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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】熱管理分配制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/24 20190101AFI20240827BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20240827BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240827BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240827BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240827BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240827BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20240827BHJP
【FI】
B60L58/24
B60H1/22
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/663
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023523986
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2022005571
(87)【国際公開番号】W WO2022249576
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-10-09
(31)【優先権主張番号】202110575739.5
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】徐 兆良
(72)【発明者】
【氏名】李 楠
(72)【発明者】
【氏名】徐 暁華
(72)【発明者】
【氏名】呉 凱
(72)【発明者】
【氏名】阪本 宏太
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210652590(CN,U)
【文献】特開2020-122621(JP,A)
【文献】特開2020-164153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 58/24
B60H 1/22
H01M 10/615
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/6568
H01M 10/663
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱管理分配制御システムにおいて、
熱源(2)と、第1ポンプ(1)と、ヒータコア(3)とを含むキャビン加熱回路(200)
第1流路(91)と、第2流路(92)と、熱交換器(9)とを含み、前記第1流路は前記熱交換器と前記ヒータコアとが並列して設置される形式により、三方流量調節弁(5)を介して前記キャビン加熱回路と接続されており、前記第2流路上には、第2ポンプ(6)と、バッテリ熱交換器(4)とが設置されており、前記第1流路と前記第2流路とは互いに独立しており、前記熱交換器が前記第1流路内の冷却液と前記第2流路内の冷却液との間の熱交換を行うバッテリ加熱回路(300)、および、
前記熱源の出力と、前記三方流量調節弁の開度と、前記第1ポンプの出力と、前記第2ポンプの出力とを調節する制御ユニット(500)を含み、
前記第1流路と前記第2流路とは、それぞれの流量を相互に影響を及ぼし合うことなく独立して調節可能であり、
キャビンとバッテリを同時に加熱する場合、前記制御ユニットが前記第1ポンプの出力を調節し、および/または、前記第2ポンプの出力を調節する熱管理分配制御システム。
【請求項2】
前記キャビン加熱回路の前記ヒータコアの入口側には第1温度センサが配置されており、
前記制御ユニットは、
前記第1温度センサの検出値に基づいて前記熱源の出力を調節する請求項1に記載の熱管理分配制御システム。
【請求項3】
前記第2流路の前記バッテリ熱交換器の入口側には第2温度センサが配置されており、
前記制御ユニットは、
前記第2温度センサの検出値に基づいて前記三方流量調節弁の開度を調節する請求項2に記載の熱管理分配制御システム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、
前記ヒータコアに流入する冷却液流量を計算するとともに、それを予め設定されている第1ヒータコア流量上限閾値または予め設定されている第1ヒータコア流量下限閾値と比較し、または前記三方流量調節弁の第1流路側開度を予め設定されている第1流路側第1開度上限閾値または予め設定されている第1流路側第1開度下限閾値と比較し、かつ、
前記三方流量調節弁の第1流路側開度を開方向に調節する過程で、前記ヒータコアに流入する冷却液流量が前記第1ヒータコア流量下限閾値を下回るか、または前記三方流量調節弁の第1流路側開度が前記第1流路側第1開度上限閾値を上回ることを検出した場合には、前記第1ポンプの出力を増加させ、
前記三方流量調節弁の第1流路側開度を閉方向に調節する過程で、前記ヒータコアに流入する冷却液流量が第1ヒータコア流量上限閾値を上回るか、または前記三方流量調節弁の第1流路側開度が前記第1流路側第1開度下限閾値を下回ることを検出した場合には、前記第1ポンプの出力を低下させることにより、前記第1ポンプの出力を制御して前記ヒータコアに流入する冷却液流量を調節する請求項3に記載の熱管理分配制御システム。
【請求項5】
前記制御ユニットは、
前記第2温度センサの検出値と予め設定されているバッテリ入口温度閾値を比較するとともに、
前記第2温度センサの検出値が前記バッテリ入口温度閾値を下回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を開方向に調節して前記第1流路に流入する冷却液を増加させ、
前記第2温度センサの検出値が前記バッテリ入口温度閾値を上回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を閉方向に調節して前記第1流路に流入する冷却液を減少させることにより、前記三方流量調節弁の開度を調節する請求項3に記載の熱管理分配制御システム。
【請求項6】
前記制御ユニットは、
前記三方流量調節弁の第1流路側開度と予め設定されている第1流路側第2開度上限閾値を比較し、または、第1流路流量を計算するとともに、得られた前記第1流路流量と予め設定されている第1流路流量上限閾値を比較し、
前記三方流量調節弁の第1流路側開度が前記第1流路側第2開度上限閾値を上回るか、または、前記第1流路流量が前記第1流路流量上限閾値を上回る場合に、
前記第2温度センサの検出値が予め設定されているバッテリ入口温度閾値を下回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を不変に保って前記第2ポンプの出力を増加させ、
前記第2温度センサの検出値が予め設定されているバッテリ入口温度閾値を上回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を不変に保って前記第2ポンプの出力を減少させることにより、前記第2ポンプの出力を制御して前記第2流路の冷却液流量を調節する請求項5に記載の熱管理分配制御システム。
【請求項7】
前記制御ユニットは、
前記三方流量調節弁の第1流路側開度と予め設定されている第1流路側第2開度下限閾値を比較し、または、第1流路流量を計算するとともに、得られた前記第1流路流量と予め設定されている第1流路流量下限閾値を比較し、
前記三方流量調節弁の第1流路側開度が前記第1流路側第2開度下限閾値を下回るか、または、前記第1流路流量が前記第1流路流量下限閾値を下回る場合に、
前記第2温度センサの検出値が予め設定されているバッテリ入口温度閾値を下回り、かつ両者の差の絶対値が所定のバッテリ加熱需要閾値を下回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を不変に保って前記第2ポンプの出力を増加させ、
前記第2温度センサの検出値が予め設定されているバッテリ入口温度閾値を上回り、かつ両者の差の絶対値が所定のバッテリ加熱需要閾値を下回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を不変に保って前記第2ポンプの出力を減少させることにより、前記第2ポンプの出力を制御して前記第2流路の冷却液流量を調節する請求項5に記載の熱管理分配制御システム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、
三方流量調節弁の第1流路側開度に対して複数の事前設定開度レベルを設定しており、
バッテリの加熱需要が比較的大きく、キャビンの加熱需要が比較的小さい場合は、前記制御ユニットが三方流量調節弁の第1流路側開度を比較的大きい事前設定開度レベルに設定し、
バッテリの加熱需要が比較的小さく、キャビンの加熱需要が比較的大きい場合は、前記制御ユニットが三方流量調節弁の第1流路側開度を比較的小さい事前設定開度レベルに設定する請求項5に記載の熱管理分配制御システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2021年5月26日に中華人民共和国に出願された特許出願第202110575739.5号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
【技術分野】
【0002】
この開示は、車両の熱管理技術分野、具体的には熱管理分配制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー車で使用するバッテリは、合理的な温度範囲内で動作する必要がある。バッテリ温度が低すぎると、実効出力の電気エネルギー、および、電圧に影響が生じ、それによりバッテリの性能が下がって車両の航続力を低下させることがある。よって、バッテリ温度が低い場合はそれを加熱して、適切な動作温度を維持しなければならない。その一方で、寒冷環境下では、キャビン内の暖房を行う需要が存在する。一般的には、熱源で加熱された温水が取水管を通って暖房用のヒータコア(放熱器)の内部に供給される。ヒータコアは、送風機によって送風された空気に、温水の熱量を与える。送風空気が温風に変換されることによって暖房が行われる。そのため、加熱が必要なバッテリとヒータコアとを同じ回路に設置して、同時に加熱を行う場合がある。
【発明の概要】
【0004】
この開示の目的は、広範囲で精確な熱源放熱量分配を実現し、かつ放熱量の分配過程でキャビン加熱の快適性を確保することができる熱管理分配制御システムを提供することにある。
【0005】
この開示の一つの側面としての熱管理分配制御システムは、キャビン加熱回路、バッテリ加熱回路、および、制御ユニットを含む。キャビン加熱回路は、熱源と、第1ポンプと、ヒータコアとを含む。バッテリ加熱回路は、第1流路と、第2流路と、熱交換器とを含む。バッテリ加熱回路は、第1流路は熱交換器とヒータコアとが並列して設置される形式により、三方流量調節弁を介してキャビン加熱回路と接続されている。第2流路上には、第2ポンプと、バッテリ熱交換器が設置されている。第1流路と第2流路とは互いに独立している。バッテリ加熱回路において、熱交換器が第1流路内の冷却液と前記第2流路内の冷却液との間の熱交換を行う。制御ユニットは、熱源の出力と、三方流量調節弁の開度と、第1ポンプの出力と、第2ポンプの出力とを調節する。キャビンとバッテリを同時に加熱する場合、制御ユニットが第1ポンプの出力を調節し、および/または、第2ポンプの出力を調節する。
【0006】
この開示は、熱管理分配制御システムにおいて、熱源(2)と、第1ポンプ(1)と、ヒータコア(3)とを含むキャビン加熱回路(200)、第1流路(91)と、第2流路(92)と、熱交換器(9)とを含み、第1流路は熱交換器とヒータコアとが並列して設置される形式により、三方流量調節弁(5)を介してキャビン加熱回路と接続されており、第2流路上には、第2ポンプ(6)と、バッテリ熱交換器(4)とが設置されており、第1流路と第2流路とは互いに独立しており、熱交換器が第1流路内の冷却液と第2流路内の冷却液との間の熱交換を行うバッテリ加熱回路(300)、および、熱源の出力と、三方流量調節弁の開度と、第1ポンプの出力と、第2ポンプの出力とを調節する制御ユニット(500)を含み、第1流路と第2流路とは、それぞれの流量を相互に影響を及ぼし合うことなく独立して調節可能であり、キャビンとバッテリを同時に加熱する場合、制御ユニットが第1ポンプの出力を調節し、および/または、第2ポンプの出力を調節する。
この開示によると、キャビン内とバッテリを同時に加熱する際に、熱源の出力、三方流量調節弁の開度、第1ポンプ、および、第2ポンプの出力が調節される。これにより、熱源放熱量を、空調側とバッテリ側の需要の違いに応じて分配することができる。
【0007】
この開示では、広範囲かつ精確な熱源熱放出量の分配を行うことができ、しかも熱源の放熱量を分配する過程で、キャビン加熱の快適性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、この開示の1つの実施形態に基づく熱管理分配制御システムの回路概略図である。
図2図2は、比較例の熱管理分配制御システムの回路概略図である。
図3図3は、比較例の別の熱管理分配制御システムの回路概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面と下記の実施形態を結び付けてこの開示をさらに説明している。ただし、図面、および、下記の実施形態はこの開示を説明するためのものであって、この開示を限定するものではないことを理解しておかなければならない。この開示の記述において、説明しておかなければならないのは、用語の「上」、「下」、「左」、「右」などが示す方位や位置関係は、図面に示す方位や位置関係を基にしており、この開示を記述しやすくし、かつ記述を簡単にするためのものにすぎないことである。よって、それらの用語は、それらが示す装置や素子が特定の方位を有し、特定の方位によって構成され、操作されることを示したり、暗示したりするものではない。それらの用語は、この開示に対する限定と理解することはできないという点が理解されるべきである。この開示において、「上」、「下」、「左」、「右」とは、紙面に対しての「上」、「下」、「左」、「右」である。
【0010】
この開示は、広範囲で、かつ精確な熱源放熱量分配を実現できる熱量分配制御システムを公開している。加えて、この開示は、放熱量を分配する過程でキャビン加熱の快適性を確保することができる熱量分配制御システムを公開している。
【0011】
図1は、この開示の1つの実施形態に基づく熱管理分配制御システムの回路概略図である。図1に示すように、熱管理分配制御システムには、キャビン加熱回路とバッテリ加熱回路が含まれている。
【0012】
キャビン加熱回路は主に、加熱された冷却液をヒータコアに流入させることによりキャビンの温度を上昇させるために用いられる。キャビン加熱回路は、順に接続された、冷却液をポンプ輸送するための第1ポンプ1と、冷却液を加熱するための熱源2と、キャビン内に向かって放熱を行うヒータコア3とを含む。熱源2は、例えば、冷却液を直接加熱するHVH高圧電熱器などであってよく、キャビン加熱回路内に、実際の需要に基づいて、1つだけ、または複数個設置することができる。ヒータコア3は、例えば温風コアなどと呼ばれる流体-空気間における熱交換を提供する熱交換器であってよい。流体は、水、不凍液などの熱輸送媒体によって提供され、冷却液とも呼ばれる。ヒータコア3は、取水口から熱源2で加熱された冷却液を取り込む。ヒータコア3は、送風機により送風される空気を取り込む。ヒータコア3は、冷却液の熱量によって、空気を加熱し、送風管路を通してキャビンへの給熱を行う。ヒータコア3は、空気へ放熱した低温の冷却液を放水口から排出する。この熱管理分配制御システムのキャビン加熱回路内では、第1ポンプ1が、出口側が紙面上方に配置される形で熱源2、および、ヒータコア3と順に接続されている。
【0013】
第1ポンプ1が動作すると、冷却液が第1ポンプ1によって熱源2にポンプ輸送され、加熱されて温度が上昇する。温度が上昇した後の冷却液は、ヒータコア3に流入して空気へ放熱する。冷却液は、ヒータコア3から放出された後、再び第1ポンプ1に流入する。冷却液は、キャビン加熱回路内を反時計回りに循環する。また、図1に示すように、キャビン加熱回路上には、ヒータコア3の入口側(即ち熱源2の出口側)に第1温度センサ7が設けられている。第1温度センサ7は、ヒータコア3に流入する冷却液の温度を検出するために用いられる。第1温度センサ7は、制御ユニット500に接続されており、検出信号を提供する。
【0014】
バッテリ加熱回路は主に、加熱された冷却液を利用してバッテリ熱交換器4を加熱する。バッテリ加熱回路は、それによりバッテリ熱交換器4を介してバッテリと熱交換を行ってバッテリの温度を上昇させるために用いられる。図1に示すように、バッテリ加熱回路は、第1流路91、第2流路92、および、この第1流路91と第2流路92に熱交換を行わせる熱交換器9を含む。
【0015】
そのうち、第1流路91は、熱交換器9と上記ヒータコア3とが並列に配置される形でキャビン加熱回路に接続されている。言い換えれば、第1流路91が、キャビン加熱回路の冷却液中の一部を、ヒータコア3を回って熱交換器9に流しているのである。第1ポンプ1と熱源2とヒータコア3とを含むキャビン加熱回路は、主循環流路とも呼ぶことができる。第1流路91は、主循環流路から分岐する分岐流路とも呼ぶことができる。主循環流路における流量と、第1流路91における流量とは、相互に影響を及ぼしあうから相補的な関係にある。この観点から、第1流路91は、主循環流路に対する従属的な流路である。
【0016】
第1流路91、および、第2流路92は互いに独立している。第1流路91、および、第2流路92は、熱交換器9部分において熱交換を行う。熱交換器9は、第1流路91内の冷却液と第2流路92内の冷却液との間の熱交換を行う。熱交換器9は、流体的に実質的に独立している2つの系統91、92の間における熱交換を提供する。熱交換器9は、液体間熱交換器、または、系統間熱交換器とも呼ばれる。第2流路92上には、バッテリ熱交換器4と、冷却液をポンプ輸送するための第2ポンプ6が設置されている。バッテリ熱交換器4は、例えば新エネルギー車のパワーバッテリパネルといった通常のバッテリに使用される内蔵または外設の熱交換器であってよい。この熱管理分配制御システムのバッテリ加熱回路内には、第2ポンプ6が出口側を紙面下方に向かって配置する形で設置されている。バッテリ熱交換器4は、第2ポンプ6の入口側よりも第2ポンプ6の出口側の近くに設置されている。第1流路91と、第2流路92との独立関係は、それぞれにおける独立した循環流量調節を可能とする。第1流路91と第2流路92とは、冷却液のリザーブ系統などの付随装置を共有することができる。第1流路91と第2流路92とは、それぞれの流量を相互に影響を及ぼし合うことなく独立して調節可能である点に関して、この開示における独立性を充足している。
【0017】
第2ポンプ6が動作しているとき、冷却液は第2流路92内を反時計回りに循環する。第1流路91と第2流路92との間を流れる冷却液に温度差がある場合、熱交換器9において、熱量は高温側から低温側に伝達される。バッテリが低温の場合、第2流路92内を流れる熱交換後の冷却液は、バッテリ熱交換器4によりバッテリに対して放熱を行う。また、バッテリ加熱回路上において、バッテリ熱交換器4の入口側(第2ポンプ6の出口側)にはさらに第2温度センサ8が設置されている。第2温度センサ8は、バッテリ熱交換器4に流入する冷却液の温度を検出するために用いられる。第2温度センサ8は、制御ユニット500に接続されており、検出信号を提供する。
【0018】
熱管理分配制御システムではさらに、第1流路91とキャビン加熱回路の少なくとも任意の1つの接続ノード上に、三方流量調節弁5が設置されている。配置位置の違いにより、この三方流量調節弁5は、1つの入口と2つの出口、または2つの入口と1つの出口として配置することができる。本実施形態では、三方流量調節弁5は第1ポンプ1の下流側近くに設置されている。三方流量調節弁5は、熱源2の出口側と接続された第1弁口51と、ヒータコア3の入口側と接続された第2弁口52と、第1流路91と接続された第3弁口53とを含む。
【0019】
この三方流量調節弁5は、制御信号に基づいて、2つの片側全開状態とその中間状態との間で連続的に調節することができる。制御信号は、制御ユニット500から与えられる。具体的には、キャビン内の単独加熱モードでは、第1弁口51と第2弁口52が連通し、第3弁口53が遮断される。バッテリ単独加熱モードでは、第1弁口51と第3弁口53が連通し、第2弁口52が遮断される。キャビンとバッテリを同時に加熱するモードでは、第1弁口51と第2弁口52が同時に第3弁口53と連通する。このモードにおいて、同時連通時の開度、即ち両側の開口部の大きさは、制御信号に基づいて変化させることができる。三方流量調節弁5の第2弁口52の開度、および、第3弁口53の開度を調節することにより、ヒータコア3に流入する冷却液と第1流路91内の冷却液の流量を調節することができる。第2弁口52の開度は、以下では「ヒータコア側開度」と呼ぶこともある。第3弁口53の開度は、以下では「第1流路側開度」と呼ぶこともある。三方流量調節弁5の調節により熱源2からの冷却液をキャビン加熱回路とバッテリ加熱回路に向けて分配することができる。
【0020】
図1に示すように、第1ポンプ1、および、第2ポンプ6が安定して動作している場合、第1ポンプ1からポンプ輸送された流量がGw1の冷却液は、熱源2を経て加熱された後、三方流量調節弁5部分で分岐する。ポンプ流量の中の一部である流量Gw2の冷却液は三方流量調節弁5の第2弁口52からヒータコア3に流入する。流量Gw2の冷却液は、ヒータコア3で放熱してキャビンを加熱する。ポンプ流量の中の別の部分である流量Gw3の冷却液は、三方流量調節弁5の第3弁口53から第1流路91に向かって流れる。流量Gw3の冷却液は、熱交換器9において、第2流路92の中を流れる冷却液と熱交換を行う。この結果、第2流路92内の冷却液の温度が上昇する。第1流路91の冷却水は、熱交換器9の後、第1流路91、および、キャビン加熱回路のもう1つの接続ノードを経てキャビン加熱回路に戻る。第2流路92内の冷却液は、温度が上昇した後、第2ポンプ6のポンプ輸送作用下で反時計回りに循環する。第2流路92内の冷却液は、バッテリ熱交換器4においてバッテリと熱交換する。一例においては、バッテリ熱交換器4によってバッテリの加熱が行われる。このようにして、熱管理分配制御システムは、温度の異なる冷却液をヒータコア3とバッテリ熱交換器4に分配することで、キャビンの加熱、および、バッテリの加熱に必要な異なる水温の実現を図ることができる。
【0021】
熱量分配制御
熱管理分配制御システムがキャビンの加熱、および、バッテリの昇温を行う場合を想定する。この場合、ヒータコア3、および、バッテリ熱交換器4がそれぞれの目標動作温度で動作することが理想的である。しかし、実際の動作過程では、ヒータコア3、および、バッテリ熱交換器4の実際の動作温度が目標動作温度からかけ離れている状況が生じる可能性がある。そのため、上記の各流路、および、各流路上に設けられた部材の他に、熱管理分配制御システムは、制御ユニット500をさらに含む。この制御ユニット500は、熱管理分配制御システムに対して熱源2の出力制御、三方流量調節弁5の開度制御、第1ポンプ1、および、第2ポンプ6の回転速度制御を実行する。制御ユニット500は、後述する各温度閾値の設定などを含む熱量分配制御を行うために用いられる。制御ユニット500は、この開示において説明されている制御処理を実行するプロセッサを備える。制御ユニット500は、例えばROMやRAMなどのメモリ、および、CPUを有するマイクロコンピュータであってよく、CPUがROM内に記憶されたプログラムを実行する。代替的に、制御ユニット500は、ゲートアレイなどの固定的な電気回路によってプログラムを実行するプロセッサを備える場合がある。
【0022】
この開示では、キャビン内とバッテリを同時に加熱する場合、制御ユニット500は、熱源2の放熱量を空調側とバッテリ側に合理的に分配する。制御ユニット500は、合理的な分配を実現するように、制御対象としての熱源2の出力と、三方流量調節弁5の開度と、第1ポンプ1の回転速度とを制御する。
【0023】
熱量分配制御を行う場合は、制御ユニット500は、ヒータコア3に対して予めヒータコア入口温度閾値を設定する。このヒータコア入口温度閾値は、通常、ヒータコア3を目標動作温度下で動作させることができるヒータコア入口の冷却液の温度である。制御ユニット500は、このヒータコア入口温度閾値と第1温度センサ7が検出したヒータコア3入口側の冷却液温度とを比較することにより、ヒータコア3が目標動作温度にあるか否かを判断する。このヒータコア3に関する温度比較に基づいて、制御ユニットは、キャビン側に分配された熱量が十分であるか否かを判断することができる。
【0024】
同様に、熱量分配制御を行う場合は、制御ユニット500は、バッテリ熱交換器4に対しても予めバッテリ入口温度閾値を設定する。このバッテリ入口温度閾値は、通常、バッテリ熱交換器4を目標動作温度下で動作させることができるバッテリ熱交換器入口の冷却液の温度である。制御ユニット500は、バッテリ入口温度閾値と第2温度センサ8が検出したバッテリ熱交換器4入口側の冷却液温度とを比較することにより、バッテリ熱交換器4が目標動作温度にあるか否かを判断する。このバッテリ熱交換器4に関する温度比較に基づいて、制御ユニットは、バッテリ側に分配された熱量が十分であるか否かを判断する。
【0025】
外部環境の気温などの理由により、熱源2は常に最大出力電力で動作するとは限らない。そのため、例えば、第1温度センサ7の検出値がヒータコア入口温度閾値より低い場合、制御ユニット500は、熱源2のその時点の動作電力をその最大出力電力と比較する。熱源2の動作電力がその最大出力電力より低い場合、制御ユニットは熱源2の出力電力を増やして第1温度センサ7の検出値をヒータコア入口温度閾値まで上昇させる。言い換えれば、熱源2の出力電力を増加させることにより、キャビン内の空調加熱を実現させるのである。その一方で、この時点で熱源2がすでに最大出力電力で動作している場合、制御ユニットは、他の制御方法を採用して、熱管理分配制御システム内の熱量分配を調節する。具体的な内容については後述する。
【0026】
熱源2の調節を行うだけでなく、制御ユニット500はさらに、三方流量調節弁5の開度を調節することによって、熱管理分配制御システム内の熱量分配も調節する。例えば、制御ユニット500は、バッテリの加熱需要に応じて三方流量調節弁5の開度(即ち第2弁口52の開度、および、第3弁口53の開度)を調節することができる。制御ユニット500は、それによって熱源2の高温冷却液のヒータコア3、および、バッテリ熱交換器4への分配比率を変更することができる。具体的には、制御ユニット500は、第2温度センサ8の検出値をバッテリ入口温度閾値と比較することにより、バッテリ加熱の需要が大きすぎるか小さすぎるかを判断することができる。制御ユニット500は、またその時点のバッテリ加熱量目標値を、少し前のバッテリ加熱量目標値と比較することにより、バッテリ加熱需要が増えているか減っているかを判断することができる。
【0027】
具体的に言うと、制御ユニット500は、第2温度センサ8の検出値と上記の予め設定されたバッテリ入口温度閾値を比較する。制御ユニット500は、第2温度センサ8の検出値と予め設定されたバッテリ入口温度閾値との差に基づいて三方流量調節弁5の第2弁口52の開度、および、第3弁口53の開度を調節するのである。第2温度センサ8の検出値がバッテリ入口温度閾値より低い場合は、制御ユニット500が、下記(1)の制御処理を実行する。(1)第1流路91内の冷却液の流量を増やし、ヒータコア3に流入する冷却液の流量を減らすように、三方流量調節弁5の第3弁口の開度を開方向に調節し、かつ三方流量調節弁5の第2弁口の開度を閉方向に調節する。この結果、バッテリに対する加熱性能が高まる。反対に、第2温度センサ8の検出値がバッテリ入口温度閾値より高い場合は、制御ユニット500が、下記(2)の制御処理を実行する。(2)第1流路91の冷却液の流量を減らし、ヒータコア3に流入する冷却液の流量を増やすように、三方流量調節弁5の第3弁口の開度を閉方向に調節し、かつ三方流量調節弁5の第2弁口の開度を開方向に調節する。この結果、バッテリに対する加熱量が減少する。
【0028】
しかし、上記の第2温度センサ8の検出値に基づく調節方法では、熱交換器9については、片側の冷却液流量を調節しても、比較的小さい範囲内でキャビン、バッテリの加熱量を調節することしかできない。また、上記の調節を行う過程で、三方流量調節弁5の開度を調節するだけでは、キャビン内の吹出温度が不均一になり、吹出温度が変動するので、キャビン内の快適性が悪化してしまう。そのため、この開示の熱管理分配制御システムでは、上記の第1ポンプ1、および、第2ポンプ6は、回転速度の調節が可能なポンプである。言い換えると、第1ポンプ1と第2ポンプ6との両方は、流量を調節可能なポンプである。キャビン内とバッテリを同時に加熱する場合は、制御ユニット500は、上記の三方流量調節弁5の開度を調節するだけでなく、第1調節手段、および/または、第2調節手段によって第1ポンプ1、および、第2ポンプ6の出力を調節する。それにより、制御ユニット500は、第1流路91と第2流路92の間の熱交換量を調節する。制御ユニット500は、広い範囲において、キャビン加熱、および、バッテリ加熱に必要な熱量の分配を精確に、同時に実現する。制御ユニット500は、キャビン加熱、および、バッテリ加熱に必要な異なる水温を同時に達成するのである。広い範囲は、例えば、広い温度範囲を示す。例えば、広い範囲は、第2流路92の冷却水の温度の範囲で示される場合がある。
【0029】
(第1調節手段)
第1調節手段は、第1ポンプ1、および、三方流量調節弁5を連動させ、第1ポンプ1の出力を調節することによりキャビン内の暖房効果の安定を確保するという調節手段である。具体的には、第1調節手段は、制御ユニット500による制御処理によって提供される。第1調節手段は、ヒータコア3に流入する流量が所定値を下回る場合は第1ポンプ1の回転速度を上げる。第1調節手段は、ヒータコア3に流入する流量が所定値を上回る場合は第1ポンプ1の回転速度を下げる。
【0030】
具体的には、第1調節手段において、制御ユニット500は、三方流量調節弁5の第2弁口52から流出する冷却液の流量の下限閾値と、上限閾値とを設定する。即ち、制御ユニット500は、ヒータコア3に流入する冷却液の流量に対して、第1ヒータコア流量下限閾値X1と第1ヒータコア流量上限閾値X2を予め設定する。
【0031】
制御ユニット500は、第1ポンプ1の回転速度によって熱源2に流入する冷却液の主流量Gw1を計算する。第1ポンプ1の回転速度は、直接的に、または、間接的に、PWMデューティ比など、ポンプの動作状態を表すその他の電気的な制御量からも取得される。制御ユニット500は、その後、冷却液主流量Gw1と、三方流量調節弁5のその時点の開度とによってヒータコア3に流入する冷却液流量Gw2と、第1流路91に流入する冷却液流量Gw3とを計算する。制御ユニット500は、ヒータコア3に流入する冷却液流量(リアルタイム流量)Gw2を計算した後、この冷却液流量Gw2と、予め設定された第1ヒータコア流量下限閾値X1または第1ヒータコア流量上限閾値X2との比較を行う。
【0032】
バッテリの加熱量を増やす必要がある場合は、制御ユニット500が上記の制御ロジックに基づいて三方流量調節弁5の第1流路側開度を大きくし、三方流量調節弁5のヒータコア側開度(即ち第2弁口52の開度)を小さくする。この結果、ヒータコア3に流入する高温冷却液流量Gw2が減少する。この過程において、ヒータコア3に流入する冷却液流量Gw2が上記第1ヒータコア流量下限閾値X1を下回ることが検出された場合、それはヒータコア3内の冷却液流量が少なすぎることを意味している。この時、制御ユニット500は、第1ポンプ1の回転速度を上げて冷却液流量Gw2を適度に上昇させるよう指令を出す。この結果、冷却液流量Gw2は、一定の範囲内に保持される。ここで、一定の範囲は、例えば、キャビンの加熱需要を満たすために必要な流量であり、かつ、キャビン加熱量に大きな変動を与えない範囲である。
【0033】
その一方で、バッテリの加熱量を減らす必要がある場合は、制御ユニット500が上記の制御ロジックに基づいて三方流量調節弁5の第1流路側開度を小さくし、三方流量調節弁5のヒータコア側開度(つまり第2弁口52の開度)を大きくする。この結果、ヒータコア3に流入する高温冷却液流量Gw2が増加する。この過程において、ヒータコア3に流入する冷却液流量Gw2が上記第1ヒータコア流量上限閾値X2を上回ることが検出された場合、それはヒータコア3内の冷却液流量が多すぎることを意味している。この時、制御ユニット500は、第1ポンプ1の回転速度を下げることで冷却液流量Gw2を適切に減少させるよう指令を出す。この結果、冷却液流量Gw2が一定の範囲内に保持される。ここで、一定の範囲は、例えば、キャビンの加熱需要を満たすために必要な流量であり、かつ、キャビン加熱量に大きな変動を与えない範囲である。
【0034】
また、第1調節手段においては、制御ユニット500が、三方流量調節弁5の第1流路側開度、即ち第3弁口の開度に対して、第1流路側第1開度上限閾値Y1、および、第1流路側第1開度下限閾値Y2を予め設定してもよい。制御ユニット500は、三方流量調節弁5の第1流路側開度と予め設定された第1流路側第1開度上限閾値Y1または第1流路側第1開度下限閾値Y2とを比較してもよい。第1流路側開度は、リアルタイム開度によって提供することができる。
【0035】
同様に、バッテリの加熱量を増やす必要がある場合は、制御ユニット500が上記の制御ロジックに基づいて三方流量調節弁5の第1流路側開度を大きくし、三方流量調節弁5のヒータコア側開度を小さくする。この結果、ヒータコア3に流入する高温冷却液流量Gw2が減少する。この過程において、第1流路側開度が上記第1流路側第1開度上限閾値Y1を上回ることが検出された場合、それはヒータコア3内の冷却液流量が少なすぎることを意味している。この時、制御ユニット500は、第1ポンプ1の回転速度を上げて冷却液流量Gw2を適度に上昇させるよう指令を出す。この結果、冷却液流量Gw2が一定の範囲内に保持される。ここで、一定の範囲は、例えば、キャビンの加熱需要を満たすために必要な流量であり、かつ、キャビン加熱量に大きな変動を与えない範囲である。
【0036】
バッテリの加熱量を減らす必要がある場合は、制御ユニット500が上記の制御ロジックに基づいて三方流量調節弁5の第1流路側開度を小さくし、三方流量調節弁5のヒータコア側開度を大きくする。この結果、ヒータコア3に流入する高温冷却液流量Gw2が増加する。この過程において、第1流路側開度が上記第1流路側第1開度下限閾値Y2を下回ることが検出された場合、それはヒータコア3内の冷却液流量が多すぎることを意味している。この時、制御ユニット500は、第1ポンプ1の回転速度を下げることで冷却液流量Gw2を適切に減少させるよう指令を出す。この結果、冷却液流量Gw2が一定の範囲内に保持される。ここで、一定の範囲は、例えば、キャビンの加熱需要を満たすために必要な流量であり、かつ、キャビン加熱量に大きな変動を与えない範囲である。
【0037】
このように、第1ポンプ1の回転速度を調節することによりヒータコア3に流入する冷却液流量Gw2を一定の範囲内に保持しているので、ヒータコア3に流入する冷却液の最小流量を確保することができる。それによりキャビンの加熱をさらに安定させ、乗客の快適性を保証し、キャビン内の吹出温度のむらや吹出温度の変動、キャビン内の快適性の悪化といった問題を防止することができる。ヒータコア3に流入する冷却液流量Gw2が第1ヒータコア流量下限閾値X1と第1ヒータコア流量上限閾値X2の間にある場合、または三方流量調節弁5の第1流路側開度が第1流路側第1開度上限閾値Y1と第1流路第1開度下限閾値Y2の間にある場合は、第1ポンプ1の回転速度は調節しない。
【0038】
(第2調節手段)
上述のように、制御ユニット500は、第2温度センサ8の検出値と上記の予め設定されたバッテリ入口温度閾値を比較し、それによりバッテリ加熱需要を判断する。加えて、制御ユニット500は、三方流量調節弁5の開度に関して、第2温度センサ8の検出値に基づく調節を実行する。しかし、第2温度センサ8の検出値に基づく上記の調節において、三方流量調節弁5の第3弁口53の開度が比較的大きい場合は、第3弁口53をさらに開方向に調節したとしても、第2流路92内の冷却液の放熱量を有効に上昇させることは難しい。三方流量調節弁5の第3弁口53の開度が微小である場合は、三方流量調節弁5の開度を調節すると、熱管理分配制御システム内の冷却液の温度が大幅に変動してしまう。よって、この開示では、制御ユニットはさらに第2調節手段を備える。
【0039】
第2調節手段は、第2ポンプ6と三方流量調節弁5を連動させ、第2ポンプ6の出力を調節することにより熱交換器9の熱交換量を調節するという調節手段である。具体的には、第2調節手段は、制御ユニット500による制御処理によって提供される。第2調節手段は、バッテリ加熱量を増やさなければならない場合には第2ポンプ6の回転速度を上げる。第2調節手段は、バッテリ加熱量を減らさなければならない場合には第2ポンプ6の回転速度を下げる。
【0040】
三方流量調節弁5の第3弁口53の開度が比較的大きく、この時にバッテリ加熱の需要が引き続き増えている場合を想定する。この場合、熱交換器9の特性に起因して、第3弁口53の開度を引き続き大きくし、熱交換器9の第1流路91内の冷却液流量Gw3を増やしたとしても、第2流路92内の冷却液への放熱量を有効に増やすことはできない場合がある。この時、三方流量調節弁5は熱量の分配を調節する機能を失っている。よって、第2流路92内の冷却液の流量を変えることによって熱交換量を調節する必要がある。
【0041】
より詳しく言うと、第1流路91、および、第2流路92は、熱交換器9の内部に設けられた熱交換プレートによって分離され、かつ、この熱交換プレートを介して熱交換を行っている。熱交換プレートの蓄熱能力には限界があるため、第1流路91の冷却液流量Gw3がある程度増加した後、引き続き熱交換プレート左側の冷却液流量を増加させても、熱交換プレートを介してより多くの熱量を伝達することは困難である。その一方で、一定の範囲内で熱交換プレート右側の冷却液流量を調節する、即ち第2流路92内の冷却液の流量を変えると、第2流路92内の冷却液に、所定の時間内に熱交換プレート上からより多くの熱量を持ち去らせることができる。この結果、バッテリ熱交換器4によってバッテリにより多くの熱量を伝達することができる。
【0042】
これに対して、第2調節手段では、制御ユニット500は、三方流量調節弁5の第3弁口53から流出する冷却液流量、即ち第1流路91に流入する冷却液流量に対して予め第1流路流量上限閾値X3を設定している。この第1流路91に流入する冷却液流量Gw3は、同様に、制御ユニット500が第1ポンプ1の回転速度によって熱源2に流入する冷却液主流量Gw1を計算した後、この冷却液主流量Gw1と三方流量調節弁5のその時点の開度により計算して得られる。制御ユニット500は、第1流路91に流入する冷却液流量Gw3を計算した後、この冷却液流量Gw3を予め設定された第1流路流量上限閾値X3と比較する。代替的に、制御ユニット500は、三方流量調節弁5の第1流路側開度、即ち第3弁口開度に対して第1流路側第2開度上限閾値Y3を予め設定し、その後、三方流量調節弁5の第1流路側開度と予め設定された第1流路側第2開度上限閾値Y3を比較する。この第1流路流量上限閾値X3または第1流路側第2開度上限閾値Y3は、実験により得ることができる。具体的には、制御ユニット500は、三方流量調節弁5の第3弁口53の開度を調節するにつれて、バッテリ側に伝達される熱量の変化率を観測する。制御ユニット500は、バッテリ側に伝達される熱量の変化率が徐々に減少し、この変化率が一定値まで下がると、この時の第1流路流量値を取得する。制御ユニット500は、取得した第1流路流量値を、第1流路流量上限閾値X3として設定する。代替的に、制御ユニット500は、上記変化率が一定値まで下がると、この時の第1流路側開度値を取得し、第1流路側第2開度上限閾値Y3として設定する。
【0043】
第1流路91に流入する冷却液流量Gw3が第1流路流量上限閾値X3を上回るか、または三方流量調節弁5の第1流路側開度が第1流路側第2開度上限閾値Y3を上回ることが検出された場合を想定する。この場合、第3弁口54がすでに引き続き増加してもバッテリ加熱量を満たすことが困難な開度の大きさになっていることを意味している。この時、制御ユニット500は、バッテリ加熱の需要を判断し、バッテリ加熱需要に基づいて第2ポンプ6の出力を制御する。
【0044】
具体的には、第2温度センサ8の検出値が予め設定されたバッテリ入口温度閾値を下回る場合、即ちバッテリ加熱需要が増加した場合、制御ユニット500は三方流量調節弁5の第1流量側開度を不変に保ち、第2ポンプ6の回転速度を上げる。この結果、熱交換器9部分の熱交換量が増加して、増大したバッテリ加熱需要を満たす。第2温度センサ8の検出値が予め設定されたバッテリ入口温度閾値を上回る場合、即ちバッテリ加熱需要が減少した場合は、制御ユニット500は三方流量調節弁5の第1流量側開度を不変に保ち、第2ポンプ6の回転速度を下げる。この結果、熱交換器9部分の熱交換量が減少する。
【0045】
その一方で、三方流量調節弁5の第3弁口53の開度が微小である場合、または第1流路91内の流量Gw3が比較的小さい場合に、バッテリ加熱需要に変化が生じる場合が想定される。この場合、熱交換器9の特性に起因して、三方流量調節弁5の開度を変更すると、熱交換器9上の熱交換量が急激に変化する。それによりシステム内の各部分の冷却液温度が大幅に変動することが想定される。流量GW3が比較的小さい状態の一例は、所定の閾値流量より小さい状態、例えば、1L/分より小さい状態である。この時、三方流量調節弁5は熱量分配を少量調節する機能を失っている。よって、第2流路92内の冷却液の流量を変えることにより、熱交換量を調節する必要がある。
【0046】
これに対して、第2調節手段では、制御ユニット500は、三方流量調節弁5の第3弁口53から流出する冷却液流量、即ち第1流路91に流入する冷却液流量に対して第1流路流量下限閾値X4を予め設定する。制御ユニット500は、計算で得られた冷媒流量Gw3を予め設定された第1流路流量下限閾値X4と比較する。代替的に、制御ユニット500は、三方流量調節弁5の第1流路側開度、即ち第3弁口開度に対して第1流路側第2開度下限閾値Y4を予め設定する。制御ユニット500は、三方流量調節弁5の第1流路側開度と予め設定された第1流路側第2開度下限閾値Y4とを比較する。同時に、制御ユニット500はさらに、バッテリ加熱需要閾値Zを予め規定する。制御ユニット500は、その後、このバッテリ加熱需要閾値Zをバッテリ加熱需要の変化幅と比較する。これにより、制御ユニット500は、所定のバッテリ加熱需要の変化範囲内で熱源の放熱量分配を精確に行う。バッテリ加熱需要の変化幅とは、第2温度センサ8の検出値と予め設定されたバッテリ入口温度閾値の差の絶対値を指す。
【0047】
具体的には、第1流路91に流入する冷却液流量Gw3が第1流路流量下限閾値X4を下回るか、または三方流量調節弁5の第1流路側開度が第1流路側第2開度下限閾値Y4を下回る状況を想定することができる。この状況において、バッテリ加熱需要が増大し、かつ変化幅が上記のバッテリ加熱需要閾値Zを下回る場合がある。この場合、それは、一定の範囲内で第2流路92の冷却液温度を精確に上昇させ、増大したバッテリ加熱需要を満たさなければならないことを意味している。この時、制御ユニット500は三方流量調節弁5の第1流路側開度を不変に保ち、第2ポンプ6の回転速度を増加させる。バッテリ加熱需要の増大は、即ち第2温度センサ8の検出値がバッテリ入口温度閾値を下回る場合である。変化幅は、第2温度センサ8の検出値とバッテリ入口温度閾値の差の絶対値である。
【0048】
この状況において、バッテリ加熱需要が減少し、かつ変化幅が上記のバッテリ加熱需要閾値Zを下回る場合がある。この場合、それは、一定の範囲内で第2流路92の冷却液温度を精確に下降させ、減少したバッテリ加熱需要を満たさなければならないことを意味している。この時、制御ユニット500は三方流量調節弁5の第1流路側開度を不変に保ち、第2ポンプ6の回転速度を減少させる。バッテリ加熱需要の減少は、即ち第2温度センサ8の検出値がバッテリ入口温度閾値を上回る場合である。
【0049】
このように、第2ポンプ6の回転速度を変更することによりバッテリ熱交換器4に流入する冷却液流量を調節すると、一定の範囲内で熱交換器9の熱交換量を精確に調節することができる。一定の範囲は、熱交換器9の熱的な応答性に依存して規定される場合がある。一定の範囲は、冷却液流量Gw3の変化に対するバッテリ加熱量の変化の応答特性に依存している。一定の範囲は、冷却液流量Gw3を変化させることなく、バッテリ加熱量を変化させることができる範囲である。それによってシステムの各部分の冷却液温度を大幅に変動させることなくバッテリ加熱需要を満たし、バッテリ側に目標熱量を達成させることができる。上記の調節手段では、加熱量需要が変化したときに、実際の加熱量が目標加熱量に到達するまでに時間を要することにより生じる遅れを補償することができる。
【0050】
(その他の調節手段)
以上に説明した実施形態では、三方流量調節弁5の開度は、フィードバック制御によって調節される。フィードバック制御は、第2温度センサの検出値に基づいて、連続して変更可能なフィードバック制御である。この実施形態では、三方流量調節弁5がフィードバック制御される状況において、第2ポンプ6の回転速度が調節される。よって、三方流量調節弁5と第2ポンプ6との連動が調節手段によって提供される。
【0051】
この実施形態に代えて、三方流量調節弁5の開度は、非連続かつ変更可能なフィードフォワード制御によって調節されてもよい。
【0052】
具体的には、制御ユニットは、必要なバッテリ加熱の需要量、および、キャビン内加熱の需要量に応じて、三方流量調節弁5に対して予め定められた複数の事前設定開度レベルを選択的に設定することができる。複数の事前設定開度レベルは、先行する実施形態における三方流量調節弁5の第1流路側開度レベルに相当する。バッテリ加熱需要が比較的大きく、キャビン加熱需要が比較的小さい場合は、三方流量調節弁5の第1流路側開度を比較的大きい事前設定開度レベルに設定する。バッテリ加熱需要が比較的小さく、キャビン加熱需要が比較的大きい場合は、三方流量調節弁5の第1流路側開度を比較的小さい事前設定開度レベルに設定する。加熱量の需要は変化しているが、変化幅がその時点のレベルを超えていない場合は、三方流量調節弁5の開度の調節は行わない。ただし、上で述べているように、第2ポンプ6の出力を調節することにより、一定の範囲内で熱交換器9の熱交換量を精確に調節し、加熱量需要の変化に合わせる。これらの制御処理は、制御ユニット500によって実行される。この実施形態においても、三方流量調節弁5と第2ポンプ6との連動的な制御が制御ユニット500によって提供される。これにより、熱管理分配制御システムは、より広い範囲の加熱能力分配比率での運用を実現し、加熱能力をより精確に調節することができる。
【0053】
上で説明した調節手段の他にも、この開示の熱管理分配制御システムでは、さらに上記の第1調節手段、および、第2調節手段を同時に混合して使用することができる。これにより、キャビン加熱の快適性の確保を追求するとともに、広い範囲で熱源放熱量の分配を精確に行うことで、キャビン、および、バッテリの様々な加熱需要を満たすことができる。
【0054】
また、この開示では、熱管理分配制御システムの制御ユニットは、さらに、ヒータコア3の放熱量を計算し、かつそれを予め設定されたヒータコア放熱量閾値と比較こともできる。代替的に、熱管理分配制御システムの制御ユニットは、バッテリ熱交換器4の放熱量を計算し、かつそれを予め設定されたバッテリ熱交換器放熱量閾値と比較することもできる。これにより三方流量調節弁5の開度を調節するとともに、第1調節手段、および/または、第2調節手段を通してキャビンとバッテリの同時加熱を実現している。
【0055】
図2は、比較例の熱管理分配制御システムの回路概略図である。図2に示すように、キャビン加熱回路200上には熱源2とヒータコア3が設置されている。バッテリ加熱回路300上にはバッテリ熱交換器4が設置されている。三方流量調節弁5を用いてキャビン加熱回路200とバッテリ加熱回路300が並列に統合されている。三方流量調節弁5によって流量分配を行い、キャビンとバッテリの同時加熱を実現している。しかし、ヒータコア3とバッテリ熱交換器4に進入する冷却液はいずれも熱源出口から来るので、キャビン加熱回路200とバッテリ加熱回路300の水温は常に一致している。実際には、キャビンの加熱に必要な水温はさらに高いが(50°C~70°C)、安全性の理由から、バッテリは高温の冷却液の直接加熱を受け入れることができない。よって、図2に示す熱管理分配制御システムによりキャビンとバッテリを同時に加熱する場合は、制限が非常に大きい。また、熱源出口の冷却液の一部をバッテリ側に分配すると、ヒータコア3に流入する冷却液の流量が減少する。この場合、キャビン内の吹出温度が不均一になり、吹出温度が変動して、キャビン内の快適性が悪くなる。
【0056】
図3は、別の熱管理分配制御システムの回路概略図である。図3に示すように、熱源2出口の高温水をバッテリ熱交換器4に直接引き込むのではなく、1つの熱交換器9を通してキャビン加熱回路とバッテリ加熱回路との間の熱交換が実行される。三方流量調節弁5の開度を調節することにより熱交換器9側を通過する水流量を変更することで、バッテリ側の加熱量が調節される。しかし、熱交換器9の熱交換能力は2つの流路の流量の影響を同時に受ける。よって、片側の水流量を調節するだけではキャビンやバッテリの加熱量を小範囲でしか調節できない。これでは、現在の新エネルギー車の実際の使用における複雑な外部環境や多種多様な使用シーンに対応することができない。それと同時に、図3の比較例は、上記のバッテリ加熱時にヒータコア3の流量が低下して生じるキャビン内の快適性の悪化問題を解決することもできない。
【0057】
この明細書は、以下に述べる熱管理分配システムを開示している。熱管理分配制御システムは、キャビン加熱回路、バッテリ加熱回路、および、制御ユニット500を備える。キャビン加熱回路は、第1ポンプ1、熱源2、および、ヒータコア3を備える。第1ポンプ1、熱源2、および、ヒータコア3は、主要な循環回路を形成している。キャビン加熱回路とバッテリ加熱回路とは、第1ポンプ1に対して流体的に並列に配置されている。並列の関係は、2つの分岐点によって提供されている。ひとつの分岐点は、三方流量調節弁5によって提供されている。残るひとつの分岐点は、合流管によって提供されている。バッテリ加熱回路は、キャビン加熱回路から三方流量調節弁5において分岐している第1流路91を備える。第1流路91は、主要な循環回路に対して、ヒータコア3を経由せず、熱交換器9を経由するバイパス回路を提供する。バッテリ加熱回路は、第1流路91から流体的に独立している第2流路92を備える。第1流路91と第2流路92とは熱交換器9によって熱的に結合されている。第2流路92は、熱交換器9、第2ポンプ6、および、バッテリ熱交換器4を備える。第2流路92は、循環回路を形成している。
【0058】
制御ユニット500は、熱源2の出力、三方流量調節弁5の開度、第1ポンプ1の出力、および、第2ポンプ6の出力を調節する。キャビンとバッテリを同時に加熱する場合、制御ユニット500は、第1ポンプ1の出力を調節し、および/または、第2ポンプ6の出力を調節する。キャビンとバッテリを同時に加熱する場合、制御ユニット500は、キャビン加熱需要とバッテリ加熱需要とに応えるように第1ポンプ1の出力と、三方流量調節弁5の開度とを制御する。制御ユニット500は、バッテリ加熱需要に応えるように第2ポンプ6の出力を制御する。
【0059】
(技術的思想1)熱管理分配制御システムにおいて、熱源と、第1ポンプと、ヒータコアとを含むキャビン加熱回路、第1流路と、第2流路と、熱交換器とを含み、前記第1流路は前記熱交換器と前記ヒータコアとが並列して設置される形式により、三方流量調節弁を介して前記キャビン加熱回路と接続されており、前記第2流路上には、第2ポンプと、バッテリ熱交換器とが設置されており、前記第1流路と前記第2流路とは互いに独立しており、前記熱交換器が前記第1流路内の冷却液と前記第2流路内の冷却液との間の熱交換を行うバッテリ加熱回路、および、前記熱源の出力と、前記三方流量調節弁の開度と、前記第1ポンプの出力と、前記第2ポンプの出力とを調節する制御ユニットを含み、キャビンとバッテリを同時に加熱する場合、前記制御ユニットが前記第1ポンプの出力を調節し、および/または、前記第2ポンプの出力を調節する熱管理分配制御システム。
【0060】
(技術的思想2)前記キャビン加熱回路の前記ヒータコアの入口側には第1温度センサが配置されており、前記制御ユニットは、前記第1温度センサの検出値に基づいて前記熱源の出力を調節する技術的思想1に記載の熱管理分配制御システム。(技術的思想3)前記第2流路の前記バッテリ熱交換器の入口側には第2温度センサが配置されており、前記制御ユニットは、前記第2温度センサの検出値に基づいて前記三方流量調節弁の開度を調節する技術的思想2に記載の熱管理分配制御システム。
【0061】
(技術的思想4)前記制御ユニットは、前記ヒータコアに流入する冷却液流量を計算するとともに、それを予め設定されている第1ヒータコア流量上限閾値または予め設定されている第1ヒータコア流量下限閾値と比較し、または前記三方流量調節弁の第1流路側開度を予め設定されている第1流路側第1開度上限閾値または予め設定されている第1流路側第1開度下限閾値と比較し、かつ、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を開方向に調節する過程で、前記ヒータコアに流入する冷却液流量が前記第1ヒータコア流量下限閾値を下回るか、または前記三方流量調節弁の第1流路側開度が前記第1流路側第1開度上限閾値を上回ることを検出した場合には、前記第1ポンプの出力を増加させ、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を閉方向に調節する過程で、前記ヒータコアに流入する冷却液流量が第1ヒータコア流量上限閾値を上回るか、または前記三方流量調節弁の第1流路側開度が前記第1流路側第1開度下限閾値を下回ることを検出した場合には、前記第1ポンプの出力を低下させることにより、前記第1ポンプの出力を制御して前記ヒータコアに流入する冷却液流量を調節する技術的思想3に記載の熱管理分配制御システム。(技術的思想5)前記制御ユニットは、前記第2温度センサの検出値と予め設定されているバッテリ入口温度閾値を比較するとともに、前記第2温度センサの検出値が前記バッテリ入口温度閾値を下回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を開方向に調節して前記第1流路に流入する冷却液を増加させ、前記第2温度センサの検出値が前記バッテリ入口温度閾値を上回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を閉方向に調節して前記第1流路に流入する冷却液を減少させることにより、前記三方流量調節弁の開度を調節する請求項3に記載の熱管理分配制御システム。
【0062】
(技術的思想6)前記制御ユニットは、前記三方流量調節弁の第1流路側開度と予め設定されている第1流路側第2開度上限閾値を比較し、または、第1流路流量を計算するとともに、得られた前記第1流路流量と予め設定されている第1流路流量上限閾値を比較し、前記三方流量調節弁の第1流路側開度が前記第1流路側第2開度上限閾値を上回るか、または、前記第1流路流量が前記第1流路流量上限閾値を上回る場合に、前記第2温度センサの検出値が予め設定されているバッテリ入口温度閾値を下回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を不変に保って前記第2ポンプの出力を増加させ、前記第2温度センサの検出値が予め設定されているバッテリ入口温度閾値を上回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を不変に保って前記第2ポンプの出力を減少させることにより、前記第2ポンプの出力を制御して前記第2流路の冷却液流量を調節する技術的思想5に記載の熱管理分配制御システム。
【0063】
(技術的思想7)前記制御ユニットは、前記三方流量調節弁の第1流路側開度と予め設定されている第1流路側第2開度下限閾値を比較し、または、第1流路流量を計算するとともに、得られた前記第1流路流量と予め設定されている第1流路流量下限閾値を比較し、前記三方流量調節弁の第1流路側開度が前記第1流路側第2開度下限閾値を下回るか、または、前記第1流路流量が前記第1流路流量下限閾値を下回る場合に、前記第2温度センサの検出値が予め設定されているバッテリ入口温度閾値を下回り、かつ両者の差の絶対値が所定のバッテリ加熱需要閾値を下回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を不変に保って前記第2ポンプの出力を増加させ、前記第2温度センサの検出値が予め設定されているバッテリ入口温度閾値を上回り、かつ両者の差の絶対値が所定のバッテリ加熱需要閾値を下回る場合は、前記三方流量調節弁の第1流路側開度を不変に保って前記第2ポンプの出力を減少させることにより、前記第2ポンプの出力を制御して前記第2流路の冷却液流量を調節する技術的思想5に記載の熱管理分配制御システム。
【0064】
(技術的思想8)前記制御ユニットは、三方流量調節弁の第1流路側開度に対して複数の事前設定開度レベルを設定しており、バッテリの加熱需要が比較的大きく、キャビンの加熱需要が比較的小さい場合は、前記制御ユニットが三方流量調節弁の第1流路側開度を比較的大きい事前設定開度レベルに設定し、バッテリの加熱需要が比較的小さく、キャビンの加熱需要が比較的大きい場合は、前記制御ユニットが三方流量調節弁の第1流路側開度を比較的小さい事前設定開度レベルに設定する技術的思想5に記載の熱管理分配制御システム。
【0065】
上記の具体的実施形態は、この開示の目的、技術手法、および、有益な効果に対するより詳細な説明であり、上記はこの開示の一種の具体的実施形態にすぎず、この開示の保護範囲を限定するものではないことを理解しておかなければならない。この開示の基本的特徴から逸脱しないことを主旨として、この開示は様々な形式を具現化することができる。つまり、この開示の実施形態は、説明のためのものであって限定のためのものではなく、この開示の範囲は請求項によって限定されるものであって、明細書によって限定されるものではなく、また請求の範囲で画定された範囲、またはその画定された範囲と同等の範囲内のすべての変化は、請求項の中に含まれているものと理解しなければならない。この開示の主旨、および、原則内で行われる修正、同等の置換、改良などは、すべてこの開示の保護範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3