(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】無人航空機のリスク評価
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240827BHJP
G05D 1/46 20240101ALI20240827BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240827BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20240827BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G05D1/46
B64C39/02
B64D27/24
B64F1/36
(21)【出願番号】P 2019551948
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(86)【国際出願番号】 US2019034057
(87)【国際公開番号】W WO2020242447
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】519275331
【氏名又は名称】エイ・キューブド・バイ・エアバス・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サックス,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ゴールディング,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】バラクリシュナン,カルティク
(72)【発明者】
【氏名】ポラストレ,ジョーセフ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ライアン
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-081675(JP,A)
【文献】特開2017-033232(JP,A)
【文献】特開2018-113020(JP,A)
【文献】特開2017-010135(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035960(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/208784(WO,A1)
【文献】特表2018-502363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0323931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G05D 1/46
B64C 39/02
B64D 27/24
B64F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の飛行計画に関連付けられる安全性リスクを評価する方法であって、方法が、
航空機のオペレータから、飛行計画を受け取るステップであって、航空機は、飛行計画を実行するようにスケジュールされており、飛行計画は、出発地と、目的地と、航空機が目的地に到着する前に飛行することがスケジュールされる1つ以上の高度と、航空機が目的地に到着する前に飛行することがスケジュールされる1つ以上の中間の地理的領域とを含む、ステップと、
少なくとも1つ以上の高度と、1つ以上の中間の地理的領域とを含む飛行計画に基づき、航空機が飛行計画に従って飛行しているときに航空機にリスクがある
、三次元の空中密度地図を形成する複数の二次元の
ボクセル層を決定するステップと、
飛行計画に基づき、中間の地理的領域に対応する複数の三次元のボクセルを決定するステップと、
遠隔システムから、複数の二次元の仮想領域のそれぞれの人口密度を示す人口データを受け取るステップと、
人口データに基づき、複数の二次元の仮想領域の各々につき、二次元の仮想領域に対応するそれぞれの地上リスク値を計算するステップと、
複数の二次元の仮想領域の地上リスク値の各々に基づき、飛行計画の地上リスク値を計算するステップと、
遠隔システムから、複数の三次元のボクセルに対応する空中監視データを受け取るステップと、
空中監視データに基づき、複数の三次元のボクセルの各々につき、三次元のボクセルについてのそれぞれの衝突の確率を計算するステップと、
複数の三次元のボクセルについてのそれぞれの衝突の確率に基づき、飛行計画の空中リスク値を計算するステップと、
飛行計画の計算された地上リスク値と、飛行計画の計算された空中リスク値とに基づき、航空機のオペレータに、リスク評価インディケータを送るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
三次元のボクセルに対応する受け取られた空中監視データが、飛行計画の航空機による飛行に先立つ所定の期間内にボクセル内にある航空機の履歴上の飛行経路データを含み、
三次元のボクセルごとに、それぞれの衝突の確率を計算するステップが、ボクセル内にある航空機の履歴上の飛行経路データを集約して、ボクセル内の衝突の尤度に対応する空域密度を決定するステップをさらに含み、
飛行計画の空中リスク値を計算するステップが、三次元のボクセルの各々の決定された空域密度を集約するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一時的な条件に基づき、ボクセル内の決定された空域密度を修正するステップをさらに含み、
一時的な条件が、天気条件または時刻のうちの1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
三次元のボクセルごとに、それぞれの衝突の確率を計算するステップが、
三次元のボクセルを、複数のそれぞれの仮想的空間に分割するステップであって、各それぞれの仮想的空間が、異なる範囲の高度に対応する、分割するステップと、
三次元のボクセル内の各仮想的空間内の衝突の尤度に対応する空域密度を決定するステップとをさらに含み、
飛行計画の空中リスク値を計算するステップにおいて、集約するステップが、1つ以上の高度が入る、高度の範囲に対応する、各ボクセルの、仮想的空間の空域密度の集約を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
一時的な条件が、天気条件である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
飛行計画の計算された地上リスク値および飛行計画の計算された空中リスク値のうちの少なくとも1つを、リスク評価決定の所定のマトリクスと比較するステップであって、マトリクスがリスク改善情報を含む、ステップと、
航空機のオペレータに、対応するリスク改善情報を送るステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
航空機のセンサから、航空機のバッテリ情報を受け取るステップと、
バッテリ情報に基づき、飛行計画のバッテリリスク値を計算するステップとをさらに含み、
リスク評価インディケータが、飛行計画の計算された地上リスク値、飛行計画の計算された空中リスク値、および飛行計画の計算されたバッテリリスク値に基づき、決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
遠隔システムから、飛行計画に関する一時的情報を受け取るステップと、
一時的情報に基づき、飛行計画の一時的リスク値を計算するステップとをさらに含み、
リスク評価インディケータが、飛行計画の計算された地上リスク値、飛行計画の計算された空中リスク値、および飛行計画の計算された一時的リスク値に基づき決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
航空機のオペレータから、航空機および/または航空機の構成要素に関連付けられる情報を含む乗り物情報を受け取るステップと、
受け取った乗り物情報を、航空機のメンテナンス履歴および航空機の乗り物障害履歴のうちの1つ以上を示す、1つ以上の数値に変換するステップとをさらに含み、
飛行計画の空中リスク値の計算が、変換された乗り物情報にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
二次元の仮想領域を決定するステップが、天気条件に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
二次元の仮想領域を決定するステップが、航空機が飛行計画に従って飛行しているときに航空機に期待される1つ以上のスピードに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
飛行計画の地上リスク値を計算するステップが、二次元の仮想領域に対応する地上リスク値を集約するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
航空機の飛行計画に関連付けられる安全性リスクを評価するシステムであって、
命令を記憶するメモリと、
命令を実行したとき、
(a)表示画面上に、ユーザインターフェースを表示し、
(b)ユーザインターフェースを介して、飛行計画および航空機のタイプを含む情報を受け取り、
(c)受け取った情報を、航空機が飛行することがスケジュールされる1つ以上の地理的領域を示す、および、航空機が飛行することがスケジュールされる高度を示す、1つ以上の数値に変換し、
(d)飛行計画に基づき、1つ以上の地理的領域に対応する複数の三次元のボクセルを決定し、
(e)遠隔システムから、複数の三次元のボクセルに対応する空中監視データを受け取り、
三次元のボクセルの各々が複数の二次元のボクセル層を含み、
(f)空中監視データおよび情報によって示された航空機のタイプに基づき、
3次元の空中密度地図を形成する複数の三次元のボクセルの各々につき、三次元のボクセルについてのそれぞれの衝突の確率を計算し、
(g)複数の三次元のボクセルの各々についてのそれぞれの衝突の確率に基づき、飛行計画の空中リスク値を計算し、
(h)ユーザインターフェースを介して、飛行計画の計算された空中リスク値に基づき、リスク評価インディケータを表示すること
を含むステップを実行するように構成されるプロセッサと
含む、システム。
【請求項14】
プロセッサが、命令を実行したとき、
飛行計画に基づき、地理的領域に対応する複数の二次元の仮想領域を決定し、
遠隔システムから、複数の二次元の仮想領域のそれぞれの人口密度を示す人口データを受け取り、
人口データに基づき、複数の二次元の仮想領域の各々につき、二次元の仮想領域のそれぞれの地上リスク値を計算し、
複数の二次元の仮想領域の各々についてのそれぞれの地上リスク値に基づき、飛行計画の地上リスク値を計算し、
ユーザインターフェースを介して、飛行計画の計算された地上リスク値に基づき、リスク評価インディケータを表示すること
を含むステップを実行するようにさらに構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
プロセッサが、命令を実行したときに、
飛行計画の計算された地上リスク値および飛行計画の計算された空中リスク値のうちの少なくとも1つを、リスク評価決定の所定のマトリクスと比較し、マトリクスがリスク改善情報を含んでおり、
航空機のオペレータに、比較に基づくリスク改善情報を送ること
を含むステップを実行するようにさらに構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
リスク評価インディケータが、飛行計画に関連付けられるリスクを削減するための軽減アクションの勧告である、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
プロセッサが、命令を実行したとき、
ユーザインターフェースを介して、航空機または飛行計画のうちの1つに対する修正に関する、修正情報を受け取り、
ユーザインターフェースを介して、受け取った修正情報に基づきアップデートされたリスク評価インディケータを表示すること
を含むステップを実行するようにさらに構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
三次元のボクセルに対応する受け取られた空中監視データが、所定の期間内にボクセル内にある航空機の履歴上の飛行経路データを含み、
複数の三次元のボクセルの各々についてのそれぞれの衝突の確率を計算することが、ボクセル内にある航空機の履歴上の飛行経路データを集約して、ボクセル内の衝突の尤度に対応する空域密度を決定することを含み、
飛行計画の空中リスク値を計算することが、複数の三次元のボクセルの各々の決定された空域密度を集約することを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
プロセッサが、命令を実行したとき、
複数の三次元のボクセルの各々を、複数のそれぞれの高度範囲に細分化し、
三次元のボクセルの各高度範囲内の衝突の尤度に対応する空域密度を決定し、
各ボクセルの、飛行計画の高度に対応する、高度範囲の空域密度を集約すること
を含むステップを実行するようにさらに構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
プロセッサが、命令を実行したとき、
航空機のセンサから、航空機のバッテリ情報を受け取り、
バッテリ情報に基づき、飛行計画のバッテリリスク値を計算すること
を含むステップを実行するようにさらに構成され、
リスク評価インディケータが、飛行計画の計算された地上リスク値、飛行計画の計算された空中リスク値、および飛行計画の計算されたバッテリリスク値に基づき決定される、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
プロセッサが、命令を実行したとき、
遠隔システムから、飛行計画に関する一時的情報を受け取り、
一時的情報に基づき、飛行計画の一時的リスク値を計算すること
を含むステップを実行するようにさらに構成され、
リスク評価インディケータが、飛行計画の計算された空中リスク値および飛行計画の計算された一時的リスク値に基づき決定される、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
プロセッサが、命令を実行したとき、
航空機のオペレータから、航空機および/または航空機の構成要素に関連付けられる情報を含む乗り物情報を受け取り、
受け取った乗り物情報を、航空機のメンテナンス履歴および航空機の乗り物障害履歴のうちの1つ以上を示す、1つ以上の数値に変換すること
を含むステップを実行するようにさらに構成され、
飛行計画の空中リスク値の計算が、変換された乗り物情報にさらに基づく、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
プロセッサが、命令を実行したとき、情報によって示された航空機のタイプと関連付けられた少なくとも1つのスピードを決定するように構成され、それぞれの衝突確率を計算することが、決定された少なくとも1つのスピードに基づく、請求項13に記載のシステム。
【請求項24】
それぞれの衝突確率を計算することが、1つ以上の天気条件に基づく、請求項13に記載のシステム。
【請求項25】
命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、命令を実行したとき、コンピュータシステムに、
表示画面上に、ユーザインターフェースを表示し、
ユーザインターフェースを介して、航空機の飛行計画および航空機の乗り物情報を含む情報を受け取り、飛行計画が、航空機が飛行することがスケジュールされる1つ以上の高度と、航空機が飛行することがスケジュールされる1つ以上の地理的領域とを含んでおり、
少なくとも1つの以上の高度と、1つ以上の中間の地理的領域とを含む飛行計画に基づき、航空機が飛行計画に従って飛行しているときに航空機に対するリスクがある
三次元の空中密度地図を形成する複数の仮想領域を決定し、
遠隔システムから、複数の二次元の仮想領域のそれぞれの人口密度を示す衛星データを受け取り、
衛星データに基づき、二次元の仮想領域ごとに、二次元の仮想領域のそれぞれの地上リスク値を計算し、
二次元の仮想領域ごとのそれぞれの地上リスク値に基づき、飛行計画の地上リスク値を計算し、
飛行計画に基づき、複数の地理的領域に対応する1つ以上の三次元の仮想領域を決定し、
遠隔システムから、複数の三次元の仮想領域に対応する空中監視データを受け取り、
空中監視データに基づき、三次元の仮想領域ごとに、三次元の仮想領域についてのそれぞれの衝突の確率を計算し、
三次元の仮想領域ごとについてのそれぞれの衝突の確率に基づき、飛行計画の空中リスク値を計算し、
ユーザインターフェースを介して、飛行計画の計算された空中リスク値および飛行計画の計算された地上リスク値のうちの少なくとも1つに基づくリスク評価情報を表示すること
を含むステップを実行させる、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
安全性リスク管理((Safety Risk Management)SRM)システムは、有人、無人に関わらず、全ての飛行に関連するリスクを予測および管理するために必要である。有人航空機の安全管理システムは、良好に確立されているが、無人航空機が、多くの地理的領域において、次第に増えてきている。例えば、趣味および商業目的(データの収集および配送など)のドローン、軽航空機、ヘリコプタ、電動垂直離着陸航空機(electric vertical take-off and landing aircraft(e-VTOL))などの形式でのエアタクシー、政府のドローンおよび乗り物、ならびに他の商業および個人用の無人飛行が、従来の有人航空機と、高、中、低の高度において空域を分け合うようなことになっている。無人航空機に関するデータの可用性および/または計量可能性には限界がありえ、したがって、飛行に関連するリスク(および、そのリスクに対する受容性)を、正確に計算または予測することが難しい。
【0002】
有人飛行におけるリスク管理の既存のフレームワークは、本質的に非常に質的なものであり、無人の乗り物には適切ではないことがある。特に、人間のオペレータ(例えば、パイロット、航空管制官、整備士、または他の当事者)は、自分たちが十分に管理されたリスクを有するかを決定するために、チェックリストまたは工程のセットに従うであろう。そのようなチェックリストは、例えば、中でも、地理空間および地理的な特徴、航空機の条件、および/またはクルーの経験、の主観的分析を求めるものであろう。したがって、知覚されるリスクは、人間の知能および分析を通して提供される主観的、質的なデータによって制限される。無人飛行において、人間の知能は、(例えばドローンの)オペレータの経験によって制限されることがありえ、オペレータが、訓練、飛行時間、および/または認定資格における制限を有するかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無人システムの一つの知られているフレームワークは、Joint Authorities for Rulemaking of Unmanned Systems(無人機システムに関する規則づくりのための航空当局間会議)(JARUS)によって開発されたSORA(Specific Operations Risk Assessment(特定オペレーションにおけるリスク評価))がある。SORAは、Specific Assurance and Integrity Level(特定の保証および完全性レベル)(SAIL)を決定するための質的なプロセスを定めており、これにより、規制機関によって、所与の無人航空機の飛行が安全であると決定される(よって、許可される)前に、無人の乗り物のオペレータが実行しなければならない、安全性軽減アクションのタイプが定められている。しかし、SORAが本質的に定量的ではないため、このフレームワークには予測可能性が欠けている。すなわち、飛行計画を精査する規制者には、どのような入力(例えば、安全計画、脅威の軽減、住民数の不足、および他の質的な決定)がSORAのフレームワークになされたのかが不明であるため、認可にはかなりの時間および/または検討を要し、数日または数週間にも及ぶことがある。
【0004】
したがって、より大きな予測可能性および再現性を提供する無人の乗り物のリスク管理のソリューションが、広く望まれている。
【0005】
本開示は、以下の図面を参照することにより、より良く理解することができる。図面の要素は、必ずしもお互いに対してスケールされておらず、代わりに、本開示の原理を明確に説明することに重点をおいている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、リスク管理システムのブロック図を例解する図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、リスク管理システムのアーキテクチャを例解するブロック図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、地上リスクアルゴリズムにより実行される計算を例解する図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、地上リスクアルゴリズムにより実行される計算を例解する図である。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、地上リスクアルゴリズムにより実行される計算を例解する図である。
【
図3D】乗り物のタイプと大きさおよび地上リスクカテゴリを特別な地上リスククラス値と関連付けるテーブルを例解する図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、空中リスクアルゴリズムにより生成される密度地図を例解する図である。
【
図5A】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、空中リスクアルゴリズムにより実行される計算を例解する図である。
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、空中リスクアルゴリズムにより実行される計算を例解する図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、リスク管理システムにより実行される方法を例解するフローチャートである。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、リスク管理システムにより実行される方法を例解するフローチャートである。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態にしたがう、リスク管理のためのソフトウェアツールを例解する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は概して、従来、質的分析のもとにあったデータの定量化を可能にする、無人航空システム(unmanned aerial systems(UAS))のための安全性リスク管理の、システムおよび方法に関する。一実施形態において、リスクフレームワークは、典型的には質的な(または、部分的は質的な)リスク分析において使用される入力を、飛行計画とともに取り込み、地上リスクおよび空中リスクのための数値計算にマッピングする。これらの計算された地上リスク値および空中リスク値が使用され、リスク評価カテゴリ化の所定のマトリクスが参照されてよい。いくつかの実施形態において、それらのカテゴリ化は、リスク改善アクションに対応してもよい。飛行決定は、飛行計画に関連付けられるリスク評価カテゴリ化に基づき、行われてよい。いくつかの実施形態において、質的な入力よりも、リスクフレームワークは、飛行計画および乗り物タイプの識別のみを必要とする。
【0008】
いくつかの実施形態において、リスクフレームワークは、コンピュータに実現される(例えば、クラウドベースの)プラットフォームを通じて、乗り物オペレータ、規制のエンティティ、空域オペレータ、および/または他のサードパーティがアクセス可能とされてよく、プラットフォームは、リスク評価決定に達するためにミッションデータの処理に使用されるべきツールキットまたはサービスを含む。一実施形態において、情報は、アプリケーションもしくはウェブサイトとの人間および/またはコンピュータのインタラクションなどの、ユーザインターフェースを通して、全体または一部が入力される。一実施形態において、乗り物情報は、人間の入力なしで、乗り物ハードウェアから自動的にプルされる。いくつかの実施形態において、リスク評価は、全体的または部分的に質的なデータを、定量的データへ、またはその逆に、処理および変換することを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、リスクフレームワークは、乗り物および/または提案されたミッションに関する、数値的に定量化可能な要因に優先順位をつける、部分的または全体的に定量的なモデルを採用する。一実施形態において、フレームワークは、パイロットの経験、および乗り物のメンテナンス履歴を考慮してもよい。いくつかの実施形態において、フレームワークは、パイロットに関する入力情報として、ドローンを操縦した記録された時間数、および/または、事前プログラムされた/自動操縦モードに対するマニュアルオペレーションでのドローン時間(drone hours)のパーセンテージを取り入れてもよい。いくつかの実施形態において、フレームワークは、乗り物に関する入力情報として、乗り物のメンテナンス履歴、ハードウェア障害の履歴、および/または安全装置の有無を取り入れてもよい。いくつかの実施形態において、リスク管理システムは、一時的な条件を考慮してもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の入力が、これらの入力のパラメータ化を通して、例えば、グループ化またはバケット化、数値範囲との関連付け、値の曲線への適合(例えば、多変量曲線、重回帰、線形回帰、または他の適切な方程式)など、によって定量化される。
【0010】
いくつかの実施形態において、リスク管理システムは、入力として、詳細な飛行計画、および/または、例えば、燃料またはバッテリの状態などの乗り物の健全性および履歴に関する他の入力を取り入れてもよく、これらの入力を変換または処理して、それぞれ地上衝突および/または空中衝突の尤度に対応する、数値的な地上リスクスコアおよび/または数値的な空中リスクスコアを得てもよい。いくつかの実施形態において、システムは、計画された飛行経路の1つ以上のレグに対して、このタスクを実行してもよい。リスク管理システムは、地上リスクスコア、空中リスクスコア、および/または飛行計画を使用して:リスクスコア、リスクレポート、衝突の確率、リスク軽減についての1つ以上の勧告のセット、または飛行経路認可のうちの、1つまたは2つ以上を含む情報を、オペレータに提供してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、地上リスクは、航空機の大きさおよび/またはタイプ、ならびに詳細な飛行計画に基づき、計算される。いくつかの実施形態において、リスク管理システムは、乗り物が飛ばされる領域、その領域の人口のタイプまたはカテゴリ(例えば、まばらである、人口が多い、人が集まっている、群衆、など)、および/または、その領域が管理領域であるかどうか、を飛行計画から決定してもよい(または、飛行計画の代わりに計算してもよい)。いくつかの実施形態において、まばらである、および、人口が多い(または同様の語句)、といった用語は、所定の定義および/または規制の定義を通して定義される。地球の地上空間を、各々が関連する人口密度を有する地理空間データの仮想的な正方形(または、他の形状のグリッドセル)に分割するために、衛星データ(例えば、ランドスキャンデータ)を含むサードパーティのデータセットが使用されてよい。これらの正方形(またはグリッドセル)のうちのどれの上を、飛行中に直接通り過ぎるのか、および/または、どの正方形(例えば、近隣、隣接、または近接する正方形)が、衝突のリスクに晒されるのかを、飛行の高度、軌道、スピード、一時的な条件、などに基づき決定するために、飛行計画が分析されてよい。これらの正方形ごとのデータセットは集約され、飛行のレグごとの地上リスクについて計算した値が決定される。
【0012】
いくつかの実施形態において、空中リスクは、乗り物の大きさ、詳細な飛行計画、および/または、安全なオペレーションの確保および衝突の回避のために維持されてもよい、乗り物の回りの三次元空間の保護される体積に基づき計算される。いくつかの実施形態において、リスク管理システムは、乗り物が飛行される1つ以上の空域を、飛行計画から決定してもよい(または、飛行計画の代わりに計算してもよい)。サードパーティまたは自己生成の、監視データのデータセット(例えば、レーダー(RADAR)またはAutomatic Dependent Surveillance-Broadcast(ADS-B)(放送型自動位置情報伝送監視機能)位置レポート)が、収集されて、一定時間にわたって、三次元空間のそれぞれのボクセル(立方体または他の形状の領域)と関連付けられた飛行経路が決定される。衝突の尤度に対応する空域密度を決定するために、飛行経路を移動する航空機の位置レポートが、個々の飛行識別子とは別に集約され、または集計されてよい。データの粒度をさらに提供するために、ボクセルは、高度(例えば、100フィートの高度帯)、および/または時間(例えば、1日に何時間、週に何日、など)により細分化されてよい。これらのボクセルごとのデータセットは集約され、飛行のレグごとの空中リスクについて計算した値が決定されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、リスク管理システムは、最初の電圧計測の入力および飛行計画に基づき、航空機のバッテリリスクを計算する。いくつかの実施形態において、バッテリリスクの計算は、充電状態、バッテリ容量、および/または、バッテリの条件およびステータスの他のメトリクスを考慮してもよい。いくつかの実施形態において、リスク管理システムは、飛行計画から、総予定距離、平均総速度、総飛行時間、および、最高高度と最低高度の差のうちの1つ以上を決定してもよい(または、飛行計画の代わり計算してもよい)。飛行のバッテリリスクを決定するために、この定量的データセットが使用されてよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、リスク管理システムは、飛行計画、ならびに、パイロットまたはオペレータの総飛行時間数(例えば、ドローン時間)、管理された飛行の自律飛行に対するパーセンテージ、パイロット/オペレータの訓練経験、パイロット/オペレータの認定資格ステータスおよび/またはパイロット/オペレータの以前のオペレーション経験の他の属性、パイロット/オペレータの登録された技能、一時的な条件(例えば、天気)、乗り物条件(例えば、メンテナンス)、および/または、乗り物が飛行することが意図される領域の管轄的要件のうちの1つ以上に基づき、オペレータリスクまたはパイロットリスクを計算する。これらの要因は、飛行のパイロットリスクまたはオペレータリスクを決定するために使用されてもよい定量的データセットに、マッピングされ得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、リスク評価システムは、無人の交通管理(unmanned traffic management(UTM))システムと相互接続されていてもよい。UTMシステムは、リスクモデリング機能を統合する飛行計画サービスおよび/または飛行認可を提供する、飛行計画ソフトウェアを含んでもよい。いくつかの実施形態において、飛行計画サービスは、UTMプラットフォームを介して、航空機/パイロット/オペレータ/規制機関から入力された飛行計画を取り込み、サードパーティの場所から、データ、とりわけ、密度地図、建築物の形成、乗り物に割り当てられたパイロットのパイロット情報、天気データ、乗り物に関する一時的データ(例えば、センサデータ)を含むようなデータをプルする。飛行計画サービスは、この情報に基づき地上リスク、空中リスク、および他のリスク要因を決定する、リスク評価構成要素を含んでもよい。飛行計画サービスは、リスクレポート、リスクスコア、1つ以上のリスク勧告、および/または、飛行の認可もしくは拒否を出力してもよい。いくつかの実施形態において、飛行計画システムは、例えば、SORAまたはSORA-GERなどの、知られているリスクフレームワークを実装するソフトウェアを含んでもよい。
【0016】
これらの手段により、数値のリスク計測を得るための標準的な、および再現性のあるソリューションを得ることができる。非常に質的な知られている方法とは異なり、本明細書に説明されるシステムにおけるデータのソースは、一般的に定義され知られており、そのため、形式および完全性において標準化されている。したがって、それが標準化されていることで、リスクの計算の裏の処理は、明確に理解されることが可能であり、パイロットまたはオペレータが自分の評価に到達した際の手段を規制者が理解するために必要な、行きつ戻りつする質問/証拠を示すことが、除去または軽減される。加えて、従来の質的なリスクフレームワークとは異なり、本明細書に説明されるシステムおよび方法のいくつかの実施形態は、天気条件、乗り物メンテナンス、燃料搭載、実際の空域占有レベル、などの一時的リスク要因を考慮に入れてもよく、幾人かのオペレータが遂行する必要な場合がある、追加の飛行前リスク評価の量を軽減または削減することができる。
【0017】
さらに、従来のリスク評価フレームワークとは対照的に、本明細書に説明されるシステムおよび方法により、オペレータが比較的リアルタイムで、飛行計画を修正しまたは他の軽減アクションをとり、回避可能な遅延なしで飛行を遂行するように、リスクの結果をオペレータに対して可視化するリスク評価ソフトウェアが、提供されてもよい。すなわち、この処理は、飛行をリスク削減のための指針を作成する。
【0018】
さらに、本明細書において提供される定量的リスク評価のシステムおよび方法は、リスク評価が、地理的、管轄的、および/または他の規制の要件に適応されるように、様々な、知られているリスク評価フレームワークと共に使用されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態において、この処理は、特定の地理的領域および/または航空交通管制業務提供機関(air navigation service provider(ASNP))に対して適応されることが可能である。これにより、航空データの固有のセキュリティ上および規制の課題のいくつかに対処し、一方で、速く安全により多くの空中の乗り物を得るために、オペレータと規制者の両者にとってのハードルを取り除く、リスク管理の認定および構成を維持する。
【0019】
図1は、例示の安全性リスク管理(SRM)システムの使用を例解するブロック図である。SRMシステムを通り抜けるデータは、いくつかのエンティティにより処理される。一実施形態において、1つ以上のエンドユーザ、または航空機122-126の構成要素は、SRMシステム100とインタラクトして、1つ以上のソースから、航空、地理空間、および/または他のデータを取得する。いくつかの例において、エンドユーザは、趣味もしくは商業目的のドローン、旅客機(例えば、軽航空機およびヘリコプタ、またはe-VTOL)、政府機関のドローンもしくは乗り物、または、全体的もしくは部分的に自律した、すなわち、少なくともいくつかの自律的構成要素を含む任意の他の航空機、などの無人航空機122、とすることができる。参照を容易にするために、全てのそのような乗り物は、乗り物が、従来の航空交通管理サービスによって管理される有人航空機の飛行規則に従わない(または、完全にではないが従わない)限り、人間のパイロットが乗り物に搭乗していても、本明細書においては、無人航空機または無人の乗り物と参照されうる(または、乗り物という場合もある)。例示の実施形態において、無人の乗り物は、航空機と統合されて、少なくともいくつかの自律的構成要素を有するが、異なる実施形態においては他の構成が可能である。いくつかの無人の乗り物は、あるときには遠隔で航空機を制御し、交通管理サービスに頼って、どこをいつ飛行するのかについての指針を受け取るパイロット124(人間および/または自動化されたパイロット機能を含む)を有する。これらの乗り物および/またはパイロットは、航空機の安全な交通を可能にするために、飛行を承認し、および/または、リスクを軽減して、航空機間の間隔を維持するための指針を提供する、飛行計画サービスを探してもよい。いくつかの実施形態において、無人の乗り物は、パイロットが操縦する航空機を含んでよく、パイロットが操縦する航空機のために、パイロットが、例えば、増加する安全性または他の目標のために、助言的および/または情報のサービスに加入する。他の実施形態において、無人の乗り物は、自律的機能が航空機に組み組まれていないが代わりに別のモバイル(または他の)デバイスによって提供される、パイロットが操縦する航空機を含んでもよい。一例として、パイロットが、航空機の操縦において、例えば、アイフォーンまたはアンドロイドデバイスなどの携帯電話、アイパッドまたはタブレットデバイス、ラップトップ、タッチスクリーンデバイスなどを使用する実現は、いくつかの実施形態において、無人の乗り物であるとみなされてもよい。いくつかの無人の乗り物は、乗り物のミッションを計画および監督するオペレータ126を有してもよく、その計画には、例えば、乗り物の飛行計画の設定および提出が含まれてもよい。オペレータ126は、飛行計画サービスを頼って、自分のミッションのために使用したい飛行経路を求め、規制のコンプライアンスのために要求された飛行計画を提出し、リスクを評価する、などを行う。もちろん、これらは、多くの可能なユーザタイプのうちの3種類のみであり、他のユーザには、例えば、政府機関または他の規制機関が含まれてもよい。さらに、3つのユーザ122-126のみが
図1に示されるが、ユーザの数およびタイプが制限されないこと、および他の実施形態には任意の数の任意のタイプのユーザが含まれることは、一般的に理解されるであろう。自律的航空機システム122、パイロット124、およびオペレータ126の全てが、同様の飛行計画ツールおよび/またはリスク管理ツールにアクセスしてもよいことも、理解されるであろう。その結果、参照を容易にするだけのために、自律的航空機システム122、パイロット124、およびオペレータ126の全てが、本明細書において、オペレータ110と称されてもよい。
【0020】
オペレータ110は、乗り物の離陸の前の飛行計画の一部として、飛行ごとの1つ以上のリスク査定を通過してもよい。オペレータ110は、いくつかの実施形態において、飛行計画ソフトウェア130にアクセスして、飛行計画処理の実行を支援してもよい。飛行計画ソフトウェア130は、特別なリスクモデル、ここでは、1つ以上のAPI152、154を通してデータを入力/出力するリスク評価モジュール150を参照してもよい。リスク評価モジュール150は、飛行計画ソフトウェア130と共に、オペレータに:リスクスコア、衝突の確率、リスク軽減のための1つ以上の勧告のセット、または飛行経路認可、のうちの1つ以上を提供してもよい。
図1の実施形態では、リスク評価モジュール150を飛行計画ソフトウェア130とは別個の構成要素として示すが、いくつかの実施形態において、リスク評価モジュールが飛行計画ソフトウェアによって包含されること、またはそこから動的にリンクされることが可能であってもよく、または、異なる実施形態が、これらの構成要素(または、図示のシステム100内の任意の構成要素)を物理的および/または論理的に分離または含めることを、種々に実現してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、飛行計画ソフトウェア130、またはUTM機能に関する別の構成要素は、リスク評価における種々の要因と、他のデータソースとを考慮に入れてもよい経路計画アルゴリズムを実装または実行して、地上ベースおよび空中ベースのリスク領域を回避(または、へのリスクを削減)する、安全なルートを提案してもよい。この提案は、例えば、とりわけ、オペレータおよび/または規制機関に対して呈示される、通知または提言、包括的な更新された飛行計画、または飛行前勧告の形式をとってもよい。経路計画ソフトウェアは、安全でない飛行(例えば、乗り物の性能限界を超える天気条件)につながるような条件および/または領域を、識別および/または提案してもよい。これらの経路計画の変更は、人間の関与、または手動と自律的、入力と出力、の任意の組み合わせを、伴ってまたは伴わないで、行われてもよい。飛行計画ソフトウェア130の機能は、いくつかの実施形態において、1つ以上のプロセッサ(図示せず)によって実行されてもよく、1つ以上のプロセッサは、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィック処理装置(GPU)、FPGA、ASIC、もしくは他のタイプの処理ハードウェア、のうちのいずれかの1つ以上の、または、飛行計画ソフトウェア130の論理を実装するためのこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。その論理は、異なる実施形態において、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせにおいて、実装されてもよい。
【0022】
リスク評価モジュール150は、そのリスク分析および決定を通知するための様々な種類のデータ、とりわけ、天気、乗り物データ、空中密度および地盤密度についての地理空間データ、区域的ポリシー設定データ、および/または地形データ、などを要求してもよい。リスク評価モデルは、したがって、1つ以上のサードパーティシステム144-148により提供されるデータの分析を通して容易にされてもよい。一実施形態において、各システム144-148は、例えば、乗り物および/または乗り物(144)の現在の条件についての情報、天気または監視条件(146)、航空機の回りの空域もしくは航空機の飛行計画が含まれる空域に対応する空域規則(148)、または他のタイプの一時的データ(具体的には図示せず)、に対応する生データのそれぞれのセットを出力する。一実施形態において、このデータは、全体としてまたは部分的に、例えば、「データダンプ」を容易にさせる、スコープについて比較的静的であるリアルタイムのデータ、または、未分析データのセットであってよい。データは、いくつかの実施形態において、全体としてまたは部分的に、センサデータもしくは衛星データ、または人間の入力に依存する入力データなどの、分析されたデータ(例えば、処理された、フィルタリングされた、または変換されたデータ)であってもよい。システム144-148から出力される種々のデータセットは、より多くのデータストレージのうちの1つ、例えば、リスクデータベース160、またはリスク評価モジュール150がアクセス可能な他のローカルもしくはリモートのストレージ(図示せず)、のどちらかに記憶されてもよい。
【0023】
一実施形態において、システム144-148のうちの1つ以上を管理するサードパーティは、それらに含まれるデータを提供するために、全ての規制の要件に従って正式にライセンスを受けており、適用可能であれば、他の実施形態においてでも、様々なレベルのライセンスが適用されてもよい。いくつかの実施形態において、データは、サードパーティソースから収集された(プルされた)またはプッシュされたサブスクリプションデータであってもよい。いくつかの実施形態において、システム144-148からのデータのハードウェアソースは、装置自体が、精度、完全性、データフォーマットなどを確保するために、認定または確証されてもよい。
【0024】
リスク評価モジュール150は、そのソース(144-148、160)からのデータを、いくつかの実施形態においては、飛行計画ソフトウェア130を通してAPI152を介して入力されるデータの1つ以上のセットと共に、処理する。この処理は、以下でより詳細に説明される。リスク評価モジュール150によるデータの処理は、いくつかの実施形態において、データの定量化を含んでもよい(例えば、グループ化/バケット化、範囲への適合、曲線への適合、例えば、多変量曲線、重回帰、線形回帰、または任意の他の適切な方程式)。いくつかの実施形態において、パイロットの経験、乗り物のメンテナンス履歴、乗り物性能/障害履歴、ドローン時間、事前プログラムされた/自動操縦に対するマニュアル飛行のパーセンテージ、ハードウェア障害、などの定量的入力を取り込んでもよい。特に、リスク評価モデルは、大きなデータセットの内容を精査、処理、修正、変換、および/または集約して、基礎となるリスク要因を識別する。この情報は、地上リスクおよび空中リスクを計算するために、モデリング分析において使用されてもよく、リスク評価モジュールは、以下でより詳細に説明する様式で、リスクスコアおよび/またはリスク勧告または改善を、最終的に提供してもよい。
【0025】
リスク評価モジュール150によるそのような分析の出力は、様々なエンティティがアクセス可能であってもよい。最初に、オペレータ110(航空機システム122、パイロット124、および/またはオペレータ126)は、飛行計画ソフトウェア130を通じて、または別の機構(例えば、飛行計画、ルート、または航空機自体に対する自動調整、航空機のシステムに関する通知もしくはメッセージング機能などの飛行計画ソフトウェアの外部の通知、またはUTMサービスに対応する別のタイプのインターフェース、など)を通じて、リスク評価モジュールの出力にアクセスしてもよい。いくつかの実施形態において、コンピュータにより実現されるインターフェース(クラウドベースのウェブサイトまたはインターフェースなど)は、リスク評価の出力へのアクセスに使用されてもよい。加えて、空域の規制者172および/または航空管制官174は、リスク評価のための出力およびアルゴリズムにアクセスして、結果、入力、データソース、および/または他の情報を決定してもよい。さらに、リスク評価モジュール150の出力は、リスクデータベース160などのより多くのデータベースのうちの1つに格納されてもよい。いくつかの実施形態において、リスクデータベース160は、コンピュータシステム、地理的領域、データタイプ、または任意の適切な手段により、アクセスを制限しているセキュアにされたデータベースであってもよい。
【0026】
図2は、リスク評価モジュール150の機能の一実施形態の一般的原理を例解する。リスク評価モジュール150は、データストレージ220に送り込まれる様々なソースからのデータセットを、取り込みおよび/または処理してもよい。データストレージ220は、任意の適切な記憶媒体とすることができ、揮発性および不揮発性(例えば、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、SRAM、フラッシュメモリ、ディスクもしくは光ストレージ、磁気ストレージ、または任意の他の有形もしくは非一時的な媒体)であってもよく、または、データストレージがローカルに設置されていようとリモートに設置されていようと、プロセッサ240によるアクセスが可能な情報を記憶する、任意の数の記憶媒体であってもよい。いくつかの例において、データストレージ220は、生命の安全性が保証され、またはそうでなければ、セキュアにされていてもよいが、とはいえ、他の実施形態においては他の構成が可能である。データセットを供給するデータソースには、一実施形態において、飛行計画データ210-0(例えば、飛行計画サービス130を介してまたは別の入力点を介して、オペレータによって供給される)、天気データ210-1、地形と障害物のデータ210-2、土地利用データ210-3、人口データ210-4、飛行計画データ210-6、乗り物条件データ219-7、パイロットの経験データ210-8、監視データ210-9、および衛星データ210-10(まとめて、データソース210)のうちの1つ以上を含んでもよいが、とはいえ、異なる実施形態においては、他のデータソースが使用されてもよい。
【0027】
リスク評価モジュール150は、入力データ(いくつかの例においては、主観的または定量的データであってもよい)から、数値リスク値に達するために使用される様々なモデルを含む。
図2に示される実施形態において、そのようなモデルは、少なくとも、地上リスクモデル252、空中リスクモデル254、一時的リスクモデル256(天気、バッテリ、または乗り物条件などのリアルタイム(または、十分に現在の)条件に起因するリスクを考慮する)、およびパイロットの経験モデル258を含むが、とはいえ、異なる実施形態においては、例えば、評価されている飛行の特別な条件に基づき、他のタイプのリスクが計算されてもよい。これらのモデルの各々によってそれぞれ実行される処理は、以下でより詳細に説明される。モデルによって生成される情報は、少なくとも地上リスク値および空中リスク値を含んでもよい。いくつかの実施形態において、情報はまた、一時的リスク値および/またはパイロットの経験リスク値を含んでもよい。生成されるリスク値は、規制者により認可されたリスク評価フレームワーク270を実装するソフトウェア内に入力されてもよい。
【0028】
リスク評価モジュール150は、リスク評価フレームワークを実装するソフトウェア270の、1つ以上のインスタンスを含んでもよく、各インスタンスは、別の定義されたリスク評価フレームワークとそれぞれ整合する。
図2の実施形態において、1つ以上のフレームワークが、例えば、特別な地理的または管轄的領域に適切、または最も適したものとなるように、フレームワークは、1つ以上の規制機関によって様々に認可されてもよい。一例として、実施形態は、飛行の地理的領域がヨーロッパ内にある場所に存在してもよく、規制者により認可されたリスク評価フレームワーク270は、SORAのフレームワークであり、ソフトウェア270の出力は、SORA固有のSAILの計算であってもよいが、とはいえ、他のフレームワークが使用されてもよい。他の実施形態において、1つ以上のフレームワークは、特定の規制の認可を要求する必要がなく、規制の要件より多かれ少なかれ厳密であってもよく、または、他の商業目的もしくは商業目的でない、要求もしくは標準に対応してもよい。さらに他の実施形態において、飛行計画ソフトウェア130は、乗り物が飛行するであろう領域またはオペレータ/航空機の認定資格に関する領域などの、飛行計画および/またはオペレータに関する地理的領域の決定に基づき、特別なリスク評価フレームワークに対応するソフトウェア270を選択してもよい。別の実施形態において、飛行計画ソフトウェア130は、ユーザインターフェースを介したオペレータからの入力に従って、ソフトウェア270として実装されるフレームワークのうちの1つ以上を選択してもよい。さらに他の実施形態において、リスク評価モジュール150は、ソフトウェア270によって実装される複数のリスク評価フレームワークを適用して、比較用のまたは包括的なリスク評価の結果をオペレータに提供してもよい(例えば、レポートに示されたマトリクスまたはテーブルを介して、またはユーザインターフェースまたは表示画面を介して)。
【0029】
図2の例示の実施形態において、特別なフレームワークに対応するリスク評価ソフトウェア270が、飛行計画ソフトウェア130を介して入力される飛行計画によって示される地理的領域に基づき、リスク評価モジュール150によって自動的に選択される。その結果、特別な地理的領域内の全ての飛行について、リスク計算の一貫性を保つために、同じ、基礎となるリスク評価フレームワークが使用される。例示の実施形態において、任意の固有のフレームワークが、リスク評価が実行されるごとに特定の一貫するタイプのデータの入力を要求するかもしれない。したがって、そのような実施形態において、特別なフレームワークソフトウェア270を使用するリスク評価モジュール150は、各リスク評価の反復において、同じ(または、機能的に同一の)データソースを参考してもよい。いくつかの実施形態において、機能的に同一のデータソースは、お互いに交換可能であってもよく、その場合、データは、適用可能なリスク評価フレームワークが、データを等価物として扱うように、フォーマット/スコープ/完全性において十分に類似する(および、ソースも十分に信頼できる)。いくつかの実施形態において、いくつかのデータソースは、例えば、精密性、配送のスピード(リアルタイムまたは一時的データに対して)、履歴データの長さ、データの粒度、一時的な条件、例えば、時刻、曜日、天気に応じた人口、などへのセンシティビティ、または、異なる生データセット間に引かれうる他の関連性に基づいて優先されてよい。
【0030】
リスク評価モジュール150の機能、およびそこに実現される計算モデルの機能は、いくつかの実施形態において、1つ以上のプロセッサ240によって実行される。プロセッサ240は、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィック処理装置(GPU)、FPGA、ASIC、または他のタイプの処理ハードウェアのいずれか、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。さらに、プロセッサ240は、より速い処理スピードおよび/または冗長性を提供する任意の数の処理装置を含んでもよく、そのようなプロセッサは、ローカルであり、もしくは地理的に分散されており、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。プロセッサ240はまた、リスク評価モジュール150の機能を実行するための命令または論理を記憶する1つ以上のメモリにアクセスできてよく、論理は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせにおいて実装されてもよい。
【0031】
図1および2を参照すると、リスク評価モジュール150は、飛行前飛行計画サービスの一部として使用されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態において、出発の前(数日、数時間、または数分前)に、オペレータは、詳細な飛行計画を提出してもよく、飛行計画は、例えば、その飛行で使用することをオペレータが予測する優先的な経路、ルート、空中回廊、およびタイミングを含んでもよい。飛行計画はまた、乗り物のタイプおよび大きさ、乗り物の健全性および燃料状態、メンテナンス条件、乗り物荷重、パイロットの経験、または類似もの、などのリスク計算に関する他の入力を含んでもよいが、とはいえ、他の実施形態においては、リスク評価モジュールは、そのようなデータを、航空機のセンサまたはデータリポジトリなどの別のソースから、プルしてもよい。リスク評価モジュールはまた、例えば、上述のタイプのデータ、天気データ、地理空間データ、リアルタイムの飛行データ、および/または、そのようなデータと関連するまたは関連付けられる任意のデータ、のうちの1つ以上を含む一時的データを、人口密度(地上データ)および空域密度(現在および/または履歴の飛行経路)と共にプルしてもよく、そのようなデータを使用してリスク要因を識別してもよい。そのようなリスク要因のうち、モジュール150は、地上リスクおよび空中リスクを考慮してもよい。
【0032】
地上リスクモデル252は地上リスク値を計算するが、それは、ある高さおよびスピードで、ある地理的領域をある程度の曝露で進んでいる航空機が墜落する、潜在的に乗り物、または下の領域の人々および資産への損害の原因となる、予測される確率または尤度を表す。いくつかの実施形態において、地上リスク値は、最悪のケースのシナリオの決定ではなく、任意の衝突が、重大度にかかわらず、回避されるという想定の下での、衝突のパーセンテージである。しかし、他の実施形態では、重要度またはリスクまたは致死または大けがに基づき、地上リスクを線描する、または優先順位をつけてもよい。地上リスクモデル252によって計算される衝突のリスクは、いくつかの実施形態において、乗り物が、例えば、地上そのもの、建築物、1人以上の人、または非空中の物体を含む任意のタイプの障害物に遭遇するかもしれない、遭遇率または遭遇密度として理解されてもよい。この遭遇率は、リスク評価フレームワーク270を実装するソフトウェアに関連してあとで使用されてもよい。
【0033】
地上リスクモデル252は、一実施形態において、以下の入力:飛行の場所、時間、および持続時間、飛行する領域の人口密度および人口集団の曝露、乗り物の型、モデル、および性能特徴、オペレータまたはパイロットの経験、風および天気の条件、乗り物メンテナンス、バッテリ性能、などのうちの1つ以上を使用して、飛行計画の下の領域の予測される密度を、計算してもよい。地上リスクモデルによって考慮される要因は、破壊、衝突、フライアウェイ、または経路を制御できない、などにつながる、UAVの制御が不能になるリスクに、最大の影響を与えると決定される要因であること、および、他の実施形態においては、異なる入力値が、そのような影響を与えると決定され、追加または代替として使用されもよいこと、は一般的に理解されるであろう。追加の入力のカテゴリは、例えば、とりわけ、RFスペクトルおよび通信リンクの特徴、GNSSカバレッジ、および/または、劣化したナビゲーション精度つながる障害物/地形を含んでもよい。
【0034】
一例示の実施形態において、地上リスクモデル252は、乗り物の大きさ(オペレータが入力した、データベースにアクセスした、または、プルされた乗り物センサデータを介して確認した、に関わらない)、飛行する領域、および、人口が多い環境のカテゴリまたはタイプ、すなわち、その領域が、人口がまばらであるか、多いか、または、人が集まっているか、群衆か、など、および/または、飛行する領域が管理領域(人または物体を除去するアクションが行われた場所)であるかを使用して地上リスクを算出する。いくつかの実施形態において、まばらである、人口が多い、集まっている等の用語は、所定の定義および/または規制の定義によって定義される。すなわち、オペレータに、例えば、人口密度、土地区画規制、密度カテゴリ化、または任意の他の要因の主観的評価を求めるのではなく、地上リスクモデル252が実際のデータセットを使用して、そのような情報を決定または導出する。
【0035】
さらに特には、例示の実施形態において、24時間または他の期間にわたって基線一帯の人口分布を提供する、衛星データ(例えば、ランドスキャンデータ(
図2の衛星データ210-10))を含むサードパーティデータセットが使用されて、地球の地上空間が、各々が関連する人口密度を持つ、地理空間データの仮想的な正方形(または、他の形状の領域もしくはセル)に分割されてもよい。飛行計画が分析されて、これらの正方形のうちのどれの上を、飛行中に通り過ぎるのか、および/または、さもなければこれらの正方形のうちのどれに衝突の危険があるのかが、乗り物の高度、スピード、一時的な条件、などに基づき決定されることができる。これらの正方形ごとのデータセットは集約され、飛行のレグごとの地上リスクについての計算が決定される。
【0036】
いくつかの実施形態において、任意の所与の仮想的な空間(または、ジオフェンス)について予測される人口密度を、テーブルまたは他の適切なデータ構造で素早く参照できるように、衛星データは、任意の飛行計画データが、リスクデータベース260(または、任意の他の適切なデータリポジトリ)に入れられるまたは格納されるより前に処理されてもよい。いくつかの実施形態において、それぞれの仮想的な地上空間が、geoJSONフォーマットで、緯度と経度によって線描され、または他の適切な線描もしくは識別が、異なる実施形態において、使用されてもよい。一実施形態において、仮想的な地上空間は正方形であり、すなわち、地球の地上空間が正方形状のセルにグリッド化されうるが、他の実施形態において、六角形、三角形などの他の適切なセル形状が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、この形状は、飛行計画の下の全ての領域が1つ以上の仮想的空間でカバーされるように、任意の適切なモザイク形状であってもよい。他の実施形態において、タイルは重なっていてもよいし、カバーされない地球の表面領域を残してもよい。
【0037】
人口密度に加えて、土地区画規制要件、政府の規制または標準等、そのデータが公的なデータソース、サブスクリプションソース、規制のソース、などを介して利用可能である他の情報が、タイルごとに収集されてもよい。いくつかの実施形態において、建物の輪郭(スカイライン)、一時的または永久的な定着物(例えば、建造物)、交通データ、(人口密度に影響を与える)事象データ、または、他のタイプのデータセットが取得されてもよい。いくつかの実施形態において、リアルタイムの人口データが、携帯電話のトラッキング、チェックイン、ソーシャルメディア(例えば、フェイスブック)のチェックイン、などに基づき取得されて、一時的な人口認知が提供されてもよい。地上リスクモデル252は、収集されたータセットを、マージ、集約し、または、そうでなければ、お互いを対応させて考慮し、仮想的なグリッドのタイルの地理空間のレイアウトを見出してもよい。そのような地理空間データ(または、その任意のサブセット)は、次に、地上リスクの数値計算に使用されてもよい。
【0038】
人口密度に対応する衛星データは、タイリングの特別な粒度、例えば、経緯度で0.01度、または、赤道で約1平方キロメートルで、サードパーティソースから提供されてもよい。いくつかの実施形態において、タイルまたは地理空間の領域は、大きさが同様または同一であってもよく(例えば、1km×1km)、他の実施形態において、大きさがお互いに異なってもよい。地上リスクモデル252は、いくつかの実施形態において、このデータを集約して再分割し、より小さいまたはより大きい仮想的な正方形を作成してもよい。いくつかの実施形態において、この再分割は、乗り物の大きさおよび/または移動距離に対応させて行われてよい。一実施形態において、数十または数百の仮想的な正方形またはタイルは、1街区内に存在してもよく、そのような粒度は、小型のドローン、すなわち、短い都会の距離、に特に有用である。別の実施形態において、100街区、または数kmもしくは数マイルなどの、より大きな距離が、1つのタイルに対応してもよい。
【0039】
図3Aは、各々が区別できる地理的領域を表す正方形タイルのグリッド上に重ね合わせられた、飛行経路310の二次元(トップダウン)のレイアウトを示し、タイルは、水平方向に301-aから301-hでラベルされる位置、および垂直方向に303-aから303-hでラベルされる位置に配置される。例えば、最下、最左のタイルは、(301-a、303-a)として理解されてよく、最上、最右のタイルは(301-h、303-h)として理解されてよい。これらの(それぞれの地理的な区域に対応する)タイルのうちのどれの上を、飛行中に通るのか、および/または、どれに衝突の危険があるのかを、乗り物の高度、スピード、一時的な条件などに基づき決定するために、飛行計画310(典型的には、飛行計画サービス130または別のユーザインターフェースを介して、オペレータによって提供されるが、いくつかの実施形態において、例えば、離陸および目的地の入力に基づき自動的に生成される)が分析されてよい。
図3Aの実施形態において、飛行経路310の下のタイルは、グレーで色付けされて示され、各タイルは、飛行経路の下の領域が、例えば、もし乗り物が墜落すれば、乗り物が衝突のリスクを経験するかもしれないという領域であることを示す。これらの正方形ごとのデータセットは集約され、飛行のレグごとの地上リスクについての計算が決定される。
【0040】
いくつかの実施形態において、航空機の墜落の可能性のある方向と距離に影響を与える要因も考慮されてもよい。例えば、乗り物の重さ、積み荷、スピード、高度、風のスピードおよび方向、天気条件(例えば、雨)、ならびに他の条件を、どのタイルを考慮すべきかについての考慮に入れてもよい。例えば、風および乗り物高度は、乗り物が故障時に、予想される飛行経路の直下のタイルよりも南(または任意の他の方向)よりの方向に墜落する条件に、つながり得る。したがって、
図3Bは、一時的な天気および/または条件のデータが、地上リスク評価において考慮に加えられる、代替の実施形態を示す。例えば、航空機がより南のタイルに墜落するリスクを考えると、地上リスク評価は、飛行経路の直下の地理空間の領域だけでなく、飛行経路の南方向(ある距離内)の領域の、人口の密度および他のリスク要因も、考慮してもよい。
図3Bの例では、「南」方向が、垂直方向でX軸に近いタイルに対応すると仮定すると、地上リスクモデル252は、飛行経路310の下のタイル(グレーで示されるタイルであって、例えば(301-a、303-a))に加えて、飛行経路310に近く、飛行経路310の南にあるタイル、すなわち、斜線で示すタイルであって、例えば(301-b、303-a)を考慮してもよい。
【0041】
さらには、オペレータおよび/または規制の考え方、または評価の(保守的なリスク評価に多かれ少なかれより傾く)保守的傾向が、地上リスク評価中に、異なる領域が考慮に加えられることにつながりうる。例えば、
図3Cを参照すると、より保守的な地上リスク推定は、飛行経路の下の地理空間の領域だけでなく、隣接、近接、近隣、または、そうでなければ関連する領域における、人口の密度、および他のリスク要因を考慮してもよい。すなわち、地上リスク推定では、飛行経路の直下、隣接および/または近接のグリッドセル、または、たとえ経路から遠く隔たっていても、乗り物の計画されたスピード、高度、軌道、および/または経路によって、衝突のリスクを経験するかもしれない任意のグリッドセルを考慮してもよい。
図3Cの例解では、地上リスクモデル252は、飛行経路310の直下のタイル(グレーで示されるタイルであって、例えば(301-a、303-a))に加えて、飛行経路310の下のタイルに比較的隣接し、飛行経路310からある距離内にあるタイル、すなわち、斜線で示すタイルであって、例えば(301-a、303-e)を考慮してもよい。例示の目的で、一実施形態において、飛行経路310の直下のタイル(グレーで示す)が、地上領域Aとみなされ、拡大リスク領域A’(斜線で示すタイルを含む)が、以下の例示の式:
A’=π(1.3*h)
2 [数式G-1]
を使用して計算されてよい。式中、hは、飛行の高度をメートルで表す。A’を計算するための代替の式が、例えば、オペレータの考え方が、多かれ少なかれ保守的なリスク(影響を受ける可能性がより大きいまたは小さい領域)の計算が必要であることを示すときに、使用されてもよい。他の実施形態では、加えてまたは代替として、航空機のスピード、速度、重さ、重量負荷または輸送負荷、翼長、および/または、軌道、および、航空機が墜落し得る方向および距離に影響を与えるかもしれない航空機の物理的条件(損傷またはメンテナンス)を考慮する。
【0042】
地上リスクモデル252は、選択された地理空間のタイルおよび詳細な飛行計画を使用して、飛行のレグごとに地上リスクを予測してもよい。例えば、飛行計画から、地上リスクモデル252は、乗り物が、移動の各飛行セグメントにおいて空中で費やすであろう時間量を決定してもよい。一実施形態において、移動のセグメント中の1秒間隔(または、別の時間増分/時間ステップ)ごとで、地上リスクモデル252は、高度に依存する計算を実行して、乗り物の影響を受ける(および/または影響を受ける可能性がある)地上領域を決定してもよい。それぞれの地上領域の格納された人口密度は、乗り物の故障によって影響を受けるかもしれない人の人口としてみなされる。さらに特には、いくつかの実施形態において、地上リスクモデル252は、関連する地理空間のタイル上の隣接および/または交差するピクセルを査定して、飛行のセグメントに対応する集約された領域を作成する。飛行セグメントの地上リスクマップが生成されて、その後(例えば、リスクデータベース160内に)格納されてもよく、飛行経路に沿ったまたは関連する各点の結果が格納され、まとめられる。いくつかの実施形態において、これらの点の計算された集約値が、地上リスク値として用いられてもよい。いくつかの実施形態において、飛行の1秒間隔(または、他の時間間隔)ごとの乗り物場所の点ごとに、所与の可能性のある影響領域(例えば、円形の影響領域)が決定されることができる。その可能性のある影響領域内の、1秒間隔ごとに影響領域ごとに繰り返される、ピクセルごとの地上リスクは、飛行のルート全体のリスクが決定されるように、総計で計算されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、地上リスクモデル252は、遭遇率ではなく、オペレータの必要に基づき、致死、または他の最悪のケースもしくは代替リスクシナリオについての、大事故、負傷のパーセンテージを計算してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、地上リスクモデル252は、以下の例示の式:
C=ρpeople A S Ptr Pf PC [数式G-2]
を使用することにより、予測される影響領域における、致死のリスクCを計算してもよい。式中、ρpeopleは、人/m2を単位にした人口密度であり、Aは、m2での実際の影響領域、Sは、無次元のシェルタ要因、Ptrは、飛行時間当たりの乗り物故障の確率としての総乗り物リスク、PCは、乗り物故障の場合の衝突の確率、Pfは、衝突の場合の致死の確率である。いくつかの実施形態において、ρpeopleは、単に実際の領域Aを使用するのではなく、デブリフィールドからの影響が発生し得る領域(例えば、飛行経路の直下のセル、およびその近隣または近接)全体を表す最悪のケース領域A’を使用して計算されてもよい。地上リスクモデル252によって実行される追加および/または代替の計算は、「A Quantitative Framework for UAV Risk Assessment」Peter Sachs、Version 1.0、2018年9月13日、に説明されており、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
いくつかの実施形態において、地上リスクモデル252によるデータの「計算された集約」は、関連するグリッドセル(地理的領域)の人口密度の単なる平均である。他の実施形態において、そのような計算は、加重平均であってもよい。いくつかの実施形態において、リスクモデル252は、機械学習のアルゴリズムを適用してもよく、その場合、加重平均において適用される特別な重みは、学習された飛行および地理空間の条件に基づき決定される。一例において、履歴の風、高度、およびスピードのデータは、増々正確になる可能性のある影響領域、および、それ故リスクマップが決定されることができるようになる、訓練データとして役立つことができ、関連する重み付けは、データ点における人口密度の計算された集約において適用され得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、特別なリスク評価フレームワークは、地上リスククラス(ground risk class(GRC))に対して相関される飛行経路の各セグメントに関連する、計算された地上リスク値(いくつかの実施形態において、遭遇尤度またはパーセンテージ、または影響を受ける人口値であってもよい)を要求してもよい。例示の目的で、SORAのフレームワークの実装がソフトウェア270において使用される場合、および、計算された地上リスク値が、飛行経路ルートに沿った影響を受ける人の数である場合、地上リスク値は、下記の様式:<10人:「まばらな人口の環境」、10≦人<500「人口が多い環境」、人≧500:「人が集まっている」、で、1つ以上のカテゴリ(「まばらである」、「人口が多い」および「人が集まっている」)とマッチされてもよい。別の例において、SORA-GERフレームワークの実装がソフトウェア270において使用される場合、計算された地上リスクは、「群衆」または「人々の集まり」などのカテゴリとマッチされてもよい。さらに他のフレームワークが、地上リスク値の計算の数値の出力(または、数値の出力の範囲)それぞれとマッチされてもよい異なる質的な記述子を使用してもよい。一実施形態において、数(または、そうでなければ、計算された)値の地上リスクカテゴリに対するこの関連付けは、リスクデータベース160内に格納される所定のテーブルを参照して地上リスクモデル252によってなされてもよい。例示の目的で、
図3DおよびSORAのフレームワークを参照すると、そのようなテーブルが、乗り物のタイプと大きさおよび地上リスクカテゴリを特別な地上リスククラス値(1-9)と関連付けて示される。もちろん、地上リスクカテゴリの他の内訳、カテゴリとの無相関、および/または、計算された地上リスク値の直接の出力または使用、が異なる実施形態において使用されてもよい。
【0046】
空中リスクモデル254は、ある高さおよびスピードで、ある三次元地理的領域を移動する航空機が別の航空機に影響を与えるまたは衝突する、予測される確率または尤度を表す空中リスク値を計算する。いくつかの実施形態において、この空中リスク値は、数値(遭遇率)または空中密度のパーセンテージ値であってもよい。この遭遇率は、リスク評価フレームワークを実装するソフトウェア270に関連してあとで使用されてもよい。例示の実施形態において、遭遇率を決定する目的で、遭遇は、乗り物と別の航空機が、衝突の可能性があるような(たとえ、別な状態で飛行経路が交差しなくても、または別な状態で衝突が発生しなくても)、同じボクセル(三次元で線描される空域)内に同じ時間にあることを単に意味してもよい。他の実施形態において、遭遇の他の定義が可能であってもよい。
【0047】
空中リスクモデル254は、いくつかの実施形態において、飛行計画が、以下の入力:飛行の場所、時間、持続時間、航空交通密度、乗り物の型、モデル、および性能特徴、オペレータまたはパイロットの経験、風および天気の条件、乗り物メンテナンス、履歴上の乗り物性能(例えば、所与の期間または飛行数における性能の障害)、バッテリ性能、などのうちの1つ以上を使用して、乗り物が飛行すると示す三次元の領域の空中リスク、予測される「空中密度」または遭遇率を計算してもよい。いくつかの実施形態において、空中リスクモデル254は、安全なオペレーションの確保および衝突の回避のために確保されてもよい、乗り物の回りの三次元空間の保護される体積を考慮または実装をしてもよい。保護される体積は、予め定められてもよく(例えば、オペレータによって、または規制の指針によって設定されてもよい)、または、他の実施形態において、航空機のタイプ、翼長、高度、スピード、地理的領域、および/または、任意の他の関連する要因に基づき、空中リスクモデル254によって決定されてもよい。空中リスクモデルによって考慮される要因は、衝突のリスクに、最大の影響を与えると決定される要因であること、および、他の実施形態においては、そのような影響を与えると決定される異なる入力値が使用されてもよいことは一般的に理解されるであろう。追加の入力のカテゴリは、例えば、RFスペクトルおよび通信リンクの特徴、GNSSカバレッジ、および/または、劣化したナビゲーション精度、例えば、制限された見通し線または乗り物間の通信など、につながる障害物/地形を含んでもよい。
【0048】
一例示の実施形態において、空中リスクモデル254は、乗り物の大きさおよび/またはタイプ(オペレータが入力した、データベースにアクセスした、または、プルされた乗り物センサデータを介して確認した、に関わらない)、乗り物が飛行するであろう1つ以上の空域、および、他の乗り物の飛行経路についての履歴データを使用して、空中リスクを算出する。これに関して、サードパーティまたは自己生成の、監視データのデータセット(例えば、RADARすなわちAutomatic Dependent Surveillance-Broadcast(ADS-B)(放送型自動位置情報伝送監視機能)(
図2、210-9)が、収集されて、一定時間にわたって、それぞれのボクセル(立方体または三次元空間の他の形状の地理空間の領域)の中の、(トンランスポンダが、飛行経路について航空交通管制と通信する)全ての乗り物の稼働中の飛行経路が決定される。これらのボクセルごとのデータセットは集約され、飛行のレグごとの空中リスクについての計算が決定されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、任意の所与のボクセルについて予測される空域密度を、テーブルまたは他の適切なデータ構造で素早く参照できるように、監視データは、任意の飛行計画データが、リスクデータベース260(または、任意の他の適切なデータリポジトリ)に入力されるまたは格納されるより前に、収集および/または処理されてもよい。他の実施形態において、監視データは、飛行計画データが入れられるとき、または、リスク評価がオペレータまたは飛行計画モジュールによって要求されるときに、収集および/または処理されてもよい。履歴上の稼働中の飛行経路データは、一定時間(例えば、24時間、日数もしくは年数、または任意の適切な値)にわたって集約されてもよい。衝突の尤度に対応する空域密度を決定するために、飛行経路にしたがう航空機の位置レポートが、個々の飛行識別子とは別に集約され、または集計される。いくつかの実施形態において、それぞれのボクセル領域が、geoJSONフォーマットで、経度、緯度、および高度によって線描され、または他の適切な線描もしくは識別が、異なる実施形態において、使用されてもよい。一実施形態において、ボクセルは、立方体(または、三次元の正方形または矩形)を表し、すなわち、乗り物が利用可能な空域が立方体でグリッド化されているが、他の実施形態において、六角形の三次元体、ピラミッド状などの他の適切な形状が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、ボクセルは、飛行計画の下の全ての領域が、1つ以上の仮想的空間でカバーされるように、任意の適切なモザイク形状であってもよいが、他の実施形態において、ボクセルは、重なってもよいし、間隙によって分離されてもよい。
【0050】
一実施形態において、空中リスクモデル254は、地球の空域を、緯度で0.01度の寸法で、経度で0.01度の寸法で(赤道で約1.11km)、ボクセルまたはタイルのグリッドに分割するが、とはいえ、異なる実施形態においては、他の大きさが可能である。空中リスクモデル254は、それらグリッド化されたボクセルの1つ以上を通る飛行経路を獲得してもよい。いくつかの実施形態において、ボクセルは、大きさが同様または同一であってもよく(例えば、1.11km×1.11km)、他の実施形態において、大きさがお互いに異なってもよい。空中リスクモデル254は、いくつかの実施形態において、このデータを集約して再分割し、より小さいまたはより大きいボクセルを作成してもよい。
【0051】
全ての監視(例えば、RADARまたはADS-Bの航空機位置)データは、衝突率を生成するために所与の期間にわたって、各ボクセル内の点(航空機が、自機の位置を航空管制官にレポートした点に対応する)ごとにカウントされる。いくつかの実施形態において、特別な時間枠について単一のボクセル内の単一の航空機に関連付けられるデータは、まとめて単一の飛行とみなされ、一意的には集約されない。すなわち、1つのボクセル内で自機の位置を複数回レポートする、比較的遅い動きの航空機は、複数の航空機ではなく、単一の航空機としてカウントする。いくつかの実施形態において、逆に、ボクセルを通過するが、そのボクセルの空間の中にいる間に自機の位置をレポートしない、比較的速い動きの航空機は、そのボクセル内でカウントされない(その飛行に関連してその空間内にあると認識される航空機はゼロである)。他の実施形態は、あとで説明されるように、代わりに、導出またはレポートされた地上スピード、上昇/下降の率および軌道、および/または他の特徴に基づき、航空機の位置の補間を使用して、航空機が通過してもよい、全ての可能性のあるボクセルを決定してもよい。認識される飛行データを集約することにより、期間当たりの、ボクセルに入る飛行の平均数を決定することができる。この値は、ボクセルの「密度」、衝突率、または遭遇率とみなされてもよい(または、遭遇率を計算するために使用されてもよい)。空中密度地図を形成するために、異なるボクセルの相対密度が、集約されてよい。三次元ボクセルの地図の二次元表示を
図4に示し、暗い領域ほど、より高い飛行動作を示す。
図4は、例示の三次元空中密度地図の1つを例解しており、全三次元空域を構成する1つまたは数個の二次元ボクセル層が存在してもよいことは、一般的に理解されるであろう。他の実施形態において、遭遇率は、時刻、時節などによる交通パターンの変化を説明するように修正されてもよい。例えば、空港を含むボクセル内では、空港が開いている時間中は、空港が閉まっているときよりも、遭遇率が高い。
【0052】
図5Aは、ボクセル立方体のグリッド上に重ねられた飛行経路310を例解し、それらのボクセルは、y軸上の2か所の位置(520から始まるもの、および530、532、534から始まるもの)、x軸上の3か所の位置(-1で終わるもの、-2で終わるもの、-3で終わるもの)、およびz軸上の3か所の位置(520または530から始まるもの、532から始まるもの、534から始まるもの)に配置されている。これらの(それぞれの3D空域領域に対応する)ボクセルのうちのどれが、飛行中に通過されるのか、および/または、どれに衝突の危険があるのかを、乗り物の高度、スピード、一時的な条件などに基づき決定するために、(飛行計画サービス130または別のユーザインターフェースを介して、オペレータによって提供される)飛行計画310が分析されてよい。
図3Aの実施形態において、飛行経路310が通過するボクセルは、グレーで示され、各タイルは、乗り物が衝突のリスクを経験するかもしれない領域を示す。これらボクセルごとの(飛行データ密度の)密度データセットが集約されて、飛行のレグごとの密度値が決定される。すなわち、一実施形態において、飛行の(期間当たりの)総数は、ボクセルごとに、および、全体として飛行経路(または、そのセグメント)について、収集される。
【0053】
空中リスクモデル254はまた、いくつかの実施形態において、監視データを変換および/または処理して、遭遇が発生するかもしれない飛行の包括的なラインを達成してもよい。例えば、空中リスクモデル254は、ボクセルを、高度によって線描される個別の帯に細分化してもよい。一実施形態において、各高度帯は、100フィートの高さがあり、各ボクセルにサブボクセル5個のセットが作成される。
図5Bは、そのようなスライスされたボクセルを示しており、例えば、5個のサブボクセルは各々が100フィートの高さのであり、同じタイル化されたボクセル内にあるが、とはいえ、異なる実施形態においては、サブボクセルの他の大きさまたは数が可能である。
図5Bにおいて、通知552および554の2点が、最上と最下のサブボクセル560および568に、それぞれ示される。全ての監視(例えば、RADARまたはADS-Bの航空機位置)データは、所与の期間にわたって、ボクセル内の点(航空機が、自機の位置を航空管制官にレポートまたは通知した点に対応する)ごとにカウントされる。一実施形態において、これは、10msの期間であり、したがって、飛行経路は10msステップで分割される。ステップごとに、そのタイムスタンプで、どのサブボクセルおよび高度が占有されるのかが決定される。通知の点の間の期間ごとに、飛行が、中間の空間、すなわち、
図5Bのサブボクセル562、564、および566の各々を通過したと仮定することができる。したがって、
図5Bを参照すると、空中リスクモデル252は、点552および554に対応するサブボクセル560および568だけでなく、中間の3個のサブボクセル562-566も記録したであろう。同様に、通知554の第2の点が、サブボクセル658のかわりに566に配置されたならば、空中リスクモデル252は、サブボクセル560および566ならびに中間のボクセル562および564を記録するが、サブボクセル568を記録しないであろう。したがって、例示の実施形態において、空中リスクモデル254は、航空機が通過した高度の範囲のみに注目してもよい。例えば、細分化により、低い高度の移動に制限された航空機は、低い方の高度領域の細分化域のみに注目してもよく、分析および処理がなされなければならない空域データの量を削減することができる。
【0054】
空中リスクモデル254はまた、いくつかの実施形態において、ポアソン分布を適用することにより、すなわち、所与のボクセル内で遭遇が発生する、または発生しない確率を表すことにより、各占有されるボクセルを識別するデータを変換してもよい。確率。所与のボクセルi内で、t単位時間の間に(tは、乗り物がそのボクセル内で費やす時間の長さ)、単位時間当たりの到着率ri(ボクセルについての航空機占有率)で、遭遇がない確率は、いくつかの実施形態において、以下の式:
Pi(t)=exp{-rit}=Prob[0到着] [数式A-1]
によって決定されてもよい。
【0055】
飛行経路についての衝突の全確率は、以下の等式:
【数1】
を用いて計算される。
【0056】
いくつかの実施形態において、空中リスクモデル254はまた、ボクセル占有データが収集/比較される全期間Tを計算してもよい。i
th番目のボクセル内で発生する到着の数x
iは、平均T×r
iでポアソン分布に従うと想定され、ここで、r
iは、単位時間T当たりの飛行の履歴上の到着率である。ボクセル内の別の航空機の推定される到着率は、したがって:
【数2】
のように計算される。
【0057】
代替の実施形態において、空中リスクモデル254は、加えてまたは代替として、以下の等式を使用して、所与のボクセル内での空域遭遇率を計算してもよい:
【数3】
式中、r
iは、ボクセルについての格納された航空機占有率、tは、乗り物がボクセル内で費やす時間の長さ、である。空中リスクモデル254は、さらに代替として(または加えて)以下の等式を使用して、飛行経路の全体上の空域遭遇率を計算してもよい:
P
collision=Π
n
i=0(1-P
i(t
i)) [数式A-2-2]
【0058】
空中リスクモデル254によって実行される追加または代替の計算は、「A Quantitative Framework for UAV Risk Assessment」Peter Sachs、Version 1.0、2018年9月13日、に記載されており、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0059】
いくつかの実施形態において、特別なリスク評価フレームワークによって要求される場合、飛行経路の各セグメントに関連付けられる、計算された空中リスク値(いくつかの実施形態において、遭遇尤度またはパーセンテージであってもよい)は、空中リスククラス(air risk class(ARC))に対して相関されてもよい。例示の目的で、SORAのフレームワークの実装がソフトウェア270において使用される場合、および、計算された空中リスク値が、飛行経路ルートに沿った影響を受ける人の数である場合、飛行経路(または、飛行経路のセグメント)についての空中リスク値は、1つ以上の空中リスククラスとマッチされてもよい(例えば、飛行時間当たり<1e-6回の遭遇は、「非典型的空域」にマップされてもよいが、任意の適切な値、例えば飛行時間当たり<1e-4回の遭遇、が異なる実施形態において使用されてもよい)。一実施形態において、空中リスクカテゴリに対するこの関連付けは、リスクデータベース160内に格納される所定のテーブルを参照して空中リスクモデル254によってなされてもよい。もちろん、空中リスクカテゴリの他の内訳、カテゴリとの無相関、および/または、計算された空中リスク値の直接使用、が異なる実施形態において使用されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、特別なリスク評価ソフトウェア270(例えば、SORAの実装など)が、地上リスクおよび空中リスクを考慮することを要求してもよく、それら値は、それぞれ地上リスクモデル252および空中リスクモデル254によって決定される。一実施形態において、SAILの値は、地上リスククラスおよび空中リスククラスの関連付けのルックアップに基づき決定されることができる。すなわち、地上リスククラスと空中リスククラスの各組み合わせについて、関連するSAILスコアが、リスクデータベース160内に格納される所定のテーブルを参照して見出されてよい。
【0061】
SORAのフレームワークを一例として使用すると、従来、SAILレベルのSORA決定が:航空機のタイプおよびサブタイプ(例えば、固定翼、マルチコプタ、e-VTOLを含むタイプ、および、製造元とモデルなどのサブタイプ)、飛行についてのオペレーションの体制(例えば、目視見通し内(visual line or sight(VLOS))、目視見通し外(beyond visual line of sight(BVLOS))など)、飛行が発生する環境の密度、飛行の空域および高度のタイプ、ならびに、オペレータが実行してきた任意の軽減、の入力を要求する。従来、そのような値が、(全体的または部分的に質的な)チェックリストに入力されてよく、チェックリストの出力は、飛行(または、飛行のセグメント)に割り当てられるSAILレベルである。SAILレベルはIからVIの範囲であり、高いレベルほど、よりロバストなメンテナンスおよびオペレーション手順を示す証拠書類または証拠の提出を、オペレータに要求する。SAILレベルは、地上、人、または別の航空機などとの衝突の定量的提言に特に対応しなくてもよい。しかし、本明細書に説明されるシステムおよび方法を使用することにより、オペレータからの必要とされる入力の量が、従来の質的なフレームワークに比べて削減され、なぜなら、本明細書に記載されるシステムでは、いくつかの例において、乗り物のタイプと飛行計画のみなど、必要な入力が削減されてもよく、または、入力が手動の手段ではなく自動の手段で収集されてもよいからである。本明細書に説明される実施形態において、質的なフレームによって提供される出力と同様もしくは同一、または機能的に同一の出力は、データ完全性について査定および/または認定されてもよい、定義されたソースから、再現可能な一貫性のある様式で集められ得る定量的データの適用により、達せられることができる。加えて、たとえ、主観的、または変わりやすい/質的な値が入力される場合でも、その値は、数値リスク計算において寄与するように、パラメータ化されることができる。例示の実施形態において、同じ(または同様の)値の一貫性のある入力が入力される場合、システムの出力は、本質的に予測可能で再現可能であると理解されてもよい。
【0062】
さらに、リスクについての従来のSORAのフレームワークにもう一度目を向けると、SORAのSAILレベルの割り当ては、即時の飛行承認に対応していない。むしろ、従来のリスク評価においては、規制当局または空域サービス提供者は、飛行計画要求が、その要求を手動で精査する時間を人間の専門家に与えるために、ミッションよりかなり前(例えば、数日前)に、提出されることを要求するかもしれない。規制者は、条件付きの認可を発行するかもしれないし、さらなる情報を求めるかもしれない。特に、処理は、オペレータが、彼らの飛行時間を、より好ましい風条件の間に発生するように調整すること、およびミッションの持続時間とプロファイルについて、バッテリが十分に充電されることを確保することを可能にしてもよい。したがって、そのような従来の実現においては、既存のバッテリ充電などの要因が、理想的な状態にあることが想定される場合があり、これは乗り物の条件の実態を反映していないことがある想定である。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、そのような想定をせずに、実際の一時的な条件を考慮して、リスク計算を、離陸前に即時または迅速に扱うことを可能にする。
【0063】
図2にもう一度転じると、一時的リスクモデル256は、天気および/または乗り物条件データなどの任意の一時的データが、飛行計画のリスクの決定に関連するかどうか、また、どの程度関連するのかを計算してもよい。一時的データは、データソース210、オペレータ110、または航空機(または他のソース)のいずれかから収集されるデータであってもよい。そのようなデータは、リアルタイムに収集されてもよいし、設定された最近の期間、例えば、前の1時間、24時間、7日など)から集約されてもよい。いくつかの実施形態において、一時的リスクモデル256は、計算されているリスクのタイプに基づき、一時的データを集約する期間を決定してもよい。いくつかの実施形態において、一時的リスクモデル256は、一時的天気データに依存して天気リスク計算、航空機の現在の乗り物の健全性およびメンテナンス履歴に基づく乗り物リスクモデル、または、現在のバッテリの健全性に依存するバッテリリスクモデル、のうちの1つ以上を実現してもよい。
【0064】
例示の実施形態において、バッテリリスクモデルは、一時的リスクモデル256に含まれてもよく、その場合、バッテリリスクモデルは、例えば、始動バッテリ電圧、飛行計画特徴、飛行の長さ、事前プログラムされた飛行またはマニュアル飛行のパーセンテージ、ハードウェア障害、などのデータを取得して考慮する。いくつかの実施形態において、バッテリリスクモデルは、そのような要因の重み付き考慮を適用してもよい。一例示の実施形態において、一時的リスクモデル256のバッテリリスクモデルは、以下の等式:
【数4】
を使用して、飛行中のバッテリ障害のリスクを計算してもよい。式中、IVは、初期バッテリ電圧測定値(ミリボルト単位)、Dは、乗り物が移動する総半正矢距離(m単位)、V
eは、飛行の平均総速度(km/sec単位)、D
uは、総飛行時間(min単位)、および、Aは、最高と最低の計画された高度の差(mm単位)である。もちろん、他の実施形態では、異なる重みまたは異なる公式を使用してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、バッテリリスクモデルの計算は、数値の終了バッテリ電圧の決定につながってもよい。いくつかの実施形態において、この予想された終了電圧は、飛行リスク全体のグラフにマッピングされてもよい。例えば、予想されたバッテリ電圧は、1つ以上のグループ化に対して相関されてもよいし、曲線に対して設定されてもよく、その場合、特別なグループ化または電圧値範囲が、飛行リスク全体により大きな量で寄与する(例えば、著しく低い終了電圧はリスクを大いに高くすることがあり、その場合、適度に低い終了電圧は、リスクに全く影響を与えない)。
【0066】
再び
図2に転じると、いくつかの実施形態において、パイロットリスクは、パイロットの経験モデル258によって計算される。そのような実施形態において、パイロットリスクモデル258は、例えば、パイロットが飛行した総時間数、パイロットのドローン経験(該当する場合)、管理された飛行の自律飛行に対するパーセンテージ、パイロット/オペレータの訓練経験、パイロット/オペレータの認定資格ステータス、パイロット/オペレータの登録された技能、一時的な条件(例えば、天気)、乗り物条件(例えば、メンテナンスまたは性能履歴)、および/または乗り物が飛行することが意図される領域の管轄的要件、などを考慮してもよい。いくつかの実施形態において、パイロットリスクモデルは、そのような要因の重み付き考慮を適用してもよい。そして、パイロットリスクモデルは、パイロットの経験に基づき、衝突のリスクの推定されたパーセンテージを予想してもよい。計算方法の一例として、以下の等式:
Rpilot=(tm×Fm)+(tp×Fp) [数式P-1]
を使用してパイロットリスクを決定してもよい。式中、tm×Fmは、パイロットがマニュアルモードで航空機のオペレーションに費やした時間のパーセンテージ(または、時間の重み付けパーセンテージ)、tp×Fpは、パイロットが飛行モード(または、自律的モード)で航空機のオペレーションに費やした時間のパーセンテージ(または、時間の重み付けパーセンテージ)である。もちろん、異なる実施形態においては、異なる等式または異なる重み付けが種々に使用されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、この予想されたパイロットリスクは、飛行リスク全体のグラフにマッピングされてもよい。例えば、パイロットの飛行時間は、1つ以上のグループ化またはバケット化に対して相関されてもよいし、曲線に対して設定されてもよく、その場合、特別なグループ化または時間の範囲は、飛行リスク全体に異なって寄与する異なるグループ化に入る。いくつかの実施形態において、ユーザがこの情報を入れる。他の実施形態において、そのような情報は、潜在的に、自動的に集められてもよく、例えば訓練登録のパイロットを通して、パイロットに対して登録されるドローンに格納されるデータを通して、乗り物になされたメンテナンスに基づく想定、および他の事実を通して、集められてよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、総リスクスコアは、
図2のモデル252-258からの出力リスクスコアのそれぞれのパーセンテージリスクを平均することにより(または、他の方法で集約することにより)、見出すことができる。他の実施形態において、モデル252-258からの異なる出力リスクスコアの重み付け適用は、異なるタイプのリスクが、他より重くまたは軽く重み付けされるように、適用されてよい。別の実施形態は、機械学習アルゴリズムを適用してもよく、その場合、異なるリスクに適用される特別な重みは、学習された飛行、地理空間および/または一時的な条件に基づき、決定される。一例において、嵐の確率がより高い、1年のうちのある時間において、天気リスクモデルの出力は、比較的高く重み付けされてもよい。他の実施形態では、リスクを計算するさらに他の方法を使用してもよい。
【0069】
図6は、安全性リスク管理システムが、航空機のオペレータから飛行計画を受け取る前に行う処理を例解するフローチャートである。処理は、ステップ600にて開始し、地上リスク計算処理および空中リスク計算処理の両方(すなわち、ステップ602-606、および610-616の両方)の流れが並行して実行される。他の実施形態において、これらの処理は、連続的に、または別の分散した様式で発生してもよい。地上リスク計算は、リスク評価システムの地上リスクモデルによって実行される。最初に、人口密度データ(典型的には、ランドスキャンまたは他のソースからのなどのデータ)が、サードパーティソースから取得される(ステップ602).このデータは、グリッド化されたレイアウト(例えば、正方形タイル)に分割された地球の全表面領域の、密度データを含む。加えて、地球表面領域の地理空間レイアウトを理解することに関する他の情報、例えば、土地区画データ、建物の規制のデータ、など(ステップ604)。地上リスク計算は、いくつかの実施形態において、このタイル化データを集約して再分割し、より小さいまたはより大きい仮想的な正方形を作成し、多かれ少なかれ人口が多い領域において、多かれ少なかれ粒度的に人口データを反映する(ステップ608)。各仮想的空間(タイル)は、人口密度値に関連付けられて、セキュアにデータベースに格納されてもよい(とはいえ、いくつかの実施形態においては、データベースはセキュアにされる必要はない)(ステップ620)。以前の処理と並行して、空中リスク計算は、飛行経路データ(例えば、ADS-Bデータ)を取得するステップを含む(ステップ610)。この飛行データは、設定された期間(一実施形態において、15日)に収集され、その期間に集約される(ステップ612)。空中リスク計算は、飛行データの履歴のサイズ変更および再分配を含んでもよく、例えば、三次元空域(ボクセル)の粒度がより高いまたは低い内訳を与えて、飛行が大きく集中する領域(例えば、近くの空港)を反映させる(ステップ614)。さらに、各ボクセルが、高度によって細分化され(ステップ616)、特別なタイプの航空機との関連で、特別な高度への注目を可能にする。このデータはまた、セキュアなデータベースに格納される(ステップ620)。次に、処理は、
図7に示す点Aに進み、その後、飛行計画はオペレータから受け取られる。
【0070】
図7は、飛行オペレータから詳細な飛行計画を取得した後に、リスク管理システムによって実行される処理の一例示の実施形態を示す。ステップ710にて、リスク管理システムは、飛行計画サービスから、または、別の(例えば、クラウドベースの)ユーザインターフェースを介して、飛行計画を取得する。次に、リスク管理システムは、1つ以上のサードパーティソースにアクセスして、例えば、天気データ、事象データ、乗り物オペレーション履歴データ、乗り物メンテナンスデータ、および/または、日ごとまたは時間ごとに変化し得る他のデータ、などの一時的データを取得する(ステップ712)。ステップ714にて、リスク評価サービスが、フレームワークを選択して飛行計画に適用する。いくつかの実施形態において、これは、定義されたフレームワーク(SORAなど)、またはカスタマイズされたフレームワークであってもよい。その後、
図7の処理は、ステップ720、730、および740のそれぞれに進み、すなわち、地上リスク計算(ステップ720から開始する)、空中リスク計算(ステップ730から開始する)、および他の定量的変換(例えば、一時的リスク計算、パイロットリスク計算)(ステップ740から開始する)の各ステップが並行して発生する。他の実施形態において、これらの処理720から740は、連続的に、または別の分散した様式で発生してもよい。
【0071】
地上リスク計算において、飛行からの可能性のある衝突リスクが存在する地理空間のタイルの識別により、処理が開始する(ステップ720)。これは、飛行経路の直下のタイル、および、いくつかの実施形態においては、一時的な条件(例えば、天気、航空機の重さおよび大きさ)および評価選好(例えば、リスクに対する許容範囲が小さい)に基づき、影響を受けるかもしれない隣接または近くのタイルを決定することにより行われてもよい。ステップ722にて、地上リスク計算は、衝突のリスクがある全ての関連タイルについて、人口密度を集約する。飛行計画によって設定されたように、1秒(または、別に時間設定された)間隔の飛行ごとに、高度に依存する計算が実行されて、乗り物による影響を受ける地上領域を決定する(ステップ724)。地上領域および地上リスクそれぞれについて格納される人口密度が、計算される。これらの点の計算された集約値(例えば、平均値)が、地上リスク値としてみなされてもよい(ステップ726)。いくつかの実施形態において、選択されたリスクプラットフォームによって要求される場合、地上リスククラスを決定するために、計算された地上リスク値が使用されてよい(ステップ728、任意選択的であることが点線によって示されている)。
【0072】
空中リスク計算において、処理は、意図される飛行計画に従って航空機が通過するであろうボクセル空間の識別により、開始する(ステップ730)。ステップ732にて、空中リスク計算が、ボクセルごとに、空中密度(空域内の飛行数)を集約する。このデータは集約されて、ポアソン分布に基づき、衝突の確率に変換される(ステップ734)。この確率値は、いくつかの実施形態において、空中リスク値として使用されてもよい(ステップ736)。いくつかの実施形態において、選択されたリスクプラットフォームによって要求される場合、空中リスククラスを決定するために、計算された空中リスク値が使用されてよい(ステップ738、任意選択的であることが点線によって示されている)。
【0073】
他の定量的変換が追加的に実行されてもよい。例えば、パイロットが飛行した総時間数、パイロットのこの特別なドローンの経験(該当する場合)、管理された飛行の自律飛行に対するパーセンテージ、パイロット/オペレータの訓練経験、パイロット/オペレータの認定資格ステータス、パイロット/オペレータの登録された技能、一時的な条件(例えば、天気)、乗り物条件(例えば、メンテナンス、性能)、および/または、乗り物が飛行することが意図される領域の管轄的要件、などの航空機のパイロットの経験または訓練に関するデータが、一時的データから取得され(ステップ740)、パイロットリスク値の計算に使用される(ステップ742)。同様に、始動バッテリ電圧、飛行計画特徴、飛行の長さ、事前プログラムされた飛行またはマニュアル飛行のパーセンテージ、ハードウェア障害、などのバッテリリスクに関するデータが、一時的データから取得され(ステップ750)、バッテリリスク値の計算に使用される(ステップ752)。
【0074】
地上リスク、空中リスク、パイロットリスク値、およびバッテリリスク値を(いくつかの実施形態において、他のリスクの中でも)含む、これらのリスク値のうちの1つ以上は、選択されたフレームワーク対して適用されて(ステップ760)、例えば、リスクレポート、リスクスコア、1つ以上のリスク勧告、および/または、飛行の認可もしくは拒否が出力されてもよい。
【0075】
図8は、ソフトウェアにより実装されるリスク査定ツール、例えば、クラウドベースのソリューション、アプリケーション、ウェブサイトなど、の例示の実施形態を例解する。このソフトウェアベースの実装は、リスク評価決定に達するためのミッションデータの処理において使用されるサービスを提供してもよい。例示の実施形態において、ソフトウェアリスク評価は、ユーザがリスクフレームワークにアクセスできるようにし、その場合、ユーザは、乗り物オペレータ、規制のエンティティ、空域オペレータ、および/または、任意の他の対象の関係するサードパーティであってもよい。一実施形態において、情報は、全体または一部が、グラフィックまたは非グラフィックユーザインターフェースを通して、例えば、人間および/またはコンピュータの、スライダ、個別の数値または文字の入力、所望の特徴の選択(例えば、ドロップダウンメニュー、チェックボックス、ラジオボタン、またはインタラクションできる他の特徴)、格納された、計算された、もしくは予測された値で自動補完されるフィールド、または任意の他の適切なタイプの入力を介するアプリケーションまたはウェブサイトとのインタラクションを介して入力される。いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、データ(飛行計画など)のアップロードを可能にしてもよく、入力データはそこからプルされてもよい。例えば、パイロット、オペレータ、規制のエンティティなどは、飛行の計画時間のわずかに前(または、別の態様で飛行より前、もしくは離陸より前)に、アイパッドまたは他のモバイルデバイスに格納されたアプリケーションを介して、ソフトウェアにアクセスして、飛行を進めるかどうかについての決定を示すリスク評価決定に達してもよい。
【0076】
図8は、例えば、アプリケーションまたはウェブサイトを通してアクセス可能な例示のグラフィックユーザインターフェース800を例解する。インターフェース800は、入力セクション810(「飛行リスク査定ツール」というタイトルが付けられている)、および、2つの出力セクション、すなわち、ラベルされた飛行セグメント(ここでは、セグメント1-8の番号付されている)を示す地
図840と、各飛行セグメントと計算されたリスクとの間の対応を示すテーブル860、の3つのセクションを含む。入力セクション810は、複数の入力フィールドを配置する。
図8の例において、フィールドは手動のエントリを要求するが、実施形態は、1つ以上のフィールドが、乗り物自体から(例えば、乗り物センサまたはハードウェア登録データから)もしくは、サードパーティシステム(例えば、乗り物タイプまたは飛行計画に対応する以前のフィールド登録データ、飛行計画に関する地理的または規制のデータ(例えば、要求される高度など)から、自動的にプルされるデータ、または、例えば、
図2に記載されるようなソースデータベースからの任意の他の適切な情報、に基づき、セルフポピュレートされる場合に存在してもよい。入力セクション810のフィールド812(
図8)は、リスクフレームワークの指定を可能にする。
図8の実施形態において、SORAのフレームワークが選択され、その結果得られる出力SAILの値が取得される。いくつかの実施形態において、入力セクション810の残りのフィールドは、リスクフレームワーク812の選択後は、必要な入力値が、特別なフレームワークの要件に従って変わるため、選択されなくてもよい(または、変更されてもよい)。
図8の例において、SORAのフレームワークが入力812として選択されており、入力セクション810は、乗り物タイプを入力するフィールド814、乗り物がVLOS乗り物であるかBVLOS乗り物であるかを入力するフィールド816、飛行前チェックが実行されたかどうかを示すフィールド818、乗り物オペレーションの領域が、傍観者に対してアクセスが制御された領域(例えば、制限または閉鎖された領域)であるかどうかを示すフィールド820、緊急対応計画の厳密性(および/または存在)を示すフィールド822、飛行計画の高度を示すフィールド824、および、提出フィールド826を含む。フィールドは、ドロップダウンフィールド、ラジオボタン、またはチェックボックスとして示されているが、任意のタイプの手動または自動の入力が使用されてもよい、ことは理解されるであろう。例えば、一実施形態において、乗り物タイプ情報は、人間が入力することなく乗り物ハードウェアまたはセンサから自動的にプルされてもよい。
【0077】
データフィールドの数、および入力されるデータの範囲またはタイプは、
図8に示すものに限定される必要はない。最初に、入力フィールドは、異なるソースリスクフレームワークの選択に基づき、異なっていてもよい。さらに、入力されるデータのタイプまたは形式は、異なる実施形態において、変わってもよい。単に一例として、
図8の例において、緊急対応計画822は、無し、低、中、高などの選択肢のセットから選択されてもよい。他の実施形態において、より特定の緊急改善情報、例えば、乗り物がパラシュートを有しているかどうか、乗客のための乗り物からの、および乗り物のための飛行計画からの、緊急脱出ポイントの数、および/または、または、緊急対応計画に寄与してもよい物理的もしくは手続き上の安全機能を入力するための1つ以上のフィールド、などの適切な選択された値の任意のセットが、使用されてもよい。いくつかの実施形態において、ある安全機能の有無に対応する定量的入力が、使用されてもよい。同様に、入力セクション810の他のフィールドの各々は、異なる入力値/選択が実行されてもよく、種々の実施形態において、リスクフレームワークによって実装される論理の必要性が容易にされる。いくつかの実施形態において、リスク評価は、全体的または部分的に質的なデータを、定量的データへ、またはその逆に、処理および変換することを含んでもよい。
【0078】
提出ボタン826がいったん押されると、セクション840および860は、入力データに基づき実行される1つ以上の計算の出力に基づき、ポピュレートされてもよい。例示のセクション840は、オペレータによって提供される飛行経路(または、そうではなくて、以前に格納された、例えば、事前に格納されてもよく、オペレータによる使用が可能であってよい、共有される、共通の、またはテストの飛行経路)、に基づき地図を例解する。飛行経路は、飛行の数レグまたは数セグメントに分割されて示され、そのような内訳は典型的には、飛行計画の一部として提供される。各セグメントは、それぞれのセクションで異なるリスク値の計算を要求するように、異なる高度範囲などの異なる関連情報を有してもよく、また、異なって土地区画された領域、または異なって人口が多い領域の上を通ってもよい。
【0079】
それぞれのセグメントのリスク計算は、ユーザインターフェース800のセクション860に示される。飛行セグメント8を参照すると、リスク評価ツールは、典型的には、SORAのフレームワーク(例示のフレームワークはフィールド812において選択された)の適用の結果として出力されるリスクデータのセットを計算してもよい。SORAの適用は、例えば、リスクを示すSAILの値の計算につながる。
図8の例解は、リスク査定ツールが、セグメント8について、初期地上リスククラス(GRC)864が2の値、最終GRC866が2の値、空中リスククラス(ARC)868がARC-bの値、最終SAILスコア870がSAIL IIの値、であると決定したことを示す。加えて、ソフトウェアが、定量的空中遭遇確率872、および、(SORAにより)空域が「非典型的」であるという決定874を計算した。例解された結果は、もちろん例示であり、異なる実施形態において、および/または、異なる入力値を用いて、異なる結果が可能である。これらのカテゴリ862-874およびそれらに割り当てられる値は、他の実施形態において、異なるリスクフレームワークが適用される場合には、変わってもよい、ということは一般的に理解されるであろう。GRCおよびARC(または、他の実施形態においては、地上リスク値および空中リスク値)の計算は、例示の実施形態において、
図1-7を参照して上で説明された道筋に沿った様式で実行されてもよい。いくつかの実施形態において、
図8のセクション860に示す値に加えて、またはこれに代えて、リスク評価のソフトウェア実装は、リスク軽減のための勧告(例えば、パラシュートを加えることなど)、リスクレポート、リスク分析スコア、および/または、航空交通管理機関またはソフトウェアに有用であってもよい任意の他のタイプデータ(数値の空中および/または地上リスク値など)を提供してもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、いくつかの例において、飛行が開始してもよいかどうかを制限する、飛行経路認可または拒否を提供してもよい。いくつかの実施形態において、オペレータは、即時に、飛行前チェックを行い、乗り物、飛行計画、緊急手順などを修正してもよく、また、ユーザインターフェース800を使用して、新しい飛行情報を(セクション810を通して)入力し、新しい入力を使用して新しいリスク評価出力を要求してもよい。他の実施形態において、飛行の拒否は、例えば、新しいリスク評価出力のための情報の再提出の前の待ち時間、および/または、改善の証明(規制機関による新しい飛行計画を提出することなど)、他の追加の提出情報、または、文書によるかまたは他のデータソースからセンスされたかに関わらず変更した条件の証拠を必要としてもよい。いくつかの実施形態において、リスク評価ソフトウェアは、乗り物のシステムまたはサードパーティシステムにアクセスして、オペレータが、乗り物または飛行計画を軽減、修正、または改善したことを示すデータを、再評価の前に、キャプチャするが、とはいえ、他の実施形態においては、オペレータによるソフトウェアに対する入力の修正(または、サポート材料の提出)で十分であってもよい。
【0081】
概して、例示の
図8に示されるようなリスク評価ソフトウェアの使用が、人間による精査および飛行計画の各態様の管理の必要性を削減または除去でき、また、それにより、リスク評価および/または飛行前認可の時間を、数日または数週間ではなく、数時間、数分、またはリアルタイムにまで、短縮することができることが理解されるであろう。加えて、
図8のリスク評価ソフトウェアは、異なる区域および/または地理的領域に適用可能であってもよい複数の飛行リスクフレームワークに対処するようにカスタマイズ化されてもよく、したがって、オペレータが、安全な評価を実行するための1つ以上のフレームワークを選択することを可能にする。さらに、例示の実施形態において、
図8のソフトウェアは、入力のセットが与えられた一貫性のある、再現可能な論理を実装しており、したがって、その論理は任意の適切な規制機関によって、適切な場合は、確証され、および/または認定されてもよい。したがって、
図8の例示のソフトウェアの使用は、飛行前 リスク評価の処理を合理化する機能があってもよい。
【0082】
上記の説明は、本開示の原理を単に説明するものであり、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により種々の修正がなされてもよい。上記で説明された実施形態は、制限する目的ではなく例示の目的で提示される。本開示はまた、明示的に本明細書に記載される以外の多くの形式をとることができる。したがって、本開示が、明示的に開示された方法、システム、および装置に限定されず、その変形および修正を含むことが意図され、それらが以下の請求項の精神内にある、ことが強調される。
【0083】
さらなる例として、装置または処理のパラメータ(例えば、寸法、構成、構成要素、処理ステップ順など)の変形は、本明細書に示され記載されるように、提供された構造、装置、および方法を、さらに最適化するようになされてもよい。任意の事象において、本明細書に説明される構造および装置、および関連する方法は、多くの応用を有する。したがって、開示される主題は、本明細書に記載される任意の単一の実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、添付の請求項に従う広さおよび範囲において解釈されるべきである。