(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240827BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024031445
(22)【出願日】2024-03-01
【審査請求日】2024-04-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524080634
【氏名又は名称】唐津 周平
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】唐津 周平
【審査官】山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-294776(JP,A)
【文献】特開2015-008735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが共同で作成したコンテンツに関する情報を記憶する記憶部と、
前記コンテンツを所有するユーザと、前記コンテンツを作成した
前記複数のユーザを含むグループと、前記グループに含まれる
前記複数のユーザとを管理する管理部と、
前記コンテンツの売買を行う売買処理部と、
前記コンテンツの所有者を移転することの指示を受けた場合、前記グループに関連づけられるグループ貢献度と、前記複数のユーザの各々に関連づけられるユーザ貢献度とに基づいて、前記コンテンツを移転する際に支払われる金額を前記複数のユーザに分配する分配処理部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記分配処理部は、
前記金額に前記グループ貢献度を乗算した値を前記複数のユーザのユーザ数で割った第一数と、
前記金額から前記金額に前記グループ貢献度を乗算した値を減算した数を、前記ユーザ貢献度に従って前記ユーザごとに分配した第二数と、
を前記ユーザごとに合算することで、前記金額を前記複数のユーザに分配する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記管理部は、前記複数のユーザの各々のアカウントと前記グループのアカウントとを対応づけることで、前記グループを管理する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分配処理部は、前記金額を前記複数のユーザに分配する際の前記ユーザごとの金額を、前記複数のユーザの各々のアカウントに関連づけることで、前記金額を前記複数のユーザに分配する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分配処理部は、前記グループ貢献度と前記ユーザ貢献度とに基づいて、前記金額を前記複数のユーザの各々のアカウントに分配するコントラクトをブロックチェーンネットワークにデプロイすることで、前記金額を前記複数のユーザに分配する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記売買処理部は、前記複数のユーザのうち過半数が前記コンテンツの売却に同意すること、又は、前記複数のユーザのうち予め指定された一のユーザが前記コンテンツの売却に同意する場合に、前記コンテンツの売買を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
複数のユーザが共同で作成したコンテンツに関する情報を記憶部に記憶させるステップと、
前記コンテンツを所有するユーザと、前記コンテンツを作成した
前記複数のユーザを含むグループと、前記グループに含まれる
前記複数のユーザとを管理するステップと、
前記コンテンツの売買を行うステップと、
前記コンテンツの所有者を移転することの指示を受けた場合、前記グループに関連づけられるグループ貢献度と、前記複数のユーザの各々に関連づけられるユーザ貢献度とに基づいて、前記コンテンツを移転する際に支払われる金額を前記複数のユーザに分配するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
複数のユーザが共同で作成したコンテンツに関する情報を記憶部に記憶させるステップと、
前記コンテンツを所有するユーザと、前記コンテンツを作成した
前記複数のユーザを含むグループと、前記グループに含まれる
前記複数のユーザとを管理するステップと、
前記コンテンツの売買を行うステップと、
前記コンテンツの所有者を移転することの指示を受けた場合、前記グループに関連づけられるグループ貢献度と、前記複数のユーザの各々に関連づけられるユーザ貢献度とに基づいて、前記コンテンツを移転する際に支払われる金額を前記複数のユーザに分配するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
分散コンピューティングネットワークに参加するコンピュータに、
複数のユーザが共同で作成したコンテンツに関する情報を記憶部に記憶させるステップと、
前記コンテンツを所有する所有者に関する情報と、前記コンテンツを作成した
前記複数のユーザを含むグループに含まれる
前記複数のユーザの各々に関する情報とを記憶部に記憶させるステップと、
前記コンテンツの所有者を移転することの指示を受けた場合、前記グループに対応づけられるグループ貢献度と、前記複数のユーザの各々に対応づけられるユーザ貢献度とに基づいて、前記コンテンツを移転する際に支払われる金額を前記複数のユーザに分配するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタル画像などコピーが容易なデジタルコンテンツに対して、ブロックチェーン上で発行されたNFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)を利用して所有者を証明することが行われている。特許文献1には、NFTを利用したデジタルコンテンツの管理技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、NFTが付与されたデジタルコンテンツは、インターネット上のマーケットで取引されている。また、現在では、複数のユーザ(クリエータ)が共同でデジタルコンテンツを制作することも多い。そのため、デジタルコンテンツの取引を活性化させるためには、デジタルコンテンツを共同で創作したユーザが、対価をより適切に得られるようにする仕組みが重要になると考えられる。なお、このような仕組は、NFTが付与されたデジタルコンテンツに限られず、デジタルコンテンツの取引全般において重要であると考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、デジタルコンテンツの売却益を複数のユーザ間で分配することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、コンテンツに関する情報を記憶する記憶部と、コンテンツを所有するユーザと、コンテンツを作成したグループと、グループに含まれる複数のユーザとを管理する管理部と、コンテンツの売買を行う売買処理部と、コンテンツの所有者を移転することの指示を受けた場合、グループに関連づけられるグループ貢献度と、複数のユーザの各々に関連づけられるユーザ貢献度とに基づいて、コンテンツを移転する際に支払われる金額を複数のユーザに分配する分配処理部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、デジタルコンテンツの売却益を複数のユーザ間で分配することを可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るコンテンツ取引システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】取引管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】取引管理サーバの機能ブロック構成例を示す図である。
【
図4】スマートコントラクトの構成例を示す図である。
【
図5】グループアカウントを作成する際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】マーケットでデジタルコンテンツの販売を行う際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】マーケットでデジタルコンテンツが売却される際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】グループアカウントを作成する際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】マーケットでデジタルコンテンツの販売を行う際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】マーケットでデジタルコンテンツが売却される際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係るコンテンツ取引システム1のシステム構成例を示す図である。コンテンツ取引システム1は、取引管理サーバ10と、端末20と、情報サーバ30と、ブロックチェーンネットワーク40と、コンテンツ管理サーバ60とを含む。取引管理サーバ10と、端末20と、情報サーバ30と、ブロックチェーンネットワーク40と、コンテンツ管理サーバ60とは、通信ネットワークNに接続されており、相互に通信することができる。
【0011】
コンテンツ取引システム1は、写真及びデジタルアートなど、ユーザ(クリエータ)が作成したデジタルコンテンツ(単にコンテンツと称してもよい)の売買を実現するシステムである。デジタルコンテンツは、例えば、画像、動画、音楽及びテキストデータ及等を含む。本実施形態において、コンテンツ取引システム1は、ブロックチェーンを利用してデジタルコンテンツの売買を実現するシステムであってもよいし、ブロックチェーンを利用せずにデジタルコンテンツの売買を実現するシステムであってもよい。
【0012】
取引管理サーバ10は、ユーザ間でのデジタルコンテンツの売買を実現するマーケットをインターネット上で提供する装置である。取引管理サーバ10は、複数のユーザが共同でデジタルコンテンツを創作する場合を考慮し、複数のユーザを、デジタルコンテンツを創作するグループとして管理する。
【0013】
また、複数のユーザが共同で作成したデジタルコンテンツは、取引管理サーバ10が提供するマーケット上に金額と共に一覧表示される。デジタルコンテンツの購入を希望するユーザは、任意の金額を支払うことで、又は、マーケット上に表示された金額を支払うことで、所望のデジタルコンテンツを購入することができる。
【0014】
同一グループに属する複数のユーザが共同でデジタルコンテンツを創作した場合、当該デジタルコンテンツの売却益は、当該複数のユーザ間で分配されることが望ましい。そこで、取引管理サーバ10は、デジタルコンテンツを作成したグループを当該デジタルコンテンツと対応づけて管理し、当該デジタルコンテンツが購入された場合、売却益をグループ内の複数のユーザに自動的に分配する。
【0015】
ブロックチェーンを利用してデジタルコンテンツの売買を実現する場合、取引管理サーバ10は、コンテンツ管理サーバ60に記憶されているデジタルコンテンツが対応づけられたNFTの売買が可能なマーケットを提供することで、デジタルコンテンツの売買を実現する。一方、ブロックチェーンを利用せずにデジタルコンテンツの売買を実現する場合、取引管理サーバ10は、取引管理サーバ10自身若しくはコンテンツ管理サーバ60に記憶されているデジタルコンテンツの所有者をデータベース等に記憶しておく。また、取引管理サーバ10は、デジタルコンテンツをマーケットで販売し、当該デジタルコンテンツが購入された場合、当該データベース上の所有者を変更することで、デジタルコンテンツの売買を実現する。
【0016】
端末20は、取引管理サーバ10が提供するマーケットを利用するユーザが利用する端末である。端末20には、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(PC)及びノートPCなど、通信機能を備えた端末であればあらゆる端末を用いることができる。
【0017】
情報サーバ30は、取引管理サーバ10及びブロックチェーンネットワーク40に対し、インターネット上に存在する各種の情報を提供する装置である。情報サーバ30は、ブロックチェーンネットワーク40に情報を提供する場合、「オラクル」と呼ばれるサービスを提供するサーバであってもよいし、取引管理サーバ10を提供する企業等が独自に提供するサーバであってもよい。なお、オラクルとは、現実世界の情報などブロックチェーン上では判断又は取得できない情報をスマートコントラクトに提供するための仕組みである。
【0018】
ブロックチェーンネットワーク40は、ブロックチェーンネットワーク40に参加する複数のコンピュータがP2P(Peer to Peer)で接続されており、トランザクションを受け付けた複数のコンピュータの各々がトランザクションの正当性を検証し、正当なトランザクションのみをブロックと呼ばれる単位で台帳に記録していく仕組みを備えた分散コンピューティングネットワークである。なお、ブロックチェーンを利用せずにデジタルコンテンツの売買を実現する場合、コンテンツ取引システム1には、ブロックチェーンネットワーク40は含まれていなくてもよい。
【0019】
ブロックチェーンネットワーク40では、スマートコントラクト50と呼ばれるプログラムを実行することができる。スマートコントラクト50は、ブロックチェーンネットワーク40に参加する複数のコンピュータにより実行されるプログラムを意味する。取引管理サーバ10は、スマートコントラクト50に含まれるメソッドを呼び出すためのトランザクションを発行することで、指定したメソッドをブロックチェーンネットワーク40に参加する複数のコンピュータに実行させることができる。
【0020】
NFTは、スマートコントラクト50で実現される。NFTは、例えばビットコインのような代替可能トークン(FT:Fungible Token)とは異なり、他のNFTと区別することが可能な識別子(以下、「トークンID」と言う。)を有している。トークンIDはトークン毎に異なることから、各NFTは世の中に1つしか存在しないトークンである。
【0021】
コンテンツ管理サーバ60は、デジタルコンテンツの実データを管理するサーバである。なお、デジタルコンテンツの実データは、コンテンツ管理サーバ60に代えて、取引管理サーバ10で管理することとしてもよい。
【0022】
<ハードウェア構成>
図2は、取引管理サーバ10のハードウェア構成例を示す図である。取引管理サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)等のプロセッサ11、メモリ(例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory))、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行うネットワークIF(Network Interface)13、入力操作を受け付ける入力装置14、及び情報の出力を行う出力装置15を有する。入力装置14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力装置15は、例えば、ディスプレイ、タッチパネル及び/又はスピーカ等である。
【0023】
取引管理サーバ10は、1又は複数の物理的なサーバ等から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよいし、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。
【0024】
<機能ブロック構成>
図3は、取引管理サーバ10の機能ブロック構成例を示す図である。取引管理サーバ10は、記憶部100と、管理部101と、売買処理部102と、分配処理部103とを含む。記憶部100は、取引管理サーバ10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、管理部101と、売買処理部102と、分配処理部103とは、取引管理サーバ10のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はCD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)等の記憶媒体であってもよい。
【0025】
記憶部100は、アカウント管理DB100aと、コンテンツ管理DB100bとを含む。アカウント管理DB100aは、グループアカウント及びユーザアカウントを管理するためのデータベースである。グループアカウントには、グループ名、グループを一意に識別する識別子(グループID)及び同一グループに属する複数のユーザのユーザ識別子(ユーザID)等が含まれる。また、ユーザアカウントには、ユーザ名、ユーザID、ユーザが所持する通貨の量及びユーザが属するグループのグループID等が含まれる。つまり、アカウント管理DB100aには、複数のユーザの各々のアカウントとグループのアカウントとが対応づけられている。また、ユーザアカウントには、ユーザが所持する通貨及び通貨の量を管理するための情報(ウォレットと称してもよい)が含まれていてもよい。ブロックチェーンを利用してデジタルコンテンツの売買を実現する場合、当該情報(ウォレット)には、ユーザが、ブロックチェーンネットワーク40を利用する際に必要なウォレットアドレス(ユーザの公開鍵そのもの又は公開鍵から生成されるアドレス)及びユーザの秘密鍵が含まれていてもよい。
【0026】
コンテンツ管理DB100bは、ユーザが作成したデジタルコンテンツを管理するためのデータベースである。コンテンツ管理DB100bには、デジタルコンテンツに関する情報が、デジタルコンテンツを作成したユーザのユーザID又はデジタルコンテンツを作成したグループのグループIDと対応づけて格納される。デジタルコンテンツに関する情報は、例えば、デジタルコンテンツの実データ、又は、デジタルコンテンツの実データが格納されているコンテンツ管理サーバ60のURI(Uniform Resource Identifier))等である。
【0027】
管理部101は、デジタルコンテンツを所有するユーザと、デジタルコンテンツを作成したグループと、当該グループに含まれる複数のユーザとを管理する。また、管理部101は、アカウント管理DB100aを用いて、複数のユーザの各々のアカウントとグループのアカウントとを対応づけることで、グループを管理するようにしてもよい。
【0028】
また、管理部101は、ブロックチェーンを利用してデジタルコンテンツの売買を実現する場合、マルチシグウォレット(Multi-Signature Wallet)を実現するコントラクトをブロックチェーンネットワーク40にデプロイ(Deploy)してもよい。また、管理部101は、マルチシグウォレットの所有者(共同所有者)として、グループに属する複数のユーザのウォレットアドレスを、マルチシグウォレットに登録するようにしてもよい。マルチシグウォレットとは、ブロックチェーンネットワーク40にトランザクションを発行する際、複数の秘密鍵による署名を必要とするウォレットを意味する。マルチシグウォレットを利用することで、グループとしてトランザクションを発行する場合、グループに属する複数ユーザによる署名が必要になることから、セキュリティを高めることが可能になる。また、マルチシグウォレットを利用することで、デジタルコンテンツの所有権がグループに存在することを強調することが可能になる。
【0029】
売買処理部102は、デジタルコンテンツの売買など、マーケットで実現される各種の処理を行う。
【0030】
分配処理部103は、デジタルコンテンツの所有者を、現在所有しているユーザから当該デジタルコンテンツを購入したユーザに移転することの指示を受けた場合、グループに関連づけられるグループ貢献度と、グループに属する複数のユーザの各々に関連づけられるユーザ貢献度とに基づいて、デジタルコンテンツを移転する際にデジタルコンテンツを購入したユーザから支払われる金額を複数のユーザに分配する。グループ貢献度とユーザ貢献度については後述する。
【0031】
また、分配処理部103は、デジタルコンテンツを購入したユーザから支払われる金額(売却益)を複数のユーザに分配する際のユーザごとの金額を、複数のユーザの各々のアカウントに関連づける(各ユーザのウォレットアドレスに関連づける)ことで、当該金額(売却益)を複数のユーザに分配するようにしてもよい。
【0032】
また、分配処理部103は、ブロックチェーンを利用してデジタルコンテンツの売買を実現する場合、グループ貢献度とユーザ貢献度とに基づいて、デジタルコンテンツを購入したユーザから支払われる金額(売却益)を複数のユーザの各々のアカウントに分配するコントラクトを、ブロックチェーンネットワーク40にデプロイすることで、当該金額(売却益)を複数のユーザに分配するようにしてもよい。当該コントラクトの一例を
図4に示す。
【0033】
図4は、スマートコントラクト50の構成例を示す図である。
図4に示すスマートコントラクト50は、デジタルコンテンツを関連づけたNFT(以下、「デジタルコンテンツNFT」と言う)を実現するコントラクト(以下、「NFTコントラクト」と言う。)である。NFTコントラクトは、ステート(状態)と呼ばれる、各種変数を記憶するキーバリュー(key-value)形式のDBと、メソッドと呼ばれる関数とを保持することができる。メソッドは、ステートに含まれる変数を書き換えたり、任意の処理を実行したりすることができる。
【0034】
トークンIDは、デジタルコンテンツNFTを一意に識別するIDである。所有者アドレスは、デジタルコンテンツNFTを所持するグループ又はユーザのウォレットアドレスを格納する。なお、グループのウォレットアドレスは、前述したマルチシグウォレットのアドレス(具体的には、マルチシグウォレットを実現するコントラクトのコントラクトアドレス)であってもよい。本実施形態では、複数のユーザが共同でデジタルコンテンツを作成することを想定していることから、デジタルコンテンツNFTの最初の所有者アドレス(つまり売買される前の最初の所有者アドレス)は、グループのウォレットアドレスであることを想定している。
【0035】
グループユーザアドレスは、デジタルコンテンツを作成したグループに属する複数のユーザのウォレットアドレスを格納する。コンテンツURIは、デジタルコンテンツNFTに関連づけられるデジタルコンテンツの格納場所に関する情報が格納されるURIを示す。本実施形態では、当該URIは、コンテンツ管理サーバ60上のデータを示すことを想定しているが、本実施形態がこれに限定されるものではない。なお、コンテンツURIに代えて、実際のコンテンツデータを格納することとしてもよい。販売価格は、デジタルコンテンツを販売する際の価格を格納する。グループ貢献度は、グループ貢献度の度合いを格納する。詳細については後述する。
【0036】
トークン生成メソッドは、デジタルコンテンツNFTを生成する処理を行う。なお、NFTを生成する処理は、ミント(Mint)とも呼ばれる。トークン移動メソッドは、デジタルコンテンツNFTを所持するユーザを移動させる処理(すなわち、「所有者アドレス」ステートを書き換える処理)を行う。トークン削除メソッドは、デジタルコンテンツNFTを削除する処理を行う。なお、NFTを削除する処理は、バーン(Burn)とも呼ばれる。価格設定メソッドは、「販売価格」ステートの値を設定又は更新する。グループユーザ追加メソッドは、「グループユーザアドレス」ステートに、ユーザのウォレットアドレスを追加する。グループユーザ削除メソッドは、「グループユーザアドレス」ステートから、指定されたユーザのウォレットアドレスを削除する。グループ貢献度設定メソッドは、「グループ貢献度」ステートの値を設定又は更新する。外部データ取得メソッドは、情報サーバ30(オラクル)から、ブロックチェーンネットワーク40の外にあるデータを取得する。分配処理メソッドは、グループ貢献度とユーザ貢献度とに基づいて、デジタルコンテンツを購入したユーザから支払われる金額を複数のユーザのウォレットに分配する。
【0037】
以上説明したNFTコントラクトは、ブロックチェーンネットワーク40に参加するコンピュータに、以下の処理を実行させるプログラムであると表現されてもよい。
【0038】
1.コンテンツに関する情報(例えばURI等)を記憶部に記憶させる処理
2.コンテンツを所有する所有者に関する情報(例えばユーザ又はグループのウォレットアドレス)と、コンテンツを作成したグループに含まれる複数のユーザの各々に関する情報(例えば各ユーザのウォレットアドレス)とを記憶部に記憶させる処理
3.コンテンツの所有者を移転することの指示を受けた場合、グループに対応づけられるグループ貢献度と、複数のユーザの各々に対応づけられるユーザ貢献度とに基づいて、コンテンツを移転する際に支払われる金額を複数のユーザに分配する処理。
【0039】
<処理手順>
続いて、コンテンツ取引システム1が行う処理手順を、ブロックチェーンを利用せずにデジタルコンテンツの売買を実現する場合と、ブロックチェーンを利用してデジタルコンテンツの売買を実現する場合とに分けて説明する。
【0040】
(ブロックチェーンを利用せずにデジタルコンテンツの売買を実現する場合)
図5は、グループアカウントを作成する際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。なお、
図5の例では、グループに属する複数のユーザの各々のユーザアカウントは、取引管理サーバ10で既に管理されているものとする。
【0041】
ステップS10で、グループに属する複数のユーザのうち一のユーザが端末20を操作することで、グループの作成を開始する。例えば、取引管理サーバ10の管理部101は、グループの作成を行う画面を端末20に表示させ、グループに属するユーザに関する情報及びグループ名等の入力を受け付けるようにしてもよい。ユーザ情報は、例えば、ユーザ名やユーザIDであってもよい。
【0042】
なお、本実施形態において、グループに属する「ユーザ」には、個人ユーザ以外に、ブランドやチャリティ等の法人やNPO(Non-Profit Organization)法人等が含まれていてもよい。
【0043】
ステップS11で、取引管理サーバ10の管理部101は、グループIDを割り当てるとともに、ステップS10で受け付けた情報を、当該グループIDと対応づけてアカウント管理DB100aに格納する。
【0044】
ステップS12で、取引管理サーバ10の管理部101は、グループアカウントの作成が完了したことを端末20に通知する。
【0045】
図6は、マーケットでデジタルコンテンツの販売を行う際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。以下で説明する
図6の処理手順及び後述する
図9の処理手順は、グループでデジタルコンテンツを生成してマーケットで販売を行う度に、繰り返し実行されてもよい。
【0046】
ステップS20で、グループに属する複数のユーザのうち一のユーザが端末20を操作することで、販売するデジタルコンテンツの登録を行う。例えば、取引管理サーバ10の管理部101は、デジタルコンテンツの登録及び販売を行う画面を端末20に表示させ、デジタルコンテンツを作成したグループのグループID及びデジタルコンテンツのデータの入力を受け付けるようにしてもよい。また、管理部101は、デジタルコンテンツの販売価格の指定を受け付けるようにしてもよい。なお、登録するデジタルコンテンツのデータは、デジタルコンテンツの実データであってもよいし、デジタルコンテンツが格納されたURIであってもよい。
【0047】
なお、取引管理サーバ10は、デジタルコンテンツを購入可能なユーザを制限することを可能としてもよい。例えば、管理部101は、デジタルコンテンツの登録を行う画面において、デジタルコンテンツを購入可能なユーザの指定を受け付けるようにしてもよい。デジタルコンテンツを購入可能なユーザは、デジタルコンテンツに対し一定額以上の支払を表明しているユーザに制限されてもよいし、購入対象のデジタルコンテンツを作成したグループが過去に販売したデジタルコンテンツのNFTを所有しているユーザに制限されてもよい。
【0048】
ステップS21で、取引管理サーバ10の管理部101は、デジタルコンテンツを一意に識別するコンテンツIDを割り当てるとともに、ステップS20で受け付けた情報を、コンテンツIDと対応づけてコンテンツ管理DB100bに格納する。また、売買処理部102は、登録されたデジタルコンテンツをマーケット上に表示させることで、デジタルコンテンツの売買を受け付ける。
【0049】
ステップS22で、取引管理サーバ10の管理部101は、デジタルコンテンツの登録が完了したことを端末20に通知する。
【0050】
図7は、マーケットでデジタルコンテンツが売却される際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0051】
ステップS30で、売買処理部102は、デジタルコンテンツの購入を希望するユーザ(以下、「購入ユーザ」と言う。)から、デジタルコンテンツの購入を受け付ける。例えば、デジタルコンテンツに対し100コインの価格が設定されていた場合、購入ユーザは、100コイン(若しくは100コイン+ガス代)を支払うことで当該デジタルコンテンツを購入することができる。
【0052】
なお、
図6のステップS20の処理手順において、デジタルコンテンツを購入可能なユーザが指定されていた場合、売買処理部102は、購入ユーザが、指定されたユーザである場合にのみ、当該デジタルコンテンツの購入を許可する。
【0053】
また、売買処理部102は、デジタルコンテンツに対応づけられるグループによって予め指定された条件に合致する場合にのみ、購入ユーザに対し、当該デジタルコンテンツの購入を許可するようにしてもよい。当該条件は、例えば、グループに属する複数のユーザのうち過半数のユーザが売却に同意すること、又は、グループに属する複数のユーザのうち予め指定された一のユーザが売却に同意すること等であってもよい。
【0054】
ステップS31で、売買処理部102は、情報サーバ30にアクセスすることで、購入を受け付けたデジタルコンテンツを作成したグループに属する複数のユーザの各々に関するユーザ情報の送信を要求する。
【0055】
ステップS32で、情報サーバ30は、要求された複数のユーザの各々に関するユーザ情報を取引管理サーバ10に送信する。
【0056】
ステップS33で、分配処理部103は、購入ユーザが支払った金額(売却益)を、グループに属する複数のユーザに分配する。
【0057】
[売却益の分配方法]
続いて、ステップS33の処理手順において、分配処理部103が売却益を分配する方法について具体的に説明する。分配処理部103は、グループに関連づけられるグループ貢献度と、グループに属する複数のユーザの各々に関連づけられるユーザ貢献度とに基づいて、購入ユーザから支払われる金額(売却益)を複数のユーザに分配する。
【0058】
ここで、グループ貢献度とは、デジタルコンテンツの売却益のうち何%をグループ全員に均等に分配するのかを示す度合いである。グループ貢献度は、例えば、デジタルコンテンツの価格のうち、グループの価値が寄与する度合いを意味することとしてもよい。グループ貢献度は、取引管理サーバ10により予め定められており、グループに属するユーザが自ら決定することはできないこととしてもよい。
【0059】
また、ユーザ貢献度とは、デジタルコンテンツの売却益のうちグループ貢献度以外の売却益を、どのユーザに優先的に分配するのかを示す度合いである。例えば、デジタルコンテンツの価格のうち、ユーザ個人の価値が寄与する度合いを意味することとしてもよい。
【0060】
具体的には、分配処理部103は、売却益(金額)にグループ貢献度を乗算した値を複数のユーザのユーザ数で割った第一数と、売却益から当該売却益にグループ貢献度を乗算した値を減算した数を、ユーザ貢献度に従ってユーザごとに分配した第二数と、をユーザごとに合算することで、売却益を複数のユーザに分配するようにしてもよい。
【0061】
例えば、グループにユーザA~Dの4名が存在するものとする。また、グループ貢献度は60%であり、ユーザA~Dのユーザ貢献度は、それぞれ、10%、20%、20%及び50%に設定されているものとする。また、売却益は100コインであるものとする。
【0062】
まず、第一数を算出する。この場合、100×60%÷4=15であるから、1ユーザあたりの第一数は15コインになる。次に、第二数を算出する。100-(100%×60%)=40であるから、ユーザAの第二数は、40×10%=4コインになる。
同様に、ユーザB及びCの第二数は、40×20%=8コインになる。ユーザDの第二数は、40×50%=20コインになる。
【0063】
続いて、第一数及び第二数をユーザ毎に合算することで、売却益を各ユーザに分配する。ユーザAには、15+5=19コインが分配される。ユーザB及びCには、15+8=23コインが分配される。ユーザDには、15+20=35コインが分配される。
【0064】
[ユーザ貢献度の決定方法]
ユーザ貢献度は、1又は複数の外部データを用いて決定されてもよい。ユーザ貢献度を決定するための外部データの項目数及び項目の内容は特に限定されないが、例えば、デジタルコンテンツのマーケットにおいてユーザが行った売買の総額、及び、デジタルコンテンツのマーケットでのフォロワー数等であってもよい。また、ユーザ貢献度を決定するために用いられる外部データの項目数及び項目の内容については、グループに属するユーザが自ら決定することはできないこととしてもよい。
【0065】
ここで、デジタルコンテンツのマーケットにおいてユーザが行った売買の総額を用いてユーザ貢献度を決定する場合について説明する。ユーザA~Dのマーケットでの売買の総額は、それぞれ、100ドル、200ドル、400ドル、300ドルであるものとする。この場合、ユーザAのユーザ貢献度は、100÷(100+200+400+300)=10%になる。同様に、ユーザB~Dのユーザ貢献度は、それぞれ、20%、40%及び30%になる。
【0066】
次に、フォロワー数を用いてユーザ貢献度を決定する場合について説明する。ユーザA~Dのマーケットでのフォロワー数は、それぞれ、10、20、70、100であるものとする。この場合、ユーザAのユーザ貢献度は、10÷(10+20+70+100)=5%になる。同様に、ユーザB~Dのユーザ貢献度は、それぞれ、10%、35%及び50%になる。
【0067】
更に、デジタルコンテンツのマーケットにおいてユーザが行った売買の総額及びユーザのフォロワー数の両方の項目を用いてユーザ貢献度を決定する場合について説明する。この場合、分配処理部103は、各項目でのユーザ貢献度を合算した数を項目数で割ることで、ユーザ貢献度を決定するようにしてもよい。具体的には、ユーザAのユーザ貢献度は、(10%+5%)÷2=7.5%になる。また、ユーザBのユーザ貢献度は、(20%+10%)÷2=15%になる。また、ユーザCのユーザ貢献度は、(40%+35%)÷2=37.5%になる。また、ユーザDのユーザ貢献度は、(30%+50%)÷2=40%になる。
【0068】
[売却益の分配方法に関する変形例]
分配処理部103は、購入ユーザが支払う金額からマーケットの手数料を除いた金額を、各ユーザに分配するようにしてもよい。
【0069】
デジタルコンテンツが2回目以降に売買された場合、分配処理部103は、購入ユーザが支払う金額から、デジタルコンテンツを売却したユーザの取り分を除いた金額を、各ユーザに分配するようにしてもよい。デジタルコンテンツを売却したユーザの取り分は任意であるが、例えば、購入ユーザが支払う金額のうち予め定められた割合(例えば90%など)であってもよい。
【0070】
例えば、デジタルコンテンツの購入条件として、当該デジタルコンテンツ以外の特定の物品を購入することが設定されてもよい。この場合、分配処理部103は、当該特定のアイテムの売却益のうち所定割合を、アフリエイトフィーとしてグループの各ユーザに配分するようにしてもよい。また、グループの各ユーザへの配分方法は、売却益の分配方法で説明した方法と同一であってもよい。
【0071】
(ブロックチェーンを利用してデジタルコンテンツの売買を実現する場合)
図8は、グループアカウントを作成する際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。なお、
図8の例では、グループに属する複数のユーザの各々のユーザアカウント及び各ユーザのウォレットアドレスは、取引管理サーバ10で既に管理されているものとする。
【0072】
ステップS100で、グループに属する複数のユーザのうち一のユーザが端末20を操作することで、グループの作成を開始する。例えば、取引管理サーバ10の管理部101は、グループの作成を行う画面を端末20に表示させ、グループに属するユーザに関する情報及びグループ名等の入力を受け付けるようにしてもよい。ユーザ情報は、例えば、ユーザ名、ユーザID及びウォレットアドレス等であってもよい。
【0073】
ステップS101で、管理部101は、マルチシグウォレットを生成するためのトランザクションをブロックチェーンネットワーク40に送信する。このとき、管理部101は、当該トランザクションの引数に、グループに含まれる各ユーザのウォレットアドレスを指定する。
【0074】
ステップS102で、ブロックチェーンネットワーク40に参加するコンピュータは、マルチシグウォレットのコントラクトを生成し、取引管理サーバ10に、マルチシグウォレットのコントラクトアドレスを通知する。
【0075】
ステップS103で、取引管理サーバ10の管理部101は、グループIDを割り当てるとともに、ステップS10で受け付けた情報と、マルチシグウォレットのコントラクトアドレスとを、当該グループIDに対応づけてアカウント管理DB100aに格納する。
【0076】
ステップS104で、取引管理サーバ10の管理部101は、グループアカウントの作成が完了したことを端末20に通知する。
【0077】
図9は、マーケットでデジタルコンテンツの販売を行う際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0078】
ステップS200で、グループに属する複数のユーザのうち一のユーザが端末20を操作することで、販売するデジタルコンテンツの登録を行う。特に説明しない点は、
図6のステップS20と同一でよい。
【0079】
ステップS201で、管理部101は、NFTコントラクトに対し、トークン生成メソッド、グループユーザ追加メソッド、価格設定メソッド及びグループ貢献度設定メソッドを実行することを指示するトランザクションを送信する。
【0080】
グループユーザ追加メソッドの引数には、デジタルコンテンツを創作した複数のユーザの各々のウォレットアドレスが指定される。グループユーザ追加メソッドの引数に指定するウォレットアドレスは、マルチシグウォレットを生成した際に指定したウォレットアドレスと同一であってもよい。なお、管理部101は、グループユーザ追加メソッドの引数に指定するウォレットアドレスに、マルチシグウォレットを生成した際に指定したウォレットアドレスに含まれていないウォレットアドレスを含めるようにしてもよい。例えば、デジタルコンテンツの作成に、グループに属さない他のユーザ(クリエータ)が臨時に参加するようなケースが考えられるためである。このようなケースでは、デジタルコンテンツNFTに対し、グループに属さないユーザのウォレットアドレスを含めておくことで、デジタルコンテンツの作成に臨時に参加したユーザに対しても、売却益を分配することが可能になる。
【0081】
価格設定メソッドの引数には、デジタルコンテンツNFTの販売価格が指定される。また、グループ貢献度設定メソッドの引数には、グループ貢献度の値(%)が指定される。なお、マルチシグウォレットを利用する場合、各メソッド実行するトランザクションを送信する際に、グループに含まれる複数のユーザのうち指定された数のユーザの署名が必要になる。
【0082】
ステップS202で、ブロックチェーンネットワーク40に参加するコンピュータは、取引管理サーバ10に、各種メソッドの実行が完了したことを通知する。このとき、取引管理サーバ10に、生成されたNFTのトークンIDが通知される。
【0083】
ステップS203で、取引管理サーバ10の管理部101は、ステップS20で受け付けた情報を、トークンIDと対応づけてコンテンツ管理DB100bに格納する。また、売買処理部102は、登録されたデジタルコンテンツをマーケット上に表示させることで、デジタルコンテンツの売買を受け付ける。
【0084】
ステップS204で、取引管理サーバ10の管理部101は、デジタルコンテンツの登録が完了したことを端末20に通知する。
【0085】
図10は、マーケットでデジタルコンテンツが売却される際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0086】
ステップS300で、売買処理部102は、デジタルコンテンツの購入を希望する購入ユーザから、デジタルコンテンツの購入を受け付ける。特に説明しない点は、
図7のステップS30と同一でよい。
【0087】
ステップS301で、売買処理部102は、トークン移動メソッドを実行することを指示するトランザクションを送信する。トークン移動メソッドの引数には、トークンID及び移動先のユーザのウォレットアドレスが指定される。なお、マルチシグウォレットを利用する場合、トークン移動メソッド実行するトランザクションを送信する際に、グループに含まれる複数のユーザのうち指定された数のユーザの署名が必要になる。
【0088】
ステップS302で、NFTコントラクトを実行するブロックチェーンネットワーク40のコンピュータは、外部データ取得メソッドを実行することで、情報サーバ30に対し、「グループユーザアドレス」ステートで管理される複数のユーザの各々に関するユーザ情報を要求する。なお、情報サーバ30に要求するユーザ情報の項目は複数であってもよい。
【0089】
ステップS303で、情報サーバ30は、要求された複数のユーザの各々に関するユーザ情報をブロックチェーンネットワーク40のコンピュータに送信する。
【0090】
ステップS304で、NFTコントラクトを実行するブロックチェーンネットワーク40のコンピュータは、分配処理メソッドを実行することで、購入ユーザが支払った金額(売却益)を、グループに属する複数のユーザのウォレットアドレスに分配する。
【0091】
ステップS305で、NFTコントラクトを実行するブロックチェーンネットワーク40のコンピュータは、トークン移動メソッドが完了したことを取引管理サーバ10に通知する。
【0092】
以上説明したステップS304の処理手順において、売却益の分配方法及びユーザ貢献度の決定方法については、(ブロックチェーンを利用せずにデジタルコンテンツの売買を実現する場合)で説明した[売却益の分配]、[ユーザ貢献度の決定]及び[売却益の分配に関する変形例]と同一であってもよい。
【0093】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、複数のユーザが共同でデジタルコンテンツを創作する場合に、デジタルコンテンツの売却益を複数のユーザ間で分配することが可能になる。さらに、マルチシグウォレットを利用することで、今まで不可能であった複数ユーザが共同で創作したデジタルコンテンツの所有権又は著作権をグループで管理することが可能となり、ユーザの心理的及び経済的な問題を解決することができる。
【0094】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 コンテンツ取引システム、10 取引管理サーバ、11 プロセッサ、12 記憶装置、13 ネットワークIF、14 入力装置、15 出力装置、20 端末、30 情報サーバ、40 ブロックチェーンネットワーク、50 スマートコントラクト、60 コンテンツ管理サーバ、100 記憶部、100a アカウント管理DB、100b コンテンツ管理DB、101 管理部、102 売買処理部、103 分配処理部
【要約】
【課題】デジタルコンテンツの売却益を複数のユーザ間で分配することを可能とする技術を提供すること。
【解決手段】コンテンツに関する情報を記憶する記憶部と、前記コンテンツを所有するユーザと、前記コンテンツを作成したグループと、前記グループに含まれる複数のユーザとを管理する管理部と、前記コンテンツの売買を行う売買処理部と、前記コンテンツの所有者を移転することの指示を受けた場合、前記グループに関連づけられるグループ貢献度と、前記複数のユーザの各々に関連づけられるユーザ貢献度とに基づいて、前記コンテンツを移転する際に支払われる金額を前記複数のユーザに分配する分配処理部と、を有する。
【選択図】
図3