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特許7544437落下防止柵及び落下防止柵付きベルトコンベア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】落下防止柵及び落下防止柵付きベルトコンベア
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/06 20060101AFI20240827BHJP
   E01F 7/04 20060101ALI20240827BHJP
   B65G 41/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E01F15/06 Z
E01F7/04
B65G41/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021031447
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022132794
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】593213342
【氏名又は名称】株式会社日向製錬所
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】鶴川 和也
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-278256(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0321699(US,A1)
【文献】特開2009-091765(JP,A)
【文献】特開2001-090028(JP,A)
【文献】特開平07-301032(JP,A)
【文献】特開平10-168824(JP,A)
【文献】特開2019-027077(JP,A)
【文献】特開2020-133353(JP,A)
【文献】特開2011-184193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 15/06
E01F 7/04
B65G 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の端末支柱と、中間支柱と、鉛直方向において略一定の間隔で、前記端末支柱間に架設されている複数のワイヤーロープと、幅方向の長さが前記端末支柱間の距離と同等以上であって、全ての前記ワイヤーロープを被覆する態様で、前記端末支柱間に張設されている、防護網と、からなる、落下防止柵が、前記防護網側の面をベルトコンベアに対面させた状態で、前記ベルトコンベアの搬送路の外縁近傍に搬送方向に沿って設置されている、落下防止柵付きベルトコンベアであって、
前記中間支柱は、柱部と、前記柱部の側面に柱の高さ方向に沿って立設されているガイド板と、を備えてなり、
前記ガイド板には、柱の高さ方向において略一定の間隔で、前記ワイヤーロープの外径よりも大きな内径を有するワイヤーロープ通し孔が設けられていて、
複数の前記ワイヤーロープの両端部は、前記端末支柱に固定されていて、前記ワイヤーロープの中間部分は、前記ワイヤーロープ通し孔を通り抜けていて水平方向に摺動可能な態様で前記ガイド板に支持されていて、
前記ワイヤーロープは、その何れかの部分が、重力によって他の部分に対して鉛直下方に垂れ下がってなる衝撃吸収用のたるみ部分が形成されるように前記端末支柱間に架設されている、
落下防止柵付きベルトコンベア
【請求項2】
前記ワイヤーロープ通し孔の内縁に、前記ワイヤーロープとの摩擦を低減させる摺動促進加工部が形成されている、
請求項1に記載の落下防止柵付きベルトコンベア
【請求項3】
両方の前記端末支柱及び前記中間支柱を結んで架設されている前記ワイヤーロープの経路中に水平方向における該ワイヤーロープの方向が変化する折れ曲がり部分が存在する、
請求項1又は2に記載の落下防止柵付きベルトコンベア
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下防止柵及び落下防止柵付きベルトコンベアに関する。本発明は、詳しくは、鉱石等を搬送するベルトコンベアにおいて、搬送対象の鉱石等が搬送路外へ落下することを防止するための落下防止柵、及び、そのような落下防止柵を備えるベルトコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
輸送船から揚陸された鉱石を貯鉱場所まで搬送して、搬送先に鉱石の山を形成するベルトコンベア等、高所に設置された搬送経路に沿って鉱石等の塊を搬送するベルトコンベアにおいては、周辺への搬送物の落下を防止するために落下防止柵を設置する必要がある。
【0003】
従来、この種の落下防止柵として、例えば、両端の支柱間に緊張状態で架設した複数のワイヤーロープと、枠体に張設した防護網と、を重ねた二重構造とすることによって落下物の衝撃に対する機械的強度を強化した落下防止柵が用いられている(特許文献1参照)。
【0004】
上記の構造からなる落下防止柵は、衝撃に対する機械的強度を高めるためにワイヤーロープが緊張状態で架設されているが、落下物が衝突する際の衝撃が一定以上の大きさとなった場合に、ワイヤーを通じて伝わる衝撃により、支柱や枠体が損傷してしまうリスクが大きかった。
【0005】
これに対して、ワイヤーロープと網との二重構造からなる落下防止柵において、両端の支柱に、落下物が衝突する際の衝撃が一定以上となった場合に、衝撃力の大きさに応じてワイヤーロープを水平方向にスライドさせるエネルギー衝撃機構を設けた、エネルギー吸収型の落下防止柵も開発されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-168824号公報
【文献】特開2002-146723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のエネルギー吸収型の落下防止柵によれば、支柱や枠体に衝撃が直接伝わることによる、それらの各部分の損傷リスクを低減させることができる。しかしながら、バネ機構を内蔵してなるエネルギー衝撃機構を必要とする上記構造の柵は、エネルギー衝撃機構の設置費用、及び、設置後の衝撃吸収機構の定期的な点検や必要に応じたバネ部材の交換等の保守費用等が嵩むものであった。
【0008】
本発明は、ワイヤーロープと防護網を重ねた構造からなる落下防止柵であって、十分なエネルギー衝撃機能を発揮しうるものでありながら、経済性の面でも従来品に対する優位性を備える落下防止柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、落下防止柵を構成するワイヤーロープの支持態様を、中間支柱に設けたガイド板の通し孔を通す態様で水平方向に摺動可能に支持する構造とすることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
(1) 1対の端末支柱と、中間支柱と、鉛直方向において略一定の間隔で、前記端末支柱間に架設されている複数のワイヤーロープと、幅方向の長さが前記端末支柱間の距離と同等以上であって、全ての前記ワイヤーロープを被覆する態様で、前記端末支柱間に張設されている、防護網と、からなる、落下防止柵であって、前記中間支柱は、柱部と、前記柱部の側面に鉛直方向に沿って立設されているガイド板と、を備えてなり、前記ガイド板には、柱の高さ方向において略一定の間隔で、前記ワイヤーロープの外径よりも大きな内径を有するワイヤーロープ通し孔が設けられていて、複数の前記ワイヤーロープの両端部は、前記端末支柱に固定されていて、前記ワイヤーロープの中間部分は、前記ワイヤーロープ通し孔を通り抜けていて水平方向に摺動可能な態様で前記ガイド板に支持されていて、前記ワイヤーロープは、その何れかの部分が、重力によって他の部分に対して鉛直下方に垂れ下がってなる衝撃吸収用のたるみ部分が形成されるように前記端末支柱間に架設されている、落下防止柵。
【0011】
(1)の落下防止柵によれば、ワイヤーロープと防護網を重ねた構造からなる落下防止柵であって、経済性に優れる簡易な構造でありながら、十分なエネルギー衝撃機能を発揮することができる。
【0012】
(2) 前記ワイヤーロープ通し孔の内縁に、前記ワイヤーロープとの摩擦を低減させる摺動促進加工部が形成されている、(1)に記載の落下防止柵。
【0013】
(2)の落下防止柵によれば、ワイヤーロープを、より円滑に摺動させることができる。これにより、(1)に記載の落下防止柵において、より確実にエネルギー衝撃機能を発揮させることができる。
【0014】
(3) 両方の前記端末支柱及び前記中間支柱を結んで架設されている前記ワイヤーロープの経路中に水平方向における該ワイヤーロープの方向が変化する折れ曲がり部分が存在する、(1)又は(2)に記載の落下防止柵。
【0015】
(3)の落下防止柵によれば、搬送経路の途中に搬送方向や搬送路の幅が変動する部分がある場合であっても、ワイヤーロープの独特の支持態様を生かして、柵の配置を柔軟に搬送路に合せた配置して、直線状の物に限らず、様々な形状のベルトコンベアにも適合させることができる。そして、このような折れ曲がり部分を有する落下防止柵においても、(1)又は(2)に記載の落下防止柵の奏する上記効果を同様に享受することができる。
【0016】
(4) (1)から(3)の何れかに記載の落下防止柵が、前記防護網側の面をベルトコンベアに対面させた状態で、前記ベルトコンベアの搬送路の外縁近傍に搬送方向に沿って設置されている、落下防止柵付きベルトコンベア。
【0017】
(4)の落下防止柵付きベルトコンベアによれば、(1)から(3)の何れかに記載の落下防止柵の奏する効果を享受して、搬送物の落下防止性能について、従来品と同等以上の機能維持しながら、従来よりも低コストで、ベルトコンベアからの搬送物の落下を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ワイヤーロープと防護網を重ねた構造からなる落下防止柵であって、十分なエネルギー衝撃機能を発揮しうるものでありながら、経済性の面でも従来品に対する優位性を備える落下防止柵を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の落下防止柵について、ワイヤーロープと防護網を重ねた構造を示すために一部を切り欠いた正面図である。
図2図1の落下防止柵における、ワイヤーロープと防護網の各支柱への設置構造を説明するために、平面視におけるそれらの構造を模式的に示した図面である。
図3図1の落下防止柵における中間支柱でのワイヤーロープの支持態様を示す部分拡大斜視図である。
図4図3の中間支柱の一部であって、ガイド板が設置されている部分についての正面図である。
図5】衝撃吸収用のたるみ部分の説明に供する、本発明の落下防止柵の正面模式図である。
図6】本発明の落下防止柵の実施形態の一例である、折れ曲がり部を含む落下防止柵を示す斜視図である。
図7】本発明の落下防止柵を備えてなる落下防止柵付きベルトコンベアの部分拡大斜視図である。
図8】本発明の落下防止柵を備えてなる落下防止柵付きベルトコンベアの部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の落下防止柵、及び、これを用いて構成することができる落下防止柵付きベルトコンベアの好ましい実施形態について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0021】
<落下防止柵付きベルトコンベア>
本発明の落下防止柵(落下防止柵1)を用いることにより、本発明の落下防止柵付きベルトコンベア(落下防止柵付きベルトコンベア10)を構成することができる。
【0022】
(全体構成)
落下防止柵付きベルトコンベア10においては、落下防止柵1は、図7及び図8に示すように、ベルトコンベア2の搬送路の外縁近傍に搬送方向に沿って、防護網15側の面を内側に向けることにより、当該面をベルトコンベア2に対面させた状態で設置される。これにより、落下防止柵を十分なエネルギー衝撃機能を発揮しうるものとし、尚且つ、経済性の面でも従来品に対する優位性を備える、落下防止柵付きベルトコンベア10とすることができる。
【0023】
<落下防止柵>
落下防止柵1は、図1に示すように、1対の端末支柱11(11a、11b)の間に複数のワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)と、防護網15とが重ねて設置されてなる柵である。落下防止柵1を、ベルトコンベア2の両側に設置することによって、落下防止柵付きベルトコンベア10を構成することができる。尚、本発明の落下防止柵は、塊状物の落下を停止させる手段を構成する各部材を最小化し全体を軽量化することが可能であるため、既存のベルトコンベアにも容易に設置することができる。
【0024】
(全体構成)
落下防止柵1においては、複数のワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)の両端部は、端末支柱11(11a、11b)に固定されていて、その中間部分は、中間支柱12(12a、12b)のガイド板122に水平方向に摺動可能な態様で支持されている。中間部分においては、ワイヤーと支柱は固定する必要がないため、固定器具の数を最小限の数とすることができる。又、端末支柱11と中間支柱12の上端及び下端部を、それぞれ鋼材によって連結することによって、各支柱の間に矩形状の枠体14が形成されている構成とすることによって全体の強度を向上させることができる。
【0025】
防護網15は、全てのワイヤーロープ13を被覆する態様で、端末支柱11(11a、11b)の間に張設される。端末支柱11と中間支柱12の間に上記の枠体14が形成されている場合には、矩形状の防護網15の各辺を、この枠体14の枠部に接続して固定する構成とすることが好ましい。
【0026】
(端末支柱)
1対の端末支柱11(11a、11b)は、ワイヤーロープ13を固定する固定手段を備える。この固定手段は、所定の張力でワイヤーロープ13を架設した際に十分な強度でワイヤーロープの各端部を固定できる構造であれば、特定の構造には限定はされない。
【0027】
端末支柱11にワイヤーロープ13を固定する固定手段は、一例として、中間支柱12のガイド板122(後述)と同様のワイヤーロープ通し孔123を有する構造を端末支柱11(11a、11b)にも設けて、この板の面方向を、柵の幅方向、即ち、ワイヤーロープ13の架設方向と平行な向きに向けて、各ワイヤーロープ通し孔123に、接続する構造とすることができる。又、少なくとも、ワイヤーロープ13の一方の端部については、公知のターンバックルを介して接続するようにして、必要に応じて適宜、ワイヤーロープ13にかかる張力を調整することができるようにしておくことが好ましい。
【0028】
端末支柱11の本体柱部分を構成する部材は、特に限定されないが、一例として、配管用炭素鋼(FB:SS400)を用いることができる。このような中空の鋼材を用いることにより、落下防止柵を、より軽量化することができる。
【0029】
(中間支柱)
1対の端末支柱11(11a、11b)の間には、中間支柱12(12a、12b)が設置されている。図1においては、中間支柱12の数は2本とされているが、落下防止柵1の幅、即ち、端末支柱11(11a、11b)の間の距離に応じて、適宜、望ましい本数を設置すればよい。中間支柱の本数は1本であってもよいし、2本以上の任意の本数とすることもできる。
【0030】
中間支柱12(12a、12b)は、柱部121の側面に、ガイド板122が柱の高さ方向に沿って立設されている構造からなる。中間支柱12(12a、12b)は、このガイド板122の面方向を、柵の幅方向、即ち、ワイヤーロープ13の架設方向と直交する向きに向けて設置する。
【0031】
ガイド板122には、鉛直方向において略一定の間隔で、ワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)の外径よりも大きな内径を有するワイヤーロープ通し孔123が設けられている。図3に示すように、ワイヤーロープ13の中間部分は、このワイヤーロープ通し孔123を通り抜ける態様でガイド板122に支持されている。又、ワイヤーロープ13は、このようにして支持された状態において、ガイド板122に対して水平方向に摺動可能な態様で支持されている。ワイヤーロープ通し孔123の内径Rは、図4に示すように、ワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)の外径rよりも大きければよいが、内径Rを、ワイヤーロープの外径rの1.5倍以上の大きさとすることが好ましい。
【0032】
又、ワイヤーロープ通し孔123の内縁には、ワイヤーロープ13との摩擦を低減させる摺動促進加工部124(図4参照)が形成されていることがより好ましい。摺動促進加工部124は、例えば、孔の内面を曲面上にする加工、或いは、グリス等の潤滑剤を塗布しておく加工等によって形成することができる。これらの摺動促進加工部124によれば、ワイヤーロープ通し孔123とワイヤーロープ13とが接触して摺動する際の抵抗を低減させることができ、ワイヤーロープ13の摺動に起因する劣化を抑制することもできる。
【0033】
中間支柱12の本体柱部である柱部121を構成する部材も、例えば、上述の配管用炭素鋼(FB:SS400)等、端末支柱11と同様の部材を用いることができる。
【0034】
(ワイヤーロープ)
ワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)は、鉛直方向において略一定の間隔で、端末支柱11(11a、11b)間に架設されている。図1においては、ワイヤーロープ13の数は4本とされているが、落下防止柵1の高さに応じて、ワイヤーロープ13の上下間隔が好ましい所定間隔となるように、適宜、望ましい本数のワイヤーロープ13を設置すればよい。ワイヤーロープ13は公知の各種のワイヤーロープを適宜選択して用いることができる。一例として、JIS G 3525、Wire ropesの6mm径のものを好ましく用いることができる。
【0035】
落下防止柵1においては、ベルトコンベア2の搬送路から脱落した鉱石等の搬送物は、先ず、防護網15で受け止められるので、ワイヤーロープ13の間隔は、必ずしも鉱石等の搬送物のサイズ以下に限定する必要はない。ワイヤーロープ13は、防護網15が、鉱石等を受け止めた後に、これを略垂直に復帰させて支持することが可能な間隔であればよく、この範囲で任意の間隔を選択することができる。一例として、鉱石を搬送するベルトコンベアへの適用時おける好ましい上下間隔は、100mm程度である。
【0036】
又、落下防止柵1においては、図5に模式的に示すように、ワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)の何れかの部分に、重力によって他の部分に対して鉛直下方に垂れ下がってなる衝撃吸収用のたるみ部分131が形成されるような態様で、ワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)を端末支柱11(11a、11b)間に架設する。たるみ部分131が適切に形成されていることによって、ワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)は、水平方向に摺動しながら、搬送物の衝突による衝撃を吸収することができる。従って、ワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)の長さは、端末支柱11(11a、11b)の間の距離よりも、適度のたるみを形成できる程度に、長いことが好ましい。例えば、たるみ部分の下方へのたるみ幅は特に限定はされないが、一例として、支柱間において、中心部の最も低くなる点の下がり幅(図5の下向きの矢印の長さ)がワイヤーの上下設置間隔(一例として100mm)に対して、10%以上30%以下程度(一例として10mm~30mm程度)の範囲となるようにしておくことが好ましい。
【0037】
(防護網)
防護網15は、幅方向の長さが、端末支柱11(11a、11b)の間の距離と同等以上であって、高さ方向の長さが、少なくとも、全てのワイヤーロープワイヤーロープ13(13a、13b、13c、13d)を被覆するに足る長さ以上である網材を用いて構成する。枠体14が形成されている場合には、矩形状の防護網15の各辺を、この枠体14の枠部に接続して固定することができるサイズの防護網15を選択する。又、防護網15として用いる網材の目開きは、落下防止対象物となる搬送物のサイズに応じて、適宜選択すればよい。網材の目開きは、対象とする上記サイズより小さければ、特に制限はないが、網材及び支柱の強度を考慮して下限を定めることが好ましい。通常は搬送物のサイズの10分の1のサイズを網材の目開きの下限とすればよい。目開きが小さすぎると、網材の重量が重くなるだけでなく、風を受けた場合に、支柱に過剰な力が掛かるのを避けるためである。防護網15を形成するための網材の一例として、目合15mmのポリエチレン製の網材を挙げる「グリーンネット(商品名)」(ナニワ産業株式会社製)等を挙げることができる。
【0038】
又、本発明の落下防止柵は、図6に示すような、折れ曲がり部分16が存在する構造の落下防止柵(落下防止柵1A)とすることもできる。落下防止柵1Aにおいて、折れ曲がり部分16は、両方の端末支柱11(11a、11b)を結んで架設されているワイヤーロープ13の経路中において当該ワイヤーロープの方向が変化する部分でもあるが、任意の中間支柱12の設置位置においてワイヤーロープ13の水平方向における方向を任意の方向に変化させることによって、そのような折れ曲がり部分16を自在に形成することができる。
【0039】
尚、折れ曲がり部分16が存在する構造の落下防止柵1Aにおいては、ワイヤーロープ13の側の面が外側に向かって凸となる折れ曲がり部分16においては、防護網15をワイヤーロープ13に向けて中間支柱12に押さえつける手段として、例えば、補助的な支柱を更に設置してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 落下防止柵
11(11a、11b) 端末支柱
12(12a、12b) 中間支柱
121 柱部
122 ガイド板
123 ワイヤーロープ通し孔
124 摺動促進加工部
13(13a、13b、13c、13d) ワイヤーロープ
131 衝撃吸収用のたるみ部分
14 枠体
15 防護網
16 折れ曲がり部分
2 ベルトコンベア
10 落下防止柵付きベルトコンベア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8