(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】撮像装置、検査装置及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/56 20230101AFI20240827BHJP
G01N 21/90 20060101ALI20240827BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240827BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240827BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240827BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240827BHJP
H04N 23/12 20230101ALI20240827BHJP
H04N 23/11 20230101ALI20240827BHJP
【FI】
H04N23/56
G01N21/90 A
G03B11/00
G03B15/00 T
H04N23/55
H04N23/60 500
H04N23/12
H04N23/11
(21)【出願番号】P 2020093584
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(73)【特許権者】
【識別番号】593205831
【氏名又は名称】東邦商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 透
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-043979(JP,A)
【文献】特開2011-033641(JP,A)
【文献】特開2005-119706(JP,A)
【文献】特開2009-039510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/56
G01N 21/90
G03B 11/00
G03B 15/00
H04N 23/55
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光透過率特性の異なるNバンド(但しNは3以上の自然数)の分光光学フィルタを有するとともに可視光領域と近赤外領域とに感度をもつイメージセンサを備えるカメラと、
前記イメージセンサと被写体との間の光路上に配置され
るフィルタと、
前記被写体に可視光領域に発光スペクトルを有した白色光を照射する白色光源と、
前記被写体に近赤外光領域に発光スペクトルを有し、かつ前記白色光源の発光スペクトル領域において発光スペクトルを持たない近赤外光を照射する近赤外光源と、
前記イメージセンサにより撮像された画像信号を前記Nバンドの信号ごとに分離し、分離したNバンドの画像信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号とを生成する変換部と
を備え
、
前記イメージセンサは、可視光領域と近赤外領域とに感度をもつ複数の受光素子を有し、
前記フィルタは、複数の前記受光素子のうち一部の前記受光素子が近赤外領域に感度ピークを有するように、可視光領域における特定波長以下の光を遮断する遮断領域を有し、
前記変換部は、
前記イメージセンサにより撮像された画像信号をR信号、G信号、及び、B信号に分離し、
前記B信号のうち近赤外領域の成分を残すように、且つ、前記B信号のうち可視光領域の成分、前記R信号の成分、及び、前記G信号の成分を打ち消すように決定されたマトリックス係数を用いて、前記R信号、前記G信号、及び、前記B信号に対してマトリックス演算を行うことにより、近赤外領域に分光感度をもつX信号を生成し、
前記G信号のうち可視光領域の成分を残すように、且つ、前記G信号のうち近赤外領域の成分、前記R信号の成分、及び、前記B信号の成分を打ち消すように決定されたマトリックス係数を用いて、前記R信号、前記G信号、及び、前記B信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつY信号を生成し、
前記R信号のうち可視光領域の成分を残すように、且つ、前記R信号のうち近赤外領域の成分、前記G信号の成分、及び、前記B信号の成分を打ち消すように決定されたマトリックス係数を用いて、前記R信号、前記G信号、及び、前記B信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつZ信号を生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記カメラは、赤外光カットフィルタを除去した汎用カラーカメラであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記Pバンドと前記Qバンドのうち複数バンドである少なくとも一方の画像信号については当該複数バンドの画像信号を基に疑似色によるカラー画像信号を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記被写体において前記カメラに対向する側の面を正面、当該正面と反対側の面を背面とすると、
前記白色光源は前記被写体の正面を白色光で照明し、前記近赤外光源は前記被写体の背面から近赤外光を照射し、
前記カメラは、前記白色光が前記被写体の表面で反射した反射光と、前記被写体を透過した近赤外光とを受光することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記近赤外光源と前記被写体との間には、前記被写体の背景となる面を表面とする光学フィルタ部材を配置し、
前記光学フィルタ部材は、前記白色光源から前記表面に照射された白色光のうち可視光領域の少なくとも特定波長の光を反射するか可視光領域の光を吸収するとともに、前記表面と反対側の面である裏面に前記近赤外光源から照射された近赤外を透過することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記白色光源と前記近赤外光源は、前記被写体における前記カメラと対向する側の面である正面に前記白色光と前記近赤外光とを照射する1つの光源により構成され、
前記光源は、白色光を照射する複数の発光部と近赤外光を照射する複数の発光部とが混在する配列で構成されることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置が出力する可視光領域に分光感度をもつPバンドの前記第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンドの前記第2画像信号とに基づいて前記被写体を検査する検査処理部とを備えることを特徴とする検査装置。
【請求項8】
被写体をカメラで撮像して画像信号を生成する撮像方法であって、
白色光源が可視光領域に発光スペクトルを有した白色光を前記被写体に照射するとともに近赤外光源が近赤外光領域に発光スペクトルを有しかつ前記白色光源の発光スペクトル領域において発光スペクトルを持たない近赤外光を前記被写体に照射する光照射ステップと、
分光透過率特性の異なったNバンド(但しNは3以上の自然数)の分光光学フィルタを有するとともに
、可視光領域と近赤外領域とに感度をもつ
複数の受光素子を有するイメージセンサを備えるカメラが、前記イメージセンサと前記被写体との間の光路上に配置され
、複数の前記受光素子のうち一部の前記受光素子が近赤外領域に感度ピークを有するように可視光領域における特定波長以下の光を遮断する遮断領域を有するフィルタを介して前記被写体を撮像する撮像ステップと、
前記イメージセンサにより撮像された画像信号を前記Nバンドの信号ごとに分離し、分離したNバンドの画像信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号とを生成する変換ステップとを備え
、
前記変換ステップにおいて、
前記イメージセンサにより撮像された画像信号をR信号、G信号、及び、B信号に分離し、
前記B信号のうち近赤外領域の成分を残すように、且つ、前記B信号のうち可視光領域の成分、前記R信号の成分、及び、前記G信号の成分を打ち消すように決定されたマトリックス係数を用いて、前記R信号、前記G信号、及び、前記B信号に対してマトリックス演算を行うことにより、近赤外領域に分光感度をもつX信号を生成し、
前記G信号のうち可視光領域の成分を残すように、且つ、前記G信号のうち近赤外領域の成分、前記R信号の成分、及び、前記B信号の成分を打ち消すように決定されたマトリックス係数を用いて、前記R信号、前記G信号、及び、前記B信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつY信号を生成し、
前記R信号のうち可視光領域の成分を残すように、且つ、前記R信号のうち近赤外領域の成分、前記G信号の成分、及び、前記B信号の成分を打ち消すように決定されたマトリックス係数を用いて、前記R信号、前記G信号、及び、前記B信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつZ信号を生成することを特徴とする撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像する撮像装置、検査装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1~3には、可視光と近赤外光との両方を撮像できる撮像素子またはカメラモジュールが開示されている。例えば、特許文献1には、レンズの前面にIRカット特性を持ちかつ絞りを兼ね備えた構造のフィルタ部を配置した構造を有するカメラモジュールが開示されている。また、特許文献2には、読み取り対象書類のカラー画像を検出するための画素センサと不可視情報として記録された近赤外光を検出するための画素センサを同一基板上に形成した固体撮像装置が開示されている。
【0003】
特許文献3には、カラー画像信号や赤外光画像信号、あるいは両者を合成した混在画像信号として出力する撮像装置が開示されている。撮像装置は、撮影レンズにより赤外光を含む被写体を表わす光学画像を取り込み、赤外光画像(近赤外光光学画像)と可視光像(可視光光学画像)とを分離することなく撮像部に取り込み、撮像信号処理部によってこれら赤外光画像と可視光像とをそれぞれ映像信号に変換した後に所定の信号処理を行なう。撮像部は、可視光用の3つのフィルタと近赤外光用の1つのフィルタを含む色フィルタ群と、可視光を検知する3つの画素と近赤外光を検知する1つの画素とを含む固体撮像素子とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-182270号公報
【文献】特開平10-65135号公報
【文献】特開2007-53731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カラー画像信号や赤外光画像信号、あるいは両者を合成した混在画像信号として出力する装置では、可視光画像と近赤外画像とを撮像可能な特殊な撮像素子や特殊なカメラを用いる必要があるという課題がある。また、被写体の画像認識・検査において、可視光でのカラー画像と近赤外での白黒画像での画像処理が必要となった場合、通常、カラーカメラと白色照明と近赤外白黒カメラと近赤外照明の2セットの撮像システムが必要となる。また、上記2台カメラ構成の場合、各カメラから得られる画像は、被写体の位置が異なっているため、2台のカメラからの画像を共有して処理を行うためには、位置・画角補正などの処理が必要となる。なお、特許文献1~3に記載された、可視光と近赤外撮像ができる特殊撮像素子(特殊イメージセンサ)、特殊カメラでは、高価なうえ仕様選定の自由度が極めて少ない。
【0006】
本発明の目的は、被写体を同じ画角で撮像した可視光画像と近赤外画像とを簡単な構成で取得できる撮像装置及び撮像方法を提供することにある。また、本発明の目的は、撮像装置により取得された可視光画像と近赤外画像を基に被写体を検査する検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する撮像装置は、分光透過率特性の異なるNバンド(但しNは3以上の自然数)の分光光学フィルタを有するとともに可視光領域と近赤外領域とに感度をもつイメージセンサを備えるカメラと、前記イメージセンサと被写体との間の光路上に配置される光学バンドパスフィルタと、前記被写体に可視光領域に発光スペクトルを有した白色光を照射する白色光源と、前記被写体に近赤外光領域に発光スペクトルを有し、かつ前記白色光源の発光スペクトル領域において発光スペクトルを持たない近赤外光を照射する近赤外光源と、前記イメージセンサにより撮像された画像信号を前記Nバンドの信号ごとに分離し、分離したNバンドの画像信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号とを生成する変換部とを備える。
【0008】
この構成によれば、被写体を同じ画角で撮像した可視光画像と近赤外画像とを簡単な構成で取得できる。
上記撮像装置において、前記カメラは、赤外光カットフィルタを除去した汎用カラーカメラであってもよい。
【0009】
この構成によれば、カメラは汎用カラーカメラを利用するので、撮像装置の構成が簡単な構成で済む。
上記撮像装置において、前記Pバンドと前記Qバンドのうち複数バンドである少なくとも一方の画像信号については当該複数バンドの画像信号を基に疑似色によるカラー画像信号を生成してもよい。
【0010】
この構成によれば、複数バンドの画像信号については疑似色によるカラー画像で表示できるので、例えば、検査員が画像を見て行う検査や検査結果の確認がし易い。
上記撮像装置において、前記被写体において前記カメラに対向する側の面を正面、当該正面と反対側の面を背面とすると、前記白色光源は前記被写体の正面を白色光で照明し、前記近赤外光源は前記被写体の背面から近赤外光を照射し、前記カメラは、前記白色光が前記被写体の表面で反射した反射光と、前記被写体を透過した近赤外光とを受光してもよい。
【0011】
この構成によれば、撮像装置により、被写体の表面の画像と、近赤外光によって被写体を透過した透過光画像とを取得することができる。
上記撮像装置において、前記近赤外光源と前記被写体との間には、前記被写体の背景となる面を表面とする光学フィルタ部材を配置し、前記光学フィルタ部材は、前記白色光源から前記表面に照射された白色光のうち可視光領域の少なくとも特定波長の光を反射するか可視光領域の光を吸収するとともに、前記表面と反対側の面である裏面に前記近赤外光源から照射された近赤外を透過してもよい。
【0012】
この構成によれば、被写体が撮像されるときの背景色を選択できるので、検査等に適した可視光画像と近赤外画像とを提供できる。
上記撮像装置において、前記白色光源と前記近赤外光源は、前記被写体における前記カメラと対向する側の面である正面に前記白色光と前記近赤外光とを照射する1つの光源により構成され、前記光源は、白色光を照射する複数の発光部と近赤外光を照射する複数の発光部とが混在する配列で構成されてもよい。
【0013】
この構成によれば、被写体の正面を撮像した可視光画像と近赤外画像とを取得できる。
上記課題を解決する検査装置は、上記撮像装置と、前記撮像装置が出力する可視光領域に分光感度をもつPバンドの前記第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンドの前記第2画像信号とに基づいて前記被写体を検査する検査処理部とを備える。
【0014】
この構成によれば、可視光画像と近赤外画像とで被写体を検査できるので、可視光検査だけでは得られない被写体の検査を行うことができる。
上記課題を解決する撮像方法は、被写体をカメラで撮像して画像信号を生成する撮像方法であって、白色光源が可視光領域に発光スペクトルを有した白色光を前記被写体に照射するとともに近赤外光源が近赤外光領域に発光スペクトルを有しかつ前記白色光源の発光スペクトル領域において発光スペクトルを持たない近赤外光を前記被写体に照射する光照射ステップと、分光透過率特性の異なったNバンド(但しNは3以上の自然数)の分光光学フィルタを有するとともに可視光領域と近赤外領域とに感度をもつイメージセンサを備えるカメラが、前記イメージセンサと前記被写体との間の光路上に配置される光学バンドパスフィルタを介して前記被写体を撮像する撮像ステップと、前記イメージセンサにより撮像された画像信号を前記Nバンドの信号ごとに分離し、分離したNバンドの画像信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号とを生成する変換ステップとを備える。この方法によれば、上記撮像装置と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被写体を同じ画角で撮像した可視光画像と近赤外画像とを簡単な構成で取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態における検査装置を備えた検査システムを示す模式図。
【
図4】(a)は汎用のカラーカメラの構成図及び波長と相対感度との関係を示すグラフ、(b)はIRカットフィルタを外したカラーカメラの構成図及び波長と相対感度との関係を示すグラフ。
【
図5】第1実施例におけるカメラの構成図、及び波長と相対感度との関係を示すグラフ。
【
図6】(a)は光学バンドパスフィルタF1の光透過率特性を示すグラフ、(b)はイメージセンサの色ごとの相対感度を示すグラフ。
【
図7】イメージセンサの色ごとの第1撮像信号に対してマトリックス演算を行って得られる第2撮像信号のバンドごとの相対感度を示すグラフ。
【
図8】(a)は白色光源と近赤外光源を合わせた発光スペクトルを示すグラフ、(b)は光学バンドパスフィルタを介したイメージセンサの色ごとの相対感度を示すグラフ。
【
図9】(a)は白色光源と近赤外光源を光源とするイメージセンサの色ごとの相対感度を示すグラフ、(b)は第2撮像信号のバンドごとの相対感度を示すグラフ。
【
図10】第2実施例におけるカメラの構成図、及び波長と相対感度との関係を示すグラフ。
【
図11】(a)は光学バンドパスフィルタF2の光透過率特性を示すグラフ、(b)はイメージセンサの色ごとの相対感度を示すグラフ。
【
図12】イメージセンサの色ごとの第1撮像信号に対してマトリックス演算を行って得られる第2撮像信号のバンドごとの相対感度を示すグラフ。
【
図13】(a)は白色光源と近赤外光源を合わせた発光スペクトルを示すグラフ、(b)は光学バンドパスフィルタを介したイメージセンサの色ごとの相対感度を示すグラフ。
【
図14】(a)は白色光源と近赤外光源を光源とするイメージセンサの色ごとの相対感度を示すグラフ、(b)は第2撮像信号のバンドごとの相対感度を示すグラフ。
【
図16】(a)は2チャンネル疑似カラー画像、(b)は近赤外画像を示す図。
【
図17】変更例における撮像装置の構成を示す模式図。
【
図18】(a),(b)は変更例における第2撮像信号のバンドごとの相対感度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、撮像装置を備えた検査システムについて、図面を参照して説明する。
図1に示す検査システム10は、被写体である物品12を撮像した画像を用いて物品12の良否を検査する。検査システム10は、物品12が搬送される搬送装置13と、搬送装置13により搬送される物品12を、カメラ30で撮像した撮像結果に基づいて物品12の良否を検査する検査装置11とを備える。検査装置11は、複数バンドのマルチスペクトル画像を生成する撮像装置15と、マルチスペクトル画像を用いて検査する検査処理部70とを備える。撮像装置15は、搬送装置13に搬送される被写体の一例である物品12を撮像するカメラ30と、カメラ30と電気的に接続された制御処理部40とを備える。制御処理部40は、少なくとも一部が、コンピュータにより構成される。コンピュータは、入力装置と表示部とを備える。本実施形態では、搬送装置13は、検査装置11の制御系と通信可能に接続されている搬送系の制御部により駆動される。なお、制御処理部40が、搬送装置13を制御してもよい。
【0018】
図1に示すように、搬送装置13は、被写体の一例である物品12を搬送するためのコンベヤ16と、コンベヤ16に載置されて搬送される物品12を検知するセンサ17と、検査装置11の検査結果から不良品と判定された場合に良品の流れるラインから物品12を排除する排出装置(図示略)とを備える。コンベヤ16は、物品12を搬送できれば、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ等でもよいし、物品12を把持して搬送したり、物品12を吊下する状態で搬送したりするものでもよい。排出装置は、物品12を押し出して排除する構成、又はエアの力で物品12を吹き飛ばして排除する構成でもよい。
【0019】
検査装置11は、複数バンドのマルチスペクトル画像を生成する撮像装置15と、複数バンドのマルチスペクトル画像を用いて物品12の良否を検査する検査処理部70と、マルチスペクトル画像及び検査結果を表示する表示部41とを備える。検査装置11は、撮像装置15が検査対象の被写体である物品12を撮像したときに出力した複数バンドの第2撮像信号S2を信号処理した画像に基づいて物品12を検査する。表示部41は、コンピュータに接続されたモニタでもよいし、操作盤に設けられたディスプレイでもよい。
【0020】
撮像装置15は、物品12に可視光領域に発光スペクトルを有する白色光を照射する白色光源20と、物品12に近赤外光領域に発光スペクトルを有する近赤外光を照射する近赤外光源25と、被写体である物品12を撮像するカメラ30と、制御処理部40とを備える。制御処理部40は、白色光源20、近赤外光源25及びカメラ30を制御する制御部50と、カメラ30が撮像した撮像画像を複数バンドのマルチスペクトル画像に変換する変換部60と、変換部60からの第2撮像信号S2に対して信号処理を行う信号処理部65とを備える。変換部60は、カメラ30が撮像して得た第1撮像信号S1を、複数バンドのマルチスペクトル画像を表す第2撮像信号S2に変換する。本例では、第2撮像信号S2は、3バンドのマルチスペクトル画像を含む。信号処理部65は、第2撮像信号S2のうち2バンドについては疑似色で表現される第1画像信号IS1に変換し、1バンドについては輝度が調整された第2画像信号IS2に変換する。
【0021】
検査処理部70は、撮像装置15を構成する変換部60及び信号処理部65が生成した2バンドの第1画像信号IS1と1バンドの第2画像信号IS2を用いて物品12の良否を検査し、検査に用いられた2バンドの第1画像IS1及び1バンドの第2画像IS2と検査結果とを表示部41に表示する。この場合、第1画像IS1及び第2画像IS2には、検査結果の強調表示などが重畳表示されてもよい。また、撮像装置15は、変換部60及び信号処理部65が生成した2バンドの第1画像IS1及び1バンドの第2画像IS2を撮像結果として表示部41に表示してもよい。
【0022】
図1~
図3に示すように、カメラ30は、光学バンドパスフィルタ31と、レンズ32と、カラーイメージセンサ33(以下、単に「イメージセンサ33」という。)とを備える。光学バンドパスフィルタ31は被写体である物品12と、イメージセンサ33との間の光路上に配置されている。
図1に示す例では、光学バンドパスフィルタ31は、被写体である物品12とレンズ32との間に配置されているが、レンズ32とイメージセンサ33との間に配置されてもよい。
【0023】
イメージセンサ33は、被写体である物品12の像を光学バンドパスフィルタ31及びレンズ32を通して受光し、その受光結果に応じた第1撮像信号S1を出力する。イメージセンサ33が出力する第1撮像信号S1は、変換部60に入力される。変換部60は、第1撮像信号S1を複数バンドのマルチスペクトル画像を表す第2撮像信号S2に変換する。
【0024】
変換部60は、イメージセンサ33により撮像された画像信号をNバンド(但しNは3以上の自然数)の信号ごとに分離し、分離したNバンドの画像信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号とを生成する。
【0025】
信号処理部65は、Nバンド(但しNは3以上の自然数)のマルチスペクトル画像を表す第2撮像信号S2のうちMバンド(但しMはN未満かつ2以上の自然数)については疑似色で表現される第1画像信号IS1に変換する。また、信号処理部65は、第2撮像信号S2のうち残りのバンド数が1バンドであれば輝度を調整し、残りのバンド数が2バンド以上であれば疑似色で表現される処理を行う。これにより、信号処理部65は、第2撮像信号S2を、第1画像信号IS1及び第2画像信号IS2に変換する。本実施形態では、Nバンドは3バンドなので、信号処理部65は、残りの1バンドについては輝度を調整することで、第2画像信号IS2に変換する。
【0026】
図1に示す検査処理部70は、変換部60及び信号処理部65が変換した第1画像信号IS1と第2画像信号IS2とを用いて被写体である物品12の良否を検査する。本例では、第1画像信号IS1は2チャンネルの可視光画像であり、第2画像信号IS2は近赤外画像である。検査処理部70は、1つの物品12に対して1つのカメラ30で同時に撮像された2チャンネルの可視光画像と近赤外画像とを用いて物品12を検査する。2チャンネルの可視光画像と近赤外画像は、1つのカメラ30で同時に撮像するため、撮像タイミング及び画角も同じである。
【0027】
本実施形態の撮像装置15では、可視光撮像と近赤外撮像を同時に実施するために、白色光源20と近赤外光源25との2種類の光源を用意している。2種類の光源20,25に関する光源特性条件として、次の3つの条件を満たす。すなわち、(a)二つの光源20,25のそれぞれの発光特性が重なっていないこと、(b)一つの光源は、可視光領域に発光特性をもつこと、(c)他の一つの光源は、近赤外光領域に発光特性をもつこと、である。なお、白色光源20は白色LEDよりなるので、白色光源20から照射される白色光は、近赤外光を含まない。
【0028】
図1に示す白色光源20は、可視光領域に発光スペクトルを有する光源である。白色光源20は、可視光波長領域VAにおいて発光スペクトルが異なる複数の発光部21~23を備える。本例の白色光源20は、第1発光部21、第2発光部22及び第3発光部23を備える。白色光源20は、発光スペクトルがそれぞれの異なる複数の発光部21~23を組み合わせて構成される。複数の発光部21~23は、例えばLEDにより構成される。本例では、第1発光部21、第2発光部22及び第3発光部23は、それぞれ赤色LED、緑色LED及び青色LEDよりなる。つまり、白色光源20は、赤色波長領域の発光スペクトルと、緑色波長領域の発光スペクトルと、青色波長領域の発光スペクトルとを有する白色光を照射する。制御部50は、複数の発光部21~23を発光させることにより、被写体である物品12に向かって白色光を照射させる。なお、白色光源20は、単体の発光部であってもよい。
【0029】
近赤外光源25は、近赤外波長領域NIRAに発光スペクトルを有し、かつ白色光源20の発光スペクトル領域において発光スペクトルを持たない近赤外光を照射する(
図8参照)。
図1に示す例では、近赤外光源25は、第1発光部26及び第2発光部27を備える。近赤外光源25は、近赤外波長領域NIRAに異なる発光スペクトルをそれぞれ有する複数種の発光部26,27を組み合わせて構成される。複数種の発光部26,27は、例えばLEDにより構成される。なお、近赤外光源25は、近赤外光領域に発光スペクトルを有し、かつ白色光源20の発光スペクトル領域に発光スペクトルを持たない一種類のLEDで構成してもよい。
【0030】
白色光源20と近赤外光源25とを合わせた発光スペクトルLS(
図8参照)は、光学バンドパスフィルタ31の透過波長域において複数のピークを有する。ここで、
図6(a)に示すグラフが、光学バンドパスフィルタ31(F1)の透過波長域を示す。また、
図11(a)に示すグラフが、光学バンドパスフィルタ31(F2)の透過波長域を示す。
図8(a)に示すグラフが、白色光源20と近赤外光源25とを合わせた発光スペクトルLSを示す。
図8(a)に示すグラフから分かるように、白色光源20と近赤外光源25とを合わせた発光スペクトルLSは、約430~720nmの可視光波長領域に一部重なる2つのピークを有し、約880~1000nmの近赤外波長領域に1つのピークを有する。また、
図6(a)のグラフから分かるように、光学バンドパスフィルタF1の透過波長域は、約510~570nmの可視光波長領域と、約600~720nmの可視光波長領域と、約850~1000nm以上の近赤外波長領域にある。よって、白色光源20と前記近赤外光源25とを合わせた発光スペクトルLSは、光学バンドパスフィルタ31の透過波長域のうち、約510~570nmの可視光波長領域に白色光源20の発光スペクトルのピークを有し、約850~1000nm以上の範囲の透過波長域に近赤外光源25の発光スペクトルのピークを有する。
【0031】
図1に示す撮像装置15は、画素単位で分光透過率特性の異なるNバンド(但し、Nは3以上の自然数)をもつ分光光学フィルタの一例としてのカラーフィルタ34(
図5参照)を有するとともに可視光領域と近赤外領域とに感度をもつイメージセンサ33を備える。カラーフィルタ34は、複数の異なる透過率特性をもつRフィルタ34R、Gフィルタ34G、Bフィルタ34Bを画素単位で配置して構成される。
【0032】
変換部60は、イメージセンサ33により撮像された撮像信号S1をNバンドの信号ごとに分離する。そして、変換部60は、分離したNバンドの画像信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号MS1と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号MS2とを生成する。
【0033】
撮像装置15は、
図2に示す第1構成と、
図3に示す第2構成との一方を採用する。
図2に示すように、白色光源20は、被写体である物品12の表面を照射する。カメラ30は、物品の正面に照射された白色光のうち反射された可視光を撮像する。また、近赤外光源25は、カメラ30に対して被写体である物品12を挟んだ反対側の位置に配置されている。カメラ30は、近赤外光源25から物品12の背面から照射された近赤外光が物品12を透過した透過光を撮像する。つまり、カメラ30は、物品の表面を可視光が反射した像である可視光画像と、物品12を近赤外光が透過した像である近赤外画像(透過画像)とを撮像する。なお、近赤外光源25の物品12と対向する表面は、所定色の単色を呈しており、物品12を撮像するときの背景色となる。
【0034】
図3に示すように、被写体である物品12と近赤外光源25との間に光学フィルタ部材29が配置されている。近赤外光源25の表面が、所定色の単色であっても、物品12を撮像するときの背景色となるその単色の色を選択することはできない。そのため、物品12と近赤外光源25との間に、光学フィルタ部材29を配置している。光学フィルタ部材29の物品12と対向する表面は、所望の背景色となる単色を呈している。このため、物品12が背景から浮き出た検査に適した画像を撮像できる。
【0035】
光学フィルタ部材29は、白色光源20から表面に照射された白色光のうち可視光領域の少なくとも特定波長の光を反射するか可視光領域の光を吸収するとともに、表面と反対側の面である裏面に対して近赤外光源25から照射された近赤外を透過する。
【0036】
光学フィルタ部材29は、裏面からの少なくとも赤外光は透過して、表面からの白色光源20による照明光では、特定の波長の光を反射する特性を持つ光学フィルタ、あるいはフィルムよりなる。光学フィルタ部材29は、例えば、可視光カット部材である。可視光カット部材よりなる光学フィルタ部材29の具体的な構成としては、可視光カットフィルムのみの構成、可視光カットフィルム及びフィルムの構成などが挙げられる。
【0037】
光学フィルタ部材29は、可視光の透過率は低くその反射率が90~100%の範囲にあり、赤外光の透過率が90~100%の範囲にある。
光学フィルタ部材29は、白色光源20からの白色光のうち可視光領域の特定波長の可視光のみを反射し、照明用の光源や照明の治具が、被写体である物品12の背景に映り込まないように、背景を特定色にしている。特定色としては、赤色、青色、緑色などの単色が挙げられる。また、背景の特定色は、可視光の全波長の光を反射する白色でもよいし、全波長を反射しない(吸収する)黒色でもよい。
【0038】
また、光学フィルタ部材29の表面は、少なくとも特定波長の光を反射すればよい。例えば、光学フィルタ部材29の表面は白色でもよい。つまり、光学フィルタ部材29の表面は、白色光源20が照射する白色光のうち可視光領域の全波長の光を反射してもよい。また、光学フィルタ部材29の表面は、黒色でもよい。つまり、光学フィルタ部材29の表面は、可視光領域の全波長の光を吸収する特性を有してもよい。
【0039】
次に、
図4(a),(b)を参照して、カメラ30が備えるイメージセンサ33の構成について説明する。
図4(a)は、RGB画像を撮像する汎用のカラーカメラ200である。カラーカメラ200は、鏡筒30aに組み付けられたレンズ32と、近赤外光を遮断する近赤外光カットフィルタ201(以下、IRカットフィルタ201ともいう。)と、イメージセンサ33とを備える。イメージセンサ33は、Rフィルタ34Rを透過したレッド光を受光し受光量に応じたR撮像信号を出力するR受光素子33Rと、Gフィルタ34Gを透過したグリーン光を受光し受光量に応じたG撮像信号を出力するG受光素子33Gと、Bフィルタ34Bを透過したブルー光を受光し受光量に応じたB撮像信号を出力するB受光素子33Bとを備える。イメージセンサ33において、R受光素子33R、G受光素子33G及びB受光素子33Bは、所定の配列で配置されている。
【0040】
このイメージセンサ33は、近赤外光がカットされたRGB撮像特性を有する。R受光素子33R、G受光素子33G及びB受光素子33Bは、
図4(a)のグラフで示されるそれぞれの波長帯の光に感度を有する。このグラフは、横軸が波長を示し、縦軸が相対感度を示す。R受光素子33Rは、
図4(a)におけるグラフに示されるレッド(R)の波長帯の光に高い感度を有する。G受光素子33Gは、
図4(a)におけるグラフに示されるグリーン(G)の波長帯の光に高い感度を有する。B受光素子33Bは、
図4(a)におけるグラフに示されるブルー(B)の波長帯の光に高い感度を有する。
【0041】
図4(b)は、
図4(a)に示す汎用のカラーカメラ200からIRカットフィルタ201を除去したカラーカメラ250である。カラーカメラ250に内蔵されるイメージセンサ33は、近赤外光がカットされず、近赤外光の波長帯域を含むRGB撮像特性を有する。R受光素子33R、G受光素子33G及びB受光素子33Bは、
図4(b)におけるグラフに示される可視光波長領域VA及び近赤外波長領域NIRA(特に近赤外波長領域)の光に感度を有する。
【0042】
図5は、本実施形態のカメラ30の模式的な構成を示す。
図5に示すように、カメラ30は、イメージセンサ33と被写体である物品12との間の光路上に光学バンドパスフィルタ31を備える。カメラ30は、
図4(a)に示すIRカットフィルタ201を備えていない。イメージセンサ33は、
図4(a)に示す汎用のカラーカメラ200のものと同様の構成である。
【0043】
イメージセンサ33そのものは、
図4(b)のグラフに示すように、可視光波長領域VAと近赤外波長領域NIRAに感度を有する。カメラ30は、赤外カットフィルタを除去した汎用カラーカメラである。詳しくは、カメラ30は、例えば、
図4(a)に示す汎用のカラーカメラ200からIRカットフィルタ201を除去したうえで、光学バンドパスフィルタ31を光路上に取り付けて構成される。なお、カメラ30は、汎用のカラーカメラ200をベースにする構成に限定されない。
【0044】
イメージセンサ33を構成するカラーフィルタ34は、RGB原色フィルタであるが、Mg,Ye,Cyの補色フィルタでもよい。また、RGBフィルタ又は補色フィルタに加え近赤外光を選択的に透過するNIRフィルタが混在してもよい。さらに、RGBフィルタが、R,G1,G2,Bフィルタであったり、カラーフィルタ34が補色フィルタと原色フィルタを組み合わせた構成であったりしてもよい。さらに、組み合せるフィルタは、3種類以上であってもよい。
【0045】
光学バンドパスフィルタ31は、可視光波長領域VA内で1領域または複数領域の遮断領域を有するとともに近赤外波長領域NIRA内で1領域または複数領域の透過領域を有する分光透過率特性をもつ。このような分光透過率特性を得るため、光学バンドパスフィルタ31は、1枚か、
図5に示すように2枚の光学バンドパスフィルタ31A,31Bにより構成される。
図5に示す光学バンドパスフィルタ31は、近赤外波長領域NIRA内で1領域または複数領域の透過領域を有するので、被写体である物品12から光学バンドパスフィルタ31を透過した非可視光波長の光は、
図5示すイメージセンサ33に受光される。本実施形態の光学バンドパスフィルタ31は、少なくとも近赤外波長領域NIRA内の一部の波長帯の光を透過する。近赤外波長領域NIRAは、波長が約800~約2500nmの領域である。なお、1つの光学バンドパスフィルタ31を3枚以上で構成してもよいが、光透過率が低下して白色光源20の光量を高める必要があるので、省電力の観点から数は少ない方が好ましい。
【0046】
光学バンドパスフィルタ31は、検査対象である被写体において識別する物体の分光反射率特性の違いに応じて、検査に適した分光透過率特性を有するものが使用される。本実施形態では、光学バンドパスフィルタ31が光学バンドパスフィルタF1(
図6(a))である第1実施例の撮像装置15と、光学バンドパスフィルタ31が光学バンドパスフィルタF2(
図11(a))である第2実施例の撮像装置15とを例示する。
【0047】
以下、第1実施例及び第2実施例について説明する。
(第1実施例)
まず、第1実施例について、
図5~
図9を参照して説明する。
図6(a)に示す光学バンドパスフィルタF1は、複数の波長帯に透過率が10%以下となる遮断領域を有するとともに、複数の波長帯に透過率が70%以上となる透過領域を有する分光透過率特性をもつ。換言すれば、光学バンドパスフィルタF1は、可視光波長領域VA内で複数の遮断領域を有するとともに、近赤外波長領域NIRAに透過領域を有する分光透過率特性をもつ。
【0048】
よって、イメージセンサ33そのものが、
図6(b)に示すRGBの3バンドの相対感度を有していても、
図6(a)に示す光学バンドパスフィルタF1の分光透過率特性により、イメージセンサ33は、
図5のグラフに示す実質的な相対感度を有する。
【0049】
図5に示すイメージセンサ33を構成するR受光素子33Rは、同図のグラフにRで示されバンドの感度を有し、G受光素子33GはGで示されるバンドの感度を有し、B受光素子33BはBで示されるバンドの感度を有する。各受光素子33R,33G,33Bは、光学バンドパスフィルタF1を透過した光のうち、カラーフィルタ34の各フィルタ34R,34G,34Bを透過した光をそれぞれの感度に応じて受光する。イメージセンサ33は、各受光素子33R,33G,33Bの受光量に応じたR値、G値、B値をもつ各撮像信号が、所定の配列パターンの順番でシリアルに並ぶ第1撮像信号S1を出力する。
【0050】
図7は、第1撮像信号S1を変換部60により変換して得られる第2撮像信号S2の相対感度特性を示す。発光スペクトルが全波長領域において相対値=1となる理想光源を照射したときの第2撮像信号S2の相対感度特性に相当する。
図7に示す変換部60は、
図5に示すイメージセンサ33から入力した第1撮像信号S1のRGB値を、XYZ値に変換することで第2撮像信号S2を生成する。つまり、変換部60は、
図5のグラフで示される3バンドのRGB信号を、RGB信号とは異なる波長帯に感度をもつ3バンドのXYZ信号(
図7)に変換する。
図7に示すグラフは、第2撮像信号S2を構成するXYZ値で表される3バンドを示す。グラフの横軸が波長を示し、縦軸が相対感度を示す。
【0051】
図7に示すように、第2撮像信号S2を構成する3バンドのXYZのうち1つのバンドのピークが、近赤外波長領域NIRAにある。他の2つのバンドのピークが、可視光波長領域VAにある。詳しくは、
図7のグラフに示されるように、Xのバンドは約890nmにピークをもち、Yのバンドは約620nmにピークをもち、Zのバンドは約550nmにピークをもつ。XYZの3バンドで示される相対感度の各ピークは、それぞれのピークの波長域で他の2つのバンドの相対感度の値よりもそれぞれ高くなっており、XYZの各バンドは分離されている。しかし、Xのバンドは近赤外波長領域NIRAにピークをもつものの、そのピークが小さい。
【0052】
図8(a)に示す白色光源20と近赤外光源25とを合わせた発光スペクトルの光が入射した場合、イメージセンサ33は
図8(a)に示す発光強度特性と
図8(b)に示す第1撮像信号S1の相対感度特性とが合成された結果として、イメージセンサ33は第1撮像信号S1として
図9(a)のグラフで示される3バンドのRGB信号を出力する。変換部60は、
図9(a)のグラフで示される3バンドのRGB信号を、RGB信号とは異なる波長帯に感度をもつ
図9(b)に示す3バンドのXYZ信号に変換する。
【0053】
図9(b)のグラフに示されるように、Xのバンドは約930nmにピークをもち、Yのバンドは約620nmにピークをもち、Zのバンドは約550nmにピークをもつ。XYZの3バンドで示される感度の各ピークは、他の2つのバンドの感度よりもそれぞれ高くなっており、XYZの各バンドは分離されている。YとZの2バンドは可視光のバンドであり、Xのバンドは近赤外光のバンドである。可視光の2バンドY,Zと近赤外光の1バンドXとは分離されている。
【0054】
(第2実施例)
次に、第2実施例について、
図10~
図14を参照して説明する。
図11(a)に示す光学バンドパスフィルタF2は、可視光波長領域VA内で波長約520nm以下の領域に遮断領域を有するとともに、波長約520nmを超える領域に透過領域を有する分光透過率特性をもつ。近赤外波長領域NIRA内では図示される全域が透過領域となっている。光学バンドパスフィルタF2は、少なくとも近赤外波長領域が透過領域となっている。
【0055】
図10に示すカメラ30では、
図11(a)に示す分光透過率特性を有する光学バンドパスフィルタF2によって、被写体である物品12からの光のうち波長約520nm以下の光が遮断され、波長約520nmを超える光が透過する。よって、イメージセンサ33そのものが、
図11(b)に示す感度を有していても、イメージセンサ33は、光学バンドパスフィルタ31により遮断された波長約520nm以下の光が受光されない。よって、
図10のグラフに示すように、イメージセンサ33は、約520nmを超える波長領域に実質的な感度を有する。つまり、イメージセンサ33は、波長約520nm以下の領域で感度をもたず、波長約520nmを超える領域に感度を有する。
【0056】
図5に示すイメージセンサ33を構成するR受光素子33Rは、同図のグラフにRで示されバンドの感度を有し、G受光素子33GはGで示されるバンドの感度を有し、B受光素子33BはBで示されるバンドの感度を有する。各受光素子33R,33G,33Bは、光学バンドパスフィルタF2を透過した光のうち、カラーフィルタ34の各フィルタ34R,34G,34Bを透過した光をそれぞれの感度に応じて受光する。イメージセンサ33は、各受光素子33R,33G,33Bの受光量に応じたR値、G値、B値をもつ各撮像信号が、所定の配列パターンの順番でシリアルに並ぶ第1撮像信号S1を出力する。
【0057】
図12は、第1撮像信号S1を変換部60により変換して得られる第2撮像信号S2の相対感度特性を示す。
図12に示す変換部60は、
図10に示すイメージセンサ33から入力した第1撮像信号S1のRGB値をXYZ値に変換することで第2撮像信号S2を生成する。すなわち、変換部60は、
図10のグラフで示される3バンドのRGB信号を、RGB信号とは異なる波長帯に感度をもつ3バンドのXYZ信号に変換する。
図12に示すグラフは、第2撮像信号S2を構成するXYZ値で表される3バンドを示す。グラフの横軸が波長を示し、縦軸が相対感度を示す。
【0058】
図12に示すように、第2撮像信号S2は、3バンドのうち少なくとも1つのバンドのピークが、近赤外波長領域NIRAにある。特に本例では、1つのバンドのピークが、近赤外波長領域NIRAにある。詳しくは、
図12のグラフに示されるように、Xのバンドは約830nmにピークをもち、Yのバンドは約630nmにピークをもち、Zのバンドは約550nmにピークをもつ。XYZの3バンドで示される感度の各ピークは、ピークの波長の位置で他の2つのバンドの感度よりもそれぞれ高くなっており、XYZの各バンドは分離されている。Xのバンドが近赤外領域にピークをもつものの、YとZのバンドもそれぞれ一部が近赤外波長領域NIRAに感度をもつ。この場合、第2撮像信号S2から、可視光画像と近赤外画像とに分離できない。つまり、可視光画像の中に近赤外画像が一部混在し、近赤外画像の中に可視光画像が一部混在する。このような画像は、可視光画像と近赤外画像とを分離して検査する用途には適していない。
【0059】
そこで、この第2実施例においても、
図13(a)に示す発光スペクトルを有する、白色光源20(
図1)と近赤外光源25(
図1)とを光源とする。これにより、
図13(a)に示す発光スペクトルをもつ入射光と、イメージセンサ33の
図13(b)のグラフで示されるRGBの感度とにより、イメージセンサ33は第1撮像信号S1として
図14(a)のグラフで示される3バンドのRGB信号を出力する。変換部60は、
図14(a)のグラフで示される3バンドのRGB信号を、RGB信号とは異なる波長帯に感度をもつ
図14(b)に示す3バンドのXYZ信号に変換する。
【0060】
図14(b)のグラフに示されるように、Xのバンドは約860nmにピークをもち、Yのバンドは約620nmにピークをもち、Zのバンドは約550nmにピークをもつ。XYZの3バンドで示される感度の各ピークは、そのピークの波長の位置で他の2つのバンドの感度よりもそれぞれ高くなっており、XYZの各バンドは分離されている。Xのバンドは近赤外領域にピークをもつバンドであり、YとZの2バンドは可視光領域にピークをもつバンドである。可視光領域の2バンドY,Zと近赤外領域の1バンドXとは分離されている。このため、撮像装置から出力される可視光画像信号である第1画像信号MS1と、近赤外画像信号である第2画像信号MS2とに双方の波長帯域が重ならないように分離される。
【0061】
次に、
図15を参照して、変換部60及び検査処理部70の構成を説明する。
図15に示すように、光学バンドパスフィルタ31及びレンズ32を通して物品12の像がイメージセンサ33の撮像面に結像される。イメージセンサ33は物品12の撮像結果として第1撮像信号S1を変換部60に出力する。第1撮像信号S1は、各受光素子33R,33G,33BからのR撮像信号(レッド信号)、G撮像信号(グリーン信号)及びB撮像信号(ブルー信号)を含むシリアル信号である。なお、R撮像信号、G撮像信号及びB撮像信号を、単にR信号、G信号及びB信号ともいう。
【0062】
図15に示すように、変換部60は、RGB分離部61、XYZ変換部62、増幅部63及び不図示の高輝度色抑圧部を備える。RGB分離部61は、イメージセンサ33から入力した第1撮像信号S1を、R撮像信号、G撮像信号及びB撮像信号に分離する。
【0063】
XYZ変換部62は、RGB分離部61から入力したR信号、G信号及びB信号を、X信号、Y信号及びZ信号に変換する。詳しくは、XYZ変換部62は、R信号、G信号及びB信号の信号値であるRGB値に対してマトリックス演算を施すことにより、X信号、Y信号及びZ信号に変換する。XYZ変換部62には、マトリックス係数が与えられる。ここで、マトリックス演算に用いられるマトリックスは、3×3マトリックスである。XYZ変換部62には、3×3マトリックスの係数が与えられる。
【0064】
XYZ変換部62は、マトリックス係数を用いて特定される3×3マトリックスを、第1撮像信号S1のRGB値に対して乗算するマトリックス演算を行い、第1撮像信号S1のRGBと異なる分光特性を持つXYZで表される第2撮像信号S2に変換する。マトリックス係数は、第1撮像信号S1のRGBを、第2撮像信号S2のXYZに複数バンドに分光させるための係数である。
【0065】
ここで、第1撮像信号S1であるRGB信号を、第2撮像信号S2であるXYZ信号に変換する計算式は、下記の(1)式で与えられる。
【0066】
【数1】
ここで、a1~a3,b1~b3,c1~c3はマトリックス係数であり、Gx,Gy,Gzは増幅率である。
【0067】
XYZ変換部62は、上記(1)式のうち、RGB値に対して3×3マトリックスを乗算する演算処理を行う。XYZ変換部62は、増幅率が乗算される前のXYZ値を増幅部63に出力する。
【0068】
ここで、イメージセンサ33におけるカラーフィルタ34の色数をn(但し、nは3以上の自然数)とする。n個の撮像信号間で行うマトリックス演算は、m×nマトリックス演算(但し、mは2以上の自然数)である。m×nマトリックスには、第1撮像信号S1の色ごとの撮像信号を、nバンドの波長領域に分離可能なマトリックス係数が設定されている。本例では、第1撮像信号S1の色ごとの撮像信号は、R信号、G信号、B信号であり、色数nは「3」である(n=3)。また、第2撮像信号S2は、X信号、Y信号、Z信号の3バンドであり、m=3である。つまり、m×nマトリックスは、3×3マトリックスである。そして、3×3マトリックスには、3バンドの分離性を高くできるマトリックス係数が設定されている。
【0069】
例えば、
図6(a)に示す透過特性を有する光学バンドパスフィルタF1が用いられる場合、
図5から
図7への変換のマトリックス演算、及び
図9(a)から
図9(b)への変換のマトリックス演算に、次の3×3マトリックスの係数が与えられる。すなわち、3×3マトリックスの係数として、a1=0、a2=-0.13、a3=1、b1=1、b2=0.1、b3=-1.15、c1=-0.2、c2=1、c3=-0.7が与えられる。
【0070】
なお、m×n(但しm≠n)マトリックス演算でもよい。色数「3」である場合、3×3マトリックス演算に限定されず、3×4マトリックス演算を行って4バンドのマルチスペクトル画像を生成したり、3×2マトリックス演算を行って色数nよりも少ないバンド数のマルチスペクトル画像を生成したりしてもよい。
【0071】
増幅部63は、XYZ変換部62からのXYZ値に、与えられたX増幅率Gx,Y増幅率Gy,Z増幅率Gzをそれぞれ乗算する。増幅部63は、XYZ変換後のX値にX増幅率Gxを乗算し、Y値にY増幅率Gyを乗算し、Z値にZ増幅率Gzを乗算する。つまり、増幅部63は、上記(1)式において、増幅率Gx,Gy,Gzをマトリックス係数とする1×3マトリックスを乗算する演算を行うことで、XYZのバンドを正規化する。増幅部63は、正規化されたXYZ値を、撮像信号S2として出力する。なお、正規化の処理は、1つの信号レベルを固定して他の2個の信号レベルを調整する方法でもよい。例えば、Y信号を固定とし、X信号とZ信号を調整してもよい。
【0072】
こうして、変換部60は、入力した第1撮像信号S1に対して、RGB分離処理、XYZ変換処理及び正規化処理を順次行うことで、第2撮像信号S2を出力する。変換部60は、物品12が撮像された3バンドのマルチスペクトル画像を、信号処理部65に出力する。換言すれば、変換部60は、第1撮像信号S1を第2撮像信号S2に変換する。第1撮像信号S1はNバンドの画像信号である。第2撮像信号S2はNバンドの画像信号である。つまり、変換部60は、Nバンドの画像信号をNバンドの画像信号に変換する。本例では、3バンドのRGB画像を、3バンドのXYZ画像に変換する。こうして3バンドのマルチスペクトル画像を生成する。つまり、変換部60は、第1撮像信号S1から、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号MS1と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号MS2とを生成する。
【0073】
撮像装置15は、PバンドとQバンドのうち複数バンドである少なくとも一方の画像信号については複数バンドの画像信号を基に疑似色の複数チャンネルのカラー画像信号を生成する信号処理部65を備える。信号処理部65は、第2撮像信号S2を構成するNバンド(3バンド)のXYZ画像を、PバンドとQバンド(但しQはQ=N-P)に分けて入力する。第2撮像信号S2が、3バンドである場合、信号処理部65は、2バンドの第1画像信号MS1と1バンドの第2画像信号MS2とに分けて入力する。2バンドの第1画像信号MS1は可視光画像信号であり、1バンドの第2画像信号MS2は近赤外画像である。
【0074】
信号処理部65は、複数バンドであるPバンドの第1画像信号MS1を疑似カラー画像信号に変換する疑似カラー信号処理部66と、1バンドの第2画像信号MS2の輝度値を調整する輝度信号処理部67とを有する。疑似カラー信号処理部66は、第1画像信号MS1を疑似カラーで表現される第1画像信号IS1を検査処理部70に出力する。輝度信号処理部67は、第2画像信号MS2の輝度値が調整された後の第2画像信号IS2を検査処理部70に出力する。輝度信号処理部67では、ガンマ補正などの非線形処理による輝度調整や、輪郭強調処理などを必要に応じて実施してもよい。
【0075】
図16(a),(b)は、撮像装置15が撮像した画像を示す。
図16の例では、画像中の物品は2本の容器である。左側の容器は、半透明の合成樹脂製の容器であり、液体が収容されている。また、右側の容器は、透明ガラス容器に濃色(例えば黒色)の液体が収容されている。
図16(a)に示すように、第1画像信号IS1は、2チャンネル疑似カラー画像の信号である。このため、表示部41には、第1画像が2チャンネルの疑似カラーで表示される。検査員は表示部41の第1画像を見て色の違いにより視覚的に欠点等を視認できるので、物品12を検査し易い。また、
図16(b)に示すように、第2画像信号IS2は、物品12を近赤外光が透過した透過画像の信号である。表示部41には、第2画像が、同図に示すように物品12の透過画像として表示される。このため、容器の内容物や容器中の液体に混入した異物を検査できる。右側の容器には液体中に針金を混入させているが、
図16(a)の可視光画像では視認できない針金等の異物を、
図16(b)に示す近赤外画像では視認することができる。
【0076】
次に、検査処理部70について説明する。
検査処理部70は、撮像装置15が出力する可視光領域に分光感度をもつPバンドの第1画像信号IS1と、近赤外領域に分光感度をもつQバンドの第2画像信号IS2とに基づいて被写体である物品12を検査する。
【0077】
検査処理部70は、可視光検査処理部71と、近赤外検査処理部72と、混合検査処理部73とを備える。可視光検査処理部71には第1画像信号IS1が入力され、近赤外検査処理部72には第2画像信号IS2が入力され、さらに混合検査処理部73には、第1画像信号IS1と第2画像信号IS2とが入力される。なお、混合検査処理部73に入力される第1画像信号IS1と第2画像信号IS2は、2バンドの可視光画像信号と1バンドの近赤外画像信号である。
【0078】
可視光検査処理部71は、可視光画像である第1画像信号IS1を基に物品12を検査する。近赤外検査処理部72は、近赤外画像である第2画像信号IS2を基に物品12を検査する。混合検査処理部73は、可視光の像と近赤外光との像である、第1画像信号IS1と第2画像信号IS2の双方を基に物品12を検査する。例えば、可視光検査処理部71は、疑似色画像信号である第1画像信号IS1に対して疑似色より色座標範囲を指定して特定色領域を抽出し、その特定色領域のサイズ及び数に基づき物品12の良否を判定する。近赤外検査処理部72は、輝度画像信号である第2画像信号IS2を輝度レベルの上下限閾値判定により二値化し、二値化の結果、抽出された検査対象領域のサイズ及び数に基づき、物品12の良否を判定する。混合検査処理部73は、疑似色画像信号である第1画像信号IS1により別途抽出した特定色領域と、輝度画像信号である第2画像信号IS2より別途抽出した閾値領域とのAND演算結果として得られる共通領域のサイズ及び数に基づき、物品12の良否を判定する。
【0079】
次に、撮像装置15及び検査装置11の作用について説明する。
図1に示すように、搬送装置13のコンベヤ16によって、被写体である物品12が搬送される。センサ17が物品12を検知すると、トリガー信号が制御部50に入力される。トリガー信号を入力した制御部50は、発光指令信号を出力することで白色光源20と近赤外光源25とを発光させるとともに、イメージセンサ33に撮像指令信号を出力することでイメージセンサ33に撮像を行わせる。
【0080】
カメラ30には、物品12の表面で反射した可視光と、物品12を透過した近赤外光とが、光学バンドパスフィルタ31およびレンズ32を通過して入射される。カメラ30の内のイメージセンサ33の撮像面には、物品12の表面で反射した可視光の像と、物品12を透過した近赤外光の像とが結像する。イメージセンサ33は、物品12に対して光学バンドパスフィルタ31を通して1フレームの撮像を行う。イメージセンサ33は、第1撮像信号S1を変換部60に出力する。
【0081】
変換部60では、第1撮像信号S1をRGB分離し、分離したRGB値に3×3マトリックスを乗算することで、RGB値をXYZ値に変換する。このXYZ値に増幅率Gx,Gy,Gzを乗算することで、正規化されたXYZ値が生成される。こうして、変換部60から3バンドのマルチスペクトル画像を含む第2撮像信号S2が出力される。第2撮像信号S2は信号処理部65へ出力される。換言すれば、変換部60は、第1撮像信号S1から、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号MS1と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号MS2とを生成する。
【0082】
信号処理部65では、PバンドとQバンドのうち複数バンドである少なくとも一方の画像信号については複数バンドの画像信号を基に疑似色の複数チャンネルのカラー画像信号を生成する。信号処理部65は、第2撮像信号S2を構成するNバンド(3バンド)のXYZ画像を、PバンドとQバンド(但しQはQ=N-P)に分けて入力する。第2撮像信号S2が、3バンドである場合、2バンドの第1画像信号MS1は疑似カラー信号処理部66に入力され、1バンドの第2画像信号MS2は輝度信号処理部67に入力される。本例では、第1画像信号MS1は可視光画像信号であり、第2画像信号MS2は近赤外画像である。
【0083】
疑似カラー信号処理部66は、2バンドの第1画像信号MS1を疑似カラー画像信号に変換する。また、輝度信号処理部67は、1バンドの第2画像信号MS2の輝度値を調整する。この結果、信号処理部65から検査処理部70へ第1画像信号IS1及び第2画像信号IS2が出力される。第1画像信号IS1は、
図16(a)に示す2チャンネル疑似カラー画像の信号である。第2画像信号IS2は、
図16(b)に示す近赤外画像の信号である。
【0084】
検査処理部70では、可視光検査処理部71が、可視光画像である第1画像信号IS1を基に物品12を検査する。また、近赤外検査処理部72が、近赤外画像である第2画像信号IS2を基に物品12を検査する。また、混合検査処理部73では、第1画像信号IS1と第2画像信号IS2の両信号を基にして物品12を検査する。
【0085】
各検査処理部71~73は、物品12の良否を判定する。検査結果から物品12が不良品である場合、排出装置を駆動して不良品の物品12をコンベヤ16上から排除する。
本実施形態では、撮像方法が採用される。撮像方法は、照射ステップと撮像ステップと変換ステップとを備える。撮像ステップでは、白色光源20が可視光領域に発光スペクトルを有した白色光を被写体としての物品12に照射するとともに近赤外光源が近赤外光領域に発光スペクトルを有しかつ白色光源20の発光スペクトル領域において発光スペクトルをもたない近赤外光を被写体としての物品12に照射する。撮像ステップでは、分光透過率特性の異なったNバンド(但しNは3以上の自然数)の分光光学フィルタの一例としてのカラーフィルタ34を有するとともに可視光領域と近赤外領域とに感度をもつイメージセンサ33を備えるカメラ30が、イメージセンサ33と物品12との間の光路上に配置される光学バンドパスフィルタ31(F1,F2)を介して物品12を撮像する。変換ステップでは、イメージセンサ33により撮像された画像信号をNバンドの信号ごとに分離し、分離したNバンドの画像信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつPバンド(但しPはN未満の自然数)の第1画像信号MS1と、近赤外領域に分光感度をもつQバンド(但しQはQ=N-P)の第2画像信号MS2とを生成する。
【0086】
以上、詳述した第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)分光透過率特性の異なるNバンド(但しNは3以上の自然数)の分光光学フィルタを有するとともに可視光領域と近赤外領域とに感度をもつイメージセンサ33を備えるカメラ30と、イメージセンサ33と被写体としての物品12との間の光路上に配置される光学バンドパスフィルタ31とを備える。物品12に可視光領域に発光スペクトルを有した白色光を照射する白色光源20と、物品12に近赤外光領域に発光スペクトルを有し、かつ白色光源20の発光スペクトル領域において発光スペクトルを持たない近赤外光を照射する近赤外光源25とを備える。また、撮像装置15は、イメージセンサ33により撮像された画像信号をNバンドの信号ごとに分離し、分離したNバンドの画像信号に対してマトリックス演算を行うことにより、可視光領域に分光感度をもつPバンドの第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンドの第2画像信号とを生成する変換部60を備える。よって、物品12を同じ画角で撮像した可視光画像と近赤外画像とを簡単な構成で同時に1台のカメラ30で取得できる。
【0087】
(2)カメラ30は、赤外光カットフィルタを除去した汎用カラーカメラである。よって、カメラ30は汎用カラーカメラを利用するので、撮像装置15の構成が簡単な構成で済む。ところで、通常、カラー画像信号や赤外光画像信号、あるいは両者を合成した混在画像信号として出力する撮像装置では、可視光画像及び近赤外画像を撮像可能な特殊撮像素子や特殊なカメラを用いる。これに対して、本実施形態の撮像装置15によれば、カメラ30は汎用カラーカメラを利用するので、特殊撮像素子や特殊なカメラを用いなくて済む。また、被写体の画像認識・検査において、可視光でのカラー画像と近赤外での白黒画像での画像処理が必要となった場合、通常、カラーカメラと白色照明と近赤外白黒カメラと近赤外照明の2セットの撮像システムが必要となる。2台カメラ構成の場合、各カメラから得られる画像は、被写体の位置が異なるため、2台のカメラからの画像を共有して処理を行うためには、位置・画角補正などの処理が必要となる。これに対して、本実施形態の撮像装置15によれば、1台のカメラ30で可視光画像と近赤外画像とを取得するため、位置・画角補正などの処理が不要となるこのため、撮像装置15が簡単な構成で済むことに加え、処理も比較簡単で済む。また、可視光撮像と近赤外撮像とが可能な特殊撮像素子や特殊カメラを備える従来の撮像装置は、高価なうえ仕様選定の自由度が極めて少ない。これに対して、本実施形態の撮像装置15は、汎用カラーカメラを利用するので、撮像装置15が比較的安価なうえ仕様選定の自由度が高い。
【0088】
(3)PバンドとQバンドのうち複数バンドである少なくとも一方の画像信号については複数バンドの画像信号を基に疑似色の複数チャンネルのカラー画像信号を生成する。よって、複数バンドの画像信号については疑似色の複数チャンネルのカラー画像で表示できるので、例えば、検査員が画像を見て行う検査や検査結果の確認がし易い。
【0089】
(4)白色光源20は、可視光波長域の異なる複数の可視光光源を組み合わせて構成され、あるいは、近赤外光源25は、赤外光波長域の異なる複数の近赤外光源25を組み合わせて構成される。白色光源20と近赤外光源25とを合わせた発光スペクトルは、光学バンドパスフィルタ31の透過波長域において複数のピークを有する。よって、可視光画像と近赤外画像とを分離し易くなり、検査等に適した画像を提供できる。
【0090】
(5)物品12においてカメラ30に対向する側の面を正面、正面と反対側の面を背面とすると、白色光源20は物品12の正面を白色光で照明し、近赤外光源25は物品12の背面から近赤外光を照射する。カメラ30は、白色光が物品12の表面で反射した反射光と、物品12を透過した近赤外光とを受光する。よって、撮像装置15により、物品12の表面の画像と、近赤外光によって物品12を透過した透過光画像とを取得することができる。
【0091】
(6)近赤外光源25と物品12との間には、物品12の背景となる面を表面とする光学フィルタ部材29を配置する。光学フィルタ部材29は、白色光源20から表面に照射された白色光のうち可視光領域の少なくとも特定波長の光を反射するか可視光領域の光を吸収するとともに、表面と反対側の面である裏面に近赤外光源25から照射された近赤外を透過する。よって、物品が撮像されるときの背景色を選択できるので、検査等に適した可視光画像と近赤外画像とを提供できる。
【0092】
(7)検査装置11は、撮像装置15と、撮像装置15が出力する可視光領域に分光感度をもつPバンドの第1画像信号と、近赤外領域に分光感度をもつQバンドの第2画像信号とに基づいて物品12を検査する検査処理部を備える。よって、可視光画像と近赤外画像とで物品12を検査できるので、可視光画像で検査する可視光検査だけでは得られない物品12の検査を行うことができる。
【0093】
(8)物品12をカメラ30で撮像して画像信号を生成する撮像方法は、光照射ステップと撮像ステップと変換ステップとを備えるので、上記(1)に記載の撮像装置15と同様の作用効果が得られる。
【0094】
実施形態は、上記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・撮像装置15の構成は、
図2及び
図3に示す構成に限定されない。例えば、
図17に示すように、被写体である物品12の正面側から物品12の正面に向かって可視光及び近赤外光を照射する光源80を備える構成でもよい。光源80は、可視光波長領域VAにおいて発光スペクトルが異なる複数の発光部21~23を備える。複数の発光部21~23は、前記実施形態における白色光源20を構成する、第1発光部21、第2発光部22及び第3発光部23と同じである。例えば、複数の発光部21~23は、LEDよりなり、それぞれ赤色LED、緑色LED及び青色LEDよりなる。さらに、光源80は、近赤外波長領域NIRAに発光スペクトルを有し、かつ発光部21~23の発光スペクトル領域において発光スペクトルを持たない近赤外光を照射する第1発光部26及び第2発光部27を備える。複数種の発光部26,27は、例えばLEDにより構成される。
【0095】
この変更例では、白色光源と近赤外光源は、被写体としての物品12におけるカメラ30と対向する側の面である正面に白色光と近赤外光とを照射する1つの光源80により構成される。そして、光源80は、白色光を照射する複数の発光部21~23と、近赤外光を照射する複数の発光部26,27とが混在する配列で構成される。
【0096】
図17に示す例では、1台の光源80に、白色用のLEDよりなる発光部21~23と、近赤外光用のLEDよりなる発光部26,27が均等に配置される。このため、白色用のLEDよりなる発光部21~23の隣に近赤外光用のLEDよりなる発光部26,27が配置される。なお、この変更例では、光源80のうち白色光を照射する発光部21~23により、白色光源の一例が構成され、近赤外光を照射する発光部26,27により近赤外光源の一例が構成される。このように、物品12の正面に白色光と近赤外光とを照射する構成では、白色光源と可視光光源とは、必ずしも別体である必要はなく、1つの光源80により構成されてもよい。但し、
図17において、光源80に替え、白色光源20と近赤外光源25とを隣接配置した構成や、物品12の正面から白色光及び近赤外光を照射可能な限りにおいて白色光源20と近赤外光源25とを離して配置した構成を採用してもよい。
【0097】
物品12の表面にはインクを用いた印刷が施されている。印刷に用いられるインクは赤外光を反射するインクを含む。
図17に示す撮像装置15を有する検査装置11は、被写体に印刷された赤外光を反射するインクを検査する。なお、物品12はその表面に、可視光を反射するインクと赤外光を反射するインクとが混合されたインクを用いて印刷された印刷領域を有する構成でもよいし、可視光を反射するインクを用いて印刷された第1の印刷領域と、近赤外光を反射するインクを用いて印刷された第2の印刷領域とを有する構成でもよい。また、物品12はその表面に近赤外光を反射する部分を有するフィルムが熱溶着または接着剤で貼られた構成でもよい。
【0098】
光源80から物品12の正面に照射された可視光は、物品12の表面で反射してカメラ30に入射する。また、光源80から物品12の表面に照射された近赤外光は、物品12の表面で反射してカメラ30に入射する。この変更例では、物品12の表面で反射した近赤外光がカメラ30に入射することで、物品12の表面又は物品12の透過した内部に存在する、可視光を反射しないが近赤外光を反射する部分を検査できる。
【0099】
このように、物品12の表面で反射した近赤外光を撮像する撮像装置15においても、カメラ30に接続された変換部60及び信号処理部65は、前記実施形態と同様の処理を行う。そして、検査処理部70は、撮像装置15が出力した第1画像信号IS1及び第2画像信号IS2に基づいて物品12の表面又は物品12の内部を構成する近赤外光を反射する部分を検査することができる。また、この変更例では、1つの光源80を用いるため、可視光画像と近赤外画像は、物品12に対して同じ向きから光が照射された画像として取得される。例えば、光の照射角の異なる2つの画像を用いて検査する場合、照射角の違いにより適切な検査が行われなくなる場合がある。これに対して、この変更例では、可視光画像と近赤外画像とを併せて又は比較して物品12の検査結果を得る場合、適切な検査を行うことができる。
【0100】
・マトリックス演算に使用される3×3マトリックスの係数は、前記実施形態の値に限定されない。例えば、第2実施例において、3×3マトリックスの係数を変更して、3×3マトリックスの係数として、a1=0.05、a2=-0.2、a3=1、b1=1、b2=0.2、b3=-1、c1=0.15、c2=0.8、c3=-0.9を与える。
【0101】
この場合、
図12に替えて、
図18(a)に示すXYZ撮像特性が得られ、これにより、
図14(b)に替えて、
図18(b)に示すXYZ出力特性が得られる。
図18(b)に示すように、可視光画像と近赤外画像とが混在した第1画像IS1と、近赤外画像である第2画像IS2とが得られる。このように、可視光画像と近赤外画像とに分けられる構成に限らず、第1画像IS1と第2画像IS2とのうち少なくとも一方が可視光画像と近赤外画像とが混在した画像であってもよい。
【0102】
・前記実施形態及び
図17に示す変更例において、白色光源を構成する発光部の種類は3種類に限定されず、白色光を照射可能であれば、4種類以上または2種類あるいは1種類でもよい。また、近赤外光源を構成する発光部の種類は2種類に限定されず、近赤外光を照射可能であれば、3種類以上または1種類でもよい。
【0103】
・前記実施形態では、可視光2バンド、赤外光1バンドとしたが、逆でもよい。つまり、可視光1バンド、赤外光2バンドでもよい。つまり、前記実施形態では、N=3の場合においてP=2かつQ=1としたが、P=1かつQ=2としてもよい。この場合、2バンドの第2画像信号を基に疑似色の2チャンネルのカラー画像信号を生成してもよい。
【0104】
・N値は、N=3に限定されず、N=4でもよい。例えば、原色のカラーフィルタを有するカラーカメラの場合、R,G1,G2,Bの4色でもよい。また、補色のカラーフィルタを有するカラーカメラでもよく、補色が、イエロー、シアン、マゼンタ、グリーンの4色でもよい。
【0105】
・N色が4色であってP=2かつQ=2である場合、2バンドの第1画像信号を基に疑似色の2チャンネルのカラー画像信号を生成するとともに、2バンドの第2画像信号を基に疑似色の2チャンネルのカラー画像信号を生成してもよい。
【0106】
・前記実施形態では、疑似色を作成したが、疑似色を作成しない構成も可能である。例えば、モニタに検査画像を表示させる構成でなければ、必ずしも疑似色を作成することは必須ではない。
【0107】
・白色光源20と近赤外光源25とを一斉に発光させるのではなく、時分割で発光させる構成でもよい。
・カメラ30を用いて光学バンドパスフィルタ31を通してイメージセンサ33で撮像した第1撮像信号に基づく画像データ(例えばRGB画像データ)をUSBメモリ等のリムーバブルメモリに保存する。そのリムーバブルメモリに保存された画像データをパーソナルコンピュータに読み取らせ、パーソナルコンピュータのCPU(変換部60)がマトリックス演算を含む変換処理を行って複数バンドのマルチスペクトル画像を生成してもよい。つまり、撮像ステップを行う装置と、変換ステップを行う装置とが、別々の装置であってもよい。このような撮像方法によっても、複数バンドのマルチスペクトル画像を取得できる。
【0108】
・増幅率及びパラメータのうち少なくとも一方を、検査処理部70が算出する構成でもよいし、予め他のコンピュータで算出した値を撮像装置15のメモリに書き込む構成でもよい。
【0109】
・撮像装置15は、検査の使用に限定されない。例えば、撮像装置15をロボットの目に使用し、ロボットが可視光と赤外光の画像を区別して認識する構成でもよい。
・撮像装置15が出力した画像を検査員が視認して検査する構成でもよい。
【0110】
・被写体の背面から可視光(例えば白色光)を照射してもよい。
・イメージセンサ33を構成するカラーフィルタ34の色数は3色又は4色に限定されず、5色、6色、7色、8色でもよい。このうち少なくとも1色が可視光を透過せず非可視光を透過するフィルタであってもよい。例えば、近赤外光を透過するNIRフィルタを含むカラーフィルタを備えたイメージセンサ33であってもよい。
【0111】
・撮像対象又は検査対象とされる被写体の一例である物品12は特に限定されない。物品12は、例えば、ペットボトルや壜等の容器、食品、飲料物、電子部品、電化製品、日常用品、部品、部材、粉粒体又は液状等の原料などでもよい。物品12はマルチスペクトル画像により良否を検査できるものであれば足りる。
【0112】
・被写体とされる物品12は、近赤外波長領域NIRAに少なくとも1つのバンドをもつ複数バンドのマルチスペクトル画像を用いて、可視光のみの下で撮像した画像では検査が困難な検査対象を検査できる物品であればよい。物品12は、例えば、液体入りの容器や、果物や野菜などの食材、花等の植物、植物性又は動物性の半加工食品あるいは加工食品、生物などでもよい。
【0113】
・撮像対象又は検査対象は、物品12に限らず、建物の写真、航空撮影の地形写真、空の写真、天体写真、顕微鏡写真などを検査対象としてもよい。
・撮像装置15は、検査処理部70とは別の装置として構成してもよい。撮像装置15を検査以外の用途で使用してもよい。
【0114】
・イメージセンサ33を構成するカラーフィルタの配列パターンは、RGBベイヤ配列に限らず、ストライプ配列など任意の配列パターンでもよい。
・制御部50、変換部60及び検査処理部70のうち少なくとも1つは、一部又は全部が、プログラムを実行するコンピュータよりなるソフトウェアにより構成されてもよいし、電子回路等のハードウェアにより構成されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
10…検査システム、11…検査装置、12…被写体の一例としての物品、13…搬送装置、15…撮像装置、16…コンベヤ、17…センサ、20…白色光源、21…第1発光部、22…第2発光部、23…第3発光部、25…近赤外光源、26…第1発光部、27…第2発光部、29…光学フィルタ部材、30…カメラ、30a…鏡筒、31,F1,F2…光学バンドパスフィルタ、31A,32B…光学バンドパスフィルタ、32…レンズ、33…カラーイメージセンサ(イメージセンサ)、33R…R受光素子、33G…G受光素子、33B…B受光素子、34…分光光学フィルタの一例としてのカラーフィルタ、34R…Rフィルタ、34G…Gフィルタ、34B…Bフィルタ、40…制御処理部、41…表示部、50…制御部、60…変換部、61…RGB分離部、62…XYZ変換部、63…増幅部、70…検査処理部、71…可視光検査処理部、72…近赤外検査処理部、73…混合検査処理部、80…光源、201…赤外光カットフィルタ(IRカットフィルタ)、LS…発光スペクトル、S1…第1撮像信号、S2…第2撮像信号、MS1…第1画像信号、MS2…第2画像信号、IS1…第1画像信号、IS2…第2画像信号、VA…可視光波長領域、NIRA…近赤外波長領域。