(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】アンテナ装置及びレドーム
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20240827BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20240827BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240827BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01Q1/42
H01Q13/10
H01Q21/06
H05K7/20 F
H05K7/20 A
(21)【出願番号】P 2023500534
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2021041381
(87)【国際公開番号】W WO2022176285
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2021023028
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】望月 拓志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良英
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/168699(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/086377(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3621146(EP,A1)
【文献】特開2012-175422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/42
H01Q 13/10
H01Q 21/06
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子が第1面に配置された第1基板と、
前記第1基板を覆い、前記複数のアンテナ素子の各々と対向する位置に複数のスロットが形成された、熱伝導性を有するレドームと、を備え、
前記レドームは、
前記第1面側とは逆側に突出する放熱フィンと、
前記複数のアンテナ素子のうち、第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子と隣接する第2アンテナ素子と、の間に設けられ、前記第1基板に接続された発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能な壁部と、を備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記放熱フィンは、前記複数のスロットのうち、第1スロットと、前記第1スロットと隣接する第2スロットと、の間に配置される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1基板は、前記第1基板を貫通し、前記第1アンテナ素子と、前記第2アンテナ素子との間に設けられた第1サーマルビアを備え、
前記壁部は、前記レドームが前記第1基板を覆った状態で、前記第1サーマルビアを覆う位置に設けられ、前記第1サーマルビアを介して、前記発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能である、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記発熱部品は、前記第1基板の前記第1面と逆側の第2面に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記発熱部品が配置された第2基板と、
前記第1基板の前記第1面と逆側の第2面と、前記第2基板とを接続する伝熱部材と、をさらに備え、
前記壁部は、前記伝熱部材を介して、前記発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第2基板は、前記第2基板を貫通する第2サーマルビアを備え、
前記発熱部品は、前記第2基板において、前記第2面側の第3面と逆側の第4面に配置され、
前記壁部は、前記第2サーマルビア及び前記伝熱部材を介して、前記発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能である、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記伝熱部材は、フィルタ又は高周波同軸接続線路である、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記複数のスロットの各々は、第1方向に延伸する第1開口部と、前記第1方向と異なる第2方向に延伸する第2開口部とが交差して形成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1開口部及び前記第2開口部の両端は、拡幅している、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
レドームであって、
前記レドームは、熱伝導性を有し、
複数のアンテナ素子が第1面に配置された第1基板を覆った状態で、前記複数のアンテナ素子の各々と対向する位置に複数のスロットが形成され、かつ前記第1面側とは逆側に突出する放熱フィンを有する平面部と、
前記複数のアンテナ素子のうち、第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子と隣接する第2アンテナ素子と、の間に設けられ、前記第1基板に接続された発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能な壁部と、を備えるレドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置及びレドームに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ一体型の基地局装置では、アンテナのアンテナ面を保護するために、樹脂製のレドームが用いられる。樹脂製のレドームが用いられる場合、耐久性等を高めるために、レドームが厚くなってしまう。そこで、特許文献1のように、樹脂製のレドームを用いずに、導体からなる筐体によりアンテナ面を保護することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、通信の大容量化に伴い、特許文献1に開示されたアンテナ装置よりも、多数のアンテナ素子を備えるアンテナ装置が検討されている。多数のアンテナ素子を備えるアンテナ装置は、多数のアンテナ素子に対応して多数の送受信機が設けられるため、アンテナ装置が大型化してしまう傾向がある。したがって、アンテナ装置の大型化を抑制することが要求される。
【0005】
本開示の目的の1つは、上記課題を解決するためになされたものであり、アンテナ装置の大型化を抑制することが可能なアンテナ装置及びレドームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるアンテナ装置は、
複数のアンテナ素子が第1面に配置された第1基板と、
前記第1基板を覆い、前記複数のアンテナ素子の各々と対向する位置に複数のスロットが形成された、熱伝導性を有するレドームと、を備え、
前記レドームは、
前記第1面側とは逆側に突出する放熱フィンと、
前記複数のアンテナ素子のうち、第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子と隣接する第2アンテナ素子と、の間に設けられ、前記第1基板に接続された発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能な壁部と、を備える。
【0007】
本開示にかかるレドームは、
熱伝導性を有し、
複数のアンテナ素子が第1面に配置された第1基板を覆った状態で、前記複数のアンテナ素子の各々と対向する位置に複数のスロットが形成され、かつ前記第1面側とは逆側に突出する放熱フィンを有する平面部と、
前記複数のアンテナ素子のうち、第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子と隣接する第2アンテナ素子と、の間に設けられ、前記第1基板に接続された発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能な壁部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、アンテナ装置の大型化を抑制することが可能なアンテナ装置及びレドームを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかるアンテナ装置の概略上面図である。
【
図2】実施の形態1にかかるアンテナ装置の概略断面図である。
【
図3】実施の形態1にかかるアンテナ装置における放熱の流れを説明するための図である。
【
図4】変形例1にかかるレドームの平面部を拡大した拡大図である。
【
図5】変形例2にかかるアンテナ装置の概略上面図である。
【
図6】変形例2にかかるアンテナ装置の概略上面図である。
【
図7】実施の形態2にかかるアンテナ装置の概略断面図である。
【
図8】実施の形態2にかかるアンテナ装置における放熱の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。各実施形態において、平行、水平、垂直等の方向には、本開示の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、実施の形態を説明するための図面において、方向について特に記載しない場合には、図面上での方向をいうものとする。
【0011】
(実施の形態に至る検討)
まず、実施の形態の詳細を説明する前に実施の形態に至る検討について説明する。
第5世代の移動体通信に用いられるアンテナ装置として、アクティブアンテナシステム(AAS:Active Antenna System)が知られている。AASは、超多素子アンテナアレーを構成するアンテナ素子毎に送受信機を設けることで、自由度のあるビームフォーミング(Beamforming)、MU-MIMO(Multi User-Multiple Input Multiple)、及びマッシブMIMO(Massive-MIMO)等を可能とする。これにより、AASは、複数の通信端末及び複数レイヤの無線信号を空間多重して一括伝送できるため、セルスループットを大幅に向上でき、周波数利用効率を向上できる。
【0012】
MU-MIMOが可能なフルデジタルビームフォーミング(Full Digital Beamforming)機能を有するAASは、ADC(analog to digital converter)、DAC(digital to analog converter)、TRX(Transmitter and Receiver)、RFフロントエンド(Radio Frequency Frontend)を含む送受信機が各アンテナに対応して設けられる。そのため、当該AASは、アンテナ数に応じて送受信機数も多くなることから、アンテナ素子及び送受信機の数の増加に伴い、消費電力も増加することになる。
【0013】
上述したように、一般的に、アンテナ一体型基地局装置では、アンテナのアンテナ面を保護するために、樹脂製のレドームが用いられる。樹脂製レドームが用いられる場合、樹脂製のレドームは、アンテナ面に配置されることになるが、アンテナ装置からの熱を放熱する際に妨げになってしまう可能性がある。AASは、多数のアンテナ素子数が設けられることから、アレーアンテナの面積も大型化する。そのため、AASに樹脂製のレドームが用いられる場合、AASのアンテナ面からの放熱は難しくなるため、AASのアンテナ面とは逆側の背面側に設けられた筐体に、ラジエータフィン(Radiator Fin)が設けられ、当該フィンの高さ及び数を増加させて放熱を行う。したがって、AASに、樹脂製のレドームが採用されると、AASは、放熱フィンの包絡容積が増加してしまい、重量も増加してしまうため、大型化につながってしまう。
【0014】
ところで、内部デバイスの温度上昇を抑制するための冷却方式として、強制空冷方式及び自然空冷方式が知られている。強制冷却方式は、ファンを設けることにより、外気を内部デバイスに押し込む、又は過熱した空気を内部デバイスから吸い出すことで、内部デバイスを冷却する方式である。自然空冷方式は、内部デバイスからの熱を拡散させつつ、当該熱をラジエータフィン(Radiator Fin)に導いた上で、フィン数及びフィン長を確保して外部環境との放熱面積を拡張させて放熱効率を高める方式である。
【0015】
AASに、強制冷却方式を採用した場合、放熱及び小型化の効果を望めるが、ファン等を連続して駆動させる必要があるため、連続駆動による故障が発生し信頼性低下につながるとともに、故障時の即時メンテナンスが必要になってしまう。また、AASは、都市部にも展開されることから、AASに強制冷却方式を採用した場合、ファンの回転音による騒音公害につながってしまう。そのため、AASは、強制冷却方式よりも、自然冷却方式が採用される可能性が高い。したがって、自然冷却方式がAASに採用された場合でも、AASの小型化及び軽量化を実現しつつ、AASの放熱効率を高めることが望まれる。本開示では、AASの大型化を抑制しつつ、AASの放熱効率を高めることが可能な構成を実現する。
【0016】
(実施の形態1)
図1及び
図2を用いて、実施の形態1にかかるアンテナ装置100の構成例について説明する。
図1は、実施の形態1にかかるアンテナ装置の概略上面図である。
図2は、実施の形態1にかかるアンテナ装置の拡大断面図であり、
図1の切断線II-IIにおいて切断したときの断面図の一部を示す拡大断面図である。なお、
図1は、後述する基板10が水平面と略平行な状態における上面図であるが、アンテナ装置100が運用される場合、後述する基板10が水平面に対して略垂直に配置されることから、
図1は、アンテナ装置100の正面図とも言える。
【0017】
アンテナ装置100は、複数のアンテナ素子を備えるアンテナアレーであり、例えば、AASであってもよい。アンテナ装置100は、多数のアンテナ素子を備えることから、アンテナシステムと称されてもよい。
図1及び
図2に示すように、アンテナ装置100は、基板10と、複数のアンテナ素子20と、グランド層30と、複数の発熱部品40と、レドーム50とを備える。
【0018】
まず、
図2を参照して、アンテナ装置100の構成例について説明する。
基板10には、電気配線パターンが設けられており、基板10のZ軸正方向側の第1面に、複数のアンテナ素子20が配置されている。第1面は、アンテナ素子20からの電波放射方向であるため、表面又は上面と称されてもよく、基板10における第1面と逆側の第2面は、裏面又は下面と称されてもよい。複数のアンテナ素子20は、基板10の上面におけるX軸方向に、所定の距離を離間して配置される。複数のアンテナ素子20は、基板10の表面に設けられたグランドラインを介して、グランド層30及びレドーム50と電気的に接続されている。なお、図示を省略するが、複数のアンテナ素子20は、それぞれ、Y軸方向にも所定の間隔を離間して配置される。
【0019】
基板10には、基板10を貫通する貫通孔であるサーマルビア11が形成されている。サーマルビア11は、基板10において、アンテナ素子20の近傍に形成され、隣接するアンテナ素子20の間に形成されている。換言すると、サーマルビア11は、各アンテナ素子20の周囲に形成されており、各アンテナ素子20は、複数のサーマルビア11により囲まれるように、サーマルビア11が、基板10に形成されている。なお、
図2では、全ての隣接するアンテナ素子20の間に、サーマルビア11が形成されているが、一部の隣接するアンテナ素子20の間にサーマルビア11が形成されていなくてもよい。
【0020】
アンテナ素子20は、隣接するアンテナ素子20と等間隔で配置されてもよい。アンテナ素子20は、給電電力を給電するアンテナ素子であり、例えば、パッチアンテナである。アンテナ素子20は、基板10の裏面に接続された送受信機(不図示)が信号を送受信するための1次共振器である。アンテナ装置100は、アンテナ素子20と、後述するスロット53により構成されるスロットアンテナ素子との双共振により、スロットアンテナ素子から基板10の上面が指向する方向に電波を放射して、当該方向の通信装置と信号を送受信可能となる。
【0021】
基板10の裏面には、例えば、アンテナ素子20の数と同数の発熱部品40が接続されている。発熱部品40は、例えば、AMP(Amplifier)等であってもよい。基板10の裏面及びサーマルビア11には、例えば、銅箔により形成されたグランド層30が形成されている。各発熱部品40は、グランド層30を介して、当該発熱部品40と、基板10とを接続する。各発熱部品40は、各アンテナ素子20と対応する位置に配置されてもよい。複数の発熱部品40は、それぞれ、各アンテナ素子20のZ軸負方向に、各アンテナ素子20と基板10を挟む位置に配置されてもよい。発熱部品40は、グランド層30を介して、アンテナ素子20と、電気的に接続されている。また、発熱部品40は、グランド層30を介して、後述するレドーム50と熱的に接続している。換言すると、発熱部品40が発した熱は、サーマルビア11を介してレドーム50に伝達可能に構成される。つまり、サーマルビア11は、放熱パスとして構成され、発熱部品40が発した熱を、レドーム50に伝える。
【0022】
なお、
図2では図示を省略しているが、発熱部品40は、基板10のグランド以外の信号線及び制御線のうち、少なくとも1つを介して外部回路と接続されている。さらに、発熱部品40の裏面のグランドパッド(GND PAD1)又は発熱部品40周囲に配置されたグランドピン(GND Pin)は、基板10上のグランドパターン面(GND Pattern)に面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)等によるリフロー処理でグランド間が接続されている。もしくは、発熱部品40の裏面のグランドパッド(GND PAD1)又は発熱部品40周囲に配置されたグランドピン(GND Pin)は、グランドピン接続用グランド端子部(GND PAD2)に面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)等によるリフロー処理でグランド間が接続されている。グランド間が接続されている部分を示すグランド接続部は、電気的Groundingだけではなく、熱的にも、放熱経路を形成すべくグランド層30に接続されている。
【0023】
レドーム50は、熱伝導性を有しており、例えば、アルミニウム、銀及び銅等の金属により形成された金属製のレドームである。なお、レドーム50は、熱伝導性を有する導体であればよいため、金属により形成されていなくてもよい。レドーム50は、基板10を覆った状態で、基板10と固定され、基板10を保護する保護部材として構成される。レドーム50は、平面部51と、壁部52とを備える。
【0024】
平面部51は、基板10を覆った状態で、基板10から壁部52の高さ分の距離を離間して、基板10と平行に配置される。平面部51は、基板10を覆った状態で、各アンテナ素子20と対向する位置に、アンテナ素子20と同数のスロット53が形成されている。複数のスロット53は、それぞれ、各アンテナ素子20のZ軸正方向の位置に形成されている。スロット53は、スロットアンテナ素子として機能する。当該スロットアンテナ素子は、アンテナ素子20と同一の共振周波数を有する副共振器であり、アンテナ素子20と結合共振し、周波数帯域を広げるアンテナ素子として機能する。アンテナ装置100は、スロット53がスロットアンテナ素子として機能することで、レドーム50における基板10の表面側とは逆側の外面が指向する方向の通信装置と、より幅広い周波数帯域で信号を送受信できる。なお、レドーム50は、複数のスロット53が複数のスロットアンテナ素子として機能するため、スロットアンテナと称されてもよい。
【0025】
また、平面部51は、基板10の表面側とは逆側の外面に突出する第1放熱フィン54を備える。第1放熱フィン54は、発熱部品40において発生した熱を外部に放出するためのフィンである。第1放熱フィン54は、スロットアンテナ素子として機能するスロット53の近傍に配置される。第1放熱フィン54は、平面部51に対して、Z軸正方向かつ垂直方向に突出しており、壁部52がZ軸正方向に延伸するように、平面部51の外面に突出する。第1放熱フィン54は、壁部52から伝達された、発熱部品40の熱を空気に伝えることで、アンテナ装置100の外部に、発熱部品40の熱を放出する。換言すると、外気の空気は、第1放熱フィン54の表面に触れることで、壁部52から伝達された、発熱部品40の熱を奪い、当該熱を外部に放出する。
【0026】
壁部52は、平面部51と垂直にZ軸負方向に設けられている。壁部52は、レドーム50が基板10を覆った状態で、基板10と接続し、かつ各アンテナ素子20を囲むように設けられている。具体的には、壁部52は、レドーム50が基板10を覆った状態で、隣接するアンテナ素子20の間に基板10と接続するように設けられる。また、壁部52は、レドーム50が基板10を覆った状態で、基板10の端部近傍において、基板10と接続するように設けられる。壁部52は、レドーム50が基板10を覆った状態で、基板10と接続し、基板10の裏面に接続された発熱部品40と熱的に接続され、発熱部品40の熱を、少なくとも第1放熱フィン54に伝達可能に構成される。具体的には、壁部52は、レドーム50が基板10を覆った状態で、基板10に形成されたサーマルビア11を覆う位置に設けられており、サーマルビア11から、発熱部品40の熱が伝わり、伝わった熱を少なくとも第1放熱フィン54に伝達可能に構成される。なお、発熱部品40の熱は、壁部52から第1放熱フィン54に伝達され、第1放熱フィン54が、当該熱を外部に放出する。
【0027】
また、壁部52は、アンテナ素子20が配置された基板10と電気的に接続されている。上述したように、壁部52は、隣接する2つのアンテナ素子20の間に設けられるため、各アンテナ素子20について、隣接するアンテナ素子20を含む他のアンテナ素子20との相互影響を低減可能に構成される。すなわち、壁部52は、各アンテナ素子20に対して、他のアンテナ素子20との相互影響を低減し、アンテナ装置100のアンテナ特性を向上する。
【0028】
なお、
図2は、
図1において、X軸方向に配列されたスロット53の中心を通る切断線II-IIにおいて切断したときの断面図であるが、Y軸方向に配列されたスロット53の中心を通る切断線で切断したときの断面図も、放熱フィン以外は同様であるため図示及び説明を省略する。
【0029】
次に、
図1を参照して、レドーム50の平面部51について説明する。平面部51は、各アンテナ素子20と対向する位置に形成された複数のスロット53と、隣接するアンテナ素子20の間に設けられた複数の第1放熱フィン54及び第2放熱フィン55を含む放熱フィン56とを備える。
図1に示すように、スロット53は、X字状の形状をしている。
【0030】
具体的には、
図1の右下に示すように、スロット53は、例えば、X軸とのなす角度が45度の第1方向に延伸する第1開口部53aと、当該第1方向とは異なる、例えば、X軸とのなす角度が135度(-45度)の第2方向に延伸する第2開口部53bとを含む。第1開口部53a及び第2開口部53bは、例えば、矩形の開口部である。スロット53は、第1開口部53aと、第2開口部53bとが、例えば、スロット53の中心位置において交差して形成される。スロット53は、2偏波を送受信可能なスロットアンテナ素子として機能する。そのため、スロット53は、第1開口部53a及び第2開口部53bを含む。
【0031】
なお、当然ながら、第1方向及び第2方向とX軸とのなす角度は、上記に限られず適宜設定されてよく、第1開口部53a及び第2開口部53bの形状も矩形でなくてもよい。また、スロット53が、例えば、1偏波に対応するスロットアンテナ素子として機能してもよく、スロット53は、第1開口部53a及び第2開口部53bのうち、1つの開口部を備えてもよい。
【0032】
放熱フィン56は、平面部51のうち、基板10の表面側とは逆側の外面に突出している。換言すると、第1放熱フィン54及び第2放熱フィン55は、平面部51のうち、基板10の表面側とは逆側の外面に突出している。放熱フィン56は、隣接する2つのスロット53の間に、スロットアンテナ素子として機能するスロット53の近傍に配置される。
【0033】
第1放熱フィン54は、X軸方向に隣接する2つのスロット53の間に配置される。第1放熱フィン54は、X軸方向に隣接する2つのスロット53の間に配置されており、平面部51のY軸負方向にある端部から平面部51のY軸正方向にある端部まで延在する。なお、
図1に示す第1放熱フィン54の形状は、一例であるため、他の形状でもよい。
【0034】
第2放熱フィン55は、Y軸方向に隣接する2つのスロット53の間に配置される。また、第2放熱フィン55は、隣接する2つの第1放熱フィン54の間に配置される。第2放熱フィン55は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とする矩形の3つの放熱フィンにより構成される。第2放熱フィン55は、第1放熱フィン54よりも、長手方向の長さが短い3つの放熱フィンにより構成される。第2放熱フィン55は、3つの放熱フィンを含むため、放熱フィン群と称されてもよい。なお、第2放熱フィン55は、3つの放熱フィンにより構成されているが、第2放熱フィン55が備える放熱フィンの数は、3つでなくてもよい。また、
図1に示す第1放熱フィン54及び第2放熱フィン55の形状は、一例であるため、他の形状でもよい。
【0035】
次に、
図3を参照して、実施の形態1にアンテナ装置100における放熱の流れについて説明する。
図3は、実施の形態1にかかるアンテナ装置における放熱の流れを説明するための図である。
図3は、
図2に示した概略断面図に、発熱部品40で発生した熱の流れを示す、白抜きの矢印を追加した図である。
図3に示すように、発熱部品40で発生した熱は、グランド層30を介して、熱伝導性を有するレドーム50の壁部52に伝わる。
【0036】
具体的には、発熱部品40は、アンテナ素子20のZ軸負方向に位置しており、隣接する2つのアンテナ素子20の間には、サーマルビア11が形成されている。発熱部品40で発生した熱は、少なくとも、発熱部品40の近傍に配置された2つのサーマルビア11を介して、当該2つのサーマルビア11を覆う2つの壁部52に伝わる。そして、2つの壁部52に伝わった発熱部品40の熱は、平面部51に伝えられ、平面部51において、スロットアンテナ素子として機能するスロット53の近傍に配置された放熱フィン56から放出される。
【0037】
以上説明したように、アンテナ装置100は、スロットアンテナとしても機能し、かつアンテナ素子20が配置された基板10を保護する、熱伝導性のレドーム50を備える。レドーム50は、外面に放熱フィン56を有し、放熱フィン56が、スロットアンテナ素子として機能するスロット53の近傍に設けられている。基板10は、サーマルビア11を備えており、発熱部品40から発せられた熱を放熱フィンに伝達するための放熱パスとして構成される。さらに、レドーム50は、隣接する2つのアンテナ素子20の間に、発熱部品40の熱を放熱フィン56に伝達可能な壁部52を備える。アンテナ装置100は、このような構成を備えることから、発熱部品40の熱を外部に放熱できる。
【0038】
ここで、特許文献1には、放熱フィンを備えるアンテナ装置が開示されていない。そのため、特許文献1に開示された技術を用いて、多数のアンテナ素子を備えるアンテナ装置を実現する場合、導体からなる筐体の他に放熱フィンが必要となり、アンテナ装置の大型化してしまう可能性がある。これに対して、実施の形態1にかかるアンテナ装置100は、アンテナ素子20を保護するレドーム50が、放熱フィン56を備えるため、レドーム50に加えて、放熱フィン56を設ける必要がない。したがって、実施の形態1にかかるアンテナ装置100によれば、アンテナ装置100の背面側に放熱フィンを設ける必要がなくなるため、アンテナ装置の大型化を抑制できる。
【0039】
さらに、アンテナ装置100は、レドーム50が放熱フィン56を備えることから、アンテナ装置100の背面側にさらなる放熱フィンを配置できる。したがって、実施の形態1にかかるアンテナ装置100によれば、アンテナ装置100の背面に、さらに放熱経路を設けることができ、アンテナ装置100の実装の自由度を向上できる。さらに、実施の形態1にかかるアンテナ装置100によれば、アンテナ素子を高密度に実装してもアンテナ装置を小型化でき、かつ製造費用を抑制できる。
【0040】
また、アンテナ装置100は、複数の発熱部品40の各々から発生した熱は、当該発熱部品40の近傍に設けられた、少なくとも2つのサーマルビア11及び当該2つのサーマルビア11を覆う2つの壁部52を介して、放熱フィン56から放熱できる。すなわち、アンテナ装置100は、複数の発熱部品40の各々が発した熱を、複数の熱伝達経路を介して、放熱フィン56から放熱できる。したがって、実施の形態1にかかるアンテナ装置100によれば、放熱効率を高めることができる。
【0041】
さらに、アンテナ装置100は、壁部52が、基板10と電気的に接続されており、隣接する2つのアンテナ素子20の間に設けられているため、各アンテナ素子20について、他のアンテナ素子20との相互影響を低減できる。これに対して、特許文献1にかかるアンテナ装置は、実施の形態1にかかるアンテナ装置100が備える壁部52を備えないため、特許文献1にかかるアンテナ装置は、導体からなる筐体内の空間で多重共振を起こしてしまう。そのため、特許文献1にかかるアンテナ装置を用いる場合、多重共振を抑制するために、吸収体を貼付する等の措置が必要となってしまうことから、アンテナ利得が劣化したり、高コストな構造となり得る。一方、実施の形態1にかかるアンテナ装置100によれば、アンテナ素子20の間の相互影響を低減できるため、アンテナ利得の低下を抑制できる。さらに、実施の形態1にかかるアンテナ装置100によれば、多重共振を抑制するための吸収体を貼付する必要もないため、開発費用及び製造費用を抑制できる。
【0042】
また、アンテナ装置において、アンテナ面を保護するために樹脂製のレドームが用いられる場合、アンテナ装置前面を放熱用に使用することができない。そのため、アンテナ装置において、樹脂製のレドームが用いられる場合、アンテナ装置の背面に放熱フィンを設ける必要がある。これに対して、実施の形態1にかかるアンテナ装置100は、熱伝導性を有するレドーム50を備えるため、アンテナ前面に放熱機構を備える構成を実現できる。そして、レドーム50が、放熱フィン56を備えるため、レドーム50に加えて、放熱フィン56をさらに設ける必要がない。したがって、実施の形態1にかかるアンテナ装置100によれば、アンテナ装置の放熱効率を高め、アンテナ装置の小型化に寄与できる。さらに、アンテナ装置100において、放熱フィン56の寸法及び位置関係を最適化し、アンテナ素子20の間の相互結合影響によるアンテナパターン歪みを補正することで、アンテナ装置100のアンテナ特性を、より高めることができる。
【0043】
また、アンテナ装置において、アンテナ面を保護するために樹脂製のレドームが用いられる場合、アンテナ特性を適切に調整するためにアンテナ素子と樹脂レドームとの間の空間を一定量確保する必要がある。これに対して、実施の形態1にかかるアンテナ装置100は、スロットアンテナ素子と、レドーム50とが、同一部材で構成されるため、アンテナ素子と、レドームとの間の空間を設ける必要がなく、装置体積の小型化に寄与できる。
【0044】
(変形例1)
実施の形態1では、スロット53の形状は、X字状であることで説明したが、スロット53の形状が、いわゆるドッグボーン型であってもよく、スロット53が、ドッグボーンアンテナとして機能してもよい。
【0045】
図4は、変形例1にかかるレドーム50の平面部51を拡大した拡大図である。具体的には、
図4は、平面部51に設けられた複数のスロット53のうちの1つのスロット53を拡大した拡大図である。なお、変形例1では、スロット53の形状が、実施の形態1と異なるが、その他の構成については実施の形態1と同様であるため、説明を適宜割愛する。
【0046】
図4に示すように、スロット53は、実施の形態1と同様に、第1方向に延伸する第1開口部53aと、第2方向に延伸する第2開口部53bとを含み、第1開口部53aと、第2開口部53bとが、例えば、スロット53の中心位置において交差して形成される。また、スロット53は、第1開口部53a及び第2開口部53bの両端が拡幅している。
【0047】
具体的には、第1開口部53aの両端である端部53c及び端部53dにおいて、第1方向と直交する垂直方向の幅が、第1開口部53aのうち、第1開口部53aの両端と異なる部分における当該垂直方向の幅よりも広くなっている。また、第2開口部53bの両端である端部53e及び端部53fにおいて、第2方向と直交する垂直方向の幅が、第2開口部53bのうち、第2開口部53bの両端と異なる部分における当該垂直方向の幅よりも広くなっている。
【0048】
このように、実施の形態1におけるスロット53の形状を、変形例1のように変形しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1におけるスロット53の形状を、変形例1のように変形すれば、アンテナ装置100の周波数帯域を広帯域化することが可能となる。
【0049】
(変形例2)
実施の形態1において、アンテナ装置100に対して、アンテナ装置100の内部が腐食しないように構成を変形してもよい。
図5及び
図6は、変形例2にかかるアンテナ装置の概略上面図である。具体的には、
図6は、変形例2にかかるアンテナ装置100のスロット部分を透過した透過図である。
【0050】
図5及び
図6に示すように、スロット53のZ軸正方向に、スロット53を封止する封止材61が配置される。封止材61は、電波を透過する樹脂である。なお、シリコーン等の液状の樹脂をスロット53に充填することで、スロット53が封止されてもよい。このように、実施の形態1におけるアンテナ装置100を、変形例2のようにしても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、変形例2にかかるアンテナ装置100は、スロット53が樹脂により封止されて気密構造となっていることから、アンテナ装置100の装置内部の腐食を防ぐことができる。
【0051】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、発熱部品40が基板10との接続の仕方が、実施の形態1と異なる。
【0052】
図7を参照して、実施の形態2にかかるアンテナ装置200の構成例について説明する。
図7は、実施の形態2にかかるアンテナ装置の概略断面図であり、
図2に対応する図である。なお、実施の形態2においても、アンテナ装置の概略正面図は同様であるため、図示及び説明を割愛する。すなわち、実施の形態2におけるレドーム50は、実施の形態1と同様の構成をしているため、説明を適宜割愛する。
【0053】
アンテナ装置200は、基板10及び70と、複数のアンテナ素子20と、グランド層30及び80と、複数の発熱部品40と、レドーム50と、伝熱部材90と、を備える。アンテナ装置200は、実施の形態1にかかるアンテナ装置100の構成に、基板70と、グランド層80と、伝熱部材90とをさらに備える構成である。なお、基板10、複数のアンテナ素子20、グランド層30、複数の発熱部品40、及びレドーム50は、実施の形態1と基本的に同様であるため、共通する記載を適宜割愛する。
【0054】
基板70は、発熱部品40が配置される基板である。基板70には、基板10と対向する第3面と逆側の第4面に、アンテナ素子20の数と同数の発熱部品40が配置される。換言すると、基板70のZ軸負方向の下面には、アンテナ素子20の数と同数の発熱部品40が配置される。第3面は、基板10の表面と同方向を向いているため、基板70の表面又は上面と称されてもよく、第4面は、基板70の裏面又は下面と称されてもよい。複数の発熱部品40は、それぞれ、各アンテナ素子20と対応する位置に配置されてもよい。換言すると、複数の発熱部品40は、それぞれ、各アンテナ素子20のZ軸負方向に配置されてもよい。
【0055】
基板70には、基板70を貫通する貫通孔であるサーマルビア71が形成されている。サーマルビア71は、基板70において、発熱部品40の近傍に形成される。サーマルビア71は、例えば、各発熱部品40の周囲に形成される。換言すると、各発熱部品40は、複数のサーマルビア71により囲まれるように、サーマルビア71が、基板70に形成される。
【0056】
基板70は、基板10と対向する表面に、アンテナ素子20及び発熱部品40の数と同数の伝熱部材90が配置される。複数の伝熱部材90は、それぞれ、各アンテナ素子20及び各発熱部品40と対応する位置に配置される。換言すると、複数の伝熱部材90は、それぞれ、各アンテナ素子20のZ軸負方向に配置され、かつ各発熱部品40のZ軸正方向に配置される。
【0057】
基板70の表面、サーマルビア71及び裏面には、例えば、銅箔により形成されたグランド層80が形成される。各発熱部品40は、グランド層80を介して、当該発熱部品40と、伝熱部材90とを接続する。発熱部品40は、グランド層80を介して、伝熱部材90と、電気的に、かつ熱的に接続されている。換言すると、発熱部品40は、サーマルビア71を介して、発熱部品40の熱を伝熱部材90に伝達可能に構成される。つまり、サーマルビア71は、放熱パスとして構成され、発熱部品40が発した熱を、伝熱部材90に伝える。
【0058】
なお、
図7では図示を省略しているが、発熱部品40は、基板10のグランド以外の信号線及び制御線のうち、少なくとも1つを介して外部回路と接続されている。さらに、発熱部品40の裏面のグランドパッド(GND PAD1)又は発熱部品40周囲に配置されたグランドピン(GND Pin)は、基板10上のグランドパターン面(GND Pattern)に面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)等によるリフロー処理でグランド間が接続されている。もしくは、発熱部品40の裏面のグランドパッド(GND PAD1)又は発熱部品40周囲に配置されたグランドピン(GND Pin)は、グランドピン接続用グランド端子部(GND PAD2)に面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)等によるリフロー処理でグランド間が接続されている。グランド間が接続されている部分を示すグランド接続部は、電気的Groundingだけではなく、熱的にも、放熱経路を形成すべくグランド層80に接続されている。
【0059】
伝熱部材90は、基板10と、基板70とを接続する。換言すると、基板10は、基板10の裏面に、伝熱部材90と接続して配置されている。伝熱部材90は、フィルタ(フィルタ部品)でもよく、高周波同軸接続線路でもよい。伝熱部材90がフィルタである場合、伝熱部材90は、熱電伝導性の高い構造で構成されるRFバンドバスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)でもよい。RF BFPは、基板70に配置された、RF回路(不図示)、TRX回路(不図示)、及びデジタル回路(Digital Circuit)(不図示)と、基板10に配置されたアンテナ素子20とを電気的に、かつ熱的に接続してもよい。つまり、RF BPFは、各アンテナ素子20と、RF及びTRXとの間を電気回路的にも、放熱経路的にも効果的に活用されてもよい。
【0060】
伝熱部材90は、基板10において、アンテナ素子20が配置されている表面と逆側の裏面と、基板70の表面とを接続する。伝熱部材90は、発熱部品40及びアンテナ素子20と電気的に接続されている。また、伝熱部材90は、発熱部品40及びレドーム50の壁部52と熱的に接続されている。換言すると、発熱部品40が発した熱は、伝熱部材90を介して、壁部52に伝達可能に構成される。すなわち、レドーム50の壁部52は、伝熱部材90を介して、発熱部品40の熱を放熱フィン56に伝達可能に構成される。具体的には、壁部52は、サーマルビア71、伝熱部材90及びサーマルビア11を介して、発熱部品40の熱を放熱フィン56に伝達可能に構成される。
【0061】
なお、基板10と、伝熱部材90との間、又は伝熱部材90と、基板70との間に、熱伝達効率を向上させるために、熱伝達シートが配置されてもよい。また、伝熱部材90が、高周波同軸接続線路である場合、フィルタは、基板10の下面に実装される。そして、周波数供用送受信機(不図示)が配置された基板70は、周波数依存性のある基板10を、運用周波数帯域に応じて交換して接続することで周波数供用が可能な構成として実装される。
【0062】
次に、
図8を参照して、実施の形態2にアンテナ装置200における放熱の流れについて説明する。
図8は、実施の形態2にかかるアンテナ装置における放熱の流れを説明するための図である。
図8は、
図7に示した概略断面図に、発熱部品40で発生した熱の流れを示す、白抜きの矢印を追加した図である。
図8に示すように、発熱部品40で発生した熱は、グランド層80を介して、伝熱部材90に伝わる。具体的には、発熱部品40は、伝熱部材90及びアンテナ素子20のZ軸負方向の位置に配置されており、発熱部品40の近傍には、サーマルビア71が形成されている。発熱部品40で発生した熱は、少なくとも、発熱部品40の近傍に配置された2つのサーマルビア71を介して、伝熱部材90に伝わる。
【0063】
発熱部品40の熱は、伝熱部材90を介して、基板10の裏面に配置されたグランド層30に伝えられ、グランド層30を介して、レドーム50の壁部52に伝えられる。具体的には、伝熱部材90は、アンテナ素子20のZ軸負方向の位置に配置されており、隣接する2つのアンテナ素子20の間には、サーマルビア11が形成されている。発熱部品40で発生した熱は、少なくとも、発熱部品40の近傍に配置された2つのサーマルビア11を介して、当該2つのサーマルビア11を覆う2つの壁部52に伝わる。そして、2つの壁部52に伝わった発熱部品40の熱は、平面部51に伝えられ、平面部51において、スロットアンテナ素子として機能するスロット53の近傍に配置された放熱フィン56から放出される。
【0064】
以上説明したように、アンテナ装置200は、発熱部品40が配置される位置が、実施の形態1と異なるが、基板70には、サーマルビア71が形成されており、サーマルビア71及び基板70の上面にはグランド層80が形成されている。また、アンテナ装置200は、グランド層80と、グランド層30とに接続する伝熱部材90が設けられている。そのため、アンテナ装置200は、発熱部品40が発した熱を、サーマルビア71、グランド層80、伝熱部材90、グランド層30、サーマルビア11、壁部52、平面部51及び放熱フィン56を介して、外部に放出できる。したがって、実施の形態2にかかるアンテナ装置200は、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施の形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0066】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
複数のアンテナ素子が第1面に配置された第1基板と、
前記第1基板を覆い、前記複数のアンテナ素子の各々と対向する位置に複数のスロットが形成された、熱伝導性を有するレドームと、を備え、
前記レドームは、
前記第1面側とは逆側に突出する放熱フィンと、
前記複数のアンテナ素子のうち、第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子と隣接する第2アンテナ素子と、の間に設けられ、前記第1基板に接続された発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能な壁部と、を備えるアンテナ装置。
(付記2)
前記放熱フィンは、前記複数のスロットのうち、第1スロットと、前記第1スロットと隣接する第2スロットと、の間に配置される、付記1に記載のアンテナ装置。
(付記3)
前記第1基板は、前記第1基板を貫通し、前記第1アンテナ素子と、前記第2アンテナ素子との間に設けられた第1サーマルビアを備え、
前記壁部は、前記レドームが前記第1基板を覆った状態で、前記第1サーマルビアを覆う位置に設けられ、前記第1サーマルビアを介して、前記発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能である、付記1又は2に記載のアンテナ装置。
(付記4)
前記発熱部品は、前記第1基板の前記第1面と逆側の第2面に配置される、付記1~3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記5)
前記発熱部品が配置された第2基板と、
前記第1基板の前記第1面と逆側の第2面と、前記第2基板とを接続する伝熱部材と、をさらに備え、
前記壁部は、前記伝熱部材を介して、前記発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能である、付記1~3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記6)
前記第2基板は、前記第2基板を貫通する第2サーマルビアを備え、
前記発熱部品は、前記第2基板において、前記第2面側の第3面と逆側の第4面に配置され、
前記壁部は、前記第2サーマルビア及び前記伝熱部材を介して、前記発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能である、付記5に記載のアンテナ装置。
(付記7)
前記伝熱部材は、フィルタ又は高周波同軸接続線路である、付記6に記載のアンテナ装置。
(付記8)
前記複数のスロットの各々は、第1方向に延伸する第1開口部と、前記第1方向と異なる第2方向に延伸する第2開口部とが交差して形成される、付記1~7のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記9)
前記第1開口部及び前記第2開口部の両端は、拡幅している、付記8に記載のアンテナ装置。
(付記10)
前記複数のスロットは、樹脂により封止されている、付記1~9のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
(付記11)
レドームであって、
前記レドームは、熱伝導性を有し、
複数のアンテナ素子が第1面に配置された第1基板を覆った状態で、前記複数のアンテナ素子の各々と対向する位置に複数のスロットが形成され、かつ前記第1面側とは逆側に突出する放熱フィンを有する平面部と、
前記複数のアンテナ素子のうち、第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子と隣接する第2アンテナ素子と、の間に設けられ、前記第1基板に接続された発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能な壁部と、を備えるレドーム。
(付記12)
前記放熱フィンは、前記複数のスロットのうち、第1スロットと、前記第1スロットと隣接する第2スロットと、の間に配置される、付記11に記載のレドーム。
(付記13)
前記壁部は、前記レドームが前記第1基板を覆った状態で、前記第1基板に形成された第1サーマルビアを覆う位置に設けられ、前記第1サーマルビアを介して、前記発熱部品の熱を前記放熱フィンに伝達可能である、付記12に記載のレドーム。
(付記14)
前記複数のスロットの各々は、第1方向に延伸する第1開口部と、前記第1方向と異なる第2方向に延伸する第2開口部とが交差して形成される、付記11~13のいずれか1項に記載のレドーム。
(付記15)
前記第1開口部及び前記第2開口部の両端は、拡幅している、付記14に記載のレドーム。
(付記16)
前記複数のスロットは、樹脂により封止されている、付記11~15のいずれか1項に記載のレドーム。
【0067】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0068】
この出願は、2021年2月17日に出願された日本出願特願2021-023028を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0069】
10、70 基板
11、71 サーマルビア
20 アンテナ素子
30、80 グランド層
40 発熱部品
50 レドーム
51 平面部
52 壁部
53 スロット
53a 第1開口部
53b 第2開口部
53c、53d、53e、53f 端部
54 第1放熱フィン
55 第2放熱フィン
56 放熱フィン
61 封止材
90 伝熱部材
100、200 アンテナ装置