(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】システムの状態を監視する方法、状態監視システム、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G05B23/02 T
(21)【出願番号】P 2019224810
(22)【出願日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-15
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516344443
【氏名又は名称】シモンズ・プレシジョン・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】アラン エム.デューク
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0082568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0195199(US,A1)
【文献】特表2013-506840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの状態を監視する方法であって、
次元に対してシステムのコンポーネントを検知するプロセスによって出力された検知信号から生じた第1の複数のサンプリング点を有する第1のサンプリング信号を受け取ることであって、前記第1のサンプリング信号は第1のサンプリングレートで第1時間にサンプリングされ、前記第1のサンプリング点はそれぞれ、次元値に対応する、付随する測定値を有する、前記受け取ることと、
前記検知信号から生じ、前記第1のサンプリングレートとは異なる第2のサンプリングレートで前記第1時間とは異なる第2時間にサンプリングされた第2の複数のサンプリング点を有する第2のサンプリング信号を受け取ることであって、前記第2のサンプリング点はそれぞれ、次元値に対応する、付随する測定値を有する、前記受け取ることと、
前記第1のサンプリング信号の第1のサンプリング点における、前記第1のサンプリング信号と前記第2のサンプリング信号との間の次元に対する第1のシフトを決定することと、
前記第1のサンプリング信号の第2のサンプリング点における、前記第1のサンプリング信号と前記第2のサンプリング信号との間の次元に対する第2のシフトを決定することであって、前記第2のサンプリング点は前記第1のサンプリング点とは異なる、前記決定することと、
前記第1のシフト及び前記第2のシフトの関数である計算されたシフトを決定することと、
前記計算されたシフトに基づいてシフトされた前記第1の複数の各サンプリング点及び前記第2の複数の各サンプリング点を含む併合信号を生成することと、
前記併合信号の分析に基づいて少なくとも障害の閾値表示があるか否かを判定することと、
少なくとも障害の閾値表示があるという判定に応じて、前記コンポーネントを無効にするかまたは取り外すことを勧めることと、を含む、システムの状態を監視する方法。
【請求項2】
前記第1のサンプリング点は対応する測定値MV1を有し、前記第1のシフトを決定することは、
前記第2の複数のサンプリング点の第3及び第4の連続するサンプリング点を選択することであって、前記第3及び第4のサンプリング点は別個の対応する測定値MV3及びMV4を有し、MV3≦MV1<MV4である、前記選択することと、
第1の勾配と前記第3及び第4のサンプリング点を通る第1の切片とを有する第1のラインを決定することと、
測定値MV1を有する前記第1のライン上の第1の点を決定することと、
前記第1のシフトは、前記第1のサンプリング点に対応する第1の次元値IV1と前記第1の点に対応する第2の次元値IV2との間の第1の距離であると決定することと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のサンプリング点は対応する測定値MV2と次元IV3とを有し、前記第2のシフトを決定することは、
前記第2の複数のサンプリング点の前記
第4のサンプリング点とこの第4のサンプリング点と連続する第5のサンプリング点を選択することであって、前記第
4及び第
5のサンプリング点は別個の対応する測定値MV4及びMV5を有し、MV4≦MV2<MV5である、前記選択することと、
第2の勾配と前記第
4及び第
5のサンプリング点を通る第2の切片とを有する第2のラインを決定することと、
測定値MV2を有する前記第2のライン上の第2の点を決定することと、
前記第2のシフトは、前記第2のサンプリング点に対応する第1の次元値IV3と前記第2の点に対応する第2の次元値IV4との間の第2の距離であると決定することと、を含む請求
項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のサンプリング信号の傾斜部分に沿って前記第1及び第2のサンプリング点を選択することをさらに含む請求項1,2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1及び第2のサンプリング点は連続するサンプリング点ではない請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2のサンプリング点は連続するサンプリング点である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記併合信号をサンプリングして第3の複数のサンプリング点を生成することをさらに含み、少なくとも前記障害の閾値表示があるか否かを判定することは、前記第3の複数のサンプリング点を分析することによって行う請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
状態監視システムであって、
命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリと通信するように配置されたプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、前記命令が実行されると、請求項1に記載の方法を実施するように構成される、状態監視システム。
【請求項9】
コンピュータによって実行されたときに前記コンピュータに請求項1に記載の方法を実施させる命令を有するコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記第1のサンプリング点は対応する測定値MV1を有し、前記第1のシフトを決定することは、
前記第2の複数のサンプリング点の第3及び第4の連続するサンプリング点を選択することであって、前記第3及び第4のサンプリング点は別個の対応する測定値MV3及びMV4を有し、MV3≦MV1<MV4である、前記選択することと、
第1の勾配と前記第3及び第4のサンプリング点を通る第1の切片とを有する第1のラインを決定することと、
測定値MV1を有する前記第1のライン上の第1の点を決定することと、
前記第1のシフトは、前記第1のサンプリング点に対応する第1の次元値IV1と前記第1の点に対応する第2の次元値IV2との間の第1の距離であると決定することと、を含む請求項8に記載の状態監視(CM)システムまたは請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記第2のサンプリング点は対応する測定値MV2と次元IV3とを有し、前記第2のシフトを決定することは、
前記第2の複数のサンプリング点の前記
第4のサンプリング点とこの第4のサンプリング点と連続する第5のサンプリング点を選択することであって、前記第
4及び第
5のサンプリング点は別個の対応する測定値MV4及びMV5を有し、MV4≦MV2<MV5である、前記選択することと、
第2の勾配と前記第
4及び第
5のサンプリング点を通る第2の切片とを有する第2のラインを決定することと、
測定値MV2を有する前記第2のライン上の第2の点を決定することと、
前記第2のシフトは、前記第2のサンプリング点に対応する第1の次元値IV3と前記第2の点に対応する第2の次元値IV4との間の第2の距離であると決定することと、を含む、請求
項10に記載の状態監視(CM)システムまた
はコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記命令が実行されると、前記第1のサンプリング信号の傾斜部分に沿って前記第1及び第2のサンプリング点を選択するように構成されている請求項8,10または11に記載の状態監視(CM)システム、または
前記命令は、実行されたときに、さらに、前記コンピュータに、前記第1のサンプリング信号の傾斜部分に沿って前記第1及び第2のサンプリング点を選択させる、請求項9,10または11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記第1及び第2のサンプリング点は連続していない請求項8~12のいずれかに記載の状態監視(CM)システムまたはコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記第1及び第2のサンプリング点は連続している請求項8~12のいずれかに記載の状態監視(CM)システムまたはコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記命令が実行されると、さらに、前記併合信号をサンプリングして第3の複数のサンプリング点を生成するように構成され、少なくとも前記障害の閾値表示があるか否かを判定することは、前記第3の複数のサンプリング点を分析することによって行われる請求項8,10~14のいずれかに記載の状態監視(CM)システム、または
前記命令は、実行されたときに、さらに、前記コンピュータに、前記併合信号をサンプリングして第3の複数のサンプリング点を生成させ、少なくとも前記障害の閾値表示があるか否かを判定することは、前記第3の複数のサンプリング点を分析することによって行われる、請求項9~14のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は信号処理に関し、より詳細には、異なる品質の信号の時間的に動的な融合に関する。
【背景技術】
【0002】
状態監視システムは、障害の進行を検出するために機械におけるパラメータを監視する。機械のコンポーネントシステムに付随する動的パラメータのセンサ測定値を集めるために、データ収集システムが用いられる。このようなパラメータとしては、たとえば温度、圧力、振動、及び他の多くのタイプのセンサを挙げることができる。データ収集システムには、状態監視システムが必要とするサンプリング、伝達、及び/または記憶容量がない場合がある。データ収集システムの出力を共通の行き先に出力して、さらなる障害検出分析を行なうことができる。共通の行き先としては、障害検出分析システムに出力を送る記録システムを挙げることができる。
【0003】
2つ以上のデータ収集システムが単一の信号を処理することができる。2つ以上のデータ収集システムの出力を異なるレートでサンプリングすることができ、及び/または互いに対して時間的にシフトさせることができる(それでも、それぞれ他方を補完し得る貴重な情報を有する)。障害検出分析が、同じ信号を処理した複数のデータ収集システムから出力された情報を利用するのは、出力が異なるレートでサンプリングされた場合(また時間的にシフトし得る)、難しい可能性がある。
【0004】
従来の方法及びシステムは一般的に、その使用目的に対して満足のいくものであると考えられているが、当該技術分野では依然として、同じ供給源から生じているが障害検出分析システムに送られる前に異なるレートでサンプリングされた多重信号から得られる情報を保持するシステム及び方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
後述する例示した実施形態の目的及び利点について以下の説明で述べ、この説明から明らかとなる。例示した実施形態のさらなる利点は、特に書面の説明及びその請求項で指摘され、ならびに添付の図面から分かるデバイス、システム、及び方法によって実現及び達成された。これら及び他の利点を実現するために、また例示した実施形態の目的により、一態様では、システムの状態を監視する方法について開示している。本方法には、第1のサンプリングレートでサンプリングされた第1のサンプリング点を有する第1のサンプリング信号を受け取ることと、第2のサンプリングレートでサンプリングされた第2のサンプリング点を有する第2のサンプリング信号を受け取ることと、が含まれる。第1及び第2のサンプリング信号は両方とも、同じ検知プロセスにおいて次元に対して検知することから生じる。本方法にはさらに、第1のサンプリング信号の第1のサンプリング点における、第1のサンプリング信号と第2のサンプリング信号との間の次元に対する第1のシフトを決定することと、第1のサンプリング信号の第2のサンプリング点における、第1のサンプリング信号と第2のサンプリング信号との間の次元に対する第2のシフトを決定することであって、第2のサンプリング点は第1のサンプリング点とは異なる、決定することと、第1のシフト及び第2のシフトの関数である計算されたシフトを決定することと、計算されたシフトに基づいてシフトされた第1の各サンプリング点及び第2の各サンプリング点を含む併合信号を生成することと、併合信号の分析に基づいて少なくとも障害の閾値表示があるか否かを判定することと、少なくとも障害の閾値表示があるという判定に応じて、コンポーネントを無効にするかまたは取り外すことを勧めることと、が含まれる。
【0006】
実施形態では、第1のサンプリング点は対応する測定値MV1を有することができる。第1のシフトを決定することには、第2の複数のサンプリング点の第3及び第4の連続するサンプリング点を選択することを含めることができ、第3及び第4のサンプリング点は別個の対応する測定値MV3及びMV4を有し、状態MV3≦MV1<MV4を満たすことができる。本方法にはさらに、第1の勾配と第3及び第4のサンプリング点を通る第1の切片とを有する第1のラインを決定することと、測定値MV1を有する第1のライン上の第1の点を決定することと、第1のシフトは、第1のサンプリング点に対応する第1の次元値DV1と第1の点に対応する第2の次元値DV2との間の第1の距離であると決定することとを含めることができる。
【0007】
実施形態では、第2のサンプリング点は対応する測定値MV1を有することができ、第2のシフトを決定することには、第2の複数のサンプリング点の第3及び第4の連続するサンプリング点を選択することを含めることができる。第3及び第4のサンプリング点は別個の対応する測定値MV3及びMV4を有することができ、状態MV3≦MV1<MV4を満たすことができる。本方法にはさらに、第1の勾配と第3及び第4のサンプリング点を通る第1の切片とを有する第1のラインを決定することと、測定値MV1を有する第1のライン上の第1の点を決定することと、第2のシフトは、第1のサンプリング点に対応する第1の次元値DV1と第1の点に対応する第2の次元値DV2との間の第1の距離であると決定することとを含めることができる。
【0008】
実施形態では、本方法にはさらに、第1のサンプリング信号の傾斜部分に沿って第1及び第2のサンプリング点を選択することを含めることができる。
【0009】
実施形態では、第1及び第2のサンプリング点は連続するサンプリング点でなくてもよい。
【0010】
実施形態では、第1及び第2のサンプリング点は連続するサンプリング点とすることができる。
【0011】
実施形態では、本方法にはさらに、併合信号をサンプリングして第3の複数のサンプリング点を生成することを含むことができ、少なくとも障害の閾値表示があるか否かを判定することは、第3の複数のサンプリング点を分析することによって行う。
【0012】
本開示のさらに別の態様によれば、命令を記憶するように構成されたメモリと、メモリと通信するように配置されたプロセッサと、を含む状態監視システムが提供される。プロセッサは、命令が実行されると、本方法の動作を実行するように構成されている。
【0013】
本開示のさらに別の態様によれば、1つ以上のコンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。各層に対応付けられるコンピュータプログラムには命令が含まれ、命令は、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されると、プロセッサに本方法の動作を実行させる。
【0014】
主題の開示のシステム及び方法のこれら及び他の特徴は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明とともに図面から、当業者により容易に明らかになる。
【0015】
主題の開示が属する当業者であれば、主題の開示のデバイス及び方法をどのように作成し、使用するかを過度な実験を行うことなく容易に理解するように、本明細書では、その好ましい実施形態について、特定の図を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の実施形態による状態監視システムの典型的な実施形態のブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態による併合する前のサンプリング信号例の一部のプロットのグラフである。
【
図3】
図2に示すプロットのグラフであり、本開示の実施形態によるサンプリング信号間の第1のシフト例を示す図である。
【
図4】
図2に示すプロットのグラフであり、本開示の実施形態によるサンプリング信号間の第2のシフト例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態による
図2に示すサンプリング信号に基づく併合信号例の一部のプロットのグラフである。
【
図6】
図5に示す併合信号例の異なる部分のプロットのグラフである。
【
図7】本開示の実施形態により異なるレートでサンプリングされた離散時間信号を併合する方法例のフローチャートである。
【
図8】本開示の実施形態により異なるレートでサンプリングされた離散時間信号を併合するためのシフトを決定する方法例のフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態により状態監視システムの信号併合器コンポーネントを実施するように構成された典型的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に図面を参照して、同様の参照符号は、主題の開示の同様の構造的特徴または態様を特定する。説明及び例示の目的上、しかし限定のためではなく、本開示による状態監視(CM)システムの典型的な実施形態のブロック図を
図1に示し、全般的に参照文字100で指定する。本開示またはその態様によるCMシステム100の動作に対応付けられる方法を、後述するように
図2~9に示す。本明細書で説明するシステム及び方法は、記録システムに記録する前にリアルタイムで行うこともできるし、または記録システムが記録したデータに対してオフラインで行うこともできる。
【0018】
CMシステム100には、信号併合器コンポーネント108と、分析コンポーネント110とが含まれる。分析コンポーネント110は、データ収集(DC)システム101からの出力を処理して、同じ源信号の異なるバージョンである多重信号を併合する。
【0019】
データ収集(DC)システム101には、監視しているターゲットシステムコンポーネント103に関連付けながら実施される1つ以上のセンサ105と、2つ以上のDCサブシステム(たとえば、第1のDCサブシステム102及び第2のDCサブシステム104)と、記録システム106とが含まれる。センサ105は、物理特性の測定値を表す信号を出力する。DC第1及び第2のサブシステム102及び104は、信号中の情報を処理及び計算し、記録システム106はDCサブシステムの出力を記憶する。データ収集システム101には、さらなるセンサ、DCサブシステム、及び記録システムを含めることができる。
【0020】
ターゲットシステムのコンポーネント103は、可動または静止システム(たとえば、航空機、自動車、エネルギープラントなど)のたとえば、電気システムのコンポーネント、温度制御システム、油圧システム、エンジンシステムなどとすることができる。センサ105は、物理特性(たとえば、線速度、回転速度、温度、振動、圧力など)を検知することができる。センサは、次元に対する大きさを有する動的信号を出力する。次元はたとえば、直交座標系のx、y、zまたは軸に沿った、たとえば、時間、距離とすることができる。
【0021】
特定のデータ収集システム(たとえば、レガシーデータ収集システム)は、たとえば予後及び健全性管理(PHM)アルゴリズムを適用することに対して、状態監視システムをサポートするようにはデザインされていない。このようなデータ収集システムから出力された信号は、たとえば、サンプリング、伝達、及び/または記憶制限により、アンダーサンプリングされる可能性があり、したがって状態監視を行うには不適切であり得る。
【0022】
図示した例では、第1及び第2のCMサブシステム102、104はそれぞれ、コンポーネント検知信号上で実行する独自のタスクを有し、さらに独自のサンプリング要求を有していてもよい。第1及び第2のCMサブシステム102、104がそれぞれ行うサンプリングは状態監視を行うには不適切であり得るが、第1及び第2のCMサブシステム102、104がそれぞれ行うサンプリングに基づいて信号併合器コンポーネント108から出力される併合信号では、見かけ上のサンプルレートを増加させることができる。
【0023】
次にデータ収集システム101がもたらす問題について、より詳しく説明する。第1及び第2のDCサブシステム102はそれぞれ、受け取った信号をサンプリングすることができ、処理することができ、及び/または公表することができる。図示した例では、第1のDCサブシステム102は、センサ105のうちの1つから出力されたコンポーネント検知信号を受け取る。第1のDCサブシステム102は、コンポーネント検知信号を第1のレートSR1でサンプリングして第1のサンプル点を取得し、第1のレートSR1でサンプリングした第1のサンプル点を第2のDCサブシステム102に送信し、第1のサンプル点を第2のレートSR2でサンプリングすることによって取得した第2のサンプル点を公表する(または他の方法で伝達する)。記録システム106は、公表された第2のサンプル点を受け取る。
【0024】
第2のDCサブシステム104は、第1のDCサブシステム102から第1のサンプル点を受け取って、第1のサンプル点から第3のレートSR3で再サンプリングした第3のサンプル点を公表する(または他の方法で、記録システム106に通信する)。第3のサンプル点を、たとえば伝達または処理遅延により、第1及び/または第2のサンプル点に対してシフトさせる(すなわち、遅延させる)ことができる。これらの遅延は次元(たとえば、時間)に対して変えることができる。記録システム106は第1のサンプル点と第3のサンプル点とを受け取る。これらは両方とも同じ信号(すなわち、コンポーネント検知信号)のバージョンである。
【0025】
実施形態では、サンプリングレートSR1、SR2、SR3のうち少なくとも2つは異なるレートである。実施形態では、SR2≦SR1及びSR3≦SR1である。さらに、実施形態では、SR2及びSR3は互いに等しくはない。実施形態では、SR1、SR2、及びSR3はすべて異なるレートである。実施形態では、SR2=SR3であるが、第2のDCサブシステム104から出力された信号は、第1のDCサブシステム102から出力された信号に対して遅れる。
【0026】
CMシステム100は、1つ以上のターゲットシステムコンポーネント103における動的パラメータを監視するデータ収集システム101が収集したデータを受け取る。CMシステムはデータ収集システム101の出力を分析して障害の進行を検出する。
【0027】
この併合信号を、たとえば健全性分析コンポーネント110が処理して、状態監視を実行することができる。健全性分析コンポーネント110は併合信号を用いて状態監視を実行して、特定のコンポーネント103に対応付けられる障害の表示がいつあるかを決定することができる。特定のコンポーネントに対して介入(たとえば、コンポーネント103を取り外し及び/またはサービスを提供する)を行うことができる。
【0028】
例では、監視対象のターゲットシステムコンポーネント103は、キャビン空気調節及び温度制御システム(CACTCS)のキャビン空気コンプレッサである。センサ105は、モータ速度を検知する速度センサである。コンポーネント検知信号はモータ速度信号である。第1のDCサブシステム102は、モータ速度信号を第1のレートSR1(たとえば、100Hz)でサンプリングして、第2のDCサブシステム104に伝送する共通モータスタート制御器(CMSC)である。CMSCはさらに、モータ速度信号を第2のレートSR2(たとえば、1Hz)でサンプリングして公表する。第2のDCサブシステム104は、サンプリングされたモータ速度信号を第3のレートSR3(たとえば、1Hz)で再サンプリングして、再サンプリングしたモータ速度信号にさらなる遅延を生じさせて公表するパック制御ユニット(PCU)である。記録システム106は、第2のレートSR2でサンプリングし、また第3のレートSR3でサンプリングした公表されたモータ速度信号を記録する航空機パラメータのデータレコーダである。これらの記録された信号は両方とも、速度センサから出力されるモータ速度信号から供給される。
【0029】
図2に示すのは、併合する前の第1のDCサブシステム102から出力される一次のサンプリング信号p202と二次のサンプリング信号q204とのグラフ200である。一次のサンプリング信号p202は第1のDCサブシステム102からの出力を表し、二次のサンプリング信号q204は第2のDCサブシステム104による出力を表す。それぞれ測定値対次元のプロットである。図示した例では、値はCAC速度(rpm)であり、次元は、時間の次元と相互に関連するサンプルのインデックスで示す。
【0030】
一次及び二次のサンプリング信号202、204は互いに同様であり、二次のサンプリング信号204は一次のサンプリング信号202に対して遅れている。一次及び二次のサンプリング信号202、204は、グラフの始まり及び終わりにおいて(インデックス=8~13及び20~24)、実質的に互いに等しい。傾斜相の間は(インデックス=13~18)、一次及び二次のサンプリング信号202、204は比較的直線状で平行であり、一次のサンプリング信号202に対して二次のサンプリング信号204が遅れているのが明らかである。本開示の目的は、二次のサンプリング信号204のサンプル点を左にシフトさせて、二次のサンプリング信号204が一次のサンプリング信号202と位置が合うようにし、そして、サンプリングされた一次及び二次の両信号202、204のサンプル点を結合して併合信号(
図5及び6)にすることである。
【0031】
図3に示すのは、グラフ200の傾斜相の一部の拡大版であるグラフ300である。インデックス15~17をt_15~t_17と標示しており、各インデックスは時間の増加、たとえば1秒を表している。第1のシフト316を、一次及び二次のサンプリング信号p202、q204間で、インデックスに対して決定する。インデックスは時間の次元と相互に関連する。第1のシフト316は、一次のサンプリング信号p202の選択された第1のサンプリング点304(T_15でサンプリングしたp_i)において決定する。i=インデックス(時間増加)であり、サンプリング点p_iはインデックスiにおける信号値に対応し、t_iはインデックスiにおける時間である。次に第2のシフト324を、一次のサンプリング信号p202の選択された第2のサンプリング点306(p_i+1)において決定する。
【0032】
図4において、第2のサンプリング点306は、この例では、第1のサンプリング点304に対する次の後続点であると示されているが、本開示は特定の第2のサンプリング点に限定されない。第2のサンプリング点306は、以前のサンプリング点p_i-1に選択することもできるし、または第1のサンプリング点304からさらに離して配置することもできる(たとえば、p_i+nまたはp_i-n)。必要なのは、第1及び第2のサンプリング点304、306をそれぞれ、互いから離間に配置して、一次のサンプリング信号p202の傾斜相上に配置することである。さらに、二次のサンプリング信号q204も、その傾斜相内の第1及び第2の点304、306の値の上下のサンプリング点に位置する必要がある。
【0033】
第1及び第2のサンプリング点304、306は、両方とも一次のサンプリング信号p202の傾斜相上にあるように、また第1及び第2のシフトを決定するために利用できる二次のサンプリング信号204q上の点をその傾斜部分上で選択できるように選択する。第1及び第2のサンプリング点304、306を選択するための方法例について説明しているが、本開示はこの特定の方法に限定されない。図示した例では、第1のサンプリング点は、閾値302の値よりも大きい値を有するように選択している。閾値302は、一次及び二次の両信号202、204とそれらの両傾斜相において交差するように選択される。この方法では、一次及び二次の信号202、204にそれらがほぼ直線的に変化する時間または相がある必要がある。図示した例では、第1の点p_i 304は、測定値MV1を有するp_15であり、第2の点p_i+1 306は測定値MV2を有するp_16である。
【0034】
次に、別個の対応する測定値MV3及びMV4を有し、MV3≦MV1<MV4である二次のサンプリング信号q204の第3及び第4の連続するサンプリング点308、310を選択する。図示した例では、第3のサンプル点はq_15であり、第4のサンプル点はq_16である。第3及び第4のサンプリング点308、310を通る第1のライン312を決定し、第1のライン312の勾配及び切片を決定する。測定値MV1を有する第1の点314を第1のライン312上で決定する。第1のシフト316を、第1のサンプリング点304に対応する第1のインデックス値IV1と、第1の点314に対応する第2のインデックス値IV2との間の距離であると決定する。図示した例では、IV1=t_15である。この第1のシフト316は、第3及び第4のサンプリング点308、310の領域における一次及び二次のサンプリング信号p202、q204間のインデックス差(時間差を表す)であり、二次のサンプリング信号q204に第1のシフト316を適用すると、第1のサンプリング点304において第1のサンプリング信号p202と位置が合う。
【0035】
図4に示すように、第2のシフト324を決定する。第4のサンプリング点310と連続する第5のサンプル点318を、二次のサンプリング信号q204上で選択する。図示した例では、第5のサンプル点318はq_17であり、測定値MV5を有し、MV4≦MV2<MV5である。第4及び第5のサンプリング点310、318を通る第2のライン320を決定し、第2のライン320の勾配及び切片を決定する。測定値MV2及びインデックス値IV4を有する第2の点322を、第2のライン320上で決定する。第2のシフト324を、第
2のサンプリング点306に対応する第1のインデックス値IV3と、第2の点322に対応する第2のインデックス値IV4との間の距離であると決定する。図示した例では、IV3=t_16である。この第2のシフト324は、第4及び第5のサンプリング点310、318の領域における一次及び二次のサンプリング信号p202、q204間のインデックス差(時間差を表す)であり、二次のサンプリング信号q204に第2のシフト324を適用すると、第2のサンプリング点306において第1のサンプリング信号p202と位置が合う。
【0036】
第1のシフト316と第2のシフト324に関数を適用して、計算されたシフトを取得する。たとえば、第1のシフトと第2のシフト324の平均化である。第1のシフト316と第2のシフト324を結合する他の方法例は、最小の関数、最大の関数、または二乗総和平方根関数などの関数を適用することである。計算されたシフトを適用することによって各サンプル点のインデックス値(時間に対応する)をシフトさせることによって、二次のサンプリング信号q204を調整する。図示した例では、二次のサンプリング信号q204の各サンプル点のインデックス値から計算されたシフトを差し引くことによって、計算されたシフトを適用する。
【0037】
図5を参照して、曲線500は、一次のサンプリング信号p202の第1及び第2のサンプリング点302及び304と、サンプリング信号q204のシフトされた第3、第4、及び第5のサンプル点308、310、318とを含む併合信号502の一部を示す。すべて、互いに連結されて、その時間値によってソートされている。
【0038】
図6を参照して、曲線600は、より多いサンプリング点とシフトされたサンプリング点(傾斜部分全体と非傾斜部分を含む)を伴う併合信号502を示す。併合信号502は、一次及び二次のサンプリング信号p202、q204のどちらよりも効果的なサンプリングレートによって、分解能がより良好な曲線を有する忠実度がより高い信号である。サンプリング点及びシフトされたサンプリング点は時間的に均一には配置されていないが、これは、併合曲線を固定レートで再サンプリングすることによって対処することができる。
【0039】
併合信号502を、健全性分析コンポーネント110によって分析して、監視対象のコンポーネントにおける障害の進行を検出する。健全性分析コンポーネント110は、併合信号502を分析してコンポーネント検知信号の特徴を推定することが、たとえば併合信号502の曲線下の領域を決定することによって可能である。併合信号から導き出すことができる特徴の他の例は、曲線の選択部分より下の領域、及び直線部分の勾配である。忠実度がより高い併合信号502によって、健全性分析コンポーネント110は、このような特徴を推定して障害進行を認識するためのより高い精度を達成することができる。障害の進行を検出したら、健全性分析コンポーネント110は障害の表示を発し、それにより、監視対象のコンポーネントまたはターゲットシステムを無効にするかまたはコンポーネントへのサービスの提供を推奨する。サービスとしては、コンポーネントを無効にすること、及び/またはコンポーネントが含まれるターゲットシステムからコンポーネントを取り外すこと、またはターゲットシステムを無効にすることを挙げることができる。サービスの提供を推奨することとしては、コンポーネントをテストし、無効にし、取り外し、及び/または交換する行為を行うことを挙げることができる。行為を、コンポーネントもしくはターゲットシステムまたはターゲットシステムの外部のシステムに適用することができる。
【0040】
図2~6に例示した例では、一次及び二次の信号202、204は同時にサンプリングしているが、本開示はこのような同時サンプリングに限定されない。サンプリングが同時であるか否かとは関係なく、説明したアルゴリズムは正確に機能する。
【0041】
次に
図7及び8を参照して、種々の典型的な実施形態の実施態様を実証するフロー図を示す。
図7及び8に示す動作の順序は必須ではなく、したがって原理的には、種々の動作を例示とは違う順番でまたは並列に行ってもよいことに注意されたい。また特定の動作を省略してもよいし、異なる動作を加えるかもしくは置換してもよいし、または選択した動作もしくは動作群を本明細書で説明する実施形態に続く別個の適用において行ってもよい。
【0042】
図7に示すのは、実施形態による方法例を例示するフローチャート700である。本方法は、CMシステム(たとえば、
図1に示すCMシステム100)で行うことができる。動作702において、第1のサンプリング信号を受け取る。第1のサンプリング信号は、第1のサンプリングレートでサンプリングされた第1の複数のサンプリング点を有する。第1のサンプリング点はそれぞれ、付随する測定値及び次元値を有する。動作704において、第2のサンプリング信号を受け取る。第2のサンプリング信号は、第2のサンプリングレートでサンプリングされた第2の複数のサンプリング点を有し、第2のサンプリング点はそれぞれ、付随する測定値及び次元値を有する。第1及び第2のサンプリング信号は、コンポーネントを検知するの同じプロセスから生じる。動作706において、第1のシフトを、第1のサンプリング信号の第1のサンプリング点において第1のサンプリング信号と第2のサンプリング信号との間の次元(たとえば、時間)に対して決定する。動作708において、第2のシフトを、第1のサンプリング信号の異なる第2のサンプリング点において第1のサンプリング信号と第2のサンプリング信号との間の次元に対して決定する。
【0043】
動作710において、第1のシフトと第2のシフトの関数である計算されたシフトを決定する。動作712において、計算されたシフトに基づいてシフトされた第1の複数の各サンプリング点と第2の複数の各サンプリング点とを含む併合信号を生成する。動作714において、併合信号の分析に基づいて少なくとも障害の閾値表示があるか否かを判定する。この判定は、併合信号を分析することによって行う。分析には、併合信号の特徴に基づいてコンポーネント検知信号の特徴を推定することを含めることができる。併合信号の特徴を閾値と比較することができる。判定がNOである場合、すなわち、障害の閾値表示はないと動作714で判定された場合には、本方法は動作702に戻って、さらなる監視(たとえば、他のコンポーネントの監視)に付随するサンプリング信号を処理することができる。判定がYESである場合、すなわち、少なくとも障害の閾値表示があると動作714で判定されたら、コンポーネントを無効にするかまたは取り外しを推奨する。本方法は動作702に続くことができる。
【0044】
図8に示すのは、実施形態による信号処理システムによって行われる方法例を例示するフローチャート800である。動作802において、第2の複数のサンプリング点の第3及び第4の連続するサンプリング点を選択する。第3及び第4のサンプリング点は別個の対応する測定値MV3及びMV4を有し、MV3≦MV1<MV4である。動作804において、第3及び第4のサンプリング点を通る第1のラインを決定する。第1のラインは第1の勾配と第1の切片を有する。動作806において、第1のライン上の第1の点を決定する。第1の点は測定値MV1を有する。動作808において、第1のシフトは、第1のサンプリング点に対応する第1の次元値DV1と、第1の点に対応する第2の次元値DV2との間の第1の距離であると決定する。
本開示の態様を、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフロー図説明及び/またはブロック図を参照して前述した。当然のことながら、フロー図説明及び/またはブロック図の各ブロック、ならびにフロー図説明及び/またはブロック図におけるブロックの組み合わせを、コンピュータプログラム命令によって実施することができる。これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに与えてマシンを生成して、命令が、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行されると、フロー図及び/またはブロック図ブロックまたはブロック(複数)において特定された機能/作用を実施するための手段を形成するようにしてもよい。
【0045】
またこれらのコンピュータプログラム命令をコンピュータ可読媒体に記憶して、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスを特定の仕方で機能させ、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フロー図及び/またはブロック図ブロックまたはブロック(複数)において特定された機能/作用を実施する命令を含む製造品を生成できるようにしてもよい。
【0046】
またコンピュータプログラム命令をコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイス上にロードして、一連の演算動作をコンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で行ってコンピュータ実装プロセスを生成して、命令が、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行されると、フロー図及び/またはブロック図ブロックまたはブロック(複数)において特定された機能/作用を実施するためのプロセスを実現するようにしてもよい。
【0047】
信号併合器コンポーネント108の実施形態を、1つ以上のコンピュータシステム(たとえば、
図9に例示したコンピュータシステム例902)によって実施または実行してもよい。各コンピュータシステム902は、信号併合器コンポーネント108、またはその複数の実例を実施することができる。種々の実施形態では、コンピュータシステム902は、サーバ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップなどを含んでいてもよく、及び/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどのうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0048】
コンピュータシステム902は、好適なシステムの単なる一例であり、本明細書で説明する本開示の実施形態の使用または機能の範囲に関する何らかの限定を示唆することは意図していない。それとは関係なく、コンピュータシステム902は前述した機能のいずれかを実施及び/または実行することができる。
【0049】
コンピュータシステム902は、コンピュータシステムによって実行されているコンピュータシステム実行可能命令(たとえば、プログラムモジュール)の全般的な背景で説明してもよい。全般的に、プログラムモジュールには、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、ロジック、データ構造などの、特定のタスクを実行するかまたは特定の抽象データ型を実施するものが含まれていてもよい。コンピュータシステム902は、通信ネットワークを通してリンクされたリモート処理装置によってタスクが行われる分散データ処理環境で実施してもよい。分散データ処理環境では、プログラムモジュールを、メモリ記憶デバイスを含むローカル及びリモートコンピュータシステム記憶媒体の両方に配置してもよい。
【0050】
コンピュータシステム902を、汎用コンピューティング装置の形態で
図9に示す。コンピュータシステム902のコンポーネントには以下が含まれていてもよい(しかし、これらに限定されない)。1つ以上のプロセッサまたはプロセシングユニット916、システムメモリ928、及びシステムメモリ928を含む種々のシステムコンポーネントをプロセッサ916に結合するバス918。バス918は、いくつかのタイプのバス構造(メモリバスまたはメモリコントローラを含む)、周辺バス、アクセラレイティッドグラフィックスポート、及びプロセッサまたはローカルバス(種々のバスアーキテクチャのいずれかを用いる)のいずれかのうちの1つ以上を表している。一例として、また限定することなく、このようなアーキテクチャとしては、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ビデオエレクトロニクス標準協会(VESA)ローカルバス、及びペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バスが挙げられる。
【0051】
コンピュータシステム902には典型的に、種々のコンピュータシステム読取可能な媒体が含まれる。このような媒体は、信号併合器コンポーネント108によってアクセス可能な任意の入手可能な媒体であってもよく、揮発性及び不揮発性媒体、取り外し可能及び取り外し不可能な媒体の両方が含まれる。
【0052】
システムメモリ928には、揮発性メモリの形態のコンピュータシステム読取可能な媒体を含むことができる(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)930及び/またはキャッシュメモリ932)。コンピュータシステム902にはさらに、他の取り外し可能/取り外し不可能、揮発性/不揮発性コンピュータシステム記憶媒体が含まれていてもよい。単に一例として、記憶システム934を、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体(図示せず、典型的に「ハードドライブ」と言う)に対して読み出し及び書き込むために設けることができる。図示しないが、取り外し可能な不揮発性磁気ディスクに対して読み出し及び書き込むための磁気ディスクドライブ、ならびに取り外し可能な不揮発性光ディスク(たとえば、CD-ROM、DVD-ROM、または他の光媒体)に対して読み出しまたは書き込むための光ディスクドライブを設けることができる。このような場合には、それぞれを1つ以上のデータ媒体インターフェースを介してバス918に接続することができる。以下でさらに図示及び説明するように、メモリ928には、本開示の実施形態の機能を行うように構成されたプログラムモジュールの組(たとえば、少なくとも1つ)を有する少なくとも1つのプログラム製品が含まれていてもよい。
【0053】
プログラム/ユーティリティ940は、たとえば、
図7及び8に示すフローチャート700及び800の動作を行うためのプログラムモジュール915の組(少なくとも1つ)を有しており、各プログラムモジュール915は、一例として、また限定することなく、メモリ928に、ならびにオペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータに記憶してもよい。オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータのそれぞれ、またはそれらの何らかの組み合わせに、ネットワーキング環境の実施態様が含まれていてもよい。プログラムモジュール915は全般的に、本明細書で説明するように、本開示の実施形態の機能及び/または方法を行う。
【0054】
またコンピュータシステム902は、1つ以上の外部装置914(たとえば、キーボード、ポインティング装置、ディスプレイ924など)、ユーザがコンピュータシステム902と相互に作用することを可能にする1つ以上のデバイス、及び/または信号併合器コンポーネント108が1つ以上の他のコンピューティング装置と通信することを可能にする任意のデバイス(たとえば、ネットワークカード、モデムなど)と通信してもよい。このような通信は、入出力(I/O)インターフェース922を介して行うことができる。それでも、コンピュータシステム902は、1つ以上のネットワーク、たとえばローカルエリアネットワーク(LAN)、一般的なワイドエリアネットワーク(WAN)、及び/またはパブリックネットワーク(たとえば、インターネット)と、ネットワークアダプタ920を介して通信することができる。図示したように、ネットワークアダプタ920は、信号併合器コンポーネント108の他のコンポーネントとバス918を介して通信する。当然のことながら、図示しないが、他のハードウェア及び/またはソフトウェアコンポーネントをコンピュータシステム902とともに用いることができる。例としては以下が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。マイクロコード、デバイスドライバ、余分なプロセシングユニット、外部ディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライブ、及びデータアーカイバル記憶システムなど。
【0055】
図のフロー図及びブロック図は、本開示の種々の実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、及び動作を例示している。これに関連して、フロー図またはブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、またはコードの一部(指定の論理関数(複数可)を実施するための1つ以上の実行可能命令を含む)を表してもよい。また、いくつかの代替的な実施態様では、ブロック内で言及した機能を、図で言及した順番から外れて行ってもよいことにも注意されたい。たとえば、含まれる機能に応じて、連続して示した2つのブロックを実際には実質的に同時に実行してもよいし、またはブロックをしばしば逆の順序で実行してもよい。また、ブロック図及び/またはフロー図説明図の各ブロック、ならびにブロック図及び/またはフロー図説明図におけるブロックの組み合わせを、特定の機能もしくは作用を実行する専用のハードウェアベースのシステム、または専用のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実施できることに注意されたい。
【0056】
本開示の種々の実施形態の記載を説明を目的として示してきたが、網羅的であることも、開示した実施形態に限定されることも意図していない。説明した実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの変更及び変形が当業者には明らかである。本明細書で用いる専門用語の選択は、実施形態の原理、実際の応用、もしくは市場で見られる技術に対する技術的改善を最良に説明するように、または本明細書で開示した実施形態を他の当業者が理解できるように行った。
【0057】
開示した方法によって得られる可能性のある利点は、拡張された信号、及び/または1つ以上の融合された信号を生成するセンサを有する異なるデータ収集システムからの信号を、前記各信号及び/または異なるデータ収集システムから出力される各信号の強度を利用する技術を用いて処理する一方で、このような信号における弱さを最小限にすることができることである。本方法は1つ、2つ、またはそれ以上のデータ収集システムに対して用いることができる。融合された信号は、時間に対して動的である。なぜならば、信号は時間ごとに評価及び融合されるからである。本方法は、ある時間に渡って融合された同期信号のストリーミングに適用することができる。
【0058】
本明細書で説明した技術は典型的であり、特定の例示した実施形態の何らかの特定の限定を意味すると解釈してはならない。当然のことながら、当業者であれば種々の代替案、組み合わせ、及び変更を考案することができる。たとえば、本明細書で説明したプロセスに対応付けられる動作を、特に指示がない限りまたは動作自体による要求がない限り、任意の順番で行うことができる。本開示は、添付の請求項の範囲に含まれるすべての代替案、変更、及び変形を受け入れることが意図されている。
【0059】
用語「含む」または「含んでいる」は、記載した特徴、整数、動作、またはコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、動作、もしくはコンポーネント、またはそれらの群の存在を排除するものではないと解釈すべきである。
【0060】
主題の開示のシステム及び方法を、前述で開示した実施形態について説明してきたが、当業者であれば容易に分かるように、添付の請求項によって規定されるような特定の例示した実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変形及び変更を施してもよい。