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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】テアニンの生体内半減期の延長方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/12 20060101AFI20240827BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20240827BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20240827BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240827BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
C07H15/12 CSP
A23L33/175
A61K31/7008
A61P9/12
A61P25/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024073045
(22)【出願日】2024-04-26
【審査請求日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】202310685116.2
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522229020
【氏名又は名称】安徽農業大学
【氏名又は名称原語表記】ANHUI AGRICULTURAL UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】130 Changjiangxilu Hefei, Anhui 230036, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 一君
(72)【発明者】
【氏名】▲かん▼ 志鵬
(72)【発明者】
【氏名】宛 暁春
(72)【発明者】
【氏名】黄 進宝
(72)【発明者】
【氏名】張 康奕
(72)【発明者】
【氏名】楊 云秋
(72)【発明者】
【氏名】唐 暁宇
【審査官】関 景輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533723(JP,A)
【文献】特表2023-507366(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105769843(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113151199(CN,A)
【文献】Carbohydrate Research,1981年,98,pp.57-63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 15/12
A23L 33/175
A61K 31/7008
A61P 9/12
A61P 25/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テアニンの生体内半減期を延長する製品の製造におけるテアニングリコシド系化合物の使用であって、
前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式:
(式中、Rは、
であり、nは1-4である。)
で表されることを特徴とする、使用。
【請求項2】
テアニンの生体内半減期を延長する製品であって、
前記製品は、テアニングリコシド系化合物を含み、前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式:
(式中、Rは
であり、nは1-4である。)
表され、かつ前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースではないことを特徴とする、製品。
【請求項3】
徐放性薬物であって、
前記徐放性薬物は、テアニングリコシド系化合物を含み、前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式:
(式中、Rは
であり、nは1-4である。)
で表され、かつ前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースではないことを特徴とする、徐放性薬物。
【請求項4】
記憶力を改善するためのサプリメントであって、
前記サプリメントは、テアニングリコシド系化合物を含み、前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式:
(式中、Rは
であり、nは1-4である。)
で表され、かつ前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースではないことを特徴とする、サプリメント。
【請求項5】
血圧降下剤であって、
前記血圧降下剤は、テアニングリコシド系化合物を含み、前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式:
(式中、Rは
であり、nは1-4である。)
で表され、かつ前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースではないことを特徴とする、血圧降下剤。
【請求項6】
記憶力を改善するためのサプリメント、血圧降下剤の製造におけるテアニングリコシド系化合物の使用であって、
前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式:
(式中、Rは
であり、nは1-4である。)
で表されることを特徴とする、使用。
【請求項7】
Rは、具体的には、
から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
下式:
(式中、Rは
から選択される。)
で表される構造を有するテアニングリコシド系化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオメディカルの技術分野に属し、具体的には、テアニンの生体内半減期の延長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テアニンはお茶に含まれる重要な非タンパク質アミノ酸であり、お茶の乾燥重量の約0.5~2%を占める。テアニンは、生体内での半減期が短く、一般に経口摂取後約0.5~1時間で血中濃度がピークに達し、その後低下し始め、8~12時間後に初期濃度に戻る。近年の関連研究により、テアニンには抗炎症作用、酸化損傷の軽減作用、鎮静作用と抗うつ作用(先行文献:Untargeted and targeted mass spectrometry reveal the effects of theanine on the central and peripheral metabolomics of chronic unpredictable mild stress-induced depression in juvenile rats. Journal of Pharmaceutical Analysis. 2023,13. 73-87を参照されたい)、学習・記憶改善機能(先行文献:「マウスの学習・記憶能力に対するテアニンの影響」、林雪玲、食品科学,2004,25,218-219を参照されたい)、睡眠改善機能(先行文献:「マウス睡眠状況に対するテアニンの改善に関する実験研究」、食品科学,2009,30,214-216を参照されたい)、血圧の低下(即ち、血圧を健康レベルに維持すること;先行文献:「テアニンの薬理学研究の進展」、阮雪蓮、中国茶の特別レビュー)、腫瘍抑制補助などの多くの有益な機能があることが判明した。しかし、半減期が短いため、現在の経口テアニン製品は、有効な血中濃度を維持するために複数回の連続投与を必要とし、テアニンのさらなる適用が制限されている。テアニンの生体内での半減期を延長する方法に関する関連報告はまだない。そのため、テアニンの半減期を延長する安全かつ効率的な方法を開発し、テアニンの生体内での半減期を延長することは非常に重要である。
【発明の概要】
【0003】
上記の問題を解決するために、本発明は、テアニンの生体内半減期の延長方法を提供する。この方法は、原料が安価で入手しやすく、反応条件が穏やかで収率が高く、将来性が期待される。本発明では、テアニンを単糖で修飾して合成することでテアニングリコシド化合物を得ることにより、薬物の安定性を効果的に向上させ、薬物の体内吸収を改善し、薬物の半減期を延長し、薬物のバイオアベイラビリティを向上させ、治療効果を向上できる。
【0004】
本発明の第一の目的は、テアニンの生体内半減期を延長する製品の製造におけるテアニングリコシド系化合物の使用を提供することである。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
【0005】
本発明の一実施形態では、前記テアニングリコシド系化合物の血中及び脳中の主な代謝物はテアニンである。
【0006】
本発明の一実施形態では、前記テアニングリコシド系化合物は、テアニンの体内吸収を改善し、血中及び脳中の半減期を延長することができる。
【0007】
本発明の一実施形態では、前記製品は、抗炎症製品、酸化損傷緩和製品、抗うつ製品、学習・記憶能力改善製品、睡眠改善製品、血圧降下製品、健康的な血圧レベルを維持する製品、腫瘍抑制補助製品などであってもよい。
【0008】
本発明の一実施形態では、前記製品は、薬物、サプリメント、特別な栄養食、食品などであってもよい。
【0009】
本発明の一実施形態では、前記製品は、血圧降下剤、記憶力を改善するためのサプリメント、又は睡眠補助サプリメント、抗うつサプリメントである。
【0010】
本発明の一実施形態では、前記製品は、経口製品であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記製品は、液体製品、固体製品又は半固体製品であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態では、本発明に係るテアニングリコシド系化合物を含む製品が医薬組成物である場合、その形態は、溶液、懸濁液、粉末、固体成形品などのいずれか1種であってもよく、特に制限されない。選択的に、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、飲料などの形態で提供することができる。また、他の薬物と併用することができる。
【0013】
本発明の一実施形態では、本発明の製品の製造方法は、特に限定されないが、テアニングリコシド系化合物と他の原料との粉末を混合する方法;テアニングリコシド系化合物と他の原料とを溶媒に溶解して混合液を形成する方法;及びテアニングリコシド系化合物と他の原料とを混合する方法を含む。混合液を凍結し、乾燥、噴霧乾燥などの食品・薬品の一般的な製造方法を使用する。例えば、テアニングリコシド系化合物のような成分と、既知の賦形剤、担体、接着剤、安定剤などを混合して製品を得ることができる。
【0014】
本発明の第二の目的は、テアニンの生体内半減期を延長する製品を提供することである。前記製品は、テアニングリコシド系化合物を含む。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースではない。
【0015】
本発明の一実施形態では、前記製品は、抗炎症製品、酸化損傷緩和製品、抗うつ製品、学習・記憶能力改善製品、睡眠改善製品、血圧降下製品、健康的な血圧レベルを維持する製品、腫瘍抑制補助製品などであってもよい。
【0016】
本発明の第三の目的は、徐放性薬物を提供することである。前記徐放性薬物は、テアニングリコシド系化合物を含む。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースではない。
【0017】
本発明の第四の目的は、記憶力を改善するためのサプリメントを提供することである。前記サプリメントは、テアニングリコシド系化合物を含む。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースではない。
【0018】
本発明の第五の目的は、血圧降下剤を提供することである。前記サプリメントは、テアニングリコシド系化合物を含む。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースではない。
【0019】
本発明の第六の目的は、記憶力を改善するためのサプリメント、血圧降下剤の製造におけるテアニングリコシド系化合物の使用を提供することである。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
本発明の一実施形態では、前記使用は、テアニングリコシド系化合物によりテアニンの生体内半減期を延長することにより記憶を改善し、血圧を下げる。
【0020】
本発明の一実施形態では、前記使用において、Rは、具体的には、
から選択される。
【0021】
本発明の第七の目的は、下記の構造を有するテアニングリコシド系化合物を提供することである。
Rは
から選択される。
本発明の一実施形態では、前記テアニングリコシド系化合物は、単糖を用いてテアニンのアミノ基をアミノ化修飾することにより製造される。ここで、単糖は、ガラクトース、リボースから選択される。
【0022】
本発明の一実施形態では、前記アミノ化修飾は、
(1)L-テアニンを基質としてアミノ基保護を行って中間体1を取得し、次に、中間体1をアルコール系化合物でエステル化して中間体2を取得し、酸化試薬の作用下で中間体2のアミノ基を脱保護して中間体3を取得するステップと、
(2)単糖を基質としてヒドロキシ基保護、酸化して中間体4を取得するステップと、
(3)得られた前記中間体3及び中間体4を基質として、触媒の作用下で還元的アミノ化反応を行い、中間体5を取得し、次に、中間体5を酸性試薬でヒドロキシ基を脱保護して中間体6を取得し、さらに水素化還元して目的生成物テアニングリコシド系化合物を取得するステップと、
を含む。
【0023】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)では、アミノ基保護の反応プロセスは、
L-テアニン、アミノ基保護試薬、塩基試薬をテトラヒドロフランと水の混合系に溶解し、室温で撹拌しながら反応させ、中間体1を得ることを含む。
【0024】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)に記載のアミノ基保護のプロセスでは、アミノ基保護試薬は、BocO(二炭酸ジ-tert-ブチル)であり、L-テアニンとアミノ基保護試薬とのモル比は、1:(1-1.5)である。
【0025】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)に記載のアミノ基保護のプロセスでは、塩基試薬は、NaCO、KCOであり、L-テアニンと塩基試薬とのモル比は、1:(2-3)である。
【0026】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)に記載のアミノ基保護のプロセスでは、混合系におけるテトラヒドロフランと水との体積比は、1:1であり、混合系に対するL-テアニンの濃度は、20-30mg/mLであり、具体的には、25mg/mLであってもよい。
【0027】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)におけるエステル化の反応プロセスは、以下の通りである。
溶媒であるジクロロメタン(DCM)中に、得られた中間体1とアルコール系化合物とを溶解し、1-エチル-3(3-ジメチルプロピルアミン)カルボジイミド(EDCI)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の作用下で、室温で撹拌しながらエステル化反応させ、中間体2を得る。
【0028】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)に記載のエステル化のプロセスでは、アルコール系化合物は、ベンジルアルコールであり、中間体1とアルコール系化合物とのモル比は、1:(1-1.5)である。
【0029】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)に記載のエステル化のプロセスでは、中間体1とEDCIとのモル比は、1:1.5である。
【0030】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)に記載のエステル化のプロセスでは、中間体1とDMAPとのモル比は、1:0.1である。
【0031】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)に記載のエステル化のプロセスでは、DCMに対する中間体1の濃度は、20-30mg/mLであり、具体的には、25mg/mLであってもよい。
【0032】
本発明の一実施形態では、ステップ(1)に記載のアミノ基脱保護のプロセスは、
中間体2、HCl/ジオキサン溶液及びDCMを混合し、室温で撹拌し、中間体3を得ることを含む。
【0033】
本発明の一実施形態では、ステップ(2)の反応プロセスは、
単糖をジクロロメタン(DCM)に溶解し、DMSO(ジメチルスルホキシド)と塩化オキサリル(COCl)との混合物を酸化系として-50℃から-70℃、N雰囲気において10-40min撹拌して中間体4を得ることを含む。
【0034】
本発明の一実施形態では、前記酸化系の調製プロセスは、DMSOをDCMに分散させてDMSO分散液を取得し、(COCl)を-50℃から-70℃に予冷したDCMに分散させて(COCl)分散液を取得し、次に、-50℃から-70℃、N雰囲気において(COCl)分散液にDMSO分散液を滴下して酸化系を得ることを含む。
【0035】
本発明の一実施形態では、酸化系では、DMSOと(COCl)とのモル比は2:1であり、DMSO分散液の濃度は0.5-1.0g/mLであり、具体的には、0.75g/mLであってもよく、(COCl)分散液の濃度は0.05-0.1g/mLである。
【0036】
本発明の一実施形態では、単糖と(COCl)とのモル比は1:0.5-1:5である。さらに、1:(1-2)であってもよい。
【0037】
本発明の一実施形態では、ステップ(3)に記載の還元的アミノ化において、中間体3と中間体4とのモル比は1:(0.8-1.5)である。
【0038】
本発明の一実施形態では、ステップ(3)における還元的アミノ化において、前記触媒は、NaBH(COOCHである。
【0039】
本発明の一実施形態では、ステップ(3)に記載の還元的アミノ化は、溶媒DCM中で行われ、DCMに対する中間体3の濃度は20-30mg/mLである。
【0040】
本発明の一実施形態では、ステップ(3)における還元的アミノ化反応の温度は-50℃から-70℃であり、反応時間は1時間であり、反応雰囲気は窒素ガスである。
【0041】
本発明の一実施形態では、ステップ(3)におけるヒドロキシ基脱保護において、酸性試薬はHCl溶液である。HCl溶液の濃度は5mol/Lである。
【0042】
本発明の一実施形態では、ステップ(3)におけるヒドロキシ基脱保護の具体的なプロセスは、HCl溶液とTHFとを混合し、次に、中間体5を加え、撹拌しながら反応させることである。ここで、HCl溶液とTHFとの体積比は1:1である。
【0043】
本発明の一実施形態では、ステップ(3)における水素化還元は、パラジウム炭素触媒及び中間体6をメタノールに溶解し、水素ガスを導入し、室温で、H雰囲気で一晩撹拌することである。
【0044】
本発明の一実施形態では、水素化還元のプロセスでは、中間体6に対するパラジウム炭素触媒の使用量は10wt%である。
【0045】
本発明の一実施形態では、前記テアニングリコシド系化合物の血中及び脳中の主な代謝物はテアニンである。
【0046】
本発明の一実施形態では、前記テアニングリコシド系化合物は、テアニンの体内吸収を改善し、血中及び脳中の半減期を延長することができる。
【0047】
本発明の第八の目的は、テアニンの生体内半減期の延長方法を提供することである。前記方法は、単糖を用いてテアニンのアミノ基をアミノ化修飾することである。ここで、単糖は、
であり、nは1-4である。
【0048】
本発明の一実施形態では、テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
本発明の一実施形態では、単糖は、具体的には、フルクトース、ガラクトース、リボースから選択される。
【0049】
本発明の一実施形態では、Rは、具体的には、
から選択される。
【発明の効果】
【0050】
本発明では、特定の単糖で修飾してテアニングリコシドを調製することによりテアニンの生体内半減期を延長し、徐放性薬物の調製、薬物の作用時間の延長、投与回数の減少、患者コンプライアンスの改善に適用できる。修飾して得られるテアニングリコシド化合物は、科学研究及び臨床面において幅広い応用の可能性と高い商業的価値を有する。
テアニン自体は、抗炎症、酸化損傷緩和、鎮静と抗うつ、学習・記憶能力の改善、睡眠の改善、血圧の低下、腫瘍抑制補助などの多くの有益な機能を有する。本発明では、特定の単糖で修飾してテアニングリコシドを調製し、テアニンの生体内半減期を延長することにより、テアニンの生体内半減期を延長する製品の製造に適用でき、前記テアニン自体の上記の有益な機能をより良く発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】実施例1で得られた1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースの1H NMRスペクトルである。
図2】実施例2で得られた1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノースの1H NMRスペクトルである。
図3】実施例3で得られた1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースの1H NMRスペクトルである。
図4】実施例4におけるテアニングリコシド化誘導体の生体内代謝物の液体クロマトグラフ及び対応するマススペクトルである。
図5】実施例4における、血中及び脳中で各テアニングリコシド化誘導体が代謝して得られたテアニンの含有量を比較した図である。
図6】実施例5における、テアニングリコシドを強制経口投与した後に産生したテアニンの血中の濃度の変化を示す図である。
図7】実施例5におけるテアニン及び異なるテアニングリコシドの血中の代謝動態の結果を示す図である。
図8】実施例6における、テアニングリコシドを強制経口投与した後に産生したテアニンの脳中の濃度の変化を示す図である。
図9】実施例6におけるテアニン及び異なるテアニングリコシドの脳中の代謝動態の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
実施例1:テアニンの生体内半減期の延長方法
テアニンに基づく1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースの合成
【0053】
中間体1の調製
室温で、200mLのTHFと200mLのHOを混合した溶媒にL-テアニン(10.0g,57.4mmol)を加え、さらにNaCO(18.25g,172.2mmol)及びBocO(13.8g,63.2mmol)を加え、室温で一晩撹拌し、混合物を得た。混合物を300mLの水で希釈し、次に、3倍体積の酢酸エチル(300mLx3)で洗浄し、有機層を収集し、残りの水層を飽和クエン酸でpH=3に酸性化した後、酢酸エチル(300mL×3)で抽出し、有機相を収集して合わせ、無水NaSOで有機層を乾燥して、真空濃縮し、無色の油状物である中間体1(12.6g,収率:80%)を得た。LCMS:C1222のm/zの理論値274.32、実測値275.1。
【0054】
中間体2の調製
500mLのDCMに中間体1(12.6g,45.9mmol)及びベンジルアルコール(5.46g,50.5mmol)を加え、さらにEDCI(13.2g,68.8mmol)及びDMAP(560mg,4.59mmol)を加え、室温で一晩撹拌し、混合物を得た。混合物を200mLのHOで洗浄し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製して白色の固体化合物である中間体2(9.66g,収率57.7%)を得た。LCMS:C1928のm/zの理論値364.44、実測値365.0。
【0055】
中間体3の調製
100mLのDCMに中間体2(9.66g,26.5mmol)及び4mol/LのHCl/ジオキサン溶液(66mL,265mmol)を加え、室温で一晩撹拌して混合物を得た。混合物を真空濃縮して黄色の油状物である中間体3(10.45g,原油)を得た。さらなる精製は必要なかった。LCMS:C1420のm/zの理論値264.33、実測値265.3。
【0056】
中間体4aの調製
12mLのDCMにDMSO(9.0g,115.2mmol)を加えてDMSO分散液を得た。-60℃に予冷した100mLのDCM溶液に(COCl)(7.3g,57.6mmol)を加え、均一に混合した後、(COCl)分散液を得た。-60℃、N雰囲気中で(COCl)分散液にDMSO分散液を滴下し、20min撹拌して酸化系を得た。
-60℃、N雰囲気中でフルクトース(15.0g,83.3mmol)をDCM(66mL)に溶解し、前記酸化系に滴下し、30min撹拌した。N、-60℃の条件下でトリエチルアミン(32mL,0.23mmol)を混合物溶液に滴下し、10min撹拌し、室温までゆっくりと昇温して一晩静置した。混合物をHO(100mL)、1mol/Lの予冷したHCl(200mL)及び塩水(150mL)で洗浄し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して褐色の油状物である中間体4a(8.06g,原油)を得た。精製の必要はなかった。LCMS:C1218のm/zの理論値258.11、実測値258.21。
【0057】
還元的アミノ化による中間体5aの調製
300mLのDCMに中間体3(7.95g,26.7mmol)及び中間体4a(10.24g,26.0mmol)を加えた後、NaBH(COOCH(17g,80.1mmol)を加え、室温で一晩撹拌して混合物を形成した。次いで、HO(200mL)で混合物を洗浄し、有機相を収集し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して粗生成物を得た。さらにシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1~0:1)により粗生成物を精製し、黄色の油状物である中間体5a(10.0g、2段階収率:51%)を得た。LCMS:C2638のm/zの理論値506.60、実測値507.8。
【0058】
中間体5aのヒドロキシ基脱保護による中間体6aの調製
5mol/LのHCl溶液(8mL,40mmol)とTHF(8mL)とを混合した溶液系に中間体5a(2.0g,3.95mmol)を加え、30℃で溶液を2日間撹拌した後、水(16mL)で混合物を希釈し、ジエチルエーテル(20mL×2)及び酢酸エチル(20mL×2)で水層を洗浄した。NaHCO(3.4g,4.0mmol)で水層のpHを調整し、次いで、酢酸エチル(20mL×2)で洗浄し、水層を収集して濃縮し、残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー(DCM:MeOH:2%NH/MeOH=10:1:1)により精製して黄色の油状物である中間体6a(210mg,収率:12%)を得た。LCMS:C2030のm/zの理論値426.46、実測値427.5。
【0059】
中間体6aの水素化還元による目的生成物1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースの調製
中間体6a(300mg,0.67mmol)及びパラジウム炭素触媒(10%,50mg)をメタノール(5mL)に溶解し、室温下、H雰囲気(水素バルーン)中で5時間撹拌し、一晩静置して混合物を得た。混合物を珪藻土で濾過し、MeOHで洗浄し、濾液を真空濃縮し、白色の固体生成物であるテアニングリコシド(200mg,収率:84%)を得た。
1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースの構造特性評価
HNMR(400MHz,CDCl):δ4.32(s,OH),4.77(s,OH),4.74(s,OH),4.51(s,OH),12.39(s,OH),8.01(s,NH),5.52(s,NH),5.85(d,CH),3.88(dd,CH),3.6(t,CH),3.7(t,CH),2.94(dd,CH),3.40(t,CH),3.11(q,CH),2.05(t,CH),1.92(m,CH),0.99(t,CH)。
【0060】
実施例2:テアニンの生体内半減期の延長方法
テアニンに基づく1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノースの合成
【0061】
中間体1の調製
室温で、200mLのTHFと200mLのHOを混合した溶媒にL-テアニン(10.0g,57.4mmol)を加え、さらにNaCO(18.25g,172.2mmol)及びBocO(13.8g,63.2mmol)を加え、室温で一晩撹拌し、混合物を得た。混合物を300mLの水で希釈した後、3倍体積の酢酸エチル(300mLx3)で洗浄し、有機層を収集し、残りの水層を飽和クエン酸でpH=3に酸性化し、次いで、酢酸エチル(300mL×3)で抽出し、有機相を収集して合わせ、無水NaSOで有機層を乾燥して、真空濃縮し、無色の油状物である中間体1(12.6g,収率:80%)を得た。LCMS:C1222のm/zの理論値274.32、実測値275.1。
【0062】
中間体2の調製
500mLのDCMに中間体1(12.6g,45.9mmol)及びベンジルアルコール(5.46g,50.5mmol)を加え、さらにEDCI(13.2g,68.8mmol)及びDMAP(560mg,4.59mmol)を加え、室温で一晩撹拌し、混合物を得た。混合物を200mLのHOで洗浄し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製して白色の固体化合物である中間体2(9.66g,収率57.7%)を得た。
LCMS:C1928のm/zの理論値364.44、実測値365.0。
【0063】
中間体3の調製
100mLのDCMに中間体2(9.66g,26.5mmol)及び4mol/LのHCl/ジオキサン溶液(66mL,265mmol)を加え、室温で一晩撹拌し、混合物を得た。混合物を真空濃縮して黄色の油状物である中間体3(10.45g,原油)を得た。さらなる精製は必要なかった。
LCMS:C1420のm/zの理論値264.33、実測値265.3。
【0064】
中間体4bの調製
12mLのDCMにDMSO(9.0g,115.2mmol)を加え、DMSO分散液を得た。-60℃に予冷した100mLのDCM溶液に(COCl)(7.3g,57.6mmol)を加え、均一に混合した後、(COCl)分散液を得た。-60℃、N雰囲気中で(COCl)分散液にDMSO分散液を滴下し、20min撹拌し、酸化系を得た。
-60℃、N雰囲気中でガラクトース(10.0g,55.5mmol)をDCM(66mL)に溶解し、前記混合物に滴下し、30min撹拌した。N、-60℃の条件下でトリエチルアミン(32mL,0.23mmol)を混合物溶液に滴下し、10min撹拌し、室温までゆっくりと昇温して一晩静置した。混合物をそれぞれHO(100mL)、1mol/Lの予冷したHCl(200mL)及び塩水(150mL)で洗浄し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して褐色の油状物である中間体4b(7.88g,原油)を得た。精製の必要はなかった。LCMS:C1218のm/zの理論値258.11、実測値258.20。
【0065】
還元的アミノ化による中間体5bの調製
300mLのDCMに中間体3(7.95g,26.7mmol)及び中間体4b(10.24g,26.0mmol)を加え、次いで、NaBH(COOCH(17g,80.1mmol)を加え、室温で一晩撹拌して混合物を形成した。次いで、HO(200mL)で混合物を洗浄し、有機相を収集し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して粗生成物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1~0:1)で粗生成物を精製し、黄色の油状物である中間体5b(9.82g,2段階収率:49.5%)を得た。
LCMS:C2638のm/zの理論値506.60、実測値507.8。
【0066】
中間体5bのヒドロキシ基脱保護による中間体6bの調製
5mol/LのHCl溶液(8mL,40mmol)とTHF(8mL)を混合した溶液系に中間体5b(2.0g,3.95mmol)を加え、30℃で溶液を2日間撹拌した後、水(16mL)で混合物を希釈し、ジエチルエーテル(20mL×2)及び酢酸エチル(20mL×2)で水層を洗浄した。NaHCO(3.4g,4.0mmol)で水層のpHを調整し、次いで、酢酸エチル(20mL×2)で洗浄し、水層を収集して濃縮し、残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー(DCM:MeOH:2%NH/MeOH=10:1:1)により精製して黄色の油状物である中間体6b(180mg,収率:11%)を得た。
LCMS:C2030のm/zの理論値426.46、実測値427.5。
【0067】
中間体6bの水素化還元による目的生成物1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノースの調製
中間体6b(300mg,0.67mmol)及びパラジウム炭素触媒(10%,50mg)をメタノール(5mL)に溶解し、室温、H雰囲気中(水素バルーン)で5時間撹拌し、一晩静置して混合物を得た。混合物を珪藻土で濾過し、MeOHで洗浄し、濾液を真空濃縮して白色の固体生成物であるテアニングリコシド(177mg,収率:79.5%)を得た。
【0068】
1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノースの構造特性評価
HNMR(400MHz,CDCl):δ4.32(s,OH),4.77(s,OH),4.88(s,OH),4.51(s,OH),12.39(s,OH),8.01(s,NH),5.52(s,NH),5.70(m,CH),3.55(m,CH),3.70(m,CH),3.60(m,CH),3.70(m,CH),2.79,2.53500(dd,CH),3.40(dd,CH),3.11(q,CH),2.05(t,CH),1.92(dd,CH),0.99(t,CH)。
【0069】
実施例3:テアニンの生体内半減期の延長方法
テアニンに基づく1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースの合成
【0070】
中間体1の調製
室温で、200mLのTHFと200mLのHOを混合した溶媒にL-テアニン(10.0g,57.4mmol)を加え、さらにNaCO(18.25g,172.2mmol)及びBocO(13.8g,63.2mmol)を加え、室温で一晩撹拌し、混合物を得た。混合物を300mLの水で希釈し、次いで、3倍体積の酢酸エチル(300mLx3)で洗浄し、有機層を収集し、残りの水層を飽和クエン酸でpH=3に酸性化し、次いで、酢酸エチル(300mL×3)で抽出し、有機相を収集して合わせ、無水NaSOで有機層を乾燥して、真空濃縮し、無色の油状物である中間体1(12.6g,収率:80%)を得た。LCMS:C1222のm/zの理論値274.32、実測値275.1。
【0071】
中間体2の調製
500mLのDCMに中間体1(12.6g,45.9mmol)及びベンジルアルコール(5.46g,50.5mmol)を加え、さらにEDCI(13.2g,68.8mmol)及びDMAP(560mg,4.59mmol)を加え、室温で一晩撹拌し、混合物を得た。混合物を200mLのHOで洗浄し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し、白色の固体化合物である中間体2(9.66g,収率57.7%)を得た。LCMS:C1928のm/zの理論値364.44、実測値365.0。
【0072】
中間体3の調製
100mのLDCMに中間体2(9.66g,26.5mmol)及び4mol/LのHCl/ジオキサン溶液(66mL,265mmol)を加え、室温で一晩撹拌し、混合物を得た。混合物を真空濃縮して黄色の油状物である中間体3(10.45g,原油)を得た。さらなる精製は必要なかった。LCMS:C1420のm/zの理論値264.33、実測値265.3。
【0073】
中間体4cの調製
12mLのDCMにDMSO(9.0g,115.2mmol)を加え、DMSO分散液を得た。-60℃に予冷した100mLのDCM溶液に(COCl)(7.3g,57.6mmol)を加え、均一に混合した後、(COCl)分散液を得た。-60℃、N雰囲気中で(COCl)分散液にDMSO分散液を滴下し、20min撹拌し、酸化系を得た。
-60℃、N雰囲気中でリボース(15.0g,99.9mmol)をDCM(66mL)に溶解し、前記混合物に滴下し、30min撹拌した。N、-60℃の条件下でトリエチルアミン(32mL,0.23mmol)を混合物溶液に滴下し、10min撹拌し、室温までゆっくりと昇温して一晩静置した。混合物をそれぞれHO(100mL)、1mol/Lの予冷したHCl(200mL)及び塩水(150mL)で洗浄し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して褐色の油状物である中間体4c(7.55g,原油)を得た。精製の必要はなかった。LCMS:C12のm/zの理論値188.07、実測値188.15。
【0074】
還元的アミノ化による中間体5cの調製
300mLのDCMに中間体3(7.95g,26.7mmol)及び中間体4c(14.46g,26.0mmol)を加え、次いで、NaBH(COOCH(17g,80.1mmol)を加え、室温で一晩撹拌して混合物を形成した。次いで、HO(200mL)で混合物を洗浄し、有機相を収集し、無水NaSOで有機層を乾燥し、真空濃縮して粗生成物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1~0:1)により粗生成物を精製し、黄色の油状物である中間体5c(9.66g,2段階収率:48.7%)を得た。LCMS:C2232のm/zの理論値436.22、実測値436.32。
【0075】
中間体5cのヒドロキシ基脱保護による中間体6cの調製
5mol/LのHCl溶液(8mL,40mmol)とTHF(8mL)とを混合した溶液系に中間体5c(2.0g,3.95mmol)を加え、30℃で溶液を2日間撹拌した後、水(16mL)で混合物を希釈し、ジエチルエーテル(20mL×2)及び酢酸エチル(20mL×2)で水層を洗浄した。NaHCO(3.4g,4.0mmol)で水層のpHを調整した後、酢酸エチル(20mL×2)で洗浄し、水層を収集して濃縮し、残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー(DCM:MeOH:2%NH/MeOH=10:1:1)により精製し、黄色の油状物である中間体6c(178mg,収率:10.8%)を得た。LCMS:C1928のm/zの理論値396.44、実測値396.22。
【0076】
中間体6cの水素化還元による目的生成物1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースの調製
中間体6c(300mg,0.67mmol)及びパラジウム炭素触媒(10%,50mg)をメタノール(5mL)に溶解し、室温、H雰囲気中(水素バルーン)で5時間撹拌し、一晩静置して混合物を得た。混合物を珪藻土で濾過し、MeOHで洗浄し、濾液を真空濃縮して白色の固体生成物であるテアニングリコシド(191mg,収率:80.2%)を得た。
【0077】
1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースの構造特性評価
HNMR(400MHz,CDCl):δ4.22(s,OH),4.37(s,OH),4.51(s,OH),12.39(s,OH),8.01(s,NH),5.52(s,NH),5.85(d,CH),3.70(dd,CH),3.95(t,CH),4.51(t,CH),2.79,2.53(dd,CH),3.40(t,CH),3.11(q,CH),2.05(t,CH),1.92(m,CH),0.99(t,CH)。
【0078】
実施例4:テアニングリコシド化誘導体の生体内代謝物の試験
1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースをテアニングリコシド1とし、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノースをテアニングリコシド2とし、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースをテアニングリコシド3とした。
【0079】
1.試験動物:C57BL/6Jマウス、雄性、体重(20±2)g
【0080】
2.投与とサンプル採取
マウスにテアニングリコシド(n=6)を強制経口投与した。投与前12時間は給餌せず、飲水は自由に摂取させた。強制経口投与後は、マウスに給水することができる。強制経口投与の用量は500mg/kgであった。投与した1h後に各群の6匹のマウスから眼球を摘出して血液を0.5mL収集した後、マウスを頸椎脱臼により死亡させ、解剖してその脳組織を取り出し、血液サンプル3000gを15min遠心分離し、血液サンプルの上清を分離し、後の検査のために-80℃で保存した。
【0081】
3.装置条件及び血液サンプルの測定
装置:SCIEX Triple Quad(登録商標)5500 LC-MS/MS
サンプルの処理
100μLの血液サンプル及び20mgの脳組織にそれぞれ1.5mLの70%メタノール水溶液を加え、30sボルテックスで混合し、氷水浴で10min超音波処理し、-20℃で20min静置し、タンパク質を沈殿させ、15s簡単に遠心分離し(2回)、上清を取り出し、真空濃縮機を用いて4℃で蒸発させ、200μLメタノールで再溶解し、4℃、12000gで15min遠心分離し、上清100μLを取ってLC-MS/MS分析を行った。
【0082】
4.実験結果
液体クロマトグラフ及び対応するマススペクトルを図4に示す。血中及び脳中の各テアニングリコシド化誘導体が代謝して得られたテアニンの含有量を図5に示す。結果として、マウスに強制経口投与したテアニングリコシド化誘導体の血中及び脳中の主な代謝物はテアニンであった。
【0083】
実施例5:テアニングリコシド化誘導体が代謝して生成したテアニンの血中における薬物動態学測定
1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースをテアニングリコシド1とし、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノースをテアニングリコシド2とし、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースをテアニングリコシド3とした。
【0084】
1.実験動物:SDラット、雄性、体重(180±20)g
【0085】
2.投与とサンプル採取
ラットに強制経口投与(n=6)した。ランダムにテアニン群とテアニングリコシド群の2群に分けた。投与前12時間は給餌せず、飲水は自由に摂取させた。強制経口投与後は、ラットに給水することができる。強制経口投与の用量は500mg/kgであり、投与前及び投与の1、2、4、8、12h後に各群の6匹のラットに対して眼窩から採血し、血液を0.5mL収集した後、血液サンプル3000gを15min遠心分離し、血液サンプルの上清を分離して-80℃で保存した。
【0086】
3.装置条件と血液サンプルの測定
装置:SCIEX Triple Quad(登録商標)5500 LC-MS/MS
標準曲線の作成
ラットのブランク血漿100μLを1.5mLの70%メタノール水溶液に入れ、ボルテックスで30s混合し、氷水浴で10min超音波処理し、-20℃で20min静置してタンパク質を沈殿させ、15s簡単に遠心分離し(2回)、上清を取り出し、真空濃縮機を用いて4℃で蒸発させ、200μLメタノールで再溶解し、順に試験化合物の標準段階溶液200μL、内部標準(DL-4-クロロベンズアミド)10μLを加えて血漿濃度0.1、1、10、100、1000、10000μMに相当する試験化合物の血液サンプルを調製し、LC-MS/MS分析を行った。試験物濃度(x)を横座標とし、試験物と内部標準物とのピーク面積比(y)を縦座標とし、加重最小二乗法を用いて回帰計算して線形回帰式、即ち、標準曲線を求めた。標準曲線に基づいてLC-MS/MS法によりラット血漿中の試験化合物の線形範囲を計算した結果、0.1-10000μMであった。
血液サンプルの処理
100μLのラット血液サンプルに1.5mLの70%メタノール水溶液を加え、ボルテックスで30s混合し、氷水浴で10min超音波処理し、-20℃で20min静置してタンパク質を沈殿させ、15s簡単に遠心分離し(2回)、上清を取り出し、真空濃縮機を用いて4℃で蒸発させ、200μLメタノールで再溶解し、4℃、12000gで15min遠心分離し、上清100μLを取ってLC-MS/MS分析を行った。
下記の算式により半減期T1/2を計算した。
【数1】
式中、kは消失速度定数であり、C0及びCは2つの時点での薬物の濃度であり、tはCとC0の時間差である。
【0087】
4.実験結果
テアニングリコシドを強制経口投与した後に産生したテアニンの血中における濃度変化を図6に示す。対応する薬物動態学結果を表1及び図7に示す。
【0088】
表1:テアニン及び異なるテアニングリコシドの血中における半減期結果
【0089】
実施例6:テアニングリコシド化誘導体が代謝して産生したテアニンの脳中での薬物動態学的測定
1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノースをテアニングリコシド1とし、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノースをテアニングリコシド2とし、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースをテアニングリコシド3とした。
【0090】
1.実験動物:C57BL/6Jマウス、雄性、体重(20±2)g
【0091】
2.投与とサンプル採取
マウスに強制経口投与(n=6)した。ランダムにテアニン群とテアニングリコシド群の2群に分けた。投与前12時間は給餌せず、飲水は自由に摂取させた。強制経口投与後は、マウスに給水することができる。強制経口投与の用量は500mg/kgであり、投与前及び投与した1、2、4、8、12h後に各群の6匹のマウスを頸椎脱臼により死亡させ、解剖してその脳組織を取り出し、後の検査のために-80℃で保存した。
【0092】
3.装置条件と脳組織の測定
装置:SCIEX Triple Quad(登録商標)5500 LC-MS/MS
標準曲線の作成
マウスの脳組織20mgを1.5mLの70%メタノール水溶液に入れ、ボルテックスで30s混合し、氷水浴で10min超音波処理し、-20℃で20min静置してタンパク質を沈殿させ、15s簡単に遠心分離し(2回)、上清を取り出し、真空濃縮機を用いて4℃で蒸発させ、200μLメタノールで再溶解し、順に試験化合物の標準段階溶液200μL、内部標準(DL-4-クロロベンズアミド)10μLを加えて脳組織濃度0.1、1、10、100、1000、10000μMに相当する試験化合物の脳組織サンプルを調製し、LC-MS/MS分析を行った。試験物濃度(x)を横座標とし、試験物と内部標準物とのピーク面積比(y)を縦座標とし、加重最小二乗法を用いて回帰計算して線形回帰式、即ち、標準曲線を求めた。標準曲線に基づいてLC-MS/MS法によりマウス血漿中の試験化合物の線形範囲を計算した結果、0.1-10000μMであった。
脳組織サンプルの処理
脳組織の質量(20±2mg)を精密に秤量して2mLのEPチューブに入れ、20mg/1.5mLの量で70%メタノール水溶液を加え、凍結粉砕機を用いて4℃の低温でホモジナイズし、ボルテックスで30s混合し、氷水浴で10min超音波処理し、-20℃で20min静置してタンパク質を沈殿させ、15s簡単に遠心分離し(2回)、上清を取り出し、真空濃縮機を用いて4℃で蒸発させ、200μLメタノールで再溶解し、4℃、12000gで15min遠心分離し、上清100μLを取ってLC-MS/MS分析を行った。
【0093】
4.実験結果
テアニングリコシドを強制経口投与した後の脳中におけるテアニン濃度の変化を図8に示す。対応する代謝結果を表2及び図9に示す。
【0094】
表2:テアニン及び異なるテアニングリコシドの脳中における半減期結果
【0095】
実施例7:テアニンの生体内半減期を延長する製品の製造におけるテアニングリコシド系化合物の使用
テアニンの生体内半減期を延長する製品の製造におけるテアニングリコシド系化合物の使用であって、前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
【0096】
前記製品は、テアニンを含む任意の開示された既知処方又は製品に基づいており、テアニンの一部又は全部の代わりに上述したテアニングリコシド系化合物のいずれか1種又は複数種を用いたものであってもよい。
【0097】
前記テアニングリコシド系化合物の血中及び脳中の主な代謝物はテアニンである。これによって、テアニンの体内吸収を改善し、血中及び脳中での半減期を延長することができる。
【0098】
選択的に、前記製品は、学習・記憶能力改善製品、睡眠改善製品、血圧降下製品、健康的な血圧レベルを維持する製品、腫瘍抑制補助製品などであってもよい。
【0099】
本実施例では、既存の任意の製品の一部又は全部のテアニンの代わりに前記テアニングリコシド系化合を使用することができる。公開された製品を改良したものであってもよいが、これに限定されない。本実施例の製品が所望の効果を発揮できるのは、製品のテアニングリコシド系化合物がテアニンの血中及び脳中における半減期を延長する機能を有することが初めて発見され、テアニンが開示された製品の対応する機能(例えば、抗炎症、酸化損傷の緩和、鎮静と抗うつ、学習・記憶能力の改善、睡眠の改善、血圧の低下、腫瘍抑制補助など)を有することが発見されているためである。
【0100】
実施例8:テアニングリコシド系化合物を用いて調製された、テアニンの生体内半減期を延長する製品
本実施例は、テアニンの生体内半減期を延長する製品の製造におけるテアニングリコシド系化合物の使用を提供する。このテアニンの生体内半減期を延長する製品は、テアニングリコシド系化合物を含む睡眠促進組成物である。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
【0101】
選択的に、前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースのうちのいずれか1種又は複数種であってもよい。
【0102】
現在、睡眠障害を有する対象の睡眠を促進する食品又は医薬品の製造におけるテアニンの使用は、既に報告されている(CN100374108C(睡眠促進用組成物))。本実施例では、既存の睡眠障害を有する対象の睡眠を促進する食品又は医薬品における一部又は全てのテアニンの代わりに前記テアニングリコシド系化合物を使用すればよく、既存の食品又は医薬品に対して他の改良を行う必要がない。
【0103】
本実施例は、前記テアニングリコシド系化合物を含むか、又は既存の睡眠促進用組成物に基づいており、睡眠障害を有する対象に適した食品又は医薬品をさらに含む睡眠促進用組成物を提供する。
【0104】
本実施例の睡眠促進用組成物(以下、「組成物」)は、日常生活の中で様々な原因によって引き起こされる様々な睡眠障害を緩和又は改善するために使用できる。本実施例の組成物が所望の効果を発揮できるのは、組成物中のテアニングリコシド系化合物の、初めて発見されたテアニンの血中及び脳中における半減期の延長機能、並びにテアニンの既に発見された睡眠促進作用に基づくものである。
【0105】
実施例の組成物中のテアニングリコシド系化合物の含有量は、特に制限されず、必要に応じて適宜調整すればよい。例えば、組成物中の適切なテアニングリコシド系化合物の含有量は、好ましくは5~100重量%、特に好ましくは50~100重量%である。
【0106】
本実施例の組成物は、様々なミネラルをさらに含んでもよい。ミネラルを含む組成物は、特に好ましくは、生体に不足しやすい必須元素や微量必須元素を補給する効果を奏する組成物である。組成物中のミネラルの含有量は、好ましくは0.0001~99.9重量%、より好ましくは0.01~99.9重量%である。このミネラルとして、例えば、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、セレン、カルシウム、カリウム、マンガン、クロム、ヨウ素、モリブデン、ニッケル、バナジウムなどの生体の安定性を維持、調節するために必要な金属又はその塩が挙げられる。これらの物質は、単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0107】
また、天然薬物、薬草、アミノ酸、ビタミンなどをさらに含んでもよい。含まれる天然薬物は、特に制限されないが、好ましくは、神経を落ち着かせるのに有効な霊芝、地黄の茎、大棗などである。さらに、薬草としては、特に制限されず、例えば、茴香、人参の種、丁香、コリアンダー、柏木、桂皮、杜松、生姜、甜橙、松針、バジル、パチョリ、苦橙、小茴香、黒胡椒、月桂、薄荷、ベルガモット、蜜柑、没薬、レモングラス葉、ローズマリー、グレープフルーツ、リグナムセドリウム、香茅、セージ、麝香草、チャノキ、紫葉、香草、ヒソップ、ユーカリ、ライム、レモン、イランイランノキ、カルダモン、セージ、茉莉、ゼラニウム、甘菊、ブルガリアンローズ、ローズ、フランキンセンス、ラベンダー、檀香、ネロリ油、バーベナ、ベチバー、オレガノ、ローズウッド、ビヨウヤナギ、セントジョンズモルト及びマグロが挙げられ、そのうち、鎮静及びリラックス効果を有する薄荷、ベルガモット、イランイランノキ、ゼラニウム、甘菊、ラベンダー、セントジョンズモルト及びマグロが好ましい。これらの薬草の形態は、例えば、抽出エキス、精油、薬草茶などであってもよく、特に制限されない。アミノ酸にも特に制限がなく、例えば、グルタミン、グルタミン酸、トリプトファン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、スレオニン、セリン、ガンマ-アミノ酪酸、アミノエタンスルホン酸、チオタウリン、ヒポタウリンであってもよい。ビタミンとしては特に制限されず、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12,ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、ナイアシン、リポ酸、パントテン酸、ビオチン、コエンザイムQ、プロスタグランジン及びこれらのビタミンの誘導体が挙げられる。さらに、他の成分として、例えば、アロエベラ、ローヤルゼリー、メラトニン、プラセンタ、プロポリス、イソフラボン、大豆レシチン、卵黄レシチン、卵バター、コンドロイチン、カカオマス、コラーゲン、酢、クロレラ、スピルリナ、銀杏葉、緑茶、杜仲茶、黄妃茶、烏龍茶、桑の葉、甜茶、不飽和脂肪酸、オリゴ糖などの糖類;ビフィズス菌及び日本酒麹などの菌類;アガリクスなどのキノコ類;リンゴンベリー、プルーン、ブドウ、オリーブ、日本杏及び柑橘などの果物;ピーナッツ、アーモンド、ゴマ、唐辛子などの種子;青唐辛子、赤唐辛子、ワケギ、カボチャ、ゴーヤ、ニンジン、ゴボウ、麻の葉、ニンニク、シソ、ワサビ、トマト、リーキ、野菜の葉、塊茎及び豆などの野菜;ワカメなどの海藻類;魚類;獣、鳥、クジラの肉;穀物などが挙げられ、必要に応じてこれらの物質又はその抽出物、乾燥物、粗精製品、精製品、加工品、醸造物などを適宜選択することができる。
さらに、本実施例の一形態として、実施例の組成物を含み、日常使用に適し、睡眠障害の対象に適用される食品又は医薬品を提供する。このような食品又は医薬品は、本発明のテアニングリコシド系化合物を含む組成物であればよく、特に制限されない。また、本実施例における「対象」とは、例えば、哺乳動物を例とすると、具体的には、ヒト、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ及びウマなどを指し、特に好ましくはヒトである。
【0108】
本実施例のテアニングリコシド系化合物を含む食品として、下記の食品が挙げられる。
【0109】
食品としては、例えば、固体食品;清涼飲料、ミネラルウォーター、高級飲料、アルコール飲料などの液体食品が挙げられる。ここで列挙される液体食品は、特に制限されず、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ハーブティーなどの茶類、濃縮果汁、濃縮還元果汁、純生果汁、複合果汁、果肉添加果汁、果汁入り飲料、果実野菜複合ジュース、野菜ジュース、ミネラルウォーター、炭酸飲料、清涼飲料、牛乳、乳飲料、日本酒、ビール、ワイン、カクテル、焼酎、ウィスキーなどが好ましい。さらに、固体食品も特に制限されず、醤製品、大豆加工品、ゼリー、乳酸、冷菓子、砂糖、チョコレート、ガム、クラッカー、スナック、クッキー、パンなどが好ましい。
【0110】
さらに、本実施例の医薬品は、テアニングリコシド系化合物を含めばよく、特に制限されない。例えば、その形態は、溶液、懸濁物、粉末、固体成形物などのいずれか1種であってもよい。その剤形は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、飲料剤などが挙げられる。さらに、他の医薬品と併用することもできる。
【0111】
実施例9:テアニングリコシド系化合物を含む睡眠補助サプリメント
本実施例は、心を落ち着かせ、精神を静め、睡眠を促進するサプリメントを提供する。処方における各成分の最適な質量比は、百合粉8~12部、テアニングリコシド系化合物8~12部、酸棗仁エキス8~12部、霊芝エキス8~12部、桑椹粉8~12部、蓮子粉8~12部、茯苓エキス3~7部、山芋エキス3~7部、銀杏葉エキス3~7部、L-トリプトファン3~7部、オリザノール2~5部、ビタミンB 10.2~0.8部、ビタミンB 60.2~0.8部、ビタミンB120.1~0.4部、葉酸0.005~0.015部である。最終的な剤形は、粉剤である。
【0112】
前記テアニングリコシド系化合物は、下式の構造を有する。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
【0113】
選択的に、前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースのうちのいずれか1種又は複数種であってもよい。
【0114】
選択的に、処方における各成分の最適な質量比は、百合粉10部、テアニングリコシド系化合物10部、酸棗仁エキス10部、霊芝エキス10部、桑椹粉10部、蓮子粉10部、茯苓エキス5部、山芋エキス5部、銀杏葉エキス5部、L-トリプトファン5部、オリザノール3.5部、ビタミンB 10.5部、ビタミンB 60.5部、ビタミンB 120.25部、葉酸0.01部、である。
【0115】
実施例10:テアニングリコシド系化合物を含む徐放性薬物
本実施例は、テアニングリコシド系化合物を含む徐放性薬物を提供する。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
選択的に、前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースのうちのいずれか1種又は複数種であってもよい。
選択的に、形態は、溶液、懸濁液、粉末、固体成形品などのいずれか1種であってもよく、特に制限されない。
選択的に、それらは、プセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、飲料などの形態で提供される。さらに、他のサプリメントと併用することができる。
【0116】
実施例11:テアニングリコシド系化合物を含む記憶力を改善するためのサプリメント
本実施例は、テアニングリコシド系化合物を含む記憶力を改善するためのサプリメントを提供する。前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
選択的に、前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースのうちのいずれか1種又は複数種であってもよい。
選択的に、形態は、溶液、懸濁液、粉末、固体成形品などのいずれか1種であってもよく、特に制限されない。
選択的に、それらは、プセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、飲料などの形態で提供される。さらに、他のサプリメントと併用することができる。
【0117】
実施例12:テアニングリコシド系化合物を含む血糖降下薬
本実施例は、質量部で
黄柏10~22部、大黄6~11部、玄参22~36部、連翹11~21部、辛夷8~22部、牡丹皮10~18部、葛根30~50部、テアニングリコシド系化合物1~20部を含む血圧降下剤を提供する。
ここで、テアニングリコシド系化合物の構造は、下式で表される。
式中、Rは
であり、nは1-4である。
選択的に、前記テアニングリコシド系化合物は、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-フルクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-ガラクトピラノース、1-デオキシ-1-L-テアニン-D-リボピラノースのうちのいずれか1種又は複数種であってもよい。
選択的に、血圧降下剤は、質量部で、黄柏16部、大黄8.5部、玄参29部、連翹16部、辛夷15部、牡丹皮14部、葛根40部、テアニングリコシド系化合物12部を含む。
【0118】
上記の実施例は、本発明の範囲を制限するものではなく、記載されたステップもその実行順序を制限するものではない。当業者であれば、既存の常識に基づいて本発明に自明に改良することができ、それらも本発明の特許請求の範囲で定められる保護範囲に含まれる。
【要約】      (修正有)
【課題】テアニンの生体内半減期の延長方法を提供する。
【解決手段】テアニンの生体内半減期を延長する製品の製造におけるテアニングリコシド系化合物の使用であって、前記テアニングリコシド系化合物の構造は、下式:

(式中、Rは、

であり、nは1-4である。)
で表されることを特徴とする、使用を提供する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9