(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】修理拠点選定システムおよび修理拠点選定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240827BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2023215710
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2020068282の分割
【原出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【氏名又は名称】阿久津 好二
(74)【代理人】
【識別番号】100170988
【氏名又は名称】妹尾 明展
(74)【代理人】
【識別番号】100189566
【氏名又は名称】岸本 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【氏名又は名称】江口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛弘
(72)【発明者】
【氏名】川村 香織
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-216759(JP,A)
【文献】特開2019-168927(JP,A)
【文献】特開2004-318536(JP,A)
【文献】特開2003-151069(JP,A)
【文献】特開2005-045501(JP,A)
【文献】特開2010-127836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置情報を取得する位置情報取得装置と、
前記車両に搭載されたセンサ装置と、
前記センサ装置が取得したセンサ信号を使用して故障を診断する故障診断部と、
修理拠点の位置情報を含む修理拠点データ、前記修理拠点ごとの修理可能な故障内容を含む修理可能データ、及び、前記修理拠点ごとの修理が開始されるまでの時間と修理所要時間とを加算した修理待ち時間データを記憶する記憶部と、
前記車両から受信した位置情報、前記故障診断部で診断された故障内容、前記修理可能データに含まれる修理可能な故障内容、前記修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報、及び、前記修理待ち時間データを用いて、最短で故障の修理を完了できる1つの修理拠点を選定する修理拠点選定部と、
を含み、
前記修理拠点選定部は、
前記故障内容を修理可能な修理拠点までの移動距離を算出し、該移動距離から移動時間を算出し、前記故障内容を修理可能な修理拠点における前記修理待ち時間を前記記憶部から抽出し、前記故障内容を修理可能な修理拠点ごとに、算出された前記移動時間と抽出された前記修理待ち時間とを加算し、加算された時間が最短である1つの修理拠点を選択する、
修理拠点選定システム。
【請求項2】
車両の位置情報を取得する位置情報取得装置と、
前記車両に搭載されたセンサ装置と、
前記センサ装置が取得したセンサ信号を使用して故障を診断する故障診断部と、
修理拠点の位置情報を含む修理拠点データ、前記修理拠点ごとの修理可能な故障内容を含む修理可能データ、及び、前記修理拠点ごとの修理が開始されるまでの時間と修理所要時間とを加算した修理待ち時間データを記憶する記憶部と、
前記車両から受信した位置情報、前記故障診断部で診断された故障内容、前記修理可能データに含まれる修理可能な故障内容、前記修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報、及び、前記修理待ち時間データを用いて、最短で故障の修理を完了できる1つの修理拠点を選定する修理拠点選定部と、
を含み、
前記修理拠点選定部は、
前記故障内容を修理可能な修理拠点までの移動距離を算出し、該移動距離が一定値以下の修理拠点を抽出し、抽出された前記修理拠点における前記修理待ち時間を抽出し、該修理待ち時間が最短である1つの修理拠点を選択する、
修理拠点選定システム。
【請求項3】
前記車両が前記修理拠点に滞在している滞在時間を計算し、計算された前記滞在時間を前記修理待ち時間として前記記憶部に記憶させ
る滞在時間計算部をさらに備え、
前記滞在時間計算部は、定期的に前記車両から受信する位置情報と、前記修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報とが一致する時間を前記滞在時間として計算する、
請求項1または2に記載の修理拠点選定システム。
【請求項4】
前記車両が架装車両であり、
前記センサ装置が、架装車両のパワーパッケージに取り付けられている圧力計、温度計、電圧計、回転数計および/またはフロートセンサである、請求項1または2に記載の修理拠点選定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修理拠点選定システムおよび修理拠点選定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通信ネットワークを介して車両情報がサーバーに送信されている(特許文献1等)。特許文献1はサーバーで車両の保守整備の要否を判断する。車両が架装車両であれば、車両に搭載されているパワーパッケージの保守整備の要否も判断することになる。保守整備が必要と判断された場合に架装車両を修理拠点に移動させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、最寄の修理拠点に架装車両を移動させても、他の架装車両の修理が多くあれば、修理の待ち時間が長くなる。最寄りの修理拠点が故障した部分の修理に対応していなければ、その修理拠点で修理できない。また、架装車両を移動させた修理拠点に交換部品の在庫が無かったり、修理担当の整備士が不在であったりすれば、その修理拠点で修理がおこなえない。
【0005】
本発明の目的は、最適な修理拠点を選定する修理拠点選定システムおよび修理拠点選定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決すべく、本発明に係る修理拠点選定システムおよび修理拠点選定方法は、以下に述べるような構成を有する。
【0007】
本発明の修理拠点選定システムは、車両の位置情報を取得する位置情報取得装置と、前記車両に搭載されたセンサ装置と、前記センサ装置が取得したセンサ信号を使用して故障を診断する故障診断部と、前記修理拠点の位置情報を含む修理拠点データおよび前記修理拠点ごとの修理可能な故障内容を記憶した修理可能データを記憶した記憶部と、前記車両から受信した位置情報、故障診断部で診断された故障内容、修理可能データに含まれる修理可能な故障内容および修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報を用いて少なくとも1つの修理拠点を選定する修理拠点選定部とを含む。
【0008】
本発明の修理拠点選定方法は、車両の位置情報を取得する位置情報取得および車両に搭載されたセンサ装置が取得したセンサ信号を用いて修理拠点を選定する修理拠点選定方法であって、前記センサ信号を使用して故障を診断するステップと、前記修理拠点の位置情報を含む修理拠点データおよび前記修理拠点ごとの修理可能な故障内容を含む修理可能データを記憶した記憶部を備え、前記位置情報、診断された故障内容、修理可能データに含まれる修理可能な故障内容および修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報を用いて少なくとも1つの修理拠点を選定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、最短で故障を修理できる修理拠点を選定できる。車両の修理が終了するまでの時間を短くできる。各修理拠点が修理時間の短縮に努めるため、各修理拠点のサービスレベルが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願の修理拠点選定システムの構成を示す図である。
【
図2】本願の修理拠点選定システムの構成ブロックを示す図である。
【
図3】待ち時間データを備えた修理拠点選定システムの構成ブロックを示す図である。
【
図4】滞在時間計算部を備えた修理拠点選定システムの構成ブロックを示す図である。
【
図5】携帯端末に故障診断部と修理拠点選定部を備えた修理拠点選定システムの構成ブロックを示す図である。
【
図6】携帯端末の故障診断部と修理拠点選定部がサーバー装置にアクセスしながら処理する修理拠点選定システムの構成ブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る修理拠点選定システムおよび修理拠点選定方法について図面を参照して説明する。複数の実施形態を説明するが、異なる実施形態であっても同じ手段には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0012】
[実施形態1]
図1および
図2に示す本願の修理拠点選定システム10は、センサ装置12および位置情報取得装置14が搭載された車両16、通信ネットワーク18およびサーバー装置20を備える。
【0013】
車両16はパワーパッケージを備えた架装車両である。ゲート装置は液圧装置であるパワーパッケージと液圧シリンダ、配管、液体(作動油)、荷物を載せるプラットフォーム、リンク機構で構成されている。この液圧装置の状態を検知するために、センサ装置12が備えられている。センサ装置12は圧力計、温度計、電圧計、回転数計、フロートセンサなどである。センサ装置12によって、液体の圧力、液体の温度、モータの端子間電圧、ポンプの回転数、液面の高さなどを検知する。センサ装置12は検知した信号をセンサ信号として出力する。本説明では、センサ装置12が取り付けられる装置をパワーパッケージとして説明する。
【0014】
位置情報取得装置14は車両16の位置を検知し、その位置情報として出力する。位置情報取得装置14として車両16に取り付けられたGPS(Global Positioning System)装置を使用することができる。また、位置情報取得装置14は、ラップトップ型コンピュータ、スマートフォンおよびタブレットなどの携行可能なコンピュータを利用してもよい。携行可能なコンピュータに車両16の所在地を入力したり、地図ソフトをインストールしてその地図ソフトで所在地を指定したりして、車両16の位置情報を取得する。携行可能なコンピュータにGPS装置が備えられてもよい。
【0015】
車両16は、センサ装置12のセンサ信号および位置情報取得装置14の位置情報を通信ネットワーク18を介して通信するための通信装置22を備える。通信装置22は、センサ信号および位置情報を含む通信データを生成し、通信ネットワーク18に送信する。
【0016】
通信ネットワーク18は送信データを送信するための通信網である。通信ネットワーク18は、インターネット通信網およびセルラー通信網などを含む。車両16は移動するため、通信装置22はセルラー通信網に接続される装置を使用する。
【0017】
図2に示すように、サーバー装置20は通信ネットワーク18に対してデータを送受信する通信部24、送信データを用いてパワーパッケージの液圧装置の故障を診断する故障診断部26、修理拠点ごとの修理可能な故障内容を記憶した修理可能データ28および修理拠点ごとの位置情報を記憶した修理拠点データ30を記憶した記憶部32、修理拠点を選定する修理拠点選定部34および選定された修理拠点のデータを含む通知データを生成する通知部36として機能する。
【0018】
サーバー装置20は通信ネットワーク18に接続されており、通信部24が送信データを受信する。送信データは故障診断部26に送られて処理される。
【0019】
故障診断部26は送信データに含まれるセンサ信号を用いてセンサ装置12が取り付けられた装置の故障を診断する。たとえば、フロートセンサで検知した液面の高さで液圧装置の液体漏れを判断する。
【0020】
修理可能データ28は修理拠点の名称と修理拠点ごとに修理できる故障の内容とを関連付けしたデータである。修理拠点データ30は修理拠点の名称と所在地を関連付けしたデータである。修理拠点は複数であり、修理拠点ごとに所在地が記憶されている。修理拠点の電話番号、ファックス番号および電子メールアドレスなどの修理拠点に関する他の情報を修理拠点データ30に含めてもよい。修理可能データ28と修理拠点データ30はサーバー装置20の記憶部32に記憶されている。
【0021】
修理拠点選定部34は送信データに含まれる位置情報、故障診断部26で診断された故障内容、修理可能データ28に含まれる修理可能な故障内容および修理拠点データ30に含まれる修理拠点の位置情報を用いて修理拠点を選定する。
【0022】
修理拠点の選定方法は、下記の(1)~(4)の順番でおこなう。(1)故障診断部26で診断された故障内容が修理可能な修理拠点を修理可能データ28から抽出する。(2)抽出された修理拠点の所在地を修理拠点データ30から抽出する。(3)抽出された所在地の中から送信データに含まれる位置情報に最も近い位置にある所在地を選定する。(4)選定された所在地の修理拠点を最適な修理拠点とする。
【0023】
通知部36は修理拠点のデータを含む通知データを生成する。修理拠点のデータは、修理拠点の名称および所在地を含む。また、そのデータに修理拠点の電話番号を含めてもよい。通知データは通信部24が携帯端末38に向けて送信する。
【0024】
携帯端末38は車両16の運転者が携行する携帯電話、スマートフォン、タブレットなどである。携帯端末38は通信ネットワーク18に無線接続されている。たとえば、携帯端末38はセルラー通信網を利用可能な端末である。携帯端末38は通信ネットワーク18を介してサーバー装置20から送られた通知データを受信する。携帯端末38は音声、画面表示またはその両方によって運転者に修理拠点を通知する。
【0025】
通信ネットワーク18に修理会社のコンピュータ40が接続されていてもよい。修理拠点選定部34で選定された修理拠点を有する修理会社のコンピュータ40に修理依頼のデータを送信してもよい。また、修理会社のコンピュータ40がサーバー装置20にアクセスし、記憶部32に記憶された修理拠点データ30の修理拠点の位置情報および修理可能データ28の修理可能な故障内容を書き換えてもよい。
【0026】
次に修理拠点選定方法について説明する。(a)パワーパッケージ動作終了後または定期的にセンサ装置12がパワーパッケージの状態を検知し、通信装置22にセンサ信号を送信する。位置情報取得装置14も定期的に位置情報を取得し、通信装置22に送信する。
【0027】
(b)通信装置22はセンサ信号および位置情報を含む送信データを生成し、通信ネットワーク18を介してサーバー装置20に送信する。
【0028】
(c)サーバー装置20は通信部24で送信データを受信し、故障診断部26でパワーパッケージの故障を診断する。パワーパッケージが故障でなければ以下の処理は行わない。
【0029】
(d)上記(c)で故障と判断されれば、修理拠点選定部34が修理拠点を選定する。修理拠点の選定は、送信データに含まれる位置情報、故障診断部26で診断された故障内容、修理可能データ28に含まれる修理可能な故障内容および修理拠点データ30に含まれる修理拠点の位置情報を用いて修理拠点を選定する。具体的な選定方法は、上記(1)~(4)の方法でおこなう。
【0030】
(e)修理拠点が選定されれば、通知部36が修理拠点の名称および所在地を含む通知データを生成し、通信部24に通知データを送る。通信部24は通信ネットワーク18を介して携帯端末38に対して通知データを送信する。車両16の運転手は携帯端末38に通知された修理拠点を確認し、修理拠点まで車両16を移動させる。
【0031】
以上のように、本願は故障を修理可能であり、かつ最も近い位置にある修理拠点を選定できる。車両16を短時間で修理拠点まで移動させることができ、修理が終了するまでの時間を短くできる。
【0032】
[実施形態2]
実施形態1の通信装置22が送信した送信データの中にセンサ装置12が取り付けられたパワーパッケージの情報を含めてもよい。たとえば、パワーパッケージの型名などが送信データの中に含まれる。さらに、修理可能データ28に記憶される修理拠点ごとに修理できる故障の内容は、センサ装置12が取り付けられた装置の情報を含める。
【0033】
センサ装置12が取り付けられたパワーパッケージの種類が複数になった場合に、その種類ごとに最適な修理拠点を選定することができる。
【0034】
[実施形態3]
修理可能データ28に記憶される修理可能な故障内容は、在庫部品があることを記憶されてもよい。在庫部品があることで修理可能になるためである。さらに、修理可能データ28に整備士などの修理担当者が在中であることを記憶してもよい。在庫部品があっても修理担当者がいなければ修理できないからである。これらの情報は修理会社のコンピュータ40から通信ネットワーク18を介してサーバー装置20にアクセスし、修理可能データ28を変更できるようにする。
【0035】
修理拠点選定部34は修理可能データ28に記憶されたデータの中から、故障診断部26で診断された故障内容が修理可能な修理拠点であり、在庫部品があり、かつ修理担当者が在中である修理拠点を抽出する。その後、抽出された修理拠点の中から最も近い修理拠点を選定する。
【0036】
なお、在庫部品がないまたは修理担当者が不在である場合、修理可能データ28から修理拠点を削除してもよい。修理可能データ28から修理拠点が削除されることで、その修理拠点が選定されないことになる。
【0037】
[実施形態4]
図3の修理拠点選定システム42のように、サーバー装置20は修理拠点の名称と修理拠点ごとの修理の待ち時間を関連付けした待ち時間データ44を備えてもよい。待ち時間データ44はサーバーの記憶部32に記憶される。修理待ち時間は修理が完了するまでの時間であり、すなわち修理が開始されるまでの時間と修理所要時間を加算した時間である。さらに、修理拠点のコンピュータ46が通信ネットワーク18を介してサーバー装置20に接続されており、修理拠点のコンピュータ46を用いて待ち時間データ44の待ち時間を変更できるようにする。修理拠点の稼働状況に応じてサーバー装置20に記憶された待ち時間を変更する。
【0038】
修理拠点選定部34は下記の(1)~(6)の順番で修理拠点を選定する。(1)故障診断部26で診断された故障内容が修理可能な修理拠点を修理可能データ28から抽出する。(2)抽出された修理拠点の位置情報を修理拠点データ30から抽出する。(3)送信データの位置情報と上記抽出された修理拠点の位置情報から車両16から修理拠点までの距離を算出する。(4)算出された距離から各修理拠点までの移動時間を算出する。移動時間は車両16の平均的な移動時間に基づいて計算する。(5)待ち時間データから上記抽出された修理拠点の待ち時間を抽出する。(6)修理拠点ごとの移動時間と待ち時間を加算し、最短で修理可能な修理拠点を選定する。修理拠点を選定した後、通知部36で上記と同じように通知データを作成し、通信部24を介して携帯端末38に送信する。
【0039】
携帯端末38に修理拠点のデータを表示するとともに待ち時間も表示してもよい。その待ち時間は修理が開始されるまでの時間と修理所要時間を分けて表示してもよい。
【0040】
車両16の移動距離を考慮すると遠方の修理拠点に車両16を移動させることは難しい。そのため、上記(4)以降は次のように変更してもよい。(4)算出された距離が一定以下の修理拠点を抽出する。(5)待ち時間データから上記抽出された修理拠点の待ち時間を抽出する。(6)待ち時間の短い修理拠点を最短で修理可能な修理拠点として選定する。車両16から一定距離以下の修理拠点で最短で修理可能な修理拠点で修理できる。
【0041】
車両16からの距離が一定以下の修理拠点の待ち時間を携帯端末38に表示するようにしてもよい。車両16の運転者が複数の修理拠点の中から1つを選択して、車両16を移動させる。
【0042】
図4の修理拠点選定システム48のサーバー装置20は滞在時間計算部50を備える。滞在時間計算部50は車両16が修理拠点に滞在している時間を計算する。通信装置22が送信データを定期的にサーバー装置20に送信する。滞在時間計算部50は、定期的に送信されてくる送信データの位置情報と修理拠点データ30に記憶される修理拠点の位置情報が一致するか否かを判断し、一致した場合にその一致している時間を求める。定期的に受信した送信データにおいて、その一致が続く間は車両16が修理拠点に滞在していることになり、車両は修理待ちまたは修理中である。滞在時間計算部50は、求めた車両の滞在時間を待ち時間データ44に待ち時間として記憶する。修理の実績が待ち時間として反映されて修理拠点を選定するために使用される。
【0043】
滞在時間計算部50は1日または数日にごとに車両16の滞在時間の平均値を算出し、待ち時間データ44に待ち時間として記憶してもよい。
【0044】
[実施形態5]
修理拠点選定部34は車両16のある位置から修理拠点までの距離の算出方法は限定されない。修理拠点データ30は地図情報を備え、その地図情報には道路幅、高架の高さなどの道路構造の情報が記憶されている。たとえば地図情報はカーナビゲーションシステムと同じものであってもよい。修理拠点選定部34は車両16ごとの車高、車幅および車長を記憶しており、修理拠点選定部34はそれらの情報に応じて車両16が通行できる道を選択する。たとえば車幅が広ければ、狭い道路を車両16が通行できず、修理拠点選定部34はそのような道は選択しない。車両16の位置から修理拠点への道中で迂回が必要である場合、迂回した距離とする。
【0045】
修理拠点選定部34がカーナビゲーションシステムを備えてもよく、その場合、カーナビゲーションシステムに渋滞情報が入力される。修理拠点選定部34は渋滞している道を避けて迂回する道を選択することも可能である。この場合も迂回した道で距離を算出する。この距離から実施形態4の移動時間を算出してもよい。なお、修理拠点選定部34がカーナビゲーションシステムを備える場合、上記の通行できる道の選定もカーナビゲーションシステムの機能を用いて行ってもよい。他の実施形態の修理拠点選定部34も同様にカーナビゲーションシステムを備えてもよい。
【0046】
さらに、修理拠点選定部34は車両16が到着に要する時間で修理拠点を選定してもよい。カーナビゲーションシステムを利用することで、距離に応じて到着に要する時間を計算する。到着に要する時間が短い修理拠点を選定する。たとえば、車両16からの直線距離が近い修理拠点であっても、上記のように迂回によって距離が長くなったり、渋滞によって到着時間が遅くなったりする場合がある。そのような場合に遠くの修理拠点であっても、最も短時間で到着できる修理拠点が選定される。また、到着に要する時間を実施形態4の移動時間としてもよい。
【0047】
[実施形態6]
修理拠点選定部34は1つの修理拠点を選定するのではなく、複数の修理拠点を選定してもよい。複数の修理拠点は待ち時間の短い複数の修理拠点である。車両16の運転者は複数の修理拠点の中から車両16を移動させる修理拠点を選択する。たとえば、車両16の移動方向にある修理拠点を選択することで、車両16の移動と修理を合計した時間を短くできる。
【0048】
[実施形態7]
通信手段22が定期的に送信データを送信できると共に、スイッチによって強制的に送信データを送信できるようにしてもよい。運転者がパワーパッケージの異常を見つけたり感じたりした場合にスイッチを押して強制的に送信データを送信する。上記と同様に送信データを用いてサーバー装置20が故障を診断し、修理拠点を選定する。
【0049】
[実施形態8]
図5の修理拠点選定システム52は、車両16の操作者が携行する携帯端末38に故障診断部26と修理拠点選定部34を備える。すなわち、上記実施形態においてサーバー装置20が行った処理を携帯端末38でおこなう。サーバー装置20の通信部24から携帯端末38に向けて修理可能データ28と修理拠点データ30を送信する。携帯端末38の通信部54でそれらのデータを受信し、携帯端末38の記憶部56にそれらのデータ28、30を記憶する。サーバー装置20にそれらのデータ28、30が更新されると携帯端末38のデータ28、30も更新されるようにする。また、修理会社のコンピュータ40から携帯端末38に直接データ28、30が送信されるようにしてもよい。
【0050】
通信装置22は携帯端末38に対してセンサ信号および位置情報を含む通信データを送信する。通信装置22と通信部54がBluetooth(登録商標)またはWiFiなどの無線通信装置を備え、通信データは通信ネットワーク18を介さず、通信装置22から携帯端末38に直接送信されてもよい。上記実施形態と同様に故障診断部26が故障診断し、修理拠点選定部34が修理拠点を選定する。表示部58が携帯端末38の表示装置に修理拠点を表示する。
【0051】
携帯端末38の記憶部56が待ち時間データ44を記憶してもよい。修理拠点選定部34は待ち時間データ44を用いて最短で修理可能な修理拠点を選定する。待ち時間データ44はサーバー装置20または修理会社のコンピュータ40から携帯端末38に送信される。
【0052】
携帯端末38は滞在時間計算部50を備えてもよい。車両が修理拠点に滞在した時間を求め、サーバー装置20に送信する。サーバー装置20で待ち時間データ44として記憶し、各携帯端末38に送信する。
【0053】
図6の修理拠点システム60のように、携帯端末38に予め故障診断部26と修理拠点選定部34を備え、修理可能データ28と修理拠点データ30はサーバー装置20に備えられてもよい。携帯端末38の故障診断部26と修理拠点選定部34はサーバー装置20にアクセスし、サーバー装置20に記憶された修理可能データ28と修理拠点データ30を利用して故障診断と修理拠点の選定を行う。
【0054】
位置情報取得装置14はGPS装置に限定されない。車両16の所在地を入力できるコンピュータなどを使用することができる。修理拠点選定システム52において、携帯端末38が位置情報取得装置14を備えることも可能である。この場合、センサ装置12から携帯端末38に直接センサ信号を通信してもよい。
【0055】
携帯端末38は操作者が携行するコンピュータに限られず、車両16に据え置かれたコンピュータであってもよい。
【0056】
(第1項)一態様に係る修理拠点選定システムは、車両の位置情報を取得する位置情報取得装置と、前記車両に搭載されたセンサ装置と、前記センサ装置が取得したセンサ信号を送信し、サーバー装置で故障診断し、修理拠点を選定する修理拠点選定システムであって、前記サーバー装置が前記センサ信号を使用して故障を診断する故障診断部、前記修理拠点の位置情報を含む修理拠点データおよび前記修理拠点ごとの修理可能な故障内容を記憶した修理可能データを記憶した記憶部、前記車両から受信した位置情報、故障診断部で診断された故障内容、修理可能データに含まれる修理可能な故障内容および修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報を用いて修理拠点を選定する修理拠点選定部として機能する。
【0057】
第1項に記載する修理拠点選定システムによると、故障を修理可能な修理拠点の中から最も近い修理拠点を選定することができる。修理が完了するまでの時間を短くすることができる。
【0058】
(第2項)前記記憶部は修理拠点ごとの修理待ち時間、修理所要時間またはその両方を含む待ち時間データを含み、前記修理拠点選定部は、前記車両から受信した位置情報、故障診断部で診断された故障内容、修理可能データに含まれる修理可能な故障内容、修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報および待ち時間データを用いて修理拠点を選定する。
【0059】
第2項に記載する修理拠点選定システムによると、修理の待ち時間を考慮して修理拠点を選定する。車両の修理が完了するまでの時間を短くできる。
【0060】
(第3項)前記車両が架装車両であり、前記センサ装置が架装車両のパワーパッケージに取り付けられている。
【0061】
第3項に記載する修理拠点選定システムによると、パワーパッケージの修理を短時間で行うことで、荷役作業への影響を小さくできる。
【0062】
(第4項)一態様に係る修理拠点選定方法は、車両の位置情報を取得する位置情報取得および車両に搭載されたセンサ装置が取得したセンサ信号を用いて修理拠点を選定する修理拠点選定方法であって、前記センサ信号を使用して故障を診断するステップと、前記サーバー装置が修理拠点の位置情報を含む修理拠点データおよび前記修理拠点ごとの修理可能な故障内容を含む修理可能データを記憶した記憶部を備え、前記車両から受信した位置情報、診断された故障内容、修理可能データに含まれる修理可能な故障内容および修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報を用いて修理拠点を選定するステップとを含む。
【0063】
第4項に記載する修理拠点選定方法によると、修理可能な修理拠点の中で最も近い修理拠点を選定することができる。修理が完了するまでの時間を短くできる。
【0064】
(第5項)前記記憶部が修理拠点ごとの修理待ち時間、修理所要時間またはその両方を含む待ち時間データを含み、前記修理拠点を選定するステップは、前記車両から受信した位置情報、故障診断部で診断された故障内容、修理可能データに含まれる修理可能な故障内容、修理拠点データに含まれる修理拠点の位置情報および待ち時間データを用いて修理拠点を選定する。
【0065】
第5項に記載する修理拠点選定方法によると、修理拠点ごとの修理完了までの待ち時間を考慮して修理拠点を選定する。修理が完了するまでの時間を短くできる。
【0066】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0067】
10、42、48、52、60:修理拠点選定システム
12:センサ装置
14:位置情報取得装置
16:車両
18:通信ネットワーク
20:サーバー装置
22:通信装置
24:通信部
26:故障診断部
28:修理可能データ
30:修理拠点データ
32:記憶部
34:修理拠点選定部
36:通知部
38:携帯端末
44:待ち時間データ
50:滞在時間計算部