(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】表示輝度調整方法および関連装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3225 20160101AFI20240827BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240827BHJP
H10K 50/115 20230101ALI20240827BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20240827BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240827BHJP
H10K 59/60 20230101ALI20240827BHJP
H04N 5/57 20060101ALI20240827BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20240827BHJP
H04N 5/70 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 612U
G09G3/20 641P
G09G3/20 611A
H10K50/115
H05B33/14 Z
H10K59/12
H10K59/60
H04N5/57
H04N5/66 A
H04N5/70 B
(21)【出願番号】P 2022560324
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 CN2021085590
(87)【国際公開番号】W WO2021204105
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】202010270705.0
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シュウフェン
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-298693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170560(US,A1)
【文献】特開2010-039199(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0037423(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
H10K 50/115
H05B 33/14
H10K 59/12
H10K 59/60
H04N 5/57
H04N 5/66
H04N 5/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示輝度調整方法であって、
電子装置が表示対象画像を取得する段階と、
前記電子装置が前記表示対象画像の平均ピクセルレベルを計算する段階と、
前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルが第1平均ピクセルレベルより小さい場合、前記電子装置がディスプレイのピーク明度曲線に基づいて、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルに対応する実際の表示輝度値を決定する段階と、
前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルが第2平均ピクセルレベルより大きい場合、前記電子装置が、1より小さいまたは1と等しい輝度ゲイン値および前記ピーク明度曲線に基づいて決定された第1調光曲線に基づいて、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルに対応する前記実際の表示輝度値を決定する段階と、
前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルが前記第1平均ピクセルレベルと前記第2平均ピクセルレベルとの間にある場合、前記電子装置が、予め設定された前記第1平均ピクセルレベル、予め設定された前記第2平均ピクセルレベル、前記輝度ゲイン値、および前記ピーク明度曲線に基づいて決定された第2調光曲線に基づいて、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルに対応する前記実際の表示輝度値を決定する段階であって、前記ピーク明度曲線、前記第1調光曲線、および前記第2調光曲線が互いに異なり、前記第1平均ピクセルレベルが前記第2平均ピクセルレベルより小さい、決定する段階と、
前記電子装置が前記実際の表示輝度値に基づいて前記表示対象画像の表示輝度を調整するよう指示する段階と
を備え、
前記第2調光曲線上の表示輝度値が前記平均ピクセルレベルと逆相関の関係にあり、前記第2調光曲線上の、前記第1平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、前記ピーク明度曲線上の、前記第1平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じであり、前記第2調光曲線上の、前記第2平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、前記第1調光曲線上の、前記第2平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じである、
方法であって、
電子装置が表示対象画像を取得する前記段階の前に、前記方法がさらに、
前記電子装置が前記輝度ゲイン値を取得する段階と、
前記電子装置が、予め設定された前記第1平均ピクセルレベル、予め設定された前記第2平均ピクセルレベル、前記輝度ゲイン値、および前記ピーク明度曲線に基づいて前記第2調光曲線を決定する段階と
を備え、
前記電子装置が前記第2調光曲線を決定するのに用いられる数式が、
F(x)=alpha(x)×Gain×PLC(x)+(1-alpha(x))×PLC(x)であり、
alpha(x)=(x-x1)/(x2-x1)であり、
F(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記第2調光曲線上の対応する輝度値であり、xが前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルであり、x1≦x≦x2であり、x1<x2であり、PLC(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記ピーク明度曲線上の対応する輝度値であり、Gainが前記輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1であり、alpha(x)が、前記第1平均ピクセルレベルと前記第2平均ピクセルレベルとの差異に対する、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルと前記第1平均ピクセルレベルとの差異の比率であり、x1が予め設定された前記第1平均ピクセルレベルであり、x2が予め設定された前記第2平均ピクセルレベルである、方法。
【請求項2】
電子装置が表示対象画像を取得する前記段階の前に、前記方法がさらに、
前記電子装置が前記輝度ゲイン値および前記ピーク明度曲線に基づいて前記第1調光曲線を決定する段
階
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電子装置が前記輝度ゲイン値を取得する前記段階が具体的に、
ユーザにより入力された輝度調整値を前記電子装置が受け取る段階と、
前記電子装置が前記輝度調整値および輝度調整範囲に基づいて前記輝度ゲイン値を決定する段階と
を有する、請求項
1または
2に記載の方法。
【請求項4】
前記電子装置が前記輝度ゲイン値を取得する前記段階が具体的に、
前記電子装置が周囲輝度を検出する段階と、
前記電子装置が周囲輝度と輝度ゲインとの対応関係に基づいて、検出した前記周囲輝度に対応する輝度ゲイン値を決定する段階と
を有する、請求項
1または
2に記載の方法。
【請求項5】
前記電子装置が前記実際の表示輝度値に基づいて前記表示対象画像の表示輝度を調整するよう指示する前記段階が具体的に、
前記電子装置が前記実際の表示輝度値に基づいて、対応する駆動電流値を決定する段階と、
前記電子装置が、決定した前記駆動電流値に基づいて前記ディスプレイの入力駆動電流を調整するよう指示する段階と
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
同じ平均ピクセルレベルでは、前記第1調光曲線上の対応する表示輝度値が、前記ピーク明度曲線上の対応するピーク輝度値より小さいまたはこれと等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ディスプレイが自発光型ディスプレイであり、前記ディスプレイの種類には、有機発光ダイオードOLEDディスプレイ、アクティブマトリクス有機発光ダイオードAMOLEDディスプレイ、および量子ドット発光ダイオードQLEDディスプレイが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電子装置が前記第1調光曲線を決定するのに用いられる数式が、
Y(x)=Gain×PLC(x)であり、
Y(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記第1調光曲線上の対応する輝度値であり、xが前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルであり、0<x≦1であり、PLC(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記ピーク明度曲線上の対応するピーク輝度値であり、Gainが前記輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
表示輝度調整方法であって、
電子装置が輝度ゲイン値を取得する段階であって、前記輝度ゲイン値は1より小さいまたは1と等しい、取得する段階と、
前記電子装置が、前記輝度ゲイン値、ディスプレイのピーク明度曲線、予め設定された第1平均ピクセルレベル、および予め設定された第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定する段階と、
前記電子装置が表示対象画像を取得する段階と、
前記電子装置が前記表示対象画像の平均ピクセルレベルを計算する段階と、
前記電子装置が前記第3調光曲線に基づいて、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルに対応する実際の表示輝度値を決定する段階と、
前記電子装置が、前記実際の表示輝度値に基づいて前記表示対象画像の表示輝度を調整するよう指示する段階と
を備え、
前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルが前記第1平均ピクセルレベルより小さい場合、前記第3調光曲線上の、前記平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、前記ピーク明度曲線上の、前記平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じであり、
前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルが前記第2平均ピクセルレベルより大きい場合、前記第3調光曲線上の、前記平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、前記ピーク明度曲線上の、前記平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と前記輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる輝度値と同じであり、
前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルが前記第1平均ピクセルレベルと前記第2平均ピクセルレベルとの間にある場合、前記第3調光曲線上の、前記平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、前記平均ピクセルレベルが増加すると、前記ピーク明度曲線上の、前記平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値から、前記対応するピーク輝度値と前記輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる輝度値へと移行
し、
前記電子装置が、前記輝度ゲイン値、ディスプレイのピーク明度曲線、予め設定された第1平均ピクセルレベル、および予め設定された第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定する前記段階が具体的に、
前記電子装置が前記輝度ゲイン値および前記ピーク明度曲線に基づいて第1調光曲線を決定する段階と、
前記電子装置が、前記第1平均ピクセルレベル、前記第2平均ピクセルレベル、前記輝度ゲイン値、および前記ピーク明度曲線に基づいて第2調光曲線を決定する段階と、
前記電子装置が、前記第1調光曲線、前記第2調光曲線、前記第1平均ピクセルレベル、および前記第2平均ピクセルレベルに基づいて前記第3調光曲線を決定する段階と
を有し、
前記電子装置が前記第2調光曲線を決定するのに用いられる数式が、
F(x)=alpha(x)×Gain×PLC(x)+(1-alpha(x))×PLC(x)であり、
alpha(x)=(x-x1)/(x2-x1)であり、
F(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記第2調光曲線上の対応する輝度値であり、xが前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルであり、x1≦x≦x2であり、x1<x2であり、PLC(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記ピーク明度曲線上の対応する輝度値であり、Gainが前記輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1であり、alpha(x)が、前記第1平均ピクセルレベルと前記第2平均ピクセルレベルとの差異に対する、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルと前記第1平均ピクセルレベルとの差異の比率であり、x1が予め設定された前記第1平均ピクセルレベルであり、x2が予め設定された前記第2平均ピクセルレベルである、方法。
【請求項10】
電子装置が輝度ゲイン値を取得する前記段階が具体的に、
ユーザにより入力された輝度調整値を前記電子装置が受け取る段階と、
前記電子装置が前記輝度調整値および輝度調整範囲に基づいて前記輝度ゲイン値を決定する段階と
を有する、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
電子装置が輝度ゲイン値を取得する前記段階が具体的に、
前記電子装置が周囲輝度を検出する段階と、
前記電子装置が周囲輝度と輝度ゲインとの対応関係に基づいて、検出した前記周囲輝度に対応する輝度ゲイン値を決定する段階と
を有する、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記電子装置が前記実際の表示輝度値に基づいて前記表示対象画像の表示輝度を調整するよう指示する前記段階が具体的に、
前記電子装置が前記実際の表示輝度値に基づいて、対応する駆動電流値を決定する段階と、
前記電子装置が、決定した前記駆動電流値に基づいて前記ディスプレイの入力駆動電流を調整するよう指示する段階と
を有する、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
同じ平均ピクセルレベルでは、前記第1調光曲線上の対応する表示輝度値が、前記ピーク明度曲線上の対応するピーク輝度値より小さいまたはこれと等しい、請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2調光曲線上の表示輝度値が前記平均ピクセルレベルと逆相関の関係にあり、前記第2調光曲線上の、前記第1平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、前記ピーク明度曲線上の、前記第1平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じであり、前記第2調光曲線上の、前記第2平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、前記第1調光曲線上の、前記第2平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じである、請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
前記ディスプレイが自発光型ディスプレイであり、前記ディスプレイの種類には、有機発光ダイオードOLEDディスプレイ、アクティブマトリクス有機発光ダイオードAMOLEDディスプレイ、および量子ドット発光ダイオードQLEDディスプレイが含まれる、請求項
9に記載の方法。
【請求項16】
前記電子装置が前記第1調光曲線を決定するのに用いられる数式が、
Y(x)=Gain×PLC(x)であり、
Y(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記第1調光曲線上の対応する輝度値であり、xが前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルであり、0<x≦1であり、PLC(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記ピーク明度曲線上の対応するピーク輝度値であり、Gainが前記輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である、請求項
9に記載の方法。
【請求項17】
前記電子装置が前記第3調光曲線を決定するのに用いられる数式が、
x<x1の場合には、L(x)=PLC(x)であり、
x1≦x≦x2の場合には、L(x)=F(x)であり、
x>x2の場合には、L(x)=Y(x)であり、
L(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記第3調光曲線上の対応する輝度値であり、PLC(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記ピーク明度曲線上の対応する輝度値であり、Y(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記第1調光曲線上の対応する輝度値であり、F(x)が、前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルがxである場合の、前記第2調光曲線上の対応する輝度値であり、xが前記表示対象画像の前記平均ピクセルレベルであり、x1が予め設定された前記第1平均ピクセルレベルであり、x2が予め設定された前記第2平均ピクセルレベルであり、x1<x2である、請求項
9に記載の方法。
【請求項18】
前記電子装置がテレビである、請求項1から
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記電子装置がアプリケーションプロセッサである、請求項1から
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数のプロセッサと、ディスプレイと、1つまたは複数のメモリとを備えた表示装置であって、前記1つまたは複数のメモリ、前記ディスプレイ、および前記1つまたは複数のプロセッサが結合されており、前記1つまたは複数のメモリがコンピュータプログラムコードを格納するように構成されており、前記コンピュータプログラムコードにはコンピュータ命令が含まれており、前記1つまたは複数のプロセッサが前記コンピュータ命令を実行すると、前記表示装置が請求項1から
19のいずれか一項に記載の方法を行うことが可能になる、表示装置。
【請求項21】
前記表示装置はアプリケーションプロセッサを含む、請求項
20に記載の表示装置。
【請求項22】
前記表示装置がテレビである、請求項
20に記載の表示装置。
【請求項23】
命令を備えたコンピュータプログラムであって、前記命令が表示デバイスが備えるコンピュータで実行されると、前記表示デバイスが請求項1から
19のいずれか一項に記載の方法を行うことが可能になる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年4月8日に中国国家知識産権局に出願された「表示輝度調整方法および関連装置(DISPLAY BRIGHTNESS ADJUSTMENT METHOD AND RELATED APPARATUS)」と題する中国特許出願第202010270705.0号に基づく優先権を主張し、当該中国特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、ディスプレイ技術の分野に関し、具体的には表示輝度調整方法および関連装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、ハイダイナミックレンジ(high-dynamic range、HDR)10規格の確立に伴い、様々なHDR規格、例えば、HDR10、ハイブリッドログガンマ(hybrid log-gamma、HLG)、ドルビービジョン(Dolby Vision)、およびHDR10+が次々と普及し適用されている。テレビ、ディスプレイ、タブレット、または携帯電話などの表示デバイスの重要な特徴になっているのがHDR表示である。
【0004】
HDR表示の重要な指標がピーク輝度であり、国際規格で合意されている最大表示ピーク輝度が10000ニット(nit)である。しかしながら、材料、スクリーン製造工程、または電源の消費電力などの要因によって制限されるため、スクリーン上では、実際の番組素材の輝度のダイナミックレンジが0nit~4000nitになる。例えば、最も優れた既存の液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)テレビのピーク輝度が約4000nitであり、最も優れた既存の有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)テレビのピーク輝度が約1000nitであり、ディスプレイ、タブレット、スマートフォン、または携帯電話などの表示デバイスのピーク輝度が約1000nitである。画像情報を完全に提示するために、HDR規格では黒色と白色に対してより厳しい輝度要件がある。OLEDには自発光特性があるため、バックライトは必要ない。したがって、OLEDスクリーン上では、どの最小表示ユニットも個別に照明されてよい。OLEDが照明していないとき、OLEDは純粋な黒色の状態に近くなり得るが、照明領域の量および輝度が増加すると、それに応じて消費電力が増加する。高過ぎる消費電力を回避するために、OLEDスクリーンは出荷前に、対応するピーク明度曲線(peak lightness curve、PLC)を用いて設定され、照明表示領域のピーク輝度が、別の平均ピクセルレベル(average pixel level、APL)に基づいて決定される。例えば、APLが100%である場合、ディスプレイのピーク輝度は約200nitになり得る。APLが減少するにつれて、ピーク輝度は約1000nitまで徐々に増加し得る。
【0005】
従来技術では、ピーク明度曲線とユーザにより設定された輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる調光曲線に基づいて、OLEDスクリーンなどのディスプレイの輝度が調整される。輝度ゲイン値は1より小さいまたは1と等しい。次に、各画像フレームにおけるAPLと調光曲線とに基づいて、ディスプレイの表示輝度が調整される。このように、ディスプレイの表示輝度はあらゆるAPLで減少し、HDRビデオの表示画像コントラストが大きく低下する。その結果、HDRビデオの表示効果が不十分になる。
【発明の概要】
【0006】
本願は表示輝度調整方法および関連装置を提供して、低APLで輝度が低下したときにコントラストに及ぼす影響が低くなるようにし、HDR表示の画像輝度のコントラスト効果が高くなるようにする。
【0007】
第1態様によれば、本願は表示輝度調整方法を提供する。本方法は、電子装置が表示対象画像を取得する段階を含む。電子装置は、表示対象画像の平均ピクセルレベルを計算する。表示対象画像の平均ピクセルレベルが第1平均ピクセルレベルより小さい場合、電子装置は、ディスプレイのピーク明度曲線に基づいて、表示対象画像の平均ピクセルレベルに対応する実際の表示輝度値を決定する。表示対象画像の平均ピクセルレベルが第2平均ピクセルレベルより大きい場合、電子装置は第1調光曲線に基づいて、表示対象画像の平均ピクセルレベルに対応する実際の表示輝度値を決定する。表示対象画像の平均ピクセルレベルが第1平均ピクセルレベルと第2平均ピクセルレベルとの間にある場合、電子装置は、第2調光曲線に基づいて、表示対象画像の平均ピクセルレベルに対応する実際の表示輝度値を決定する。ピーク明度曲線、第1調光曲線、および第2調光曲線は互いに異なる。第1平均ピクセルレベルは第2平均ピクセルレベルより小さい。電子装置は、実際の表示輝度値に基づいて、表示対象画像の表示輝度を調整する。
【0008】
本願で提供される表示輝度調整方法によれば、表示対象画像のAPLが低APL領域にある場合、ディスプレイは、APLに対応するピーク輝度を実装表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが高APL領域にある場合、ディスプレイは、輝度ゲイン値とAPLに対応するピーク輝度とを掛け合わせることにより得られる輝度値を実際の表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが中間APL領域にある場合、APLが増加すると、ディスプレイの表示輝度が、ピーク輝度から、ピーク輝度と輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる輝度値へと移行し得る。このように、低APLで輝度が低下したときに画像コントラストに及ぼす影響を抑制することができ、HDR表示の画像輝度の高コントラスト効果を向上させることができる。さらに、高APLでは画像表示輝度が低くなり、ユーザの目への刺激を低減する。
【0009】
実現可能な一実装形態では、電子装置が表示対象画像を取得する前に、本方法はさらに、電子装置が輝度ゲイン値を取得する段階を含む。輝度ゲイン値は、1より小さいまたは1と等しい。電子装置は、輝度ゲイン値およびピーク明度曲線に基づいて第1調光曲線を決定する。
【0010】
実現可能な一実装形態では、電子装置は表示対象画像を取得する前に、本方法はさらに、電子装置が輝度ゲイン値を取得する段階を含む。輝度ゲイン値は1より小さいまたは1と等しい。電子装置は、予め設定された第1平均ピクセルレベル、予め設定された第2平均ピクセルレベル、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて第2調光曲線を決定する。
【0011】
実現可能な一実装形態では、電子装置が輝度ゲイン値を取得することは具体的に、電子装置がユーザによって入力された輝度調整値を受け取ることを含む。電子装置は、輝度調整値および輝度調整範囲に基づいて輝度ゲイン値を決定する。
【0012】
実現可能な一実装形態では、電子装置が輝度ゲイン値を取得することは具体的に、電子装置が周囲輝度を検出することを含む。電子装置は、周囲輝度と輝度ゲインとの対応関係に基づいて、検出された周囲輝度に対応する輝度ゲイン値を決定する。
【0013】
実現可能な一実装形態では、電子装置が実際の表示輝度値に基づいて表示対象画像の表示輝度を調整することは具体的に、電子装置が実際の表示輝度値に基づいて対応する駆動電流値を決定することを含む。電子装置は、表示対象画像を表示するときに、駆動電流値に基づいてディスプレイの入力駆動電流を調整する。
【0014】
実現可能な一実装形態では、同じ平均ピクセルレベルにおいて、第1調光曲線上の対応する表示輝度値が、ピーク明度曲線上の対応するピーク輝度値より小さいまたはこれと等しい。
【0015】
実現可能な一実装形態では、第2調光曲線上の表示輝度値が平均ピクセルレベルと逆相関の関係にある。第2調光曲線上の、第1平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、ピーク明度曲線上の、第1平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じである。第2調光曲線上の、第2平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、第1調光曲線上の、第2平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じである。
【0016】
実現可能な一実装形態では、ディスプレイは自発光型ディスプレイである。このディスプレイの種類としては、有機発光ダイオードOLEDディスプレイ、アクティブマトリクス有機発光ダイオードAMOLEDディスプレイ、および量子ドット発光ダイオードQLEDディスプレイが挙げられる。
【0017】
実現可能な一実装形態では、電子装置が第1調光曲線を決定するのに用いる数式が、Y(x)=Gain×PLC(x)である。
【0018】
ここで、Y(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第1調光曲線上の対応する輝度値である。xは表示対象画像の平均ピクセルレベルであり、0<x≦1である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ピーク明度曲線上の対応するピーク輝度値である。Gainは輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である。
【0019】
実現可能な一実装形態では、電子装置が第2調光曲線を決定するのに用いる数式が、F(x)=alpha(x)×Gain×PLC(x)+(1-alpha(x))×PLC(x)であり、alpha(x)=(x-x1)/(x2-x1)である。
【0020】
ここで、F(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第2調光曲線上の対応する輝度値である。xは表示対象画像の平均ピクセルレベルであり、x1≦x≦x2であり、x1<x2である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ピーク明度曲線上の対応する輝度値である。Gainは輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である。alpha(x)は、第1平均ピクセルレベルと第2平均ピクセルレベルとの差異に対する、表示対象画像の平均ピクセルレベルと第1平均ピクセルレベルとの差異の比率である。x1は予め設定された第1平均ピクセルレベルであり、x2は予め設定された第2平均ピクセルレベルである。
【0021】
実現可能な一実装形態では、電子装置はテレビであってよい。
【0022】
第2態様によれば、本願は表示輝度調整方法を提供する。本方法は、電子装置が輝度ゲイン値を取得する段階を含む。輝度ゲイン値は1より小さいまたは1と等しい。電子装置は、輝度ゲイン値、ディスプレイのピーク明度曲線、予め設定された第1平均ピクセルレベル、および予め設定された第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定する。電子装置は表示対象画像を取得する。電子装置は、表示対象画像の平均ピクセルレベルを計算する。電子装置は、第3調光曲線に基づいて、表示対象画像の平均ピクセルレベルに対応する実際の表示輝度値を決定する。電子装置は、実際の表示輝度値に基づいて、表示対象画像の表示輝度を調整する。
【0023】
本願で提供される表示輝度調整方法によれば、表示対象画像のAPLが低APL領域にある場合、ディスプレイは、APLに対応するピーク輝度を実装表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが高APL領域にある場合、ディスプレイは、輝度ゲイン値とAPLに対応するピーク輝度とを掛け合わせることにより得られる輝度値を実際の表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが中間APL領域にある場合、APLが増加すると、ディスプレイの表示輝度が、ピーク輝度から、ピーク輝度と輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる輝度値へと移行し得る。このように、低APLで輝度が低下したときに画像コントラストに及ぼす影響を抑制することができ、HDR表示の画像輝度の高コントラスト効果を向上させることができる。さらに、高APLでは画像表示輝度が低くなり、ユーザの目への刺激を低減する。
【0024】
実現可能な一実装形態では、電子装置が輝度ゲイン値、ディスプレイのピーク明度曲線、予め設定された第1平均ピクセルレベル、および予め設定された第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定することは具体的に、電子装置が輝度ゲイン値およびピーク明度曲線に基づいて第1調光曲線を決定することを含む。電子装置は、第1平均ピクセルレベル、第2平均ピクセルレベル、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて第2調光曲線を決定する。電子装置は、第1調光曲線、第2調光曲線、第1平均ピクセルレベル、および第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定する。
【0025】
実現可能な一実装形態では、電子装置が輝度ゲイン値を取得することは具体的に、電子装置がユーザによって入力された輝度調整値を受け取ることを含む。電子装置は、輝度調整値および輝度調整範囲に基づいて輝度ゲイン値を決定する。
【0026】
実現可能な一実装形態では、電子装置が輝度ゲイン値を取得することは具体的に、電子装置が周囲輝度を検出することを含む。電子装置は、周囲輝度と輝度ゲインとの対応関係に基づいて、検出された周囲輝度に対応する輝度ゲイン値を決定する。
【0027】
実現可能な一実装形態では、電子装置が実際の表示輝度値に基づいて表示対象画像の表示輝度を調整することは具体的に、電子装置が実際の表示輝度値に基づいて対応する駆動電流値を決定することを含む。電子装置は、表示対象画像を表示するときに、駆動電流値に基づいてディスプレイの入力駆動電流を調整する。
【0028】
実現可能な一実装形態では、同じ平均ピクセルレベルにおいて、第1調光曲線上の対応する表示輝度値が、ピーク明度曲線上の対応するピーク輝度値より小さいまたはこれと等しい。
【0029】
実現可能な一実装形態では、第2調光曲線上の表示輝度値が平均ピクセルレベルと逆相関の関係にある。第2調光曲線上の、第1平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、ピーク明度曲線上の、第1平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じである。第2調光曲線上の、第2平均ピクセルレベルに対応する表示輝度値が、第1調光曲線上の、第2平均ピクセルレベルに対応するピーク輝度値と同じである。
【0030】
実現可能な一実装形態では、ディスプレイは自発光型ディスプレイである。このディスプレイの種類としては、有機発光ダイオードOLEDディスプレイ、アクティブマトリクス有機発光ダイオードAMOLEDディスプレイ、および量子ドット発光ダイオードQLEDディスプレイが挙げられる。
【0031】
実現可能な一実装形態では、電子装置が第1調光曲線を決定するのに用いる数式が、Y(x)=Gain×PLC(x)である。
【0032】
ここで、Y(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第1調光曲線上の対応する輝度値である。xは表示対象画像の平均ピクセルレベルであり、0<x≦1である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ピーク明度曲線上の対応するピーク輝度値である。Gainは輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である。
【0033】
実現可能な一実装形態では、電子装置が第2調光曲線を決定するのに用いる数式が、F(x)=alpha(x)×Gain×PLC(x)+(1-alpha(x))×PLC(x)であり、alpha(x)=(x-x1)/(x2-x1)である。
【0034】
ここで、F(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第2調光曲線上の対応する輝度値である。xは表示対象画像の平均ピクセルレベルであり、x1≦x≦x2であり、x1<x2である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ピーク明度曲線上の対応する輝度値である。Gainは輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である。alpha(x)は、第1平均ピクセルレベルと第2平均ピクセルレベルとの差異に対する、表示対象画像の平均ピクセルレベルと第1平均ピクセルレベルとの差異の比率である。x1は予め設定された第1平均ピクセルレベルであり、x2は予め設定された第2平均ピクセルレベルである。
【0035】
実現可能な一実装形態では、電子装置が第3調光曲線を決定するのに用いる数式が以下の通りである。
L(x)=PLC(x)、x<x1の場合。
L(x)=F(x)、x1≦x≦x2の場合。
L(x)=Y(x)、x>x2の場合。
【0036】
ここで、L(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第3調光曲線上の対応する輝度値である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ピーク明度曲線上の対応する輝度値である。Y(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第1調光曲線上の対応する輝度値である。F(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第2調光曲線上の対応する輝度値である。xは表示対象画像の平均ピクセルレベルである。x1は予め設定された第1平均ピクセルレベルであり、x2は予め設定された第2平均ピクセルレベルであり、x1<x2である。
【0037】
実現可能な一実装形態では、電子装置はテレビである。
【0038】
第3態様によれば、本願は表示装置を提供する。本装置は、1つまたは複数のプロセッサと、ディスプレイと、1つまたは複数のメモリとを含む。1つまたは複数のメモリ、ディスプレイ、および1つまたは複数のプロセッサは結合されており、1つまたは複数のメモリはコンピュータプログラムコードを格納するように構成されており、コンピュータプログラムコードにはコンピュータ命令が含まれており、1つまたは複数のプロセッサがコンピュータ命令を実行すると、表示装置は、前述した態様のうちのいずれか1つについての任意の実現可能な実装形態における表示輝度調整方法を行うことが可能になる。
【0039】
実現可能な一実装形態では、表示装置はアプリケーションプロセッサであってよい。
【0040】
実現可能な一実装形態では、表示装置はテレビであってよい。
【0041】
第4態様によれば、本願は、コンピュータ命令を含むコンピュータ記憶媒体を提供する。コンピュータ命令が表示デバイスで起動すると、表示デバイスは、前述した態様のうちのいずれか1つについての任意の実現可能な実装形態における表示輝度調整方法を行うことが可能になる。
【0042】
第5態様によれば、本願の一実施形態がコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品がコンピュータで起動すると、コンピュータは、前述した態様のうちのいずれか1つについての任意の実現可能な実装形態における表示輝度調整方法を行うことが可能になる。
【0043】
第6態様によれば、本願は、1つまたは複数の機能モジュールを含む表示デバイスを提供する。1つまたは複数の機能モジュールは、前述した態様のうちのいずれか1つについての任意の実現可能な実装形態における表示デバイス輝度調整方法を行うように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本願の一実施形態による表示デバイスの構造の概略図である。
【0045】
【
図2】本願の一実施形態によるディスプレイパネルの構造の概略図である。
【0046】
【
図3】本願の一実施形態によるピーク明度曲線の概略図である。
【0047】
【
図4】従来技術の調光方法における調光曲線の概略図である。
【0048】
【
図5】本願の一実施形態による表示輝度調整方法の概略フローチャートである。
【0049】
【
図6】本願の一実施形態による表示輝度調整方法における調光曲線の概略図である。
【0050】
【
図7】本願の一実施形態による表示システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
下記では添付図面を参照しながら、本願の実施形態による技術的解決手段を明確かつ十分に説明する。本願の実施形態の説明では、特に指定しない限り、「/」で「または」という意味を示す。例えば、A/Bは、AまたはBを示し得る。本願では、「および/または」は、関連する対象を説明するための単なる対応関係に過ぎず、3つの関係が存在し得ることを表している。例えば、Aおよび/またはBは、以下の3つの場合を表し得る。すなわち、Aのみが存在する場合、AおよびBの両方が存在する場合、および、Bのみが存在する場合である。さらに、本願の実施形態の説明では、「複数の~」は2つまたはそれより多いことを意味する。
【0052】
後述する「第1」および「第2」という用語は、説明の目的に供しているだけに過ぎず、相対的な重要性を示すもしくは示唆するものとしても、示された技術的特徴の数を黙示的に示すものとしても理解されることはない。したがって、「第1」または「第2」によって限定される特徴は、1つまたは複数の特徴を明示的に含んでも、黙示的に含んでもよい。本願の実施形態の説明では、特に指定しない限り、「複数の~」は2つまたはそれより多いことを意味する。
【0053】
本願の一実施形態が表示輝度調整方法を提供する。電子装置において、表示対象画像のAPLが低APL領域にある場合、ディスプレイは、APLに対応するピーク輝度を実装表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが高APL領域にある場合、ディスプレイは、輝度ゲイン値とAPLに対応するピーク輝度とを掛け合わせることにより得られる輝度値を実際の表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが中間APL領域にある場合、APLが増加すると、ディスプレイの表示輝度が、ピーク輝度から、ピーク輝度と輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる輝度値へと移行し得る。このように、低APLで輝度が低下したときに画像コントラストに及ぼす影響を抑制することができ、HDR表示の画像輝度の高コントラスト効果を向上させることができる。さらに、高APLでは画像表示輝度が低くなり、ユーザの目への刺激を低減する。
【0054】
本願の本実施形態では、電子装置は表示デバイスまたは表示装置などであってもよい。本願の以下の実施形態では、電子装置が表示デバイスであることを一例として用い、本願の本実施形態で提供される表示輝度調整方法を説明する。
【0055】
以下では、本願による表示デバイス100の構造の概略図を説明する。
【0056】
図1に示すように、表示デバイス100は、プロセッサ111、メモリ112、無線通信処理モジュール113、電源スイッチ114、ディスプレイ115、オーディオモジュール116、およびスピーカ117を含んでよい。
【0057】
プロセッサ111は、1つまたは複数の処理ユニットを含んでよい。例えば、プロセッサ111は、アプリケーションプロセッサ(Application Processor、AP)、モデムプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(Graphics Processing Unit、GPU)、画像信号プロセッサ(Image Signal Processor、ISP)、コントローラ、メモリ、ビデオコーデック、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、ベースバンドプロセッサ、および/またはニューラルネットワーク処理ユニット(Neural-network Processing Unit、NPU)を含んでよい。様々な処理ユニットは、独立したデバイスであってもよく、1つまたは複数のプロセッサに統合されてもよい。
【0058】
コントローラは、表示デバイス100の中枢部およびコマンドセンタであってよい。コントローラは、命令オペレーションコードおよび時系列信号に基づいて動作制御信号を生成して、命令フェッチおよび命令実行の制御を完了させることができる。
【0059】
メモリはさらに、プロセッサ110に配置されてもよく、命令およびデータを格納するように構成されている。いくつかの実施形態において、プロセッサ110に入っているメモリはキャッシュである。メモリは、プロセッサ110が使用した、または繰り返し使用する命令またはデータを格納してよい。プロセッサ110が命令またはデータを再度使用する必要がある場合、プロセッサは命令またはデータをメモリから直接的に呼び出すことができる。これにより、繰り返しアクセスが回避され、プロセッサ110の待機時間が削減されて、システム効率が向上する。
【0060】
メモリ112は、プロセッサ111に結合されており、様々なソフトウェアプログラムおよび/または複数の命令セットを格納する。メモリ112は、コンピュータ実行可能プログラムコードを格納するように構成されてよい。実行可能プログラムコードには命令が含まれている。プロセッサ111は、メモリ112に格納された命令を実行することで、表示デバイス100の様々な機能アプリケーションおよびデータ処理を実施する。メモリ112は、プログラム記憶領域およびデータ記憶領域を含んでよい。プログラム記憶領域には、オペレーティングシステム、および少なくとも1つの機能(例えば、サウンド再生機能、または画像再生機能)に必要なアプリケーションなどが格納されてよい。データ記憶領域には、表示デバイス100を用いる過程で作成されたデータ(例えば、オーディオデータまたは表示対象画像データ)が格納されてよい。さらに、メモリ112は、高速ランダムアクセスメモリを含んでよく、さらに不揮発性メモリ、例えば、少なくとも1つの磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ、またはユニバーサルフラッシュストレージ(universal flash storage、UFS)を含んでよい。
【0061】
無線通信モジュール113は、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)(例えば、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity、Wi-Fi(登録商標))ネットワーク)、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標)、BT)、全球測位衛星システム(global navigation satellite system、GNSS)、周波数変調(frequency modulation、FM)、近距離無線通信(near field communication、NFC)、または赤外線(infrared、IR)技術などを含む、表示デバイス100に適用される無線通信ソリューションを提供できる。
【0062】
いくつかの実施形態では、無線通信処理モジュール113は、ブルートゥース(登録商標)(BT)通信処理モジュール113AおよびWLAN通信処理モジュール113Bを含んでよい。ブルートゥース(登録商標)(BT)通信処理モジュール113AおよびWLAN通信処理モジュール113Bのうちの一方または両方が、別のデバイスにより送出される信号(例えば、プローブ要求またはスキャン信号)をリッスンでき、また別のデバイスが表示デバイス100を発見できるように応答信号(例えば、プローブ応答またはスキャン応答)を送信し、別のデバイスとの無線通信接続を確立して、ブルートゥース(登録商標)またはWLANにおける1つまたは複数の無線通信技術を用いて別のデバイスと通信することができる。ブルートゥース(登録商標)(BT)通信処理モジュール113Aは、標準的なブルートゥース(登録商標)(BR/EDR)または低消費電力型ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth low energy、BLE)を含む1つまたは複数のブルートゥース(登録商標)通信ソリューションを提供できる。WLAN通信処理モジュール113Bは、Wi-Fi Direct(登録商標)、Wi-Fi(登録商標) LAN、またはWi-Fi(登録商標) SoftAPを含む1つまたは複数のWLAN通信ソリューションを含んでよい。
【0063】
電源スイッチ114は、電源を制御して表示デバイス100に電力を供給するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、電源スイッチ114は、外部電源を制御して表示デバイス100に電力を供給するように構成されてよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、表示デバイス100はさらに、バッテリ、充電管理モジュール、および電源管理モジュールを含んでもよい。バッテリは、表示デバイス100に電力を供給するように構成されてよい。充電管理モジュールは、充電器から充電入力を受け取るように構成されている。充電器は無線充電器であっても、有線充電器であってもよい。有線充電のいくつかの実施形態では、充電管理モジュールは、USBインタフェース130を通じて有線充電器の充電入力を受け取ることができる。無線充電のいくつかの実施形態では、充電管理モジュールは、表示デバイス100の無線充電コイルを通じて無線充電入力を受け取ることができる。バッテリを充電しながら、充電管理モジュールはさらに、電源管理モジュールを用いて電子デバイスに電力を供給できる。電源管理モジュールは、バッテリ、充電管理モジュール、およびプロセッサ111に接続されるように構成されている。電源管理モジュールは、バッテリおよび/または充電管理モジュールから入力を受け取り、プロセッサ111、メモリ112、ディスプレイ115、または無線通信モジュール113などに電力を供給する。電源管理モジュールはさらに、バッテリ容量、バッテリ充放電回数、およびバッテリの健康状態(漏電およびインピーダンス)などのパラメータを監視するように構成されてよい。いくつかの他の実施形態では、電源管理モジュールは代替的に、プロセッサ111に配置されてもよい。いくつかの他の実施形態では、電源管理モジュールおよび充電管理モジュールは代替的に、同じデバイスに配置されてもよい。
【0065】
ディスプレイ115は、画像またはビデオなどを表示するように構成されてよい。ディスプレイ115はディスプレイパネルを含む。本願の本実施形態では、ディスプレイパネルは自発光型ディスプレイパネルであり、例えば、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)、アクティブマトリクス有機発光ダイオードもしくはアクティブマトリクス有機発光ダイオード(active-matrix organic light emitting diode、AMOLED)、または量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diode、QLED)である。いくつかの実施形態では、表示デバイス100は1つまたはN個のディスプレイ194を含んでよく、Nは1より大きい正の整数である。
【0066】
本願の本実施形態では、表示デバイス100のディスプレイパネルは、一例としてOLEDパネルを用いて説明され得る。
【0067】
図2に示すように、OLEDパネルは、ガラス基板211、アノード212、正孔注入層213、有機発光層214、電子輸送層215、およびカソード216を含む。ガラス基板211は透明であり、OLEDパネル全体を支えるように構成されてよい。アノード212は透明であり、電流がアノード212を流れるときに、アノード212は電子を除去して正孔を増やすのに用いられてよい。正孔注入層213は有機材料分子で作られており、アノード216から正孔を送出するように構成されている。有機発光層214は有機材料で作られており、光を放射するように構成されている。電子輸送層215は有機材料分子で作られており、カソード216から電子を送出するように構成されている。電流がカソード216を通過するときに、カソード216は電子輸送層215に電子を注入する。2つの端部、すなわち、アノード212とカソード216との間に電流駆動によって特定の電圧が生じている場合、アノード212で生成された正孔とカソード216で生成された電子とが有機発光層で結合して明るい光を発生させる。有機発光層214では、赤色、緑色、および青色(RGB)という3つの原色が、異なる種類の有機材料分子により生成されて基本色を構成してよい。いくつかの実施形態では、有機発光層214において、赤色、緑色、青色、および白色(RGBW)という4つの色が、異なる種類の有機材料分子により生成されて基本色を構成してよい。OLEDパネルの各発光ユニットは個別に照明されてよく、発光ユニットの有機発光層で、異なる色の光が異なる有機材料分子により生成される。
【0068】
有機発光層213の発光輝度は、発光物質の性能とアノード212およびカソード216に印加される電流の大きさとに依存し、カソード216およびアノード212に印加される電流が大きいほど、有機発光層213の発光輝度が高くなる。したがって、OLEDパネル上の表示ピクセルはそれぞれ、赤色、緑色、および青色の有機発光ユニットを含んでよく、表示ピクセルの表示色が、表示ピクセル内の赤色、緑色、および青色の発光ユニットの注入電流値の割合を調整することで調整され得る。あるいは、OLEDパネル上の表示ピクセルはそれぞれ、赤色、緑色、青色、および白色の発光ユニットを含んでもよい。表示ピクセルの表示色が、表示ピクセル内の赤色、緑色、青色、および白色の発光ユニットの注入電流値の割合を調整することで調整され得る。表示ピクセル内の赤色、緑色、青色、および白色の発光ユニットの注入電流を全て0に調整すると、表示ピクセルは黒色として表示され得る。OLEDパネルの画像表示輝度が、OLEDパネルの駆動電流を調整することで調整され得る。
【0069】
オーディオモジュール116は、デジタルオーディオ信号を出力のためにアナログオーディオ信号に変換するように構成されてよく、さらにアナログオーディオ入力をデジタルオーディオ信号に変換するように構成されてよい。オーディオモジュール116はさらに、オーディオ信号の符号化および復号を行うように構成されてよい。いくつかの実施形態では、オーディオモジュール116はプロセッサ111に配置されてよく、または、オーディオモジュール116の一部の機能モジュールがプロセッサ111に配置されている。オーディオモジュール116は、バスインタフェース(例えば、UARTインタフェース)を通じてオーディオ信号を無線通信モジュール113に転送し、ブルートゥース(登録商標)スピーカを用いてオーディオ信号を再生する機能を実現してよい。
【0070】
スピーカ117は、オーディオモジュール116により送信されたオーディオ信号を音信号に変換するように構成されてよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、表示デバイス100はさらに、音信号を電気信号に変換するように構成された、「マイク」または「送話器」とも呼ばれるマイクロフォンを含んでよい。音声制御命令がある場合、ユーザが人の口から音を発して、音信号をマイクロフォンに入力することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、表示デバイス100はさらに、有線ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)通信処理モジュール、高精細度マルチメディアインタフェース(high definition multimedia interface、HDMI(登録商標))通信処理モジュール、およびユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USB)通信処理モジュールを含んでよい。有線LAN通信処理モジュールは、有線LANを通じて1つのLAN内にある別のデバイスと通信するように構成されてよく、さらに有線LANを通じてWANに接続されるように構成されてよく、またWAN内のデバイスと通信してよい。HDMI(登録商標)通信処理モジュールは、HDMI(登録商標)インタフェースを通じて別のデバイスと通信するように構成されてよい。例えば、HDMI(登録商標)通信処理モジュールは、HDMI(登録商標)インタフェースを通じて、セットトップボックスにより送信されたHDRビデオのデータを受信してよい。USB通信処理モジュールは、USBインタフェースを通じて別のデバイスと通信するように構成されてよい。
【0073】
現在、OLEDなどの自発光型スクリーンでは、OLEDが照明していないとき、純粋な黒色の状態に近くなり得るが、照明領域の量および輝度が増加すると、それに応じて消費電力が増加する。高過ぎる消費電力を回避するために、OLEDスクリーンは出荷前に、対応するピーク明度曲線(PLC)を用いて設定され、照明表示領域のピーク輝度が、別の平均ピクセルレベル(average pixel level、APL)に基づいて決定される。平均ピクセルレベルは、表示対象画像の最大ピクセル輝度に対する表示対象画像の平均ピクセル輝度の比率を示すのに用いられることがある。
【0074】
図3は、ディスプレイのピーク明度曲線の一例を示している。
図3に示すように、ピーク明度曲線の横軸が平均ピクセルレベル(APL)を表しており、縦軸がディスプレイの表示輝度を表している。APLが70%より大きいまたはこれと等しい場合、ディスプレイのピーク輝度が400nitになる。APLが10%と等しい場合、表示領域のピーク輝度が900nitになる。APLが3%より小さいまたはこれと等しい場合、ディスプレイのピーク輝度は1000nitに近い。APLが10%より大きく且つ70%より小さい場合、ディスプレイのピーク輝度はAPLの増加と共に減少する。
【0075】
従来技術において、ディスプレイの実際の表示輝度を調整する必要がある場合、表示デバイスでは、ピーク明度曲線とユーザにより設定された輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる調光曲線に基づいて、実際の表示輝度を調整できる。具体的な調整方法を数式(1)に示す。
数式(1) P(x)=Gain×PLC(x)
【0076】
数式(1)において、P(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ディスプレイにより表示される表示対象画像の輝度値であり、xは表示対象画像の平均ピクセルレベル(APL)であり、0<x≦1である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ディスプレイのピーク輝度である。Gainはユーザにより設定される輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である。
【0077】
図4は、ディスプレイの調光曲線を示している。
図4に示すように、ユーザにより設定された輝度ゲイン値Gainが0.5であってよい。したがって、同じAPLでは、調光曲線上の全ての輝度値が、ピーク明度曲線上の値の半分に減少している。例えば、ユーザにより設定された輝度ゲイン値Gainは0.5である。表示対象画像のAPLが10%である場合、ディスプレイのピーク輝度値が900nitであり、ディスプレイにより表示される表示対象画像の輝度値が450nitである。表示対象画像のAPLが70%である場合、ディスプレイのピーク輝度値は400nitであり、ディスプレイにより表示される表示対象画像の輝度値は200nitである。
【0078】
前述した内容から、従来技術では、ピーク曲線とユーザにより設定された輝度ゲイン値とを直接的に掛け合わせることで得られる、実際の表示輝度の調光曲線に基づいて、ディスプレイの輝度が調整されることが分かる。次に、ディスプレイが表示対象画像を表示するときに存在する表示輝度が、表示対象画像のAPLと実際の表示輝度の曲線とに基づいて調整される。このように、ディスプレイの表示輝度があらゆるAPLで減少し、画像コントラストが低下する。その結果、HDRビデオ再生効果が減少する。
【0079】
したがって、前述した課題に対して、本願の一実施形態が表示輝度調整方法を提供する。表示対象画像のAPLが低APL領域にある場合、ディスプレイは、APLに対応するピーク輝度を実装表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが高APL領域にある場合、ディスプレイは、輝度ゲイン値とAPLに対応するピーク輝度とを掛け合わせることにより得られる輝度値を実際の表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが中間APL領域にある場合、APLが増加すると、ディスプレイの表示輝度が、ピーク輝度から、ピーク輝度と輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる輝度値へと移行し得る。このように、低APLで輝度が低下したときに画像コントラストに及ぼす影響を抑制することができ、HDR表示の画像輝度の高コントラスト効果を向上させることができる。さらに、高APLでは画像表示輝度が低くなり、ユーザの目への刺激を低減する。
【0080】
以下では、本願の一実施形態で提供される表示輝度調整方法について説明する。
【0081】
図5は、本願の一実施形態による表示輝度調整方法の例示的な概略図である。
図5に示すように、本方法は以下の段階を含む。
【0082】
S501:表示デバイスが輝度ゲイン値を取得する。輝度ゲイン値は1より小さいまたは1と等しい非負数である。
【0083】
輝度ゲイン値はユーザにより設定されてよい。
【0084】
例えば、表示デバイスは輝度調整バーを表示してよく、輝度調整バーにはスライダが表示されてよい。表示デバイスは、スライダ上でユーザにより行われるスライド操作を受け取ることができる。このスライド操作に応答して、表示デバイスは、輝度調整バー上のスライダの位置と輝度調整バーの長さとに基づいて輝度ゲイン値を決定してよい。表示デバイスは、輝度調整バーの長さに対する、輝度調整バー上のスライダの位置から輝度調整バーの第1終点(例えば左端)までの距離の比率を、輝度ゲイン値として用いてよい。例えば、ユーザがスライダをスライドさせた後に、スライダは輝度調整バーの中間位置に位置しており、表示デバイスは輝度ゲイン値が0.5であると決定できる。
【0085】
別の例では、表示デバイスはユーザにより入力された輝度調整値を受け取ってよく、表示デバイスは、ユーザにより入力された輝度調整値と輝度調整範囲の長さとに基づいて、輝度ゲイン値を決定してよい。輝度ゲイン値は、輝度調整範囲の長さに対する輝度調整値の比率である。例えば、ユーザにより入力された輝度調整値が50であり、輝度調整範囲が0~100(言い換えれば、輝度調整範囲の長さが100)である場合、輝度ゲイン値は0.5である。
【0086】
実現可能な一実装形態では、表示デバイスはさらに、検出された周囲輝度に基づいて、周囲輝度と輝度ゲイン値との対応関係に基づく検出された周囲輝度に対応する輝度ゲイン値を決定してよい。表示デバイスは、検出された周囲輝度に対応する輝度ゲイン値に基づいて、ディスプレイの輝度を調整してよい。表示デバイスが配置されている環境が明るいほど、表示デバイスに用いられる輝度ゲイン値が大きくなる。例えば、表示デバイスにより検出された周囲輝度が1000ルクス(lux)である場合、表示デバイスは、周囲輝度と輝度ゲイン値との対応関係に基づいて、1000luxの周囲輝度に対応する輝度ゲイン値が0.8であると決定する。表示デバイスは、周囲輝度と輝度ゲイン値との対応関係に基づいて、500luxの周囲輝度に対応する輝度ゲイン値が0.4であると決定する。
【0087】
S502:表示デバイスは、輝度ゲイン値とディスプレイのピーク明度曲線とに基づいて第1調光曲線を決定する。
【0088】
ピーク明度曲線は、表示デバイスが工場から出荷される前に、表示デバイスに格納される。同じAPLでは、第1調光曲線上の表示輝度値がピーク曲線上のピーク輝度値より小さいまたはこれと等しい。
【0089】
表示デバイスは、輝度ゲイン値とピーク明度曲線上の全てのAPLに対応するピーク輝度値とを掛け合わせて、第1調光曲線を取得してよい。第1調光曲線を計算するための数式が次の通りであってよい。
数式(2) Y(x)=Gain×PLC(x)
【0090】
数式(2)に示すように、Y(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第1調光曲線上の対応する輝度値である。xは表示対象画像の平均ピクセルレベルであり、0<x≦1である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ディスプレイのピーク輝度値である。Gainは輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である。
【0091】
例えば、
図6に示すように、輝度ゲイン値が0.5である場合、第1調光曲線上の表示輝度値は、どのAPLでもピーク曲線上のピーク輝度値の半分である。例えば、APLが10%である場合、ピーク明度曲線上のピーク輝度値は900nitであり、第1調光曲線上の表示輝度値は450nitである。APLが70%である場合、ピーク明度曲線上のピーク輝度値は400nitであり、第1調光曲線上の表示輝度値は200nitである。この例は、本願を説明するのに用いられるだけに過ぎず、限定となるものではない。
【0092】
S503:表示デバイスは、第1平均ピクセルレベル(APL)、第2平均ピクセルレベル(APL)、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて、第2調光曲線を決定する。
【0093】
第1のAPLは第2のAPLより小さい。第1のAPLおよび第2のAPLは、ユーザまたは表示デバイスのシステムにより予め設定された閾値である。第2調光曲線上の表示輝度値が、APLと逆相関の関係にある。具体的には、第2調光曲線上の表示輝度値は、APLが増加すると減少する。第2調光曲線上の、第1のAPLに対応する表示輝度値が、ピーク明度曲線上の、第1のAPLに対応するピーク輝度値と同じである。第2調光曲線上の、第2のAPLに対応する表示輝度値が、第1調光曲線上の、第1のAPLに対応するピーク輝度値と同じである。表示対象画像のAPLが第1のAPLと第2のAPLとの間にある場合、第2調光曲線上の、表示対象画像のAPLに対応する表示輝度は、ピーク明度曲線上の、表示対象画像のAPLに対応するピーク輝度値より小さい。
【0094】
実現可能な一実装形態では、表示デバイスは、第1平均ピクセルレベル(APL)、第2平均ピクセルレベル(APL)、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて且つ数式(3)および数式(4)に基づいて、第2調光曲線を決定してよい。数式(3)および数式(4)は、次の通りであってよい。
数式(3) F(x)=alpha(x)×Gain×PLC(x)+(1-alpha(x))×PLC(x)
数式(4) alpha(x)=(x-x1)/(x2-x1)
【0095】
数式(3)および数式(4)において、F(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第2調光曲線上の対応する輝度値である。xは表示対象画像の平均ピクセルレベル(APL)であり、x1≦x≦x2であり、x1<x2である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ピーク明度曲線上の対応する輝度値である。Gainは輝度ゲイン値であり、0<Gain≦1である。alpha(x)は、第1のAPLと第2のAPLとの差異に対する、表示対象画像の平均ピクセルレベルxと第1のAPLとの差異の比率である。x1は第1のAPLであり、x2は第2のAPLである。
【0096】
例えば、
図6に示すように、第1のAPLは10%(すなわち、0.1)であってよく、第2のAPLは70%(すなわち、0.7)であってよく、輝度ゲイン値は0.5である。表示デバイスは、第1のAPL、第2のAPL、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて且つ数式(3)および数式(4)に基づいて、第2調光曲線を決定してよい。表示対象画像のAPLが10%(すなわち、0.1)である場合、第2調光曲線上の表示輝度値は900nitである。表示対象画像のAPLが70%(すなわち、0.7)である場合、第2調光曲線上の表示輝度値は200nitである。前述した例は、本願を説明するのに用いられるだけに過ぎない。特定の実装形態では、第1のAPLおよび第2のAPLは別の値であってもよい。ここでは、これについて限定しない。
【0097】
本願の本実施形態では、数式(3)および数式(4)は、単なる実現可能な一実装形態に過ぎず、限定となるものではない。特定の実装形態では、第1平均ピクセルレベル(APL)、第2平均ピクセルレベル(APL)、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて第2調光曲線を決定するのに、別の数式またはアルゴリズムを用いてもよい。
【0098】
S504:表示デバイスは表示対象画像を取得する。
【0099】
表示デバイスは、表示対象画像を表示対象ビデオデータから取得してよい。表示対象画像は、ビデオデータ内の各画像フレームである。例えば、表示デバイスはHDRビデオを再生している。表示デバイスは、HDRビデオのデータを解析して次の画像フレームを取得し、次の画像フレームを表示対象画像として用いてよい。
【0100】
実現可能な一実装形態では、表示対象画像は代替的に、ユーザにより選択されたピクチャであってもよい。例えば、表示デバイスは、HDRピクチャに対してユーザにより行われた表示操作を検出したことに応答してよく、表示デバイスは表示デバイスまたはネットワークからHDRピクチャを取得して、このHDRピクチャを表示対象画像として用いてよい。
【0101】
S505:表示デバイスは、表示対象画像の平均ピクセルレベルAPLを計算する。
【0102】
表示デバイスは、表示対象画像を取得した後に、表示対象画像を画像情報(例えば、RGBデータ)に変換してよい。画像情報には、ディスプレイが表示対象画像を表示するときの、各ピクセル内にある各カラー表示ユニットの色値が含まれている。ピクセル内にあるカラー表示ユニット全ての色値が全て0である場合、このピクセルは照明されていないため、純粋な黒色として表示されていることを示す。表示デバイスは、画像情報に基づいて、最大ピクセル輝度に対する表示対象画像の平均ピクセル輝度(すなわち、表示対象画像のAPL)の比率を計算してよい。
【0103】
例えば、表示対象画像の平均ピクセル輝度は125であってよく、最大ピクセル輝度は250であってよい。したがって、表示デバイスは、表示対象画像のAPLが50%であると計算できる。
【0104】
S506:表示対象画像のAPLが第1平均ピクセルレベルより小さい場合、表示デバイスは、ピーク明度曲線と表示対象画像のAPLとに基づいて、表示対象画像の実際の表示輝度値を決定する。
【0105】
例えば
図6に示すように、例えば、第1のAPLは10%であってよく、第2のAPLは70%であってよく、表示対象画像のAPLは5%である。表示対象画像のAPL(例えば、5%)が第1のAPL(例えば、10%)より小さいため、表示デバイスは、ピーク明度曲線(PLC)に基づいて、表示対象画像のAPLが5%である場合の対応するピーク輝度値が980nitであると決定し、ピーク輝度値980nitを表示対象画像の実際の表示輝度値として用いてよい。この例は、本願を説明するのに用いられるだけに過ぎず、限定となるものではない。
【0106】
S507:表示対象画像のAPLが第2平均ピクセルレベルより大きい場合、表示デバイスは、第1調光曲線と表示対象画像のAPLとに基づいて、表示対象画像の実際の表示輝度値を決定する。
【0107】
例えば
図6に示すように、例えば、第1のAPLは10%であってよく、第2のAPLは70%であってよく、表示対象画像のAPLは80%である。表示対象画像のAPL(例えば、50%)が第2のAPL(例えば、70%)より小さいため、表示デバイスは、第1調光曲線に基づいて、表示対象画像のAPLが80%である場合の対応する輝度値が200nitであると決定し、輝度値200nitを表示対象画像の実際の表示輝度値として用いてよい。この例は、本願を説明するのに用いられるだけに過ぎず、限定となるものではない。
【0108】
S508:表示対象画像のAPLが第1平均ピクセルレベルと第2平均ピクセルレベルとの間にある場合、表示デバイスは、第2曲線に基づいて表示対象画像の実際の表示輝度値を決定する。
【0109】
例えば
図6に示すように、例えば、第1のAPLは10%であってよく、第2のAPLは70%であってよく、表示対象画像のAPLは50%である。表示対象画像のAPL(例えば、50%)が第1のAPL(例えば、10%)と第2のAPL(例えば、50%)との間にあるため、表示デバイスは、第2調光曲線に基づいて、表示対象画像のAPLが50%である場合の対応する輝度値が300nitであると決定し、輝度値300nitを表示対象画像の実際の表示輝度値として用いてよい。この例は、本願を説明するのに用いられるだけに過ぎず、限定となるものではない。
【0110】
S509:表示デバイスは、実際の表示輝度値に基づいて表示対象画像を表示する。
【0111】
表示デバイスは、実際の表示輝度値を決定した後に、実際の表示輝度値に基づいて対応する駆動電流値を決定し、この駆動電流値に基づいてディスプレイに駆動電流を入力してよい。
【0112】
実現可能な一実装形態では、表示デバイスは、輝度ゲイン値、ディスプレイのピーク明度曲線、予め設定された第1平均ピクセルレベル、および予め設定された第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定してよい。まず、表示デバイスは、輝度ゲイン値およびピーク明度曲線に基づいて第1調光曲線を決定してよい。次に表示デバイスは、第1平均ピクセルレベル、第2平均ピクセルレベル、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて第2調光曲線を決定する。次に、表示デバイスは、第1調光曲線、第2調光曲線、第1平均ピクセルレベル、および第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定する。次に、表示デバイスが表示対象画像の平均ピクセルレベルを計算した後に、表示デバイスは、表示対象画像の平均ピクセルレベルと第3調光曲線とに基づいて、実際の表示輝度値を決定してよい。
【0113】
表示デバイスは、第1調光曲線、第2調光曲線、第1平均ピクセルレベル、および第2平均ピクセルレベルに基づいて且つ以下の数式に基づいて、第3調光曲線を決定してよい。
L(x)=PLC(x)、x<x1の場合。
L(x)=F(x)、x1≦x≦x2の場合。
L(x)=Y(x)、x>x2の場合。
【0114】
x<x1の場合には、L(x)=PLC(x)であり、x1≦x≦x2の場合には、L(x)=F(x)であり、x>x2の場合には、L(x)=Y(x)である。L(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第3調光曲線上の対応する輝度値である。PLC(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、ピーク明度曲線上の対応する輝度値である。Y(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第1調光曲線上の対応する輝度値である。F(x)は、表示対象画像の平均ピクセルレベルがxである場合の、第2調光曲線上の対応する輝度値である。xは表示対象画像の平均ピクセルレベルである。x1は第1平均ピクセルレベルであり、x2は第2平均ピクセルレベルであり、x1<x2である。
【0115】
本願の本実施形態で提供される表示輝度調整方法によれば、表示対象画像のAPLが低APL領域にある場合、ディスプレイは、APLに対応するピーク輝度を実装表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが高APL領域にある場合、ディスプレイは、輝度ゲイン値とAPLに対応するピーク輝度とを掛け合わせることにより得られる輝度値を実際の表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが中間APL領域にある場合、APLが増加すると、ディスプレイの表示輝度が、ピーク輝度から、ピーク輝度と輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる輝度値へと移行し得る。このように、低APLで輝度が低下したときに画像コントラストに及ぼす影響を抑制することができ、HDR表示の画像輝度の高コントラスト効果を向上させることができる。さらに、高APLでは画像表示輝度が低くなり、ユーザの目への刺激を低減する。
【0116】
実現可能な一実装形態では、表示デバイスには複数の表示モード(例えば、ブライトモード、標準モード、およびソフトモード)があってよく、異なる表示モードが異なるピーク明度曲線に対応している。表示デバイスは、指定の第1表示モードに基づいて第1表示モードに対応するピーク明度曲線を決定し、第1表示モードに対応するピーク明度曲線と輝度ゲイン値とに基づいて第1調光曲線を決定してよい。表示対象画像のAPLが第1のAPLより小さい場合、表示デバイスは、第1表示モードに対応するピーク明度曲線と表示対象画像のAPLとに基づいて、表示対象画像の実際の表示輝度値を決定してよい。このように、表示デバイスの特定の表示モードに関係なく、低APLで輝度が低下したときに画像コントラストに及ぼす影響を抑制することができ、HDR表示の画像輝度の高コントラスト効果を向上させることができる。
【0117】
以下では、本願の一実施形態で提供される表示システムについて説明する。
【0118】
図7は、本願の一実施形態による表示システム700の概略図である。表示デバイス100には、表示システム700が含まれてよい。
【0119】
図7に示すように、表示システム700は、ディスプレイパネル701と処理モジュール702とを含んでよい。処理モジュール702は、アプリケーションプロセッサおよびディスプレイドライバチップを含んでよい。ディスプレイパネル701は、自発光型ディスプレイパネル、例えば、OLEDディスプレイパネル、AMOLEDディスプレイパネル、またはQLEDディスプレイパネルであってもよい。
【0120】
処理モジュール702は、輝度ゲイン値を取得するように構成されてよい。輝度ゲイン値は、1より小さいまたは1と等しい非負数である。
【0121】
処理モジュール702はさらに、輝度ゲイン値およびディスプレイのピーク明度曲線に基づいて、第1調光曲線を決定するように構成されてよい。ピーク明度曲線は、表示デバイスが工場から出荷される前に、表示デバイスに格納される。同じAPLでは、第1調光曲線上の表示輝度値がピーク曲線上のピーク輝度値より小さいまたはこれと等しい。
【0122】
処理モジュール702はさらに、第1平均ピクセルレベル(APL)、第2平均ピクセルレベル(APL)、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて、第2調光曲線を決定するように構成されてよい。
【0123】
第1のAPLは第2のAPLより小さい。第1のAPLおよび第2のAPLは、ユーザまたは表示デバイスのシステムにより予め設定された閾値である。第2調光曲線上の表示輝度値が、APLと逆相関の関係にある。具体的には、第2調光曲線上の表示輝度値は、APLが増加すると減少する。第2調光曲線上の、第1のAPLに対応する表示輝度値が、ピーク明度曲線上の、第1のAPLに対応するピーク輝度値と同じである。第2調光曲線上の、第2のAPLに対応する表示輝度値が、第1調光曲線上の、第1のAPLに対応するピーク輝度値と同じである。表示対象画像のAPLが第1のAPLと第2のAPLとの間にある場合、第2調光曲線上の、表示対象画像のAPLに対応する表示輝度は、ピーク明度曲線上の、表示対象画像のAPLに対応するピーク輝度値より小さい。
【0124】
処理モジュール702はさらに、表示対象画像を取得するように構成されてよい。
【0125】
処理モジュール702はさらに、表示対象画像の平均ピクセルレベルAPLを計算するように構成されてよい。
【0126】
処理モジュール702はさらに、表示対象画像のAPLが第1平均ピクセルレベルより小さい場合、ピーク明度曲線と表示対象画像のAPLとに基づいて、表示対象画像の実際の表示輝度値を決定するように構成されてよい。
【0127】
処理モジュール702はさらに、表示対象画像のAPLが第2平均ピクセルレベルより大きい場合、第1調光曲線と表示対象画像のAPLとに基づいて、表示対象画像の実際の表示輝度値を決定するように構成されてよい。
【0128】
処理モジュール702はさらに、表示対象画像のAPLが第1平均ピクセルレベルと第2平均ピクセルレベルとの間にある場合、第2曲線に基づいて表示対象画像の実際の表示輝度値を決定するように構成されてよい。
【0129】
処理モジュール702はさらに、ディスプレイパネル701を制御して、実際の表示輝度値に基づいて表示対象画像を表示するように構成されてよい。
【0130】
実現可能な一実装形態では、処理モジュール702はアプリケーションプロセッサおよびディスプレイドライバチップを含む。アプリケーションプロセッサは、輝度ゲイン値、ディスプレイのピーク明度曲線、予め設定された第1平均ピクセルレベル、および予め設定された第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定してよい。まず、アプリケーションプロセッサは、輝度ゲイン値およびピーク明度曲線に基づいて第1調光曲線を決定してよい。次に、アプリケーションプロセッサは、第1平均ピクセルレベル、第2平均ピクセルレベル、輝度ゲイン値、およびピーク明度曲線に基づいて第2調光曲線を決定する。次に、アプリケーションプロセッサは、第1調光曲線、第2調光曲線、第1平均ピクセルレベル、および第2平均ピクセルレベルに基づいて第3調光曲線を決定する。次に、ディスプレイドライバチップは、表示対象画像の平均ピクセルレベルを計算した後に、表示対象画像の平均ピクセルレベルと、アプリケーションプロセッサから送られた第3調光曲線とに基づいて、実際の表示輝度値を決定してよい。ディスプレイドライバチップは、実際の表示輝度値を決定した後に、実際の表示輝度値に基づいて対応する駆動電流値を決定し、この駆動電流値に基づいてディスプレイパネル701に駆動電流を入力してよい。
【0131】
具体的な内容については、
図5に示した方法の実施形態を参照されたい。ここでは、詳細について改めて説明しない。
【0132】
本願の本実施形態で提供される表示システム700によれば、表示対象画像のAPLが低APL領域にある場合、ディスプレイは、APLに対応するピーク輝度を実装表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが高APL領域にある場合、ディスプレイは、輝度ゲイン値とAPLに対応するピーク輝度とを掛け合わせることにより得られる輝度値を実際の表示輝度として用いることで表示対象画像を表示できる。表示対象画像のAPLが中間APL領域にある場合、APLが増加すると、ディスプレイの表示輝度が、ピーク輝度から、ピーク輝度と輝度ゲイン値とを掛け合わせることで得られる輝度値へと移行し得る。このように、低APLで輝度が低下したときに画像コントラストに及ぼす影響を抑制することができ、HDR表示の画像輝度の高コントラスト効果を向上させることができる。さらに、高APLでは画像表示輝度が低くなり、ユーザの目への刺激を低減する。
【0133】
最後に、前述した実施形態は、本願の技術的解決手段の説明を目的とするだけに過ぎず、本願の限定を目的とするものではない。前述した実施形態を参照しながら本願を詳細に説明しているが、当業者であれば、本願の実施形態の技術的解決手段の範囲から逸脱することなく、前述した実施形態で説明した技術的解決手段になお修正を加えてもよく、そのいくつかの技術的特徴に対して等価な置き換えをしてもよいことを理解するはずである。