(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】新規な香味剤、香味剤組成物及びこれを含む製品{NEW FLAVORING AGENT,COMPOSITION AND ARTICLE COMPRISING SAME}
(51)【国際特許分類】
A24B 15/30 20060101AFI20240827BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20240827BHJP
A23L 27/30 20160101ALI20240827BHJP
A24B 15/40 20060101ALI20240827BHJP
A24B 15/32 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A24B15/30
A23L27/20 E
A23L27/20 F
A23L27/30 A
A24B15/40
A24B15/32
(21)【出願番号】P 2023521435
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 KR2022018176
(87)【国際公開番号】W WO2023090886
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0159809
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャングク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ゴン チャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、イク ジューン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、イン ボム
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ホ リム
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ジ ソブ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-53613(JP,A)
【文献】特開平4-267870(JP,A)
【文献】米国特許第4212310(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102304154(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102304155(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102311464(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102311465(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00-15/42
A24C 1/00- 5/60
A24D 1/00- 3/18
A24F 1/00-47/00
A61M 15/06
A23B 4/00- 9/34
A23C 1/00-23/00
A23D 7/00- 9/06
A23F 3/00- 5/50
A23G 1/00- 9/52
A23J 1/00- 7/00
A23K 10/00-50/90
A23L 2/00-35/00
A23N 1/00-17/02
A23P 10/00-30/40
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物である、香味剤:
[化学式1]
【化1】
(上記化学式1で、
nは1又は2の整数であり、
Rは炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
モイアティA'はヒドロキシル基(-OH)を有する芳香族環、脂肪族環及び脂肪族鎖のうち少なくとも1つを有する香料化合物に由来するモイアティであり、前記ヒドロキシル基がカーボネート連結基(
【化2】
)に参加し、モイアティA'は、前記カーボネート連結基に参加したヒドロキシル基を除く香料化合物に該当し、
モイアティG'は、糖化合物に由来するモイアティであり、前記糖化合物の環に連結されたヒドロキシル基(-OH)のうち少なくとも1つ以上がエステル連結基(
【化3】
)に参加し、G'は前記エステル連結基に参加した前記ヒドロキシル基を除く糖化合物に該当し、mは前記エステル連結基でモイアティG'に結合される
【化4】
の個数であり、1~8の整数である。)
【請求項2】
前記香料化合物は、
ヒドロキシル基を有する環状モノテルペン系化合物、ヒドロキシル基を有するモノテルペン系非環式化合物、ヒドロキシル基を有する炭素数6~10の芳香族化合物及びヒドロキシル基を有する炭素数5~6の非芳香族環化合物から選択されるものである、請求項1に記載の香味剤。
【請求項3】
前記香料化合物は、下記化学式から選択されるものである、請求項1に記載の香味剤:
【化5】
【化6】
。
【請求項4】
前記モイアティA'は下記化学式から選択されるものである、請求項1に記載の香味剤:
(*は、上記化学式1で、カーボネート連結基内の酸素の結合位置である。)
香味剤:
【化7】
【化8】
。
【請求項5】
前記糖化合物は、
タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノ-ス、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストラン、スクロース、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリスロース、デオキシリボース、グルコース、イドース、タロース、エリスルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、イソマルト-オリゴサッカライド、キシロ-オリゴサッカライド、ゲンチオ-オリゴサッカライド、ソルボース、ニゲロ-オリゴサッカライド、パラチノースオリゴサッカライド、フルクトオリゴサッカライド、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルト-オリゴサッカライド、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノ-ス及びリボースから選択されるものである、請求項1に記載の香味剤。
【請求項6】
前記香味剤は、下記化学式1-1~1-9から選択されるものである、請求項1に記載の香味剤:
[化学式1-1]
【化9】
[化学式1-2]
【化10】
[化学式1-3]
【化11】
[化学式1-4]
【化12】
[化学式1-5]
【化13】
(上記化学式1-1~1-5において、R
1~R
5は、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化14】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択される。)
[化学式1-6]
【化15】
(ここで、R
1~R
4は、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化16】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択される。)
[化学式1-7]
【化17】
[化学式1-8]
【化18】
[化学式1-9]
【化19】
(上記化学式1-7~1-9において、R
1~R
8は、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化20】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択される。)
【請求項7】
前記香味剤は、下記化学式1-1-a~1-9-aから選択されるものである、請求項1に記載の香味剤:
[化学式1-1-a]
【化21】
[化学式1-2-a]
【化22】
[化学式1-3-a]
【化23】
[化学式1-4-a]
【化24】
[化学式1-5-a]
【化25】
[化学式1-6-a]
【化26】
[化学式1-7-a]
【化27】
[化学式1-8-a]
【化28】
[化学式1-9-a]
【化29】
。
【請求項8】
前記香味剤は、
熱分解時に香味を発現し、
熱分解時に前記糖化合物、前記香料化合物、ラクトン化合物及び二酸化炭素に分解されるものである、請求項1に記載の香味剤。
【請求項9】
前記化合物は、
80℃以上の温度で熱分解されるものである、請求項1に記載の香味剤。
【請求項10】
前記ラクトン化合物は、
下記化学式2のガンマ又は化学式3のデルタラクトンに分解されるものである、請求項8に記載の香味剤:
[化学式2]
【化30】
[化学式3]
【化31】
(ここで、Rは、炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。)
【請求項11】
前記ラクトン化合物は、下記化学式から選択されるものである、請求項8に記載の香味剤:
【化32】
。
【請求項12】
前記香味剤は、食品用又は喫煙物品用香味剤である、請求項1から11のいずれか一項に記載の香味剤。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の香味剤;
を含む、組成物。
【請求項14】
前記組成物は、
固相、スラリー、ペースト、ゲル、液相、エマルジョン又はエアロゾルである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物は、
食品用又は喫煙物品用に許容可能な担体、添加剤又はこの両方をさらに含むものである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1から11のいずれか一項に記載の香味剤を含む、喫煙物品。
【請求項17】
前記喫煙物品は、
前記香味剤を含むスラリー、ペースト、液相、ゲル、粉末、ビーズ、シート、フィルム、繊維又は成形体を含むものである、請求項16に記載の喫煙物品。
【請求項18】
前記喫煙物品は、
シガレット又は電子タバコである、請求項16に記載の喫煙物品。
【請求項19】
請求項1から11のいずれか一項に記載の香味剤を含む、食品。
【請求項20】
前記香味剤と混合する段階、又は熱によって調理する段階を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の香味剤を含む食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱によって香味成分が放出される新規な香味剤、香味剤組成物及びこれを含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品及び喫煙物品に香味剤を付加して味をさらに向上させることができる。喫煙物品から発生した煙又はエアロゾルは上流から下流に移動して喫煙者に伝達され、喫煙満足度を感じるように製造されている。喫煙満足度を決定する要素としては様々な事項があるが、最も重要なのは喫煙者が感じるタバコ味である。喫煙者は1つの喫煙物品から様々なタバコ味を楽しむのを望むところ、タバコメーカーでは喫煙者のこのような欲求を満たすために加香物質(例えば、香味剤)を添加して喫煙者は様々な香味や風味を感じるようになる。
【0003】
従来の香味剤は、喫煙媒質の長期間保管時、常温で化学構造の分解可能性が高く、香味成分が揮発して喫煙中にタバコ味を増進させ得る十分な香味発現が難しく、又は喫煙時間が経過するにつれて香味の持続性が弱く、又はタバコ味が変化する。これに喫煙中に喫煙満足度を高める香味剤の開発が必要である。食品において様々な香味を付加するために香味剤を適用しているが、食品の長期間加工及び/又は格納される場合に香味が揮発し、放出されて消えてしまう場合が頻繁である。これに対し、揮発性香味の放出を防止又は遅延させて格納寿命を増加させ、消費者が使用するときに十分な香味発現がなされる香味剤の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の香味剤機能を有する化合物が常温(rt)又はこれと近接した温度で化学構造的安定性が低く、構造的変形又は分解が発生して香味成分が揮発する可能性がある。本発明は、これを解決するために、熱を加える場合に熱分解による香味成分が放出される、新規な香味剤を提供するものである。
本発明は、本発明による新規な香味剤を含む香味剤組成物に関する。
本発明は、本発明による新規な香味剤を含む製品に関する。
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものに制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から該当分野における通常の技術者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例により、下記化学式1で表される化合物である、香味剤に関する。
[化学式1]
【化1】
(上記化学式1で、
nは1又は2の整数であり、
Rは炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
モイアティA'はヒドロキシル基(-OH)を有する芳香族環、脂肪族環及び脂肪族鎖のうち少なくとも1つを有する香料化合物に由来するモイアティであり、前記ヒドロキシル基がカーボネート連結基(
【化2】
)に参加し、モイアティA'は前記カーボネート連結基に参加したヒドロキシル基を除く香料化合物に該当し、
モイアティG'は糖化合物に由来するモイアティであり、前記糖化合物の環に連結されたヒドロキシル基(-OH)のうち少なくとも1つ以上がエステル連結基(
【化3】
)に参加し、G'は前記エステル連結基に参加した前記ヒドロキシル基を除く化合物に該当し、mは前記エステル連結基でモイアティG'に結合される
【化4】
の個数であり、1~8の整数である。)
本発明の一実施例により、前記香料化合物は、ヒドロキシル基を有する環状モノテルペン系化合物、ヒドロキシル基を有するモノテルペン系非環式化合物、ヒドロキシル基を有する炭素数6~10の芳香族化合物及びヒドロキシル基を有する炭素数5~6の非芳香族環化合物から選択されるものであってもよい。
【0006】
本発明の一実施例により、前記糖化合物は、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノ-ス、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストラン、スクロース、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリスロース、デオキシリボース、グルコース、イドース、タロース、エリスルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、イソマルト-オリゴサッカライド、キシロ-オリゴサッカライド、ゲンチオ-オリゴサッカライド、ソルボース、ニゲロ-オリゴサッカライド、パラチノースオリゴサッカライド、フルクトオリゴサッカライド、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルト-オリゴサッカライド、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノ-ス及びリボースから選択されてもよい。
【0007】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、熱分解時に香味を発現することができる。
【0008】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、熱分解時に前記糖化合物、前記香料化合物、ラクトン化合物及び二酸化炭素に分解されるものであってもよい。
【0009】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、80℃以上の温度で熱分解されるものであってもよい。
【0010】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、食品用又は喫煙物品用香味剤であってもよい。
【0011】
本発明の一実施例により、本発明による香味剤;を含む、組成物に関する。
【0012】
本発明の一実施例により、前記組成物は、固相、スラリー、ペースト、ゲル、液相、エマルジョン又はエアロゾルであってもよい。
【0013】
本発明の一実施例により、前記組成物は、食品用又は喫煙物品用に許容可能な担体、添加剤又はこの両方をさらに含むものであってもよい。
【0014】
本発明の一実施例により、本発明による香味剤を含む、喫煙物品に関する。
【0015】
本発明の一実施例により、前記喫煙物品は、前記香味剤を含むスラリー、ペースト、液相、ゲル、粉末、ビーズ、シート、フィルム、繊維又は成形体を含むものであってもよい。
【0016】
本発明の一実施例により、前記喫煙物品は、シガレット又は電子タバコであってもよい。
【0017】
本発明の一実施例により、本発明による香味剤を含む、食品に関する。
【0018】
本発明の一実施例により、前記食品は、本発明の香味剤と混合、又は熱によって調理されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施例により、本発明による香味剤は、喫煙物品に適用するとき、喫煙中に香味成分が発現して副流煙の煙たい臭いを改善させ、加熱による熱分解時に香味成分が発散するので、タバコ味を向上させ、タバコ味を一定に維持させることができる。
【0020】
本発明の一実施例により、本発明による香味剤は、加熱によって熱分解されて香味成分が発散するので、食品に適用する際の調理過程で豊富な香味を提供することができ、食品の保管過程で香味剤の格納寿命を延長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-ヒドロキシヘプタノエート(2a)のNMR分析結果を示すものである。
【
図2】本発明の一実施例により、実施例でエチル4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート(3a)のNMR分析結果を示すものである。
【
図3】4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタン酸(4a)のNMR分析結果を示すものである。
【
図4】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート(5a)のNMR分析結果を示すものである。
【
図5】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート(5a)のNMR分析結果を示すものである。
【
図6】本発明の一実施例により、実施例で製造された4-(メチルカルボニルオキシ)ノナン酸(4b)のNMR分析結果を示すものである。
【
図7】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート(5b)のNMR分析結果を示すものである。
【
図8】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート(5b)のNMR分析結果を示すものである。
【
図9】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル5-(メチルカルボニルオキシ)デカノエート(3c)のNMR分析結果を示すものである。
【
図10】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル5-(メチルカルボニルオキシ)デカノエート(3c)のNMR分析結果を示すものである。
【
図11】本発明の一実施例により、実施例で製造された5-(メチルカルボニルオキシ)デカン酸(4c)のNMR分析結果を示すものである。
【
図12】本発明の一実施例により、実施例で製造された5-(メチルカルボニルオキシ)デカン酸(4c)のNMR分析結果を示すものである。
【
図13】本発明の一実施例により、実施例で製造された5-イソプロピル-2-メチルシクロヘキシル-(1-オキソ-1-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)デカン-5-イル)カーボネート(5c)のNMR分析結果を示すものである。
【
図14】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート(6c)のNMR分析結果を示すものである。
【
図15】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート(6c)のNMR分析結果を示すものである。
【
図16】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-ヒドロキシウンデカノエート(2d)のNMR分析結果を示すものである。
【
図17】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-ヒドロキシウンデカノエート(2d)のNMR分析結果を示すものである。
【
図18】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート(3d)のNMR分析結果を示すものである。
【
図19】本発明の一実施例により、実施例で製造された4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸(4d)のNMR分析結果を示すものである。
【
図20】本発明の一実施例により、実施例で製造された4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸(4d)のNMR分析結果を示すものである。
【
図21】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート(6d)のNMR分析結果を示すものである。
【
図22】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート(6d)のNMR分析結果を示すものである。
【
図23】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカノエート(3e)のNMR分析結果を示すものである。
【
図24】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-ベンジルオキシカルボニルオキシ)ノナノエート(5e)のNMR分析結果を示すものである。
【
図25】本発明の一実施例により、実施例で製造された化合物の熱分析結果を示すものである。
【
図26】本発明の一実施例により、実施例で製造された化合物の熱分解温度による成分の分布を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の説明において、関連する公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。さらに、本明細書において使用される用語は、本発明の好ましい実施例を適切に表現するために使用された用語であり、これは、ユーザ、運用者の意図又は本発明の属する分野における慣例などによって変わり得る。したがって、本用語の定義は、本明細書全体にわたる内容に基づいて行われるべきである。各図面に示されている同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0023】
明細書全体において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0024】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
以下、本発明の新規な香味剤及び前記香味剤の活用について実施例及び図面を参照して具体的に説明する。しかし、本発明はこのような実施例及び図面に制限されるものではない。
【0025】
本発明は、新規な香味剤に関し、本発明の一実施例により、前記香味剤は、熱を加える場合に熱分解によって香味成分を発現させることができる。
本発明の一実施例により、前記香味剤は、下記化学式1で表される化合物であり得る。
[化学式1]
【化5】
【0026】
本発明の一例として、上記化学式1は、糖化合物来由モイアティ(G')及び香料化合物来由モイアティ(A')を含むものであって、上記化学式1で香料化合物はカーボネート連結基で共有結合し、糖化合物はエステル連結基(
【化6】
)で結合したものであり得る。上記化学式1の化合物は、熱を加えると熱分解され、糖化合物、香料化合物及びラクトン化合物の香味成分に分解され、発散することができる。例えば、上記化学式1の化合物は、ラクトン化合物の開環メカニズムで糖化合物のヒドロキシル基(-OH)と反応してエステル連結基で連結され、香料化合物のヒドロキシル基と反応してカーボネート連結基(
【化7】
)で連結され、合成され得る。すなわち、上記化学式1の化合物は、約常温又は近接した温度で構造的安定性を有し、揮発性が低く、熱を加えると閉環メカニズムでカーボネート連結基及びエステル連結基が切れて糖化合物(G)、ラクトン化合物及び香料化合物(A)に分解され香味が発散し、分解過程で人体に無害な二酸化炭素が発生し得る。これは、熱によってカーボネート連結基が切れて香料化合物に分解され、二酸化炭素が生成され、次いで閉環によってエステル連結基が切れて、糖化合物及びラクトン化合物に分解されて香味を発現させることができる。
【0027】
本発明の一実施例により、上記化学式1でモイアティA'は、ヒドロキシル基を有する芳香族環、ヒドロキシル基を有する脂肪族環及びヒドロキシル基を有する脂肪族鎖のうち少なくとも1つを有する香料化合物に由来するモイアティであってもよい。前記ヒドロキシル基は、環、鎖又はこのうち1つ以上(例えば、1つ又は2つ)を含み、これは、ヒドロキシル基を有する置換基、基本骨格及び/又はモイアティに該当し得る。前記ヒドロキシル基が化学式1でカーボネート連結基の共有結合に参加し、モイアティA'は前記ヒドロキシル基を除く香料化合物に該当し得る。すなわち、モイアティA'において香料化合物のヒドロキシル基がカーボネート連結基で保護されるので、常温で閉環による分解反応が防止され得る。
【0028】
本発明の一実施例により、前記香料化合物はヒドロキシル基を有する環状モノテルペン系化合物、ヒドロキシル基を有するモノテルペン系非環式化合物、ヒドロキシル基を有する炭素数6~10の芳香族化合物及びヒドロキシル基を有する炭素数5~10;又は炭素数5~6の非芳香族環及びこれらの異性体から選択されてもよい。例えば、前記香料化合物は下記の化合物から選択され、上記化学式1の熱分解時にカーボネート連結基が切れるときに生成される化合物であり得る。
【化8】
【化9】
【0029】
本発明の一実施例により、前記モイアティA'は下記化学式から選択されるものであってもよい。ここで、*は、カーボネート連結基内の酸素位置に該当する。
【化10】
【化11】
【0030】
本発明の一実施例により、モイアティG'は糖化合物に由来するモイアティであり、前記糖化合物の環に連結されたヒドロキシル基がエステル連結基(
【化12】
)に参加して生成されたものであり、モイアティG'は前記ヒドロキシル基を除く糖化合物に該当し得る。上記化学式1の化合物は、糖化合物の連結によって常温で揮発性を下げて構造的安定性を維持し、有機溶媒に対する溶解性を増加させることができる。これは、上記化学式1の化合物の様々なマトリックス(又は、基質)内で相溶性及び/又は加工性を高め、食品、喫煙物品に適用分野を拡大させることができる。
【0031】
本発明の一実施例により、前記糖化合物は、6員環、5員環、又はこの両方を含み、前記糖化合物を構成する環に結合されたヒドロキシル基のうち少なくとも1つ以上;少なくとも2つ以上;少なくとも3つ以上;又は全体が上記化学式1のエステル連結基に参加できる。例えば、単一又は複数のヒドロキシル基によるエステル連結基が形成され、上記化学式1で[]部分、すなわち、
【化13】
の単一又は複数がモイアティG'に結合され得る。
本発明の一実施例により、前記mは、前記エステル連結基でモイアティG'に結合される[]部分、すなわち、
【化14】
の個数であり、1~8;1~7;1~6;1~5;1~4;1~3;又は1~2の整数であってもよい。
【0032】
本発明の一実施例により、前記糖化合物は、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノ-ス、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストラン、スクロース、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリスロース、デオキシリボース、グルコース、イドース、タロース、エリスルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、イソマルト-オリゴサッカライド、キシロ-オリゴサッカライド、ゲンチオ-オリゴサッカライド、ソルボース、ニゲロ-オリゴサッカライド、パラチノースオリゴサッカライド、フルクトオリゴサッカライド、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルト-オリゴサッカライド、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノ-ス及びリボースから選択されてもよい。好ましくは、グルコース、ラクトース、マルトース、ガラクトース、スクロース、D-フルクトース、グロース、タロース及びイドースであってもよい。
【0033】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、下記化学式1-1~1-9から選択されてもよい。
【0034】
[化学式1-1]
【化15】
[化学式1-2]
【化16】
[化学式1-3]
【化17】
[化学式1-4]
【化18】
[化学式1-5]
【化19】
本発明の一例として、上記化学式1-1~1-5において、R
1~R
5は、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化20】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択されてもよい。
【0035】
好ましくは、
【化21】
は、R
1~R
5のうち少なくとも1つ以上;少なくとも2つ以上;少なくとも3つ以上;少なくとも4つ以上;又は全体に該当することができ、さらに好ましくは、R
1及びR
5のうち少なくとも1つ;R
1及びR
4のうち少なくとも1つ;及び/又はR
3及びR
4のうち少なくとも1つに該当することができる。
[化学式1-6]
【化22】
【0036】
本発明の一例として、上記化学式1-6においてR
1~R
4は、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化23】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択されてもよい。
【0037】
好ましくは、
【化24】
は、R
1~R
4のうち少なくとも1つ以上;少なくとも2つ以上;少なくとも3つ以上;又は全体に該当することができ、さらに好ましくは、R
1及びR
4のうち少なくとも1つ;R
2及びR
3のうち少なくとも1つ;及び/又はR
1及びR
3のうち少なくとも1つに該当することができる。
[化学式1-7]
【化25】
[化学式1-8]
【化26】
[化学式1-9]
【化27】
【0038】
本発明の一例として、上記化学式1-7~1-9においてR
1~R
8は、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化28】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択されてもよい。
【0039】
好ましくは、
【化29】
は、R
1~R
8のうち少なくとも1つ以上;少なくとも2つ以上;少なくとも3つ以上;少なくとも4つ以上;又は全体に該当することができ、さらに好ましくは、R
1~R
3のうち少なくとも1つ;及び/又はR
5及びR
8のうち少なくとも1つ;に該当することができ、さらに好ましくは、R
1~R
2のうち少なくとも1つ;R
1及びR
3のうち少なくとも1つ;R
6及びR
8のうち少なくとも1つ;及び/又はR
7及びR
5のうち少なくとも1つに該当することができる。
本発明の一実施例により、前記香味剤は、下記化学式1-1-a~1-9-aから選択されてもよい。
[化学式1-1-a]
【化30】
[化学式1-2-a]
【化31】
[化学式1-3-a]
【化32】
[化学式1-4-a]
【化33】
[化学式1-5-a]
【化34】
[化学式1-6-a]
【化35】
[化学式1-7-a]
【化36】
[化学式1-8-a]
【化37】
[化学式1-9-a]
【化38】
(ここで、n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)
【0040】
本発明の一実施例により、上記化学式1でnは1又は2の整数であってもよい。Rは、炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖アルキル基;好ましくは、炭素数2~10の直鎖又は分岐鎖アルキル基であってもよい。
【0041】
本発明の一実施例により、前記ラクトン化合物は、下記化学式2のガンマ又は化学式3のデルタラクトンであってもよい。
[化学式2]
【化39】
[化学式3]
【化40】
【0042】
本発明の一例として、上記化学式1及び化学式2で、Rは、炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは、炭素数2~10の直鎖又は分岐鎖アルキル基であってもよい。
【0043】
例えば、前記ラクトン化合物は、下記化学式から選択されるものであってもよい。
【化41】
【0044】
本発明の一実施例により、前記化合物は、70℃以上;80℃以上;90℃以上;又は100℃以上であり、好ましくは、120℃以上;150℃以上;200℃以上;又は、さらに好ましくは、200℃~300℃温度で熱分解するものであってもよい。また、酸素及び/又は水分を含む環境で熱分解することができる。
【0045】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、食品及び喫煙物品の香味剤として活用することができる。すなわち、食品及び喫煙物品に許容可能な添加剤として活用することができる。
【0046】
本発明は、本発明による香味剤を含む組成物に関する。
【0047】
本発明の一実施例により、前記組成物は、本発明による香味剤(すなわち、上記化学式1で表される香味剤化合物)を含み、用途に応じて担体、添加剤又はこの両方をさらに含んでもよい。前記担体及び添加剤は、食品用又は喫煙物品用に許容可能な担体及び添加剤であり、例えば、溶媒、結合剤、希釈剤、分解剤、潤滑剤、香味剤、着色剤、保存剤、酸化防止剤、乳化剤、安定化剤、香味増進剤、甘味剤などを含むことができるが、これらに制限されない。
【0048】
本発明の一実施例により、前記組成物は、用途に応じてベースマトリックス(又は、基質)成分をさらに含むことができ、例えば、紙、パルプ、木材、ポリマー樹脂(例えば、セルロース)、繊維、植物性油、石油系油(例えば、パラフィン類)、動物性油、ワックス、脂肪酸(例えば、炭素数1~50の動物性脂肪、植物性脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸(例えば、単一又は多不飽和脂肪酸))などであってもよい。前記ベースマトリックス成分に有機物及び/又は無機又はセラミック粉末(例えば、チョーク(chalk)、パーライト(perlite)、バーミキュライト(vermiculite)、珪藻土(diatomaceous earth)、コロイダルシリカ(colloidal silica)、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム)、湿潤剤(例えば、グリセリン又はプロピレングリコール)及びアセテート化合物などがさらに追加されてもよい。
【0049】
本発明の一実施例により、前記組成物は、用途に応じてタバコ成分をさらに含んでもよい。前記組成物は、喫煙物品に適用するとき、喫煙条件下で主流煙及び/又は副流煙に香味を発現させることができる。前記タバコ成分は、板状葉タバコ、刻草、再構成タバコなどのタバコ原料に基づく固体物質であってもよく、葉タバコ、押出タバコ(extruded tobacco)及びバンドキャストタバコ(bandcast tobacco)から選択されてもよい。また、前記組成物は、タバコ媒質として適用可能なエアロゾル発生剤をさらに含むことができ、前記エアロゾル発生剤は、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチルクエン酸、エチルミリステート、イソプロピルミリステート、メチルステアレート、ジメチルドデカンジオエート、ジメチルテトラデカンジオエートなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0050】
本発明の一実施例により、前記香味剤は前記組成物のうち0.0001重量%以上;0.001重量%以上;0.01重量%以上;0.1重量%~100重量%(又は100重量%未満);0.1重量%~80重量%;0.0001重量%~60重量%;0.001重量%~50重量%;0.1重量%~30重量%;1重量%~20重量%5重量%~20重量%;5重量%~10重量%;であってもよい。前記範囲内で、前記香味剤の熱分解による香味発現機能を得ることができ、喫煙物品に適用するときにタバコ味の改善効果を得ることができる。
【0051】
本発明の一実施例により、前記組成物は、様々な相(phase)で製造され、例えば、固相(例えば、粉末、クリスタル、フレーク、粉砕物)、スラリー、ペースト、ゲル、液相、エマルジョン又はエアロゾルであってもよい。例えば、前記組成物は、成形又は所望の製品に混合されるか、印刷、浸漬、噴霧及び/又はコーティングなどの本発明の技術分野における周知の方式で適用することができ、本文書には具体的に言及しない。
【0052】
本発明は、本発明による香味剤を含む食品に関する。本発明の一実施例により、前記食品は、上記言及した本発明による化学式1で表される香味剤化合物のうち少なくとも1つ以上を含み得る。前記食品の加熱及び/又は燃焼時の前記香味剤の熱分解による香味を提供することができる。
【0053】
本発明の一実施例により、前記食品は、食品原料及び前記香味剤又は前記香味剤を含む組成物で製造されることができ、前記組成物は目的する食品によって食品添加剤をさらに含むことができ、例えば、溶媒(例えば、水、アルコール、液状抽出物)、結合剤、希釈剤(例えば、油)、分解剤、潤滑剤、着色剤、保存剤、酸化防止剤、乳化剤、安定化剤、香味増進剤、甘味剤などを含むことができるが、これらに制限されない。例えば、前記香味剤は、前記食品にそれ自体で混合されるか、前記香味剤を含む組成物を用いて混合、浸漬、噴霧及び/又はコーティングされ得る。
【0054】
本発明の一実施例により、前記食品は、前記香味剤が添加又は加熱されて半調理又は調理されたものであってもよい。添加された場合、前記食品はさらなる加熱によって香味剤機能を発現させ得る。さらに、半調理又は調理されたもので香味剤と共に加熱され、その機能が発現されたものであり、前記半調理又は調理された食品に香味剤が添加され、さらなる加熱によってその機能を発現させ得る。
本発明の一実施例により、前記香味剤は、前記食品のうち0.0001重量%以上~99重量%;0.01重量%以上;0.1重量%以上;1~50重量%;1~30重量%;又は1~20重量%であってもよい。前記範囲内で前記香味剤の香味発現機能を提供し、食品原料固有の特性を維持させ得る。
【0055】
本発明の一実施例により、前記「食品」は、食品材料、ソース、添加剤、味付け類、飲食物、嗜好食品、加工食品、冷凍食品、冷蔵食品、保存食品、漬物食品、機能食品、発酵食品であってもよい。また、調理されずに添加された状態(例えば、表面コーティングされた状態、フィーリング(filling)された状態、調味された状態、漬けられた状態、乾燥された状態、混合された状態)、半調理又は調理食品(例えば、ベイキング、蒸し、焼き、揚げ物、煮物、加熱のような熱を加えて完成した食品)であってもよい。例えば、シリアル製品、米製品、タピオカ製品、サゴ(sago)製品、製パン製品、餅製品、ビスケット製品、パスチュリー製品、キャンディー製品、デザート製品、ガム、チューイングガム、チョコレート、アイスクリーム、蜂蜜製品、糖蜜製品、酵母製品、ベーキングパウダー、塩及び味付け製品、調味料、甘味料、香辛料(savory)製品、マスタード製品、酢製品、ソース(調味料)、調理された果物及び野菜製品、及び肉製品、ゼリー、ジャム、果物ソース、卵製品、牛乳及び酪農製品、チーズ製品、バター及びバター代替食品、牛乳代替食品、大豆製品、食用油及び脂肪製品、飲料、アルコール飲料、ビール、炭酸飲料、炭酸水及びその他の非アルコール性飲料、フルーツ飲料、フルーツジュース、コーヒー、人工コーヒー、お茶、ココア、チョコレート、キャンディー、抽出物食品、植物抽出物、肉抽出物、ゼラチン、薬剤、エリキシル(elixir)、シロップ及び飲料製造用のその他の製剤であってもよいが、これらに制限されない。
【0056】
本発明は、本発明による香味剤を含む喫煙物品に関する。本発明の一実施例により、前記喫煙物品は、上記言及した本発明による化学式1で表される香味剤化合物のうち少なくとも1つ以上を含んでもよい。前記喫煙物品の加熱及び/又は燃焼時の前記香味剤の熱分解による香味を提供することができる。すなわち、前記喫煙物品の加熱及び/又は燃焼時、主流煙及び/又は副流煙に香味を発現させ得る。
【0057】
本発明の一実施例により、前記「喫煙物品」(smoking article)とは、タバコ、タバコ派生物、膨化処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)又はタバコ代用物に基づくか否かにかかわらず、喫煙可能な任意の製品又は喫煙体験を提供できる任意の製品を意味することができる。例えば、前記喫煙物品は、シガレット、葉巻(cigar)、小葉巻(cigarillo)、電子タバコなどのエアロゾルを発生させ得る喫煙可能物品を意味することができる。喫煙物品は、エアロゾル発生物質又はエアロゾル形成基質を含み得る。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻草、再構成タバコなどのタバコ原料に基づく固体物質を含み得る。
【0058】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、前記喫煙物品において喫煙媒質100重量部に対して0.0001重量部以上;0.001重量部以上;0.1重量部以上;1重量部以上;1~20重量部で含まれてもよい。
【0059】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、喫煙時、前記喫煙物品において喫煙媒質100重量部に対して0.00001重量部以上;0.0001重量部以上;0.001重量部以上;0.1重量部以上;1重量部以上;1~20重量部で香味成分、例えば、ラクトンを発現させることができる。
【0060】
本発明の一実施例により、前記喫煙物品は、シガレット型タバコ、液状型タバコ又はハイブリッド型タバコであり、燃焼式シガレット又は加熱式タバコであってもよい。又は電子タバコ(例えば、電子式で加熱されるタバコ)であってもよい。
【0061】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、シガレットのシガレット紙に適用してタバコ加熱及び/又は燃焼時、特に煙発生(smouldering)時の熱によって香味成分(例えば、ラクトン類及び/又は香り成分)が発現し、副流煙の煙たい臭いを改善する効果を減らすことができる。
【0062】
本発明の一実施例により、加熱式タバコスティックの媒質に適用時、香味成分の味持続力を付与することができる。すなわち、加熱式タバコは静的な加熱によって媒質が抱いている香味成分が初期パフ(puff)で消尽されるが、前記香味剤は熱によって分解されてこそ発現するため、パフが持続されても香味成分が最後のパフでも生成されタバコ味を一定に維持させ得る。
【0063】
本発明の一実施例により、前記喫煙物品は、前記香味剤又は前記香味剤組成物を含むか製造されたものであり得る。例えば、前記喫煙物品の構成成分及び/又は部品に該当し得る。好ましくは、喫煙物品において加熱される領域の構成成分及び/又は部品であり得る。例えば、喫煙媒質(例えば、液相、ゲル、固相、スラリー、ペースト)、紙管、チューブ、フィルター(例えば、チューブフィルター、繊維フィルター、織物フィルター、紙フィルター、カプセルフィルター)、巻紙、シガレット紙、チップペーパー、ラッパー、カートリッジ(例えば、加熱カートリッジ)などであってもよく、これらは本発明の目的を逸脱しない限り、本発明の技術分野における周知の構成成分を含み、本文書には具体的に言及しない。
【0064】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、前記喫煙物品の製造時にそれ自体で基質又は基材と混合されるか、前記香味剤を含む組成物を用いて基質又は基材と混合、印刷、浸漬(又は、含浸)、コーティング及び/又は噴射されて適用され得る。
【0065】
本発明の一実施例により、喫煙媒質、例えば、香味剤とタバコ原料(例えば、媒質原料、タバコ葉)を含むか、添加物をさらに含んでもよい。他の例として、前記香味剤は、喫煙物品の構成成分及び/又は部品製造時に香味剤として添加され、喫煙物品に適用可能なベース物質、溶媒、加香物質、喫煙媒質物質などと混合されてもよい。又は前記喫煙媒質は、液相、ゲル、又は固相であってもよい。
【0066】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明しようとする。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0067】
実施例1
【0068】
【0069】
(1-1)エチル4-ヒドロキシヘプタノエート(Ethyl 4-hydroxyheptanoate、2a)の合成
γ-ヘプタラクトン(γ-Heptalactone)20g(0.15mol)をメタノール(methanol)100mLに溶かして撹拌しながらKOH11.17g(0.16mol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF80mLを入れて撹拌しながらブロモエタン(bromoethane)17g(0.15mol、1eq.)を入れて12時間反応させた。反応液に水100mLを入れてエチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥した後、減圧濃縮して18.1g(66.7%、2steps)の目的物2aを得た。
【0070】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ8.01(s、1H、-OH)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、3.63(m、1H、CH-O)、2.42(m、2H、CO-CH2)、1.81~0.92(m、12H、alkyl)
【0071】
(1-2)エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート[Ethyl 4-(mentylcarbonyloxy)heptanoate、3a]の合成
エチル4-ヒドロキシヘプタノエート(2a)18g(0.1mol)をTHF120mLに溶かし、ピリジン16g(pyridine、0.2mol、2eq.)を入れて氷水で冷却し、撹拌しながら、メンチルクロロホルメート23g(mentyl chloroformate、0.1mol、1eq.)THF20mL溶液をゆっくり滴下した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して30g(収率81%)の目的物3aを黄色液体として得た。
【0072】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.74(7tet、1H、J=4Hz、-COOCH-)、4.51(td、1H、J=9、4Hz、COO-CH-)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、2.36(m、2H、CO-CH2-)、1.93~0.79(m、30H、alkyl)
【0073】
(1-3)4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタン酸[4-(mentylcarbonyloxy)heptanoic acid、4a]の合成
エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート(3a)25g(68.5mmol)をTHF100mL及び蒸留水30mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物4.2g(lithium hydroxide monohydrate、102.4mmol、1.5eq.)を入れて室温で12時間反応させた。蒸留水50mLを追加し、エーテルで抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して21.8g(収率81%)の目的物4aを黄色液体として得た。
【0074】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.76(m、1H、-COOCH-)、4.52(td、1H、J=9、4Hz、COO-CH-)、4.11(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、2.42(m、2H、CO-CH2-)、1.99~0.82(m、27H、alkyl)
【0075】
(1-4)グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)heptanoate、5a]の合成
【0076】
4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタン酸(4a)3g(9.1mmol)をDMF20mLに溶かしてグルコース3.7g(20.5mmol、2.2eq.)を入れた。室温で撹拌しながらジイソプロピルカルボジイミド1.7g(diisopropylcarbodiimide、13.4mmol、1.5eq.)とDMAP0.05g(cat.)を順に入れた後、室温で12時間反応させた。反応物に蒸留水を入れ、エチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。混合物をメチレンクロライド(methylene chloride)とメタノール混合溶媒(6:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel column chromatography)して0.6g(収率13%)の目的物5aを得た。
【0077】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ5.30~3.54(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.45(m、2H、CO-CH2-)、2.03~0.78(m、27H、alkyl)
【0078】
2.グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)nonanoate、5b]の合成
【0079】
【0080】
(2-1)エチル4-ヒドロキシノナノエート[Ethyl 4-hydroxynonanoate、2b]の合成
γ-ノナラクトン20g(γ-Nonalactone、0.13mol)をメタノール100mLに溶かして撹拌しながらKOH9.18g(0.14mol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF80mLを入れて撹拌しながらブロモエタン14g(0.13mol、1eq.)を入れて12時間反応させた。反応液に水100mLを入れてエチルアセテートで抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥した後、減圧濃縮して24g(93%、2steps)の目的物2bを得た。
【0081】
(2-2)エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ノナノエート[Ethyl 4-(mentylcarbonyloxy)nonanoate、3b]の合成
エチル4-ヒドロキシノナノエート(2)24g(0.12mol)をTHF120mLに溶かし、ピリジン18g(0.42mol、2eq.)を入れて氷水で冷却し、撹拌しながら、メンチルクロロホルメート26g(0.12mol、1eq.)THF30mL溶液をゆっくり滴下(dropping)した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して34g(収率74.5%)の目的物3を黄色液体として得た。
【0082】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.74(7tet、1H、J=4Hz、-COOCH-)、4.51(td、1H、J=9、4Hz、COO-CH-)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、2.36(m、2H、CO-CH2-)、1.93~0.79(m、23H、alkyl)
【0083】
(2-3)4-(メチルカルボニルオキシ)ノナン酸[4-(Mentylcarbonyloxy)nonanoic acid、4b]の合成
エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ノナノエート(3)11.5g(29.9mmol)をTHF50mL及び蒸留水20mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物2g(48.7mmol、1.6eq.)を入れて室温で12時間反応させた。蒸留水50mLを追加し、エーテル(ether)で抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して8.6g(収率80%)の目的物4bを黄色液体として得た。
【0084】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.75(m、1H、-COOCH-)、4.49(m、1H、COO-CH-)、2.04(m、2H、CO-CH2-)、1.93~0.79(m、31H、alkyl)
【0085】
(2-4)グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)nonanoate、5b]の合成
4-(メチルカルボニルオキシ)ノナン酸(4b)6.6g(24.1mmol)をDMF30mLに溶かしてグルコース13g(72.1mmol、3eq.)を入れた。室温で撹拌しながらジイソプロピルカルボジイミド3.4g(26.9mmol、1.2eq.)とDMAP0.05g(cat.)を順に入れた後、室温で12時間反応させた。反応物に蒸留水を入れ、エチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。混合物をメチレンクロライドとメタノール混合溶媒(8:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして2g(収率16%)の目的物5bを得た。
【0086】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ5.57~3.35(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.43(m、2H、CO-CH2-)、2.03~0.78(m、31H、alkyl)
【0087】
3.グルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート[Glucosyl-(5-mentylcarbonyloxy)decanoate、6c]の合成
【0088】
【0089】
(3-1)エチル5-ヒドロキシデカノエート(Ethyl 5-hydroxydecanoate、2c)の合成
δ-デカラクトン10g(δ-Decalactone、58.7mmol)をメタノール50mLに溶かして撹拌しながらKOH4.2g(64.7mmol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF40mLを入れて撹拌しながらブロモエタン6.4g(58.7mmol、1eq.)を入れて12時間反応させた。
【0090】
反応液に水100mLを入れてエチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥した後、減圧濃縮して7.6g(60%、2steps)の目的物2cを得た。
【0091】
(3-2)エチル5-(メチルカルボニルオキシ)デカノエート[Ethyl 5-(mentylcarbonyloxy)decanoate、3c]の合成
エチル4-ヒドロキシノナノエート(3c)7.5g(34.6mmol)をTHF50mLに溶かし、ピリジン5.3g(69.2mmol、2eq.)を入れて氷水で冷却し、撹拌しながら、メンチルクロロホルメート8.3g(37.9mmol、1.1eq.)THF20mL溶液をゆっくり滴下(dropping)した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。混合物をn-ヘキサンとエチルアセテート混合溶媒(7:1)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーして4.5g(収率32.6%)の目的物3cを得た。
【0092】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.72(m、1H、-COOCH-)、4.52(m、1H、COO-CH-)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、2.31(t、2H、J=8Hz、CO-CH2-)、2.08~0.86(m、27H、alkyl)、0.79(d、6H、J=8Hz、-CH3)
【0093】
(3-3)5-(メチルカルボニルオキシ)デカン酸[5-(Mentylcarbonyloxy)decanoic acid、4c]の合成
エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ノナノエート(3)2.7g(6.8mmol)をTHF20mL及び蒸留水10mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物0.42g(10.2mmol、1.5eq.)を入れて室温で12時間反応させた。蒸留水10mLを追加し、エーテルで抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して2.1g(収率78%)の目的物4bを黄色液体として得た。
【0094】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.72(m、1H、-COOCH-)、4.51(td、1H、J=8、4Hz、COO-CH-)、4.11(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、2.38(m、2H、CO-CH2-)、2.06~0.78(m、33H、alkyl)
【0095】
(3-4)5-イソプロピル-2-メチルシクロヘキシル(1-オキソ-1-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)デカン-5-イル)カーボネート[5-Isopropyl-2-methylcyclohexyl(1-oxo-1-(2-thioxothiazolidin-3-yl)decan-5-yl)carbonate、5c]の合成
5-(メチルカルボニルオキシ)デカン酸(4c)1.9g(5.1mmol)をdriedジクロロメタン20mLに溶かし、2-メルカプトチアゾリン0.73g(2-mercaptothiazoline、6.1mmol、1.2eq.)を入れて氷水で冷却し、撹拌しながら、EDC.HCl1.2g(6.1mmol、1.2eq.)とDMAP50mgをそれぞれゆっくり入れて反応させた。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてジクロロメタン(dichloromethane)で抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。混合物をn-ヘキサン(n-hexane)とエチルアセテート混合溶媒(3:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして2.1g(収率87.5%)の目的物5cを得た。
【0096】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.71(m、1H、-COOCH-)、4.57(t、2H、J=8Hz、N-CH2)、4.51(m、1H、COO-CH-)、4.11(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、3.28(t、2H、J=8Hz、S-CH2)、3.21(m、2H、CO-CH2-)、2.04~0.79(m、33H、alkyl)
【0097】
(3-5)グルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート[Glucosyl-(5-mentylcarbonyloxy)decanoate、6c]の合成
5-Isopropyl-2-methylcyclohexyl(1-oxo-1-(2-thioxothiazolidin-3-yl)decan-5-yl)carbonate(5c)2.2g(4.7mmol)をピリジン20mLに溶かしてグルコース2.5g(glucose、14.1mmol、3eq.)を入れた。室温で撹拌しながら水素化ナトリウム(sodium hydride、60%)93mg(2.4mmol、0.5eq.)とDMAP0.03g(cat.)を順に入れた後、室温で12時間反応させた。反応物に酢酸0.5mLを入れて飽和塩水を入れた後、エチルアセテートで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。混合物をメチレンクロライドとメタノール混合溶媒(8:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして0.55g(収率22%)の目的物6cを得た。
【0098】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ5.57~3.15(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.36(m、2H、CO-CH2-)、2.05~0.80(m、33H、alkyl)。
【0099】
4.グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)undecanoate、6d]の合成
【0100】
【0101】
(4-1)エチル4-ヒドロキシウンデカノエート(Ethyl 4-hydroxyundecanoate、2d)の合成
γ-ウンデカラクトン10g(54.2mmol)をメタノール50mLに溶かして撹拌しながらKOH3.9g(56.9mmol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF50mLを入れて撹拌しながらブロモエタン5.9g(54.2mmol、1eq.)を入れて12時間反応させた。
【0102】
反応液に水80mLを入れてエチルアセテートで抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥した後、減圧濃縮して10.7g(85.6%、2steps)の目的物2dを得た。
【0103】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、3.59(m、1H、CH-O)、2.43(m、2H、CO-CH2)、1.81~0.92(m、20H、alkyl)
【0104】
(4-2)エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Ethyl 4-(mentylcarbonyloxy)undecanoate、3d)の合成
エチル4-ヒドロキシウンデカノエート(2d)11g(47.7mmol)をTHF60mLに溶かし、ピリジン6.8g(95.5mmol、2eq.)を入れて氷水で冷却し、撹拌しながら、メンチルクロロホルメート10.5g(47.7mmol、1eq.)THF20mL溶液をゆっくり滴下(dropping)した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して8.3g(収率42.1%)の目的物3dを黄色液体として得た。
【0105】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.74(7tet、1H、J=4Hz、-COOCH-)、4.51(td、1H、J=9、4Hz、COO-CH-)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、2.36(m、2H、CO-CH2-)、1.93~0.79(m、23H、alkyl)
【0106】
(4-3)4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸[4-(Mentylcarbonyloxy)undecanoic acid、4d]の合成
エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート(3d)8.3g(19.4mmol)をTHF30mL及び蒸留水20mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物1.2g(29.1mmol、1.5eq.)を入れて室温で12時間反応させた。蒸留水20mLを追加してエーテルで抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。混合物をn-ヘキサンとエチルアセテート混合溶媒(8:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして6.8g(収率91.8%)の目的物4dを得た。
【0107】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.75(m、1H、-COOCH-)、4.51(m、1H、COO-CH-)、2.43(m、2H、CO-CH2-)、2.17~0.78(m、35H、alkyl)
【0108】
(4-4)5-イソプロピル-2-メチルシクロヘキシル(1-オキソ-1-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)ドデカン-5-イル)カーボネート[5-Isopropyl-2-methylcyclohexyl(1-oxo-1-(2-thioxothiazolidin-3-yl)dodecan-5-yl)carbonate、5d]の合成
【0109】
5-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸(4d)9.1g(23.6mmol)をdriedジクロロメタン50mLに溶かし、2-メルカプトチアゾリン3g(24.8mmol、1.05eq.)を入れて氷水で冷却し、撹拌しながら、EDC.HCl5g(25.9mmol、1.1eq.)とDMAP20mgをそれぞれゆっくり入れて反応させた。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてジクロロメタンで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して10.9g(収率92%)の目的物5dを得た。
【0110】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.71(m、1H、-COOCH-)、4.57(t、2H、J=8Hz、N-CH2)、4.51(m、1H、COO-CH-)、4.11(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、3.28(t、2H、J=8Hz、S-CH2)、3.21(m、2H、CO-CH2-)、2.04~0.79(m、33H、alkyl)
【0111】
(4-5)グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)undecanoate、6d]の合成
4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸4.9g(12.7mmol)をジクロロメタン30mLに溶かして塩化チオニル3g(thionyl chloride、25.2mmol、2eq.)を入れて2時間refluxさせた。他のフラスコにDMF溶媒にグルコース6.9g(3eq.)とピリジン4.9g(5eq.)を入れて室温で撹拌しながら、上記の反応液を徐々に滴下(dropping)し、12時間反応させた。反応液に水を入れてジクロロメタンで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーして(MC/MeOH、10:1)目的物(6d)2.6gを得た(37.7% yield)。
【0112】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ5.23~3.35(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.43(m、2H、CO-CH2-)、2.03~0.78(m、35H、alkyl)
【0113】
5.グルコシ-(4-ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Glucosyl-(4-benzyloxycarbonyloxy)undecanoate、5e]の合成
【0114】
【0115】
(5-1)エチル4-ヒドロキシウンデカノエート[Ethyl 4-hydroxyundecanoate、2d]の合成
γ-ウンデカラクトン10g(54.2mmol)をメタノール50mLに溶かして撹拌しながらKOH3.9g(56.9mmol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF50mLを入れて撹拌しながらブロモエタン5.9g(54.2mmol、1eq.)を入れて12時間反応させた。
【0116】
反応液に水80mLを入れてエチルアセテートで抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥した後、減圧濃縮して10.7g(85.6%、2steps)の目的物2dを得た。
【0117】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH2-)、3.59(m、1H、CH-O)、2.43(m、2H、CO-CH2)、1.81~0.92(m、20H、alkyl)
【0118】
(5-2)エチル4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Ethyl 4-(benzyloxycarbonyloxy)undecanoate、3e]の合成
エチル4-ヒドロキシウンデカノエート(2d)8.3g(36mmol)をTHF50mLに溶かし、ピリジン5.5g(72.3mmol、2eq.)を入れて氷水で冷却し、撹拌しながら、クロロギ酸ベンジル(benzylchloroformate)6.1g(35.3mmol、1eq.)THF20mL溶液をゆっくり滴下(dropping)した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO
4で乾燥し、減圧濃縮して9.9g(収率75.6%)の目的物3eを黄色液体として得た。
1H NMR(CDCl
3、400.13MHz);δ7.37~7.34(m、5H、ph)、5.14(m、2H、O-CH
2-Ph)、4.12(brs、1H、O-CH-)、2.42(m、2H、CO-CH
2-)、1.90~0.79(m、21H、alkyl)(
図24)。
【0119】
(5-3)4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカン酸[4-(Benzyloxycarbonyloxy)undecanoic acid、4e]の合成
エチル4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカノエート(3e)10g(27.5mmol)をTHF30mL及び蒸留水20mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物1.7g(41.4mmol、1.5eq.)を入れて室温で12時間反応させた。蒸留水20mLを追加してエーテルで抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮して8.2g(収率89%)の目的物4eを得た。
【0120】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ7.37~7.35(m、5H、ph)、5.14(m、2H、O-CH2-Ph)、4.48(m、1H、O-CH-)、2.47(m、2H、CO-CH2-)、1.90~0.79(m、21H、alkyl)
【0121】
(5-4)グルコシ-(4-ベンジルオキシカルボニルオキシ)ノナノエート[Glucosyl-(4-benzyloxycarbonyloxy)nonanoate、5e]の合成
4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカン酸(4e)8g(23.8mmol)をDMF30mLに溶かしてグルコース13g(72.1mmol、3eq.)を入れた。室温で撹拌しながら、ジイソプロピルカルボジイミド3.4g(26.9mmol、1.1eq.)とDMAP0.05g(cat.)を順に入れた後、室温で12時間反応させた。反応物に蒸留水を入れ、エチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。混合物をメチレンクロライドとメタノール混合溶媒(8:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして0.3g(収率2.5%)の目的物5eを得た。
【0122】
1H NMR(CDCl3、400.13MHz);δ7.37~7.34(m、5H、ph)、5.30~3.37(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.39(m、2H、CO-CH2-)、1.92~0.84(m、17H、alkyl)
【0123】
実験例
6d化合物(2C)が熱に露出時、熱的特性(pyrolytic behavier)を確認するために熱分解実験を進行し、これは通常知られている熱分解-ガスクロマトグラフィー/質量分析(Pyrolysis-Gas Chromatography/Mass Spectrometry[Py-GC/MS])方法によって観察した。熱分解装備(Pyrolyzer)は、『Double-Shot Pyrolyzer 2020iD』(Frontier Lab、Japan)をGC/MS(Agilent 6890 GC、USA/Aginelt 7890 MSD、USA)装備に連結されているシステムで行った。2Cをエチルアルコール(Ethyl alcohol)溶液に2.5%濃度に希釈した後、pyrolyzer sample cupに10ulローディングした後、熱分解させた。熱分解温度はDouble-Shot Pyrolyzerの高炉(Furnace)の温度を指定してサンプルが受ける温度を調節したが、最初の熱分解温度は80℃で30秒間サンプルが置かれたサンプルカップを高炉に露出させ、サンプルカップ内のターゲット化合物(2C)が熱分解を受けるようにした。熱によって生成、あるいは熱によって揮発された成分は、すぐにGC/MSの注入口(Injector)に注入され、分離(separation)された。熱分解後、GC/MS分析される間、サンプルカップを高炉から出して熱分解温度の影響を受けないようにし、最初の熱分解によるGC/MS分析の終了後、最初に使用されたサンプルカップを新たに化合物を注入せずに再び熱分解を受けるようにしたが、このとき、熱分解温度は10℃高い90℃で30秒間熱分解を受けるようにした。やはり熱分解が終わった後、サンプルカップを高炉から出して熱分解温度の影響を受けないようにした。このような方式で、最初の試料をサンプルカップにローディングした後、熱分解させる際の温度は80℃、90℃、100℃から最終的には320℃まで昇温しながら熱分解実験を行った。その結果、熱分解温度が高くなって受ける化合物の熱分解特性を温度帯別に分割して考察することができた。その結果は
図25及び
図26に示した。
【0124】
【0125】
図25及び
図26において、2C化合物は、熱分解実験結果、約120℃の温度でメントール及びガンマ-ウンデカノラクトンが分解することを確認することができる。
【0126】
すなわち、前記分解メカニズムでラクトン[1C、ガンマ-ウンデカラクトン]を開環し、ヒドロキシル基をカーボネート連結基(carbonate linkage)でL-メントール(L-Menthol)と連結した後、糖(グルコース)にエステルで連結し、[2C]化合物を製造した。[2C]化合物が製品マトリックスに適用した後、熱によってL-メントール([3C])とCO2が生成され、ヒドロキシル基が露出した[4C]化合物が生成される。[4C]化合物はまた、熱によって閉環(ring-closing、intramolecular esterification)され、ガンマ-ウンデカラクトン[5C]が生成される。[2C]状態でヒドロキシル基がメンチルカーボネート基(Menthyl carbonate group)で保護され、常温では閉環が発生することを抑制し得る。また、熱分解実験結果、メントールが熱分解すると共にラクトンリングが生成されることが確認できた。
【0127】
実施例2
製造例の目的物(合成されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート、5a、1重量%)、水(40重量%)、牛乳(10重量%)及び小麦粉(49重量%)を混合し、混練してドウを製造し、電気オーブンで約200℃温度で1時間加熱してベーキングした。オーブンから取り出した後、臭いを嗅いで香味(例えば、目的物の合成に使用されたラクトン香及びメントール香)が発現することを確認した。
【0128】
実施例3
製造例の目的物(合成されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート、5b、0.01重量%~5重量%)、ベース基質(パルプ、95重量%~99重量%)及びその他の添加剤(残量)を混合後にロールツーロール(室温又は低温)を用いてシート(2mm厚さ)で製造し、常温で乾燥した。前記シートは室温で臭いを嗅いでみたが、目的物の合成に使用された香料化合物の臭いはなかった。次に、前記シートは、シガレットタバコのシガレット紙に適用して通常的なシガレットタバコで作製し、タバコを吸煙し、喫煙中の香味(例えば、目的物の合成に使用されたラクトン香及びメントール香)が発現することを確認した。
【0129】
実施例4
製造例の目的物(合成されたグルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート、6c、0.003重量%~0.02重量%)、タバコ粉末(tobacco powder、90重量%~99重量%、0.03mm~約0.12mmの平均粒子径)及びその他の添加剤(残量)を混合した後、通常的な方法でタバコ組成物を製造した。前記タバコ組成物を喫煙媒質に適用し、シガレット紙を包んでラッピングした後、フィルター及び巻紙を構成して通常的なシガレットタバコを製造した。シガレットタバコを吸煙し、主流煙と副流煙で喫煙中の香味(例えば、目的物の合成に使用されたラクトン香及びメントール香)が発現することを確認した。
【0130】
以上のように、実施例が限られた実施例と図面によって説明されたが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順序で実行、及び/又は説明された構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わせられる、あるいは、他の構成要素又は均等物によって代替又は置き換えられても、適切な結果が達成できる。したがって、他の実施形態、他の実施例、及び特許請求の範囲と均等なものも、後述する特許請求の範囲に属する。