(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】気泡形成装置及び気泡形成方法
(51)【国際特許分類】
B01F 23/20 20220101AFI20240827BHJP
B01F 33/45 20220101ALI20240827BHJP
B01F 27/80 20220101ALI20240827BHJP
【FI】
B01F23/20
B01F33/45
B01F27/80
(21)【出願番号】P 2021520779
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2020019586
(87)【国際公開番号】W WO2020235519
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2019094202
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【氏名又は名称】山中 生太
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】五島 崇
(72)【発明者】
【氏名】三国 勇大
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-119567(JP,A)
【文献】特開2011-140016(JP,A)
【文献】国際公開第2006/120945(WO,A1)
【文献】実開昭62-187965(JP,U)
【文献】国際公開第2005/084641(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/00-23/80
B01F 33/00-33/87
B01F 27/00-27/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、
内下面、前記内下面に対面する内上面、及び前記内上面と前記内下面とをつなぐ内側面を有し、前記回転子が液体及び気体と共に収容される容器と、
前記回転子を前記容器の前記内下面に押し付けることにより、前記回転子における前記内下面に押し付けられる部分と前記内下面との間に、局所的に狭小化された第1隙間が構成され、かつ前記回転子を前記容器の前記内側面のうちの一部分に寄せることにより、前記内側面と前記回転子との間に、局所的に狭小化された第2隙間が構成された状態で、前記回転子を自転させる回転装置と、
を備え、
前記回転装置による前記回転子の自転に伴って、(I)前記気体と前記液体との混合物の前記第1隙間における局所的な加圧と、前記混合物が前記第1隙間から流れ出る際の前記混合物の減圧とが周期的に繰り返され、かつ(II)前記混合物の前記第2隙間における局所的な加圧と、前記混合物が前記第2隙間から流れ出る際の前記混合物の減圧とが周期的に繰り返されることにより、気泡が形成される、
気泡形成装置。
【請求項2】
前記回転子が磁性を有し、
前記回転装置が、前記容器を介して前記回転子と磁気的に結合することにより、前記回転子を前記内下面に押し付けた状態で、前記回転子を自転させる、
請求項1に記載の気泡形成装置。
【請求項3】
前記回転装置が、前記回転子に機械的に連結された連結部材を有し、
前記回転装置が、前記連結部材を用いて、前記回転子を前記内下面に押し付けた状態で、前記回転子を自転させる、
請求項1に記載の気泡形成装置。
【請求項4】
前記回転子における前記内下面に押し付けられる部分と、前記容器の前記内下面との少なくとも一方に、凹部と凸部とが前記回転子の前記自転の方向である周方向に並んでいる凹凸構造が、形成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の気泡形成装置。
【請求項5】
前記凹凸構造が、前記回転子に形成されている、
請求項4に記載の気泡形成装置。
【請求項7】
前記容器に、
前記液体及び前記気体を導入する導入口と、
前記導入口とは異なる位置に配置され、前記気体が気泡化されて前記液体に分散している気液混合流体を排出する排出口と、
が形成されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の気泡形成装置。
【請求項8】
前記回転子の外面が、疎水性を有する樹脂で構成されている、
請求項1、2、3、4、5、又は7に記載の気泡形成装置。
【請求項9】
内下面、前記内下面に対面する内上面、及び前記内上面と前記内下面とをつなぐ内側面を有する容器に、回転子を、液体及び気体と共に封入する封入工程と、
前記回転子を前記容器の前記内下面に押し付けることにより、前記回転子における前記内下面に押し付けられる部分と前記内下面との間に、局所的に狭小化された第1隙間が構成され、かつ前記回転子を前記容器の前記内側面のうちの一部分に寄せることにより、前記内側面と前記回転子との間に、局所的に狭小化された第2隙間が構成された状態で、前記回転子を自転させる回転工程と、
を有し、
前記回転工程では、前記回転子の自転に伴って、(I)前記気体と前記液体との混合物の前記第1隙間における局所的な加圧と、前記混合物が前記第1隙間から流れ出る際の前記混合物の減圧とが周期的に繰り返され、かつ(II)前記混合物の前記第2隙間における局所的な加圧と、前記混合物が前記第2隙間から流れ出る際の前記混合物の減圧とが周期的に繰り返されることにより、気泡が形成される、
気泡形成方法。
【請求項11】
前記連結部材が、曲げ変形が可能な弾性を有し、
前記回転装置が、前記連結部材の、前記曲げ変形に対する弾性復元力によって、前記回転子を前記内側面に押し付けた状態で、前記回転子を自転させる、
請求項3に記載の気泡形成装置。
【請求項12】
前記回転子と前記内側面との間隔の最大値をDとしたとき、前記第2隙間の寸法が、D/20以下である、
請求項1、2、3、4、5、7、8、又は11に記載の気泡形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡形成装置及び気泡形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、気密なタンクと、タンクの底面上で回転する回転子とを用いて、気泡を形成する気泡形成装置が知られている。タンク内には、回転子の他に、気体を放出する気体源に接続された多孔質体と、多孔質体と回転子との間に介在する筒体と、が配置される。
【0003】
この気泡形成装置においては、液体で満たされたタンク内で、多孔質体から気体が放出される。放出された気体は、筒体によって回転子の周囲へと案内される。回転子の周囲に案内された気体が回転子によって撹拌されることにより、気泡が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、上記気泡形成装置は、タンク及び回転子の他に、少なくとも、多孔質体及び筒体を必須とする。このため、装置全体の構成が大がかりであった。
【0006】
本発明の目的は、大がかりな構成を必要とせずに気泡を形成することができる気泡形成装置及び気泡形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る気泡形成装置は、
回転子と、
前記回転子が液体及び気体と共に収容される容器と、
前記回転子を前記容器の内面である被押し付け面に押し付けた状態で、前記回転子を自転させる回転装置と、
を備え、
前記回転装置による前記回転子の自転に伴って、前記回転子における前記被押し付け面に押し付けられる部分と、前記被押し付け面との間の隙間で、前記気体と前記液体との混合物に対する加圧と減圧とが周期的に繰り返されることにより、気泡が形成される。
【0008】
前記回転子が磁性を有し、
前記回転装置が、前記容器を介して前記回転子と磁気的に結合することにより、前記回転子を前記被押し付け面に押し付けた状態で、前記回転子を自転させてもよい。
【0009】
前記回転装置が、前記回転子に機械的に連結された連結部材を有し、
前記回転装置が、前記連結部材を用いて、前記回転子を前記被押し付け面に押し付けた状態で、前記回転子を自転させてもよい。
【0010】
前記回転子における前記被押し付け面に押し付けられる部分と、前記容器の前記被押し付け面との少なくとも一方に、凹部と凸部とが前記回転子の前記自転の方向である周方向に並んでいる凹凸構造が、形成されていてもよい。
【0011】
前記凹凸構造が、前記回転子に形成されていてもよい。
【0012】
前記容器が、前記被押し付け面としての内下面と、前記内下面と対面する内上面と、前記内上面と前記内下面とをつなぎ、かつ前記回転子を取り囲む内側面とを有し、
前記回転子が、前記内側面のうちの一部分に寄せられていてもよい。
【0013】
前記容器に、
前記液体及び前記気体を導入する導入口と、
前記導入口とは異なる位置に配置され、前記気体が気泡化されて前記液体に分散している気液混合流体を排出する排出口と、
が形成されていてもよい。
【0014】
前記回転子の外面が、疎水性を有する樹脂で構成されていてもよい。
【0015】
本発明に係る気泡形成方法は、
回転子を、液体及び気体と共に、容器に封入する封入工程と、
前記容器の内面である被押し付け面に前記回転子を押し付けた状態で、前記回転子を自転させることにより、前記回転子における前記被押し付け面に押し付けられる部分と、前記被押し付け面との間の隙間で、前記気体と前記液体との混合物に対する加圧と減圧とを周期的に繰り返す回転工程と、
を有する。
【0016】
前記容器が、前記被押し付け面としての内下面と、前記内下面と対面する内上面と、前記内上面と前記内下面とをつなぎ、かつ前記回転子を取り囲む内側面とを有し、
前記回転工程では、前記回転子が前記内側面のうちの一部分に寄せられることにより、前記内側面の前記一部分と前記回転子との間で前記混合物が局所的に加圧されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の気泡形成装置及び気泡形成方法によれば、回転子における被押し付け面に押し付けられる部分と、被押し付け面との間の隙間で、気体と液体との混合物に対する加圧と減圧とが周期的に繰り返されることにより、気泡が形成される。
【0018】
気泡を形成するにあたり、従来必要であった、気体を放出する多孔質体、及び多孔質体が放出した気泡を回転子へと案内する筒体が不要であるため、大がかりな構成を必要とせずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態1に係る気泡形成装置の構成を示す概念図。
【
図2】実施形態1に係る回転子の裏面部を示す斜視図。
【
図3】実施形態1に係る容器及び回転子を示す平面図。
【
図4】実施形態1に係る容器及び回転子を示す縦断面図。
【
図5】実施形態1に係る回転子の第1凹凸構造を拡大して示す概念図。
【
図6】実施例1及び比較例1、2に係る気液混合流体の気泡密度を示すグラフ。
【
図7】実施例1、2に係る気液混合流体の気泡密度を示すグラフ。
【
図8】実施例2に係る気液混合流体中の気泡の直径別頻度分布を示すグラフ。
【
図9】実施例1、2に係る気液混合流体の気泡密度の、回転子の単位時間あたりの回転数に対する依存性を示すグラフ。
【
図10】実施例2-4に係る気液混合流体の気泡密度を示すグラフ。
【
図11】実施例1、5、6に係る気液混合流体の気泡密度を示すグラフ。
【
図12】実施形態2に係る気泡形成装置の構成を示す概念図。
【
図13】実施例7に係る気液混合流体中の気泡の直径別頻度分布を示すグラフ。
【
図14】実施形態3に係る気泡形成装置の構成を示す概念図。
【
図15】実施形態4に係る気泡形成装置の使用の態様を示す概念図。
【
図16】実施形態5に係る容器及び回転子を示す平面図。
【
図17】実施形態6に係る容器及び回転子を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、実施形態1-6に係る気泡形成装置について説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。
【0021】
[実施形態1]
図1に示すように、本実施形態に係る気泡形成装置500は、磁性を有する回転子100と、回転子100が液体LQ及び気体GSと共に収容される容器200と、容器200を介して回転子100と磁気的に結合する回転装置300と、を備える。
【0022】
容器200は、平坦な内上面211と、内上面211と対面する平坦な内下面221と、内上面211と内下面221とをつなぎ、かつ回転子100を取り囲む内側面としての内周面222と、を有する。それら内上面211、内下面221、及び内周面222によって、気密かつ液密な空間が画定されている。
【0023】
容器200は、内上面211を構成する蓋部210と、内下面221及び内周面222を構成する本体部220とに分割されて構成されている。蓋部210は、本体部220から取り外すことができる。また、蓋部210を本体部220にねじ込むことで、蓋部210と本体部220とを嵌め合わすことができる。なお、容器200は、透磁性を有する素材によって形成されている。
【0024】
回転装置300は、磁力によって、回転子100を容器200の被押し付け面としての内下面221に押し付けた状態で、回転子100を自転させる。回転子100は、内下面221と直交する方向に延びる仮想回転軸VAの周りに自転する。
【0025】
回転子100は、疎水性を有する樹脂、具体的には、フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレンによって、磁性体が覆われた構造を有する。即ち、回転子100の外面は、ポリテトラフルオロエチレンで構成されている。
【0026】
また、回転子100は、全体として、仮想回転軸VAを中心軸とする略円柱形の外形を有する。以下、回転子100における、容器200の内下面221に押し付けられる部分(以下、裏面部という。)110の構成について説明する。
【0027】
図2に示すように、回転子100の裏面部110には、凹部121と凸部122とを有する第1凹凸構造120が形成されている。第1凹凸構造120は、仮想回転軸VAの周りの周方向に凹部121と凸部122とが交互に並んでいる構造を有する。
【0028】
具体的には、複数の凸部122の各々は、仮想回転軸VAと直交する半径方向に放射状に延在している。周方向に隣り合う凸部122の間が、凹部121を構成している。凹部121は、仮想回転軸VAに平行な視線でみて扇形に形成されている。本実施形態に係る第1凹凸構造120は、合計で4つの凸部122と、合計で4つの凹部121とによって構成されている。
【0029】
図3は、
図1のIII-III線の位置における断面を示す。
図3に示すように、回転子100の、
図2に示した裏面部110とは反対側の上面は、平坦に形成されている。また、容器200は、仮想回転軸VAに平行な平面視において、円形に形成されている。容器200は、全体として円筒形の外形を有する。
【0030】
そして、回転子100を貫く仮想回転軸VAの位置は、円筒形の容器200の図示せぬ中心軸の位置から偏心されている。つまり、回転子100は、容器200の内周面222の一部分に寄せられて配置されている。
【0031】
以下、上述のように構成された気泡形成装置500の作用について説明する。
【0032】
図1に示すように、まず、封入工程として、ユーザは、容器200に、液体LQ、気体GS、及び回転子100を気密かつ液密に封入する。液体LQの液面の高さは、回転子100の、内上面211と対向する上面の高さと略等しい。液体LQの液面と、容器200の内上面211との間に気体GSが収容される。
【0033】
既述のように、回転子100は、内周面222の一部分に寄せられ、かつ裏面部110を内下面221と対面させた状態で、内下面221に載置される。そして、回転工程として、回転装置300によって回転子100を自転させる。
【0034】
図4は、
図3のIV-IV線の位置における断面を示す。回転子100が自転すると、その自転に伴って液体LQが旋回し、液体LQに遠心力が作用する。また、回転子100の自転に伴って、回転子100の周囲の液圧が低下する。この結果、回転子100に近づきつつ、上方に向かう液体LQの流れが形成される。そして、上方に向かった液体LQが下方に折り返される際に、気体GSを巻き込む。
【0035】
気体GSが、液体LQに巻き込まれることにより気泡が形成される。形成された気泡は、自転する回転子100の外面において剪断されることにより微細化される。回転子100の外面が疎水性を有するため、回転子100の外面が親水性を有する場合に比べて、回転子100の外面において、剪断による気泡の形成を効率的に行うことができる。
【0036】
以上のようにして、液体LQと気体GSとが混ざり合い、液体LQと気体GSとの混合物である気液混合流体FLが形成される。気液混合流体FLにおいては、気体GSが気泡化されて液体LQに分散している。
【0037】
図5を参照し、仮想回転軸VAに平行な面内における気液混合流体FLの流れについて説明する。
図5では、回転子100に対する気液混合流体FLの相対的な流れを矢印で示している。回転子100の自転に伴い、凹部121と内下面221との間の気液混合流体FLが、凸部122と内下面221との間の局所的に狭小化された隙間GP1を通過して、隣の凹部121に流入する。
【0038】
気液混合流体FLは、凸部122と内下面221との間の隙間GP1において加圧され、隙間GP1から隣の凹部121に流れ出る際に急激に減圧される。そのような加圧と減圧とが、回転子100の自転に伴って周期的に繰り返される。
【0039】
この結果、気液混合流体FLを構成する液体LQへの気泡の溶解が促進されたり、キャビテーション(cavitation)が生じたりするため、気液混合流体FL中の気泡が微細化される。このようにして、微細化された気泡を形成することができる。
【0040】
図3を参照し、次に、仮想回転軸VAに直交する面内における気液混合流体FLの流れについて説明する。既述のように、回転子100は、内周面222のうちの一部分に寄せられて配置されている。このため、仮想回転軸VAに直交する面内においても、内側面222の一部分と回転子100との間に、局所的に狭小化された隙間GP2が構成される。
【0041】
図3では、回転子100に対する気液混合流体FLの相対的な流れを矢印で示している。回転子100の自転に伴い、気液混合流体FLが、自転している回転子100の周りを周回する流れを構成する。気液混合流体FLは、回転子100と内周面222との間の隙間GP2において局所的に加圧され、隙間GP2から流れ出る際に急激に減圧される。
【0042】
そのような加圧と減圧とが、回転子100の自転に伴って周期的に繰り返される。このことも、気泡の溶解及びキャビテーションの発生をもたらし、気液混合流体FLに含まれる気泡の微細化に寄与している。
【0043】
なお、気液混合流体FLの、隙間GP2での加圧と、隙間GP2から流れ出る際の減圧とをより確実なものとするために、隙間GP2の寸法は、回転子100と内周面222との間隔の最大値(以下、最大間隔という。)をDとしたとき、D/20以下であることが好ましく、D/40以下であることがより好ましく、D/80以下であることがより好ましい。
【0044】
以上説明した気泡形成装置500によれば、微細化された気泡を含む気液混合流体FLを得るにあたり、従来必要であった、気体を放出する多孔質体、及び多孔質体が放出した気泡を回転子へと案内する筒体が不要であるため、大がかりな構成を必要とせずに済む。
【0045】
以下、気液混合流体FLにおける気泡の数密度(以下、気泡密度と記す。)を高める条件を模索した実験の結果について説明する。
【0046】
[実施例1]
内径26.5mmの容器200に、外径17mmの回転子100と、液体LQとしての精製水と、気体GSとしての空気とを封入し、回転子100を回転させることにより、気液混合流体FLを形成した。精製水の量は4mLとした。精製水の水面の高さは、回転子100の上面の高さと等しい。回転子100の回転数は、700rpmとした。
【0047】
但し、回転子100は、容器200の内周面222のうちの一部分に寄せることなく、容器200の内下面221の中央部分に配置した。具体的には、回転子100の仮想回転軸VAの位置を、容器200の中心軸の位置と一致させた。
【0048】
[比較例1]
回転子100を上下反転させて配置した点以外は、実施例1と同じ条件で、気液混合流体FLを形成した。即ち、比較例1では、回転子100の第1凹凸構造120が、容器200の内下面221とは対向しておらず、容器200の内上面211と対向している。このため、
図5を参照して説明した作用を得ることができない。
【0049】
[比較例2]
回転子100に代えて、第1凹凸構造120を備えない回転子を用いた点以外は、実施例1と同じ条件で、気液混合流体FLを形成した。回転子が第1凹凸構造120を備えないため、比較例1の場合と同様、
図5を参照して説明した作用を得ることができない。
【0050】
[評価1]
図6は、実施例1及び比較例1、2で得た気液混合流体FLの気泡密度を示すグラフである。縦軸が気泡密度を示し、横軸は回転子100の自転を継続させた時間(以下、運転時間と記す。)を示す。
図6に示すように、実施例1によれば、比較例1、2に比べて顕著に高い気泡密度が得られた。この結果は、
図5を参照して説明した作用によって、第1凹凸構造120が気液混合流体FLの気泡密度を高めたことを示している。
【0051】
[実施例2]
図3に示したように回転子100を容器200の内周面222のうちの一部分に寄せた点以外は、実施例1と同じ条件で、気液混合流体FLを形成した。
図3に示す隙間GP2の寸法は、0.5mm以下とした。
【0052】
[評価2]
図7は、実施例2で得た気液混合流体FLの気泡密度を示すグラフである。
図7には、比較のために、実施例1の結果を再掲した。
図7に示すように、実施例2によれば、実施例1に比べて高い気泡密度が得られた。この結果は、回転子100を容器200の内周面222のうちの一部分に寄せることにより、
図3を参照して説明した作用によって気液混合流体FLの気泡密度が高められることを示している。
【0053】
[評価3]
図8は、実施例2で得た気液混合流体FL中の気泡の直径別頻度分布を示す。横軸は、気泡の直径(以下、気泡径と記す。)を示し、縦軸は頻度を示す。なお、実施例2に係る気液混合流体FLのサンプルを5つ準備し、各々のサンプルについて頻度分布を測定した。
図8では、各々の気泡径において、5つのサンプルについての測定結果内での最小値から最大値までに幅をもたせて示している。また、
図8では、5つのサンプルについての測定結果の平均を表す曲線の極大点の近傍に、その極大点の位置の気泡径を付記した。
【0054】
図8に示すように、気液混合流体FLにおける気泡径は600nm以下である。即ち、気泡径が1μm以下の気泡であるウルトラファインバブル(ultrafine bubble)を形成できたことが確認された。気泡径の平均値は、200nm未満、具体的には100nm程度である。なお、ここで平均値とは、最も高い頻度の気泡径であるモード径を指す。
【0055】
[評価4]
図9は、実施例1及び実施例2に係る気液混合流体FLの気泡密度の、回転子100の回転数に対する依存性を示すグラフである。なお、運転時間は3分とした。
図9に示すように、実施例1及び実施例2のいずれにおいても、回転子100の回転数が高い程、気泡密度が高くなる。
【0056】
従って、回転子100の回転数は高い程好ましい。具体的には、回転子100の回転数は、200rpm以上であることが好ましく、400rpm以上であることがより好ましく、600rpm以上であることがより好ましい。
【0057】
[実施例3]
回転子100の外径を15mmとした点以外は、実施例2と同じ条件で、気液混合流体FLを形成した。
【0058】
[実施例4]
回転子100の外径を10mmとした点以外は、実施例2と同じ条件で、気液混合流体FLを形成した。
【0059】
[評価5]
図10は、実施例2-4で得た気液混合流体FLの気泡密度を示すグラフである。比較のために実施例2の結果を再掲した。
図10に示すように、回転子100の回転数が等しい場合、回転子100の外径が大きい程、高い気泡密度が得られる。これは、回転子100の外径が大きい程、回転子100の外周面における回転速度が大きいため、回転子100の外周面において気泡の剪断及び撹拌がより激しく行われたことによる。
【0060】
[実施例5]
回転子100の外径を25mmとし、容器200の内径を41mmとした点以外は、実施例1と同じ条件で、気液混合流体FLを形成した。液体LQとしての精製水の量は、その水面の高さが回転子100の上面の高さと等しくなるように調整した。
【0061】
[実施例6]
回転子100の外径を60mmとし、容器200の内径を69.5mmとした点以外は、実施例1と同じ条件で、気液混合流体FLを形成した。液体LQとしての精製水の量は、その水面の高さが回転子100の上面の高さと等しくなるように調整した。
【0062】
[評価6]
図11は、実施例1、5、6で得た気液混合流体FLの気泡密度を示すグラフである。比較のために実施例1の結果を再掲した。
図11に示すように、回転子100の回転数が等しい場合、回転子100の外径が大きい程、高い気泡密度が得られる。また、容器200に封入した精製水の量は、実施例1、5、6のうち実施例6が最も多い。つまり、サイズの大きい容器200及び回転子100を用いることで、より効率的に気液混合流体FLを得ることができる。
【0063】
[実施形態2]
上記実施形態1では、回転装置300が非接触で回転子100を自転させる構成を例示したが、回転装置300と回転子100とが機械的に連結された構成を採ってもよい。以下、その具体例について述べる。
【0064】
図12に示すように、本実施形態では、回転子100を自転させる回転装置400が、回転子100と機械的に連結されている。回転装置400は、回転子100に機械的に連結された連結部材410と、連結部材410を通じて回転子100を自転させるモータ420とを有する。
【0065】
連結部材410は、容器200の被押し付け面としての内下面221に交差する方向に棒状に延在している回転軸体411と、回転子100に取り付けられた弾性体412とを有する。
【0066】
弾性体412は、弾性変形が可能な柔軟性を有する素材、具体的には、ゴムによって形成されている。但し、ゴム以外の樹脂によって弾性体412を形成してもよい。弾性体412は、接着剤によって、回転子100の上面における仮想回転軸VAと交差する部分に接着されている。
【0067】
回転軸体411は、仮想回転軸VA上に延在している。回転軸体411の一端としての下端は、弾性体412を介して、回転子100の上面に接続されている。回転軸体411の他端としての上端は、容器200の上方に配置されたモータ420に接続されている。回転軸体411は、ステンレスその他の金属によって形成してもよいし、プラスチックその他の樹脂によって形成してもよい。
【0068】
なお、回転軸体411は、容器200の蓋部210を貫通している。蓋部210の、回転軸体411によって貫かれている部分は、回転軸体411に対する軸受けとしての役割を果たす。その軸受けは、容器200の外部に気体GS及び液体LQが漏出するのを防止する気密性及び液密性を有する。
【0069】
モータ420は、回転軸体411を仮想回転軸VAの周りに回転させる。これにより、回転軸体411の回転トルクが、弾性体412を通じて回転子100に伝えられ、回転子100が自転する。
【0070】
また、回転装置400は、連結部材410を用いて、回転子100を内下面221に押し付けた状態で、回転子100を自転させる。具体的には、回転装置400は、回転子100を内下面221に押し付けるスラスト力を、回転軸体411及び弾性体412を通じて回転子100に与えながら、回転子100を自転させる。
【0071】
そのスラスト力は、回転軸体411及び弾性体412の荷重が含まれる。これにより、実施形態1の場合と同様に、回転子100の裏面部110と内下面221との間には、回転子100の荷重よりも大きな押し付け力が作用する。
【0072】
なお、回転装置400は、回転子100を内下面221のみならず内周面222にも押し付けた状態で、回転子100を自転させてもよい。この場合、回転軸体411は、曲げ変形が可能な弾性を有することが好ましい。回転軸体411の、曲げに対する弾性復元力によって、回転子100を内周面222に押し付けることができる。
【0073】
上述のように本実施形態では、回転軸体411と回転子100との間に、弾性体412が介在している。このため、モータ420が回転軸体411を回転させている最中に、仮に回転軸体411が仮想回転軸VAの位置からずれる軸ブレが生じたとしても、その軸ブレが弾性体412の弾性変形によって吸収される。従って、回転装置400は、回転子100を安定して自転させ続けることができる。他の作用及び効果は、実施形態1と同様である。
【0074】
[実施例7]
内径67mmの円筒型の容器200に、外径60mmの回転子100と、液体LQとしての精製水と、気体GSとしての空気とを封入した。そして、
図12に示す回転装置400によって回転子100を自転させることにより、気液混合流体FLを形成した。精製水の量は、100mLとした。回転子100の回転数は、2800rpmとした。運転時間は、2分とした。
【0075】
なお、
図12に示したように、回転子100は、容器200の内周面222のうちの一部分に寄せられている。即ち、回転装置400は、回転子100を内下面221のみならず内周面222にも押し付けた状態で自転させる。
図3に示す隙間GP2の寸法に相当する値は、0.5mm以下とした。
【0076】
[評価7]
図13は、実施例7で得た気液混合流体FL中の気泡の直径別頻度分布を示す。横軸は気泡径を示し、縦軸は頻度を示す。なお、実施例7に係る気液混合流体FLのサンプルを5つ準備し、各々のサンプルについて頻度分布を測定した。
図13では、各々の気泡径において、5つのサンプルについての測定結果内での最小値から最大値までに幅をもたせて示している。また、
図13では、5つのサンプルについての測定結果の平均を表す曲線の極大点の近傍に、その極大点の位置の気泡径を付記した。
【0077】
図13に示すように、気液混合流体FLにおける気泡径は600nm以下である。即ち、気泡径が1μm以下の気泡であるウルトラファインバブルを形成できたことが確認された。気泡径の平均値は、200nm未満、具体的には100nm程度である。
【0078】
[実施形態3]
上記実施形態1では、容器200への液体LQ及び気体GSの導入、並びに容器200からの気液混合流体FLの排出の都度、本体部220に対して蓋部210を開閉する操作を要した。蓋部210の開閉を伴わずに、液体LQ及び気体GSの導入、並びに気液混合流体FLの排出を行える構成を容器200が備えてもよい。以下、その具体例について述べる。
【0079】
図14に示すように、本実施形態に係る気泡形成装置500においては、容器200に、液体LQ及び気体GSを導入する導入口INと、気液混合流体FLを排出する排出口OUTとが形成されている。
【0080】
排出口OUTは、導入口INとは異なる位置に配置されている。具体的には、導入口INは、回転子100の上面よりも低い位置に配置されており、排出口OUTは、回転子100の上面よりも高い位置に配置されている。
【0081】
また、本実施形態に係る気泡形成装置500は、導入口INを開閉する第1開閉弁231と、排出口OUTを開閉する第2開閉弁232とを備える。第1開閉弁231と第2開閉弁232の各々は、所望のタイミングで開閉することができる。
【0082】
本実施形態によれば、第1開閉弁231及び導入口INを通じて容器200に液体LQ及び気体GSを導入することができ、第2開閉弁232及び排出口OUTを通じて容器200内の気液混合流体FLを外部に排出することができる。このため、
図1に示した蓋部210の開閉が不要である。
【0083】
また、容器200の内圧を大気圧とは異なる値へと容易に調整できる。具体的には、第2開閉弁232を閉じた状態で、第1開閉弁231及び導入口INを通じて容器200に液体LQ及び気体GSを圧入することで、容器200の内圧を大気圧よりも高く設定できる。また、気液混合流体FLを形成する前に、第1開閉弁231を閉じた状態で、第2開閉弁232及び排出口INを通じて気体GSを引き抜くことで、容器200の内圧を大気圧よりも低く設定できる。
【0084】
また、第1開閉弁231及び第2開閉弁232を開いた状態で、回転子100を自転させておくことで、バッチ処理以外の処理、即ち、容器200に液体LQ及び気体GSを導入しながら、容器200から気液混合流体FLを排出する連続処理も可能である。
【0085】
[実施形態4]
上記実施形態3では、単一の気泡形成装置500を用いる場合を例示したが、複数の気泡形成装置500を組み合わせて使用してもよい。以下、その具体例について述べる。
【0086】
図15に示すように、本実施形態では、3つの気泡形成装置500を鉛直方向に積み重ねて使用する。1つの気泡形成装置500の排出口OUTは、その気泡形成装置500の上に積まれた気泡形成装置500の導入口INと連通している。
【0087】
最下段の気泡形成装置500の導入口INから液体LQ及び気体GSが導入される。その液体LQと気体GSとは混ざり合いつつ、各々の気泡形成装置500における回転子100の自転に伴う遠心力で上方に移動される。そして、最上段の気泡形成装置500の排出口OUTから気液混合流体FLが排出される。
【0088】
本実施形態によれば、3つの気泡形成装置500における回転子100を同時並行して自転させるので、気液混合流体FLを効率的に形成することができる。
【0089】
なお、
図15には、
図14に示した第1開閉弁231及び第2開閉弁232を示していないが、最下段の気泡形成装置500の導入口INに第1開閉弁231を設け、最上段の気泡形成装置500の排出口OUTに第2開閉弁232を設けてもよい。
【0090】
[実施形態5]
図3には、平面視で円形の容器200の図示せぬ中心軸から仮想回転軸VAを偏心させた構成を例示した。容器200の形状によっては、仮想回転軸VAを偏心させずとも、回転子100が内周面222のうちの一部分に寄せられる場合がある。以下、その具体例について述べる。
【0091】
図16に示すように、本実施形態に係る容器200は、平面視で楕円形に形成されている。容器200の中心軸の位置と、仮想回転軸VAの位置は一致しているが、容器200が楕円形に形成されているため、容器200の内周面222のうちの一部分に、回転子100が寄せられている。具体的には、容器200の内周面222のうちの、短軸方向に対向する2箇所に、回転子100が寄せられている。
【0092】
このため、内側面222と回転子100との間に、局所的に狭小化された隙間GP2が2つ構成される。従って、隙間GP2が1つのみ構成される実施形態1に比べると、気液混合流体FLを効率的に形成しうる。
【0093】
なお、気液混合流体FLの、各々の隙間GP2での加圧と、各々の隙間GP2から流れ出る際の減圧とをより確実なものとするために、回転子100と内周面222との最大間隔をDとしたとき、隙間GP2の寸法は、D/20以下であることが好ましく、D/40以下であることがより好ましく、D/80以下であることがより好ましい。ここで最大間隔Dとは、
図16に示す構成においては、回転子100と内周面222との長軸方向の間隔を指す。
【0094】
[実施形態6]
図3には、容器200の内周面222と、その内周面222に面する回転子100の外周面とがいずれも滑らかに形成された構成を例示したが、回転子100の外周面と、容器200の内周面222との少なくとも一方に、第2凹凸構造を形成してもよい。以下、その具体例について述べる。
【0095】
図17に示すように、本実施形態では、回転子100の、容器200の内周面222に面する外周面に、第2凹凸構造130が形成されている。第2凹凸構造130は、仮想回転軸VAの周りの周方向に並ぶ凹部と凸部とによって構成されている。本実施形態によれば、第2凹凸構造130と内周面222との間で、気液混合流体FLの加圧と減圧とが周期的に繰り返される。これにより、第2凹凸構造130が無い場合よりも効率的に気泡を形成することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明した。本発明はこれに限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0097】
図1には、回転子100の裏面部110と、容器200の内下面221とのうち、回転子100の裏面部110に第1凹凸構造120を形成した構成を例示したが、回転子100に第1凹凸構造120を形成する代わりに、容器200の内下面221に第1凹凸構造120を形成してもよい。また、回転子100と内下面221の双方に、第1凹凸構造120を形成してもよい。
【0098】
但し、回転子100と内下面221のうち、少なくとも回転子100に第1凹凸構造120を形成することが好ましい。自転する回転子100に第1凹凸構造120を形成することにより、内下面221のみに第1凹凸構造120を形成する場合に比べて、容器200内に液体LQ及び気体GSの強い旋回流を形成することができ、気液混合流体FLを効率的に形成することができる。
【0099】
図3には、仮想回転軸VAに平行な平面視で円形の容器200を例示し、
図16には、平面視で楕円形の容器200を例示したが、容器200の形状は特に限定されない。容器200は、平面視で、三角形、四角形、又は五角形以上の多角形に形成されていてもよい。容器200の形状によっては、内側面222と回転子100との間に、局所的に狭小化された隙間GP2を複数構成することができる。
【0100】
また、気泡形成装置500は、容器200を介して、容器200内の液体LQ及び気体GSの温度を調整する温度調整器を備えてもよい。温度調整器は、液体LQ及び気体GSを冷却するものであってよいし、液体LQ及び気体GSを加熱するものであってもよい。
【0101】
本発明は、その広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な変形が可能とされる。上記実施形態及び実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、実施形態及び実施例ではなく、請求の範囲によって示される。請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0102】
本出願は、2019年5月20日に日本国に出願された特願2019-094202号に基づく。本明細書中に特願2019-094202号の明細書、特許請求の範囲、及び図面の全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る気泡形成装置及び気泡形成方法は、気泡を含む気液混合流体の形成に用いることができる。
【符号の説明】
【0104】
100…回転子、
110…裏面部、
120…第1凹凸構造(凹凸構造)、
121…凹部、
122…凸部、
130…第2凹凸構造、
200…容器、
210…蓋部、
211…内上面、
220…本体部、
221…内下面(被押し付け面)、
222…内周面(内側面)、
231…第1開閉弁、
232…第2開閉弁、
300,400…回転装置、
410…連結部材、
411…回転軸体、
412…弾性体、
420…モータ、
500…気泡形成装置、
LQ…液体、
GS…気体、
FL…気液混合流体、
VA…仮想回転軸、
GP1,GP2…隙間、
IN…導入口、
OUT…排出口。