(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】流体脱気制御システム
(51)【国際特許分類】
B01D 61/00 20060101AFI20240827BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B01D61/00
B01D19/00 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019215145
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-11-14
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513237308
【氏名又は名称】アイデックス ヘルス アンド サイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カール シムズ
(72)【発明者】
【氏名】クアン リュー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ワート
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-531779(JP,A)
【文献】特開2015-226909(JP,A)
【文献】特開平03-224602(JP,A)
【文献】特開平06-134446(JP,A)
【文献】特表2014-508644(JP,A)
【文献】特表2014-531308(JP,A)
【文献】特開平10-216404(JP,A)
【文献】実開昭55-153107(JP,U)
【文献】特開2005-113874(JP,A)
【文献】特開2000-350903(JP,A)
【文献】特表2009-542433(JP,A)
【文献】特表2017-532198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D61/00-71/82
B01D19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を脱気する方法であって、
(a)
以下を含む脱気システムを提供すること;
(i)チャンバー及び前記チャンバーを保持側と透過側に分離するガス透過膜を有する脱気モジュール
;
(ii)前記チャンバーの透過側に流体接続された真空ポンプ;
(iii)前記チャンバーの保持側を通じて前記流体を移動させるための、前記チャンバーの保持側に流体接続された流体ポンプ;
(iv)前記真空ポンプと通信可能に連結された制御システム;及び
(v)ユーザーインターフェースを含む入力手段;
(b)前記脱気モジュールの脱気効率値及びチャンバーの保持側を介する流体の流体流量値を含むプロセス条件値を得ること
であって、脱気効率値は流体の脱気後の流体中の残留溶存ガス濃度の逆数であり、脱気効率値はユーザーインターフェイスを通じて制御システムに入力される、前記得ること;
(c)流体流量における脱気効率値が前記脱気モジュールに達成するのを許容する前記チャンバーの透過側における最大圧力値を決定する前記脱気モジュール
に特有の較正データを含む制御パラメータにプロセス条件値を適用すること;及び
(d)前記チャンバーの透過側において最大圧力値を超えないように圧力を
制御すること
を含む前記方法。
【請求項2】
最大圧力値が、脱気
システムによって達成可能な最低の透過側圧力以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記真空ポンプによって透過側圧力を制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御システムが、最大圧力値に基づいて真空ポンプを制御することに適合した制御装置を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
制御パラメータが
、脱気モジュールのクラスに特有の較正データに基づいており、
脱気モジュールのクラス内の各脱気モジュールが実質的に同一の性能特性を有し、前記脱気モジュールが脱気モジュールのクラス
の構成機関である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
制御パラメータが、大気圧で流体からのガス放出を防ぐ前記チャンバーの透過側での最大圧力をもたらす、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記チャンバーの透過側の圧力がガス圧力である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年11月28日に出願され、「流体脱気制御システム」と題された米国仮特許出願第62/772601号に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に流体脱気に関し、より具体的には、脱気膜を介して溶媒浸透気化を同時に制限しつつ、ガス放出閾値以下の一定の溶存ガス濃度をもたらすよう制御されうる真空脱気システムに関する。
【背景技術】
【0003】
液体溶媒及び溶解した固体を含む水溶液などの流体を利用したアプリケーションは、非常に正確で軽量された流体の送達を必要とする。溶液及び溶媒は一般的に、大気圧で蓄積されるにつれて、溶液及び溶媒は溶解した空気で飽和となる。分配システムの場合において、システムを介して流体が通過するとき、温度及び圧力などの条件が変化すると、溶解した空気は、接続したライン、シリンジ、ポンプ及び検出手段内で気泡を生じる。臨床分析装置などの多くのシステムにおいて、気泡監視装置は、分配された流体を監視し、体積が重要な領域中を通過する気泡を検出するために用いられる。そして、ソフトウェアプログラムが作動し、その流体を排気位置へ逸らし、システムを見直して流体分配を再開し得る。流体が化学反応で用いられる試薬の場合、試薬の繰り返しの分配は時間と費用の両方を消費する。
【0004】
分析化学、特に高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)において、移動相からの溶解した空気の減少は、システムの流量の安定性に非常に重要であり、したがって、HPLCシステムにより分配される化合物の適切な同定にとっても非常に重要であるということが長く知られてきた。HPLCポンプのインレットに導入する前に、複数の電磁弁を用いて混合された移動相の溶媒の脱気は、HPLCにとっても重要である。HPLCポンプの設計のこの形式は、HPLCシステム制御装置が、HPLCシステムによりクロマトグラムを作成するために必要な溶媒混合物を達成するために、HPLCポンプの吸入工程の間、それぞれの溶媒と関連した電磁弁を開閉する「低圧混合」と呼ばれる。そのような低圧混合システムは、脱気溶媒を用いることにのみ可能であり、そうでなければ、配分された溶媒の即時混合の際の気泡の形成は、正確な溶媒組成物の形成を妨げるからである。溶解した酸素と窒素(空気)の様々な濃度での、水とアルコールの混合物の容量の変化の効果の検討は、Tokunaga, J Chem & Eng Data, Vol 20, No 1, 1975で説明されています。Tokunagaの研究に用いられたモル比を、残留空気パーセントに変換すると
図1のグラフをもたらします。Tokunagaの仕事は、混合において気泡形成を妨げるためメタノールと水の混合物が脱気されなければならない度合いを示し(「ガス放出」)、今日用いられているHPLC溶媒混合物のためのインライン脱気の基礎を形成します。
図1のグラフはメタノールと水の混合物のみを扱うけれども、そのデータが、今日HPLCシステムによって使用される全ての既知の溶媒の組合せについても妥当であることが実証されており、溶媒は均一濃度の混合物を形成し又は勾配を形成するために組み合わされる。
【0005】
図1は、水がメタノールと様々な比率で混合された場合の移動相の例を示す。縦軸は、空気が飽和した水及び標準温度及び圧力におけるメタノール中に含まれる空気の量である。上の実践とオズワルド係数データ線の違いは、溶液が脱気されない場合に発生及びガス放出を起こす過飽和を表す。オズワルド係数データ線は、メタノール及び水の混合物が含むことができる空気の最大量を表す。
【0006】
3本のデータ線は、(大気圧における飽和と比較して)溶解した空気の特定の残留濃度に対するメタノール及び水の両方を脱気する効果を意味することを表す。上の破線は、両方とも空気飽和の60%残留に脱気されている水及びメタノールの混合物に供給された空気の量を表す。水中の約15%メタノール及び水中の85%メタノールの間には、空気により混合物の過飽和のかなりの量が残ることに注意してください。非脱気溶媒を用いた場合、過飽和状態は、低圧混合システムのHPLCポンプインレットに入り、2つの溶媒の混合の間に、空気のガス放出を起こす
【0007】
中間の破線は、水及びメタノールのそれぞれ中の40%残留空気を表す。この水準まで脱気された水及びメタノールは、水と35%から60%のメタノールの混合物中にわずかな過飽和のみを有する。
【0008】
最後に、下の破線は、両方とも飽和の大気基準の25%に脱気されたメタノール及び水の混合物に寄与する空気の量を表す。この脱気された空気の濃度では過飽和状態は発生せず、いかなる比率でメタノール及び水を混合した場合でもガス放出は発生しないことがわかる。大気状態でガス放出をしない混合物中の空気の実際の濃度は38%である。
【0009】
この目的のために、「効率」という用語は残留ガスの逆数であり、次式に従う。効率=100%-残留ガス%。残留ガス38%の場合、脱気効率は62%(100%-38%)である。
【0010】
メタノール及び水の混合物のTokunagaのデータは、HPLCのための全ての溶媒及び混合物に対する脱気を決める水準となってきた。溶媒の混合物の過飽和の効果は、経験的に上記メタノール-水混合物のものと似た過飽和を有することが発見されてきた。HPLCシステムが一般に用いられるために設計されたため、機器に取り付けられた脱気システムは、HPLCで用いられる幅広い範囲の溶媒に対して実行されなければならない。メタノール-水溶液は経験的に、脱気装置の要求が最も大きいと決定され、そのため脱気装置が設計される基準となる。
【0011】
HPLCポンプの吸入工程の間の気泡形成は、移動相の適切な脱気によって制限され又は妨げられうる。典型的なHPLCポンプはインレットに逆止弁を含み、吸入工程の間のキャビテーションは、ポンプチャンバー内の局所圧力を、ガス飽和溶媒が気泡を形成する点まで低下させうる。そのような気泡形成は、ポンプピストンがピストンチャンバー中に含まれる流体を圧縮するときに、逆止弁が適切に閉じることを妨げる。不適切な逆止弁の密閉が完全にポンプの動きを停止させ、したがって、クロマトグラフの作動を妨げることになりうる。気泡によって生じるポンプシステムの性能のわずかな低下は、非常に望ましくなく、ポンプシステム内のキャビテーションが発生しないように溶液を十分に脱気することによって取り除かなければならない。このため、配分弁システム、脱気チャンバー、及び接続チューブのそれぞれで低い流れの制限が望まれる。
【0012】
高圧混合のHPLCの場合、2つ以上の高圧ポンプが、典型的には、注入システム及びHPLCカラムから上流のTeeジャンクションにおいて、溶媒の所定の混合物を形成する可変ポンプ速度で使われる。そのような溶媒混合がポンプのアウトレットで発生するため、システムの圧力は、混合点又はHPLCの分離カラムで気泡形成を防ぐのに十分に高い。各ポンプの前にこれらのHPLCシステムに供給される脱気溶媒は、ポンプの吸入工程の間のキャビテーションを取り除くため、及びHPLCカラムのアウトレットから下流で作動する検出器での脱気を取り除くために、使用されうる。
【0013】
高圧及び低圧混合型HPLCシステムにおいて、キャビテーションを防止することに加え、移動相の脱気も検出器における望まない効果を防止しうる。質量分析検出は、ネブライザーへの溶媒のスムーズで連続的な流動が必要であり、溶媒が不適切に脱気されるときに気泡が絡むから出ることによって溶媒の流動が中断される可能性がある。さらに、HPLCカラムから溶出する蛍光化合物の検出は、移動相中の酸素の存在によって抑制することができる。アルコール、テトラヒドロフランなどの溶媒のバックグラウンド吸収は、正確な分析物の評価を妨げる可能性があり、そのようなバックグラウンド吸収は、移動相中の酸素の濃度を一定の値に減らすことによって緩和されうる。システム中の酸素の存在量が検出に影響を与える分析において、溶解した酸素の濃度を一定の値に制御することが有益である。
【0014】
脱気チャンバーを介して流体を導くための管状のガス/液体分離膜の構造を利用した液体脱気は、過去に、例えば、本譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6248157号、第6309444号、第5885332号、第6675835号、第7713331号、第6949132号、第6494938号、及び第10143942号で説明されている。
【0015】
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)又は液体クロマトグラフィー(LC)の分野において通常適用されるガス液接触器は、不活性の、ガス透過膜の第一(保持)側が、溶媒、又は溶媒の混合物を含むHPLC移動相(移動相)と接触するよう構成され、一方反対に、膜の第二(透過)側は、減大気圧(真空)かもしれないガスと接触する。膜の機能は、ヘンリーの法則及びダルトンの法則に一致する方法で、移動相で溶解された大気ガスの膜の透過側への拡散を許容することであり、膜自体はフィックの拡散の法則によって振舞う。HPLC移動相脱気の分野において特に興味深いことは、膜を介して通過した移動相の望みの液体化合物の動きを制限する一方で、移動相で溶解しうる酸素、窒素及び二酸化炭素などの大気固定ガスを、膜を介して通過することを選択的に許容する膜の役割である。そのような動きの制限は、一般的に膜の選択性と呼ばれている。したがって、移動相の液体化合物の排除し、これらの固定ガスの移動を許容する膜の素材を選択することが求められる。
【0016】
膜を介して拡散するガスに加え、溶媒自体が膜を介して浸透気化する。浸透気化の効果は、比較的低スループット(through-put)の移動相の体積を利用するクロマトグラフィーシステム、又はクロマトグラフィー計装が、各操作間の供給ラインを完全に水洗することなく定期的に操作されるだけの場合、分析の精度を損なうかもしれません。例えば、1時間当たりナノリットル又はマイクロリットルの移動相の流体速度を利用するシステムは、浸透気化効果が実質的に分析に影響を与えるリスクがある。
【0017】
液体クロマトグラフィーシステムは、典型的には、液体移動相がガス透過性、液体不透過性の膜を介して脱気環境に曝される脱気チャンバーを採用する。そのような脱気環境は、例えば、排気ポンプによって維持される比較的低い絶対圧力でもよい。典型的には、脱気操作は、脱気チャンバーを介して通過する移動相において最大脱気性能に調整又は制御される。そうするには、真空ポンプが、幕の透過側で非常に低い絶対圧力を維持するようプログラムされる。膜を通過するターゲットガス濃度差は、従来、ターゲットガスが膜を介した移動を促進するために比較的高い値を維持してきた。常に脱気チャンバー内でそのような大きなターゲットガスの差を維持する結果が、膜を介した溶媒浸透気化である。
【0018】
図2は、いくつかのHPLC溶媒及びHPLCで用いられる一般的な溶媒混合物の蒸気圧のプロットである。溶媒の浸透気化は、一定の、最大溶解ガス濃度量が維持されうるように、真空脱気システムを特徴付けることによって抑制しうる。そのようなアプローチは、膜の型や性能の特徴に関わらず脱気システムに広く適用できる。十分なレベルの脱気を維持し。脱気システムを作動させ、真空脱気モジュール内に含まれる移動相の浸透気化及びその後の濃度変化を最小にすることは、これまで未解決の問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本願発明の目的は、性能パラメータに合わせた十分な程度の脱気を達成する脱気システム制御を提供することであるが、そのような最小脱気要件を超えず、浸透気化効果が最小にされるか、完全に防止される。実施態様において、真空脱気システムは、割り当てられた脱気性能を達成するのに適切な最大浸透側圧力が脱気システムの移動相の流量範囲にわたり確立及び維持されるように、制御されうる。
【0020】
本願発明の別の目的は、例えば、HPLCポンプに輸送される流体において一定の目標の残留ガス濃度を維持するために脱気システムを制御することである。
【0021】
本願発明のさらなる目的は、検出器に送られる移動相の一定のバックグラウンド光学特性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願発明の手段によって、流体脱気システムは、脱気膜を介して浸透気化を最小限にするか又は防止しつつ、望みの性能レベルを実現するように操作可能に制御されうる。制御システムは、脱気膜にわたって浸透気化を最小限にしつつ、望みの脱気結果を達成するのに十分であり、適切な脱気チャンバー圧力と、脱気結果及び流体流量設定値を等しくする制御パラメータを決定するために、脱気モジュールの性能特性を利用する。したがって、制御パラメータは、望みの又はデフォルトの脱気性能閾値にあった最大脱気チャンバー圧力を規定し、それにより不必要な浸透気化を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】様々な水/メタノール混合物の空気溶解度のグラフである。
【
図2-1】典型的な溶媒の蒸気圧のプロットである。
【
図2-2】典型的な溶媒の蒸気圧のプロットである。
【
図3】本願発明の脱気圧力制御を備えたクロマトグラフィーシステムの概略図である。
【
図5】本願発明の脱気圧力制御を備えたクロマトグラフィーシステムの概略図である。
【
図6】一例の流体脱気モジュールの脱気性能曲線を示すグラフである。
【
図7】一例の流体脱気モジュールの脱気性能及び効率曲線を示すグラフである。
【
図8】移動相流量に対する脱気チャンバー効率の較正曲線を示すグラフである。
【
図9】脱気チャンバー圧力レベルに対する脱気チャンバー効率の較正曲線を示すグラフである。
【
図11】移動相流量に対する脱気チャンバー効率の較正曲線を示すグラフである。
【
図12】脱気チャンバーレベルに対する脱気チャンバー効率の較正曲線を示すグラフである。
【
図17】本願発明の流体脱気システムを描いたフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願発明によって表される他の目的、特徴、及び進歩とともに上記に列挙された目的及び利点は、添付された図面を参照して説明された詳細な態様に関して表されている。他の態様及び発明の面は当業者の理解の範囲内と認識される。
【0025】
一例のクロマトグラフィーシステムは概略的には
図3で説明され、特にHPLC分離モジュールへの移動のために移動相として混合された最大4つの明確な溶媒のために設計された低圧溶媒混合HPLCシステムを描いている。HPLCシステム10は、簡略化のため単一の移動相貯水池12aで説明されるが、HPLCシステム10は、それぞれ複数の脱気モジュール14a-14xに流体を供給するため、複数の移動相貯水池12a-12xを含みうると理解される。
【0026】
説明された脱気モジュール14a-14xのそれぞれは、概略的に
図4で示されるとおり、チャンバー16及び、チャンバー16を保持側17a及び透過側17bに分けるガス透過液体不透過膜18を含む。それぞれのモジュール14a-14bはさらに、チャンバー16の保持側17aに流体接続された流体インレット及びアウトレットポート20、22及び、チャンバー16の透過側17bに流体接続された排気ポート24を含む。真空ポンプ26は、各チャンバー16の保持側17bを「保持側」圧力に少なくとも部分的に排気するために、排気ポート24に流体接続されうる。HPLCシステム10中で有用な一例の脱気モジュールは、本譲受人に譲渡されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第10143942号で説明される。
【0027】
真空ポンプ26は、各チャンバー16の透過側17bを少なくとも部分的に排気するために、排気ポート24に流体接続されうる。概略的には
図3で説明された態様において、各排気ポート24a-24dは、好ましくは、各排気ポート24a-24d及び真空ポンプ26の間の共有経路を確立するために、真空マニホールド28に流体接続される。真空マニホールド28は、排気ポート24a-24dへの1つ以上の接続部29を備えたパイプでもよい。典型的な態様において、排気マニホールド28は、各チャンバー15及び真空ポンプ26の間の開いた導管を形成することによってモジュール14a-14dの各透過側17bにおいて同等の圧力を可能にする。本明細書で説明されるように、真空ポンプ26は、好ましくは、各チャンバー16において、適切な脱気性能を確保し、膜を介した溶媒浸透気化を最小化するために、透過側圧力を維持するよう制御される。各チャンバー16において透過側圧力の制御を支援するため、真空センサー30は、排気ポート24a-24d及び真空マニホールド28などの真空ポンプ26の間の経路に、又は各モジュールの透過側圧力を評価しうる任意の場所に、配置されうる。圧力センサー30は、好ましくは、圧力レベル信号を、ポンプ制御装置32などの制御装置に送り、信号31は真空マニホールド28の、暗に、各脱気チャンバー16の透過側17bの圧力レベルを示す。真空ポンプ制御装置32は、送られてきた圧力レベルを圧力設定値と比較するために信号31を処理する。真空ポンプ信号33は真空ポンプ制御装置32によって生成され、真空ポンプ26の作動速度を調整するために真空ポンプ26に送られてもよく、それにより圧力センサー30で感知された圧力に対応して真空マニホールド28内で圧力を調整する。説明された態様において、真空ポンプ制御装置32は、作動状態、作動速度などの真空ポンプ26の状態情報を含む報告信号34をHPLC制御装置40に生成することもありうる。いくつかの態様において、圧力レベル信号は、報告信号34を介してHPLC制御装置40に送られることもありうる。
【0028】
HPLCシステム10は、さらに、チャンバー16の保持側17aを介してそれぞれの移動相流体を移動させるために、脱気モジュール14a-14dのそれぞれのアウトレットポート22a-22dに流体接続された流体ポンプ50を含む。説明された態様において、低圧力混合HPLC流体ポンプ50は、移動相流体A-Dそれぞれの望みの移動相の配合を達成するために作動しうる配分弁52を介して、アウトレットポート22a-22dに流体接続される。移動相流体B-Dは、簡略化のため
図3では示されていないが、それぞれの移動相/溶媒は、配分弁52の各インレットポート54a-54dを介して流体ポンプ50により汲み出された脱気移動相/溶媒で、それぞれの脱気モジュール14a-14dを介して導かれうることが理解される。望みの混合移動相は、流体ポンプ50のポンプ動作により配分弁52のアウトレットポート56から引き出されうる。HPLC制御装置40は、目標総流量で移動相を移動させるために流体ポンプ50に通信可能に接続されてもよく、操作装置によって割り当てられ、又はデフォルト又は適切なレベル又はプログラムに設定されうる。説明された態様において、HPLC制御装置40も、真空ポンプ制御装置32を介して真空ポンプ26に通信可能に接続される。以下でより詳しく説明するように、一つ以上のデータベース60は、真空ポンプ制御装置32及びHPLC制御装置40の一つ以上に通信可能に接続されてもよく、真空ポンプ制御装置32及びHPLC制御装置40の一方又は両方にとって、浸透気化を最小化しつつ、望みの脱気効率にHPLCシステム10を制御することが有用な制御パラメータを含みうる。説明された態様において、真空ポンプ32及びHPLC制御装置40は、少なくとも本願発明の「制御システム」の一部を形成する。制御システムは、様々なセンサー、信号発生器、プロセッサ、メモリコンポーネント、及び通信コンポーネントからなる。本願発明の制御システムが、プロセス条件設定点及び、膜18を介して透過側17bへ通過し、その後、そのような環境を達成する方法でHPLCシステム10を作動させるようガスに促すような脱気チャンバー環境を決定する一つ以上の制御パラメータを、利用することが考えられる。いくつかの態様において、膜18を介してガス移動を促すのに必要な環境は、保持側17bの減圧であり、ヘンリーの法則に従ってガス移動のための推進力を生み出す。しかし、透過側17bの他の環境は、膜18を貸してガス移動を促すために考えられている。そのような代わりの環境の例は、チャンバー16の保持側17aの流体よりも低い濃度のターゲットガスを含む掃引流体を含むと考えられる。
【0029】
制御パラメータは実質的に同一の物理的及び性能特性を有する脱気モジュールのクラスを特定する較正データ及び/又は較正式を含んでもよく、クラス脱気モジュール14a-14dが構成機関である。較正データ及び/又は式は、制御システムによりアクセスされうる一つ以上のデータベース60に一部的又は全体的に蓄積されうる。調製例は、一つ以上の脱気モジュール14a-14dと接続されたデータベース60に蓄積された、いくつか又は全ての較正データ及び較正式を含みうる。したがって、一つ以上の脱気モジュール14a-14dに関連する較正データは、脱気モジュールと物理的に付随しうる。較正データ及び/又は較正式は、代わりに又は追加的に制御システムから離れて蓄積されてもよく、HPLCシステム10に通信可能な接続を介してアクセスされる。
【0030】
いくつかの態様において、HPLCシステム10は、入力プロセス条件設定値のためにHPLC制御装置40に通信接続されたグラフィカルユーザーインターフェースなどの入力手段を含む。そのようなプロセス条件設定値は、いくつかの態様において、一つ以上の脱気効率及び流体(移動相)流量を含みうる。しかし、他の態様において、HPLC制御装置40及び/又は真空ポンプ制御装置32は、適切な透過側圧力を決めるために制御パラメータで用いられる一つ以上の所定の/割り当てられたプロセス条件設定値でプログラムされうる。HPLC制御装置40は、チャンバー16の透過側17bのために最大圧力設定値を決めるけれど、脱気モジュール14a-14dを介して事前に決定された又は選択された流体流量において、事前に決定された又は選択された脱気効率に合うように脱気モジュール14a-14dに許容する最大圧力設定値を決める制御パラメータに、プロセス条件設定値を適用するようプログラムされたプロセッサを利用しうる。HPLC制御装置は、チャンバー16の透過側17bの最大圧力設定値を維持するため、圧力制御信号42を生成し、真空ポンプ制御装置32に送り、最終的に真空ポンプ26に送るよう適合されうる。
【0031】
流体ポンプ50は混合され及び脱気された移動相を一つ以上の下流のHPLCコンポーネント70に導く。HPLCコンポーネントの例は、クロマトグラフィーカラム、弁、オーブン、検出器などの分離構成要素を含んでもよい。
【0032】
図5は本願発明によって考えられたHPLCシステム110のもう一つのタイプの概略図である。そのようなHPLCシステム110は高圧混合システムとして知られており、二つ以上の流体ポンプ150a、150bのアウトレットが、均一濃度分離混合物を生成するため又は勾配を形成するために組み合わせて動作する。流体ポンプ150a、150bは、典型的には、それぞれの移動相貯水池112a、112bで使用する前に混合された個々の移動相によって供給されうる。各流体ポンプ150a、150bからの流量は、各流体ポンプ150a、150bのからの流量の合計が組み合わされて、それぞれの移動相の望みの濃度で、総所望移動相流量を生成するよう変更されてもよい。HPLCシステム110の残りの構成要素は、HPLCシステム10について参照して説明されたものと同省であり、同様の参照番号は同様の構成要素を表す。
【0033】
それぞれの脱気モジュール14a-14dによって実行される脱気の程度は、チャンバー16の保持側17aを介する流体流量、透過側17bの環境によって表される膜18を通るガス移動の原動力、及び透過性能及び流体との接触表面を含む膜18の脱気性能特性、を含む多くの要因によって決定される。出願人は、それぞれの脱気モジュールに対する脱気性能が定義されうることを発見したため、脱気の範囲(効率)は、チャンバー16の透過側17bにおいて表される脱気原動力の制御を介して、流体流量の範囲にわたって制御されうる。より具体的には、出願人は、膜18を通過する脱気原動力の意図的な制御が、「過剰脱気」を防止するよう調整されうることを発見し、移動相流体は、脱気の回避などの定義された要件を満たすために十分脱気されると同時に、膜を介して溶媒浸透気化を最小化又は排除することができる。HPLCシステム10、110などの例示的なシステムにおいて、脱気原動力は、チャンバー16の透過側17bの減圧環境によって果たされ、分離膜18を介して透過側17bでそのようなガスの低分圧に向かってターゲットガスが移動するとともに、流体の脱気化がヘンリーの法則にしたがって起こる。したがって、透過側17bにおける総圧力は、排気真空ポンプの適用を介して、脱気モジュール14a-14dそれぞれの性能特性により定義される制御パラメータを満たすのに適したレベルに制御されうる。
【0034】
Tokunagaにより提供されたデータ、及び
図1で述べられたデータに基づき、38%以下程度の残留ガスまで脱気された移動相は、大気圧においてガス放出しない。脱気装置の性能の変化は、予想通り、一定のターゲットガス濃度(38%など)が、変化可能な透過側圧力の範囲、膜18及びチャンバー16の物理特性に依存するあらゆる流量で得られうるために、適用される真空(減圧)を変化させるために使用されうることが発見された。
【0035】
市販のHPLCシステムは、十分な表面を有し、移動相の混合物を適正に脱気するのに十分な適用される真空で動作する脱気装置を用いて、メーカーの設計した最大効果流量でガス放出が発生しないように設計される。目標の最大効果クロマトグラフィー流量は、個々のHPLCの目的に依存し、HPLCポンプが動作できる最大流量ではないかもしれない。典型的には、機器メーカーによって、そのような性能が、あらゆる個々の脱気チャンネルができる限り小さく維持される移動相の体積量で得られることも望まれている。典型的には、HPLCの最大目標流量に実行可能なシングル脱気チャンネル内で維持される堆積は、400マイクロリットル及び1ミリリットルの間である。
【0036】
ますます、HPLCシステムは、毎分約100マイクロリットルから毎分10ミリリットルの流量で動作する能力を含む。そのようなHPLCシステムの脱気システムは、混合時にガス放出しない適正に脱気された溶媒を供給する流量のこの広い範囲にわたって効果的に動作もするはずである。特定の脱気装置の性能は、典型的には、HPLCシステムのメーカーによって、ガス放出を防止するよう設計された最高のクロマトグラフィー分離流量で十分に溶解されたガスを除去することで特定される。したがって、同じ機器での低い流量のクロマトグラフィー分離は、脱気チャンバーで比較的高い残留時間を与えられるため、流体を「過剰脱気」する。
【0037】
現在提案されているアプローチは、透過側圧力の範囲にわたってあらゆる特定の脱気装置設計の性能の知識が必要であり、そのため、ガス放出が発生するレベルを超えない最大の溶解したガス濃度などの、HPLCポンプシステムは溶解されたガスの最大定義閾値で移動相成分と供給されうる。そのためには、適用される真空(圧力)レベルは、脱気モジュールの特徴との組み合わせで流量の機能として調整されうる。
【0038】
脱気モジュール較正テスト
あらゆる特定の脱気モジュール設計の性能は、標準メタノール吸光度法を用いる流量の数及び透過側圧力の数でモジュールをテストすることで決定される。紫外光検出器は、100%メタノール中の残留空気の量を決定するために、210ナノメートルに設定されてもよい。メタノールは、溶解したガス中に存在する酸素と既知の電荷移動錯体を形成するため、放出された紫外光は吸収される。吸光度は、溶解した大気ガスの総量の指標として用いられる。酸素、したがって空気のゼロ濃度の較正は、HPLC流動セルを介して通過する紫外光が最小吸光度Azeroに到達するまで、テストメタノールにヘリウム又は窒素を注入することによって行われる。その後、検出器はゼロ調整され、その後調整されない。
【0039】
100%大気飽和濃度は、その後、同様のメタノール移動相に、圧縮機又は既知で変化しない濃度の空気源からの圧縮空気を散布することによって確立する。同様に、100%飽和は、検出キセルを介して、同じ波長で通過するメタノールの吸光度が最大に到達したときに確立する。吸光度Asatdの読み取りは、その後、メタノール移動相に対して100%飽和と表される。
【0040】
テスト脱気モジュールは、その後、空気飽和メタノール貯水池及びHPLCポンプのインレットの間に配置され、テスト真空はモジュールチャンバーの透過側に適用される。HPLCポンプシステムは、メタノールの様々な流量を輸送するために配置され、HPLC検出器を介して通過するメタノールのUV吸光度はその後記録される(Adegassed)。非脱気空気飽和吸光度に対する、テスト脱気モジュールを介して通過するメタノールの吸光度の比率(Asatdに対するAdegassed)及び流量及び透過側圧力は記録される。様々な流量で実行されるこの方法は、流量に対する性能曲線としてプロットされうる較正データを生成する。
【0041】
残留空気に対する典型的な性能曲線は
図6で説明される。
【0042】
較正データは、残留ガスの濃度の逆数(100%-残留ガス%)である“効率”の用語で表されてもよい。
図7は較正曲線の両方のタイプを説明する。
【0043】
図7は、テスト済み脱気チャンバーについて、最大移動相流量
図1の38%残留空気又は テスト済み脱気チャンバーを用いて脱気する前に、38%残留空気又は62%効率以下に落ちる
図1の上限を違反することなく達成できる最大移動相流量が、混合物の範囲を介して、チャンネル当たり約4mL/分であることを示す。HPLC勾配において、したがって、メタノール及び水の総流量は、シングルチャンネルでそれぞれが脱気されるよう組み合わされ、両チャンネルの合計又は約8mL/分である。
【0044】
図7の効率曲線又は残留空気曲線は、したがって、メタノールによって例示されるように、4mL/分未満の流量で脱気チャンバーを介して通過する移動相が、混合後の脱気により機械的にシステムに単に影響を与えるものよりも少ない溶解した空気を含む傾向があることを示す。したがって、設計された上限流量性能を下回る流量は、「過剰脱気」として見られる。脱気制御のための本願システムは、そのような状態において、流体が不必要に脱気されないように保持側圧力を増加させる。
【0045】
残留ガス濃度がガス放出を避ける最大濃度を下回るように、脱気装置を操作するために移動相の固定ガス負荷に敏感なHPLC検出器を用いる場合には、理由があるかもしれない。例えば、質量分析ネブライザーは、定量的又は定性的な分析に影響を与える移動相に溶解するガスの量に基づいてネブライザーからの不規則なスプレーを開発しうる。このため、HPLCシステムに接続された真空脱気システムは、移動相から可能な限り多くの溶解したガスを取り除くよう望ましく操作されうる。
【0046】
本願のアプローチは、流量及び所望の/所定の脱気性能に基づいて脱気原動力を制御する。
【0047】
テスト脱気モジュールを完全に較正するためには、吸光度データが、好ましくは流量範囲にわたって及び透過側圧力の範囲にわたって集められる。例示のテスト方法は、四つの圧力レベル(50、120、200、400mmHg)及び七つの流量(1-7ml/分)において較正データをプロットする。
図8は、様々は透過側圧力及び保持側流体流量にわたって取得された較正データからの較正曲線を示すグラフである。較正データは、実質的に同一の物理的及び性能特性を有するHPLCシステムに導入された一つ以上の実質的に同一の脱気モジュールの設定の一つであることを期待される選択された脱気モジュールに対する効率を表し、したがって、全ての脱気モジュールが同様に機能することが期待される。例として、テスト済み脱気モジュールは、チャンバーの透過側において50mmHgで動作し、チャンバーの保持側を通る流量で、約3.5ml/分であるとき、30%残留空気の性能(70%効率)を示す。そのような性能は、
図8の構成曲線がシングルチャンネル脱気装置を表すため、実質的に、勾配又はあらゆる均一濃度の低圧混合メタノール-水システムを、約7ml/分まで脱気する。
【0048】
図8に反映される較正データは、透過側圧力の範囲にわたり及び移動相流量の範囲にわたり、テスト済み脱気モジュール効率を決定するために、
図9で示されるように再プロットされてもよい。50-400mmHgの絶対圧力間の透過側圧力は、単に、この例では、HPLC脱気で用いられる真空ポンプシステムから一般的に入手できる圧力の範囲を補うために選ばれた。このグラフで、あらゆる効率は、走査装置によってあらかじめ決められ又は選ばれてよく、様々な移動相流量に適切な透過側圧力設定値が決定されてもよい。いくつかの態様において、効率の設定は、例えば、脱気モジュール又はHPLCシステム内の脱気モジュールの設定が、高圧又は低圧混合HPLCシステムに導入されるかに依存して、あらかじめ決められ又は選択されうる。他のシステム設計又は脱気プログラム特性も、効率の設定に影響を与え、又は定義しうる。
【0049】
例示のテスト済み脱気モジュールからの較正データは、以下の表1で明らかにされ、様々な透過側圧力及びテストされた移動相流量における脱気効率を含む:
【表1】
【0050】
プロットしたとき、それぞれの直線/曲線に対する傾きと切片が決定されうる。そして、直線の傾き及び切片は、与えられた移動相流量における、あらゆる与えられた効率を達成するために必要な透過側圧力を計算するのに用いられうる。つまり、透過側圧力に対する効率の変化の比率は、それぞれの移動相流量について得られるかもしれない。表1の暫定値は、システム走査装置又はメーカーに、あらゆる与えられた脱気システム又はアプリケーションに必要な性能のレベルを特定することを許容し、そこから、選択された脱気性能/効率に合う移動相流量及び透過側圧力較正曲線を決定する。典型的には、走査装置及びメーカーは、Tokunagaデータにしたがって、62%以上になるよう効率を特定する。割り当てられた効率は、62%などの規定の値を含みうるため、要求の効率を入力する必要はない。
【表2】
【0051】
表2は、それぞれのテストされた流量における効率に対する直線の傾きについて明らかにする。直線の傾きは、透過側圧力に対する脱気効率の変化の比率を提供する。目標脱気効率の透過側圧力は、式を用いて表わされ:圧力=(目標効率-b)/m;
ここでb=切片
m=傾き
【0052】
上記データ及び目標脱気効率(Y)を用いて、流量に対する一定の残留ガス濃度が保持されうる単一の較正曲線は計算されうる。較正曲線はテスト済み脱気モジュールの性能特性を説明し、既知の移動相流量における設定点脱気効率を達成する透過側圧力を割り当てる本願発明の制御システムによって利用される制御パラメータの基礎である。
【0053】
表2からの直線の傾き及び切片を利用する一群の較正曲線は、脱気効率(Y)の選択から得られるかもしれない。テスト済み脱気モジュールの効率較正曲線を示す例示のグラフは
図10で明らかにする。それぞれの固定効率曲線は、曲線及び切片についての式をさらに導出することによる単一の式によって表されうる。真空ポンプが必要とされる透過側圧力を達成できない、又は不十分に脱気された移動相のガス放出が発生するような場合、透過側圧力効率曲線の適用に実際的な制限が存在する。グラフで使われている流量は、流れの一つのチャンネルを表し、そのため、ポンプで混合される均一濃度の移動相又は勾配混合のように、流れの二つのチャンネルが混合される場合、総移動相流量は透過側圧力設定値が特定される前に2で割ってもよい。このデータを介して、一つ以上の制御パラメータが、テスト済み脱気モジュールと実質的に同一である全ての脱気モジュールと同様にテストされた脱気モジュールに割り当てられうる。その場合、一つ以上の制御パラメータの同じセットで同様に制御される実質的に同じ脱気特性を有する全ての脱気モジュールのために、脱気モジュールが一つだけテストされ及び較正される必要がある。この目的のため、「制御パラメータ」という用語は、
図10で説明されたように、脱気モジュールの較正テストを展開される開発された脱気効率較正データ及び式を意味すると意図する。一つ以上の制御パラメータのセットが、例えば、HPLCシステム10のファームウェアデータベース60に入ってもよく、これにより、要求される最大脱気圧力が自動的に定まる適切な透過側圧力レベルをHPLCシステムが自動的に計算することを可能とする。オンボードシステムが真空脱気ポンプの制御を有しない場合、あらゆる制御パラメータが、例えば、真空脱気制御ボード自体、又は真空ポンプ制御装置と通信可能に接続された場所に蓄積されてもよい。
【0054】
較正方法及び自動制御は、フラットフィルムタイプ脱気モジュールに同等に適合しうることが理解されたい。
図11は、四つの異なる透過側圧力における移動相流量に対する効率の較正曲線を表す。このデータは、脱気効率がそれぞれのテスト済み移動相流量における透過側圧力に対してプロットされるようにもう一度解釈されうる。特定のフラットフィルムタイプ脱気装置についてのこの分析は
図12に描かれる。
図12のプロットされた較正データの曲線分析は、結果として、分析された流量それぞれについての透過側圧力に対する効率の変化の割合を表す以下の表3で明かされる表現をもたらす。
【表3】
【0055】
それぞれの直線についての式は、あらゆる移動相流量で選択された効率に対応する透過側圧力を計算するのに用いられる。フラットフィルム脱気装置のテストケースにおいて、曲線当てはめは、固定された所望の効率で透過側圧力が、それぞれの流量について以下の式から計算されうる、二次多項式であり、Y=ax
2+bx+cであって、Yは効率であり、Xはデータに対応する移動相流量である。較正データに関連する流量の計算の結果は、
図13で説明される較正曲線のセットを生成する。
【0056】
図13の較正曲線の図画評価は、結果として最大透過側圧力がシステムに与えられる脱気効率に合うように決定されうることから以下の式のセットが生じる。
【表4】
【0057】
透過側圧力(Y)の解は、方程式表に目標効率及び移動相流量を入力することで達成される。そのような制御パラメータによって計算された透過側圧力は、脱気チャンバーの透過側の最大圧力レベルを表し、にもかかわらず当該チャンバーは動作流量において目標脱気効率に合う十分な原動力を確立する。本願発明の制御パラメータは、
図13で説明されたような一つ以上の較正曲線のセットを組み込んでもよい。その後、制御装置は、あらゆる与えられた脱気効率に適した最大透過側圧力及び脱気システムの能力内の移動相流量を、定義する較正曲線を基礎とする式を使用しうる。そのように決定された圧力は、変動する効率目標及び/又は移動相流量によって変動しうる。
【0058】
いくつかの態様において、透過側圧力は、制御パラメータが、脱気システムの流体を適切に脱気する能力を上回らない流体流量の範囲を決めるために用いられうるように定義されてもよい。例示のアプローチは
図14で説明され、ここで脱気モジュール較正効率は透過側圧力に対する流体流量についてプロットされる。透過側圧力設定点は例示の60-70%効率の間の両向き矢印によって説明される。両向き矢印は、様々な割り当てられた透過側圧力においてそれぞれの脱気チャンバーによって適切に脱気される流体流量範囲を表す。
図14からわかりうるように、高い脱気効率ほど、より低い移動相流量に対応するプロットの左側の傾向がある。
【0059】
透過側圧力設定点は、最大流量値まで、チャンバーの保持側を通る全ての期待される移動相流量に割り当てもされうる。この場合、効率は流量の変化で変わる。しかし、較正データ及び曲線は、大気圧でガス放出を回避するのに適切な効率など、目標の脱気効率に合うにもかかわらず、割り当てられた透過側圧力における最大流量を定義するために利用されうる。
図15は脱気効率線(「Tokunagaガス放出閾値」)を説明し、ここで選択された透過側圧力の最大流量値はそれぞれの両向き矢印とTokunagaガス放出閾値の切片である。これに関して、脱気モジュール設計者は、システムに最大移動相流量を割り当て、脱気性能が保証されるレベルに透過側圧力を割り当て又は制御するために本願発明の制御パラメータを使用してもよい。
【0060】
本願発明の制御パラメータのさらなる使用は、脱気モジュール自体の設計にあってもよい。最大の又は設定点移動相流量及び透過側圧力設定点の両方が定義されうる場合において、脱気モジュールの特性が、流量及び圧力設定点に合うように要求される最小の効率を示すように調整されうる。調整されうる例示のモジュール特性は、チャンバーの体積、膜の接触面積、及び膜の性能(膜の薄さ、材質、又は調整)を含む。
【0061】
約288mmHg(大気圧760mmHg)*(ガス放出のないメタノール/水中の最大空気濃度(38%))を超える透過側圧力は、典型的には、真空脱気アプリケーションには有用でないことを理解すべきである。なぜならガス放出の可能性が、この圧力レベルを超えると高まるからである。したがって、いくつかの態様において、所定の/割り当てられた約280mmHgの上限は、透過側圧力についての制御パラメータで定義される。しかし、標準圧力(760mmHg)と実質的に異なる大気圧において行われる真空脱気は局所ガス放出閾値圧力の計算における調整を要してもよく、280mmHgを大幅に下回ってもよい。
【0062】
脱気モジュールの較正及び制御パラメータをサポートする較正曲線の開発に必要な手順のフロー図が、
図16に示される。
【0063】
図17は本願制御スキームを表すフロー図であり、ここで制御システムは、割り当てられ又は所定の移動相流量で、割り当てられ又は所定の脱気効率を達成する適切な脱気原動力を確保するのに適正なそれぞれの脱気チャンバーの透過側圧力を確立する。そのような透過側圧力は制御システムにより、クロマトグラフィー分離を通じて、又は移動相流量設定点が変えられるまで維持されうる。
【0064】
溶媒に溶解した空気の量を計算することは大気の圧に関することを理解すべきである。
図1で説明されるグラフは、例えば、標準温度と圧力を想定している。脱気が標準大気圧から実質的に逸脱する大気圧で実行される状況において、局所大気圧の較正は本願発明の制御システムに含まれるべきである。脱気チャンネル中の圧力センサーの場合、そのようなセンサーは感知された圧力を、大気圧よりも絶対ゼロ圧力に関連付けることが通常である。したがって、絶対圧力として表現されるガス放出閾値は、局所圧力及び標準大気圧の間の関係によって調整されるべきである。本願の制御されたスキームのいくつかの態様において、したがって、局所大気圧の調整が、局所大気圧「P
L」を取得し、大気調節要因をF=P
L/P
sより計算することに含まれうる。
ここで
F=大気調節要因
P
L=局所大気圧
P
S=標準大気圧
局所ガス放出閾値「P
O」はP
O=P
T*Fにより決定されてもよく:
P
T=標準大気圧での閾値ガス放出圧力
F=大気調節要因
【0065】
当業者にとって、固定流量において動作する勾配システムは、総流量を示し、HPLC分離カラムを介して通過する移動相の組成物は時間とともに変化する。濃度のこの時間に基づいた組成物の変化は、どの時点においても組成物の望みの構成と比例して、それぞれの脱気チャンネルを介して移動相流量を変化させることにより達成される。勾配の条件下では、分離の総流量に対応して、全ての脱気モジュールについての透過側圧力を設定することが、最善策であってもよい。
【0066】
移動相の単一混合物が、ポンプインレット逆止弁から配分弁上流を用いる低圧混合HPLC、又は高圧混合HPLCシステムで構成される場合、透過側圧力レベルは分離流量及び脱気モジュールに供給される最高の初期溶解ガス濃度を用いて設定すべきである。
【0067】
本願システムが、移動相流量が時間とともに変化するシナリオ、目標又は供給残留溶解ガスが時間とともに変化するシナリオ、又は両方に等しく適用可能であってもよいと考えられる。全ての状況において、制御パラメータは、割り当てられた又は所定の脱気効率にあう最大透過側圧力を指示するために利用されてもよい。いくつかの場合において、そのような圧力は、大気圧での混合のため、発生しうるガス放出を防ぎうるし、単一脱気チャンネルを介して通過する単一移動相中の混合物の浸透気化分解を含む、浸透気化も防ぎうる。
【0068】
本発明は、特許法を遵守し、新規な原理を適用し、必要に応じて発明の態様を構築及び使用する必要がある情報を当業者に提供するために、非常に詳細に説明されている。しかし、様々な修正を、発明の範囲から逸れることなく成し遂げてもよいことを理解されたい。
本発明の一態様を以下に示すが、本発明はそれに限定されない。
[発明1]
流体脱気システムであって、
チャンバー及び前記チャンバーを保持側と透過側に分離するガス透過膜を有する脱気モジュールあって、前記チャンバーの保持側に流体接続された流体インレット及びアウトレットポート、及び前記チャンバーの透過側に流体接続された排気ポートを含む脱気モジュール;
前記チャンバーの透過側を排気するための、前記排気ポートに流体接続された真空ポンプ;
流体流量で前記チャンバーの保持側を通じて流体を移動させる少なくともひとつの前記インレット及びアウトレットポートに流体接続された流体ポンプ;及び
前記真空ポンプと通信可能に連結された制御システムであって、前記制御システムは、前記チャンバーの透過側圧力を感知するために調整された圧力センサー、制御パラメータを蓄積するためのデータベース、及びプロセッサを含み、前記プロセッサは、脱気効率と流体流量を含むプロセス条件値を、前記チャンバーの透過側の最大圧力値を決定するための制御パラメータであるがプロセス条件値が満たされることを許容す制御パラメータに適用するようにプログラムされており、チャンバーの透過側で最大圧力値以下の透過側圧力を維持するため圧力制御信号を生成して前記真空ポンプに伝達するよう適合した前記制御システム
を含む流体脱気システム。
[発明2]
前記制御パラメータが、較正データに基づいて前記脱気モジュールに対して定義されている、発明1に記載の流体脱気システム。
[発明3]
制御パラメータが、実質的に同一の性能特性を有する脱気モジュールのクラスに特有の較正データに基づいており、前記脱気モジュールが、脱気モジュールのクラスによって表される、発明2に記載の流体脱気システム。
[発明4]
較正データが較正式をもたらす、発明3に記載の流体脱気システム。
[発明5]
圧力制御信号が前記真空ポンプの作動速度を制御する、発明1に記載の流体脱気システム。
[発明6]
前記制御システムが、計算された最大圧力値と前記圧力センサーからのフィードバックに基づいて圧力制御信号を定義する、発明5に記載の流体脱気システム。
[発明7]
制御システムが、前記流体ポンプと通信可能に連結され、かつ、流体流量プロセス条件設定点を維持するため前記流体ポンプへの流量制御信号を生成するよう適合されており、流量制御信号が前記流体ポンプの作動速度を制御する、発明1に記載の流体脱気システム。
[発明8]
制御システムが、前記圧力センサー及び計算された最大圧力値からのフィードバックに対して反応する信号発生器及びプロセッサを有する真空ポンプ制御装置を含む、発明1に記載の流体脱気システム。
[発明9]
前記真空ポンプ制御装置の前記信号発生器が、圧力制御信号を生成し、前記真空ポンプへ伝達する、発明8に記載の流体脱気システム。
[発明10]
それぞれの前記排気ポートを介して排気マニホールドに流体接続された複数の脱気モジュールを含む発明1に記載の流体脱気システムであって、前記真空ポンプが前記排気マニホールドに流体接続された、流体脱気システム。
[発明11]
最大圧力値が、前記チャンバーの透過側における最大圧力であるが大気圧において流体からのガス放出を防ぐ最大圧力を表す、発明1に記載の流体脱気システム。
[発明12]
1つ以上の前期プロセス条件値を受け取るための入力手段を含む、発明1に記載の流体脱気システム。
[発明13]
最大圧力値が、流体脱気システムによって達成可能な最低透過側圧力以上である、発明1に記載の流体脱気システム。
[発明14]
流体脱気システムであって、
チャンバー及び前記チャンバーを保持側と透過側に分離する膜を有する脱気モジュール;
チャンバーの透過側に、前記膜を介してガスを通過させる環境を提供するようチャンバーの透過側を調節するための調節装置;
チャンバーの透過側の環境を測定するためのセンサー;及び
プロセス条件値及び前記センサーからの測定値を含むプロセスデータに基づいて前記調節装置を操作するための制御システムであって、プロセス条件値がチャンバーの保持側を介する流体流量及び前記脱気モジュールの脱気効率を含み、前記制御システムが制御パラメータにアクセスする手段を含み及び膜を介してチャンバーの透過側への蒸気輸送を最小化し、脱気効率を達成する透過側環境条件を決定する制御パラメータにプロセス条件値を適用し、前記制御装置が透過側環境条件に従って前記調節装置を作動させるのに適合されている、制御システム
を含む流体脱気システム。
[発明15]
制御パラメータがひとつ以上の較正データ及び較正式を含む、発明14に記載の流体脱気システム。
[発明16]
較正式が較正データに基づいている、発明15に記載の流体脱気システム。
[発明17]
制御パラメータが複数の較正式を含む、発明16に記載の流体脱気システム。
[発明18]
それぞれの較正式が、明確な脱気効率又は明確な流体流量を表す、発明16に記載の流体脱気システム。
[発明19]
制御パラメータが、実質的に同一の性能特性を有する脱気モジュールのクラスに特有であり、前記脱気モジュールが脱気モジュールのクラスによって表される、発明18に記載の流体脱気システム。
[発明20]
制御パラメータがひとつ以上のデータベースに蓄積される、発明15に記載の流体脱気システム。
[発明21]
少なくともひとつの前記データベースが前記脱気モジュールに接続された、発明20に記載の流体脱気システム。
[発明22]
制御システムが、ひとつ以上のデータベースと通信可能に連結された、発明21に記載の流体脱気システム。
[発明23]
制御システムが、ひとつ以上のデータベースとコンピュータネットワークを介して通信可能に連結された、発明22に記載の流体脱気システム。
[発明24]
前記調節装置が、チャンバーの透過側を減圧するためのポンプを含む、発明14に記載の流体脱気システム。
[発明25]
制御システムが、透過圧を決定するのに適合した、発明24に記載の流体脱気システム。
[発明26]
前記システムが複数の制御装置を含み、前記制御装置の少なくともひとつが制御可能に前記調節装置と連結された、発明14に記載の流体脱気システム。
[発明27]
流体脱気システムであって、
チャンバー及び前記チャンバーを保持側と透過側に分離する膜を有する脱気モジュール;
チャンバーの透過側に圧を確立するための調節装置;
チャンバーの保持側を介する流体の流体流量及び前記脱気モジュールの脱気効率を含むプロセス条件値に基づいて前記調節装置を制御するための制御システムであって、前記チャンバーの透過側の最大圧値を決定するがプロセス条件値が満たすことを許容する制御パラメータに、脱気効率値を適用するようプログラムされた前記制御システムであって、最大圧力レベル以下に透過側圧力を維持するため前記調節装置を制御するよう適合した前記制御システム
を含む流体脱気システム。
[発明28]
透過側圧力が、膜を介してガスをチャンバーの透過側に移動させるのに有効である、発明27に記載の流体脱気システム。
[発明29]
最大圧力値が、流体脱気システムによって達成可能な最低透過側圧力以上である、発明27に記載の流体脱気システム。
[発明30]
流体流量が時間とともに変化する、発明27に記載の流体脱気システム。
[発明31]
流体流量を測定するための流体センサーを含む、発明30に記載の流体脱気システム。
[発明32]
流体流量がプログラムされた、発明30に記載の流体脱気システム。
[発明33]
制御システムにプロセス条件値を入力するための入力手段を含む発明27に記載の流体脱気システム。
[発明34]
前記入力手段が、ひとつ以上のプロセッサ、データベース、及び操作用インターフェースを含む、発明33に記載の流体脱気システム。
[発明35]
操作用インターフェースが、ひとつ以上のコンピュータ、グラフィックインターフェース、キーボード、及び遠隔ポインター装置を含む、発明34に記載の流体脱気システム。
[発明36]
前記調節装置が、排気ポートを介してチャンバーの透過側に流体接続された真空ポンプを含む、発明27に記載の流体脱気システム。
[発明37]
透過側の圧力を測定するためのセンサーを含む発明36に記載の流体脱気システム。
[発明38]
制御パラメータが、ひとつ以上の較正データ及び較正式を含む、発明37に記載の流体脱気システム。
[発明39]
較正式が較正データに基づいている、発明38に記載の流体脱気システム。
[発明40]
制御パラメータが、ひとつ以上のデータベースに蓄積される、発明38に記載の流体脱気システム。
[発明41]
前記データベースの少なくともひとつが前記脱気モジュールと接続されている、発明40に記載の流体脱気システム。
[発明42]
制御システムが、ひとつ以上のデータベースと通信可能に連結された、発明40に記載の流体脱気システム。
[発明43]
流体を脱気する方法であって、
(a)チャンバー及び前記チャンバーを保持側と透過側に分離するガス透過膜を有する脱気モジュールを提供すること;
(b)前記脱気モジュールの脱気効率及びチャンバーの保持側を介する流体の流体流量を含むプロセス条件値を得ること;
(c)流体流量における脱気効率値が前記脱気モジュールに達成するのを許容する前記チャンバーの透過側における最大圧力値を決定する前記脱気モジュールに特に関する制御パラメータにプロセス条件値を適用すること;及び
(d)前記チャンバーの透過側において最大圧力値を超えないように圧力を割り当てること
を含む前記方法。
[発明44]
最大圧力値が、脱気モジュールによって達成可能な最低の透過側圧力以上である、発明43に記載の方法。
[発明45]
真空ポンプによって透過側圧力を制御することを含む、発明43に記載の方法。
[発明46]
制御パラメータに少なくとも部分的に基づいて真空ポンプを制御することに適合した制御装置を含む、発明45に記載の方法。
[発明47]
制御パラメータが、実質的に同一の性能特性を有する脱気モジュールのクラスに特有の較正データに基づいており、前記脱気モジュールが脱気モジュールのクラスによって表される、発明46に記載の方法。
[発明48]
制御パラメータが、大気圧で流体からのガス放出を防ぐ前記チャンバーの透過側での最大圧力をもたらす、発明46に記載の方法。
[発明49]
前記チャンバーの透過側の圧力がガス圧力である、発明43に記載の方法。
[発明50]
脱気効率が、脱気後の流体中の残留溶存ガス濃度の逆数である、発明43に記載の方法。