(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】半導体基板において異なる静電容量値を有する半導体コンデンサーを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240827BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240827BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20240827BHJP
H01G 4/33 20060101ALI20240827BHJP
H01G 17/00 20060101ALI20240827BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20240827BHJP
H01G 4/00 20060101ALI20240827BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240827BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01L27/04 V
H01G4/40 301
H01G4/33
H01G17/00
H01C13/00 C
H01G4/00 A
H01G4/30 541
H01G4/38 B
H01L27/04 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019182152
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】10 2018 217 001.0
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】エアルバッヒャー トビアス
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0194032(US,A1)
【文献】特開2007-095950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028450(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0007178(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0256239(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0035158(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0145104(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 21/822
H01G 4/40
H01G 4/33
H01G 17/00
H01C 13/00
H01G 4/00
H01G 4/30
H01G 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(4)において様々の静電容量値を有する半導体コンデンサーを製造する方法であって、
第1の製造段階において、前記半導体基板(4)に製造される
半導体コンデンサーとは無関係に、
前記半導体基板(4)において
各群(1)が複数の穴(5)から
構成される複数の群(1)によ
り穴構造を形成し、前記複数の群(1)は、前記半導体基板(4)上に分布し、前記群(1)内の前記穴(5)の間隔よりも広い幅によって認識可能な分割領域(2)にわたって互いに分割され、
誘電体(6)と、製造される
半導体コンデンサーの上側電極となる導電層(7)との積層によって、前記穴構造を充填し、ここで、前記積層は、前記穴(5)及び前記群(1)の間にも延在し、前記群(1)のそれぞれは、第1の静電容量を形成し、
第2の製造段階において、前記半導体基板(4)に製造される
半導体コンデンサーに応じて、
部分領域(3)毎にそれぞれが同一の静電容量値を有する
複数の半導体コンデンサーが製造される前記半導体基板(4)の2以上の部分領域(3)を確定し、ここで、前記部分領域(3)
内に製造される半導体コンデンサーの静電容量値は
前記部分領域(3)毎に異なり、
前記積層を構造化し、構造化されたメタライゼーション(9)を設けるか、又は、前記メタライゼーション(9)を設けた後、前記メタライゼーション(9)を構造化し、ここで、前記メタライゼーション(9)を構造化すること、及び設けることで、各部分領域(3)内に
製造される半導体コンデンサーが、所望の静電容量値に応じて、前記第1の静電容量のうちの1つによって、又は前記第1の静電容量のうちの複数の電気的に並列の接続によって形成され、
各部分領域(3)
内に製造される半導体コンデンサーを、前記分割領域(2)内に延在する分割線に沿った前記半導体基板(4)の分割によって分離する、方法。
【請求項2】
前記分割領域(2)は、前記半導体基板(4)全体にわたって直線的に延在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の製造段階において、前記分割領域(2)にも更なる穴構造(10)を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の製造段階又は前記第2の製造段階において、それぞれ前記半導体基板(4)の裏側にメタライゼーションを設けることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記分離の前に、前記半導体基板(4)を、該半導体基板(4)よりもドープ量が低いことでより低い表面抵抗を有する第2の半導体基板(11)に接続し、前記分離によってRC回路を得ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記分離の前に、前記半導体基板(4)に、該半導体基板(4)よりも低い表面抵抗を有する裏側層又は
該半導体基板(4)よりも低い表面抵抗を有する層を該半導体基板(4)の裏側に堆積することにより形成された層を設け、前記分離によってRC回路を得ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の製造段階において、前記第2の半導体基板(11)の裏側にメタライゼーションを設けることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の製造段階において、前記裏側層にメタライゼーションを設けることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にファウンドリ工程において実行される、半導体基板において異なる静電容量値を有する半導体コンデンサーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの半導体素子は、半導体工場での受託製造、いわゆるファウンドリによって、比較的少ない個数で製造されることが多い。この場合、個数が少ないことから、通常、異なる仕様を有する半導体素子を同じ半導体基板上に製造しなければならない。このため、製造を開始する前に異なる半導体素子に対する全てのマスク設計を確定する必要があり、設計が確定されて初めて製造を開始することができる。
【0003】
例として、特許文献1は、従来のチップ製造によって製造されるRCスナバ回路の構造を示している。このようなスナバ回路の製造には、製造前に、切削経路(Saegestrassen:スクライブライン)、金属面等を含むマスク設計の定義が必要とされる。したがって、この場合、RCスナバ回路の静電容量値及び抵抗値は、製造工程の開始前に予め定まっていなければならない。
【0004】
特許文献2は、RCスナバ回路の製造方法を示しており、ここでは、まず、半導体基板に一様な穴構造を形成し、その穴構造を誘電体層によって、誘電体層が個々の穴の間にも延在するように充填する。個々に製造されるコンデンサー又はRCスナバ回路の間の境界は、この第1の製造段階中には存在しない。続く第2の製造段階において初めて、構造化された(strukturierten)メタライゼーションを施すことによって、個々のコンデンサーの静電容量値、ひいてはこのコンデンサーの半導体基板上での境界も確定される。そして最後に、個々のコンデンサー又はRCスナバ回路の分離を行う。この場合、分割線の一部は、存在する穴を通って延在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,738,226号
【文献】米国特許第8,563,388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、顧客別の電気的特性を有するコンデンサー又は更にはRCスナバ回路をコスト効果的に製造することを可能にする、共通の半導体基板上に異なる静電容量値を有する半導体コンデンサーを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1に記載の方法によって解決される。本方法の有利な実施形態は、従属請求項の主題であるか、又は以下の記載及び実施例から見て取れる。
【0008】
低オームの半導体基板において異なる静電容量値を有する半導体コンデンサーを製造するために提案される方法は、2つの製造段階に分けられる。第1の製造段階において、半導体基板に製造される半導体コンデンサーとは無関係に、半導体基板における穴の複数の群を形成する。これらの複数の群は、半導体基板上に分布し、認識可能な分割領域によってそれぞれ互いに分割されている。分割領域は、群内の穴の間隔よりも大きい、すなわち特に5μmよりも大きい幅(各群の間の距離)を有する。この穴構造は、ここでも半導体基板に製造される半導体コンデンサーとは無関係に、誘電体及び導電層、例えば金属又はポリシリコンによる積層によって、後に半導体コンデンサーの上側電極となるように充填される。この積層は、穴の間及び穴の群の間にも延在する。各穴の群は、この積層によって、或る静電容量を形成し、これは、以下、製造される半導体コンデンサーの静電容量と区別するために、第1の静電容量と称する。その後、このようにして得られた半製品、すなわち、穴構造及びコーティングによって部分的に処理された半導体基板を用いて、第2の製造段階が行われる。この第2の製造段階において初めて、半導体基板に製造される半導体コンデンサーが確定される。これは、同一の静電容量値を有する半導体コンデンサーがそれぞれ製造される異なる部分領域において、半導体基板を区画化することによって行われる。異なる部分領域の半導体コンデンサーの静電容量値は、ここでは互いに異なる。その後、第1の製造段階において設けられた積層が構造化され、構造化されたメタライゼーションが設けられるか、又は、メタライゼーションが設けられた後、構造化される。ここで、積層を構造化し、メタライゼーションを設ける及び/又は構造化すると、各部分領域において、それぞれ、第1の静電容量が所望の静電容量値に既に対応する場合には第1の静電容量単独で、又は好適な数の第1の静電容量を電気的に並列に接続することによって、所望の静電容量値を有する半導体コンデンサーが得られる。この場合、積層の構造化には、積層のうちの導電層のみを構造化することも含むことができる。これに関して、構造化とは、例えば、層の領域をエッチング除去することによって、それぞれの層を、互いに分割された異なる領域に分割することとして理解される。したがって、この第2の製造段階で初めて、それぞれの静電容量値を有して半導体基板上に製造される半導体コンデンサーの電気的特性又は静電容量値及び総数を確定しなければならない。次いで、第1の製造段階において確定された分割領域内に延在する分割線に沿って半導体基板を分割することにより、各部分領域の半導体コンデンサーを分離する。当然ながら、第2の製造段階において、分離前に必要に応じて半導体基板に更なる層を設けることもできる。
【0009】
現存の分割領域の利用と組み合わせて製造工程を2つの製造段階に分離した結果、この製造工程において、コンデンサーの静電容量値を製造工程の開始前に予め確定する必要はなく、異なる静電容量値を有する半導体コンデンサーが効率的かつコスト効果的に製造される。特に、提案される方法により、ファウンドリにおける受託製造をコスト効果的に実現することができる。なぜなら、次の作業とは無関係に、第1の製造段階の方法ステップによって、多数の半製品(部分的に処理された半導体基板)を予め製造することができるからである。ここでは、半製品ごとに方法ステップの違いがないため、この製造は非常にコスト効果的に行うことができる。顧客別の電気的特性を有する部品の完成(個片化)は、事前に製造された半製品を使用する第2の製造段階において初めて行われる。第1の製造段階において分割領域を事前に確定することにより、アクティブ領域に関して直接穴を分断する必要がないことから、後の分離時に部品の損傷が回避される。
【0010】
ここでは、分割領域は、第1の製造段階において、半導体基板全体にわたってそれぞれ直線的に延在するように選択されることが好ましい。この分割領域において、提案される方法の好ましい一実施形態では、第1の製造段階で、ストレスマイグレーション(Stressmigration)のために、半導体基板の平坦な表面を最小限にすることによって形成される穴、又は窪みも形成される。これにより、半導体基板上により厚い層、又は積層を堆積させる場合に、この層と半導体基板との間の応力が低減される。穴又は窪みは、分割領域が穴の群に対して依然として認識可能であるように配置されるか、又は形成される。このことは、この分割領域の穴の別の寸法若しくは間隔により、又は分割領域の穴と個々の群の穴との間の認識可能な間隔を守ることによっても実現することができる。
【0011】
提案される方法により、RCスナバ回路は、例えば、上述した特許文献1から既知のように製造することもできる。このために、提案される実施形態において、半導体基板が、分離の前に第2の半導体基板に接続される。第2の半導体基板は、半導体コンデンサーを有する半導体基板よりもドープ量が低いことでより低い表面抵抗を有する。またこれに続き、この第2の半導体基板の自由面(freien Seite)のメタライゼーションも行われることが好ましい。第2の半導体基板との接続により、半導体コンデンサーと第2の半導体基板によって確定される抵抗とによる直列接続がそれぞれ形成される。続いてここでも、個々のRCスナバ回路を形成するこの半導体積層の分離が行われる。
【0012】
代替的な一実施形態において、RCスナバ回路を製造するために、半導体基板に対し、分離の前に、半導体コンデンサーを有する半導体基板よりも低い表面抵抗を有する裏側層を設けることができる。次いで、この実施形態でも(好ましくは、また裏側メタライゼーションを施した後)、個々のRCスナバ回路を形成するために、引き続き分離が行われる。
【0013】
以下、提案される方法を、実施例に基づき、図面を参照して更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】提案される方法によって製造可能であるような半導体コンデンサーの構造の一例を示す図である。
【
図2】提案される方法に係る半導体基板上の穴の群の分布の概略図である。
【
図3】第1の実施形態に係る
図2の一部の拡大図である。
【
図4】第2の実施形態に係る
図2の一部の拡大図である。
【
図5】RCスナバ回路を製造するための第2の半導体基板との接続を非常に概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
提案される方法により、共通の半導体基板上に様々な電気的パラメーターを有する半導体コンデンサー、特にシリコンコンデンサーを製造することができる。第1の製造段階において、製造される半導体コンデンサーの異なる電気的パラメーター又は静電容量値に関わらず構成された半製品として部分的に処理された半導体基板を作製する。この方法により、例えば、例として
図1に示されているような半導体コンデンサー又は更にはそのような半導体コンデンサーを備えるRCスナバ回路を製造することができる。
【0016】
図1において、半導体基板4の一部が断面図で示されている。半導体基板4の表面には、製造されるコンデンサーの基礎となる穴5を有する穴構造がエッチング形成される。半導体基板4は、例えばホウ素ドープによる、少なくとも5×10
18cm
-3という高ドープ量を有し、したがって、低ESR(等価直列抵抗)を有する。穴5の形成は、既知のマスク技法及びエッチング技法によって行うことができる。その後、穴5は、誘電体6及び金属7による積層で充填され、金属7は、コンデンサーの上側電極を形成する。これに続いて、絶縁層8及び更なるメタライゼーション9の堆積が行われ、このメタライゼーション9は、半導体コンデンサーの前面接触を担う。半導体基板4の裏側にも同様に、対応するメタライゼーションを設けることができる。この方法により製造される半導体コンデンサーの静電容量値は、この場合、特に、穴5の数又は穴構造の表面積に応じて決まる。従来、このような半導体コンデンサーを製造するには、製造されるコンデンサーのマスク設計を製造開始前に定義し、また製造開始前に個々のコンデンサーの静電容量値を知っておかなければならない、通常のチップ製造方法が使用される。
【0017】
本方法を用いると、製造工程の開始前にマスク設計を定義することが必要ではなくなる。それどころか、まず、半製品を全く同じ構造で大量に製造することができる。そして、同じ半導体基板上に異なる静電容量値を有する半導体コンデンサーの製造が、この半製品を用いることで行われる。
【0018】
このために、提案される方法では、半製品を製造する第1の製造段階において、半導体基板全体にわたって広がる穴を有する穴構造を半導体基板に形成する。これらの穴は、提案される方法において、マスク技法及びエッチング技法によって互いに分割される群として、半導体基板に形成される。各群は、引き続き誘電体及び金属による積層を堆積した後、或る静電容量を形成するが、これを、ここでは、製造される半導体コンデンサーの静電容量と区別するために、第1の静電容量と称する。
【0019】
これに対して、
図2は、半導体基板4の一部の上面を非常に概略的な図で示している。
図2では、個々の穴の群1は、略正方形の領域を占め、図中の小さな正方形によって示されている。穴の群1は、他の幾何学形状、例えば、長方形又は三角形に近似することもできる。
図2から、個々の群1の間に分割領域2が存在することも見て取れる。分割領域2は、個々の群1を互いに分割し、後に半導体コンデンサーを分離する際の切削経路としての役目を果たす。穴構造の形成後、誘電体及び金属による積層が半導体基板上に堆積され、この積層により、穴は既知の方法で充填される。この積層は、共通の半導体基板4の上に、ひいては個々の群1の間の分割領域2の上にも施され、したがって、後に確定されるコンデンサーの静電容量値に左右されない。
【0020】
次いで、この方法で得られる部分的に処理された半導体基板(本願において半製品とも称する)を用いて、所望の静電容量値を有する個々の半導体コンデンサーを得る第2の製造段階が実行される。このために、部分領域3が確定され、部分領域3の内部において、同一の静電容量値を有する或る数の半導体コンデンサーがそれぞれ作製されることになる。この部分領域3の大きさは、製造される半導体コンデンサーの数及び静電容量値によって決まる。
図2には、そのような部分領域3を1つのみ概略的に示している。他の部分領域は、別の静電容量値を有する更なる半導体コンデンサーに対するものである。次いで、第2の製造段階において、各部分領域3に、メタライゼーション及び構造化によって、所望の静電容量を得るために必要な数の穴の群1を有する半導体コンデンサーを製造する。このために、構造化及びメタライゼーションによって、好適な数の穴の群1の個々の第1の静電容量が並列に接続される。これには、各静電容量値に合わせたマスク設計が必要となる。その後、引き続き、分割領域2に沿って、対応する部分領域3内の個々のコンデンサーを分離する。
【0021】
これに対して、
図3は、
図2の一部の拡大図を更に示している。ここでは、群1の個々の穴5を見て取ることができる。穴構造1の間の分割領域2は、ここでは穴を有しない。
【0022】
一方、更なる一実施形態において、
図4に概略的に示されているように、対応する窪み又は穴を分割領域2にも形成することができる。この分割領域2における穴10は、この例では、個々の分割領域2と穴の群1とを依然として見分けることができるように、穴5の群1に対して相応して広がった距離を置いて設けられる。分割領域2におけるこれらの更なる穴10によって、ストレスマイグレーションが生じ、したがって、この領域において、半導体基板上により厚い層を設ける場合に、この層と半導体基板との間の応力が低減される。
【0023】
第1の製造段階において穴構造を加工し、誘電体と上側電極となる金属とを充填することにより、後に製造される半導体コンデンサーに左右されない、定義が確立されたマスク設計を用いて、製造される半導体コンデンサーとは無関係に、半製品をコスト効果的に大量に製造することができる。この場合、異なる静電容量値を有する半導体コンデンサーの個片化又は製造は、第2の製造段階において初めて行われる。この第2の製造段階では、対応する静電容量値を有する半導体コンデンサーを構成するために、誘電体及び/又は上側電極が構造化され、個別領域又は群の一部を越えてメタライゼーションが形成される。これはまた、個々に定義されたマスク設計をそれぞれ用いて行われる。
【0024】
複数の群1の穴構造の並列接続の結果として、非常に広範囲の静電容量値を得ることができる。したがって、例えば、半製品は、低オームのp型基板に対する処理によって作製することができる。この場合、群1の領域の寸法は、例えば、各群1の面積が0.5mm2であり、この群の第1の静電容量値が250pFである場合、複数の群を並列接続することによって、1nF~10nFの静電容量値Cを得ることができるように決定することができる。これは、以下の表に示されており、この表は、総面積A及び並列接続される各群1の総数も示している。
【0025】
【0026】
提案される方法は、RCスナバ回路の製造にも適している。この場合、半導体コンデンサーに加えて、対応する抵抗も作製しなければならない。これは、提案される方法において、
図5に非常に概略的に示されているように、穴構造を有する半導体基板4を、個々の部品に分離する前に低ドープの半導体基板11に接合することによって行うことができる。この図では、穴構造を有する領域は、単に斜線付きで示されている。この第2の半導体基板のドープは、この場合、所望の抵抗値を達成するように選択される。ここで、以下の表は、5nF/10mm
2の場合の異なる固有抵抗ρに対する様々な第2の基板(例として400μm厚)の直列抵抗R
ESRの例を示している。1つ目の値は、第2の基板がない場合(コンデンサーのみ)の関係に対応している。
【0027】
【0028】
RCスナバ回路を製造するための更なる可能性として、個々の部品に分離する前に、(必要な直列抵抗に応じて)導電性の低い層を半導体基板の裏側に堆積することが挙げられる。また、ここでは、抵抗の温度依存性を適切に選択すること、又は温度依存性の圧縮(Kondensation)のための多層系(結晶)を堆積させることが可能である。好適な層材料の例は、高い熱伝導率を有するセラミック、金属層、アモルファスシリコン等である。ここで、以下の表に、5nF/10mm2の場合の異なる固有抵抗ρに対する様々な層(例として4μm厚)の直列抵抗RESRの例を更に挙げる。1つ目の値は、追加の抵抗層がない場合(コンデンサーのみ)の関係に対応している。
【0029】
【符号の説明】
【0030】
1 穴の群
2 分割領域
3 部分領域
4 半導体基板
5 穴
6 誘電体
7 金属
8 絶縁層
9 メタライゼーション
10 更なる穴
11 第2の半導体基板