(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ベシクル組成物及びそれを配合した化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/40 20060101AFI20240827BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20240827BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20240827BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20240827BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240827BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240827BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61K8/40
A61K8/65
A61K8/63
A61K8/11
A61K8/81
A61K8/39
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2020065144
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】阿部 伎
(72)【発明者】
【氏名】山口 こさと
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/078611(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0116458(US,A1)
【文献】特開2012-062250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C);
(A)ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート及びジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートからなる群より選択されるカチオン性界面活性剤
(B)ケラチン加水分解物
(C)コレステロール及び/又はフィトステロール
を含有し、
前記成分(A)及び前記成分(C)を骨格とするベシクル中に、前記成分(B)が内包されてなる、
ベシクル組成物。
【請求項2】
前記成分(B)の数平均分子量が400~45,000である請求項1に記載のベシクル組成物。
【請求項3】
ベシクル組成物の平均粒子径が210nm未満である請求項1
又は2に記載のベシクル組成物
。
【請求項4】
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量比(A)/(B)が、0.2を越え、50以下である請求項1
~3のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項5】
さらに0.05質量%以上20質量%未満の(D)両性高分子を含む請求項1
~4のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項6】
前記成分(D)が、(d1)2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として含有する両性高分子及び/又は(d2)ジメチルジアリルアンモニウムを構成単位として含有する両性高分子であることを特徴とする請求項
5に記載のベシクル組成物。
【請求項7】
前記成分(d1)が、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及び/又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体であることを特徴とする請求項
6に記載のベシクル組成物。
【請求項8】
前記成分(d2)が、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体であることを特徴とする請求項
6又は7に記載のベシクル組成物。
【請求項9】
前記成分(D)に対する前記成分(A)の含有質量比(A)/(D)が、0.1以上である請求項
5~
8のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項10】
前記成分(A)、(B)及び(C)にてベシクル組成物を形成後、前記成分(D)を添加し、混合撹拌して製造することを特徴とする請求項
5~9のいずれか一項に記載のベシクル組成物の製造方法。
【請求項11】
さらに、成分(E)として、トリプロピレングリコールを含む請求項1~
9のいずれか一項に記載のベシクル組成物。
【請求項12】
請求項1~
9、11のいずれか一項に記載のベシクル組成物を配合することを特徴とする化粧料。
【請求項13】
毛髪用であることを特徴とする請求項12に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベシクル組成物及びそれを配合した化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケラチンは毛髪を構成するタンパク質の主成分であり、ヘアアイロンやヘアカラー等の物理的化学的処理により毛髪内部から流出することで、毛髪の空洞化や毛髪強度の低下が生じる。従来、流出したケラチンを補うために、ケラチン加水分解物やその誘導体を配合した毛髪化粧料が広く利用されている。しかしながら、ケラチン加水分解物は、分子量が大きく凝集・析出しやすいことから、ケラチン加水分解物の安定性を保ちつつ、毛髪補修効果に優れた毛髪化粧料を得ることは困難であることが知られている。
【0003】
特許文献1では、イノシットヘキサリン酸を用いて、高温下でのケラチン加水分解物の析出を抑制する技術が開示されている。
特許文献2では、パントテン酸化合物0.1~20重量%とケラチン加水分解物0.001~20重量%含有することを特徴とする毛髪及び皮膚用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003―267844号公報
【文献】特開平10―17427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、平均分子量400~1,400のケラチン加水分解物を用いることで、毛髪内部にケラチン加水分解物が浸透するが、毛髪補修効果及びケラチン加水分解物の安定性をより高めることが望ましい。
特許文献2では、平均分子量500~10,000のケラチン加水分解物を用いることで、コンディショニング効果を有するが、ハリコシ感やなめらかさ、また組成物中のケラチン加水分解物の安定性をより高めることが望ましい
【0006】
これらを解消するためには、ケラチン加水分解物を毛髪表面に存在させるのではなく、毛髪内部へ浸透させることが有用である。そこで本発明は、有効成分のキャリアとして有用なベシクルに着目し、ベシクル内部にケラチン加水分解物を内包したベシクル組成物において、毛髪補修効果(毛髪破断強度)及び経時安定性(ケラチン加水分解物の析出抑制)に優れたベシクル組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート及びジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートからなる群より選択されるカチオン性界面活性剤、コレステロール及び/又はフィトステロールを含むベシクル組成物中にケラチン加水分解物を配合することにより、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
成分(B)のケラチン加水分解物を毛髪に適用する場合、前述したように、十分な経時安定性及び毛髪補修効果を提供することが困難な場合がある。しかしながら、成分(A)及び(C)を骨格とするベシクル中にケラチン加水分解物を内包することで、経時安定性及び毛髪補修効果を担保することができる。これは、ケラチン加水分解物をベシクル中に内包することで、ケラチン加水分解物の凝集・析出が抑制され、経時安定性が担保されると共に、カチオン性を有するベシクル組成物は、ダメージ毛との吸着性に優れるため、毛髪内部までケラチン加水分解物を浸透させることができ、毛髪補修効果を高めるためであると考えられる。さらに、本発明者らは、特定の配合量の成分(D)と複合化することで、ベシクル内部からのケラチン加水分解物の析出がさらに抑制され、より優れた効果を発揮することを見出した。つまり、多種存在する高分子の中で、カチオン性を有する成分(A)とカチオン性とアニオン性の2つの電気的性質を有する成分(D)の組み合わせが極めて重要であることを見出したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、ケラチン加水分解物を内包したベシクル組成物において、毛髪補修効果及びケラチン加水分解物の析出を抑制するために、次の成分(A)~(C)を含有することを特徴とするベシクル組成物である。
〔1〕
次の成分(A)~(C);
(A)ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート及びジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートからなる群より選択されるカチオン性界面活性剤
(B)ケラチン加水分解物
(C)コレステロール及び/又はフィトステロール
を含有するベシクル組成物である。
〔2〕
前記成分(B)の数平均分子量が400~45,000である前記〔1〕に記載のベシクル組成物である。
〔3〕
さらに0.05質量%以上20質量%未満の(D)両性高分子を含む前記〔1〕又は〔2〕に記載のベシクル組成物である。
〔4〕
ベシクル組成物の平均粒子径が210nm未満である前記〔1〕~〔3〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物である。
〔5〕
前記成分(D)が、(d1)2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として含有する両性高分子及び/又は(d2)ジメチルジアリルアンモニウムを構成単位として含有する両性高分子であることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物である。
〔6〕
前記成分(d1)が、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及び/又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体であることを特徴とする前記〔3〕~〔5〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物である。
〔7〕
前記成分(d2)が、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体であることを特徴とする前記〔3〕~〔5〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物である。
〔8〕
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量比(A)/(B)が、0.2を越え、50以下である前記〔1〕~〔7〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物である。
〔9〕
前記成分(D)に対する前記成分(A)の含有質量比(A)/(D)が、0.1以上である前記〔3〕~〔8〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物である。
〔10〕
前記成分(A)、(B)及び(C)にてベシクル組成物を形成後、前記成分(D)を添加し、混合撹拌して製造することを特徴とする前記〔3〕~〔9〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物の製造方法である。
【0010】
また、本技術は、以下の構成をさらに追加採用することも可能である。
〔11〕
さらに、成分(E)として、トリプロピレングリコールを含む前記〔1〕~〔10〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物である。
〔12〕
前記〔1〕~〔11〕のいずれか一つに記載のベシクル組成物を配合することを特徴とする化粧料である。
〔13〕
毛髪用であることを特徴とする前記〔12〕に記載の化粧料である。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、ベシクル内部にケラチン加水分解物を内包することで、ケラチン加水分解物の析出を抑制し、経時安定性に優れたものとなる。さらに、毛髪に適用した場合、ベシクル組成物が毛髪内部に浸透し、ケラチン加水分解物によるダメージ毛への毛髪補修効果として、毛髪破断強度の向上に優れたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
また、本明細書において「ベシクル組成物」とは、水中で球状の閉鎖小胞体を意味し、偏光顕微鏡観察でマルテーゼクロス像が観察されるものであり、また別の観察方法としては、透過型電子顕微鏡観察で多重層構造のマルチラメラベシクルが観察されるものをいう。
【0013】
本発明の一実施形態は、次の成分(A)~(C);
(A)ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート及びジパルミトイル
エチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートからなる群より選択されるカチオン性界面活性剤
(B)ケラチン加水分解物
(C)コレステロール及び/又はフィトステロール
を含有するベシクル組成物に関するものである。
【0014】
<成分(A)>
本発明に用いられる成分(A)ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート及びジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートからなる群より選択されるカチオン性界面活性剤は、ベシクルを形成するための必須成分であり、両者を組み合わせて使用してもよい。成分(A)の市販品としては、DEHYQUART L80、DEHYQUART AU56/G、DEHYQUART C4046(いずれもBASF社製)が挙げられる。
【0015】
本発明における成分(A)の配合量は、特に限定されるものではないが、ベシクル組成物において、ベシクル組成物の安定化の観点から、0.5質量%(以下、質量%は単に、「%」と略す)以上であることが好ましく、1.5%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤を多量に配合すると感触に大きく影響することから、10%以下であることが好ましく、ベシクル組成物の安定性の観点から、5%以下であることがより好ましい。
【0016】
<成分(B)>
本発明に用いられる成分(B)ケラチン加水分解物は、ケラチンタンパク質が酸、アルカリ、触媒又は酵素の作用等により加水分解されたものであり、羊毛、羽毛、蹄又は角等を由来としたものが挙げられる。
【0017】
本発明の成分(B)の数平均分子量は、毛髪に塗布した場合に高い毛髪補修効果を発揮するという観点から、数平均分子量が400以上であることが好ましい。本実施形態では、数平均分子量が大きいケラチン加水分解物を用いた場合であっても、成分(A)及び成分(C)を組み合わせることで、経時安定性に優れたものとなる。
本発明において、ケラチン加水分解物の数平均分子量は、毛髪補修効果等の観点から、4,000以上であることがより好ましく、9,000以上であることがさらにより好ましい。なお、ケラチン加水分解物の数平均分子量の上限は、特に限定されるものではないが、通常45,000以下である。
【0018】
本発明における(B)成分は、ダメージ毛への毛髪補修効果の観点から、羊毛由来であることが好ましい。成分(B)の市販品としては、Promois WK、Promois WK-L、Promois WK-GBF(いずれも成和化成社製)等が挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上を単独または併用して用いることができる。
【0019】
本発明における成分(B)の配合量は、毛髪補修効果等の観点から、ベシクル組成物において、0.05%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。さらに、経時安定性を担保しつつ毛髪補修効果を一層発揮することから、1%以上であることがさらにより好ましい。また、べたつきのなさや経時安定性等の観点から、5%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましい。
【0020】
上記した成分(A)、成分(B)の配合量は、任意に選択可能であり、配合する比も特に限定されるものではないが、これらの配合量の質量割合を特定の範囲とすることにより、さらに本発明の効果を高めることが可能となり好ましい。
成分(B)に対する成分(A)の含有質量比(A)/(B)は、経時安定性等の観点から、0.2を越えることが好ましく、0.4以上がより好ましく、1.5以上がさらにより好ましい。また、(A)/(B)は、ハリコシ感や毛髪補修効果等の観点から、50以下が好ましく、30以下がより好ましい。
【0021】
<成分(C)>
本発明に用いられる成分(C)コレステロール及び/又はフィトステロールは、構造中にステロール骨格を持つ物質である。例えば、ステロール骨格を持つ物質としては、コレステロール、フィトステロール(β-シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール等)等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ベシクル組成物の安定化の観点から、コレステロール又はフィトステロールのいずれか1種の配合が好ましく、さらに、コレステロールがより好ましい。市販品としては、海麗マリンコレステロール(日本水産社製)、マリンコレステロール(共和テクノス社製)、フィトステロール(エーザイ・フードケミカル社製)等が使用可能である。
【0022】
本発明における成分(C)の配合量は、特に限定されるものではないが、ベシクル組成物において、ベシクル組成物の安定化の観点から、0.5%以上であることが好ましく、経時での安定性が一層担保されることから、2%以上であることがより好ましい。また、成分(C)の配合量としては、特に限定されるものではないが、5%以下であることが好ましく、3%以下がより好ましい。
【0023】
<成分(D)>
本発明に用いられる成分(D)両性高分子は、ダメージ毛との親和性が高く、毛髪の損傷を補修する成分として有効である。本発明においては、ベシクル組成物に配合することで、ケラチン加水分解物の析出を抑制し、さらに毛髪補修効果を高めることができる。成分(D)は、化粧料一般に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。
本発明において、成分(D)は、ベシクル組成物の安定化、経時安定性及び毛髪補修効果の観点から、(d1)2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として含有する両性高分子及び(d2)ジメチルジアリルアンモニウムを構成単位として含有する両性高分子を用いることが好ましい。例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体などを例示することができる。これらの市販品としては、例えば、LIPIDURE HM-600(本質分5%)、LIPIDURE HM-PMB(BG)(本質分3.5%)(いずれも日油社製)等が使用可能である。尚、これら両性高分子化合物は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0024】
本発明において、成分(D)の配合量は、毛髪補修効果等の観点から、本質分換算で、0.05%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。さらに、ベシクル組成物の安定化の観点から、20%未満であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。成分(D)が20%以上の場合、ベシクル組成物が不安定化し、ケラチン加水分解物の安定性及び毛髪補修効果が低下する場合がある。これは、ベシクル組成物の凝集による不安定化やベシクル形成に関与しない余剰の成分(D)の共存による不安定等が考えられる。
【0025】
前記成分(d1)2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として含有する両性高分子の配合量は、特に限定されるものではないが、経時安定性等の観点から、0.5%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましい。さらに、なめらかさの付与や毛髪補修効果等の観点から、5%以上であることがさらにより好ましい。また、ベシクル組成物の安定化の観点から、20%未満であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
【0026】
前記成分(d2)ジメチルジアリルアンモニウムを構成単位として含有する両性高分子の配合量は、経時安定性等の観点から、0.05%以上であることが好ましく、毛髪補修効果等の観点から、0.1%以上であることがより好ましい。また、成分(d2)の配合量は、特に限定されるものではないが、1%以下であることが好ましく、0.4%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらにより好ましい。
【0027】
前述したように、成分(A)と成分(D)は相互作用することが知られており、成分(A)と成分(D)の含有質量比を特定の範囲とすることで、ベシクル組成物の安定性を担保することが可能となり好ましい。
成分(D)に対する成分(A)の含有質量比(A)/(D)は、ベシクル組成物の安定化の観点から、0.1以上であることが好ましく、なめらかさの付与や毛髪補修効果をさらに高めるという観点から、0.3以上であることがより好ましい。また、含有質量比(A)/(D)は、特に限定されるものではないが、ケラチン加水分解物の析出を抑制し、経時安定性を高めるという観点から、50以下であることが好ましく、30以下がより好ましく、15以下がさらにより好ましい。
【0028】
成分(d1)に対する成分(A)の含有質量比(A)/(d1)は、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましい。また、含有質量比(A)/(d1)は、特に限定されるものではないが、ケラチン加水分解物の析出を抑制し、経時安定性を高めるという観点から、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、2以下であることがさらにより好ましい。
【0029】
成分(d2)に対する成分(A)の含有質量比(A)/(d2)は、5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。また、含有質量比(A)/(d2)は、特に限定されるものではないが、ケラチン加水分解物の析出を抑制し、経時安定性を高めるという観点から、50以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、15以下であることがさらにより好ましい。
【0030】
さらに、本発明のベシクル組成物には、毛髪へのなめらかさを付与するという観点から、成分(E)としてトリプロピレングリコールを用いることができる。
【0031】
本発明における成分(E)の配合量は、特に限定されるものではないが、ベシクル組成物中において、なめらかさを付与するという観点から、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。また、成分(E)の配合量は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、なめらかさを付与するという観点から、10%以下であることがさらにより好ましい。
【0032】
本発明のベシクル組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、均一に加温した成分(A)、(C)を、同様に加温した(B)、(E)と精製水に分散させ、その後攪拌を続けながら徐々に室温まで冷却させることにより得られる。また、使用感や毛髪への更なる効果等を期待して後述するような任意に配合可能な成分をベシクル調製時に、適宜その性質等に応じて加えても良い。さらに、成分(D)を配合する場合も添加順序は特に限定されないが、例えば、(I)及び(II)の製造方法が挙げられる。
(I):均一に加温した成分(A)、(C)を、同様に加温した(B)、(D)、(E)と精製水に分散させ、その後攪拌を続けながら徐々に室温まで冷却させる方法。
(II):成分(A)~(C)、(E)にてベシクル組成物を形成後に、成分(D)を添加し、攪拌する方法。
なお、ベシクル組成物の安定化及びケラチン加水分解物の経時安定性の観点から、(II)の製造方法がより好ましい。
【0033】
得られたベシクル組成物の平均粒子径は、経時でもベシクルが崩壊することがなく、平均粒子径の変化(増大)も少ない安定性に優れたものが得られるという観点から、50nm以上210nm未満であることが好ましく、80nm~160nmであることがより好ましい。なお、ここでの平均粒子径の測定は、コールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製:サブミクロン粒子アナライザーN5)による測定値である。
【0034】
本発明のベシクル組成物のpHは特に制限は無いが、25℃のpHが2.5~7の範囲内であることが好ましい。
【0035】
本発明のベシクル組成物には、上記した必須成分の他に、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の化粧料に配合される任意成分を含有することができる。例えば、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、ワックス類、高級アルコール等の油剤、低級アルコール類、成分(E)以外の多価アルコール、水溶性高分子等の水性成分皮膜形成剤、成分(A)以外の界面活性剤、油溶性ゲル化剤、粉体、樹脂、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、pH調整剤、清涼剤、キレート剤、植物抽出物、アミノ酸類、糖類、ビタミン類等の美容成分等を含有することができる。
【0036】
化粧料中、ベシクル組成物の配合量は、概ね0.1~90%、好ましくは10~80%含むことがより好ましい。
【0037】
また、本実施形態のベシクル組成物は、最終形態の化粧料としてそのまま用いてもよいし、当該ベシクル組成物を他の成分として混合して化粧料としてもよい。すなわち、第二実施形態は、第一実施形態のベシクル組成物を含む化粧料である。第二実施形態の化粧料は、ベシクル組成物の効果である、なめらかさやハリコシ感の付与、毛髪補修効果、経時安定性の向上といった効果が発揮されやすい。
【0038】
本発明のベシクル組成物を配合した化粧料としては、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、ムース状等の種々の形態で実施することが可能であり、なかでも液状とすることが本発明の効果を得る上で好ましい。ここで、液状とは、25℃で流動性を有する状態であることを意味する。具体的には、25℃において、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて測定された粘度が、20,000mPa・s以下、好ましくは、10,000mPa・s以下、さらに好ましくは、5,000mPa・s以下であることを指す。この範囲であれば、流動性に優れ、ミスト状・スプレー状にも適し、使用性においても優れたものとなる。
【0039】
化粧料としては、例えば、化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ料、パック料、ハンドクリーム、ボディクリーム等のスキンケア化粧料、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアエッセンス、ヘアクリーム、ヘアフォーム、ヘアスプレーなどの化粧料が挙げられる。中でも、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアエッセンス、ヘアクリーム、ヘアフォーム、ヘアスプレーなどの毛髪化粧料が、本発明の効果を実感できるため好ましい。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。また、配合量は、特記しない限り、その成分が含有される組成物に対する質量%で示す。
【0041】
実施例1~16、比較例1~6:ベシクル組成物(化粧水)
表1に示すベシクル組成物を下記製造方法により調製し、イ:なめらかさ(べたつきのなさ)、ロ:ハリコシ感(純曲げ試験)、ハ:毛髪補修効果(毛髪破断強度)、ニ:経時安定性(ケラチン加水分解物の析出抑制)、ホ:平均粒子径について、下記の評価方法に基づき評価判定した。結果を併せて表1に示す。
【0042】
【0043】
(製造方法)
A.成分(3)~(5)、(13)~(15)を90℃まで加温し、均一に混合する。
B.成分(1)、(2)、(6)、(7)を85℃まで加温し、均一に溶解させる。
C.BにAを添加して均一に混合後、室温まで冷却する。
D.Cに成分(8)~(12)を添加して均一に混合することでベシクル組成物を得た。
【0044】
(評価方法1)イ:なめらかさ(べたつきのなさ)
化粧品評価専門パネル10名に、実施例及び比較例の各試料を髪に使用してもらい、その後ドライヤーで十分に乾燥させ、なめらかさ(べたつきのなさ)について、各自が以下の評価基準に従って3段階に判定を行った。
<判定基準>
[判定]:[評価]
◎:非常に良好(なめらかさにとても優れる)
〇:良好(なめらかさに優れる)
△:不良(べたつきがある)
【0045】
(評価方法2)ロ:ハリコシ感(純曲げ試験)
実施例1の試料で処理した毛束と、比較として比較例1の試料で処理した毛束について、純曲げ試験を行い、曲げ回復性(2HB)を測定し、ハリコシ感を評価した。曲げ回復性(2HB)は人間が物体曲げて元に戻すときに感じる回復性(弾力性)の指標となり、値が小さいほど回復性(弾力性)が良いことを表す。
【0046】
ハリコシ感は、回復性を指標として、下記実験条件にて設定し、測定を行い、以下の判定基準に従って判定した。
1.上記表1及び上記製造方法により調製した試料に、同一人由来の毛髪を1時間浸漬する。
2.1時間浸漬した毛髪を取り出し、毛髪表面の試料をキムタオルにて除去し、25℃、相対湿度65%RHの恒温恒湿槽にて24時間放置する。
3.30mm間隔で並べた長さ10mm、幅15mmの方眼紙2枚に、毛髪100本を1mm間隔に10本貼り付け、測定サンプルとした。測定サンプルを毛髪こし感テスター(KES-FB2-S カトーテック社製)にセットし、曲げモーメント(M)を測定した(測定は往復させた)。測定は5回行い、結果はその平均値を用いた。往復させて測定した際のヒステリシス曲線から、曲率0.5における曲げモーメント(M)の差を求め、曲げ回復性(2HB)を算出した。
<測定条件>
曲率速度:0.5cm-1/SEC
曲率範囲:±2.5cm-1
クランプ間隔:1cm
4.比較例1の2HBの平均値を1としたときの、その他実施例、比較例の値を求める。
5.比較例1の2HBの平均値との比較から、ハリコシ感の向上を以下の判定基準に従って判定した。
<判定基準>
[判定]:[比較値]
◎:0.85未満
〇:0.85~0.95未満
△:0.95以上
【0047】
(評価方法3)ハ:毛髪補修効果(毛髪破断強度)
毛髪補修効果は、毛髪破断強度の変化を指標として、下記実験条件にて設定し、測定を
行い、以下の判定基準に従って判定した。
1.上記表1及び上記製造方法により調製した試料に、同一人由来の毛髪を2時間浸漬する。
2.2時間浸漬した毛髪を取り出し、ドライヤーで表面の水分を除去する。
3.2の毛髪をEZテスター(島津製作所製製)を用いて、毛髪の破断時の応力を測定する。10本測定し、破断応力の平均値を求める
4.比較例1の破断応力の平均値を100としたときの、その他実施例、比較例の値を求
める。
5.比較例1の破断応力との比較から、毛髪破断強度の向上の度合いにより、毛髪補修効
果を以下の判定基準に従って判定した。
<判定基準>
[判定]:[比較値]
◎:125以上
〇:115以上~125未満
△:105以上~115未満
×:105以下
【0048】
(評価方法4)ニ:経時安定性(ケラチン加水分解物の析出抑制)
ベシクル組成物の経時安定性の確認として、保存試験を行った。実施例1~16及び比較例1~6について、光学顕微鏡を用いてベシクル粒子の観察を行った。その後、各試料を50℃の恒温槽にて1ヵ月保存し、ケラチン加水分解物の結晶析出を目視にて、ベシクル粒子の観察を光学顕微鏡を用いて行い、以下の判定基準を用いて判定した。
<判定基準>
[判定]:[評価]
◎:結晶析出もなく、ベシクルの形態についても全く変化は認められない。
○:結晶析出もほとんどなく、またベシクルの形態についてもほとんど変化は認められない。
△:結晶析出及び/又はベシクルの形態について、やや変化が認められる。
×:結晶析出及び/又はベシクルの形態について明らかに変化が認められる。
【0049】
(評価方法5)ホ:平均粒子径
ベシクル組成物の粒子径はDelsaMax CORE(BECKMAN COULTER株式会社製)を用いた動的光散乱法および静的光散乱法による測定(20倍水希釈液)により得られた粒子径を以下の判定基準に従って判定した。
<判定基準>
[判定]:[評価]
○:50nm以上210nm未満
×:210nm以上及び/又は測定不可
【0050】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1~16のベシクル組成物は、比較例1~6のベシクル組成物に比べ、なめらかさ、ハリコシ感、毛髪補修効果、経時安定性の全てにおいて優れたものであった。
【0051】
これに対して、成分(B)のケラチン加水分解物を含有しない、又はケラチン加水分解物をベシクル組成物中に含まず、ベシクル形成後に添加した比較例1及び2では、毛髪補修効果や経時安定性の点で劣っていた。そして、成分(D)の代わりに、ノニオン性高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合した比較例3において、毛髪補修効果及び経時安定性の点で満足のいくものが得られなかった。また、アニオン性高分子である(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーをベシクル組成物に配合した比較例4では、ハリコシ感、毛髪補修効果、経時安定性の点で満足のいくものではなかった。カチオン性高分子である塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリルアミド共重合体をベシクル組成物に配合した比較例5においては、ベシクル組成物の凝集による平均粒子径の増大が見られ、安定性が低下することで、毛髪補修効果及び経時安定性の点で満足のいくものではなかった。さらに、成分(D)を20%配合した比較例6においては、ベシクル組成物の凝集やベシクル形成に関与しない余剰の成分(D)の共存による不安定化が進行し、なめらかさやケラチン加水分解物の経時安定性の点で満足のいくものが得られなかった。
【0052】
実施例17:ヘアトリートメント
(成分) (%)
1.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート (成分(A))
注1 0.5
2.コレステロール (成分(C)) 0.2
3.ケラチン加水分解物 数平均分子量:10,000 (成分(B)) 0.01
4.ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (成分(d1)) 注3
0.1
5.プロピレングリコール 0.5
6.1,3-ブチレングリコース 0.2
7.メチルパラベン 0.005
8.グリシン 0.01
9.精製水 3.475
10.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1.5
11.セトステアリルアルコール 2.5
12.ベヘニルアルコール 1
13.ジメチルポリシロキサン(25℃において10,000mPa・s) 1
14.ジメチルポリシロキサン(25℃において1,000,000mPa・s)
1.5
15.アモジメチコン 0.5
16.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
17.トリエチルヘキサノイン 0.5
18.グリセリン 1
19.ジグリセリン 1.5
20.クエン酸 0.01
21.クエン酸Na 0.01
22.精製水 残量
23.エタノール 0.5
24.香料 0.5
【0053】
(製造方法)
A:成分1、2を均一に加熱溶解した。
B:成分3~9を均一に加熱溶解した。
C:BにAを混合分散させ、その後攪拌を続けながら徐々に室温まで冷却しベシクル組成物を得た。当該ベシクル組成物の平均粒子径は210nm未満であった。
D:成分10~17を70℃で均一に加熱溶解した。
E:成分18~22を70℃で均一に加熱溶解する。
F:EにDを添加し、乳化した。
G:Fを冷却し、成分23、24及びCを添加混合した後、容器に充填しヘアトリートメントを得た。
【0054】
以上のように得られた実施例17のヘアトリートメントは、仕上がりの乾燥した髪の滑らかさ、ハリコシ感に優れ、また、ケラチン加水分解物の析出が抑制されることで、経時安定性及び毛髪補修効果にも優れるものであった。
なお、各成分の含有質量比は、(A)/(B)=50、(A)/(D)=5であった。
【0055】
実施例18:アウトバス用ヘアミルク
(成分) (%)
1.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート (成分(A))
注1 0.07
2.コレステロール (成分(C)) 0.1
3.ケラチン加水分解物 数平均分子量:10,000 (成分(B)) 0.004
4. ケラチン加水分解物 数平均分子量:4,000 (成分(B)) 0.001
5.2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体
(成分(d1)) 注8 0.6
6.プロピレングリコール 0.5
7.1,3-ブチレングリコール 0.5
8.トリプロピレングリコール (成分(E)) 0.4
9.メチルパラベン 0.005
10.バリン 0.01
11.精製水 2.81
12.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1
13.セトステアリルアルコール 1.2
14.ベヘニルアルコー 1
15.ジメチルポリシロキサン(25℃において6mPa・s) 7
16.スクワラン 1
17.イソプロパノール 0.8
18.シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 注9 0.5
19.フェニルトリメチコン 1.5
20.POE(60)硬化ヒマシ油 0.2
21.クエン酸 0.1
22.精製水 残量
23.香料 0.3
24.エタノール 5
25.スイゼンジノリ細胞外多糖体 注10 0.01
注8 LIPIDURE PMB(BG)(日油社製)
注9 NEOSOLUE-AQULIO(日本精化社製)
注10 サクランB(グリーンサイエンス・マテリアル社製)
【0056】
(製造方法)
A:成分1、2を均一に加熱溶解した。
B:成分3、4、6~11を均一に加熱溶解した。
C:BにAを混合分散させ、その後攪拌を続けながら徐々に室温まで冷却した。
D:Cに成分5を添加混合し、ベシクル組成物を得た。当該ベシクル組成物の平均粒子径は210nm未満であった。
E:成分12~20を70℃で均一に加熱溶解する。
F:成分21、22を70℃で均一に加熱溶解する。
G:FにEを添加し、乳化した。
H:Gを冷却し、成分23~25及びDを添加混合した後、容器に充填しアウトバス用ヘアミルクを得た。
【0057】
以上のように得られた実施例18のアウトバス用ヘアミルクは、塗布時の滑らかさ、仕上がりの指通り、ハリコシ感に優れるものであった。また、ケラチン加水分解物の析出が抑制されることで、経時安定性及び毛髪補修効果にも優れるものであった。
なお、各成分の含有質量比は、(A)/(B)=14、(A)/(D)=0.12であった。
【0058】
実施例19:アウトバス用ヘアミスト
(成分) (%)
1.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート (成分(A))
注1 0.05
2.コレステロール (成分(C)) 0.1
3.ケラチン加水分解物 数平均分子量:10,000 (成分(B)) 0.025
4.ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (成分(d1)) 注3
0.025
5.塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体
(成分(d2)) 注4 0.01
6.プロピレングリコール 1
7.トリプロピレングリコール (成分(E)) 1
8.1,3-ブチレングリコール 0.1
9.メチルパラベン 0.005
10.バリン 0.01
11.精製水 2.675
12.プロピレングリコール 1
13.エタノール 7
14.ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
15.香料 0.05
16.ホホバ種子油 0.001
17.メドウフォーム油 0.001
18.オリーブ果実油 0.001
19.精製水 残量
【0059】
(製造方法)
A:成分1、2を均一に加熱溶解した。
B:成分3~11を均一に加熱溶解した。
C:BにAを混合分散させ、その後攪拌を続けながら徐々に室温まで冷却しベシクル組成物を得た。当該ベシクル組成物の平均粒子径は210nm未満であった。
D:成分12、13、19を室温で均一に混合溶解した。
E:成分14~18を50℃で均一に加熱溶解した。
F:DにEを添加し、混合した。
G:Fを冷却し、Cを添加混合した後、容器に充填しアウトバス用ヘアミストを得た。
【0060】
以上のように得られた実施例19のアウトバス用ヘアミストは、塗布時の滑らかさ、仕上がりの指通り、ハリコシ感に優れるものであった。また、ケラチン加水分解物の析出が抑制されることで、経時安定性及び毛髪補修効果にも優れるものであった。
なお、各成分の含有質量比は、(A)/(B)=2、(A)/(D)=1.4であった。