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  • 特許-ガス電磁弁 図1
  • 特許-ガス電磁弁 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ガス電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240827BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F16K31/06 305J
H01F7/16 R
H01F7/16 D
H01F7/16 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020037540
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2020153516
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2019044552
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】岸 隆行
(72)【発明者】
【氏名】宇於崎 充
(72)【発明者】
【氏名】安井 繁明
(72)【発明者】
【氏名】小松 靖司
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大祐
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-159812(JP,A)
【文献】実開昭60-028672(JP,U)
【文献】特開2013-124768(JP,A)
【文献】特開2005-098340(JP,A)
【文献】特開2008-157280(JP,A)
【文献】特開2014-214779(JP,A)
【文献】実開昭57-173312(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06 - 31/11
F23K 5/00
H01F 7/06 - 7/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路に介設されるガス電磁弁であって、弁筐内の弁座に対向する弁体と、弁体に弁軸を介して連結されるアーマチュアと、アーマチュアに対向するように配置され、アーマチュアを吸着することで弁体を弁座から離れた開弁位置又は弁座に着座する閉弁位置に保持する電磁石と、弁体を電磁石からアーマチュアが離れる方向に付勢する付勢手段とを備え、アーマチュアが摺動自在に内挿されるガイドパイプは備えないものにおいて、
付勢手段は、弁軸の軸線に斜交する方向に当該付勢手段の付勢力が作用するように構成されることを特徴とするガス電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロ等のガス器具のガス流路に介設されるガス電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガス電磁弁は、弁筐内の弁座に対向する弁体と、弁体に弁軸を介して連結されるアーマチュアと、アーマチュアに対向するように配置され、アーマチュアを吸着することで弁体を弁座から離れた開弁位置又は弁座に着座する閉弁位置に保持する電磁石と、弁体を電磁石からアーマチュアが離れる方向に付勢する付勢手段とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、アーマチュアが電磁石に吸着されたときのアーマチュアと電磁石との当接部に、ガスに何らかの原因で混入した液状の異物が介在すると、アーマチュアが電磁石に貼り付いて、電磁石の励磁を解除してもアーマチュアが容易には電磁石から離脱しなくなる。そのため、付勢手段の付勢力を強くし、電磁石の励磁解除でアーマチュアを電磁石から離脱させる必要がある。その結果、アーマチュアを付勢手段の付勢力に抗して電磁石に吸着保持するのに必要な電力が増加し、省電力化を図ることが困難になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-36559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、アーマチュアと電磁石との当接部に液状異物が介在しても、付勢手段の付勢力を強くせずに、電磁石の励磁解除でアーマチュアを電磁石から離脱させることができるようにしたガス電磁弁を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ガス流路に介設されるガス電磁弁であって、弁筐内の弁座に対向する弁体と、弁体に弁軸を介して連結されるアーマチュアと、アーマチュアに対向するように配置され、アーマチュアを吸着することで弁体を弁座から離れた開弁位置又は弁座に着座する閉弁位置に保持する電磁石と、弁体を電磁石からアーマチュアが離れる方向に付勢する付勢手段とを備え、アーマチュアが摺動自在に内挿されるガイドパイプは備えないものにおいて、本発明は、付勢手段を、弁軸の軸線に斜交する方向に当該付勢手段の付勢力が作用するように構成したことを特徴とする。
【0008】
発明によれば、アーマチュアが液状異物の影響で電磁石に貼り付いても、弁軸の軸線に斜交する方向に作用する付勢手段の付勢力により、アーマチュアが電磁石との当接部の片側の外縁から引き剥がされるように傾き、貼り付きが容易に解除される。
【0009】
このように、発明によれば、アーマチュアが液状異物の影響で電磁石に貼り付いても、この貼り付きは容易に解除されるため、付勢手段の付勢力を強くせずに、電磁石の励磁解除でアーマチュアを電磁石から離脱させることができる。従って、アーマチュアを付勢手段の付勢力に抗して電磁石に吸着保持するのに必要な電力が減少し、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態のガス電磁弁の切断側面図。
図2】(a)施形態のガス電磁弁の電磁石を励磁した状態での切断側面図、(b)施形態のガス電磁弁の電磁石の励磁を解除した瞬間の切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、本発明の第1実施形態のガス電磁弁は常閉型であって、ガス流入口11とガス流出口12とを有する弁筐1内に設けられた弁座13に対向する弁体2と、弁体2に弁軸21を介して連結されたアーマチュア3と、アーマチュア3に対向するように配置され、アーマチュア3を吸着することで弁体2を弁座13から離れた開弁位置に保持する電磁石4と、弁体2を電磁石4からアーマチュア3が離れる方向に付勢する付勢手段5とを備えている。尚、アーマチュア3が摺動自在に内挿されるガイドパイプは備えておらず、アーマチュア3は傾き得る。
【0012】
電磁石4は、中心の円柱状のコア41と、コア41の周囲にボビン42aを介して巻回配置した電磁コイル42と、コア41の弁筐1側の端部がOリング43aを介して嵌合する中心孔を有し、弁筐1の端面に非磁性体から成るシールプレート43bを介して締結される板状のフレーム43とで構成される。そして、電磁コイル42への通電で電磁石4を励磁すると、図2(a)に示す如く、アーマチュア3がコア41の一端とフレーム43との両者に跨るようにして吸着される。
【0013】
付勢手段5は、アーマチュア3の外周面の弁体2側の端部に形成した突起部31とフレーム43との間に介設したコイルバネで構成され、弁体3を電磁石4からアーマチュア3が離れる方向にアーマチュア3を介して付勢している。更に、この付勢手段5は、コイルの巻回中心線が弁軸21の軸線に斜交するように形成されている。そのため、付勢手段5による付勢力は、図2(a)に矢印aで示す如く、弁軸21の軸線に斜交する方向に作用する。
【0014】
ここで、アーマチュア3が電磁石4に吸着されたときのアーマチュア3と電磁石4との当接部に、ガスに何らかの原因で混入した液状の異物が介在すると、アーマチュア3が電磁石4に貼り付いて、電磁石4の励磁を解除してもアーマチュア3が容易には電磁石4から離脱しなくなる。然し、本実施形態によれば、電磁石4の励磁を解除したときに、弁軸21の軸線に斜交する方向に作用する付勢手段5の付勢力により、図2(b)に誇張して示す如く、アーマチュア3が電磁石4との当接部の片側の外縁から引き剥がされるように傾き、貼り付きが容易に解除される。そのため、付勢手段5の付勢力を強くせずに、電磁石4の励磁解除でアーマチュア3を電磁石4から離脱させることができる。従って、アーマチュア3を付勢手段5の付勢力に抗して電磁石4に吸着保持するのに必要な電力が減少し、省電力化を図ることができる。尚、弁軸21がアーマチュア3と共に傾いても弁体2が弁座13に確実に着座するように、弁体2に弁軸21を若干の遊びを持たせて連結することが望ましい。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態のガス電磁弁では、付勢手段5たるコイルバネのコイル巻回中心線が弁軸21の軸線に斜交するようにしているが、コイルバネのバネ受け、例えば、アーマチュア3に設けた周方向一側の突起部31と周方向他側の突起部31の軸方向位置を異ならせて、弁軸21の軸線に斜交する方向に付勢手段5による付勢力が作用するようにしてもよい。
【0026】
また、上記実施形態のものにおいて、電磁石4の励磁を解除する際に、アーマチュア3を何らかの機構で電磁石4に対する当接方向と直交方向に移動させることも可能である。これによれば、アーマチュア3が液状異物が存在しない部分に移動して貼り付きが解除される可能性がある。
【0027】
また、上記実施形態のガス電磁弁は、何れもアーマチュア3を電磁石4に吸着することで弁体2を弁座13から離れた開弁位置に保持する常閉型の弁であるが、アーマチュアを電磁石に吸着することで弁体を弁座に着座する閉弁位置に保持する常開型の弁にも同様に本発明を適用できる。更に、電磁石をモータにより進退自在とし、弁体が閉弁位置に存する状態で電磁石を前進させてアーマチュアに当接させ、電磁石の励磁でアーマチュアを吸着した状態で電磁石を後退させて、弁体を付勢手段に抗して開弁位置に移動保持する、所謂モータ安全弁のようなガス電磁弁にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1…弁筐、13…弁座、2…弁体、21…弁軸、3…アーマチュア、4…電磁石、5…付勢手段。
図1
図2