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特許7544375学習支援システム、方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】学習支援システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20240827BHJP
【FI】
G06Q50/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020208599
(22)【出願日】2020-12-16
(62)【分割の表示】P 2020091482の分割
【原出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021190078
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503128216
【氏名又は名称】株式会社フォーサイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩司
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053144(JP,A)
【文献】特許第6595136(JP,B1)
【文献】特開2004-061743(JP,A)
【文献】特開2015-166815(JP,A)
【文献】特許第6683906(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習者が行う学習に関連する情報を取得する取得部と、
前記学習に関連する情報に基づいて、前記学習者に対するポイントの付与および剥奪を行う計算部と、
前記ポイントの情報を前記学習者に提示する提示部と、を有し、
前記取得部は、前記学習者が行った学習行動に関する情報である学習行動情報と、前記学習者のテスト結果に関する情報であるテスト結果情報とを取得し、
前記計算部は、前記学習行動情報に基づいて前記学習者にポイントを付与し前記学習者のポイントの剥奪をせず、前記テスト結果情報に基づいて前記学習者にポイントを付与せず前記学習者のポイントを剥奪する、
学習支援システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記学習行動情報として、前記学習者が前記学習行動を実行した時間に関する情報を取得し、
前記計算部は、前記学習行動を実行した時間に基づいて前記学習者にポイントを付与する、
請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記学習行動には、テキストの精読と、講義映像の視聴と、問題演習とが含まれる、
請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記学習者による学習の効率に間接的に影響する間接行動に関する情報である間接行動情報を更に取得し、
前記計算部は、前記学習行動および前記間接行動に基づくポイントを前記学習者に付与する、
請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項5】
前記学習行動情報には、前記学習者が前記学習行動を実行した時間に関する情報が含まれ、
前記間接行動情報には、前記学習者の睡眠時間の情報および睡眠時間帯の情報が含まれ、
前記計算部は、当日の前記学習行動を実行した時間に基づき算出されるポイントの値に、前日の睡眠時間の情報および該睡眠時間帯の情報に基づく係数を乗算して算出されるポイントを前記学習者に付与する、
請求項4に記載の学習支援システム。
【請求項6】
前記学習支援システムは、本試験に合格するための学習を支援するシステムであり、
過去の複数の学習者について、該学習者の学習行動とテスト結果とポイントと前記本試験の合否とを機械学習し、ポイントと本試験の合格確率とが相関するように、前記学習行動および前記テスト結果に対して付与または剥奪するポイントの調整を行う学習部を更に有し、
前記計算部は、前記調整の結果に基づいて、前記学習行動および前記テスト結果に対してポイントを付与または剥奪する、
請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項7】
前記学習行動に対して付与するポイントは、前記学習行動に属する行動の分類に対して設定される所定の基準配点と、該分類の具体的な行動に対して設定される所定の係数とを乗算した値であり、
前記学習部は、前記学習により、前記基準配点と前記係数のいずれか一方または両方を調整する、
請求項6に記載の学習支援システム。
【請求項8】
学習者が行う学習に関連する情報を取得し、
前記学習に関連する情報に基づいて、前記学習者に対するポイントの付与および剥奪を行い、
前記ポイントの情報を前記学習者に提示することをコンピュータが実行する学習支援方法において、
前記学習者が行った学習行動に関する情報である学習行動情報と、前記学習者のテスト結果に関する情報であるテスト結果情報とを取得し、
前記学習行動情報に基づいて前記学習者にポイントを付与し前記学習者のポイントの剥奪をせず、前記テスト結果情報に基づいて前記学習者にポイントを付与せず前記学習者のポイントを剥奪する、
学習支援方法。
【請求項9】
学習者が行う学習に関連する情報を取得し、
前記学習に関連する情報に基づいて、前記学習者に対するポイントの付与および剥奪を行い、
前記ポイントの情報を前記学習者に提示することをコンピュータに実行させるための学習支援プログラムにおいて、
前記学習者が行った学習行動に関する情報である学習行動情報と、前記学習者のテスト結果に関する情報であるテスト結果情報とを取得し、
前記学習行動情報に基づいて前記学習者にポイントを付与し前記学習者のポイントの剥奪をせず、前記テスト結果情報に基づいて前記学習者にポイントを付与せず前記学習者のポイントを剥奪する、
学習支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、学習者の学習を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
長期にわたり学習意欲を維持し、継続的に学習を行うことが求められる。
【0003】
特許文献1には、学習意欲の維持を図るための技術が提案されている。特許文献1に開示された仕組みは、仮想空間内でゲーム形式による学習を進め、学習が進捗するにつれて地位やポイント、景品等の特別の特典が得られる仕組みである。例えば、森林や森といった仮想空間内で発見した動植物の名前を当てればポイントが得られ、危険な場所を無事に通り過ぎればポイントが得られる。また、無茶な行動をして危険に遭遇するとポイントが減点される。
【0004】
学習者は、ポイントの取得と減点を繰り返しながら概ゲーム形式による学習を進め、ある一定水準のポイント数を超えればポイント数に応じた景品と交換できる。学習を進めることにより景品等に交換できるポイントを獲得できるので、学習者の学習意欲の維持に貢献することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-225129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のシステムでのポイント制御は、好ましい行動をするとポイントが得られ、好ましくない行動をするとポイントが減点されるという単純なものであり、継続的な学習が求められ、習慣化とモチベーションの維持が重要となる受験や資格試験等の学習において、学習を効果的に支援できていない可能性があった。
【0007】
本開示のひとつの目的は、学習を効果的に支援することを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のひとつの実施態様に従う学習支援システムは、学習者が行う学習に関連する情報を取得する取得部と、前記学習に関連する情報に基づいて、前記学習者に対するポイントの付与および剥奪を行う計算部と、前記ポイントの情報を前記学習者に提示する提示部と、を有し、前記取得部は、前記学習者が行った学習行動に関する情報である学習行動情報と、前記学習者のテスト結果に関する情報であるテスト結果情報とを取得し、前記計算部は、前記学習行動情報および前記テスト結果情報に基づいて、前記学習者へのポイントの付与および前記学習者からのポイントの剥奪を行う。
【発明の効果】
【0009】
本開示のひとつの態様によれば、学習者の学習を効果的に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】学習支援システムのブロック図である。
図2】学習支援システムのポイント算出処理のフローチャートである。
図3】学習行動ポイント算出情報を示すテーブルである。
図4】間接行動ポイント算出情報を示すテーブルである。
図5】学習者に付与されたポイントの一例を示すテーブルである。
図6】テスト結果ポイント算出情報を示すテーブルである。
図7】学習支援システムの算出条件更新処理のフローチャートである。
図8】学習支援システムのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、学習支援システムのブロック図である。
【0013】
学習支援システム10は、学習者80がパーソナルコンピュータ、スマートホンおよびタブレット端末などの情報端末装置を利用し、ブラウザあるいはアプリケーションソフトウェアにより、インターネットなどのネットワーク経由で接続可能な情報処理システムである。学習支援システム10は、所定の試験の本試験を受験する準備としての学習を行う学習者80の学習を支援する。所定の試験は、国家試験、資格試験、技能検定試験、入学試験などの試験である。学習支援システムは、学習者の学習に関連する行動に基づいて学習者へのポイントの付与および学習者からのポイントの剥奪を行う。ポイントは、学習者80のアカウントに対して付与される電子的な点数である。ポイントは例えば商品やサービスの代金の代わりに利用できるものであってもよい。ある行為に対してポイントを付与することは、その行為に対するインセンティブとなる。学習支援システムは、ポイントの付与および剥奪を巧妙に制御することにより学習者80に好ましい習慣を付けさせ、高いモチベーションを維持して効果的な学習を行えるように支援する。
【0014】
図1を参照すると、学習支援システム10は、取得部11、計算部12、提示部13、行動情報データベース(DB)14、テスト結果情報DB15、ポイント算出情報DB16、ポイント情報DB17、および学習部18を有している。
【0015】
取得部11は、学習者80による学習に関連する情報を取得し、記録する。例えば、取得部11は、情報入力画面を表示して学習者80に情報の入力を促し、入力された情報を取得して記録してもよい。あるいは、学習支援システム10が、学習者80にオンライン学習のコンテンツを提供する学習システム(不図示)と連携しており、取得部11は、学習システムから、学習に関連する情報を取得してもよい。
【0016】
学習者80による学習に関連する情報として、行動情報と、テスト結果情報とが含まれる。行動情報は、学習者80が行った学習行動を示す学習行動情報の他、学習の効率に間接的に影響する間接行動を示す間接行動情報を含んでいてもよい。学習行動は、例えば、テキストの精読、講義コンテンツの視聴、問題演習などである。間接行動は、運動、朝の食事、午後の仮眠、夜の睡眠などである。取得部11は、行動情報は行動情報DB14に記録し、テスト結果情報をテスト結果情報DB15に記録する。
【0017】
計算部12は、学習者80が保有しているポイントをポイント情報DB17上で管理し、学習者80の学習に関連する情報に基づいて、学習者80に対するポイントの付与および剥奪を行う。計算部12は、ポイント算出情報DB16に格納されているポイント算出情報に示される算出条件に従って、学習者80の行動情報に基づき学習者80に付与するポイントを算出する。また、計算部12は、ポイント算出情報DB16に格納されているポイント算出情報に示される算出条件に従って、学習者80のテスト結果情報に基づき学習者80から剥奪するポイントを算出する。
【0018】
提示部13は、学習者80が保有しているポイントの情報を学習者に提示する。例えば、提示部13は、行動情報またはテスト結果情報が更新され、ポイントの付与あるいは剥奪が生じたときに、学習者80に付与されたポイントあるいは剥奪されたポイントと学習者80が保有するポイントとを画面に表示することにしてもよい。また、学習支援システム10あるいはオンライン学習のコンテンツを提供する学習システム(不図示)に学習者80がログインあるいはログアウトするときに、学習者80が保有しているポイントを画面に表示することにしてもよい。
【0019】
学習部18は、本試験を受験し合否の結果が出ている過去の複数の学習者について、各学習者の学習行動とテスト結果とポイントと本試験の合否とを機械学習し、その学習者のポイントと本試験の合格確率とが相関するように、学習行動に属する行動およびテスト結果である得点に対して付与または剥奪するポイントの調整を行い、調整結果の算出条件をポイント算出情報DB16に記録する。
【0020】
図2は、学習支援システムのポイント算出処理のフローチャートである。ポイント算出処理は、取得部11、計算部12、および提示部13により実行される。
【0021】
まず、取得部11が、行動情報が入力されたか否か判定する(ステップS101)。学習行動および/または間接行動の行動情報が入力されていれば、取得部11は、その入力された行動情報を取得する(ステップS102)。
【0022】
本実施例では、一例として、学習行動の情報として、勉強時間と、その中で、テキストの精読を行った時間と、講義の視聴を行った時間と、問題演習を行った時間とが取得される。
【0023】
勉強時間として、勉強を行った合計の時間と、その内訳として、午前の勉強時間と、午後の勉強時間と、夜の勉強時間とが取得される。
【0024】
また、テキストの精読を行った時間は、ただテキストを精読する勉強時間と、(1)なるべく早く音読でテキストを読んだ勉強時間と、(2)重要なことをメモしながら読む勉強時間と、(3)重要なことをメモしながらなるべく早く音読でテキストを読む勉強時間とに分類して取得される。
【0025】
講義を視聴した時間は、ただ漠然と視聴していた勉強時間と、(1)メモを取りながらしっかり視聴していた勉強時間と、(2)講義にいちいちう頷きながらしっかり視聴していた勉強時間と、(3)重要事項を復唱しながら視聴していた勉強時間数と、(4)上記メモを取る、頷く、および復唱するという3つのうち2つを同時に行いながら、講義を視聴していた勉強時間と、(5)上記メモを取る、頷く、復唱するという3つを同時に行いながら、講義を視聴していた勉強時間と、に分類して取得される。
【0026】
問題演習を行った時間は、ただ問題を演習する勉強時間と、(1)時間を測って演習する勉強時間と、(2)間違っている箇所を正しい内容に書き出しながら演習する勉強時間と、(3)時間を測り間違っている箇所を正しい内容に書き出しながら演習する勉強時間とに分類して取得される。
【0027】
また、間接行動の情報として、睡眠時間および睡眠時間帯と、午後の仮眠の有無、朝食を取ったか否かと、運動を行った時間とが取得される。
【0028】
睡眠時間は、(1)6時間未満と、(2)6時間以上7時間未満と、(3)7時間以上8時間未満と、(4)8時間以上10時間未満と、(5)10時間以上とに分類して取得される。睡眠時間帯は、就寝開始時刻により、(1)就寝開始が22時台と、(2)就寝開始が23時台と、(3)就寝開始が24時台と、(4)就寝時間が1時台と、(5)就寝開始が2時以降と、に分類して取得される。睡眠時間と睡眠時間帯は、就寝開始時刻と起床時刻とを取得し、それらから算出することにしてもよい。
【0029】
午後の仮眠の有無は、午後に20~40分の仮眠を行ったか否かで決まる。
【0030】
朝食を取ったか否かは、(1)あり、(2)なしに分類される。
【0031】
運動を行った時間は、毎日その日に運動を行った時間を取得して1週間分を集計し、(1)30分以上の運動を週5回以上行ったと、(2)50分以上の運動を週2回以上行ったと、(3)上記(1)(2)のいずれにも該当しなかったとに分類される。
【0032】
図2に戻り、続いて、計算部12が、取得された行動情報に基づいて、学習者80に付与するポイントを算出し、学習者80が保有しているポイントに加算する(ステップS103)。学習者80に付与するポイントは、行動ポイント算出情報に定められた算出条件に従って算出される。ポイント算出情報は、ポイント算出情報DB16に予め格納されている。
【0033】
行動ポイント算出情報には、学習行動ポイント算出情報と、間接行動ポイント算出情報とが含まれる。
【0034】
図3は、学習行動ポイント算出情報を示すテーブルである。
【0035】
学習行動ポイント算出情報20は、日毎の学習行動について学習行動に基づき学習者80に付与するポイントを算出するときに用いる算出条件が定められている。算出条件は、学習行動の各項目の各学習行動の具体的内容について、基準配点と、ライフスタイル指数とが定められている。基準配点とライフスタイル指数を乗算することにより、学習者80に付与するポイントを算出することができる。
【0036】
例えば、全体の勉強時間について基準配点が100である。全体の勉強時間のうち(1)午前の勉強時間については、ライフスタイル指数が時間数×2である。(2)午後の勉強時間については、ライフスタイル指数は時間数×1.5である。(3)夜の勉強時間については、ライフスタイル指数は時間数×1である。したがって、学習者80がその日の午前に2時間学習を行った場合、ライフスタイル指数は2×2=4なので、付与されるポイントは、100×4=400ポイントとなる。また、本実施例では、効果的な学習行動に該当しない行動については、負のライフスタイル指数が設定されている。例えば、全体の勉強時間について、その日には勉強を全くしなかった場合、ライフスタイル指数が0(ゼロ)である。したがって、学習者80がその日全く学習を行わなかった場合、付与されるポイントは、100×0=0ポイントとなる。
【0037】
図4は、間接行動ポイント算出情報を示すテーブルである。
【0038】
間接行動ポイント算出情報30は、間接行動についてその間接行動に基づき学習者80に付与するポイントを算出するときに用いる算出条件が定められている。算出条件は、間接行動の各項目の各分類について、基準配点と、ライフスタイル指数とが定められている。基準配点とライフスタイル指数を乗算することにより、学習者80に付与するポイントを算出することができる。
【0039】
例えば、睡眠時間について基準配点が20である。そして、分類が、(1)6時間未満であれば、ライフスタイル指数は、翌日の勉強時間×0.6である。分類が、(2)6時間以上7時間未満であれば、ライフスタイル指数は、翌日の勉強時間×0.9である。分類が、(3)7時間以上8時間未満であれば、ライフスタイル指数は、翌日の勉強時間×1である。分類が、(4)8時間以上10時間未満であれば、ライフスタイル指数は、翌日の勉強時間×0.9である。分類が、(5)10時間以上であれば、ライフスタイル指数は、翌日の勉強時間×0.8である。したがって、学習者80の、ある日の睡眠時間が7時間であり、翌日の勉強時間が3時間えあれば、ライフスタイル指数は、3×1=3なので、付与されるポイントは、20×3=60ポイントとなる。
【0040】
また、例えば、運動について基準配点が140である。運動については1週間毎にポイントが付与され、基準配点は1週間に対する値である。分類が、(1)30分の運動を週5回行ったというものであれば、ライフスタイル指数は、その週の勉強時間×1.1である。分類が、(2)50分の運動を週2回行ったというものであれば、ライフスタイル指数は、その週の勉強時間×1である。分類が、(3)の(1)にも(2)にも該当しないというものであれば、ライフスタイル指数は、その週の勉強時間×0.9である。例えば、30分の運動を週5回行い、その週の勉強時間が15時間であれば、ライフスタイル指数は15×1.1=16.5となり、その週に付与されるポイントは、140×16.5=2310となる。
【0041】
図5は、学習者に付与されたポイントの一例を示すテーブルである。
【0042】
図5において、ポイント情報40には一例として11月1日月曜日から11月7日日曜日までに学習者80に付与されたポイントの情報が示されている。ポイント情報40には、日ごとに、学習行動および間接行動の項目と、行動の具体的内容と、その行動により付与された行動毎のポイントと、その日に付与されたポイントの小計と、累積されたポイントとが記録される。例えば、11月1日の月曜日には、学習者80は、午前に1時間学習を行ったことで200ポイントを獲得し、夜に1時間学習を行ったことで100ポイントを獲得している。
【0043】
図2に戻り、続いて、提示部13が、算出された付与されるポイントを画面に表示して学習者80に提示する(ステップS104)。
【0044】
ステップS104の後、あるいは、ステップS101で行動情報が入力されていなかったとき、取得部11が、テスト結果情報が入力されたか否か判定する(ステップS105)。
【0045】
本実施例では、一例として、テストとして学習コンテンツ内試験と模擬試験とがある。学習コンテンツ内試験は、学習者80にオンライン学習のコンテンツを提供する学習システムが学習コンテンツと連動させて提供する試験コンテンツである。試験コンテンツは、例えば、複数の問題について、問題を示す文字情報とその問題の解答欄となる入力フォームとを含むWebページ情報であり、画面を通じて、学習者80に試験の問題を提示し、学習者80が入力した問題に対する解答を取得し、その解答の正誤を判定する。試験コンテンツのテスト結果は学習者80が取った得点である。試験コンテンツには、講義コンテンツの途中で提供する理解度確認試験(チェックテスト)のコンテンツと、講義コンテンツによる所定の単元の終了後に提供する正解力確認試験(確認テスト)と、暗記すべき事項を問う暗記試験(合格カード)とがある。模擬試験は、本試験を模擬した問題を学習者80に提示し、その問題に対して解答させるテストである。
【0046】
テスト結果情報が入力されていなければ、一連のポイント算出処理を終了する。いずれかのテスト結果情報が入力されていれば、取得部11は、そのテスト結果情報を取得する(ステップS106)。
【0047】
次に、計算部12は、取得されたテスト結果情報に基づいて、学習者80から剥奪するポイントを算出し、学習者80が保有しているポイントから減算する(ステップS107)。学習者80から剥奪するポイントは、テスト結果ポイント算出情報に定められた算出条件に従って算出される。テスト結果ポイント算出情報は、ポイント算出情報DB16に予め格納されている。
【0048】
図6は、テスト結果ポイント算出情報を示すテーブルである。テスト結果ポイント算出情報50には、各試験種別について、得点の範囲と、剥奪するポイントとの対応付けが設定されている。
【0049】
試験コンテンツによる試験である、チェックテスト、確認テスト、および合格カードは、一例として、満点が100点であり、基準点が80点である。得点が80点に満たない場合にポイントを剥奪する。得点が75点から79点までであれば、10000ポイントを剥奪する。得点が70点から74点までであれば、20000ポイントを剥奪する。得点が65点から69点までであれば、30000ポイントを剥奪する。得点が60点から64点までであれば、40000ポイントを剥奪する。得点が59点以下であれば、50000ポイントを剥奪する。
【0050】
模擬試験は、一例として、満点が50点であり、基準点が35点である。得点が35点に満たない場合にポイントを剥奪する。得点が30点から34点までであれば、5000ポイントを剥奪する。得点が25点から29点までであれば、10000ポイントを剥奪する。得点が20点から24点までであれば、20000ポイントを剥奪する。得点が19点以下であれば、50000ポイントを剥奪する。
【0051】
図2に戻り、続いて、提示部13が、算出された剥奪されるポイントを画面に表示して学習者80に提示し(ステップS108)、一連のポイント算出処理を終了する。
【0052】
図7は、学習支援システムの算出条件更新処理のフローチャートである。算出条件更新処理は、学習部18により実行される。
【0053】
まず、学習部18は、行動情報DB14、テスト結果情報DB15、およびポイント情報DB17から、本試験を受験し合否の結果が出ている過去の複数の学習者について、各学習者の過去の学習行動、テスト結果、およびポイントの情報を取得する(ステップS201)。次に、学習部18は、それら過去の複数の学習者の本試験の結果すなわち合否の情報を取得する(ステップS202)。次に、学習部18は、過去の各学習者の学習行動とテスト結果とポイントと本試験の合否とを機械学習し、その学習者が獲得したポイントと本試験の合格確率とが相関するように、学習行動に属する行動およびテスト結果である得点に対して付与または剥奪するポイントの値を調整する(ステップS203)。なお、ここで用いる機械学習の手法は特に限定されない。
【0054】
上述したように、行動に対して付与するポイントは、行動の分類に対して設定される基準配点と、その分類の具体的な行動に対して設定されるライフスタイル指数とを乗算した値である(図3図4も参照)。ここでは、学習部18は、例えば、学習行動および/または間接行動における基準配点および/またはラフスタイル指数の値を調整してもよい。
【0055】
更に、学習部18は、調整結果に基づいて、ポイント算出情報DB16における学習行動ポイント算出情報および/または間接行動ポイント算出情報を更新する。
【0056】
図8は、学習支援システムのハードウェア構成を示す図である。
【0057】
本実施形態では、学習支援システム10はインターネット等の通信ネットワーク90経由で学習者80の端末装置78と接続する。学習者80は、端末装置78上のブラウザ79を用いて学習支援システム10に接続し、そのサービスを利用する。学習支援システム10は、ハードウェアとして、処理装置71、メインメモリ72、記憶装置73、通信装置74、入力装置75、および表示装置76を有し、それらがバス77に接続されている。
【0058】
記憶装置73は、書込みおよび読み出しが可能にデータを記憶するものであって、この記憶装置73によって、図1に示した行動情報DB14、テスト結果情報DB15、ポイント算出情報DB16、ポイント情報DB17が実現される。処理装置71は、記憶装置73に記憶されたデータをメインメモリ72に読み出し、メインメモリ72を利用してソフトウェアプログラムの処理を実行するプロセッサである。処理装置71によって、図1に示した取得部11、計算部12、提示部13、および学習部18が実現される。通信装置74は、処理装置71にて処理された情報を有線または無線あるいはそれら両方を含む通信ネットワーク90を介して送信し、また通信ネットワーク90を介して受信した情報を処理装置71に伝達する。受信した情報は処理装置71にてソフトウェアの処理に利用される。入力装置75は、キーボードやマウスなどオペレータによる操作入力による情報を受け付ける装置であり、入力された情報は処理装置71にてソフトウェア処理に利用される。例えば、ポイント算出情報の初期値は通信装置74や入力装置75を介して記憶装置73に入力されてよい。表示装置76は、処理装置71によるソフトウェア処理に伴って画像やテキストの情報をディスプレイ画面に表示する装置である。
【0059】
以上、本発明の実施形態について述べてきたが、本発明は、これらの実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらの実施形態を組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。上記の実施形態の一部又は全部は以下の事項のように記載することもできる。ただし、本発明が以下の事項に限定されるものではない。
【0060】
(事項1)
【0061】
学習支援システムは、学習者が行う学習に関連する情報を取得する取得部と、前記学習に関連する情報に基づいて、前記学習者に対するポイントの付与および剥奪を行う計算部と、前記ポイントの情報を前記学習者に提示する提示部と、を有し、前記取得部は、前記学習者が行った学習行動に関する情報である学習行動情報と、前記学習者のテスト結果に関する情報であるテスト結果情報とを取得し、前記計算部は、前記学習行動情報および前記テスト結果情報に基づいて、前記学習者へのポイントの付与および前記学習者からのポイントの剥奪を行う。したがって、学習者が、報酬による習慣化の効果により、好ましい学習行動を習慣化し、また、罰金によるモチベーション強化の効果により、学習の努力を継続することを支援することが可能となる。
【0062】
(事項2)
【0063】
上記事項1の学習支援システムにおいて、前記計算部は、前記学習行動情報に基づいて前記学習者にポイントを付与し、前記テスト結果情報に基づいて前記学習者のポイントを剥奪する。行動の習慣化には報酬が効果的であり、モチベーションの強化には罰金が効果的であるといわれている。本態様では、報酬による習慣化の効果と、罰金によるモチベーション強化の効果とを、ポイントを付与したり剥奪したりするポイント管理に組み込んで巧妙に連携させ、学習者に学習を習慣化させつつモチベーションを強化して効果的な学習を継続的に実行させることを可能にする。
【0064】
(事項3)
【0065】
上記事項1の学習支援システムにおいて、前記取得部は、前記学習行動情報として、前記学習者が前記学習行動を実行した時間に関する情報を取得し、前記計算部は、前記学習行動を実行した時間に基づいて前記学習者にポイントを付与する。したがって、学習時間を増やすように学習者を習慣づけることを支援できる。
【0066】
(事項4)
【0067】
上記事項1の学習支援システムにおいて、前記学習行動には、テキストの精読と、講義映像の視聴と、問題演習とが含まれる。したがって、通信教育や自宅学習において重要な学習行動を習慣づけることを支援できる。
【0068】
(事項5)
【0069】
上記事項1の学習支援システムにおいて、前記取得部は、前記学習者による学習の効率に間接的に影響する間接行動に関する情報である間接行動情報を更に取得し、前記計算部は、前記学習行動および前記間接行動に基づくポイントを前記学習者に付与する。学習に間接的に影響する生活習慣などの間接行動についても好ましい行動を習慣化することを支援できる。
【0070】
(事項6)
【0071】
上記事項5の学習支援システムにおいて、前記学習行動情報には、前記学習者が前記学習行動を実行した時間に関する情報が含まれ、前記間接行動情報には、前記学習者の睡眠時間の情報および睡眠時間帯の情報が含まれ、前記計算部は、当日の前記学習行動を実行した時間に基づき算出されるポイントの値に、前日の睡眠時間の情報およ該睡眠時間帯の情報に基づく係数を乗算して算出されるポイントを前記学習者に付与する。勉強時間に対する学習の効果に影響する睡眠行動について好ましい行動を習慣化することを支援できる。
【0072】
(事項7)
【0073】
上記事項1の学習支援システムにおいて、前記学習支援システムは、本試験に合格するための学習を支援するシステムであり、過去の複数の学習者について、該学習者の学習行動とテスト結果とポイントと前記本試験の合否とを学習し、ポイントと本試験の合否とが相関するように、前記学習行動に属する行動および前記テスト結果である得点に対して付与または剥奪するポイントの調整を行う学習部を更に有し、前記計算部は、前記調整の結果に基づいて、前記学習行動に属する各行動および前記テスト結果である得点に対してポイントを付与または剥奪する。学習者が本試験の合否と相関するポイントを獲得するために努力することで、より学習行動の習慣化とモチベーションの強化とが可能となる。また、学習者のポイントの獲得状況により、その学習者の本試験の合否の予測が可能となる。
【0074】
(事項8)
【0075】
上記事項7の学習支援システムにおいて、前記学習行動に属する行動に対して付与するポイントは、所定の基準配点と所定の係数とを乗算した値であり、前記学習部は、前記学習により、前記基準配点と前記係数のいずれか一方または両方を調整する。
【符号の説明】
【0076】
10…学習支援システム、11…取得部、12…計算部、13…提示部、14…行動情報DB、15…テスト結果情報DB、16…ポイント算出情報DB、17…ポイント情報DB、18…学習部、20…学習行動ポイント算出情報、30…間接行動ポイント算出情報、40…ポイント情報、50…テスト結果ポイント算出情報、71…処理装置、72…メインメモリ、73…記憶装置、74…通信装置、75…入力装置、76…表示装置、77…バス、78…端末装置、79…ブラウザ、80…学習者、90…通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8