(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】システム、登録装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
G07G1/12 331Z
(21)【出願番号】P 2023106236
(22)【出願日】2023-06-28
(62)【分割の表示】P 2022024434の分割
【原出願日】2016-09-21
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔太
(72)【発明者】
【氏名】池澤 るみ
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-86032(JP,A)
【文献】特開2016-162108(JP,A)
【文献】特開2012-48319(JP,A)
【文献】特開2013-242839(JP,A)
【文献】特開2010-237910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、
当該顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置と
を有し、
前記精算装置は、
釣り銭を検知する検知手段と、
前記精算装置の状態を表す状態データを前記登録装置に送信する送信手段と、を有し、
前記登録装置は、
利用可能な精算装置を決定する決定手段、を有し、
前記状態データは、直近の決済処理が決済済みである状態を表す場合、さらに、前記検知手段による検知データを含み、
前記決定手段は、前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記検知データが釣り銭を検知していない状態であることを表す精算装置を利用可能な精算装置とする、システム。
【請求項2】
前記精算装置は、
商品を検知する商品検知手段
を更に備え、
前記状態データは、さらに、前記商品検知手段による商品検知データを含み、
前記決定手段は、前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記
商品検知データが商品を検知している状態を表す精算装置と、前記状態データが決済処理を続行できない状態を表す精算装置と、を利用不可能な精算装置とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記登録装置は、前記決定手段により決定された精算装置のいずれかをユーザの操作に応じて選択する選択手段をさらに有する
請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記登録装置は、前記決定手段により決定された精算装置のいずれかを所定の規則に基づいて選択する選択手段をさらに有する
請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置であって、
当該顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置から受信した、前記精算装置の状態を表す状態データに基づいて、利用可能な精算装置を決定する決定手段
を備え、
前記状態データは、前記精算装置において直近の決済処理が決済済みである状態を表す場合、さらに、前記精算装置による釣り銭の検知に関する検知データを含み、
前記決定手段は、
前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記検知データが釣り銭を検知していない状態であることを表す精算装置を利用可能な精算装置とする、
登録装置。
【請求項6】
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、
当該顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置と、
を有するシステムの方法であって、
前記精算装置が、
釣り銭を検知し、
前記精算装置の状態を表す状態データを前記登録装置に送信し、
前記状態データは、直近の決済処理が決済済みである状態を表す場合、さらに、前記精算装置による釣り銭の検知に関する検知データを含み、
前記登録装置が
、
前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記検知データが釣り銭を検知していない状態であることを表す精算装置を利用可能な精算装置と
決定する、
方法。
【請求項7】
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、
当該顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置と
を有するシステムのプログラムであって、
前記精算装置用のコンピュータに、
釣り銭を検知し、
前記精算装置の状態を表す状態データを前記登録装置に送信
する、
処理を実行させ、
前記状態データは、直近の決済処理が決済済みである状態を表す場合、さらに、前記精算装置による釣り銭の検知に関する検知データを含み、
前記登録装置用のコンピュータに
、
前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記検知データが釣り銭を検知していない状態であることを表す精算装置を利用可能な精算装置と
決定する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等における会計システムにおいて、顧客が精算するための精算装置とは別に登録装置を備える構成が知られている。例えば、特許文献1に記載されたPOS(Point Of Sales)システムは、店員が商品を登録する登録装置に対し、顧客が自ら精算するための精算装置を複数備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、精算装置において釣り銭の取り忘れが生じた場合、その釣り銭を受け取るべき顧客と店員のいずれもが取り忘れに気付かないことがある。特許文献1に記載されたPOSシステムのように、商品の精算に店員の介在を要しない場合、店員が釣り銭の取り忘れに気付く可能性は低い。また、釣り銭以外のカードやレシートについても、同様のことがいえる。
【0005】
本開示の例示的な目的の一つは、登録装置と精算装置とを備えるシステムにおいて、精算後の釣り銭等の取り忘れへの対策を支援するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様におけるシステムは、
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、当該顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置とを有し、
前記精算装置は、
釣り銭を検知する検知手段と、
前記精算装置の状態を表す状態データを前記登録装置に送信する送信手段と、を有し、
前記登録装置は、
利用可能な精算装置を決定する決定手段、を有し、
前記状態データは、直近の決済処理が決済済みである状態を表す場合、さらに、前記検知手段による検知データを含み、
前記決定手段は、前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記検知データが釣り銭を検知していない状態であることを表す精算装置を利用可能な精算装置とする。
本開示の一態様における登録装置は、
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置であって、
当該顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置から受信した、前記精算装置の状態を表す状態データに基づいて、利用可能な精算装置を決定する決定手段
を備え、
前記状態データは、前記精算装置において直近の決済処理が決済済みである状態を表す場合、さらに、前記精算装置による釣り銭の検知に関する検知データを含み、
前記決定手段は、
前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記検知データが釣り銭を検知していない状態であることを表す精算装置を利用可能な精算装置とする。
【0007】
本開示の一態様における方法は、店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、当該顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置と、
を有するシステムの方法であって、
前記精算装置が、
釣り銭を検知し、
前記精算装置の状態を表す状態データを前記登録装置に送信し、
前記状態データは、直近の決済処理が決済済みである状態を表す場合、さらに、前記精算装置による釣り銭の検知に関する検知データを含み、
前記登録装置が、
利用可能な精算装置を決定し、
前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記検知データが釣り銭を検知していない状態であることを表す精算装置を利用可能な精算装置とする。
【0008】
本開示の一態様におけるプログラムは、店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録する登録装置と、当該顧客の操作に基づいて決済処理を行う精算装置とを有するシステムのプログラムであって、
前記精算装置用のコンピュータに、
釣り銭を検知し、
前記精算装置の状態を表す状態データを前記登録装置に送信し、
処理を実行させ、
前記状態データは、直近の決済処理が決済済みである状態を表す場合、さらに、前記精算装置による釣り銭の検知に関する検知データを含み、
前記登録装置用のコンピュータに、
利用可能な精算装置を決定し、
前記状態データが決済済みである状態を表し、かつ、前記状態データに含まれる前記検知データが釣り銭を検知していない状態であることを表す精算装置を利用可能な精算装置とする、
処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、登録装置と精算装置とを備えるシステムにおいて、精算後の釣り銭等の取り忘れへの対策を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、会計システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、会計方法の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図3】
図3は、会計システムの構成の別の例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、精算装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、登録装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、精算装置の主要な機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、登録装置の主要な機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、送信処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、精算処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、カード決済処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、送信処理の別の例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、会計システムの構成のさらに別の例を示すブロック図である。
【
図18】
図18は、コンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は、一の実施形態に係る会計システム100の構成を示すブロック図である。会計システム100は、1以上の精算装置110と、1以上の登録装置120とを含んで構成される。精算装置110及び登録装置120の数は、特定の数に限定されない。精算装置110及び登録装置120は、有線又は無線で通信可能に構成されている。
【0012】
会計システム100は、商品の代価(代金)を支払うための情報処理システムである。ここでいう商品は、有体物たる物品と無体物たるサービスの双方を含み得る。会計システム100は、このような商品を取り扱う店舗(小売店等)に設置される。
【0013】
また、会計システム100において、商品の代価は、貨幣及びその等価物の少なくともいずれかによって支払われる。ここでいう貨幣の等価物は、例えば、金券、商品券、電子マネー、クレジットカード、デビットカードなどである。商品の代価は、このような金銭的価値を有する支払い手段を1以上用いて支払われる。
【0014】
精算装置110は、顧客の操作に基づいて精算処理を行うための装置である。精算装置110は、検知部111を少なくとも含む。これに対し、登録装置120は、顧客の購入対象の商品を店員の操作に基づいて登録するための装置である。登録装置120は、決定部121を少なくとも含む。なお、精算装置110及び登録装置120は、他の構成要素をさらに含み得る。
【0015】
ここでいう精算は、商品の代価を支払うことをいう。ただし、顧客は、商品の代価の一部を登録装置120において支払ってもよい。この場合、顧客は、精算装置110においては、商品の代価のうちの支払い済みの金額を差し引いた残額を支払う。例えば、顧客は、商品の代価の一部を(精算装置110が受け付けることができない)金券によって支払い、残額を(精算装置110が受け付けることができる)貨幣によって支払う、といった支払方法で精算を行うことができる。本開示に係る精算処理は、顧客による商品の代価の支払いを受け付ける決済処理を少なくとも含み、この決済処理に付随する他の処理(画面の表示、レシートの発行等)をさらに含み得る。
【0016】
検知部111は、精算装置110において払い戻される釣り銭を検知する。釣り銭は、商品の代価が顧客の実際の支払額を超える場合の差額に相当する金銭である。検知部111は、釣り銭口のような釣り銭を保持する所定の位置において釣り銭を検知する。換言すれば、検知部111は、このような所定の位置に釣り銭が残存していること(すなわち所定の位置における釣り銭の有無)を検知するともいえる。
【0017】
検知部111による釣り銭の検知方法は、特に限定されない。例えば、検知部111は、重量センサや赤外線センサを用いて釣り銭を検知することができる。あるいは、検知部111は、釣り銭口に蓋や扉が設けられている場合に、釣り銭そのものを検知することに代えて蓋や扉の開閉を検知することで、釣り銭が取り出されたことを検知してもよい。さらに、検知部111は、複数の検知方法を組み合わせて釣り銭を検知してもよい。
【0018】
決定部121は、利用可能な精算装置110を決定する。決定部121は、会計システム100に含まれる精算装置110の一部を利用対象から除外することができる。ここでいう利用可能な精算装置110は、1台に限定されず、2台以上であってもよい。
【0019】
決定部121は、より詳細には、検知部111による検知結果に基づいて、利用可能な精算装置110を決定する。決定部121は、釣り銭が検知されている精算装置110がある場合、その精算装置110を利用対象から除外する。すなわち、決定部121は、釣り銭が検知されている精算装置110を精算に使用できないようにする。換言すれば、検知部111は、釣り銭が検知されていない精算装置110を利用可能な精算装置とするともいえる。
【0020】
なお、会計システム100に含まれる精算装置110が1台のみである場合、決定部121は、その精算装置110を利用可能とみなすか否かを判断する。この場合、決定部121は、精算装置110が釣り銭を検知しなくなるまで、精算装置110を利用可能であるとしない。この場合、顧客は、店員又は(先に精算を終えている)別の顧客が釣り銭を取り出すまで、精算装置110による精算が行えない。
【0021】
図2は、本実施形態の会計方法を示すシーケンスチャートである。ステップ210において、精算装置110は、検知部111により釣り銭を検知し、その検知結果を示す情報を登録装置120に送信する。この情報は、例えば、検知部111により釣り銭が検知されている場合には「1」を示し、検知部111により釣り銭が検知されていない場合には「0」を示す、といったように、釣り銭の有無が識別可能な情報である。なお、精算装置110が会計システム100に複数含まれる場合、ステップ210の処理は、各々の精算装置110によって実行される。
【0022】
釣り銭の検知結果を示す情報を取得した登録装置120は、ステップ220において、精算に利用可能な精算装置110を決定する。具体的には、決定部121は、ステップ210において送信された情報に基づいて精算装置110の利用可能性を判断する。そして、決定部121は、利用可能でないと判断した精算装置110を利用対象から除外する。
【0023】
以上のとおり、本実施形態に係る会計システム100は、利用可能な精算装置110を精算装置110における釣り銭の検知結果に基づいて決定する構成を有する。この構成は、釣り銭が検知されている、すなわち釣り銭が残存している精算装置110を利用対象から除外することを可能にする。したがって、会計システム100によれば、店員による釣り銭の取り忘れへの対策を支援することができる。
【0024】
会計システム100を利用する店員は、例えば、これから精算を行う顧客を釣り銭が残存している精算装置110に案内しないようにすることができる。あるいは、店員は、特定の精算装置110が利用可能にならないことをもって、当該装置において釣り銭が取り出されていないことを把握し、釣り銭を取り出して一時的に保管するといった対策を実行することができる。したがって、会計システム100を利用する店舗は、当該システムを利用しない場合に比べ、釣り銭が本来その釣り銭を受け取るべき顧客と異なる者に不正に取得されるリスクを低減させることが可能である。
【0025】
[第2実施形態]
図3は、別の実施形態に係る会計システム300の構成を示すブロック図である。会計システム300は、精算装置310a、310b、310cと、登録装置320とを含む。精算装置310a、310b、310c及び登録装置320は、有線又は無線のネットワークによって通信可能である。会計システム300は、店舗において店員及び顧客に利用される。
【0026】
精算装置310a、310b、310cは、それぞれ共通の構成を有する。以下において、精算装置310a、310b、310cは、これらを区別する必要がない場合には、「精算装置310」と総称される。また、説明の便宜上、以下においては、精算装置310aを「1番レジ」、精算装置310bを「2番レジ」、精算装置310cを「3番レジ」ともいう。これらは店員及び顧客向けの呼称(通称)である。
【0027】
会計システム300に含まれる精算装置310及び登録装置320の数は、必ずしも
図3に例示された数に限定されない。会計システム300は、精算装置310を2台含んでも4台以上含んでもよく、登録装置320を2台以上含んでもよい。
【0028】
本実施形態において、会計システム300は、第1実施形態の会計システム100の一例に相当する。精算装置310は、第1実施形態の精算装置110の一例に相当する。登録装置320は、第1実施形態の登録装置120の一例に相当する。
【0029】
図4は、精算装置310の構成を示すブロック図である。精算装置310は、制御部410と、通信部420と、表示部430と、入力部440と、スキャン部450と、レシート発行部460と、現金処理部470と、カード処理部480と、センサ部490とを含む。なお、精算装置310は、他の構成要素(例えば特許文献1に記載されたサインポール等)をさらに含んでもよい。
【0030】
制御部410は、精算装置310の各部の動作を制御する。制御部410は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置とメモリとを含む。制御部410は、プログラムを実行することによって精算装置310の各部の動作を制御することが可能である。
【0031】
通信部420は、登録装置320とデータを授受する。通信部420は、例えば、所定の通信方式でのデータの送受信を可能にする通信モジュールを含む。ただし、通信部420による通信は、特定の方式に限定されない。
【0032】
表示部430は、情報を表示する。表示部430は、例えば、液晶等の表示素子を用いた表示パネルとその駆動回路とを含む。表示部430に表示される情報は、主として、顧客への通知を目的とした情報である。ただし、表示部430は、必要に応じて、店員に通知すべき情報を表示してもよく、画面が複数あってもよい。また、表示部430は、本実施形態においてはタッチスクリーンディスプレイであるとする。
【0033】
入力部440は、ユーザ(主として顧客)の入力を受け付ける。本実施形態において、入力部440は、キーボード、キーパッド等に対するキー操作に加え、表示部430に対するタッチ操作を受け付ける。ただし、入力部440は、キー操作とタッチ操作の一方のみを受け付ける構成であってもよい。
【0034】
スキャン部450は、コード情報を光学的に読み取る。スキャン部450は、例えば、バーコードリーダを含む。スキャン部450は、登録装置320により発行されるレシートに印字されたコード情報を読み取る。なお、コード情報は、例えば、バーコードや2次元コード(2次元バーコードともいう。)である。
【0035】
レシート発行部460は、レシートを発行する。レシート発行部460は、例えば、熱を用いて用紙に文字等を印字するサーマルプリンタを含む。レシート発行部460により発行されるレシートは、顧客による精算後に発行されるレシートであり、いわゆる領収書である。
【0036】
現金処理部470は、現金(すなわち貨幣)による決済を処理する。現金処理部470は、入金を受け付けるとともに、必要に応じて釣り銭を出金する。現金処理部470は、より詳細には、入金口471と出金口472とを有する。入金口471は、紙幣及び硬貨を受け付ける。出金口472は、釣り銭に相当する紙幣及び硬貨の少なくとも一方を払い出す。なお、出金口472は、入金口471と兼用される構成であってもよい。
【0037】
カード処理部480は、クレジットカードによる決済を処理する。カード処理部480は、より詳細には、カードリーダ481を有する。カードリーダ481は、挿入口に挿入された顧客のクレジットカードから情報を読み出す。カードリーダ481は、クレジットカードの有無を検知するセンサを有してもよい。なお、カード処理部480は、クレジットカードに代えて(又はクレジットカードに加えて)、FeliCa(登録商標)等の非接触型の記憶媒体を用いた電子マネーによる決済を処理するように構成されてもよい。
【0038】
センサ部490は、出金口472に存在する釣り銭を検知する。センサ部490は、例えば、出金口472に異物が存在する状態とそうでない状態とを識別可能なセンサである。センサ部490は、釣り銭の検知結果に応じたデータ(以下「検知データ」ともいう。)を制御部410に供給する。検知データは、ここでは、釣り銭が検知されている場合に「1」を示し、釣り銭が検知されていない場合に「0」を示すフラグであるとする。センサ部490は、第1実施形態の検知部111の一例に相当する。
【0039】
図5は、登録装置320の構成を示すブロック図である。登録装置320は、制御部510と、通信部520と、表示部530と、入力部540と、スキャン部550と、レシート発行部560とを含む。なお、登録装置320は、精算装置310と同様に、他の構成要素をさらに含んでもよい。
【0040】
制御部510は、登録装置320の各部の動作を制御する。制御部510は、例えば、CPU等の演算処理装置とメモリとを含む。制御部510は、プログラムを実行することによって登録装置320の各部の動作を制御することが可能である。制御部510は、第1実施形態の決定部121の一例に相当する。
【0041】
通信部520は、精算装置310とデータを授受する。通信部420は、例えば、精算装置310の通信部420と共通の通信方式でのデータの送受信を可能にする通信モジュールを含む。通信部520による通信は、通信部420による通信と同様に、特定の方式に限定されない。
【0042】
表示部530は、情報を表示する。表示部530は、例えば、液晶等の表示素子を用いた表示パネルとその駆動回路とを含む。表示部530に表示される情報は、主として、店員への通知を目的とした情報である。ただし、表示部530は、必要に応じて、顧客に通知すべき情報を表示してもよく、店員用のディスプレイと顧客用のディスプレイとを有する構成であってもよい。また、表示部530は、本実施形態においてはタッチスクリーンディスプレイであるとする。
【0043】
入力部540は、ユーザ(主として店員)の入力を受け付ける。本実施形態において、入力部540は、キーボード、キーパッド等に対するキー操作に加え、表示部530に対するタッチ操作を受け付ける。ただし、入力部540は、キー操作とタッチ操作の一方のみを受け付ける構成であってもよい。
【0044】
スキャン部550は、コード情報を光学的に読み取る。スキャン部550は、例えば、バーコードリーダを含む。スキャン部550は、商品に付与されたバーコードを読み取る。このバーコードは、例えば、統一商品コード(Universal Product Code)、JAN(Japanese Article Number)コード及びEAN(European Article Number)コードのいずれかに準拠したバーコードである。
【0045】
レシート発行部560は、レシートを発行する。レシート発行部560は、例えば、熱を用いて用紙に文字等を印字するサーマルプリンタを含む。レシート発行部560により発行されるレシートは、顧客が精算に利用する精算装置310に関する情報を含む。
【0046】
会計システム300の構成は、以上のとおりである。顧客は、店舗において商品を購入する場合、登録装置320を操作する店員に商品を持参し、商品の登録を受け付ける必要がある。店員は、登録装置320を用いて、精算対象である商品を登録する。
【0047】
登録装置320は、店員の操作に応じて登録データを生成する。登録データは、顧客による精算装置310を用いた精算に必要な情報を含む。本実施形態の登録データは、顧客によって精算装置310に支払われるべき金額(以下「精算額」ともいう。)を少なくとも含む。登録データは、精算額のほかに、商品名、商品の単価、商品の個数といった、領収書に記載され得る一般的な情報を含んでもよい。
【0048】
ここでいう精算額は、典型的には、顧客が購入する商品の代価の総額である。ただし、本実施形態において、顧客は、商品の代価の一部を登録装置320において事前に支払うことが可能である。例えば、顧客は、商品の代価の一部を現金又はクレジットカード以外の支払手段で事前に支払い、残額を精算装置310において(すなわち、現金又はクレジットカードで)支払うことが可能である。このような場合の精算額は、商品の代価の総額から事前の支払額を差し引いた残額である。
【0049】
登録装置320は、商品の登録が終了すると、登録データを精算装置310のいずれかに送信する。また、登録装置320は、商品の登録が終了するとレシートを発行する。このレシートは、精算対象である商品が登録されたことを証明する。以下においては、このレシートのことを「登録レシート」といい、精算装置310において発行されるレシート(領収書)と区別する。
【0050】
図6A及び
図6Bは、登録レシートの一例を示す図である。
図6Aに示される登録レシート610は、コード情報611を含んでいる。コード情報611は、精算装置310で読み取り可能な情報である。一方、
図6Bに示される登録レシート620は、登録レシート620を受け取った顧客に精算装置310aに行くように促すメッセージ621を含んでいる。登録レシート620は、精算装置310により読み取られる情報を含まない点において登録レシート610と相違する。
【0051】
顧客は、自らの商品に関する登録データが送信された精算装置310において精算を行う。登録データが送信された精算装置310は、登録レシートに印字された情報により特定可能である。あるいは、店員は、例えば「1番レジに進んでください」といったように、登録データが送信された精算装置310を口頭で案内してもよい。このような場合、登録装置320は、登録レシートを発行する機能を有していなくてもよい。
【0052】
すなわち、登録装置320は、店員による顧客の案内の態様によっては、レシート発行部560を有していなくてもよい。また、登録装置320がレシート発行部560を有しない場合、精算装置310は、スキャン部450を有していなくてもよい。
【0053】
精算装置310は、登録装置320から登録データを受信した後、顧客の操作(所定のタッチ操作、登録レシートのスキャン等)に応じて精算処理を実行する。本実施形態の精算処理は、精算に伴って生じる一連の処理をいう。具体的には、精算装置310は、登録データに記述された精算額以上の入金を受け付けるとともに、必要に応じて釣り銭を出金する。また、精算装置310は、決済が終了したらレシートを発行する。これらの処理は、本実施形態の精算処理の一部に相当する。
【0054】
また、精算装置310は、自装置の状態を表す状態データを登録装置320に送信する。状態データは、例えば、「精算中」、「精算済み」、「休止中」又は「異常発生中」といった状態を登録装置320に通知するためのデータである。ここにおいて、「精算中」とは、いずれかの顧客に係る精算処理が実行中である状態をいう。また、「精算済み」とは、直近の精算処理が終了し、次の精算処理を実行可能である状態をいう。また、「休止中」とは、電源がオフであるなど、精算装置310が稼働していない状態をいう。また、「異常発生中」とは、顧客による店員の呼び出しや、精算装置310の故障などによる、精算装置310が精算処理を続行できない状態をいう。精算装置310は、所定の時間間隔(10秒毎、1分毎等)又は自装置の状態が更新される毎に状態データを登録装置320に送信する。
【0055】
なお、ここでいう「精算中」の状態データは、「決済前」、「決済中」、「レシート発行中」といったように、精算処理の進行状況によってさらに細分化されてもよい。また、1台の精算装置310に対して複数の顧客が精算を待機している場合、「精算中」の状態データは、精算の待ち人数を示すデータをさらに含んでもよい。また、「精算済み」の状態データは、センサ部490による釣り銭の検知結果を示す検知データをさらに含む。
【0056】
登録データを送信する際、登録装置320は、店員の操作に基づいていずれかの送信先を選択する。このとき、登録装置320は、利用可能な精算装置310のいずれかの選択を受け付ける。登録装置320の特徴の一つは、状態データが「精算済み」であり、検知データが「1」を示す精算装置310を、利用可能な精算装置310から除外する点にある。
【0057】
図7は、精算装置310に含まれる制御部410の主要な機能的構成を示す機能ブロック図である。制御部410は、送信制御部710及び精算処理部720を含む。送信制御部710及び精算処理部720に相当する機能は、例えば、制御部410がプログラムを実行することによって実現される。
【0058】
送信制御部710は、状態データの送信を制御する。送信制御部710は、精算装置310の状態を検出し、適当なタイミングで状態データを通信部420に供給する。通信部420は、制御部410から取得された状態データを登録装置320に送信する。
【0059】
精算処理部720は、精算処理を実行する。精算処理部720は、登録装置320により送信された登録データを受信し、顧客の操作を受け付けると、登録データに基づく精算処理を実行する。精算処理部720は、現金処理部470及びカード処理部480と協働し、精算処理を実行する。
【0060】
図8は、登録装置320に含まれる制御部510の主要な機能的構成を示す機能ブロック図である。制御部510は、決定部810と、選択部820と、送信制御部830とを含む。決定部810、選択部820及び送信制御部830に相当する機能は、例えば、制御部510がプログラムを実行することによって実現される。
【0061】
決定部810は、精算に利用可能な精算装置310を決定する。決定部810は、精算装置310により送信された状態データ(及び状態データに含まれる検知データ)に基づいて、精算に利用可能な精算装置310を決定する。決定部810は、第1実施形態の決定部121の一例に相当する。
【0062】
選択部820は、精算に用いる精算装置310を選択する。選択部820は、決定部810により決定された精算装置310の中から、精算に実際に用いる精算装置310を選択する。選択部820は、利用可能な精算装置310、すなわち決定部810により決定された精算装置310が複数ある場合、その複数の精算装置310のうちのいずれか1台を選択する。本実施形態において、選択部820は、店員の操作に基づいて精算装置310を選択する。選択部820により選択された精算装置110は、顧客による精算を受け付ける状態になる。
【0063】
送信制御部830は、登録データの送信を制御する。送信制御部830は、選択部820により選択された精算装置310に送信される登録データを通信部520に供給する。通信部520は、制御部510から取得された登録データを精算装置310に送信する。
【0064】
図9は、登録装置320により実行される登録データの送信処理を示すフローチャートである。ステップ910において、制御部510は、精算装置310から送信された状態データを取得する。制御部510は、通信部520により受信された状態データを通信部520から取得する。
【0065】
ステップ920において、制御部510は、精算装置310の全て(精算装置310a、310b及び310c)から状態データを取得したかを判断する。状態データを取得していない精算装置310がある場合(ステップ920:NO)、制御部510は、全ての精算装置310から状態データを取得するまでステップ910、920の処理を繰り返す。制御部510は、全ての精算装置310から状態データを取得した場合(ステップ920:YES)、ステップ930の処理を実行する。
【0066】
ステップ930において、制御部510は、精算に利用可能な精算装置310を決定する。制御部510は、精算に利用可能な精算装置310を状態データに基づいて決定する。具体的には、制御部510は、利用可能な状態でない精算装置310を利用対象から除外する。例えば、上述の例の場合、制御部510は、状態データが「休止中」又は「異常発生中」を示す精算装置310を利用可能でないと判断する。
【0067】
また、制御部510は、状態データが「精算済み」を示し、かつ検知データが「1」を示す精算装置310を利用対象から除外する。一方、制御部510は、状態データが「精算済み」を示し、かつ検知データが「0」を示す精算装置310については、利用対象から除外しなくてよい。すなわち、制御部510は、次の精算処理が実行可能な状態の精算装置310であっても、釣り銭が検知されていれば、利用対象から除外する。
【0068】
ステップ940において、制御部510は、精算に利用可能な精算装置310を表示させるように表示部430を制御する。より詳細には、制御部510は、精算に利用可能な精算装置310のいずれかの選択を受け付ける選択画面を表示部430に表示させる。
【0069】
図10A、
図10B及び
図10Cは、表示部430により表示される選択画面の表示例を示す図である。
図10Aに示される選択画面1010は、精算装置310a、310b、310cのいずれも精算に利用可能である場合に表示される。ここにおいて、ボタン1011、1012及び1013は、精算装置310a、310b、310cのいずれかを選択するためのボタンを表す画像である。店員は、ボタン1011、1012及び1013のいずれかにタッチすることにより、精算に用いる精算装置310を選択することができる。
【0070】
一方、
図10Bに示される選択画面1020は、精算装置310a、310bが精算に利用可能であり、精算装置310cが精算に利用可能でない場合に表示される。ここにおいて、ボタン1021及び1022は、選択画面1010のボタン1011及び1012と同様の表示態様で表示され、これらのボタンと同様の機能を有する。
【0071】
これに対し、ボタン1023は、ボタン1021及び1022と異なる表示態様で表示されている。ボタン1023は、精算装置310cが精算に利用可能でないことを表している。また、ボタン1023は、ユーザによる選択を受け付けないように構成されている。店員は、仮にボタン1023にタッチしたとしても、精算装置310cを選択することができない。
【0072】
また、
図10Cに示される選択画面1030は、選択画面1020と同様の場合における別の表示例である。選択画面1030は、ボタン1021及び1022に対応するボタン1031及び1032を含む一方、ボタン1023に対応するボタンを含まない。すなわち、選択画面1030は、精算に利用可能な精算装置310に対応するボタンのみを表示する点において選択画面1020と相違する。
【0073】
なお、選択画面に表示されるボタンは、状態データに応じた表示態様で表示されてもよい。例えば、制御部510は、状態データが「精算中」である場合と「精算済み」である場合とでボタンの色を異ならせてもよい。あるいは、制御部510は、状態データが「精算中」である場合に、ボタン内に待ち人数を表示させてもよい。
【0074】
店員は、このような選択画面に表示される情報を参考にしながら、顧客を案内する精算装置310を選択する。店員は、選択画面に表示される情報のほかに、登録装置320からそれぞれの精算装置310までの距離などの他の要素も考慮しながら精算装置310を選択することができる。
【0075】
なお、制御部510は、精算装置310の状態が途中で変化した場合、換言すれば状態データが変化した場合に、ステップ930、940の処理を再度実行してもよい。例えば、制御部510は、釣り銭が検知されていたために利用対象から除外されていた精算装置310から検知データが送信された場合において、当該装置において釣り銭が検知されなくなったことを当該検知データが示すとき、当該装置を利用可能な精算装置に変更することが可能である。利用可能な精算装置310が増加(又は減少)した場合、制御部510は、選択画面を更新してもよい。
【0076】
ステップ950において、制御部510は、このように表示された選択画面において店員によりいずれかのボタン(すなわち精算装置310)が選択されたかを判断する。制御部510は、ボタンが選択されない場合(ステップ950:NO)、この判断を繰り返す。制御部510は、選択可能ないずれかのボタンが選択されると(ステップ950:YES)、ステップ960の処理を実行する。
【0077】
店員の操作(すなわち選択)に応じて、制御部510は、ステップ960において登録データを通信部520を介して送信する。具体的には、制御部510は、店員に選択されたボタンに対応する精算装置310に対して登録データを送信する。精算装置310は、登録データを受信することにより、精算処理を実行可能な状態になる。
【0078】
図11は、精算装置310により実行される精算処理を示すフローチャートである。ステップ1110において、制御部410は、登録装置320により送信された登録データを通信部420を介して取得する。ステップ1120において、制御部410は、顧客による入力の有無を判断する。例えば、制御部410は、スキャン部450によりコード情報(
図6A参照)が読み取られたかを判断する。あるいは、制御部410は、入力部440において所定の操作が受け付けられたかを判断してもよい。
【0079】
ステップ1130において、制御部410は、顧客による入金を受け付ける。この入金に先立ち、制御部410は、入金が現金かクレジットカードかを判断してもよい。例えば、制御部410は、支払手段として現金又はクレジットカードのいずれかを選択する選択画面を表示部430に表示させ、顧客の入力を受け付ける。
【0080】
ステップ1140において、制御部410は、入金が現金とクレジットカードのいずれによって行われるかを判断する。この後、制御部410は、ユーザにより選択された支払手段に応じた決済処理を実行する。支払手段が現金である場合(ステップ1140:YES)、制御部410は、ステップ1150以降の処理を実行する。一方、支払手段がクレジットカードである場合、(ステップ1140:NO)、制御部410は、ステップ1180のカード決済処理を実行する。
【0081】
ステップ1150において、現金処理部470は、釣り銭の要否を判断する。具体的には、現金処理部470は、登録データにより特定される精算額とステップ1130における入金額とを比較することにより、釣り銭の要否を判断する。現金処理部470は、入金額が精算額よりも多い場合、釣り銭が必要であると判断する。
【0082】
釣り銭が必要な場合(ステップ1150:YES)、現金処理部470は、ステップ1160において、入金額と精算額との差額に相当する釣り銭を出金する。一方、釣り銭が不要な場合(ステップ1150:NO)、現金処理部470は、ステップ1160の処理をスキップする。ステップ1170において、レシート発行部460は、支払手段に応じたレシートを発行する。
【0083】
図12は、ステップ1180のカード決済処理を示すフローチャートである。ステップ1210において、制御部410は、顧客にクレジットカードの挿入を促す画面(以下「挿入画面」ともいう。)を表示部430に表示させる。クレジットカードが挿入されたら、制御部410は、ステップ1220において、表示部430に表示させる画面を挿入画面から確認画面に切り替える。確認画面は、決済の内容を確認するための画面である。
【0084】
図13は、確認画面の一例を示す図である。確認画面1300は、クレジットカードによる精算額、支払方法(一括払い、分割払い等)などを表示する。また、確認画面1300は、確定ボタン1310及びキャンセルボタン1320を含む。顧客は、確認画面1300に表示された内容の決済に同意する場合に、確定ボタン1310にタッチする。また、顧客は、クレジットカードによる決済に同意しない場合に、キャンセルボタン1320にタッチする。
【0085】
ステップ1230において、制御部410は、クレジットカードによる決済を実行するかを判断する。例えば、制御部410は、確認画面1300の確定ボタン1310が選択されたか否かを判断する。この場合、制御部410は、確定ボタン1310が選択されるまで、ステップ1230の判断を繰り返す。確定ボタン1310が選択されると(ステップ1230:YES)、カード処理部480は、ステップ1240の判断を実行する。
【0086】
ステップ1240において、カード処理部480は、カードリーダ481にクレジットカードが残存しているかを判断する。例えば、カードリーダ481は、挿入口周辺に設けられたセンサを用いて、挿入口にクレジットカードが挿入されたままであるか否かを判断する。クレジットカードが残存している場合(ステップ1240:YES)、カード処理部480は、ステップ1250において、クレジットカードの取り忘れを通知する通知画面を表示部430に表示させる。
【0087】
図14は、通知画面の一例を示す図である。通知画面1400は、クレジットカードの取り出しを促すメッセージ1410を含んでいる。カード処理部480は、カードリーダ481からクレジットカードが取り出されるまで、表示部430に通知画面1400の表示を続行させる。通知画面1400をクレジットカードが取り出されるまで表示することにより、顧客がクレジットカードを取り忘れるリスクを低減させることが可能である。なお、カード処理部480は、確認画面1300のキャンセルボタン1320が選択された場合にも通知画面1400を表示させてもよい。
【0088】
クレジットカードが取り出されると(ステップ1240:NO)、カード処理部480は、ステップ1260において決済処理を実行する。決済処理は、クレジットカードを認証し、認証後に取引を成立させる処理である。カード処理部480は、クレジットカードの決済における一般的な方法を用いて決済処理を実行することができる。
【0089】
この例において、登録装置320は、精算装置310をカード決済処理が終了するまで利用対象から除外してもよい。このようにすれば、クレジットカードが取り出されていない状態の精算装置310をクレジットカードが取り出されるまで利用できないようにすることが可能である。
【0090】
なお、カード決済処理は、
図12の例に限定されない。精算装置310は、周知のより一般的な方法でカード決済処理を実行してもよい。また、精算装置310は、クレジットカードによる決済を受け付けず、現金による決済のみを受け付けるように構成されてもよい。
【0091】
以上のとおり、本実施形態に係る会計システム300は、利用可能な精算装置310を精算装置310における釣り銭の検知結果に基づいて決定し、さらに店員の操作に応じて精算に用いる精算装置310を選択する構成を有する。この構成により、会計システム300は、第1実施形態の会計システム100と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0092】
また、会計システム300によれば、店員は、利用可能な精算装置310が複数ある場合に、より適切と思われる精算装置310に顧客を案内することが可能である。例えば、店員は、待ち人数がより少ない精算装置310や、登録装置320からより近い精算装置310に顧客を案内することが可能である。
【0093】
[変形例]
本開示は、上述された第1実施形態及び第2実施形態に限定されない。本開示は、例えば、以下に記載される変形例を含む。また、本開示は、本明細書に記載された事項を必要に応じて適宜に組み合わせ、又は置換した形態を含み得る。例えば、特定の実施形態を用いて説明された事項は、矛盾を生じない範囲において、他の実施形態に対しても適用され得る。さらに、本開示は、これらに限らず、いわゆる当業者が把握し得る変形又は応用を適用した実施の形態を含み得る。
【0094】
(変形例1)
登録装置320は、精算に用いる精算装置310を店員の操作によらずに選択することも可能である。例えば、登録装置320は、精算に用いる精算装置310をあらかじめ決められた規則に基づいて選択してもよい。
【0095】
図15は、登録データの送信処理の別の例を示すフローチャートである。このフローチャートは、ステップ930までの処理が
図9に例示された送信処理と共通する。したがって、ここでは、ステップ930までの処理の説明は省略される。
【0096】
ステップ1510において、制御部510は、ステップ930において決定された精算装置310が複数ある場合、この複数の精算装置310のうち所定の条件を満たす1台の精算装置310を選択する。例えば、制御部510は、待ち人数が最も少ない精算装置310を選択する。あるいは、制御部510は、複数の精算装置310における待ち人数が等しい(ただし、1人以上)場合、精算処理が最も進行している精算装置310を選択する。例えば、精算装置310aの状態データが「決済前」であり、精算装置310bの状態データが「レシート発行中」である場合、制御部510は、利用対象として精算装置310bを選択する。
【0097】
ステップ1520において、制御部510は、ステップ1510において選択された精算装置310に対して、通信部520を介して登録データを送信する。登録データを送信する具体的な処理は、ステップ960と同様である。
【0098】
このように動作することにより、登録装置320は、自動的に、すなわち店員による精算装置310を選択するための操作を要することなく、精算に用いる精算装置310を選択することが可能である。
【0099】
(変形例2)
登録装置320は、登録データを通信によらずに精算装置310に供給することも可能である。例えば、登録装置320は、登録データが埋め込まれたコード情報が印字された登録レシートを発行してもよい(
図6A参照)。この場合、精算装置310は、コード情報を読み取ることによって登録データを認識することが可能である。
【0100】
(変形例3)
本開示に係るシステムは、釣り銭以外の物体の遺失対策に転用することも可能である。例えば、本開示に係るシステムは、レシートや精算後の商品を検知することにより、これらが第三者に不正に取得されるリスクを低減させることも可能である。また、本開示に係るシステムは、以下に例示されるように、釣り銭に代えて(又は釣り銭に加えて)カードを検出するように構成されてもよい。
【0101】
図16は、本開示に係る会計システム1600の構成を示すブロック図である。会計システム1600は、顧客により取り忘れられたカードが第三者に不正に取得されるリスクを低減させるための情報処理システムである。ここでいうカードは、例えばクレジットカードであるが、プリペイドカード、ポイントカード、メンバーズカードなどの精算時に使用する他のカードであってもよい。すなわち、ここでいうカードは、代価の支払手段であるか否かを問わない。
【0102】
会計システム1600は、精算装置1610と、登録装置1620とを含む。精算装置1610は、検知部1611と、精算処理部1612とを少なくとも含む。登録装置1620は、決定部1621を少なくとも含む。なお、精算装置1610及び登録装置1620のそれぞれの数は、複数であってもよい。
【0103】
検知部1611は、カードを検知する。検知部1611は、例えば、第2実施形態のカードリーダ481のように、カードの有無を検知するセンサを有する。例えば、検知部1611は、挿入口に挿入されているカードを検知する。換言すれば、検知部1611は、カードが挿入口に挿入されたままであることを検知する。
【0104】
精算処理部1612は、精算処理を実行する。精算処理部1612は、商品の代価を検知部1611により検知されるカードにより決済してもよいが、現金等の他の支払手段により決済してもよい。精算処理部1612により実行される精算処理は、第2実施形態において説明された精算処理と同様であってもよく、そうでなくてもよい。
【0105】
精算処理部1612は、検知部1611によりカードが検知されなくなった場合に精算処理を実行する。あるいは、精算処理部1612は、精算処理に含まれる処理の少なくとも一部を、検知部1611によりカードが検知されなくなってから実行する。つまり、精算処理部1612により実行される精算処理は、検知部1611によりカードが検知されなくなるまで完了しない。精算処理部1612は、例えば、第2実施形態におけるカード決済処理(
図12参照)のように、カードが取り出されるまで決済処理を実行しない制御を実行してもよい。
【0106】
決定部1621は、利用可能な精算装置1610を決定する。決定部1621は、精算処理部1612により精算処理が完了した精算装置1610を利用可能であるとする。決定部1621は、例えば、第2実施形態の状態データと同様のデータを用いることで、精算装置1610において精算処理が完了したか否かを判断してもよい。
【0107】
(変形例4)
本開示に係るシステムは、登録装置及び精算装置以外の構成を含んでもよい。例えば、本開示に係るシステムは、POSシステムにおけるストアコンピュータに相当する構成を含んでもよい。この場合、上述の登録装置120又は登録装置320の構成要素の一部又は全部は、ストアコンピュータが有してもよい。
【0108】
(変形例5)
図17A及び
図17Bは、本開示に係る登録装置の他の構成例を示すブロック図である。
図17Aに示される登録装置1710は、決定部1711と、選択部1712とを含む。
図17Bに示される登録装置1720は、取得部1721と、決定部1722とを含む。第1実施形態において説明された登録装置120又は第2実施形態において説明された登録装置320は、登録装置1710又は1720と置き換え可能である。また、本開示に係る登録装置は、登録装置1710及び1720を組み合わせた構成であってもよい。
【0109】
決定部1711は、利用可能な精算装置を決定する。例えば、決定部1711は、釣り銭が検知されていない精算装置を利用可能であるとし、釣り銭が検知されている精算装置を利用対象から除外する。選択部1712は、決定部1711により決定された精算装置のいずれかを選択する。選択部1712は、所定の規則に基づいていずれかの精算装置を選択してもよいが、店員の操作を受け付け、当該操作に基づいていずれかの精算装置を選択してもよい。
【0110】
取得部1721は、精算装置における釣り銭の検知結果を示す情報を取得する。この情報は、例えば、第2実施形態における検知データである。決定部1722は、取得部1721により取得された情報に基づいて利用可能な精算装置を決定する。具体的には、決定部1722は、釣り銭が検知されていない精算装置を利用可能であるとする。
【0111】
(変形例6)
本開示に係る登録装置、精算装置及びシステムの具体的なハードウェア構成は、さまざまなバリエーションが含まれ、特定の構成に限定されない。例えば、本開示に係る登録装置は、ソフトウェアを用いて実現されてもよく、複数のハードウェアを用いて各種処理を分担するように構成されてもよい。
【0112】
図18は、本開示に係る登録装置又は精算装置を実現するコンピュータ装置1800のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ装置1800は、CPU(Central Processing Unit)1801と、ROM(Read Only Memory)1802と、RAM(Random Access Memory)1803と、記憶装置1804と、ドライブ装置1805と、通信インタフェース1806と、入出力インタフェース1807とを含んで構成される。本開示に係る登録装置又は精算装置は、
図18に示される構成(又はその一部)によって実現され得る。
【0113】
CPU1801は、RAM1803を用いてプログラム1808を実行する。プログラム1808は、ROM1802に記憶されていてもよい。また、プログラム1808は、メモリカード等の記録媒体1809に記録され、ドライブ装置1805によって読み出されてもよいし、外部装置からネットワーク1810を介して送信されてもよい。通信インタフェース1806は、ネットワーク1810を介して外部装置とデータをやり取りする。入出力インタフェース1807は、周辺機器(入力装置、表示装置など)とデータをやり取りする。ドライブ装置1805、通信インタフェース1806及び入出力インタフェース1807は、データを取得又は出力するための構成要素として機能することができる。
【0114】
なお、本開示に係る登録装置又は精算装置の構成要素は、単一の回路(プロセッサ等)によって構成されてもよいし、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。ここでいう回路(circuitry)は、専用又は汎用のいずれであってもよい。例えば、本開示に係る登録装置又は精算装置は、一部が専用のプロセッサによって実現され、他の部分が汎用のプロセッサによって実現されてもよい。
【0115】
上述された実施形態において単体の装置として説明された構成は、複数の装置に分散して設けられてもよい。例えば、登録装置120又は登録装置320は、クラウドコンピューティング技術などを用いて、複数のコンピュータ装置の協働によって実現されてもよい。
【0116】
[付記]
本開示の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、これらに限定されない。
(付記1)
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録するための登録装置と、当該顧客の操作に基づいて精算処理を行うための精算装置とを有し、
前記精算装置は、釣り銭を検知する検知手段を有し、
前記登録装置は、前記検知手段により釣り銭が検知されていない精算装置を利用可能な精算装置とする決定手段を有する
システム。
(付記2)
前記決定手段は、前記検知手段により釣り銭が検知されている精算装置を利用可能な精算装置から除外した後、当該検知手段により釣り銭が検知されなくなった場合に、当該精算装置を利用可能な精算装置とする
付記1に記載のシステム。
(付記3)
前記登録装置は、前記決定手段により決定された精算装置のいずれかをユーザの操作に応じて選択する選択手段をさらに有する
付記1又は付記2に記載のシステム。
(付記4)
前記登録装置は、前記決定手段により決定された精算装置のいずれかを所定の規則に基づいて選択する選択手段をさらに有する
付記1又は付記2に記載のシステム。
(付記5)
各々が釣り銭を検知する検知手段を有する複数の精算装置と、
前記複数の精算装置のうち、前記検知手段により釣り銭が検知されていない精算装置を利用対象として選択する選択手段を有する登録装置と
を備えるシステム。
(付記6)
前記登録装置は、前記精算処理に用いられる情報の前記選択手段により選択された精算装置への送信を制御する送信制御手段をさらに有する
付記3から付記5までのいずれか1に記載のシステム。
(付記7)
精算装置における釣り銭の検知結果を示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報に基づいて利用可能な精算装置を決定する決定手段であって、釣り銭が検知されていない精算装置を利用可能とする決定手段と
を備える登録装置。
(付記8)
前記決定手段は、前記検知手段により釣り銭が検知されている精算装置を利用可能な精算装置から除外した後、当該検知手段により釣り銭が検知されなくなった場合に、当該精算装置を利用可能な精算装置とする
付記7に記載の登録装置。
(付記9)
精算装置における釣り銭を検知し、
前記釣り銭が検知されていない精算装置を利用可能な精算装置とする
方法。
(付記10)
前記釣り銭が検知されている精算装置を利用可能な精算装置から除外した後、当該釣り銭が検知されなくなった場合に、当該精算装置を利用可能な精算装置とする
付記9に記載の方法。
(付記11)
コンピュータに、
精算装置における釣り銭の検知結果を示す情報を取得する第1の処理と、
前記取得された情報に基づいて、前記釣り銭が検知されていない精算装置を利用可能な精算装置とする第2の処理と
を実行させるためのプログラム。
(付記12)
前記第2の処理は、前記釣り銭が検知されている精算装置を利用可能な精算装置から除外した後、当該釣り銭が検知されなくなった場合に、当該精算装置を利用可能な精算装置とする処理を含む
付記11に記載のプログラム。
(付記13)
店員の操作に基づいて顧客の購入対象の商品を登録するための登録装置と、当該顧客の操作に基づいて精算処理を行うための精算装置とを有し、
前記精算装置は、
カードを検知する検知手段と、
前記検知手段によりカードが検知されなくなった場合に前記精算処理の少なくとも一部を実行する精算処理手段とを有し、
前記登録装置は、
前記精算処理手段により前記精算処理が完了した場合に前記精算処理が完了した精算装置を利用可能な精算装置とする決定手段を有する
システム。
【符号の説明】
【0117】
100、300、1600 会計システム
110、310、310a、310b、310c、1610 精算装置
111 検知部
120、320、1620、1710、1720 登録装置
121、810、1621、1711、1722 決定部
820、1712 選択部