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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】易開封性容器蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/42 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
B65D41/42
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019220084
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021088393
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】見山 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】市村 克仁
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-119301(JP,A)
【文献】特開平11-115937(JP,A)
【文献】実開昭63-111446(JP,U)
【文献】特開平01-111666(JP,A)
【文献】特開2011-051595(JP,A)
【文献】特開2015-040060(JP,A)
【文献】特開平10-024955(JP,A)
【文献】特開昭62-168863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面の上端部には環状係止突条が形成されている円筒形口頸部を有し且つ気体含有液体が収容された後に口頸部が密封されて内部が正圧になる容器のための易開封性容器蓋であって、
平坦な円形天面壁、該天面壁の周縁から縦断面図において半径方向外方及び下方に円弧状に延びる弧状部と該弧状部に続いて下方に鉛直に延びる直状部とを有するスカート壁、及び該スカート壁の下端から延出する把持片を含み、該天面壁及び該スカート壁と共に該把持片の少なくとも基部は金属薄板から一体に形成されており、該把持片の両側から該スカート壁を上方に延びる第一の部分及び該スカート壁の上端部乃至該天面壁の周縁部を円弧状に延びる第二の部分を有する一対のスコアが形成されているシェルと、該シェルの該天面壁の内面に配設された円板状の合成樹脂製ライナーとから構成されており、該スカート壁の該直状部の下部を口頸部の係止突条の下側において半径方向内側にかしめることによって口頸部に装着される、易開封性容器蓋において、
該一対のスコアの各々の該第一の部分は、該スカート壁の下端から該直状部の該下部の上端を超える部位まで鉛直に延びており、
該一対のスコアにおける、該第一の部分の該スカート壁の該下端から該スカート壁の該直状部の該下部の該上端を超え該下部以外の該直状部の中間までの範囲に位置する部位の材料残留厚さをt1、該第一の部分の残部の材料残留厚さをt2、該第二の部分の材料残留厚さをt3とすると、t1>t2>t3であ
口頸部を密封した状態において、材料残留厚さがt1である該部位の上端は係止突条の最大外径部位よりも上方に位置する、
ことを特徴とする易開封性容器蓋。
【請求項2】
該金属薄板が厚さ0.24mmのアルミニウム基合金である場合、該t1は170乃至190μm、該t2は155乃至175μm、該t3は110乃至130μmである、請求項1記載の易開封性容器蓋。
【請求項3】
該一対のスコアの各々の該第一の部分は該スカート壁の該直状部の上端まで真直に延び、該スカート壁の該弧状部においては上方に向かって且つ周方向に相互に離隔する方向に弧状に延びる、請求項1又は2記載の易開封性容器蓋。
【請求項4】
該ライナーは、該一対のスコアに沿って延在し且つ該一対のスコアを覆う一対の円弧状領域においては該シェルに対して非接着乃至弱接着であるが、該一対の円弧状領域以外の領域においては該シェルに対して接着されている、請求項1から3までのいずれかに記載の易開封性容器蓋。
【請求項5】
該ライナーは薄肉中央部と厚肉周縁部を有し、該厚肉周縁部の下面には同心状に下方に延出する内側環状シール片及び外側環状シール片が形成されており、該外側環状シール片の下端は該スカート壁の該直状部の上端よりも上方に位置する、請求項1から4までのいずれかに記載の易開封性容器蓋。
【請求項6】
該外側環状シール片の下端は該スカート壁の該弧状部の上下方向中間部位と同高である、請求項5記載の易開封性容器蓋。
【請求項7】
該内側環状シール片の下端は該外側環状シール片の下端よりも下方で且つ該スカート壁の該直状部の上端よりも上方に位置する、請求項5又は6記載の易開封性容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周面の上端部には環状係止突条が形成されている円筒形口頸部を有し且つ気体含有液体が収容された後に口頸部が密封されて内部が正圧になる容器のための易開封性容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1乃至3には、外周面の上端部には環状係止突条が形成されている円筒形口頸部を有し且つ気体含有液体が収容された後に口頸部が密封されて内部が正圧になる容器のための易開封性容器蓋として、平坦な円形天面壁、天面壁の周縁から縦断面図において半径方向外方及び下方に円弧状に延びる弧状部とこの弧状部に続いて下方に鉛直に延びる直状部とを有するスカート壁、及びスカート壁の下端から延出する把持片を含み、天面壁及びスカート壁と共に把持片の少なくとも基部は金属薄板から一体に形成されているシェルと、シェルの天面壁の内面に配設された円板状の合成樹脂製ライナーとから構成されている容器蓋が開示されている。シェルには、把持片の両側からスカート壁を上方に向かって周方向両側に弧状に延びる第一の部分及びスカート壁の上端部乃至天面壁の周縁部を円弧状に延びる第二の部分を有する一対のスコアが形成されている。
【0003】
上記のとおりの容器蓋は、容器の口頸部に被嵌してライナーを口頸部に押圧し、スカート壁の直状部の下部を口頸部の係止突条の下側において半径方向内側にかしめることによって口頸部に装着される。口頸部を開封する際には、把持片を把持して半径方向外方に、次いで上方に引っ張って一対のスコアを漸次破断することによって、口頸部から容器蓋を離脱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-174266号公報
【文献】特開2011-173594号公報
【文献】特開2015-40060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、本発明者等の経験によれば、上述した形態の従来の容器蓋には、特に容器蓋が装着されて口頸部が密封された容器が炎天下の如き高温に晒されて容器内の圧力が著しく上昇された場合、口頸部を開封するために口頸部から容器蓋を離脱する際に、容器内の高圧力の開放に伴って容器蓋が口頸部から勢いよく飛翔してしまう虞があることが判明している。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、口頸部から容器蓋を離脱する際に過剰な力を必要とする等の別個の問題を発生せしめることなく、容器内の圧力が著しく上昇された場合でも口頸部から容器蓋を離脱する際に容器蓋が勢いよく飛翔してしまうことが可及的に防止される、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意研究及び実験の結果、一対のスコアの第一の部分の延在形態を変更してスカート壁の下端から直状部のかしめられる下部の上端を超える部位まで真直に延びる形態にすることによって、上記主たる技術的課題を達成できることを見出した。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する易開封性容器蓋として、
外周面の上端部には環状係止突条が形成されている円筒形口頸部を有し且つ気体含有液体が収容された後に口頸部が密封されて内部が正圧になる容器のための易開封性容器蓋であって、
平坦な円形天面壁、該天面壁の周縁から縦断面図において半径方向外方及び下方に円弧状に延びる弧状部と該弧状部に続いて下方に鉛直に延びる直状部とを有するスカート壁、及び該スカート壁の下端から延出する把持片を含み、該天面壁及び該スカート壁と共に該把持片の少なくとも基部は金属薄板から一体に形成されており、該把持片の両側から該スカート壁を上方に延びる第一の部分及び該スカート壁の上端部乃至該天面壁の周縁部を円弧状に延びる第二の部分を有する一対のスコアが形成されているシェルと、該シェルの該天面壁の内面に配設された円板状の合成樹脂製ライナーとから構成されており、該スカート壁の該直状部の下部を口頸部の係止突条の下側において半径方向内側にかしめることによって口頸部に装着される、易開封性容器蓋において、
該一対のスコアの各々の該第一の部分は、該スカート壁の下端から該直状部の該下部の上端を超える部位まで鉛直に延びており、
該一対のスコアにおける、該第一の部分の該スカート壁の該下端から該スカート壁の該直状部の該下部の該上端を超え該下部以外の該直状部の中間までの範囲に位置する部位の材料残留厚さをt1、該第一の部分の残部の材料残留厚さをt2、該第二の部分の材料残留厚さをt3とすると、t1>t2>t3であ
口頸部を密封した状態において、材料残留厚さがt1である該部位の上端は係止突条の最大外径部位よりも上方に位置する、
ことを特徴とする易開封性容器蓋が提供される。
【0009】
好ましくは、該金属薄板が厚さ0.24mmのアルミニウム基合金である場合、該t1は170乃至190μm、該t2は155乃至175μm、該t3は110乃至130μmである。該一対のスコアの各々の該第一の部分は該スカート壁の該直状部の上端まで真直に延び、該スカート壁の該弧状部においては上方に向かって且つ周方向に相互に離隔する方向に弧状に延びるのが好適である。該ライナーは、該一対のスコアに沿って延在し且つ該一対のスコアを覆う一対の円弧状領域においては該シェルに対して非接着乃至弱接着であるが、該一対の円弧状領域以外の領域においては該シェルに対して接着されているのが好都合である。好適には、該ライナーは薄肉中央部と厚肉周縁部を有し、該厚肉周縁部の下面には同心状に下方に延出する内側環状シール片及び外側環状シール片が形成されており、該外側環状シール片の下端は該スカート壁の該直状部の上端よりも上方に位置する。該外側環状シール片の下端は該スカート壁の該弧状部の上下方向中間部位と同高であるのが好ましい。該内側環状シール片の下端は該外側環状シール片の下端よりも下方で且つ該スカート壁の該直状部の上端よりも上方に位置するのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
容器の口頸部から容器蓋を離脱する際には、通常、一対のスコアの各々の第一の部分がスカート壁の下端からスカート壁の直状部のかしめられている下部の上端まで破断された時点近傍において内圧が開放されるが、本発明の容器蓋においては、一対のスコアの各々の第一の部分はスカート壁の下端から直状部のかしめられる下部の上端まで真直に延びている故に、容器内圧が開放される際にスカート壁の直状部におけるかしめられた状態が解除されることなく維持される領域の周方向長さを従来の容器蓋の場合よりも長くすることができ、かくして口頸部から容器蓋を離脱する際に容器蓋が勢いよく飛翔してしまうことが可及的に防止される。一方、一対のスコアの破断開始初期に破断される部分、即ち第一の部分におけるスカート壁の下端からスカート壁の直状部のかしめられている下部の上端まで、は真直に延びている故に、上方に向かって周方向両側(即ち周方向に相互に離隔する方向)に弧状に延びている場合に比べて、一対のスコアの破断開始初期において必要とされる力は小さく、口頸部から容器蓋を離脱する際に必要な力が過剰になることはなく、従来の容器蓋と比べて却って小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を示す斜面図。
図2図1の容器蓋の一部を示す断面図。
図3図1の容器蓋における一対のスコアの形態を示す展開図。
図4図1の容器蓋におけるシェルの天面壁とライナーとの関係を説明するための展開図。
図5図1の容器蓋を容器の口頸部に装着した状態を,一部を断面で示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
【0013】
図1及び図2を参照して説明すると、全体を番号2で示す図示の容器蓋は、シェル4とライナー6(図2)とから構成されている。
【0014】
シェル4は円形天面壁8、この天面壁8の周縁から垂下する円筒状スカート壁10、及びスカート壁10の下端から延出する把持片12を含んでいる。図2を参照することによって明確に理解される如く、スカート壁10は天面壁8の周縁から縦断面図即ち図2において半径方向外方及び下方に円弧状に延びる弧状部10aとこの弧状部10aに続いて下方に鉛直に延びる直状部10bとを有する。後に更に詳細に説明するとおり、容器の口頸部32(図5)に容器蓋2を装着する際には、スカート壁10の直状部10bの下部10b-1が半径方向内方に変形されて口頸部32の環状係止突条34(図5)にかしめられる。天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14(図3も参照されたい)は、アルミニウム基合金薄板、クロム酸処理鋼薄板又はブリキ薄板の如き適宜の金属薄板に打ち抜き加工及び絞り加工の如き適宜の機械加工を加えることによって一体に形成されている。把持片12の基部14の両側において、スカート壁10の下端部には切欠16a及び16bが形成されている。把持片12は上記基部14とこれに連結されたリング状部18とから構成されている。把持片12のリング状部18は、把持片12の基部14を所謂中子として、ポリプロピレン又はポリエチレンの如き適宜の合成樹脂材料から射出成形乃至圧縮成形することによって、成形と同時に基部14に連結することができる。所望ならば、把持片12の全体を、天面壁8及びスカート壁10と共に金属薄板から一体に形成することもできる。
【0015】
シェル4には、更に詳しくはその金属薄板から一体に形成されている部分には、一対のスコア20a及び20bが形成されている。金属薄板の裏面から工具を作用せしめて厚さを低減せしめることによって形成されるのが好都合である一対のスコア20a及び20bは、スカート壁10の下端、更に詳しくは把持片12の両側に形成されている上記切欠16a及び16b、からスカート壁10を上方に延びる第一の部分20a-1及び20b-1、並びに第一の部分20a-1及び20b-1に続いてスカート壁10の上端部乃至天面壁8の周縁部、図示の実施形態においては天面壁8の周縁部、を円弧状に延びる第二の部分20a-2及び20b-2が形成されている。図示の実施形態においては、更に、第二の部分20a-2及び20b-2に続いて更にスカート壁10に延出する第三の部分20a-3及び20b-3(図3も参照されたい)を有する。
【0016】
図3は、シェル4の天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14を形成するための金属薄板を所要形状に打ち抜いたが未だ絞り加工を加えていない状態、換言すればシェル4の天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14を平面状に展開した状態における、金属薄板の片面、即ち天面壁8及びスカート壁10の内面側を規定する片面、を図示している。上記一対のスコア20a及び20bは、金属薄板所要形状に打ち抜くと同時に或いはその前又は後で絞り加工を加える前に、天面壁8及びスカート壁10の内面を規定する面(図3に表示されている面)に溝を生成して材料厚さを低減することによって好都合に形成することができる。天面壁8及びスカート壁10の外面を規定する面に溝を生成して材料厚さを低減することによってスコア20a及び20bを形成することもできるが、この場合には金属薄板に絞り加工を加える際にスコア20a及び20bが、特にスカート壁10の弧状部10aを延在する部位において、破断されてしまう恐れがある。一対のスコア20a及び20bにおける、第一の部分20a-1及び20b-1のスカート壁10の下端からスカート壁10の直状部10bの下部10b-1の上端を超え下部10b-1以外の直状部の中間までの範囲に位置する部位の材料残留厚さt1は比較的大きく、第一の部分20a-1及び20b-1の残部(即ちスカート壁10の下端からスカート壁10の直状部10bにおける下部10b-1の上端を超え下部10b-1以外の直状部の中間までの範囲以外の部位及びスカート壁10の弧状部10aに位置する部位)の材料残留厚さt2は中間値であり、第二の部分20a-2及び20b-2並びに第三の部分20a-3及び20b-3の材料残留厚さt3は比較的薄い。例えば、金属薄板が厚さ0.24mmのアルミニウム基合金である場合、上記t1は170乃至190μm、上記t2は155乃至175μm、上記t3は110乃至130μm程度であるのが好適である。
【0017】
図1及び図2と共に図3を参照して説明を続けると、上記一対のスコア20a及び20bにおける第一の部分20a-1及び20b-1は、スカート壁10の下端から上記直状部10bの下部10b-1の上端(図3においてはこの上端を二点鎖線Aで示している)を超える位置まで真直に、且つ好ましくは鉛直に(即ち容器2の中心軸線に平行に)、延びていることが重要である。図示の実施形態においては、一対のスコア20a及び20bにおける第一の部分20a-1及び20b-1は、スカート壁10の下端から上記直状部10bの上端(図3においてはこの上端を二点鎖線Bで示している)まで真直に且つ鉛直に延びている(図3に符号20a-1-1及び20b-1-1で示す部分)。スカート壁10の上記弧状部10aにおいては、一対のスコア20a及び20bの第一の部分20a-1及び20b-1は、上方に向かって周方向両側に弧状に延びている(図3に符号20a-1-2及び20b-1-2で示す部分)。
【0018】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態におけるライナー6は、軟質ポリエチレンの如き適宜の合成樹脂素材を上記シェル4の天面壁8の内面に供給し、かかる合成樹脂素材を所要形状に型押成形することによって形成される。ライナー6は全体として円板形状であり、比較的薄い薄肉中央部22と比較的厚い厚肉周縁部24をと有する。そして、厚肉周縁部24には、同心状に下方に垂下する内側環状シール片26及び外側環状シール片28が形成されている。容器の口頸部30(図5)から容器蓋2を離脱する際に容器内圧が比較的早期に開放されるようになすために、本発明者等の実験によれば、外側環状シール片28の下端は、スカート壁10の直上部10bの上端よりも上方に位置する、殊にスカート壁10の弧状部10aの上下方向中間部位と同高である、のが好ましい。また、内側環状シール片26の下端は、外側環状シール片28の下端よりも下方で且つスカート壁10の直状部10bの上端よりも上方に位置するのが好ましい。
【0019】
図4は天面壁8の内面とライナー6との関係を模式的に図示している。図示の実施形態においては、シェル4の天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14を形成するための金属薄板の上記片面、即ち天面壁8の内面を規定する内面には、その全域に渡って、ライナー6に対して接着性を有する接着性塗料が施されているが、図4において高密度で黒点を施した部位においてはライナー6に対して非接着乃至弱接着性を有する非接着乃至弱接着性塗料が付加的に施されている。図4と共に図2を参照することによって明確に理解される如く、上記非接着乃至弱接着性塗料は、一対のスコア20a及び20bの上記第二の部分20a-2及び20b-2に沿って延在し且つ一対のスコア20a及び20bの上記第二の部分20a-2及び20b-2を覆う一対の弧状領域30a及び30bに施されている。従って、一対の弧状領域30a及び30bにおいては、シェル4の天面壁8の内面に対してライナー6は非接着乃至弱接着状態であるが、それ以外の領域においてはシェル4の天面壁8の内面に対してライナー6は接着されている。
【0020】
図5は容器の口頸部32に容器蓋2を装着して口頸部32を密封した状態を図示している。ガラス、ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂或いはアルミニウム基合金薄板の如き金属薄板から形成することができる容器は円筒状の口頸部32を有し、この口頸部32の外周面上端部には環状係止突条34が形成されている。口頸部32に容器蓋2を装着して口頸部32を密封する際には、口頸部32に容器蓋2を被嵌して下方に押圧し、ライナー6の内側環状突条26及び外側環状突条28を口頸部32の上端部に密接させ、そしてスカート壁10の直状部10bの下部10b-1を半径方向内側にかしめて、即ち半径方向内側に変形して、口頸部32の環状係止突条34の下面34aに係止する。かくして、容器の口頸部32に容器蓋2が装着され、口頸部32が密封される。
【0021】
容器内に収容されている内容物を消費するために口頸部32から容器蓋2を離脱して口頸部32を開封する際には、容器蓋2のシェル4におけるリング状部18に指を掛けて半径方向外方に、次いで上方に引っ張る。かくして一対のスコア20a及び20bの第一の部分20a-1及び20b-1をスカート壁10の直状部10bの下部10b-1の上端近傍まで破断すると共に、スカート壁10の直状部10bの下部10b-1における破断された一対のスコア20a及び20bの第一の部分20a-1及び20b-1間の部位を半径方向外方及び上方に変位せしめて環状係止突条34から離間せしめると、容器内圧が適宜に開放される。この際には、スカート壁10の直状部10の下部10b-1における破断された一対のスコア20a及び20bの第一の部分20a-1及び20b-1間の限定された部位以外は未だ口頸部32の環状係止突条34の下面34aに係止されているので、容器蓋2が勢いよく飛翔してしまうことが可及的に回避される。そしてまた、スカート壁10の直状部10の下部10b-1に配設されている、一対のスコア20a及び20bの第一の部分20a-1及び20b-1は真直に延在しているので、過大な力を必要とすることなく破断することができる。一方、従来の容器蓋においては、図3に二点鎖線Xで示す如く、スカ-ト壁の第一の部分の下部において一対のスコアは上方に向かって周方向両側に弧状に延在せしめられていた故に、スカート壁の第一の部分の下部においてスコアが破断されると、本発明の場合と比べて周方向長さが長い部位において、スカート壁の直状部の下部が半径方向外方及び上方に変位されて口頸部から離隔される故に、口頸部32に対する容器蓋2の係止力が過剰に低減され、容器蓋が勢いよく飛翔してしまう虞があった。そしてまた、スカ-ト壁の第一の部分の下部は上方に向かって周方向両側に弧状に延在せしめられていた故に、破断のためには上方と共に周方向両側に向けて力を加える必要があり、破断に比較的大きな力が必要であった。
【0022】
リング状部18を更に上方乃至直径方向反対側に変位せしめて、一対のスコア0a及び0bの第一の部分0a-1及び0b-1の残余の部分並びに第2の部分0a-2及び0b-2の破断を進行せしめると、周方向の相当な長さに渡ってスカート壁10の直状部10aの下部10b-1が口頸部32の環状係止突条34から離隔され、かくして容器蓋2の口頸部32から離脱され口頸部32が開封される。
【0023】
実施例
厚さ0.24mmのアルミニウム基合金を図3に図示するとおりの形態に打抜き、次いで所要絞り加工等を加えて、図1及び図2に図示するとおりの形態の天面壁、スカート壁及び把持片の基部を有するシェルを形成し、次いで把持片の基部にポリプロピレン製リングを圧縮成形すると共に、天面壁の内面に軟質ポリエチレン製のライナーを型押成形して、図1及び図2に図示するとおりの容器蓋を製作した。シェルの外径は27.00mm、スカート壁の全高(把持片は含まない)は7.00mm、スカート壁の直状部の上下方向長さは4.26mmスカート壁の直状部の下部の上下方向長さは1.75mm、ライナーの外側環状シール片の下端はスカート壁の直状部の上端から1.20mm上方に位置し、ライナーの内側環状シール片の下端はスカート壁の直状部の上端から0.90mm上方に位置していた。
【0024】
一対のスコアにおける、第一の部分のスカート壁の下端からスカート壁の直状部の下部の上端を超え下部以外の直状部の中間までの範囲に位置する部位の材料残留厚さt1は180μmで、第一の部分の残部の材料残留厚さt2は165μmで、第二の部分並びに第三の部分の材料残留厚さt3は120μmであった。一対のスコアの、スカート壁の弧状部に位置する部分の曲率半径は5.00mmであった。
【0025】
図5に図示するとおりの形態の口頸部を有するガラス製容器(呼び内容量120ml)に炭酸を3.4ボリューム含有する水を120ml収容し、かかる容器の口頸部に図5に図示すとおりに容器蓋を装着して口頸部を密封した。そして、口頸部が密封された容器を50℃の環境下に3日間放置し、しかる後に口頸部から容器蓋を離脱して口頸部を開封した。150本の容器について上記のとおりの実験を遂行した結果、口頸部から容器蓋を離脱する際の容器蓋の飛翔は零であった。
【0026】
比較例
比較のために、シェルに形成された一対のスコアの第一の部分の形態が図1及び図2に二点鎖線Xで示すとおりで、曲率半径は8.00mmであったこと、ライナーの外側環状シール片の下端はスカート壁の直状部の上端から1.20mm下方に位置し、ライナーの内側環状シール片の下端はスカート壁の直状部の上端から0.90mm上方に位置していたこと、を除いて上記実施例と同様に150本の容器ついて実験を遂行した結果、15本の容器において口頸部から容器蓋を離脱する際に容器蓋が勢いよく飛翔した。
【符号の説明】
【0027】
2:容器蓋
4:シェル
6:ライナー
8:天面壁
10:スカート壁
10a:スカート壁の弧状部
10b:スカート壁の直状部
10b-1:直状部の下部
12:把持片
14:把持片の基部
16a:切欠
16b:切欠
18:リング状部
20a:スコア
20b:スコア
20a-1:スコアの第一の部分
20b-1:スコアの第一の部分
20a-2:スコアの第二の部分
20b-2:スコアの第二の部分
20a-3:スコアの第三の部分
20b-3:スコアの第三の部分
22:ライナーの薄肉中央部
24:ライナーの厚肉周縁部
26:内側環状シール片
28:外側環状シール片
30a:非接着乃至弱接着塗料とる弧状領域
30b:非接着乃至弱接着塗料とる弧状領域
32:容器の口頸部
34:環状係止部
図1
図2
図3
図4
図5