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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】オフブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/00 20060101AFI20240827BHJP
   H02K 7/102 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F16D55/00 B
H02K7/102
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020217741
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102789
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】ニデックアドバンスドモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】笠井 信也
(72)【発明者】
【氏名】深澤 恭之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆弥
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-153435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
H02K 7/102
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に移動可能な制動部と、
前記制動部の軸方向一方側に位置し前記制動部と軸方向に対向する被制動部と、
前記制動部を前記被制動部に押しつける弾性部材と、
前記制動部の軸方向他方側に位置するヨークと、
通電によって前記ヨークを励磁させ前記制動部を吸着させるコイルと、を備え、
前記制動部は、
前記被制動部に接触し前記被制動部を制動するブレーキ状態と、
前記被制動部から離間し前記被制動部の制動を解除する解除状態と、の間で遷移可能であり、
前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第1対向部を有し、
前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第1対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量が、変化し、
前記ヨークは、
前記コイルの中央を通過する柱部と、
前記コイルを径方向外側から囲む筒部と、
前記コイルの軸方向他方側で前記柱部と前記筒部とを繋ぐ底部と、を有し、
前記柱部および前記筒部の何れか一方の前記第1対向部を有し、
前記制動部は、板状であり、
前記筒部が前記第1対向部を有し、前記制動部の外周面と径方向に対向する、
オフブレーキ。
【請求項2】
前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第2対向部を有し、
前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第2対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量は小さくなる、
請求項1に記載のオフブレーキ。
【請求項3】
前記制動部の軸方向他方側への移動を制限する干渉部を備え、
前記制動部は、軸方向において前記被制動部に接触するブレーキ位置から前記干渉部に接触する干渉位置まで移動可能であり、
前記ブレーキ位置において、前記制動部が前記ヨークから受ける吸引力は、前記制動部が前記弾性部材から受ける反力より大きく、
前記干渉位置において、前記制動部が前記ヨークから受ける吸引力は、前記制動部が前記弾性部材から受ける反力より小さい、
請求項1または2に記載のオフブレーキ。
【請求項4】
軸方向に移動可能な制動部と、
前記制動部の軸方向一方側に位置し前記制動部と軸方向に対向する被制動部と、
前記制動部を前記被制動部に押しつける弾性部材と、
前記制動部の軸方向他方側に位置するヨークと、
通電によって前記ヨークを励磁させ前記制動部を吸着させるコイルと、を備え、
前記制動部は、
前記被制動部に接触し前記被制動部を制動するブレーキ状態と、
前記被制動部から離間し前記被制動部の制動を解除する解除状態と、の間で遷移可能であり、
前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第1対向部を有し、
前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第1対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量が、変化し、
前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第2対向部を有し、
前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第2対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量は小さくなる、
オフブレーキ。
【請求項5】
前記制動部の軸方向他方側への移動を制限する干渉部を備え、
前記制動部は、軸方向において前記被制動部に接触するブレーキ位置から前記干渉部に接触する干渉位置まで移動可能であり、
前記ブレーキ位置において、前記制動部が前記ヨークから受ける吸引力は、前記制動部が前記弾性部材から受ける反力より大きく、
前記干渉位置において、前記制動部が前記ヨークから受ける吸引力は、前記制動部が前記弾性部材から受ける反力より小さい、
請求項4に記載のオフブレーキ。
【請求項6】
軸方向に移動可能な制動部と、
前記制動部の軸方向一方側に位置し前記制動部と軸方向に対向する被制動部と、
前記制動部を前記被制動部に押しつける弾性部材と、
前記制動部の軸方向他方側に位置するヨークと、
通電によって前記ヨークを励磁させ前記制動部を吸着させるコイルと、を備え、
前記制動部は、
前記被制動部に接触し前記被制動部を制動するブレーキ状態と、
前記被制動部から離間し前記被制動部の制動を解除する解除状態と、の間で遷移可能であり、
前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第1対向部を有し、
前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第1対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量が、変化し、
前記制動部の軸方向他方側への移動を制限する干渉部を備え、
前記制動部は、軸方向において前記被制動部に接触するブレーキ位置から前記干渉部に接触する干渉位置まで移動可能であり、
前記ブレーキ位置において、前記制動部が前記ヨークから受ける吸引力は、前記制動部が前記弾性部材から受ける反力より大きく、
前記干渉位置において、前記制動部が前記ヨークから受ける吸引力は、前記制動部が前記弾性部材から受ける反力より小さい、
オフブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
電力を付与しない状態でバネ力によってブレーキ力を得て、電力を付与した状態で電磁力によってバネ力に抗してブレーキを解除するオフブレーキが知られている。特許文献1には、可動板にブレーキ力を付与する複数のバネ力を異ならせることでブレーキ力の開放の遅れを解消する制動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-317541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制動装置では、複数個のバネを用いることで、可動板の動作の制御を行う構成を有するため、部品点数が増加して構造が複雑化するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて、簡素な構造で制動部の動作を最適化させることができるオフブレーキを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のオフブレーキの一つの態様は、軸方向に移動可能な制動部と、前記制動部の軸方向一方側に位置し前記制動部と軸方向に対向する被制動部と、前記制動部を前記被制動部に押しつける弾性部材と、前記制動部の軸方向他方側に位置するヨークと、通電によって前記ヨークを励磁させ前記制動部を吸着させるコイルと、を備える。前記制動部は、前記被制動部に接触し前記被制動部を制動するブレーキ状態と、前記被制動部から離間し前記被制動部の制動を解除する解除状態と、の間で遷移可能である。前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第1対向部を有する。前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第1対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量が、変化し、前記ヨークは、前記コイルの中央を通過する柱部と、前記コイルを径方向外側から囲む筒部と、前記コイルの軸方向他方側で前記柱部と前記筒部とを繋ぐ底部と、を有し、前記柱部および前記筒部の何れか一方の前記第1対向部を有し、前記制動部は、板状であり、前記筒部が前記第1対向部を有し、前記制動部の外周面と径方向に対向する。
また、本発明の他のオフブレーキの一つの態様は、軸方向に移動可能な制動部と、前記制動部の軸方向一方側に位置し前記制動部と軸方向に対向する被制動部と、前記制動部を前記被制動部に押しつける弾性部材と、前記制動部の軸方向他方側に位置するヨークと、通電によって前記ヨークを励磁させ前記制動部を吸着させるコイルと、を備える。前記制動部は、前記被制動部に接触し前記被制動部を制動するブレーキ状態と、前記被制動部から離間し前記被制動部の制動を解除する解除状態と、の間で遷移可能である。前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第1対向部を有する。前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第1対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量が、変化し、前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第2対向部を有し、前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第2対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量は小さくなる。
また、本発明の他のオフブレーキの一つの態様は、軸方向に移動可能な制動部と、前記制動部の軸方向一方側に位置し前記制動部と軸方向に対向する被制動部と、前記制動部を前記被制動部に押しつける弾性部材と、前記制動部の軸方向他方側に位置するヨークと、通電によって前記ヨークを励磁させ前記制動部を吸着させるコイルと、を備える。前記制動部は、前記被制動部に接触し前記被制動部を制動するブレーキ状態と、前記被制動部から離間し前記被制動部の制動を解除する解除状態と、の間で遷移可能である。前記ヨークは、前記制動部と径方向において対向する第1対向部を有する。前記ブレーキ状態から前記解除状態に遷移することで、径方向から見た前記第1対向部の軸方向位置と前記制動部の軸方向位置との重なり量が、変化し、前記制動部の軸方向他方側への移動を制限する干渉部を備え、前記制動部は、軸方向において前記被制動部に接触するブレーキ位置から前記干渉部に接触する干渉位置まで移動可能であり、前記ブレーキ位置において、前記制動部が前記ヨークから受ける吸引力は、前記制動部が前記弾性部材から受ける反力より大きく、前記干渉位置において、前記制動部が前記ヨークから受ける吸引力は、前記制動部が前記弾性部材から受ける反力より小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、簡素な構造で制動部の動作を最適化させることができるオフブレーキが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のブレーキ状態のオフブレーキの断面模式図である。
図2図2は、第1実施形態の解除状態のオフブレーキの断面模式図である。
図3図3は、第1実施形態の制動板の位置に応じた吸引力を示すグラフである。
図4図4は、第2実施形態のブレーキ状態のオフブレーキの断面模式図である。
図5図5は、第2実施形態の解除状態のオフブレーキの断面模式図である。
図6図6は、第3実施形態のブレーキ状態のオフブレーキの断面模式図である。
図7図7は、第3実施形態のブレーキ状態のオフブレーキの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。さらに、磁気回路を構成する磁力線Bについても、各実施形態の効果を分かり易くするために、模式的に図示されている。
【0010】
<第1実施形態>
図1および図2は、第1実施形態のオフブレーキ1の断面模式図である。なお、図1はブレーキ状態のオフブレーキ1を示し、図2は解除状態のオフブレーキ1を示す。
なお、図1図2には、それぞれ磁力線Bを図示するが、定常的なブレーキ状態(図1)では、磁力線Bは形成されない。図1に示す磁力線Bは、あくまでブレーキ状態から解除状態に遷移する瞬間に形成される磁力線Bである。
【0011】
オフブレーキ1は、中心軸線Jを中心とする円柱状である。
以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸線Jと平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
さらに、各図には、中心軸線Jと平行なZ軸を図示し、Z軸方向の負の側を「下側」又は「軸方向一方側」と呼び、Z軸方向の正の側を「上側」又は「軸方向他方側」と呼ぶ。
なお、本明細書における上下方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等はこれらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0013】
オフブレーキ1は、ヨーク10と、インシュレータ20と、コイル30と、制動板(制動部)40と、バネ(弾性部材)9と、ブレーキハブ(被制動部)50と、を有する。
【0014】
オフブレーキ1において、ヨーク10、インシュレータ20、コイル30、制動板40、およびバネ9は、制動機構2を構成する。すなわち、オフブレーキ1は、制動機構2とブレーキハブ50とを有する。制動機構2とブレーキハブ50とは、オフブレーキ1が備えられる装置内において、互いに異なる部材に組み付けられる。ブレーキハブ50が組み付けられ部材は、制動機構2が組み付けられる部材に対して、相対的に回転する。すなわち、ブレーキハブ50は、制動機構2に対し中心軸線J周りに相対的に回転する。制動機構2は、ブレーキハブ50の回転を自在に制限することができる。
【0015】
ヨーク10は、制動板40の上側に位置する。ヨーク10は、コイル30を囲む。ヨーク10は、柱部11と、コイル包囲部12と、を有する。柱部11およびコイル包囲部12は、磁性部材から構成される。
【0016】
柱部11は、コイル30の中央を通過する。柱部11は、中心軸線Jを中心として軸方向に沿って延びる円柱状の柱本体部11aと、柱本体部11aの外周面から径方向外側に延びるフランジ部11bと、を有する。柱本体部11aは、フランジ部11bより下側の領域で、バネ9に挿通される。
【0017】
フランジ部11bは、柱本体部11aの上端部の近傍に配置される。フランジ部11bの外形は、中心軸線Jを中心とする円形である。フランジ部11bの下面11cは、バネ9の上端が接触する。
【0018】
コイル包囲部12は、中心軸線Jを中心とする筒部13と、筒部13の上端部から径方向内側に延びる底部14と、を有する。すなわち、ヨーク10は、柱部11と筒部13と底部14とを有する。
【0019】
筒部13は、コイル30を径方向外側から囲む。筒部13は、中心軸線Jを中心とする円筒状の筒本体13aと、筒本体13aの下端部に位置する円環部13bと、を有する。円環部13bは、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる板状である。また、円環部13bは、中心軸線Jを中心とする円形である。円環部13bは、筒部13に対して径方向内側および径方向外側に突出する。
【0020】
底部14は、コイル30の上側に位置する。底部14は、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる板状である。底部14は、中心軸線Jを中心とする円形である。底部14には、中心軸線Jを中心とする円形の中央孔14aが設けられる。中央孔14aには、柱本体部11aの上端部が挿入される。
【0021】
底部14は、中央孔14aの内周面において、柱本体部11aの外周面に接触する。また、底部14の下面は、中央孔14aの周囲で、フランジ部11bの上面11dに接触する。すなわち、底部14は、柱部11と接触する。これにより、底部14は、コイル30の上側で柱部11と筒部13とを繋ぐ。
【0022】
インシュレータ20は、コイル30とヨーク10との間に配置され、これらの間を絶縁する。インシュレータ20は、例えば、絶縁性の樹脂から構成される。インシュレータ20は、ボビン形状である。インシュレータ20は、中央筒部21と、中央筒部21の上端部から径方向外側に延びる上板部22と、中央筒部21の下端部から径方向外側に延びる下板部(干渉部)23と、を有する。
【0023】
中央筒部21は、中心軸線Jを中心とする円筒状である。中央筒部21の内部には、柱部11が挿通される。中央筒部21の内径は、フランジ部11bの外径と同じか若干大きい。このため、中央筒部21の内周面には、フランジ部11bが嵌合される。中央筒部21の内周面と柱本体部11aの外周面との間には、バネ9が配置される。中央筒部21は、バネ9の圧縮及び復元をガイドする。中央筒部21の外周面には、コイル30が巻き付けられる。
【0024】
上板部22および下板部23は、中心軸線を中心とする円板状である。上板部22および下板部23は、上下方向にコイル30を介して対向する。上板部22および下板部23は、軸方向両側からコイル30をガイドする。上板部22は、ヨーク10の底部14に接触する。一方で、下板部23は、軸方向において制動板40と対向する。下板部23は、制動板40の上側への移動を制限する干渉部として機能する。すなわち、オフブレーキ1は、干渉部としての制動板40を備える。
【0025】
コイル30は、コイル線を中心軸線J周りに巻き回すことで構成させる。コイル30は、通電されることでヨーク10を励磁する。励磁されたヨーク10は、制動板40を吸着する。なお、コイル30は、通電によってヨーク10を励磁させ制動板40を吸着させるものであれば、その構成は限定されない。
【0026】
制動板40は、磁性部材から構成される。制動板40は、中心軸線Jと直交する平面に沿い中心軸線Jを中心とする円板状である。制動板40の外径は、円環部13bの内径より若干小さい。
【0027】
制動板40の中央には、平面視で中心軸線Jを中心とする円形の貫通孔(開口部)41が設けられる。貫通孔41の直径は、柱本体部11aの直径より若干大きい。
【0028】
制動板40は、軸方向に移動可能である。制動板40の軸方向の移動は、貫通孔41において柱本体部11aによりガイドされる。このため、制動板40は、中心軸線Jに対して直交する平面に沿うし姿勢を維持したまま軸方向に移動する。また、本実施形態の制動板40は、中心軸線J周りの回転が制限される。すなわち、本実施形態の制動板40は、軸方向のみに移動可能である。このため、制動板40は、ブレーキハブ50に押し当てられた状態でブレーキハブ50と供回りすることがない。
【0029】
制動板40の上面は、バネ9の下端が接触する。制動板40には、バネ9から下側に向かう力が付与される。制動板40は、バネ9によってブレーキハブ50に押し当てられる。これによって、制動板40とブレーキハブ50との間に摩擦力が生じ、ブレーキハブ50に制動力が付与される。
【0030】
本実施形態では図示を省略するが、制動板40の下面には、ブレーキバッドが設けられていることが好ましい。制動板40は、ブレーキバッドにおいてブレーキハブ50に接触する。また、ブレーキパッドは、ブレーキハブ50の上面に設けられていてもよい。
【0031】
バネ9は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる。バネ9は、柱本体部11aに挿入される。バネ9は、圧縮された状態で、柱部11のフランジ部11bと制動板40との間に挟まれる。これにより、バネ9は、制動板40をブレーキハブ50に押し付ける。なお、本実施形態では、バネ9としてコイルバネを採用する場合について説明した。しかしながら、コイルバネに代えて板バネ等の他の弾性部材を採用してもよい。
【0032】
ブレーキハブ50は、制動板40の下側に位置し制動板40と軸方向に対向する。ブレーキハブ50は、中心軸線Jと直交する平面に沿い中心軸線Jを中心とする円板状である。ブレーキハブ50の中央には、平面視で中心軸線Jを中心とする円形の貫通孔51が設けられる。本実施形態において、ブレーキハブ50は、中心軸線Jを中心として回転する。
【0033】
なお、ブレーキハブ50は、中心軸線Jと直交する平面に沿う板状の部分を有していればよい。また、ブレーキハブ50の動作は、中心軸線J周りの回転に限らず、制動機構2に対し中心軸線Jと直交する平面に沿う動作であればよい。
【0034】
(作用効果)
次に、本実施形態のオフブレーキ1の作用効果について説明する。制動板40は、図1に示すブレーキ状態と、図2に示す解除状態と、の間で遷移可能である。
【0035】
図1に示すブレーキ状態では、コイル30への通電は行われない。このため、ブレーキ状態において、制動板40がコイル30に吸着されることがない。
【0036】
ブレーキ状態の制動板40は、バネ9によって下側に力を付与され、ブレーキハブ50に押し付けられる。制動板40の下面とブレーキハブ50との間には、ブレーキハブ50の回転方向に沿う摩擦力が発生する。これにより、ブレーキ状態の制動板40は、ブレーキハブ50に接触しブレーキハブ50を制動する。
【0037】
図2に示す解除状態では、コイル30に電流が流される。コイル30が形成する磁場は、ヨーク10を励磁し、制動板40をヨーク10側に引き寄せる。制動板40がヨーク10から受ける上側に向かう引力(以下吸引力)は、制動板40がバネ9から受ける力より大きい。このため、解除状態の制動板40は、バネ9を圧縮して、上側に移動する。解除状態において、制動板40は、ブレーキハブ50から離間しブレーキハブ50の制動を解除する。
【0038】
解除状態において、コイル30の磁場が形成する磁気回路は、ヨーク10の柱部11、底部14、および筒部13、並びに制動板40を通過する。磁気回路は、柱部11の外周面の下端部と制動板40の内周面との間に跨って形成される。また、磁気回路は、筒部13の下端部に位置する円環部13bの内周面と制動板40外周面との間に跨って形成される。
【0039】
ここで、柱部11の外周面の下端部であって、径方向において制動板40の内周面と対向する領域を第1対向部15と呼ぶ。同様に、円環部13bの内周面を第2対向部(第1対向部)16と呼ぶ。すなわち、ヨーク10は、制動板40と径方向に対向する第1対向部15および第2対向部16を有する。解除状態において磁気回路を構成する磁力線Bは、第1対向部15と制動板40との間の隙間、および第2対向部16と制動板40の間の隙間を径方向に通過する。
【0040】
ブレーキ状態において、制動板40の軸方向位置は、第1対向部15の軸方向位置、および第2対向部16の軸方向位置より下側に位置し、これらに重ならない。一方で、解除状態において、制動板40の軸方向位置は、第1対向部15の軸方向位置、および第2対向部16の軸方向位置に重なる。すなわち、ブレーキ状態から解除状態に遷移することで、径方向から見た第1対向部15および第2対向部16の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量が変化する。より具体的には、径方向から見た第1対向部15および第2対向部16の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量は、ブレーキ状態において最も小さくなり、解除状態に遷移するに従い、徐々に大きくなる。
【0041】
第1対向部15と制動板40との間には、径方向に沿って延びる磁力線Bが通過する。同様に、第2対向部16と制動板40との間には、径方向に沿って延びる磁力線Bが通過する。径方向から見た第1対向部15および第2対向部16の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量が小さくなると、磁力線B同士の間隔が狭くなる。一方で、径方向から見た第1対向部15および第2対向部16の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量が大きくなると、磁力線B同士の間隔が広くなる。
【0042】
制動板40は、磁気回路を構成する磁力線Bの密度を低下させる方向に動作する。また、磁力線Bの密度が高くなる場合に、制動板40に付与される吸引力が大きくなる。上述したように、ブレーキ状態では、径方向から見た第1対向部15および第2対向部16の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量が最も小さくなる。このため、ブレーキ状態では、第1対向部15と制動板40との間に延びる磁力線、並びに第2対向部16と制動板40との間に延びる磁力線Bの密度が大きくなりやすい。本実施形態によれば、制動板40に付与される吸引力は、ブレーキ状態において、コイル30に通電され解除状態に遷移する瞬間に高まりやすい。
【0043】
本実施形態において、制動板40がブレーキ状態から解除状態に遷移することで、径方向から見た第1対向部15および第2対向部16の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量が、変化する。このため、第1対向部15および第2対向部16から制動部に流れる磁力線Bの密度が、ブレーキ状態から解除状態に遷移することで変化する。結果的に、重なり量に応じて、ブレーキ状態から解除状態に遷移する過程での吸引力を変化させることができる。また、ブレーキ状態から解除状態に遷移する際の、重なり量の変化量を調整することで、ブレーキ状態から解除状態に遷移することで変化する際の吸引力の変化を調整することができる。すなわち、簡素な構造で制動板40の動作を最適化することができる。
【0044】
本実施形態によれば、ブレーキ状態から解除状態に遷移することで、径方向から見た第1対向部15および第2対向部16の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量が、大きくなる。このため、ブレーキ状態から解除状態に遷移する瞬間の制動板40の吸引力を高め易い。本実施形態によれば、制動板40のストロークを大きく確保した場合であっても、制動板40を確実にブレーキハブ50から離間させることができる。
【0045】
本実施形態において、ブレーキハブ50を制動する制動部が、中心軸線Jを中心とする中央孔14aを有する板状の制動板40である。また、柱部11が第1対向部15を有し、制動板40の中央孔14aの内周面と径方向に対向する。さらに、筒部13が第2対向部16を有し、制動板40の外周面と径方向に対向する。このような構成を有することで、単純な構造で、本実施形態の効果を得るオフブレーキ1を構成することができる。なお、本実施形態のヨーク10には、柱部11および筒部13にそれぞれ位置する2つの第1対向部(本実施形態における第1対向部15および第2対向部16)が設けられる。しかしながら、ヨーク10は、柱部11および筒部13の何れか一方に位置する対向部を有していれば、上述の効果を得ることができる。
【0046】
図3は、本実施形態において丸印で繋ぐ線が制動板40の位置に応じた磁力線による吸引力を示すグラフである。また、図3において実線が、制動板40の位置に応じたバネ9のバネによる反発力を示す。制動板40の吸引力は、バネ9の反発力に抗して制動板40を移動させる。また、図3のグラフには、制動板40の可動範囲を図示する。制動板40は、軸方向において上板部22に接触する干渉位置からブレーキハブ50に接触するブレーキ位置まで移動可能である。
【0047】
また、図2に示すような停止位置において、制動板40がヨーク10から受ける吸引力は、制動板40がバネ9から受けると等しい。このため、停止位置において、制動板40は停止位置で停止する。
【0048】
制動板40が下板部23に接触する干渉位置において、制動板40がヨーク10から受ける吸引力は、制動板40がバネ9から受ける反力より小さい。したがって、制動板40がブレーキ状態から解除状態に移行する際に、制動板40が下板部23に衝突する速度を抑制することができる。これにより、衝突に伴う、制動板40および下板部23の損傷、並びに騒音を抑制することができる。
【0049】
本実施形態では、図1に示すようなブレーキ位置において、制動板40がヨーク10から受ける吸引力は、制動板40がバネ9から受ける反力より大きい。このため、ブレーキ位置においてコイル30に通電を行うことで、制動板40をヨーク10側にスムーズに吸引させて、解除状態に移行することができる。
【0050】
<第2実施形態>
図4および図5は、第2実施形態のオフブレーキ101の断面模式図である。なお、図4はブレーキ状態のオフブレーキ101を示し、図5は解除状態のオフブレーキ101を示す。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
オフブレーキ101は、中心軸線Jを中心とする円柱状である。オフブレーキ101は、ヨーク110と、インシュレータ20と、コイル30と、制動板(制動部)140と、バネ9と、ブレーキハブ50と、を有する。
【0052】
上述の実施形態と同様に、ヨーク110は、柱部11と、コイル包囲部112と、を有する。また、コイル包囲部112は、中心軸線Jを中心とする筒部113と、筒部113の上端部から径方向内側に延びる底部14と、を有する。筒部113は、中心軸線Jを中心とする円筒状の筒本体13aと、筒本体13aの下端部に位置する円環部113bと、を有する。円環部113bは、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる板状である。また、円環部113bは、中心軸線Jを中心とする円形である。円環部113bの上面は、インシュレータ20の下面に接触する。円環部113bは、筒部113に対して径方向内側および径方向外側に突出する。円環部113bの下面は、軸方向において制動板140と対向する。円環部113bは、制動板140の上側への移動を制限する干渉部として機能する。
【0053】
制動板140は、中心軸線Jと直交する平面に沿い中心軸線Jを中心とする円板状である。制動板140の外径は、円環部113bの内径より大きい。軸方向から見て、制動板140と円環部113bとは互いに重なる。制動板140の上面には、平面視で中心軸線Jを中心とする円形の凹部(開口部)141が設けられる。すなわち、制動板140は、凹部141を有する。凹部141は、上側に開口する開口部である。凹部141の直径は、柱本体部11aの直径より若干大きい。凹部141は、プレス加工によって成形される。このため、制動板140の下面には、凹部141に重なる円形の凸部142が設けられる。制動板140は、中心軸線Jに対して直交する平面に沿う姿勢を維持したまま軸方向に移動する。制動板140は、軸方向のみに移動可能である。
【0054】
図4に示すブレーキ状態の制動板140は、バネ9によって下側に力を付与され、ブレーキハブ50に押し付けられる。ブレーキ状態において、制動板140の凸部142は、ブレーキハブ50の貫通孔51に挿入される。制動板140の下面とブレーキハブ50との間には、ブレーキハブ50の回転方向に沿う摩擦力が発生する。これにより、制動板140は、ブレーキハブ50を制動する。
【0055】
図5に示す解除状態では、コイル30に電流が流される。これによって、制動板140がヨーク110側に引き寄せられる。解除状態において、制動板140は、ブレーキハブ50から離間しブレーキハブ50の制動を解除する。
【0056】
柱部11の外周面の下端部には、径方向において制動板140の内周面と対向する第1対向部115が設けられる。また、円環部113bの下面には、軸方向において制動板140と対向する軸方向対向部116が設けられる。すなわち、ヨーク110は、制動板140と径方向に対向する第1対向部115と、制動板140と軸方向に対向する軸方向対向部116と、を有する。解除状態において磁気回路を構成する磁力線Bは、第1対向部115と制動板140の間の隙間を径方向に通過する。また、解除状態において磁気回路を構成する磁力線Bは、軸方向対向部116と制動板140の間の隙間を軸方向に通過する。
【0057】
ブレーキ状態において、制動板140の軸方向位置は、第1対向部115の軸方向位置より下側に位置し、これらに重ならない。一方で、解除状態において、柱部11の下端部が制動板140の凹部141には挿入される。このため、解除状態の制動板140の軸方向位置は、第1対向部115の軸方向位置に重なる。すなわち、ブレーキ状態から解除状態に遷移することで、径方向から見た第1対向部115の軸方向位置と制動板140の軸方向位置との重なり量が、変化する。より具体的には、径方向から見た第1対向部115の軸方向位置と制動板140の軸方向位置との重なり量は、ブレーキ状態において最も小さくなり、解除状態に遷移するに従い、徐々に大きくなる。これにより、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
<第3実施形態>
図6および図7は、第3実施形態のオフブレーキ201の断面模式図である。なお、図6はブレーキ状態のオフブレーキ201を示し、図7は解除状態のオフブレーキ201を示す。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
オフブレーキ201は、中心軸線Jを中心とする円柱状である。オフブレーキ201は、ヨーク210と、インシュレータ20と、コイル30と、制動板40と、バネ9と、ブレーキハブ50と、を有する。
【0060】
上述の実施形態と同様に、ヨーク210は、柱部211と、コイル包囲部212と、を有する。コイル包囲部212は、中心軸線Jを中心とする筒部213と、筒部213の上端部から径方向内側に延びる底部214と、を有する。筒部213は、中心軸線Jを中心とする円筒状の筒本体213aを有する。筒部213は、コイル30を径方向外側から囲む。底部214は、コイル30の上側で柱部211と筒部213とを繋ぐ。底部214には、中心軸線Jを中心とする円形の中央孔214aが設けられる。底部214は、中央孔214aの縁部から下側に突出するカール部214bを有する。カール部214bは、中心軸線Jを中心とする筒状である。カール部214bの内周面は、柱部211の上端小径部211bに嵌合する。
【0061】
柱部211は、中心軸線Jを中心として軸方向に沿って延びる。柱部211は、コイル30の中央を通過する。柱部211は、柱本体部211aと、上端小径部211bと、下端小径部211cと、凹溝部211gと、を有する。
【0062】
柱本体部211aは、中心軸線Jを中心とする円柱状である。柱本体部211aは、コイル30の径方向内側に配置される。上端小径部211bは、柱本体部211aの上側に位置する円柱状である。上端小径部211bは、柱本体部211aよりも小径である。下端小径部211cは、柱本体部211aの下側に位置する円柱状である。下端小径部211cは、柱本体部211aよりも小径である。凹溝部211gは、柱本体部211aと下端小径部211cとの間に配置される。凹溝部211gは、周方向に沿って延びる。柱部211は、凹溝部211gにおいて、最も小径である。
【0063】
図6に示すブレーキ状態の制動板40は、バネ9によって下側に力を付与され、ブレーキハブ50に押し付けられる。制動板40の下面とブレーキハブ50との間には、ブレーキハブ50の回転方向に沿う摩擦力が発生する。ブレーキ状態において、制動板40の軸方向位置は、柱本体部211aの下端小径部211cに重なる。また、ブレーキ状態において、制動板40は、筒部213の下端より下側に配置される。
【0064】
図7に示す解除状態では、コイル30に電流が流される。これによって、制動板40がヨーク210側に引き寄せられる。解除状態において、制動板40は、ブレーキハブ50から離間しブレーキハブ50の制動を解除する。解除状態において、制動板40の軸方向位置は、凹溝部211gと重なる。また、解除状態において、制動板40の軸方向位置は、筒部213の下端部と重なる。
【0065】
柱部211の下端小径部211cの外周面には、径方向において制動板40の内周面と対向する第2対向部215が設けられる。また、筒部213の下端部には、径方向において制動板40の外周面と対向する第1対向部216が設けられる。すなわち、ヨーク210は、制動板40と径方向に対向する第2対向部215および第1対向部216を有する。解除状態において磁気回路を構成する磁力線Bは、第2対向部215と制動板40との間の隙間、および第1対向部216と制動板40の間の隙間を径方向に通過する。
【0066】
ブレーキ状態の制動板40の軸方向位置は、第2対向部215の軸方向位置と重なる。一方で、ブレーキ状態の制動板40の軸方向位置は、筒部213のより下側であり第1対向部216の軸方向位置と重ならない。
【0067】
解除状態において、制動板40の内周面は凹溝部211gの開口と対向するため、制動板40の軸方向位置は、第2対向部215の軸方向位置と重ならない。一方で、解除状態の制動板40の軸方向位置は、第1対向部216の軸方向位置と重なる。
【0068】
径方向から見た第2対向部215の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量は、ブレーキ状態において最も大きくなり、解除状態に遷移するに従い、徐々に小さくなる。すなわち、ブレーキ状態から解除状態に遷移することで、径方向から見た第2対向部215の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量は小さくなる。反対に、径方向から見た第1対向部216の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量は、ブレーキ状態において最も小さくなり、解除状態に遷移するに従い、徐々に大きくなる。すなわち、ブレーキ状態から解除状態に遷移することで、径方向から見た第1対向部216の軸方向位置と制動板40の軸方向位置との重なり量は大きくなる。
【0069】
本実施形態において、状態の遷移に伴い、径方向から見た第2対向部215と制動板40の重なり量および第1対向部216と制動板40との重なり量は、ともに変化するが、増減の方向が反対である。本実施形態によれば、径方向から見た第2対向部215および第1対向部216と制動板40との重なり量の変化が、ストローク間で最適となるように設計することで、ブレーキ状態から解除状態に遷移する過程での、制動板40に働く吸引力を繊細に調整することができる。すなわち、本実施形態によれば、簡素な構造で制動板40の動作を細かく最適化させることができる。
【0070】
本実施形態において、第2対向部215と制動板40との間に延びる磁力線Bの密度は、解除状態で最も大きく、第1対向部216と制動板40との間に延びる磁力線Bの密度は、ブレーキ状態で最も大きい。このように、ブレーキ状態と解除状態とで、第2対向部215および第1対向部216から制動板40に付与される吸引力は、逆方向となる。ブレーキ状態から解除状態に遷移して制動板40が上側に移動する際に、制動板40は第1対向部216によって上側に吸引される。同時に、制動板40は第2対向部215によって徐々に反対側(下側)への吸引される力も付与され、上側への移動速度が低減される。本実施形態によれば、ブレーキ状態から解除状態に遷移する際の、制動板40と下板部23との衝突の衝撃を低減することができる。
【0071】
本実施形態では、柱部211が第2対向部215を有し、筒部213が第1対向部216を有するがこの関係は反対でもよい。すなわち、柱部211および筒部213のうち、一方は対向部としての第2対向部215を有し、他方は対向部としての第1対向部216を有していればよい。
【0072】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0073】
1,101,201…オフブレーキ、9…バネ(弾性部材)、10,110,210…ヨーク、11,211…柱部、13,113,213…筒部、14,214…底部、15,115,216…第1対向部、16…第2対向部(第1対向部)、23…下板部(干渉部)、30…コイル、40,140…制動板(制動部)、41…貫通孔(開口部)、50…ブレーキハブ(被制動部)、141…凹部(開口部)、215…第2対向部、J…中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7