(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】患者の健康状態を監視するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0215 20060101AFI20240827BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240827BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240827BHJP
A61M 60/17 20210101ALN20240827BHJP
A61M 60/216 20210101ALN20240827BHJP
A61M 60/441 20210101ALN20240827BHJP
A61M 60/531 20210101ALN20240827BHJP
A61M 60/585 20210101ALN20240827BHJP
【FI】
A61B5/0215 A
A61B5/00 102A
A61B5/02 A
A61B5/02 310V
A61M60/17
A61M60/216
A61M60/441
A61M60/531
A61M60/585
(21)【出願番号】P 2021506581
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2019071245
(87)【国際公開番号】W WO2020030706
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】102018213350.6
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520469457
【氏名又は名称】カルディオン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KARDION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】バウムバッハ, ハーディ
(72)【発明者】
【氏名】カッセル, ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ピルク, チャロフ
(72)【発明者】
【氏名】シェレンベルク, インガ
(72)【発明者】
【氏名】ブッディ, マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】シュルブッシュ, トーマス アレクサンダー
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-518249(JP,A)
【文献】特表2004-515278(JP,A)
【文献】特表2017-532084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0287604(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/03
A61M 60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓補助システムであって、
血管系を介して患者の心臓に送達され、大動脈弁を横切って配置されるように構成された血管内血液誘導装置と、
前記
血管内血液誘導装置内において互いから所定の距離で配置された第一の圧力センサおよび第二の圧力センサ
であって、前記血管内血液誘導装置が前記大動脈弁を横切って配置されたときに、前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサがそれぞれ前記心臓の心室および大動脈に配置されるように構成された第一の圧力センサおよび第二の圧力センサと、
前記患者の状態を監視するための装置であって、前記第一の圧力センサは第一の圧力信号を該装置に送信するように構成され、かつ前記第二の圧力センサは第二の圧力信号を該装置に送信するように構成されていて、
前記第一の圧力信号および前記第二の圧力信号を受信するための入力インターフェースと、
前記患者の前記状態を示す処理値を判定するために前記第一の圧力信号および前記第二の圧力信号を処理する処理ユニットとを含む、患者の状態を監視するための装置と、を備え、
前記
血管内血液誘導装置が心臓内に配置されているときの前記患者の
前記心室と
前記大動脈との間の差圧の変化は、前記第一の圧力信号と前記第二の圧力信号とに少なくとも部分的に基づいて判定され、前記心臓補助システムに近接する血管の弾力性は、前記差圧の前記変化に少なくとも部分的に基づいて判定されることを特徴とする、心臓補助システム。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記患者の心臓の前記心室内の血圧値としての前記第一の圧力信号と、前記患者の前記心臓の前記大動脈内の血圧値としての前記第二の圧力信号とを処理するように構成され、前記処理値は、血圧差、血液脈波伝播速度、血管の弾力性の少なくとも一つを示していることを特徴とする、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項3】
前記入力インターフェースは、前記心臓補助システムによって誘発される血流を表す、前記心臓補助システムに関連する心臓補助血流値を受けるように構成され、前記処理ユニットは、前記心臓補助血流値を前記処理値として使用して、心臓の性能値を判定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項4】
前記性能値は、前記患者の前記心臓のポンプ力から前記心臓補助血流値を引いたものであることを特徴とする、請求項3に記載の心臓補助システム。
【請求項5】
前記入力インターフェースおよび前記処理ユニットは、前記患者の身体の外部に配置されて動作するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項6】
前記入力インターフェースと、前記処理ユニットとの一方は、前記患者が位置する建物の外部に配置するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項7】
前記入力インターフェースまたは前記処理ユニットは、インターネット接続を介して通信し得るクラウドサーバーまたはコンピュータユニットのユニットとして構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項8】
前記入力インターフェースは、所定の時間間隔で前記第一の圧力信号と前記第二の圧力信号とを受けるように構成され、前記処理ユニットは、前記所定の時間間隔のそれぞれで受けた前記第一の圧力信号と前記第二の圧力信号とを使用して前記処理値を判定して複数の処理値を判定するように構成され、前記処理ユニットは、前記複数の処理値を格納し、それらを互いと比較し、一つ以上の前記処理値が閾値を超える場合に警報信号を出力するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項9】
前記入力インターフェースは、周囲気圧を受けるように構成され、前記処理ユニットは少なくとも、前記周囲気圧に部分的に基づいてかつ前記心室と前記大動脈との間の前記差圧に部分的に基づいて、前記患者の血圧値を判定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項10】
前記処理ユニットは、前記処理値に少なくとも部分的に基づいて、前記心臓補助システムに制御信号を出力するように構成され、前記処理ユニットは、インターネット接続を介して中央処理ユニットまたはクラウドサーバーに前記処理値としてデータ伝送信号を出力するように構成され、前記データ伝送信号は、データ圧縮を介して前記第一の圧力信号または前記第二の圧力信号から得られた少なくとも一つの情報を含むことを特徴とする、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項11】
前記患者内で血液を送り出すように構成されているモータをさらに備え、
前記処理ユニットは、前記処理値に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するように構成され、前記制御信号は前記モータの動作を制御するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項12】
前記制御信号は、所望の血圧に到達するように前記モータの動作を制御するように構成されている、請求項11に記載の心臓補助システム。
【請求項13】
前記
血管内血液誘導装置は、埋め込まれたときに前記心室内に配置されるように構成されている先端部を備え、前記第一の圧力センサは、前記先端部に配置され、前記第一の圧力信号は、心室圧を示す、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項14】
前記第一の圧力信号は、収縮期心室圧と拡張期心室圧とを含む、請求項
1に記載の心臓補助システム。
【請求項15】
前記
血管内血液誘導装置は、埋め込まれたときに前記大動脈内に配置されるように構成されているモータを備え、前記第二の圧力センサは、前記モータの後端部に隣接して配置され、前記第二の圧力信号は、大動脈圧を示す、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項16】
心臓補助システムを使用する患者の状態を監視するための装置の作動方法であって、
前記装置が、
第1の圧力センサおよび第2の圧力センサはそれぞれ前記患者の心臓の心室および大動脈に配置されるように前記心臓補助システムが
大動脈弁を横切って配置されているときの前記心臓補助システム内に配置された
前記第一のセンサおよび
前記第二のセンサからそれぞれ第一の圧力信号および第二の圧力信号を受信する工程と、
前記装置が、前記第一の圧力信号と前記第二の圧力信号とに少なくとも部分的に基づいて、前記患者の状態を監視するための処理値を判定する工程と、を含む、心臓補助システムを使用する患者の状態を監視するための装置の作動方法。
【請求項17】
前記第一のセンサおよび前記第二のセンサは、前記心臓補助システムの血液誘導要素内に互いに所定の距離で配置され、
前記第一の圧力信号は、前記患者の心臓の心室における血圧値に関連し、
前記第二の圧力信号は、前記患者の前記心臓の大動脈の血圧値に関連する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記装置が、前記第一の圧力信号と前記第二の圧力信号とに少なくとも部分的に基づいて、前記患者の心臓の心室と大動脈との間の差圧の変化を判定する工程と、
前記装置が、前記判定された差圧の変化に少なくとも部分的に基づいて、前記心臓補助システムに近接する血管の弾力性を判定する工程と、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記装置が、周囲気圧に関連するデータを受信する工程と、
前記装置が少なくとも、前記周囲気圧に部分的に基づいてかつ前記心室と前記大動脈との間の前記差圧に部分的に基づいて、前記患者の血圧値を判定する工程と、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記装置が、前記処理値に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成する工程をさらに含み、前記処理値は、前記心臓補助システムのモータの動作を制御するように構成されている、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記心臓補助システムは、入口と、前記入口に近接して位置している出口とを有するホースを備え、前記第一の圧力信号は、前記入口に遠位の位置にある前記患者の心臓の心室内の圧力を示し、前記第二の圧力信号は、前記出口に近位の位置にある前記患者の前記心臓の大動脈内の圧力を示す、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記
血管内血液誘導装置は、
埋め込まれたときに前記心室内に位置するように構成されている入口、および前記入口の近位に位置し、かつ埋め込まれたときに前記大動脈内に位置するように構成されている出口を有するホースと、
埋め込まれたときに前記大動脈内に配置されるように構成されているモータと、を備え、
前記第一の圧力センサは、前記心室内の圧力を感知するために前記入口の遠位に位置し、前記第二の圧力センサは、前記大動脈内の圧力を感知するために前記出口の近位に位置している、請求項1に記載の心臓補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立特許請求項のタイプの装置または方法に基づく。本発明はまた、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、心臓補助システムなどの患者補助システムでは、患者の健康状態の診断は、多数の測定値に基づいて行われる。しかしながら、測定結果は、十分に正確かつ安定していないことが多く、したがって、必要または可能な程度に信頼性があり、かつ予測可能な患者の健康状態の評価を可能にしない。
【0003】
これに基づいて、本発明の根底にある目的は、当技術分野で公知の装置および方法をさらに改善し、患者監視および心臓補助システム動作についての関連するパラメータの可能な限り最も正確な取得を提供することである。
【0004】
これを念頭に置いて、本明細書に提示されるアプローチは、独立特許請求項に記載の装置、方法、および対応するコンピュータプログラムを導入する。有利なさらなる開発および改善は、従属特許請求項に列挙された手段を使用して可能である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に提示したアプローチは、患者の健康状態を監視するための装置を提供しており、装置は、以下の特徴:
-第一の圧力信号および第二の圧力信号を入力するための入力インターフェースと、
-処理値に基づいて患者の健康状態を監視するために、第一の圧力信号および第二の圧力信号を処理して当該処理値を判定するための処理ユニットと、を有する。
【0006】
患者の健康状態は、例えば、患者の器官の機能性を記述または描写するパラメータまたは指標であると理解することができ、それによって、場合によっては医師による治療も必要とし得る現在または将来の身体的障害の兆候を提供する。本事例では、圧力信号は、媒体内の圧力を表す値であると理解することができる。例えば、圧力信号は、血圧または患者の外部の気圧に対応し得る。本事例では、処理値は、患者の健康状態の指標または程度を描写または表す値またはパラメータであると理解することができる。この処理値は、患者の健康状態の容易で、安定した、信頼性のある長期監視を可能にする。
【0007】
本明細書に提示したアプローチは、例えば、比較または差の計算の形態で二つの圧力信号を処理することによって、患者の健康状態を非常に確実にかつ容易に判定することができるという知識に基づく。例えば、二つの圧力信号は、患者の血管壁の弾力性または器官の機能性の程度の指標を得て、患者の健康状態を監視することができるようにするために、例えば、時間により、または絶対的に互いに関連付けられて、例えば、患者の血管内の血液の圧力波の圧力差またはパラメータを判定し得る。したがって、患者の健康状態は、少なくとも一つの態様から、柔軟かつ費用効果の高い方法で監視され得る。
【0008】
本明細書に提案したアプローチの一つの実施形態は、有利なことに、患者の心臓の心室内の血圧値としての第一の圧力信号、および大動脈内の血圧値としての第二の圧力信号を処理するように構成された処理ユニットを含む。血圧差および/または脈波伝播速度、または少なくとも一つの血管の弾力性が、患者の健康状態を監視するための処理値として判定され得る。本明細書に提案したアプローチのこうした実施形態は、技術的に単純かつ安価な手段によって、患者の健康状態について高精度な陳述を行うことを可能にするパラメータを処理値として得ることができるという利点を有する。
【0009】
また、入力インターフェースが、心臓補助システムによって誘発される血流を表す、起動された心臓補助システムの心臓補助血流値を入力するようにさらに構成される、本明細書に提案されるアプローチの実施形態も有益である。処理ユニットはまた、心臓補助血流値を処理値として使用して、患者の心臓のポンプ力から心臓補助血流値を引いたものに対応する心臓の性能値を判定するようにさらに構成されてもよい。本明細書に提案したアプローチのこうした実施形態は、起動された心臓補助システムが使用されている時に補助される患者の器官としての心臓の残留力を判定すること、およびそれから心臓の現在の性能を推定し、必要であり得る医療措置を予想することができるという利点を有する。
【0010】
本明細書に提案したアプローチの別の実施形態によれば、入力インターフェースおよび処理ユニットはまた、身体の外部に配置されて動作され、処理値を判定するように構成されてもよい。本明細書に提案したアプローチのこうした実施形態は、入力インターフェースおよび/または処理ユニットのエネルギー供給を技術的に非常に単純な方法で設計することができ、そのため、届くことが難しい場合がある患者内の位置にエネルギー供給ラインを配線する必要がないという利点を有する。さらに、圧力信号が患者の外部で評価される場合、ユニットを患者内に取り付けるのに必要な空間を減少させることができる。
【0011】
本明細書に提案したアプローチのさらなる実施形態によれば、入力インターフェースおよび/または処理ユニットは、患者が位置する建物の外部に配置することができる、または配置されたユニットとして設計することができ、特に、入力インターフェースおよび/または処理ユニットは、インターネット接続を介して接触され得るクラウドサーバーまたはコンピュータユニットのユニットとして設計される。本明細書に提案したアプローチのこうした実施形態は、患者の健康状態の中央監視という利点を有し、これにより、例えば、より最近の医学的または生理学的所見に基づいて必要であると思われる場合、圧力信号をリンクして処理値を決定するためのアルゴリズムも、非常に迅速かつ容易に変更することができる。同時に、患者を迅速かつリアルタイムで監視することができ、例えば、患者が危険な健康状態にあることが検出される場合、救急サービスが警報され得る。
【0012】
患者または患者の健康状態の長期監視を行うことを可能にするために、本明細書に提案するさらなる実施形態によれば、入力インターフェースおよび/または処理ユニットは、繰り返しの時間間隔で第一の圧力信号および第二の圧力信号を入力し、処理値を判定するように構成され得るが、処理ユニットは、判定された処理値を格納し、それらを互いと比較し、特に、一つ以上の処理値が閾値を超える場合に警報信号を出力するようにさらに構成される。
【0013】
患者内の血圧の絶対値を得るために、例えば、本明細書に提案されるアプローチのさらなる実施形態によれば、入力インターフェースは、周囲気圧値を第一の圧力信号として入力するようにさらに構成され得るが、特に、これは患者のごく近傍における周囲気圧を表しており、処理ユニットは、周囲気圧に対する患者の血圧値を処理信号として判定するように構成される。例えば、周囲気圧を血圧センサ値から減算して、処理信号を判定することができる。本明細書に提案したアプローチのこうした実施形態は、例えば、患者の周りの周囲気圧が変化する場合に有利である。変化は、例えば、環境または患者の周囲における、空調システム、圧力チャンバー、天候条件および/または地形標高の変化等の影響によって生じ得る。こうした実施形態では、周囲気圧の変化を介して測定結果の改竄を検出し、例えば、健康状態を評価する際にこれを考慮に入れることが可能である。
【0014】
また、処理ユニットが、処理値に基づいて制御信号を心臓補助システムに出力する、並びに/またはデータ伝送信号を処理値としてインターネット接続を介して中央処理ユニットおよび/もしくはクラウドサーバーに出力するように構成され、特にデータ伝送信号が、データ圧縮方法によって第一の圧力信号および/または第二の圧力信号から得られた少なくとも一つの情報を含む、本明細書に提案されるアプローチの実施形態も考えられる。本明細書に提案したこうした実施形態は、患者の健康状態の変化に非常に迅速に反応することを可能にし、したがって、患者の生活状況に即時の改善をもたらすことができる。
【0015】
本明細書に提示したアプローチの別の実施形態は、患者の健康状態を監視するための方法を提案しており、方法は、以下の工程:
-第一の圧力信号および第二の圧力信号を入力する工程と、
-処理値に基づいて患者の健康状態を監視するために、第一の圧力信号および第二の圧力信号を処理して当該処理値を判定する工程と、を含む。
【0016】
この方法は、例えば、ソフトウェアもしくはハードウェア、または例えば、制御装置中のソフトウェアとハードウェアの混合形態で実装することができる。
【0017】
本明細書に提示したアプローチはさらに、対応する装置において、本明細書に提示した方法の変形の工程を実行、制御、および/または実装するように構成される装置を生み出す。装置の形態の本発明のこの設計の変形はまた、本発明の根底にある目的を、迅速かつ効率的に達成することを可能にする。
【0018】
この目的のために、装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも一つの演算ユニット、信号またはデータを格納するための少なくとも一つのメモリユニット、センサからのセンサ信号を入力するためまたはアクチュエータへデータもしくは制御信号を出力するための少なくとも一つのセンサもしくはアクチュエータとのインターフェース、および/または通信プロトコル内に埋め込まれたデータを入力または出力するための少なくとも一つの通信インターフェースを備えることができる。演算ユニットは、例えば、信号プロセッサ、マイクロコントローラ、またはこれに類するものとすることができるが、一方でメモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROM、または磁気メモリユニットとすることができる。通信インターフェースは、無線および/または有線方式でデータを入力もしくは出力するように構成することができ、それによって、有線データを入力もしくは出力することができる通信インターフェースは、例えば、前述のデータを電気的にまたは光学的に、対応するデータ伝送ラインから入力もしくはデータ伝送ラインへと出力することができる。
【0019】
本事例では、装置は、センサ信号を処理し、前述のセンサ信号の関数として、制御信号および/またはデータ信号を出力する電気装置であると理解することができる。装置は、ハードウェアベースおよび/またはソフトウェアベースとすることができるインターフェースを備えることができる。ハードウェアベースの構成の場合、インターフェースは、例えば、装置の様々な機能を含有する、いわゆるシステムASICの一部とすることができる。しかしながら、インターフェースを、別個の集積回路、または少なくとも部分的に個別部品からなることも可能である。ソフトウェアベースの構成の場合、インターフェースは、例えば、マイクロコントローラ上に、他のソフトウェアモジュールと共に提供されるソフトウェアモジュールとすることができる。
【0020】
半導体メモリ、ハードドライブメモリ、または光メモリなどの機械可読キャリアまたは記憶媒体に記憶することができるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムは、上記の実施形態の一つによる方法の工程を実行、実施、および/または制御するために使用され、特に、プログラム製品またはプログラムがコンピューターまたは装置上で実行される場合有利である。
【0021】
本明細書に提示されるアプローチの設計例は、図面に示されており、以下の説明でより詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本明細書に提示した患者の健康状態を監視するための装置の設計例と協働する心臓補助システムの例を埋め込まれた患者の図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す圧力センサを含む心臓補助システムの概略図である。
【
図3】
図3は、データ、例えば、血圧曲線をクラウドにストリーミングするための圧縮方法の例のブロック図である。
【
図4】
図4は、一設計例による方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい設計例の以下の説明では、同一のまたは類似の参照符号が、様々な図に示される要素に対して使用されるが、これは類似の効果を有し、それによってこれらの要素の繰り返しの記載は省略される。
【0024】
図1は、本明細書に提示した患者100の健康状態を監視するための装置の設計例と協働する心臓補助システム105の例を埋め込まれた患者100の図を示す。心臓補助システム105は、前述の心臓補助システム105の対応する構成要素をより詳細に説明するために、
図1に一例としてのみ示されている。モーター110によって駆動される血液ポンプに加えて、心臓補助システム105は、患者100の心臓125の心室120から大動脈130に血液を運搬することができる血液誘導要素115を含む。第一の圧力センサ135および第二の圧力センサ140は、例えば、血液誘導要素115(またはその一部またはそれに隣接する一部)内に配置され、それにより、第一の圧力センサ135は、本明細書に提案したアプローチの一つの設計例により患者100の健康状態を監視するために第一の圧力信号145を装置150に送信する。第二の圧力センサ140は、第二の圧力信号155を、例えば装置150に送信する。第一の圧力センサ135および第二の圧力センサ140は、例えば、血液誘導要素115内に互いから所定の距離で配置され、それらは例えば、血圧、血圧変動、または血液の脈波を登録することができる。第一の圧力センサ135は、第一の圧力信号145を電磁波の形態で、すなわち、無線で装置150に伝送するように構成され得る。同様に、第二の圧力センサ140も、第二の圧力信号155を装置150に無線でおよび/または電磁波の形態で伝送するように構成され得る。装置150は、それによって第一の圧力信号145および第二の圧力信号155を入力することができる、入力インターフェース160を備える。入力された圧力信号145および155は、処理ユニット165に転送され、そこで処理値170が判定され、それに基づいて患者100の健康状態を監視することができる。こうした処理値170は、例えば、第一の圧力センサ135と第二の圧力センサ140との間の血液の脈波の伝播時間であり得る。代替的または追加的に、こうした処理値170は、大動脈130の壁などの血管壁の弾力性を表すパラメータであってもよく、そのため、当該パラメータまたは処理値170を使用して、患者の健康状態を、例えば血管壁の弾力性に関して評価して、血管構造の内壁上の堆積物または石灰化を特定することができる。
【0025】
また、例えば、装置150が、心臓補助システム105のモーター110を制御して、患者100の望ましい血圧、または特定のアクティビティ(例えば、階段を昇る)に適切な血圧を設定することを可能にする、制御信号175を処理値170の関数として出力することも可能である。
【0026】
さらに、医師への通知または圧力信号145もしくは155の評価を可能に、または簡略化するために、処理値170または第一のデータ信号145および/または第二のデータ信号155に基づいて、中央処理ユニット185(例えば、クラウドサーバーの形態)にデータ伝送信号180を伝送する(例えば、インターネット接続を介して)ことも考えられる。
【0027】
図1に示す本発明の設計例では、装置150は、患者100上に外部から着用することができる、例えば患者100のベルトに取り付けられる装置として示されている。一方、第一の圧力信号145および/または第二の圧力信号155を有線方式で伝送できるように、装置150が心臓補助システム105の一体的構成要素として設計されることも考えられる。しかしながら、この場合、装置150の構成要素のエネルギー供給は、長寿命電池または適切な充電式電池のいずれかによって、装置150のそれぞれのエネルギー供給ラインを配線することによって、または電磁場を介して、その後患者100に埋め込まれる装置150に電気エネルギーを伝送することによって確保しなければならない。さらなる実施形態では、入力インターフェース160が、埋め込まれた制御装置内に配置され、処理ユニット165が、患者の外部のベルト上に配置され、例えば、無線リンクを介して結合されるように、構成要素150が細分されてもよい。
【0028】
以下でより詳細に論じるように、圧力センサ135または140のうちの一つは、例えば、患者100の外部、例えば、
図1に示す装置150内に配置することができ、また、絶対気圧を登録し、それによって、血圧を表すことが好ましい、その他の圧力センサから得た圧力値の標準化を実行することができる。これにより、例えば、患者100の周囲気圧の変化(例えば、高層建物のフロアを変えること、天候による気圧の変化または地形標高)によって引き起こされた系統的誤差が補正された、患者100の血圧の絶対血圧値を非常に確実に確保することが可能となる。したがって、患者の健康状態を、異なる環境シナリオにおいて非常に確実に判定することができる。
【0029】
図2は、
図1に示す圧力センサ135および140を含む心臓補助システム105の概略図を示す。心臓補助システム105は、圧力センサ135および140として絶対圧力センサを使用して、収縮期および拡張期を含む血圧曲線を記録することができる。心臓補助システム105の先端200にある一つ(または複数)の圧力センサ135は、心室120内の圧力を記録することができる。さらなる圧力センサ140が心臓補助システム105の端部210に取り付けられる場合、大動脈圧および心室120と大動脈130との間の差圧の両方を判定することができる。圧力センサ135または140としての絶対圧力センサの測定値は、血圧および周囲大気圧の重ね合わせであるため、本明細書に提示したアプローチの一つの設計例によれば、周囲気圧も血圧を判定するために必要とされ得る。当該周囲気圧は、例えば、
図1に示す装置150などの別個のシステムによって、また、例えばスマートフォンによっても提供され得る。圧力信号は、
図1に示す制御装置または装置150で処理することができ、また、装置150が、インターネットを介して心臓補助システム105に接続された対応するクラウドサーバー185に配置される場合、クラウドベースのデータ処理でも処理することもできる。心臓補助システム105のデータまたは制御信号の改竄を可能な限り排除するためには、圧力信号145または155を、例えば、暗号化方法を使用して暗号化し、
図1の装置150などの体外評価ユニットに送信する必要がある。また、
図1の装置150などの体外評価ユニットから心臓補助システム105またはその構成要素へ送信される制御信号も考えられ、この場合でも、これらの信号は、改竄から保護するために、暗号化方法を使用して有利に暗号化される必要がある。血圧値の連続的な記録および評価により、心臓125自体の性能についての診断が可能になる。システムまたは装置150に接続されたスマートフォンによって患者100の位置を判定する能力は、クラウドベースの血圧値の評価のさらなる利点を提供する。
【0030】
図2は、心臓補助システム105の概略図を示す。埋め込まれた状態では、血液の入口領域215を有する先端200および吸引ホース210は、心室内に配置される。埋め込まれた状態にある心臓補助システム105では、出口開口部220を越えるその他の部品は全て大動脈内に配置される。モーター110は、血液循環補助を提供し、そのため、
図2の図では、モーター110が大動脈内に配置される。本明細書で以下に言及される、「後端部」205は、モーター110の遠位端に配置される。そこから、電気リード線230が、本明細書に提示したアプローチの一つの設計例による制御ユニットまたは装置150へとつながる。センサ135などの一つ以上の絶対圧力センサは、先端200、または埋め込まれた状態では心室内に位置するシステムの他の領域(200、215、または210)内に配置することができる。これにより、心室内の血圧を判定することが可能となる。
【0031】
例えば、大動脈内に配置される一つの(または複数の)さらなる圧力センサ140を使用して、その動脈圧を測定することができる。原則として、大動脈内のシステムのすべての部分は、圧力センサ140の適用可能部位であるべきである。別の設計例によれば、さらなる圧力センサ140はまた、モーター110の後端部205に組み込まれてもよい。互いから空間的に間隔を置いて、そして例えば、少なくとも部分的に大動脈の領域内に配置される(例えば、ドライブラインに沿って)複数の圧力センサ135、140を使用することにより、圧力変化/脈波の伝播速度を観察することができる。圧力センサ135、140が心室および大動脈の両方で使用される場合、内部および/または外部制御ユニット、例えば、
図1を参照して言及される装置150は、差圧を判定することができる。当該差圧は、とりわけ、モーター110の出力を設定するため、および/または患者100の健康状態を判定するために使用することができる。
【0032】
したがって、少なくとも二つの圧力信号を使用して、本明細書に提示したアプローチは、圧力値または圧力信号145もしくは155から判定される処理値170に基づいて、患者100の健康状態を調べるためのいくつかの可能な方法で使用することができる。例えば、収縮期血圧および拡張期血圧は、心室120内および大動脈130内で判定することができる。心室120と大動脈130との間の差圧の判定、および/または心臓125自体の性能/活動の評価も考えられる。判定された処理値170はまた、心臓補助システム105の近傍の血管の弾力性の評価を行うのにも使用され得る。また、患者100の状態に対する尺度としての脈波伝播速度の評価、または体外制御装置における圧力信号145および/または155の圧力信号の評価および較正を可能にする、処理値170が判定されることも考えられる。また、血圧値の長期記録および評価が、患者監視のためにクラウドまたは中央学習で行われ、患者100の健康状態の変化の可能な早期診断が予想され得る場合も有利である。また、場合によっては、患者100のアクティビティおよび位置判定と組み合わせて、(周囲)圧力センサからの高度情報を使用するために、圧力信号145および155から処理値170を判定し、患者100の移動およびフィットネスプロファイルを生成して心臓補助システム105の制御を改善し、患者100の安全性も高めることも特に有利である。
【0033】
したがって、本明細書に提示されるアプローチでは、非拍動型心臓補助システム105により患者の血圧を判定することも可能である。上腕カフを使用した通常の血圧測定は、血圧に関する情報を提供しない。複数の圧力センサ、例えば、心室120内のセンサ135、または大動脈130の領域内(例えば、ドライブラインに沿った)のセンサ145を使用することにより、心臓125によって送り出される血液の拍動構成要素の速度を判定し、患者100の状態の評価に係数として組み込むことができる。心臓補助システム105のポンプ力の変化の伝播速度も考慮に入れることができる。
【0034】
本明細書に提示したアプローチはまた、心室120と大動脈130との間の差圧を判定することも可能にする。結果として、例えば、圧力出力およびモーター110のモーター出力が相関され得るため、より良好に調整されたポンプ力を設定することができ、また、心臓125および心臓補助システム105の状態を評価することができる。心臓125の残留力によって課せられるポンプ力の変化に対する拍動の変化または反応を使用して、心臓補助システム105の領域内の血管の残留弾力性を推定することができる。
【0035】
さらに、閾値の使用により、心臓補助システム105の副作用を最小化することができる(例えば、心室および大動脈血圧を生理学的範囲内に維持する)。
【0036】
さらに、本明細書に提示したアプローチの一つの設計例では、体外システム、または
図1に示す装置150などの装置、またはクラウドにおける長期監視は、心臓125自体の性能を介した傾向検出、したがって患者100の健康状態の評価を可能にする。さらなる設計例によると、心室圧データの長期監視はまた、心臓125の状態の評価を可能にし、例えば、心臓125の収縮力は、δp/δtを評価して収縮期における圧力上昇を判定することによって確認することができる。
【0037】
さらなる設計例では、拡張終期圧の長期監視は、心臓125の前負荷の尺度として使用することもできる。心臓補助システム105の圧力およびモーターデータの長期監視はまた、心臓補助システム105の残留性能および寿命の尺度としても使用することができる。
【0038】
さらなる設計例によれば、圧力センサの、すなわち圧力信号145または155のいくつかまたは全ての値を、ポンプ力の正しくない、または誤用による制御に関して、ポンプまたは心臓補助システム105における改竄を防止するために、装置150などの体内制御ユニットからクラウドなどの外部装置に伝送してもよい(特に、高いITセキュリティを確保するため、またはインプラントとして心臓補助システム105を読み取り専用モードで動作させるために)。
【0039】
特に患者100の可能な位置判定と組み合わせた、クラウドベースの解決策は、例えば、階段をより容易に切り抜けることができるように、負荷の前に、特に身体的に弱い患者100の血流を増大させるオプションを提供する。特に、圧力センサ135または140のうちの一つから得ることができる高度情報は、クラウド接続がない場合であっても補助の迅速な調整を可能にする。
【0040】
罹患患者100の多くまたはすべてがクラウドに接続されている場合、アルゴリズムは、例えば、生理学的心臓125および心臓補助システム105からなるシステム全体の特定のパターンを学習し、早期に当該パターンを特定することによって、患者の心臓125への危険な負荷を潜在的に予測し、患者100に警告することができる。
【0041】
すべてのデータのリアルタイム伝送および即時評価により、クラウド内のアルゴリズムは、患者100の心血管系の潜在的な不全を特定することができる。その後、位置判定と組み合わせて、完全に自動化された方式で患者100に救急車を呼ぶことができる。このシステムにより、患者100に同行する人が緊急呼出しを行う前に、または患者100自身が生命を脅かす影響を感じる前にも、救急隊員が既に向かっているという貴重な数分を得ることができる。
【0042】
周囲気圧は、例えば、絶対血圧を判定することができるように、なおも必要である。
図1は、埋め込まれた状態にある心臓補助システム105の簡略図を示す。
図1のシステム105は、心臓125内に位置する。また、システム105は、リード線を介して、体内制御装置または
図1の装置150に対応する装置に接続され得る。この場合、周囲圧力のための圧力センサは、
図1に示すように、装置150として体外構成要素内に配置される。原理的には、センサ信号は、第一の圧力信号145として、外部から内部へ、すなわち、
図1に示す装置150から、明確にするために
図1には明示的に示されていない心臓補助システム105に組み込まれた装置へと伝送され得る。しかしながら、こうした通信の変形は、内部システム、すなわち、心臓補助システム105を改竄することを可能にし得る。心臓補助システム105が専ら内部から外部への通信用に設計される場合、改竄は除外され得る。
【0043】
クラウド評価、位置判定および血圧データ、高度プロファイル、歩行速度および患者100への負荷の持続期間を組み合わせることによって、それぞれの発生する血圧値と非常に良好に同期させることができる。こうした評価は、医師が患者100の健康の状態を評価するのに役立ち得る。
【0044】
一つの可能な設計例では、血圧データは、0.1サンプル/秒~1000サンプル/秒の範囲のサンプリングレートで、好ましくは100サンプル/秒のサンプリングレートで取得される。さらなる可能な設計例では、測定データストリーム全体が、体内システムから体外システムへと伝送される。測定データは、例えば、ロスあり圧縮またはロスなし圧縮によって圧縮することができる。
【0045】
図3は、データ、例えば、血圧曲線をクラウドにストリーミングするための圧縮方法の例のブロック図を示す。例えば、信頼性の理由から冗長に設計されたセンサ(
図3に示す圧力センサ135および140など)は、データ信号に明らかな冗長性を有するが、心室、大動脈および周囲気圧も相関する。データをクラウドに伝送するために必要な帯域幅を最小化するために、圧力センサ135もしくは140のデータおよび/または圧力信号145もしくは155は、最初に、非相関ユニット300内で非相関化される、および/またはモデルベースの予測器310を通過してもよい。後続のエントロピー符号化器320は、例えば、圧縮された血圧曲線330として、患者100から、またはクラウドへと伝送される前に、血圧値並びに/または圧力信号145および/もしくは155の残留情報を圧縮する。
【0046】
モデルベースの圧縮(予測器320による)に加えて、
図3に概略的に示されるように、例えば、離散コサイン変換、またはウェーブレットフィルターバンクの使用を介したスペクトル圧縮も可能である。
【0047】
圧力信号を使用した血圧曲線の圧縮および伝送は、数秒~数分のより大きなブロックで、または、例えば医師の端末に即時表示するための測定データストリームとして連続的に行われ得る。一つの可能な設計例では、埋め込まれたセンサからの(圧縮および/または符号化された)圧力信号の測定データストリームは、身体からの必要な伝送帯域幅を減少させるために、埋め込まれたシステムまたは患者100に埋め込まれた心臓補助システム105において予め圧縮されている。さらなる設計例では、圧力センサのいくつか、または全てが、冗長的に設計される。この場合、冗長とは、少なくとも二つの異なるまたは独立したセンサが同じ生理学的変数を感知できることを意味する。冗長センサのセンサデータは、全体として伝送することができる。また、センサのすぐ近くで、二つのセンサ値が十分に同一である(偏差が閾値δε未満)かどうかをチェックすることも可能である。偏差が|p1-p2|<δεの場合、一つのセンサ値のみ、例えば、二つの値から形成された平均値が伝送される。偏差がδεの範囲外の場合、エラーコードが伝送される。障害が発生した場合、例えば、二つの圧力のうちのより妥当と思われるもの、または二つの圧力を別個になど、エラーコードに加えて、圧力信号は任意選択的になおも伝送され得る。
【0048】
さらなる設計例では、例えば、拡張期血圧、収縮期血圧、および平均血圧などの特性変数が、埋め込まれた心臓補助システム105における血圧曲線から予め抽出され、体外システムに伝送される。気圧の補正およびデータのさらなる伝送または格納が、そこで行われる。血圧に大きな偏差がある場合(例えば、欠陥のある空調装置などの技術システムから生じる気圧の大きな変動による)、血圧データは無効とマークされ得る。この目的のために、体外システムは、気圧の変動を特定し、それを閾値と比較する。
【0049】
動作モードの選択(血圧曲線または抽出された特性パラメータの伝送)は、固定の時間間隔に基づいてもよい。例えば、平均された特性値は、5分間隔で伝送され、血圧の詳細な時間的進行(血圧曲線)は、30分ごとに1分間伝送される。動作モードの選択は、遠隔システム(クラウド、医師)によってトリガーされ得る。したがって、抽出された特性パラメータが異常を示す場合、血圧曲線を得てさらなる診断を行うことができる。異常は、例えば、心室細動を示す可能性のある十分な拍動性の欠如(拡張期血圧と収縮期血圧の差)であり得る。
【0050】
測定データは、装置150または心臓補助システムに組み込まれた無線モデム(例えば、LoRa(登録商標)、NB-loT、LTE(登録商標)、UMTS、GPRS)を介して得ることができる。ポータブルモバイル装置のデータ接続(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)またはNFC(登録商標)を介した)の使用も可能である。定期的に収集されたデータはまた、最初にシステム(好ましくは体外システム)に格納することができる(長期ECG/ホルターECGの方法により)。格納されたデータは、特定のワイヤレスネットワークが利用可能な時、特定の時間(例えば、夜間に自宅で)または医師のオフィスで伝送され得る。ここでも、緊急に措置する必要性が特定された場合には、電流集約的なWAN無線モデムを即時の外部補助のために起動することができる。
【0051】
図4は、患者の健康状態を監視するための方法400として本明細書に提示したアプローチの設計例のフロー図を示す。方法400は、第一の圧力信号および第二の圧力信号を入力する工程410と、処理値に基づいて患者の健康状態を監視するために、第一の圧力信号および第二の圧力信号を処理して当該処理値を判定する工程420とを含む。
【0052】
設計例が、第一の特徴と第二の特徴との間に「および/または」の接続詞を含む場合、これは、一実施形態によれば、設計例が、第一の特徴および第二の特徴の両方を含み、また別の実施形態によれば、第一の特徴のみまたは第二の特徴のみのいずれかを含むことを意味するように読み取られるべきである。