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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】再生材製造設備及び再生材製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/92 20190101AFI20240827BHJP
   B29C 48/275 20190101ALI20240827BHJP
   C10L 5/46 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C48/275
C10L5/46
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023070492
(22)【出願日】2023-04-21
(65)【公開番号】P2024044988
(43)【公開日】2024-04-02
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2022150615
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】河井 健治
(72)【発明者】
【氏名】村上 英樹
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-232634(JP,A)
【文献】特開2020-042044(JP,A)
【文献】特開2013-155211(JP,A)
【文献】特開平06-155474(JP,A)
【文献】特開2004-083684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/92
B29C 48/275
C10L 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造設備であって、
上記材料の成形を行う成形機と、
上記成形機から排出された成形物を撮影する撮影装置と、
成形物の画像と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、このモデル生成部により生成された判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像から当該成形物の良否を示す情報を出力する処理部とを有し、上記成形機から排出された成形物の品質を判定する品質判定装置と、
上記品質判定装置の判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、上記品質判定装置が上記成形物を不良と判断したとき、成形機への材料の供給量を変更することを特徴とする再生材製造設備。
【請求項2】
廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造設備であって、
上記材料の成形を行う成形機と、
上記成形機から排出された成形物を撮影する撮影装置と、
成形物の画像と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、このモデル生成部により生成された判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像から当該成形物の良否を示す情報を出力する処理部とを有し、上記成形機から排出された成形物の品質を判定する品質判定装置と、
上記品質判定装置の判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、上記品質判定装置が上記成形物を不良と判断したとき、成形機の材料の押し出しを行う回転体の回転数を変更することを特徴とする再生材製造設備。
【請求項3】
廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造設備であって、
上記材料の成形を行う成形機と、
上記成形機から排出された成形物を撮影する撮影装置と、
成形物の画像と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、このモデル生成部により生成された判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像から当該成形物の良否を示す情報を出力する処理部とを有し、上記成形機から排出された成形物の品質を判定する品質判定装置と、
上記品質判定装置の判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御装置と
上記成形機から排出された成形物の寸法を測定する寸法測定装置を備え、
上記品質判定装置は、
上記モデル生成部が、成形物の画像と当該成形物の寸法と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像及び寸法から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成し、
上記処理部が、上記判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像と、上記寸法測定装置で取得された成形物の寸法とから当該成形物の良否を示す情報を出力することを特徴とする再生材製造設備。
【請求項4】
廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造設備であって、
上記材料の成形を行う成形機と、
上記成形機から排出された成形物を撮影する撮影装置と、
成形物の画像と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、このモデル生成部により生成された判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像から当該成形物の良否を示す情報を出力する処理部とを有し、上記成形機から排出された成形物の品質を判定する品質判定装置と、
上記品質判定装置の判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御装置と
上記成形機から排出された成形物の寸法を測定する寸法測定装置と、
上記成形機から排出された成形物の重量を測定する重量測定装置と、
上記寸法測定装置の測定値と上記重量測定装置の測定値に基づいて上記成形物の比重を算出する比重算出装置と
を備え、
上記品質判定装置は、
上記モデル生成部が、成形物の画像と当該成形物の比重と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像及び比重から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成し、
上記処理部が、上記判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像と、上記比重算出装置で算出された成形物の比重とから当該成形物の良否を示す情報を出力することを特徴とする再生材製造設備。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の再生材製造設備において、
上記品質判定装置が、所定期間又は所定回数継続して同一の結果を出力したとき、上記制御装置が上記成形機に関する制御内容を変更することを特徴とする再生材製造設備。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の再生材製造設備において、
上記成形機は、成形した成形物を排出する排出口を有し、
上記撮影装置は、上記成形機の排出口から排出された直後の成形物を撮影するように形成されていることを特徴とする再生材製造設備。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の再生材製造設備において、
上記成形機の下流側に、上記成形機で成形された成形物を密閉状態で搬送する密閉型搬送装置を備え、
上記撮影装置は、上記成形機の排出口から排出された後、かつ、上記密閉型搬送装置に受け入れられる前の成形物を撮影するように形成されていることを特徴とする再生材製造装置。
【請求項8】
廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造方法であって、
成形機を用いて上記材料の成形を行い、成形物を作成する成形物作成工程と、
上記成形物作成工程で作成された成形物を撮影する撮影工程と、
機械学習により生成された判別モデルに、上記撮影工程で撮影された成形物の画像を入力して当該成形物の良否を示す情報の出力を得ることにより、上記成形物の品質を判定する品質判定工程と、
上記品質判定工程で得られた判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御工程と
を備え
上記制御工程は、上記品質判定工程で上記成形物を不良と判断したとき、成形機への材料の供給量を変更することを特徴とする再生材製造方法。
【請求項9】
廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造方法であって、
成形機を用いて上記材料の成形を行い、成形物を作成する成形物作成工程と、
上記成形物作成工程で作成された成形物を撮影する撮影工程と、
機械学習により生成された判別モデルに、上記撮影工程で撮影された成形物の画像を入力して当該成形物の良否を示す情報の出力を得ることにより、上記成形物の品質を判定する品質判定工程と、
上記品質判定工程で得られた判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御工程と
を備え
上記制御工程は、上記品質判定工程で上記成形物を不良と判断したとき、成形機の材料の押し出しを行う回転体の回転数を変更することを特徴とする再生材製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の再生材製造方法において、
上記撮影工程は、上記成形機で成形されて排出口から落下している成形物を撮影することを特徴とする再生材製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造設備及び再生材製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、再生可能エネルギーの一環として、廃棄物を材料に用いた再生燃料の製造が行われている。再生燃料の製造設備として、家庭や事業所等から回収された廃棄物を破砕する破砕装置と、破砕された廃棄物を可燃物と不燃物に分別する分別装置と、分別された可燃物を成形して円柱形状の燃料を製造する成形機を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記再生燃料の製造設備では、成形機としてスクリュー式の押出成形機が使用されている。この種の押出成形機は、並列に配置された2本のスクリューを有し、これらのスクリューによって被処理物である可燃物の混錬と圧縮を行う。スクリューで混錬と圧縮が行った被処理物を、スクリューの先端側に配置された成形ノズルから押し出して成形物を形成し、円柱形状の再生燃料を製造するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-089085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記成形機に投入される廃棄物は、成分や水分量が定まらない場合が多いので、成形機の運転の開始時に製造する成形物が良品であっても、運転を継続するうちに不良品が生じる場合がある。このため、成形機の運転中は、操作者が成形物を観察し、不良品が生じると、成形機を操作して運転条件を変更する必要がある。したがって、操作者は、成形機から排出される成形物が良品であるか否かを監視し続ける必要があるため、監視負担が大きいという問題がある。また、成形物に不良品が生じる原因は、成分や水分量等の複数の要因が存在するため、不良品を解消するための成形機の操作が難しいという問題がある。このような成形物の不良品を解消する操作は、操作者の技量に頼るところが大きい傾向にある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、成形機に関する操作者の負担が少ない再生材製造設備及び再生材製造方法を提供することにある。また、成形機の成形物に不良品が生じたときに、操作者の技量に頼ることなく、不良品の解消を行うことができる再生材製造設備及び再生材製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の再生材製造設備は、廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造設備であって、
上記材料の成形を行う成形機と、
上記成形機から排出された成形物を撮影する撮影装置と、
成形物の画像と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成するモデル生成部と、このモデル生成部により生成された判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像から当該成形物の良否を示す情報を出力する処理部とを有し、上記成形機から排出された成形物の品質を判定する品質判定装置と、
上記品質判定装置の判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御装置と
を備えることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、再生材製造設備は、廃棄物の材料を成形する成形機と、この成形機から排出された成形物を撮影する撮影装置と、この撮影装置で取得された画像に基づいて、上記成形物の品質を判定する品質判定装置と、この品質判定装置の判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御装置を備える。上記品質判定装置は、予め準備された成形物の画像と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成するモデル生成部を有する。また、上記品質判定装置は、上記モデル生成部により生成された判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像から当該成形物の良否を示す情報を出力する処理部を有する。上記成形機で作成された成形物の品質が、上記品質判定装置で判定されるので、従来のように操作者による成形物の監視が不要になる。したがって、成形物に関する操作者の負担を少なくできる。また、上記品質判定装置の判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作が制御装置で制御されるので、技量に基づく操作者の操作が不要になる。また、成形物の品質に応じた制御が実質的に自動化できるので、操作者の操作の負担を軽減できる。ここで、制御装置による制御対象は、成形機に限定されず、成形機に材料を供給する装置等、成形物の品質に関係する種々の機器が含まれる。また、成形機は、スクリュー式やリングダイ式等、種々の形式のものを採用でき、成形機の種類は特に限定されない。本発明の再生材製造設備で製造される再生材は、再生燃料や、製鉄過程で使用される鎮静剤等、廃棄物を材料に用いて所定形状に成形して製造されるものが、広く該当する。
【0009】
一実施形態の再生材製造設備は、上記制御装置は、上記品質判定装置が上記成形物を不良と判断したとき、成形機への材料の供給量を変更する。
【0010】
上記実施形態によれば、品質判定装置が成形物を不良と判断したとき、制御装置が、成形機への材料の供給量を変更することにより、成形機で成形される成形物の不良を解消することができる。例えば、材料の水分量が多いことによって不良品が生じた場合、成形機への材料の供給量を減少させることにより、成形機内の材料の水分量を減少させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。また、材料中のプラスチック等の溶融物が過剰に溶融したことに起因して不良品が生じた場合、成形機への材料の供給量を増加させることにより、成形物の不良を解消することができる。また、材料の成分に関して、プラスチック等の溶融物と、古紙等の非溶融物との割合が不適切であることに起因して不良品が生じた場合、成形機に供給する材料について、溶融物と非溶融物との割合を変更することにより、成形物の不良を解消することができる。
【0011】
一実施形態の再生材製造設備は、上記制御装置は、上記品質判定装置が上記成形物を不良と判断したとき、成形機の材料の押し出しを行う回転体の回転数を変更する。
【0012】
上記実施形態によれば、品質判定装置が成形物を不良と判断したとき、制御装置が、成形機の押し出しを行う回転体の回転数を変更することにより、成形機で成形される成形物の不良を解消することができる。例えば、材料の圧縮密度が低いことによって不良が生じた場合、成形機の回転体の回転数を増大させることにより、材料の圧縮密度を増大させて、成形物の不良を解消することができる。また、材料中の溶融物の溶融が不十分であることによって不良が生じた場合、成形機の回転体の回転数を増大させることにより、材料の温度が上昇して溶融物が十分に溶融し、成形物の不良を解消することができる。また、材料の水分量が多いことによって不良品が生じた場合、成形機の回転体の回転数を増大させることにより、材料の混合や圧縮に伴う温度上昇を促進し、材料からの水分の蒸発量を増加させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。一方、材料の炭化が生じて不良が生じた場合、成形機の回転体の回転数を減少させることにより、材料の温度が低下し、成形物の不良を解消することができる。
【0013】
一実施形態の再生材製造設備は、上記制御装置は、上記品質判定装置が上記成形物を不良と判断したとき、成形機における材料の加熱温度を変更する。
【0014】
上記実施形態によれば、品質判定装置が成形物を不良と判断したとき、制御装置が、成形機における材料の加熱温度を変更することにより、成形機で成形される成形物の不良を解消することができる。例えば、材料中の溶融物の溶融が不十分であることによって不良が生じた場合、成形機における材料の加熱温度を上昇させることにより、材料の温度が上昇して溶融物が十分に溶融し、成形物の不良を解消することができる。また、材料の水分量が多いことによって不良品が生じた場合、成形機における材料の加熱温度を上昇させることにより、材料からの水分の蒸発量を増加させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。一方、材料の炭化が生じて不良が生じた場合、成形機における材料の加熱温度を低下させることにより、材料の温度が低下し、成形物の不良を解消することができる。また、材料中の溶融物が過剰に溶融したことに起因して不良品が生じた場合、成形機における材料の加熱温度を低下させることにより、成形物の不良を解消することができる。
【0015】
また、他の実施形態の再生材製造設備では、上記制御装置は、上記品質判定装置が上記成形物を不良と判断したとき、成形機内に設けた散水ノズルで材料の散水を行い、材料の温度を低下させてもよい。これにより、材料の異常高温により不良品が生じた場合に、材料の温度を効果的に低下できて、成形物の不良を解消することができる。
【0016】
一実施形態の再生材製造設備は、上記品質判定装置のモデル生成部は、上記撮影装置で撮影された成形物の画像と、上記成形物に関して入力された良否を示す情報とを教師データとして機械学習を行う。
【0017】
上記実施形態によれば、再生材製造設備に実際に供給される材料と、実際に製造される成形物に基づいて、撮影装置で撮影された成形物と、この成形物に関して入力された良否を示す情報とを教師データとして機械学習を行うことができる。
【0018】
一実施形態の再生材製造設備は、上記成形機から排出された成形物の寸法を測定する寸法測定装置を備え、
上記品質判定装置は、
上記モデル生成部が、成形物の画像と当該成形物の寸法と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像及び寸法から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成し、
上記処理部が、上記判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像と、上記寸法測定装置で取得された成形物の寸法とから当該成形物の良否を示す情報を出力する。
【0019】
上記実施形態によれば、寸法測定装置により、成形機から排出された成形物の寸法が測定される。品質判定装置のモデル生成部により、成形物の画像と当該成形物の寸法と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像及び寸法から当該成形物の良否を判別する判別モデルが機械学習により生成される。また、品質判定装置の処理部により、上記判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像と、上記寸法測定装置で取得された成形物の寸法とから当該成形物の良否を示す情報が出力される。撮影装置で取得された成形物の画像に加えて、成形物の寸法に基づくことにより、成形物の良否を精度良く判定することができる。
【0020】
一実施形態の再生材製造設備は、上記成形機から排出された成形物の寸法を測定する寸法測定装置と、
上記成形機から排出された成形物の重量を測定する重量測定装置と、
上記寸法測定装置の測定値と上記重量測定装置の測定値に基づいて上記成形物の比重を算出する比重算出装置と
を備え、
上記品質判定装置は、
上記モデル生成部が、成形物の画像と当該成形物の比重と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像及び比重から当該成形物の良否を判別する判別モデルを機械学習により生成し、
上記処理部が、上記判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像と、上記比重算出装置で算出された成形物の比重とから当該成形物の良否を示す情報を出力する。
【0021】
上記実施形態によれば、寸法測定装置により、成形機から排出された成形物の寸法が測定され、重量測定装置により、上記成形機から排出された成形物の重量を測定され、比重算出装置により、上記寸法測定装置の測定値と上記重量測定装置の測定値に基づいて上記成形物の比重が算出される。品質判定装置のモデル生成部により、成形物の画像と当該成形物の比重と当該成形物の良否を示す情報とを教師データとして用い、入力された成形物の画像及び比重から当該成形物の良否を判別する判別モデルが機械学習により生成される。また、品質判定装置の処理部により、上記判別モデルを用いて、上記撮影装置で取得された成形物の画像と、上記比重算出装置で算出された成形物の比重とから当該成形物の良否を示す情報が出力される。撮影装置で取得された成形物の画像に加えて、成形物の比重に基づくことにより、成形物の良否を精度良く判定することができる。
【0022】
一実施形態の再生材製造設備は、上記品質判定装置が、所定期間又は所定回数継続して同一の結果を出力したとき、上記制御装置が上記成形機に関する制御内容を変更する。
【0023】
上記実施形態によれば、成形機から排出される成形物について、品質判定装置から所定期間継続して同一の結果が出力されたとき、又は、所定回数継続して同一の結果が出力されたとき、制御装置が成形機に関する制御内容を変更する。これにより、成形物の品質の揺らぎや判定結果の揺らぎの影響を軽減でき、安定した制御が可能になる。
【0024】
一実施形態の再生材製造設備は、上記成形機は、成形した成形物を排出する排出口を有し、
上記撮影装置は、上記成形機の排出口から排出された直後の成形物を撮影するように形成されている。
【0025】
上記実施形態によれば、成形機で成形された成形物が排出口から排出される。この排出口から排出された直後の成形物を、撮影装置が撮影する。このように、成形機で成形された直後の成形物の画像に基づいて、成形物の状態に応じて迅速に成形機を制御することができる。
【0026】
一実施形態の再生材製造設備は、上記成形機の下流側に、上記成形機で成形された成形物を密閉状態で搬送する密閉型搬送装置を備え、
上記撮影装置は、上記成形機の排出口から排出された後、かつ、上記密閉型搬送装置に受け入れられる前の成形物を撮影するように形成されている。
【0027】
上記実施形態によれば、成形機で成形された成形物は、この成形機の下流側に設けられた密閉型搬送装置により密閉された状態で搬送される。上記成形機で成形された成形物は、上記成形機の排出口から排出された後、かつ、上記密閉型搬送装置に受け入れられる前に、撮影装置によって撮影されて撮影画像が形成される。こうして、成形機で成形された直後の成形物の画像を、密閉型搬送装置で搬送される前に取得する。成形物が密閉型搬送装置で搬送される間は撮影が実質的に不可能であるので、成形機で成形された成形物を密閉型搬送装置に受け入れられる前に撮影することにより、成形物の状態が適切に撮影された画像に基づいて、成形機の制御を迅速かつ適切に行うことができる。
【0028】
本発明の再生材製造方法は、廃棄物を材料に用いて再生材を製造する再生材製造方法であって、
成形機を用いて上記材料の成形を行い、成形物を作成する成形物作成工程と、
上記成形物作成工程で作成された成形物を撮影する撮影工程と、
機械学習により生成された判別モデルに、上記撮影工程で撮影された成形物の画像を入力して当該成形物の良否を示す情報の出力を得ることにより、上記成形物の品質を判定する品質判定工程と、
上記品質判定工程で得られた判定結果に基づいて、上記成形機に関する動作を制御する制御工程と
を備えることを特徴としている。
【0029】
上記構成によれば、成形物作成工程で、廃棄物である材料の成形を成形機で行い、成形物を作成する。この成形物作成工程で作成された成形物を、撮影工程で撮影する。品質判定工程で、上記撮影工程で撮影された成形物の画像を、機械学習により生成された判別モデルに入力し、当該成形物の良否を示す情報の出力を得て、上記成形物の品質を判定する。これにより、従来のように操作者による成形物の監視が不要になるので、成形物に関する操作者の負担を少なくできる。また、制御工程で、品質判定工程の判定結果に基づいて、成形機に関する動作が制御装置で制御されるので、操作者の技量に頼ることなく、再生材を製造することができる。ここで、制御工程における制御対象は、成形機に限定されず、成形機に材料を供給する装置等、成形物の品質に関係する種々の機器が含まれる。また、成形機は、スクリュー式やリングダイ式等、種々の形式のものを採用でき、成形機の種類は特に限定されない。本発明の再生材製造方法で製造される再生材は、再生燃料や、製鉄過程で使用される鎮静剤等、廃棄物を材料に用いて所定形状に成形して製造されるものが、広く該当する。
【0030】
一実施形態の再生材製造方法は、上記制御工程は、上記品質判定工程で上記成形物を不良と判断したとき、成形機への材料の供給量を変更する。
【0031】
上記実施形態によれば、品質判定工程で成形物を不良と判断したとき、制御工程で成形機への材料の供給量を変更することにより、後の成形物作成工程で成形する成形物の不良を解消することができる。例えば、材料の水分量が多いことによって不良が生じた場合、成形機への材料の供給量を減少させることにより、成形機内の材料の水分量を減少させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。また、材料中のプラスチック等の溶融物が過剰に溶融したことに起因して不良品が生じた場合、成形機への材料の供給量を増加させることにより、成形物の不良を解消することができる。また、材料の成分に関して、プラスチック等の溶融物と、古紙等の非溶融物との割合が不適切であることに起因して不良品が生じた場合、成形機に供給する材料について、溶融物と非溶融物との割合を変更することにより、成形物の不良を解消することができる。
【0032】
一実施形態の再生材製造方法は、上記制御工程は、上記品質判定工程で上記成形物を不良と判断したとき、成形機の材料の押し出しを行う回転体の回転数を変更する。
【0033】
上記実施形態によれば、品質判定工程で成形物を不良と判断したとき、制御工程で成形機の押し出しを行う回転体の回転数を変更することにより、その後の成形物作成工程で成形する成形物の不良を解消することができる。例えば、材料の圧縮密度が低いことによって不良が生じた場合、成形機の回転体の回転数を増大させることにより、材料の圧縮密度を増大させて、成形物の不良を解消することができる。また、材料中の溶融物の溶融が不十分であることによって不良が生じた場合、成形機の回転体の回転数を増大させることにより、材料の温度が上昇して溶融物が十分に溶融し、成形物の不良を解消することができる。また、材料の水分量が多いことによって不良品が生じた場合、成形機の回転体の回転数を増大させることにより、材料の混合や圧縮に伴う温度上昇を促進し、材料からの水分の蒸発量を増加させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。一方、材料の炭化が生じて不良が生じた場合、成形機の回転体の回転数を減少させることにより、材料の温度が低下し、成形物の不良を解消することができる。
【0034】
一実施形態の再生材製造方法は、上記制御工程は、上記品質判定工程で上記成形物を不良と判断したとき、成形機における材料の加熱温度を変更する。
【0035】
上記実施形態によれば、品質判定工程で成形物を不良と判断したとき、制御工程で、成形機における材料の加熱温度を変更することにより、その後の成形物作成工程で成形する成形物の不良を解消することができる。例えば、材料中の溶融物の溶融が不十分であることによって不良が生じた場合、成形機における材料の加熱温度を上昇させることにより、材料の温度が上昇して溶融物が十分に溶融し、成形物の不良を解消することができる。また、材料の水分量が多いことによって不良品が生じた場合、成形機における材料の加熱温度を上昇させることにより、材料からの水分の蒸発量を増加させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。一方、材料の炭化が生じて不良が生じた場合、成形機における材料の加熱温度を低下させることにより、材料の温度が低下し、成形物の不良を解消することができる。また、材料中の溶融物が過剰に溶融したことに起因して不良品が生じた場合、成形機における材料の加熱温度を低下させることにより、成形物の不良を解消することができる。
【0036】
また、他の実施形態の再生材製造方法では、上記制御工程は、上記品質判定工程で上記成形物を不良と判断したとき、成形機内に設けた散水ノズルで材料の散水を行い、材料の温度を低下させてもよい。これにより、材料の異常高温により不良品が生じた場合に、材料の温度を効果的に低下できて、成形物の不良を解消することができる。
【0037】
一実施形態の再生材製造方法は、上記撮影工程は、上記成形機で成形されて排出口から落下している成形物を撮影する。
【0038】
上記実施形態によれば、成形機で成形された成形物が排出口から排出されて落下する。この排出口から落下している成形物を撮影工程で撮影するので、成形機で成形された直後の成形物の画像に基づいて、成形物の状態に応じて迅速に成形機を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1実施形態の再生材製造設備を示す模式図である。
図2】再生材製造設備の成形機を示す断面図である。
図3】再生材製造設備の品質判定装置を示すブロック図である。
図4】成形物の良品を示す図である。
図5】成形物の不良品を示す図である。
図6】成形物の他の不良品を示す図である。
図7】判別モデルの学習の流れを示すフロー図である。
図8】再生材設備の動作の流れを示すフロー図である。
図9】第2実施形態の再生材製造設備を示す模式図である。
図10】第3実施形態の再生材製造設備を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明の第1実施形態の再生材製造設備を示す模式図である。この再生材製造設備は、家庭や事業所等から回収された廃棄物を材料に用いて、再生材としての再生燃料を製造する再生燃料製造設備である。
【0042】
本実施形態の再生燃料製造設備1は、材料を所定量切り出して供給する定量供給機2と、この定量供給機2から供給された材料を成形する成形機3を備える。成形機3の下流側には、この成形機3で成形された成形物を搬送する搬送コンベヤ4と、搬送コンベヤ4からの成形物を振り分ける振り分けコンベヤ5が設けられている。
【0043】
成形機3の下流側には、成形機3から搬送コンベヤ4上に排出された成形物を撮影する撮影装置としてのカメラ10が設置されている。また、カメラ10の撮影画像に基づいて成形物の品質を判定する品質判定装置11と、品質判定装置11の判定結果に基づいて定量供給機2と成形機3と振り分けコンベヤ5を制御する制御装置12が設けられている。
【0044】
上記定量供給機2は、材料を貯留する貯留部と、この貯留部の材料を所定量排出する切り出しスクリューを有する。切り出しスクリューの動作が制御装置12で制御されて、この定量供給機2から成形機3に供給する材料の供給量が変更される。
【0045】
上記定量供給機2には、溶融物投入コンベヤ8によって材料のうちの溶融物が投入され、非溶融物投入コンベヤ9によって材料のうちの非溶物が投入される。溶融物投入コンベヤ8及び非溶融物投入コンベヤ9は、スクリューコンベヤで形成される。これらの溶融物投入コンベヤ8及び非溶融物投入コンベヤ9は、制御装置12によって制御され、材料を形成する溶融物と非溶融物の投入割合が変更される。
【0046】
成形機3は、回転体としてのスクリューを2つ備え、これらのスクリューにより、材料の混合、圧縮及び押し出しを行う2軸スクリュー式の押出成形機である。この成形機3は、図2に示すように、材料を投入する投入口15aが上端に形成されたケーシング15内に、上記投入口15aの下方に連なって形成された混合室16と、この混合室16の一方の側に連なって形成された圧縮室17を有する。上記混合室16及び圧縮室17内に、スクリュー18が配置されている。スクリュー18は、水平面内に互いに平行に2本配列されており、各スクリュー18は、軸部18aと羽根部18bを有する。軸部18aは、混合室16の他方の側の端部が駆動軸に連結されており、この駆動軸に、図示しないモータから回転力が入力される。このモータの回転数が制御装置12で制御されて、スクリュー18の回転数が制御される。
【0047】
上記スクリュー18の羽根部18bは螺旋羽根で形成され、羽根の軸方向における間隔が、軸部18bの他端側よりも一端側の方が狭くなるように形成されている。羽根部18bの羽根の軸方向における間隔は、徐々に狭く形成してもよく、あるいは、段階的に狭く形成してもよい。羽根部18bの羽根の軸方向における間隔を、他端側よりも一端側を狭く形成することにより、スクリュー18で材料を他端側から一端側に送るにつれて、材料に作用する圧縮力が高まるようにしている。なお、材料に作用する圧縮力を、他端側から一端側に送るに伴って高くするために、圧縮室17の一端側の断面積を、他端側の断面積よりも小さく形成してもよい。
【0048】
上記成形機3のケーシング15の端面には、上記圧縮室17の壁面を形成する端面板21が固定されている。この端面板21には、スクリュー18で圧縮された材料が導かれる複数の成形ノズル22が取り付けられている。また、端面板21には、成形ノズル22を通る材料を加熱するためのヒータ23が内蔵されている。このヒータ23は、抵抗加熱式のヒータであり、制御装置12によって供給電力が制御されて、加熱温度が制御される。成形ノズル22の先端側には、この成形ノズル22で成形されて排出された材料を所定長さに切断するための図示しないカッター装置が設けられている。カッター装置は、制御装置12によって動作が制御されて、成形ノズル22から排出された成形物の切断長さが調節される。また、成形機3で成形される成形物の温度を測定する温度センサが設けられている。温度センサは、端面板21に設置されて成形ノズル22を通過する材料の温度を測定するものや、成形ノズル22から排出された成形物の温度を測定するもの等を採用できる。
【0049】
搬送コンベヤ4は、成形機3の成形ノズル22から排出された成形物を搬送するものであり、搬送途中に成形物から水蒸気が発散されるようになっている。搬送コンベヤ4の下流部分の上方に、この搬送コンベヤ4の搬送ベルト上に載置された成形物を撮影するカメラ10が設けられている。
【0050】
振り分けコンベヤ5は、搬送コンベヤ4で搬送された成形物を、良品箱6と不良品箱7に振り分けて搬送するものであり、品質判定装置11の判定結果に基づく制御装置12の制御により、成形物の搬送方向を正方向と逆方向に切り替えるようになっている。
【0051】
カメラ10は、搬送コンベヤ4で搬送される成形物を撮影して画像データを生成する撮像装置である。カメラ10は、例えばCCDまたはCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子を有するものを用いることができる。カメラ10は、搬送コンベヤ4の上方に設置することができるが、搬送コンベヤ4上の成形物を撮影可能であれば、カメラ10の設置位置は特に限定されない。
【0052】
品質判定装置11は、カメラ10の撮影画像に基づいて、撮影した成形物の品質を判定するものである。この品質判定装置11は、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報機器で構成できる。品質判定装置11は、図3に示すように、演算処理部31、記憶部32、表示部35、入力部36及び通信I/F(インタフェース)37を有する。
【0053】
演算処理部31は、品質判定装置11の制御を行う処理装置である。塩酸処理部31は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU(中央演算装置)、MPU(超小型処理装置)のような汎用プロセッサを含む。また、演算処理部31は、所定の機能を実現するための専用回路として設計されたFPGA(現場書き換え可能ゲートアレイ)、ASIC(特定用途向け集積回路)及びDSP(デジタル信号処理装置)等のハードウェア回路で構成されてもよい。
【0054】
記憶部32は、品質判定装置11の機能を実現するために必要なプログラムおよびデータを含む種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部32には、後述する教師データ33及び判別モデル34等が格納される。記憶部32は、例えば、フラッシュメモリ、SSDなどの半導体メモリ装置、ハードディスク等の磁気記憶装置、その他の記憶デバイス単独で、又は、それらを適宜組み合わせて実現される。記憶部32は、種々の情報を一時的に記憶する高速動作可能なSRAM、DRAMなどの揮発性メモリを含んでもよい。
【0055】
表示部35は、種々の情報を表示する表示装置である。表示部35は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置により構成される。
【0056】
入力部36は、操作者からの入力指示を受け付ける入力用インタフェースである。入力部36は、操作者から受け付けた入力指示や操作の内容を電気信号に変換して演算処理部31に伝達する。入力部36は、マウス、キーボード、タッチパネル又はボタン等を含む。
【0057】
通信I/F37は、ネットワークを介して品質判定装置11と外部機器との通信接続を可能とするためのインタフェース回路またはモジュールである。通信I/F37は、例えばIEEE802.3、IEEE802.11又はWi-Fi、LTE、3G、4G、5G等の規格に従って通信を行う。
【0058】
この品質判定装置11は、機械学習によって構築された判別モデル34を用いて、成形物が良品であるか否かを検知する。判別モデル34は、品質判定装置11の記憶部32に格納されているが、ネットワークを介して品質判定装置11以外の装置に格納されてもよい。判別モデル34は、例えば、演算処理部31が、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)等のモデル(学習アルゴリズム)に対して、機械学習を行うことによって生成される。機械学習の一例は、予め用意された教師データを用いて、種々の成形物の撮像画像と、当該成形物が良品か、又は、不良品であるかを示す情報との関係を学習させる教師あり学習である。CNNのようなモデルの教師あり学習は、例えば誤差逆伝播法を利用して、演算処理部31によって行われる。
【0059】
図4図5及び図6は、教師データ33の一例を示す画像である。教師データ33は、カメラ10で撮影された成形物の撮像画像と、当該成形物が良品であるか否かを示すラベルとを関連付けたデータである。図4は、成形物の良品の一例を示す画像である。この画像のように、良品の成形物は、少なくとも長辺が直線的な細長の略矩形状をなす。この画像と、ラベルとして良品を示す情報とを組み合わせて、教師データ33として機械学習を行う。成形物の良品の画像としては、長辺が一定程度湾曲した細長の円弧状をなすものでもよい。
【0060】
図5及び図6は、成形物の不良品の一例を示す画像である。図5の画像のように、不良品の成形物は、輪郭が乱れた不定形状をなす。この不良品は、材料の加熱が不十分である場合や、材料の水分が過剰な場合に発生する。また、図6の画像のように、不良品の成形物は、良品よりも狭い幅で大きい長さに形成され、蔓状乃至蛇行状の形状をなす。この不良品は、溶融物が過剰に溶融した場合に発生する。このような画像と、ラベルとして不良品を示す情報とを組み合わせて、教師データ33として機械学習を行う。
【0061】
教師データ33を構成する画像は、RGB等の色彩を有するカラー画像でもよく、色彩を有しない白黒画像でもよい。成形物の画像中の色に基づいて、材料の成分や炭化の有無を判別することができる。例えば、炭化により黒色の領域が比較的広く表れた成形物の画像に、不良品のラベルを組み合わせて、教師データ33として機械学習を行うことができる。
【0062】
教師データ33を構成するラベルは、例えば、当該成形物を確認した検査者が入力部36を用いて品質判定装置11に入力する。教師データ33は、記憶部32に格納される。例えば複数の中間層を有するニューラルネットワークの教師あり学習によれば、上記のようなラベルと撮像画像との間の一定の相関関係に応じた識別能力を獲得する深層学習が行われる。
【0063】
図7は、判別モデル34の生成フローの一例を示すフロー図である。図7の生成フローは、品質判定装置11の演算処理部31によって実行される。
【0064】
まず、演算処理部31は、記憶部32から教師データ33を取得する(ステップS21)。
【0065】
次に、演算処理部31は、取得した教師データをニューラルネットワーク等のモデルに学習させる(ステップS22)。すなわち、演算処理部31は、取得した教師データにおける撮像画像の画像情報を学習中のモデルに入力して、当該モデルによる演算処理を行う。さらに、演算処理部31は、同モデルの処理結果の出力と、教師データにおいて対応するラベルとの比較により、ニューラルネットワークの各層間の重み付け係数等のパラメータを更新する。
【0066】
演算処理部31は、ステップS11及びS12を、必要な全ての教師データ33の学習を完了するまで繰り返す(ステップS23)。
【0067】
学習が完了すると、演算処理部31は、判別モデル34を記憶部32に格納する(ステップS24)。
【0068】
以上のように生成された判別モデル34は、成形物の実際の判別時に用いられる。具体的に、再生燃料製造設備1の品質判定装置11の演算処理部31は、図7のステップS24において、判別モデル34を用いて成形物の状態を識別し、良品か否かを判定する。演算処理部31は、本発明の「処理部」の一例である。
【0069】
このように、上記判別モデル34は、再生燃料製造設備1の成形機3で成形した成形物の撮影画像と、品質判定装置11の入力部36から入力したラベルの情報とを教師データ33に用いて、当該品質判定装置11で機械学習を行って作成される。このほか、判別モデル34は、他の成形機で成形した成形物の撮影画像と、当該撮影画像について設定されたラベルの情報とを教師データ33に用いて、当該品質判定装置11で作成されたものを用いてもよい。また、判別モデル34は、上記成形機3又は他の成形機で成形した成形物の撮影画像と、当該撮影画像について設定されたラベルの情報とを教師データとして、上記品質判定装置11と同様の機能を有する他の情報機器で機械学習を行って作成されたものを用いてもよい。この場合、他の情報機器で作成された判別モデル34を、上記品質判定装置11で読み込んで記憶部32に格納することにより、この品質判定装置11で使用可能になる。また、他の成形機で成形された成形物の画像を教師データ33として使用する場合、当該画像を品質判定装置11で読み込み、記憶部32に格納して機械学習を行うことができる。
【0070】
制御装置12は、上記品質判定装置11の判定結果に基づいて、定量供給機2、成形機3、振り分けコンベヤ5、溶融物投入コンベヤ8及び非溶融物投入コンベヤ9の動作を制御する。制御装置12は、例えばPLC(プログラム可能な論理回路の制御装置)等によって構成できるが、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報機器で構成してもよい。制御装置12は、品質判定装置11の判定結果以外に、操作者からの始動や停止等を指令する入力に基づいて制御を行う。また、制御装置12は、他の機器からの入力に基づいて制御を行ってもよい。また、制御装置12は、成形物の温度を測定する温度センサ等に基づいて制御を行ってもよい。また、制御装置12は、搬送コンベヤ4等の他の機器の制御を行ってもよい。
【0071】
上記構成の再生燃料製造設備1は、次のように動作する。
【0072】
図8は、再生燃料製造設備1の動作の流れを示すフロー図である。まず、操作者が、制御装置12に、運転開始時の運転条件を入力して設定する。運転条件は、材料の供給量や、加熱温度等が挙げられるが、材料の種類等の他の条件が入力可能であってもよい。運転開始の指令を操作者が入力すると、制御装置12は、成形機3及び搬送コンベヤ4を起動する。また、定量供給機2を起動し、設定された供給量の材料を成形機3に供給する(ステップS1)。これにより、成形機3が材料の成形を行う(ステップS2)。詳しくは、成形機3の投入口2aから投入された材料を、スクリュー18によって混合室16で混合し、先端側に導いて圧縮室17で圧縮する。この混合と圧縮の過程で、材料とスクリュー18の摩擦や、材料相互の摩擦によって生じる熱により、材料が100℃以上に昇温する。圧縮室17で圧縮した材料を成形ノズル22に導き、この成形ノズル22を通過する材料をヒータ23で加熱して140℃程度に更に昇温させ、成形ノズル22から排出して成形物を得る。なお、材料の加熱温度は、材料の成分や他の条件に応じて種々に設定可能である。
【0073】
成形機3で製造された成形物は、搬送コンベヤ4の搬送ベルト上に載置して搬送する。搬送コンベヤ4で搬送する成形物を、カメラ10で撮影して成形物の画像を取得する(ステップS3)。搬送コンベヤ4で搬送される成形物は、成形機3から排出された直後は加熱に伴って水蒸気が比較的多く生じるため、搬送コンベヤ4の搬送方向の後半側にカメラ10を配置している。
【0074】
カメラ10が成形物を撮影すると、この撮影画像に基づいて品質判定装置11が成形物の品質の判定を行い、成形物の良否を判定する(ステップS4)。詳しくは、品質判定装置11の演算処理部31が、学習済みの判別モデル34に成形物の画像を入力し、この判別モデル34による演算処理を行う。判別モデル34の演算処理の結果、良品又は不良品を示す出力を得て、この画像の成形物の品質を判定する。品質判定装置11は、演算処理部31が判別モデル34を用いて成形物の品質を判定すると、この成形物の品質を示す情報を制御装置12に出力する。
【0075】
制御装置12は、品質判定装置11から成形物の品質を示す情報を受け取ると、この品質を示す情報を確認し(ステップS5)、この情報に応じて定量供給機2、成形機3及び振り分けコンベヤ5等の制御を行う。例えば、成形物が不良品である情報を品質判定装置11から受け取ると(ステップS5でNO)、制御装置12は、温度センサの測定値を確認し、成形物が所定の基準温度よりも高いか否かを確認する(ステップS6)。成形物の温度が基準温度よりも低い場合(ステップS6でNO)、制御装置12は、定量供給機2の制御を変更し、定量供給機2が成形機3へ供給する材料の供給量を減少させる(ステップS7)。材料の供給の減少量は、所定の単位量として予め設定することができる。制御装置12が定量供給機2の材料供給量を減少させる制御を行うと、ステップS1に戻り、当該供給量にて定量供給機2から成形機3へ材料を供給し、ステップS2からS4までを行う。
【0076】
一方、成形物の温度が基準温度よりも高い場合(ステップS6でYES)、制御装置12は、定量供給機2の制御を変更し、定量供給機2が成形機3へ供給する材料の供給量を増加させる(ステップS8)。この後、ステップS1に戻り、当該供給量にて定量供給機2から成形機3へ材料を供給し、ステップS2からS4までを行う。
【0077】
また、制御装置12は、成形物が不良品である情報を品質判定装置11から受け取ると(ステップS5でNO)、振り分けコンベヤ5の制御を行い、搬送ベルトの搬送方向を、不良品箱7に向かう逆方向とする。これにより、振り分けコンベヤ5により、搬送コンベヤ4で搬送された成形物を不良品箱7に投入する。
【0078】
一方、制御装置12が品質判定装置11から受け取った情報が、成形物の良品を示す情報である場合(ステップS5でYES)、制御装置12は、定量供給機2の制御の変更を行わず、定量供給機2による材料の供給量を維持する(ステップS9)。
【0079】
また、制御装置12は、成形物が良品である情報を品質判定装置11から受け取ると(ステップS5でYES)、振り分けコンベヤ5の制御を行い、搬送ベルトの搬送方向を、良品箱6に向かう正方向とする。これにより、振り分けコンベヤ5により、搬送コンベヤ4で搬送された成形物を良品箱6に投入する。
【0080】
この後、制御装置12は、成形機3の停止を指令する入力の有無を確認し(ステップS10)、指令が無い場合は、ステップS1に戻り、ステップS1からS9までを行う。一方、成形機3の停止を指令する入力が有る場合は、成形機3と定量供給機2を停止する(ステップS11)。また、必要に応じて搬送コンベヤ4及び振り分けコンベヤ5を停止する。
【0081】
このように、本実施形態の再生燃料製造設備1は、成形機3の製造する成形物の品質を品質判定装置11で判定し、その判定に基づいて、定量供給機2の供給量を制御するので、成形機3の作動中に操作者が成形物を常に観察する必要が無い。したがって、成形物の品質に関する操作者の負担を少なくできる。また、品質判定装置11が、教師データ33に基づく機械学習により生成された判別モデル34を用いて成形物の品質を判別し、その判定結果に基づいて制御装置12が成形物の製造に関する制御を行うので、操作者の技量に頼ることなく、成形機3や成形機3に関連する機器を適切に操作できる。また、成形物の品質に応じて、成形機3や成形機3に関連する機器の制御を実質的に自動化できるので、操作者の操作負担を軽減できる。
【0082】
本実施形態において、成形物が不良品と判定されたとき、成形物の温度が基準温度よりも低い場合は、定量供給機2による材料の供給量を減少させたが、この制御は、材料に含有される水分量が比較的多い場合に適用するのが好ましい。水分量の多い材料の供給量を減少させることにより、成形機3内の材料の水分量を減少させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。ここで、成形機3から排出された成形物の水分を測定する水分計を設け、水分計の測定結果を制御装置12が受け取り、当該測定結果に応じて定量供給機2を制御することができる。
【0083】
また、本実施形態において、成形物が不良品と判定されたとき、成形物の温度が基準温度よりも高い場合は、定量供給機2による材料の供給量を増加させたが、この制御は、材料中のプラスチック等の溶融物が過剰に溶融したことや、成形物の炭化等に起因して、成形物が不良品と判定された場合に有効である。また、他の実施形態では、成形物が不良品と判定されたとき、定量供給機2に溶融物を投入する溶融物投入コンベヤ8及び/又は非溶融物投入コンベヤ9を制御し、溶融物と非溶融物の割合を変化させてもよい。例えば、成形物を構成する材料が、溶融物よりも非溶融物が比較的多いことに起因して不良品が生じた場合、溶融物投入コンベヤ8の投入量を増大し、及び/又は、非溶融物投入コンベヤ9の投入量を削減してもよい。これにより、定量供給機2から成形機3に供給される材料の構成を適正化し、成形物の不良を解消することができる。このように、材料の水分量若しくは成分に応じて、不良品と判定されたときの定量供給機2に関する制御内容は適宜変更可能である。
【0084】
また、本実施形態において、成形物が不良品と判定されたとき、定量供給機2の制御を変更したが、他の機器の制御を変更してもよい。例えば、成形物が不良品と判定されたとき、成形機3の回転体であるスクリュー18の回転数を増大させることができる。この制御は、材料の圧縮密度が低いことによって不良が生じた場合に有効であり、スクリュー18の回転数を増大させることにより、材料の圧縮密度を増大させて、成形物の不良を解消することができる。また、成形機3のスクリュー18の回転数を増大させる制御は、材料中の溶融物の溶融が不十分であることによって不良が生じた場合にも有効であり、スクリュー18の回転数を増大させることにより、材料の温度を上昇させて溶融物を十分に溶融できて、成形物の不良を解消することができる。また、成形機3のスクリュー18の回転数を増大させる制御は、材料の水分量が比較的多いことによって不良が生じた場合にも有効である。この場合、スクリュー18の回転数を増大させることにより、材料の混合や圧縮に伴う温度上昇を促進し、材料の水分の蒸発量を増加させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。一方、成形物が不良品と判定されたとき、成形機3の回転体であるスクリュー18の回転数を減少させてもよい。この制御は、材料中の溶融物の過剰な溶融や、材料の炭化が生じて不良が生じた場合に有効であり、スクリュー18の回転数を減少させることにより、材料の混合や圧縮により生じる熱を減少させて、材料の温度を低下させ、成形物の不良を解消することができる。
【0085】
また、本実施形態において、成形物が不良品と判定されたとき、成形機3の端面板21のヒータ23の加熱温度を変更する制御を行ってもよい。例えば、成形物が不良品と判定されたとき、ヒータ23の加熱温度を上昇させることができる。この制御は、材料中の溶融物の溶融が不十分であることによって不良が生じた場合に有効であり、ヒータ23の加熱温度を上昇させることにより、材料の温度が上昇して溶融物が十分に溶融し、成形物の不良を解消することができる。また、ヒータ23の加熱温度を上昇させる制御は、材料の水分量が多いことによって不良品が生じた場合にも有効である。この場合、ヒータ23の加熱温度を上昇させることにより、材料からの水分の蒸発量を増加させて材料の乾燥が進み、成形物の不良を解消することができる。一方、成形物が不良品と判定されたとき、成形機3の端面板21のヒータ23の加熱温度を低下させる制御を行ってもよい。この制御は、材料中の溶融物の過剰な溶解や、材料の炭化が生じて不良が生じた場合に有効であり、ヒータ23の加熱温度を低下させることにより、材料の温度が低下して、成形物の不良を解消することができる。ここで、成形機3から排出された成形物の温度を測定する温度センサを設け、温度センサの測定結果を制御装置12が受け取り、当該測定結果に応じてヒータ23の加熱温度を制御してもよい。
【0086】
また、本実施形態において、成形物が不良品と判定されたとき、材料の温度を下げる制御を行ってもよい。この制御は、成形機3内に散水ノズルを設け、この散水ノズルを、成形物が不良品と判定されたときに制御装置12で作動させて、材料に散水することにより実現できる。この制御は、材料中の溶融物の過剰な溶解や、材料の炭化が生じて不良が生じた場合に有効であり、散水により材料の温度を低下させることで、成形物の不良を解消することができる。この制御は、品質判定装置11の判定結果と、成形物の温度を測定する温度センサの測定結果とに基づいて行うことができる。
【0087】
また、本実施形態において、成形物が不良品と判定されたとき、成形機3のカッター装置の動作を変更する制御を行ってもよい。例えば、成形物が不良品と判定されたとき、成形機3のカッター装置による成形物の切断長さを短くすることができる。この制御は、成形物の長さが比較的長いことにより不良が生じた場合に有効であり、成形機3の成形ノズル22から排出される成形物の切断長さを短くすることにより、成形物の不良を解消することができる。また、成形物の長さが比較的短いことにより不良が生じた場合、成形機3のカッター装置による切断長さを長く制御することで、成形物の不良を解消することができる。ここで、成形機3から排出された成形物の寸法を測定する寸法測定装置を設け、寸法測定装置の測定結果を制御装置12が受け取り、当該測定結果に応じてカッター装置による成形物の切断長さを制御することができる。
【0088】
また、上記実施形態において、制御装置12は、品質判定装置11からの判定結果に基づいて定量供給機2や成形機3等の機器の制御を行うとき、品質判定装置11から同一の判定結果が所定期間又は所定回数継続して入力された場合に、上記機器の制御内容を変更するのが好ましい。例えば、所定回数として3回を設定し、品質判定装置11からの情報が良品の後に不良品であった場合、制御装置12は次のように制御を行う。すなわち、図8のフロー図において、制御装置12が品質判定装置11から受け取った情報が不良品を示す情報である場合(ステップS5でNO)、この不良品の情報が良品の情報の後に最初に受け取ったものであるときは、ステップS6をキャンセルして定量供給機2の制御を行わず、ステップS1に戻って成形機3による成形物の製造を継続する。続いて、ステップS1からS5を2度繰り返した後、3度目の不良品の情報を品質判定装置11から受け取ると、ステップS6を実行して定量供給機2の材料の供給量を減少させる。このような制御により、成形機3で製造される成形物の品質が安定して良品又は不良品が確定したうえで、品質に応じて定量供給機2や成形機3等の動作を変更することができる。したがって、定量供給機2や成形機3等の制御を安定に行うことができる。また、制御装置12は、不良品の判定に基づいて定量供給機2の材料の供給量を低減する制御を行った後、良品の情報を3回継続して受け取った後に、供給量を一定にする制御を行ってもよい。このような制御装置12の制御は、定量供給機2の供給量に限らず、成形機3のスクリュー18の回転数や、成形機3のヒータ23の加熱温度や、溶融物投入コンベヤ8及び非溶融物投入コンベヤ9による投入量や、カッター装置による成形物の切断長さ等に対して行ってもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、制御装置12は、品質判定装置11から所定回数又は所定期間継続して良品を示す情報を受け取った場合、定量供給機2の材料の供給量と、成形機3のスクリュー18の回転数の両方を、それぞれ増大させる制御を行ってもよい。これにより、成形機3による成形物の製造量を増大させて、再生燃料製造設備1の生産効率を高めることができる。
【0090】
図9は、本発明の再生材製造設備の第2実施形態としての再生燃料製造設備を示す模式図である。第2実施形態において、第1実施形態と実質的に同じ構成要素には第1実施形態と同じ符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0091】
第2実施形態の再生燃料製造設備101は、搬送コンベヤ4で搬送される成形物の寸法を測定する寸法測定装置としての3次元測定器110と、成形物の重量を測定する重量測定器103を備える点が、第1実施形態1と相違する。また、成形物の撮影画像と成形物の寸法とに基づいて、当該成形物の品質を判定する品質判定装置111を備える点が相違する。さらに、品質判定装置111による成形物の品質の判定結果に基づいて、定量供給機2、成形機3、搬送コンベヤ4及び振り分けコンベヤ5に加えて、重量測定器103の制御を行う制御装置112を備える点が相違する。
【0092】
3次元測定器110は、搬送コンベヤ4で搬送される成形物の立体的寸法を、レーザにより測定するものである。なお、3次元測定器110は、例えば赤外線を用いたもの等、レーザ以外の手段で寸法を測定するものでもよい。また、3次元測定器110は、搬送コンベヤ4の上方に設置することができるが、搬送コンベヤ4上の成形物の寸法を測定可能であれば、3次元測定器110の設置位置は特に限定されない。
【0093】
重量測定器103は、搬送コンベヤ4で搬送された成形物の重量を測定するものである。重量測定器103は、搬送コンベヤ4から受け取った成形物を収容する収容体と、成形物を収容した収容体の荷重を測定するロードセルを有する。収容体は、下部に開閉扉を有し、開閉扉が閉じると収容体内に成形物が貯留され、開閉扉が開くと収容体内の成形物が排出されるようになっている。
【0094】
品質判定装置111は、カメラ10の撮影画像と、3次元測定器110及び重量測定器103の測定値から求めた比重とに基づいて、上記カメラ10で撮影した成形物の品質を判定するものである。この品質判定装置111は、第1実施形態の品質判定装置11と同様に、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報機器で構成できる。上記品質判定装置111は、3次元測定器110及び重量測定器103の測定値から比重を求める際に、比重算出装置として機能する。
【0095】
第2実施形態の品質判定装置111は、第1実施形態と同様の演算処理部31、記憶部32、表示部35、入力部36及び通信I/F37を有する一方、記憶部32に記憶された教師データと判別モデルが、第1実施形態と異なる。詳しくは、品質判定装置111の教師データは、成形物の撮影画像と、当該成形物の比重を示す数値と、当該成形物のラベルである。このような教師データを用いて機械学習を行い、第2実施形態の品質判定装置111の判別モデルが作成される。
【0096】
制御装置112は、上記品質判定装置111の判定結果に基づいて、定量供給機2、成形機3、重量測定器103及び振り分けコンベヤ5の動作を制御するものである。この制御装置112は、第1実施形態の制御装置12と同様に、PLC等で構成できる。
【0097】
第2実施形態の再生燃料製造設備101は、次のように動作する。まず、操作者が運転開始の指令を入力すると、制御装置112が定量供給機2、成形機3及び搬送コンベヤ4を起動し、定量供給機2から材料を成形機3に供給して成形物の製造を開始する。成形機3で製造された成形物は、搬送コンベヤ4の搬送ベルト上に載置して搬送され、この成形物を、カメラ10で撮影して成形物の画像を取得する。続いて、搬送コンベヤ4上の成形物の寸法を、3次元測定器110で測定する。この後、成形物は、搬送コンベヤ4から重量測定器103に投入される。重量測定器103は、開閉扉を閉じた状態で、収容体内に成形物を受け取り、ロードセルにより重量の増分を検出して当該成形物の重量を測定する。なお、重量測定器103は、収容体内に所定期間に投入された成形物の全体の重量を測定してもよい。この場合、後述する比重の算定時において、同一の期間に3次元測定器110が計測した成形物の全体の寸法と、当該成形物の全体の重量とに基づいて、上記期間に投入された成形物の平均の比重を算出することができる。
【0098】
品質判定装置111は、重量測定器103から成形物の重量の情報を受け取ると、この重量の情報と、3次元測定器110から受け取った成形物の寸法の情報とに基づいて、成形物の比重を算出する。そして、カメラ10から受け取った成形物の撮影画像と、当該成形物の比重の情報とに基づいて、成形物の品質の判定を行う。詳しくは、品質判定装置111の演算処理部31が、学習済みの判別モデルに成形物の画像と比重を入力し、この判別モデルによる演算処理を行う。判別モデルの演算処理の結果、良品又は不良品を示す出力を得て、この画像の成形物の品質を判定する。品質判定装置111は、演算処理部31が判別モデルを用いて成形物の品質を判定すると、この成形物の品質を示す情報を制御装置112に出力する。
【0099】
制御装置112は、品質判定装置111から成形物の品質を示す情報を受け取ると、この情報に応じて定量供給機2、成形機3及び振り分けコンベヤ5等の制御を行う。すなわち、第1実施形態と同様に、成形物が不良品である情報を受け取ると、制御装置12は、定量供給機2が成形機3へ供給する材料の供給量を減少させる制御や、成形機3の回転数を増大させる制御や、成形機3のヒータ23の加熱温度を上昇させる制御等を行うことができる。
【0100】
また、制御装置112は、重量測定器103の収容体内の成形物が所定量に達すると、重量測定器103の収容体の開閉扉を開いて、振り分けコンベヤ5上に成形物を排出する。ここで、制御装置112は、重量測定器103の収容体の開閉扉を開閉するタイミングを調節して、収容体に成形品の良品のみ又は不良品のみが貯留するようにしてもよい。これにより、振り分けコンベヤ5により、成形品の良品と不良品を、高い純度で良品箱6と不良品箱7に振り分けることができる。
【0101】
本実施形態の再生燃料製造設備101によれば、品質判定装置111が、成形物の撮影画像と比重に基づいて、判別モデルを用いて成形物の品質を判定する。成形物の比重は、良品の方が不良品よりも高いので、成形物の撮影画像に比重の情報を加えて判定を行うことにより、精度の高い判定結果を得ることができる。したがって、再生燃料製造設備101で製造する成形物の良品の割合を高めて、効果的に生産効率を高めることができる。
【0102】
第2実施形態において、重量測定器103は、収容体内に成形物を貯留して重量を測定するバッチ式の測定器であったが、搬送コンベヤ4の途中に設置されて所定範囲に存在する成形物や個々の成形物の重量を順次測定する連続式の測定器であってもよい。
【0103】
また、第2実施形態は、3次元測定器110で成形物の寸法を測定すると共に、重量測定器103で成形物の重量を測定し、これらの測定値から算出した成形物の比重と、成形物の画像とを用いて成形物の品質を判定したが、成形物の寸法と画像を用いて品質を判定してもよい。この場合、第1実施形態の再生燃料製造設備1に、3次元計測装置110を設け、この3次元計測装置110の測定値と、カメラ10の撮影画像とを判別モデルに入力して当該成形物の品質を判定する。この場合、教師データとして、成形物の画像及び寸法とラベルを組み合わせて機械学習を行い、判別モデルを生成する。図4の成形物の良品の画像から分かるように、成形物の良品は、略矩形状を有し、幅方向の寸法が、成形機3の成形ノズル22の開口径に比較的近い値を有して略均一である。一方、図5の成形物の不良品の画像から分かるように、成形物の不良品は、不定形であり、計測位置によって幅方向や長さ方向の寸法が不均一である。また、図6の成形物の不良品の画像から分かるように、成形物の不良品は、良品よりも長さが大きく、また、端部が先細りの形状であり、全体として湾曲度合いの大きい蔓状や蛇行状の形状である。これらの特徴から、成形物の画像と寸法に基づいて、当該成形物の品質の判別が可能になる。
【0104】
図10は、本発明の再生材製造設備の第3実施形態としての再生燃料製造設備の一部を示す模式図である。第3実施形態において、第1実施形態と実質的に同じ構成要素には第1実施形態と同じ符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0105】
第3実施形態の再生燃料製造設備201は、廃棄物の材料を成形する成形機3の下流側に、密閉型搬送装置としての水封式コンベヤ205が配置されている。水封式コンベヤ205は、成形機3で成形された比較的高温の成形物29を冷却しながら搬送するために設置される。第3実施形態の再生燃料製造設備201は、搬送コンベヤ4に替えて水封式コンベヤ205を用いる以外は、第1実施形態の再生燃料製造設備1と実質的に同じ構成を有する。
【0106】
第3実施形態の再生燃料製造設備201の成形機3は、図10に示すように、成形ノズル22で成形されて排出された材料を所定長さに切断するためのカッター装置25が、端面板21に取り付けられている。このカッター装置25は、成形ノズル22の先端側で回転駆動される回転刃26と、この回転刃26を駆動するモータ27を有し、第1実施形態と同様の制御装置12によって動作が制御される。このカッター装置25は、制御装置12によりモータ27の回転数が制御され、回転刃26の回転数が制御されて、成形ノズル22から排出された成形物29の切断長さが調節される。カッター装置25で切断された成形物29は、カッター装置25の下端に設けられた排出口28から落下して排出されるようになっている。
【0107】
水封式コンベヤ205は、冷却水を蓄えて被運搬物が投入される水槽と、この水槽内を移動して水槽内に投入された被搬送物を搬送する複数のスクレーパと、スクレーパで水槽から搬送されて引き揚げられた被運搬物を排出する排出口を備える。この水封式コンベヤ205は、水槽へ被搬送物を投入する投入口206が、成形機3の排出口28の下方に配置されるように設置されている。
【0108】
第3実施形態の再生燃料製造設備201では、上記成形機3と水封式コンベヤ205の間に、撮影装置としてのカメラ10と温度センサ115が配置されている。詳しくは、成形機3の排出口28から排出された成形物29が落下して水封式コンベヤ205の投入口206に受け取られるまでの間に、上記成形物29を撮影可能な位置にカメラ10が設置されていると共に、上記成形物29の温度を測定可能な位置に温度センサ115が配置されている。上記カメラ10は、第1実施形態と同様の品質判定装置11に接続されている。また、上記温度センサ115は、第1実施形態と同様の制御装置12に接続されている。
【0109】
第3実施形態の再生燃料製造設備201は、品質判定装置11によって判別モデル34の機械学習を行う場合、成形機3の排出口28から排出されて落下する成形物29をカメラ10で撮影し、この撮影画像を教師データ33に用いて入力する。このときに入力するラベルは、上記カメラ10で撮影された成形物29が水封式コンベヤ205で搬送されて排出された後に、成形物29を確認した検査者が入力部36を用いて品質判定装置11に入力する。
【0110】
このほか、判別モデル34は、他の成形機で成形されて排出口から落下する成形物の撮影画像と、当該撮影画像について設定されたラベルの情報とを教師データ33に用いて、当該品質判定装置11で作成されたものを用いてもよい。すなわち、上記判別モデル34は、上記成形機3以外の成形機で成形されて上記カメラ10以外のカメラで撮影された成形物の撮影画像を用いて機械学習を行ってもよい。また、上記判別モデル34は、上記成形機3又は他の成形機で成形した成形物29の撮影画像と、当該撮影画像について設定されたラベルの情報とを教師データとして、上記品質判定装置11と同様の機能を有する他の情報機器で機械学習を行って作成されたものを用いてもよい。この場合、他の情報機器で作成された判別モデル34を、上記品質判定装置11で読み込んで記憶部32に格納することにより、この品質判定装置11で使用可能になる。また、他の成形機で成形された成形物の画像を教師データ33として使用する場合、当該画像を品質判定装置11で読み込み、記憶部32に格納して機械学習を行うことができる。
【0111】
以上のように生成された判別モデル34は、成形機3で実際に成形した成形物29の品質を判別するために用いられる。具体的には、再生燃料製造設備201が備える品質判定装置11の演算処理部31が、排出口28から排出された成形物29をカメラ10で撮影してなる撮影画像を学習済みの判別モデル34に入力し、この判別モデル34による演算処理を行う。判別モデル34の演算処理の結果、良品又は不良品を示す出力を得て、この画像の成形物29の品質を判定する。品質判定装置11は、演算処理部31が判別モデル34を用いて成形物29の品質を判定すると、この成形物29の品質を示す情報を制御装置12に出力する。
【0112】
制御装置12は、品質判定装置11から成形物29の品質を示す情報を受け取ると、この情報に応じて定量供給機2、成形機3及び振り分けコンベヤ5等の制御を行う。例えば、成形物29が不良品である情報を品質判定装置11から受け取ると、制御装置12は、温度センサ115の測定値を確認し、成形物29が所定の基準温度よりも高いか否かを確認する。成形物29の温度が基準温度よりも低い場合、制御装置12は、定量供給機2の制御を変更し、定量供給機2が成形機3へ供給する材料の供給量を減少させる。一方、温度センサ115で測定された成形物29の温度が基準温度よりも高い場合、制御装置12は、定量供給機2の制御を変更し、定量供給機2が成形機3へ供給する材料の供給量を増加させる。
【0113】
また、第3実施形態において、成形物29が不良品と判定されたときの各機器に対する制御は、第1実施形態における場合と同様の制御を行うことができる。すなわち、成形物29が不良品と判定されたとき、定量供給機2に溶融物を投入する溶融物投入コンベヤ8及び/又は非溶融物投入コンベヤ9を制御し、溶融物と非溶融物の割合を変化させてもよい。また、成形物29が不良品と判定されたとき、成形機3の回転体であるスクリュー18の回転数を変更してもよい。また、成形物29が不良品と判定されたとき、成形機3の端面板21のヒータ23の加熱温度を変更する制御を行ってもよい。また、成形物29が不良品と判定されたとき、成形機3内に設けた散水ノズルで材料に散水し、材料の温度を下げる制御を行ってもよい。また、成形物29が不良品と判定されたとき、成形機3のカッター装置の動作を変更する制御を行ってもよい。また、制御装置12は、品質判定装置11からの判定結果に基づいて定量供給機2や成形機3等の機器の制御を行うとき、品質判定装置11から同一の判定結果が所定期間又は所定回数継続して入力された場合に、上記機器の制御内容を変更するのが好ましい。また、制御装置12は、品質判定装置11から所定回数又は所定期間継続して良品を示す情報を受け取った場合、定量供給機2の材料の供給量と、成形機3のスクリュー18の回転数の両方を、それぞれ増大させる制御を行ってもよい。
【0114】
また、第3実施形態において、成形機3で成形されて排出口28から排出された成形物29が落下して水封式コンベヤ205の投入口206に受け取られるまでの間に、この成形物29の2次元の寸法又は3次元の寸法を測定する寸法測定装置を設けてもよい。この寸法測定装置で測定した2次元又は3次元の寸法と、成形物29の撮影画像とに基づいて、当該成形物29の品質を判定してもよい。
【0115】
また、第3実施形態において、成形機3で成形した成形物29を冷却しながら搬送するために水封式コンベヤ205を用いたが、水封式コンベヤ205以外に、粉塵拡散防止や他の目的のために、他の密閉型搬送装置を配置してもよい。
【0116】
上記第1実施形態の再生燃料製造設備1は成形物の撮影画像に基づいて、上記第2実施形態の再生燃料製造設備101は成形物の撮影画像と寸法に基づいて、上記第3実施形態の再生燃料製造設備201は成形物29の撮影画像に基づいて、当該成形物の品質を判定したが、いずれの再生燃料製造設備も、成形物の含有水分量に基づいて品質の判断を行ってもよい。例えば第1実施形態の場合、成形機3で製造された成形物の水分量を測定する水分測定器を設置し、この水分測定器の測定値を、カメラ10の撮影画像と共に判別モデル34に入力する。この判別モデル34は、成形物の画像及び水分量とラベルを、教師モデルとして機械学習を行って生成する。
【0117】
上記第2実施形態の再生燃料製造設備101は、寸法測定装置としての3次元測定器110で成形物の立体的寸法を測定し、撮影画像と立体的寸法に基づいて当該成形物の品質を判定したが、寸法測定装置は成形物の2次元の寸法を測定するものでもよい。
【0118】
また、上記各実施形態において、撮影装置としてのカメラ10は、動画と静止画のいずれを撮影するものであってもよい。
【0119】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、成形物の不良品を不良品箱7に投入したが、この不良品箱7の不良品は、定量供給機2に戻して材料として再利用してもよい。
【0120】
また、第1乃至第3実施形態において、成形機として2軸スクリュー式の押出成形機を用いたが、1軸スクリュー式の押出成形機や、リングダイ式成形機等の他の成形機を用いてもよい。
【0121】
また、第1乃至第3実施形態において、再生材の材料として、家庭や事業所等から回収された廃棄物を用いたが、本発明で用いる廃棄物は、排出元は限定されない。本発明において、再生材の材料の廃棄物は、プラスチック等の溶融物と、古紙や廃木材等の非溶融物とを含み、不要物として排出されたものを広く用いることができる。
【0122】
また、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態において、再生材としての再生燃料を製造する再生燃料製造設備について説明したが、鎮静剤等の他の再生材を製造する設備に対して、本発明は適用可能である。
【0123】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0124】
1,101,201 再生燃料製造設備
2 定量供給機
3 成形機
4 搬送コンベヤ
5 振り分けコンベヤ
6 良品箱
7 不良品箱
8 溶融物投入コンベヤ
9 非溶融物投入コンベヤ
10 カメラ
11,111 品質判定装置
12,112 制御装置
15 ケーシング
16 混合室
17 圧縮室
18 スクリュー
21 端面板
22 成形ノズル
23 ヒータ
25 カッター装置
31 演算処理部
32 記憶部
35 表示部
36 入力部
37 通信I/F
33 教師データ
34 判別モデル
103 重量測定器
110 3次元測定器
115 温度センサ
205 水封式コンベヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10