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▶ ヴィシャイ セミコンダクター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】光学エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G01D5/347 110C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021559834
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020059742
(87)【国際公開番号】W WO2020207959
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】102019109469.0
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399011911
【氏名又は名称】ヴィシャイ セミコンダクター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Vishay Semiconductor GmbH
【住所又は居所原語表記】Theresienstr.2 D-74025 Heilbronn B.R.Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クーン,サシャ
(72)【発明者】
【氏名】ミューレック,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】シャフ,クリスティナ
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108844560(CN,A)
【文献】特開2016-114404(JP,A)
【文献】中国実用新案第2535844(CN,Y)
【文献】独国特許出願公開第102017102152(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0577088(EP,A2)
【文献】特開昭60-047917(JP,A)
【文献】特開昭56-081412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26 ~ 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミッタ(12)と、レシーバ(14)と、反射器(16)と、コードキャリア(18)と、を備えた光学エンコーダ(10)であって、
エミッタ(12)は、その放射軸(S)に沿って反射器(16)の方向に電磁放射を放射し、
反射器(16)は、レシーバ(14)の方向にその受信軸(E)に沿って電磁放射を偏向させる少なくとも1つの反射セクション(30a,30b)を有し、
反射器(16)は、回転軸(D)を中心として回転可能に支持された回転可能なディスクとして構成され、
コードキャリア(18)は、移動可能に支持されるとともに、コードキャリア(18)の位置に応じて、放射された電磁放射を遮断するか、または放射された電磁放射がレシーバ(14)に衝突することを可能にする、コードセクション(26)の配列を有しており、
放射軸(S)および受信軸(E)が、互いに関して30度~150度の位置合わせ角度で延在し、
反射器(16)の少なくとも1つの反射セクション(30a,30b)は、回転軸(D)に対して斜めに傾斜している回転可能なディスクの周縁部に配置されており、
コードキャリア(18)は、反射器(16)とは別個のフラットコードディスクとして構成され、前記フラットコードディスクは、反射器(16)に固定的に接続されるとともに、回転軸(D)に対して法平面に沿って延びており、コードキャリア(18)は、少なくとも1つの円環状のコードトラック(25)を有し、そのコードトラックは、回転軸(D)から半径方向の間隔でコードセクション(26)の配列を有しており、コードセクション(26)の配列が、放射線を吸収するまたは放射線を透過するものとして交互に構成される、光学エンコーダ(10)。
【請求項2】
放射軸(S)と受信軸(E)との間の位置合わせ角度が90度であることを特徴とする請求項1に記載の光学エンコーダ(10)。
【請求項3】
反射器(16)の少なくとも1つの反射セクション(30a,30b)は、それぞれ45度の角度で、放射軸(S)および受信軸(E)に対して斜めに整列されることを特徴とする請求項1または2に記載の光学エンコーダ(10)。
【請求項4】
電磁放射がコードセクション(26)の配列に実質的に垂直に入射するように、コードセクション(26)の配列がコードキャリア(18)に配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光学エンコーダ(10)。
【請求項5】
少なくとも1つの反射セクション(30a,30b)に隣接して配置されるとともに放射された電磁放射を遮断する、反射器(16)の少なくとも1つの遮断セクション(35)が、追加のコードセクションを形成することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の光学エンコーダ(10)。
【請求項6】
反射器(16)が、複数の反射セクション(30a,30b)の配列を有することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の光学エンコーダ(10)。
【請求項7】
コードキャリア(18)が、コードセクション(26)の複数の配列を有し、複数の配列が、互いに隣接して配置された複数のコードトラックを形成することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の光学エンコーダ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エミッタと、レシーバと、反射器と、コードキャリアと、を備え、エミッタは、放射軸に沿って反射器の方向に電磁放射を放射し、反射器は、受信軸に沿ってレシーバの方向に電磁放射を偏向させる少なくとも1つの反射セクションを有し、コードキャリアは、移動可能に支持されるとともに、コードキャリアの位置に応じて、放射された電磁放射を遮断するか、または放射された電磁放射がレシーバに衝突することを可能にするコードセクションの配列を有する、光学エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
このような光学エンコーダでは、エミッタにより放射軸に沿って放射された電磁放射は、まず可動コードキャリアに入射し、任意選択的に、続いて受信軸に沿ってレシーバに入射する。放射された電磁放射は、例えば、可視光、赤外線放射、または紫外線放射を含みうる。レシーバは、放射された電磁放射に敏感であり、受信した電磁放射を電気信号に変換する。コードキャリアは、この点で、その動きを受け取る可動装置に接続される。レシーバで受信した電磁放射は、コードキャリアの位置変化によって変調される。レシーバに入射する電磁放射のこの変調は、速度、相対位置変化、またはコードキャリアまたはそれに接続された装置の絶対位置に関して評価される。この点で、コードキャリアは多くの場合、タイミングディスクまたはタイミングルーラーとも呼ばれる。光学エンコーダは、光学式位置エンコーダと呼ばれることもある。
【0003】
公知の光学エンコーダは、反射器の配置とコードキャリアの設計が異なる伝送型(transmitting type)と反射型(reflective type)に分けることができる。伝送型エンコーダでは、コードキャリアには一連の放射線伝送セクションと放射線吸収セクションがあり、それらは、コードキャリアの位置に応じて、エミッタにより放射された電磁放射を通過させてレシーバに衝突させるか、または吸収によりそれを中断させる。対照的に、反射型のエンコーダには、電磁放射を反射するセクションと非反射セクションとの配列(sequence)を有するコードキャリアがある。この点でコードキャリアの反射セクションは、エミッタによりレシーバの受信軸の方向に放射された電磁放射を反射する。対照的に、無反射部分に入射する電磁放射は、レシーバの受信軸の方向に偏向されず、したがって、特に吸収のためにレシーバに到達しない。
【0004】
これらの2つの動作モードの結果、伝送型エンコーダにはエミッタとレシーバの配置があり、放射軸と受信軸には0度の位置合わせ角度が含まれる。例えば、エミッタとレシーバは互いに反対側に配置することができ、コードキャリアはエミッタとレシーバの間の中間の空間に配置される。このような構成では、特に放射軸と受信軸が一致する。
【0005】
対照的に、反射型エンコーダは、放射軸と受信軸が約180度の位置合わせ角度を含むエミッタとレシーバの配置を有する。この点で、エミッタとレシーバは、1つの平面内で互いに近接して配置され、平行に配置される。エミッタとレシーバの平面から離間して配置されたコードキャリアは、その位置に応じて、エミッタにより放射された電磁放射をレシーバの受信軸の方向に反射する(したがって、それがレシーバに衝突することを可能にする)、またはそれを吸収する(したがって、レシーバへの衝突を遮断する)。
【0006】
伝送型エンコーダは、エミッタ、レシーバ、またはコードキャリアの位置偏差に対する高度な堅牢性と安定性を特徴とする。対照的に、反射型エンコーダは確かにより単純な設計を有するが、外乱が発生しやすくなるか、または上記の位置偏差に関して許容誤差が小さくなる。したがって、提供された配置平面からのわずかな逸脱およびコードキャリアの位置合わせでさえ、例えば、放射された電磁放射がもはやレシーバによって正しく受信されないという結果をもたらす可能性がある。
【0007】
光エンコーダは、一般に、放射軸がコードキャリアの移動面と平行に延在するエミッタの位置合わせ、または放射軸がコードキャリアの移動面に直交して延在するエミッタの位置合わせに配置および操作することができる。この点で、並列アライメントは、光学エンコーダの設置、安定性、および堅牢性に関して利点を提供するが、その製造は複雑および/または高価になる可能性があり(例えば、リング形状に湾曲したコードキャリアを使用する場合)、あるいは達成可能な解像度に制限が生じる可能性がある。直交配置により、コードキャリアの設置が簡単になるが、外乱や設置の許容誤差が発生しやすいという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、設置が容易であり、信頼性が高くトラブルのない操作を可能にし、位置検出の高解像度を可能にする改良された光学エンコーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有し、特に、エミッタの放射軸およびレシーバの受信軸が、互いに対して30度~150度の位置合わせ角度で延在する光学エンコーダによって充足される。
【0010】
放射軸と受信軸の間の位置合わせ角度は、伝送型のエンコーダの標準値0度ではなく、反射型のエンコーダの標準値約180度でもないため、光学エンコーダは、特にコードキャリアの移動面に対する放射軸の位置合わせに関して、用途に応じて柔軟に配置することができる。この点で、エミッタとレシーバは、共通のキャリア上で互いに対して前記の位置合わせ角度で配置することができ、それにより、光学エンコーダのコンパクトな構成と安価な製造が可能になる。
【0011】
放射軸と受信軸との間の特定の位置合わせ角度はまた、多くの実施形態において、それぞれの適用環境における光学エンコーダの単純化された設置を可能にする。特にコードキャリアは、通常、ドライブシャフトまたは接続シャフトの回転軸に沿って設置する必要がある。エミッタとレシーバの相対的な配置(例えば、いわゆるL構成)は、コードキャリアが回転可能なディスクとして構成されている場合でも、コードキャリアのそのような軸方向の設置を単純化する。
【0012】
広い範囲で選択できるエミッタとレシーバの特定の相対的な配置により、製造が簡単で安価なコードキャリアを使用することができる。いくつかの実施形態では、コードキャリアは、例えば、高解像度(すなわち、コードセクションの高い空間密度またはコードキャリアのわずかな位置変化の対応する正確な区別)を可能にするフラットコードディスクとして構成することができる。コードキャリアは、例えば、特にレーザーによって、コードセクションの高解像度配列を焼き付けまたは切断することができる薄い金属ディスクとして構成することができる。例えば、300LPI(lines per inch,1インチあたりの行数)の解像度を持つコードキャリアは、この方法で製造することができる。
【0013】
いくつかの実施形態におけるコードキャリアは、伝送エンコーダの原理に従って構成することができるので、光学エンコーダの信頼性が高くトラブルのない動作を保証することができる。したがって、光学エンコーダは、製造(設置公差)と動作(例えば、温度の影響など)の両方に関連する、位置合わせと相対間隔に関するエミッタ、レシーバ、またはコードキャリアの位置のずれに対して堅牢である。特に光学エンコーダはまた、拡散反射コードキャリアを有する反射エンコーダにとって必要であるように、レシーバで高解像度および高品質の信号を得るために、コードキャリアとレシーバとの間の間隔を可能な限り最小化する必要を生じさせない。
【0014】
このように、光学エンコーダは、高度な堅牢性と安定性に加えて、高解像度と簡単な設置を兼ね備える。
【0015】
放射された電磁放射の遮断が本発明に関連して言及される場合、これは、放射された電磁放射によるレシーバへの衝突の遮断を指す。このような遮断は、特に電磁放射の吸収によって、またはレシーバへと導く方向以外の方向への偏向によっても行なわれうる。
【0016】
エミッタは、例えば、発光ダイオード(特に、電磁放射をコリメートする関連する発光光学系を有する)またはレーザーダイオードを含むことができる。レシーバは、少なくとも1つの放射線感受性受信要素、例えば、フォトダイオードまたはフォトトランジスタ、または放射線感受性受信要素のグループまたはマトリックスを、特に1次元または2次元配置(いわゆるアレイ)で備えることができる。レシーバが複数の受信要素(例えば、フォトダイオード)を有する場合、それらは、個別の設計における別個の受信要素であるか、または、(同じ種類であるか、または互いに異なる構成で、規則的または不規則に配置された)複数の受信要素が、例えば、いわゆるASICとして、アセンブリ内で一体的に形成されうる。放射軸および受信軸は、特に、エミッタのそれぞれの放射面またはレシーバの受信面に対して垂直であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、放射軸および受信軸は、互いに対して60度~120度の範囲の値を有する位置合わせ角度で延在することができる。この範囲内にある位置合わせ角度により、エミッタとレシーバのさまざまな配置概念が可能であり、それぞれの用途への適応を可能にする。
【0018】
一実施形態によれば、放射軸と受信軸との間の位置合わせ角度は、実質的に90度になる。したがって、エミッタによって放射された電磁放射は、レシーバの受信軸の方向に反射器によって90度偏向される。したがって、エミッタの放射面とレシーバの受信面は、互いに90度の角度を含む2つの平面を形成することができ、それにより、放射面と受信面に対してL字型の構成が生じる。このような構成により、特に簡単な製造と設置が可能になる。別の点では、特に90度の位置合わせ角度は、光学エンコーダを垂直方向から水平方向に特に簡単に変更することを可能にする。
【0019】
いくつかの実施形態では、コードキャリアは、回転軸を中心として回転可能に支持されるとともに、少なくとも1つの円環状のコードトラックを有するコードディスク(特に円形ディスクまたはリングディスク)として構成され、コードディスクは、回転軸から半径方向の間隔(radial spacing)での、コードセクションの配列を有する。この点で、一方では回転軸、他方では放射軸および/または受信軸は、互いに直角を形成することができる。コードディスクは、回転軸に対して平らに形成することができ、つまり、回転軸に対して法平面内に延在することができる。あるいは、コードキャリアは、コードセクションの配列を有する少なくとも1つの直線コードトラックを有する直線的に移動可能なコードストリップとしても構成することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、コードセクションの配列は、一方では放射線を伝送または反射し、他方では放射線を吸収するものとして、交互に構成される。したがって、コードキャリアが移動すると、エミッタによって放射された放射は、放射された電磁放射がレシーバに衝突するように道を譲るセクション、または放射された電磁放射を遮断するセクションに交互に入射する。コードセクションの配列は、さまざまな方法でコードキャリアに適用される。したがって、コードセクションは、例えば、印刷、エッチング、パンチング、またはレーザー切断によって形成することができる。
【0021】
少なくとも1つの反射セクションは、(拡散反射器とは対照的に)定義された指向性反射をもたらすように鏡面反射することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの反射セクションは、拡散的に反射することができる。
【0022】
例えば、反射器および少なくとも1つの反射セクションは、白色の拡散反射プラスチックから安価に製造することができる。これに代わるものとして、反射器は、少なくとも1つの反射セクションを形成するための反射表面層を備えたプラスチックから安価に製造することができる。反射器は透明な材料から製造され、少なくとも1つの反射セクションで全反射により反射が生じることも考えられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、反射器は、単一の反射セクションを有することができる(例えば、回転可能な円盤状の反射器の周縁に沿って延びる、特に周縁部が閉じている、または静止した反射器で形成される)。いくつかの実施形態では、反射器は、互いに隣接して配置され、複数の経路または配列を形成する(例えば、回転可能なディスク形状の反射器の周縁に沿って互いに隣接して延びる)複数の反射セクションを有することができる。いくつかの実施形態では、反射器は、配列(sequence)を形成する複数の別個の反射セクションを有することができる(例えば、反射セクションが、回転可能なディスク形状の反射器の周縁に沿って配列を形成する)。複数の別個の反射セクションの配列は、特に、放射された電磁放射が検出器に衝突するための道を譲るコードセクションの配列に対応することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、複数の別個の反射セクションの第1の配列に加えて、反射器は、その複数の別個の反射セクションの第1の配列からオフセットして配置されるとともに、電磁放射を少なくとも1つのさらなる受信軸の方向に偏向させる、複数の別個の反射セクションの少なくとも1つのさらなる配列を含むことができる。この点に関して、少なくとも1つのさらなる放射軸に沿って電磁放射を放射する少なくとも1つのさらなるエミッタを特に提供することができる。次に、少なくとも1つのさらなるエミッタによって放射された電磁放射は、例えば、複数の別個の反射セクションのさらなる配列により、少なくとも1つのさらなる受信軸の方向に偏向され得る。これにより、光学エンコーダの解像度の向上および/または絶対位置の決定が可能となる。
【0025】
いくつかの実施形態では、反射器の(1つまたは複数の)反射セクションは、特にそれぞれ45度の角度で、放射軸および受信軸に対して斜めに整列される。これにより、放射軸および受信軸は、特に、90度の位置合わせ角度で配置することができ、それにより、前記L構成における光学エンコーダの特にコンパクトな構成が可能となる。
【0026】
いくつかの実施形態では、反射器およびコードキャリアは、共通のアセンブリによって形成される。これにより、コンポーネントの寸法と相対間隔の公差を最小限に抑えることができ、光学エンコーダの動作における測定の安定性と精度が向上する。
【0027】
反射器とコードキャリアは、互いに一体に形成することができ、またはコードキャリアは、反射器とは別に形成することができるが、反射器に固定的に接続することができる。コードキャリアと反射器が互いに別々に形成されている場合は、それぞれの理想的な材料を選択することができる。たとえば、反射器はミラー化されたプラスチック部品として安価に製造されるが、コードキャリアは平らな金属板として製造され、コードセクションの配列を安価な方法で高い空間密度と高精度で取り付けることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、特に反射器とコードキャリアが共通のアセンブリによって形成される場合、反射器は可動である。反射器とコードキャリアは、例えば、剛体として均一に動くことができ、特に回転運動において同じ回転速度で動くことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、特に反射器とコードキャリアが共通のアセンブリによって形成される場合、反射器は、特に円形の輪郭を有する回転可能なディスクとして構成される。この点で、反射器の少なくとも1つの反射セクションは、回転可能なディスクの斜めに傾斜した周縁部(特に外周)に配置することができ、反射セクションは、特に反射器の回転軸に対して斜めに傾斜している。回転可能なコードディスクとしてのコードキャリアの構成の場合、斜めの周縁部に配置された反射セクションは、例えば、コードディスクおよび/またはコードディスクの回転軸に対して45度の角度で整列させることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、特に反射器とコードキャリアが共通のアセンブリによって形成される場合、反射器の少なくとも1つの反射セクションは、コードセクションの配列とは別に形成され、および/またはコードセクションの配列から離間して配置され、コードセクションの配列は、放射線を吸収するか、または放射線を伝送するように交互に構成される。例えば、コードキャリアは、反射器の範囲の主平面と平行に整列され、一方では反射器の少なくとも1つの反射セクションと、他方ではエミッタまたはレシーバと、の間に配置され得る。回転可能なディスクとしての反射器およびコードディスクとしてのコードキャリアの実施形態では、反射器およびコードキャリアは、互いに固定的に接続され(特に軸方向に間隔を置いて)、共通の回転軸に沿って互いに平行に配置され得る。したがって、コードディスクは、例えば、その範囲の主平面に対応する反射器の側面に隣接および/または接続することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、コードセクションの配列は、電磁放射が垂直または実質的に垂直な方法で(放射後または反射後に)コードセクションの配列に入射するように、コードキャリアに配置される。これにより、電磁放射のコリメートされた放射で高解像度を達成することができる。例えば、コードセクションの配列は、円形の反射器に同軸に配置されるとともに、その反射器に接続された円形リングを形成すると考えられる。この点で、円形反射器および(例えば、円形または円環状の)コードキャリアは、別々に製造され、接続されて、共通のアセンブリを形成することができる。
【0032】
上記の説明によれば、反射器は、いくつかの実施形態では、回転軸を中心として回転可能に支持された回転可能な(特に円形の)ディスクとして構成され、反射器の少なくとも1つの反射セクションが、回転軸に対して斜めに傾斜している回転可能なディスクの周縁部に配置され、コードキャリアは、反射器に固定的に接続され、回転軸に垂直に延びる(例えば、円形または円環状の)コードディスクとして構成され、コードキャリアは、少なくとも1つの円環状のコードトラックを有しており、そのコードトラックは、回転軸から半径方向の間隔でコードセクションの配列を有し、コードセクションの配列が、放射を吸収するまたは放射を伝送するように交互に構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、特に最後に述べた(反射器が回転可能なディスクであり、コードキャリアは、反射器に接続されたコードディスクである)実施形態では、少なくとも1つの反射セクションに隣接して配置されるとともに、(例えば、吸収またはレシーバに衝突しない偏向によって)電磁放射を遮断する、反射器の少なくとも1つの遮断セクションが、追加のコードセクションを形成することができる。コードキャリアのコードセクションの配列(例えば、コードディスクのコードトラック)に加えて、少なくとも1つの追加のコードセクションがこれによって形成され、これは例えば、所謂インデックス発生器としての役割を果たすが、コードキャリアとは別に形成される。特に、コードセクションの配列と追加のコードセクションの配列とが同じレシーバによって検出されることが提供されてもよい。この目的のために、エミッタ、反射器、コードキャリア、およびレシーバは、適切な方法で互いに対して配置することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、対照的に、コードセクションの配列は、放射線を吸収、または反射するように交互に構成される。コードキャリアおよび反射器は、この点で、単一のコンポーネントによって形成することができ、反射コードセクションは、反射器のそれぞれの反射セクションを形成する。コードキャリアが移動すると、エミッタから放射された電磁放射は、次いで、放射された放射が反射コードセクションに入射した場合にのみ、レシーバの受信軸の方向に反射される。例えば、交互に放射線を吸収または反射するコードセクションの配列は、円形の円盤状の反射器の周縁部の対応する設計によって形成することができる。この実施形態は、低解像度のみを必要とするが、高度の堅牢性および安定性を必要とする用途に特に適している。したがって、一般に、コードセクションの1つ、いくつか、またはすべてが、1つまたはそれぞれの反射セクションによって形成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、特にコードキャリアおよび反射器が単一のコンポーネントによって形成される場合、反射器は、複数の反射セクションの配列を有することができる。この点で、複数のコードセクションの配列は、複数の反射セクションの配列によって形成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、特にコードキャリアおよび反射器が単一のコンポーネントによって形成される場合、反射器は、複数の反射セクションの配列に加えて、反射セクションの少なくとも1つのさらなる配列を有することができ、反射セクションのさらなる配列は、単一の反射セクションまたは複数の反射セクションを有することができる。さらなる配列の(1つまたは複数の)反射セクションは、特に、所謂インデックス発生器として機能することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、反射器およびコードキャリアは、別個のアセンブリによって形成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、特に反射器とコードキャリアが別々のアセンブリによって形成される場合、反射器は不動に、すなわち静止して配置することができる。これにより、光学エンコーダのさらに堅牢な構成が可能となる。可動部品の数を最小限に抑えることにより、光学エンコーダの外乱の傾向をさらに軽減することができる。例えば、反射器は、エミッタに不動に接続され、特にエミッタを取り囲むかまたは被覆するアセンブリを形成すると考えられる。
【0039】
いくつかの実施形態では、特に、反射器が不動に配置され、(例えば、円形の円盤状の)コードキャリアが回転可能である場合、コードキャリアは、その回転軸に対して軸方向にあるコードキャリアの設置を可能にするように適合された周辺カッタウェイを有することができ、反射器または反射器の一部がコードキャリアの周辺カッタウェイを通してガイドされる。換言すれば、コードキャリアが、光学エンコーダの動作において、回転するコードキャリアと軸方向に位置合わせされるように配置されている場合でさえ、コードキャリアが静止する反射器を軸方向に通過して所望の設置位置に移動できるように、周辺カッタウェイの半径方向および周方向の寸法を選択することができる。これにより、光学エンコーダの設置が簡素化される。このような周辺カッタウェイは、特に、コードキャリアの全角度範囲(360度)が動作に必要とされない用途(LIDARセンサーなど)に提供することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、コードキャリアは、コードセクションの複数の配列を有し、複数の配列は、互いに隣接して配置された複数のコードトラックを形成する。この点に関して、特に互いに平行に延在する異なる放射軸を有する複数のエミッタを提供すること、および/または、同様に、特に互いに平行に延在する異なる受信軸を有する複数のレシーバを提供することが可能である。すでに説明したように、反射器はまた、互いにオフセットして配置された反射セクションの複数の配列を有することができる。
【0041】
このようなコードセクションの乗算により、より正確な測定が可能になる。したがって、複数のコードトラックを増分測定で使用して、コードキャリアの回転方向を決定したり、コードキャリアの特定の回転角を通る通過を検出したり、そこから完了した回転の数を決定したりすることができる。それぞれが複数のコードセクション(特に異なる配列)を有する複数のコードトラックは、特に絶対位置値の測定に使用することができる。それぞれが複数のコードセクションを有する複数のコードトラックの代わりに、複数のコードセクションの配列を有するコードトラックに加えて、単一のコードセクション(所謂インデックス)のみを有するコードトラックを提供することもできる。
【0042】
いくつかの実施形態では、エミッタは、平行ビームとして電磁放射を放射するように構成される。エミッタは、例えば、レーザーダイオードを有してもよい。一実施形態によれば、光学エンコーダは、エミッタ(例えば、発光ダイオード)と反射器との間に配置され、エミッタによって放射された電磁放射を放射軸に沿って束ね、したがって、特にレシーバで受信される変調信号の強度を高め、より高い空間分解能を可能にする、コリメータ(例えば、収束レンズ)を備える。
【0043】
本発明を、ほんの一例として以下に図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】(A)および(B)は、本発明による光学エンコーダの実施形態の垂直方向の断面の斜視図である。
図2図1の実施形態の送受信装置20の断面図(A,B)および斜視図(C,D)である。
図3】(A)は、図1(A)および図1(B)の実施形態の反射器およびコードキャリアの断面図であり、(B)は、さらなる実施形態の反射器およびコードキャリアの断面図である。
図4】(A)~(C)は、図1(A)および図1(B)の実施形態の断面図である。
図5】(A)~(D)は、光学エンコーダの受信装置の実施形態の平面図である。
図6】(A)~(C)は、光学エンコーダのさらなる実施形態の断面図(A)および2つの斜視図(B,C)であり、(D)は、(A)~(C)の実施形態の反射器の底面斜視図である。
図7】(A)~(E)は、光学エンコーダのさらなる実施形態の3つの断面斜視図(A,B,D)および2つの断面図(C,E)である。
図8】(A)~(F)は、図6Aの実施形態の断面図(A,D)および4つの斜視図(B,C,E,F)である。
図9】(A)~(C)は、光学エンコーダのさらなる実施形態の断面図(A)および2つの斜視図(B,C)であり、(D)は、(A)~(C)の実施形態の反射器の平面斜視図である。
図10】(A)~(C)は、光学エンコーダのさらなる実施形態の断面図(A)および2つの斜視図(B,C)であり、(D)は、(A)~(C)の実施形態の反射器の可能な設置ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1Aおよび1Bは、光学エンコーダ10の実施形態の半径方向に切断された断面を斜視図で示す。光学エンコーダ10は、送受信装置20と、回転可能な、実質的に円形の円盤状の反射器16と、回転可能な、円形の円盤状のコードキャリア18と、を備える。送受信装置20は、共通のキャリアコンポーネント22上に配置された、光電子エミッタ12と、第1の光電子レシーバ14と、第2の光電子レシーバ15と、を備える。
【0046】
エミッタ12は、放射軸Sに沿って電磁放射(例えば、可視光、赤外線放射または紫外線放射)を放射し(図2Aおよび2Bを参照)、一方、第1のレシーバ14は、受信軸Eに沿って電磁放射を受信し(図2Aおよび2Bを参照)、第2のレシーバ15は、受信軸E’に沿って電磁放射を受信する(図2Aおよび2Bを参照)。第1のレシーバ14および第2のレシーバ15は、それぞれ、少なくとも1つの受信要素、特にフォトダイオードまたはフォトダイオードアレイを有し、その受信要素は、放射された電磁放射に敏感であり、それを電気信号に変換することができる。示される実施形態では、放射軸Sは、コードキャリア18の範囲の平面または移動面と平行に整列される。
【0047】
光学エンコーダ10はさらに、放射軸Sに沿って、好ましくはエミッタ12の近くに配置されるとともに、エミッタ12によって放射された電磁放射を束ねる、ここではレンズの形態の光学コリメータ24を備える。
【0048】
コードキャリア18は、円形の輪郭および円形のリング状の配列(sequence)のコードセクション26(コードトラックとも呼ばれる)を有する薄いコードディスク(例えば、金属で構成される)として構成される。コードセクション26は、コードディスクを通過し、半径方向に延在し、例えば、フライス盤、パンチング、またはレーザー切断によって形成することができる細長いスリットによって形成される。したがって、コードセクション26の配列は、垂直または実質的に垂直にコードキャリア18またはコードディスクに入射する電磁放射に対して交互に放射線透過または放射線吸収効果を有する。コードセクション26の配列に加えて、コードキャリア18は、コードセクション26の配列から半径方向にオフセットされたコードセクション27の第2の配列を有する。示される実施形態では、コードセクション27の第2の配列は、第2のレシーバ15が電磁放射によって衝突されるようにするための溝(recess)の形態の単一の放射線伝送コード要素を備える。
【0049】
反射器16は、円形の輪郭を有し、範囲28の主平面に沿って延在し、回転軸D(図3Aおよび3Bを参照)を中心として回転可能に支持されたディスクとして構成され、範囲28の主平面は、回転軸Dに対して90度の角度を採用している。反射器16は、2つの連続する反射セクション30a,30bを有し、それらは、それぞれ回転可能なディスクの周縁部に配置されるとともに、回転軸Dに関して互いに軸方向および半径方向にオフセットされている。したがって、反射セクション30a,30bは、反射器16または回転可能なディスクの外周の面取りされた領域に形成され、互いに関して垂直方向に上下に配置され、下部の反射セクション30bは、上部の反射セクション30aに対して回転軸Dの方向に径方向のオフセットを有する。両方の反射セクション30a,30bは、ここで水平に形成された接続セクション30cによって互いに接続されている。
【0050】
反射セクション30a,30bは、放射軸Sおよび受信軸E、E’に対して斜めに整列されて、放射軸Sに沿って放射された電磁放射を受信軸EおよびE’の方向に反射する。示される実施形態では、反射セクション30aは、第1のレシーバ14の受信軸Eの方向に電磁放射を反射する一方、反射セクション30bは、第2のレシーバ15の受信軸E’の方向に電磁放射を反射する。さらに、反射セクション30a,30bは、放射軸Sに対して同一の位置合わせ角度を有する。しかしながら、他の実施形態では、前記位置合わせ角度はまた、異なる値を採用してもよい。
【0051】
反射器16は、不透明なプラスチックから製造することができ、反射コーティングの形態で反射セクション30a,30bを有することができる。反射器16は、透明なプラスチックから製造され、エミッタ12によって放射された電磁放射を、放射軸Sに沿って受信軸E,E’の方向に完全に反射することも考えられる。
【0052】
図2A~2Dは、図1の実施形態の送受信装置20を2つの断面図(2Aおよび2B)および2つの斜視図(2Cおよび2D)で示す。送受信装置20では、一方ではエミッタ12、他方では第1のレシーバ14および第2のレシーバ15は、キャリアコンポーネント22上にL字型の構成で配置され、放射軸Sと受信軸Eまたは受信軸E’との間の位置合わせ角度は90度になる。放射軸Sおよび受信軸Eは、この点で、エミッタ12および第1のレシーバ14のそれぞれの放射および受信面に垂直であり、したがって、互いに90度の角度を含む。対応する関係は、放射軸Sおよび第2のレシーバ15の受信軸E’にも適用される。
【0053】
図2Aの図示では、送受信装置20は、図1Aおよび図1Bの実施形態に従って設置されている。これに関して、第1および第2のレシーバ14および15は、図示しない支持体上にキャリアコンポーネント22と共に水平に配置される一方、エミッタ12の固定面は、支持体に対して90度の角度で配置される。図2Bは、放射軸Sがコードキャリア18の範囲の平面または移動面に対して垂直に配向された、逆配向を有する送受信装置20を示す。エミッタ12は、ここではキャリアコンポーネント22とともに支持体上に水平に配置されているが、第1および第2のレシーバ14および15のそれぞれの固定面は、支持体に対して90度の角度で配置されている。送受信装置20のL字型の構成は、2つの位置合わせ変形の間の迅速な変更を可能にし、したがって、光学エンコーダ10の適用において高度の柔軟性を提供する。
【0054】
図1Aおよび1Bの実施形態では、反射器16およびコードキャリア18は、共通のアセンブリを形成する。図3Aは、断面図において、反射器16およびコードキャリア18を備えた共通のアセンブリの断面を示している。この点で、反射器16とコードキャリア18またはコードディスクは、共通の回転軸Dに沿って互いに軸方向に離間して配置され、互いに固定的に接続されている(例えば、接着結合されている)。回転軸Dの方向は矢印で示される。コードキャリア18またはコードディスクは、特に、反射器16の範囲28の主平面と平行に整列している。したがって、反射器16およびコードキャリア18は、回転軸Dを中心とした回転時の剛体としてふるまい、回転軸Dを中心とした回転運動において同じ回転速度または回転周波数で移動する。
【0055】
図3Bは、反射器16およびコードキャリア18を備えたさらなる実施形態の共通のアセンブリの断面を断面図において示す。図1A,1B,3Aの実施形態とは対照的に、図3Bの反射器16は、円形の輪郭を有する回転可能なコードディスクの周縁部に配置された単一の連続する反射セクション31のみを有する。
【0056】
図4Aは、図1Aおよび図1Bの実施形態の断面図を示す。光学エンコーダ10は、例えば、その動きまたはその移動コンポーネントを測定するために、図示されていない関連する装置に接続することができる。光学エンコーダ10は、回転軸Dを介して装置の動きまたは装置の移動コンポーネントの動きを受信し、それ/それらを反射器16およびコードキャリア18の回転に変換する。この目的のために、反射器16およびコードキャリアは、関連する装置の一部および/または光学エンコーダ10の一部であり得る回転可能なシャフト(図示せず)に固定して接続することができる。
【0057】
エミッタ12により放射軸Sに沿って放射される電磁放射は、第1および第2のレシーバ14および15の受信軸EおよびE’の方向に反射器16の反射セクション30a,30bによって反射される。図4Aでは、実線の矢印は、反射セクション30a,30bによって対応するように反射される電磁放射のビーム範囲を表す。対照的に、破線の矢印は、第1または第2のレシーバ14または15に到達しないように放射および反射される電磁放射のビーム範囲を表す。
【0058】
エミッタ12から第1および第2のレシーバ14および15に向かう途中で、電磁放射は、関連する装置の動きによって提供される回転速度で回転軸Dを中心として回転する、コードキャリア18に入射する。コードキャリア18の移動により、電磁放射は、放射線伝送コードセクションおよび放射線吸収コードセクション26,27にそれぞれ交互に入射し、それにより、第1および第2のレシーバ14および15で受信する電磁放射が変調される。第1および第2のレシーバ14および15に入射する電磁放射のこの変調は、コードディスク18または関連する装置の速度、相対位置変化、または絶対位置に関して評価される。
【0059】
図4Bおよび図4Cは、エミッタ12と、コードキャリア18を備えた反射器16と、第1および第2のレシーバ14,15と、の相対的な間隔における位置偏差および許容誤差の影響を示す。図4Bは、図4Aの実施形態の断面図を示し、反射器16およびコードキャリア18の共通のアセンブリは、エミッタ12から、また第1および第2のレシーバ14および15からも間隔が狭くなっている。すなわち、図4Bにおける図示のように、半径方向外側および軸方向下側にオフセットしている。対照的に、図4Cは、図4Aの実施形態の断面図を示し、ここで、反射器16およびコードキャリア18の共通のアセンブリは、第1および第2のレシーバ14および15からの間隔が増加している。すなわち、図4Cによる図示では、軸方向上側にオフセットしている。図4Bおよび図4Cに示されるように、それらの位置偏差および間隔の変化は、設置時および光学エンコーダ10の動作中に(例えば、振動または温度効果のために)典型的な公差の枠内で起こり得るが、光学エンコーダ10の操作性に影響を及ぼさない。公称相対間隔から逸脱する、図示の2つの場合において、電磁放射は、反射セクション30a,30bから得られ、第1および第2のレシーバ14および第2の方向に偏向され、これは、図4Aと同様の方法で、実線および破線の矢印によって再び表されている。換言すれば、光学エンコーダ10は、位置のずれや間隔の変化にもかかわらず、安定した方法で動作することができる。
【0060】
記載された実施形態の特定の利点はまた、エミッタ12およびレシーバ14および15がコードキャリア18の設置を妨げることなく、コードキャリア18またはコードディスクが、(示された表現において垂直方向に上から)回転軸Dに対して軸方向に(したがって、関連するドライブシャフトまたは接続シャフトに沿って)設置されることである。
【0061】
記載の実施形態は、2つのレシーバ14および15を有する。しかしながら、1つのレシーバのみを有し、第2のレシーバを省く実施形態もまた考えられる。
【0062】
示される実施形態において第2のレシーバ15によって提供される第2の測定チャネルは、例えば、回転方向を決定するために使用され得る。さらなる用途では、漸進的に動作する光学エンコーダ10において、第2の測定チャネルは、特定の回転角を通る通過を検出し、そこから完了した回転数を決定するのに役立つ。回転角の絶対値を決定するために使用される絶対的な方法で動作する光学エンコーダでは、対照的に、少なくとも1つのそのような追加の測定チャネルの形成が絶対に必要である。
【0063】
図5A~5Cは、平面図において絶対的に動作するそのような光学エンコーダ10の受信装置の実施形態を示す。図5Aでは、第1のレシーバ14は、互いの後ろに線形マトリックスに配置された、例えばフォトダイオードなどの受信要素56の列によって形成されている。第1のレシーバ14は、この点で、ASIC58(特定用途向け集積回路)として構成されている。第2のレシーバ15は、第1のレシーバ14から横方向にオフセットして配置され、ASIC58に統合されていない別個の受信要素56、特にフォトダイオードによって形成される。対照的に、図5Bは、図5Aの実施形態に基づくが、この点に関して、受信要素56がASIC58に統合されている第2のレシーバ15を有する。図5Cは、次いでフォトダイオードとして構成された受信要素56が、二次元マトリックスに配置され、ASIC58として構成された受信装置の実施形態を示す。この点で、それぞれの受信要素58は、バイナリ符号化の異なる値に対応し、それによって、回転角の絶対値を決定することができる。図5Dの実施形態は、個々の受信要素56がASICに統合されていないが、個別であり、別々に配置されているという点で、図5Cの実施形態とは異なる。
【0064】
図6A~6Cは、光学エンコーダ10のさらなる実施形態の断面図(図6A)および2つの斜視図(図6Bおよび6C)を示す。図6Dは、図6A~6Cの実施形態の反射器32を底面斜視図で示す。この実施形態では、反射器32およびコードキャリア18はまた、回転軸Dを中心として回転可能に支持される共通のアセンブリを形成する。エミッタ12、第1のレシーバ14および第2のレシーバ15の配置は、図1Aの実施形態の配置に対応する(放射軸Sは、コードキャリア18の移動面と平行に、すなわち水平方向に延びる)。しかしながら、これとは対照的に、図6Aの実施形態は、別個に構成されたコードキャリア(例えば、コードディスク)を有さない。代わりに、コードキャリアは、反射器32の実施形態に統合されている。すなわち、それと一体的に形成されている。
【0065】
この目的のために、実質的に円形の円盤状の反射器32の外周は、交互に放射を吸収するセクションまたは反射するセクションの配列に分割される。これにより同時に形成される斜めに傾斜した反射セクション34の配列は、比較的低い解像度を有するコードセクションの配列として機能する。回転軸Dを中心とする反射器32の回転運動において、エミッタ12によって放射された電磁放射は、それが反射セクション34の1つに入射した場合にのみ、換言すれば、リフレクティブコードセクションの1つに入射した場合にのみ、第1のレシーバ14の受信軸Eの方向に反射される。
【0066】
反射器32は、反射器32の回転軸に関して反射セクション34の配列から半径方向にオフセットして配置された反射セクションのさらなる配列36を有する。図示の実施形態では、反射セクションのさらなる配列36は、例えば、回転軸Dを中心とする完全な回転の数を決定するために増分的に動作する光学エンコーダ10のインデックス発生器(index generator)として使用することができる、単一の反射セクション36によって形成される。しかしながら、特に互いに均一な角度間隔(例えば、180度、90度、または45度)で、複数の反射セクション36を提供することもできる。
【0067】
図1A~4Cおよび図6A~6Dに関しては、単一のレシーバ14に対して単一の放射軸Sおよび単一の受信軸Eのみが提供される実施形態も可能であることに留意されたい。それでもなお、所謂インデックス信号がそのような実施形態においても生成されうる。光学エンコーダ10のそのような実施形態のセクションが、図7A~7Eに、3つの斜視図および2つの断面図で示されており、図7A~7Cは、反射器16の第1の回転角における光学エンコーダ10を示し、図7Dおよび7Eは、反射器16の第2の回転角における光学エンコーダ10を示す。エミッタ12、反射器16およびコードキャリア18の配置は、図1の実施形態の配置に対応しており、すなわち、反射器16およびコードキャリア18は、回転軸Dを中心として回転可能に支持された共通のアセンブリを形成する。図7の実施形態では、反射器16が、特に広い周縁領域にまたがる一つまたは複数の反射セクション34に周方向に隣接する少なくとも1つの遮断セクション35を有し、前記の遮断セクション35は、電磁放射をレシーバ14への衝突に関して遮断し、それにより、コードキャリア18から別個で独立した追加のコードセクションを間接的に形成するという点で、インデックス信号が生成される。それぞれの遮断セクション35は、特に、コードキャリア18の最も広い放射線吸収コードセクション26よりも(識別可能に)大きい周角にわたって延在しうる。対照的に、電磁放射を反射する反射セクション34がビーム経路内にある場合、放射された電磁放射は、レシーバ14の方向に偏向され、ここで、コードキャリア18のコードセクション26によって変調が行われる。反射セクション34に対して半径方向または軸方向にオフセットされた(1つまたは複数の)反射セクション36のさらなる配列は、この実施形態では必要ない。
【0068】
図示の実施形態では、例えば、反射器16は、2つの異なる遮断セクション35(平面を有する凹部または平面を有する隆起部)を有し、それらはそれぞれ、図7に示す反射器16の回転角におけるビーム経路に配置され、電磁放射を中断する。しかしながら、一般に、単一の遮断セクション35のみを有する実施形態も可能であり、または、特に同じ幅(周角)または(相互に識別可能なように)異なる幅を有する、同じ種類の複数の遮断セクション35も提供してもよい。それぞれの遮断セクション35は、放射された電磁放射によって、例えば、電磁放射の吸収によって、またはレシーバ14につながる方向以外の方向への偏向によって、レシーバ14への衝突の中断を引き起こし得る。それぞれの遮断セクション35は、特に、この目的のために、対応するように成形、コーティング、および/または表面構造化することができる。
【0069】
図7A~7Eに示されるように、2つの遮断セクション35が提供される場合、インデックス信号は、遮断セクション35の既知のそれぞれの幅(周角)および遮断セクション35の既知の間隔から特に確実に生成される。
【0070】
図8A~8Fは、図6Aの実施形態のバージョンの断面図(図8A,8D)および4つの斜視図(図8B,8C,8E,8F)を示す(放射軸Sはコードキャリア18の移動面に直交するように延在する、すなわち垂直方向に延在する)。この点で、図8A~8Cおよび図8D~8Fは、反射器32の2つの異なる回転角における光学エンコーダ10を示し、第1および第2のレシーバ14および15にそれぞれ異なる衝突をもたらす。反射器32は、その回転軸に関して反射部34の配列から軸方向にオフセットして配置された反射セクション36のさらなる配列を有する。反射部36に入射する電磁放射は、この点で、第2のレシーバ15に衝突し、信号を生成するために、第2のレシーバ15の第2の受信軸E’の方向に偏向される(図8A~8C)。対照的に、電磁放射が反射セクション34の1つに入射する場合、電磁放射は、レシーバ14の受信軸Eの方向に偏向され、そこで信号を生成する(図8D~8F)。この実施形態は、低解像度のみを必要とする測定を実行するための、信頼性が高く、堅牢で安定した代替手段を提供する。
【0071】
図9A~9Cは、ビーム偏向が全反射に基づく光学エンコーダ10のさらなる実施形態の断面図(図9A)および2つの斜視図(図9Bおよび9C)を示す。エミッタ12、第1のレシーバ14および第2のレシーバ15の配置は、図1Aまたは図6Aの実施形態の配置に対応する(放射軸Sは、コードキャリア18の移動面と平行に延在する、すなわち水平方向に延在する)。図9Dはさらに、図9A~9Cの実施形態の反射器38を示す。反射器38は、実質的に円形の円盤状のプレート40として構成され、そこから、透明な材料からなるリング42がその外周縁部で周縁に突出している。複数のプリズム44がリング42の内側に一定の間隔で配置されている。それらは同様に透明な材料から形成され、それぞれがリング42の内側に形状適合された形で接続されている。
【0072】
均一なプリズム44の配列は、反射セクションの配列を形成し、電磁放射は、回転軸Dに面するプリズム44の面取りされた表面で完全に反射される。プリズム44の配列またはこの実施形態の反射セクションは、同時に、比較的低い解像度を有するコードセクションの配列としての役割も果たし、すなわち、コードキャリアは、反射器38の構成に統合される。示される実施形態では、反射器38は、単一のプリズム46によって形成される反射セクションのさらなる配列を有する。プリズム46は、そのプリズム46での全反射のみが電磁放射による第2のレシーバ15への衝突をもたらすように構成される。
【0073】
コードキャリアまたはコードキャリアを備えた反射器32,38の軸方向の設置もまた、図6,7,8,9による実施形態において可能である(すなわち、回転軸に沿った設置)。
【0074】
図10A~10Cは、本発明による光学エンコーダ10のさらなる実施形態の断面図(図10A)および2つの斜視図(図10Bおよび10C)を示す。送受信装置20におけるエミッタ12、第1のレシーバ14および第2のレシーバ15の配置は、例えば、図1Aおよび図2A~2Dに示される実施形態の配置に対応する。対照的に、図10Aおよび10Bの実施形態では、コードキャリアおよび反射器は、もはやアセンブリ内で組み合わされておらず、むしろ別個のアセンブリを形成している。
【0075】
図1Aおよび図2の実施形態と同様に、コードキャリア48は、円形の輪郭を有し、図示しない回転軸を中心として回転可能に支持され、レシーバ14の受信軸Eに対して実質的に垂直に配向された薄いコードディスクとして構成される。コードキャリア48は、例えば、コードキャリア48の半径方向に延びる細長いスリットとして再び構成することができ、例えば、ミリング、パンチング、またはレーザー切断によって形成することができる、コードセクション50の配列を有する。コードセクション50の配列に加えて、コードキャリア48は、コードセクション50の配列から半径方向にオフセットされたコードセクション51の第2の配列を有する。図示の実施形態では、コードセクション51の第2の配列は、第2のレシーバ15が電磁放射によって衝突されるようにするための溝の形態の単一の放射線伝送(radiation-transmitting)コードセクション51を備える。
【0076】
対照的に、反射器52は、ホルダー53によってコードキャリア48の上の位置に保持される不動の別個のアセンブリとして構成される。反射器52は、コードキャリア48の回転軸に対して斜めに傾斜して、放射軸Sに沿って放射された電磁放射を第1および第2のレシーバ14および15の受信軸EおよびE’の方向に反射する、2つの反射セクション54a,54bを有する。
【0077】
斜めに傾斜した反射部54a,54bは、コードキャリア48の回転軸に対して軸方向かつ半径方向に互いにオフセットして配置され、ここで水平に形成された接続部54cによって互いに接続されている。したがって、下部反射セクション54bは、上部反射セクション54aに対して回転軸Dの方向に径方向のオフセットを有する。さらに、反射セクション54aおよび54bは、放射軸Sに対して同一の位置合わせ角度を有する。しかしながら、前記の位置合わせ角度は、他の実施形態において異なる値を有してもよい。
【0078】
反射器52は、例えば、不透明なプラスチックを備えることができ、反射セクション54aおよび54bに反射コーティングを有することができる。(適合された形状で)反射器52は透明なプラスチックから生成され、エミッタ12によって放射された電磁放射は、コードキャリア48ならびに第1および第2のレシーバ14および15の方向に完全に反射されることも考えられる。図示の実施形態では、反射器52は、光エンコーダ10の送受信装置20の一部として構成される。しかしながら、反射器52は、別個のアセンブリとして存在することもでき、送受信装置20とは独立して不動に設置することができる。図10Dは、反射器52もまた、送受信装置20およびコードキャリア48がすでに取り付けられている時点でのみ取り付けることができることを斜視図で示している。
【0079】
代替的に、コードキャリア48は、すでに説明したように、その回転軸に沿った軸方向の設置を可能にするために周縁に切り欠きを有することができる。
【0080】
送受信装置20の反転した設置、およびそれに伴う、一方ではエミッタ12の、他方では第1および第2のレシーバ14,15の位置の交換により、図10A~10Dの実施形態を、(図2Bに示されるように)放射軸Sがコードキャリア48の範囲の平面すなわち移動平面に対して垂直に指向される向きで実施することもできる。
【0081】
上で説明した実施形態とは異なり、複数のエミッタ12、特にコードセクション26の各配列のための別個のエミッタ12および/または各レシーバ14,15のための別個のエミッタ12を提供することもできる。別個のエミッタ12の各々が、独自のコリメータ24を有してもよく、または共通のコリメータ24を提供することができる。
【0082】
上で説明した実施形態は、90度の値を有する放射軸Sと受信軸E,E’との間の位置合わせ角度を示している。これにより、シンプルなデザインが実現する。しかしながら、用途および設置環境に応じて、放射軸Sと受信軸E,E’との間の位置合わせ角度のその他の値、特に、より大きな値(例えば、120度または150度)を提供して、エミッタ12とレシーバ14,15のより平坦な配置を可能にし、あるいは、より小さな値(例えば、60度または30度)を提供して、エミッタ12とレシーバ14,15のより密接に相互に隣接する配置を可能にする。それぞれの反射器16,32,38,52の位置合わせは、それに対応して適合させる必要がある(鏡面反射器の場合、特に、放射軸Sと受信軸E,E’との間の位置合わせ角度の半分に)。
【符号の説明】
【0083】
10…光学エンコーダ
12…エミッタ
14…レシーバ
15…第2のレシーバ
16…反射器
18…コードキャリア
20…送受信装置(emission and reception apparatus)
22…キャリアコンポーネント
24…コリメータ
26…コードセクション
27…コードセクション
28…範囲の主平面(main plane of extent)
30a…反射セクション
30b…反射セクション
30c…接続部
31…反射セクション
32…コードキャリアを有する反射器
34…反射セクションまたは反射コードセクション
35…遮断セクション
36…反射セクション
38…反射器
40…円形の円盤状のプレート
42…透明リング
44…プリズム
46…プリズム
48…コードキャリア
50…コードセクション
51…コードセクション
52…反射器
53…ホルダー
54a…反射セクション
54b…反射セクション
54c…接続部
56…受信要素
S…放射軸
E,E’…受信軸
D…回転軸
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D