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特許7544438イムノクロマト分析方法及び該方法に使用するテストストリップ
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  • 特許-イムノクロマト分析方法及び該方法に使用するテストストリップ 図1
  • 特許-イムノクロマト分析方法及び該方法に使用するテストストリップ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】イムノクロマト分析方法及び該方法に使用するテストストリップ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021509326
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2020012387
(87)【国際公開番号】W WO2020196298
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2019055974
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】家治 翔平
(72)【発明者】
【氏名】森田 元喜
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-137326(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199954(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0035234(US,A1)
【文献】特開2011-209140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)~(3)を含むテストストリップを利用する、B型インフルエンザウイルスのイムノクロマト分析方法であって、コンジュゲートがコンジュゲート固定部にポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤とともに保持されていることを特徴とする、前記イムノクロマト分析方法
(1)B型インフルエンザウイルスを含有する可能性のある生物学的サンプルを供給するサンプル供給部を有する、サンプルパッド
(2)B型インフルエンザウイルスに対して免疫学的に反応する結合パートナーが固定されている検出部を少なくとも1つ有する不溶性メンブレン担体
(3)B型インフルエンザウイルスに対して免疫学的に反応する結合パートナーが標識体に固定されたコンジュゲート。
【請求項2】
前記結合パートナーが、モノクローナル抗体である、請求項1に記載のイムノクロマト分析方法。
【請求項3】
前記コンジュゲート固定部が、前記(1)または(2)において、サンプル供給部と検出部との間にコンジュゲート部として設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のイムノクロマト分析方法。
【請求項4】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤の濃度が、テストストリップを作製する際にコンジュゲート部に塗布するためのコンジュゲート塗布液中の濃度において、0.1~20質量%である、請求項に記載のイムノクロマト分析方法。
【請求項5】
前記生物学的サンプルが、呼吸器分泌液である、請求項1~のいずれかに記載のイムノクロマト分析方法。
【請求項6】
以下の(1)~(3)を含むイムノクロマトグラフィー用テストストリップ
(1)B型インフルエンザウイルスを含有する可能性のある生物学的サンプルを供給するサンプル供給部を有する、サンプルパッド、
(2)B型インフルエンザウイルスに対して免疫学的に反応する結合パートナーが固定されている検出部を少なくとも1つ有する不溶性メンブレン担体、及び
(3)コンジュゲートがポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤とともに保持されているコンジュゲート固定部。
【請求項7】
前記結合パートナーが、モノクローナル抗体である、請求項に記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
【請求項8】
前記コンジュゲート固定部が、前記(1)または(2)において、サンプル供給部と検出部との間にコンジュゲート部として設けられていることを特徴とする、請求項6又は7に記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
【請求項9】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤の濃度が、テストストリップを作製する際にコンジュゲート部に塗布するためのコンジュゲート塗布液中の濃度において、0.1~20質量%である、請求項に記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
【請求項10】
前記生物学的サンプルが、呼吸器分泌液である、請求項のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
【請求項11】
以下の(1)~(3)を含むテストストリップを利用する、B型インフルエンザウイルスのイムノクロマト分析方法における非特異反応抑制方法
(1)B型インフルエンザウイルスを含有する可能性のある生物学的サンプルを供給するサンプル供給部を有する、サンプルパッド
(2)B型インフルエンザウイルスに対して免疫学的に反応する結合パートナーが固定されている検出部を少なくとも1つ有する不溶性メンブレン担体
(3)コンジュゲートがポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤とともに保持されているコンジュゲート固定部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフルエンザウイルス等の被検出物質を検出するためのイムノクロマト分析方法及び該方法に使用するテストストリップに関する。本発明は、インフルエンザウイルス等の被検出物質を検出するためのイムノクロマト分析方法における非特異反応抑制方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
疾患の早期診断を目的として、患者の傍らでリアルタイムに実施して、診断及び治療に役立つ有益な情報を迅速に得るPOCT(ポイントオブケアテスティング)が実施されている。POCTにおいて、被検出物質に特異的に反応する結合パートナーを用いて疾患の原因となる被検出物質を検出する免疫法が広く行われている。このような免疫法の中でも、とりわけ、イムノクロマトグラフィー法は操作が簡便であるため、広く用いられている。しかしながら、このような免疫法では、交差抗原性の細菌、ウイルス、タンパク質などの夾雑物が検体中に含まれているときに、非特異的な反応を伴いやすい。そのような偽陽性反応により正確な判定が妨げられる場合もあり、問題となっている。
【0003】
サンプル中の夾雑物による非特異反応を抑制するために、様々な試みがなされている。例えば、特許文献1は、非イオン界面活性剤、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン緩衝剤およびカゼインを含むイムノクロマトグラフィー用試薬組成物を開示する。しかしながら、非特異反応を抑制することが実証されているのはこれらの物質を組み合わせた場合のみである。したがって、単一の物質を添加した場合においても、サンプル中の夾雑物による非特異反応を効果的に抑制できる技術が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-37253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、非特異反応を抑制した、イムノクロマト分析方法及び該方法に使用するテストストリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、被検出物質のイムノクロマト分析方法において、下記の構成を具備することにより、非特異反応を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は具体的には、以下の通りである。
<1>以下の(1)~(3)を含むテストストリップを利用する、被検出物質のイムノクロマト分析方法であって、コンジュゲートがコンジュゲート固定部にアニオン性界面活性剤とともに保持されていることを特徴とする、前記イムノクロマト分析方法
(1)被検出物質を含有する可能性のある生物学的サンプルを供給するサンプル供給部を有する、サンプルパッド
(2)被検出物質に対して免疫学的に反応する結合パートナーが固定されている検出部を少なくとも1つ有する不溶性メンブレン担体
(3)被検出物質に対して免疫学的に反応する結合パートナーが標識体に固定されたコンジュゲート。
<2>前記被検出物質が、呼吸器感染ウイルスである、<1>に記載のイムノクロマト分析方法。
<3>前記結合パートナーが、モノクローナル抗体である、<1>又は<2>に記載のイムノクロマト分析方法。
<4>前記コンジュゲート固定部が、前記(1)または(2)において、サンプル供給部と検出部との間にコンジュゲート部として設けられていることを特徴とする、<1>~<3>のいずれかに記載のイムノクロマト分析方法。
<5>前記アニオン界面活性剤の濃度が、テストストリップを作製する際にコンジュゲート部に塗布するためのコンジュゲート塗布液中の濃度において、0.1~10質量%である、<4>に記載のイムノクロマト分析方法。
<6>前記生物学的サンプルが、呼吸器分泌液である、<1>~<5>のいずれかに記載のイムノクロマト分析方法。
<7>前記呼吸器感染ウイルスが、B型インフルエンザウイルスである、<1>~<6>のいずれかに記載のイムノクロマト分析方法。
<8>前記アニオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤である、<1>~<7>のいずれかに記載のイムノクロマト分析方法。
<9>以下の(1)~(3)を含むイムノクロマトグラフィー用テストストリップ
(1)被検出物質を含有する可能性のある生物学的サンプルを供給するサンプル供給部を有する、サンプルパッド、
(2)被検出物質に対して免疫学的に反応する結合パートナーが固定されている検出部を少なくとも1つ有する不溶性メンブレン担体、及び
(3)コンジュゲートがアニオン性界面活性剤とともに保持されているコンジュゲート固定部。
<10>前記被検出物質が、呼吸器感染ウイルスである、<9>に記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
<11>前記結合パートナーが、モノクローナル抗体である、<9>又は<10>に記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
<12>前記コンジュゲート固定部が、前記(1)または(2)において、サンプル供給部と検出部との間にコンジュゲート部として設けられていることを特徴とする、<9>~<11>のいずれかに記載のイムノクロマト分析方法。
<13>前記アニオン界面活性剤の濃度が、テストストリップを作製する際にコンジュゲート部に塗布するためのコンジュゲート塗布液中の濃度において、0.1~10質量%である、<9>~<12>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
<14>前記生物学的サンプルが、呼吸器分泌液である、<9>~<13>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
<15>前記呼吸器感染ウイルスが、B型インフルエンザウイルスである、<9>~<14>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
<16>前記アニオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤である、<9>~<15>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー用テストストリップ。
<17>以下の(1)~(3)を含むテストストリップを利用する、被検出物質のイムノクロマト分析方法における非特異反応抑制方法
(1)被検出物質を含有する可能性のある生物学的サンプルを供給するサンプル供給部を有する、サンプルパッド
(2)被検出物質に対して免疫学的に反応する結合パートナーが固定されている検出部を少なくとも1つ有する不溶性メンブレン担体
(3)コンジュゲートがアニオン性界面活性剤とともに保持されているコンジュゲート固定部。
<18>前記被検出物質が、呼吸器感染ウイルスである、<17>に記載の非特異反応抑制方法。
<19>前記アニオン界面活性剤の濃度が、テストストリップを作製する際にコンジュゲート部に塗布するためのコンジュゲート塗布液中の濃度において、0.1~10質量%である、<17>又は<18>に記載の非特異反応抑制方法。
<20>前記生物学的サンプルが、呼吸器分泌液である、<17>~<19>のいずれかに記載の非特異反応抑制方法。
<21>前記呼吸器感染ウイルスが、B型インフルエンザウイルスである、<17>~<20>のいずれかに記載の非特異反応抑制方法。
<22>前記アニオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤である、<17>~<21>のいずれかに記載の非特異反応抑制方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、被検出物質のイムノクロマト分析における非特異反応を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態において使用するテストストリップの模式構成図である。
図2】本発明の一実施形態において使用するテストストリップの模式構成図である。
【0009】
(被検出物質)
本発明において、被検出物質としては、ウイルス、及び一般に抗原抗体反応を利用して測定し得るタンパク質などの生理活性物質等が挙げられる。上記ウイルスとしては、例えば、A型インフルエンザウイルスやB型インフルエンザウイルスなどのインフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス等が挙げられ、上記タンパク質としては、例えば、ヒトヘモグロビン、B型肝炎ウイルス抗体、C型肝炎ウイルス抗体、ヒト免疫不全ウイルス抗体等が挙げられる。
【0010】
本発明における被検出物質としては呼吸器感染ウイルスが好ましい。本明細書において呼吸器感染ウイルスとは、呼吸器系疾患の原因となるウイルスである。本発明における呼吸器感染ウイルスとしては、抗原抗体反応を利用して検出され得るウイルスであれば特に限定されることはなく、コロナウイルス229E、コロナウイルスOC43、及びコロナウイルスNL63等のコロナウイルス;A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス1、パラインフルエンザウイルス2、及びパラインフルエンザウイルス3等のインフルエンザウイルス;RSウイルスA型及びRSウイルスB型等のRSウイルス;アデノウイルス;ライノウイルス;メタニューモウイルス;サイトメガロウイルス;並びにボカウイルス等を挙げることができる。中でも、インフルエンザウイルスを被検出物質とするのが好ましく、B型インフルエンザウイルスを被検出物質とするのがより好ましく、後述する検出部を複数個所(例えば2箇所)形成して、A型インフルエンザウイルスおよびB型インフルエンザウイルスを検出することが最も好ましい。
なお、本明細書において「呼吸器」とは、呼吸に関係する器官の総称であり、鼻前庭から、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支を経た肺胞(肺)までの器官をいう。
【0011】
(生物学的サンプル)
本発明において使用される、被検出物質を含有する可能性のある生物学的サンプルとしては、体液などの主に生体(生物)由来の物質やそれらから被検出物質を抽出した抽出液等が挙げられる。生体(生物)由来の物質としては、具体的には、血液、尿、便、及び呼吸器分泌液が挙げられる。被検出物質が呼吸器感染ウイルスである場合、生物学的サンプルとしては、呼吸器分泌液、具体的には、鼻孔・鼻腔・咽頭・鼻咽頭などを由来とする鼻汁液、喀痰、又は唾液等が好ましい。上記の生体(生物)由来物質やその抽出液は、そのままサンプルとして用いてもよく、適宜サンプル希釈液によって希釈してサンプルとしてもよい。また、適宜濾過したものをサンプルとして用いてもよい。
【0012】
(アニオン界面活性剤)
本明細書において、アニオン界面活性剤とは、水に溶解した時に、疎水基の部分がマイナス(負)に電離する界面活性剤を意味する。本明細書では、水に溶解した時に、イオンとならない界面活性剤を、非イオン性界面活性剤と称し、疎水基の部分がプラス(正)に電離する界面活性剤をカチオン界面活性剤と称し、アルカリ性領域ではアニオン界面活性剤の性質を、酸性領域ではカチオン界面活性剤の性質を示す界面活性剤を両性界面活性剤と称する。
アニオン界面活性剤としては、スルホン酸塩系、カルボン酸塩系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系等が使用できる。具体的には、スルホン酸塩系アニオン界面活性剤としてβ‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(商品名:デモールNL);カルボン酸塩系アニオン界面活性剤として特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤(商品名:デモールEP);ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:エマール20C)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:エマール20CM)等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は単独で用いることもできるし、2種以上のものを組み合わせて用いることもできる。アニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤が好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲内で、アニオン界面活性剤に加えて、他の種類の界面活性剤を使用することも可能である。他の種類の界面活性剤は使用しないことが好ましい。
なお、本明細書において、「スルホン酸塩系アニオン界面活性剤」とは、スルホン酸基(-SOH)を有する物質の塩である界面活性剤をいい、「カルボン酸塩系アニオン界面活性剤」とはカルボン酸基(-COOH)を有する物質の塩であるアニオン界面活性剤をいい、「ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系アニオン界面活性剤」とは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムの化学構造を有するアニオン界面活性剤を意味する。
【0013】
アニオン性界面活性剤の濃度は、アニオン性界面活性剤や被検出物質の種類に応じて適宜調整することが可能であるが、例えば、テストストリップを作製する際にコンジュゲート部に塗布するためのコンジュゲート塗布液中の濃度として、非特異反応抑制効果の観点から、0.001~20質量%、好ましくは0.01~20質量%、より好ましくは0.05~20質量%、さらに好ましくは0.1~20質量%、最も好ましくは0.5~20質量%である。上限は、10質量%、8質量%、5質量%、3質量%、又は2質量%であってもよい。
【0014】
(コンジュゲート)
コンジュゲートは、呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体が標識体に固定されたものである。本明細書において、サンプルパッド、不溶性メンブレン担体、コンジュゲートパッド、及びフィルターなどにおいて、コンジュゲートが固定された部分をコンジュゲート固定部と称する。コンジュゲートが固定されたコンジュゲート固定部の存在様式としては、コンジュゲートパッドとして、サンプルパッド、サードパッド、不溶性メンブレン以外の別のパッドに含浸された状態で存在してもよいし(タイプA)、サンプルパッドの一部もしくは不溶性メンブレンの一部にコンジュゲート部として存在してもよいし(タイプB)、さらには、検体と混合されるように個別のコンジュゲート試薬として存在してもよい(タイプC)。
本発明で用いられる標識体は、従来から呼吸器感染ウイルスの検出に用いられている公知の標識体を用いることができる。例えば、金コロイド粒子や白金コロイド粒子などのコロイド状金属粒子、カラーラテックス粒子、磁性粒子などが好ましく、特に金コロイド粒子が好ましい。
インフルエンザウイルスを検出する場合、コンジュゲートは、金コロイド粒子に抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体が固定されたものが好ましい。
【0015】
以下、コンジュゲート固定部の存在様式が上記タイプAのテストストリップについて説明する。
サンプルの流れ方向の上流より下流に向かって、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、サードパッド、不溶性メンブレンの順で配置される。それぞれの層は、上下の層と少なくとも一部が重複するように配置される。このような配置例のテストストリップを図1に示す。
テストストリップのサンプルパッドに、呼吸器感染ウイルスを含有するサンプルが供給されると、呼吸器感染ウイルスはサンプルパッドを通過して下流側のコンジュゲートパッドへと流れる。コンジュゲートパッドにはアニオン界面活性剤が含まれており、アニオン界面活性剤の存在下で呼吸器感染ウイルスとコンジュゲートが接触して第一複合体(凝集体)を形成しながら当該パッドを通過する。その後、第一複合体はコンジュゲートパッドの下面に接触して配置された多孔質サードパッドを通過し、不溶性メンブレンへと展開される。
不溶性メンブレンには、その一部に呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体が固定されている。ここで、第一複合体と呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体とが免疫反応により結合して、第二複合体として固定されることになる。固定された第二複合体は、コンジュゲートに由来する吸光度、反射光、蛍光、磁気等のシグナルを検出する手段により検出される。
【0016】
次に、コンジュゲート固定部の存在様式がタイプBのテストストリップについて説明する。
上記タイプAのテストストリップとの違いは、サンプルパッドもしくは不溶性メンブレンとコンジュゲートパッドが一体になった点である。サンプルパッドもしくは不溶性メンブレンの一部にサンプル供給部およびコンジュゲート部が構成されている配置例のテストストリップを図2に示す。
上記サンプル供給部は、呼吸器感染ウイルスを含有するサンプルを供給する部位であり、上記コンジュゲート部は、コンジュゲートを含有する部位であり、サンプル供給部がコンジュゲート部の上流側となる。
コンジュゲート部は、上記サンプル供給部よりも下流側のサンプルパッド上又は不溶性メンブレン担体上に形成される。コンジュゲート部にはアニオン界面活性剤が含まれている。コンジュゲート部は、サンプル展開方向、即ち、サンプルパッドのサンプル供給部の中心と後述する不溶性メンブレン担体の下流側端部の中心を結ぶ線、に対して直行する方向にライン状に配置されているのが好ましい。換言すれば、ライン状のコンジュゲート部は、サンプルパッド及び不溶性メンブレン担体の長手方向に対して垂直の方向にライン状に配置されているのが好ましい。コンジュゲート部は、不溶性メンブレン担体の検出部より上流に存在することもできるが、サンプルパッドに形成されていることが好ましい。この場合、サンプルパッドのコンジュゲート部よりも下流側の全てがコンジュゲート部である必要はなく、コンジュゲート部のさらに下流側にはコンジュゲートを含まない多孔質材料部分が存在していてもよい。
コンジュゲート部の位置は、当業者であれば適切な長さに調節することができるが、ライン状のコンジュゲート部のラインの中心線が、サンプルパッドの下流側端部から少なくとも3mm以上上流側に配置されているのが好ましい。なお、本明細書において、コンジュゲート部又は検出部の「中心線」とは、サンプルパッドの長手方向に対して垂直方向に引かれる中心線を意味し、サンプルパッドの長手方向に対して平行方向に引かれる中心線を意味するものではない。
サンプル供給部に供給された呼吸器感染ウイルスを含有するサンプルは、上流から下流へ移動する。コンジュゲート部において、アニオン界面活性剤の存在下で、呼吸器感染ウイルスとコンジュゲートとが、第一複合体を形成する。第一複合体はさらに下流へ移動する。そして、第一複合体は、検出部に固定された、呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体と第二複合体を形成する。検出部に固定された第二複合体は、コンジュゲートに由来する吸光度、反射光、蛍光、磁気等のシグナルを検出する手段により検出される。
【0017】
次に、コンジュゲート固定部の存在様式がタイプCのテストストリップについて説明する。
上記タイプAのテストストリップとの違いは、コンジュゲートパッドが存在せず、コンジュゲートは個別のコンジュゲート試薬として存在する点である。例えば、フィルター中にコンジュゲートが内蔵されたフィルターチップが挙げられる。このフィルターチップにはアニオン界面活性剤も含まれている。このようなフィルターチップを使って、サンプル希釈液及び呼吸器感染ウイルスを通過させることでコンジュゲートと呼吸器感染ウイルスが結合し、第一複合体(凝集体)を形成する。これをコンジュゲートパッドを有さないこと以外はタイプAと同一の前記テストストリップに供給することで、呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体が固定されている検出部において第二複合体が形成される。そして固定された第二複合体は、コンジュゲートに由来する吸光度、反射光、蛍光、磁気等のシグナルを検出する手段により検出される。
【0018】
(呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体)
本発明で用いられる、呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体は、呼吸器感染ウイルスに結合可能な抗体である。呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体は、標識体および検出部に固定される。標識体および検出部に固定される抗体は同一であってもよいが、標識体と検出部とで別のものであることが好ましい。標識体に固定される抗体と、検出部に固定される抗体とで別のものを用いることにより、コンジュゲートと結合した呼吸器感染ウイルスと検出部の抗体との反応と、コンジュゲートと結合した呼吸器感染ウイルスと未反応のコンジュゲートとの反応とが競合するのを抑制することができる。さらに、コンジュゲートと結合した呼吸器感染ウイルスと検出部の抗体との反応性を上げることができる。そして、結果としてイムノクロマトグラフィー用テストストリップの感度が良好になる。なお、別のものとは、種類が異なることをいい、異なるエピトープを認識する抗体であることをいう。
さらに、標識体および検出部に固定される抗体はモノクローナル抗体が好ましい。モノクローナル抗体を用いることで、反応の特異性を上げることができる。
また、これらの抗体の分子全体のほかに、抗原抗体反応活性を有する抗体の機能性断片も本発明では同じく抗体として取り扱う。抗体の機能性断片としては、動物への免疫工程を経て得られたもののほか、遺伝子組み換え技術を使用して得られたものや、キメラ抗体が挙げられる。抗体の機能性断片としては、例えば、F(ab')2、Fab’などが挙げられる。これらの機能性断片は前記抗体をタンパク質分解酵素(例えば、ペプシンやパパインなど)で処理することにより製造できる。
【0019】
(サンプルパッド)
サンプルパッドは、その下流側の端部の下面がコンジュゲートパッド又は後述する不溶性メンブレン担体の上面に接触するようにコンジュゲートパッド又は不溶性メンブレン担体と積層される。サンプルパッドを構成する多孔質材料としては、紙、セルロース混合物、ニトロセルロース、ポリエステル、アクリロニトリルコポリマー、ガラス、レーヨン等のような不織繊維からなるパッドが挙げられる。中でもガラス繊維からなるパッド(グラスファイバー製パッド)が好ましい。
【0020】
(サードパッド)
サードパットは、生物学的サンプル中の非特異反応物質の除去の目的で、前記タイプAのテストストリップにおいて、コンジュゲートパッドと不溶性メンブレンとの間に配置される。サードパッドは、試料の性状等により必要に応じて配置されることが望ましく、サンプル中の呼吸器感染ウイルスとコンジュゲートの複合体を透過させることができるものであればいずれでもよい。
【0021】
(不溶性メンブレン担体)
本発明で使用することができる不溶性メンブレン担体は、呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体が固定された少なくとも1つの検出部を有する。呼吸器感染ウイルスに対して免疫学的に反応する抗体の不溶性メンブレン担体への固定は、公知の方法で実施することができる。ラテラルフロー式のイムノクロマト試薬の場合には、上記の抗体を所定の濃度で含有する液を調製する。そして、ノズルから液を一定の速度で吐出しながら水平方向に移動させることのできる機構を有する装置などを用いて、上記液をライン状に不溶性メンブレン担体に塗布し、乾燥させることにより固定させることができる。
また、上記の抗体を所定の濃度で含有する液は、緩衝液に抗体を添加することにより調製することができる。該緩衝液の種類としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液など通常使用される緩衝液をあげることができる。緩衝液のpHは6.0~9.5の範囲が好ましく、6.5~8.5がより好ましく、7.0~8.0がさらに好ましい。緩衝液には、さらに塩化ナトリウムなどの塩類、糖類などの安定剤や保存剤、プロクリンなどの防腐剤等を含んでもよい。塩類は塩化ナトリウムなどのようにイオン強度の調整のために含ませるもののほか、水酸化ナトリウムなど緩衝液のpHを調整する目的で添加するものも含まれる。
不溶性メンブレンに抗体を固定した後、さらに、通常使用されるブロッキング剤を溶液あるいは蒸気状にして抗体を固定した部位以外を被覆し、ブロッキングを行うこともできる。
【0022】
本発明で使用することができる不溶性メンブレン担体を構成するメンブレンとしては、従来からイムノクロマトグラフィー用テストストリップの不溶性メンブレン担体として用いられている公知のメンブレンが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン類、ガラス、セルロースやセルロース誘導体などの多糖類、セラミックス等からなる繊維から構成されるメンブレンがあげられる。具体的には、ザルトリウス社、ミリポア社、東洋濾紙社、ワットマン社などから市販されているガラス繊維ろ紙やニトロセルロース膜などが挙げられる。
【0023】
本発明で使用することができるイムノクロマトグラフィー用テストストリップにおいては、上記不溶性メンブレン担体の下流側端部に吸収パッドを設置するのが好ましい。吸収パッドとは、不溶性メンブレン担体を移動・通過したサンプルを吸収することにより、サンプルの展開を制御する液体吸収性を有する部位である。吸収パッドとしては、従来からイムノクロマトグラフィー用テストストリップに用いられている公知の吸収パッドを用いることができ、例えば、ろ紙を用いることができる。
【0024】
本明細書において非特異反応とは、被検出物質である呼吸器感染ウイルスが生物学的サンプル中に存在しない、あるいは実質的に存在しないにも拘わらず、コンジュゲートに由来するシグナルが検出され、陽性と判断されることを意味する。
【0025】
(イムノクロマトグラフィー用テストストリップ)
本明細書において、「イムノクロマトグラフィー」とは、セルロース膜等の多孔質材料上を被検体が試薬を溶解しながらゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法を意味する。本明細書において、「テストストリップを利用する」とは、テストストリップと生物学的サンプルとを接触させることにより、生物学的サンプルに含まれる被検出物質を検出することを意味する。イムノクロマトグラフィー用テストストリップは、プラスチック製粘着シートのような固相支持体上に配置させることが好ましい。該固相支持体は、サンプル及びコンジュゲートの毛管流を妨げない物質で構成する。また、イムノクロマトグラフィー用テストストリップを固相支持体上に接着剤等で固定してもよい。この場合、接着剤の成分等においてもサンプル及びコンジュゲートの毛管流を妨げない物質で構成する。なお、不溶性メンブレン担体の機械的強度を上げ且つアッセイ中の水分の蒸発(乾燥)を防ぐ目的でポリエステルフィルムなどをラミネートすることも可能である。該イムノクロマトグラフィー用テストストリップは、イムノクロマトグラフィー用テストストリップの大きさ、サンプルの添加方法や添加位置、不溶性メンブレン担体の検出部の形成位置、シグナルの検出方法などを考慮した適当な容器(ハウジング)に格納・搭載して使用することができる。このように格納・搭載された状態を「デバイス」という。
なお、本明細書においてイムノクロマト分析方法とは、イムノクロマトグラフィーを利用する分析方法を意味する。
【0026】
(その他)
イムノクロマトグラフィー用テストストリップの作製は実施例に記載の方法を適宜、修飾・改変して行うことができる。
【実施例
【0027】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、本明細書において、特に説明のない限り、%は質量%を示す。
【0028】
〔抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体の調製〕
以下の試験に用いた抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体及び抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体は、抗原としてリコンビナントインフルエンザ核タンパクを用い、マウスに免疫し、当業者がモノクローナル抗体を製造するために通常行う方法を用いて得られた。
【0029】
〔テストストリップ作製例1〕イムノクロマトグラフィー用テストストリップの作製1)金コロイド粒子標識抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(コンジュゲート)の作製
抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体および抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を100μg/mLの濃度で含むPBSをそれぞれ調製した。1 OD/mLの金コロイド粒子溶液20mLに対し各抗体溶液を1mL添加し、室温で10分間撹拌した。該金コロイド粒子-抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体混合液および該金コロイド-抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体混合液に対し、10%ウシ血清アルブミン(BSA)水溶液を2mL添加し、さらに5分間撹拌後、10℃にて、10,000rpmで45分間遠心し、沈渣(コンジュゲート)を得た。得られたコンジュゲートに対し、Conjugate Dilution Buffer(Scripps社製)を添加しコンジュゲートを懸濁させた。
【0030】
2)サンプルパッドの作製
上記1)で調製したコンジュゲートを、8~20OD/mLとなるように、1.33%カゼイン、4%スクロース溶液(pH7.5)と混合してコンジュゲート液を作製し、このコンジュゲート液に、アニオン界面活性剤を種々の濃度となるように添加した。そして、全長28mmのグラスファイバー製パッドに、ライン幅4mmのラインを形成するように滲みこませた。70℃、30分間加温することにより乾燥させ、コンジュゲート部を含むサンプルパッドとした。
【0031】
3)抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体が固定された不溶性メンブレン担体(抗体固定メンブレン)の作製
ニトロセルロースメンブレン(孔径8μm)の短辺の一端に、リン酸緩衝液で0.75mg/mLに調整した抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体、1.0mg/mLに調整した抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体及び0.75mg/mLに調整した抗マウスIgG抗体を、不溶性メンブレン担体の長手方向に対して垂直の方向にライン状に塗布した。その後、70℃、45分乾燥し、抗体固定メンブレンとした。ラインは、テストストリップを組み立てた際に上流側から、A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(c1)、抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(c2)、コントロール抗体(c3)の順になるように塗布した。
【0032】
4)イムノクロマトグラフィー用テストストリップの作製
2)で作製したサンプルパッドを、3)で得られた不溶性メンブレン担体に積層し、イムノクロマトグラフィー用テストストリップを作製した。
【0033】
〔実施例1〕
上記テストストリップ作製例1で作製したイムノクロマトグラフィー用テストストリップを用いて、A型及びB型インフルエンザウイルスの検出試験を行った。
1.試験方法
(1)試料
インフルエンザに罹患していない健康な対象の鼻腔粘液を、サンプル希釈液に混合して希釈し、試料として用いた。
(2)手順
上記(1)で調製した試料135μLをテストチューブに分注し、イムノクロマトグラフィー用ストリップを挿入し、5、15、30、及び45分後に、検出部分の抗体固定メンブレン上のテストラインA及びBの発色の有無を目視にて判定した。
2.試験結果
B型インフルエンザウイルスの検出を示すテストラインBの発色有無の判定結果を表1~3に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
なお、エマルゲン、アミート、エマール、アンヒトール、及びコータミンは、登録商標である。
表1~3中、「-」はB型インフルエンザウイルスの検出を示すテストラインBが発色せず、偽陽性が発生しなかったものを表し、「+」はラインが発色し、偽陽性が発生したものを表す。アニオン界面活性剤を添加したものは、全て、B型インフルエンザウイルスの検出において非特異反応を生じなかったが、それ以外の界面活性剤を添加したものは、B型インフルエンザウイルスの検出において全て非特異反応を生じた。A型インフルエンザウイルスの検出においては、試験したサンプル全てにおいて非特異反応を生じなかった。したがって、アニオン界面活性剤を検体希釈液に添加することにより、B型インフルエンザウイルスの検出において生じる非特異反応を防止できることが示された。
【0034】
〔実施例2〕
1.試験方法
界面活性剤の種類及び濃度を変更した以外は実施例1と同様にして、A型及びB型インフルエンザウイルスの検出試験を行った。
2.試験結果
B型インフルエンザウイルスの検出を示すテストラインBの発色有無の判定結果を表4、5に示す。
【表4】
【表5】

表4及び表5中、「-」はB型インフルエンザウイルスの検出を示すテストラインBが発色せず、偽陽性が発生しなかったものを表し、「+」はラインが発色し、偽陽性が発生したものを表す。試験したサンプルは全て、B型インフルエンザウイルスの検出において非特異反応を生じなかった。
したがって、アニオン界面活性剤は、界面活性剤濃度を低くしても、B型インフルエンザウイルスの検出において生じる非特異反応を抑制する効果があることが分かった。また、A型インフルエンザウイルスの検出においては、試験したサンプル全てにおいて非特異反応を生じなかった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、非特異反応を抑制した、イムノクロマト分析方法及び該方法に使用するテストストリップを提供することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
(a)プラスチック製粘着シート
(b)不溶性メンブレン
(c1)テストラインA
(c2)テストラインB
(c3)コントロールライン
(d)コンジュゲートパッド
(e)サンプルパッド
(f)吸収パッド
(g)サードパッド
(h)コンジュゲート部
(i)フィルム
図1
図2