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  • 特許-車両用フックの配置構造 図1
  • 特許-車両用フックの配置構造 図2
  • 特許-車両用フックの配置構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車両用フックの配置構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/08 20060101AFI20240827BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20240827BHJP
   B60K 35/50 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
B60R7/08 Z
B60R7/04 Z
B60K35/50
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021016280
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119288
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴士
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-183889(JP,A)
【文献】特開2015-020490(JP,A)
【文献】特開2008-260377(JP,A)
【文献】特開2010-018078(JP,A)
【文献】米国特許第5246190(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/08
B60R 7/04
B60K 35/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
助手席の前方に位置するインストルメントパネルの表面に複数のフックを備え、
前記複数のフックは、
車両幅方向の外側に位置する第一フックと、
車両幅方向の内側に位置する第二フックとを備え、
前記第二フックは、前記第一フックよりも低い位置に設けられている、
車両用フックの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フックの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、インストルメントパネルに設けられた荷物掛け吊り用の掛吊装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-190497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術では、フックに掛けられたバッグの開口が真上を向くため、運転席に着座した状態でバッグの中にアクセスし難い。
【0005】
本発明の目的の一つは、運転席に着座した状態で、助手席の前方に掛けられたバッグの中にアクセスし易い車両用フックの配置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両用フックの配置構造は、
助手席の前方に位置するインストルメントパネルの表面に複数のフックを備え、
前記複数のフックは、
車両幅方向の外側に位置する第一フックと、
車両幅方向の内側に位置する第二フックとを備え、
前記第二フックは、前記第一フックよりも低い位置に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用フックの配置構造は、第一フック及び第二フックにバッグを掛けると、バッグの開口を車両内側、つまり運転席側に向けることができる。よって、本発明の車両用フックの配置構造は、運転席に着座した状態で、バッグの中にアクセスし易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の車両用フックの配置構造が設けられているインストルメントパネルの外観を示す概略斜視図である。
図2図2は、実施形態の車両用フックの配置構造を説明するための概略構成図である。
図3図3は、実施形態の車両用フックの配置構造に備わる第二フックの例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図3を参照して、本発明の車両用フックの配置構造の実施形態を以下に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、車両の正面を「前」とし、これを基準とする方向を意味する。また、車両幅方向の中央側を「内側」、車両幅方向において中央側から離れる側を「外側」とする。図中、「FR」は車両前後方向の前側、「RR」は後側、「UP」は車両上下方向の上側、「LWR」は下側、「RH」は車両幅方向の右側、「LH」は左側、「IN」は車両幅方向の内側、「OUT」は外側を示す。
【0010】
図1は、インストルメントパネル2を車室側から見た全体の概略を示す。図2は、図1に示すインストルメントパネル2における助手席の前方を示す。
【0011】
<要旨>
実施形態の車両用フックの配置構造1は、図1及び図2に示すように、助手席の前方に位置するインストルメントパネル2に設けられている。実施形態の車両用フックの配置構造1の特徴の一つは、特定の位置関係に複数のフック3を備える点にある。複数のフック3は、車両幅方向の外側に位置する第一フック31と、車両幅方向の内側に位置する第二フック32とを備える。車両幅方向の内側とは、車両幅方向の中間点を通って車長方向に延びる中心軸を基準として、この中心軸に近い側のことである。車両幅方向の外側とは、上記中心軸から遠い側のことである。以下では、まずインストルメントパネル2の概略を説明し、その後に複数のフック3の構成及び作用効果を説明する。実施形態では、車両左側に助手席が設けられ、インストルメントパネル2の車両左側に車両用フックの配置構造1が設けられている例を説明する。
【0012】
<インストルメントパネル>
インストルメントパネル2は、前側の座席正面に配置された内装部材である。インストルメントパネル2は、主として樹脂で構成されている。インストルメントパネル2における車両幅方向の中央部分には、図1に示すように、車両後方に膨出したセンターコンソール21が設けられている。センターコンソール21は、運転席と助手席との間を通る上記中心軸を含む領域に位置する。センターコンソール21には、代表的にはナビゲーションシステムやエアコンシステム等が配置されている。図1に示すインストルメントパネル2は、スピードメータ等の計器類やステアリングコラム等が取り付けられる各箇所に開口部を備える。インストルメントパネル2における助手席の前方には、トレイ22とグローブボックス23とが設けられている。
【0013】
トレイ22は、物を載置可能な箇所である。本例のトレイ22は、図2に示すように、底部221と、底部221から上方に立ち上がる壁部222とを備える。本例のトレイ22は、インストルメントパネル2の上方が凹むことで構成されている。壁部222は、助手席に向かい合うように車両幅方向に延びている。壁部222は、トレイ22の内外を連通するように上方に開口した二つの切欠き部223を備える。二つの切欠き部223の間には、突部224が構成されている。この突部224は、後述する第一フック31として用いることができる。
【0014】
グローブボックス23は、物を収納可能な空間を構成する。グローブボックス23は、図1及び図2に示すように、トレイ22の下側に設けられている。グローブボックス23は、例えば、下端部に車両幅方向に延びる軸部が設けられ、この軸部を回転軸として上端部が車両前後に回動することで開閉自在となるように設けられている。
【0015】
<第一フック>
第一フック31は、図2に示すように、車両幅方向の外側に位置する。三つ以上のフック3が設けられている場合、第一フック31は、車両幅方向の最も外側に位置する。第一フック31は、第二フック32よりも高い位置に設けられている。三つ以上のフック3が設けられている場合、第一フック31は、他のどのフック3よりも高い位置に設けられている。第一フック31は、車両幅方向の最も外側であって、かつ他のどのフック3よりも高い位置に設けられている。
【0016】
第一フック31の位置は、車両幅方向の外側であって、かつ第二フック32よりも高い位置に設けられているのであれば、特に問わない。本例の第一フック31は、トレイ22の壁部222の位置に設けられている。
【0017】
第一フック31の形状は、バッグ100を掛けることができれば、特に問わない。本例の第一フック31は、トレイ22の壁部222の一部である突部224で構成されている。つまり、本例の第一フック31は、トレイ22の底部221から上方に立ち上がる突部224で構成されている。突部224の形状は、棒状であることが挙げられる。棒状には、丸棒、楕円棒、角棒等が含まれる。本例の突部224の形状は、四角棒状である。突部224で構成される第一フック31は不動である。
【0018】
トレイ22の壁部222に図2に示す切欠き部223及び突部224が設けられていない場合、第一フック31は、壁部222から車両後方に突出するように設けられていてもよい。他に、インストルメントパネル2に図2に示すトレイ22が設けられていない場合、第一フック31は、インストルメントパネル2における所定の箇所から車両後方に突出するように設けられていてもよい。第一フック31がインストルメントパネル2から車両後方に突出するように設けられている場合、第一フック31の先端部は、バッグ100を引っ掛け易いように上方に屈曲されていることが挙げられる。また、第一フック31がインストルメントパネル2から車両後方に突出するように設けられている場合、第一フック31は、基端部に軸部が設けられ、この軸部を回転軸として先端部が回動自在となるように設けられていてもよい。軸部は、車両幅方向に沿って設けられている。第一フック31を使用しない際は、第一フック31の基端部が下方に位置し、先端部が上方に位置する。第一フック31を使用する際は、第一フック31の基端部が前方に位置し、先端部が後方する位置する。この場合、第一フック31は、使用しない場合に車両後方に突出せず、使用する場合にのみ車両後方に突出するようにできる。フック3を回動自在とする具体的な構成は、第二フック32の説明の際に詳述する。
【0019】
<第二フック>
第二フック32は、図2に示すように、車両幅方向の内側に位置する。第二フック32は、第一フック31よりも低い位置に設けられている。複数の第二フック32が設けられていてもよい。複数の第二フック32が設けられている場合、各第二フック32は、車両幅方向の異なる位置、及び上下方向の異なる位置の少なくとも一つを満たすように設けられている。
【0020】
第二フック32の位置は、第一フック31よりも車両幅方向の内側であって、かつ第一フック31よりも低い位置に設けられているのであれば、特に問わない。本例の第二フック32は、トレイ22とグローブボックス23との間に設けられている。また、本例の第二フック32は、トレイ22の車両幅方向の中央付近に相当する位置に設けられている。第二フック32は、センターコンソール21における助手席側の側面211に設けられていてもよい。例えば、二つの第二フック32が設けられている場合、一つ目の第二フック32がトレイ22とグローブボックス23との間に設けられ、二つ目の第二フック32がセンターコンソール21における助手席側の側面211に設けられていることが挙げられる。
【0021】
第二フック32の形状は、バッグ100を掛けることができれば、特に問わない。第二フック32の形状は、棒状であることが挙げられる。棒状には、丸棒、楕円棒、角棒等が含まれる。本例の第二フック32は、インストルメントパネル2における所定の箇所から車両後方に突出するように設けられている。車両後方に突出する場合、第二フック32の形状は、バッグ100を引っ掛け易いように屈曲した棒状であることが挙げられる。第二フック32の先端部は、バッグ100を引っ掛け易いように上方に屈曲されている。つまり、本例の第二フック32の形状は、上方に屈曲したL字状の角棒状である。
【0022】
第二フック32は、図3に示すように、基端部に軸部321が設けられ、この軸部321を回転軸として先端部が回動自在となるように設けられていることが好ましい。軸部321は、車両幅方向に沿って設けられている。第二フック32を回動自在とする構成としては、図3に示すように、インストルメントパネル2に構成された開口部25にハウジング26が構成され、ハウジング26に第二フック32の軸部321が回動自在に軸支されることが挙げられる。ハウジング26は、インストルメントパネル2が凹むことで構成されていてもよい。ハウジング26に収納された状態の第二フック32を引き出す際は、例えば指や爪で引っ掛ける等して第二フック32を下方に回動させればよい。図3では、第二フック32がハウジング26に収納された状態を二点鎖線で示し、第二フック32がハウジング26から引き出された状態を実線で示す。第二フック32がハウジング26に収納された状態では、第二フック32の基端部が下方に位置し、先端部が上方に位置する。第二フック32がハウジング26から引き出された状態では、第二フック32の基端部が前方に位置し、先端部が後方する位置する。第二フック32がハウジング26に収納された状態では、インストルメントパネル2と第二フック32とが面一であることが好ましい。第二フック32を回動自在とする構成は、第一フック31等の他のフック3にも適用できる。
【0023】
<その他>
複数のフック3は、更に、図示しない第三フックを備えていてもよい。第三フックの形態として、第一フック31よりも車両幅方向の内側であって、第一フック31と同じ高さの位置に設けられていることが挙げられる。第三フックの別の形態として、第一フック31と車両幅方向の同じ位置であって、第一フック31よりも低く第二フック32よりも高い位置に設けられていることが挙げられる。
【0024】
<作用効果>
実施形態の車両用フックの配置構造1は、図2に示すように、第一フック31及び第二フック32にバッグ100を掛けると、バッグ100の開口を車両内側、つまり運転席側に向けることができる。バッグ100の開口が斜めに傾いて運転席側に向くことで、バッグ100の開口が真上に向く場合に比較して、運転席に着座した状態で、バッグ100の中にアクセスし易い。具体的には、バッグ100の中身を確認し易かったり、バッグ100の中の物を取り出し易かったり、バッグ100の中に物を入れ易かったりする。
【0025】
本例の第一フック31は、トレイ22の底部221から上方に立ち上がる突部224で構成されているため、第一フック31が車両後方に突出せず、助手席に着座する人に当たることを抑制し易い。本例の第二フック32は、ハウジング26に収納可能なように回動自在に構成されているため、第二フック32を使用しない際は第二フック32をハウジング26に収納でき、助手席に着座する人に当たることを抑制し易い。
【0026】
更に図示しない第三フックを備えると、バッグ100を掛ける箇所を増やすことができる。また、第三フックを備えると、バッグ100の掛け方のバリエーションを増やすことができる。
【0027】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用フックの配置構造
2 インストルメントパネル
21 センターコンソール、211 側面
22 トレイ、221 底部、222 壁部、223 切欠き部、224 突部
23 グローブボックス
25 開口部、26 ハウジング
3 フック
31 第一フック
32 第二フック、321 軸部
100 バッグ
図1
図2
図3