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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】インソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20240827BHJP
   A43B 7/142 20220101ALI20240827BHJP
【FI】
A43B17/00 Z
A43B7/142
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023222624
(22)【出願日】2023-12-28
【審査請求日】2023-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514163169
【氏名又は名称】株式会社P.O.イノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】見木 太郎
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3210336(JP,U)
【文献】実開昭59-038914(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 17/00
A43B 7/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴に入れて足の土踏まずを支持してアーチを形成するインソールであって、
可撓性を有するとともに使用時に前記靴のソール上に前記足の幅方向の中心部から内側に配置される本体部と、前記本体部に湾曲して設けられ使用時に前記土踏まずを支持して前記足の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ支持部と、前記本体部に前記内側縦アーチ支持部の後方から外側に突出して設けられ使用時に前記足の踵に踏まれて前記内側縦アーチ支持部の転倒を防止するアーチ転倒防止部と、前記内側縦アーチ支持部の外側後方部分から前記アーチ転倒防止部の前側中央部分にくり抜いて形成された部材がない踵くり抜き部とを備え、
前記アーチ転倒防止部の底面には、0度から30度の範囲で踵の傾きを矯正する角度調整部を備え、
前記アーチ転倒防止部及び前記角度調整部は、前記踵くり抜き部の縁から徐々に厚みを増すように前記インソールの外周縁に向けて傾斜して形成され、
前記角度調整部を含めて平面視でJ字に形成されていることを特徴とするインソール。
【請求項2】
請求項1記載のインソールであって、
前記本体部は、前記内側縦アーチ支持部の外側に前記足の外側の縦アーチを支持する部分のない外側縦アーチ空間が形成されていることを特徴とするインソール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のインソールであって、
前記本体部の先端部分を形成する前側トリミングラインは、使用時に前記足の第1中足骨頭にかからないことを特徴とするインソール。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載のインソールであって、
前記本体部の先端部分を形成する前側トリミングラインは、使用時に前記足の第1中足骨頭、第2中足骨頭、第3中足骨頭、第4中足骨頭及び第5中足骨頭にかからないことを特徴とするインソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴に入れて足の土踏まずを支持してアーチを形成するインソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の足には複数個の骨があり、それらが歪みなく正しく配列されていることにより正常な歩行や立位が可能になる。足の骨の配列は加齢や足のケガ等により歪みを生じ、その結果、偏平足等の足のトラブルとなって発現する。足の骨の歪みは構造的なものであり、薬や湿布等では良くならずインソール等による足裏からのアプローチによって足の骨の構造を立て直す必要がある。
【0003】
また、インソールでは人体の足に接する内面部分の構造であるヒールカップの重要性はもちろんのこと、インソールと靴の接する外面部分の構造に関しても重要である。
【0004】
人の足は体重を支えて衝撃を分散等するために複数の骨がアーチ状に組み合わされ、足底のアーチに沿って足底筋膜が形成されている。詳細には、図4に示されるように、人の足60には3つのアーチが形成されており、小指の付け根と踵を結ぶ外側の縦アーチ64と、一般的に土踏まずと呼ばれる親指の付け根と踵を結ぶ内側の縦アーチ65と、5本の指の付け根を結ぶ横アーチ66とがある。
【0005】
これらのアーチのうち、内側の縦アーチ65は、加齢に伴って筋力が落ち、踵の骨が内側に倒れてくると落ち込んで、土踏まずの部分が地面についてしまう、いわゆる偏平足となる。偏平足になると足が疲れやすくなったり、足の障害が起きやすくなったりする。従来、このような足底のアーチが落ち込みを防ぐために、土踏まずの部分を持ち上げるためのパッドをインソールに設けたり、土踏まずの部分を持ち上げる凸形状を形成したりしてきた。このような、土踏まずの部分を持ち上げるパッドの役割を果たす凸形状を形成したインソールが提案されている(特許文献1)。
【0006】
特許文献1のインソールは、足の裏面に接触する面に、足の骨格の3アーチである横アーチ、内側の縦アーチ、外側の縦アーチを整える隆起したインソール土踏まず対応領域を施し、後足部対応領域から中足部対応領域に渡ってコーナカップ部を形成して、裏側において、中足部対応領域の後端付近の足の内側の位置から後足部対応領域の後端の足の内側よりの位置までを結ぶ直線に対向する後足部対応領域の足の外側までの範囲に傾斜領域を施
したものである。
【0007】
しかし、パッドで土踏まずを持ち上げるパッドに硬さがある場合、体重を掛けたときに衝撃を吸収するための内側の縦アーチが機能できなくなる。そのため、足の内側の縦アーチ(土踏まず)を支持する部分については撓みのある樹脂製等の部材が好ましい。一般的にインソールは特許文献1のインソールのように足の裏全体を支持するように作られるが、男性の紳士靴や女性のパンプス等のデザイン性の高い靴に、別体の新たなインソールを入れると靴の中がきつくなる。
【0008】
靴の中がきつくならないようにするために、仮に内側の縦アーチ(土踏まず)部分のみを支持するインソールを使用すると、靴の中で内側の縦アーチからインソールがずれたり、インソールが上からの体重に押されて靴のなかで転倒したりすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-208398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の点に鑑み、足の内側の縦アーチ(土踏まず)を支持するとともに、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れてもきつくならず、且つ、使用中に靴の中で位置がずれずに転倒も防止できるインソールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例によれば、靴に入れて足の土踏まずを支持してアーチを形成するインソールであって、
可撓性を有するとともに使用時に前記靴のソール上に前記足の幅方向の中心部から内側に配置される本体部と、前記本体部に湾曲して設けられ使用時に前記土踏まずを支持して前記足の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ支持部と、前記本体部に前記内側縦アーチ支持部の後方から外側に突出して設けられ使用時に前記足の踵に踏まれて前記内側縦アーチ支持部の転倒を防止するアーチ転倒防止部と、前記内側縦アーチ支持部の外側後方部分から前記アーチ転倒防止部の前側中央部分にくり抜いて形成された部材がない踵くり抜き部とを備え、
前記アーチ転倒防止部の底面には、0度から30度の範囲で踵の傾きを矯正する角度調整部を備え、
前記アーチ転倒防止部及び前記角度調整部は、前記踵くり抜き部の縁から徐々に厚みを増すように前記インソールの外周縁に向けて傾斜して形成され、
前記角度調整部を含めて平面視でJ字に形成されていることを特徴とする。
【0012】
一般的に、インソールでは、足の安定性の向上などの目的で、外側の縦アーチを支持するために「外側縦アーチパッド」や「立方骨パッド」などという名称でインソール上に突起が設けられる。しかし、本発明では、より多くの種類の靴に対応できるように、インソールをより薄くし、幅も狭くできることから、外側の縦アーチを支持する部分を設けず、外側の縦アーチに対応する部分を切り欠き、インソールを設置する。本発明の構成によれば、インソールは、本体部に湾曲して設けられ使用時に土踏まずを支持して足の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ支持部と、本体部に内側縦アーチ支持部の後方から外側に突出して設けられ使用時に足の踵に踏まれて内側縦アーチ支持部の転倒を防止するアーチ転倒防止部とを備えているので、内側縦アーチ支持部で足の内側の縦アーチ(土踏まず)を支持するとともに、アーチ転倒防止部を踵で踏むことで使用中に靴の中で位置がずれずに転倒も防止できる。さらに、インソールは、可撓性を有するとともに使用時に靴のソール上に足の幅方向の中心部から内側に配置される本体部と、本体部に湾曲して設けられ使用時に土踏まずを支持して足の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ支持部とを備えていることで、使用時に土踏まずによる空間ができる足の幅方向の中心部から内側にのみインソールが配置され、使用時に空間ができずにきつくなる足の幅方向の中心部から外側には何もないので、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れてもきつくならいようにできる。
【0013】
さらに、インソールは、アーチ転倒防止部が本体部に内側縦アーチ支持部の後方から外側に突出して設けられ、平面視でJ字に形成されているので、使用時に靴のアッパーで押さえられることのない踵部分のみが足の幅方向全体に形成され、靴を履いてもきつくならないうえ、内側縦アーチ支持部の外側後方部分からアーチ転倒防止部の前側中央部分にくり抜いて形成された踵くり抜き部を備えることで、踵の最も下方に膨らむ部分の空間を確保するので、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れても一層きつくならいようにできる。このように、本発明のインソールは、極力最小限の形状としてコンパクトに構成され、足の内側の縦アーチ(土踏まず)を支持するとともに、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れてもきつくならず、且つ、使用中に靴の中で位置がずれずに転倒も防止できる。
【0014】
好ましくは、本体部は、前記内側縦アーチ支持部の外側に前記足の外側の縦アーチを支持する部分のない外側縦アーチ空間が形成されていることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、内側縦アーチ支持部の外側に足の外側の縦アーチを支持する部分のない外側縦アーチ空間が形成されているので、外側の縦アーチを支持する部分は設けずに内側の縦アーチの機能保持を優先しつつ、極力インソールをコンパクトにして紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れても一層きつくならないようにできる。
【0016】
好ましくは、前記アーチ転倒防止部の底面には、0度から30度の範囲で踵の傾きを矯正する角度調整部を備えていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、アーチ転倒防止部の底面には、0度から30度の範囲で踵の傾きを矯正する角度調整部を備えているので、インソール自体に傾きを与えることで踵の骨のアライメントを整えることができる。角度調整部は、個々の足の症状に合わせて0度から30度の範囲でインソールに傾きを形成して、靴の踵部分のボリュームに差し支えない範囲で踵の骨のアライメントを整えることができる。
【0018】
好ましくは、前記本体部の先端部分を形成する前側トリミングラインは、使用時に前記足の第1中足骨頭にかからないことを特徴とする。
【0019】
仮に、インソールが足のつま先部分まで支持する形状であると、靴の指先部分の空間が狭くなり指先部分が靴に当たることが考えられる。この点、本発明のかかる構成によれば、本体部の先端部分を形成する前側トリミングラインは、使用時に足の第1中足骨頭にかからないので、最も力の入る親指から第1中足骨頭にかけての靴内の空間を確保し、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れてもきつくならないようにできる。
【0020】
好ましくは、前記本体部の先端部分を形成する前側トリミングラインは、使用時に前記足の第1中足骨頭、第2中足骨頭、第3中足骨頭、第4中足骨頭及び第5中足骨頭にかからないことを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、本体部の先端部分を形成する前側トリミングラインは、使用時に足の第1中足骨頭、第2中足骨頭、第3中足骨頭、第4中足骨頭及び第5中足骨頭にかからないので、足の指全体に亘って靴内の空間を確保し、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れても一層きつくならないようにできる。
【発明の効果】
【0022】
足の内側の縦アーチ(土踏まず)を支持するとともに、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れてもきつくならず、且つ、使用中に靴の中で位置がずれずに転倒も防止できるインソールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るインソールの表側から見た説明図である。
図2】本発明に係るインソールの裏側から見た底面図である。
図3】(A)本発明に係るインソールの裏側から見た斜視図である。(B)削る態様のアーチ転倒防止部を後方から見た説明図である。(C)取り付けパッドを取り付ける態様のアーチ転倒防止を後方から見た説明図である。
図4】足の3つのアーチを説明する図である。
図5】実施例のインソールを靴(パンプス)に入れる作用図である。
図6】(A)実施例のインソールの内側縦アーチ支持部の作用図である。(B)実施例のインソールの角度調整部の作用図である。
図7】実施例のインソールの上方から見た作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、インソール10の図は構成の一例を示すものとし、左右対称で同様の構成であるため、代表して右のインソール10について説明する。
【実施例1】
【0025】
足のアーチについて説明する。なお、足は左右のうち代表して右足を示す。
図4に示されるように、人の足60には、外側の縦アーチ64、内側の縦アーチ65、5本の指の付け根を結ぶ横アーチ66の3つのアーチが形成されている。内側の縦アーチ65は、踵63と親指の付け根とを結ぶアーチであり、土踏まず61を構成する部分のアーチである。外側の縦アーチ64は、踵63と小指の付け根とを結ぶアーチであり、体重がかかると外側に広がり、体重を支える。
【0026】
外側の縦アーチ64は、内側の縦アーチ65に比較して低いアーチとなっている。これら3つのアーチが高くなったり低くなったりすることで歩行時の衝撃吸収や蹴り出しを円滑に行うことができる。また、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴70(図7参照)を履くと、足甲部62が部分的に押さえられ、靴70の中が狭くゆとりのない状態となる。
【0027】
また、足60の骨部分のうち、中足骨頭67は、親指側の第1中足骨頭67a、人差し指側の第2中足骨頭67b、中指側の第3中足骨頭67c、薬指側の第4中足骨頭67d、小指側の第5中足骨頭67eから構成される。中足骨頭67は膨らみを有するため、中の狭い靴70を履いたときに中足骨頭67付近を狭くし過ぎないようにすることで、靴70を履いたときに、きつく感じないようにすることができる。
【0028】
次にインソール10について説明する。
図1図3(A)、図5図6(A)、図7に示されるように、インソール10は、靴70に入れて足60の土踏まず61を支持してアーチ(内側の縦アーチ65)を形成するものである。
【0029】
インソール10は、可撓性を有するとともに使用時に靴70のソール71上に足60の幅方向の中心部から内側に配置される本体部20と、本体部20に湾曲(上方に膨出)して設けられ使用時に土踏まず61を支持して足60の内側の縦アーチ65を形成する内側縦アーチ支持部21と、本体部20に内側縦アーチ支持部21の後方から外側に突出して設けられ使用時に足60の踵63に踏まれて内側縦アーチ支持部21の転倒を防止するアーチ転倒防止部22と、内側縦アーチ支持部21の外側後方部分からアーチ転倒防止部22の前側中央部分にくり抜いて形成された踵くり抜き部23と、を備えている。
【0030】
このように、本体部20、内側縦アーチ支持部21、アーチ転倒防止部22及び踵くり抜き部23により、インソール10は、平面視でJ字状に形成されている。
【0031】
また、インソール10は、表面を構成する表面部20aと、裏面を構成する裏面部20bとからなり、足60に接触するのに適した材質と、靴70のソール71に接触するのに適した材質とに分けることができる。裏面部20bには、表面部20aに形成された踵くり抜き部23よりもさらに後方にくり抜ぬいて形成された裏面くり抜き部23bが備えられている。
【0032】
これにより、部材がない踵くり抜き部23と、表面部20aが一層形成された裏面くり抜き部23bとの2段構成により、踵くり抜き部23の縁から徐々に厚みを増すようにアーチ転倒防止部22を形成することができ、踵63を違和感なくインソール10に接触させることができる。
【0033】
また、アーチ転倒防止部22の縁にはカップ状に湾曲した縁部22aが形成されている。これにより、踵63のホールド性を向上させることができる。
【0034】
次にインソール10の前側トリミングライン24について説明する。
また、インソール10では、本体部20の先端部分を形成する前側トリミングライン(遠位端)24は、使用時に足60の第1中足骨頭67aにかからないように形成されている。
【0035】
さらに、インソール10では、本体部20の先端部分を形成する前側トリミングライン24は、使用時に足60の第1中足骨頭67a、第2中足骨頭67b、第3中足骨頭67c、第4中足骨頭67d及び第5中足骨頭67eにかからないように形成されている。
【0036】
前述のように、中足骨頭67は膨らみを有するため、中の狭い靴70を履いたときに中足骨頭67付近の空間を確保することが、きつく感じないようにする点で重要である。この点、本発明では、インソール10の前側トリミングライン24が中足骨頭67にかからないので、中足骨頭67周辺の空間を狭めることがなく、本発明のインソール10を靴70に入れても、きつく感じないようにすることができる。
【0037】
次にインソール10の外側トリミングライン25及び外側縦アーチ空間26について説明する。
インソール10では、本体部20の外側を形成する外側トリミングライン25は、外側の縦アーチ64より内側になるように形成されている。さらには、インソール10の本体部20は、内側縦アーチ支持部21の外側に足60の外側の縦アーチ64を支持する部分のない外側縦アーチ空間26が形成されている。
【0038】
これにより、外側の縦アーチ64を支持する部分は設けずに内側の縦アーチ65の機能保持を優先しつつ、極力インソール10をコンパクトにして紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴70に入れても一層きつくならないようにできる。
【0039】
次に角度調整部31について説明する。
図2図3図6(B)に示されるように、アーチ転倒防止部26の底面には、0度から30度の範囲で踵63の傾き∠αを矯正する角度調整部31を備えている。
【0040】
角度調整部31は、図3(B)に示されるように、想像線で示す厚みのある角度調整部31から削り代31aを削ることで、角度の付いた実線で示す角度調整部31の形状にすることができる。
【0041】
次に別態様に係る角度調整部31について説明する。
角度調整部31は、図3(C)に示されるように、実線で示す角度調整部31に取り付けパッド31bを接着により取り付けることで、想像線の引き出し線で示す角度調整部31の形状にすることができる。
【0042】
次に靴70の例とインソール10のセットについて説明する。
図5に示されるように、靴70はいわゆるパンプスであり、靴底部を形成するソール71と、つま先部分を形成するパンプ72と、表面を形成するアッパー73と、内面を形成するライニング74と、後部内側を形成するヒールグリップ75と、踵部分を支持するヒールとを備えている。
【0043】
靴70の開口部に、インソール10を矢印のように入れて、アーチ転倒防止部22を靴内のソール71の後端部に合わせ、内側縦アーチ支持部21を靴内のソール71の内側縁部に合わせることで、インソール10が靴70にセットされる。
【0044】
次にインソール10の内側縦アーチ支持部21の作用について説明する。
図6(A)に示されるように、インソール10の内側縦アーチ支持部21が足60の土踏まず61を支持している。これにより、内側の縦アーチ65が形成される。また、前側トリミングライン(遠位端)24は、使用時に足60の第1中足骨頭67aにかからないので、中足骨頭67部分の空間が狭くならず、インソール10を入れても靴70がきつくならないようにできる。
【0045】
次にインソール10の角度調整部31の作用について説明する。
図6(B)に示されるように、インソール10の角度調整部31を、踵63が当接する面が靴70のソール踵部71aの面に対して0度から30度になるように設定する。靴70を履くと、足60の踵63が角度調整部31の角度に沿って傾く。これにより、個々の足60のコントロールを行い易い状態を作ることができ、好適に歩行することができる。
【0046】
次にインソール10の上方から見た作用を説明する。
図7に示されるように、インソール10が靴70にセットされており、靴70のソール踵部71aからソール中間内側部71bにかけて配置されている。平面視において、インソール10の先端部分の幅W1は、インソール10の前後方向中間部分の幅W2よりも大きく、アーチ転倒防止部22の幅W3よりも小さい。インソール10は、先端部分の幅W1がアーチ転倒防止部22の幅W3よりも小さく、足60の外側縦アーチ空間26が形成されることで、インソール10で内側の縦アーチ65を支持し、且つ、インソール10を入れても靴70がきつくならないようにできる。なお、インソール10の先端部分の幅W1をアーチ転倒防止部22の幅W3よりも小さくしたが、これに限定されず、外側縦アーチ空間26を確保できれば、インソール10の先端部分の幅W1をアーチ転倒防止部22の幅W3と同等又は若干大きくしてもよい。
【0047】
また、インソール10はソール踵部71aからソール中間内側部71bにかけて配置され、前側トリミングライン24が中足骨頭67にかからず、且つ平面視でJ字状に形成されているので、中足骨頭67周辺の空間、及び足60の外側部分の空間が狭くならず、インソール10を靴70に入れても、きつく感じないようにすることができる。
【0048】
次に以上に述べた実施例のインソール10の効果を説明する。
本発明の実施例では、インソール10は、本体部20に湾曲して設けられ使用時に土踏まず61を支持して足60の内側の縦アーチ65を形成する内側縦アーチ支持部21と、本体部20に内側縦アーチ支持部21の後方から外側に突出して設けられ使用時に足60の踵63に踏まれて内側縦アーチ支持部21の転倒を防止するアーチ転倒防止部22とを備えているので、内側縦アーチ支持部21で足60の内側の縦アーチ65(土踏まず61)を支持するとともに、アーチ転倒防止部22を踵63で踏むことで使用中に靴70の中で位置がずれずに転倒も防止できる。さらに、インソール10は、可撓性を有するとともに使用時に靴70のソール71上に足60の幅方向の中心部から内側に配置される本体部20と、本体部20に湾曲して設けられ使用時に土踏まずを支持して足60の内側の縦アーチ65を形成する内側縦アーチ支持部21とを備えていることで、使用時に土踏まず61による空間ができる足60の幅方向の中心部から内側にのみインソール10が配置され、使用時に空間ができずにきつくなる足60の幅方向の中心部から外側には何もないので、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴70に入れてもきつくならいようにできる。
【0049】
さらに、インソール10は、アーチ転倒防止部22が本体部20に内側縦アーチ支持部21の後方から外側に突出して設けられ、平面視でJ字に形成されているので、使用時に靴70のアッパー73で押さえられることのない踵63部分のみが足60の幅方向全体に形成され、靴70を履いてもきつくならないうえ、内側縦アーチ支持部21の外側後方部分からアーチ転倒防止部22の前側中央部分にくり抜いて形成された踵くり抜き部23を備えることで、踵63の最も下方に膨らむ部分の空間を確保するので、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴70に入れても一層きつくならいようにできる。このように、本発明のインソール10は、極力最小限の形状としてコンパクトに構成され、足60の内側の縦アーチ65(土踏まず61)を支持するとともに、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴70に入れてもきつくならず、且つ、使用中に靴70の中で位置がずれずに転倒も防止できる。
【0050】
さらに、内側縦アーチ支持部21の外側に足60の外側の縦アーチ64を支持する部分のない外側縦アーチ空間26が形成されているので、外側の縦アーチ64を支持する部分は設けずに内側の縦アーチ65の機能保持を優先しつつ、極力インソール10をコンパクトにして紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴70に入れても一層きつくならないようにできる。
【0051】
さらに、アーチ転倒防止部22の底面には、0度から30度の範囲で踵63の傾きを矯正する角度調整部31を備えているので、インソール10自体に傾きを与えることで踵63の骨のアライメントを整えることができる。角度調整部31は、個々の足60の症状に合わせて0度から30度の範囲でインソール10に傾きを形成して、靴70の踵63部分のボリュームに差し支えない範囲で踵の骨のアライメントを整えることができる。
【0052】
さらに、本体部20の先端部分を形成する前側トリミングライン24は、使用時に足60の第1中足骨頭67aにかからないので、最も力の入る親指から第1中足骨頭67aにかけての靴70内の空間を確保し、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴70に入れてもきつくならないようにできる。
【0053】
さらに、本体部20の先端部分を形成する前側トリミングライン24は、使用時に足60の第1中足骨頭67a、第2中足骨頭67b、第3中足骨頭67c、第4中足骨頭67d及び第5中足骨頭67eにかからないので、足60の指全体に亘って靴70内の空間を確保し、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴70に入れても一層きつくならないようにできる。
【0054】
尚、実施例では、インソール10は、表面部20aと裏面部20bとの2層で構成したが、これに限定されず、1層や3層で構成してもよい。
【0055】
また、実施例では、靴70をいわゆるパンプスとしてが、これに限定されず、靴70を紳士靴としてもよい。
【0056】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の技術は、靴に入れて足の土踏まずを支持してアーチを形成するインソールに好適である。
【符号の説明】
【0058】
10…インソール、20…本体部、21…内側縦アーチ支持部、22…アーチ転倒防止部、23…踵くり抜き部、24…前側トリミングライン、25…外側トリミングライン、26…外側縦アーチ空間、31…角度調整部、60…足、61…土踏まず(足底部)、62…足甲部、63…踵、64…外側の縦アーチ、65…内側の縦アーチ、66…横アーチ、67…中足骨頭、67a…第1中足骨頭、67b…第2中足骨頭、67c…第3中足骨頭、67d…第4中足骨頭、67e…第5中足骨頭、70…靴(パンプス、紳士靴)、71…ソール、73…アッパー、75…ヒールグリップ。
【要約】
【課題】足の内側の縦アーチを支持し、紳士靴やパンプス等のデザイン性の高い靴に入れてもきつくならず、且つ、使用中に靴の中で位置がずれずに荷重による本体部分の転倒も防止できるインソールを提供すること。
【解決手段】インソール10は、可撓性を有して使用時に靴70のソール上に足60の幅方向の中心部から内側に配置される本体部20と、本体部20に湾曲して設けられ土踏まずを支持して足60の内側の縦アーチを形成する内側縦アーチ支持部21と、本体部20に内側縦アーチ支持部21の後方から外側に突出して設けられ足60の踵63に踏まれて内側縦アーチ支持部21の転倒を防止するアーチ転倒防止部22と、内側縦アーチ支持部21の外側後方部分からアーチ転倒防止部22の前側中央部分にくり抜いて形成された踵くり抜き部23と、外側縦アーチを支持する部分のない外側縦アーチ空間26を備える。
【選択図】図7

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7