(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】地域医療連携活動支援システム、及び地域医療連携活動支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240827BHJP
【FI】
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2023068761
(22)【出願日】2023-04-19
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520263095
【氏名又は名称】メダップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 将志
(72)【発明者】
【氏名】西海 大雄
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-232247(JP,A)
【文献】特開2005-122380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の医療機関と医療分野で連携する第2の医療機関と通信可能に接続されたシステムであって、前記第2の医療機関に前記第1の医療機関との連携活動を支援する地域医療連携活動支援システムであって、
前記複数の第1の医療機関に関する医療機関データを記憶し、
前記第2の医療機関と前記第1の医療機関との間の医療分野の連携活動に係る連携活動データ、前記第1の医療機関から前記第2の医療機関に紹介された紹介患者に係る紹介データ、及び前記第2の医療機関で診療を受けた患者の診療情報を含む診療データを、前記第2の医療機関から取得し、
前記医療機関データと、前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データとを紐づけ、
前記医療機関データに紐づけられた前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データを用いて、前記連携活動
の成果指標を算出し、
算出した前記連携活動
の成果指標を前記第2の医療機関に提供する
ことを特徴とする地域医療連携活動支援システム。
【請求項2】
前記地域医療連携活動支援システムは、さらに、前記医療機関データに紐づけられた前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データを用いて、前記第1の医療機関ごとの前記連携活動による前記第2の医療機関の収益への貢献度を算出し、前記第1の医療機関ごとの前記連携活動による前記第2の医療機関の収益への貢献
度を
前記第2の医療機関に提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の地域医療連携活動支援システム。
【請求項3】
複数の第1の医療機関と医療分野で連携する第2の医療機関と通信可能に接続されたシステムであって、前記第2の医療機関に前記第1の医療機関との連携活動を支援する地域医療連携活動支援システムであって、
前記複数の第1の医療機関に関する医療機関データを記憶し、
前記第2の医療機関と前記第1の医療機関との間の医療分野の連携活動に係る連携活動データ、前記第1の医療機関から前記第2の医療機関に紹介された紹介患者に係る紹介データ、及び前記第2の医療機関で診療を受けた患者の診療情報を含む診療データを、前記第2の医療機関から取得し、
前記医療機関データと、前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データとを紐づけ、
前記医療機関データに紐づけられた前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データを用いて、前記連携活動の種類ごとの前記第2の医療機関の収益への貢献
度を算出し、
算出した前記連携活動による前記第2の医療機関への貢献度を前記第2の医療機関に提供する
ことを特徴とす
る地域医療連携活動支援システム。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記地域医療連携活動支援システムは、
前記医療機関データに紐づけられた前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データを用いて、前記第1の医療機関ごとに推奨される連携活動を
推定し、
推定した前記推奨される連携活動を当該第1の医療機関に提供する
ことを特徴とす
る地域医療連携活動支援システム。
【請求項5】
複数の第1の医療機関と医療分野で連携する第2の医療機関と通信可能に接続されたコンピュータを、
前記複数の第1の医療機関に関する医療機関データを記憶する手段、
前記第2の医療機関と前記第1の医療機関との間の医療分野の連携活動に係る連携活動データ、前記第1の医療機関から前記第2の医療機関に紹介された紹介患者に係る紹介データ、及び前記第2の医療機関で診療を受けた患者の診療情報を含む診療データを、前記第2の医療機関から取得する手段、
前記医療機関データと、前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データとを紐づける手段、
前記医療機関データに紐づけられた前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データを用いて、前記
連携活動の成果指標を算出する手段、及び
算出した前記連携活動
の成果指標を前記第2の医療機関に提供する手段、として機能させる
ことを特徴とする地域医療連携活動支援プログラム。
【請求項6】
請求項5において、
さらに、前記コンピュータを、前記医療機関データに紐づけられた前記連携活動データ、前記紹介データ及び前記診療データを用いて、前記第1の医療機関ごとの前記連携活動による前記第2の医療機関の収益への貢献度を算出する手段、及び前記第1の医療機関ごとの前記連携活動による前記第2の医療機関の収益への貢献度を前記第2の医療機関に提供する手段、として機能させる
ことを特徴とする地域医療連携活動支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域医療の連携活動を支援する地域医療連携活動支援システム及び地域医療連携活動支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療リソースの分配の最適化や医療費の適正化を目的として医療機関の機能分化と地域医療の連携とが進められている。このような環境下において、高度な医療機能を提供する病院等の医療機関(以下、大規模医療機関と呼ぶ)とクリニック等の地域の医療機関(以下、地域医療機関と呼ぶ)とは、情報提供等のコミュニケーションを図り、互いに連携して、各患者に適切な医療を提供することが重要となっている。
【0003】
そこで、地域医療の連携活動を支援する地域医療連携活動支援システム(以下、支援システムと略する)は、地域医療機関から大規模医療機関に紹介された患者数、地域医療機関又は大規模医療機関への訪問活動等のコミュニケーションデータ等を記録し、地域医療の連携活動を管理し促進する。
【0004】
特許文献1には、紹介元医療機関から紹介先医療機関に対する患者の紹介を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1などの従来のシステムでは、医療機関の間で患者の紹介を支援することは可能であったが、当該患者にどのような医療行為がなされ、その結果として紹介先の医療機関にどの程度の収益が発生したのか等、地域医療の連携活動の効果を評価する仕組みがなかった。その結果、今後どのような連携活動を実行するべきかを判断することが難しかった。
【0007】
本発明は、地域医療の連携活動の効果を評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の地域医療連携活動支援システムは、複数の第1の医療機関と医療分野で連携する第2の医療機関と通信可能に接続されたシステムであって、第2の医療機関に第1の医療機関との連携活動を支援する地域医療連携活動支援システムであって、複数の第1の医療機関に関する医療機関データを記憶し、第2の医療機関と第1の医療機関との間の医療分野の連携活動に係る連携活動データ、第1の医療機関から第2の医療機関に紹介された紹介患者に係る紹介データ、及び第2の医療機関で診療を受けた患者の診療情報を含む診療データを、第2の医療機関から取得し、医療機関データと、連携活動データ、紹介データ及び診療データとを紐づけ、医療機関データに紐づけられた連携活動データ、紹介データ及び診療データを用いて、連携活動による第2の医療機関への効果を算出し、算出した連携活動による第2の医療機関への効果を第2の医療機関に提供する。
【0009】
また、本発明の地域医療連携活動支援プログラムは、複数の第1の医療機関と医療分野で連携する第2の医療機関と通信可能に接続されたコンピュータを、複数の第1の医療機関に関する医療機関データを記憶する手段、第2の医療機関と第1の医療機関との間の医療分野の連携活動に係る連携活動データ、第1の医療機関から第2の医療機関に紹介された紹介患者に係る紹介データ、及び第2の医療機関で診療を受けた患者の診療情報を含む診療データを、第2の医療機関から取得する手段、医療機関データと、連携活動データ、紹介データ及び診療データとを紐づける手段、医療機関データに紐づけられた連携活動データ、紹介データ及び診療データを用いて、連携活動による第2の医療機関への効果を算出する手段、及び算出した連携活動による第2の医療機関への効果を第2の医療機関に提供する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、連携活動データ、紹介データ及び診療データを用いて、地域医療の連携活動の効果を評価することができる。
また、本発明の上記した以外の課題、構成及び効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】地域医療連携活動支援システム100の全体概略図である。
【
図2】地域医療連携活動支援システム100のハードウェアブロック図である。
【
図3】医療機関データ106の詳細を示した図である。
【
図4】連携活動データ102の詳細を示した図である。
【
図6】逆紹介データ104の詳細を示した図である。
【
図8】地域医療連携活動支援システム100が実行する処理を示したフローチャートである。
【
図9】地域医療連携活動支援システム100が提供する各種画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の一実施例を説明するが、本発明の範囲はここで説明する一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。また、特定のパラメータについて、複数の上限値及び下限値が記載されている場合、これらの上限値及び下限値の内、任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。
【0013】
(地域医療連携活動支援システム100の全体構成)
以下、本発明の地域医療連携活動支援システムの一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、地域医療連携活動支援システム100の全体概略図である。本実施形態の地域医療連携活動支援システム100(以下、システム100と略する)は、複数の地域の医療機関110(以下、地域医療機関110と呼ぶ)と医療分野で連携活動を行う医療機関120(以下、大規模医療機関120と呼ぶ)に、病院経営のための各種情報を提供する。なお、ここでは便宜的に地域医療機関110との対比で大規模医療機関120と呼ぶが、地域医療機関110と医療分野で連携活動を行う医療機関であれば、医療機関の規模は問わない。地域医療機関110は、第1の医療機関の一例であり、大規模医療機関120は、第2の医療機関の一例である。
【0014】
地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、大規模医療機関120と複数の地域医療機関110とは、相互に連携活動150を行う。連携活動150は、例えば、以下の種類がある。
・大規模医療機関120の関係者による地域医療機関110への訪問
・地域医療機関110の関係者による大規模医療機関120への来訪
・イベント(例えば、地域の医療従事者に対する研修)の開催
・郵便物、電話、及びメールのやりとり
【0015】
地域医療機関110では、いわゆる「かかりつけ医」が、患者の日常的な診療や健康管理を行う。専門的な検査や診察が必要になった場合、治療のために入院が必要になった場合など、地域医療機関110は、大規模医療機関120に患者の紹介160を行う。地域医療機関110が大規模医療機関120に患者の紹介160を行うにあたって作成される紹介状には、患者の病状、処方されている薬、検査結果などの情報が記載される。
【0016】
上記した紹介160とは逆で、大規模医療機関120から地域医療機関110に患者を紹介することを逆紹介170という。例えば、大規模医療機関120は、病状が安定した患者を「かかりつけ医」がいる地域医療機関110に紹介したり、患者の自宅近くの地域医療機関110を紹介したりする。逆紹介170のときに作成される紹介状にも、上記した紹介160のときに作成される紹介状と同様の内容が記載される。
【0017】
大規模医療機関120は、地域医療を担当する職員などが使用するパソコンやスマートフォンなどの端末装置121、及び端末装置121と通信可能に接続される病院情報システム122を備える。病院情報システム122は、例えば電子カルテシステムである。
【0018】
端末装置121は、端末装置121からのリクエストに応じてシステム100から提供される各種情報を表示する。例えば、端末装置121にインストールされたWebブラウザが、システム100から提供されるHTML形式の画面データに従って、各種情報を端末装置121の表示部に表示する。
【0019】
病院情報システム122は、上記した連携活動150に係る連携活動データ、紹介160に係る紹介データ、及び逆紹介170に係る逆紹介データを記憶する。さらに、病院情報システム122は、診療した患者の診療情報を含む診療データを記憶する。診療データは、例えば、DPC(Diagnosis Procedure Combination)データの様式1データである。これらのデータは、医師、看護師、大規模医療機関120の職員などによって、日々更新される。そして、システム100を導入した大規模医療機関120は、定期的またはデータ更新のタイミングで、病院情報システム122に記憶される連携活動データ、紹介データ、逆紹介データ、及び診療データ(DPCデータ)を、ネットワークを介してシステム100にアップロードする。
【0020】
(地域医療連携活動支援システム100)
システム100は、クラウドサーバ又はオンプレミスサーバであって、大規模医療機関120とネットワークを介して通信可能に接続されている。システム100は、大規模医療機関120から各種データ(連携活動データ、紹介データ、逆紹介データ、及び診療データ(DPCデータ))を受信し、各種データを用いて、連携活動150の成果指標の算出、各地域医療機関110の大規模医療機関120の収益への貢献度の算出、及び今後行うべきだと推奨される連携活動の提示、などを行う。
【0021】
システム100は、大規模医療機関120の端末装置121や病院情報システム122と情報の送受信を行うインタフェース101を備える。また、システム100は、インタフェース101が病院情報システム122から受信した連携活動データ102、紹介データ103、逆紹介データ104、及び診療データ105を有する。さらに、システム100は、厚生局140が提供する地域医療機関110に係る医療機関データ106を備える。各種データ102~106の詳細は、後述する。
【0022】
さらに、システム100は、連携活動150の成果指標、及び各地域医療機関110の大規模医療機関120の収益への貢献度を算出する成果指標・収益貢献度算出部107(以下、算出部107と呼ぶ)を備える。
【0023】
算出部107は、医療機関データ106及び連携活動データ102を用いて、連携活動150の成果指標を算出する。例えば、算出部107は、連携活動データ102の中から、地域医療機関110ごとに当該地域医療機関110との間で実施された連携活動を抽出する。そして、算出部107は、抽出した連携活動の回数を種類ごとに計算し、種類毎の回数のそれぞれに各種類に設定された重みを乗じた値を合計し、当該合計値を連携活動の成果指標とする。
【0024】
さらに、算出部107は、上記した連携活動の成果指標に従って、地域医療機関110との関係性を評価してもよい。例えば、算出部107は、算出した連携活動の成果指標の程度に応じて、地域医療機関110との関係性として、良好、経過観察、要確認、至急対応などと評価してもよい。
【0025】
また、算出部107は、上記した連携活動の成果指標に従って、連携活動を強化するべきアクション先(地域医療機関110)の候補を算出してもよい。
【0026】
また、算出部107は、医療機関データ106、紹介データ103及び診療データ105を用いて、地域医療機関110の大規模医療機関120の収益への貢献度を算出する。例えば、算出部107は、紹介データ103の中から、地域医療機関110ごとに紹介患者を抽出する。そして、算出部107は、抽出した紹介患者に紐づく診療データ105を用いて、紹介患者の診療報酬の合計を計算し、当該合計値を地域医療機関110の大規模医療機関120の収益への貢献度とする。なお、当該貢献度の計算方法は、上記算出方法に限らない。また、当該貢献度を所定期間ごとに時系列に算出してもよい。
【0027】
算出部107によって算出された算出データ108は、上記した連携活動150の成果指標、及び各地域医療機関110の大規模医療機関120の収益への貢献度を含む。
【0028】
さらに、システム100は、大規模医療機関120が行うべき連携活動の種類(以下、推奨活動と呼ぶ)を提示する推奨活動提示部109(以下、提示部109と呼ぶ)を備える。提示部109は、算出データ108や各種データ102~106を用いて、推奨活動を算出し、大規模医療機関120に提示する。例えば、提示部109は、算出データ108の連携活動150の成果指標を用いて、連携活動150の成果指標が低い地域医療機関110や連携活動150の成果指標が所定期間連続して低下している地域医療機関110に向けての連携活動150を促すメッセージを大規模医療機関120に提示する。また、提示部109は、算出データ108の貢献度を用いて、貢献度が低い地域医療機関110や貢献度が所定期間連続して低下している地域医療機関110に向けての連携活動150を促すメッセージを大規模医療機関120に提示してもよい。
【0029】
また、提示部109は、連携活動データ102の種類毎の回数に基づいて、推奨活動の内容を決定してもよい。例えば、提示部109は、連携活動データ102の種類毎の回数と予め設定された閾値とを比較して、閾値より小さい回数しか実施されていない種類の連携活動150を促すメッセージを大規模医療機関120に提示する。提示部109は、地域医療機関110ごとに推奨活動を決定してもよい。具体的には、ある地域医療機関110が所定期間に一度もイベントに参加していない場合などに、当該地域医療機関110にイベントの案内(郵便物、メール、電話)を出すように促したり、当該地域医療機関110に訪問するように促したり、してもよい。
【0030】
(地域医療連携活動支援システム100のハードウェア構成)
地域医療連携活動支援システム100は、例えば、クラウドサーバであって、上記した地域医療の連携活動を支援するプログラム(地域医療連携活動支援プログラム)を実行する。
図2は、システム100のハードウェアブロック図である。
【0031】
図2に示すように、システム100は、コンピュータであって、プロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、通信I/F204と、を有する。プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASICなどである。メモリ202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などであって、プロセッサ201の作業領域として使用される。ストレージ203は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はそれらの組み合わせ等であって、各種プログラム及び各種データを記憶する。本実施形態では、ストレージ203は、地域医療連携活動支援プログラム203a、上記した連携活動データ102、紹介データ103、逆紹介データ104、診療データ105、医療機関データ106、算出データ108等を含む各種データ203bを記憶する。通信I/F204は、大規模医療機関120の端末装置121や病院情報システム122とデータの送受信を行うためのインタフェース101である。
【0032】
(医療機関データ106)
図3は、医療機関データ106の詳細を示した図である。
図3に示すように、医療機関データ106は、地域医療機関110の名称(医療機関名称)、所在地、電話番号、開設者、管理者、病床数などの情報を含む。
【0033】
この医療機関データ106には、連携活動データ102、紹介データ103、逆紹介データ104、及び診療データ105が紐づく。つまり、地域医療機関110ごとに、当該地域医療機関110と大規模医療機関120との間の連携活動データ102、当該地域医療機関110が大規模医療機関120に紹介した患者の紹介データ103、大規模医療機関120が当該地域医療機関110に紹介した患者の逆紹介データ104、及び当該地域医療機関110が紹介した患者の診療データ105が管理されている。
【0034】
(連携活動データ102)
図4は、連携活動データ102の詳細を示した図である。連携活動データ102は、大規模医療機関120の関係者による地域医療機関110への訪問実績のデータ、地域医療機関110の関係者による大規模医療機関120への来訪実績のデータ、イベントへの出席記録、郵便物の送付記録、電話対応の履歴、及び電子メールの送受信履歴などを含む。
【0035】
(紹介データ103)
図5は、紹介データ103の詳細を示した図である。紹介データ103は、地域医療機関110が大規模医療機関120に紹介した患者の氏名、年齢、性別、及び住所などの患者情報、紹介元の地域医療機関110の情報(紹介元医療機関情報)、紹介元の医師の情報(紹介元Dr)、紹介先の医師の情報(紹介先Dr)、紹介状の内容、紹介理由、紹介日などの情報を含む。
【0036】
(逆紹介データ104)
図6は、逆紹介データ104の詳細を示した図である。逆紹介データ104は、上記した紹介データ103とほぼ同様で、患者情報、紹介元Dr、紹介先Dr、紹介状の内容、紹介理由、紹介日などの情報を含む。また、逆紹介データ104は、紹介先の地域医療機関110の情報(紹介先医療機関情報)を含む。
【0037】
(診療データ105)
図7は、診療データ105の詳細を示した図である。診療データ105は、診療した患者の識別情報(患者識別子)、入院期間、診療科、傷病内容、点数などを含む。
【0038】
(地域医療連携活動支援システム100の動作フロー)
図8は、システム100が実行する処理を示したフローチャートである。例えば、
図8の各処理は、システム100のプロセッサ201が地域医療連携活動支援プログラム203aを実行することにより、実行される。
【0039】
システム100は、厚生局140から入手した医療機関データ106をストレージ203に記憶する(S801)。システム100は、厚生局140から入手した医療機関データ106をそのままストレージ203に記憶してもよいし、必要なデータのみを抽出してストレージに記憶してもよい。この医療機関データ106は、定期的に更新される。なお、システム100は、ネットワークを介して厚生局140から医療機関データ106を取得し、当該医療機関データ106を自動的に記憶してもよいし、厚生局140から入手した医療機関データ106をシステム100の管理者によって手動で記憶されてもよい。
【0040】
次に、システム100は、大規模医療機関120から各種データ(連携活動データ102、紹介データ103、逆紹介データ104、及び診療データ105)を受信する(S802)。システム100が各種データを受信するタイミングは、大規模医療機関120でのデータの更新のタイミングであってもよいし、所定タイミングであってもよい。
【0041】
そして、システム100は、受信した各種データを正規化して、医療機関データ106と紐づけてデータベースに記憶する(S803)。
【0042】
次に、システム100は、連携活動150の成果指標を算出する(S804)。例えば、システム100は、上記したように連携活動の各種類に設定された重みを乗じた値を合計した合計値を算出してもよいし、地域医療機関110ごとに紹介患者数の推移を算出してもよいし、地域医療機関110ごとに紹介患者の入院、手術、及び重点疾患の割合を算出してもよいし、地域医療機関110ごとに紹介患者の点数(金額)を算出してもよい。当該合計値の計算には、医療機関データ106及び連携活動データ102が用いられ、紹介患者数の推移の計算には、医療機関データ106及び紹介データ103が用いられ、入院などの割合や点数(金額)の計算には、医療機関データ106、紹介データ103、及び診療データ105が用いられる。また、システム100は、端末装置121からのリクエストに応じて、S804の計算結果を送信し、例えば、
図9(a)のように、地域医療機関110ごとに連携活動の成果指標として上記した合計値及び地域医療機関110との関係性を含む情報を端末装置121の表示部に表示してもよいし、
図9(b)のように、選択した地域医療機関110が紹介した紹介患者の数の推移を端末装置121の表示部に表示してもよい。
【0043】
次に、システム100は、各地域医療機関110の大規模医療機関120の収益への貢献度を算出する(S805)。例えば、システム100は、地域医療機関110に紐づく診療データ105を用いて、当該地域医療機関110が紹介した紹介患者の点数(金額)の合計を計算して、各地域医療機関110の大規模医療機関120への収益貢献度を算出する。収益貢献度は、所定期間(例えば、1カ月)毎に時系列に計算されてもよい。また、システム100は、端末装置121からのリクエストに応じて、S805の計算結果を送信し、例えば、
図9(c)のように、地域医療機関110ごとの収益貢献度を端末装置121の表示部に表示してもよい。
【0044】
次に、システム100は、連携活動の各種類の大規模医療機関120の収益への貢献度を算出する(S806)。例えば、システム100は、連携活動の成果指標の変化と上記のS805で計算した地域医療機関110の収益貢献度とに基づいて、連携活動150の各種類の収益貢献度を計算する。また、システム100は、端末装置121からのリクエストに応じて、S806の計算結果を送信し、例えば、
図9(d)のように、連携活動150の各種類(訪問、来訪、イベント、郵便物、電話、メール)の収益貢献度を端末装置121の表示部に表示してもよい。
【0045】
そして、システム100は、地域医療機関110ごとに推奨される連携活動150、及びその連携活動150により期待される収益改善予測を推定する(S807)。例えば、システム100は、地域医療機関110との連携活動150の種類毎の実績回数の変化から、当該地域医療機関110に推奨される連携活動を推定する。一例として、地域医療機関110への訪問回数が減り、且つ当該地域医療機関110からの紹介患者数が減っている場合には、システム100は、例えば、
図9(e)のように、当該地域医療機関110(AAAクリニック)への訪問(連携活動)が有効であることを端末装置121の表示部に表示してもよい。この際、システム100は、推奨される連携活動によって、紹介患者数や収益がどの程度改善するかを計算し、端末装置121の表示部に表示してもよい。
【0046】
上記のように、地域医療連携活動支援プログラム203aは、複数の地域医療機関110と医療分野で連携する大規模医療機関120と通信可能に接続されたコンピュータ(システム100)を、
複数の地域医療機関110に関する医療機関データ106を記憶する手段、
大規模医療機関120と地域医療機関110との間の医療分野の連携活動に係る連携活動データ102、地域医療機関110から大規模医療機関120に紹介された紹介患者に係る紹介データ103、及び大規模医療機関120で診療を受けた患者の診療情報を含む診療データ105を、大規模医療機関120から取得する手段、
医療機関データ106と、連携活動データ102、紹介データ103及び診療データ105とを紐づける手段、
医療機関データ106に紐づけられた連携活動データ102、紹介データ103及び診療データ105を用いて、連携活動による大規模医療機関120への効果を算出する手段、及び
算出した連携活動による大規模医療機関120への効果を大規模医療機関120に提供する手段、として機能させる。
【0047】
本実施形態の地域医療連携活動支援システム100又は地域医療連携活動支援プログラム203aを用いることによって、地域医療の連携活動の効果を評価することができる。
【0048】
また、連携活動データ102、紹介データ103、逆紹介データ104、及び診療データ105を当該システム100にて一元管理することができ、当該各種データから連携活動の強化するべき地域医療機関110を把握することが可能となる。また、当該地域医療機関110に対する有効な推奨活動を把握することができる。
【0049】
また、本実施形態では、
図9のような各種画面を大規模医療機関120に提供することができるため、大規模医療機関120の関係者は、今後関係を強化するべき地域医療機関110を把握すること、地域医療機関110との関係性を把握すること、有効な連携活動を把握すること、経営的な面での地域医療機関110の貢献度を把握すること、などが可能となる。
【0050】
(変形例)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
100:地域医療連携活動支援システム、 102:連携活動データ、 103:紹介データ、 104:逆紹介データ、 105:診療データ、 106:医療機関データ、 107:成果指標・収益貢献度算出部、 108:算出データ、 109:推奨活動提示部、 110:地域医療機関、 120:大規模医療機関、 121:端末装置、 122:病院情報システム、 140:厚生局、 150:連携活動、 160:紹介、 170:逆紹介
【要約】
【課題】地域医療の連携活動の効果を評価する。
【解決手段】大規模医療機関120に地域医療機関110との連携活動を支援する地域医療連携活動支援システム100であって、地域医療機関110に関する医療機関データ106を記憶し、大規模医療機関120と地域医療機関110との間の医療分野の連携活動に係る連携活動データ102、地域医療機関110から大規模医療機関120に紹介された紹介患者に係る紹介データ103、及び大規模医療機関120で診療を受けた患者の診療情報を含む診療データ105を、大規模医療機関120から取得し、医療機関データ106に紐づけられた連携活動データ102、紹介データ103及び診療データ105を用いて、連携活動150による大規模医療機関120への効果を算出し、算出した連携活動150による大規模医療機関120への効果を大規模医療機関120に提供する。
【選択図】
図1