし、顕熱交換器2の断面視において、当該顕熱交換器2の中央部において、第1経路21及び第2経路22を重なり合わせる構成とすることにより、熱交換率を向上させることができる。また、重力により顕熱交換器2内に未蒸発の散布水が残るのを防止することができる。これにより、第1経路21に残留した散布水が原因となる雑菌の繁殖も抑制できる。変形例5に対応する図8においては、第1経路21が左上方より右下方に向かって形成され、第2経路22が左下方から右上方に向かって形成されている。ただし、変形例5には不図示の第1経路21が右上方から右下方に向かって形成され、第2経路22左下方から左上方に向かって形成される場合も同様の効果を奏するものとして含まれる。
【0109】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 空調機
2 顕熱交換器(熱交換器)
21 第1経路
22 第2経路
3 第1流路(排気流路)
31 第1ファン(排気ファン)
32 第1フィルタ
33 第1吸込口
34 第1吹出口
4 第2流路(給気流路)
41 第2ファン(給気ファン)
42 第2フィルタ
43 第2吸込口
44 第2吹出口
5 散布部
6 分岐部
61 散布水回収路
62 仕切り板
7 吸湿部材
8 ドレンパン
81 連通路
82 下方端部
9 水溜部
91 空気孔
10 センサ
11 ポンプ
12 コントローラ
121 制御部
122 記憶部
123 入出力I/F
13 電磁弁
14 タンク
15 筐体
151 キャスター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8