(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】校正装置、校正方法及び校正プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20240827BHJP
【FI】
G06Q30/0241
(21)【出願番号】P 2022103621
(22)【出願日】2022-06-28
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000232140
【氏名又は名称】NECフィールディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 遥果
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-087890(JP,A)
【文献】特開2004-280472(JP,A)
【文献】特開2016-143099(JP,A)
【文献】特開2020-154685(JP,A)
【文献】特開2010-113642(JP,A)
【文献】特開2021-174026(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2188205(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0090917(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0331517(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースと、
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別部と、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定部と、
特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを前記データベースから読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正部と、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映部と、
反映が行われた広告文字データを通知する通知部と、
を含む校正装置。
【請求項2】
前記反映部が、修正後の広告文字データにおける置換文字が、現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて適切か否かを判定する、請求項1に記載の校正装置。
【請求項3】
前記反映部が、修正後の広告文字データの全体における文字表現が、現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて適切か否かを判定する、請求項1に記載の校正装置。
【請求項4】
前記商品特定部が、予め設定されたキーワードに基づいて商品の種別を特定する、請求項1に記載の校正装置。
【請求項5】
前記修正部が、商品の種別とは無関係に使用が認められない使用不可文字についても置換文字に置換する、請求項1に記載の校正装置。
【請求項6】
前記修正部が、前記広告文字データにおける使用不可文字に対して置換文字を追記することで前記広告文字データを修正する、請求項1に記載の校正装置。
【請求項7】
前記反映部が、不適切であると判定した文字表現に対して、現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を追記する、請求項1に記載の校正装置。
【請求項8】
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別ステップと、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定ステップと、
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースから、特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正ステップと、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映ステップと、
反映が行われた広告文字データを通知する通知ステップと、
をコンピュータが実行する校正方法。
【請求項9】
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別処理と、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定処理と、
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースから、特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正処理と、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映処理と、
反映が行われた広告文字データを通知する通知処理と、
をコンピュータに実行させる校正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正装置、校正方法及び校正プログラムに関する。特に、広告において使用される文字表現を校正する校正装置、校正方法及び校正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる景品表示法や薬機法の下では、虚偽又は誇大な記事や広告が禁止されている。これらの法律に対する抵触を避けるために、広告から法律違反となる用語を検出する技術が開発されている。なお、景品表示法は「不当景品類及び不当表示防止法」の一般名称であり、薬機法は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の一般名称であり、本願では「第1の法律」と称する場合がある。
【0003】
また、Web文章などから、コンプライアンス違反となりえる不適切用語を検出して、他の用語に置換する技術も開発されている(例えば特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-218228号公報
【文献】特開2004-280472号公報
【文献】特開2002-183131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【0006】
景品表示法や薬機法の下では、関連する裁判の判例や法改正などを即座に広告の表現に反映する必要があるが、特許文献1~3に開示の技術ではデータベースを待たなければならないという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、景品表示法や薬機法に関連する裁判の判例や法改正などを即座に広告の表現に反映する校正装置、校正方法、校正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点によれば、
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースと、
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別部と、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定部と、
特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを前記データベースから読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正部と、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映部と、
反映が行われた広告文字データを通知する通知部と、
を含む校正装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の視点によれば、
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別ステップと、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定ステップと、
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースから、特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正ステップと、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映ステップと、
反映が行われた広告文字データを通知する通知ステップと、
をコンピュータが実行する校正方法が提供される。
【0010】
本発明の第3の視点によれば、
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別処理と、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定処理と、
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースから、特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正処理と、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映処理と、
反映が行われた広告文字データを通知する通知処理と、
をコンピュータに実行させる校正プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の各視点によれば、景品表示法や薬機法に関連する裁判の判例や法改正などを即座に広告の表現に反映することに貢献する校正装置、校正方法及び校正プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1の校正装置100の構成を示す図である。
【
図2】実施形態1の校正装置100による処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図3】実施形態1の校正装置100による処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図4】校正装置100としてのコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のとり得る好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。さらに、本願開示に示す、ブロック図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インターフェイスも同様である。
【0014】
[実施形態1]
実施形態1の校正装置100は、
図1に示すように、第1データベース10と、識別部11と、商品特定部12と、修正部13と、反映部14と、通知部15とを備える。
【0015】
第1データベース10は、商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶する。ここで、第1データベース10に記憶される使用不可文字を「第1使用不可文字(データ)」と称する。
【0016】
例えば、第1データベース10は、商品の種別ごとに第1使用不可文字データと、置換文字データとを対応付けたテーブルで構成される。なお、第1使用不可文字データと置換文字データとは、1対1で対応付けられるとは限らない。つまり、1つの第1使用不可文字に対して複数の置換文字を対応付けた上で、複数の置換文字に対して適用条件を付して管理することができる。また第1データベース10には、商品によらず法律上、使用することが認められない文字データ(「第2使用不可文字データ」と称する)も記憶しておくこともできる。
【0017】
識別部11は、校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する。ここで、校正対象広告は商品説明資料などであり、電子データであることが望ましい。つまり、識別部11は、校正対象広告の電子データからテキストを抽出した上で、テキストマイニングを行い、識別文字データとして商品特定部12に対して出力する。
【0018】
商品特定部12は、識別された広告文字データに基づいて、校正対象広告が広告する商品の種別を特定する。例えば、商品特定部12には、取り扱っている商品の種別ごとに関連する複数のキーワードが格納されている。識別文字データを受信すると、商品特定部12は、識別文字データとこれらのキーワードとの関連性を判断し、最も関連性の高い(又はキーワードが多く一致する)商品の種別を選出、特定する。そして、商品特定部12は、選出、特定した商品の種別に関する商品特定データを修正部13に対して出力する。
【0019】
あるいは、商品特定部12は、識別文字データだけでなく、広告内に添付されている画像を参照して商品の種別を特定してもよい。その場合には、商品特定部12が予め参考となる画像(以下、参考画像と記す)を記憶しており、参考画像と広告内に添付されている画像とを比較することで商品の種別を特定する。なお、キーワード及び参考画像は、第1データベース10に格納しておき、商品特定部12が必要に応じて読み出すようにしても良い。また、商品特定部12は、商品の種別のみならず、どの商品であるかを特定しても良い。
【0020】
修正部13は、第1データベース10から、特定された商品の種別に関する第1使用不可文字データ及び置換文字データを読み出して、広告文字データにおける第1使用不可文字を置換文字に置換することで広告文字データを修正する。具体的には、修正部13は、商品特定部12から商品特定データを取得すると、第1データベース10に接続し、該当する商品の種別に対応する第1使用不可文字データを読み出す。そして、修正部13は、識別文字データと第1使用不可文字データとを比較し、一致するか否かを判断する。もし一致していれば、修正部13は、再度第1データベース10に接続し、一致した第1使用不可文字データに対応する、置換文字データを読み出して、広告文字データにおける第1使用不可文字を置換文字に置き換える。
【0021】
なお、第1データベース10に第2使用不可文字データが格納されている場合には、修正部13は、識別文字データと第1使用不可文字データを先に比較するか、それとも識別文字データと第2使用不可文字データを先に比較するかは適宜設定することができる。
【0022】
反映部14は、現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定する。そして反映部14は、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する。ここで、反映部14は、修正後の広告文字データにおける置換文字が適切か否かを判定しても良いし、修正後の広告文字データの全体における文字表現が適切か否かを判定しても良い。
【0023】
具体的には、反映部14は、商品の最新情報(機能などを記載)及び関連法の最新情報のうち少なくとも一方を含む外部の第2データベース16に接続する。ここで、関連法は景品表示法及び薬機法(すなわち「第1の法律」)を含む。そして、反映部14は、第2データベース16から取得した商品に関連するデータに基づいて、修正部13から取得した識別文字データ又は置換文字データが適当か判断する。ここで、適当でないと判断した場合、反映部14は、商品に関連するデータに基づく最適な文字データ(「最適文字データ」と称する)に差し替えることができ、差し替えた上で電子データに反映させることができる。例えば、識別文字データ又は置換文字データにおいて、第1データベースには第1、第2使用不可文字データとして登録されていないが、商品の最新情報及び関連法の最新情報に基づく使用不可文字データ(「第3使用不可文字データ」と称する)を不適切であると判定する。言い換えると、第1データベースに登録された置換文字データが第3使用不可文字データと判断される場合もあり得る。
【0024】
また反映部14は、第1データベース10に格納されている置換文字データを最適文字データに差し替えることで、データベース内のデータを最新の状態に保つことができる。反映が行われた広告文字データ(反映済み広告文字データ)は通知部15に出力される。なお、修正部13による修正及び反映部14による反映が行われなかった場合には、識別部11に入力された電子データ(すなわち校正対象広告データ)がそのまま出力される。
【0025】
通知部15は、反映済み広告文字データを通知する。具体的には、通知部15は、反映済み広告文字データを作業担当者の端末にメール等で送信する。
【0026】
なお、修正部13又は反映部14により差し替えがあった場合には、差し替え前の文字データを残すようにしてもよい。この場合、通知部15は、差し替え前後の文字データが残った状態で電子データを出力することができる。そのため、作業担当者は、差し替えがあったことを把握するだけでなく、どの文字データが差し替えられたのかを把握することができる。その結果、作業担当者に対して使用不可文字を周知させることができる。
【0027】
次に、校正装置100による処理の流れを説明する。
図2に示すように、まず識別部11は、校正対象広告の電子データを受信し(ステップS01)、受信した電子データ内に含まれる広告文字データを識別する(ステップS02)。なお、識別された識別文字データは、商品特定部12に送られる。
【0028】
続いて、商品特定部12は、識別文字データを受信すると、第1データベース10に接続する(ステップS03)。そして、商品特定部12は、キーワードと識別文字データとの関連性を判断し、商品種別を特定する(ステップS04)。なお、商品特定部12は、商品種別を特定すると商品種別データを修正部13に送信する(ステップS05)。
【0029】
続いて、修正部13は、商品種別データを受信すると、第1データベース10に接続し、該当する商品に対応する第1使用不可文字データを受信する(ステップS06)。そして、修正部13は、識別文字データと第1使用不可文字データを比較し(ステップS07)、一致するか否かを判断する(ステップS08)。もし一つでも一致すれば次のステップS09に進み、一致するものがなければ後述するステップS11に進む。
【0030】
ステップS09において、修正部13は、再度第1データベース10に接続し、識別文字データと一致した第1使用不可文字データに対応する、置換文字データを受信する。そして、修正部13は、第1使用不可文字データに一致する識別文字データを、置換文字データへ差し替える(ステップS10)。
【0031】
続く反映部14によるステップS11は、ステップS08において一致しないと判断されること、又はステップS10において置換文字データへの差し替えが行われることがトリガーとなる。ステップS11において、反映部14は、第2データベース16から特定された商品種別に関連するデータ(例えば商品の機能や効能、関係法令に関する情報)を取得する(ステップS11)。
【0032】
続いて反映部14は、ステップS11で取得した関連データに基づいて修正が必要か否かを判断する(ステップS12)。具体的には、反映部14は、ステップS08において識別文字データが使用不可文字データと一致していた場合には、置換文字データについて再度の修正が必要か否かを判断する。言い換えると、反映部14は、修正後の広告文字データにおける置換文字が適切か否かを判定する。一方、識別文字データが使用不可文字データと一致していなかった場合には、識別文字データについて修正が必要か否かを関連データに基づいて判断する。言い換えると、反映部14は、修正後の広告文字データの全体における文字表現が適切か否かを判定する。
【0033】
反映部14が修正不要と判断した場合には、ステップS16に進み、修正が必要と判断した場合にはステップS13に進む。ステップS13において、反映部14は、修正の対象が置換文字データか否かを判断する。修正の対象が置換文字データである場合、反映部14は、第1データベース10に接続し、格納されている置換文字データを、最適文字データに更新する(ステップS14)。なお、最適文字データは、関連データに基づいて反映部14により生成されるが、第2データベース16から出力されるようにしてもよい。
【0034】
次に反映部14は、修正部13から受信した電子データ内に含まれる、置換文字データを、最適文字データに差し替える(ステップS15)。そして、反映部14による反映済み電子データは、通知部15に送信される(ステップS16)。通知部15は、受信した反映済み電子データを、校正対象広告の電子データの送信元である作業者端末に送信して作業者に通知する(ステップS17)。
【0035】
一方、ステップS13において、修正の対象が置換文字データではなく、識別文字データであると判断された場合、反映部14は、第1データベース10に接続し、識別文字データを使用不可文字データとして登録する(ステップS18)。そして、反映部14は、修正部13から受信した電子データ内に含まれる、識別文字データを、最適文字データに差し替える(ステップS19)。ステップS19が終了すると、ステップS16とステップS17を経てフローは終了する。
【0036】
以上のように、実施形態1の校正装置100では、校正対象広告に含まれる広告文字データを校正する際に、現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を直接反映する。そのため、実施形態1の校正装置100によれば、第1の法律、すなわち景品表示法や薬機法を含む法律に関連する裁判の判例や法改正などを即座に広告の表現に反映することができる。
【0037】
[実施形態2]
実施形態1において、例えば第1の法律を景品表示法とし、第2の法律を薬機法とすることができる。この場合、反映部14は、
図2に示すステップS11以降のステップ(
図3へ続く)を繰り返すループを追加することができる。その場合、関連法律としての第2の法律に関するデータは第2データベース16に保持することができる。このようにして実施形態2においては第1の法律に限らず第2の法律についても修正後の文字表現の適否を判断することができ、いわば第1の法律及び第2の法律についてダブルチェックを行う。
【0038】
更に関連法律としては第3、第4以下の特定法律に関するチェックが必要になってくる場合もある。この場合には実施形態2のループを追加して対応することもできる。更に本実施形態により複数の関連法律に関する候補文字表現に対する適宜必要な追加チェックを行うことができる。
【0039】
なお、本発明は、校正装置100としてのコンピュータによる校正方法、又は当該コンピュータが実行する校正プログラムとしても実現可能である。すなわち、
図4に示すように、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)がメモリからプログラムを読み出して、識別部11、商品特定部12、修正部13、反映部14及び通知部15に相当するモジュールを実現することによって本発明は実現され得る。なお、第1データベース10に関しては、図示するようにメモリと統合しても良いし、別途備えても良い。
【0040】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0041】
(付記1)
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースと、
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別部と、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定部と、
特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを前記データベースから読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正部と、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映部と、
反映が行われた広告文字データを通知する通知部と、
を含む校正装置。
【0042】
(付記2)
前記反映部が、修正後の広告文字データにおける置換文字が、現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて適切か否かを判定する、付記1に記載の校正装置。
【0043】
(付記3)
前記反映部が、修正後の広告文字データの全体における文字表現が、現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて適切か否かを判定する、付記1に記載の校正装置。
【0044】
(付記4)
前記商品特定部が、予め設定されたキーワードに基づいて商品の種別を特定する、付記1に記載の校正装置。
【0045】
(付記5)
前記修正部が、商品の種別とは無関係に使用が認められない使用不可文字についても置換文字に置換する、付記1に記載の校正装置。
【0046】
(付記6)
前記修正部が、前記広告文字データにおける使用不可文字に対して置換文字を追記することで前記広告文字データを修正する、付記1に記載の校正装置。
【0047】
(付記7)
前記反映部が、不適切であると判定した文字表現に対して、現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を追記する、付記1に記載の校正装置。
【0048】
(付記8)
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別ステップと、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定ステップと、
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースから、特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正ステップと、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映ステップと、
反映が行われた広告文字データを通知する通知ステップと、
をコンピュータが実行する校正方法。
【0049】
(付記9)
校正対象広告に含まれる広告文字データを識別する識別処理と、
識別された広告文字データに基づいて、前記校正対象広告が広告する商品の種別を特定する商品特定処理と、
商品の広告に使用が認められない使用不可文字に関する使用不可文字データと、当該使用不可文字に置き換えられるべき置換文字に関する置換文字データとを、商品の種別ごとに記憶するデータベースから、特定された商品の種別に関する使用不可文字データ及び置換文字データを読み出して、前記広告文字データにおける使用不可文字を置換文字に置換することで前記広告文字データを修正する修正処理と、
現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現に基づいて修正後の広告文字データにおける文字表現が適切か否かを判定し、不適切であると判定した文字表現に対して現行の広告において使用されている文字表現、及び/又は、広告表現に関する現行の第1の法律に規定される文字表現を反映する反映処理と、
反映が行われた広告文字データを通知する通知処理と、
をコンピュータに実行させる校正プログラム。
【0050】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0051】
10 :第1データベース
11 :識別部
12 :商品特定部
13 :修正部
14 :反映部
15 :通知部
16 :第2データベース
100 :校正装置